説明

車両用充電装置

【課題】 車両停止を厳密に行わなくても非接触で効率よく充電することができる車両用充電装置を提供する。
【解決手段】 車両用充電装置は、充電池を備えた車両の充電池11に接続された2次コイル13を含む受電部12と、1次コイル23を含むと共に地上側に設置され、車両の受電部と対向した場合に受電部側に移動して前記受電部に嵌合する給電部21と、受電部に給電部が嵌合する時に給電部を受電部に対して相対的に位置決めする位置決め手段と、給電部に設けられ、1次コイルに電力を供給する給電部電力供給手段とを備える。位置決め手段が、受電部及び給電部にそれぞれ設けられ、互いに嵌合するように構成された斜面部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等の電動車両が多数実用化されている。このような電動車両に搭載されている駆動用のバッテリーは、一般的に、車体の充電口に接続された充電用ケーブルを介して外部の商用電源から供給される電力によって充電されている。またその際の充電用ケーブルの着脱は、電動車両の使用者(運転者)等によって行われていることが多い。
【0003】
この充電用ケーブルの着脱作業は、使用者にとっては煩わしいものである。充電用ケーブルのなかには、例えば、急速充電用のケーブルのように比較的重く取扱い難いものもある。充電設備が、例えば、商業施設の駐車場等の屋外に設置されている場合には、充電用ケーブルが埃などで汚れていることも多い。このように充電用ケーブルの着脱作業は、使用者にとって負担になることがあるため、従来から充電作業の容易化が望まれていた。
【0004】
また、例えば充電用ケーブルを車両に接続するのを忘れてしまうと、充電が足りなくなってしまって、車両を動かすことができない場合も考えられる。
【0005】
このような問題を解決するために、バッテリーの充電を非接触で行うことができる車両用充電装置の開発が進められている。例えば、電気自動車に搭載された受電側コイルを、駐車場等に設置されている給電側コイルに対向させた状態で、給電側コイルに交流電流を供給して電磁誘導により受電側コイルに交流電流を発生させることで、バッテリーの充電を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような充電装置を採用することで、充電作業を大幅に容易化することができる。
【0006】
特許文献1には、受電側コイルと給電側コイルとの間の電磁誘導による送電効率を向上させるために、輪止めに内蔵された給電コイルが、輪止めに当接する電動車に付勢されて水平面内にて姿勢を変更し、この状態で電動車を停止すると電動車に対して給電コイルが一定の姿勢を取るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−227007号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電気自動車を所定位置で停車させることが難しい場合があり、このような場合には、受電側コイルと給電側コイルの中心軸がずれてしまい、バッテリーの充電効率が低下してしまうことがあるという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、車両停止を厳密に行わなくても非接触で効率よく充電することができる車両用充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用充電装置は、充電池を備えた車両の前記充電池に接続された2次コイルを含む受電部と、1次コイルを含むと共に地上側に設置され、前記車両の前記受電部と対向した場合に前記受電部側に移動して前記受電部に嵌合する給電部と、前記受電部に前記給電部が嵌合する時に前記給電部を前記受電部に対して相対的に位置決めする位置決め手段と、前記給電部に設けられ、前記1次コイルに電力を供給する給電部電力供給手段とを備え、前記位置決め手段が、前記受電部及び前記給電部にそれぞれ設けられ、互いに嵌合するように構成された斜面部であることを特徴とする車両用充電装置。
【0011】
本発明の車両用充電装置は、位置決め手段を備えることで、位置決めを簡易に行うことができ、車両停止を厳密に行わなくてもよい。この位置決め手段が、斜面部であることで、簡易に構成することができると共に、位置決めを精度良く行うことができる。
【0012】
