説明

車両及び駐車位置案内方法

【課題】充電装置を利用して車両のバッテリを充電する際に、充電作業が行い易い位置及び方向に車両を駐車できるようにする。
【解決手段】駐車方法判別部25は、自車両13のインレットの位置情報と、普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の位置を示す情報とを用いて、車両13の駐車方向等を特定する。駐車方法表示部27は、充電場所における普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の地図上の位置と車両13の駐車位置及び駐車方向が分かるように地図上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電を行う際の駐車位置案内機能を有する車両及び駐車位置案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車が実用化されるのに伴ってそれらの車両を充電する充電設備が必要となっている。
電気自動車等においては、車両のバッテリに大きな電流を供給して短時間で充電する急速充電と、少ない電流を供給して比較的長い時間で充電する普通充電と呼ばれる2つの充電方法がある。それに対応して、電気自動車には急速充電用の充電口(インレット)と普通充電用の充電口の2つが設けられているが、それらの位置は統一されていない。例えば、走行方向に対して車両の左側に急速充電用の充電口が設けられているものも、右側に設けられているものもある。
【0003】
特許文献1には、車両の燃料補給口と電力補給口の少なくとも一方の配置に関する情報と、燃料補給装置又は電力供給装置の少なくとも一方の配置に関する情報を含む施設情報を取得する取得部と、それらの情報に基づいて車両の進入すべき方向を判断する進入方向判断部と、車両の進入を誘導する誘導装置とを備える車両誘導システムについて記載されている。
【0004】
ところで、急速充電用の充電スタンドの充電用ケーブルは供給電流が大きいために、普通充電用の充電スタンドの充電用ケーブルより太く設計されており、ケーブル長も短くなっている。そのため、急速充電用の充電スタンドの設置されている側に車両の充電口がくるように駐車しないと充電作業が行いにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−23733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、充電装置を利用して車両のバッテリを充電する際に、充電作業が行い易い位置及び方向に車両を駐車できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両は、充電場所における急速充電用充電装置と普通充電用充電装置の位置と充電装置の種類を示す充電設備情報とを取得する通信手段と、車両の急速充電用充電口と普通充電用充電口の位置を示す充電口情報を記憶する自車両情報記憶手段と、前記充電設備情報と前記充電口情報とに基づいて、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置に対する車両の駐車位置及び駐車方向を特定する特定手段と、前記特定手段により特定した前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置に対する車両の駐車位置及び駐車方向を地図上に表示する表示手段とを備える。
【0008】
この発明によれば、充電場所に設置されている急速充電用充電装置又は普通充電用充電装置を利用して充電する場合に、充電に適した車両の駐車位置及び駐車方向を運転者に知らせることができる。
【0009】
上記の構成の車両において、前記通信手段は、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置の地図上の位置と充電装置の種類を示す前記充電設備情報を外部の装置から無線通信により取得する。
【0010】
このような構成を有することで、急速充電用充電装置と普通充電用充電装置の地図上の位置を取得して、それらの充電装置に対して充電に適した車両の駐車位置及び駐車方向を特定することができる。
【0011】
上記の構成の車両において、前記特定手段は、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置の地図上の位置を示す地図情報と、車両の前記急速充電用充電口と前記普通充電用充電口の位置を示す前記充電口情報を用いて、充電に適した車両の前後の向きと駐車位置を特定する。
【0012】
このように構成することで、急速充電用充電装置を用いて充電する場合の充電に適した車両の位置と前後の向きと、普通充電用充電装置を用いて充電する場合の充電に適した車両の位置と前後の向きを特定して運手者に知らせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、急速充電用充電装置又は普通充電用充電装置を利用して充電する場合に、充電に適した車両の駐車位置及び駐車方向を運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(A)、(B)は充電スタンドと車両の充電口と車両の向きの関係を示す図であり、図1(C)は車両と充電スタンドとの間の通信の説明図である。
