説明

車両用ブレーキ装置

【課題】ブレーキ・バイ・ワイヤ形式のブレーキ装置において流路抵抗によってVSA装置などの液圧制御装置の機能が低下することを防止する。
【解決手段】ブレーキ装置1を、ブレーキペダル11の操作量Psに対応して液圧を発生するマスターシリンダ15と、マスターシリンダ15とホイールシリンダ2b・3bとの間に配置される電磁弁24a・24bと、電磁弁24a・24bよりもホイールシリンダ2b・3b側に設けられ、ブレーキ液圧を発生するモータ駆動シリンダ13と、モータ駆動シリンダ13とホイールシリンダ2b・3bとを結ぶ油路22e・22f上に設けられ、ホイールシリンダ2b・3bに供給されるブレーキ液圧を制御するVSA装置26とを有し、VSA装置26の動作時に、電磁弁24a・24bを開放した状態でモータ駆動シリンダ13を所定の目標加圧モータ角θatをもって加圧側に駆動する制御ユニット6をさらに有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の操作から独立して制動力を制御可能なブレーキ・バイ・ワイヤ形式の車両用ブレーキ装置に係る。
【背景技術】
【0002】
運転者の制動操作に依存せずに電子制御により、摩擦制動手段による通常制動とモータ・ジェネレータによる回生制動とを可能とし、且つABS(Antilock Brake System)またはVSA(Vehicle Stability Assist)制御が可能なブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このブレーキ装置は、ペダル反力発生装置であるペダルシミュレータをマスターシリンダに付設し、モータシリンダとABS油圧ユニットまたはVSA油圧ユニットとを組み合わせた構成とされている。
【0003】
このようなシステム構成においては、ブレーキペダルの操作量(踏み込み量)に応じて、マスターシリンダとタンデムモータシリンダとの間の液路をマスターカットバルブで遮断し、ブレーキペダルの操作量に応じた反力となる液圧をペダルシミュレータが発生し、ホイールシリンダ側の液路では、ブレーキペダルの操作量に応じた液圧をタンデムモータシリンダが発生するようにしている。
【0004】
また、VSAは作動時には、各ホイールシリンダの圧力がVSAによる目標圧力になるように、VSA油圧ユニットを構成するポンプモータ、レギュレータバルブ、サクションバルブをそれぞれ駆動し、モータシリンダからブレーキ液を吸引して各ホイールシリンダを加圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
モータシリンダの作動時にマスターカットバルブが設けられたマスターシリンダ側の液路とホイールシリンダ側の液路の連通が保たれる構成においては、ブレーキペダルの非操作時にマスターカットバルブが開いており、VSAの作動時にマスターシリンダ側からの吸液が可能である。ここで、マスターシリンダに付設されたリザーブタンクは大気開放されているため、流路抵抗を考慮しなければ液圧回路内の圧力は大気圧に保たれる。しかしながら、ブレーキ液には粘性があるため、特に低温時に粘性が高くなって液圧回路の流路抵抗が大きくなると、VSAの作動時にリザーブタンクからブレーキ液を吸引する過程で、吸引液路上に存在するマスターシリンダとシミュレータ間の液路・ポートおよびバルブ・センサなどが流路抵抗になり、VSA油圧ユニットが必要とする量のブレーキ液を即座に吸引することができない場合がある。また、ブレーキペダルが操作されている場合には、VSAの作動時にマスターシリンダ側からの吸液ができない場合もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、制動操作部材の操作量に対応した液圧を発生する電動アクチュエータと、電動アクチュエータよりもホイールシリンダ側に配置されてブレーキ液圧を増減する液圧制御装置とを有するブレーキ装置において、液圧制御装置の機能が低下することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、ブレーキ操作部材(11)の操作量(Ps)に対応して液圧を発生するバックアップ液圧源(15)と、バックアップ液圧源とホイールシリンダ(2b・3b)との間に配置される遮断弁(24a・24b)と、遮断弁よりもホイールシリンダ側に設けられ、与えられた入力量に応じたブレーキ液圧を発生する電動アクチュエータ(モータ駆動シリンダ13)と、電動アクチュエータの実作動量(θm)を検出する作動量検出手段(12a)と、電動アクチュエータとホイールシリンダとを結ぶブレーキ液路(22e・22f)上に設けられ、ホイールシリンダに供給されるブレーキ液圧を制御する液圧制御手段(VSA装置26)とを有し、液圧制御手段の動作時に、遮断弁を開放した状態で電動アクチュエータを所定の目標作動量(θat)をもって加圧側に駆動する制御手段(6)を有するように構成する。
【0009】