前記受電部と前記給電部が嵌合する時に嵌合面に介在する異物を排出するための排出手段をさらに備え、前記排出手段が、前記嵌合面を臨んで前記給電部を貫通する貫通孔であり、該貫通孔は、前記斜面部の斜面下部に設けられていることが好ましい。排出手段を備えることで、嵌合時に嵌合面に介在する異物を排出することができ、位置合わせをより精度良く行うことができる。さらに、貫通孔が前記斜面部の斜面下部に設けられていることで、斜面部の異物を排除しやすい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態としては、前記受電部に接続され、前記2次コイルに電力を供給する受電部電力供給手段と、前記給電部の前記受電部と対向する面とは逆側に設けられ、電磁石を有する給電部移動手段とを備え、前記2次コイル及び1次コイルが強磁性体であるコア鉄心に巻回されており、前記給電部電力供給手段により前記1次コイルに電力を供給して磁場を形成し、かつ、前記受電部電力供給手段により前記2次コイルに電力を供給して前記1次コイルと引きあう磁場を形成すると共に、前記給電部移動手段の前記電磁石に電力を供給して、前記1次コイルと反発する磁場を形成して、該磁場により前記給電部を前記受電部側へ移動させて、前記給電部と前記受電部とを嵌合させることが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両用充電装置によれば、車両停止を厳密に行わなくても非接触で効率よく充電することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る充電制御装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の概略構成を示す断面模式図である。
【図3】実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動時の状態を示す図である。
【図4】実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動時の状態を示す図である。
【図5】実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動時の状態を示す図である。
【図6】実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動後の状態を示す図である。
【図7】別の実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動時の状態を示す図である。
【図8】別の実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の概略構成を示す断面模式図である。
【図9】別の実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動時の状態を示す図である。
【図10】別の実施形態に係る充電制御装置の電力供給手段の充電作動時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の車両用充電装置について、以下説明する。
【0017】
電動車両である電気自動車1は、駆動用電源としてのバッテリー11を備える。バッテリー11は、例えばリチウムイオンバッテリー等の複数のバッテリーセルが複数直接に接続されてなるものである。バッテリー11は、充電池であり、外部から電力を供給されることにより電力を蓄電し、これを図示しないモーターに出力して電気自動車1を駆動させる。
【0018】
かかるバッテリー11に電力を供給するための電力供給手段Iについて、以下詳細に説明する。本実施形態の電力供給手段Iは、電磁誘導により非接触でバッテリー11に充電電流を供給するためのものである。電力供給手段Iは、地上側に設けられた給電部21と、電気自動車側に設けられた受電部12とを備える。受電部12は、受電コイルとして機能する2次コイル13を有しており、給電部21は、給電コイルとして機能する1次コイル23を有している。
【0019】
受電部12は、電気自動車1の車体下部に設置されている。受電部12は、バッテリー11に接続され、給電部21から供給された電力をバッテリー11に供給する。
【0020】
図2に示すように、受電部12は、本実施形態では、2次コイル13を有する平板部14と、平板部14の底面(地面に対向する面)に設けられた平板部14よりも一回り小さい円柱状の第2平板部16と備える。また、受電部12は、この第2平板部16の地面に対向する端面に設けられた凹部15を備える。凹部15は、地上側から見て端部から中央部に向かって傾斜したすり鉢形状となっている。凹部15は、電気自動車1の車体の下面側で外部に露出している。
【0021】
2次コイル13の中心には、強磁性体である鉄心コア(図示せず)が設けられている。即ち、2次コイル13は、電流を供給すれば電磁石として機能すると共に、電流が供給されずに、かつ1次コイル23に電流が供給されて磁場が形成されると、誘導電流が生じる受電コイルとして機能する。
【0022】
この2次コイル13に電力を供給する受電部電力供給手段30が受電部12には設けられている。詳しくは後述するが、この受電部電力供給手段30により、2次コイル13に電力が供給されると2次コイル13近傍で磁場が形成されると共に、電磁石として機能する。
【0023】
