説明

車両用エキストラクタ構造

【課題】 リヤオーバハングの短縮化された車両レイアウトとエキストラクタ性能(排気、臭い、NVHに対する性能)との両立が車体剛性を確保しながら達成でき、見栄えもよい車両用エキストラクタ構造の提供を目的とする。
【解決手段】車体前部に配設されたエンジンの排気管17が車体後部を形成するリヤエンド部14に隣接する後方位置まで延設された車両の車室内の空気を車室外に排気する車両用エキストラクタ構造であって、リヤエンド部14近傍のリヤフェンダ22にはリヤコンビネーションランプが配設され、リヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部28に排気用開口部31を設けると共に、排気用開口部31をリヤコンビネーションランプで隠蔽したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の車室内の空気を車室外に排気するような車両用エキストラクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドア開閉時の乗員の快適性確保、並びに空調風の換気を目的として車両には車室内の空気を排出するエキストラクタ構造が採用されている。
【0003】
この車両用エキストラクタ(extractor)構造には次のような性能が要求される。
【0004】
すなわち、車室外から車室内へ空気が侵入しないこと、ロードノイズ等の音が車室内に伝播しないこと、排気管から放出される排気ガス等の臭いが車室内に侵入しないこと、水が車室内に侵入しないことを確保しつつ、車室内の空気および空調風の換気が可能なことが要求される。
【0005】
従来、上述例の車両用エキストラクタ構造としては特許文献1、特許文献2に記載の構造がある。
特許文献1に記載の構造は、リヤクオータパネルから下方に延びるロアパネルを設け、このロアパネルの後輪後方で、かつバンパサイドと対応する部位に車室外側開口を形成し、この車室外側開口をトノカバーで形成される空気流通経路を介してリアフロアのスリットに連通させ、このスリットを車室内側開口に設定したもので、車室内の空気はスリット、空気流通経路、車室外側開口を介して換気される。
【0006】
しかし、この従来構造においては、車室外側開口の開口位置が後輪および排気管に近いので、ロードノイズや排気音等の音が車室内に伝播されやすく、また排気ガスの臭いが車室内に侵入しやすいうえ、ショートオーバハングの車両に採用する場合には、車体剛性との関係上、上述の車室外側開口の形成が困難となる問題点があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の構造は、リヤコーナ部においてリヤクオータパネルとリヤフェンダパネルとの間に、上下方向に閉断面が形成されるようにレインフォースメントを接合し、上述のリヤクオータパネルには車室内と閉断面内部とを連通する車室内側開口を形成し、この車室内側開口よりも下方にオフセットした位置で、後輪の後方かつバンパサイドと対応する部分においてリヤフェンダパネルおよびレインフォースメントには車室外と閉断面内部とを連通する車室外側開口を形成したもので、車室内の空気は、車室内側開口、閉断面内部、車室外側開口を介して換気される。
【0008】
しかし、この従来構造においても、車室外側開口の開口位置が後輪および排気管に近いので、ロードイズや排気音等の音が車室内に伝播されやすく、また排気ガスの臭いが車室内に侵入しやすいうえ、ショートオーバハングの車両に採用する場合には、車体剛性との関係上、上述の車室外側開口の形成が困難となる問題点があった。
【特許文献1】特開2000−280828号公報
【特許文献2】特開平6−144289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、リヤエンド部近傍のリヤフェンダにリヤコンビネーションランプを配設し、このリヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部にエキストラクタ用の排気用開口部を設け、該開口部をリヤコンビネーションランプで隠蔽することにより、リヤオーバハングの短縮化された車両レイアウトとエキストラクタ性能(排気、臭い、NVHに対する性能)との両立が車体剛性を確保しながら達成でき、見栄えもよい車両用エキストラクタ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両用エキストラクタ構造は、車体前部に配設されたエンジンの排気管が車体後部を形成するリヤエンド部に隣接する後方位置まで延設された車両の車室内の空気を車室外に排気する車両用エキストラクタ構造であって、上記リヤエンド部近傍のリヤフェンダにはリヤコンビネーションランプが配設され、上記リヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部に排気用開口部を設けると共に、該排気用開口部を上記リヤコンビネーションランプで隠蔽したものである。
【0011】
上記構成によれば、車両の車室内の空気は排気用開口部から流入し、ランプ取付け部とリヤコンビネーションランプとの間の隙間を介して車外へ排出される。
