説明

車両制御システム及び車両制御装置

【課題】タイヤの状態を適正に制御することができる車両制御システム及び車両制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両2の車輪3に生じる制動力を調節可能な制動力調節手段7と、車輪3に装着されるタイヤ13の温度を検出する検出手段14と、タイヤ13の温度に基づいて、制動力の増減の周期を可変とする制御装置8とを備えることを特徴とする。したがって、タイヤ13の状態を適正に制御することができる、という効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム及び車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両制御システム、あるいは、車両制御装置として、例えば、特許文献1には車輪速度に基づいて制動圧を周期的に増減する車両のアンチスキッドブレーキ装置が開示されている。この車両のアンチスキッドブレーキ装置は、車輪速度に基づき算出される算出値が所定の第1しきい値を超えたときに制動圧を保持し、かつ上記第1しきい値よりもスリップ増大側に設定された所定の第2しきい値を上記算出値が超えたときに制動圧の減圧を開始するように構成するとともに、上記制動圧の保持時間が長いときに、短いときに比較して減圧量を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−040243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような特許文献1に記載されている車両のアンチスキッドブレーキ装置は、例えば、制動距離の更なる短縮化等のため、タイヤ状態の適正化の点でさらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、タイヤの状態を適正に制御することができる車両制御システム及び車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御システムは、車両の車輪に生じる制動力を調節可能な制動力調節手段と、前記車輪に装着されるタイヤの温度を検出する検出手段と、前記タイヤの温度に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とする制御装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記制動力を制御して前記車輪のスリップ状態を制御する際に、前記タイヤの温度に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とするものとすることができる。
【0008】
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記タイヤの温度と、予め設定される目標の前記タイヤの温度とに基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とするものとすることができる。
【0009】
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記タイヤの温度が前記目標の前記タイヤの温度より高い場合に、前記制動力の増減の周期を相対的に長くするものとすることができる。
【0010】
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記タイヤの温度が前記目標の前記タイヤの温度より低い場合に、前記制動力の増減の周期を相対的に短くするものとすることができる。
【0011】
また、上記車両制御システムでは、前記検出手段は、前記タイヤのトレッド内部の温度を検出するものとすることができる。
【0012】
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記タイヤの温度と当該タイヤの摩擦係数との関係に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とするものとすることができる。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御システムは、車両の車輪に生じる制駆動力を調節可能な制駆動力調節手段と、前記車輪に装着されるタイヤの温度を検出する検出手段と、前記タイヤの温度に基づいて、前記制駆動力の増減の周期を可変とする制御装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、車両の車輪に生じる制動力を制御する際に、前記車輪に装着されるタイヤの温度に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とすることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、車両の車輪に生じる制駆動力を制御する際に、前記車輪に装着されるタイヤの温度に基づいて、前記制駆動力の増減の周期を可変とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両制御システム及び車両制御装置は、タイヤの状態を適正に制御することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施形態に係る車両制御システムの概略構成図である。
