説明

車両及び推奨充電スタンド表示方法

【課題】車両の運転者に充電に適した充電スタンドを知らせることである。
【解決手段】駐車場及び滞在時間判定部13は、同じ場所の過去の滞在時間から現在の滞在時間を予想する。スタンド種別判別部15は、電池残量と予測滞在時間と充電スタンドの充電量等に基づいてスタンド種別を決める。さらに、普通充電スタンドと急速充電スタンドの使用状態に応じて推奨充電スタンドを決め、その推奨充電スタンドの位置を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の車両及び推奨充電スタンド表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、プラグイン車両等の普及により車両のバッテリを充電する充電施設の導入が進められている。
特許文献1には、電気自動車に電力を供給する充電スタンドが狭帯域通信を行う機能を有し、インターネット等を介して提供される情報を、狭帯域通信を利用して電気自動車に送信することが記載されている。
【0003】
充電施設には、急速充電スタンドと普通充電スタンドの2種類の充電スタンドを有するものがある。2種類の充電スタンドが設置されている場合、ユーザは、自分の車両の電池残量、充電施設の利用状況等を考慮して急速充電スタンドを使用するか、普通充電スタンドを使用するかを決めなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3148265号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、車両の運転者に充電に適した充電スタンドを知らせることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両は、急速充電スタンドと普通充電スタンドの位置と使用状態を示す情報を有線又は無線通信により充電施設内の装置から受信する通信手段と、電池残量を計測する電池残量計測手段と、カーナビゲーションシステムから車両の駐車場所を特定する情報を取得し、駐車場所と対応付けて記憶されている過去の滞在時間に基づいて、前記駐車場所における車両の滞在時間を予想する滞在時間予想手段と、前記電池残量計測手段により計測された電池残量と、普通充電スタンドの充電量と、急速充電スタンドの充電量と、前記滞在時間予想手段により得られる予想滞在時間とに基づいて、普通充電スタンドを使用して充電するか、急速充電スタンドを使用して充電するかを判別するスタンド種別判別手段と、前記スタンド種別判別手段により判別されたスタンド種別と、急速充電スタンドと普通充電スタンドの位置と使用状態を示す前記情報とに基づいて、推奨する充電スタンドを決める推奨充電スタンド判別手段と、前記推奨充電スタンド判別手段により決められた推奨充電スタンドの位置を表示する表示手段とを備える。
【0007】
このように構成することで、普通充電スタンドと急速充電スタンドを有する充電施設を利用する場合に、充電に適した充電スタンドを運転者に知らせることができる。
上記の構成を有する車両において、前記滞在時間予想手段は、カーナビゲーションシステムにより特定される駐車場所と該駐車場所の滞在時間を対応付けて記憶手段に記憶し、カーナビゲーションシステムから得られる現在の駐車場所と同じ駐車場所又は同じ種類の場所と対応付けて記憶されている過去の滞在時間の平均値を前記予想滞在時間として求める。
【0008】
このように構成することで、過去の駐車場所の滞在時間の平均値から滞在時間を予想し、予想滞在時間を用いて任意の充電条件の車両に適した充電スタンドの位置を運転者に知らせることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、普通充電スタンドと急速充電スタンドを有する充電設備を利用する場合に、充電に適した充電スタンドを運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両と充電施設の構成を示す図である。
【図2】車両と充電スタンドの外観図である。
【図3】推奨充電設備表示処理のフローチャートである。
【図4】滞在時間判定処理のフローチャートである。
【図5】図5(A)−(C)は、データベースのデータ構成を示す図である。
【図6】推奨充電設備の表示状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、実施の形態の車両11と充電施設21の構成を示す図であり、図2は、車両11と普通充電スタンド22(又は急速充電スタンド23)の外観図である。充電施設21には、図2に示すような普通充電スタンド22と急速充電スタンド23が複数台設置されている。
【0012】
