説明

車両用乗員拘束装置及びその制御方法

【課題】通常時に着座乗員に与える圧迫感を抑えつつ、該着座乗員が慣性移動により受ける力を小さく抑えることができる車両用乗員拘束装置を得る。
【解決手段】車両用乗員拘束装置10は、通常使用位置において車両用シート11の着座乗員Pの腹部に対する車両前側に離間しつつ車幅方向に沿って配置されるラップバー22と、作動によりラップバー22を通常使用位置から車両後方へ駆動するアクチュエータ28と、ラップバー22に設けられガス供給を受けて着座乗員Pの上体とステアリングホイール48又はインストルメントパネル46との間で展開される前突エアバッグ40と、作動により前突エアバッグ40にガスを供給するインフレータと、車両の前面衝突を予測した場合にアクチュエータ28を作動させ、車両の前面衝突を検知した場合にインフレータを作動させる乗員保護ECUと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに着座した乗員を該車両用シートに拘束するための車両用乗員拘束装置、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員前方を横切る可動体に、乗員の腹部に向けて展開される第1エアバッグと、車両前方でかつ上方に向けて展開される第2エアバッグとを備えた車両用乗員拘束装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−166774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常使用位置で乗員から離間している可動体を備えた構成では、乗員の腹部と可動体との間に前後方向の隙間が設定されているため、乗員が急制動などの慣性で前方に移動して可動体に当たることが懸念される。
【0005】
本発明は、通常時に着座乗員に与える圧迫感を抑えつつ、該着座乗員が慣性移動により受ける力を小さく抑えることができる車両用乗員拘束装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る車両用乗員拘束装置は、通常使用位置において、車両用シートの着座乗員の腹部に対する車両前側に離間しつつ車幅方向に沿って配置されるベース部と、作動により、前記ベース部を前記通常使用位置から車両後方へ駆動するアクチュエータと、前記ベース部に設けられ、ガス供給を受けて前記着座乗員の上体と該着座乗員の前方に位置する車両構造物との間で展開されるエアバッグと、作動により、前記エアバッグにガスを供給するガス供給手段と、車両の前面衝突を予測した場合に前記アクチュエータを作動させ、車両の前面衝突を検知した場合に前記ガス供給手段を作動させる制御装置と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の車両用乗員拘束装置では、通常使用位置に位置するベース部は、車両用シートの着座乗員の腹部に対する車両前方の空間で、該腹部を正面視で車幅方向に横切るように配置される。ベース部が着座乗員の腹部に対し離間している(非接触である)ことにより、通常時にベース部が着座乗員に対し直接的(肉体的)な圧迫感を与えることがない。そして、ベース部が通常使用位置に位置する状態で車両の前面衝突が検知されると、制御装置がガス供給手段を作動させ、エアバッグが該着座乗員の前方に位置する車両構造物と着座乗員の上体との間で展開される。これにより、車両用シートの着座乗員は、上体の前方移動がエアバッグによって拘束される。
【0008】
ここで、車両の前面衝突が予測されると、制御装置がアクチュエータを作動させてベース部が後方に移動される。これにより、ベース部と着座乗員との間隔が前面衝突発生前になくなり又は小さくなり、衝突予測時の急制動などにより着座乗員が前方に移動しながら該乗員の腹部等がベース部に当たることが抑制される。
【0009】
このように、請求項1記載の車両用乗員拘束装置では、通常時に着座乗員に与える圧迫感を抑えつつ、該着座乗員が慣性移動により受ける力を小さく抑えることができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る車両用乗員拘束装置は、請求項1において、前記ベース部は、車幅方向の両端に連結された連結部を介して、前記車両用シートのシートクッションの後部に対し車幅方向に沿った軸廻りに回転可能に支持されており、前記アクチュエータは、作動により前記ベース部を前記軸廻りに回転させることで後方に移動させる、構成とされている。
【0011】
請求項2記載の車両用乗員拘束装置では、通常使用位置に位置するベース部は、車幅方向両側の連結部とで、着座乗員を前方及び側方から囲むようなU字状を成している。このベース部のシートクッション後部への接続端が車幅方向に沿った軸廻りに回転されることで、通常使用位置に位置するベース部における乗員の前方に位置する部分が、該通常使用位置から着座乗員側(拘束位置)に移動される。こにため、支持端側の小さい移動角によって着座乗員の腹部前方においてはベース部が大きく動かされるので、衝突予測から短時間でベース部を通常使用位置から拘束位置に移動させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明に係る車両用乗員拘束装置は、請求項1又は請求項2において、前記ベース部には、該ベース部と前記着座乗員との接触を検知する接触センサが設けられており、前記制御装置は、前記接触センサからの信号に基づいて前記ベース部と着座乗員との接触を検知した場合に前記アクチュエータを停止する、構成とされている。
【0013】
請求項3記載の車両用乗員拘束装置では、ベース部の着座乗員に対する接触が検知されると、制御装置がアクチュエータを停止させる。これにより、ベース部から着座乗員に不要な力が作用することが防止又は抑制される。この場合、例えば、アクチュエータ、アクチュエータからベース部までの動力伝達機構、又はベース部に、該ベース部を着座乗員に対する接触位置で保持するロック手段を設けても良い。また例えば、接触センサからの信号により着座乗員からの離間を検知すると制御装置がアクチュエータを再駆動するようにしても良い。
【0014】
請求項4記載の発明に係る車両用乗員拘束装置は、請求項1又は請求項2において、前記ベース部が着座乗員と接触した場合に前記アクチュエータから前記ベース部への動力伝達を制限する伝達制限手段をさらに備える。
【0015】
請求項4記載の車両用乗員拘束装置では、ベース部が着座乗員に対する接触してアクチュエータの負荷が増すと、伝達制限手段によりアクチュエータからベース部への動力が制限される。これにより、ベース部から着座乗員に過大な力が作用することが防止又は抑制される。また、伝達制限手段により制限されたアクチュエータの駆動力によって、着座乗員へのベース部への接触状態が維持される。
【0016】
請求項5記載の発明に係る車両用乗員拘束装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項において、前記ベース部に、前記着座乗員腰部側に離脱可能に設けられたラップベルトと、作動により前記ラップベルトに張力を付与して引き込むように設けられ、該引き込み動作によって前記ラップベルトを前記ベース部から離脱させる第1プリテンショナと、作動により前記ラップベルトに前記第1プリテンショナが付与する以上の張力を付与しつつ該ラップベルトを引き込む第2プリテンショナと、をさらに備え、前記制御装置は、前記ベース部が通常使用位置に位置する状態で前記衝突予測センサからの信号に基づいて車両の前面衝突を予測した場合に前記第1プリテンショナを作動させ、前記衝突センサからの信号に基づいて車両の前面衝突を検知した場合に前記第2プリテンショナを作動させる、構成とされている。