【図2】図2は、タイヤ温度と摩擦係数との関係を表す線図である。
【図3】図3は、ECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る車両制御システムの概略構成図、図2は、タイヤ温度と摩擦係数との関係を表す線図、図3は、ECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。
【0020】
本実施形態の車両制御システム1は、図1に示すように車両2に搭載され、この車両2を制御するためのシステムであり、車両2の車輪3に生じる制駆動力を制御して車輪3のスリップ状態を制御するものである。車両2は、車輪3として、左前輪3FL、右前輪3FR、左後輪3RL、右後輪3RRを備えるが、これらを特に分ける必要がない場合には単に車輪3という。
【0021】
具体的には、車両制御システム1は、アクセルペダル4、駆動源5、ブレーキペダル6、制動装置7、制御装置(車両制御装置)としてのECU8などを備える。車両2は、運転者によるアクセルペダル4の操作に応じて駆動源5が動力(トルク)を発生させ、この動力が動力伝達装置(不図示)を介して車輪3に伝達され、この車輪3に駆動力を発生させる。また、車両2は、運転者によるブレーキペダル6の操作に応じて制動装置7が作動することで車輪3に制動力を発生させる。
【0022】
駆動源5は、内燃機関や電動機などの走行用の動力源である。制動装置7は、マスタシリンダ9から油圧制御装置10を介してホイールシリンダ11に接続する油圧経路に作動流体であるブレーキオイルが充填された種々の公知の油圧ブレーキ装置である。制動装置7は、基本的には運転者がブレーキペダル6を操作することで、ブレーキペダル6に作用するペダル踏力(操作力)に応じてマスタシリンダ9によりブレーキオイルにマスタシリンダ圧(操作圧力)が付与される。そして、制動装置7は、このマスタシリンダ圧が各ホイールシリンダ11にてホイールシリンダ圧(制動圧力)として作用することで、キャリパ、ブレーキパッド、ディスクロータなどを含んで構成される油圧制動部12が作動し車輪3に圧力制動力を発生させる。この間、制動装置7は、油圧制御装置10によってホイールシリンダ圧が運転状態に応じて適宜調圧される。
【0023】
ECU8は、車両2の各部の駆動を制御するものであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。ECU8は、車両2の各所に取り付けられた種々のセンサ、検出装置が電気的に接続され、検出結果に対応した電気信号が入力される。ECU8は、各種センサから入力された各種入力信号や各種マップに基づいて、格納されている制御プログラムを実行することにより、駆動源5や制動装置7の油圧制御装置10などの車両2の各部に駆動信号を出力しこれらの駆動を制御する。
【0024】
ここで、油圧制御装置10は、例えば、複数の配管、オイルリザーバ、オイルポンプ、各車輪3にそれぞれ設けられた各ホイールシリンダ11に接続する各油圧配管、各油圧配管の油圧を各々に増圧、減圧、保持するための複数の電磁弁などを含んで構成され、ECU8により制御される。油圧制御装置10は、通常の運転時には、例えば、ECU8の制御指令にしたがってオイルポンプや所定の電磁弁が駆動することで、運転者によるブレーキペダル6の操作量(踏み込み量)に応じてホイールシリンダ11に作用するホイールシリンダ圧を調圧することができる。また、油圧制御装置10は、後述する車両制御時には、例えば、ECU8の制御指令にしたがってオイルポンプや所定の電磁弁が駆動することで、ホイールシリンダ11に作用するホイールシリンダ圧を増圧する増圧モード、ほぼ一定に保持する保持モード、減圧する減圧モードなどで作動可能である。油圧制御装置10は、ECU8による制御によって、車両2の走行状態に応じて各車輪3にそれぞれ設けられたホイールシリンダ11ごとに個別に上記モードを設定することができる。
【0025】