給電部21は、車両停車位置の地面に設けられた設置凹部22に設置されている。給電部21は、1次コイル23を有する平板部24を有する。平板部24の上面(車両に対向する面)には、断面視において山形状である円錐部25aと平板部24の周囲に亘って設けられた周壁部25bとからなる凸部25を有する。凸部25と前述した受電部12の凹部15とは互いに嵌合する形状となっている。即ち、円錐部25aは、受電部の凹部15に嵌合し、周壁部25bは、平板部14の第2平板部16の円柱面に嵌合する。1次コイル23の中心には、強磁性体である鉄心コアが設けられている。
【0024】
給電部21の1次コイル23に電力を供給する給電部電力供給手段40が給電部21に設けられている。給電部21は、電力を供給されることにより、電磁石として機能すると共に、電力が供給されることで形成される磁場により受電部12に誘導電流を形成する。
【0025】
この給電部21の下面側には、給電部21を上下方向に移動させるための給電部移動手段50が設けられている。給電部移動手段50は、平板状であり、上面に給電部21を載置することができるように構成されている。給電部移動手段50には、電磁石51が設けられている。
【0026】
この給電部移動手段50の電磁石51に電力を供給する移動部電力供給手段60が給電部移動手段50に設けられている。
【0027】
電力供給手段Iによる電力供給について以下説明する。
【0028】
初めに、図3に示すように、移動部電力供給手段60から電磁石51に電力を供給し、かつ、受電部電力供給手段30から2次コイル13に電力を供給すると共に、給電部電力供給手段40から1次コイル23へ電力を供給する。この場合、電磁石51により地面側から車両側へと磁界が形成されるように移動部電力供給手段60は電磁石51に電力を供給する。また、受電部電力供給手段30から2次コイル13に電力を供給することで形成される磁場が車両側から地面側へと形成されるように、受電部電力供給手段30から2次コイル13に電力を供給する。また、給電部電力供給手段40から1次コイル23に電力を供給することで形成される磁場が車両側から地面側へと形成されるように、給電部電力供給手段40から1次コイル23に電力を供給する。
【0029】
このように電力を供給することで、電磁石51の給電部21側がS極となり、給電部21の電磁石51側がS極となる。また、給電部21の受電部12側がN極となり、受電部12の給電部21側がS極となる。即ち、電磁石51と1次コイル23とは対向する面が同じ極性となるので、電磁石51と1次コイル23とが反発して、1次コイル23を有する給電部21が浮上する。給電部21が浮上すると、1次コイル23と2次コイル13との対向する面が異なる極性であるので互いに引き合う力が大きく働く。
【0030】
このように、給電部21が浮上して1次コイル23と2次コイル13とが引き合うことで、図4に示すように浮上した給電部21は受電部12に密着する。このとき、給電部21の凸部25と、受電部12の凹部15とが互いに嵌合する。即ち、円錐部25aは、凹部15に嵌合し、凹部15の外周側の平板部14と周壁部25bとが嵌合する。従って、仮に給電部21の中心と受電部12の中心とがずれていたとしても、凸部25が凹部15に嵌合することにより、給電部21の中心と受電部12の中心とが同一位置で位置合わせされて給電部21と受電部12とが密着する。このように給電部21の中心と受電部12の中心とが同一位置となることで、後工程で給電を行った場合に、送電効率がよい。
【0031】
ところで、例えば給電部21の表面にゴミ、特に金属製ゴミ(例えば缶のプルタブなど)があると、以下のような問題が生じることがあるのでこれを除去することが好ましい。即ち、このゴミを挟んだ状態で給電部21と受電部12とが密着すると、給電部21と受電部12との密着性が低下してしまうという問題がある。また、特に金属製ゴミを挟んだ状態で給電部21と受電部12とが密着すると、金属製ゴミ部分から発熱してしまうという問題がある場合も考えられる。
【0032】
そこで、本実施形態では、これを防止すべく、凸部25の円錐部25aと周壁部25bとの間に嵌合面を臨んで貫通孔26が設けられている。この貫通孔26が円錐部25aと周壁部25bとの間に、即ち斜面部の斜面下方に設けられていることで、円錐部25aにごみが堆積としても、斜面をすべり、この貫通孔26内に落ちる。特に、本実施形態では、給電部21が給電部移動手段50により浮上することから、この浮上時の揺れ等でゴミが斜面を滑りやすく、貫通孔26内に落ちやすい。従って、本実施形態では簡易に給電部21上のごみを除去することが可能である。
【0033】
また、図1に示すように、電気自動車1の底部には、保持部材70が設けられている。この保持部材70は、図示しないアクチュエーターにより所定位置に移動し、位置合わせされて密着した給電部21と受電部12とをこの密着された状態で保持するものである。
【0034】
