車両用ボディマウント組立体
【課題】簡単かつ迅速に装着可能なボディマウント組立体を提供すること。
【解決手段】車両用ボディマウント組立体20が、中心開口部70を有した取付プレート26と、取付プレートの両側面に配設された弾性体28、30、32、34、46とを具備する。弾性体の各々は、取付プレートの中心開口部と同軸の中心開口部を有する。弾性体の両側に第1と第2のリテーナ22、24が配設される。第1と第2の管部分40、42が、第1と第2のリテーナから互いに接近方向に弾性体を部分的に通過するように延設されている。第1と第2のリテーナは弾性体の少なくとも一部に係合し、かつ、係合している弾性体を相対回転に対して保持する。固定手段88、90が、取付プレートにおいて弾性体の外側に設けられる。
【解決手段】車両用ボディマウント組立体20が、中心開口部70を有した取付プレート26と、取付プレートの両側面に配設された弾性体28、30、32、34、46とを具備する。弾性体の各々は、取付プレートの中心開口部と同軸の中心開口部を有する。弾性体の両側に第1と第2のリテーナ22、24が配設される。第1と第2の管部分40、42が、第1と第2のリテーナから互いに接近方向に弾性体を部分的に通過するように延設されている。第1と第2のリテーナは弾性体の少なくとも一部に係合し、かつ、係合している弾性体を相対回転に対して保持する。固定手段88、90が、取付プレートにおいて弾性体の外側に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に自動車に設けられる車両フレームに車体を連結するためのボディマウント組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ボディマウントは、車体を車両フレームに固定するために用いられる。ボディマウントは、振動および騒音を遮断し、かつ、車両の乗り心地特性およびハンドリング特性の改善に寄与する。ボディマウントは、車両フレームの取付穴と車体との間に延設された長尺部材を含み、1または複数の弾性部材が車両フレームと車体との間において前記長尺部材に取付けられる。
【0003】
公知のボディマウント組立体では、フランジの両側にゴム部材が設けられている。ゴム部材およびフランジを貫通させてボルトが配設され、ワッシャが、一方の端部において該ボルトの頭部と第1のゴム部材との間に、そして、ボルトの他方の端部においてゴム部材とナットとの間に配設される。ネジ部が形成されているボルトの端部およびフランジの一方の側面に配設された1または複数のゴム部材が、フレームに形成されている穴の中に該フレームの下側から通される。前記フランジにおいてゴム部材の外側に設けられている複数のスタッドが、フレームに形成されているボルト穴に通される。取付プレートが、ボルトのネジ部を設けた端部、フレームに通された前記1または複数のゴム部材、および、前記フレームを貫通するスタッドに通される。次いで、前記スタッドにナットを螺合して所定トルクまで締め付けることにより、フランジをフレームの一側に、そして取付プレートをフレームの反対側に配置した状態で、ボディマウント組立体がフレームに取付けられる。車体は、フレームを貫通させて取付けられたゴム部材に対して取付けられ、このゴム部材を貫通させたボルトの端部にナットにより固定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したボディマウント組立体の取付は扱いにくく時間を要する。ボディマウント組立体はフレームの下側から挿入され、フレームの上側から取付プレートを装着してナットをスタッドに螺合するまで、正しい位置に保持されなければならない。正しい位置に保持されていないと、ボディマウント組立体はフレームから脱落する。従って、装着作業者は、取付プレートとナットとを片手で取り扱わなければならない。と言うのは、反対の手は、ボディマウント組立体を正しい位置に保持しなければならないからである。
【0005】
従って、公知のボディマウント組立体より簡単かつ迅速に装着可能なボディマウント組立体が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、締結具により最終的に取付ける前にフレームの正しい位置に保持され、かつ、装着後に異なるハンドリング特性および乗り心地特性を与えるために、交換可能なゴム部材を用いた車両用ボディマウント組立体を提供する。
【0007】
本発明の1つの特徴によれば、中心開口部を有した取付プレートと、前記取付プレートの両側面に配設された弾性体であって、該弾性体の各々は、前記取付プレートの中心開口部と同軸の中心開口部を有して成る弾性体とを備えた車両用ボディマウント組立体が提供される。前記弾性体の両側に第1と第2のリテーナが配設される。第1と第2の管部分が、前記第1と第2のリテーナから互いに接近方向に前記弾性体を部分的に通過するように延設されている。前記第1と第2のリテーナは前記弾性体の少なくとも一部に係合し、かつ、係合している前記弾性体を相対回転に対して保持する。固定手段が、前記取付プレートにおいて前記弾性体の外側に設けられる。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、中心開口部と、該中心開口部の外側に配設された固定手段とを有した細長い取付プレートを具備した車両用ボディマウント組立体が提供される。複数の弾性体より成る第1の集成体が前記取付プレートの一方の側面に配設され、複数の弾性体より成る第2の集成体が前記取付プレートにおいて前記第1の集成体の反対の側面に配設される。第1のリテーナが、前記第1の集成体の外側に配設された板部材を有し、第2のリテーナが、前記第2の集成体の外側に配設された板部材を有する。前記第1と第2のリテーナは、前記第1と第2の集成体および前記取付プレート内に延設された第1と第2の管部分を有している。前記第1と第2の管部分は、一方が他方に伸縮可能に受容されている。前記管部分は、前記弾性体に係合して相対回転を制限するように形成された少なくとも1つの実質的に平坦の外面を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボディマウント組立体の利点は、取付が容易かつ迅速で、締結具を締め付ける前に正しい位置に保持されることである。
【0010】
本発明のボディマウント組立体の他の利点は、モジュール式の弾性体を有しているので、異なる乗り心地特性およびハンドリング特性を有した異なるタイプの車両に該ボディマウント組立体を使用可能な汎用性を有していることである。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲および図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明は以下に説明する詳細な構造および各構成要素の詳細な配置に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、他の形態、方法で実施することができる。また、本明細書において用いられている言い回しや技術用語は限定的に解釈されるべきではない。「含む」や「具備する」およびその変化形は、その後に列挙された項目およびその均等物並びに付加的項目およびその均等物を包含する意味である。
【0013】
図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
図1、2を参照すると、本発明によるボディマウント組立体20が図示されている。ボディマウント組立体20は、その両端に第1と第2のリテーナ22、24を有している。第1と第2のリテーナ22、24の間には取付プレート26が配設されている。一例として、第1のリテーナ22と取付プレート26との間には、3つの弾性体28、30、32が配設される。また、一例として、取付プレート26と第2のリテーナ24の間には、2つの弾性体34、36が配設される。弾性体34、36の間には保持クリップ38が配設されている。