そして、本実施形態のECU8は、車両2の走行状態に応じて駆動源5や油圧制御装置10を制御することで、車両2のABS(Antilock Brake System)機能やTRC(Traction Control System)機能などを実現することができる。すなわち、ECU8は、運転者によるアクセルペダル4の踏み込み操作(加速操作)やブレーキペダル6の踏み込み操作(制動操作)に伴って車輪3がスリップしたとき、そのスリップ状態にある車輪3の制駆動力を調節することで、車両2の走行状態に応じた最適な制駆動力を車輪3に対して付与するようにする。ECU8は、駆動源5の出力や制動装置7の制動圧力としてのホイールシリンダ圧(以下、特に断りのない限り「ブレーキ圧」という)を調節し車輪3に生じる制駆動力を制御することで、車輪3のスリップ状態、例えば、車輪3のタイヤと路面とのスリップ(滑り)をあらわす指標である車輪3のスリップ率を制御する。ECU8は、基本的には、実際のスリップ率が目標のスリップ率になるように車輪3に生じる制駆動力を制御する。ここで、目標のスリップ率は、例えば、車輪3のタイヤ13の摩擦係数が最大となるピークμスリップ率の近傍の狙いのスリップ率である。この目標のスリップ率は、所定の範囲を有していてもよい。ECU8は、車両2のABS機能やTRC機能を実現するべく、車両2の走行状態に応じてこのスリップ率の制御(スリップ率制御)を実行する。ECU8は、例えば、車輪3の車輪速度と車両2の車体速度とに基づいてスリップ率を求めるなど、種々の公知の手法を用いて車輪3のスリップ率を求めればよい。
【0026】
例えば、ECU8は、運転者によるブレーキペダル6の踏み込み操作に応じて制動装置7が作動した際に車輪3と路面との間に生じうるスリップを抑制するためにABS機能が作動したときの制動力制御(ABS制御)として上記スリップ率制御を実行する。ECU8は、例えば、車輪3のスリップ率が予め設定される閾値を超えた際にスリップ率制御を開始する。この場合、ECU8は、実際のスリップ率が目標のスリップ率になるように制動装置7のブレーキ圧を調節し車輪3に生じる制動力を制御する。ECU8は、実際のスリップ率が目標のスリップ率より大きくなった場合にブレーキ圧を減圧し制動力を低減する一方、実際のスリップ率が目標のスリップ率より小さくなった場合にブレーキ圧を増圧し制動力を増加する。ECU8は、これを周期的に繰り返すことでブレーキロックを防止しつつ車両2の制動距離を短くすることができると共に車両安定性や操舵性を向上することができる。
【0027】
ところで、本実施形態のECU8は、車両2の車輪3に生じる制駆動力を制御する際に、車輪3に装着されるタイヤ13の温度に基づいて、制駆動力の増減の周期を可変とすることで、タイヤ13の状態を適正に制御し、車輪3のスリップ状態を適正に制御している。なお、以下の説明では、ABS機能が作動したときのスリップ率制御(制動力制御)について説明し、すなわち、ECU8が車輪3に生じる制動力を制御して車輪3のスリップ状態を制御する際に、制動力の増減の周期を可変とする場合を説明する。
【0028】
車両制御システム1は、タイヤ13の温度を検出する検出手段としての温度センサ14を各車輪3にそれぞれ備える。各温度センサ14は、例えば熱電対、サーミスタ等を用いることができる。より詳細には、温度センサ14は、タイヤ13のトレッド内部の温度、例えば、トレッド内部の構造部材であるカーカス層、ベルト層、あるいは、トレッドゴムなどの温度を検出する。好ましくは、温度センサ14は、タイヤ13のトレッド表面とベルト層上面との間のトレッドゴム内部の温度を検出するとよい。温度センサ14は、ECU8に電気的に接続されており、検出したタイヤ13の温度信号をECU8に送信する。なお、温度センサ14は、赤外線等を利用した非接触式の温度センサを用いることもできる。また、温度センサ14は、例えば、タイヤ13が装着されたホイールの温度を検出し、これに基づいてタイヤ13のトレッド内部の温度を検出、推定するようにしてもよい。
【0029】
そして、ECU8は、制動力を制御して車輪3のスリップ状態を制御する際に、すなわち、ABS機能が作動したときのスリップ率制御の際に、タイヤ13の温度に基づいて、車輪3に生じる制動力を調節可能な制動力調節手段としての制動装置7を制御し、制動力の増減の周期を可変とするタイヤ温度制御を実行する。ここでは、ECU8は、制動装置7を制御し、ブレーキ圧(制動圧力)増減の周期を可変とすることで、車輪3に生じる制動力の増減の周期を可変とする。すなわち、ECU8は、温度センサ14が検出するタイヤ13の温度と、目標のタイヤ13の温度との関係に基づいて、ABS制御によるブレーキ圧増減の周期を可変にし、これにより、タイヤ13の温度を調節する。
【0030】
例えば、ECU8は、ABS機能が作動したときのスリップ率制御の際に、制動装置7を制御しブレーキ圧増減の周期を相対的に短くし制動力の増減の周期を相対的に短くすることで、タイヤ13に相対的に高周波数の振動を作用させることができる。この結果、タイヤ13は、制動時に発熱しやすくなり、結果的に、このタイヤ13の温度を相対的に高くすることができる。一方、例えば、ECU8は、ABS機能が作動したときのスリップ率制御の際に、制動装置7を制御しブレーキ圧増減の周期を相対的に長くし制動力の増減の周期を相対的に長くすることで、タイヤ13に相対的に低周波数の振動を作用させることができる。この結果、タイヤ13は、制動時に発熱しにくくなり、結果的に、このタイヤ13の温度を相対的に低くすることができる。ECU8は、このことを利用して、車輪3に作用する制動力の増減周期を調節することで、タイヤ13の温度を調節するタイヤ温度調節装置として機能する。