【0017】
請求項5記載の車両用乗員拘束装置では、車両の前面衝突が予測されると、制御装置はアクチュエータ及び第1プリテンショナを作動させる。すると、ベース部は通常使用位置から拘束位置に移動され、ラップベルトはベース部から離脱されて着座乗員の腰部に装着される。そして、車両の前面衝突が検知されると、制御装置は第2プリテンショナ及びガス供給手段を作動させる。これにより、車両用シートの着座乗員は、ラップベルトによって腰部の前方移動が拘束された状態で、上体の前方移動がエアバッグによって拘束される。ここで、ラップベルトは、衝突検知前に乗員に装着され、衝突初期には短時間で所要の乗員腰部の拘束性能を発揮する。これにより、車両前面衝突時の初期拘束性能が向上する。
【0018】
請求項6記載の発明に係る車両用乗員拘束装置の制御方法は、エアバッグ及びラップベルトを保持したベース部を、通常時には車両用シートの着座乗員の腹部に対する前側に離間しつつ車幅方向に沿った通常使用位置に位置させておき、車両の前面衝突が予測された場合に、前記ベース部が前記着座乗員に接触又は近接されるように該ベース部を車両後方に移動させると共に、前記ラップベルトが前記ベース部から離脱されて前記着座乗員の腰部に装着されるように該ラップベルトに張力を付与して引き込み、車両の前面衝突が検知された場合に、前記ラップベルトにより前記着座乗員の腰部が拘束されるように該ラップベルトをさらに引き込むと共に、前記エアバッグが前記着座乗員の上体と該着座乗員の前方に位置する車両構造物との間で展開されるように該エアバッグにガスを供給する。
【0019】
請求項6記載の車両用乗員拘束装置の制御方法では、通常時にはベース部を着座乗員前方の空間で、該着座乗員の腹部に対し離間させている(非接触である)ので、ベース部が着座乗員に対し直接的(肉体的)な圧迫感を与えることがない。そして、車両の前面衝突が予測されると、ラップベルトを引き込んで乗員の腰部に装着させ、前面衝突が検知されるとラップベルトをさらに引き込むので、衝突初期に乗員の腰部が効果的拘束される。また、前面衝突が検知されるとエアバッグにガス供給するので、該エアバッグが着座乗員の上体と該着座乗員の前方に位置する車両構造物との間で展開され、該着座乗員の上体の前方移動が効果的に拘束される。ここで、前面衝突が予測されるとベース部を後方に移動するので、該ベース部と着座乗員との間隔が前面衝突発生前になくなり又は小さくなり、衝突予測時の急制動などにより着座乗員が前方に移動しながら該乗員の腹部等がベース部に当たることが抑制される。
【0020】
このように、請求項6記載の車両用乗員拘束装置の制御方法では、通常時に着座乗員に与える圧迫感を抑えつつ、該着座乗員が慣性移動により受ける力を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明に係る車両用乗員拘束装置及びその制御方法は、通常時に着座乗員に与える圧迫感を抑えつつ、該着座乗員が慣性移動により受ける力を小さく抑えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の使用状態を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置による乗員拘束状態を示す平面図である。
【図3】(A)は、本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成するラップバーが格納位置に位置する状態を示す車内側から見た側面図、(B)は図3(A)に示す領域3Bを拡大して模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成するラップバーの通常使用位置及び拘束時使用位置を示す車内側から見た側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成するラップバーから前突エアバッグが展開された状態を示す、インナバー等の図示を省略して車内側から見た側面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の非使用状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の使用状態を示す、乗員の図示を省略した斜視図である。
【図8】(A)は、本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成する前突エアバッグ装置及びベルト保持構造を拡大して示す側断面図、(B)はベルト保持構造を一部拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の制御フローの変形例を示すフローチャートである。
【図12】(A)は、本発明の第2の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成するラップバーが格納位置に位置する状態を示す車内側から見た側面図、(B)は図12(A)に示す領域14Bを拡大して模式的に示す側面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る車両用乗員拘束装置の使用状態を示す平面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る車両用乗員拘束装置による乗員拘束状態を示す平面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成するラップバーが格納位置に位置する状態を示す車内側から見た側面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る車両用乗員拘束装置を構成するバー連結構造、バックル機構を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置10について、図1〜図9に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、それぞれ車両用乗員拘束装置10が適用された自動車の前方向、上方向、車幅方向の外側を示している。自動車の前方向、上方向、車幅方向は、車両用乗員拘束装置10が適用された車両用シート11の前方向、上方向、幅方向に略一致している。以下、単に前後、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0024】
図1には、車両用乗員拘束装置10が適用された車室内部が平面図にて示されている。この図に示される如く、車両用シート11は、乗員が前方を向いて着座するように設けられている。この車両用シート11は、着座部を成すシートクッション12と、該シートクッション12の後端部に下端部が接続されバックレストを成すシートバック14と、シートバック14の上端に設けられたヘッドレスト16とを主要部として構成されている。この実施形態における車両用シート11は、運転席とされており、車体における車幅方向の中央部に配置されたセンタコンソール18に対し該車幅方向の一方側に配置されている。なお、助手席である車両用シート11に対し車両用乗員拘束装置10が適用可能であることは言うまでもない。
【0025】
(支持構造体の構成)