この構成によれば、液圧制御手段が作動してブレーキ液を吸引する際に、電動アクチュエータを加圧側に駆動することにより、不足分のブレーキ液を電動アクチュエータから液圧制御手段に供給することができるため、液圧制御手段の吸液抵抗の増加に伴う液量不足の発生による影響を低減して液圧制御手段の作動における高い応答性を確保することができる。また、液圧制御手段側に特殊な吸液性能等を付与する必要がないため、汎用の液圧源を液圧制御手段に用いて挙動制御等の自動制動制御を可能にすることができる。
【0010】
また、本発明の一側面によれば、制御手段が、ブレーキ操作部材の操作量に対応して電動アクチュエータを作動させる目標作動量(θt)を設定する目標作動量設定手段(33)と、液圧制御手段の増圧動作中に、目標作動量設定手段により設定された目標作動量に所定の目標作動量(θat)より大きい補正量を加算する補助駆動手段(41)とを有する構成とすることができる。
【0011】
この構成によれば、液圧制御手段が増圧側に作動してブレーキ液を吸引する際に、遮断弁がブレーキ液路を遮断していても、補助駆動手段が所定の目標作動量より大きい補正量を加算して電動アクチュエータの目標作動量を増強することで、遮断弁を閉じた状態に維持したまま不足分のブレーキ液を電動アクチュエータから液圧制御手段に供給し、液圧制御手段による所望の液圧制御を可能にすることができる。また、遮断弁を閉じた状態に維持することで、電動アクチュエータが発生する所望の液圧をホイールシリンダ側の液路に継続して発生させることが可能となり、例えばモータ・ジェネレータによる回生制動を継続可能にできる。
【0012】
また、本発明の一側面によれば、制御手段は、液圧制御手段の作動量に応じて所定の目標作動量を設定する加算作動量設定手段(42)を有する構成とすることができる。この構成によれば、液圧制御手段の作動量に応じた不足分のブレーキ液を電動アクチュエータから液圧制御手段に適宜供給することができる。
【0013】
また、本発明の一側面によれば、制御手段は、電動アクチュエータの作動量が所定の最大変化率の範囲で変化するように、所定の目標作動量を補正する変化率制限手段(43)とを有する構成とすることができる。この構成によれば、変化率制限手段が最大変化率をもって所定の目標作動量の変化を制限することで、電動アクチュエータの作動量の急変による制動力の急変を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の一側面によれば、液圧制御手段の減圧動作中にブレーキペダルが操作された場合、制御手段が、目標作動量(θt)による制御から目標駆動力(It)による制御に切り替える構成とすることができる。この構成によれば、液圧制御手段が増圧側に作動してブレーキ液を吸引する際には、電動アクチュエータを目標駆動力により制御することで、駆動力(制動トルク)を保持する制御を行うことができる。そのため、運転者のブレーキ操作量に応じたブレーキ液量を電動アクチュエータから摩擦制動手段に供給する状態にすることができ、従来型の直接的に操作するマスターシリンダによりブレーキ液量を供給するブレーキ装置に近い制動感覚で、適切な応答性によるブレーキ制御を行うことができる。
【0015】
また、本発明の一側面によれば、制御手段は、ブレーキ操作部材の操作の有無に基づき、所定の目標作動量を変更する構成とすることができ、さらに、本発明の一側面によれば、制御手段は、液圧制御手段の作動中に遮断弁を開放する構成とすることができる。このように、液圧制御手段の作動中であっても、遮断弁に対してバックアップ液圧源側と電動アクチュエータ側とで圧力に大差がない場合に遮断弁を開放するようにすれば、電動アクチュエータの過剰作動による過剰な圧力上昇や、電動アクチュエータの作動不足による液圧制御手段へのブレーキ液の供給不足を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、温度差やマスターシリンダとホイールシリンダとの連通状態によらず液圧制御手段の機能が低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用された自動車のブレーキ系の要部系統図である。
【図2】本発明が適用された自動車のブレーキ装置を模式的に示す油圧回路図である。
【図3】本発明に基づく制御要領を示す要部回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明が適用された電気自動車またはハイブリッド自動車のブレーキ系(以下、単に自動車Vと記す。)の要部系統図である。
【0019】
図1に示される自動車Vは、車両前側に配設された左右一対の前輪2と、車両後側に配設された左右一対の後輪3とを有する。左右の前輪2に連結された前輪車軸4にはモータ・ジェネレータ5が機械的に連結されている。なお、差動機構は図示省略する。
【0020】
モータ・ジェネレータ5は、車両走行用の電動機と回生用の発電機とを兼ねたものであり、二次電池であるバッテリ7を電源としてインバータ10によってバッテリ7よりの電力供給とバッテリ7に対する電力供給(充電)とを制御され、減速時には減速エネルギを電力に変換回生して回生制動力を発生する回生制動手段をなす。
【0021】