【0014】
第1と第2のリテーナ22、24は、組立体20の構造的一体性を提供する金属部材より成り、夫々、入れ子式の管部分40、42を有している。図3に示す組立体の断面図を参照すると、第1のリテーナ22の管部分40は、第2のリテーナ24の管部分42上を摺動する。管部分40、42は、後述するように、車体を組立体20に取付けるための、組立体を貫通する穴を形成する。
【0015】
第1と第2のリテーナ22、24は、また、弾性体28、30、32、34、36のための安定化構造を提供する。第1のリテーナ22は、プレート部分44と、弾性体28を受容するための周縁リム部分46とを有している。第2のリテーナ24は、プレート部分48と、弾性体36を受容するための周縁リム部分50とを有している。周縁リム部分46、50は、第1と第2のリテーナ22、24の強度と剛性を高めると共に、リテーナに対する弾性体28、36の位置を安定化する受容エッジを提供する。
【0016】
組立体20の底部において第2のリテーナ24には、弾性体28、30、32、34、36から、水分その他の異物を排出する通路を形成する1または複数の水抜き穴52(図3参照)が配設されている。
【0017】
第1のリテーナ22、第2のリテーナ24、取付プレート26、弾性体28、30、32、34、36および保持クリップ38を確実に組み立てるために、管部分40には、内側に突き出た固定腕部54が設けられている。管部分42の先端が固定腕部54を通過すると、該固定腕部は外側に撓む。管部分42の先端の峰部分56は、図3に示すように外側に拡開しており、固定腕部54の先端に係合する。こうして、管部分42が管部分40内で係合、固定されることで、組立体20が分解せずに安定化する。
【0018】
管部分40、42は円筒状ではなく、長手の軸方向に延びる複数の平坦面を有している。一例として、管部分40、42は六角柱形状を有している。こうして、管部分42を管部分40内に挿入することにより、第1と第2のリテーナ22、24の間の相対的な回転動作は制限される。更に、図2、4に示すように、弾性体28、30、32、34、36は、中心開口部58、60、62、64、66を有しており、それらは、回転することなく管部分40、42の外表面に嵌合する六角形状を呈している。従って、第1と第2のリテーナ22、24、弾性体28、30、32、34、36の全ての構成要素間で相対的な回転動作は、関連する要素の六角形状によって制限される。構成要素間での相対化移転動作を制限するために、六角形状以外の形状を用いても良いことは理解されよう。
【0019】
弾性体28、30、32、34、36は、種々の組合せ、異なる個数、天然ゴムおよび合成ゴムを含む異なる弾性材料から形成可能である。所望の剛性を得て、車両の異なる乗り心地特性およびハンドリング特性を達成するために、材料を選択することができる。更に、弾性体28、30、32、34、36は、異なる寸法、形状の穴を設けることによって、異なるバネ特性、緩衝特性を得るよう形成することができる。図4には、周縁部に丸く突出した複数の膨出部を有した概ねローブ形の弾性体30が示されており、各膨出部には、同一の寸法、形状の細長い穴または空所68が形成されている。然しながら、異なる、寸法、形状、個数、配置の穴または空所を用いることができ、また、穴または空所を設けなくともよい。実施形態において例示的に示す5より多い個数または少ない個数の弾性体を使用することができ、かつ、その弾性体は、図示する膨出部を備えていない他の形状とすることができる。望ましい場合には、1つの組立体内で異なるタイプの弾性体を用いてもよい。
【0020】
取付プレート26は、車両に組立体20を固定するための細長い金属構造である。取付プレート26は、内側に突出した舌部72、74、76、78を設けた中心開口部70を有しており、前記舌部の一方の側面に弾性体32が支持され、前記舌部の他方の側面に弾性体34が支持される。中心開口部70の縁部にはフランジ部80、82、84、86が設けられており、該フランジ部は弾性体32の少なくとも一部に沿うように延設され、弾性体32を横方向に支持して、前後に力が作用したときに、ボディマウント組立体20の一体性を高め、車両を横断する応力に耐えるようにする。図示された個数よりも多い或いは少ない個数の舌部またはフランジ部を用いることができる。
【0021】
一例として示す実施形態では、取付プレート26の両端部分には取付ボス88、90より成る固定手段が設けられており、これによって、組立体20は車両フレームに固定される。取付ボス88、90は、後述するように、ボルトと係合する内ネジ部92、94を有している。取付プレート26の外縁部には周縁リム96が設けられており、これによって組立体20の横剛性が更に高まる。
【0022】
図11に拡大して示す保持クリップ38は、中心開口部100を有した金属製の板状の部材である。保持クリップ38の周縁部には、複数のタブ102、104、106、108が配設されており、該タブは保持クリップ38の両側面に配設される弾性体の外側へ突出する。後述する目的のために、図示された個数よりも多い或いは少ない個数のタブを用いることができる。
【0023】
図5、6を参照すると、本発明の第2の実施形態によるボディマウント組立体120が図示されている。組立体120は、第1と第2のリテーナ122、124と、該第1と第2のリテーナの間に配設された取付プレート126とを有している。第1のリテーナ122と取付プレート126の間には、弾性体128、130、132が配設されている。取付プレート126と第2のリテーナ124の間には弾性体134、135、136が配設されている。弾性体135、136の間には保持プレート138が配設されている。
【0024】
組立体120は組立体20に類似するが、弾性体が追加されており、組立体20の5つの弾性体に代えて6つの弾性体を有した構成となっている。更に、第1と第2のリテーナ122、124の管部分140、142は、概ね円筒形状の外形を有している。第1のリテーナ122は、プレート部材144とリム146とを有し、第2のリテーナ124は、プレート部材148とリム150とを有している。一体的に設けられた1または複数のピン152がプレート部材144から弾性体128へ向けて突出している。図面には、一例として2本のこのようなピン152が示されている。同様に、一体的に設けられた1または複数のピン154がプレート部材148から弾性体136へ向けて突出している。図面には、一例として2本のこのようなピン154が示されている。
【0025】
弾性体128、130、132、134、135、136は、管部分140、142に嵌合させるために、実質的に円形の中心開口部158、160、162、164、165、166を有している。第1と第2のリテーナ122、124に各々隣接させて配置されている弾性体128、136は、ピン152、154を各々受容するために正確に位置決めされた穴168、170を有している。ピン152、154の長さによっては、中間の弾性体130、132、134および/または135にも、該ピンを受容するために正確に位置決めされた穴を形成することができる。
【0026】
