説明

車両画像記録装置、車両画像記録システム

【課題】画像を記録するための記録媒体の記録容量の増大を抑制することができる車両画像記録装置及び車両画像記録システムを提供すること。
【解決手段】本発明による車両画像記録装置1は、車両の複数種類の外部及び複数種類の内部をそれぞれ撮像する複数の撮像手段2、3、4、5、6と、複数の撮像手段2、3、4、5、6の撮像したそれぞれの画像を記録する記録手段7aと、車両の状態が所定状態(左右出力が左出力又は右出力)であるかを判定する判定手段7bと、車両の状態が所定状態であると判定手段7bが判定する場合に、複数の撮像手段2、3、4、5、6のうち所定状態に対応する所定の組合せの撮像手段(右出力では左方カメラ3、左出力では右方カメラ4)の解像度を変更する変更手段7cを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用して好適な運転者の車両画像記録装置、車両画像記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、歩行者の飛び出しに伴う急制動や急操舵、先行車両や対向車両との過度の接近に伴う急制動や急操舵等により運転者がひやり又ははっとすること、いわゆるヒヤリハット事象、換言すれば、運転者にとって回避することが必要な要回避事象が発生した場合の、車両の外部及び内部の画像を、車両の位置、車速、前後加速度、左右加速度、制動指令を含む車両情報とともに記録する車両画像記録装置つまりは特許文献1に記載されているようなドライブレコーダを搭載することが提案されている。
【0003】
このような車両画像記録装置により要回避事象を車両の位置及び車両情報とともに記録しておけば、要回避事象が発生しやすい特定の地点において運転者に注意を喚起する等の、事前回避策を講じることが可能となる。
【特許文献1】特開2008−3657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような車両画像記録装置において車両の外部及び内部の複数の画像を撮像するにあたっては、複数の車載カメラにより撮像された画像を記録することが必要となり、画像を記録するための例えばハードディスク等の記録媒体の記録容量の増大が懸念されるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、画像を記録するための記録媒体の記録容量の増大を抑制することができる車両画像記録装置及び車両画像記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明に係る車両画像記録装置は、
車両の複数種類の外部及び複数種類の内部をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段の撮像したそれぞれの画像を記録する記録手段と、前記車両の状態が所定状態であるかを判定する判定手段と、前記車両の状態が前記所定状態であると前記判定手段が判定する場合に、前記複数の撮像手段のうち前記所定状態に対応する所定の組合せの前記撮像手段の解像度を変更する変更手段を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記車両画像記録装置において、
前記所定状態が前記車両の進行方向の変更又は車線変更を含むこととする。
【0008】
さらに、前記車両画像記録装置において、
前記車両の備える方向指示器の左右出力を検出する左右出力検出手段を備え、前記複数種類の外部が前記車両の前方と右方と左方とを含むとともに、前記所定状態が前記方向指示器の左右出力が右出力であることである場合に、前記変更手段が、前記所定の組合せの前記撮像手段を、前記左方を撮像する前記撮像手段として、前記左方を撮像する前記撮像手段の解像度を低下させることが好ましい。
【0009】
なお、前記左右出力とは、前記車両が左折する又は左側の車線に移動する時に、運転者のウインカースイッチの操作に基づいて、前記方向指示器が前記車両前部及び後部の左側に位置するウインカーランプを点灯させるために出力する左出力と、前記車両が右折する又は右側の車線に移動する時に、運転者のウインカースイッチの操作に基づいて、前記方向指示器が前記車両前部及び後部の右側に位置するウインカーランプを点灯させるために出力する右出力とを含む。
【0010】
これによれば、前記方向指示器の左右出力が右出力である場合には、運転者が前記車両を右折又は右側の車線に車線変更しようとしていると考えられるため、前記車両の左方については歩行者や他車両の接近の可能性は低いとみなして、前記複数種類の外部のうち、前記左方を撮像する前記撮像手段については前記解像度を低下させて監視レベルを低下させることができる。
【0011】
これにより、前記記録手段が記録する前記画像の容量をなるべく抑制して、前記画像を記録するための記録媒体の記録容量の増大を抑制することができる。
【0012】
加えて、前記車両画像記録装置において、
前記車両の備える操舵装置の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記方向指示器の左右出力が右出力となった後に前記操舵角が時計回りに変位した場合に、前記判定手段が前記所定の状態が終了したと判定して、前記変更手段が、前記左方を撮像する前記撮像手段の解像度を復帰させることが好ましい。
【0013】
これによれば、前記方向指示器の左右出力が右出力となった後、前記操舵角が時計回りに変位した場合には、運転者が実際に前記車両を右折又は右側の車線に車線変更していると考えられるため、前記右折及び前記車線変更以降においては前記車両の左方についても歩行者や他車両の接近の可能性があるとみなして、前記左方を撮像する前記撮像手段についても前記解像度を再度向上させて低下前のレベルに復帰させて監視レベルを初期値に復帰させることができる。
【0014】
あるいは、前記車両画像記録装置において、
前記車両の備える方向指示器の左右出力を検出する左右出力検出手段を備え、前記複数種類の外部が前記車両の前方と右方と左方とを含むとともに、前記所定状態が前記方向指示器の左右出力が左出力であることである場合に、前記変更手段が、前記所定の組合せの前記撮像手段を、前記右方を撮像する前記撮像手段として、当該右方を撮像する前記撮像手段の解像度を低下させることが好ましい。
【0015】
これによれば、前記方向指示器の左右出力が左出力である場合には、運転者が前記車両を左折又は左側の車線に車線変更しようとしていると考えられるため、前記車両の右方については歩行者や他車両の接近の可能性は低いとみなして、前記複数種類の外部のうち、前記右方を撮像する前記撮像手段については前記解像度を低下させて監視レベルを低下させることができる。
【0016】
これにより、前記記録手段が記録する前記画像の容量をなるべく抑制して、前記画像を記録するための記録媒体の記録容量の増大を抑制することができる。
【0017】
