説明

車両制御システム

【課題】長時間の信号待ちにおいて、ドライバがアイドリングストップを行うために、エンジンキーをOFFにした場合、エアバッグシステムへの電力供給が絶たれ、走行中の他車両に衝突されるとエアバッグが展開されないという課題がある
【解決手段】展開指令を受信すると、展開するエアバッグと、車両に印加された衝撃を検出し、衝撃検出信号として出力する衝撃検出手段と、衝撃検出信号が所定値以上である際に、展開指令を出力する展開判定手段と、車両のエンジンがアイドリングストップにより停止しているか否かを推定する状態推定手段と、状態推定手段により、エンジンはアイドリングストップにより停止していると推定された場合に、エアバッグおよび衝撃検出手段および展開判定手段および状態推定手段とを駆動する電源制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両制御システムの1種類として、車両が衝突した際に車両内の乗員を保護するエアバッグシステム(特許文献1)が多くの車両に搭載されている。
【0003】
このようなエアバッグシステムは、自動車の衝突時の衝撃を加速度センサで感知し、該センサの検出した衝撃が所定値以上である場合に、バッテリー電源からエアバッグ内の火薬を着火させることでエアバッグを瞬時に膨張させて乗員を保護している。また、特許文献2には、衝突時にバッテリーが外れた場合であっても、バックアップ用のコンデンサによって、エアバッグ内の火薬を着火させることができるエアバッグシステムが開示されている。また、この特許文献2には、エアバッグシステムに電源を供給するスイッチとして、エンジンキーを用いるとの記載がある。すなわち、エンジンキーがON状態(エンジンが稼動中)にあるとき、エアバッグシステムに電源が供給されている。
【0004】
なお、通常このバックアップ用のコンデンサは、エンジンキーがON状態である時に、バッテリーが外れると、エアバッグシステムへの電力供給を行うものであり、エンジンキーがOFF状態であるときには電力供給を行っていない。
【特許文献1】特開昭55−19627号公報
【特許文献2】特開平6−239187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、停車中にエンジンを停止するアイドリングストップが奨励されている。そして、長時間の信号待ちの際に、このアイドリングストップを行っているドライバが存在している。この時、ドライバがアイドリングストップを行うために、エンジンキーをOFFにした場合、エアバッグシステムへの電力供給が絶たれる。すなわち、エンジンキーがOFFである場合に、走行中の他車両に衝突されるとエアバッグが展開されないという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑み、アイドリングストップ中であっても、エアバッグを展開可能な車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、展開指令を受信すると、展開するエアバッグと、車両に印加された衝撃を検出し、衝撃検出信号として出力する衝撃検出手段と、衝撃検出信号が所定値以上である際に、展開指令を出力する展開判定手段と、車両のエンジンがアイドリングストップにより停止しているか否かを推定する状態推定手段と、状態推定手段により、エンジンはアイドリングストップにより停止していると推定された場合に、エアバッグおよび衝撃検出手段および展開判定手段および状態推定手段とを駆動する電源制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように、本発明は、エンジンが停止中であっても、その停止がアイドリングストップによるものである場合には、衝撃検出手段により衝撃検出信号が検出されると、エアバッグを展開することができる。このため、例えば信号待ちの時などに、ドライバがアイドリングストップを行ったとしても、エアバッグを展開することが可能であり、安全性を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、状態推定手段は、エンジンの稼動状態を検出し、エンジン状態として出力するエンジン状態検出手段と、車両内に乗員が存在するか否かを検出し、乗員信号として出力する乗員検知センサとを有し、状態推定手段は、エンジン状態が、エンジンが停止していることを示し、かつ、乗員信号が車両内に乗員が存在することを示している場合に、エンジンの停止がアイドリングストップによるものであると推定することを特徴とする。
【0010】
上記推定を行うことにより、車両内に乗員が存在しない状態において、車両内に乗員が存在している場合ならエアバッグを展開するような衝撃が加わったとしても、状態推定手段がエンジンの停止がアイドリングストップによるものと推定しているため、展開判定手段がエアバッグを展開させることを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、状態推定手段は、エンジンが駐車により停止しているかを推定するとともに、エンジンがアイドリングストップにより停止していると推定した場合には第1感度指令を出力し、エンジンが駐車により停止していると推定した場合には、第2感度指令を出力し、車両は、第1感度指令または第2感度指令に基づいて、衝撃検出手段から出力された信号の増幅度を調整し、衝撃検出信号として増幅し出力する感度調整手段を有することを特徴とする。
【0012】
このように、エンジンがアイドリングストップにより停止しているか否かに応じて、衝撃検出手段からの出力信号の増幅度を調整することにより、増幅度が異なるエアバッグの展開判定以外の用途にも衝撃検出手段からの出力信号を利用することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、状態推定手段が第2感度指令を出力している場合に、衝撃検出信号に基づいて車両の斜度を演算するとともに、斜度に基づいて車両が盗難状態にあるか否かを判定する盗難判定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成を備えることで、衝撃検出手段を、エアバッグを展開するか否かの判定と、盗難状態にあるか否かの判定に共用することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、状態推定手段は、エンジン状態が、エンジンが停止していることを示し、かつ、乗員信号が車両内に乗員が存在しないことを示している場合に、エンジンの停止がアイドリングストップ以外によるものであると推定し、第2感度指令を出力することを特徴とする。