また自動車Vには、CPUを用いた制御回路を備えることにより車両の各種制御を行うと共に制動力配分手段としての制御ユニット6が設けられている。制御ユニット6には、上記インバータ10が電気的に接続されている。なお、電気自動車の場合にはこの構成のまま、または後輪3を駆動するモータ・ジェネレータ5を設けても良いが、ハイブリッド自動車の場合には前輪車軸4に図の二点鎖線で示されるエンジン(内燃機関)Eの出力軸が連結される。図の場合は前輪駆動の例であるが、四輪駆動とすることもできる。
【0022】
前輪2及び後輪3の各車輪には、摩擦制動を行う摩擦制動手段として、車輪(前輪2・後輪3)と一体のディスク2a・3a及びホイールシリンダ2b・3bを備えるキャリパにより構成される公知のディスクブレーキが設けられている。ホイールシリンダ2b・3bには、公知のブレーキ配管を介してブレーキ液圧発生装置8が接続されている。ブレーキ液圧発生装置8は、後で詳述するが、各車輪別にブレーキ圧を増減させて配分可能な油圧回路で構成されている。
【0023】
また、前輪2及び後輪3の各車輪には、対応する車輪速を検出する車輪速検出手段としての車輪速センサ9が設けられており、運転者のブレーキ操作に供されるブレーキペダル11には、ブレーキ操作量(踏み込み量)を検出するストロークセンサ11aが設けられている。各車輪速センサ9とストロークセンサ11aとの各検出信号は制御ユニット6に入力する。
【0024】
制御ユニット6は、ブレーキペダル11のストロークセンサ11aの出力信号が0から増大した場合に制動の指令が発生したと判断し、制動時の制御を行う。このように、回生制動を行いかつ油圧制動も行う回生協調制御により制動を行うことから、ブレーキ・バイ・ワイヤによるブレーキ装置1が採用される。
【0025】
次に、図2を参照して本発明が適用されたブレーキ装置1について説明する。本実施形態の制動システムは、ブレーキペダル11の操作を機械的にブレーキ液圧発生シリンダに伝達してブレーキ液圧を発生させるのではなく、ブレーキペダル11の操作量(ブレーキペダル操作量)をストロークセンサ11aにより検出し、その操作量検出値に基づいて電動サーボモータ12により駆動されるブレーキ液圧発生シリンダとしてのモータ駆動シリンダ13によりブレーキ液圧を発生させることで、運転者の操作から独立して制動力を制御可能ないわゆるブレーキ・バイ・ワイヤを構成している。
【0026】
ブレーキペダル11は車体に回動自在に支持されており、運転者の制動操作に応じて円弧運動を行う。ブレーキペダル11にはその円弧運動を略直線運動に変換するロッド14の一端が連結されており、ロッド14の他端は、直列的に配設されたマスターシリンダ15の第1ピストン15aに対し、運転者の制動操作に応じて押し込むように係合している。マスターシリンダ15における第1ピストン15aのロッド14と相反する側には、第2ピストン15bが直列的に配設されており、各ピストン15a・15bはそれぞれロッド14側にばね付勢されている。なお、ブレーキペダル11は、ばね付勢され、図示されないストッパにより止められて図2の状態である待機位置に位置している。
【0027】
また、マスターシリンダ15には、各ピストン15a・15bの変位によってブレーキ液が不足した際にブレーキ液を補充するためのリザーブタンク16が設けられている。なお、各ピストン15a・15bには、リザーブタンク16と連通する各油路22a・22bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。そして、マスターシリンダ15の筒内には、第1ピストン15aと第2ピストン15bとの間に第1液室17aが形成され、第2ピストン15bの第1ピストン15aと相反する側に第2液室17bが形成されている。
【0028】
一方、上記したモータ駆動シリンダ13には、上記電動サーボモータ12と、電動サーボモータ12に連結されたギアボックス18と、ギアボックス18にボールねじ機構を介してトルク伝達されることにより軸線方向変位するねじ溝付きロッド19と、ねじ溝付きロッド19と同軸かつ互いに直列的に配設された第1ピストン21a及び第2ピストン21bとが設けられている。
【0029】
第2ピストン21bには第1ピストン21a側に延出する連結部材20の一端部が固設されており、連結部材20の他端部は第1ピストン21aに対して相対的に軸線方向に所定量変位可能に支持されている。これにより、第1ピストン21aの前進(第2ピストン21b側変位)時は第2ピストン21bと別個に変位可能であるが、第1ピストン21aの前進状態から図2の初期状態に戻る後退時には、連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置まで引き戻されるようになっている。なお、各ピストン21a・21bは、それぞれに対応して設けられた各戻しばね27a・27bによりロッド19側にばね付勢されている。
【0030】
また、モータ駆動シリンダ13には、上記リザーブタンク16に油路16aを介してそれぞれ連通する各油路16b・16cが設けられており、各ピストン21a・21bには、各油路16b・16cとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。モータ駆動シリンダ13の筒内には、第1ピストン21aと第2ピストン21bとの間に第1液圧発生室23aが形成され、第2ピストン21bの第1ピストン21aと相反する側に第2液圧発生室23bが形成されている。