加えて、前記車両画像記録装置において、
前記車両の備える操舵装置の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記方向指示器の左右出力が左出力となった後に前記操舵角が反時計回りに変位した場合に、前記判定手段が前記所定の状態が終了したと判定して、前記変更手段が、前記右方を撮像する前記撮像手段の解像度を復帰させることが好ましい。
【0018】
これによれば、前記方向指示器の左右出力が左出力となった後、前記操舵角が反時計回りに変位した場合には、運転者が実際に前記車両を左折又は左側の車線に車線変更していると考えられるため、前記左折及び前記車線変更以降においては前記車両の右方についても歩行者や他車両の接近の可能性があるとみなして、前記右方を撮像する前記撮像手段についても前記解像度を再度向上させて低下前のレベルに復帰させて監視レベルを初期値に復帰させることができる。
【0019】
加えて、前記車両画像記録装置において、
前記車両の位置を探索する探索手段を備え、前記記録手段が前記画像を前記車両の位置とともに記録するとともに、前記記録手段が記録した前記画像において回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定する要回避事象存否判定手段と、前記記録手段が記録した前記車両の位置に基づいて前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生しているかどうかを判定する要回避事象頻度判定手段とを備えるとともに、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生していると前記要回避事象頻度判定手段が判定して、前記特定の地点に前記車両が接近する場合に、前記変更手段が前記複数の撮像手段の解像度を向上させることが好ましい。
【0020】
なお、前記探索手段とはGPS(Global Positioning System:全地球方位システム)又はINS(Inertial Navigation System:自律航法)を用いたものである。
【0021】
これによれば、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生しているような場合においては、前記複数の撮像手段の解像度を予め向上させることにより、前記特定の地点において前記撮像手段が撮像する画像の解像度を予め向上させることができるので、前記要回避事象存否判定手段による判定をより詳細且つ容易に行うことができる。
【0022】
さらに、前記車両画像記録装置において、
前記車両の車速、前記操舵角、前後加速度、左右加速度、制動指令を含む車両情報を検出する車両情報検出手段を備えて、前記記録手段が前記車両情報とともに前記画像を記録するとともに、前記記録手段が記録した前記画像及び前記車両情報に基づいて、前記要回避事象存否判定手段が、前記回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定することが好ましい。
【0023】
これによれば、前記判定結果に基づいて前記要回避事象を前記車両の位置及び車両情報とともに記録しておけば、前記要回避事象が発生しやすい特定の地点に前記車両が接近する場合において運転者に注意を喚起する等の、事前回避策を講じることが可能とすることができる。
【0024】
あるいは、前記要回避事象存否判定手段と前記溶解事象頻度判定手段を路側のセンタに備えて車両画像記録システムを構成することもできる。
【0025】
すなわち、本発明に係わる車両画像記録システムは、
前記車両の位置を探索する探索手段を前記車両側に備え、前記記録手段が前記画像を前記車両の位置とともに記録するとともに、路側のセンタを備え、前記センタが、前記記録手段が記録した前記画像において回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定する要回避事象存否判定手段と、前記記録手段が記録した前記車両の位置に基づいて前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生しているかどうかを判定する要回避事象頻度判定手段とを備えるとともに、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生していると前記要回避事象頻度判定手段が判定して、前記特定の地点に前記車両が接近する場合に、前記変更手段が前記複数の撮像手段の解像度を向上させることを特徴とする。
【0026】
これによれば、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生しているような場合においては、前記複数の撮像手段の解像度を予め向上させることにより、前記特定の地点において前記撮像手段が撮像する画像の解像度を予め向上させることができるので、前記要回避事象存否判定手段による判定をより詳細且つ容易に行うことができる。
【0027】
加えて、前記要回避事象頻度判定手段を路側のセンタに備えることにより、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生していることを、異なる複数の車両において前記記録手段が記録した前記画像と前記車両の位置及び前記車両情報を前記センタ側において収集して、収集された前記画像及び前記車両情報に基づいて判定することができ、前記要回避事象頻度判定手段による判定の精度をより高めることができる。
【0028】
さらに、前記車両画像記録システムにおいて、
前記車両の車速、前記操舵角、前後加速度、左右加速度、制動指令を含む車両情報を検出する車両情報検出手段を車両側に備えて、前記記録手段が前記車両情報とともに前記画像を記録するとともに、前記記録手段が記録した前記画像及び前記車両情報に基づいて、前記要回避事象存否判定手段が、前記回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定することが好ましい。
【0029】
これによれば、前記判定結果に基づいて前記要回避事象を前記車両の位置及び車両情報とともに記録しておけば、前記要回避事象が発生しやすい特定の地点に前記車両が接近する場合において運転者に注意を喚起する等の、事前回避策を講じることが可能とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、画像を記録するための記録媒体の記録容量の増大を抑制することができる車両画像記録装置及び車両画像記録システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明に係わる車両画像記録装置の一実施形態を示す模式図である。
【0033】
