車両間の通信を介してメッセージを目標目的地へ転送するための方法
少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するための方法を提供する。本発明の一実施方法は、第1の車両によって実行され、第2の車両の地理的情報を受信するステップと、地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するステップと、決定の結果に依存して第2の車両へメッセージを条件付きで送信するステップとを含む。地理的情報は、第2の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して車両間の通信(vehicle−to−vehicle communication)に関する。具体的には、本発明は、車両間の通信を介して1つ以上の目標目的地へメッセージを配信するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両間の通信の従来の活用法として、近くの車両同士はその相対位置を交換する。位置データに基づいて、車両の安全性は、たとえば、車両衝突回避システムおよび自律車両編隊システムによって高められることが提案されている。車両間の通信技術の詳細は、米国特許第6985089号明細書に記載されている。米国特許第6707378号明細書には、別の従来技術が記載されている。
【0003】
従来の車両間通信技術(inter−vehicle communication)には、幾つかの問題点および欠点がある。主な問題点の1つは、情報が方向づけなしに同報通信されることである。たとえば、米国特許第6985089号明細書は、配信の確率を高めるために送信を複数回繰り返すことを教示している。その結果、冗長なメッセージが通信チャネルを飽和させる場合があり、配信の確率も低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6985089号明細書
【特許文献2】米国特許第6707378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両間の通信を介して1つ以上の目標目的地へメッセージを方向付けて配信する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、メッセージを少なくとも1つの目標目的地へ転送するための方法が提供される。本方法は、第2の車両の地理的情報を受信するステップと、地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するステップと、決定の結果に依存して第2の車両へメッセージを条件付きで送信するステップとを含み、前述のステップが第1の車両によって実行される。地理的情報は、第2の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを含む。地理的情報の1つのソースとして、電子ナビゲーションシステムが適用されてもよい。
【0007】
ある典型例として、メッセージは、上記関係性が、第2の車両が上記少なくとも1つの目標目的地へのメッセージの転送に加わることに適することを示していれば交換される。目標目的地は、定置であっても移動体であってもよい。後者の場合、第2の車両の地理的情報と(移動性の)目標目的地との関係性を決定する際には、目標目的地の移動度を考慮することが可能である。具体的には、目標目的地は第2の車両とは異なっていてもよい。たとえば、目標目的地は路側の目的地であってもよい。路側の目的地の典型例は、警察署またはインターネットまたは他の通信ゲートウェイであってもよい。所定の事例では、目標目的地は第2の車両自体であってもよい。
【0008】
本明細書において理解されるように、車両は、自転車を含む非動力車両、自転車に乗っている人または歩行者も含む。本明細書に記載の方法は、携帯電話、ラップトップまたは移動体(個人用)または定置式電子ナビゲーションシステムによって、またはこれらと共働して実行されることが可能である。
【0009】
メッセージは、少なくとも1つの目標目的地に関する情報を暗示的(たとえば、識別子の形式で)または明示的(たとえば、地理的座標の形式で)の何れかを含んでもよい。メッセージはさらに、イベントに関するイベント情報を含んでもよい。イベントは、交通障害をもたらすもの、または交通遅延の原因となるものであってもよい。一例として、自然現象(道路上の倒木、地滑りなど)が道路の遮断を引き起こす場合もある。メッセージまたはこのようなイベントに関するイベント情報は、たとえば、他の道路使用者に対する警告を含んでもよい。別の重要な事例では、検出されるイベントは事故に関するものであってもよい。事故は、第1の車両の近傍における他の車両に関連するものであっても、第1の車両自体に関連するものであってもよい。
【0010】
イベント情報は、イベントの時刻、場所およびタイプのうちの少なくとも1つを含んでもよい。イベントの時刻は、メッセージへ優先順位を割り付けるために使用されてもよい。また、イベントの時刻に基づいて制限時間を規定するように考えてもよい。制限時間が切れる前に、その目標目的地へ到達していないメッセージは、放棄されてもよい。場所は、イベントの場所へ救助を差し向けるために使用されてもよい。イベント情報がイベントのタイプを含む場合、イベントのタイプは技術的な故障、事故、自然事象または予め規定された交通状況を識別するものであってもよい。
【0011】
本方法はさらに、イベントを検出するステップも含む。イベントは、技術的故障および第1の車両の事故の事例を含み、第1の車両内部(すなわち、車載)で検出されてもよい。またイベントは、第1の車両の外側で検出されてもよい。外部イベントの検出は、たとえば別の車両の機能停止または事故の事例において有益である。
【0012】
また本方法は、メッセージを生成するステップも含む。イベントを検出するステップおよびメッセージを生成するステップは、メッセージの生成がイベントの検出によって引き起こされることにおいて関連づけられてもよい。
【0013】
本方法はさらに、目標目的地セットから少なくとも1つの目標目的地を選択するステップを含んでもよい。選択は、イベント情報および地理的情報の少なくとも一方に依存してもよい。たとえば、この選択は、第2の車両の計画されたルートに沿った1つ以上の目標目的地を考慮してもよい。少なくとも1つの目標目的地を選択するステップでは、第2の車両が路側の目的地を通過する間に通信範囲内に存在するという目的で、路側の目的地が好ましい場合がある。