車両用乗員拘束装置10は、後述する前突エアバッグ装置34及びラップベルト56を着座乗員Pの保護可能な位置で支持するラップディバイス20を備えている。ラップディバイス20は、図1に実線にて示す使用位置と、同図に想像線にて示す格納位置とをとり得るベース部としてのラップバー22を備えている。図7はラップバー22の使用位置(ラップディバイス20の使用形態)を示す斜視図(着座乗員Pの図示は省略)、図6はラップバー22の格納位置(ラップディバイス20の乗降許容形態形態)を示す斜視図である。
【0026】
これらの図にも示される如く、使用位置に位置するラップバー22は、車両用シート11の着座乗員P(以下、単に「着座乗員P」という)の腹部の前方に離間しつつ、該腹部に対向するようになっている。一方、格納位置に位置するラップバー22は、平面視で、車両用シート11(シートクッション12)の車幅方向内側の側縁部、すなわちセンタコンソール18に沿って前後に延びる姿勢をとるようになっている。
【0027】
ラップバー22の車幅方向内端部は、図6、図7及び格納位置の側面図である図3に示される如く、下端がシートクッション12の後部に支持された連結部の一方としてのインナバー24の上端に連結されている。ラップバー22とインナバー24とは、インナバー24の長手方向との直交面に略沿った連結部位において、該長手方向に沿った軸25(図3(A)参照)周りに相対回転可能とされている。主に軸25周りの相対回転によって、ラップバー22は、格納位置と使用位置とが切り換えられる構成とされている。すなわち、ラップディバイス20の格納位置及び使用位置は、インナバー24に対するラップバー22の移動(姿勢変化)によって切り換えられるようになっている。なお、ラップディバイス20は、インナバー24に対する軸25周りの回転によって使用位置の近傍に至り、その状態から後述するバックル機構60を結合する動作を経て使用位置に至る構成とされている。バックル機構60を結合する動作の動作代は、ラップバー22自体の撓み、ラップバー22とインナバー24との連結部の遊び等によって設定されている。
【0028】
このラップバー22は、その両端を除く中間部が、図3に示す格納位置において上向きに凸を成し、図1及び図7に示す使用位置において前上向きに凸を成す湾曲形状とされている。より具体的には、ラップバー22は、平面視で弓状を成す中間部22Aの長手方向両端から、それぞれ略ストレートな接続部22Bが使用位置における略後下方に延設された構成とされている。これにより、ラップバー22は、曲げたり伸ばしたりすることなく、主に上記したインナバー24との相対回転動作に伴って、格納位置から使用位置へ移動(姿勢変化)する形状に形成されている。格納位置でラップバー22のインナバー24側とは反対側の端部は、着座乗員Pの膝近傍に位置する構成とされている。なお、ラップバー22のアウタバー30への連結については、ラップバー22の使用位置への位置出しと捉えても良く、ラップバー22の使用位置での保持(ロック)と捉えても良い。
【0029】
また、インナバー24の下端は、図3に示される如く、シートクッション12の後部に対し車幅方向に沿った軸26廻りに相対回転可能に支持されている。一方、シートクッション12に対する車幅方向外側には、ラップバー22の車幅方向外端が着脱される連結部の他方としてのアウタバー30が配置されている。アウタバー30は、下端側において軸26と同軸の図示しない軸31(図6、7参照)廻りに回転可能にシートクッション12に支持されている。このアウタバー30の上端部とラップバー22の車幅方向外端との間には、これらが解除可能に連結されるバー連結構造32が設けられている。この実施形態におけるバー連結構造32は、後述するシートベルト装置54のバックル機構60を兼ねている。
【0030】
そして、シートクッション12には、インナバー24を軸26周りに回転駆動(揺動)させるアクチュエータ28が設けられている。このアクチュエータ28の作動よって、ラップバー22は、図4に実線にて示される通常使用位置から、想像線にて示される如く着座乗員Pに接触する拘束時使用位置へと移動する構成とされている。アクチュエータは、例えば減速機付モータとされ、減速機が出力側からの回転が不能とされるセルフロック機能を有する構成とされている。これにより、ラップバー22は、拘束時使用位置に保持(ロック)されるようになっている。なお、セルフロック機能を有する減速機としては、例えばリード角と摩擦角とが所要の関係を満たすウォーム減速機等を用いることができる。また、ラップバー22を拘束時使用位置でロック(解除)するロック機構を、アクチュエータ28とは独立して設けても良い。
【0031】
さらに、ラップバー22には、ラップバー22が乗員に接触したことを検知する接触センサ35が設けられている。接触センサ35としては、例えば感圧センサや光センサ、リミットスイッチなどを用いることができる。また、接触センサ35に代えて、例えばアクチュエータ28を構成する電気モータの負荷(電流値)に基づいてラップバー22と着座乗員Pとの接触を検知するようにしても良い。アクチュエータ28、接触センサ35を含む制御系等については、乗員保護ECU66と共に後述する。
【0032】
なお、この実施形態では、インナバー24の下端は、後述するプリテンショナ装置58を介して軸26廻りに相対回転可能に支持されており、ベースアクチュエータ28はプリテンショナ装置58を軸26周りに回転させるようになっている。また、インナバー24は、手動によっても軸26周りに回転可能とされており、ラップディバイス20(ラップバー22)の使用位置と格納位置との切り換えの際に軸26周りに適宜回転されるようになっていても良い。さらに、ラップバー22が格納位置に位置する場合は、図3(A)に示される如く、インナバー24は拘束時使用位置よりも鉛直に近づくように立ち上がった回転位置に至る構成とされている。また、図示は省略するが、ラップバー22の使用位置と格納位置との切り換えの際には、ステアリングホイール48はチルト機能により該ラップバー22の動作範囲から外れて位置するようになっている。
【0033】
(前突エアバッグの構成)
図1に示される如く、以上説明したラップディバイス20のラップバー22には、前面衝突(前突)に対する着座乗員Pの拘束(保護)用の前突エアバッグ装置34が配設されている。前突エアバッグ装置34は、使用位置のラップバー22における着座乗員Pの前方に位置する部分(湾曲部分)に、該ラップバー22の長手方向に沿って配置されている。
【0034】
具体的には、図8(A)に示される如く、少なくとも前突エアバッグ装置34の配設範囲でラップバー22は中空構造とされており、該ラップバー22の内部空間であるエアバッグ収容部36内に前突エアバッグ装置34が配置されている。前突エアバッグ装置34は、作動によりガスを発生するガス供給手段としてのインフレータ38と、インフレータ38からのガス供給を受けて膨張、展開されるエアバッグとしての前突エアバッグ40とを主要部として構成されている。
【0035】
インフレータ38は、ラップバー22の幅方向中央部で、該ラップバー22における着座乗員P側を向く底壁22Cに固定されている。前突エアバッグ40は、その内側にインフレータ38が収容された状態で、該インフレータ38を介して底壁22Cに固定されている。この前突エアバッグ40は、インフレータ38に対する前後両側でロール折りされると共に、図示しない保護布にて覆われて折り畳み状態が維持されている。この保護布は、バッグ膨張圧を受けると、図示しないミシン目状の切り込みにおいて破断され、前突エアバッグ40の展開を許容する構成になっている。
【0036】
