説明

車両制御装置および車両制御方法

【課題】より適切なタイミングで走行計画を見直すことができ、これにより、さらに的確な走行計画を効率的に生成することができる車両制御装置および車両制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の車両制御装置および車両制御方法は、車両が走行する走行計画を生成し、生成された走行計画に基づきアクチュエータを制御追従することにより、車両を走行制御する計画実現し、計画実現において、アクチュエータの制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行計画に基づく車両の走行制御を実現する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の安全走行制御装置は、目標走行軌跡を算出し、実際の走行軌跡との差分がある場合は、運転を補助する制御を行っている。
【0004】
また、特許文献2に記載の自走式機器は、計画した走行経路に従って自立走行中に移動目的点の位置を受信し、移動目的点の位置に変更が生じたときに、走行経路を再計画して走行している。
【0005】
また、特許文献3に記載の走行制御計画生成システムは、走行軌跡を含む走行計画を生成し、この走行計画に基づいて車両制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−132060号公報
【特許文献2】特開2006−4253号公報
【特許文献3】特開2008−129804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術(特許文献1〜3等)においては、走行計画を見直すことができるものの、より適切なタイミングで走行計画を見直すことにより、さらに的確な走行計画を効率的に生成する必要があるという問題点を有していた。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の安全走行制御装置は、実際に走行した走行軌跡が目標走行軌跡に対して乖離した(すなわち、差分がある)場合に運転補助を行っている。このため、特許文献1に記載の安全走行制御装置において、目標走行軌跡を見直す場合は、車両が実際に走行した後に目標走行軌跡を見直しており、目標走行軌跡を見直すタイミングが遅いため、安全性向上のためにより早い段階で(すなわち、実際に走行した走行軌跡が目標走行軌跡に対して乖離する前に)目標走行軌跡を見直すことが考えられる。また、特許文献1に記載の安全走行制御装置においては、一例として、実際の走行軌跡を評価する評価関数を用いて将来の目標走行軌跡を生成する場合、目標走行軌跡を見直すタイミングが遅いため、評価関数の評価指標によっては道路の中心からオフセットされた意図しない目標走行軌跡が再生成されてしまう可能性があった。
【0009】
また、特許文献2に記載の自走式機器は、車両が実際に走行した後(すなわち、走行中)に変更された移動目的点に基づき走行経路を再計画している。このため、特許文献2に記載の自走式機器においても、乖離が生じた際に走行経路を再計画する場合は、車両が実際に走行した後に走行経路を再計画しており、走行経路を再計画するタイミングが遅く、より早い段階で走行経路を再計画する必要があった。
【0010】
さらに、特許文献3に記載の走行制御計画生成システムでは、生成した走行計画を所定の指標(例えば、安全性、快適性、環境性(燃費性などに基づく)など)に基づいて評価し、この評価結果に従って走行計画を見直している。このため、より早い段階で走行計画を見直すことができるものの、走行計画の再生成のタイミングが早いため、走行計画を生成する側で走行計画の理論的な評価を行っているが、走行計画を実現する側においても、実際に車両を駆動制御するアクチュエータの制御限界(例えば、各制御機構の制御量の限界)等を考慮して走行計画に対し適切な評価を行うことについて改善の余地がある。
【0011】
このように、従来技術(特許文献1および2等)においては、走行計画を見直すことができるものの、演算された走行計画に対して車両の実際の走行が乖離してから走行計画の再生成を実行しており、走行計画の再生成のタイミングが遅く走行計画から乖離したときに限定しているため、必ず走行計画に対して乖離する瞬間が存在してしまうという問題点を有していた。また、従来技術(特許文献3等)においては、演算された走行計画に対して車両の実際の走行が乖離する前に走行計画を評価し再生成を実行できているものの、走行計画の再生成のタイミングが早く走行計画の生成時に限定しているため、走行計画の理論的な評価を行っているに過ぎず、適切な評価ができていないという問題点を有していた。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、より適切なタイミングで走行計画を見直すことができ、これにより、さらに的確な走行計画を効率的に生成することができる車両制御装置および車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するため、本発明の車両制御装置は、車両が走行する走行計画を生成し、当該車両を駆動制御するアクチュエータを上記走行計画に基づいて制御追従することにより、上記車両を走行制御する車両制御装置であって、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車両制御装置は、車両を駆動制御するアクチュエータに制御可能に接続された、制御部を少なくとも備えた車両制御装置であって、上記制御部は、上記車両が走行する走行計画を生成する計画生成手段と、上記計画生成手段により生成された上記走行計画に基づき上記アクチュエータを制御追従することにより、上記車両を走行制御する計画実現手段と、を備え、上