【0014】
関係性を決定するステップは、第2の車両の位置がイベントの領域内部に存在するかどうかを評価することを含んでもよい。これは、たとえば、イベントの場所を通過した第1の車両が上記決定の結果として、近づいてくる第2の車両へ、第2の車両がイベントに到達する前にメッセージを送信することを可能にする。
【0015】
さらに、もしくは代替として、関係性を決定することは、第2の車両のルートがイベントに接近しているかどうか、またはイベントの領域に遭遇するかどうかを評価することを含んでもよい。この場合、第2の車両のルートが、第2の車両のルートを含んでいる受信された地理的情報から直接に導き出されることが可能であり、または、ルートが第2の車両の目的地に従って計算されることが可能である。第2の車両のルートがイベントに接近していれば、その決定の結果として第2の車両へメッセージを送信することができる。この手段は、たとえばイベントを避けるために第2の車両にとって有益である場合がある。
【0016】
受信される地理的情報が第2の車両の位置を含む場合は常に、上記関係性がこの位置に基づいて決定されてもよい。これは、たとえば、一車線しかなく、これが車両の長い列で占められている場合に効果的である。第1の車両の前にある第2の車両へメッセージを転送する場合、メッセージは車列内を進み、よって車列の平均走行速度より高速で移動する。
【0017】
またさらに、上記関連性を決定することは、第2の車両の目的地がイベントの領域内部にあるかどうかを決定することを含んでもよい。第2の車両の目的地がイベント領域内部にあれば、メッセージは第2の車両に関連している可能性がある。従って、メッセージは、上記決定の結果として第2の車両へ送信されることが可能である。
【0018】
さらに、第2の車両の位置が第1の車両の位置またはルートと比べて、少なくとも1つの目標目的地に近いか、または近くなるかどうかが決定されてもよい。本明細書において理解されるように、「より近接する」、「より近い」およびこれらに類似する距離関連の言い回しは、最短距離、道路距離、移動時間またはこれらの組み合わせの意味で定義されることが可能である。
【0019】
さらに、関係性を決定することは、第2の車両のルートが少なくとも1つの目標目的地へ接近するかどうかを評価することを含んでもよい。また、少なくとも1つの目標目的地の選択も、第2の車両のルートに依存してもよい。この場合、少なくとも1つの目標目的地は、第2の車両がこの目標目的地へ接近するように選択することが可能である。
【0020】
本方法はさらに、少なくとも1つの(たとえば、可能な目標目的地セットのうちの任意の1つの)目標目的地に接近する第1の車両に関する第1の弁別子(the first discriminator)を決定するステップを含むことが可能である。一例として、第1の弁別子は、少なくとも1つの目標目的地との通信範囲内に到来する第1の車両を示すパラメータを定量化してもよい。決定される弁別子は、マップマッチングアルゴリズム(map matching algorithms)によって推定または計算されることが可能であり、またはロケーション距離一覧表から検索されることが可能である。
【0021】
また、少なくとも1つの(たとえば、可能な目標目的地セットのうちの任意の1つの)目標目的地に接近する第2の車両に関する第2の弁別子(the second discriminator)も決定することができる。第2の弁別子は、第1の車両で定量化されることが可能であり、または第2の車両から受信されることが可能である。第2の弁別子は、地理的情報と共に、または少なくとも1つの目標目的地に関する情報が第2の車両へ送信された後に受信されてもよい。
【0022】
第2の弁別子は、第1の車両に関する第1の弁別子によって考慮される目標目的地とは異なる目標目的地に接近する第2の車両を明らかにするものであってもよい。これによって、異なる車両および異なる目標目的地を評価することが可能である。第1の弁別子および第2の弁別子が入手可能である場合は常に、本方法はさらに双方の弁別子を比較することを含んでもよい。
【0023】
一例として、弁別子(the discriminators)は、時間期間または距離測度であるように選ばれることが可能である。弁別子は、電子ナビゲーションシステムにより、既知のルートまたは計算されたルートに基づいて計算されることが可能である。さらに、たとえば時間および距離の重み付け法に従って時間期間および距離測度の組み合わせを有することも可能である。重み付け法は、平均速度等の第1および第2の車両の特性を考慮してもよい。別の態様によれば、本方法は、第2の車両の移動体通信機器に関する機器情報を受信するステップを含んでもよい。このステップは、地理的情報を受信するステップと組み合わされてもよい。或いは、機器情報は第1の車両によって要求された時点でのみ受信されてもよい。第2の車両へメッセージを送信するための決定は、さらに機器情報にも依存してもよい。たとえば、イベントが緊急事態である場合、携帯電話または警察電話等の車両固有の通信デバイスにアクセス可能であれば、メッセージは第2の車両へ転送される。
【0024】
第2の車両のルートを知ることが効果的である場合は常に、本方法はさらに、受信される地理的情報に基づいて第2の車両のルートを計算するステップを含んでもよい。第1の車両内に電子ナビゲーションシステムが存在する場合、第2の車両のルートの計算は、第1の車両車載のナビゲーションシステムによって実行されることが可能である。
【0025】
さらなる態様によれば、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送する方法が提供され、本方法は、第1の車両により実行され、第1の車両の地理的情報を決定するステップと、該地理的情報を第2の車両へ送信するステップと、地理的情報の送信に応答して目標目的地へ転送するためのメッセージを第2の車両から受信するステップとを含む。地理的情報は、第1の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
少なくとも1つの目標目的地へ転送するためのメッセージは、第2の車両から受信されてもよい。或いは、メッセージは、通信チェイン(a communication chain)の側枝を形成するために第2の車両から受信されることも可能である。これは、たとえば、警告メッセージ用に、または「カーボンコピー」メッセージ用に効果的である。
【0027】