取付プレート126は、中心開口部172と、該取付プレートの一方の側面から隣接する弾性体132へ向けて突出する1または複数の一体的に設けられたピン174と、該取付プレートの反対の側面から弾性体134へ向けて突出する1または複数の一体的に設けられたピン176とを有している。取付プレート126の両側面に設けられたピン174、176は、互いに一直線上にあっても或いはなくとも、若しくは、ピン152、154に対して一直線上にあっても或いはなくともよい。取付プレート126の両側面に配設された弾性体132、134には、ピン174、176を受容するために、正確な寸法を有し正確に位置決めされた穴178、180が設けられている。ピン152、154、174、176は、穴168、170、178、180を同じ大きさ同じ位置として組立体120内で入替えることができるように、同じ大きさで同じように配置することができる。穴168、170、178、180内において、ピン152、154、174、176は、弾性体が相対回転動作をしないように該弾性体を保持する。既述したように、ピン152、154、174、176は、全ての弾性体を積極的に保持するように、前記弾性体のうち幾つかを貫通可能な長さとすることができる。或いは、内側の弾性体は、他の弾性体による圧縮および摩擦を通じて相対回転動作しないように保持してもよい。
【0027】
取付プレート126は、更に、既述した組立体20の取付ボス88、90およびネジ部92、94と同様に、取付ボス188、190および内ネジ部192、194を有している。取付プレート126の外縁部には、剛性を高める周縁リム196が設けられている。
【0028】
保持クリップ138は、既述した保持クリップ38の中心開口部100およびタブ102、104、106、108と同様の、中心穴200および周縁タブ202、204、206、208を有している。
【0029】
図7は、既述した実施形態の車両への取付方法を示している。図7では、組立体120が装着されているが、組立体20も同様に取付けられることは理解されよう。車両フレーム250には、組立体120を受容するための開口部252、および、組立体120をフレーム250に固定するためのボルト穴254、256が形成されている。第2のリテーナ124および弾性体136が開口部252を通して降ろされる。保持クリップ138のタブ202、204、206、208は、開口部252よりも広い外周縁をしている。従って、組立体120に力が作用すると、タブ202、204、206、208は、開口部252の周縁部に係合して内側に変形する。保持クリップ138は開口部252内に「スナップ式」に挿通され、開口部252を通過すると、タブ202、204、206、208が外側に戻る。保持クリップ138が開口部252を完全に通過すると、タブ202、204、206、208は、組立体120が、挿入した方へ外方に簡単に抜け出ることを防止する。こうした、組立体120は、その後のフレーム250の移動および取扱の間に開口部252内に保持される。
【0030】
組立体120は、ボルト穴254、256がボス188、190に対して一直線上に位置決めされた状態で、取付プレート126がフレーム250に載置されるまで挿入される。その後、フレーム250のボルト穴254、256にボルト258、260が挿入され、ボス188、190の内ネジ部192、194に螺合される。ボルト258、260に適切なトルクが与えられ、これによって組立体120がフレーム250に固定される。
【0031】
車体をフレーム250に連結するために、管部分140、142にボルト262が挿通される。穴266を有した車体264がボルト262の端部に置かれ、ナット268が該ボルトに螺合される。図7に示すように、縮径部270を管部分140、142の一方または双方に設けて、車体を載置する際、組立体120内にボルト262を保持するようにできる。
【0032】
図8に、本発明の更に他の実施形態によるマウント組立体280を示す。このマウント組立体280は、多くの点で既述したマウント組立体120と同様に構成されている。マウント組立体280において、組立体120と同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。組立体280は、内ネジ部を設けたボス88、90または188、190に代えて、取付プレート282に固定されたボルトまたはスタッド284、286より成る固定手段を具備している。スタッド284、286は、フレーム250の穴254、256に挿通される。位置決めされると、スタッド284、286にナット(図示せず)が螺合され、組立体280がフレーム250に対して固定される。マウント組立体280は、更に、保持クリップ138の配置においてマウント組立体120と異なっている。組立体120では、保持クリップ138は弾性体135、136の間に配置されている。組立体280では、クリップ138は、弾性体134、135の間に配置されている。その配置以外は、保持クリップは同様に構成されている。
【0033】
図9に、本発明の別の変形例を示す。本例において、既述した実施形態用の上側のリテーナ290が管部分292を有しており、該管部分には、組立体を組み立てたときにボルト262と螺合してこれを保持する内ネジ部294が設けられている。リテーナ290を用いることにより、マウント組立体は、車両フレームに取付け、次いでその上に車体を降ろす前に、完全に組立済みの状態とすることができる。ボルト262のようなボルトを第2のリテーナに通し、上側のリテーナ290の内ネジ部294に螺合させてリテーナ同士を引き寄せる。このようにして、使用している第2のリテーナからの管部分に管部分292が係合していなくとも或いは物理的に接触していなくとも、組立体を予め組み立てることが可能となる。
【0034】
図10は、本発明のボディマウント組立体で用いる実質的に円形の弾性体300の例を示している。弾性体300は、中心穴または中心開口部302と、ピン受容穴304とを有している。弾性体300を形成する円盤状の部材の性能を調節するために、1または複数の空所306が設けられている。弾性体について他の形状、寸法、構成を用いることもできる。使用する弾性体を変更することによって、同じ第1と第2のリテーナ、取付プレート、保持クリップ、ボルトを使用しながら、マウント組立体の性能を変更可能である。従って、製造者は、ボディマウント組立体に対して異なる要求のある車両について少数の異なる部品を供給すれば済むこととなる。
【0035】
本発明は、予め組立可能で、かつ、単一部品として容易に装着可能な車両用ボディマウント組立体を提供する。このボディマウント組立体は、種々の車両について調節可能で、かつ、ボディマウント組立体の性能を調節するモジュール式弾性体を含む。
【0036】
既述した実施形態の変形や修正は本発明の範囲に含まれる。本明細書において説明され定義された本発明は、発明の詳細な説明および/または図面に記載され或いはそこから明らかな、2またはそれ以上の個別の特徴の代替的組合せの全てに及ぶ。これらの個々の組合せは、本発明の種々の代替的特徴を構成する。本明細書中において説明された実施形態は、本発明を実施する上で現在分っている最良の形態を説明するものであって、当業者に本発明を利用可能とするであろう。特許請求の範囲の各請求項は、従来技術によって許される範囲内の代替実施形態を含むと解釈されるべきである。
本発明の種々の特徴は特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による車両用ボディマウント組立体の斜視図である。
【図2】図1の車両用ボディマウント組立体の分解図である。
【図3】図1の車両用ボディマウント組立体の断面図である。
【図4】車両用ボディマウント組立体の弾性体の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態による車両用ボディマウント組立体の斜視図である。
【図6】図5の車両用ボディマウント組立体の分解図である。
【図7】図5の車両用ボディマウント組立体の断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態による車両用ボディマウント組立体の斜視図である。
【図9】図5、8に示した実施形態用の上リテーナの斜視図である。