記計画実現手段は、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を上記計画生成手段に対し出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の車両制御装置は、上記記載の車両制御装置において、上記計画生成手段は、上記計画実現手段により出力された上記見直し指令が入力された場合、上記走行計画を再生成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の車両制御装置は、上記記載の車両制御装置において、上記計画実現手段は、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータの制御状態を監視することにより予測することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の車両制御装置は、上記記載の車両制御装置において、上記計画実現手段は、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータの制御量を監視することにより予測することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の車両制御装置は、上記記載の車両制御装置において、上記計画実現手段は、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータのフィードバック制御の制御量を監視することにより予測することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の車両制御装置は、上記記載の車両制御装置において、上記走行計画は、上記計画生成手段により上記走行計画を評価する評価関数を用いて生成されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の車両制御方法は、車両が走行する走行計画を生成し、当該車両を駆動制御するアクチュエータを上記走行計画に基づいて制御追従することにより、上記車両を走行制御する車両制御装置において実行される車両制御方法であって、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を出力することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の車両制御方法は、車両を駆動制御するアクチュエータに制御可能に接続された、制御部を少なくとも備えた車両制御装置において実行される車両制御方法であって、上記制御部において実行される、上記車両が走行する走行計画を生成する計画生成ステップと、上記計画生成ステップにて生成された上記走行計画に基づき上記アクチュエータを制御追従することにより、上記車両を走行制御する計画実現ステップと、を含み、上記計画実現ステップにおいて、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を上記計画生成ステップに対し出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、車両が走行する走行計画を生成し、生成された走行計画に基づきアクチュエータを制御追従することにより、車両を走行制御する計画実現し、計画実現において、アクチュエータの制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を出力することができる。これにより、本発明は、より適切なタイミングで走行計画を見直すことができ、さらに的確な走行計画を効率的に生成することができるという効果を奏する。
【0023】
また、この発明によれば、計画生成において、出力された見直し指令が入力された場合、走行計画を再生成するので、従来技術(特許文献1および2等)においては、走行計画の再生成のタイミングが遅く走行計画から乖離したときに限定しているため、必ず走行計画に対して乖離する瞬間が存在してしまっていたが、本発明では、安全性向上のためにより早い段階で将来の走行計画を見直すことができ、走行計画に対して乖離する状況を軽減させることができるという効果を奏する。
【0024】
また、この発明によれば、計画実現において、アクチュエータの制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータの制御状態を監視することにより予測するので、従来技術(特許文献3等)においては、走行計画の再生成のタイミングが早く走行計画の生成時に限定しているため、走行計画の理論的な評価を行っているが、走行計画を実現する側においても、実際に車両を駆動制御するアクチュエータの制御限界(例えば、各制御機構の制御量の限界)等を考慮して走行計画に対する適切な評価を行うことについて改善の余地があったが、本発明では、アクチュエータの制御状態の制御限界に基づき、アクチュエータを制御追従する直前のタイミングで走行計画の再生成を依頼することができる。これにより、本発明は、より適切なタイミングで走行計画を見直すことができ、さらに的確な走行計画を効率的に生成することができるという効果を奏する。
【0025】
また、この発明によれば、計画実現において、アクチュエータの制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータの制御量を監視することにより予測するので、各アクチュエータの制御量(例えば、エンジン、ブレーキ、電動パワーステアリングの制御量)に基づき、当該アクチュエータの制御量の制御限界を修正した無理の無い走行計画の再生成を依頼することができるという効果を奏する。
【0026】
