説明

車両用入力装置

【課題】手書入力部と、これと関連して機能するスイッチ入力部との操作性を改善する。
【解決手段】車両部材であるサンバイザ31には、手書入力部21とスイッチ入力部22とが設けられている。手書入力部21は、利用者が指で情報を入力することができる。スイッチ入力部22は、手書入力部21への操作に関連して操作される。手書入力部21へ入力された情報は、ネットワーク線27を介して制御装置11に送信される。スイッチ入力部22は手書入力部21よりも下側にある。しかも、手書入力部21とスイッチ入力部22との配置は、手書入力部21に人差し指をおいた場合に、同じ手の親指でスイッチ入力部を操作可能となるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に適合された、データ入力のための車両用入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から特許文献5は、車両に適合された車両用入力装置を開示している。車両用入力装置として、スイッチ、複数のスイッチをもつマルチスイッチ装置、キーボード、さらには手書き入力装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-297380号公報
【特許文献2】特許第4132150号
【特許文献3】特表2002−504043号公報
【特許文献4】特表2002−513969号公報
【特許文献5】特開2006−84329号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、利用者の操作性に対して十分な配慮がなされていない。すなわち、車両内においては、車両の利用者は、車両に固定された座席に着座している。一方、入力装置は、車室内に固定されている。このため、利用者が入力装置を操作するときにとりうる姿勢は制限される。この結果、従来技術では、優れた操作性を提供することが困難であった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者の操作性を改善した車両用入力装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、手書入力部と、これと関連して機能するスイッチ入力部との操作性を改善した車両用入力装置を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、高い信頼性を提供でき、しかも操作性に優れた車両用入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明は、車内の運転席前方の車両部材に設けられ、利用者が指の操作によって手書き入力が可能な手書入力部(21、321、421、521、721)と、手書入力部の操作と関連して操作されるスイッチを含むスイッチ入力部(22、322、622、722、822、922)と、手書入力部とスイッチ入力部との操作によって入力された情報を機器に送信する通信部(26)とを備え、スイッチ入力部は手書入力部よりも下側に配置されており、手書入力部とスイッチ入力部との配置は、片手の人差し指を手書入力部においた場合に、同じ手の親指でスイッチ入力部を操作可能となるように設定されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、利用者は指で手書き入力が可能である。しかも、利用者は、片手で手書入力部とスイッチ入力部とを操作することができるから、関連して操作される手書入力部とスイッチ入力部との操作性を改善することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、手書入力部とスイッチ入力部との配置は、利用者が右手を使ったときでも、左手を使ったときでも、片手の人差し指を手書入力部の上に位置させたときに、同時に、同じ手の親指がスイッチ入力部の上に自然に位置するように設定されていることを特徴とする。この構成によると、利用者が右手を使う場合であっても、左手を使う場合であっても、片手で操作しやすい位置に手書入力部とスイッチ入力部とが配置される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、手書入力部は、スイッチ入力部より左右方向にやや突出して配置されていることを特徴とする。この構成によると、利用者が右手を使う場合であっても、左手を使う場合であっても、片手で操作しやすい位置に手書入力部とスイッチ入力部とが配置される。
【0013】