【図10】本発明の車両用ボディマウント組立体のための更に他の弾性体の斜視図である。
【図11】本発明の車両用ボディマウント組立体用の保持クリップの斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
20 ボディマウント組立体
22 第1のリテーナ
24 第2のリテーナ
26 取付プレート
28 弾性体
30 弾性体
32 弾性体
34 弾性体
36 弾性体
38 保持クリップ
40 管部分
42 管部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に自動車に設けられる車両フレームに車体を連結するためのボディマウント組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ボディマウントは、車体を車両フレームに固定するために用いられる。ボディマウントは、振動および騒音を遮断し、かつ、車両の乗り心地特性およびハンドリング特性の改善に寄与する。ボディマウントは、車両フレームの取付穴と車体との間に延設された長尺部材を含み、1または複数の弾性部材が車両フレームと車体との間において前記長尺部材に取付けられる。
【0003】
公知のボディマウント組立体では、フランジの両側にゴム部材が設けられている。ゴム部材およびフランジを貫通させてボルトが配設され、ワッシャが、一方の端部において該ボルトの頭部と第1のゴム部材との間に、そして、ボルトの他方の端部においてゴム部材とナットとの間に配設される。ネジ部が形成されているボルトの端部およびフランジの一方の側面に配設された1または複数のゴム部材が、フレームに形成されている穴の中に該フレームの下側から通される。前記フランジにおいてゴム部材の外側に設けられている複数のスタッドが、フレームに形成されているボルト穴に通される。取付プレートが、ボルトのネジ部を設けた端部、フレームに通された前記1または複数のゴム部材、および、前記フレームを貫通するスタッドに通される。次いで、前記スタッドにナットを螺合して所定トルクまで締め付けることにより、フランジをフレームの一側に、そして取付プレートをフレームの反対側に配置した状態で、ボディマウント組立体がフレームに取付けられる。車体は、フレームを貫通させて取付けられたゴム部材に対して取付けられ、このゴム部材を貫通させたボルトの端部にナットにより固定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したボディマウント組立体の取付は扱いにくく時間を要する。ボディマウント組立体はフレームの下側から挿入され、フレームの上側から取付プレートを装着してナットをスタッドに螺合するまで、正しい位置に保持されなければならない。正しい位置に保持されていないと、ボディマウント組立体はフレームから脱落する。従って、装着作業者は、取付プレートとナットとを片手で取り扱わなければならない。と言うのは、反対の手は、ボディマウント組立体を正しい位置に保持しなければならないからである。
【0005】
従って、公知のボディマウント組立体より簡単かつ迅速に装着可能なボディマウント組立体が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、締結具により最終的に取付ける前にフレームの正しい位置に保持され、かつ、装着後に異なるハンドリング特性および乗り心地特性を与えるために、交換可能なゴム部材を用いた車両用ボディマウント組立体を提供する。
【0007】
本発明の1つの特徴によれば、中心開口部を有した取付プレートと、前記取付プレートの両側面に配設された弾性体であって、該弾性体の各々は、前記取付プレートの中心開口部と同軸の中心開口部を有して成る弾性体とを備えた車両用ボディマウント組立体が提供される。前記弾性体の両側に第1と第2のリテーナが配設される。第1と第2の管部分が、前記第1と第2のリテーナから互いに接近方向に前記弾性体を部分的に通過するように延設されている。前記第1と第2のリテーナは前記弾性体の少なくとも一部に係合し、かつ、係合している前記弾性体を相対回転に対して保持する。固定手段が、前記取付プレートにおいて前記弾性体の外側に設けられる。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、中心開口部と、該中心開口部の外側に配設された固定手段とを有した細長い取付プレートを具備した車両用ボディマウント組立体が提供される。複数の弾性体より成る第1の集成体が前記取付プレートの一方の側面に配設され、複数の弾性体より成る第2の集成体が前記取付プレートにおいて前記第1の集成体の反対の側面に配設される。第1のリテーナが、前記第1の集成体の外側に配設された板部材を有し、第2のリテーナが、前記第2の集成体の外側に配設された板部材を有する。前記第1と第2のリテーナは、前記第1と第2の集成体および前記取付プレート内に延設された第1と第2の管部分を有している。前記第1と第2の管部分は、一方が他方に伸縮可能に受容されている。前記管部分は、前記弾性体に係合して相対回転を制限するように形成された少なくとも1つの実質的に平坦の外面を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボディマウント組立体の利点は、取付が容易かつ迅速で、締結具を締め付ける前に正しい位置に保持されることである。
【0010】
本発明のボディマウント組立体の他の利点は、モジュール式の弾性体を有しているので、異なる乗り心地特性およびハンドリング特性を有した異なるタイプの車両に該ボディマウント組立体を使用可能な汎用性を有していることである。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲および図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明は以下に説明する詳細な構造および各構成要素の詳細な配置に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、他の形態、方法で実施することができる。また、本明細書において用いられている言い回しや技術用語は限定的に解釈されるべきではない。「含む」や「具備する」およびその変化形は、その後に列挙された項目およびその均等物並びに付加的項目およびその均等物を包含する意味である。
【0013】
図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
図1、2を参照すると、本発明によるボディマウント組立体20が図示されている。ボディマウント組立体20は、その両端に第1と第2のリテーナ22、24を有している。第1と第2のリテーナ22、24の間には取付プレート26が配設されている。一例として、第1のリテーナ22と取付プレート26との間には、3つの弾性体28、30、32が配設される。また、一例として、取付プレート26と第2のリテーナ24の間には、2つの弾性体34、36が配設される。弾性体34、36の間には保持クリップ38が配設されている。
【0014】
第1と第2のリテーナ22、24は、組立体20の構造的一体性を提供する金属部材より成り、夫々、入れ子式の管部分40、42を有している。図3に示す組立体の断面図を参照すると、第1のリテーナ22の管部分40は、第2のリテーナ24の管部分42上を摺動する。管部分40、42は、後述するように、車体を組立体20に取付けるための、組立体を貫通する穴を形成する。
【0015】
第1と第2のリテーナ22、24は、また、弾性体28、30、32、34、36のための安定化構造を提供する。第1のリテーナ22は、プレート部分44と、弾性体28を受容するための周縁リム部分46とを有している。第2のリテーナ24は、プレート部分48と、弾性体36を受容するための周縁リム部分50とを有している。周縁リム部分46、50は、第1と第2のリテーナ22、24の強度と剛性を高めると共に、リテーナに対する弾性体28、36の位置を安定化する受容エッジを提供する。