【0031】
なお、ECU8は、スリップ率制御におけるタイヤ13の温度の調節を各車輪3のタイヤ13の温度に基づいて各車輪3に対してそれぞれ行ってもよいし、左前輪3FL、右前輪3FRの平均のタイヤ13の温度に基づいて左前輪3FL、右前輪3FRのタイヤ13の温度の調節を行い、左後輪3RL、右後輪3RRの平均のタイヤ13の温度に基づいて左後輪3RL、右後輪3RRのタイヤ13の温度の調節を行うようにしてもよい。
【0032】
具体的には、ECU8は、スリップ率制御の際に、温度センサ14が検出するタイヤ13の温度と、予め設定される目標のタイヤ13の温度とに基づいて、制動力の増減の周期を可変とする。ECU8は、温度センサ14が検出するタイヤ13の温度が目標のタイヤ13の温度に収束するように制動力の変化の周期を可変とする。ここでの目標のタイヤ13の温度は、例えば、タイヤ13の摩擦係数が最大となる上述のピークμ温度に設定される。
【0033】
ここで、図2は、横軸をタイヤ13のトレッド温度、縦軸をスリップ率に応じて変化するタイヤ13の摩擦係数μ(制動μ)の最大値としており、2種類のタイヤを用いた実車評価によって得られるトレッド温度と摩擦係数μの最大値との関係の一例を表している。図中、点線L1と点線L2とは、異なる種類のタイヤの摩擦係数μの傾向を表している。
【0034】
タイヤ13の摩擦係数μ特性は、所定のタイヤ温度依存性を有しており、すなわち、タイヤ13の温度に依存している。図2の点線L1、L2に示すように、摩擦係数μの最大値がピークになる温度負荷は、タイヤ13の種類によって異なるが、トレッド温度の変化に伴った摩擦係数μの最大値の変化の傾向は、タイヤ13の種類にかかわらずほぼ同様である。すなわち、摩擦係数μの最大値は、所定温度としてのタイヤ臨界温度Tc1、Tc2まではトレッド温度の増加に伴って増加するが、タイヤ臨界温度Tc1、Tc2にてピークになると、それ以降はトレッド温度の増加に伴って減少する傾向にある。なおここでは、摩擦係数μは、トレッド温度が変化することで最大値から約70パーセント程度まで変化しており、これに応じて、例えば、車両2の制動時の制動距離等が変化するおそれがある。
【0035】
この摩擦係数μが最大となるタイヤ臨界温度は、上述したタイヤ13の摩擦係数が最大となるピークμ温度に相当し、ここでは、目標のタイヤ13の温度は、このタイヤ臨界温度、あるいはその近傍に設定される。つまり、ECU8は、タイヤ13の温度と摩擦係数との関係において摩擦係数が最大となるタイヤ温度を目標のタイヤ温度とする。ECU8は、タイヤ13の温度とこのタイヤ13の摩擦係数との関係に基づいて、制動力の増減の周期を可変とする。
【0036】
そして、ECU8は、スリップ率制御の際に、温度センサ14が検出するタイヤ13の温度が目標のタイヤ13の温度より高い場合に、制動装置7を制御しブレーキ圧増減の周期を通常の場合より相対的に長くし制動力の増減の周期を相対的に長くする。この結果、タイヤ13は、冷却され温度が相対的に低くなり適切な温度に調節される。ここで、上記通常の場合とは、例えば、温度センサ14が検出するタイヤ13の温度と目標のタイヤ13の温度とがほぼ同等な場合である。
【0037】
一方、ECU8は、スリップ率制御の際に、温度センサ14が検出するタイヤ13の温度が目標のタイヤ13の温度より低い場合に、制動装置7を制御しブレーキ圧増減の周期を通常の場合より相対的に短くし制動力の増減の周期を相対的に短くする。この結果、タイヤ13は、暖機され温度が相対的に高くなり適切な温度に調節される。
【0038】
したがって、この車両制御システム1は、ABS機能が作動したときのスリップ率制御の際に、タイヤ13の温度を最適な温度、ここでは、タイヤ13の摩擦係数μが最大となるタイヤ臨界温度となるように調節することができる。この結果、車両制御システム1は、タイヤ13の状態を適正に制御することができ、これにより、車輪3のスリップ状態を適正に制御することができる。そして、車両制御システム1は、例えば、タイヤ温度と摩擦係数μとの関係を用いて制動力の増減周期を変更することによってタイヤ13の温度を摩擦係数μが最大となる適切な温度にマネージメントすることができ、これにより、ABS機能が作動したときの車両2の制動距離をさらに短くすることができると共に、車両安定性や操舵性をさらに向上することができる。また、車両制御システム1は、タイヤ温度に応じて制動力の増減の周期を変更しタイヤ13の温度を適切な温度にマネージメントすることで、例えば、DryやWetなどの路面状態や寒暖差などの気候条件の変動等にかかわらず、車輪3のスリップ状態を適正に制御することができる。
【0039】
さらに、この車両制御システム1は、温度センサ14がタイヤ13のタイヤ特性に影響を与え易く、また、タイヤ13の表面より温度が変りにくいトレッド内部の温度、典型的には、トレッドゴム内部の温度を検出し、これをタイヤ13の温度制御に用いることで、タイヤ温度制御の精度をより向上することができ、より適正にタイヤ13の状態を制御し車輪3のスリップ状態を制御することができる。
