説明

車両監視装置

【課題】センタ装置及び路上装置のハード構成を複雑化することなく、センタ装置側において監視対象車両の映像を一時的に参照できるようにする。
【解決手段】通常時は、路上装置2−1〜2−Nからセンタ装置1に、車両情報及びナンバープレート情報を伝送する。センタ装置1から監視カメラ21の撮影映像の伝送が求められた場合は、路上装置2−1〜2−Nからセンタ装置1に、監視カメラ21の撮影映像を直接伝送し、センタ装置1に備えられた表示モニタ14に表示する。また、センタ装置1に備えられたデータ検索部11が、路上装置2−1〜2−Nから伝送された監視カメラ21の撮影映像から、ナンバープレート情報を読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナンバープレートの読み取りを基本とする車両監視装置に係り、特に、路上装置に備えられた監視カメラの撮影映像を監視センタで参照する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、先に、道路交通流監視、交通量調査、特定車両捜索及びビジネスマーケティング等に用いる車両監視用の車体色判別装置として、路上に配置された複数の路上装置と、これら複数の路上装置と広域ネットワーク網を介して接続されたセンタ装置とを備え、路上装置には、カラー映像を撮影する監視カメラと、この監視カメラにて撮影された車両のカラー映像から当該車両のナンバープレートを読み取るナンバープレート読取部と、ナンバープレート位置を基準として車体色判別エリアと設定し、この設定された車体色判別エリアの色を判別する車色判別部と、ナンバープレート読取部にて読み取られた車体ナンバーと車色判別部にて判別された車体色とをセンタ装置に伝達する車両情報伝送部とを備えたものを提案した(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載の発明によると、読み取られたナンバープレート情報に車両の画像を付加しなくとも、センタ装置側で車体色情報を得ることができるので、車両の判別を迅速に行うことができる。
【0004】
これに対して、建物内外の警備及び監視等に用いる遠隔監視システムとしては、ウェブカメラと、当該ウェブカメラの撮像範囲内のセンサ反応を検出するセンサと、当該センサによるセンサ反応の有無を格納しているセンサ反応受信装置と、ウェブカメラが撮像した画像を一時的に保管し、定期的又は不定期にセンサ反応受信装置に格納しているセンサ反応の有無をチェックし、センサ反応があった場合に一時保管している画像からセンサ反応前後の画像を抽出し、この抽出された画像を、ネットワークを介して画像蓄積サーバに送信する拠点管理装置を備えたものが従来提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この特許文献2に記載の発明によると、ウェブカメラが撮影した撮影映像の処理とセンサ出力の処理とを分離して行うので、各種のデータ処理を並列させることができ、処理能力が高くないカメラサーバを用いた遠隔監視処理が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−201817号公報
【特許文献2】特開2004−64276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の車体色判別装置のように、ナンバープレートの読み取りを主目的とする車両監視装置においても、センタ装置側において、監視カメラが撮影した車両の映像を一時的に参照したい場合がある。この場合において、特許文献2に記載の遠隔監視システムと同様に、路上装置にセンサ及びセンサ反応受信装置等を追加し、センサ反応があった場合に、監視カメラにて撮影された車両の映像の中からセンサ反応前後の映像を抽出してセンタ装置に伝送するようにすれば、センタ装置側において、監視対象車両の映像を参照することが可能になる。
【0008】