また、この発明によれば、計画実現において、アクチュエータの制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータのフィードバック制御の制御量を監視することにより予測するので、例えば、フィードバック制御において、ハンチングの防止など想定以上の制御量を使用するのが危険な場合に制限をかけられた、フィードバック制御の制御量(以下、FB量と記載する場合がある)に基づき、当該FB量の制御限界を修正した無理の無い走行計画の再生成を依頼することができるという効果を奏する。
【0027】
また、この発明によれば、走行計画は、走行計画を評価する評価関数を用いて生成されるので、道路を走行する際の車両の走行軌跡を走行時間や車両安定性や燃費等を指標(評価関数)として最適化手法に基づいて演算し、演算した走行軌跡を含む走行計画に基づいて車両の運動を制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、本システムの制御部の構成を詳細に示した一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本システムが行う基本処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本システムが行う計画生成処理を詳細に示した一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明にかかる車両制御装置および車両制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0030】
[1.構成]
まず、本発明にかかる車両制御方法を実施するための電子制御装置および本発明にかかる車両制御装置を包含する本実施の形態のシステム(以下では本システムと記載する場合がある。)の構成について図1および図2を参照して説明する。ここで、図1は、本システムの構成の一例を示すブロック図である。また、図2は、本システムの制御部の構成を詳細に示した一例を示すブロック図である。
【0031】
本システムは、道路を走行する際の車両の走行軌跡を走行時間や車両安定性や燃費等を指標(評価関数)として最適化手法に基づいて演算し、演算した走行軌跡を含む走行計画に基づいて車両の運動を制御するためのシステムである。ここで、本実施の形態における「走行計画」とは、車両が走行する将来の走行軌跡を含み、更に当該走行軌跡に従って車両が走行できるようアクチュエータ200を制御追従する際に用いる各種指示値(例えば、スロットル開度指示値、ブレーキ圧指示値、ステアリングトルク指示値等)を少なくとも含む概念である。また、本実施の形態における「走行軌跡」とは、車両が通過するラインと、通過するラインにおける速度との両者を含む概念である。
【0032】
以下、先に図1を参照し本システムの構成の概要を説明し、次に図2を参照し本システムの制御部の構成の詳細について説明する。
【0033】
図1に示すように、本システムは、概略的に車両ECU100と、自車センサ250に接続されたアクチュエータ200とを少なくとも備えて構成される。ここで、車両ECU100は、車両を駆動制御するアクチュエータ200に制御可能に接続されている。
【0034】
また、図1において、車両ECU100は電子制御装置であり、概略的に制御部102と記憶部106とを備えている。制御部102および記憶部106は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0035】
記憶部106はストレージ手段であり、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等を用いることができる。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。記憶部106は、概略的に道路区間情報ファイル106aと定数ファイル106bとを備えている。
【0036】
このうち、道路区間情報ファイル106aは、道路区間情報入力装置(図示せず)から入力された道路区間情報等を記憶する道路区間情報記憶手段である。道路区間情報ファイル106aは、道路形状や車両の運動方程式や車両自体の大きさ等を記憶していてもよい。ここで、道路区間情報入力装置は、最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の形状(直線、曲線等)や道路区間の区間距離(区間の長さ)等に関する道路区間情報を車両ECU100に入力する装置である。
【0037】
また、定数ファイル106bは、走行計画に含まれる算出された走行軌跡が設定条件および拘束条件を満たすために必要な収束演算に用いる定数や係数を記憶する定数記憶手段である。定数ファイル106bには、制御部102のスペックや計算ロジックや与える問題に依存する収束演算1回に必要な時間や評価関数の減少係数等に関する定数を記憶している。また、本実施の形態において、定数ファイル106bは、自車センサ250により検出されたアクチュエータ200の制御状態、制御量、および、フィードバック制御の制御量(FB量)等に関する制御限界を定数や係数として記憶している。
【0038】
ここで、本実施の形態において、「制御限界」とは、後述する自車センサ250において検出されたアクチュエータ200の制御状態、制御量、フィードバック制御の制御量等に関する限界値を意味する。一例として、フィードバック制御においては、ハンチングの防止など想定以上の制御量を使用するのが危険な場合は、フィードバック制御の制御量(FB量)の大きさに制限をかけている。この場合、車両ECU100側で、後述する計画実現部102bがそのFB量が最大限界値に到達してしまった、あるいは、このままでは最大限界値に到達してしまう等の状況を検知することにより、制御限界にあると判定する。また、外乱(制御を乱すような作用)が想定しているものよりも大きければ、同様にFB量がMAXに到達することがあり得るので、このような場合も、計画実現部102bにより制御限界判定がなされる。