【0012】
特に、リヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部に排気用開口部を設けたので、リヤオーバハングの短縮が阻害されない。また、ボディ構造を可及的変更することなくエキストラクタ構造を達成することができる。
【0013】
さらに排気用開口部は排気管から上方に離間しているので、排気ガス臭、排気音の車室内への侵入を防止することができると共に、従来のバンパサイド対向部に開口を設けるものと比較して後輪からも離間しているので、ロードノイズ等の音が車室内へ伝播されるのを防止することができる。
【0014】
そのうえ、上記排気用開口部をリヤコンビネーションランプで隠蔽するので、水侵入を防止することができると共に、見栄えもよくなる。
要するに、リヤオーバハングの短縮化された車両レイアウトとエキストラクタ性能(排気、臭い、NVHに対する性能)との両立が車体剛性を確保しながら達成でき、見栄えも良好となる。
【0015】
なお、NVHはnoise(ノイズ)、vibration(振動)、harshness(ハーシュネス、連成振動)を意味するものである。
この発明の一実施態様においては、上記リヤコンビネーションランプは車幅方向端部に左右一対設けられ、左右一対のリヤコンビネーションランプのうち上記排気管から離間した遠い側に上記排気用開口部が形成されたものである。
【0016】
上記構成によれば、排気用開口部を排気管から離間した遠い側に設けたので、排気音、排気臭が車室内へ侵入するのをより一層確実に防止することができる。
この発明の一実施態様においては、上記排気用開口部はリヤコンビネーションランプのランプ交換用の孔に設定されたものである。
【0017】
上記構成によれば、ボディ構造を可及的変更することなく、既存のランプ交換用の孔を有効利用して、エキストラクタ構造を確保することができる。
この発明の一実施態様においては、上記リヤフェンダとリヤコンビネーションランプとの間に所定容積のチャンバが形成され、車室内の空気は該チャンバを介して排出されるものである。
【0018】
上記構成によれば、上記チャンバの容積により、水や音の侵入を防止することができる。
この発明の一実施態様においては、上記排気用開口部にはエキストラクタユニットが設けられ、該エキストラクタユニットがリヤコンビネーションランプのランプ交換用の開口部カバーを兼ねるものである。
【0019】
上記構成によれば、エキストラクタユニットで上記開口部カバーを兼用するので、部品点数の削減と、組付け工数の低減とを図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記エキストラクタユニットには、車室内から車室外への空気の排出を許容し、車室外から車室内への空気の侵入を遮断するワンウェイ構造の遮断弁が設けられたものである。
【0020】
上記構成によれば、ワンウェイ構造の遮断弁で車室外から車室内への空気の侵入を遮断するので、臭い、音、ノイズ音に対するエキストラクタ性能の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、リヤエンド部近傍のリヤフェンダにリヤコンビネーションランプを配設し、このリヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部にエキストラクタ用の排気用開口部を設け、該開口部をリヤコンビネーションランプで隠蔽したので、リヤオーバハングの短縮化された車両レイアウトとエキストラクタ性能(排気、臭い、NVHに対する性能)との両立が車体剛性を確保しながら達成でき、見栄えも良好となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
リヤオーバハングの短縮化された車両のレイアウトと、エキストラクタ性能との両立が車体剛性を確保しながら達成でき、見栄えも良好となるという目的を、リヤエンド部近傍のリヤフェンダにリヤコンビネーションランプを配設し、このリヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部にエキストラクタ用の排気用開口部を設け、該開口部をリヤコンビネーションランプで隠蔽するという構成にて実現した。
【実施例】
【0023】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用エキストラクタ構造を示すが、まず、図1を参照して車体構造について概略的に説明する。
【0024】
フロアパネル1の中央部には車両の前後方向に延びるトンネル部2が一体または一体的に形成され、トンネル部2と左右のサイドシル3との間には車幅方向に延びるクロスメンバ4が設けられている。
【0025】
上述のサイドシル3はサイドシルインナとサイドシルアウタとを接合して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を有する車体剛性部材である。