上記のように、受信されるメッセージは、イベント情報および目標目的地に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。また本方法は、受信されるメッセージを処理するステップも含んでもよい。受信されるメッセージの処理は、少なくとも1つの目標目的地に依存してもよい。本方法はさらに、少なくとも1つの目標目的地をイベント情報および地理的情報の少なくとも一方に依存して選択するステップを含んでもよい。地理的情報への依存は、たとえば少なくとも1つの目標目的地が第2の車両のルートに従って選ばれる場合に生じる。イベント情報への依存は、メッセージが選択される目標目的地に関連するものであることを保証してもよい。
【0028】
本方法はさらに、少なくとも1つの目標目的地に接近する第1の車両に関する弁別子を送信し、かつ/または、受信するステップを含んでもよい。弁別子を送信する上記ステップは、第2の車両がメッセージを送信する前に弁別子を分析できるように、第2の車両からメッセージを受信する上記ステップに先行してもよい。従って、メッセージを受信するステップは、第2の車両へ送信される弁別子に依存してもよい。
【0029】
さらに他の態様によれば、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送する方法は、第1の車両により実行され、第1の車両によってイベントを検出するステップと、イベントの検出に応答してメッセージを生成するステップであって、該メッセージが、イベント情報および目標目的地の少なくとも一方を含み、目標目的地へ送信されるようにメッセージを第2の車両へ送信するステップとを含む。
【0030】
本方法はさらに、第2の車両からメッセージを受諾する受信通知またはメッセージの拒絶を受信することを含んでもよい。受信される受信通知はさらに、第2の車両がメッセージを転送しようとする少なくとも1つの目標目的地を含んでもよい。本方法はさらに、メッセージを繰り返し送信することを含んでもよい。繰返し送信するステップは、第2の車両によってメッセージが拒絶されれば、または、メッセージが第2の車両によって受信を確認されていない別の目標目的地へ転送されるべきものであれば引き起こされてもよい。イベントを検出するステップでは、イベントは第1の車両によって、(または第1の車両内で)検出されてもよい。以下、本明細書に記載の任意の方法と組み合わせることができる追加的な特徴を示す。
【0031】
上記送信、および受信するステップおよび方法は、無線通信に適用されてもよい。適用される無線通信は、高周波信号に基づくものであることが可能である。本発明の内容における車両間の通信に適格である適切な方法および規格の中には、車両間の通信用の専用狭域通信(DSRC)、狭域通信用の十分に確立されたBluetooth(商標)技術(IEEE802.15.1)またはWiFi(商標)(IEEE802.11)等のモバイルコンピューティングテクノロジがある。無線通信がこのような規格または高周波信号伝達に全く限定されないことは理解される。他に、赤外線信号伝達または超音速信号伝達を含む任意の無線通信技術が適用されてもよい。
【0032】
任意の方法には、生成された、または受信されたメッセージに関する情報を第1の車両の内部または外部でシグナリングすることをさらに包含することが可能である。一例として、受信されたメッセージまたはその任意の情報部分は、車両のディスプレイに表示されてもよい。さらに、メッセージに含まれる情報は、第1および第2の車両の少なくとも一方の内部で音響的にシグナリングされてもよい。そのためには、音声合成機構が適用されてもよい。
【0033】
すでに簡単に説明したように、第1および第2の車両に関連する目標目的地は異なる場合がある。これには、車両に関連して考察される目標目的地セットが共通する目標目的地を持たないという意味で分離されていることが含まれる。さらに、第1および第2の車両に関して、1つ以上の目標目的地が同じである場合もある。上述の弁別子に関しては、異なる目標目的地が適用されてもよい。
【0034】
さらに、本明細書に記載の任意の方法は、(たとえば目標目的地の通信範囲への進入時に)少なくとも1つの目標目的地へメッセージを送信するステップを含んでもよい。ある可能な目標目的地には、別の車両または固定の目的地(具体的には、路側の目的地)が包含される。この点に関しては、車載の携帯電話または他の車載の通信機構が適用されてもよい。狭域無線通信システムを選好して車載携帯電話を使用するという決定は、メッセージの優先順位に依存してもよい。たとえば、交通事故に関するメッセージは、任意の利用可能な、またはアクセス可能な通信を使用する優先権を有してもよい。
【0035】
少なくとも1つの目標目的地を共通して有するメッセージのマージも考慮される。この過程は、メッセージの内容を分析することをさらに含んでもよい。分析の結果に基づいて、冗長なメッセージまたは同一メッセージは、転送を回避されることが可能である。特に、冗長な情報または同一情報は、メッセージから削除されてもよい。
【0036】
さらに、メッセージは追加の情報(たとえば、運転中に生じる情報)で増やされてもよい。たとえば、その内容がイベントのタイプに関連づけられれば、または少なくとも1つの目標目的地に関連するものであれば、メッセージをホストする車両が、メッセージにこの内容を追加してもよい。さらに、追加の情報が、車載センサのデータまたは交通渋滞に関する情報を含んでもよい。このような追加の情報は、ホスト車両または隣接車両の動作を検出するセンサから導き出されてもよい。
【0037】
さらなる態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、これは、たとえばトランシーバデバイスまたは車両に搭載されて使用されるように適合されたデバイスである1つ以上のコンピューティングデバイス上でコンピュータプログラムプロダクトが実行されると、本明細書に記載の1つ以上の方法および方法の態様のステップを実行するためのプログラムコード部分を備える。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイス内に、または、コンピューティングデバイスに関連付けられる永久メモリまたは書換え可能メモリ、あるいは取り外し可能なメモリカード、CD−ROM、DVDまたはUSBスティック等のコンピュータ読取り可能記録媒体に格納されてもよい。或いは、または追加的に、コンピュータプログラム製品は、たとえばインターネット等のデータネットワークまたは電話回線もしくは無線リンク等の通信回線を介してコンピューティングデバイスへダウンロードするために備えられてもよい。
