説明

車両情報送信装置および車両

【課題】 車両情報送信装置が、リアルタイムで送信したい情報をより速やかに送信できるようにする。
【解決手段】 車両情報送信装置は、各種情報取得装置によって取得されたプローブ情報がリアルタイム送信用情報であるか否かを判定し(120)、さらに広域通信システムによる通信が可能か否かを判定し(130)、これらの判定に基づいて、プローブ情報がリアルタイム送信用情報であり、かつ広域通信システムによる通信が可能である場合に、その情報を広域通信で送信する(140)。また、プローブ情報が非リアルタイム送信用データである場合、その情報を、後に狭域通信で送信するため、記憶媒体に記憶させる(120→150)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置、走行速度、周囲の撮影画像等、自車両の情報を取得し、取得した車両情報をセンタに送信する車両情報送信装置が知られている。このような車両情報送信装置による情報の送信は、携帯パケット通信等の広域通信システムを用いることが一般的である。
【0003】
また、取得した情報を、一旦HDD(ハードディスクドライブ;以下同じ)に蓄積し、利用している通信システムの通信可能エリアに入った場合、センタから問い合わせがあった場合等の特定の場合に、その蓄積したデータをセンタに送信するようになっているものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001357490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の車両情報送信装置では、送信時に蓄積されている情報量が多い場合、リアルタイムで送信することが望ましいデータの送信が、他のデータの送信のために通信帯域が費やされることによって、遅れてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、車両情報を送信する車両情報送信装置が、リアルタイムで送信したい情報をより速やかに送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両の情報を取得する取得手段によって取得された車両情報がリアルタイム送信用情報であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定に基づいて、リアルタイム送信用情報を、非リアルタイム送信用情報より優先的に、情報を自車両外部に無線送信する送信手段に送信させる制御手段と、を備えたことを特徴とする車両情報送信装置である。
【0007】
このようになっているので、車両情報送信装置は、リアルタイム送信用情報を、非リアルタイム送信用情報より優先的に送信することにより、リアルタイムで送信したい情報をより速やかに送信できるようにすることができる。ここで、リアルタイム送信用情報とは、他の情報より優先して送信する情報をいう。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両情報送信装置において、前記制御手段は、リアルタイム送信用情報のうち、前記送信手段が未送信の情報を記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体に記憶させた前記リアルタイム送信用情報が基準量を超えている場合、その記憶媒体に記憶されているリアルタイム送信用情報より、新たに前記取得手段によって取得されたリアルタイム送信用情報を優先的に、前記送信手段に送信させることを特徴とする。
【0009】
このように、車両情報送信装置は、基準量を超えて蓄積されたリアルタイム送信用情報よりも、新たに取得されたリアルタイム送信用情報を優先して送信するので、リアルタイムで送信したい情報をより速やかに送信できるようにすることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両情報送信装置において、前記送信手段は、第1の通信システムで無線送信するための第1の送信手段と、前記第1の通信システムより通信エリアが狭い第2の通信システムで無線送信するための第2の送信手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1の送信手段が送信可能で、前記第2の送信手段が送信不能のとき、前記判定手段の判定に基づいて、リアルタイム送信用情報を前記第1の送信手段に送信させ、非リアルタイム送信用情報を、後に前記第2の送信手段に送信させるため、記憶媒体に記憶させることを特徴とする。
【0011】
このように、より通信エリアが広い第1の通信システムと、より通信エリアが狭い第2の通信システムを、車両情報送信装置が利用できる場合、第1の通信システムで送信可能で、第2の通信システムで送信不能のとき、リアルタイム送信用情報を第1の通信システムで送信し、非リアルタイム送信用情報を第2の通信システムで送信するために記憶媒体に記憶させることで、リアルタイム送信用情報をより持続的な送信が可能な通信システムで優先的に送信することができる。そして、非リアルタイム送信用情報は、後に第2の通信システムで送信可能となったときに送信されることになる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車両情報送信装置において、前記送信手段は、第1の通信システムで無線送信するための第1の送信手段と、前記第1の通信システムより通信エリアが狭くかつ通信速度が大きい第2の通信システムで無線送信するための第2の送信手段と、を有し、前記送信制御手段は、前記判定手段の判定に基づいて、新たに前記取得手段によって取得されたリアルタイム送信用情報を前記第1の送信手段に送信させ、前記記憶媒体に記憶させた前記リアルタイム送信用情報が基準量を超えている場合、その記憶媒体に記憶されているリアルタイム送信用情報を、前記第1の送信手段でなく前記第2の送信手段に送信させることを特徴とする。