【0016】
組立体20の底部において第2のリテーナ24には、弾性体28、30、32、34、36から、水分その他の異物を排出する通路を形成する1または複数の水抜き穴52(図3参照)が配設されている。
【0017】
第1のリテーナ22、第2のリテーナ24、取付プレート26、弾性体28、30、32、34、36および保持クリップ38を確実に組み立てるために、管部分40には、内側に突き出た固定腕部54が設けられている。管部分42の先端が固定腕部54を通過すると、該固定腕部は外側に撓む。管部分42の先端の峰部分56は、図3に示すように外側に拡開しており、固定腕部54の先端に係合する。こうして、管部分42が管部分40内で係合、固定されることで、組立体20が分解せずに安定化する。
【0018】
管部分40、42は円筒状ではなく、長手の軸方向に延びる複数の平坦面を有している。一例として、管部分40、42は六角柱形状を有している。こうして、管部分42を管部分40内に挿入することにより、第1と第2のリテーナ22、24の間の相対的な回転動作は制限される。更に、図2、4に示すように、弾性体28、30、32、34、36は、中心開口部58、60、62、64、66を有しており、それらは、回転することなく管部分40、42の外表面に嵌合する六角形状を呈している。従って、第1と第2のリテーナ22、24、弾性体28、30、32、34、36の全ての構成要素間で相対的な回転動作は、関連する要素の六角形状によって制限される。構成要素間での相対化移転動作を制限するために、六角形状以外の形状を用いても良いことは理解されよう。
【0019】
弾性体28、30、32、34、36は、種々の組合せ、異なる個数、天然ゴムおよび合成ゴムを含む異なる弾性材料から形成可能である。所望の剛性を得て、車両の異なる乗り心地特性およびハンドリング特性を達成するために、材料を選択することができる。更に、弾性体28、30、32、34、36は、異なる寸法、形状の穴を設けることによって、異なるバネ特性、緩衝特性を得るよう形成することができる。図4には、周縁部に丸く突出した複数の膨出部を有した概ねローブ形の弾性体30が示されており、各膨出部には、同一の寸法、形状の細長い穴または空所68が形成されている。然しながら、異なる、寸法、形状、個数、配置の穴または空所を用いることができ、また、穴または空所を設けなくともよい。実施形態において例示的に示す5より多い個数または少ない個数の弾性体を使用することができ、かつ、その弾性体は、図示する膨出部を備えていない他の形状とすることができる。望ましい場合には、1つの組立体内で異なるタイプの弾性体を用いてもよい。
【0020】
取付プレート26は、車両に組立体20を固定するための細長い金属構造である。取付プレート26は、内側に突出した舌部72、74、76、78を設けた中心開口部70を有しており、前記舌部の一方の側面に弾性体32が支持され、前記舌部の他方の側面に弾性体34が支持される。中心開口部70の縁部にはフランジ部80、82、84、86が設けられており、該フランジ部は弾性体32の少なくとも一部に沿うように延設され、弾性体32を横方向に支持して、前後に力が作用したときに、ボディマウント組立体20の一体性を高め、車両を横断する応力に耐えるようにする。図示された個数よりも多い或いは少ない個数の舌部またはフランジ部を用いることができる。
【0021】
一例として示す実施形態では、取付プレート26の両端部分には取付ボス88、90より成る固定手段が設けられており、これによって、組立体20は車両フレームに固定される。取付ボス88、90は、後述するように、ボルトと係合する内ネジ部92、94を有している。取付プレート26の外縁部には周縁リム96が設けられており、これによって組立体20の横剛性が更に高まる。
【0022】
図11に拡大して示す保持クリップ38は、中心開口部100を有した金属製の板状の部材である。保持クリップ38の周縁部には、複数のタブ102、104、106、108が配設されており、該タブは保持クリップ38の両側面に配設される弾性体の外側へ突出する。後述する目的のために、図示された個数よりも多い或いは少ない個数のタブを用いることができる。
【0023】
図5、6を参照すると、本発明の第2の実施形態によるボディマウント組立体120が図示されている。組立体120は、第1と第2のリテーナ122、124と、該第1と第2のリテーナの間に配設された取付プレート126とを有している。第1のリテーナ122と取付プレート126の間には、弾性体128、130、132が配設されている。取付プレート126と第2のリテーナ124の間には弾性体134、135、136が配設されている。弾性体135、136の間には保持プレート138が配設されている。
【0024】
組立体120は組立体20に類似するが、弾性体が追加されており、組立体20の5つの弾性体に代えて6つの弾性体を有した構成となっている。更に、第1と第2のリテーナ122、124の管部分140、142は、概ね円筒形状の外形を有している。第1のリテーナ122は、プレート部材144とリム146とを有し、第2のリテーナ124は、プレート部材148とリム150とを有している。一体的に設けられた1または複数のピン152がプレート部材144から弾性体128へ向けて突出している。図面には、一例として2本のこのようなピン152が示されている。同様に、一体的に設けられた1または複数のピン154がプレート部材148から弾性体136へ向けて突出している。図面には、一例として2本のこのようなピン154が示されている。
【0025】
弾性体128、130、132、134、135、136は、管部分140、142に嵌合させるために、実質的に円形の中心開口部158、160、162、164、165、166を有している。第1と第2のリテーナ122、124に各々隣接させて配置されている弾性体128、136は、ピン152、154を各々受容するために正確に位置決めされた穴168、170を有している。ピン152、154の長さによっては、中間の弾性体130、132、134および/または135にも、該ピンを受容するために正確に位置決めされた穴を形成することができる。
【0026】
取付プレート126は、中心開口部172と、該取付プレートの一方の側面から隣接する弾性体132へ向けて突出する1または複数の一体的に設けられたピン174と、該取付プレートの反対の側面から弾性体134へ向けて突出する1または複数の一体的に設けられたピン176とを有している。取付プレート126の両側面に設けられたピン174、176は、互いに一直線上にあっても或いはなくとも、若しくは、ピン152、154に対して一直線上にあっても或いはなくともよい。取付プレート126の両側面に配設された弾性体132、134には、ピン174、176を受容するために、正確な寸法を有し正確に位置決めされた穴178、180が設けられている。ピン152、154、174、176は、穴168、170、178、180を同じ大きさ同じ位置として組立体120内で入替えることができるように、同じ大きさで同じように配置することができる。穴168、170、178、180内において、ピン152、154、174、176は、弾性体が相対回転動作をしないように該弾性体を保持する。既述したように、ピン152、154、174、176は、全ての弾性体を積極的に保持するように、前記弾性体のうち幾つかを貫通可能な長さとすることができる。或いは、内側の弾性体は、他の弾性体による圧縮および摩擦を通じて相対回転動作しないように保持してもよい。
【0027】