【0038】
さらに他の態様によれば、第1の車両に搭載して使用されるように適合され、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するためのデバイスが提供される。本デバイスは、受信機と、プロセッサと、送信機とを備える。受信機は、第2の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を受信するように適合される。プロセッサは、地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するように適合される。送信機は、上記決定の結果に依存してメッセージを第2の車両へ条件付きで送信するように適合される。プロセッサは、上記関連性を定量化できる、上述したような弁別子を受信または決定するように適合されることが可能である。
【0039】
さらに別の態様によれば、第1の車両によって使用されるように適合され、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するためのデバイスが提供され、前記デバイスがプロセッサと送信機と受信機とを備える。プロセッサは、第1の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を決定するように適合される。送信機は、地理的情報を第2の車両へ送信するように適合される。受信機は、地理的情報の送信に応答して第2の車両から目標目的地へ転送するためのメッセージを受信するように適合される。プロセッサはさらに、受信されたメッセージを処理するように適合されてもよい。受信されたメッセージの処理は、少なくとも1つの目標目的地に依存してもよい。
【0040】
さらに別の態様によれば、第1の車両によって使用されるように適合され、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するためのデバイスが提供され、前記デバイスが検出部とプロセッサと送信機とを備える。検出部は、第1の車両によってイベントを検出するように適合される。プロセッサは、イベントの検出に応答してメッセージを生成するように適合され、上記メッセージはイベント情報および目標目的地の少なくとも一方を含む。送信機は、目標目的地へ搬送されるためのメッセージを第2の車両へ送信するように適合される。
【0041】
以下、本明細書に記載の任意のデバイスと組み合わせることができる追加的な特徴を示す。
【0042】
各デバイスはさらに、メッセージに関する情報をシグナリングするように適合されるシグナリング部を備えてもよい。情報を第1の車両の外側へシグナリングするために、シグナリング部は、警告灯またはクラクション等の車両シグナルを適用してもよい。シグナリング部はさらに、第1の車両の内側で情報をシグナリングするように適合されてもよい。またシグナリング部は、シグナリングされた情報を表示するためにディスプレイを備えてもよく、またはディスプレイにアクセスしてもよい。さらに、もしくは代替として、シグナリング部は、情報を音響的にシグナリングするためにスピーカまたはオーディオシステムを備えてもよく、もしくはこれらにアクセスしてもよい。後者の場合、シグナリング部は、受信されるメッセージに関連づけられる音声信号を生成する電子音声合成部も備えてもよい。
【0043】
各デバイスはさらに、衛星ナビゲーションシステム等の電子ナビゲーションシステムを備えてもよく、もしくは上記電子ナビゲーションシステムへのアクセスを有してもよい。プロセッサは、ナビゲーションシステムの処理部を形成してもよく、またはナビゲーションシステムの結果を処理するように適合されてもよい。ナビゲーションシステムのこのような結果は、電子ナビゲーションシステムによって推定されたルートまたは道路距離または時間期間を包含してもよい。また、このような結果を処理して上記関係性の決定の際に前述の弁別子を計算するようにプロセッサを適合することも有益である。またプロセッサは、イベントに関するイベント情報をメッセージへ包含するように適合されてもよい。プロセッサはさらに、少なくとも1つの目標目的地をイベント情報または地理的情報に依存して選択するように適合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
さらなる詳細、態様および利点について、図面を参照して説明する。
【図1】2台の車両のルートと、イベントを通過する前の2台の車両の位置とを概略的に示している。
【図2】2台の車両のうちの一方がイベントを通過した時の図1のその後の状況を示す。
【図3】双方の車両による相互通信範囲内への進入に伴う地理的情報の送信および受信を示す。
【図4】メッセージの受信および送信を概略的に示している。
【図5】メッセージが2台の車両のうちのもう一方の車両によってホストされていることを略示している。
【図6】メッセージが目標目的地へ送信されていることを概略的に示している。
【図7】メッセージを転送するために車両に搭載されたデバイス実施形態のモジュールを概略的に示している。
【図8A】メッセージを送信するために実行される方法の実施形態のステップを示す。
【図8B】メッセージを送信するために実行される方法の実施形態のステップを示す。
【図9】メッセージを受信するための補完的方法の実施形態のステップを示す。
【図10】さらなる方法の実施形態のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明では、本発明の理解を深めるために、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するための個々のステップ等の特定の詳細について、限定としてではなく、説明することを目的として述べる。当業者には、本発明がこれらの特定の態様から逸脱する他の実施形態において実施されてもよいことが明らかである。
【0046】
当業者は、以下、本願明細書において説明される機能が、個々のハードウェア回路を使用して、プログラムされたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータと共同で機能するソフトウェアを使用して、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、かつ/または1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して実施されてもよいことを理解する。また、本発明は、コンピュータプロセッサおよび上記プロセッサへ結合されるメモリにおいて具現化される場合、上記メモリが上記プロセッサによって実行されると、本願明細書に記載されている方法のステップを実行する1つ以上のプログラムで符号化されることも理解される。