請求項4に記載の発明は、手書入力部は、スイッチ入力部に対して右利き用及び左利き用に対応して配置されていることを特徴とする。この構成によると、手書入力部を右利き用、左利き用に配慮した配置にすることで、よりスイッチ入力部と連動した操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、車両部材は、車室内において利用者の正面に位置付けられていることを特徴とする。この構成によると、利用者が操作しやすい位置に手書入力部とスイッチ入力部とが配置される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、車両部材はサンバイザであることを特徴とする。この構成によると、十分な大きさの手書入力部を設けることができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、車両部材はハンドルであることを特徴とする。この構成によると、運転者が利用しやすい位置に手書入力部とスイッチ入力部とを設けることができる。
【0017】
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る車載システムを示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の車室内を示す平面図である。
【図3】第1実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図4】第1実施形態の作動を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第2実施形態の車室内を示す平面図である。
【図6】本発明を適用した第3実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図7】本発明を適用した第4実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図8】本発明を適用した第5実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図9】本発明を適用した第6実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図10】本発明を適用した第7実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図11】本発明を適用した第8実施形態の操作状態を示す平面図である。
【図12】本発明を適用した第9実施形態の操作状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0020】
(第1実施形態)
図1において、本発明を適用した車両用入力装置を含む車載システム1が図示されている。車載システム1は、少なくとも車両の利用者が車両に搭乗し、車両を利用しているときに車両に搭載される装置である。図示の例では、車両用入力装置は、車両のカーナビゲーション装置を構成する車載システム1の一部を構成している。しかし、車両用入力装置の用途は、これに限定されない。例えば、車両の空調装置、車両のオーディオ装置、または利用者の携帯通信端末装置と接続され、それらの装置に利用者が情報を入力するための車両用入力装置として利用することができる。
【0021】
車載システム1は、情報入力を必要とする機器としてのカーナビゲーションシステムのための制御装置11を備える。制御装置11は、カーナビ制御装置11とも呼ばれる。カーナビ制御装置11は、車室内に設置されたディスプレイ12に接続されている。カーナビ制御装置11は、ディスプレイに地図と、車両の現在位置とを表示する。さらに、カーナビ制御装置11は、目的地などの情報を検索するための検索用画面をディスプレイ12上に表示し、利用者からの入力を受け付ける。カーナビ制御装置11は、利用者からの入力に基づいて検索処理を実行し、検索された目的地への経路案内などを実行する。
【0022】
車載システム1は、カーナビ制御装置11に利用者から情報を入力するための車両用入力装置を備える。車両用入力装置は、入力部21、22を備える。車両用入力装置は、手書入力部21と、スイッチ入力部22とを少なくとも備える。手書入力部21とスイッチ入力部22とは、車両に設置された車両部材に固定されている。この実施形態では、手書入力部21とスイッチ入力部22とは、サンバイザ31に固定されている。サンバイザ31は、運転席の前方窓ガラスの上部室内側に設置されている。サンバイザ31は、車内の運転席前方の車両部材のひとつである。
【0023】
手書入力部21は、利用者が指で手書き入力操作可能な機器である。例えば、手書入力部21は、手書き入力パッド、いわゆるタッチパッドによって提供することができる。さらに、手書入力部21は、液晶表示器などの表示装置を備える。手書入力部21には、抵抗式、静電容量式など種々の方式のタッチパッドを利用することができる。この実施形態では、静電容量式のタッチパッドが利用される。手書入力部21は、利用者の指とタッチパッドとの接触位置、および接触位置の移動軌跡を検出可能である。