具体的には、図5に示すように、保持部材70は、給電部21と受電部12とをその外周側を上下から挟持する第1挟持部71及び第2挟持部72からなる一対の挟持部からなる。第1挟持部71は、断面視においてコの字状であり、保持部凹部73に密着した状態の給電部21と受電部12とが差し込まれて、密着した状態の給電部21と受電部12とを上下方向から挟持する。そして、第1挟持部71と同様に構成された第2挟持部72は、この第1挟持部71と対向する位置で密着した状態の給電部21と受電部12とを同様に挟持する。このように保持部材70により密着した状態の給電部21と受電部12とを挟持して保持することで、給電部21と受電部12とへの電力供給を停止したとしても、この密着状態を保持することができる。
【0035】
保持部材70により給電部21と受電部12とを密着保持した状態で、移動部電力供給手段60、給電部電力供給手段40及び受電部電力供給手段30はそれぞれ電力供給を停止する。これにより、給電部移動手段50、給電部21及び受電部12はそれぞれ磁場が消滅する。
【0036】
その後、給電部電力供給手段40から給電部21に電力が供給されて、1次コイル13に電流が流れる。これに伴い、電磁誘導により受電部12側に誘導電流が流れる。この誘導電流が図示しない整流器で整流されて直流電流としてバッテリー11(図1参照)に供給される。これにより、バッテリー11が充電される。
【0037】
バッテリー11が満充電となると、バッテリー11を制御するバッテリー制御手段(図示せず)から充電停止信号が例えば無線により給電部電力供給手段40に送信され、給電部電力供給手段40は、電力供給を停止する。このようにして、充電が終了する。
【0038】
充電終了後、給電部21を給電部移動手段50上に移動させるために、保持部材70の解除を行う。保持部材70の解除としては、初めに、給電部電力供給手段40及び受電部電力供給手段30とに電力供給を開始する。図6に示すように、受電部電力供給手段30は、2次コイル13に電力が供給されて生じる磁界が地面側から車両側へ形成されるように、2次コイル13に電力を供給する。また、給電部電力供給手段40は、1次コイル23に電力が供給されて生じる磁界が車両側から地面側へ形成されるように、1次コイル23に電力を供給する。また、移動部電力供給手段60は、電磁石51に、地面側から車両側に磁界が生じるように電力を供給する。即ち、給電部電力供給手段40と受電部電力供給手段30とは、1次コイル23と2次コイル13とに、互いに反発するように電力を供給する。また、給電部移動手段50の移動部電力供給手段60は、給電部21とは反発する磁場が発生して互いに反発するように電力を供給する。
【0039】
この状態から、保持部材70を給電部21及び受電部12から図示しないアクチュエーターを電動制御して外すと、給電部21は受電部12と反発し、かつ、給電部移動手段50とも反発して、空中に浮き続ける。この場合に、移動部電力供給手段60が、徐々に電力供給量を減らしていく。これにより、電磁石51により形成される磁場を徐々に小さくし、給電部移動手段50と給電部21との反発力が徐々に小さくなり、給電部21は、安定して給電部移動手段50上に載置される。このようにして、保持部材70の解除が終了する。
【0040】
また、この場合に、給電部21が受電部12と密着後、反発した際に容易に受電部12とは逆方向に移動しやすいように、円錐部25a及び周壁部25bは、フッ素樹脂コーティング剤などの摩擦係数の低いコーティング材料で覆っていてもよい。また、給電部21が浮遊中に移動しやすいように円錐部25aに散水できるように、水を貯蓄したタンクを有する散水手段を設けても良い。
【0041】
上述したように、本実施形態における電気自動車1は、停車場所に停車することにより電力供給手段Iにより非接触で充電が開始されるものである。この場合に、給電部21が浮上して受電部12と密着することができることから、本実施形態では、凹部15と凸部25とを備えたことで簡易に位置合わせでき、給電部21が浮上して受電部12に中心軸を揃えた状態で密着でき、送電効率よく充電を行うことが可能である。即ち、本実施形態においては、厳密に停車位置に電気自動車1を停車させなくても、斜面部である凹部15と凸部25とを備えたことで簡易に位置合わせでき、送電効率よく充電を行うことが可能である。さらに、給電部21にはゴミなどが給電部21表面に堆積しても除去することができるように、斜面が設けられていると共に貫通孔26から給電部21外へゴミを除去することができるように構成されていることから、給電部21と受電部12との密着性を向上させ、位置決めを簡易に精度良く行うことができると共に、例えば金属ゴミなどが堆積した場合の発熱を防止することができる。
【0042】
本実施形態では、電気自動車1の充電開始後、バッテリー11が満充電となるまでそのまま充電をし続けたが、これに限定されない。例えば、給電部電力供給手段40がマップを有し、このマップに基づいて充電を行うように構成してもよい。マップとしては、例えば、バッテリー11の残存容量と、夜間電力使用時間帯とからなるマップを用いて、残存容量に応じて、夜間電力使用時間帯を選んでタイマーをセットし、好ましい時間帯で充電を行うように構成してもよい。例えば、残存容量が多い場合には、電気代の安い時間帯のみを選んで充電を行ってもよい。
【0043】