【0013】
このように、より通信エリアが広く通信速度が小さい第1の通信システムと、より通信エリアが狭く通信速度が大きい第2の通信システムを、車両情報送信装置が利用できる場合、新たに取得されたリアルタイム送信用情報を第1の通信システムで送信し、基準量を超えて蓄積されたリアルタイム送信用情報は、第1の通信システムでなく第2の通信システムで送信するので、新たに取得されたリアルタイム送信用情報の送信が古いリアルタイム送信用情報によって遅れる可能性が低減される。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両情報送信装置において、前記制御手段は、車両のエンジンが停止したことに基づいて、前記記憶媒体に記憶させた前記リアルタイム送信用情報または前記非リアルタイム送信用情報を、前記第2の送信手段に送信させることを特徴とする。
【0015】
このようになっているので、車両停止時に未送信のまま残っているリアルタイム送信用情報または非リアルタイム送信用情報を送信することができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両情報送信装置を備えた車両である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両情報送信装置が用いられるシステムの全体構成を概念的に示す。この図1においては、車両1〜3は、携帯パケット通信等の広域通信システムの基地局4と接続することで、広域通信網を介して情報収集センタ7にプローブ情報を送信することができる。また車両1〜3は、無線LAN、DSRC等の狭域通信システムの路上機5と接続することで、狭域通信網を介して情報収集センタ7にプローブ情報を送信することができる。
【0018】
情報収集センタ7は、複数の車両1〜3からこれらのプローブ情報を受け、これに基づいて各種統計情報を作成し、それを地図データ、交通渋滞データ等に反映させる。
【0019】
なお、広域通信システムは、狭域通信システムよりも通信速度が低く、通信可能エリアは広い。例えば、図1においては、狭域通信路上機5の通信可能エリアは曲線6の内部のみとなっているのに対し、広域通信基地局4の通信可能エリアは車両1、車両2、車両3の位置を含んでいる。
【0020】
ここで、プローブ情報(車両情報に相当する)とは、車両の状態や車両の周囲の状態についての情報である。この車両1〜3は、プローブ情報を、車両に接続されている各種情報取得装置(取得手段に相当する)から取得し、もしくはそれら各種情報取得装置からの情報を加工することによって取得する。
【0021】
このようなプローブ情報を取得して、そのプローブ情報を情報収集センタ7に無線送信するために、車両1〜3が搭載する装置群の構成を、図2に示す。この図のように、車両1〜3は、車両情報送信装置10、広域通信装置20、狭域通信装置30、GPS受信器40、ジャイロセンサ50、車載カメラ60等を有している。
【0022】
広域通信装置20は、車両情報送信装置10から受けた車両情報のデータに対して、広域通信システムの規格に則った所定のD/A変換、増幅、変調、周波数変換等を行い、その結果のデータを図示しない広域通信用アンテナに出力することで、通信可能エリア内の広域通信基地局4に、情報収集センタ7宛のプローブ情報を送信する。また、この広域通信用アンテナが受けた広域通信基地局4からの信号に対して、広域通信システムの規格に則った所定の周波数変換、増幅、復調、A/D変換等を行い、その結果のデータを車両情報送信装置10に出力する。
【0023】
狭域通信装置30は、車両情報送信装置10から受けた車両情報のデータに対して、狭域通信システムの規格に則った所定のD/A変換、増幅、変調、周波数変換等を行い、その結果のデータを図示しない狭域通信用アンテナに出力することで、通信可能エリア内の狭域通信路上機5に、情報収集センタ7宛のプローブ情報を送信する。また、この狭域通信用アンテナが受けた狭域通信路上機5からの信号に対して、狭域通信システムの規格に則った所定の周波数変換、増幅、復調、A/D変換等を行い、その結果のデータを車両情報送信装置10に出力する。
【0024】
GPS受信器40は、GPS衛星からの信号に基づいて自車両の現在位置を特定し、その特定した位置の情報を車両情報送信装置10に出力する装置である。
【0025】
ジャイロセンサ50は、自車両の回転角等の姿勢変化量の情報を出力して車両情報送信装置10に出力する装置である。
【0026】
車載カメラ60は、自車両の周囲を撮影し、その撮影画像データを車両情報送信装置10に出力する装置である。
【0027】
これらGPS受信器40、ジャイロセンサ50、車載カメラ60が、上記の各種情報取得装置に相当する。また、情報取得装置としては、これら以外にも、ブレーキ情報を取得するブレーキセンサ、車両の加速を検出する加速度センサ、車速を検出する車速センサ等があってもよい。また、ECU(Electric Control UnitもしくはEngine Control Unit)を接続してもよい。ECUを接続した場合には、ブレーキ情報、車速情報、加速度情報をECUよりえることが可能であり、ECUの故障診断情報を取得することできる。