【0024】
スイッチ入力部22は、利用者によって操作される少なくともひとつのスイッチを備える。スイッチ入力部22は、例えば、十字キーを備えることができる。十字キーは、上スイッチ、下スイッチ、右スイッチ、左スイッチ、中央スイッチといった、択一的に、または組み合わせて操作可能な複数のスイッチを含む。手書入力部21とスイッチ入力部22とは、入力操作の過程において関連付けて操作される。例えば、手書入力部21への入力操作の区切りを入力するために、スイッチ入力部22は操作される。具体的には、利用者は、手書入力部21に1文字を書き込むと、スイッチ入力部22を操作する。
【0025】
手書入力部21から出力された検出信号は、ローパスフィルタを含むフィルタ回路23を介して検出回路24に入力される。検出回路24は、例えば静電容量式タッチパッドのための検出用IC回路によって提供される。検出回路24は、利用者の指とタッチパッドとの接触位置を示す信号を、シリアル信号によってMPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)25に出力する。MPU25には、手書入力部21の操作を示す信号と、スイッチ入力部22の操作を示す信号とが入力される。MPU25は、手書入力部21からの信号と、スイッチ入力部22からの信号とを関連付けて処理する。例えば、MPU25は、スイッチ入力部22が操作されるまでに、手書入力部21へ入力された情報を、1文字分の情報として取り扱う。
【0026】
MPU25は、通信回路26を経由して、有線通信によって情報を送信する。通信回路26は、車両用のネットワーク端末回路によって提供することができる。例えば、通信回路26は、CAN(Controller Area Network)に準拠した通信を提供する。カーナビ制御装置11は、手書入力部21とスイッチ入力部22との操作によって制御される機器である。この機器と、入力部21、22とは、ネットワーク線27と、通信部を提供する通信回路26とを介して通信可能に接続されている。通信回路26は、手書入力部21に入力された情報をカーナビ制御装置11に送信する。
【0027】
図2において、車室内における手書入力部21とスイッチ入力部22との位置が図示されている。図中には、利用者の右手が図示されている。図示されるように、手書入力部21と、スイッチ入力部22とは、利用者が片手でそれらの両方に触ることができるように配置されている。具体的には、スイッチ入力部22は手書入力部21よりも下側に配置されている。ここで、下側とは、手書入力部21およびスイッチ入力部22の使用状態、すなわちサンバイザ31を展開位置に操作した状態で、利用者から見て、スイッチ入力部22が、手書入力部21の重力方向の下方に位置していることをいう。
【0028】
さらに、手書入力部21とスイッチ入力部22とは、片手だけで手書入力部21とスイッチ入力部22とを同時に操作できるように設けられている。具体的には、手書入力部21とスイッチ入力部22とは、片手のひとつの指で手書入力部21を操作でき、同じ手の他のひとつの指でスイッチ入力部22を操作できるように設けられている。
【0029】
より具体的には、手書入力部21とスイッチ入力部22との配置は、手書入力部21に片手の人差し指をおいた場合に、その同じ手の親指でスイッチ入力部を操作可能となるように設定されている。逆にいうと、手書入力部21とスイッチ入力部22との配置は、片手の親指をスイッチ入力部22に置いた状態で、その同じ手の人差し指で手書入力部21を操作可能となるように設定されている。
【0030】
すなわち、手書入力部21とスイッチ入力部22とは、別々の領域として配置されているが、それらの入力部21、22は、片手の異なる指が同時に届く程度の距離だけ離れている。
【0031】
図3は、入力部21、22の操作例を示している。手書入力部21は、タッチパネル21aと、表示装置21bとを重ねて配置して構成されている。手書入力部21が占める面積は、スイッチ入力部22が占める面積より大きい。手書入力部21は、スイッチ入力部22より上側に位置しているとともに、スイッチ入力部22より、やや左右方向に広く広がっており、やや突出している。この構成は、利用者が右手人差し指を手書入力部21の上に位置させたときに、同時に、右手親指がスイッチ入力部22の上に自然に位置することを可能とする。同様に、この構成は、利用者が左手人差し指を手書入力部21の上に位置させたときに、同時に、左手親指がスイッチ入力部22の上に自然に位置することを可能とする。
【0032】