車両画像記録装置1は、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6と、カーナビゲーションECU7(Car Navigation Electronic Control Unit)と、GPSアンテナ8と、IMU9(Inertial Measurement Unit)と、受信機10と、データベース11と、ディスプレイ12と、スピーカ13と、タッチパネル14と、ABS15(Anti-lock Brake System)と、ボディECU16と、EPSECU17(Electronic Power Steering Electronic Control Unit)を備えて構成される。
【0034】
カーナビゲーションECU7と、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6と、ABS15と、ボディECU16と、EPSECU17とは、CAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0035】
前方カメラ2は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば車両室内のウインドシールド中央上部に、前方に光軸が合致するように配設され、車両の前方を変更可能な解像度で撮像して、撮像した画像を含む情報をカーナビゲーションECU7にCANを介して出力して、撮像手段を構成するものである。
【0036】
左方カメラ3は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば車両室内のウインドシールド中央上部に、前方から左方に光軸が傾斜するように配設され、車両の左方を変更可能な解像度で撮像して、撮像した画像を含む情報をカーナビゲーションECU7にCANを介して出力して、撮像手段を構成するものである。
【0037】
右方カメラ4は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば車両室内のウインドシールド中央上部に、前方から右方に光軸が傾斜するように配設され、車両の左方を変更可能な解像度で撮像して、撮像した画像を含む情報をカーナビゲーションECU7にCANを介して出力して、撮像手段を構成するものである。
【0038】
顔カメラ5は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば車両室内の前方のインストゥルメントパネルに、運転者の顔に光軸が指向するように配設され、運転者の顔を変更可能な解像度で撮像して、撮像した画像を含む情報をカーナビゲーションECU7にCANを介して出力して、撮像手段を構成するものである。
【0039】
足元カメラ6は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば車両室内のコンソールに、運転者の足元に光軸が傾斜するように配設され、運転者の足元を変更可能な解像度で撮像して、撮像した画像を含む情報をカーナビゲーションECU7にCANを介して出力して、撮像手段を構成するものである。
【0040】
カーナビゲーションECU7は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行う記録手段7aと、判定手段7bと、変更手段7cと、左右出力検出手段7dと、操舵角検出手段7eと、探索手段7fと、要回避事象存否判定手段7gと、要回避事象頻度判定手段7hと、表示手段7iとして機能するものである。
【0041】
ここで、GPSアンテナ8は、地球上空に打ち上げられた複数の衛星の内三個の衛星からの電波を受信するものであって、IMU9は車両のヨーレートYと前後加速度α及び左右加速度βを検出して検出結果をカーナビゲーションECU7に出力するものであり、さらに、受信機10は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの渋滞情報を始めとした道路情報を受信する。
【0042】
加えて、データベース11はCD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体により構成されて、表示用の地図情報と、探索用の地図情報を格納し記録するとともに、記録手段7aの制御に基づき、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6からCANを介して取得した画像を含む情報を記録している。
【0043】
また、ディスプレイ12は、運転者により入力された目的地等の探索条件をもとにカーナビゲーションECU7の探索手段7fが探索用の地図情報に基づいて探索したルート情報を、カーナビゲーションECU7の表示手段7iの指令に基づき表示用の地図情報とともに表示するものであり、マルチインフォメーションディスプレイにより構成されるものであって、タッチパネル14すなわち運転者が目的地を含む探索条件及びその他の入力情報を入力する手段としても機能する。
【0044】
なお、この場合の入力情報は、カーナビゲーションECU7がカーオーディオやラジオその他の車載機器を集中的且つ統括的に制御可能なものであれば、それらの車載機器のうち制御対象としたい車載機器を選択する又は各々の車載機器のモードや機能を選択するための入力情報を含む。
【0045】
また、ABS15は、各車輪に対応して設けられた車輪速センサから各車輪速を検出し、それらの各車輪速の平均から車速Vを求め、車速Vに対して各車輪速のいずれかが判定閾値よりも離隔して低下した場合に、該当する車輪を制動するブレーキの油圧を低下させて、制動時において制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速VをCANに対して出力しており、カーナビゲーションECU7はその車速Vと制動指令BをABS15からCAN上において取得している。
【0046】
さらに、ボディECU16は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバス及び入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べるそれぞれの処理を行い、車両の乗員が図示しないウインカースイッチを時計側に揺動させると、車両前端及び後端の右側に位置するウインカーランプを点灯させる右出力を発生し、乗員がウインカースイッチを反時計側に揺動させると、車両前端及び後端の左側に位置するウインカーランプを点灯する左出力を発生する。
【0047】
これとともに、ボディECU16は、左右出力のいずれを行ったかどうかを検出して、検出結果を、CANを介してカーナビゲーションECU7に送信する。つまりボディECU16は方向指示器すなわちウインカーを構成する。
【0048】
また、EPSECU17は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものであり、図示しないEPS(Electronic Power Steering)の発生する転舵力をこれも図示しないステアリングホイールにより運転者が入力した操舵力に基づいて制御するとともに、これも図示しない操舵角センサにより検出した操舵角を、CANを介してカーナビゲーションECU7の操舵角検出手段7eに送信するものである。