しかしながら、監視対象車両の映像を一時的に参照するために、全ての路上装置に所要のセンサ及びセンサ反応受信装置等を追加することは、費用対効果を考慮した場合、実現が困難である。また、車両監視装置は、ナンバープレートの読み取りを主目的とするものあることから、ナンバープレートを確実に読み取れることが求められると共に、車両情報伝送部の負担を軽減するため、路上装置からセンタ装置に伝送されるデータのデータサイズを小さくすることも、同時に求められる。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、路上装置及びセンタ装置のハード構成を複雑化することなく、監視センタ側において監視対象車両の映像を一時的に参照することができる車両監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため、道路に沿って配置された複数の路上装置と、監視センタに設置されたセンタ装置と、これら複数の路上装置とセンタ装置とを相互に接続する広域ネットワーク網とから成る車両監視装置において、前記路上装置は、監視カメラと、該監視カメラの撮影映像から車両情報を検知する車両検知部と、前記監視カメラの撮影映像から各車両のナンバープレート情報を読み取るナンバー認識部と、前記車両検知部が検知した車両情報及び前記ナンバー認識部が読み取った該車両のナンバープレート情報並びに前記監視カメラの撮影映像を、前記広域ネットワーク網を介して前記センタ装置に伝送するデータ伝送部と、前記センタ装置からの指令信号を受信する指令信号受信部とを備え、前記センタ装置は、前記路上装置からの送信信号の受信並びに前記路上装置への前記指令信号の送信を行うデータ送受信部と、該データ送受信部が受信した前記路上装置からの送信信号を随時読み出し可能に記録する記録装置と、前記データ送受信部が受信した前記路上装置からの送信信号及び前記記録装置から読み出した読出データ信号を表示する表示モニタと、これらデータ送受信部、記録装置及び表示モニタを操作して所望のデータを検索するデータ検索部を備え、前記データ検索部から前記路上装置に、前記監視カメラの撮影映像の伝送が指示されたとき、前記路上装置は、前記ナンバー認識部による車体ナンバーの認識を停止して、前記データ伝送部から前記センタ装置に前記監視カメラの撮影映像を伝送し、前記センタ装置は、前記表示モニタに前記監視カメラの撮影映像を表示すると共に、前記データ検索部にてナンバープレートの読み取りを実行することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によると、データ検索部から路上装置に、監視カメラの撮影映像の伝送を指示することにより、表示モニタに所望の車両の撮影映像を表示することができるので、路上装置のハード構成を複雑化することなく、監視センタ側で必要な車両の映像を随時取得することが可能になる。また、この際には、路上装置に備えられたナンバー認識部での車体ナンバーの認識を停止するので、路上装置の負担を軽減することができ、監視センタ側への迅速な映像情報の伝送が可能になる。さらに、その際には、データ検索部にて車体ナンバーの読み取りを実行するので、必要なナンバープレート情報の読み取りも、確実に行うことができる。
【0012】
また本発明は、前記構成の車両監視装置において、前記複数の路上装置のそれぞれに複数の監視カメラを備え、前記路上装置は、これら複数の監視カメラにて撮影された別アングルの映像を1画面に埋め込んで前記センタ装置に伝送することを特徴とする。
【0013】
かかる構成によると、各路上装置に複数の監視カメラを備えるので、安価な監視カメラを用いてアングルが異なる映像を取得することができ、多目的な映像を取得することができる。また、路上装置からセンタ装置に伝送する際には、複数の監視カメラにて撮影された複数の映像を1画面に埋め込んで伝送するので、伝送する映像データのデータサイズを小さくすることができ、映像情報の迅速な伝送が可能になる。
【0014】
また、本発明は、前記構成の車両監視装置において、前記路上装置は、前記センタ装置に伝送する配信映像に、時刻情報の刻印及びタイムスタンプの付加を行うことを特徴とする。
【0015】
かかる構成によると、特定の車両の位置と時間とを明確に関連付けることができるので、当該特定の車両の追跡を容易なものにすることができる。
【0016】
また本発明は、前記構成の車両監視装置において、前記路上装置は、前記広域ネットワーク網の負荷に応じて、前記センタ装置に伝送する配信映像のスループット及び映像サイズのうちの少なくともいずれか一方を調整することを特徴とする。
【0017】
かかる構成によると、広域ネットワーク網の負荷が大きい場合に、映像情報のスループット及び映像サイズのうちの少なくともいずれか一方を小さくすることができるので、広域ネットワーク網の負荷を軽減できると共に、路上装置からセンタ装置側への映像情報の伝送を容易にすることができる。
【0018】
また本発明は、前記構成の車両監視装置において、前記路上装置は、前記監視カメラの視野内を移動体が通過していないとき、前記センタ装置に伝送する配信映像のスループットを大きくするか、映像サイズを小さくする処理を行うことを特徴とする。