【0016】
上記推定を行うことにより、エンジンが停止中であり車両内に乗員が存在している状態において、エンジン可動中ならエアバッグを展開するような衝撃が加わった場合に、状態推定手段がエンジンの停止がアイドリングストップによるものと推定しているため、展開判定手段がエアバッグを展開させ乗員を保護することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、乗員検知センサは、車両のシートに備えられた着座位置検出センサ、車両に設けられたカメラ、乗員の体温を検出する赤外線センサ、シートベルトが装着されているか否かを検出するシートベルトセンサ、のうち少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0018】
このような乗員検知センサを使用することで、エンジンの停止がアイドリングストップによるものか否かを精度良く推定するとともに、乗員がいない箇所へのエアバッグの展開を抑制することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、状態推定手段は、エンジンの稼動状態を検出し、エンジン状態として出力するエンジン状態検出手段と、車両の位置情報を提供する位置情報提供手段とを有し、状態推定手段は、エンジン状態が、エンジンが停止していることを示し、かつ、位置情報提供手段が提供した車両の位置が特定領域に存在している場合には、エンジンの停止がアイドリングストップによるものであると推定することを特徴とする。
【0020】
このような推定を行うことで、より精度良くアイドリングストップによるものであるか否かを推定することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、状態推定手段は、エンジンが駐車により停止しているかを推定するとともに、エンジンがアイドリングストップにより停止していると推定した場合には第1感度指令を出力し、エンジンが駐車により停止していると推定した場合には、第2感度指令を出力し、車両は、第1感度指令または第2感度指令に基づいて、衝撃検出手段から出力された信号の増幅度を調整し、衝撃検出信号として増幅し出力する感度調整手段を有することを特徴とする。
【0022】
このように、エンジンがアイドリングストップにより停止しているか否かに応じて、衝撃検出手段からの出力信号の増幅度を調整することにより、増幅度が異なるエアバッグの展開判定以外の用途にも衝撃検出手段からの出力信号を利用することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、状態推定手段が第2感度指令を出力している場合に、衝撃検出信号に基づいて車両の斜度を演算するとともに、斜度に基づいて車両が盗難状態にあるか否かを判定する盗難判定手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
このような構成を備えることで、衝撃検出手段を、エアバッグを展開するか否かの判定と、盗難状態にあるか否かの判定に共用することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、状態推定手段は、エンジン状態が、エンジンが停止していることを示し、かつ、位置情報提供手段が提供した車両の位置が特定領域に存在していない場合に、エンジンの停止がアイドリングストップ以外によるものであると推定し、第2感度指令を出力することを特徴とする。
【0026】
このような推定を行うことで、より精度良くアイドリングストップによるものであるか否かを推定することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、特定領域は、交差点、追い越し車線、駐車禁止区域のうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の発明は、車両のバッテリーと展開判定手段との間には、コンデンサが備えられ、展開判定手段は、少なくとも状態推定手段が、エンジンはアイドリングストップにより停止していると推定している場合に、コンデンサから電力供給を受けて実行され、盗難判定手段は、状態推定手段が、エンジンは駐車により停止していると推定しており、かつ、コンデンサが展開判定手段に電力供給をしていない場合に、実行されることを特徴とする。
【0029】
状態推定手段がエンジンはアイドリングストップにより停止していると推定している場合は、展開判定手段がコンデンサから電力供給を受けて実行されることにより、例えば他車両との衝突によって、バッテリー手段と展開判定手段とが断線してしまったとしても、展開判定手段はエアバッグを展開するか否かを判定することができる。一方、状態推定手段が、エンジンは駐車により停止していると推定しており、かつ、コンデンサが展開判定手段に電力供給をしていない場合に盗難判定手段を実行することで、(アイドリングストップ中ではない)駐車中にエアバッグが展開されることを防止するとともに、盗難状態か否かを判定することができる。
【0030】
請求項13に記載の発明は、盗難判定手段が実行されている間は、展開判定手段が実行されないことを特徴とする。
【0031】
盗難判定手段と、展開判定手段とが判定に使用する衝撃検出信号のレンジが異なっている場合において、展開判定手段が盗難判定手段用レンジの衝撃検出信号に基づいて判定を行ってエアバッグを誤爆させることを防止することができる。
【0032】
請求項14に記載の発明は、状態推定手段が、エンジンの停止がアイドリングストップ以外によるものであると推定し、かつ、盗難判定手段がバッテリーにより電力供給されており、かつ、バッテリーの残存容量が所定値以下である場合に、盗難判定手段は休止、もしくは、実行頻度を減少させられることを特徴とする。
【0033】