【0049】
EPSは、例えばラックアンドピニオン式かつピニオンアシスト式のものであり、運転者の操舵力に基づいたEPSECU17の制御により電動モータを駆動して転舵力を発生する操舵装置を構成するものである。なお、ここでは運転者が図示しないステアリングホイールにより入力する力を操舵力、操舵装置が出力する力を転舵力として名称上区別している。
【0050】
カーナビゲーションECU7の探索手段7fは、GPSアンテナ8の受信した電波をもとに、例えば三角測量の原理で車両の位置Pつまりは経度と緯度を測定する。なお、経度と緯度に加え高度も測定する場合には四個の衛星を用いる。加えて、カーナビゲーションECU7の車速検出手段2bはABS15から車両の車速Vを、CANを介して取得している。
【0051】
加えて、カーナビゲーションECU7の探索手段7fは、ABS15から取得した車両の車速とIMU9が検出したヨーレート、EPSECU17から取得した操舵角θをもとにして、車両の移動距離と方向を計算して車両の位置Pを自律航法により測定して、GPSアンテナ8が衛星から電波を受信できない場合においては、車両の位置データを補完する。これにより、GPSアンテナ8を用いた車両の現在の位置の測定と併せて、トータルの車両の現在の位置Pの測定の精度を高めている。
【0052】
すなわち、上述したGPSアンテナ8を用いたカーナビゲーションECU7の探索手段7fによる車両の現在の位置の測定は、衛星からの電波を利用する特性上、高層ビルの谷間に車両が位置する場合やトンネル内を車両が走行している場合、あるいは、高架橋の下を車両が走行している場合などでは衛星からの電波をGPSアンテナ8が受信できないため、車両の現在の位置Pが測定できないという問題が生じるが、後者の自律航法による測定により、この問題を解消している。
【0053】
カーナビゲーションECU7の探索手段7fは、このようにして測定した車両の現在の位置Pと、タッチパネル14すなわちディスプレイ12により運転者が入力した目的地Tとを結ぶルート情報を、データベース11内の探索用の地図情報を用いてダイクストラ法等の手法により探索する。
【0054】
そして、カーナビゲーションECU7の表示手段7iは、データベース11内の表示用の地図情報と、上述した方法により測定した車両の位置Pと、タッチパネル14すなわちディスプレイ12により入力された目的地Tと、探索手段7fにより探索された車両の位置Pから目的地Tに到るルート情報とを併せてディスプレイ12に表示し、車両の現在の位置Pがルート情報における左折又は右折箇所に接近するとスピーカ13によりその左折又は右折箇所を運転者に対して音声で案内する。
【0055】
さらに、カーナビゲーションECU7の記録手段7aは、複数の撮像手段すなわち前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6とが撮像したそれぞれの画像を車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bとともにデータベース11に記録し、判定手段7bはデータベース11に車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bとともに記録された画像に基づいて、車両の状態が所定の状態すなわち運転者が車両の進行方向の変更又は車線変更をしようとしているかを判定する。
【0056】
判定手段7bが車両の状態が所定状態であると判定する場合には、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは、複数の撮像手段を構成する、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6のうち所定状態に対応する所定の組合せの撮像手段すなわちカメラの解像度を変更する。
【0057】
より具体的には、カーナビゲーションECU7は、車両の備える方向指示器すなわちボディECU16の左右出力を検出する左右出力検出手段7dを備え、所定状態がボディECU16の左右出力が右出力である場合に、変更手段7cが、所定の組合せのカメラを、左方を撮像する左方カメラ3として、左方を撮像する左方カメラ3の解像度を低下させる。
【0058】
さらに、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは、ボディECU16の左右出力が右出力となった後に、EPSECU17から操舵角検出手段7eが取得した操舵角θが時計回りに変位した場合に、左方を撮像する左方カメラ3の解像度を復帰させる。
【0059】
加えて、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは、ボディECU16の左右出力が左出力である場合に、所定の組合せのカメラを、右方を撮像する右方カメラ4として、右方を撮像する右方カメラ4の解像度を低下させる。
【0060】
さらに、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは、ボディECU16の左右出力が左出力となった後に操舵角検出手段7eが取得した操舵角θが反時計回りに変位した場合に、右方を撮像する右方カメラ4の解像度を復帰させる。
【0061】
加えて、カーナビゲーションECU7は、要回避事象存否判定手段7gを備えて、要回避事象存否判定手段7gは、記録手段7aが記録した画像及び車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bに基づいて、回避が必要な要回避事象すなわち急制動や急操舵が含まれているかどうかを判定する。
【0062】
例えば、操舵角θの変化率Δθが閾値θth以上である場合、制動指令Bが有りの状態で前後加速度αが負の閾値αth以下である場合、左右加速度βが閾値βth以上である場合に、要回避事象存否判定手段7gは要回避事象が含まれていると判定する。
【0063】
さらに、カーナビゲーションECU7は、要回避事象頻度判定手段7hを備えて、要回避事象頻度判定手段7hは、記録手段7aが記録した車両の位置Pに基づいて要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生しているかどうかを判定する。ここで、要回避事象頻度判定手段7hが、要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生していると判定して、特定の地点Mに車両が接近する場合には、変更手段7cが複数の撮像手段すなわち前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6の解像度を向上させる。