【0039】
制御部102は、車両ECU100の全体を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや各種の処理手順等を規定したプログラム、所要データなどを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、計画生成部102aおよび計画実現部102bを少なくとも備えている。なお、計画生成部102aおよび計画実現部102bの構成の詳細については、図2を参照し後述する。
【0040】
このうち、計画生成部102aは、車両が走行する走行計画を生成する計画生成手段である。ここで、計画生成部102aは、計画実現部102bにより出力された見直し指令が入力された場合、走行計画を再生成してもよい。
【0041】
ここで、本実施の形態における「見直し指令」とは、計画実現部102bによりアクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した際の、自車センサ250にて検出されたアクチュエータ200の制御量を少なくとも含む情報である。本実施の形態において、計画生成部102aは、道路区間情報ファイル106aや定数ファイル106bに記憶された各種情報に基づいて、目標となる走行軌跡及び速度パターンを含む走行計画を動的に生成する。具体的には、計画生成部102aは、計画実現部102bにてアクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況(すなわち、走行計画がアクチュエータ200の制御限界を超える状況)が予測された場合、計画実現部102bにより出力された見直し指令(計画再生成依頼)に含まれる、自車センサ250にて検出されたアクチュエータ200の制御量を受け取り、当該制御量に関する限界値(制御限界)を修正し、修正された制御限界を考慮した上で、無理の無い走行軌跡を含むよう走行計画を再生成してもよい。
【0042】
また、走行計画は、計画生成部102aにより走行計画を評価する評価関数を用いて生成されてもよい。なお、評価関数を用いた走行計画の生成処理の詳細については図4を参照し後述する。
【0043】
また、計画実現部102bは、計画生成部102aにより生成された走行計画に基づきアクチュエータ200を制御追従することにより、車両を走行制御する計画実現手段である。ここで、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令(計画再生成依頼)を計画生成部102aに対し出力してもよい。また、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータ200の制御状態を監視することにより予測してもよい。また、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータ200の制御量を監視することにより予測してもよい。また、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータ200のフィードバック制御の制御量を監視することにより予測してもよい。
【0044】
また、図1において、アクチュエータ200は、エンジン、ブレーキ、電動パワーステアリングなどの車両の駆動制御手段である。例えば、アクチュエータ200は、車両ECU100の計画生成部102aにより生成された走行計画に基づいて、計画実現部102bにより出力された、スロットル開度指示値、ブレーキ圧指示値、ステアリングトルク指示値などを受けて、これらエンジン、ブレーキ、電動パワーステアリングなどを駆動制御する。すなわち、アクチュエータ200は、車両ECU100の計画実現部102bにより制御され、例えば、燃料噴射制御、点火時期制御、スロットル制御、自動変速機の変速比制御、ステアリング制御、自動ブレーキ制御等、車両の走行制御に必要なあらゆる制御を行う。
【0045】
さらに、アクチュエータ200は、本実施の形態において、当該アクチュエータの制御状態、制御量、および、フィードバック制御の制御量に関する制御限界を検出するため、自車状態量を検出する自車センサ250を備えている。この自車センサ250は、例えば、ヨーレートセンサ、車速センサ、加速度センサ、操舵角センサ、白線検知センサ、GPS等を含む。これにより、本実施の形態において、車両ECU100の計画実現部102bは、アクチュエータ200の自車センサ250にて検出された各検出値(例えば、ヨーレート、車速、加速度、操舵角、白線の有無、自車位置に関する情報等)に基づいて、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況(すなわち、走行計画がアクチュエータ200の制御限界を超える状況)を予測する。
【0046】
続いて、図2を参照し本システムの制御部102の構成の詳細について、以下に説明する。
【0047】
なお、図2において、記憶部106(道路区間情報ファイル106aおよび定数ファイル106b)やアクチュエータ200や自車センサ250の説明は、上記図1と同様であるため説明を省略する。
【0048】
図2に示すように、制御部102は、機能概念的に、図1において説明した計画生成部102aおよび計画実現部102bを備えている。ここで、計画生成部102aは、更に、回数演算部102cと閾値設定部102dと走行軌跡演算部102eと評価関数演算部102fと閾値判定部102gと修正部102hを更に備える。また、計画実現部102bは、車両走行制御部102iと制御限界判定部102jを更に備える。
【0049】