【0047】
以下の実施形態において、少なくとも1つの目標目的地へのメッセージの効率的な転送が、車両間の通信を用いて促進される。効率は、ナビゲーションシステムによって提供され得る地理的情報によって生じる。ナビゲーションシステムは内蔵型車載システムであっても、一部が車両に搭載されて位置決めされかつ一部が1つ以上のリモートサイトに位置決めされる分散システムであってもよく、個々のシステムパーツは(たとえば、セル通信方法を使用して)互いに通信し合うように構成されている。
【0048】
図1から図6は、第1の車両10および第2の車両12のルートおよび地理的位置を時間順に示している。車両10および車両12の各々には、図7に概略的に示されているように、無線ネットワークモジュール14と、電子ナビゲーションシステム16と、プロセッサ50と、プロセッサ50へアクセス可能なメモリモジュール52とが装備されている。電子ナビゲーションシステムは、衛星を利用することが可能である。この目的を達成するために、衛星から全地球測位システム(GPS)またはガリレオ・ナビゲーション・システムの信号が受信される。十分な数の衛星と通信できない場合、または他の場合において、電子ナビゲーションシステムは車両の位置を移動体ネットワーク内で位置決めしてもよい。この目的を達成するために、移動体通信ネットワークが最も高頻度で適用される(たとえば、既知の基地局の信号強度を比較できる)。
【0049】
或いは、位置は(たとえば、移動体通信サービスのプロバイダから)直接要求される。位置決め精度を高める目的で、または外部位置信号がない場合、ナビゲーションシステムは車載センサ(たとえば、ステアリングセンサおよび、速度および加速用センサ)を使用して車両の現在位置を追跡してもよい。さらに、任意の同等の方法を適用して、位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを評価することもできる。
【0050】
第1の車両10および第2の車両12の目的地は、対応するナビゲーションシステム16内に格納され、図1において、それぞれロケーション18およびロケーション20として識別されている。第1の車両のルート22はその目的地18へ導き、かつ車両12のルート24はその目的地20へ導く。ルート22およびルート24はナビゲーションシステム16によって計算され、かつ/または車両10および車両12の車内に格納される。
【0051】
図1に示す状況においては、第1の車両10のルート22に沿った路側でイベント26が発生している。イベント26は、たとえば、車両10のルート22の反対車線を阻む事故である。
【0052】
図1のマップはさらに、2つの路側目標目的地28および30も示し、少なくともその一方はイベントの発生について通知されるべき警察署である。目標目的地28は車両10のルート22の路側に位置決めされ、目標目的地30は車両12のルート24の分岐点に位置決めされる。目標目的地28と目標目的地30との各々に対応するルート22とルート24との間の最短距離は、車両10および車両12内に設置された無線ネットワークモジュール14の通信範囲内に入るに足る長さである。
【0053】
第1の車両10がイベント26を通過しながら、イベント26は、図7に概略的に示されている検出部32によって検出される。検出部32は、センサ部44、即ちセンサ部44へ接続される1つまたは複数のセンサからデータを受信する。このような自動検出に加えて、またはその代替として、車両の乗員は運転支援システム42のユーザインタフェースを介して情報を入力することができる。ユーザインタフェースの安価な実施形態は、スイッチまたはキーボードであってもよい。本実施形態において、運転支援システム42のシグナリング部38は、ユーザインタフェースの機能を設けるタッチスクリーンを備える。進歩的な実施形態では、車両の乗員へ非接触入力を提供するためにマイクロホンおよび音声認識装置が付加的に設置される。
【0054】
図1から図6に示す外的なイベント26の他に、車両でのイベントのタイプには、スリップ防止制御システムのセンサにより検出される「滑りやすい路面」、カメラまたは前方霧灯/後方霧灯のスイッチが入っているという事実から検出される「濃霧」、加速度センサ、エアバッグセンサ、カメラまたはユーザインタフェースを介する入力により検出される「自動車事故」、第1の車両10の盗難警報装置により検出される「自動車窃盗進行中」、および加速度センサ、エアバッグセンサまたはユーザインタフェースを介する入力により検出される「医療緊急事態」といったタイプが含まれる。
【0055】
図8Aおよび図8Bのフローチャート800は、車両10に搭載されたプロセッサ50により実行されるステップの方法の実施形態を示し、図9のフローチャート900は、車両12に搭載されたプロセッサ50により実行可能な方法の実施形態の補完的なまたは組合せ可能なステップを示す。
【0056】
イベント26の検出810に引き起こされて、検出されたイベント26に証拠値(an evidence value)が割り当てられる。証拠値は、検出810において適用されたセンサの信頼度、ならびに受信信号の品質および重要性を表わす。
【0057】
図8のステップ812によるメッセージ34は、証拠値がメッセージ閾値を超える場合に限って生成される。これにより、第1の車両10での「偽のイベント」を効率的に排除することができる。図2に示されているように、メッセージ34は既に生成されていて、この時点で車両10によってホストされている。メッセージ34は、図7に示される検出部32から受信されたデータに基づくイベント情報を含んでいる。第1の車両10がイベント26を通過しながら、検出部32からイベント26に関するさらなるデータが受信される。このような連続するイベントに割り当てられる証拠値は、蓄積されていく。メッセージは、蓄積された証拠値が転送閾値を超える場合に限って、転送可能とされている。これにより、「誤ったメッセージ」の転送を効率的に回避することができる。図2に示す時点では、メッセージ34は既に転送するに足る証拠値を蓄積し、かつ第1の車両10の移動によって増大している。
【0058】