本実施形態では、保持部材70の形状を給電部21及び受電部12をその側面から挟持する形状としたが、これに限定されない。例えば、平板状の保持部材とし、この平板状の保持部材上に密着した給電部21及び受電部12を載置するように構成してもよい。
【0044】
充電停止後、保持部材70の解除時において1次コイル23と2次コイル13とが反発するように構成したが、これに限定されない。例えば、保持部材70を除去するまでは給電部21と受電部12とが密着するように電力を供給しても良い。そして、保持部材70を除去した状態で、受電部12の電流の流れる方向を逆向きとして給電部21と受電部12とが反発するように構成してもよい。また、保持部材70の解除時において給電部電力供給手段40及び受電部電力供給手段30とに電力供給をせず、重力により落下するように構成してもよい。
【0045】
凸部25と凹部15との形状は本実施形態に限定されない。凸部25と凹部15とが嵌合することで、給電部21と受電部12とが位置あわせを行うことが容易であれば、どのような形状であってもよい。例えば、図7に示すような形状でも良い。図7では、凸部81が受電部12に設けられていると共に、凹部82が給電部21に設けられている。凸部81は、断面視において台形状である。また、凹部82は、この凸部81に嵌合するように設けられており、断面視において逆台形状となる穴が形成されている。また、凹部82の底面には、貫通孔83が設けられている。この貫通孔83から、ゴミを除去することができる。
【0046】
このような形状であっても、凸部81と凹部82とが嵌合することで、給電部21と受電部12の位置あわせを容易に行うことができる。かつ、貫通孔83からゴミを効率的に除去することができるので、給電部21と受電部12との密着性がよく、かつ、金属ゴミによる発熱を防ぐことが可能である。
【0047】
また、図8に示すように、給電部21と給電部移動手段50とに嵌合部を設けてもよい。即ち、受電部12の凸部25(図2参照)が設けられた側と逆側に移動手段用凸部91が設けられていると共に、給電部移動手段50の受電部12側に受電部用凹部92が設けられている。これにより、給電部21が保持部材70の解除後に浮遊して給電部移動手段50に載置される際に、移動手段用凸部91と受電部用凹部92とが嵌合して必ず所定位置に載置されるように構成することができる。特に上述したように磁場の反発力を用いずに給電部21を重力により下降させた場合には、給電部21が所定の載置位置に載置されないことも考えられ、この場合には次の充電時に給電部21を浮遊させる場合に好ましい磁場が形成されないことも考えられるので、図8に示すように構成することで給電部21が給電部移動手段50に嵌合して所定位置に載置させることができ好ましい。
【0048】
本実施形態では、給電部移動手段50は、コイルを含むように構成したが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、給電部移動手段50Aは、給電部21を載置する載置台93と、この載置台を上下方向に移動させる伸縮部94と、伸縮部94を伸縮駆動する電動機95からなる昇降手段を備えたものであってもよい。また、この昇降手段は、例えば手動のアクチュエーターを備えていてもよい。
【0049】
このように構成された給電部移動手段50Aでは、電動機95により伸縮部94を駆動して伸縮駆動することで、載置台93に載置された給電部21を受電部12に接合させることが可能である。このような場合であっても、嵌合部が設けられていることで、給電部21を受電部12に正確に嵌合させることが可能である。
【0050】
また、このように構成された給電部移動手段50Aでは、電動機95により伸縮部94を駆動して伸縮駆動することで、給電部21を受電部12の近傍まで電動機95でリフトアップし、その後、給電部電力供給手段40と受電部電力供給手段30とに電力供給して、これらを磁場の吸引力により結合させてもよい。このような場合であっても、嵌合部が設けられていることで、給電部21を受電部12に正確に嵌合させ密着させることが可能である。そして、その後保持部材70により給電部21と受電部12とを同時に保持する。この場合に、保持部材70の保持を妨げないように、載置台93に載置された給電部21を受電部12に接合させる場合には、載置台93を給電部21の外径よりも小さく作製し、保持部材70と載置台93とがぶつからないように構成する。
【0051】
また、給電部21と受電部12との密着が行われたかどうかを、給電部21に接触センサを設けて受電部12との接触を検知するように構成してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、給電部21の1次コイル23に電力を供給することで1次コイル23を電磁石として使用することができるように、即ち、1次コイル23を給電コイルとして用いると共に、移動用コイルとしても用いたが、これに限定されない。例えば、給電部21が1次コイル23以外に別のコイルを有し、このコイルを移動用コイルとして用いることも可能である。