【0040】
次に、図3のフローチャートを参照してECU8におけるタイヤ温度制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。また、以下では、左前輪3FL、右前輪3FRの平均のタイヤ13の温度に基づいて左前輪3FL、右前輪3FRのタイヤ13の温度の調節を行い、左後輪3RL、右後輪3RRの平均のタイヤ13の温度に基づいて左後輪3RL、右後輪3RRのタイヤ13の温度の調節を行う場合を説明する。また、以下の説明では、特に断りの無い限り、左前輪3FL、右前輪3FRのタイヤ13を「フロントタイヤ」、左前輪3FL、右前輪3FRの平均のタイヤ13の温度を「フロントタイヤ温度Tf」、左後輪3RL、右後輪3RRのタイヤ13を「リヤタイヤ」、左後輪3RL、右後輪3RRの平均のタイヤ13の温度を「リヤタイヤ温度Tr」という。
【0041】
まず、ECU8は、制動装置7等の各部の作動状態等に応じて、車両2がブレーキ中であるか否か、ここでは例えば、ABS制御中であるか否かを判定する(ST1)。
【0042】
ECU8は、車両2がブレーキ中(ABS制御中)でないと判定した場合(ST1:No)、車両2がブレーキ中であると判定するまでこの判定を繰り返し実行する。ECU8は、車両2がブレーキ中であると判定した場合(ST1:Yes)、温度センサ14の検出結果に基づいて、フロントタイヤ温度Tf、リヤタイヤ温度Trが目標のタイヤ13の温度であるタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST2)。
【0043】
ECU8は、フロントタイヤ温度Tf、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST2:Yes)、少なくともフロントタイヤ温度Tfとリヤタイヤ温度Trとのいずれか一方がタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定するまでこの判定を繰り返し実行する。ECU8は、少なくともフロントタイヤ温度Tfとリヤタイヤ温度Trとのいずれか一方がタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST2:No)、フロントタイヤ温度Tf、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcより低い温度であるか否かを判定する(ST3)。
【0044】
ECU8は、フロントタイヤ温度Tf、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcより低い温度であると判定した場合(ST3:Yes)、タイヤ温度制御として、フロントタイヤ及びリヤタイヤの高周波制御を実行する(ST4)。すなわち、ECU8は、制動装置7を制御し、フロントタイヤ及びリヤタイヤのブレーキ圧増減の周期を相対的に短くし制動力の増減の周期を相対的に短くする。
【0045】
次に、ECU8は、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御を終了するか否かを判定する(ST5)。ECU8は、例えば、[(Tf−Tc)・(Tr−Tc)=0]を満たすか否かを判定することで、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御を終了するか否かを判定する。
【0046】
次に、ECU8は、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御を終了しないと判定した場合(ST5:No)、すなわち、[(Tf−Tc)・(Tr−Tc)=0]を満たさないと判定した場合、タイヤ温度制御として、フロントタイヤ及びリヤタイヤの高周波制御を継続しこの判定を繰り返し行う。ECU8は、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御を終了すると判定した場合(ST5:Yes)、すなわち、[(Tf−Tc)・(Tr−Tc)=0]を満たすと判定した場合、温度センサ14の検出結果に基づいて、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST6)。
【0047】
ECU8は、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST6:Yes)、フロントタイヤに対するタイヤ温度制御としての高周波制御を終了する一方、リヤタイヤに対するタイヤ温度制御としての高周波制御を継続する(ST7)。
【0048】