第1の車両10は、車両10がイベント26に近接する予め画定された範囲内に存在する限り、イベント領域内に存在している車両へ通知するためのその通信領域内の任意の第2の車両12へメッセージ34を送信する。この機能を実現する1つの方法は、同報通信モード(a broadcasting mode)である。第1の車両10は、イベント26に近接する予め画定された範囲内に存在する限りにおいて、同報通信モードに切り換える。同報通信モードにおいて、メッセージ34は、第1の車両10によって、通信範囲内に存在する任意の第2の車両12へ同報通信される。この機能は、たとえば、イベント26の対向交通に対して、対向交通がイベント26に遭遇する前に警告してもよい。
【0059】
車両10によりメッセージ34が伝送されながら、ステップ814では、車両10の(車載ナビゲーションシステム16により計算された)既知のルート22に基づいて目標目的地28が選択される。この選択のために、目標目的地28および目標目的地30として可能性のあるロケーションを含む電子地図が調べられる。イベントに依存して、メッセージが唯一の適切な目標目的地を有する可能性もあり、この場合、目標目的地28および目標目的地30を選択するステップは省略される。このような場合、車両10は、適切な目標目的地へ効果的にメッセージを伝送できる車両12を見つけることを目指す。
【0060】
しばらくすると、状況は図3に示すようになる。第2の車両12は、この時点で車両10の通信範囲内に存在する。第2の車両12の現在位置、目的地20およびルート24のうちの少なくとも1つに関する地理的情報が、車両12から車両10へ自動的に、または車両10から明確な要求があった時点の何れかで伝達される。このステップ816は、図8のフローチャート800にも示されている。
【0061】
ステップ818は、第2の車両12のルート24が受信された地理的情報にも含まれているかどうかを分析する。目的地20しか受信されていなければ、ステップ820において、車両10の車載ナビゲーションシステム16により車両12の目的地20に基づいて、車両12のルート24が計算される。
【0062】
イベント情報がイベント26のタイプを含んでいる場合、ターゲット選択822は、このタイプのイベントに関連づけられる既知の目標目的地のセットからターゲットとして可能性のあるものを検索してもよい。たとえば、事故の事例において、この選択は、警察署の位置を含む電子地図に基づくものであってもよい。イベント情報に関する依存事項としては、他にも複数の可能性がある。
【0063】
一般に、選択822は、イベント情報および地理的情報の双方に依存してもよい。少なくとも1つの目標目的地の選択は、イベントのタイプに基づくことが可能であり、たとえば機器の不良の場合には、サービスステーションが選択されてもよい。同時に、この目標目的地は、第2の車両12の第2のルートの近傍に位置決めされるように選ばれてもよい。本事例の場合、ステップ822では、第2の車両12に関するルート24およびイベント26のタイプに基づいて、目標目的地30がメッセージ34の潜在的なキャリア(a potential carrier)として選択される。
【0064】
次のステップ824は、一般に、地理的情報、メッセージ34、目標目的地28および目標目的地30のうちの少なくとも2つの間の関係性を決定する。
【0065】
ステップ826のグループは、イベント26に関する追加的警告が車両12へ送信されるべきかどうかを分析する。この目的を達成するために、ステップ828は、車両12のルート24がイベント26へ接近しているかどうかを分析する。接近していなければ、次のステップ830は、車両12の現在位置がイベント26の領域内であるかどうかを分析する。ここで、イベント26の領域は、イベント26によって影響される道路の図3におけるトンネル(the segment)36を包含する。この点もやはり該当しないことから、車両10は車両12へ警告を送信しない。
【0066】
次のステップは、転送遅延の観点から、第1の車両10から第2の車両12へメッセージ34を転送することが実際に効果的であるかどうかを分析する。最初の単純な分析は、目標目的地30に接近している第2の車両12のルート24について検査するステップ832として示されている。ステップ832による分析の肯定的な結果は、第2の車両12へメッセージを転送することの利点を示してもよい。
【0067】
本実施形態は、ステップ834のグループによるさらに高度な分析を適用する。ステップ836では、車両10に搭載されたナビゲーションシステムによって第1の車両10に関する第1の弁別子が推定される。この実施形態において、第1の弁別子は、ルート22を辿る車両10が目標目的地28へ到達するまでの時間を示す。第2の弁別子は、ルート24を辿る第2の車両12が目標目的地30へ到達する時間によって規定される。ステップ838は、第2の弁別子が車両12から受信されているかどうか、または受信されるべきかどうかを分析する。第2の弁別子の受信は、たとえば、第1の車両10に搭載されているナビゲーションシステムが第2の車両12のルート24を計算できなかった場合に必要である場合がある。このような状況では、車両10は、車両12から第2の弁別子を受信するための要求を任意選択として目標目的地30に関する情報と共に車両12へ送信することができる。
【0068】
本実施形態では、第2の車両12のルート24は既知であるため、ステップ840において第2の弁別子は第1の車両10で推定される。
【0069】
ある代替実施形態によれば、第2の弁別子は、第2の車両12が少なくとも1つの目標目的地へ接近しているかどうか、またはどのような状況で接近しているかを定量化する。目標目的地が2つ以上存在する場合、第2の弁別子は、目標目的地毎に入口(entries)を有するリストを包含してもよい。第2の弁別子はさらに、目標目的地の重要性または適切性を定量化するために重み付け係数を含んでもよい。
【0070】
次のステップ842は、第1の弁別子と第2の弁別子とを比較する。本事例において、ステップ842による比較の結果は、車両12がその目標目的地30へ到達する時間の方が、車両10がその目標目的地28へ到達する時間よりも短いことを示している。この結果に基づいて、ステップ850では、図4に概略的に示されているように、第1の車両10から第2の車両12へメッセージ34が送信される。
【0071】
一般に、関係性の決定に際しては、第1の車両10と比較して、第2の車両12の方がメッセージ34の輸送に適しているかどうかが考慮される。したがって、メッセージ34が、メッセージをその固有の移動によって、通常少なくとも1つの目標目的地28と目標目的地30に従って進行する車両によってホストされる、という利点がある。これにより、本発明は、メッセージ34を配信する上でその通信ノードが移動しているという事実を利点に変える。