取付プレート126は、更に、既述した組立体20の取付ボス88、90およびネジ部92、94と同様に、取付ボス188、190および内ネジ部192、194を有している。取付プレート126の外縁部には、剛性を高める周縁リム196が設けられている。
【0028】
保持クリップ138は、既述した保持クリップ38の中心開口部100およびタブ102、104、106、108と同様の、中心穴200および周縁タブ202、204、206、208を有している。
【0029】
図7は、既述した実施形態の車両への取付方法を示している。図7では、組立体120が装着されているが、組立体20も同様に取付けられることは理解されよう。車両フレーム250には、組立体120を受容するための開口部252、および、組立体120をフレーム250に固定するためのボルト穴254、256が形成されている。第2のリテーナ124および弾性体136が開口部252を通して降ろされる。保持クリップ138のタブ202、204、206、208は、開口部252よりも広い外周縁をしている。従って、組立体120に力が作用すると、タブ202、204、206、208は、開口部252の周縁部に係合して内側に変形する。保持クリップ138は開口部252内に「スナップ式」に挿通され、開口部252を通過すると、タブ202、204、206、208が外側に戻る。保持クリップ138が開口部252を完全に通過すると、タブ202、204、206、208は、組立体120が、挿入した方へ外方に簡単に抜け出ることを防止する。こうした、組立体120は、その後のフレーム250の移動および取扱の間に開口部252内に保持される。
【0030】
組立体120は、ボルト穴254、256がボス188、190に対して一直線上に位置決めされた状態で、取付プレート126がフレーム250に載置されるまで挿入される。その後、フレーム250のボルト穴254、256にボルト258、260が挿入され、ボス188、190の内ネジ部192、194に螺合される。ボルト258、260に適切なトルクが与えられ、これによって組立体120がフレーム250に固定される。
【0031】
車体をフレーム250に連結するために、管部分140、142にボルト262が挿通される。穴266を有した車体264がボルト262の端部に置かれ、ナット268が該ボルトに螺合される。図7に示すように、縮径部270を管部分140、142の一方または双方に設けて、車体を載置する際、組立体120内にボルト262を保持するようにできる。
【0032】
図8に、本発明の更に他の実施形態によるマウント組立体280を示す。このマウント組立体280は、多くの点で既述したマウント組立体120と同様に構成されている。マウント組立体280において、組立体120と同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。組立体280は、内ネジ部を設けたボス88、90または188、190に代えて、取付プレート282に固定されたボルトまたはスタッド284、286より成る固定手段を具備している。スタッド284、286は、フレーム250の穴254、256に挿通される。位置決めされると、スタッド284、286にナット(図示せず)が螺合され、組立体280がフレーム250に対して固定される。マウント組立体280は、更に、保持クリップ138の配置においてマウント組立体120と異なっている。組立体120では、保持クリップ138は弾性体135、136の間に配置されている。組立体280では、クリップ138は、弾性体134、135の間に配置されている。その配置以外は、保持クリップは同様に構成されている。
【0033】
図9に、本発明の別の変形例を示す。本例において、既述した実施形態用の上側のリテーナ290が管部分292を有しており、該管部分には、組立体を組み立てたときにボルト262と螺合してこれを保持する内ネジ部294が設けられている。リテーナ290を用いることにより、マウント組立体は、車両フレームに取付け、次いでその上に車体を降ろす前に、完全に組立済みの状態とすることができる。ボルト262のようなボルトを第2のリテーナに通し、上側のリテーナ290の内ネジ部294に螺合させてリテーナ同士を引き寄せる。このようにして、使用している第2のリテーナからの管部分に管部分292が係合していなくとも或いは物理的に接触していなくとも、組立体を予め組み立てることが可能となる。
【0034】
図10は、本発明のボディマウント組立体で用いる実質的に円形の弾性体300の例を示している。弾性体300は、中心穴または中心開口部302と、ピン受容穴304とを有している。弾性体300を形成する円盤状の部材の性能を調節するために、1または複数の空所306が設けられている。弾性体について他の形状、寸法、構成を用いることもできる。使用する弾性体を変更することによって、同じ第1と第2のリテーナ、取付プレート、保持クリップ、ボルトを使用しながら、マウント組立体の性能を変更可能である。従って、製造者は、ボディマウント組立体に対して異なる要求のある車両について少数の異なる部品を供給すれば済むこととなる。
【0035】
本発明は、予め組立可能で、かつ、単一部品として容易に装着可能な車両用ボディマウント組立体を提供する。このボディマウント組立体は、種々の車両について調節可能で、かつ、ボディマウント組立体の性能を調節するモジュール式弾性体を含む。
【0036】
既述した実施形態の変形や修正は本発明の範囲に含まれる。本明細書において説明され定義された本発明は、発明の詳細な説明および/または図面に記載され或いはそこから明らかな、2またはそれ以上の個別の特徴の代替的組合せの全てに及ぶ。これらの個々の組合せは、本発明の種々の代替的特徴を構成する。本明細書中において説明された実施形態は、本発明を実施する上で現在分っている最良の形態を説明するものであって、当業者に本発明を利用可能とするであろう。特許請求の範囲の各請求項は、従来技術によって許される範囲内の代替実施形態を含むと解釈されるべきである。
本発明の種々の特徴は特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による車両用ボディマウント組立体の斜視図である。
【図2】図1の車両用ボディマウント組立体の分解図である。
【図3】図1の車両用ボディマウント組立体の断面図である。
【図4】車両用ボディマウント組立体の弾性体の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態による車両用ボディマウント組立体の斜視図である。
【図6】図5の車両用ボディマウント組立体の分解図である。
【図7】図5の車両用ボディマウント組立体の断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態による車両用ボディマウント組立体の斜視図である。
【図9】図5、8に示した実施形態用の上リテーナの斜視図である。
【図10】本発明の車両用ボディマウント組立体のための更に他の弾性体の斜視図である。
【図11】本発明の車両用ボディマウント組立体用の保持クリップの斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
20 ボディマウント組立体
22 第1のリテーナ
24 第2のリテーナ
26 取付プレート
28 弾性体
30 弾性体
32 弾性体
34 弾性体
36 弾性体
38 保持クリップ
40 管部分
42 管部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ボディマウント組立体において、
中心開口部を有した取付プレートと、
前記取付プレートの両側面に配設された弾性体であって、該弾性体の各々は、前記取付プレートの中心開口部と同軸の中心開口部を有して成る弾性体と、