次に、ECU8は、温度センサ14の検出結果に基づいて、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST8)。ECU8は、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST8:No)、タイヤ温度制御として、リヤタイヤの高周波制御を継続しこの判定を繰り返し行う。ECU8は、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST8:Yes)、フロントタイヤ及びリヤタイヤのタイヤ温度制御を終了し(ST9)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0049】
ECU8は、ST6にてフロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST6:No)、すなわち、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合、フロントタイヤに対するタイヤ温度制御としての高周波制御を継続する一方、リヤタイヤに対するタイヤ温度制御としての高周波制御を終了する(ST10)。
【0050】
次に、ECU8は、温度センサ14の検出結果に基づいて、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST11)。ECU8は、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST11:No)、タイヤ温度制御として、フロントタイヤの高周波制御を継続しこの判定を繰り返し行う。ECU8は、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST11:Yes)、フロントタイヤ及びリヤタイヤのタイヤ温度制御を終了し(ST9)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0051】
ECU8は、ST3にてフロントタイヤ温度Tf、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcより低い温度でないと判定した場合(ST3:No)、タイヤ温度制御として、フロントタイヤ及びリヤタイヤの低周波制御を実行する(ST12)。すなわち、ECU8は、制動装置7を制御し、フロントタイヤ及びリヤタイヤのブレーキ圧増減の周期を相対的に長くし制動力の増減の周期を相対的に長くする。
【0052】
次に、ECU8は、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御としての低周波制御を終了するか否かを判定する(ST13)。ECU8は、例えば、[(Tf−Tc)・(Tr−Tc)=0]を満たすか否かを判定することで、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御としての低周波制御を終了するか否かを判定する。
【0053】
次に、ECU8は、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御を終了しないと判定した場合(ST13:No)、すなわち、[(Tf−Tc)・(Tr−Tc)=0]を満たさないと判定した場合、タイヤ温度制御として、フロントタイヤ及びリヤタイヤの低周波制御を継続しこの判定を繰り返し行う。ECU8は、フロントタイヤ又はリヤタイヤのどちらか一方のタイヤ温度制御を終了すると判定した場合(ST13:Yes)、すなわち、[(Tf−Tc)・(Tr−Tc)=0]を満たすと判定した場合、温度センサ14の検出結果に基づいて、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST14)。
【0054】
ECU8は、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST14:No)、すなわち、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合、フロントタイヤに対するタイヤ温度制御としての低周波制御を継続する一方、リヤタイヤに対するタイヤ温度制御としての低周波制御を終了する(ST15)。
【0055】
次に、ECU8は、温度センサ14の検出結果に基づいて、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST16)。ECU8は、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST16:No)、タイヤ温度制御として、フロントタイヤの低周波制御を継続しこの判定を繰り返し行う。ECU8は、フロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST16:Yes)、フロントタイヤ及びリヤタイヤのタイヤ温度制御を終了し(ST9)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0056】