これにより、バッテリー手段の残存容量が無くなって、エンジンが再始動できない状態、または、盗難判定手段が停止してしまう状態が発生しにくくなる。
【0034】
請求項15に記載の発明は、状態推定手段は、エンジンの停止がアイドリングストップによるものであると推定し、かつ、電源制御手段が車両のバッテリーの残存容量が所定値以下であると判定した場合に車両内の乗員に報知を行うことを特徴とする。
【0035】
このような報知を行うことで、アイドリングストップ中にバッテリー手段の総残存容量が無くなって、エアバッグが展開できなくなることを防止することができる。
【0036】
請求項16に記載の発明は、衝撃検出手段は、車両に備えられた加速度センサであることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、実施例1から実施例4を用いて、本発明を実施するための最良の形態を述べる。
【0038】
〔実施例1〕
図1から図3を用いて実施例1について説明する。
【0039】
図1は、本実施例1のエアバッグシステム1の構成を表すブロック図である。この図1に示すように、エアバッグシステム1は、車両の状態を判定する状態推定サブシステム20と、エアバッグ33を展開するか否かを判定する衝突判定サブシステム30と、電源制御部41とバッテリー42とコンデンサ43とからなる。
【0040】
状態推定サブシステム20について説明する。状態推定サブシステム20は、車両のキーシリンダのキーポジションを検出してキーポジション信号Kとして出力するキーポジションセンサ21と、車両シートに備えられ乗員がどのシートに着座しているかを検出して着座信号Sとして出力する着座センサ22と、キーポジション信号Kと着座信号Sとに基づき電源制御信号Bを出力する状態推定部23とからなる。
【0041】
キーポジションセンサ21が出力するキーポジション信号Kは、ON(エンジン稼動)、ACC(エンジン停止で電装品がバッテリー41により稼動)、OFF(エンジン、電装品停止)、START(セルモータ駆動)、Null(キーがキーシリンダに挿入されていない)の4種類の信号を出力する。なお、キーの回動によりエンジンを始動(イグニッションON)せず、インパネ周辺のプッシュスイッチを押すことでエンジンを始動するスマートエントリー&スタートシステムを搭載した車両においては、エンジンのSTART/ON/ACC/OFF/Null(乗員が近くにいない状態)信号をキーポジション信号に代用することができる。すなわち、このキーポジション信号Kは、エンジン状態を含む車両の動力源の状態を表している。
【0042】
着座センサ22は、静電容量やシート座部への荷重の変化によって、どのシートに乗員が着座しているかを検出するセンサである。そして、この着座センサ22は、シート毎に割り当てられた固有IDに基づき、着座されているシートのIDを着座信号Sとして出力する。
【0043】
状態推定部23は、図2を用いて後述する処理を行って、状態推定サブシステム20と衝突判定サブシステム30とに電力を供給するか否かを判定し、判定結果を電源制御信号Bとして電源制御部に出力する。この電源制御信号Bの状態は、ON(電源供給を実施)とOFF(電源供給を停止)の2種類である。
【0044】
電源制御部41は、電源制御信号BがONである場合は、状態推定サブシステム20と衝突判定サブシステム30とに電力を供給するように切替スイッチ44を設定する。他方、電源制御信号BがONである場合は、状態推定サブシステム20と衝突判定サブシステム30とに電力を供給しないように切替スイッチ44を設定する。
【0045】
また、バッテリー42と、状態推定サブシステム20及び衝突判定サブシステム30との間には、コンデンサ43が備えられており、状態推定部23が電源制御信号BをOFFとした場合であっても、数秒間(具体的には、1[sec]、状態推定部23の10回程度の処理を要する時間の間)は電源の供給を継続できるようになっている。また、このコンデンサ43は、衝突などの衝撃で、バッテリー42とコンデンサ43との間の電力供給が遮断されたとしても、状態推定サブシステム20及び衝突判定サブシステム30への電力供給を継続することができる。
【0046】
次に、衝突判定サブシステム30について説明する。衝突判定サブシステム30は、車両の各部に設置され車両に印加された加速度を検出し加速度信号Gとして出力する加速度センサ31と、加速度信号Gと着座信号Sとに基づいてエアバッグ33に展開指令Iを出力する衝突判定部32と、展開指令Iを受信した場合に展開するエアバッグ33とからなる。
【0047】
加速度センサ31としては、半導体プロセスにより製造された櫛歯型の容量式加速度センサや、振子式の加速度センサを用いることができる。また、この加速度センサ31としては、複数の感度を有して、エアバッグ用の衝突判定、VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management)に代表されるような車両制御、車両の傾斜角を検出して盗難状態か否かの判定などの中で複数の用途に兼用される加速度センサであっても良い。
【0048】
また、エアバッグ33は、バッグや、インフレータ、衝撃センサなどによって構成され、展開指令Iが入力されるとインフレータが点火されてバッグが展開する構造である。図1では、省略しているが、エアバッグ33は各座席に設けられ、展開指令Iに応じて別々に展開が可能である。
【0049】
衝突判定部32は、加速度信号Gが所定値以上である場合に、着座信号Sに含まれるIDの座席に対してエアバッグ33を展開するように、エアバッグ33に展開指令Iを出力する。すなわち、着座信号Sにより乗員が座っているシートが分かるため、そのシートに座っている乗員を保護すべく、エアバッグ33の展開指令Iを主力する。
【0050】
なお、状態推定部23と衝突判定部32とは、IOポートとA/D変換器などを有するマイコン上に構成される。
【0051】
図2のフローチャートを用いて、状態推定部23にて行われる処理について説明する。処理は、ステップS101より始まり、ステップS107またはS108で1ループとなる。この1ループの処理は、100[msec]毎に行われる。このようなn回目にステップS101が実行された時刻と、n+1回目にステップS101が実行された時刻との差を制御周期とすると、本状態推定部23の制御周期は100[msec]である。なお、一般の車両制御用マイコンの制御周期は10[msec]程度に設定されていることが多いが、本状態推定部23は、後述するように場合によってはコンデンサ43により駆動されるため、制御周期を広げることで、電力消費を抑制している。
