説明

車両用内装部品

【課題】柔らかい初期当たりと、底付きまでの十分に大きなストロークとを有利に確保しつつ、段階的なクッション感の変化の解消と軽量化とが効果的に実現され得る車両用内装部品を提供する。
【解決手段】剛性の基材16に、クッション材20を重ね合わせると共に、このクッション材20を表皮材22にて被覆して構成し、そして、クッション材20として、基材16への重ね合わせ方向に配向する多数の合成繊維32の集合体からなるものを用いて、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部品に係り、特に、剛性の基材に対して、表皮材にて被覆されたクッション材が重ね合わされて配設された車両用内装部品の新規な構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両に装備される車両用内装部品には、様々な種類のものがあり、その中の一種として、剛性を有する基材と、この基材に対して重ね合わされるように積層されたクッション材と、かかるクッション材を被覆する表皮材とを有する、クッション性を備えた車両用内装部品がある(例えば、下記特許文献1参照)。このような構造を有する車両用内装部品には、例えば、コンソールドアやグラブドア、アームレスト、ドアトリム等がある。
【0003】
ところで、それらのクッション性を備えた車両用内装部品においては、より良好なクッション感を得る上で、乗員が接触したときの初期当たりが柔らかく、ソフトなタッチ感が得られ、しかも底付きまでのストロークが大きいことが要求される。このため、従来の車両用内装部品のうち、例えば、アームレストを兼ねたコンソールドアは、通常、合成樹脂製の板状基材の一方の板面上に、発泡倍率が低く、弾性率の高いモールドウレタンフォームと、発泡倍率が高く、弾性率の低いスラブウレタンフォームとが、その順番で重ね合わされて配置されて、それら積層された2種類のウレタンフォームにてクッション材が構成されている。そして、かかるクッション材の全体が、表皮材にて被覆されて、基材に固定されている。このような構造を有するコンソールドアでは、ドア表面への接触初期の段階で、クッション材の表層部分を構成するスラブウレタンフォームの弾性変形に基づいて、ソフトなタッチ感が得られ、また、スラブウレタンフォームの弾性変形状態から、更に荷重が負荷されたときに、かかるスラブウレタンフォームと基材との間に介在するモールドウレタンフォームが弾性変形することによって、底付きまでのストロークの増大が図られている。
【0004】
ところが、スラブウレタンフォームとモールドウレタンフォームの2種類のウレタンフォームにてクッション材が構成された車両用内装部品においては、スラブウレタンフォームとモールドウレタンフォームのそれぞれの弾性率や硬度が互いに異なるため、表皮材(内装部品の表面)を押圧したときに、クッション感が途中で変化し、それが、人によっては違和感と感じる場合があった。また、モールドウレタンフォームが、低発泡であるところから、クッション材として、発泡倍率の高い1種類のクッション材のみが用いられる場合に比して、重量が不可避的に大きくなり、それが、車両用内装部品全体の軽量化の妨げとなるといった問題も内在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−108545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここにおいて、本発明は、上述のような事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、基材に対して、表皮材にて被覆されたクッション材が重ね合わされて配設された車両用内装部品において、柔らかい初期当たりと、底付きまでの十分に大きなストロークとを有利に確保しつつ、表皮材を押圧したときの段階的なクッション感の変化が解消され、しかも軽量化が効果的に促進され得るように改良された構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、様々な研究を行い、その過程で、従来、防音材として利用されている、厚さ方向に対応する縦方向に配向する多数の合成繊維の集合体に着目した。そして、そのような縦方向繊維配向構造を有する防音材をクッション材として、特別な形態において用いることにより、所期の目的が十分に達成され得ることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づいて更に鋭意研究を重ね、その結果、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
かくして完成された本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