車両11は、電池残量計測部12と、駐車場所及び滞在時間判定部13と、通信部14と、スタンド種別判別部15と、推奨充電設備判別部16と、推奨充電設備表示部17とを有する。
【0013】
充電施設21は、複数の普通充電スタンド22と、複数の急速充電スタンド23と、制御装置24とを有する。制御装置24は、充電設備使用状態判定部25と通信部26とを有する。
【0014】
電池残量計測部12は、車両11の走行用モータに電力を供給する電池の残量を計測し、計測した電池残量をスタンド種別判別部15に出力する。
駐車場所及び滞在時間判定部(滞在時間予想手段に対応する)13は、車両11が駐車したとき、駐車場所を特定する情報(位置情報、店舗等を特定する情報など)をカーナビゲーションシステムから取得し、駐車場所と駐車時間(滞在時間)をメモリに記憶する。そして、次に、駐車したとき、カーナビゲーションシステムから駐車場所を特定する情報を取得し、過去に駐車した同じ駐車場所(又は同じ種類の場所)の滞在時間をメモリから読み出す。そして、その駐車場所の滞在時間の平均値から予想滞在時間を求め、予想滞在時間をスタンド種別判別部15に出力する。駐車場所を特定する情報は、位置情報とその場所がガソリンスタンド、コンビニエンスストア、ショッピングモール、映画館の何れであるか等を示す情報である。
【0015】
通信部14は、充電施設21の通信部26と有線又は無線通信する機能を有し、充電施設21の複数の普通充電スタンド22と急速充電スタンド23の使用状態と、充電スタンドの位置を示す充電設備使用状態情報を受信する。
【0016】
スタンド種別判別部15は、予め決められている車両11の電池の電池容量と計測される電池残量と(充電条件)、駐車場所及び滞在時間判定部13から取得する予想滞在時間と、充電施設21から取得する普通充電スタンド22の単位時間当たりの充電量と、急速充電スタンド23の単位時間当たりの充電量等から充電に適したスタンド種別を判別する。
【0017】
スタンド種別の判別は、例えば、以下の計算式を用いて行う。充電可能量X[W]は、X=電池容量−電池残量、の式で求められる。普通充電スタンドの単位時間当たりの充電量A[W/H]、急速充電スタンドの単位時間当たりの充電量B[W/H]とすると、充電可能容量X[W]を充電するための普通充電の充電予想時間はX/A[H]、急速充電の充電予想時間はX/B[H]となる。
【0018】
予想滞在時間をY[H]とし、「予想滞在時間Y−普通充電予想時間X/A」の絶対値と、「予想滞在時間Y−急速充電予想時間X/B」の絶対値を比較し、値が小さい方の充電スタンドを推奨するスタンド種別と判定する。
【0019】
推奨充電設備判別部(推奨充電スタンド判別手段に対応する)16は、スタンド種別判別部15で判別されたスタンド種別と、通信部14で受信される充電設備使用状態情報とに基づいて、使用可能な充電設備(充電スタンド)を判別する。
【0020】
推奨充電設備表示部17は、推奨充電設備(普通充電スタンド又は急速充電スタンド)を他の充電設備と異なる表示形態で表示する。例えば、推奨する充電スタンドを点滅表示する。
【0021】
充電施設21の普通充電スタンド22と急速充電スタンド23は、充電スタンドが使用中か否かを示す使用状態情報を充電設備使用状態判定部25に出力する。
充電設備使用状態判定部25は、普通充電スタンド22と急速充電スタンド23の使用状態情報からどの充電スタンドが使用中か、未使用かを判定する。充電設備使用状態判定部25は、充電スタンド(以下、普通充電スタンドと急速充電スタンドの両方を含む)の使用状態を示す情報と、各充電スタンドの単位時間当たりの充電量を示す情報と、充電スタンドの位置を示す情報を通信部26に出力する。通信部26は、それらの情報を有線又は無線通信により送信する。
【0022】
上記の充電設備使用状態判定部25及び通信部26は、必ずしも制御装置24として別に設ける必要はなく、普通充電スタンド22又は急速充電スタンド23がそれらの機能を有していても良い。
【0023】
次に、以上のような構成の制御装置24と車両11の動作を、図3のフローチャートを参照して説明する。
制御装置24は、電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッド車(PHV)が充電を行うか否かを判定する(S11)。
【0024】
充電を行う場合には(S11、YES)、ステップS12に進み、制御装置24から充電設備情報(充電設備使用状態情報:空き状況、利用可能電力量等)を無線通信で車両11に送信する。
【0025】
車両側では、電池残量を計測する(S13)。
次に、カーナビゲーションシステム等から駐車場所情報を取得し、予め記憶してある駐車場所と過去の滞在時間とから現在の滞在時間を判定(予想)する(S14)。
【0026】
図4は、ステップS14の滞在時間判定処理の一例を示すフローチャートである。