また、ラップバー22における底壁22Cと対向する天壁22Dには、前突エアバッグ40の膨張展開圧によって破断され開口するエアバッグドア44が形成されている。この実施形態に係るエアバッグドア44は、天壁22Dに形成した溝状のティアラインTL(図8参照)において開裂されることで、側壁22Eとの角部をヒンジとして展開され、天壁22Dに開口を形成するようになっている。この開口を通じて、ラップバー22の一部及びインナバー24の図示を省略した図5に示される如く前突エアバッグ40のラップバー22外への膨張展開が許容される構成である。
【0037】
図2及び図5に示される如く、前突エアバッグ40は、着座乗員Pの前方に位置する車両構造物と着座乗員Pの上体との間で展開される構成とされている。運転席に適用された図2の例では、車両構造物としてのステアリングホイール48と着座乗員Pの上体との間で、前突エアバッグ40が展開される構成とされている。なお、図5に想像線にて示す前突エアバッグ40(符号40P)は、助手席用エアバッグの展開形状例であり、この例では車両構造物としてのインストルメントパネル46と着座乗員Pの上体との間で、前突エアバッグ40が展開されることとなる。
【0038】
インフレータ38のラップバー22への固定構造について補足すると、インフレータ38に固定され底壁22Cを貫通したスタッドボルト50にナット52が螺合されている。これにより、インフレータ38は、ラップバー22の底壁22Cに締結固定されている。また、この実施形態では、後述するベルトホルダ62が、スタッドボルト50及びナット52による共締めにて底壁22Cの外面側に固定されている。
【0039】
(シートベルト装置の構成)
車両用乗員拘束装置10は、図2に示される如く、着座乗員Pの腰部を拘束するためのシートベルト装置54を備えている。シートベルト装置54は、着座乗員Pの腰部に装着されるラップベルト56と、ラップベルト56の長手方向の一端側を支持するプリテンショナ装置58と、ラップベルト56の他端側をアウタバー30に対し着脱するバックル機構60とを備えている。この実施形態に係るシートベルト装置54は、通常は図4に示される如くラップベルト56がラップディバイス20(ラップバー22)に保持され、前面衝突時に図2及び図5に示される如くラップベルト56が着座乗員Pの腰部に装着される構成とされている。以下、具体的に説明する。
【0040】
ラップベルト56は、図8(A)に示される如く、ベルト保持手段としてのベルトホルダ62を介してラップバー22に保持されている。図8(B)に示される如く、ベルトホルダ62は、ラップバー22の底壁22Cに固定される基板部62Aと、基板部62Aの幅方向両側において該基板部62Aの長手方向に離間された複数の保持爪62Bとを含んで構成されている。この実施形態では、基板部62Aと各保持爪62Bとは、連結壁62Cによって連結されている。これにより、ベルトホルダ62は、保持爪62Bの形成部位において、長手方向に直交する断面視で扁平C字状に形成されている。ベルトホルダ62は合成樹脂等で形成されており、各保持爪62Bは基板部62Aに対し接離する方向に弾性変形(撓み)可能とされている。
【0041】
このベルトホルダ62は、その基板部62Aが上記したインフレータ38と共に、スタッドボルト50及びナット52によって、ラップバー22の底壁22Cに共締め固定されている。この状態で、ラップベルト56は、基板部62Aと各保持爪62Bとの間に幅方向の両端側が入り込まされている。各保持爪62Bは、ラップベルト56に対しラップバー22側と反対側(着座乗員P側)から対向して該ラップベルト56の着座乗員P側への移動を規制しており、本発明の保持部材、保持片に相当する。これにより、ラップベルト56は、ラップバー22に対する厚み方向の移動がベルトホルダ62によって規制され、該ベルトホルダ62を介してラップバー22に保持される構成とされている。
【0042】
また、ベルトホルダ62の各保持爪62Bは、ラップベルト56が後述するプリテンショナ装置58の作動により所定値以上の張力を受けつつ引き込まれると、該ラップベルト56から受ける厚み方向で着座乗員P側への荷重によって撓むようになっている。すなわち、ベルトホルダ62の各保持爪62Bは、上記張力を受けつつ引き込まれるラップベルト56からの荷重によって、弾性的に曲げ変形され、ラップベルト56のベルトホルダ62すなわちラップバー22からの離脱を許容する構成とされている。なお、ベルトホルダ62は、長手方向に複数に分割された構成としても良い。
【0043】
図3(A)及び図5に示される如く、ラップベルト56の一端は、インナバー24を通じて車両用シート11後部の車幅方向外側(シートクッション12下方でも良い)に配置されたプリテンショナ装置58に引込可能に接続されている。すなわち、ラップベルト56は、プリテンショナ装置58を介して車両用シート11に支持されている。
【0044】
図3(B)に示される如く、プリテンショナ装置58は、巻き軸58Aと、電気モータ58Bと、ガスジェネレータ58Cと、フレーム58Dとを含んで構成されている。フレーム58Dに回転可能に支持された巻き軸58Aには、ラップベルト56の端部が巻き回されている。フレーム58Dに取り付けられた電気モータ58Bは、作動により巻き軸58Aを巻き取り方向に駆動する。フレーム58Dに取り付けられたガスジェネレータ58Cは、作動により巻き軸58Aを巻き取り方向に駆動する。
【0045】
このプリテンショナ装置58は、ラップベルト56を電気モータ58Bの作動により引き込む第1プリテンショナ機能と、ラップベルト56をガスジェネレータ58Cの作動により引き込む第2プリテンショナ機能とを果たす構成とされている。すなわち、プリテンショナ装置58は、本発明における第1プリテンショナ及び第2プリテンショナに相当する。なお、プリテンショナ装置58の構成は、例えばモータによるベルト緩み除去機能及びガス式のプリテンショナを備えたモータリトラクタの技術を転用可能であるため、詳細構造の説明は省略する。
【0046】
このプリテンショナ装置58は、第1プリテンショナ機能において、ラップベルト56を所定値以上の張力(後述)で引き込む構成とされている。また、このプリテンショナ装置58は、第2プリテンショナ機能において、ラップベルト56を第1プリテンショナ機能での張力を超える張力で引き込む構成とされている。
【0047】
一方、図3(A)及び図6に示される如く、ラップベルト56の他端には、バックル機構60を構成する結合部としてのタングプレート60Aが取り付けられている。バックル機構60は、タングプレート60Aが着脱される被結合部としてのバックル部60Bを有する。バックル部60Bは、ラップディバイス20を構成するアウタバー30に一体化されており、タングプレート60Aが結合されることで、ラップベルト56のアンカとして機能する構成とされている。また、この実施形態では、バックル機構60は、ラップディバイス20とアウタバー30とのバー連結構造32を兼ねている。すなわち、タングプレート60Aがラップバー22の使用位置における車幅方向端部に固定されると共に、バックル部60Bがアウタバー30の上端部に一体化(固定)されている。
【0048】
(乗員保護ECUの構成)
図9にブロック図にて示される如く、車両用乗員拘束装置10は、制御装置としての乗員保護ECU66を備えている。乗員保護ECU66は、上記したアクチュエータ28、前突エアバッグ装置34のインフレータ38、プリテンショナ装置58の電気モータ58B及びガスジェネレータ58Cのそれぞれに電気的に接続されている。また、乗員保護ECU66は、上記した接触センサ35、車両用乗員拘束装置10が適用された自動車の前面衝突を予測する前突予測センサ64、該自動車の前面衝突を検知する前突検知センサ68のそれぞれに電気的に接続されている。さらに、乗員保護ECU66は、バックル機構60のタングプレート60Aとバックル部60Bとの結合を検知するバックルセンサ65に電気的に接続されている。バックルセンサ65は、ラップディバイス20のラップバー22とアウタバー30との連結(ラップバー22の装着)を検知するセンサとしても捉えることができる。