【0052】
ステップS101では、キーポジションセンサ21からキーポジション信号Kを取得する。ステップS101より続くステップS102では、キーポジション信号KがNullであるか否かに基づいて分岐判定を行う。もし、キーポジション信号KがNullであると判定された場合にはステップS103へ進み、Nullでないと判定された場合にはステップS104へ進む。
【0053】
ステップS103では、電源制御信号BをOFFとして出力して、ステップS101へ戻る。このステップS103に処理が進むというのは、キーがキーシリンダに挿入されていない状態であり、ドライバが車両から離れようとしていると考えられる。このため、ドライバの身体が本来の着座位置から離れている可能性があり、仮に衝突が発生したとしてもエアバッグ33を展開することは望ましくない。さらに、即座に電源制御信号BをOFFとすると、バッテリー42の消耗抑制の効果もある。
【0054】
一方、ステップS104では、キーポジション信号KがOFFであるか否かに基づいて分岐判定を行う。もし、キーポジション信号KがOFFであると判定された場合にはステップS105へ進み、OFFでないと判定された場合にはステップS107へ進む。
【0055】
ステップS105では、着座信号Sを取得する。ステップS105より続くステップS106では、着座信号SがNullであるか否かを条件に分岐判定を行う。なお、Nullとは、着座信号Sに座席のIDが含まれていない状態、すなわち座席に誰も座っていない状態を表す。ステップS106において、着座信号SがNullであると判定された場合にはステップS108へ進み、着座信号SがNullでないと判定された場合にはステップS107へ進む。
【0056】
ステップS107では、電源制御信号BをONとして出力して、ステップS101へ戻る。なお、電源制御信号BがONとして出力されると、バッテリー42からの状態推定サブシステム20及び衝突判定サブシステム30への電力供給が継続される。
【0057】
一方、ステップS108では、電源制御信号BをOFFとして出力して、ステップS101へ戻る。なお、電源制御信号BがOFFとして出力されると、切替スイッチ44がOFF状態となってバッテリー42からの状態推定サブシステム20及び衝突判定サブシステム30への電力供給は遮断される。しかしながら、ステップS108終了後も、コンデンサ43が、1[sec]の間は電力供給を行うため、ステップS108が初めて実行された後も、10回程度はステップS108からステップS101に処理が戻るようになっている。
【0058】
次に図3のフローチャートを用いて、図2のフローチャートを用いて、衝突判定部32にて行われる処理について説明する。衝突時は、速やかにエアバッグ33を展開する必要があるため、衝突判定部32の制御周期は1[msec]に設定され、状態推定部23よりも短い制御周期となっている。
【0059】
ステップS201では、加速度センサ31より加速度信号Gを取得する。ステップS201より続くステップS202では、加速度信号Gに基づいて分岐判定を行う。もし加速度信号Gの値が、閾値Gthよりも大きいと判定された場合にはステップS203へ進み、閾値Gthよりも大きくないと判定された場合にはステップS201へ戻る。
【0060】
ステップS203では、着座センサ22より着座信号Sを取得する。ステップS203より続くステップS204では、着座信号Sに基づいて分岐判定を行う。もし着座信号SがNullであると判定された場合には処理を終了し、着座信号SがNullでないと判定された場合にはステップS205へ進む。ステップS205では、着座信号Sに含まれていたIDに対応する座席のエアバッグ33を展開するように展開指令Iを出力する。なお、ステップS204で着座信号SがNullである場合は、座席に誰も座っていないと考えられるため、展開指令は出力されず、処理を終了する構成となっている。
【0061】
ところで、図3を用いて説明した衝突判定処理は、エアバッグシステム1において用いられる周知の処理であって、例えばこれにシートベルト着用の有無や、各加速度センサ31の加速度信号Sの違いによって展開するエアバッグ33を決定するような処理を追加しても良い。
【0062】
以下、本実施例のエアバッグシステム1の効果について述べる。図2を用いて前述した通り、本エアバッグシステム1は、エンジン停止中であっても、乗員が座席に座っている場合に加速度センサ31に大きな衝撃が加えられると、エアバッグ33を展開する構成となっている。このため、信号待ちの時などに、ドライバがキーポジションをOFFにしてアイドリングストップを行ったとしても、エアバッグ33を展開することが可能であり、安全性を高めることができる。
【0063】
一方、乗員が座席に座っていない場合には、一時的なアイドリングストップではなく、駐車場などで車から乗員が離れていると推定されるため、バッテリー42による状態推定部23および衝突判定部32への電力供給を停止し、バッテリー42の消耗を抑制することができる。
【0064】
また、バッテリー42と、状態推定部23および衝突判定部32との間にコンデンサ43を設けることによって、例えば、実際にはキーポジション信号K=OFFかつ着座信号S≠Nullであるのに、着座信号Sにノイズが重畳されて着座信号S=Nullとなり電源制御信号B=OFFとなった場合であっても、コンデンサ43の蓄電力により10回程度連続してB=OFFが出力されない限り衝突判定部32および状態推定部23の電力供給が停止されることはない。そして、ノイズの重畳が終わって、着座信号S≠Nullと正しく入力されると、電源制御信号BがB=ONとなるため、着座しているにも関わらずエアバッグ33が展開されない事態を防止することができる。すなわち、エアバッグシステム1の信頼性をより高めることができる。
【0065】
〔実施例2〕
図4から図6を用いて、実施例2について説明する。この実施例2における前述の実施例1との相違点は、盗難判定システム50とエアバッグシステム1とが組み合わされた点である。なお、前述の実施例1と同等の構成については、実施例1と同様の符号を付し、本実施例2における説明を省略する。