【図2】充電設備と車両の構成を示す図である。
【図3】駐車位置案内方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】図4(A)は充電設備情報を示す図、図4(B)は推奨駐車方法の表示の一例を示す図、図4(C)は車両のフロント部とリア部とインレットとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1(A)、(B)は、長い時間をかけて充電する普通充電スタンド11と、大きな電流を供給して短時間で充電する急速充電スタンド12と車両13の充電口と車両13の向きとの関係を示す図であり、図1(C)は車両13と普通充電スタンド11との間の通信の説明図である。
【0016】
車両13は、運転席から見て車体の右側面に普通インレット(普通充電用充電口)14が設けられており、左側面に急速インレット(急速充電用充電口)15が設けられている。
【0017】
従って、普通充電を行うときには、運転席から見て車両13の右側に普通充電スタンド11がくるように車両13を駐車する必要がある。また、急速充電を行うときには、運転席から見て車両13の左側に急速充電スタンド12がくるように車両13を駐車する必要がある。
【0018】
図1(C)に示すように、この実施の形態では、複数の充電スタンドの内の1つの充電スタンド(例えば、普通充電スタンド11)から車両13に、スタンド位置情報と、充電スタンドの種類(普通充電用か、急速充電用か)を示す情報が送信される。
【0019】
図2は、車両13に搭載される駐車位置案内部21と充電設備16の構成示す図である。以下の説明では、充電設備16は複数の普通充電スタンド11と急速充電スタンド12を有し、1台の普通充電スタンド11が、普通充電スタンド11の位置と種類を示す情報と、急速充電スタンド12の位置と種類を示す情報を車両13に送信する機能を有するものとして説明する。なお、車両13に充電スタンドの位置情報等を送信する機能は、複数の充電スタンド(普通充電スタンド11又は急速充電スタンド12)が有しても良いし、充電スタンドとは別の装置が有しても良い。因みに図2は、充電スタンドとは別の装置が有している場合を示す。
【0020】
車両13の駐車位置案内部21は、自車両情報記憶部22と、スタンド種別判別部23と、駐車方法判別部25と、通信部24と、推奨駐車方法合成部26と、駐車方法表示部27を有する。なお、車両13は、地図情報を表示するための機能、例えば、カーナビゲーションシステムを備えているものとする。
【0021】
自車両情報記憶部22には、自車両13の普通インレット14と急速インレット15の位置、例えば、インレットが車両の右側に設けられているか、左側に設けられているかを示す情報(充電口情報)が記憶されている。
【0022】
スタンド種別判別部23は、走行用のバッテリの充電量に応じて普通充電と急速充電の何れか適しているかを判定し、推奨するスタンド種別を示す情報を出力する。なお、スタンド種別は運転者自身が判断するようにしても良い。
【0023】
通信部24は、普通充電スタンド11(又は急速充電スタンド12)から充電設備に設置されている普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の位置と種類を示す情報(充電設備情報)を受信して駐車方法判別部25に出力する。
【0024】
駐車方法判別部25は、車両13のインレットの位置情報と、通信部24で受信する普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の位置と種類を示す情報とを用いて、普通充電スタンド11と急速充電スタンド12を利用して充電する場合の最適な駐車方法を特定する。最適な駐車方法とは、例えば、車両13のフロント部を前にして充電スタンドの右側に駐車した方が良いのか、左側に駐車した方が良いのか等を示す駐車方法である。
【0025】
推奨駐車方法合成部26は、普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の充電場所における位置を示す情報と、駐車方法判別25で判別された駐車方法とを用いて推奨駐車方法を決める。推奨駐車方法とは、例えば、地図上の充電スタンドの位置と、それぞれの充電スタンドに対する車両の駐車位置及び駐車する際の車両の前後の向きを特定した駐車方法を指す。
【0026】
上記の駐車方法判別部25及び推奨駐車方法合成部26は、例えば、普通充電スタンド11の推奨駐車方法を決める場合に以下のようにする。普通充電スタンド11の位置を示す地図情報とインレット位置情報を用いて、普通充電スタンド11が、運転席から見て車両13の左側にくるように駐車した方が良いか、それとも車両13の右側にくるように駐車した方が良いかを判断して、車両13の駐車位置及び駐車する際の車両13の前後の方向を特定する。駐車方法判別部25と推奨駐車方法合成部26は、例えば、充電に適した車両の駐車位置及び駐車方向を特定する特定手段に対応する。