【0049】
この乗員保護ECU66は、前突予測センサ64から衝突予測信号が入力されると(前突予測センサ64からの信号に基づき衝突を予測すると)、プリテンショナ装置58の第1プリテンショナ機能及びラップバー22の移動機能を作動させるようになっている。すなわち、前面衝突を予測した場合に電気モータ58B及びアクチュエータ28を作動させるようになっている。これにより、車両用乗員拘束装置10は、前面衝突に至る前にラップベルト56がラップバー22から離脱されて着座乗員Pの腰部に弛みなく装着されると共に、ラップバー22が拘束時使用位置に移動される構成とされている。この乗員保護ECU66は、接触センサ35からの信号によってラップバー22が着座乗員Pに接触したことが検知されると、アクチュエータ28を停止するようになっている。
【0050】
また、乗員保護ECU66は、前突検知センサ68から衝突検知信号が入力されると(前突検知センサ68からの信号に基づき衝突を検知すると)、プリテンショナ装置58の第2プリテンショナ機能及び前突エアバッグ装置34を作動するようになっている。すなわち、前面衝突を検知した場合に、インフレータ38及びガスジェネレータ58Cを作動させるようになっている。これにより、前突エアバッグ40及びラップベルト56によって着座乗員Pの前方への移動が拘束される構成とされている。
【0051】
次に、第1の実施形態の作用について、図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
上記構成の車両用乗員拘束装置10では、乗員の乗降の際には、ラップバー22が格納位置に位置される。格納位置が車両用シート11に対する車幅方向内側とされているので、ラップバー22が乗降を阻害することがなく、乗員はスムースに乗降する。乗車して車両用シート11に着座した乗員は、格納位置にあるラップバー22を軸25周りに回転することで該ラップバー22を使用位置近傍に移動させる。次いで、着座乗員Pがタングプレート60Aをバックル部60Bに結合することで、ラップバー22が通常使用位置に至る。この通常使用位置では、前突エアバッグ装置34及びラップベルト56を保持したラップバー22を含むラップディバイス20の各部が、着座乗員Pの腹部から前方(前側方)に離間して位置している。この場合、バックルセンサ65からのバックル結合信号及び接触センサ35からの非接触信号が乗員保護ECU66に入力されており、乗員保護ECU66は、ラップバー22が通常使用位置に位置することを認識している。
【0052】
この状態から乗員保護ECU66は、ステップS10で前突予測センサ64からの信号に基づいて、前面衝突が予測されるか否かを判断する。否定判断の場合は元に戻り、肯定判断の場合にはステップS12に進み、アクチュエータ28を駆動する。すなわち、前突予測センサ64から衝突予測信号が入力されると、アクチュエータ28を作動させる。すると、ラップバー22は、インナバー24が軸26周りに回転することで、後方に移動する。
【0053】
次いで、ステップS14で、ラップバー22が着座乗員Pに接触したか否かを判断する。否定判断の場合はステップS12に戻り、肯定判断の場合にはステップS16に進み、アクチュエータ28を停止する。これにより、ラップバー22は、着座乗員Pの上体に接触する拘束時使用位置に至る。この状態では、アクチュエータ28の減速機のセルフロックが機能し、ラップバー22は拘束時使用位置に保持される。
【0054】
また、乗員保護ECU66は、ステップS18に進み、プリテンショナ装置58の電気モータ58Bを作動する。すると、ラップベルト56は、プリテンショナ装置58によって所定値以上の張力で引き込まれることで、各保持爪62Bを撓ませつつベルトホルダ62すなわちラップバー22から離脱して、着座乗員Pの腰部に弛みが除去された状態で装着される。なお、電気モータ58Bの作動は、ステップS12でアクチュエータ28の作動開始と共に開始されても良く、アクチュエータ28の作動開始に先立って開始されても良い。
【0055】
次いで、乗員保護ECU66は、ステップS20で前突検知センサ68からの信号に基づいて、衝突予測から所定時間以内に前面衝突が検知されたか否かを判断する。否定判断の場合はプログラムを終了し、肯定判断の場合にはステップS22に進んでインフレータ38及びガスジェネレータ58Cを作動する。すると、ラップベルト56は、プリテンショナ装置58によってさらに引き込まれ、着座乗員Pの腰部(の前方移動)を拘束する。また、前突エアバッグ40が、その膨張展開圧にて保護布を破断すると共にティアラインTLを開裂させてエアバッグドア44を展開させる。
【0056】
すると、前突エアバッグ40は、ラップバー22の外側で膨張する。前突エアバッグ40は、インフレータ38(ラップディバイス20)にて反力を支持されつつ、ステアリングホイール48(インストルメントパネル46)と着座乗員Pの上体との間で展開される。これにより、着座乗員Pの上体の前方移動が展開された前突エアバッグ40にて拘束される。なお、ステップS20で所定時間経過しても肯定判断に至らずプログラムを終了する場合は、ラップバー22及びラップベルト56の手動リセットを促す表示などが為される。
【0057】
ここで、車両用乗員拘束装置10では、上記の通り通常は、着座乗員Pの腰部を拘束するためのラップベルト56が、該着座乗員Pの腹部と非接触されているラップディバイス20のラップバー22に保持されている。このため、通常時にラップディバイス20、ラップベルト56が着座乗員Pに対し直接的(肉体的)な圧迫(拘束)感を与えることがない。
【0058】
そして、前突予測センサ64からの衝突予測信号に基づいてラップバー22が拘束時使用位置に移動される。このため、着座乗員Pとラップバー22との隙、すなわち着座乗員Pの前方への移動可能な空間(ストローク)が予め詰められることとなる。これにより、衝突が予測されるような状況下で着座乗員Pの操作又は自動操作により車両が急制動された場合でも、着座乗員Pが慣性で前方に移動しながらラップバー22に強く当たることが抑制される。
【0059】
このように、第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置10では、通常時に着座乗員Pに与える圧迫感を抑えつつ、該着座乗員Pが慣性移動によりラップバー22から受ける力を小さく抑えることができる。
【0060】
また、ラップディバイス20を軸26周りに回転させてラップバー22を通常使用位置から拘束時使用位置に移動する構成であるため、インナバー24下端側の小さい移動角によってラップバー22が大きく後方に移動される。このため、前突予測センサ64による衝突予測から短時間でラップバー22を使用位置から拘束位置に至らせることができる。
【0061】
さらに、接触センサ35からのラップバー22の着座乗員Pへの接触に対応する信号に基づいてアクチュエータ28が停止される構成であるため、着座乗員Pがラップバー22から不要な力を受ける(受け続ける)ことが防止又は抑制される。一方、アクチュエータ28の減速機のセルフロックによりラップバー22が拘束時使用位置に保持されるため、例えば着座乗員P側からの荷重でラップバー22が通常使用位置側に移動されてしまうことが防止される。