前記弾性体の両側に配設された第1と第2のリテーナと、
前記第1のリテーナから延びる第1の管部分と、前記第2のリテーナから延びる第2の管部分とを備え、前記第1と第2の管部分は、互いに接近方向に前記弾性体を部分的に通過するように延設されており、
前記第1と第2のリテーナが、前記弾性体の少なくとも一部に係合し、かつ、係合している前記弾性体を相対回転に対して保持しており、
更に、前記取付プレートにおいて前記弾性体の外側に設けられた固定手段を具備した、車両用ボディマウント組立体。
【請求項2】
前記管部分は互いに入れ子式に係合している請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項3】
前記管部分の一方が可撓性の固定腕部を有し、前記管部分の他方が、前記固定腕部を滑り通過させ該固定腕部と係合する峰部分を有している請求項2に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項4】
前記管部分の各々は、軸方向に延設された少なくとも1つの平坦面を有し、前記弾性体の中心開口部が、前記管部分を受容する対応の平坦部分を有している請求項2に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項5】
前記取付プレートが、該取付プレートの両側面に配設された弾性体内に延びるピンを有している請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項6】
前記取付プレートは、その外縁部にリムを有している請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項7】
前記固定手段は、内ネジ部を設けたボスを具備する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項8】
前記固定手段は、ネジ部の形成されたスタッドを具備する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項9】
前記第1と第2のリテーナの各々は、板部材と周縁リムとを有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項10】
前記リテーナの一方が、水抜き穴を有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項11】
前記リテーナの各々が、隣接する弾性体内に突出する少なくとも1つのピンを有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項12】
隣接する2つの前記弾性体の間に配設された保持クリップを更に具備し、該保持クリップが、前記隣接する弾性体を越えて外側に延びるタブを有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項13】
前記弾性体は、前記中心開口部の外側に配設された貫通穴を有した円盤状の部材である請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項14】
前記管部分の一方に内ネジ部が形成されている請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項15】
車両用ボディマウント組立体において、
中心開口部と、該中心開口部の外側に配設された固定手段とを有した細長い取付プレートと、
前記取付プレートの両側面に配設された弾性体と、
前記弾性体の両側に配設された第1と第2のリテーナとを具備し、
前記第1と第2のリテーナは、前記弾性体内に少なくとも部分的に延設された第1と第2の管部分を有し、
前記リテーナは、前記弾性体のうち隣接する弾性体に係合して相対回転を制限するように形成されている車両用ボディマウント組立体。
【請求項16】
前記第1と第2の管部分は、一方が他方に伸縮可能に受容されている請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項17】
前記管部分は、前記軸方向に延設された少なくとも1つの平坦面を有し、前記弾性体の中心開口部が、前記少なくとも1つの平坦面を受容するように形成された中心開口部を有している請求項16に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項18】
前記取付プレートは、前記中心開口部内へ内側に突き出たタブと、前記弾性体をその少なくとも一方の側面に位置決めするための、前記中心開口部の縁部に配設された周縁フランジ部とを含む請求項17に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項19】
隣接する2つの前記弾性体の間に配設された保持クリップを更に具備し、該保持クリップが、前記隣接する弾性体を越えて外側に延びるタブを有する請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項20】
前記固定手段は、内ネジ部を設けたボスを具備する請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項21】
前記固定手段は、ネジ部の形成されたスタッドを具備する請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項22】
車両用ボディマウント組立体において、
中心開口部と、該中心開口部の外側に配設された固定手段とを有した細長い取付プレートと、
前記取付プレートの一方の側面に配設された複数の弾性体より成る第1の集成体と、
前記取付プレートにおいて前記第1の集成体の反対の側面に配設された複数の弾性体より成る第2の集成体と、
前記第1の集成体の外側に配設された板部材を有した第1のリテーナと、
前記第2の集成体の外側に配設された板部材を有した第2のリテーナとを具備し、
前記第1と第2のリテーナは、前記第1と第2の集成体および前記取付プレート内に延設された第1と第2の管部分を有し、
前記第1と第2の管部分は、一方が他方に伸縮可能に受容されており、
前記管部分が、前記弾性体に係合して相対回転を制限するように形成された少なくとも1つの実質的に平坦の外面を有している車両用ボディマウント組立体。
【請求項23】
前記リテーナの板部材および取付プレートが周縁リムを有する請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項24】
前記取付プレートが、前記中心開口部に隣接させて配置されたフランジ部を有しており、該フランジ部は隣接する前記弾性体に沿って延設されている請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項25】
隣接する2つの前記弾性体の間に配設された保持クリップを更に具備し、該保持クリップが、前記弾性体を越えて外側に延びるタブを有する請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項26】
前記第2の管部分が、前記第1の管部分内に伸縮可能に受容されており、前記第1の管部分は、前記第2の管部分の端部に係合する固定腕部を有する請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項1】
車両用ボディマウント組立体において、
中心開口部を有した取付プレートと、
前記取付プレートの両側面に配設された弾性体であって、該弾性体の各々は、前記取付プレートの中心開口部と同軸の中心開口部を有して成る弾性体と、
前記弾性体の両側に配設された第1と第2のリテーナと、