【0031】
そして、マスターシリンダ15の第1液室17aが、常時開型の電磁弁24aが設けられた油路22dを介してモータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aと連通し、第2液室17bが、常時開型の電磁弁24bが設けられた油路22dを介してモータ駆動シリンダ13の第2液圧発生室23bと連通するようにそれぞれ配管されている。なお、第1液室17aと電磁弁24aとの間にはマスターシリンダ側ブレーキ圧センサ25aが接続され、電磁弁24bと第2液圧発生室23bとの間にはモータ駆動シリンダ側ブレーキ圧センサ25bが接続されている。
【0032】
また、第2液室17bと電磁弁24bとの間には、常時閉型の電磁弁24cを介してシリンダ型のシミュレータ28が接続されている。シミュレータ28には、そのシリンダ内を分断するピストン28aが設けられ、ピストン28aの電磁弁24c側に貯液室28bが形成され、ピストン28aの貯液室28b側と相反する側には圧縮コイルばね28cが受容されている。ブレーキペダル11が操作されて両電磁弁24a・24bが閉じていると共に電磁弁24cが開いている状態で、さらにブレーキペダル11を踏み込んで第2液室17b内のブレーキ液が貯液室28bに入り込むことにより、圧縮コイルばね28cの付勢力がブレーキペダル11に伝達され、それにより公知のマスターシリンダとホイールシリンダとが直結されているブレーキ装置と同様の踏み込みに対する反力が得られるようになっている。
【0033】
さらに、モータ駆動シリンダ13の第1液圧発生室23aと第2液圧発生室23bとは、それぞれVSA装置26が設けられた油路22e・22fを介して複数(図示例では4つ)のホイールシリンダ2b・3bに連通するように配管されている。なお、VSA装置26は、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)、旋回時のヨーモーメント制御、ブレーキアシスト機能、衝突回避・レーンキープなどのための自動ブレーキ機能等を備えた車両挙動安定化制御システムとして公知のものであって良く、その説明を省略する。なおVSA装置26には、前輪2の各ホイールシリンダ2bに対応する第1系統と、後輪3の各ホイールシリンダ3bに対応する第2系統とをそれぞれ構成する各種油圧素子を用いた各ブレーキアクチュエータと、それらを制御するVSA制御ユニット26aとにより構成されている。
【0034】
このようにして構成されたブレーキ液圧発生装置8は、上記制御ユニット6により総合的に制御されるようになっている。制御ユニット6には、ストロークセンサ11aと各ブレーキ圧センサ25a・25bとの各検出信号が入力し、また車両の挙動を検出するための各種センサ(図示せず)からの検出信号も入力している。制御ユニット6は、ストロークセンサ11aからの検出信号に基づき、かつ上記各種センサからの検出信号から判断した走行状況等に応じて、モータ駆動シリンダ13により発生するブレーキ液圧を制御する。さらに、本実施形態の対象車両となるハイブリッド車(または電気自動車)の場合には、モータ・ジェネレータ5による回生制御を行うようにしており、制御ユニット6は、回生制御を行う場合の回生の大きさに対するモータ駆動シリンダ13によるブレーキ液圧の大きさの配分制御も行う。
【0035】
次に、通常制動時の制御要領について説明する。図2は、運転者がブレーキペダル11を操作していない状態である。ストロークセンサ11aの検出値は初期値(=0)であり、制御ユニット6からブレーキ液圧発生信号は出力されない。この状態では、図2に示されるように、モータ駆動シリンダ13では、ねじ溝付きロッド19が最も後退した位置にあり、それに伴って各戻しばね27a・27bにより付勢されている各ピストン21a・21bも後退しており、両液圧発生室23a・23bにブレーキ液圧は発生していない。
【0036】
ブレーキペダル11が踏み込まれて、ストロークセンサ11aの検出値が0より大きくなった場合には、ブレーキ・バイ・ワイヤによる制御を行うべく、制御ユニット6は両電磁弁24a・24bを閉じて、マスターシリンダ15で発生する液圧がモータ駆動シリンダ13へ伝達されるのを遮断すると共に、電磁弁24cを開いてシミュレータ28に伝達されるようにする。そして、ストロークセンサ11aで検出された操作量検出値(ブレーキ操作量)に基づいて、回生制動力を考慮した上で目標となる液圧が設定され、この目標液圧に対応して制御ユニット6からモータ駆動指令値(操作量)が電動サーボモータ12に出力され、その操作量に応じてねじ溝付きロッド19すなわち第1ピストン21aが押し出される向きに駆動されて、入力としてのブレーキペダル11の踏み込み量(ブレーキ操作量Ps)に応じたブレーキ液圧が第1液圧発生室23aに発生する。同時に、第1液圧発生室23aの液圧により押圧されて第2ピストン21bが戻しばね27bの付勢力に抗して変位し、第2液圧発生室23bにも同じくブレーキ液圧が発生する。
【0037】