【0064】
以下に以上述べたカーナビゲーションECU7の制御内容を、フローチャートと図を用いて説明する。図3は、本発明に係わる車両画像記録装置1の制御内容を示すフローチャートである。
【0065】
S1において、カーナビゲーションECU7の左右出力検出手段7dは、方向指示器すなわちボディECU16の左右出力を検出し、S2において、カーナビゲーションECU7の判定手段7bは左右出力が右出力であるかどうかを判定し、肯定である場合にはS3にすすんで、S3において、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは左方カメラ3の解像度を低下させ、否定である場合には、S3をとばしてS4にすすむ。
【0066】
つづいて、S4において、カーナビゲーションECU7の判定手段7bは、左右出力が左出力であるかを判定し、肯定である場合にはS5にすすんで、S5において、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは右方カメラ4の解像度を低下させ、否定である場合には、S5をとばしてS6にすすむ。
【0067】
S6において、カーナビゲーションECU7の操舵角検出手段7eは、CANを介してEPSECU17から操舵角θを検出し、S7においてカーナビゲーションECU7の判定手段7bは、操舵角θが時計回りに変位して所定の状態が終了したかどうかを判定し、肯定である場合にはS8にすすんで、S8において、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは左方カメラ3の解像度を復帰させ、否定である場合には、S8をとばしてS9にすすむ。
【0068】
S9においてカーナビゲーションECU7の判定手段7bは、操舵角θが反時計回りに変位して所定の状態が終了したかどうかを判定し、肯定である場合にはS10にすすんで、S10において、カーナビゲーションECU7の変更手段7cは右方カメラ4の解像度を復帰させ、否定である場合には、S10をとばしてS11にすすむ。
【0069】
なお、S1〜S11において、カーナビゲーションECU7の記録手段7aは、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6からの画像と、車両の位置P、車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bの車両情報をデータベース11に記録する。
【0070】
S11において、カーナビゲーションECU7の要回避事象存否判定手段7gは、記録手段7aに記録した画像及び車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bの車両情報に基づいて、要回避事象が存在したかどうかを判定し、肯定すなわち要回避事象が存在した場合には、S12において、記録手段7aは、車両の位置Pに基づいて地点ごとに要回避事象を記録し、否定の場合はS12をとばしてS13にすすむ。
【0071】
さらに、S13において、カーナビゲーションECU7の要回避事象頻度判定手段7hは、要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生したかどうかを判定し、肯定である場合には、S14において、記録手段7aは要回避事象が所定回数N以上発生した地点Mをデータベース11に記録する。
【0072】
つづいて、S15において、カーナビゲーションECU7の探索手段7fが車両の位置Pを検出して、S16において、判定手段7bは、位置Pが地点Mに所定距離以内に接近したかどうかを判定し、肯定である場合にはS17にすすんで、S17において、変更手段7cは、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6の解像度を向上させる。
【0073】
なお、S1からS17の処理は、車両のイグニッションキーがオンである場合において、所定の周期において継続して行われる。
【0074】
以上述べた制御内容により実現される本実施例の車両画像記録装置1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0075】
すなわち、ボディECU16の左右出力が右出力である場合には、運転者が車両を右折又は右側の車線に車線変更しようとしていると考えられるため、車両の左方については歩行者や他車両の接近の可能性は低いとみなして、左方を撮像する左方カメラ3については解像度を低下させて監視レベルを低下させることができる。
【0076】
つまり、図3(a)に示すように、自車両の外部を、前方カメラ2、左方カメラ3、右方カメラ4により撮像して、それぞれのカメラの撮像範囲すなわち監視領域が、図3(a)中三角で示す領域である場合には、自車両が交差点の右折レーンに位置していて、ウインカーを右に操作した場合には、左方カメラ3の撮像する図3(b)のハッチングで示す監視領域については監視レベルを低下させるべく左方カメラ3の解像度を低下させる。この間においても、記録手段7aにより前方カメラ2、左方カメラ3、右方カメラ4が撮像した画像は記録され、要回避事象が発生していればその画像に記録される。
【0077】
この後、運転者が実際にステアリングホイールを右に操舵して、操舵角θが時計回りに変位した場合には、実際に進行方向の変更が行われているので、他車両との接近の可能性が再度発生するため、図3(d)に示すように、左方カメラ3の解像度を復帰させて監視レベルを復帰させる。この間においても、記録手段7aにより前方カメラ2、左方カメラ3、右方カメラ4が撮像した画像は記録され、要回避事象が発生していればその画像に記録される。
【0078】
同様に、図4(a)に示すように、自車両が追い越し車線に位置していて、ウインカーを左に操作した場合には、右方カメラ4の撮像する図4(b)のハッチングで示す監視領域については監視レベルを低下させるべく右方カメラ4の解像度を低下させる。この間においても、記録手段7aにより前方カメラ2、左方カメラ3、右方カメラ4が撮像した画像は記録され、要回避事象が発生していればその画像に記録される。
【0079】
この後、運転者が実際にステアリングホイールを左に操舵して、操舵角θが時計回りに変位した場合には、実際に車線変更が行われているので、他車両との接近の可能性が再度発生するため、図4(c)に示すように、右方カメラ4の解像度を復帰させて監視レベルを復帰させる。この間においても、記録手段7aにより前方カメラ2、左方カメラ3、右方カメラ4が撮像した画像は記録され、要回避事象が発生していればその画像に記録される。
【0080】
これにより、記録手段7aがデータベース11に記録する画像の容量をなるべく抑制して、画像を記録するためのデータベース11の記録容量の増大を抑制することができる。
【0081】