前記第1のリテーナから延びる第1の管部分と、前記第2のリテーナから延びる第2の管部分とを備え、前記第1と第2の管部分は、互いに接近方向に前記弾性体を部分的に通過するように延設されており、
前記第1と第2のリテーナが、前記弾性体の少なくとも一部に係合し、かつ、係合している前記弾性体を相対回転に対して保持しており、
更に、前記取付プレートにおいて前記弾性体の外側に設けられた固定手段を具備した、車両用ボディマウント組立体。
【請求項2】
前記管部分は互いに入れ子式に係合している請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項3】
前記管部分の一方が可撓性の固定腕部を有し、前記管部分の他方が、前記固定腕部を滑り通過させ該固定腕部と係合する峰部分を有している請求項2に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項4】
前記管部分の各々は、軸方向に延設された少なくとも1つの平坦面を有し、前記弾性体の中心開口部が、前記管部分を受容する対応の平坦部分を有している請求項2に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項5】
前記取付プレートが、該取付プレートの両側面に配設された弾性体内に延びるピンを有している請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項6】
前記取付プレートは、その外縁部にリムを有している請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項7】
前記固定手段は、内ネジ部を設けたボスを具備する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項8】
前記固定手段は、ネジ部の形成されたスタッドを具備する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項9】
前記第1と第2のリテーナの各々は、板部材と周縁リムとを有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項10】
前記リテーナの一方が、水抜き穴を有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項11】
前記リテーナの各々が、隣接する弾性体内に突出する少なくとも1つのピンを有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項12】
隣接する2つの前記弾性体の間に配設された保持クリップを更に具備し、該保持クリップが、前記隣接する弾性体を越えて外側に延びるタブを有する請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項13】
前記弾性体は、前記中心開口部の外側に配設された貫通穴を有した円盤状の部材である請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項14】
前記管部分の一方に内ネジ部が形成されている請求項1に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項15】
車両用ボディマウント組立体において、
中心開口部と、該中心開口部の外側に配設された固定手段とを有した細長い取付プレートと、
前記取付プレートの両側面に配設された弾性体と、
前記弾性体の両側に配設された第1と第2のリテーナとを具備し、
前記第1と第2のリテーナは、前記弾性体内に少なくとも部分的に延設された第1と第2の管部分を有し、
前記リテーナは、前記弾性体のうち隣接する弾性体に係合して相対回転を制限するように形成されている車両用ボディマウント組立体。
【請求項16】
前記第1と第2の管部分は、一方が他方に伸縮可能に受容されている請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項17】
前記管部分は、前記軸方向に延設された少なくとも1つの平坦面を有し、前記弾性体の中心開口部が、前記少なくとも1つの平坦面を受容するように形成された中心開口部を有している請求項16に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項18】
前記取付プレートは、前記中心開口部内へ内側に突き出たタブと、前記弾性体をその少なくとも一方の側面に位置決めするための、前記中心開口部の縁部に配設された周縁フランジ部とを含む請求項17に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項19】
隣接する2つの前記弾性体の間に配設された保持クリップを更に具備し、該保持クリップが、前記隣接する弾性体を越えて外側に延びるタブを有する請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項20】
前記固定手段は、内ネジ部を設けたボスを具備する請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項21】
前記固定手段は、ネジ部の形成されたスタッドを具備する請求項15に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項22】
車両用ボディマウント組立体において、
中心開口部と、該中心開口部の外側に配設された固定手段とを有した細長い取付プレートと、
前記取付プレートの一方の側面に配設された複数の弾性体より成る第1の集成体と、
前記取付プレートにおいて前記第1の集成体の反対の側面に配設された複数の弾性体より成る第2の集成体と、
前記第1の集成体の外側に配設された板部材を有した第1のリテーナと、
前記第2の集成体の外側に配設された板部材を有した第2のリテーナとを具備し、
前記第1と第2のリテーナは、前記第1と第2の集成体および前記取付プレート内に延設された第1と第2の管部分を有し、
前記第1と第2の管部分は、一方が他方に伸縮可能に受容されており、
前記管部分が、前記弾性体に係合して相対回転を制限するように形成された少なくとも1つの実質的に平坦の外面を有している車両用ボディマウント組立体。
【請求項23】
前記リテーナの板部材および取付プレートが周縁リムを有する請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項24】
前記取付プレートが、前記中心開口部に隣接させて配置されたフランジ部を有しており、該フランジ部は隣接する前記弾性体に沿って延設されている請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項25】
隣接する2つの前記弾性体の間に配設された保持クリップを更に具備し、該保持クリップが、前記弾性体を越えて外側に延びるタブを有する請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【請求項26】
前記第2の管部分が、前記第1の管部分内に伸縮可能に受容されており、前記第1の管部分は、前記第2の管部分の端部に係合する固定腕部を有する請求項22に記載の車両用ボディマウント組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−306383(P2006−306383A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104282(P2006−104282)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】
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