【0062】
またここで、プリテンショナ装置58の作動により着座乗員Pの腰部に装着されるラップベルト56にて、該着座乗員Pの腰部を拘束する構成とされている。このため、例えばラップバー22から腰部に向けて展開されるエアバッグにて着座乗員Pの腰部を拘束する比較例と比較して、前面衝突の検知から短時間で乗員への装着状態とすることができる。特に、プリテンショナ装置58が第1及び第2のプリテンショナ機能を有するため、前面衝突の検知前に、前突予測センサ64からの衝突予測信号に基づいてラップベルト56を着座乗員Pの腰部に装着させることができる。したがって、上記比較例と比較して、車両前面衝突時の初期拘束性能が向上する。
【0063】
このように、本実施形態に係る車両用乗員拘束装置10では、通常時に着座乗員Pに与える圧迫感を抑えつつ、前面衝突時の初期拘束性能を向上することができる。
【0064】
また、前突エアバッグ40は、ラップバー22からステアリングホイール48(インストルメントパネル46)と乗員Pとの間に展開される構成であるため、ウインドシールドガラスにて反力が支持される構成とする必要がない。このため、前突エアバッグ40の容量を小容量化することができる。特に、上下方向に扁平とされた薄型のインストルメントパネルを採用する自動車の場合、該インストルメントパネルに前突用エアバッグを配設する構成では、通常のインストルメントパネルを採用する自動車の場合と比較して、該エアバッグの容量が大きくなる。
【0065】
これに対して車両用乗員拘束装置10では、上記の通り前突エアバッグ40にはウインドシールドガラスによる反力の支持が要求されないので、薄型のインストルメントパネルを採用した構成においても、前突エアバッグ40の容量が小さく抑えられる。また。前突時における着座乗員Pの移動方向と前突エアバッグ40の展開方向とが共に車両前方であるため、前突エアバッグ40による着座乗員Pへの負荷が小さい。
【0066】
また、車両用乗員拘束装置10では、ラップベルト56を所定値以上の張力で引き込むことで、ベルトホルダ62の各保持爪62Bにて保持されていたラップベルト56は、該各保持爪62Bを着座乗員P側に撓ませながらラップバー22から離脱される。このように簡単な構造で、ラップベルト56を離脱可能にラップバー22に保持するベルト保持手段が構成される(ベルト保持機能が実現される)。さらに、各保持爪62Bは、ラップベルト56のラップバー22からの離脱後には自らの弾性で復元するので、例えば塑性変形によりラップベルト56の離脱を許容する構成と比較して、衝突後のベルトホルダ62の処理が容易である。
【0067】
さらに、前突エアバッグ装置34を着座乗員Pの前方で支持するラップバー22にラップベルト56が保持され、ラップバー22をアウタバー30に連結する動作に伴ってラップベルト56側のタングプレート60Aとバックル部60Bとが結合される。すなわち、ラップバー22をアウタバー30に連結する1アクションで、ラップベルト56の結合も果たされ、装着性が良好である。特に、バックル機構60がラップバー22のアウタバー30への連結機能、ラップベルト56のアウタバー30(アンカ)への連結機能を兼ねるので構造が簡単である。
【0068】
またさらに、ラップディバイス20を構成し使用位置で乗員の腹部を前方から囲むように湾曲されたラップバー22が、格納位置においても湾曲形状とされている。このため、ラップディバイス20は、バックル機構60の結合、解除のための微動作を除いて、ラップバー22をインナバー24に対し軸25周りに回転させる動作によって、ラップバー22の使用位置と格納位置とを切り換えることができ、装着性が良好である。
【0069】
[乗員保護ECUによる制御の変形例]
図11には、乗員保護ECU66による変形例に係る制御のフローチャートが示されている。この図に示される如く、変形例に係る制御では、ステップS20で否定判断の場合、ステップS24に進んで、アクチュエータ28を逆向き駆動すると共に、電気モータ58Bを逆向きに作動させる。すると、ラップバー22は通常使用位置側に復帰する。この際、例えばステップS12でのモータパルス数をカウントしておき、該カウントしたパルス数分だけアクチュエータ28を逆駆動することで、ラップバー22を通常使用位置に復帰させることができる。また、電気モータ58Bの逆向きの作動により、ラップベルト56が巻き出される。例えば、このラップベルト56を手動でベルトホルダ62に保持させることで、初期使用状態に復帰する。なお、ベルトホルダ62に代えてマグネットや面状ファスナによるベルト保持手段を採用することで、ラップベルト56のラップバー22への保持状態への復帰が容易になる。さらに例えば、マグネットや面状ファスナより成るベルト保持手段との間にラップベルト56を挟み込んだローラを、プリテンショナ装置58からバックル機構60まで(又は逆向き)走行させる構成としても良い。この構成では、ラップベルト56を自動的にラップバー22への保持状態に復帰させる構成とすることが可能である。
【0070】
[他の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の形態の構成と基本的に同様の構成については、上記第1の形態の構成と同一の符号を付して、その説明、図示を省略する場合がある。
【0071】
[第2の実施形態]
図12(A)には、第2の実施形態に係る車両用乗員拘束装置70が図3(A)に対応する側面図にて示されており、図12(B)には、図12(A)に示す領域12B内の構成を拡大して示す側面図が示されている。これらの図に示される如く、車両用乗員拘束装置70は、アクチュエータ28の回転軸とされる軸26とプリテンショナ装置58すなわちインナバー24との間に伝達制限手段としてのトルクリミッタ72が介在されている。
【0072】
トルクリミッタ72は、アクチュエータ28側からインナバー24側に作用するトルクが所定値を超えると、空転して伝達トルクを制限するようになっている。トルクリミッタ72の構造は、公知の各種トルクリミッタの構造を採用し得るので、詳細な説明は省略する。これにより、車両用乗員拘束装置70では、ラップバー22が着座乗員Pに接触してトルクが上記所定値を超えると、トルクリミッタ72が機能し、ラップバー22から着座乗員Pに作用する荷重が制限される構成となっている。
【0073】
このため、車両用乗員拘束装置70では、ラップバー22に接触センサ35は設けられておらず、乗員保護ECU66は、ステップS16に相当する制御を行わない構成とされている。車両用乗員拘束装置70の他の構成は、図示しない部分を含め、車両用乗員拘束装置10の対応する構成と同じである。
【0074】
したがって、第2の実施形態に係る車両用乗員拘束装置70によっても、接触センサ35からの信号に基づいてアクチュエータ28を停止させる制御を除いて、基本的に車両用乗員拘束装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用乗員拘束装置70では、上記の通りトルクリミッタ72を備えているので、ラップバー22が着座乗員Pに接触した後に、該ラップバー22から着座乗員Pに過大な荷重が作用することが防止又は効果的に抑制される。さらに、トルクリミッタ72を介してインナバー24に伝達されるトルクによって、ラップバー22が着座乗員Pに接触した状態に維持される。すなわち、車両用乗員拘束装置70では、アクチュエータ28を構成する減速機のセルフロックに頼ることなく、ラップバー22が着座乗員Pに接触した状態を維持することができる。