加えて、ボディECU16の左右出力が右出力となった後に操舵角θが時計回りに変位した場合に、変更手段7cが、前記左方を撮像する前記撮像手段の解像度を復帰させることによれば、ボディECU16の左右出力が右出力となった後、操舵角θが時計回りに変位した場合には、運転者が実際に車両を右折又は右側の車線に車線変更していると考えられるため、右折及び車線変更以降においては車両の左方についても歩行者や他車両の接近の可能性があるとみなして、左方を撮像する左方カメラ3についても解像度を再度向上させて低下前のレベルに復帰させて監視レベルを初期値に復帰させることができる。
【0082】
同様にボディECU16の左右出力が左出力である場合には、運転者が車両を左折又は左側の車線に車線変更しようとしていると考えられるため、車両の右方については歩行者や他車両の接近の可能性は低いとみなして、右方を撮像する右方カメラ4については解像度を低下させて監視レベルを低下させることができる。
【0083】
これによっても、記録手段7aが記録する画像の容量をなるべく抑制して、画像を記録するためのデータベース11の記録容量の増大を抑制することができる。
【0084】
加えて、ボディECU16の左右出力が左出力となった後に操舵角θが反時計回りに変位した場合には、運転者が実際に車両を左折又は左側の車線に車線変更していると考えられるため、左折及び前記車線変更以降においては車両の右方についても歩行者や他車両の接近の可能性があるとみなして、右方を撮像する右方カメラ4についても解像度を再度向上させて低下前のレベルに復帰させて監視レベルを初期値に復帰させることができる。
【0085】
さらに、要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生しているような場合においては、複数の撮像手段である前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6の解像度を予め向上させることにより、特定の地点Mにおいて前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6の解像度を予め向上させることができるので、要回避事象存否判定手段7hによる要回避事象の頻度の判定をより詳細且つ容易に行うことができる。
【0086】
さらに、車両の車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bを含む車両情報に基づいて、要回避事象存否判定手段7hが、回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定することにより、この判定結果に基づいて要回避事象を車両の位置P及び車両情報とともに記録しておけば、要回避事象が発生しやすい特定の地点Mに車両が接近する場合において運転者に注意を喚起する等の、事前回避策を講じることが可能とすることができる。
【0087】
なお上述した実施例1においては、要回避事象存否判定手段7g及び要回避事象頻度判定手段7hをカーナビゲーションECU7に配置したが、路側のセンタを備えて、路側のセンタにこれらの手段を設置することもできる。以下それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0088】
図5は、本発明に係わる車両画像記録システムの一実施形態を示す模式図である。
【0089】
車両画像記録システム21は、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6と、カーナビゲーションECU7と、GPSアンテナ8と、IMU9と、受信機10と、データベース11と、ディスプレイ12と、スピーカ13と、タッチパネル14と、ABS15と、ボディECU16と、EPSECU17と、通信装置18と、基地局19と、ネットワークと、路側のセンタのサーバ20を備えて構成される。なお、図1に示した実施例1の構成要素と同一のものについては同一の符号を付して重複する説明は割愛する。
【0090】
カーナビゲーションECU7と、前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6と、ABS15と、ボディECU16と、EPSECU17と、通信装置18は、CAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0091】
サーバ20と、基地局19とは、ネットワークを介して接続されるとともに、カーナビゲーションECU7はネットワークに接続された基地局19と通信装置18により無線で通信可能に構成されている。
【0092】
このネットワークは、例えば、公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線、又は、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網、衛星電話、ビーコン等の無線にて構成されるものである。
【0093】
なお、このネットワークによる、サーバ20及びカーナビゲーションECU7間の通信は、PPPプロトコル(Point to Point Protocol)に従うものでありPPPプロトコルによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現するものであって、インターネットやWAN(Wide Area Network)を構成して、サーバ20とカーナビゲーションECU7との間におけるデータの送受信を可能とするものである。
【0094】
さらに、カーナビゲーションECU7の送受信手段7jは、記録手段7aがデータベース11に記録した画像を含む情報を、通信装置18、基地局19、ネットワークを介して、路側のセンタのサーバ20に対して送信する。
【0095】
次に路側のセンタのサーバ20について図を用いて詳細に説明する。図6は、本発明に係わる車両画像記録システム21の一部をなす路側のセンタのサーバ20を示す模式図である。サーバ20は、本発明に係わる車両画像記録システム21の一部を構成する路側のセンタにおける制御を実行するものである。
【0096】
図6に示すように、サーバ20はそれぞれバスで相互に接続されているCPU71と、主記憶装置72と、HDDなどの記憶装置73と、表示装置74と、入力装置75と、ドライブ装置76及び通信装置77を備えるものであり、以下に述べるそれぞれの制御を実行する要回避事象存否判定手段20a及び要回避事象頻度判定手段20bを構成するものである。
【0097】
ここで、CPU71は、OSやアプリケーションなどのプログラムを記憶装置73から読み込んでして実行することで種々の機能を提供すると共に、サーバ20が行う処理を統括的に制御する。主記憶装置72はRAMにより構成され、OSやプログラム、データを一時保管する作業領域を構成している。
【0098】