【0066】
図4に、システム構成を表す。状態推定サブシステム20は、前述の実施例1と同様に構成されているが、状態推定部23が衝突判定サブシステム30または盗難判定システム50に動作指令を出力する点、および後述の感度調整部34に感度指令Rを出力する点で異なる。感度指令Rは、後述の感度調整部34に対して、加速度センサ31の生信号Goを衝突判定用レンジに調整するよう指令するABモードと、Goを盗難判定用レンジに調整するよう指令するSTモードとの2種類からなる。また、電源制御信号Bも、実施例1とは異なり、衝突判定サブシステム30を駆動するABモードと、盗難判定システム50を駆動するSTモードとの2種類からなる。
【0067】
バッテリー42は、衝突判定部32とエアバッグ33とにコンデンサ43を介して電力供給を行っており、実施例1とは異なる。そして加速度センサ31と感度調整部34とには、常時電力供給がなされている。また、電源制御部41は、電源制御信号BがABモード(B=AB)である場合は、バッテリー42から衝突判定部32およびエアバッグ33への電力供給を行い、電源制御信号BがSTモード(B=ST)である場合はバッテリー42から盗難判定システム50に電力供給を行う。
【0068】
衝突判定サブシステム30は、加速度センサ31からの生信号Goの感度を調整する感度調整部34が追加されている点、衝突判定部32に動作指令Mが入力される点で実施例1と異なる。この感度調整部34とは、状態推定部23が出力した感度指令Rに基づいて、例えば図示しない加速度センサ31のC−V変換回路の後段に設けられた複数種類のオペアンプを切り替えることによって、加速度センサ31の出力した生信号Goの増幅率を変更するものである。なお、衝突判定部32にて行われる処理は、実施例1と同様の内容である。
【0069】
動作指令Mは、衝突判定モード(M=AB)と、盗難判定モード(M=ST)との2パターンのモードからなり、衝突判定モードと盗難判定モードとは排他的な関係にある。すなわち動作指令は、必ず衝突判定モードか盗難判定モードのいずれかである。
【0070】
次に、本実施例2で追加された盗難判定システム50について説明する。この盗難判定システム50は、車両制御用や衝撃検知用の加速度センサ31を流用して車両の傾きを検出し、車両に乗員が座っていない場合において、車両が傾くとスピーカ52により警告や報知を行うものである。このような処理を行う理由としては、車両に乗員が座っていない場合に車両が傾くということは、車両が所有者の承諾を得ずにレッカー車やフロアジャッキによって持ち上げられていると予測されるためである。なお、このような盗難判定システム50は、車両が停止状態において行われるものであるため、車両制御用や衝撃検知用の加速度センサ31を流用することができるが、判定に使用する加速度のレンジが異なるため、感度調整部34によって盗難判定に適当なレンジの加速度信号Gに調整されている。
【0071】
図5のフローチャートを用いて、状態推定部23における処理を説明する。ステップS301では、キーポジション信号Kを取得する。ステップS301より続くステップS302では、キーポジション信号KがNullであるか否かに基づいて分岐判定を行う。もし、キーポジション信号KがNullであると判定された場合にはステップS303へ進み、キーポジション信号KがNullでないと判定された場合にはステップS306へ進む。
【0072】
ステップS303では、電源制御信号BをB=STで出力し、バッテリー42を盗難防止モードで駆動、すなわちバッテリー42により盗難判定システム50への電力供給を行う。ステップS303より続くステップS304では、感度調整部34に感度指令RをR=STで出力する。ステップS304より続くステップS305では、衝突判定部32または盗難判定部51に出力する動作指令MをM=STで出力し、ステップS301に戻る。
【0073】
このようなステップS303からステップS305の処理は、すなわち、キーがキーシリンダに挿入されていない状態でなされる処理である。そしてキーがキーシリンダに挿入されていないことから、車両が駐車中であると判定することができるため、B=STとしてエアバッグ33への電力供給を停止してエアバッグ33の誤爆を防ぐとともに、盗難判定システム50への電力供給を開始する。また、感度調整部34への感度指令RをR=STとすることで、加速度センサ31により検出された信号を盗難判定に適したレンジに増幅することができる。さらに、動作指令STを出力することで、盗難判定部51での処理が開始されるため、後述のように、車両が盗難される前に警告を発するなどすることができる。
【0074】
一方、ステップS306より分岐したステップS307では、着座信号Sを取得する。ステップS307より続くステップS308では、着座信号SがNullであるか否かに基づいて分岐判定を行う。もし、着座信号SがNullであると判定されたなら、ステップS309へ進み、Nullでないと判定されたならステップS314へ進む。
【0075】
ステップS309では、時間カウンタTに1を加算する。なお、この時間カウンタTは車両のエンジンが始動した際、およびステップS314にて、リセット(=0)されるものである。
【0076】
ステップS310では、時間カウンタTの値が閾値Tth以上であるか否かに基づいて分岐判定を行う。もし、時間カウンタTが閾値Tth以上であると判定された場合には、ステップS311へ進み、閾値Tth以上でないと判定された場合にはステップS315へ進む。ここで、閾値Tthとは、バッテリー42と、状態推定サブシステム20および衝突判定部32との間に設置されるコンデンサ43の放電時間(1[sec])よりも若干長い時間(具体的には、2[sec])に設定される。
【0077】
ステップS311では、電源制御信号BをB=STで出力し、バッテリー42を盗難防止モードで駆動する。ステップS311より続くステップS312では、感度調整部34に感度指令RをR=STで出力する。ステップS312より続くステップS313では、衝突判定部32または盗難判定部51に出力する動作指令MをM=STで出力し、ステップS301に戻る。
【0078】