車体側部には、上述のサイドシル3と、ヒンジピラー5と、フロントピラー6と、ルーフサイド部7とセンタピラー8とで囲繞されたフロントドア開口9が形成され、このフロントドア開口9にはフロントドア(図示せず)が開閉自在に取付けられると共に、サイドシル3と、センタピラー8と、ルーフサイド部7と、クオータピラー10とで囲繞されたリヤドア開口11が形成され、このリヤドア開口11にはリヤドア(図示せず)が開閉自在に取付けられる。
【0026】
車体後部には、リヤヘッダ部12と、左右のリヤピラー13,13と、リヤエンド部14とで囲繞された荷室開口15が形成され、この荷室開口15にはハッチゲート16(図2〜図4参照)が開閉可能に取付けられる。
【0027】
さらに、車体前部に配設されたエンジン(図示せず)の排気管17が、車体後部を形成する上述のリヤエンド部14に隣接する後方の左側位置まで延設されている。なお、図中18はルーフ、19はリヤフロアである。
【0028】
次に、図2〜図4を参照して車両用エキストラクタ構造について説明する。
図2はエキストラクタ構造を備えた車両の背面図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は図2のB−B線矢視断面図である。
【0029】
図3、図4に示すように、上述のハッチゲート16はハッチゲートアウタパネル20とハッチゲートインナパネル21とを備えている。
一方、図2〜図4に示すようにリヤエンド部14近傍のリヤフェンダ22には車幅方向端部に位置するように左右一対のリヤコンビネーションランプ23,23が設けられている。
【0030】
これらの各リヤコンビネーションランプ23,23は図3、図4にその一方側の構造を示すように、リヤコンビレンズ24と、レンズボディ25と、ランプ26と、ハーネス27とを備えている。
【0031】
上述のリヤフェンダ22におけるリヤコンビネーションランプ23と対応する部分は車両前方側に凹状に窪む車体側のランプ取付け部28が一体に形成され、このランプ取付け部28にリヤコンビネーションランプ23が取付けられている。
【0032】
上述のリヤフェンダ22の車両内方側にはリヤサイドインナパネル29が接合され、このリヤサイドインナパネル29とランプ取付け部28との接合構造により、図3、図4に示す如き閉断面30が形成されて、車体剛性を確保するように構成している。
【0033】
図2に示す左右一対のリヤコンビネーションランプ23,23のうち排気管17から離間した遠い側、この実施例では右側において上述の車体側のランプ取付け部28には図1、図3、図4にエキストラクタ用の排気用開口部31が設けられている。
【0034】
この排気用開口部31はリヤコンビネーションランプ23のランプ26交換用の孔をいわゆるサービスホールを有効利用して設けられたものである。そして、この排気用開口部31はリヤコンビネーションランプ23により車外側から目視不可となるように隠蔽されている。
【0035】
また、上述の排気用開口部31には、リヤコンビネーションランプ23のランプ26交換用の開口部カバーを兼ねるエキストラクタユニット32が車室内に出っ張らないように、かつ着脱可能に取付けられている。
【0036】
すなわち、図3、図4、図5に示すように、リヤサイドインナパネル29の車室内側に位置するトリム部材33には、エキストラクタユニット32の形状に対応した開口33aが形成される一方、排気用開口部31の口縁のボディパネルのリヤ側面には上下2箇所にナット34,34を溶接手段にて接合固定し、トリム部材33の開口33aを利用して、排気用開口部31にエキストラクタユニット32を車室内側から配設した後に、2本のボルト35,35を車室内側から上述のナット34,34に締付け、該エキストラクタユニット32を取付け、取外し自在に構成したものである。
【0037】
ここで、エキストラクタユニット32の取付け後において、該エキストラクタユニット32のフロント側の面とトリム部材33の車室内側の面とが略面一状になるように形成されいている。
【0038】
また、必要に応じて上述のエキストラクタユニット32のフランジ部リヤ側面と、排気用開口部31のフロント側面との間には、パッキング等のシール部材やベゼルを介設してもよい。
【0039】
上述のエキストラクタユニット32は図6に示すように構成している。
つまり、上下の弁室36,37とフランジ部38とを備えたハウジング39を設け、フランジ部38には上述のボルト35を挿通させるボルト挿通孔40,40を形成する一方、ハウジング39における弁室36,37と対応する部分には複数の通気孔41と横棧42とを交互に設けて、格子構造に形成されいる。
【0040】
しかも、上述の弁室36,37内にはゴム等により構成され、可撓性を有するシート部材43から成る遮断弁44をそれぞれ設けている。この遮断弁44は、車室内から車室外への空気の排出を許容し、車室外から車室内への空気の侵入を遮断するワンウェイ構造(いわゆる逆止弁)に形成されている。
【0041】
また遮断弁44を可撓性のシート部材43にて構成することで、エキストラクタユニット32の構造の簡略化を図って、類似車種で遮断弁構造の共用化が図れるように構成している。
【0042】
さらにシート部材43のフロント側に上述の通気孔41と横棧42とから成る格子構造を設けることで、シート部材43がフロント側にオーバランすることを防止して、遮断弁44の正確な動作を確保するように構成している。