運転者がブレーキペダル11を戻す方向に変位させた場合には、ストロークセンサ11aで検出された戻し方向変位に応じて、電動サーボモータ12によりねじ溝付きロッド19すなわち第1ピストン21aを初期位置側に戻すことにより、ブレーキペダル11の踏み込み量に応じてブレーキ液圧を低減させることができる。また、ブレーキペダル11が図示されない戻しばねにより初期位置に戻された場合には、制御ユニット6により各電磁弁24a・24bを開く。それに伴って各ホイールシリンダ2b・3bのブレーキ液がモータ駆動シリンダ13を介してリザーブタンク16に戻ることができ、制動力は解除される。ストロークセンサ11aの検出値が初期値になることにより、第1ピストン21a及び上記したように連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置に戻る。
【0038】
上記モータ駆動シリンダ13で発生したブレーキ液圧は、VSA装置26を介して前後輪の各ホイールシリンダ2b・3bに供給されて、制動力が発生し、通常の制動制御が行われる。なお、VSA装置26による各輪に対する制動力分配制御が行われる場合にはその制御に応じて各輪の制動力の調整が行われる。
【0039】
回生ブレーキが同時に作動する場合には、制御ユニット6がモータ・ジェネレータ5を発電機として制御し、ブレーキペダル11によるブレーキ操作量Psなどに応じて回生ブレーキ量を増減する。そして、ブレーキ操作量Psの大きさ(運転者が要求する減速度の大きさ)に対して回生ブレーキだけでは不足する車体減速度に対応するよう、制御ユニット6が上記した電動サーボモータ12によりモータ駆動シリンダ13を駆動制御して、回生ブレーキと油圧ブレーキとによる回生協調制御を行う。上述の例においては、ブレーキペダル11の踏み込み量に対応した制動力をモータ駆動シリンダ13が発生するように構成したが、この場合には公知の方法を用いてモータ駆動シリンダ13の作動量を決定するように構成することができる。例えばブレーキ操作量に対応して決定される総制動力から実際の回生制動力を減じた値に対応する制動力要求を入力として目標液圧を設定したり、総制動力に対してある比率の制動力が発生するようにモータ駆動シリンダ13の作動量を決定すれば良い。
【0040】
なお、電磁弁24cを閉じるタイミングは、圧縮コイルばね28cによりピストン28aが図2に示される初期位置に戻ることができるまで第2液室17bの液圧が低下したタイミングとすると良く、例えば両電磁弁24a・24bを開いてから所定時間経過後とすることができる。または、モータ駆動シリンダ側ブレーキ圧センサ25bの検出値が所定値(例えば液圧が0近傍)以下になった後とすることができる。
【0041】
次に、図3を参照して本発明を構成する制御ユニット6の要部について説明する。制御ユニット6は、並列に設けられた液圧増減制御回路6aとトルク制御回路6bとを有している。ストロークセンサ11aからの検出信号によるブレーキ操作量(変位)Psが液圧増減制御回路6aを構成する制動力規範値設定回路31に入力しており、制動力規範値設定回路31では、例えばマップや関数を用いて、ブレーキペダル11のブレーキ操作量Psに対応して目標ブレーキ液圧Btに設定される規範値Boを求める。なお、ここで入力は必ずしもストロークである必要はなく、検出可能な操作量(ブレーキ圧センサ25aの液圧や踏力等)や、自動ブレーキシステムからの入力量・回生制動力に対して決定される要求制動力等を入力としても良い。
【0042】
制動力規範値設定回路31で求められた規範値Boは加算器32に入力し、加算器32の出力値が目標ブレーキ液圧Btとして目標値設定回路33に入力する。目標値設定回路33では、例えばマップや関数を用いて、目標ブレーキ液圧Btに対応してモータ駆動シリンダ13の目標ストロークStを求める。目標値設定回路33で求められた目標ストロークStはモータ角変換器34に入力する。
【0043】
モータ角変換器34では、目標ストロークStを電動サーボモータ12の目標モータ角θtに変換する。モータ角変換器34で変換された目標モータ角θtは加算器45を介して減算器35に入力し、減算器35の出力値がモータ角フィードバック回路36に入力する。そのモータ角フィードバック回路36の出力値からなるモータ角制御量θが切替器48を介してモータ駆動回路40に入力し、モータ角制御量θにより電動サーボモータ12の回転角度が制御され、それに応じてモータ駆動シリンダ13のストロークが制御され、制動力制御量Bsに対応したブレーキ液圧が発生する。
【0044】
電動サーボモータ12のモータ角が作動量検出手段としての回転角度センサ(例えばロータリエンコーダ)12aにより検出され、検出された実モータ角θmがフィードバック値として減算器35に入力する。したがって、モータ角フィードバック回路36には減算器35の出力値(θt−θm)が入力し、モータ角フィードバック回路36では、目標モータ角θtと実モータ角θmとの差分(θt−θm)に応じてモータ角制御量θを求める。モータ角制御量θはモータ駆動回路40に入力し、モータ駆動回路40によりモータ角制御量θに応じて例えばPID制御によって電動サーボモータ12が駆動制御される。このようにして、電動サーボモータ12すなわちモータ駆動シリンダ13がモータ角フィードバック制御により駆動制御される。
【0045】