【0019】
かかる構成によると、路上装置からセンタ装置側に伝送するデータのデータ量を必要最小限に抑制できるので、広域ネットワーク網の負荷を軽減できると共に、記録装置の低容量化を図ることができる。
【0020】
また本発明は、前記構成の車両監視装置において、前記データ検索部は、前記路上装置から伝送される車両の映像情報を前記記録装置に記録する際、前記監視カメラの視野内を移動体が通過する前後の数秒間のみを前記記録装置に記録することを特徴とする。
【0021】
かかる構成によると、記録装置に記録する映像情報のデータ量を必要最小限とすることができるので、記録装置の低容量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る車両監視装置は、データ検索部から路上装置に、監視カメラの撮影映像の伝送が指示されたとき、路上装置は、ナンバー認識部による車体ナンバーの認識を停止して、データ伝送部から監視カメラの撮影映像をセンタ装置に伝送し、センタ装置は、表示モニタに映像情報を表示すると共に、データ検索部にてナンバープレートの読み取りを実行するので、路上装置のハード構成を複雑化することなく、監視センタ側で必要な車両の映像情報を随時取得することが可能になる。また、この際には、路上装置に備えられたナンバー認識部での車体ナンバーの認識を停止するので、路上装置の負担を軽減することができ、監視センタ側への迅速な映像情報の伝送が可能になる。さらに、その際には、センタ装置に備えられたデータ検索部にてナンバープレートの読み取りを実行するので、必要な車体ナンバーの読み取りも、確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る車両監視装置の構成図である。
【図2】2つの監視カメラを備えた路上装置の構成図である。
【図3】2つの監視カメラにより撮影された映像の一例を示す図である。
【図4】2つの監視カメラにより撮影された映像の合成例を示す図である。
【図5】路上装置で実行される画像サイズ変更処理フローを示すフローチャートである。
【図6】路上装置で実行されるデータ圧縮率、間引き率又はスループット変更処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る車両監視装置の実施形態を、実施例に分けて説明する。
【実施例1】
【0025】
図1に示すように、実施例1に係る車両監視装置は、監視センタに設置されたセンタ装置1と、道路に沿って配置された複数の路上装置2−1〜2−Nと、これらセンタ装置1と各路上装置2−1〜2−Nとを相互に接続する広域ネットワーク網3とをもって構成される。
【0026】
センタ装置1は、路上装置2−1〜2−Nとの間で信号の送受信を行うデータ送受信部12と、該データ送受信部12が受信した路上装置2−1〜2−Nからの送信信号を随時読み出し可能に記録する記録装置13と、データ送受信部12が受信した路上装置2−1〜2−Nからの送信信号及び記録装置13からの読み出し信号を表示する表示モニタ14と、これらデータ送受信部12、記録装置13及び表示モニタ14を制御して所望の車両データを検索するデータ検索部11とからなる。
【0027】
一方、路上装置2−1〜2−Nは、監視カメラ21と、監視カメラ21の撮影映像を画像処理する画像処理装置22と、画像処理装置22にて得られた画像情報を、広域ネットワーク網3を介してセンタ装置1に伝送するデータ伝送部23と、データ検索部11からの指令信号を受信する指令信号受信部24とを備えている。監視カメラ21としては、カラー映像を撮影可能なものが用いられる。また、画像処理装置22は、監視カメラ21の撮影映像から車体形状や車体色などの車両情報を検知する車両情報検知部221と、同じく監視カメラ21の撮影映像から車両のナンバープレート情報を読み取るナンバー認識部222とからなる。
【0028】
通常時、即ち、指令信号受信部24が、監視カメラ21の撮影映像を求めるデータ検索部11からの指令信号を受信していないときには、監視カメラ21の撮影映像が、車両検知部221及びナンバー認識部222に一定間隔で取り込まれ、車両検知部221による車体形状や車体色などの車両情報の検知と、ナンバー認識部222によるナンバープレート情報の読み取りを実行する。車体色の検知及びナンバープレート情報の読み取りに関しては、本願出願人が先に提案した特許文献1に記載の方法により行うことができる。また、車体形状は、監視カメラ21の撮影映像から特徴点を抽出することにより求めることができる。