さらに、記憶装置73は、HDDやフラッシュメモリなど不揮発性メモリであり、OS、プログラム、車両毎の送信元ID及びカーナビゲーションECU7の送受信手段7jから送信され基地局19、ネットワーク及び通信装置77を介して受信された、画像を含む情報を蓄積している。
【0099】
また、表示装置74は、プログラムが指示する画面情報に基づくCPU71の指令により、所定の解像度や色数等で液晶などの図示しないディスプレイに描画するものであって、例えば、GUI(Graphical User Interface)画面を形成し、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等をディスプレイに表示するものである。
【0100】
加えて、入力装置75はキーボードやマウスなどで構成され、様々な操作指示を入力するために用いられる。また、ドライブ装置76は記憶媒体78が挿入可能に構成されており、記憶媒体78に記憶されたデータを読み取って主記憶装置72等に送出するものである。また、通信装置77は、インターネットやLANなどのネットワークに接続するためのインターフェースであり、例えばモデム、NIC等で構成される。
【0101】
このような構成のもとで、CPU71がプログラムを実行することで、サーバ20の要回避事象存否判定手段20aは、前述したカーナビゲーションECU7の送受信手段7jが通信装置18を介して送信した、画像、車両の位置P、車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bを含む車両情報を収集し、記録手段7aが記録した画像及び車速V、操舵角θ、前後加速度α、左右加速度β、制動指令Bに基づいて、回避が必要な要回避事象すなわち急制動や急操舵が含まれているかどうかを判定する。
【0102】
ここでも、操舵角θの変化率Δθが閾値θth以上である場合、制動指令Bが有りの状態で前後加速度αが負の閾値αth以下である場合、左右加速度βが閾値βth以上である場合に、要回避事象存否判定手段20aは要回避事象が含まれていると判定する。
【0103】
さらに、要回避事象頻度判定手段20bは、記録手段7aが記録した車両の位置Pに基づいて要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生しているかどうかを判定する。
【0104】
ここで、要回避事象頻度判定手段20bが、要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生していると判定する場合には、この特定の地点Mを通信装置77、ネットワーク、基地局19、通信装置18を介してカーナビゲーションECU7の送受信手段7jに送信して、変更手段7cは、特定の地点Mに車両が接近する場合には、複数の撮像手段すなわち前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6の解像度を向上させる。なお、制御内容を示すフローチャートは図2に示したものと同様である。
【0105】
本実施例2の車両画像記録システム21によれば、実施例1に示した車両画像記録装置1で得られる作用効果に加えて、以下のような作用効果が得られる。すなわち、要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生しているような場合においては、複数の撮像手段つまりは前方カメラ2と、左方カメラ3と、右方カメラ4と、顔カメラ5と、足元カメラ6の解像度を予め向上させることにより、特定の地点Mにおいて撮像手段が撮像する画像の解像度を予め向上させることができるので、その後の要回避事象存否判定手段20aによる判定をより詳細且つ容易に行うことができる。
【0106】
加えて、要回避事象頻度判定手段20bを路側のセンタに備えることにより、要回避事象が特定の地点Mにおいて所定回数N以上発生していることを、異なる複数の車両においてカーナビゲーションECU7の記録手段7aが記録した画像と車両の位置P及び車両情報をセンタ側において収集して、収集された画像及び車両情報に基づいて判定することができ、要回避事象頻度判定手段20bによる判定の精度をより高めることができる。
【0107】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0108】
例えば、上述した実施例1及び実施例2においては、運転者がウインカーを操作してボディECU16の左右出力が右出力となった後に、操舵角θが時計回りに変位したことを、運転者が実際に車両を右折又は右側の車線に車線変更したことを示す指標として用いているが、上述した操舵角θを用いた自律航法すなわちINSによる車両の方向の演算の精度が十分確保できて、車両の方向をリアルタイムに正確に演算できる場合には、操舵角θに換えて車両の方向が右方となったことを指標として用いることもできる。
【0109】
同様に、上述した実施例1及び実施例2においては、運転者がウインカーを操作してボディECU16の左右出力が左出力となった後に、操舵角θが反時計回りに変位したことを、運転者が実際に車両を左折又は左側の車線に車線変更したことを示す指標として用いているが、上述した操舵角θを用いた自律航法すなわちINSによる車両の方向の演算の精度が十分確保できて、車両の方向をリアルタイムに正確に演算できる場合には、操舵角θに換えて車両の方向が左方となったことを指標として用いることもできる。
【0110】
さらに、実施例2においては、要回避事象の頻度が高い特定の地点Mにおいて解像度を向上させることとしているが、路車間通信や車車間通信又はVICS等により取得される情報に基づいて、要回避事象の頻度が高いと想定される地点においても適宜解像度を向上させる構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、画像を記録するための記録媒体の記録容量の増大を抑制することができる車両画像記録装置及び車両画像記録システムを提供するものであり、比較的軽微な制御上の変更により、所望の記録容量の増大を抑制すると言う効果を実現することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る車両画像記録装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る車両画像記録装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る車両画像記録装置の一実施形態の適用例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る車両画像記録装置の一実施形態の適用例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る車両画像記録システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る車両画像記録システムの一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0113】