また、上記制動力規範値設定回路31から出力される規範値Boは減算器37にも入力している。減算器37には、モータ駆動シリンダ13により発生するブレーキ液圧を実液圧Bとして検出するブレーキ圧センサ25bからの検出信号がフィードバック値として液圧補償回路38に入力する。液圧補償回路38から出力される補償値ΔB(=Bo−B)は加算器32に入力する。加算器32では、上記したように規範値Boが入力しており、その規範値Boと補償値ΔBとを加算した結果(Bo+ΔB)を目標ブレーキ液圧Btとして目標値設定回路33に出力する。つまり、減算器37、液圧補償回路38および加算器32が、目標ブレーキ液圧Btと実液圧Bと間の偏差を減少させる向きに目標ブレーキ液圧Btを補正する補正手段として機能している。これにより、目標値設定回路33で求められる目標ストロークStには実液圧Bが反映される。
【0046】
なお、VSA装置26が作動し、モータ駆動シリンダ13の作動によるブレーキ液圧の発生とは別個にVSA装置26による補助液圧(ブレーキ液圧)がモータ駆動シリンダ13の下流で発生する場合、常閉型のアウトバルブ(減圧弁)26bを通して低圧リザーバ26c側へブレーキ液を排出する減圧時や、ポンプモータ26dにより加圧されたブレーキ液を常開型のインバルブ26eを通してホイールシリンダ2b(3b)を加圧する加圧時においては、ホイールシリンダ2b(3b)側のブレーキ液の移動と制御弁(レギュレータバルブ)26fの作動に伴い、ブレーキ圧センサ25bで検出される実液圧Bが変化する。すると、モータ駆動シリンダ13のストロークに対する発生液圧が変動するため、その影響を受けて、モータ角フィードバック回路36からのモータ角制御量θが変化する。
【0047】
そこで、液圧増減制御回路6aには、VSA装置26からのVSA作動モード信号に対応して目標モータ角θtを補正してモータ駆動シリンダ13を補助駆動するための補助駆動回路41が設けられている。補助駆動回路41には、目標加圧モータ角設定回路42とレートリミット処理回路43とリミット処理回路44とがこの順に接続されている。VSA作動モード信号は目標加圧モータ角設定回路42に入力しており、目標加圧モータ角設定回路42では、例えばマップや関数を用いて、VSA装置26の各モードの制御状態あるいは作動量に対応して、モータ駆動シリンダ13を補助駆動するための目標加圧モータ角θatを求める。
【0048】
目標加圧モータ角設定回路42で求められた目標加圧モータ角θatはレートリミット処理回路43に入力する。レートリミット処理回路43には、入力した目標加圧モータ角θatの前回値θat(n−1)が記憶されており、新たに入力した目標加圧モータ角θatを前回値θat(n−1)と比較し、その変化率が設定された所定の最大変化率よりも大きい場合には前回値θat(n−1)に所定の変化率を乗じた値を目標加圧モータ角θatとして出力し、その変化率が所定の最大変化率よりも小さい場合には新たに入力した目標加圧モータ角θatをそのまま出力する。また、レートリミット処理回路43では、出力した目標加圧モータ角θatが前回値θat(n−1)として上書き保存される。
【0049】
レートリミット処理回路43から出力された目標加圧モータ角θatはリミット処理回路44に入力し、リミット処理回路44では、入力した目標加圧モータ角θatと設定された所定の最大目標加圧モータ角θatmaxとを比較し、目標加圧モータ角θatが最大目標加圧モータ角θatmaxを超える場合には最大目標加圧モータ角θatmaxの値を目標加圧モータ角θatとして出力し、目標加圧モータ角θatが最大目標加圧モータ角θatmaxを超えない場合には目標加圧モータ角θatをそのまま出力する。
【0050】
リミット処理回路44から出力された目標加圧モータ角θatは加算器45に入力しており、加算器45では、上記したように目標モータ角θtが入力しており、その目標モータ角θtと目標加圧モータ角θatとを加算した結果を目標モータ角θtとして減算器35に出力する。つまり、目標加圧モータ角設定回路42から加算器45までの回路が、VSA装置26の増圧動作量に応じてモータ駆動シリンダ13を加圧側に補助駆動するための補助駆動手段として機能している。
【0051】
このような補助駆動回路41が設けられることにより、VSA装置26が増圧側に作動してブレーキ液を吸引する際に、モータ駆動シリンダ13が加圧側に駆動されて不足分のブレーキ液を油路22e・22fを介してVSA装置26に供給するため、VSA装置26の吸液抵抗が低減し、VSA装置26の作動における高い応答性を確保することができる。また、VSA装置26側に特殊な吸液性能等を付与する必要がないため、汎用品の電動サーボモータ12をVSA装置26に用いて挙動制御等の自動制動制御を可能にすることができる。上述の制御過程において、ブレーキペダルが操作されていない場合には、電磁弁24a,24bが開いた状態でモータ駆動シリンダ13が補助駆動回路41のみに基づき制御されることになる。このとき、モータ駆動シリンダ13が供給した余剰のブレーキ液はマスターシリンダ15およびシミュレータ28側へ移動することで吸収される。
【0052】