ここで、図2における計画生成部102aの各構成部(回数演算部102cと閾値設定部102dと走行軌跡演算部102eと評価関数演算部102fと閾値判定部102gと修正部102h)は、評価関数を用いた最適化手法による計画生成処理の一例を示しているに過ぎず、本発明の計画生成部102aは図2に示す各構成部に限定されるものではない。
【0050】
まず、計画生成部102aの各部(回数演算部102c、閾値設定部102d、走行軌跡演算部102e、評価関数演算部102f、閾値判定部102g、修正部102h)について以下に説明する。
【0051】
計画生成部102aのうち、回数演算部102cは、走行計画に含まれる走行軌跡を設定条件に収めるための第1の収束演算を収束させる演算回数に基づき、走行軌跡を拘束条件(制御限界を含む)に収めるための第2の収束演算の実行可能回数を演算する回数演算手段である。また、回数演算部102cは、設定条件についての評価関数の初期値および減少係数と、第1の収束演算を終了させる所定の閾値と、に基づいて、演算された演算回数と、演算許容時間と、第1の収束演算の1回に必要な時間と、第2の収束演算の1回に必要な時間と、に基づいて、第2の収束演算の実行可能回数を演算してもよい。ここで、「設定条件」とは、道路区間情報ファイル106aに格納された道路形状(一例として、道路幅やカーブの形状)や車両の運動方程式や車両自体の大きさ(一例として、車両の長さや幅)等により設定される車両の運動範囲を決定する条件であり、例えば、車両が道路をはみ出さずに走行するための条件である。また、「拘束条件」とは、車両の走行軌跡に対して設定条件を満たした上で優先される条件であり、例えば、車両の速度や燃費や乗り心地等の利用者が車両の走行に対して要求する、アクチュエータ200の制御限界を含む走行条件である。また、「演算許容時間」とは、目標走行軌跡の演算の実行に許容される時間である。例えば、車両の走行軌跡を算出するための最適化演算の実行に許容される時間であってもよい。具体的には、第1の収束演算および前記第2の収束演算の実行に許容される時間であってもよく、車両の走行制御が開始されるまでの時間であってもよい。
【0052】
閾値設定部102dは、回数演算部102cにて演算された実行可能回数と、拘束条件についての評価関数の初期値と、第2の収束演算毎の拘束条件(制御限界を含む)についての評価関数の減少係数と、に基づいて、第2の収束演算を終了するための閾値を設定する閾値設定手段である。
【0053】
走行軌跡演算部102eは、道路区間情報ファイル106aに格納された道路区間情報等に基づいて、走行計画に含まれる走行軌跡を演算する走行軌跡演算手段である。また、走行軌跡演算部102eは、当該走行軌跡に対して設定条件についての評価関数を用いて評価値を算出し、当該評価値が所定の閾値を満たすと判定した場合、走行軌跡を出力してもよい。一例として、走行軌跡演算部102eは、道路区間情報ファイル106aに格納された道路区間情報に基づいて、車両が所定の速度で道路区間の所定の位置(例えば、道路区間の中心線上)を走行するものとして、走行軌跡を演算してもよい。
【0054】
評価関数演算部102fは、走行軌跡演算部102eにより算出された走行軌跡に対して、拘束条件(制御限界を含む)についての評価関数を用いて評価値を算出する評価関数演算手段である。具体的には、走行軌跡に対して、速度または燃費等、何を優先的に達成するかという指標に基づいた拘束条件についての評価関数を用いて評価値を算出する。
【0055】
閾値判定部102gは、評価関数演算部102fにより算出された評価値が閾値設定部102dによって設定された閾値を満たすか否か判定を行う閾値判定手段である。具体的には、評価値が閾値設定部102dにより設定された閾値を下回るか否か判定を行う。
【0056】
修正部102hは、閾値判定部102gにより評価値が閾値を満たさないと判定された場合、当該評価値と前回の評価関数演算時に得られた評価値との割合に基づいて減少係数を修正し(例えば、制御限界を修正し)、閾値設定部102dにて当該減少係数に基づいて閾値を再設定するよう制御する修正手段である。
【0057】
続いて、計画実現部102bの各部(車両走行制御部102iおよび制御限界判定部102j)について以下に説明する。
【0058】
計画実現部102bのうち、車両走行制御部102iは、閾値判定部102gにより評価値が閾値を満たすと判定された走行軌跡演算部102eによって算出された走行軌跡を含む走行計画に基づいて、アクチュエータ200を制御追従することにより、車両を走行制御する車両走行制御手段である。
【0059】
制御限界判定部102jは、アクチュエータ200の自車センサ250にて検出された各検出値に基づいて、定数ファイル106bに記憶された制御限界に関する定数等と比較することにより、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況であるか否か(すなわち、走行計画がアクチュエータ200の制御限界を超える状況であるか否か)を判定する制御限界判定手段である。ここで、制御限界判定部102jは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を計画生成部102aに対し出力する。
【0060】