1 車両画像記録装置
2 前方カメラ
3 左方カメラ
4 右方カメラ
5 顔カメラ
6 足元カメラ
7 カーナビゲーションECU
7a 記録手段
7b 判定手段
7c 変更手段
7d 左右出力検出手段
7e 操舵角検出手段
7f 探索手段
7g 要回避事象存否判定手段
7h 要回避事象頻度判定手段
7i 表示手段
8 GPSアンテナ
9 ヨーレートセンサ
10 受信機
11 データベース
12 ディスプレイ
13 スピーカ
14 タッチパネル
15 ABS
16 ボディECU
17 EPSECU
21 車両画像記録システム
7j 送受信手段
18 通信装置
19 基地局
20 サーバ
20a 要回避事象存否判定手段
20b 要回避事象頻度判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複数種類の外部及び複数種類の内部をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段の撮像したそれぞれの画像を記録する記録手段と、前記車両の状態が所定状態であるかを判定する判定手段と、前記車両の状態が前記所定状態であると前記判定手段が判定する場合に、前記複数の撮像手段のうち前記所定状態に対応する所定の組合せの前記撮像手段の解像度を変更する変更手段を備えることを特徴とする車両画像記録装置。
【請求項2】
前記所定状態が前記車両の進行方向の変更又は車線変更を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両画像記録装置。
【請求項3】
前記車両の備える方向指示器の左右出力を検出する左右出力検出手段を備え、前記複数種類の外部が前記車両の前方と右方と左方とを含むとともに、前記所定状態が前記方向指示器の左右出力が右出力であることである場合に、前記変更手段が、前記所定の組合せの前記撮像手段を、前記左方を撮像する前記撮像手段として、前記左方を撮像する前記撮像手段の解像度を低下させることを特徴とする請求項2に記載の車両画像記録装置。
【請求項4】
前記車両の備える操舵装置の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記方向指示器の左右出力が右出力となった後に前記操舵角が時計回りに変位した場合に、前記判定手段が前記所定の状態が終了したと判定して、前記変更手段が、前記左方を撮像する前記撮像手段の解像度を復帰させることを特徴とする請求項3に記載の車両画像記録装置。
【請求項5】
前記車両の備える方向指示器の左右出力を検出する左右出力検出手段を備え、前記複数種類の外部が前記車両の前方と右方と左方とを含むとともに、前記所定状態が前記方向指示器の左右出力が左出力であることである場合に、前記変更手段が、前記所定の組合せの前記撮像手段を、前記右方を撮像する前記撮像手段として、当該右方を撮像する前記撮像手段の解像度を低下させることを特徴とする請求項2に記載の車両画像記録装置。
【請求項6】
前記車両の備える操舵装置の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記方向指示器の左右出力が左出力となった後に前記操舵角が反時計回りに変位した場合に、前記判定手段が前記所定の状態が終了したと判定して、前記変更手段が、前記右方を撮像する前記撮像手段の解像度を復帰させることを特徴とする請求項5に記載の車両画像記録装置。
【請求項7】
前記車両の位置を探索する探索手段を備え、前記記録手段が前記画像を前記車両の位置とともに記録するとともに、前記記録手段が記録した前記画像において回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定する要回避事象存否判定手段と、前記記録手段が記録した前記車両の位置に基づいて前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生しているかどうかを判定する要回避事象頻度判定手段とを備えるとともに、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生していると前記要回避事象頻度判定手段が判定して、前記特定の地点に前記車両が接近する場合に、前記変更手段が前記複数の撮像手段の解像度を向上させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両画像記録装置。
【請求項8】
前記車両の車速、前記操舵角、前後加速度、左右加速度、制動指令を含む車両情報を検出する車両情報検出手段を備えて、前記記録手段が前記車両情報とともに前記画像を記録するとともに、前記記録手段が記録した前記画像及び前記車両情報に基づいて、前記要回避事象存否判定手段が、前記回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定することを特徴とする請求項7に記載の車両画像記録装置。
【請求項9】
前記車両の位置を探索する探索手段を前記車両側に備え、前記記録手段が前記画像を前記車両の位置とともに記録するとともに、路側のセンタを備え、前記センタが、前記記録手段が記録した前記画像において回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定する要回避事象存否判定手段と、前記記録手段が記録した前記車両の位置に基づいて前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生しているかどうかを判定する要回避事象頻度判定手段とを備えるとともに、前記要回避事象が特定の地点において所定回数以上発生していると前記要回避事象頻度判定手段が判定して、前記特定の地点に前記車両が接近する場合に、前記変更手段が前記複数の撮像手段の解像度を向上させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両画像記録装置を含む車両画像記録システム。
【請求項10】
前記車両の車速、前記操舵角、前後加速度、左右加速度、制動指令を含む車両情報を検出する車両情報検出手段を車両側に備えて、前記記録手段が前記車両情報とともに前記画像を記録するとともに、前記記録手段が記録した前記画像及び前記車両情報に基づいて、前記要回避事象存否判定手段が、前記回避が必要な要回避事象が含まれているかどうかを判定することを特徴とする請求項9に記載の車両画像記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−294882(P2009−294882A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147452(P2008−147452)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】