(1) 剛性の基材と、該基材に重ね合わされたクッション材と、該クッション材を被覆する表皮材とを有する車両用内装部品であって、前記クッション材が、前記基材への重ね合わせ方向に配向する多数の合成繊維の集合体にて形成されていることを特徴とする車両用内装部品。
【0010】
(2) 厚さ方向に対して交差する横方向に多数の合成繊維を配向してなる不織布を波形に屈曲せしめることにより、該多数の合成繊維の配向方向が厚さ方向に対応する縦方向とされた該多数の合成繊維の集合体にて、前記クッション材が形成されていると共に、該クッション材が、厚さ方向の一方の面において前記基材に重ね合わされていることにより、該クッション材の該多数の合成繊維が、該基材との重ね合わせ方向に配向せしめられている上記態様(1)に記載の車両用内装部品。
【0011】
(3) 前記基材が、前記クッション材との重ね合わせ面に隣接する角部を有し、且つ該重ね合わせ面の該角部との隣接部分に、突部が設けられている上記態様(1)又は(2)に記載の車両用内装部品。なお、ここで言う重ね合わせ面の角部との隣接部位とは、角部とその角部と隣り合う(近傍の)重ね合わせ面部分とを含んで言う場合と、角部を含まずに、その角部と隣り合う(近傍の)重ね合わせ面部分のみを言う場合の両方を含む。
【0012】
(4) 前記クッション材を構成する前記多数の合成繊維が、熱可塑性樹脂からなっている上記態様(1)乃至(3)のうちの何れか一つに記載の車両用内装部品。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明に従う車両用内装部品にあっては、クッション材を形成する多数の合成繊維が、基材への重ね合わせ方向に配向せしめられている。このため、表皮材に接触したときにソフトなタッチ感が得られ、しかも、表皮材を強く押圧したときに、底付きを感じるまでの間に、十分に大きな変形ストロークが得られる。これによって、より深みのあるクッション感が得られる。
【0014】
また、かかる車両用内装部品では、クッション材が、多数の合成繊維の集合体から形成された、単一の部材にて構成されている。それ故、互いに弾性率が違う2種類の発泡樹脂成形体が積層されて構成されたクッション材が用いられる従来品とは異なって、表皮材を押圧したときに、クッション感が途中で変化するようなことが、有利に解消され得る。その上、クッション材として、従来から一般に使用されるモールドウレタンフォームよりも十分に小さな密度を有するため、そのようなモールドウレタンフォームを使用した従来のクッション材に比して、軽量性が飛躍的に向上され得る。
【0015】
従って、かくの如き構造を有する本発明に従う車両用内装部品にあっては、柔らかい初期当たりと、底付きまでの十分に大きなストロークとを有利に確保しつつ、表皮材を押圧したときの段階的なクッション感の変化が解消され、しかも十分な軽量化が効果的に実現され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従う構造を有する車両用内装部品の一実施形態たるコンソールドアを備えたコンソールボックスの側面説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面の部分拡大説明図であって、コンソールドアの内部構造を示している。
【図3】図1に示されたコンソールドアが有するクッション材の構造を説明するための図であって、(a)は、クッション材の原材料となる不織布の部分拡大断面形態を示し、また(b)は、かかる不織布を用いて形成されたクッション材の部分拡大断面形態を示している。
【図4】図2におけるIV部拡大説明図である。
【図5】図2におけるV部拡大説明図である。
【図6】図1に示されたコンソールドアと同様なクッション材を有するものの、ドアアウタの外周部の形状が、かかるコンソールドアとは異なるものの部分拡大断面説明図であって、図5に対応する図である。
【図7】本発明に従う構造を有するコンソールドアと従来構造を有するコンソールドアのそれぞれの荷重−変位特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0018】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する車両用内装部品の一実施形態たるコンソールドアを備えた自動車用のコンソールボックスが、その側面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のコンソールドア10は、コンソールボックス12のコンソール本体14に取り付けられている。そして、従来と同様に、コンソール本体14に設けられた、種々の物品を収納する収納凹所(図示せず)を開閉可能に覆蓋し得るようになっている。
【0019】