現在の駐車場所が、滞在記録有データベース31に登録されているか否かを判定する(S21)。
【0027】
駐車場所が滞在記録有データベース31に登録されているときには(S21、YES)、ステップS22に進み、滞在記録有データベース31の該当する場所の過去の滞在時間を参考にして滞在時間を判定する。
【0028】
図5(A)は、滞在記録有データベース31のデータ構成の一例を示す図である。滞在記録有データベース31には、車両11の持ち主が過去に駐車したことのある場所と対応付けて駐車時間(滞在時間)が登録されている。例えば、コンビニAを示すデータと対応付けてコンビニAの過去の滞在時間20分、10分等が記録され、さらに、平均滞在時間が算出されて記録されている。
【0029】
従って、滞在記録有データベース31を参照して、例えば、同じ場所の過去の滞在時間の平均値を取得することで、その場所の滞在時間を予想することができる。
駐車場所が滞在記録有データベース31に登録されていないときには(S21、NO)、ステップS23に進み、分類別データベース32に登録されているか否かを判別する。
【0030】
駐車場所が分類別データベース32に登録されているときには(S23、YES)、ステップS24に進み、分類別データベース32を参照して滞在時間を判定する。
図5(B)は、分類別データベース32のデータ構成の一例を示す図である。
【0031】
分類別データベース32には、車両11の持ち主が、過去に駐車したコンビニ、ショッピングモール、ガソリンスタンド(GS)等の駐車場所の分類種別を示すデータと対応付けて、それぞれの滞在時間が記録されている。
【0032】
例えば、コンビニの分類種別を示すデータと対応付けて、過去の滞在時間20分、20分、35分等のデータが記録され、さらに平均滞在時間25分が算出されて記録されている。
【0033】
従って、分類別データベース32を参照して、例えば、同じ分類種別の場所の過去の滞在時間の平均値を取得することで、その分類場所の滞在時間を予想することができる。これにより、現在の駐車場所の滞在時間が記録されていない場合でも、同じ分類の他の場所の滞在時間を参照して滞在時間を予想することができる。
【0034】
分類別データベース32に該当する分類が登録されていないときには(S23、NO)、ステップS25に進み、初期設定データベース33を参照して該当する分類を特定する。さらに、初期設定データベース33の該当する分類の初期滞在時間データに基づいて滞在時間を予想する(S26)。
【0035】
図5(C)は、初期設定データベース33のデータ構成を一例を示す図である。初期設定データベース33には、コンビニ、ショッピングモール、ガソリンスタンド等の場所の分類を示すデータと対応付けて初期滞在時間が登録されている。
【0036】
従って、現在の駐車場所と同じ場所、あるいは同じ分類種別の過去の滞在データが存在しないときには、初期設定データベース33の初期設定データを用いて予想滞在時間を決めることができる。
【0037】
図3のステップS15に戻り、電池残量と予想滞在時間に基づいてスタンド種別を判別する(S15)。ステップS15の処理では、例えば、既知の電池容量と、計測により得られる電池残量から必要充電量を算出し、さらに、急速充電スタンド23の単位時間当たりの充電量と、普通充電スタンド22の単位時間当たり充電量と予想滞在時間とから、予想滞在時間に近い時間で充電可能な充電スタンドを決める。
【0038】
次に、スタンド種別と、制御装置24から取得する充電設備使用状態情報とに基づいて推奨充電設備を判別する(S16)。ステップS16の処理では、例えば、充電設備使用状態情報を用いて普通充電スタンド22と急速充電スタンド23の空き状況を判断し、スタンド種別の判定結果から推奨充電設備を判定する。
【0039】
次に、推奨充電設備を他の充電設備と区別できるように表示形態を異ならせて表示する(S17)。
図6(A)、(B)は、充電設備の使用状態と推奨充電設備の表示例を示す図である。
【0040】
図6(A)は、普通充電スタンドと急速充電スタンドの使用状態を示す図であり、使用可能な普通充電スタンド22を白の四角22a、使用中(使用不可)の普通充電スタンド22を黒の四角22bで示している。また、使用可能な急速充電スタンド23を白丸23a、使用中の急速充電スタンド23を黒丸23bで示している。
【0041】
図6(B)は、推奨充電設備の表示例を示す図である。図6(B)は、スタンド種別として普通充電スタンド22が選択された状態で、推奨充電設備として使用可能な普通充電スタンド22aが点滅表示された状態を示している。この表示から、普通充電スタンド22aが推奨充電設備であることを利用者が知ることができる。
【0042】