一方、ステップS306でキーポジション信号K=OFFでない(すなわちK=ACC、又はON)場合、もしくはステップS308にて着座信号S=Nullでない(すなわち、エンジンは停止しているが乗員が座っている)場合に進むステップS314では、時間カウンタTをリセット(=0)する。
【0079】
ステップS310において時間カウンタTが閾値Tthよりも大きくない場合、またはステップS314にて時刻カウンタがリセットされた場合に進むステップS315では、電源制御信号BをB=ABで出力し、バッテリー42をエアバッグモードで駆動、すなわちバッテリー42により衝突判定サブシステム30への電力供給を行う。ステップS315より続くステップS316では、感度調整部34に感度指令RをR=ABで出力する。ステップS316より続くステップS317では、衝突判定部32または盗難判定部51に出力する動作指令MをM=ABで出力し、ステップS301に戻る。
【0080】
図6のフローチャートを用いて、盗難判定部51における処理を説明する。ステップS401以降の処理は、所定周期毎(具体的には1[sec]毎)に実行される。また、この周期は、状態推定部23の処理が行われる周期よりも長い。
【0081】
ステップS401では、加速度信号Gを取得する。ステップS401より続くステップS402では、加速度信号Gに基づいて、車両の傾斜角度θを演算する。ステップS402より続くステップS403では、傾斜角度θが閾値θth以上であるか否かに基づいて分岐判定を行う。もし、傾斜角度θが閾値θth以上である場合には車両がジャッキアップされていると考えられるためステップS404へ進み、閾値θth以上でない場合にはステップS401へ戻る。ステップS404では、スピーカ52より警報を出力してステップS401へ戻る。
【0082】
このような処理を行うことで、実施例1と同様に、アイドリングストップがなされた場合であっても、乗員をエアバッグ33で保護することができる。エアバッグ33を展開するか否かを判定する衝突判定部32の制御周期は短く、例えば1[msec]程度の周期で行われているため、バッテリー駆動では電力消費が大きい。しかし、本実施例2のように、着座信号Sを判定に用いて乗員が乗車していない場合には、エアバッグ33を展開しないようにすることで、バッテリー42の消耗を抑制することができる。また、盗難判定部51の処理周期を衝突判定部32の処理周期よりも長くすることによって、駐車時におけるバッテリー42の消耗を抑制することもできる。盗難判定部51の制御周期としては、盗難判定部51の10倍〜200倍程度、もしくは1[sec]〜10[sec]程度が望ましい。
【0083】
さらに、本実施例2では、図5のように着座信号Sとキーポジション信号Kとに基づいて、加速度センサ31の感度を調整することで、衝突判定と盗難判定との両方に共通の加速度センサ31を使用することができる。そして、同じエンジン停止状態であっても、乗員が車内にいる場合にはエアバッグ33を展開し、乗員が車内にいない場合には車両が盗難される恐れがあるため盗難判定を行うことができる。
【0084】
また、閾値Tthを、コンデンサ43の放電時間よりも若干長い時間に設定することで、コンデンサ43の蓄電量がなくなってから、盗難判定が行われる。これにより、感度調整部34から衝突判定部32に、盗難判定用レンジの加速度信号Goが入力され、エアバッグ33が誤爆することを防止することができる。
【0085】
〔実施例3〕
以下、実施例3について説明する。この実施例3における前述の各実施例との相違点は、アイドリングストップ状態において、バッテリー42が消耗して衝突判定サブシステム30が動作不能になる恐れがある場合に、警報を出力する点である。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例3における説明を省略する。
【0086】
本実施例3の状態推定部23は、バッテリー42の総残存容量を表す残存容量信号を取得する。そして、キーポジション信号がOFFまたはACCであり、かつ着座信号がS=Nullでなく(車内に乗員がいる)、かつ残存容量信号により表されるバッテリー42の総残存容量が閾値以下である場合、具体的には残り1[min]程度しかエアバッグシステム1をバッテリー42により駆動できないほど総残存容量が低下している場合には、車内のスピーカ52もしくは図示しないインジゲータランプを通じて、ドライバにエンジンを始動するように報知する。なお、この閾値は、エンジン始動時のセルモータの消費電力や、現在の使用中の電装品(エアコンや、ナビゲーション装置など)の消費電力を鑑みて設定される。
【0087】
この判定方法について詳細に述べる。第1に、バッテリー42の総残存容量からエンジンを再始動するために必要なセルモータなどの消費電力を減算して、余裕残存容量を演算する。第2に、現在稼動中の電装品の消費電力とエアバッグシステム1とを合わせた単位時間あたりの総合消費電力を演算し、余裕残存容量を総合消費電力で除算して得たバッテリー駆動可能時間が、閾値(例えば1[min])以下である場合に報知を行う。
【0088】
このような処理を行えば乗員はエンジンを再始動するため、アイドリングストップ中にバッテリー42の総残存容量が減少して、エアバッグシステム1が停止することを防止することができる。これと同時に、バッテリーの残存容量不足により、エンジンの再始動ができなくなる事態を防止することができる。
【0089】
他にも、第1に、バッテリー42の総残存容量からエンジンを再始動するために必要なセルモータなどの消費電力を減算して、余裕残存容量を演算する。第2に、現在稼動中の盗難判定システム50の消費電力とを合わせた単位時間あたりの総合消費電力を演算し、余裕残存容量を総合消費電力で除算して得たバッテリー駆動可能時間が、閾値(例えば10[h])以下である場合に、所有者の携帯電話などに報知を行っても良い。さらに、バッテリー42の総残存容量とエンジンを再始動するために必要なセルモータの消費電力とが略一致した際には、盗難判定システム50を停止、または、処理の実行頻度を減らすなどしても良い。
【0090】
〔実施例4〕
図7を用いて、実施例4について説明する。この実施例4における前述の実施例2との相違点は、状態推定部23にナビゲーションシステム60からの位置情報が入力される点である。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例4における説明を省略する。