より具体的には、図2に示されるように、コンソールドア10は、基材としてのドアアウタ16とドアインナ18とクッション材20と表皮材22とを有している。それらのうち、ドアアウタ16は、例えば、ポリプロピレンやABS樹脂等を用いて形成された樹脂成形品からなり、長手矩形状の天板部24と、この天板部24の外周縁部から厚さ方向一方側に延び出した枠状の脚部26とを一体的に有している。ドアインナ18も、ドアアウタ16と同様な樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品からなり、ドアアウタ16に対して、その内側面を覆った状態で取り付けられている。
【0020】
クッション材20は、全体として、比較的に厚肉の矩形平板形状を有している。そして、このクッション材20が、ドアアウタ16の天板部24の上面に対して、公知の接着剤等により接着されて、固定されている。
【0021】
表皮材22は、従来と同様に、ドアアウタ16やドアインナ18の形成材料よりも柔軟な樹脂材料、例えば塩化ビニル樹脂等を用いて形成された樹脂シートやレザークロス、或いは本革シートやファブリックシート等からなっている。そのような表皮材22が、クッション材20のドアアウタ16側とは反対側の外面の全体を被覆した状態で配置されて、公知の接着剤等により、ドアアウタ16の内側面に接着、固定されている。
【0022】
そして、かかる構造を有する本実施形態のコンソールドア10にあっては、特に、クッション材20が、多数の合成繊維の集合体にて構成されており、従来品が有する、発泡樹脂成形体等からなるクッション材とは全く別異の構造を有している。
【0023】
すなわち、本実施形態のコンソールドア10が有するクッション材20は、図3の(a)に示されるような多数の合成繊維28の集合体からなる不織布30を用いて形成されている。この不織布32は、多数の合成繊維28の略全部が、不織布32の厚さ方向に対して略直角に交差する横方向に延びるように、配向して位置せしめられた状態で、公知のバインダ(図示せず)を用いた接着や熱溶着等により相互に接合されてなる公知の構造を有している。
【0024】
なお、そのような不織布30を構成する合成繊維28の種類は、特に限定されるものではなく、公知の熱可塑性の合成繊維や熱硬化性の合成繊維の中から適宜に選択される。そして、その中でも、ポリエステルや、ポリアミドやポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる合成繊維や、ポリエステル系エラストマ等の各種の熱可塑性エラストマからなる合成繊維等が、好適に用いられる。それによって、クッション材20の再利用が可能となって、リサイクル性が有利に高められ得る。また、合成繊維28は、長繊維であっても、短繊維であっても良い。
【0025】
そして、本実施形態では、図3の(b)に示されるように、不織布30を、その厚さ方向において凹凸となる波形に屈曲させた状態で、波形の進行方向において互いに重ね合わされる部位同士を公知の接着剤にて相互に接着することにより、或いは熱溶着することにより、クッション材20が形成されている。かくして、クッション材20が、多数の合成繊維28の略全部を、厚さ方向[図3の(b)における上下方向]に対応する縦方向に延びるように、配向させて、位置せしめた集合体にて構成されている。このようなクッション材20は、その密度が0.01〜0.04g/cm3となっており、これは、例えばモールドウレタンフォームからなるクッション材の密度(0.1〜0.4g/cm3程度)よりも十分に小さな値となっている。
【0026】
そして、図2及び図4に示されるように、かかる構造とされたクッション材20が、厚さ方向の一方の面を、ドアアウタ16の天板部24の上面からなる重ね合わせ面32に重ね合わせた状態で、かかる天板部24に対して固定されている。これによって、クッション材20を構成する多数の合成繊維28が、ドアアウタ16の天板部24との重ね合わせ方向に配向せしめられているのである。
【0027】
また、図2及び図5に示されるように、ドアアウタ16の天板部24には、その外周部よりも内側に入り込んだ部分に、重ね合わせ面32において凹陥する浅底の凹所が設けられている。これによって、天板部24と枠状脚部26との間に形成される角部34に隣接する天板部24の重ね合わせ面32の外周部位に、突部36が、天板部24の全周に延びるように形成されている。
【0028】
ここで、図6に示されるように、ドアアウタ16の天板部24の角部34に隣接する重ね合わせ面32の外周部位が平坦な形状とされていると、かかる外周部位に重ね合わされるクッション材20の角部部位が、表皮材22にて押し潰され、薄肉となって、凹んでしまうことがあった。そうした場合には、クッション材20の角部部位を覆う表皮材22部分の表面のラインが、図6に二点鎖線で示されるような所望の意匠線:α(一般に、曲率半径の小さな角部が得られるように設定される)と一致しないようになり、それによって、意匠性が低下する事態が生ずる恐れがあった。