利用者が人差し指によって手書入力部21に文字を書くと、手書入力部21には、その軌跡21cが表示されるとともに、認識された文字の候補21dが表示される。さらに、手書入力部21には、候補21dを選択するためのカーソル21eが表示される。利用者は、スイッチ入力部22を操作することによってカーソル21eを移動させる。さらに、利用者は、スイッチ入力部22を操作することによって複数の候補21dからひとつの候補を選び、それを認識結果として確定させることができる。同様の表示がディスプレイ12上にも表示される。さらに、ディスプレイ12上には文字入力のための入力欄が表示され、確定された文字が表示される。図示されるように、利用者は、文字の入力と、それに関連した選択、確定などのスイッチ操作との両方を片手だけで実行することができる。
【0033】
図4には、入力部21、22に関連して実行される入力処理150が図示されている。入力処理150は、起動コマンドが入力されることによって起動される。例えば、起動コマンドは、サンバイザ31を所定の位置に操作することによって出力される。また、サンバイザに起動コマンドを出力するための起動専用のスイッチを設けてもよい。また、カーナビ制御装置11が入力モードとなると、起動コマンドが出力されるように構成してもよい。例えば、ディスプレイ12に検索画面、すなわち文字入力画面が表示されると、起動コマンドが出力されるように構成することができる。
【0034】
ステップ151では、入力部21、22を含む車両用入力装置が起動される。また、ディスプレイ12に検索画面が表示される。ステップ151が実行されることにより、入力部21、22が活性化される。ステップ151の実行前に入力部21、22が操作されても何の入力信号も発生されない。ステップ152では、手書入力部21およびスイッチ入力部22からの信号が入力処理される。ステップ152が繰り返して実行されることにより、一連の入力操作が遂行される。
【0035】
ステップ153では、終了コマンドが出力されたか否かを判定する。終了コマンドは、入力部21、22による手書入力処理の終了を指示する。例えば、スイッチ入力部22の所定のスイッチ操作によって終了コマンドが出力されるように構成することができる。また、カーナビ制御装置11における検索モードの終了に応答して終了コマンドが出力されるように構成することができる。終了コマンドが出力されるとステップ156へ進む。終了コマンドが出力されていない場合、ステップ154へ進む。ステップ154では、無入力時間が所定時間以上継続したか否かを判定する。ここでは、手書入力部21への入力がないまま所定時間以上経過したか否かを判定してもよい。所定時間を経過していない場合、ステップ152へ戻る。所定時間を経過すると、ステップ155へ進む。ステップ155では、自動終了されることをディスプレイ12への表示と、ブザーの鳴音とによって利用者に通知する。ステップ156では、終了処理を実行し、入力部21、22からの入力を禁止する。これにより、入力部21、22が使えないようにされる。
【0036】
手書入力部21と、利用機器であるカーナビ制御装置11との間に無線通信が介在すると、外部ノイズによる誤動作といった問題が想定される。また、無線通信のための機器を設ける必要がある。さらに、手書入力部21を含む部材と、カーナビ制御装置11とが分離可能となるため、入力装置の紛失といった問題が想定される。また、不要時に入力装置を収納しなければならないため、不便を生じることがあった。これに対して、この実施形態では、手書入力部21を含む車両用入力装置は、車両に固定された部材であるサンバイザ31に固定されるから、分離されることがない。また、信頼性の高い通信が有線接続によって提供される。
【0037】
車両用入力装置が固定された場合、操作性の観点から車内の運転者の手の届く範囲、特に無理な姿勢にならない前方に固定されることが必要となる。例えば、サンバイザ31のような運転者の手の届く位置に入力装置を固定して設けた場合、机上での筆記とは異なり、運転者の好みの位置で手書きの書き易さや、スイッチ操作の容易さを再現することが困難である。例えば、上から下に向かって書くといった習慣や、スイッチ、ボタンの押し下げ操作の再現が困難となる。この実施形態では、指で文字を書く操作と、スイッチによる確定操作とを片手で行える。このため、操作性が改善される。
【0038】
手元に持ち運びできる脱着可能な入力装置では、目線を下げての慣れた手書き操作や、慣れたスイッチ操作が可能である。しかし、車両の部材に入力装置が固定されている場合、ペンを利用して手書きで書くことは、ペンの持ちにくさと、その影響による書きにくさとを顕在化させる。例えば、入力装置の位置と利用者の位置との関係から、常に上から下に下ろすように持つわけではない。また、壁面に向かって書くとペンの重みで書きにくい。このため、極端な場合、手首の疲れを招いてしまう。この実施形態では、指による手書き入力を採用することによって、ペンの持ちにくさと書きにくさを解消する。さらに、片手で手書入力部に人差し指を置いた際に、スイッチ入力部が親指で操作可能となるように、手書入力部21とスイッチ入力部22とを配置することで、スイッチの操作性も向上させることができる。