【0043】
図6においてシート部材43で通気孔41を閉塞した同図の実線状態下にあっては、車室外から車室内への空気の侵入が遮断され、シート部材43が同図の仮想線に示すように通気孔41を開放した状態下にあっては、車室内の空気は通気孔41を介して弁室36,37に流入した後に、図3、図4に矢印で示すように、リヤフェンダ22とリヤコンビネーションランプ23との間に形成された所定容積のチャンバ45内を迷路状に流動して、リヤコンビネーションランプ23とボディとの間のクリアランス46から車室外へ放出される。
【0044】
なお、図2、図4において、47はリヤエンド部14を車室外側から覆うリヤバンパ、48は後輪である。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車室内方を示し、矢印OUTは車室外方を示すものである。
【0045】
このように構成した車両用エキストラクタ構造の作用を以下に説明する。
ドア開閉時に乗員の快適性を確保する目的で、車室内の空気を排気する場合、または、空調風を換気する場合、車室内の空気は図6に示すエキストラクタユニット32のシート部材43を押し開いて弁室36,37に流入した後に、図3、図4に示すチャンバ45内を迷路状に流動して、クリアランス46から車室外に排気される。
【0046】
一方、車室外から車室内へ空気が侵入しようとする場合、遮断弁44のシート部材43が通気孔41を閉塞することで、斯る空気の侵入を遮断する。この結果、排気ガス臭などの臭い、ロードノイズや排気音等の音、また水侵入を良好に防止することができる。
【0047】
このように、図1〜図6で示した実施例の車両用エキストラクタ構造は、車体前部に配設されたエンジンの排気管17が車体後部を形成するリヤエンド部14に隣接する後方位置まで延設された車両の車室内の空気を車室外に排気する車両用エキストラクタ構造であって、上記リヤエンド部14近傍のリヤフェンダ22にはリヤコンビネーションランプ23が配設され、上記リヤコンビネーションランプ23が取付けられる車体側のランプ取付け部28に排気用開口部31を設けると共に、該排気用開口部を上記リヤコンビネーションランプ23で隠蔽したものである。
【0048】
この構成によれば、車両の車室内の空気は排気用開口部31から流入し、ランプ取付け部28とリヤコンビネーションランプ23との間の隙間(クリアランス46参照)を介して車外へ排出される。
【0049】
特に、リヤコンビネーションランプ23が取付けられる車体側のランプ取付け部28に排気用開口部31を設けたので、リヤオーバハングの短縮が阻害されない。また、ボディ構造を可及的変更することなくエキストラクタ構造を達成することができる。
【0050】
さらに排気用開口部31は排気管17から上方に離間しているので、排気ガス臭、排気音の車室内への侵入を防止することができると共に、従来のバンパサイド対向部に開口を設けるものと比較して後輪48からも離間しているので、ロードノイズ等の音が車室内へ伝播されるのを防止することができる。
【0051】
そのうえ、上記排気用開口部31をリヤコンビネーションランプ23で隠蔽するので、水侵入を防止することができると共に、見栄えもよくなる。
要するに、リヤオーバハングの短縮化された車両レイアウトとエキストラクタ性能(排気、臭い、NVHに対する性能)との両立が車体剛性を確保しながら達成でき、見栄えも良好となる。
【0052】
また、上記リヤコンビネーションランプ23は車幅方向端部に左右一対設けられ、左右一対のリヤコンビネーションランプ23,23のうち上記排気管17から離間した遠い側(この実施例では右側)に上記排気用開口部31が形成されたものである。
【0053】
この構成によれば、排気用開口部31を排気管17から離間した遠い側に設けたので、排気音、排気臭が車室内へ侵入するのをより一層確実に防止することができる。
【0054】
さらに、上記排気用開口部31はリヤコンビネーションランプ23のランプ26交換用の孔に設定されたものである。
この構成によれば、ボディ構造を可及的変更することなく、既存のランプ交換用の孔(いわゆるサービスホール)を有効利用して、エキストラクタ構造を確保することができる。
【0055】
しかも、上記リヤフェンダ22とリヤコンビネーションランプ23との間に所定容積のチャンバ45が形成され、車室内の空気は該チャンバ45を介して排出されるものである。
【0056】
この構成によれば、上記チャンバ45の容積により、水や音の侵入を防止することができる。
また、上記排気用開口部31にはエキストラクタユニット32が設けられ、該エキストラクタユニット32がリヤコンビネーションランプ23のランプ26交換用の開口部カバーを兼ねるものである。
【0057】
この構成によれば、エキストラクタユニット32で上記開口部カバーを兼用するので、部品点数の削減と、組付け工数の低減とを図ることができる。
さらに、上記エキストラクタユニット32には、車室内から車室外への空気の排出を許容し、車室外から車室内への空気の侵入を遮断するワンウェイ構造の遮断弁44が設けられたものである。
【0058】