【0075】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る車両用乗員拘束装置80について、図13〜図16に基づいて説明する。なお、上記第1の形態の構成と基本的に同様の構成については、上記第1の形態の構成と同一の符号を付して、その説明、図示を省略する場合がある。
【0076】
図13には、図1に対応する平面図が示されており、図14には、図2に対応する平面図が示されている。これらの図に示される如く、車両用乗員拘束装置80は、バックル機構60が兼ねるバー連結構造32に代えて、バー連結構造82及びバックル機構84を備える点で、第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置10とは異なる。
【0077】
具体的には、図16に示される如く、バー連結構造82は、ラップバー22に固定されたタングプレート82Aと、アウタバー30に設けられタングプレート82Aが着脱されるバックル部82Bとを主要部として構成されている。一方、バックル機構84は、ラップベルト56に設けられた結合部としてのタングプレート84Aと、タングプレート84Aが着脱される被結合部としてのバックル部84B及びバックルステー84Cとを主要部として構成されている。
【0078】
バックルステー84Cは、バックル部84Bが固定された一端側とは反対の端部が、アウタバー30と共に軸31廻りに回転可能に支持されており、該支持部がラップベルト56のアンカとされる。このバックルステー84Cは、可撓性を有する長尺平板状を成しており、バックル機構84の結合状態では長手方向及び厚み方向がラップベルト56の長手方向及び厚み方向に略一致される配置とされている。バックルステー84Cは、プリテンショナ装置58の作動により作用するラップベルト56の張力によって、厚み方向に撓ませられるようになっている。
【0079】
このバックルステー84Cは、ベルトホルダ62と似た構造を有するステーホルダ86を介してアウタバー30に保持されている。ステーホルダ86は、アウタバー30に固定される基板部86Aと、基板部86Aの幅方向両側において該基板部86Aの長手方向に離間された複数の保持爪86Bと、各保持爪86Bと基板部86Aとを繋ぐ連結壁86Cとを有する。これにより、ステーホルダ86は、保持爪86Bの形成部位において、長手方向に直交する断面視で扁平C字状に形成されている。ステーホルダ86は合成樹脂等で形成されており、各保持爪86Bは基板部86Aに対し接離する方向に弾性変形(撓み)可能とされている。
【0080】
バックルステー84Cは、基板部86Aと各保持爪86Bとの間に幅方向の両端側が入り込まされている。すなわち、各保持爪86Bは、バックルステー84Cに対しアウタバー30側と反対側から対向して該バックルステー84Cの車幅方向内側(着座乗員P側)への移動を規制する保持部材、保持片と捉えることができる。これにより、バックルステー84Cは、アウタバー30に対する厚み方向の移動がステーホルダ86によって規制され、該ステーホルダ86を介してラップバー22に保持される構成とされている。
【0081】
また、ステーホルダ86の各保持爪86Bは、ラップベルト56がプリテンショナ装置58の作動により所定値以上の張力を受けつつ引き込まれると、上記の通り車幅方向内側に撓むバックルステー84Cから受ける厚み方向の荷重によって撓むようになっている。これにより、ラップベルト56に所定値以上の張力が作用した場合にバックルステー84Cは、ステーホルダ86すなわちアウタバー30から着座乗員P側への離脱が許容される構成とされている。なお、ステーホルダ86は、長手方向に複数に分割された構成としても良い。
【0082】
ベルトホルダ62及びステーホルダ86は、タングプレート84A及びバックル部84Bのガタつきが許容範囲に納まるように、ラップベルト56、バックルステー84Cとの遊びが設定されている。この許容範囲は、タングプレート82Aをバックル部82Bに結合する動作に伴って、タングプレート84Aがバックル部84Bに結合(誘導)される範囲とされている。
【0083】
以上説明したように車両用乗員拘束装置80では、バックル機構84での結合によりラップベルト56と連結されたバックルステー84Cがラップベルト56と共に着座乗員Pに近接する構成とされている。このため、ラップベルト56のアンカとして機能するバックル機構60を用いた場合と比較して、バックル機構84を前方に配置することができる。
【0084】
本実施形態では、図13及び図14に示される如く、第1の実施形態におけるアウタバー30よりもラップバー22の連結端が前上方に位置する構成、すなわち第1の実施形態よりも長尺のアウタバー30を用いた構成とされている。また、図15に示される如く、本実施形態では、第1の実施形態におけるインナバー24よりもラップバー22の連結端が前上方に位置する構成、すなわち第1の実施形態よりも長尺のインナバー24を用いた構成とされている。これに伴って車両用乗員拘束装置80を構成するラップバー22は、第1の実施形態よりも、両端の略ストレートな接続部22Bが短い構成とされている。
【0085】
車両用乗員拘束装置80の他の構成は、図示しない部分を含め、車両用乗員拘束装置10の対応する構成と同様に構成されている。以下、第3の実施形態に係る車両用乗員拘束装置80の作用について、主に第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置10の作用とは異なる部分を説明する。
【0086】
上記構成の車両用乗員拘束装置80では、車両用シート11に着座した乗員は、格納位置にあるラップバー22を軸25周りに回転することで該ラップバー22を使用位置近傍に移動させる。次いで、着座乗員Pがタングプレート82Aをバックル部82Bに結合する。これにより、ラップバー22がアウタバー30に連結されると共に、該動作に伴ってタングプレート84Aがバックル部84Bに結合される。
【0087】
乗員保護ECU66は、前突予測センサ64から衝突予測信号が入力されると、電気モータ58B及びアクチュエータ28を作動させる。すると、ラップベルト56は、プリテンショナ装置58によって所定値以上の張力で引き込まれることで、各保持爪62Bを撓ませつつベルトホルダ62すなわちラップバー22から離脱して、着座乗員Pの腰部に装着される。同様に、バックルステー84Cは、各保持爪86Bを撓ませつつステーホルダ86すなわちアウタバー30から離脱して、着座乗員Pの腰部側に移動(装着又は近接)される。この後の作用効果は、第1の実施形態に係る車両用乗員拘束装置10の対応する作用効果と同様である。
【0088】
ここで、車両用乗員拘束装置80では、タングプレート84Aとバックル部84Bとの結合状態で、アウタバー30に対しバックルステー84Cが離脱可能であるため、ラップベルト56のアンカをバックル機構60と比較して後方に設定することができる。このため、車両用乗員拘束装置80では、車両用乗員拘束装置10との比較においてアウタバー30及びインナバー24を長くすることができ、可動体であるラップバー22の小型化に寄与する。これにより、着座乗員Pによるラップバー22の格納位置と使用位置との間の切り換え動作が容易になる。換言すれば、ラップバー22の着座乗員Pへの干渉が防止又は効果的に抑制される。
【0089】
なお、上記した各実施形態では、格納位置でラップバー22がセンタコンソール18に沿って位置する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ラップバー22の格納位置は、例えば、シートバック14の側縁に沿って起立する位置等、乗員Pの乗降を阻害しない位置であれば良い。