ECU8は、ST14にてフロントタイヤ温度Tfがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST14:Yes)、フロントタイヤに対するタイヤ温度制御としての低周波制御を終了する一方、リヤタイヤに対するタイヤ温度制御としての低周波制御を継続する(ST17)。
【0057】
次に、ECU8は、温度センサ14の検出結果に基づいて、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であるか否かを判定する(ST18)。ECU8は、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等でないと判定した場合(ST18:No)、タイヤ温度制御として、リヤタイヤの低周波制御を継続しこの判定を繰り返し行う。ECU8は、リヤタイヤ温度Trがタイヤ臨界温度Tcと同等であると判定した場合(ST18:Yes)、フロントタイヤ及びリヤタイヤのタイヤ温度制御を終了し(ST9)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0058】
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム1によれば、車両2の車輪3に生じる制動力を調節可能な制動装置7と、車輪3に装着されるタイヤ13の温度を検出する温度センサ14と、タイヤ13の温度に基づいて、制動力の増減の周期を可変とするECU8とを備える。したがって、ECU8は、タイヤ13の状態を適正に制御することができる。
【0059】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両制御システム及び車両制御装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0060】
以上の説明では、車両制御システムの制御装置、車両制御装置は、車両の各部を制御するECUであるものとして説明したが、これに限らず、例えば、ECUとは別個に構成され、このECUを介して相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。
【0061】
また、以上の説明では、制動装置7は、油圧を用いた圧力制動を行う油圧ブレーキ装置であるものとして説明したがこれに限らない。制動装置7は、車輪3に制動力を作用させることができるものであればなんでもよく、例えば、発電機として作動可能な電動機などによっていわゆる回生制動により車輪3に制動力を発生させるものであってもよい。
【0062】
また、以上の説明では、ECU8は、制動力を制御して車輪3のスリップ状態を制御する際に、すなわち、ABS機能が作動したときのスリップ率制御の際に、タイヤ13の温度に基づいて、制動装置7を制御し、制動力の増減の周期を可変とするタイヤ温度制御を実行するものとして説明したが、スリップ率制御の際に限らず、通常の制動制御時に実行してもよい。
【0063】
また、以上の説明では、目標のタイヤの温度は、例えば、タイヤ13の摩擦係数が最大となるピークμ温度であるタイヤ臨界温度に設定されるものとして説明したがこれに限らない。
【0064】
また、以上の説明では、ECU8は、運転者によるブレーキペダル6の踏み込み操作に応じて制動装置7が作動した際に車輪3に生じうるスリップを抑制するためにABS機能が作動したときの制動力制御としてスリップ率制御を説明したが制動力制御に限定されるものではなく、駆動力制御(TRC制御)としてのスリップ率制御に適用することもできる。すなわち、ECU8は、運転者によるアクセルペダル4の踏み込み操作に応じて駆動源5の出力が増加した際に車輪3が空転することで生じうるスリップを抑制するためにTRC機能が作動したときの駆動力制御として上記スリップ率制御を実行することもできる。
【0065】
つまり、ECU8は、駆動力を制御する際に、車輪3に生じる駆動力を調節可能な駆動力調節手段としての駆動源5を制御し、この駆動源5の出力を制御することで駆動力の増減の周期を可変とする構成であってもよい。さらに言えば、車両制御システム1は、車両2の車輪3に生じる制駆動力を調節可能な制駆動力調節手段としての駆動源5及び制動装置7と、車輪3に装着されるタイヤ13の温度を検出する温度センサ14と、タイヤ13の温度に基づいて、制駆動力の増減の周期を可変とするECU8とを備える構成であってもよい。つまり、ECU8は、制駆動力を制御する際に、車輪3に生じる制駆動力を調節可能な駆動源5及び制動装置7を制御し、駆動源5の出力及び制動装置7のブレーキ圧を制御することで制駆動力の増減の周期を可変とする構成であってもよい。これらの場合であっても、車両制御システム1は、タイヤ13の状態を適正に制御することができ、これにより、車輪3のスリップ状態を適正に制御することができ、例えば、TRC機能が作動したときの車輪3のトラクション状態を最適化することができる共に、車両安定性や操舵性をさらに向上することができる。