【0039】
この実施形態によると、手書入力部21は、車室内において利用者の正面に位置付けられているサンバイザ31に設けている。このため、手書入力のための広い面積を得ることができる。これにより、指で手書き入力することによる書きにくさを和らげることができる。また、視線移動を少なくできるため、運転者は車両の前方を素早く確認することができる。
【0040】
この実施形態によると、利用者の操作性を改善した車両用入力装置を提供することができる。特に、手書入力部と、これと関連して機能するスイッチ入力部との配置を改善することにより、利用者の操作性を改善することができる。さらに、高い信頼性を提供することができる。
【0041】
(第2実施形態)
上記実施形態では、入力部21、22をサンバイザ31に固定した。これに代えて、図5に図示されるように、入力部21、22を車両のハンドル231上に設けてもよい。入力部21、22は、ハンドルのセンターパッド上に配置される。この実施形態によると、利用者は、目線よりやや下において手書入力操作を行うことができる。
【0042】
(第3実施形態)
上記実施形態では、入力部21、22を左右対称に配置した。これに代えて、入力部21、22を、右利きおよび左利きの両方に適合した配置としてもよい。例えば、図6に図示されるように、手書入力部321を構成することができる。この例では、手書入力部321は、スイッチ入力部322に対して右利き用及び左利き用に対応して配置されている。図中には、左手による操作状態が、破線で図示されている。
【0043】
手書入力部321は、右利き用の手書入力部321Rと、左利き用の手書入力部321Lとを備える。手書入力部321Rと、手書入力部321Lとは、同じ機能を有している。手書入力部321R、321Lは、スイッチ入力部322に対して左右対称に配置されている。手書入力部321Rと、手書入力部321Lとは、択一的に使用可能とされる。
【0044】
右利き用の手書入力部321Rは、四辺形の手書領域を有する。この手書領域は、上辺をやや左にずらし、両側辺を上端が左に向かうように傾け、さらに下辺をやや右にずらすように傾けられている。左利き用の手書入力部321Lは、四辺形の手書領域を有する。この手書領域は、上辺をやや右にずらし、両側辺を上端が右に向かうように傾け、さらに下辺をやや左にずらすように傾けられている。
【0045】
右利き用の手書入力部321Rは、スイッチ入力部322よりやや右側へ突出して配置されている。この構成は、利用者が右手人差し指を手書入力部321Rの上に位置させたときに、同時に、右手親指がスイッチ入力部322の上に自然に位置することを可能とする。左利き用の手書入力部321Lは、スイッチ入力部322よりやや左側へ突出して配置されている。この構成は、利用者が左手人差し指を手書入力部321Lの上に位置させたときに、同時に、左手親指がスイッチ入力部322の上に自然に位置することを可能とする。
【0046】
(第4実施形態)
上記実施形態では、2つの手書入力部321R、321Lを設けた。これに代えて、図7に図示される構成を採用してもよい。この実施形態では、単一の手書入力部421が、右利き位置と、左利き位置とに移動可能に支持されている。手書入力部421は、回動軸421fにおいて左右に所定角度だけ回動可能に支持され、右利き位置と、左利き位置とにおいて保持可能とされている。図中には、右利き位置が実戦で図示され、左利き位置が破線で図示されている。
【0047】
(第5実施形態)
上記実施形態では、手書入力部421を回動可能に支持した。これに代えて、図8に図示される構成を採用してもよい。この実施形態では、手書入力部521は、スライド機構521fにおいて左右に所定距離だけ平行移動可能に支持され、右利き位置と、左利き位置とにおいて保持可能とされている。図中には、右利き位置が実戦で図示され、左利き位置が破線で図示されている。
【0048】
(第6実施形態)
上記実施形態では、スイッチ入力部22に十字キーを採用した。これに代えて、図9に図示されるように、スイッチ入力部622をタッチパネルによって提供してもよい。この実施形態では、スイッチ入力部622は、手書入力部21より小さい小型のタッチパネルによって提供される。
【0049】
(第7実施形態)
上記実施形態では、小型のタッチパネルをスイッチ入力部622に採用した。これに代えて、図10に図示されるように、手書入力部721とスイッチ入力部722とを含む大型のタッチパネルを採用してもよい。この実施形態では、ひとつのタッチパネルの中に、手書入力部721のための領域と、スイッチ入力部722のための領域とが設けられる。