また、VSA装置26が増圧側に作動してブレーキ液を吸引する際に、ブレーキペダル11が操作されていて電磁弁24a・24bが油路22c・22dを遮断している場合には、電磁弁24a・24bの作動を示すVSA作動モード信号を受け取ることにより、補助駆動回路41がモータ駆動シリンダ13の目標モータ角θtを遮断されていない場合に比べて増加させることで、電磁弁24a・24bを閉じた状態に維持したまま不足分のブレーキ液を油路22e・22fを介してモータ駆動シリンダ13からVSA装置26に供給し、VSA装置26による所望の液圧制御を可能にすることもできる。また、電磁弁24a・24bを閉じた状態に維持することで、モータ駆動シリンダ13が発生する所望の液圧を油路22e・22fに継続して発生させることが可能となり、モータ・ジェネレータ5による回生制動を継続することもできる。一方、ブレーキ圧センサ25aとブレーキ圧センサ25bとの検出値に大差がない場合には、制御ユニット6が電磁弁24a・24bを駆動して開放するようにしてもよい。このようにすることにより、モータ駆動シリンダ13の過剰作動による過剰な圧力上昇や、モータ駆動シリンダ13の作動不足によるVSA26へのブレーキ液の供給不足を抑制することができる。
【0053】
さらに、レートリミット処理回路43が最大変化率をもって目標加圧モータ角θatの変化を制限することで、制動力の急変が抑制される。ここで、VSA作動モード信号は電磁弁24a、24bの作動を示すものに限るものではない。例えば、急制動を検出してホイールシリンダを急激に昇圧するブレーキアシストの実行を示す信号、発進時のヒルホールド制御の実行を示す信号、ABS制御の実行を示す信号などにも応用することが可能である。例えば、ブレーキアシストの実行を示すVSA作動モード信号が入力された場合、補助駆動回路41はレートリミット処理を省略して最大速度で駆動するように駆動したり、ABSの実行を示すVSA作動モード信号が入力された場合、補助駆動回路41が非作動となるように構成することができる。
【0054】
一方、トルク制御回路6bには、制動力規範値設定回路31から出力される規範値Boが分岐して入力する加算器51と、加算器51の出力側に設けられたトルク変換器52と電流変換器53と減算器54とモータ電流フィードバック回路55とがこの順に接続されている。また、規範値Boが減算器56にも入力し、減算器56には、上記と同じくブレーキ圧センサ25bから実液圧Bがフィードバック値として液圧補償回路57に入力する。液圧補償回路57から出力される補償値ΔB(=Bo−B)は加算器51に入力する。加算器51では、上記したように規範値Boが入力しており、その規範値Boと補償値ΔBとを加算した結果(Bo+ΔB)をトルク変換器52に出力する。これにより、トルク変換器52で求められる目標トルクTtには実液圧Bが反映される。
【0055】
トルク変換器52から出力される目標トルクTtは、電流変換器53により目標トルクTtに対応した目標モータ電流Itに変換されて減算器54に出力される。電動サーボモータ12のモータ電流を電流センサ12bにより検出しており、その電流センサ12bにより検出された実モータ電流Imがフィードバック値として減算器54に入力する。モータ電流フィードバック回路55には減算器54の出力値(It−Im)が入力し、モータ電流フィードバック回路55では、目標モータ電流Itと実モータ電流Imとの差分(It−Im)に応じてモータ電流制御量Iを求める。
【0056】
そして、モータ角フィードバック回路36から出力されるモータ角制御量θと、モータ電流フィードバック回路55から出力されるモータ電流制御量Iとが切替手段としての2位置選択スイッチからなる切替器48の2位置選択側端子にそれぞれ入力する。切替器48には、VSA装置26からのVSA作動モード信号が入力するようになっている。
【0057】
切替器48は通常時には図3の状態にあり、モータ駆動回路40にはモータ角制御量θが入力するように選択され、上記モータ角フィードバック制御が行われる。それに対して、例えばVSA装置26が減圧動作(ABS制御)を開始した場合には、切替器48が即座に図の二点鎖線に示されるように切り替わり、モータ駆動回路40にはモータ電流制御量Iが入力するように選択される。この場合にはモータ電流フィードバック、すなわちモータトルクフィードバック制御が行われる。このVSA作動モード信号はABSの作動に限るものではない。例えば、前述のブレーキアシストの実行時にモータ電流フィードバック制御に切り替えるよう構成することもできる。
【0058】
これにより、通常時にはモータ角フィードバック制御を行って、変位(シリンダストローク)について制御することにより応答性の高い制御を行うことができる。一方、VSA装置26の減圧作動時などにはモータ電流フィードバック制御を行うようにして、トルクについて制御することにより、運転者のブレーキ操作量Psに応じたブレーキ液量をモータ駆動シリンダ13からホイールシリンダ2b.3bに供給する状態にすることができ、従来型の直接的に操作するマスターシリンダによりブレーキ液量を供給するブレーキ装置に近い制動感覚で、適切な応答性によるブレーキ制御を行うことができる。なお、モータ電流フィードバック制御における目標トルクTtをブレーキ操作量Psに対応させる例を示したが、これに限るものではなく、前述のブレーキアシスト制御へ適用する際には、運転者のブレーキ操作とは無関係な定トルクとなるように制御してもよい。