このように、車両ECU100において、計画生成部102aは、例えば、道路形状、勾配情報、摩擦に関するμ情報等に基づき、制御限界を考慮した上でどのような加速度やヨーレート等を出せば良いのかを演算することにより、車両が走行する走行軌跡を含む走行計画を生成し、生成された走行計画を計画実現部102bへ出力する。そして、計画実現部102bは、計画生成部102aにより生成された走行計画に追従するようアクチュエータ200を介して車両を制御する(すなわち、走行計画に基づきアクチュエータ200を制御追従する)。そして、計画実現部102aは、生成された走行計画に対して車両の実際の走行が乖離した後に走行計画の再生成の見直し指令を出力するのではなく、例えば、アクチュエータ200のフィードバック制御の制御量(FB量)が飽和してアクチュエータ200がもう追従できそうにない状況(すなわち、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況)であると判断した際に、現在の走行計画よりも無理のない走行計画の再生成を依頼する見直し指令(計画再生成依頼)を計画生成部102aへ出力する。これにより、計画生成部102aにより走行計画は引き直されるが、車両が走行計画から乖離することを防ぐことができる。
【0061】
[2.処理]
次に、上述のように構成された本システムが行う車両制御方法の基本処理と計画生成処理の一例について、以下に図3および図4を参照して詳細に説明する。ここで、図3は、本システムが行う基本処理の一例を示すフローチャートである。また、図4は、本システムが行う計画生成処理を詳細に示した一例を示すフローチャートである。
【0062】
以下に、先に図3を参照し本システムにおける基本処理について説明し、次に図4を参照し本システムにおける計画生成処理の詳細について説明する。
【0063】
図3に示すように、まず、計画生成部102aは、車両が走行する走行計画を生成する(ステップSA−1)。ここで、計画生成部102aは、計画実現部102bの処理により出力された見直し指令(計画再生成依頼)が入力された場合、走行計画を再生成してもよい。
【0064】
具体的には、ステップSA−1において、計画生成部102aは、道路区間情報ファイル106aや定数ファイル106bに記憶された各種情報に基づいて、目標となる走行軌跡及び速度パターンを含む走行計画を動的に生成する。ここで、計画生成部102aは、後述するステップSA−3において計画実現部102bの処理によりアクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況(すなわち、走行計画がアクチュエータ200の制御限界を超える状況)が予測された場合、ステップSA−3において計画実現部102bの処理により出力された見直し指令(計画再生成依頼)に含まれる、自車センサ250にて検出されたアクチュエータ200の制御量を受け取り、当該制御量に関する限界値(制御限界)を修正し、修正された制御限界を考慮した上で、無理の無い走行軌跡を含むよう走行計画を再生成してもよい。
【0065】
また、ステップSA−1において、走行計画は、計画生成102aにより走行計画を評価する評価関数を用いて生成されてもよい。なお、ステップSA−1における計画生成部102aの計画生成処理の詳細については、図4を参照し後述する。
【0066】
そして、計画実現部102bは、ステップSA−1において計画生成部102aにより生成された走行計画に基づきアクチュエータ200を制御追従することにより、車両を走行制御(ステップSA−2)。すなわち、計画実現部102bは、走行計画の実現のために各種指示値(例えば、スロットル開度指示値、ブレーキ圧指示値、ステアリングトルク指示値等)をアクチュエータ200へ出力することによりアクチュエータ200を作動させ、走行計画に基づいた車両制御を行う。
【0067】
そして、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況であるか否かを予測する(ステップSA−3)。すなわち、計画実現部102bは、アクチュエータ200の自車センサ250にて検出された各検出値と、定数ファイル106bに記憶された制御限界に関する定数等と比較することにより、アクチュエータ200の制御限界を判定する。
【0068】
そして、計画実現部102bは、ステップSA−3において、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した場合(ステップSA−3:Yes)当該走行計画の見直し指令(計画再生成依頼)を計画生成部102aに対し出力する。ここで、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータ200の制御状態を監視することにより予測してもよい。また、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータ200の制御量を監視することにより予測してもよい。また、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータ200のフィードバック制御の制御量を監視することにより予測してもよい。
【0069】
具体的には、ステップSA−3において、計画実現部102bは、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足する状況を予測した際、自車センサ250にて検出されたアクチュエータ200の制御量を少なくとも含む見直し指令(計画再生成依頼)をステップSA−1の計画生成部102aに対し出力する。
【0070】
一方、計画実現部102bは、ステップSA−3において、アクチュエータ200の制御追従が走行計画に対して不足しない状況を予測した場合(ステップSA−3:No)、ステップSA−2に戻り、上述の走行計画実現のための車両制御を行う。
【0071】
続いて、図4を参照し本システムが行う計画生成処理の詳細な一例について、以下に説明する。
【0072】
ここで、図4における計画生成処理(ステップSB−1〜SB−5)は、図3におけるステップSA−1において行われる計画生成部102aの計画生成処理に対応する。また、図4を用いて示す評価関数を用いた最適化手法による計画生成処理の一例を示しているに過ぎず、本発明の計画生成処理は図4に示す処理に限定されるものではない。