【0029】
車両検知部221が検知した車両情報及びナンバー認識部222が読み取ったナンバープレート情報は、データ伝送部23及び広域ネットワーク網3を介して、センタ装置1のデータ送受信部12に伝送される。データ送受信部12に伝送された車両情報及びナンバープレート情報は、記録装置13に随時読み出し可能な形で記録される。該記録装置13に記録された情報は、データ検索部11からの検索信号に応じて読み出され、表示モニタ14に表示される。これにより、道路を走行する車両の把握を個別に行うことができる。
【0030】
これに対して、指令信号受信部24が、監視カメラ21の撮影映像を求めるデータ検索部11からの指令信号を受信したときには、画像処理装置22による処理を行わず、車両検知部221が、入力した監視カメラ21の撮影映像をデータ伝送部23に受け渡す。データ伝送部23は、この監視カメラ21の撮影映像を、JPEG等で圧縮し、広域ネットワーク網3を介して、センタ装置1のデータ送受信部12に連続送信する。この映像は、データ送受信部12からデータ検索部11に直ちに配信され、表示モニタ14に表示される。これにより、監視センタにおける車両映像の参照が可能になる。
【0031】
また、データ検索部11は、路上装置2−1〜2−Nから送信された車両映像からのナンバープレート情報の読み取りを実行し、路上装置2−1〜2−Nから送信された車両映像と読み出されたナンバープレート情報とを、記録装置13に随時読み出し可能な形で記録する。これにより、車両映像を参照する際にも、ナンバープレート情報の検出を行うことができるので、車両の監視に支障をきたすことがない。これら監視センタにおける車両映像の参照及びデータ検索部11によるナンバープレート情報の読み出しは、データ検索部11に必要なソフトウェアをインストールすることにより実施できる。
【0032】
監視センタにおける車両映像の参照が終了した後は、データ検索部11から指令信号受信部24に、車両映像の伝送を停止し、路上装置2−1〜2−Nからの車両情報及びナンバープレート情報の伝送を求める指令信号を送信する。これにより、車両監視装置は、通常状態に復帰する。
【実施例2】
【0033】
図2に示すように、実施例2に係る車両監視装置は、各路上装置2−1〜2−Nごとに2台の監視カメラ21,21aを備えたことを特徴とする。その他の構成については、実施例1に係る車両監視装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
図3に、2台の監視カメラ21,21aを同期させて撮影したときの映像例を示す。この図において、符号4は第1の監視カメラ21の撮影映像を示しており、符号5は第2の監視カメラ21aの撮影映像を示している。第1の監視カメラ21は、車道6を走行する自動車7を撮影しており、第2の監視カメラ21aは、車道6を走行する自動車7の一部と、歩道8を歩行する歩行者9とを撮影している。したがって、これらの各撮影映像から、自動車が通過した時の歩行者の様子を知ることができる。このように、2台の監視カメラ21,21aを同期させて関連する部位について撮影すると、安価な監視カメラを用いて、有効な情報を引き出すことができる。
【0035】
センタ装置1から路上装置2−1〜2−Nのいずれかに、監視カメラ21,21aの撮影映像の伝送を求める指令信号が送信された場合、当該路上装置2−1〜2−Nは、図4に示すように、撮影映像4と撮影映像5とを合成した配信映像61を生成し、センタ装置1に連続配信する。この場合において、監視センタ1に送信する配信映像のデータサイズを極力小さくしたいときには、図4に示す配信映像62のように、第1の監視カメラ21の撮影映像4上に、第2の監視カメラ21aの撮影映像5を重ねることもできる。
【0036】
なお、監視カメラの台数は2台に限られるものではなく、任意の複数台とすることができる。また、撮影の内容も、同期して関連する部位を撮影するだけでなく、目的に応じた適宜の内容とすることができる。
【実施例3】
【0037】
実施例3に係る車両監視装置は、実施例1又は実施例2に係る車両監視装置において、路上装置2−1〜2−Nからセンタ装置1に配信映像を伝送する際、路上装置2−1〜2−Nに備えられたデータ伝送部23が、広域ネットワーク網3の回線負荷を算出し、算出された回線負荷の大きさに応じて画像サイズを変更することを特徴とする。
【0038】