【0029】
これに対して、本実施形態のコンソールドア10においては、ドアアウタ16の天板部24の角部34に隣接する重ね合わせ面32の外周部位に、その全周に延びる突部36が設けられている。このため、図5に示されるように、角部34に隣接する重ね合わせ面32の外周部位に重ね合わされるクッション材20の角部部位が、表皮材22にて押し潰されて、他の部位よりも薄肉となっていても、重ね合わせ面32の外周部位が平坦な形状とされている場合とは異なって、クッション材20の肉厚の減少分が、突部36の高さ分でカバーされ、以て、クッション材20の角部部位が凹んでしまうことが有利に防止され得る。これによって、本実施形態のコンソールドアでは、クッション材20の角部部位を覆う表皮材22部分の表面のラインが、所望の意匠線:αと略一致するようになっているのである。
【0030】
このように、本実施形態のコンソールドア10にあっては、クッション材20が、ドアアウタ16の天板部24の重ね合わせ面32に対して、多数の合成繊維28を重ね合わせ面32への重ね合わせ方向に配向させた状態で、固定されている。このため、表皮材22に接触したときに、ソフトなタッチ感が得られる。そして、表皮材22を強く押圧したときには、底付きを感じるまでの間に、十分に大きな変形ストロークが得られる。
【0031】
また、かかるコンソールドア10では、クッション材20が、多数の合成繊維28の集合体から形成された、単一の部材からなっている。それ故、表皮材22を押圧したときに、クッション感が、途中で段階的に変化するようなことがなく、深みのあるクッション感が得られる。その上、クッション材として、従来から一般に使用されるモールドウレタンフォームよりも十分に小さな密度を有するため、そのようなモールドウレタンフォームを使用した従来のクッション材に比して、十分な軽量化が、効果的に実現され得るのである。
【0032】
さらに、本実施形態のコンソールドア10においては、厚さ方向に交差する横方向に多数の合成繊維28が配向する不織布30を波形に屈曲し、且つそれらの屈曲部分を互いに接着することで、クッション材20が形成されている。それ故、多数の合成繊維28が厚さ方向に配向するクッション材20の形成が、極めて容易となっており、それによって、上記の如き特徴を有するコンソールドア10の製作性が、効果的に高められている。
【0033】
また、本実施形態では、クッション材20の角部部位を覆う表皮材22部分の表面のラインが、所望の意匠線:αと略一致するようになっている。それによって、良好な意匠性が、確実に且つ安定的に確保され得る。
【0034】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0035】
例えば、前記実施形態では、クッション材20が、基材たるドアアウタ16に接着されていたが、表皮材22にて、クッション材20がドアアウタ16に固定されるのであれば、クッション材20のドアアウタ16に対する接着は、必ずしも必要ではない。
【0036】
また、形成が可能であれば、多数の合成繊維28を厚さ方向に対応する縦方向に配向させた状態で、相互に絡み合わせたり、接合したりすることにより形成された、厚さ方向に配向する多数の合成繊維28の集合体からなるクッション材20を用いても良い。
【0037】
天板部24の重ね合わせ面32における角部34との隣接部位に形成される突部36の形状や形成位置は、クッション材20の厚さや所望の意匠線:αの形状等に応じて、適宜に変更され得る。
【0038】
クッション材20の全体の形状や厚さも、基材たるドアアウタ16の形状等に応じて、種々変更され得る。また、前記実施形態では、クッション材20を、ドアアウタ16の天板部24の上面上のみに配置されていたが、例えば、枠状脚部26の外周面に対しても、天板部24上に配置されるものと一体のクッション材20を、或いはそれとは別体のクッション材20を配置することも、勿論可能である。
【0039】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用のコンソールボックスのコンソールドアに適用したものの具体例を示したが、本発明は、剛性の基材とそれに重ね合わされたクッション材とそれを被覆する表皮材とを有する自動車用内装部品及び自動車以外の車両用内装部品の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、言うまでもないところである。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0041】