【0073】
本計画生成処理において、走行計画に含まれる目標走行軌跡の最適化演算の計算時間を短縮するためには収束判定を行う閾値を大きくする必要があるものの、設定条件の中には、車両の運動方程式や道路形状等が含まれているため、安全を考慮する場面において設定条件に走行軌跡が収まっているかどうかを判断する閾値を安易に大きくすることは、車両の運動が道路幅に収まらない可能性が発生するため避けたほうが良い。そこで、以下の計画生成処理においては、所定の閾値を達成することが要求される設定条件を満たすために必要な収束演算の処理時間を確保し、当該処理時間と演算全体の計算許容時間から拘束条件(制御限界を含む)に対する収束演算の実行回数を求めることで、計算許容時間内で最適化演算を終了させることができる拘束条件の閾値を算出している。
【0074】
図4に示すように、まず、走行軌跡演算部102eは、道路区間情報ファイル106aに格納された道路区間情報に基づいて、車両が所定の速度で道路区間の所定の位置(例えば、道路区間の中心線上)を走行するものとして、初期解となる走行軌跡を算出する。
【0075】
つぎに、回数演算部102cは、走行軌跡を設定条件に収めるための第1の収束演算を収束させる演算回数に基づき、走行軌跡を拘束条件(制御限界を含む)に収めるための第2の収束演算の実行可能回数を演算する(ステップSB−1)。
【0076】
つぎに、閾値設定部102dは、回数演算部102cにて演算された実行可能回数と、走行軌跡演算部102eにより算出された初期解に基づいて算出された拘束条件(制御限界を含む)についての評価関数の初期値と、定数ファイル106bに格納された第2の収束演算毎の拘束条件についての評価関数の減少係数と、に基づいて、第2の収束演算を終了するための閾値を設定する(ステップSB−2)。
【0077】
つぎに、走行軌跡演算部102eは、道路区間情報ファイル106aに格納された道路区間情報等に基づいて、走行軌跡を演算し、当該走行軌跡に対して設定条件についての評価関数を用いて評価値を算出し、当該評価値が所定の閾値を満たすと判定した場合、走行軌跡を出力し、一方、当該評価値が所定の閾値を満たさないと判定した場合、走行軌跡を再演算する(ステップSB−3)。
【0078】
つぎに、評価関数演算部102fは、ステップSB−3にて算出された走行軌跡に対して拘束条件についての評価関数を用いて評価値を算出する(ステップSB−4)。
【0079】
つぎに、閾値判定部102gは、評価関数演算部102fにより算出された評価値が閾値設定部102dによって設定された閾値を満たすか否か判定を行う(ステップSB−5)。
【0080】
そして、走行軌跡演算部102eは、閾値判定部102gにより評価値が閾値を満たさないと判定された場合(ステップSB−5:No)、走行計画に含まれる走行軌跡を再演算する(ステップSB−3)。
【0081】
ここで、修正部102hは、閾値判定部102gにより評価値が閾値を満たさないと判定された場合、当該評価値と前回の評価関数演算時に得られた評価値との割合に基づいて減少係数を修正し(例えば、制御限界を修正し)、閾値設定部102dにて当該減少係数に基づいて閾値を再設定するよう制御してもよい。
【0082】
一方、閾値判定部102gは、評価値が閾値を満たすと判定した場合(ステップSB−5:Yes)、走行軌跡を出力して、本処理を終了する。
【0083】
[3.本実施の形態のまとめ、および他の実施の形態]
本実施の形態によれば、計画生成部102aにより生成された目標値となる走行軌跡を含む走行計画に対し、計画実現部102bにてアクチュエータ200の追従が困難と判断されるとき、計画実現部102bは、要求された走行計画に対して車両の実際の走行が乖離してから走行計画の再生成を計画生成部102aへ依頼するのではなく、走行計画の実現が困難と判断した時点で走行計画の再生成を計画生成部102aへ依頼することができる。すなわち、本実施の形態によれば、計画実現部102bがアクチュエータ200の制御追従が追いつかなくなる状況(すなわち、制御限界を超える状況)を予測したときに、計画生成部102aが走行計画(目標)を再生成することができる。これにより、本発明は、より早い段階で将来の走行計画を見直すことができ、より安全性を確保した走行計画の再生成が可能となる。
【0084】
さらに、本実施の形態によれば、計画実現部102bが走行計画の再生成を計画生成部102aへ依頼する際、アクチュエータ200の制御限界(例えば、各制御機構の制御量の限界値)等を考慮して走行計画に対し適切な評価を行うことができるので、制御限界を把握した上で計画生成部102aでは無理の無い計画を再生成することができる。つまり、本実施の形態によれば、走行計画に対して車両の実際の走行が乖離する前に計画の再生成を行うことができ、さらに、制御限界を計画生成部102aに知らせることで無理の無い計画を作り直すことができる。これにより、本発明において、走行計画に対して乖離することがなくなり、かつ、無理のない走行計画が再生成され、計画実現部102bが追従しやすくなることで計画生成部102aによる走行計画再生成処理の回数が減るという効果を奏する。したがって、本発明は、走行計画を見直すことができ、かつ、より適切なタイミングで走行計画を見直すことにより、さらに的確な走行計画を効率的に生成することができるという効果を奏する。
【0085】