【0050】
(第8実施形態)
上記実施形態に代えて、図11に図示されるように、ホイール型のスイッチ入力部822を採用してもよい。この実施形態では、ホイール822aが採用される。ホイール822aは、図示されるように、正転方向および逆転方向に回転可能である。さらに、ホイール822aは、図示されるように、押下げによってスイッチ操作が可能である。ホイール822aは、親指だけで、回転と押下げの操作が可能である。ホイール822aの操作によって、選択と、確定とが可能である。
【0051】
(第9実施形態)
上記実施形態に代えて、図12に図示されるように、スティック型のスイッチ入力部922を採用してもよい。この実施形態では、スティック922aが採用される。スティック922aは、図示されるように、上下、左右に傾倒可能である。スティック922aは、図示されるように、回転可能である。さらに、スティック922aは、図示されるように、押下げによってスイッチ操作が可能である。スティック922aは、親指だけで、傾倒と押下げの操作が可能である。スティック922aの操作によって、選択と、確定とが可能である。
【0052】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0053】
例えば、スイッチ入力部22には、実施形態として例示されたもののほか、トラックボール型、ダイヤル型など種々のポインティングデバイスを採用することができる。
【0054】
上記実施形態では、手書入力部21とスイッチ入力部22との操作によって入力された情報を有線接続27によって機器11に送信する通信部26を採用した。これに代えて、情報を無線接続によって機器に送信する通信部を採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車載システム、
11 カーナビ制御装置、
12 ディスプレイ、
21 手書入力部、
22 スイッチ入力部、
23 フィルタ回路、
24 検出回路、
25 MPU、
26 通信回路、
31 サンバイザ(車両部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の運転席前方の車両部材に設けられ、利用者が指の操作によって手書き入力が可能な手書入力部(21、321、421、521、721)と、
前記手書入力部の操作と関連して操作されるスイッチを含むスイッチ入力部(22、322、622、722、822、922)と、
前記手書入力部と前記スイッチ入力部との操作によって入力された情報を機器に送信する通信部(26)とを備え、
前記スイッチ入力部は前記手書入力部よりも下側に配置されており、
前記手書入力部と前記スイッチ入力部との配置は、片手の人差し指を前記手書入力部においた場合に、同じ手の親指で前記スイッチ入力部を操作可能となるように設定されていることを特徴とする車両用入力装置。
【請求項2】
前記手書入力部と前記スイッチ入力部との配置は、利用者が右手を使ったときでも、左手を使ったときでも、片手の人差し指を前記手書入力部の上に位置させたときに、同時に、同じ手の親指が前記スイッチ入力部の上に自然に位置するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用入力装置。
【請求項3】
前記手書入力部は、前記スイッチ入力部より左右方向にやや突出して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用入力装置。
【請求項4】
前記手書入力部は、前記スイッチ入力部に対して右利き用及び左利き用に対応して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用入力装置。
【請求項5】
前記車両部材は、車室内において利用者の正面に位置付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用入力装置。
【請求項6】
前記車両部材はサンバイザであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の車両用入力装置。
【請求項7】
前記車両部材はハンドルであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の車両用入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−105448(P2013−105448A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250900(P2011−250900)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】