【0028】
車両情報送信装置10は、HDD11、CPU12、RAM13、ROM14を有しており、CPU12は、HDD11やROM14に記憶されたプログラムを読み出して実行し、その実行するプログラムの内容および上記の各種情報取得装置からの情報に基づいた作動を行う。そしてこの作動中、必要に応じてHDD11、RAM13に対してデータの書き込みの制御を行い、またHDD11、RAM13、ROM14に対してデータの読み出しの制御を行い、また広域通信装置20、狭域通信装置30に対してプローブ情報を情報収集センタ7宛として出力する。またCPU12は、イグニッション線からの信号に基づいて、車両のエンジンのオン・オフを検出することができる。
【0029】
以下、このCPU12が実行するプログラム100〜300について説明する。図3は、プログラム100のフローチャートである。CPU12は、車両情報送信装置10の作動中、このプログラム100の実行を繰り返す。
【0030】
CPU12は、まずステップ110で、プローブ情報を取得、作成する。例えば、GPS受信器40から受けた現在位置情報およびジャイロセンサ50から受けた車両の向きの情報に基づいて、現在自車両がどの位置でどの方向を向いているかの現在位置・方向情報を特定し、それをプローブ情報とする。また例えば、車載カメラ60から受けた撮影画像に対して、圧縮等の所定の加工を行った結果をプローブ情報とする。
【0031】
続いてステップ120で、ステップ110で取得、作成したプローブ情報が、すぐに送信すべき情報であるか否か、すなわちリアルタイム送信用情報であるか否かを判定する。
【0032】
プローブ情報のうち、どの情報がリアルタイム送信用情報でありどの情報が非リアルタイム送信用情報であるかは、そのプローブ情報の情報収集センタ7における用途によってまちまちであるが、例えば本実施形態においては、画像データ等の大容量のデータは、必ずしもすぐに送信しなくともよい非リアルタイム送信用データであり、現在位置・方向情報等、画像データに比べてデータ量が少なく、かつ時間に依存するようなデータは、リアルタイム送信用データであるとする。
【0033】
そのプローブ情報がリアルタイム送信用データである場合、続いてステップ130を実行し、非リアルタイム送信用データである場合、続いてステップ150を実行する。
【0034】
ステップ130では、広域通信網でプローブデータの送信が可能か否かを判定する。具体的には、広域通信装置20が広域通信基地局4と通信可能か否かを、広域通信装置20が広域通信基地局4から信号を受けるか否か等に基づいて判定する。広域通信網でプローブデータの送信が可能な場合続いてステップ140を実行し、広域通信網でプローブデータの送信が可能でない場合、続いてステップ150を実行する。
【0035】
ステップ140では、広域通信システムで当該プローブ情報を送信する。具体的には、当該プローブ情報に、情報収集センタ7宛てである旨の情報を付加し、広域通信装置20に出力する。
【0036】
ステップ150では、当該プローブ情報の蓄積を行う。具体的には、当該プローブ情報を、HDD11に記憶させる。なお、その記憶制御の際には、当該プローブ情報がリアルタイム送信用であるか否かがわかるような方法で、例えば当該プローブ情報がリアルタイム送信用であるか否かによってHDD11中の格納位置を分けて、HDD11に記憶させる。
【0037】
なお、CPU12は、このプログラムと並行して、現在狭域通信網で通信可能か否かを判定し、通信可能である場合、HDD11に蓄積された非リアルタイム送信用情報を狭域通信装置30を用いて送信する処理を実行するようになっている。したがって、ステップ150の処理は、非リアルタイム送信用情報を、後に狭域通信装置30に送信させるため、HDD11に記憶させる処理である。なお、狭域通信網で通信可能か否かは、狭域通信装置30が狭域通信基地局4から信号を受けるか否か等に基づいて判定する。
【0038】
ステップ140、150の後、このプログラム100の1回分の実行が終了する。
【0039】
このようなプログラム100をCPU12が実行することで、車両情報送信装置10は、各種情報取得装置によって取得されたプローブ情報がリアルタイム送信用情報であるか否かを判定し(ステップ120参照)、さらに広域通信システムによる通信が可能か否かを判定し(ステップ130参照)、これらの判定に基づいて、プローブ情報がリアルタイム送信用情報であり、かつ広域通信システムによる通信が可能である場合に、そのリアルタイム送信用情報を直ちに広域通信装置20に送信させる(ステップ140参照)。また、プローブ情報が非リアルタイム送信用データである場合、その非リアルタイム送信用情報を、後に狭域通信装置30に送信させるため、HDD11に記憶させる(ステップ120→ステップ150参照)。また、プローブ情報がリアルタイム送信用情報であり、かつ広域通信システムによる通信が不可能である場合には、そのリアルタイム送信用情報を、直ちに広域通信装置20に送信させず、未送信のリアルタイム送信用情報として、HDD11に記憶させる(ステップ130→ステップ150参照)。
【0040】