最後に、本発明にかかる車両制御装置は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。例えば、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、車両ECU100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。また、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。また、上述した実施の形態では車両ECU100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、車両ECU100が、当該車両ECU100とは別筐体で構成されるECUからの要求に応じて情報処理を行い、その処理結果を当該ECUに返却するように構成してもよい。また、評価関数はドライバの運転操作または運転モードスイッチから読み取られる優先事項(例えば、燃費を優先するか、目的地への到達時間が早いことを優先するか、という事項)によって動的に変化させることもできる。つまり、ドライバの運転操作または運転モードスイッチによって速度パターンが変化し、それに伴って評価関数が再設定されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明にかかる車両制御装置および車両制御方法は、特に自動車製造産業で好適に実施することができ、極めて有用である。
【符号の説明】
【0087】
100 車両ECU
102 制御部
102a 計画生成部
102c 回数演算部
102d 閾値設定部
102e 走行軌跡演算部
102f 評価関数演算部
102g 閾値判定部
102h 修正部
102b 計画実現部
102i 車両走行制御部
102j 制御限界判定部
106 記憶部
106a 道路区間情報ファイル
106b 定数ファイル
200 アクチュエータ
250 自車センサ






【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行計画を生成し、当該車両を駆動制御するアクチュエータを上記走行計画に基づいて制御追従することにより、上記車両を走行制御する車両制御装置であって、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を出力することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項2】
車両を駆動制御するアクチュエータに制御可能に接続された、制御部を少なくとも備えた車両制御装置であって、
上記制御部は、
上記車両が走行する走行計画を生成する計画生成手段と、
上記計画生成手段により生成された上記走行計画に基づき上記アクチュエータを制御追従することにより、上記車両を走行制御する計画実現手段と、
を備え、
上記計画実現手段は、
上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を上記計画生成手段に対し出力することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御装置において、
上記計画生成手段は、
上記計画実現手段により出力された上記見直し指令が入力された場合、上記走行計画を再生成することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車両制御装置において、
上記計画実現手段は、
上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータの制御状態を監視することにより予測することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置において、
上記計画実現手段は、
上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータの制御量を監視することにより予測することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両制御装置において、
上記計画実現手段は、
上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を、当該アクチュエータのフィードバック制御の制御量を監視することにより予測することを特徴とする、車両制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の車両制御装置において、
上記走行計画は、上記計画生成手段により上記走行計画を評価する評価関数を用いて生成されることを特徴とする、車両制御装置。
【請求項8】
車両が走行する走行計画を生成し、当該車両を駆動制御するアクチュエータを上記走行計画に基づいて制御追従することにより、上記車両を走行制御する車両制御装置において実行される車両制御方法であって、上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を出力することを特徴とする、車両制御方法。
【請求項9】
車両を駆動制御するアクチュエータに制御可能に接続された、制御部を少なくとも備えた車両制御装置において実行される車両制御方法であって、
上記制御部において実行される、
上記車両が走行する走行計画を生成する計画生成ステップと、
上記計画生成ステップにて生成された上記走行計画に基づき上記アクチュエータを制御追従することにより、上記車両を走行制御する計画実現ステップと、
を含み、
上記計画実現ステップにおいて、
上記アクチュエータの制御追従が上記走行計画に対して不足する状況を予測した場合、当該走行計画の見直し指令を上記計画生成ステップに対し出力することを特徴とする、車両制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−247571(P2010−247571A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96399(P2009−96399)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】