図5に、データ伝送部23が実行する処理の手順を示す。以下、このフローチャートに従って処理の手順を説明すると、データ伝送部23は、ステップS11で、車両検知部221から監視カメラ21(実施例2に係る車両監視装置については、監視カメラ21,21a)の撮影映像を受信すると、ステップS12で、その受信データを予め定められた圧縮方式で圧縮すると共に、必要時には受信データの間引きや送信間隔の調整を行い、広域ネットワーク網3を介して、センタ装置1のデータ送受信部12に送信する。また、このときの配信映像のデータサイズと送信時刻とを記憶する。次いで、ステップS13で、データ送受信部12からの応答を受信し、その時刻を記憶する。次いで、ステップ14で、ステップS12で記憶した送信時刻とステップS13で記憶したデータ送受信部12からの応答受信時刻の差分を計算し、算出された時刻の差分と送信データサイズとから、下記の式1を用いて回線速度を求める。
【0039】
回線速度=(8×送信データサイズ[MB]/2)/時刻の差分[Mbps]
・・・・式1
しかる後に、ステップS15に移行し、算出された回線速度から広域ネットワーク網3の回線速度が、予め設定された回線速度のしきい値以下であるか、このしきい値を超えているかを判定する。この判定は、1回の結果ではなく、過去数秒間の履歴から反転することが好ましい。そして、算出された回線速度が予め設定された回線速度のしきい値以下である場合には、ステップS16に移行して、配信映像のデータ圧縮率及び間引き率のいずれか一方又は双方を高めるか、送信間隔を長くする設定を行い、算出された回線速度が予め設定された回線速度のしきい値を超えている場合には、配信映像のデータ圧縮率、間引き率及び送信間隔をそのままとする。
【0040】
かかる構成によると、広域ネットワーク網3の負荷が上昇したときにも、配信映像の送信を迅速かつ確実に行うことができるので、システムの信頼性を高めることができる。
【実施例4】
【0041】
実施例4に係る車両監視装置は、実施例1又は実施例2に係る車両監視装置において、路上装置2−1〜2−Nからセンタ装置1に配信映像を伝送する際、路上装置2−1〜2−Nに備えられた車両検知部221が、監視カメラ21(実施例2に係る車両監視装置については、監視カメラ21,21a)の撮影映像から路上を移動する移動体の有無を検出し、移動体が検出されたときと検出されないときで、センタ装置1に伝送する配信映像のデータ圧縮率、間引き率又はスループットを変更することを特徴とする。
【0042】
図6に、車両検知部221が実行する処理の手順を示す。以下、このフローチャートに従って処理の手順を説明すると、車両検知部221は、ステップS21で、監視カメラ21(実施例2に係る車両監視装置については、監視カメラ21,21a)からの撮影映像を受信すると、ステップS22で、当該撮影映像中に移動体が存在するか否かの判定を行う。この判定は、一般的な車両検知処理を適用して、移動体を検出することにより行うこともできるし、フレーム間差分などを使用して、前回フレームと今回フレームとの差分から移動体を検出することにより行うこともできる。一般的な車両検知処理を適用して移動体を検出する場合には、センタ装置1への送信データに移動体の有無のインデックスを貼ることができる。センタ装置1への送信データに移動体の有無のインデックスを貼ると、移動体を検出している時間帯を中心としてその前後数秒間の画像のみを記録装置13に蓄積するといった運用が可能になるので、記録容量の無駄をなくすことができる。
【0043】
ステップS22で移動体を検出したと判定したときには、ステップS25に移行し、センタ装置1に伝送する配信映像のデータ圧縮率、間引き率又はスループットを高める処理を行うこと無く、センタ装置1へのデータ送信を行う。これに対して、ステップS22で移動体が検出されないと判定したときには、ステップS23に移行し、センタ装置1にデータ送信を行うか否かの判定を行う。この判定は、センタ装置1から路上装置2−1〜2−Nのいずれかに、監視カメラ21,21aの撮影映像の伝送を求める指令信号が送信されているか否かによって行われる。ステップS23において、センタ装置1にデータ送信を行うと判定したときには、ステップS24に移行し、センタ装置1に伝送する配信映像のデータ圧縮率、間引き率又はスループットを高める処理を行う。移動体が検出されない場合、撮影映像に映し出されているのは、路面や構造物であるため、画像がある程度悪くても、或いは、例えば1秒間に1枚の画像更新であっても、車両検出上特別な問題はない。ステップS23において、センタ装置1へのデータ送信を行わないと判定したときには、ステップS21に戻る。