上述した実施の形態によれば、普通充電スタンド22と急速充電スタンド23を有する充電施設21を利用して車両11を充電する場合に、その場所の過去の滞在時間から今回の滞在時間を予想し、その予想滞在時間と充電スタンドの空き状況を示す情報から推奨充電スタンドを選定し、充電施設21内の推奨充電スタンドの位置を運転者に知らせることができる。これにより、運転者は、自分の車両11の充電条件に適した充電スタンドの位置を知ることができる。
【符号の説明】
【0043】
11 車両
12 電池残量計測部
13 駐車場所及び滞在時間判定部
14、26 通信部
15 スタンド種別判別部
16 推奨充電設備判別部
17 推奨充電設備表示部
21 充電施設
22 普通充電スタンド
23 急速充電スタンド
24 制御装置
25 充電設備使用状態判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速充電スタンドと普通充電スタンドの位置と使用状態を示す情報を有線又は無線通信により充電施設内の装置から受信する通信手段と、
電池残量を計測する電池残量計測手段と、
カーナビゲーションシステムから車両の駐車場所を特定する情報を取得し、駐車場所と対応付けて記憶されている過去の滞在時間に基づいて、前記駐車場所における車両の滞在時間を予想する滞在時間予想手段と、
前記電池残量計測手段により計測された電池残量と、普通充電スタンドの充電量と、急速充電スタンドの充電量と、前記滞在時間予想手段により得られる予想滞在時間とに基づいて、普通充電スタンドを使用して充電するか、急速充電スタンドを使用して充電するかを判別するスタンド種別判別手段と、
前記スタンド種別判別手段により判別されたスタンド種別と、急速充電スタンドと普通充電スタンドの位置と使用状態を示す前記情報とに基づいて、推奨する充電スタンドを決める推奨充電スタンド判別手段と、
前記推奨充電スタンド判別手段により決められた推奨充電スタンドの位置を表示する表示手段と、を備える車両。
【請求項2】
前記滞在時間予想手段は、カーナビゲーションシステムにより特定される駐車場所と該駐車場所の滞在時間を対応付けて記憶手段に記憶し、カーナビゲーションシステムから得られる現在の駐車場所と同じ駐車場所又は同じ種類の場所と対応付けて前記記憶手段に記憶されている過去の滞在時間の平均値を前記予想滞在時間として求める請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記スタンド種別判別手段は、電池容量と前記電池残量とから必要充電量を算出し、前記必要充電量を普通充電スタンドの単位時間当たりの充電量で除算して得られる時間と前記予想滞在時間の差の絶対値を算出し、前記必要充電量を急速充電スタンドの単位時間当たりの充電量で除算して得られる時間と前記予想滞在時間の差の絶対値を算出し、絶対値が小さい方の充電スタンドを選択する請求項1又は2記載の車両。
【請求項4】
急速充電スタンドと普通充電スタンドの位置と使用状態を示す情報を、充電施設内の装置から受信し、
電池残量を計測し、
カーナビゲーションシステムから車両の駐車場所を特定する情報を取得し、駐車場所と対応付けて記憶されている過去の滞在時間に基づいて、前記駐車場所における車両の滞在時間を予想し、
前記電池残量と、普通充電スタンドの充電量と、急速充電スタンドの充電量と、前記滞在時間予想手段により得られる予想滞在時間とに基づいて、普通充電スタンドを使用して充電するか、急速充電スタンドを使用して充電するかを判別し、
普通充電スタンドと急速充電スタンドの何れであるかを指定するスタンド種別と、急速充電スタンドと普通充電スタンドの位置と使用状態を示す前記情報とに基づいて、推奨する充電スタンドを決定し、
推奨する充電スタンドの位置を表示部に表示する推奨充電スタンド表示方法。
【請求項5】
電池容量と前記電池残量とから必要充電量を算出し、前記必要充電量を普通充電スタンドの単位時間当たりの充電量で除算して得られる時間と前記予想滞在時間の差の絶対値を算出し、前記必要充電量を急速充電スタンドの単位時間当たりの充電量で除算して得られる時間と前記予想滞在時間の差の絶対値を算出し、絶対値が小さい方の充電スタンドを充電に使用する充電スタンドとして選択する請求項4記載の推奨充電スタンド表示方法。


【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図2】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−32354(P2012−32354A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174216(P2010−174216)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】