【0090】
また、上記した各実施形態では、プリテンショナ装置58がラップベルト56の一端側である車幅方向内側端に設けられた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリテンショナ装置58はラップベルト56の両端に配置しても良く、ラップベルト56の車幅方向外側端にのみ設けられても良い。ラップベルト56の両端にプリテンショナ装置58を配置する構成では、各プリテンショナ装置58が第1、第2プリテンショナ機能を分担するように構成しても良い。
【0091】
さらに、上記した実施形態では、プリテンショナ装置58が第1、第2プリテンショナ機能を果たす例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリテンショナ装置58は、上記2機能のうち第2プリテンショナの機能のみを果たす構成であっても良い。この場合、ラップベルト56は、前面衝突の検知により作動される第2プリテンショナ機能によって所定値以上に張力で引き込まれ、ラップバー22から脱落して着座乗員Pの腰部に装着されると共に該腰部において着座乗員Pを拘束することとなる。この変形例では、図11の制御を適用した場合、ステップS24における電気モータ58Bの逆回転動作(ラップベルト56のラップバー22への保持状態への復帰動作)が不要になる。
【0092】
またさらに、上記した実施形態では、車両用乗員拘束装置10、70、80が運転席又は助手席に適用された例を示したが、本発明本発明はこれに限定されない。例えば、複数列のシートを有する車両の2列目以降のシートに車両用乗員拘束装置10、70、80を適用しても良い。
【0093】
また、上記した各実施形態では、ベルトホルダ62がラップベルト56を離脱可能にラップバー22に保持する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ベルト保持手段は、ラップベルト56を離脱可能にラップバー22に保持するものであれば足り、例えば、マグネットや面状ファスナ等の他の構成を採用することができる。また、マグネットや面状ファスナ等を採用することで、衝突予測後に衝突に至らなかったケースにおいて、ラップベルト56をラップバー22に再保持させることが可能になる。
【0094】
またさらに、上記した各実施形態では、ラップバー22が着座乗員Pに接触する位置が拘束時使用位置である例を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、ラップバー22は、通常使用位置よりも着座乗員Pに近接すれば足り、例えば、反射式の光センサや超音波センサなどを用いて着座乗員Pとの間隔が所定値以下になった場合にアクチュエータ28を停止する構成としても良い。
【符号の説明】
【0095】
10 車両用乗員拘束装置
11 車両用シート
20 ラップディバイス
22 ラップバー(ベース部)
24 インナバー(連結部)
30 アウタバー(連結部)
35 接触センサ
38 インフレータ(ガス供給手段)
40 前突エアバッグ(エアバッグ)
46 インストルメントパネル
56 ラップベルト
58 プリテンショナ装置(ベルト引込手段)
58B 電気モータ(第1プリテンショナ)
58C ガスジェネレータ(第2プリテンショナ)
66 乗員保護ECU(制御装置)
70・80 車両用乗員拘束装置
72 トルクリミッタ(伝達制限手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常使用位置において、車両用シートの着座乗員の腹部に対する車両前側に離間しつつ車幅方向に沿って配置されるベース部と、
作動により、前記ベース部を前記通常使用位置から車両後方へ駆動するアクチュエータと、
前記ベース部に設けられ、ガス供給を受けて前記着座乗員の上体と該着座乗員の前方に位置する車両構造物との間で展開されるエアバッグと、
作動により、前記エアバッグにガスを供給するガス供給手段と、
車両の前面衝突を予測した場合に前記アクチュエータを作動させ、車両の前面衝突を検知した場合に前記ガス供給手段を作動させる制御装置と、
を備えた車両用乗員拘束装置。
【請求項2】
前記ベース部は、車幅方向の両端に連結された連結部を介して、前記車両用シートのシートクッションの後部に対し車幅方向に沿った軸廻りに回転可能に支持されており、
前記アクチュエータは、作動により前記ベース部を前記軸廻りに回転させることで後方に移動させる請求項1記載の車両用乗員拘束装置。
【請求項3】
前記ベース部には、該ベース部と前記着座乗員との接触を検知する接触センサが設けられており、
前記制御装置は、前記接触センサからの信号に基づいて前記ベース部と着座乗員との接触を検知した場合に前記アクチュエータを停止する請求項1又は請求項2記載の車両用乗員拘束装置。
【請求項4】
前記ベース部が着座乗員と接触した場合に前記アクチュエータから前記ベース部への動力伝達を制限する伝達制限手段をさらに備える請求項1又は請求項2記載の車両用乗員拘束装置。
【請求項5】
前記ベース部に、前記着座乗員の腰部側に離脱可能に保持されたラップベルトと、
作動により前記ラップベルトに張力を付与して引き込むように設けられ、該引き込み動作によって前記ラップベルトを前記ベース部から離脱させる第1プリテンショナと、
作動により前記ラップベルトに前記第1プリテンショナが付与する以上の張力を付与しつつ該ラップベルトを引き込む第2プリテンショナと、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記ベース部が通常使用位置に位置する状態で前記衝突予測センサからの信号に基づいて車両の前面衝突を予測した場合に前記アクチュエータ及び前記第1プリテンショナを作動させ、前記衝突センサからの信号に基づいて車両の前面衝突を検知した場合に前記ガス供給手段及び前記第2プリテンショナを作動させる請求項1〜請求項4の何れか1項記載の車両用乗員拘束装置。
【請求項6】
エアバッグ及びラップベルトを保持したベース部を、通常時には車両用シートの着座乗員の腹部に対する前側に離間しつつ車幅方向に沿った通常使用位置に位置させておき、
車両の前面衝突が予測された場合に、前記ベース部が前記着座乗員に接触又は近接されるように該ベース部を車両後方に移動させると共に、前記ラップベルトが前記ベース部から離脱されて前記着座乗員の腰部に装着されるように該ラップベルトに張力を付与して引き込み、
車両の前面衝突が検知された場合に、前記ラップベルトにより前記着座乗員の腰部が拘束されるように該ラップベルトをさらに引き込むと共に、前記エアバッグが前記着座乗員の上体と該着座乗員の前方に位置する車両構造物との間で展開されるように該エアバッグにガスを供給する車両用乗員拘束装置の制御方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図2】
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【図8】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−112035(P2013−112035A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257374(P2011−257374)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】