【0044】
かかる構成によると、移動体が検出されない場合に、センタ装置1に伝送する配信映像のデータ圧縮率、間引き率又はスループットを高める処理を行うので、広域ネットワーク網3の使用率を低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 センタ装置
2−1〜2−N 路上装置
3 広域ネットワーク網
11 データ検索部
12 データ送受信部
13 記録装置
14 表示モニタ
21,21a 監視カメラ
22 画像処理装置
23 データ伝送部
24 指令信号受信部
221 車両情報検知部
222 ナンバー認識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って配置された複数の路上装置と、監視センタに設置されたセンタ装置と、これら複数の路上装置とセンタ装置とを相互に接続する広域ネットワーク網とから成る車両監視装置において、
前記路上装置は、監視カメラと、該監視カメラの撮影映像から車両情報を検知する車両検知部と、前記監視カメラの撮影映像から各車両のナンバープレート情報を読み取るナンバー認識部と、前記車両検知部が検知した車両情報及び前記ナンバー認識部が読み取った該車両のナンバープレート情報並びに前記監視カメラの撮影映像を、前記広域ネットワーク網を介して前記センタ装置に伝送するデータ伝送部と、前記センタ装置からの指令信号を受信する指令信号受信部とを備え、
前記センタ装置は、前記路上装置からの送信信号の受信並びに前記路上装置への前記指令信号の送信を行うデータ送受信部と、該データ送受信部が受信した前記路上装置からの送信信号を随時読み出し可能に記録する記録装置と、前記データ送受信部が受信した前記路上装置からの送信信号及び前記記録装置から読み出した読出データ信号を表示する表示モニタと、これらデータ送受信部、記録装置及び表示モニタを操作して所望のデータを検索するデータ検索部を備え、
前記データ検索部から前記路上装置に、前記監視カメラの撮影映像の伝送が指示されたとき、前記路上装置は、前記ナンバー認識部による車体ナンバーの認識を停止して、前記データ伝送部から前記センタ装置に前記監視カメラの撮影映像を伝送し、前記センタ装置は、前記表示モニタに前記監視カメラの撮影映像を表示すると共に、前記データ検索部にてナンバープレートの読み取りを実行することを特徴とする車両監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両監視装置において、
前記複数の路上装置のそれぞれに複数の監視カメラを備え、前記路上装置は、これら複数の監視カメラにて撮影された別アングルの映像を1画面に埋め込んで前記センタ装置に伝送することを特徴とする車両監視装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両監視装置において、
前記路上装置は、前記センタ装置に伝送する映像情報に、時刻情報の刻印及びタイムスタンプの付加を行うことを特徴とする車両監視装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両監視装置において、
前記路上装置は、前記広域ネットワーク網の負荷に応じて、前記センタ装置に伝送する映像情報のスループット及び映像サイズのうちの少なくともいずれか一方を調整することを特徴とする車両監視装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両監視装置において、
前記路上装置は、前記監視カメラの視野内を移動体が通過していないとき、前記センタ装置に伝送する配信映像のスループットを大きくするか、映像サイズを小さくする処理を行うことを特徴とする車両監視装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両監視装置において、
前記データ検索部は、前記路上装置から伝送される車両の映像情報を前記記録装置に記録する際、前記監視カメラの視野内を移動体が通過する前後の数秒間のみを前記記録装置に記録することを特徴とする車両監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−154630(P2011−154630A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16965(P2010−16965)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】