【0091】
ナビゲーションシステム60は、位置情報Pを状態推定部23に出力する。状態推定部23は、この位置情報Pに基づき、現在、車両が衝突の危険性の大きい路上にいるか、それとも駐車場やガソリンスタンドなどにいるかを判定する。そして、車両が路上に存在すると判定された場合には、動作指令MをM=ABとして、衝突判定モードで衝突判定サブシステム30を駆動する。一方、駐車場やガソリンスタンドなどにいる場合には、動作指令MをM=STとして、盗難判定システム50を駆動する。
【0092】
このように、停車場所の環境に合わせて、モードを設定することで、余分なバッテリー42の消耗を抑制しながら、安全性を高め、盗難被害を抑制することができる。
【0093】
また、ナビゲーションシステム60の位置情報Pを状態推定に使用することで、推定の制度を向上することができる。具体的には、交差点領域内で、アイドリングストップによる駐車以外をすることは稀であるため、このような交差点領域内におけるエンジン停止の際にはエアバッグ33を展開可能な状態としておくことが良い。
【0094】
なお、前述の位置情報Pを用いた状態推定部23の推定、グローバル座標値などの座標情報だけではなく、交差点の大きさ、信号の待ち時間の長さ、交通量などを含むと良い。また、特に片側2車線以上の路上において、自車両が第2車線(追い越し車線ないし日本国における右折車線)に存在する場合には、動作指令MをM=ABとして、盗難判定システム50を駆動しないことが望ましい。
【0095】
さらに、図示しない記憶手段に、車両を使用する国・地域の交通法規を記憶させておき、この記憶に基づいて、車両の路上駐車が認められていない駐車禁止区域(例えば追い越し車線など)においては、盗難判定システム50を駆動しない、またはおよび、衝突判定サブシステム30を駆動させるなどしても良い。また、このような車両の路上駐車が認められていない場所において乗員がエンジンを停止した場合には、ナビゲーションシステム60の画面に警告を表示しても良い。他にも、このような車両の路上駐車が認められていない場所において乗員がエンジンを停止し、かつ、着座センサ22がNull(乗員がシートから離れた場合)である場合には駐車禁止領域であることを報知する報知音を発しても良いし、乗員がエンジンを停止し、かつ、シートベルトを外した際には、現在位置が駐車禁止領域であることを報知する映像をナビゲーションシステム60に表示しても良い。
【0096】
〔その他の実施例〕
前述の各実施例において、シートベルトの着脱状態について、説明を行わなかった。しかし、シートベルトが装着されている場合にのみ、エアバッグ33を展開するような処理を図3のフローチャートの処理に追加すると、より安全性を高めることができる。
【0097】
前述の各実施例において、キーポジションセンサ21によってエンジンが稼動中であるか否かを検出していたが、必ずしもキーポジションセンサ21によって検出する必要はない。例えば、エンジンのクランク角センサを用いても良いし、スマートエントリー&スタート機能を搭載した車両の場合には、スマートスタート用のスイッチの状態に基づいても良い。
【0098】
前述の各実施例では、シートに備えられた着座センサ22によって着座位置の検出を行っていたが、例えば車両の内部に備えられたカメラ、体温センサによって、乗員の着座位置を検出しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】実施例1において用いられるエアバッグシステム1のブロック図である。
【図2】実施例1において用いられる状態推定部23の内部処理を表すフローチャートである。
【図3】実施例1において用いられる衝突判定部32の内部処理を表すフローチャートである。
【図4】実施例2において用いられるエアバッグシステム1および盗難判定システム50のブロック図である。
【図5】実施例2において用いられる状態推定部23の内部処理を表すフローチャートである。
【図6】実施例2において用いられる盗難判定部51の内部処理を表すフローチャートである。
【図7】実施例4において用いられるブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
1 エアバッグシステム
20 状態推定サブシステム
21 キーポジションセンサ
22 着座センサ
23 状態推定部
30 衝突判定サブシステム
31 加速度センサ
32 衝突判定部
33 エアバッグ
34 感度調整部
41 電源制御部
42 バッテリー
43 コンデンサ
44 切替スイッチ
50 盗難判定システム
51 盗難判定部
52 スピーカ
60 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開指令を受信すると、展開するエアバッグ(33)と、
車両に印加された衝撃を検出し、衝撃検出信号として出力する衝撃検出手段(31)と、
前記衝撃検出信号が所定値以上である際に、前記展開指令を出力する展開判定手段(32)と、
前記車両のエンジンがアイドリングストップにより停止しているか否かを推定する状態推定手段(23)と、
前記状態推定手段(23)により、前記エンジンはアイドリングストップにより停止していると推定された場合に、前記エアバッグ(33)および前記衝撃検出手段(31)および前記展開判定手段(32)および前記状態推定手段(23)とを駆動する電源制御手段(41)とを備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
前記状態推定手段(23)は、
前記エンジンの稼動状態を検出し、エンジン状態として出力するエンジン状態検出手段(21)と、
前記車両内に乗員が存在するか否かを検出し、乗員信号として出力する乗員検知センサ(22)とを有し、
前記状態推定手段(23)は、前記エンジン状態が、前記エンジンが停止していることを示し、かつ、前記乗員信号が前記車両内に乗員が存在することを示している場合に、該エンジンの停止がアイドリングストップによるものであると推定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記状態推定手段(23)は、前記エンジンが駐車により停止しているかを推定するとともに、該エンジンがアイドリングストップにより停止していると推定した場合には第1感度指令を出力し、該エンジンが駐車により停止していると推定した場合には、第2感度指令を出力し、