この構成によれば、ワンウェイ構造の遮断弁44で車室外から車室内への空気の侵入を遮断するので、臭い、音、ノイズ音に対するエキストラクタ性能の向上を図ることができる。
【0059】
加えて、実施例で示したように上述の遮断弁44が、可撓性を有するシート部材43を備える構造と成すと、この可撓性のシート部材43にてシンプルかつ安価な遮断弁44を構成することができ、類似車種において遮断弁構造を共用化することもできる。
【0060】
図7は車両用エキストラクタ構造の他の実施例を示すものである。この図7に示す実施例においては、リヤコンビネーションランプ23とリヤフェンダ22との間のクリアランス46(図4参照)がほぼゼロになるように、レンズボディ25にはリヤコンビレンズ24と面一状になる延長部25aが一体形成され、この延長部25aに排気用のスリット49を開口形成して、このスリット49から車室内の空気を車外側へ放出すべく構成したものである。
【0061】
このように構成すると、スリット49の開口面積設定の自由度が向上すると共に、デザイン性の向上を図ることができる。なお、図7に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図7において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0062】
図8は車両用エキストラクタ構造のさらに他の実施例を示すものである。図4で示した先の実施例においてはトリム部材33とエキストラクタユニット32とを、ほぼ面一状と成したが、図8に示すこの実施例においては、トリム部材33でリヤサイドインナパネル29およびエキストラクタユニット32を覆うと共に、このトリム部材33のエキストラクタユニット32と対向する部分には、複数のスリット50…をもった着脱部33Aを設け、この着脱部33Aをトリム部材33に対して取付け、取外し可能に構成したものである。
【0063】
このように構成すると、車室内側からの見栄えの向上を図ることができる。なお、図8に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例と同様であるから、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の車両用エキストラクタ構造を備えた車両の斜視図。
【図2】車両の背面図。
【図3】図2のA−A線矢視断面図。
【図4】図2のB−B線に沿う要部断面図。
【図5】エキストラクタユニットの取付け構造を示す斜視図。
【図6】エキストラクタユニットの断面図。
【図7】車両用エキストラクタ構造の他の実施例を示す断面図。
【図8】車両用エキストラクタ構造のさらに他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
【0065】
14…リヤエンド部
17…排気管
22…リヤフェンダ
23…リヤコンビネーションランプ
28…ランプ取付け部
31…排気用開口部
32…エキストラクタユニット
44…遮断弁
45…チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部に配設されたエンジンの排気管が車体後部を形成するリヤエンド部に隣接する後方位置まで延設された車両の車室内の空気を車室外に排気する車両用エキストラクタ構造であって、
上記リヤエンド部近傍のリヤフェンダにはリヤコンビネーションランプが配設され、
上記リヤコンビネーションランプが取付けられる車体側のランプ取付け部に排気用開口部を設けると共に、該排気用開口部を上記リヤコンビネーションランプで隠蔽した
車両用エキストラクタ構造。
【請求項2】
上記リヤコンビネーションランプは車幅方向端部に左右一対設けられ、
左右一対のリヤコンビネーションランプのうち上記排気管から離間した遠い側に上記排気用開口部が形成された
請求項1記載の車両用エキストラクタ構造。
【請求項3】
上記排気用開口部はリヤコンビネーションランプのランプ交換用の孔に設定された
請求項1または2記載の車両用エキストラクタ構造。
【請求項4】
上記リヤフェンダとリヤコンビネーションランプとの間に所定容積のチャンバが形成され、
車室内の空気は該チャンバを介して排出される
請求項1〜3の何れか1に記載の車両用エキストラクタ構造。
【請求項5】
上記排気用開口部にはエキストラクタユニットが設けられ、
該エキストラクタユニットがリヤコンビネーションランプのランプ交換用の開口部カバーを兼ねる
請求項1〜4の何れか1に記載の車両用エキストラクタ構造。
【請求項6】
上記エキストラクタユニットには、車室内から車室外への空気の排出を許容し、車室外から車室内への空気の侵入を遮断するワンウェイ構造の遮断弁が設けられた
請求項5記載の車両用エキストラクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−117171(P2006−117171A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308980(P2004−308980)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】