【0072】
さらに、メッセージ34を、その固有の移動によってメッセージ34を進行する車両においてホストすることは、通信範囲内に適切な第2の車両12が存在しない、または、全くない場合でもメッセージ34の伝搬を可能にする。したがって、本発明が車両10と車両12の可変密度に対して極めてロバストであるという利点がある。
【0073】
弁別子の比較結果が第2の車両12に利するものでなかったとしても、メッセージ34を第2の車両12へ転送する他の理由は、たとえばその通信機器の観点から存在する可能性がある。これは、ステップ842における弁別子の比較結果が否であれば、ステップ842に続く可能性もあるステップ844に示されている。この場合、ステップ846は、機器情報を第2の車両12から、恐らくは要求された時点で受信可能かどうかを分析する。
【0074】
機器情報が与えられると、ステップ848は、第2の車両12へメッセージ34を転送すること、および車両12の通信機器を使用することが効果的であるかどうかを分析する。一例として、第2の車両12に搭載された携帯電話にアクセスできれば、ステップ848の結果は是であることが可能である。
【0075】
メッセージ34を送信するステップ850では、上述の(蓄積された)証拠値をメッセージ34に包含することができる。従って、たとえば、さらなる証拠値がメッセージ34へ割り当てられ、かつメッセージ34によって第2の車両12内に蓄積されることが可能である。
【0076】
ステップ832、ステップ834またはステップ844のグループのうちの1つによる肯定的な結果に基づいて、ステップ850において、第2の車両12へメッセージが送信される場合は常に、メッセージは第2の車両12へ渡される。すなわち、これまでメッセージ34をホストしていた車両10は、ステップ826のグループに従って近づきつつある交通に警告を続けるが、もはや別の車両へメッセージを送信せず、他の車両に目標目的地の1つへメッセージを転送するように指令する。これにより、メッセージ34の転送におけるアバランシェ効果が回避される。
【0077】
冗長メッセージを回避するために、メッセージ34の送信として、メッセージ34に割り当てられたタイマT34が始動される。第1の車両10は、所定の待ち時間の経過後であるしばらく後に、即ち、T34>TLATENCYであれば、類似のメッセージ34’を送信する。たとえば、領域36内に「濃霧」タイプの自然イベント26が検出されれば、待ち時間TLATENCYは領域36内で霧が晴れる最短推定時間に設定される。T34<TLATENCYである限り、類似のメッセージ34’は、たとえば、その検出場所がメッセージ34によってすでに報告されているイベント26の領域36の外側であれば送信される。これは、イベントの程度を更新することを効果的に可能にする。メッセージ34’を生成すべきかどうかの決定は、(利用可能であれば)メッセージ34に割り当てられる(蓄積された)証拠値および現行メッセージ34’の(蓄積された)証拠値にも依存してもよい。たとえば、待ち時間TLATENCYは、このような証拠値の関数として計算されることが可能である。
【0078】
メッセージ34は第2の車両12へ送信され、メッセージ34をメッセージ34内にターゲット情報として含まれる1つ以上の特定の目標目的地30へ転送することが第2の車両12に指令されることも可能であるが、1つ以上の他の目標目的地28へメッセージ34を転送することは引き続き第1の車両10の仕事(a task)である。これにより、目標目的地28、30のセットへメッセージ34を転送する仕事は、2つ以上の車両10、車両12間で分けられてもよい。ターゲット情報は、明確な目標目的地の代わりに、または追加的に、一般に可能な目的地を特定する目標目的地のタイプを含むことが可能である。このタイプの目標目的地は、メッセージ転送における第2の車両の適応性(flexibility)を効果的に増大させる。
【0079】
本実施形態では、図5に示すように、第2の車両12がメッセージ34を独占的に引き受ける。この時点では、メッセージ34は第2の車両12の移動によって前進する。
【0080】
メッセージ34を第1の車両10から第2の車両12へ転送するためのアナログ的方法を、メッセージ34の起源からは独立して適用できることが理解される。たとえば、検出されたイベント26の結果としてメッセージ34を生成する代わりに、図8のフローチャート800のステップ808により、車両12が車両10からメッセージを受信するのと同様の方法で、またはそれ以外の方法で、車両10がメッセージ34を受信することも可能である。
【0081】
ここで、車両12の視点から、図9に示すようなフローチャート900による補完的方法の実施形態を説明する。
【0082】
補完的方法の実施形態は、ステップ910において地理的情報を決定することによって始まる。これは、車両12の通信範囲内に進入した別の車両10が要求した時点で実行される。図3は、この場合の可能な状況を示す。図3はまた、車両12から車両10へ地理的情報を送信する次のステップ912も示している。
【0083】
車両10が、目標目的地30へ到着するためにルート24を辿っている車両12に関する弁別子も要求するという可能性もある。その場合は、車両12に搭載されたナビゲーションシステム16が電子地図に基づいて、たとえば目標目的地30までの道路距離を計算することにより弁別子を推定する。結果として得られる弁別子は、たとえば、後の異なる弁別子の比較におけるその再計算を回避するために格納される。弁別子は、ステップ914により、車両12から車両10へ送信される。
【0084】
さらに、車両10が車両12の機器に関する情報を要求することも可能である。データのセキュリティ問題を考慮する場合があり、かつ車両10に承認の証明を送信するように要求する場合がある予め規定された設定に依存して、車両12は、ステップ916により要求された機器情報を送信する。
【0085】
図4に示すように、ステップ918においてメッセージは車両10から受信され、ステップ920において車両12に対するその関連性が分析される。分析920の結果が、たとえば受信されたメッセージが警告であるゆえに肯定であれば、ステップ922において、メッセージ34に含まれる情報が車両12内でシグナリングされる。シグナリングを行うためには、図7に示すシグナリング部38が適用される。警告のシグナリングは、車両12の外側でも行うことが重要である場合が多い。この目的を達成するために、シグナリング部38は、車両12の警告灯を直接制御する。この利点を示す一例は、高速道路前方における交通渋滞に対して警告するメッセージの受信によって与えられる。車両12の警告灯は、次には後続車両の注意を喚起し、よって追突の危険性が低減される。