前記車両は、前記第1感度指令または前記第2感度指令に基づいて、前記衝撃検出手段(31)から出力された信号の増幅度を調整し、前記衝撃検出信号として増幅し出力する感度調整手段(34)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記状態推定手段(23)が前記第2感度指令を出力している場合に、前記衝撃検出信号に基づいて前記車両の斜度を演算するとともに、前記斜度に基づいて前記車両が盗難状態にあるか否かを判定する盗難判定手段(51)とを備えることを特徴とする請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記状態推定手段(23)は、前記エンジン状態が、前記エンジンが停止していることを示し、かつ、前記乗員信号が前記車両内に乗員が存在しないことを示している場合に、該エンジンの停止がアイドリングストップ以外によるものであると推定し、前記第2感度指令を出力することを特徴とする請求項3または4に記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記乗員検知センサは、前記車両のシートに備えられた着座位置検出センサ(22)、前記車両に設けられたカメラ、乗員の体温を検出する赤外線センサ、シートベルトが装着されているか否かを検出するシートベルトセンサ、のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記状態推定手段(23)は、
前記エンジンの稼動状態を検出し、エンジン状態として出力するエンジン状態検出手段(21)と、
前記車両の位置情報を提供する位置情報提供手段(60)とを有し、
前記状態推定手段(23)は、前記エンジン状態が、前記エンジンが停止していることを示し、かつ、前記位置情報提供手段(60)が提供した前記車両の位置が特定領域に存在している場合には、該エンジンの停止がアイドリングストップによるものであると推定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項8】
前記状態推定手段(23)は、前記エンジンが駐車により停止しているかを推定するとともに、該エンジンがアイドリングストップにより停止していると推定した場合には第1感度指令を出力し、該エンジンが駐車により停止していると推定した場合には、第2感度指令を出力し、
前記車両は、前記第1感度指令または前記第2感度指令に基づいて、前記衝撃検出手段(31)から出力された信号の増幅度を調整し、前記衝撃検出信号として増幅し出力する感度調整手段(34)を有することを特徴とする請求項7に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記状態推定手段(23)が前記第2感度指令を出力している場合に、前記衝撃検出信号に基づいて前記車両の斜度を演算するとともに、前記斜度に基づいて前記車両が盗難状態にあるか否かを判定する盗難判定手段(51)とを備えることを特徴とする請求項8に記載の車両制御システム。
【請求項10】
前記状態推定手段(23)は、前記エンジン状態が、前記エンジンが停止していることを示し、かつ、前記位置情報提供手段(60)が提供した該車両の位置が特定領域に存在していない場合に、該エンジンの停止がアイドリングストップ以外によるものであると推定し、前記第2感度指令を出力することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項11】
前記特定領域は、交差点、追い越し車線、駐車禁止区域のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項12】
前記車両のバッテリー(42)と前記展開判定手段(32)との間には、コンデンサ(43)が備えられ、
前記展開判定手段(32)は、少なくとも前記状態推定手段(23)が、前記エンジンはアイドリングストップにより停止していると推定している場合に、前記コンデンサ(43)から電力供給を受けて実行され、
前記盗難判定手段(51)は、前記状態推定手段(23)が、前記エンジンは駐車により停止していると推定しており、かつ、前記コンデンサ(43)が前記展開判定手段(32)に電力供給をしていない場合に、実行されることを特徴とする請求項4ないし6または請求項9に記載の車両制御システム。
【請求項13】
前記盗難判定手段(51)が実行されている間は、前記展開判定手段(32)が実行されないことを特徴とする請求項4ないし6または請求項9または請求項11または請求項12に記載の車両制御システム。
【請求項14】
前記状態推定手段(23)が、前記エンジンの停止がアイドリングストップ以外によるものであると推定し、かつ、前記盗難判定手段(51)が前記バッテリー(42)により電力供給されており、かつ、該バッテリー(42)の残存容量が所定値以下である場合に、該盗難判定手段(51)は休止、もしくは、実行頻度を減少させられることを特徴とする請求項12に記載の車両制御システム。
【請求項15】
前記状態推定手段(23)は、前記エンジンの停止がアイドリングストップによるものであると推定し、かつ、前記電源制御手段(41)が前記車両のバッテリー(42)の残存容量が所定値以下であると判定した場合に前記車両内の乗員に報知を行うことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項16】
前記衝撃検出手段は、前記車両に備えられた加速度センサ(31)であることを特徴とする請求項1ないし15に記載の車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−126844(P2008−126844A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314326(P2006−314326)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】