このように、車両情報送信装置10は、リアルタイムで送信すべきリアルタイム送信用情報は直ちに広域通信システムを用いて送信し、非リアルタイム送信用情報は、広域通信システムでは送信せず、HDD11に記憶させることで、リアルタイム送信用情報を、非リアルタイム送信用情報より優先的に送信する。したがって、リアルタイムで送信したい情報をより速やかに送信できるようにすることができる。
【0041】
次に、このプログラム100と並行してCPU12が繰り返し実行するプログラム200について説明する。
【0042】
CPU12は、まずステップ210で、蓄積データがあるか否かを判定する。ここでいう蓄積データとは、プログラム100のステップ150において、HDD11に記憶され、現在も残っている、リアルタイム送信用情報をいう。蓄積データがあると判定するまで、このステップ210の実行を繰り返し、蓄積データがあると判定すると、続いてステップ220を実行する。
【0043】
ステップ220では、その蓄積データが所定の許容データ量(基準量に相当する)以内であるか否かを判定する。この所定の許容データ量は、その量のデータを広域通信システムを用いて送信した場合に、他のデータの送信の妨げになる程度の量としてあらかじめ設定される。蓄積データが所定の許容データ量以内である場合、続いてステップ240を実行し、蓄積データが所定の許容データ量を超えている場合、続いてステップ230を実行する。
【0044】
ステップ230では、狭域通信網で蓄積データを送信可能か否かを判定する。通信可能な場合、続いてステップ250で、狭域通信装置30に情報収集センタ7へ蓄積データを送信させる。通信可能でない場合、蓄積データの送信を行わずに、続いてステップ210を実行する。
【0045】
ステップ240では、広域通信網で蓄積データを送信可能か否かを判定する。通信可能な場合、続いてステップ250で、広域通信装置20に情報収集センタ7へ蓄積データを送信させる。通信可能でない場合、蓄積データの送信を行わずに、続いてステップ210を実行する。
【0046】
ステップ250の後、プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0047】
以上のようなプログラム200をCPU12が実行することで、車両情報送信装置10は、HDD11に記憶させたリアルタイム送信用情報が基準量を超えているか否かを判定し(ステップ220参照)、超えている場合、そのHDD11に記憶されているリアルタイム送信用情報を、広域通信装置20ではなく狭域通信装置30に送信させる(ステップ230→ステップ250参照)。また、超えていない場合、そのHDD11に記憶されているリアルタイム送信用情報を、広域通信装置20に送信させる(ステップ240→ステップ250参照)。
【0048】
このようになっていること、および、プログラム100の実行によって、新たに取得されたリアルタイム送信用情報は広域通信装置20によって送信されることにより、新たに取得されたリアルタイム送信用情報の送信が古いリアルタイム送信用情報の送信によって遅れる可能性が低減される。このように、車両情報送信装置10は、基準量を超えて蓄積された古いリアルタイム送信用情報を狭域通信装置30で送信することで、この古いリアルタイム送信用情報よりも、新たに取得されたリアルタイム送信用情報を優先して送信するので、リアルタイムで送信したい情報をより速やかに送信できるようにすることができる。
【0049】
なお、図1の狭域通信路上機5は、ガソリンスタンド、自宅、店舗に設置されている場合が多いので、車両1〜3は狭域通信エリア6内において停止し、エンジンをオフにする場合が多いと考えられる。図5にフローチャートとして示すプログラム300は、このような場合に、HDD11に蓄積されているデータを情報収集センタ7にまとめて送信するためのプログラムである。
【0050】
CPU12は、イグニッション線からの信号に基づいて、自車両のエンジンが停止したことを検出すると、このプログラム300の実行を開始し、まずステップ310で、狭域通信網で送信可能か否かを判定する。送信可能な場合、続いてステップ320を実行し、送信可能でない場合、続いてステップ340を実行する。
【0051】
ステップ320では、蓄積データがあるか否かを判定する。ここでいう蓄積データとは、プログラム100のステップ150において、HDD11に記憶され、現在も残っている、リアルタイム送信用情報および非リアルタイム送信用情報をいう。蓄積データがある場合、続いてステップ330を実行し、ない場合、続いてステップ340を実行する。
【0052】
ステップ330では、送信処理を行う。具体的には、狭域通信装置30を用いて蓄積データを全て情報収集センタ7に送信する。ステップ330に続いては、ステップ340を実行する。
【0053】
ステップ340では、車両情報送信装置10の電源オフのための処理を行う。これによって車両情報送信装置10の作動は停止する。
【0054】
以上のようなプログラム300をCPU12が実行することで、車両情報送信装置10は、自車両のエンジン停止時に、狭域通信システムで通信可能であり(ステップ310参照)、かつ、蓄積データがあれば(ステップ320参照)、車両情報送信装置10の電源をオフとする(ステップ340参照)前に、その蓄積データを情報収集センタ7に送信する(ステップ330参照)。
【0055】
このようになっているので、車両情報送信装置10は、車両停止時に未送信のまま残っているリアルタイム送信用情報および非リアルタイム送信用情報を送信することができる。