【0066】
なお、ECU8は、例えば、以上で説明した図2のタイヤ温度と摩擦係数との関係を用いて、各車輪3のタイヤ13毎の温度やフロントタイヤの温度、リヤタイヤの温度をそれぞれ別個に同等の最適な温度、あるいは、異なる最適な温度に調節することも可能である。また、ECU8は、例えば、タイヤ13の温度を調節可能な機構、例えば、エアコンからの風や走行風、排気ガス等をタイヤ13のタイヤハウスへ吐出してタイヤ温度を調節する装置や電力によって発熱する発熱体(ヒータ)、各車輪3の制駆動力配分制御等を用いて、タイヤ13の温度を図2で示したタイヤ臨界温度等の最適な温度に調節することも可能である。また、ECU8は、例えば、フロントタイヤの温度、リヤタイヤの温度をそれぞれ同時に調節できないような構成であれば、どちらか一方、例えば、車軸荷重が大きくなる側のタイヤ13の温度を優先的に調節するようにしてもよい。例えば、ECU8は、車両2の制動動作時にはフロント側の車軸荷重が大きくなる傾向にあるため、リヤタイヤの温度よりフロントタイヤの温度を優先的に最適な温度に調節することで、例えば、リヤタイヤの温度を優先する場合と比較して、停止距離を相対的に短くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように本発明に係る車両制御システム及び車両制御装置は、タイヤを装着した車両に搭載される種々の車両制御システム及び車両制御装置に適用して好適である。
【符号の説明】
【0068】
1 車両制御システム
2 車両
3 車輪
5 駆動源(制駆動力調節手段)
7 制動装置(制動力調節手段、制駆動力調節手段)
8 ECU(制御装置、車両制御装置)
13 タイヤ
14 温度センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に生じる制動力を調節可能な制動力調節手段と、
前記車輪に装着されるタイヤの温度を検出する検出手段と、
前記タイヤの温度に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とする制御装置とを備えることを特徴とする、
車両制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記制動力を制御して前記車輪のスリップ状態を制御する際に、前記タイヤの温度に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とする、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記タイヤの温度と、予め設定される目標の前記タイヤの温度とに基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とする、
請求項1又は請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記タイヤの温度が前記目標の前記タイヤの温度より高い場合に、前記制動力の増減の周期を相対的に長くする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記タイヤの温度が前記目標の前記タイヤの温度より低い場合に、前記制動力の増減の周期を相対的に短くする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記検出手段は、前記タイヤのトレッド内部の温度を検出する、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記タイヤの温度と当該タイヤの摩擦係数との関係に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とする、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項8】
車両の車輪に生じる制駆動力を調節可能な制駆動力調節手段と、
前記車輪に装着されるタイヤの温度を検出する検出手段と、
前記タイヤの温度に基づいて、前記制駆動力の増減の周期を可変とする制御装置とを備えることを特徴とする、
車両制御システム。
【請求項9】
車両の車輪に生じる制動力を制御する際に、前記車輪に装着されるタイヤの温度に基づいて、前記制動力の増減の周期を可変とすることを特徴とする、
車両制御装置。
【請求項10】
車両の車輪に生じる制駆動力を制御する際に、前記車輪に装着されるタイヤの温度に基づいて、前記制駆動力の増減の周期を可変とすることを特徴とする、
車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−71629(P2012−71629A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216042(P2010−216042)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】