先ず、多数のポリエステル繊維が厚さ方向に対して交差する横方向に配向する不織布を準備した。次いで、前記実施形態に詳述する手法により、準備された不織布を用いて、図3の(b)に示される如く、配向方向が厚さ方向とされた多数のポリエステル繊維の集合体からなるクッション材を形成した。そして、このクッション材を用いて、図2に示されるような構造を有するコンソールドアを作製した。この作製されたコンソールドアを本発明品とした。なお、かかる本発明品のコンソールドアのドアアウタは、ABS樹脂を用いた射出成形により、またドアインナは、ポリプロピレンを用いた射出成形によって、それぞれ成形された樹脂成形品を用い、また、表皮材は、本革シートを用いた。
【0042】
また、比較のために、本発明品のコンソールドアと同様に、ドアアウタとドアインナとクッション材と表皮材とを備え、且つクッション材が、スラブウレタンフォームとモールドウレタンフォームの積層体からなる従来構造を有するコンソールドアを、従来より公知の手法により作製した。そして、それを比較品とした。なお、この比較品コンソールドアのドアアウタとドアインナと表皮材のそれぞれの材質は、本発明品のコンソールドアと同一とした。
【0043】
そして、作製された本発明品のコンソールドアと比較品のコンソールドアのそれぞれの荷重−変位特性を調べるために、それら二種類のコンソールドアに対する圧縮特性試験を、公知の圧縮試験機器を用いて、従来手法により、それぞれ実施した。具体的には、先ず、本発明品のコンソールドアを圧縮試験機器にセットし、かかる本発明品の表皮材の表面を、圧縮試験機の押圧部材にて、実車状態でのアームレストの使用時に近い速度で押圧し、そのときに押圧部材に作用する反発力の荷重値を、押圧部材に設けられたロードセルにて測定する。そして、その測定値に基づいて、押圧部材にて押圧されて、圧縮したときの本発明品の荷重値と変位量とを求め、以て、本発明品の荷重−変位特性を調べた。また、それとは別に、比較品のコンソールドアを用いて、上記と同様にして、かかる比較品のコンソールドアの荷重−変位特性を調べた。それらの結果を図7に併せて示した。
【0044】
図7から明らかなように、従来構造を有する比較品のコンソールドアにおいては、その荷重−変位曲線が、途中で、略逆「く」の字状に折れ曲がった形状とされている。これに対して、本発明品のコンソールドアでは、その荷重−変位曲線が、緩やかな曲線となっている。また、最大ストローク値が、比較品のコンソールドアよりも本発明品のコンソールドアの方が大きな値となっている。これによって、本発明に従う構造を有するコンソールドアでは、表皮材を押圧したときに、クッション感が途中で段階的に変化することがなく、また、底付きを感じるまでの間に、十分に大きな変形ストロークが得られることが、明確に認識され得る。
【符号の説明】
【0045】
10 コンソールドア 12 コンソールボックス
16 ドアアウタ 20 クッション材
22 表皮材 24 天板部
26 枠状脚部 32 合成繊維
34 不織布 36 重ね合わせ面
40 角部 42 突部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性の基材と、該基材に重ね合わされたクッション材と、該クッション材を被覆する表皮材とを有する車両用内装部品であって、
前記クッション材が、前記基材への重ね合わせ方向に配向する多数の合成繊維の集合体にて形成されていることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項2】
厚さ方向に対して交差する横方向に多数の合成繊維を配向してなる不織布を波形に屈曲せしめることにより、該多数の合成繊維の配向方向が厚さ方向に対応する縦方向とされた該多数の合成繊維の集合体にて、前記クッション材が形成されていると共に、該クッション材が、厚さ方向の一方の面において前記基材に重ね合わされていることにより、該クッション材の該多数の合成繊維が、該基材との重ね合わせ方向に配向せしめられている請求項1に記載の車両用内装部品。
【請求項3】
前記基材が、前記クッション材との重ね合わせ面に隣接する角部を有し、且つ該重ね合わせ面の該角部との隣接部分に、突部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の車両用内装部品。
【請求項4】
前記クッション材を構成する前記多数の合成繊維が、熱可塑性樹脂からなっている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の車両用内装部品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−184603(P2010−184603A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30202(P2009−30202)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】