【0027】
駐車方法表示部27は、推奨駐車方法合成部26で作成される推奨駐車方法を表示する表示部である。駐車方法表示部27は、例えば、地図上に普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の位置を表示し、さらに、それぞれの充電スタンドの充電に適した車両の駐車位置及び駐車する際の車両の前後の向きを地図上に表示する。
【0028】
充電設備16は、1又は複数の普通充電スタンド11と、1又は複数の急速充電スタンド12と、充電設備制御部28と、通信部29とを有する。充電設備制御部28と通信部29は、普通充電スタンド11又は急速充電スタンド12に設けても良いし、別の装置として設けても良い。
【0029】
充電設備制御部28は、普通充電スタンド11の位置情報と、急速充電スタンド12の位置情報を取得し(又は予め記憶しておき)、充電設備16内の普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の配置を示す位置情報とスタンドの種類を示す情報を通信部29に出力する。以下、充電設備16内の普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の位置と種類を示す情報を充電設備情報と呼ぶ。
【0030】
通信部29は、無線信号の送受信機能を有し、充電設備制御部28から出力される充電設備情報を、充電設備16を利用しようとする車両13に無線送信する。
次に、図3は、実施の形態の駐車位置案内方法に基づく処理内容を示すフローチャートである。以下の処理は、車両13のコンピュータ等により実行され、駐車位置案内部21の機能として実現される。車両13は、充電設備制御部28が車両13を検知できる充電場所へ進入する(S11)と、充電設備制御部28から無線送信される充電設備情報(充電場所の普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の位置を示す情報)を待つ(S12)。
【0031】
車両13は充電設備情報を通信部29を介して受信すると、自車両の普通インレット14と急速インレット15の位置を示すインレット位置情報とを用いて最適な駐車方法を判別する(S13)。最適な駐車方法とは、例えば、車両13のフロント部又はリア部を前にして駐車するか、普通充電スタンド11又は急速充電スタンド12が車両13の運転席から見て右側にくるように駐車すべきか、それとも左側にくるように駐車すべきか等を示す情報である。
【0032】
次に、充電設備16が設置されている駐車場の地図情報(駐車場情報と呼ぶ)と上記の最適駐車方法とを用いて、駐車場内における車両13の推奨駐車方法を作成する(S14)。
【0033】
推奨駐車方法の作成とは、例えば、駐車場の外周に車両13のフロント部又はリア部を向けて駐車する構造の駐車場であった場合に、車両13のフロント部を先に入れて駐車するか、それとも車両13のリア部を先に入れて駐車するかを地図上に表示できるような情報を作成することである。
【0034】
推奨駐車方法が得られたなら、駐車方法表示部27にその推奨駐車方法を表示する(S15)。ステップS15の処理では、例えば、地図上に普通充電スタンド11と急速充電スタンド12を表示すると共に、それらの充電スタンドで該当する車両13を充電するのに適した車両13の駐車位置と車両13の前後の向きを地図上に表示する。表示部に表示される上記の地図情報を見ることで、運手者は、普通充電スタンド11又は急速充電スタンド12を利用して充電する際に、充電に適した駐車位置及び車両の前後の向きを知ることができる。
【0035】
図4(A)は、充電設備情報の一例を示す図であり、図4(B)は、推奨駐車方法の表示例を示す図である。また、図4(C)は、車両13のフロント部13aとリア部13bとインレット14、15との関係を示す図である。
【0036】
図4(A)は、充電設備制御部28の図示しない記憶部に記憶される充電設備情報の一例を示す図である。図4(B)は、車両13の駐車方法表示部27に表示される推奨駐車方法の一例を示す図である。また、図4(C)は、車両13のフロント部13aとリア部13bを示す図である。
【0037】
車両13が駐車場41の入口42から入ると、駐車場41の地図情報と、普通充電スタンド11と急速充電スタンド12の地図上の位置を示す情報が充電設備情報として車両13に送信される。
【0038】
車両13は、図4(A)に示す充電設備情報から、駐車場41は、図4の正面から見て下隅に入口があり、右上隅に出口があることが分かる。駐車場41の左上隅には急速充電スタンド12−1が設置され、その右側の一定距離離れた位置に普通充電スタンド11−1が設置されていることが分かる。また、下側の中央部には普通充電スタンド11−2が設置され、その右側の一定距離離れた位置に急速充電スタンド12−2が設置されていることが分かる。