【0053】
また、給電部移動手段50及び給電部21が設けられた設置凹部22は、車両が停止した場合に開くシャッターなどを設けるように構成してもよい。
【0054】
給電部21の斜面には、貫通孔までのガイド溝等を設けて、よりゴミを除去しやすいように構成してもよい。
【0055】
給電部21には、振動手段(例えばモーター等)を設けて、浮上時に振動手段により振動するように構成してもよい。これにより、よりゴミが貫通孔26まで到達して除去されやすい。
【0056】
また、本実施形態では、電磁石により給電部21を浮上させたが、これに限定されず、例えば設置凹部22に冷却手段を設けて超伝導体を設置して、電磁石となった1次コイルを有する給電部21を浮上させるように構成してもよい。
【0057】
また、さらに図10に示すように、給電部21の移動時に給電部21をガイドする筒状のガイド部材96を設けても良い。これにより、1次コイル23と2次コイル13とに電力を供給して電磁石とした場合に、磁力線同士が反発して給電部21が進行方向においてずれてしまうことを抑制し、給電部21が所望の方向に移動することができる。この場合に、図10に示すようにガイド部材96は、断面視において受電部12側が徐々に外側に広がるような構造としてもよい。これにより、給電部21が受電部12との接合が解除されて給電部移動手段50側に移動する際に、多少位置がずれたとしてもガイド部材96から外側に外れることがない。なお、ガイド部材96は図10では筒状のものを用いて説明したが、給電部21の移動時に給電部21をガイドすることができればよく、筒状に限定されない。
【0058】
本実施形態では、電気自動車を例に挙げて説明したが、これに限定されず、充電池により駆動される車両、例えばハイブリッド車に搭載してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、電気自動車等の電動車両の充電装置にかかるものである。従って、自動車製造産業分野においてル利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 電気自動車
11 バッテリー
12 受電部
13 1次コイル
14 平板部
15 凹部
16 第2平板部
21 給電部
22 設置凹部
23 2次コイル
24 平板部
25 凸部
25a 円錐部
25b 周壁部
26 貫通孔
30 受電部電力供給手段
40 給電部電力供給手段
50 給電部移動手段
51 電磁石
60 移動部電力供給手段
70 保持部材
71 第1挟持部
72 第2挟持部
73 保持部凹部
81 凸部
82 凹部
83 貫通孔
I 電力供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電池を備えた車両の前記充電池に接続された2次コイルを含む受電部と、
1次コイルを含むと共に地上側に設置され、前記車両の前記受電部と対向した場合に前記受電部側に移動して前記受電部に嵌合する給電部と、
前記受電部に前記給電部が嵌合する時に前記給電部を前記受電部に対して相対的に位置決めする位置決め手段と、
前記給電部に設けられ、前記1次コイルに電力を供給する給電部電力供給手段とを備え、
前記位置決め手段が、前記受電部及び前記給電部にそれぞれ設けられ、互いに嵌合するように構成された斜面部であることを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
前記受電部と前記給電部が嵌合する時に嵌合面に介在する異物を排出するための排出手段をさらに備え、
前記排出手段が、前記嵌合面を臨んで前記給電部を貫通する貫通孔であり、該貫通孔は、前記斜面部の斜面下部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の車両用充電装置。
【請求項3】
前記受電部に接続され、前記2次コイルに電力を供給する受電部電力供給手段と、
前記給電部の前記受電部と対向する面とは逆側に設けられ、電磁石を有する給電部移動手段とを備え、
前記2次コイル及び1次コイルが強磁性体であるコア鉄心に巻回されており、
前記給電部電力供給手段により前記1次コイルに電力を供給して磁場を形成し、
かつ、前記受電部電力供給手段により前記2次コイルに電力を供給して前記1次コイルと引きあう磁場を形成すると共に、前記給電部移動手段の前記電磁石に電力を供給して、前記1次コイルと反発する磁場を形成して、
該磁場により前記給電部を前記受電部側へ移動させて、前記給電部と前記受電部とを嵌合させることを特徴とする請求項1又2に記載の車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−85472(P2012−85472A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230925(P2010−230925)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】