【0056】
なお、上記の実施形態において、広域通信装置20が第1の送信手段に相当する。また、狭域通信装置30が第2の送信手段に相当する。また、広域通信装置20および狭域通信装置30を合わせたものが、送信手段に相当する。
【0057】
また、CPU12が、プログラム100のステップ120を実行することで、判定手段として機能する。
【0058】
また、CPU12が、プログラム100のステップ130〜150、プログラム200、プログラム300を実行することで、制御手段として機能する。
【0059】
また、上記の実施形態では、リアルタイム送信用データは広域通信装置20を用いて送信しているが、広域通信装置20と狭域通信装置30の両方用いて送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の車両情報送信装置が用いられるシステムの概念図である。
【図2】車両1に搭載される車両情報送信装置10等のハードウェア構成を示す図である。
【図3】CPU12が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】CPU12が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図5】CPU12が実行するプログラム100のフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1〜3…車両、4…広域通信基地局、5…狭域通信路上機、6…狭域通信エリア、
7…情報収集センタ、10…車両情報送信装置、11…HDD、12…CPU、
13…RAM、14…ROM、20…広域通信装置、30…狭域通信装置、
40…GPS受信器、50…ジャイロセンサ、60…車載カメラ、
100〜300…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の情報を取得する取得手段によって取得された車両情報がリアルタイム送信用情報であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定に基づいて、リアルタイム送信用情報を、非リアルタイム送信用情報より優先的に、情報を自車両外部に無線送信する送信手段に送信させる制御手段と、を備えたことを特徴とする車両情報送信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、リアルタイム送信用情報のうち、前記送信手段が未送信の情報を記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体に記憶させた前記リアルタイム送信用情報が基準量を超えている場合、その記憶媒体に記憶されているリアルタイム送信用情報より、新たに前記取得手段によって取得されたリアルタイム送信用情報を優先的に、前記送信手段に送信させることを特徴とする請求項1に記載の車両情報送信装置。
【請求項3】
前記送信手段は、第1の通信システムで無線送信するための第1の送信手段と、前記第1の通信システムより通信エリアが狭い第2の通信システムで無線送信するための第2の送信手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第1の送信手段が送信可能で、前記第2の送信手段が送信不能のとき、前記判定手段の判定に基づいて、リアルタイム送信用情報を前記第1の送信手段に送信させ、非リアルタイム送信用情報を、後に前記第2の送信手段に送信させるため、記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の車両情報送信装置。
【請求項4】
前記送信手段は、第1の通信システムで無線送信するための第1の送信手段と、前記第1の通信システムより通信エリアが狭くかつ通信速度が大きい第2の通信システムで無線送信するための第2の送信手段と、を有し、
前記送信制御手段は、前記判定手段の判定に基づいて、新たに前記取得手段によって取得されたリアルタイム送信用情報を前記第1の送信手段に送信させ、前記記憶媒体に記憶させた前記リアルタイム送信用情報が基準量を超えている場合、その記憶媒体に記憶されているリアルタイム送信用情報を、前記第1の送信手段でなく前記第2の送信手段に送信させることを特徴とする請求項2に記載の車両情報送信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、車両のエンジンが停止したことに基づいて、前記記憶媒体に記憶させた前記リアルタイム送信用情報または前記非リアルタイム送信用情報を、前記第2の送信手段に送信させることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両情報送信装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両情報送信装置を備えた車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−65391(P2006−65391A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243838(P2004−243838)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】