【0059】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各部材の具体的形状や配置などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、液圧制御手段としてVSA装置26を適用しているが、モータ駆動シリンダ13よりも下流の油路22d・22dに、ブレーキペダル11の操作にかかわらず、走行状況に応じて各ホイールシリンダ2b・3bに供給されるブレーキ液圧を増減し得るものであれば、他の装置を適用していてもよい。同様に、モータ駆動シリンダ13に替えて、アキュムレータ等の高圧源の圧力をリニアバルブ等で調圧して遮断弁24a・24bとホイールシリンダ2b・3b間に供給することでホイールシリンダ2b・3bを加圧するバイワイヤシステムにおいても適用可能である。また、摩擦制動を行う通常制動のみならず、回生制動と摩擦制動との協調制御を行う場合にも何等問題なく適用可能である。さらに、上記実施形態に示した本発明に係るブレーキ装置1は、必ずしも全ての要素を必須とするものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ブレーキ装置
2 前輪
2b ホイールシリンダ
3 後輪
3b ホイールシリンダ
6 制御ユニット
6a 液圧増減制御回路
6b トルク制御回路
11 ブレーキペダル
12a 回転角度センサ(作動量検出手段)
13 モータ駆動シリンダ(電動アクチュエータ)
15 マスターシリンダ(バックアップ液圧源)
22a、22b、22c、22d、22e、22f 油路
24a、24b 電磁弁
26 VSA装置(液圧制御手段)
33 目標値設定回路(目標作動量設定手段)
41 補助駆動回路(補助駆動手段)
42 目標加圧モータ角設定回路
43 レートリミット処理回路
Ps ブレーキ操作量
θat 目標加圧モータ角
θm 実モータ角
θt 目標モータ角
It 目標モータ電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ操作部材の操作量に対応して液圧を発生するバックアップ液圧源と、
前記バックアップ液圧源とホイールシリンダとの間に配置される遮断弁と、
前記遮断弁よりも前記ホイールシリンダ側に設けられ、与えられた入力量に応じたブレーキ液圧を発生する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータの実作動量を検出する作動量検出手段と、
前記電動アクチュエータと前記ホイールシリンダとを結ぶブレーキ液路上に設けられ、前記ホイールシリンダに供給されるブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを有し、
前記液圧制御手段の動作時に、前記遮断弁を開放した状態で前記電動アクチュエータを所定の目標作動量をもって加圧側に駆動する制御手段をさらに有することを特徴とする車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記ブレーキ操作部材の操作量に対応して前記電動アクチュエータを作動させる目標作動量を設定する目標作動量設定手段と、前記液圧制御手段の増圧動作中に、前記目標作動量設定手段により設定された前記目標作動量に前記所定の目標作動量より大きい補正量を加算する補助駆動手段とを有することを特徴とする、請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記液圧制御手段の作動量に応じて前記所定の目標作動量を設定する加算作動量設定手段を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電動アクチュエータの作動量が所定の最大変化率の範囲で変化するように、前記所定の目標作動量を補正する変化率制限手段とを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
前記液圧制御手段の減圧動作中に前記ブレーキペダルが操作された場合、前記制御手段が、前記目標作動量による制御から目標駆動力による制御に切り替えることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ブレーキ操作部材の操作の有無に基づき、前記所定の目標作動量を変更することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記液圧制御手段の作動中に前記遮断弁を開放することを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両用ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−131299(P2012−131299A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283843(P2010−283843)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】