【0039】
図4(B)は、普通充電スタンド11−1、11−2と急速充電スタンド12−1、12−2の位置を地図上に表示し、さらに、それらの充電スタンドを利用して充電するのに適した車両13の駐車位置と車両13の前後の向きを示す推奨駐車方法の表示例を示す図である。
【0040】
図4(B)の表示から、運転者は、自分が運転している車両13で急速充電スタンド12−1を利用して充電する場合には、運転席から見て、普通充電スタンド11−1が自分の車両13の左側にくるようにフロント部13aを先に駐車スペースに入れて駐車する必要があることが分かる。
【0041】
また、図4(B)の表示から、普通充電スタンド11−1を利用して充電する場合には、運転席から見て普通充電スタンド11−1が自分の車両13の右側にくるようにリア部13bを先に駐車スペースに入れて駐車する必要があることが分かる。
【0042】
上述した実施の形態によれば、普通充電スタンド11と急速充電スタンド12とが設置されている充電場所で充電を行う場合に、車両13のインレットの位置情報と、急速充電スタンド12と普通充電スタンド11の位置情報を用いて、充電に適した駐車位置及び駐車方向を車両13の運転者に知らせることができる。これにより、運転者が自分の車両のインレットの位置を知らなくとも、充電に適した位置及び方向に車両13を駐車させることができる。
【符号の説明】
【0043】
11 普通充電スタンド
12 急速充電スタンド
13 車両
14 普通インレット
15 急速インレット
21 駐車位置案内部
22 自車両情報記憶部
23 スタンド種別判別部
24、29 通信部
25 駐車方法判別部
26 推奨駐車方法合成部
27 駐車方法表示部
28 充電設備制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電場所における急速充電用充電装置と普通充電用充電装置の位置と充電装置の種類を示す充電設備情報とを取得する通信手段と、
車両の急速充電用充電口と普通充電用充電口の位置を示す充電口情報を記憶する自車両情報記憶手段と、
前記充電設備情報と前記充電口情報とに基づいて、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置に対する車両の駐車位置及び駐車方向を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定した前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置に対する車両の駐車位置及び駐車方向を地図上に表示する表示手段とを備える車両。
【請求項2】
前記通信手段は、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置の地図上の位置と充電装置の種類を示す前記充電設備情報を外部の装置から無線通信により取得する請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記特定手段は、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置の地図上の位置を示す地図情報を前記充電設備情報として取得し、取得した前記地図情報と、車両の前記急速充電用充電口と前記普通充電用充電口の位置を示す前記充電口情報を用いて車両の前後の向きと駐車位置を特定する請求項1又は2記載の車両。
【請求項4】
複数の充電装置が設置された充電場所における車両の駐車位置を案内する駐車位置案内方法であって、
前記充電場所における急速充電用充電装置と普通充電用充電装置の位置と充電装置の種類を示す充電設備情報を取得し、
車両の急速充電用充電口と普通充電用充電口の位置を示す充電口情報を取得し、
前記充電設備情報と前記充電口情報とに基づいて、前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置に対する車両の駐車位置及び駐車方向を特定し、
特定した前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置に対する車両の駐車位置及び駐車方向を地図上に表示して車両の駐車位置を案内する駐車位置案内方法。
【請求項5】
前記急速充電用充電装置と前記普通充電用充電装置の地図上の位置を示す地図情報を前記充電設備情報として取得し、取得した前記地図情報と、車両の前記急速充電用充電口と前記普通充電用充電口の位置を示す前記充電口情報を用いて車両の前後の向きと駐車位置を特定する請求項4記載の車両位置案内方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−257914(P2011−257914A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130969(P2010−130969)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】