【0086】
ステップ920の結果に関わらず、ステップ924は、少なくとも1つの目標目的地を含む特定のターゲット情報をメッセージが含んでいるかどうかを分析する。明確な目標目的地の代わりに、または追加的に、目標目的地は、あるタイプの目標目的地、即ち予め規定された、または共通識別子(たとえば、「半径20km以内に病院」)を含むことが可能である。明確な目標目的地が含まれていなければ、ステップ926は少なくとも1つの目標目的地を選択する。少なくとも1つの目標目的地は、ルート24沿いに、(受信されていれば)目標目的地のタイプまたは受信されたメッセージ34に割り当てられている、またはメッセージ34のイベント情報に含まれているイベントタイプに依存して選択される。一般に、イベント26に関連するメッセージ34を転送するための少なくとも1つの目標目的地の選択は、イベント情報に依存する。
【0087】
受信されるメッセージはさらに、ステップ928において、車両12が入手可能な追加の情報によって増やされてもよい。追加の情報は、メッセージ34のタイプによって、または選択される目標目的地30に依存して選ばれてもよい。たとえば、追加の情報には、タイムスタンプ、交通渋滞に関する情報または車両12のセンサ情報が含まれてもよい。センサ情報として可能性のあるものは、交通渋滞の存在を示す可能性がある車両12の平均速度が含まれてもよい。
【0088】
メッセージ34が交通渋滞の中にいる車両内に閉じこめられない(does not get trapped)ことを確実にするために、少なくとも1つの目標目的地を選択するステップ926は、その時点の交通状況に関する最新情報を包含すべく反復されてもよい。従って、目標目的地は、たとえば交通渋滞におけるさらに前方の車両、または渋滞した道路を抜けていく車両に対して調節されることが可能である。
【0089】
ステップ930は、共通する内容(common content)または少なくとも1つの共通する目標目的地を有するメッセージが車両12に存在するかどうかを分析する。存在していれば、ステップ932において、冗長な情報または等しい目標目的地を有するメッセージ同士が合併される。共通する目標目的地に対するステップ932の実装は、1つを除く全てのメッセージヘッダ(共通の目標目的地を含む)を削除して、メッセージの内容を連結する。共通する内容に対するステップ932の別の実装は、メッセージ34内のデータ記録へ予め規定されたカテゴリを割り当てるか、予め規定されたカテゴリに従ってメッセージ34内のデータ記録をソートする。これに続いて、予め規定された各カテゴリ内の冗長なデータ記録が削除される。
【0090】
図5に概略的に示されている場合では、車両12はメッセージ34をホストし、他のメッセージはホストしていない。従って、ステップ930は、ステップ934に引き継がれ、図6に示すようにメッセージ34が目標目的地30へ送信される。これにより、メッセージ34は、その目標目的地のうちの少なくとも1つへ到達している。
【0091】
メッセージ34を少なくとも1つの目標目的地30へ送信するステップ934は、目標目的地30へある程度近接して到達することによって引き起こされてもよい。このステップ934はまた、規定値に達する、または予め規定された限界値を超える弁別子によって引き起こされてもよい。さらに、もしくは代替として、ステップ934は、少なくとも1つの目標目的地30との通信接続のロバスト性を検査することによって引き起こされてもよい。
【0092】
たとえば車両10が動けない状態の事故であるイベントに車両10が関与している場合、メッセージ34の転送は、さらなる方法実施形態を示されている図10のフローチャート1000に示すように追跡される。この方法実施形態は、図8A、図8Bおよび図9の内容において、上記で説明した方法実施形態との組み合わせで、またはその代替として実行されてもよい。
【0093】
第1のステップ1010において(第1の車両10で)イベントを検出した後、ステップ1020において、メッセージ34に転送情報が包含される。転送情報は、イベントのタイプ、または対応する目標目的地を第2の車両が選択できるようにする目標目的地のタイプを含む。選択するステップが第1の車両10の性能(the capability)の範囲内である場合、転送情報は即時、第1の車両10によって選択された少なくとも1つの目標目的地28、目標目的地30を含む。
【0094】
ステップ1030において、第1の車両10はメッセージを同報通信するため、車両10の通信範囲に進入する任意の第2の車両12はメッセージを受信する。受信側の第2の車両12は、任意選択として、メッセージ34を転送することを引き受けるか拒絶するかを決定する。この決定は、転送情報に基づく。この目的を達成するために、受信側の第2の車両12は、そのルートが少なくとも1つの目標目的地28、目標目的地30に一致するかどうかを分析する。分析は、上記で説明したような弁別子によって定量化されてもよい。ルートが一致しなければ、車両12は(拒絶を送信することにより任意選択として)メッセージを取り消す。メッセージが車両12へ正式に転送された後に、分析が否定的である場合、メッセージは車両10へ戻される。第2の車両12によって送信される拒絶は、部分的な拒絶である可能性もある。すなわち、目標目的地の幾つかの転送は、肯定応答されるが、他の幾つかの目的地は拒絶される。第1の車両10は、拒絶を受信するたびにメッセージの送信を続ける。当業者には、肯定応答された目標目的地を少なくとも1つの目標目的地のリストから削除することにより、メッセージのアバランシェ効果が回避されることが容易に理解される。本方法実施形態のこの特徴は、効果的には、上記に示した転送方法の任意の変形を事故に関与する車両へと拡大することを可能にする。
【0095】
さらに、メッセージ34自体の観点から見ることも教示的である。上記で説明した方法の結果として、メッセージ34は、ホスト車両の地理的情報に依存して、ホスト車両における「仮想ヒッチハイカ(virtual hitchhiker)」のように行動する。地理的情報は、現在位置、ホスト車両の目的地およびホスト車両のルートのうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
これまでに述べた任意の実施形態と組み合わされてもよいコンピュータプログラム製品の実施形態によれば、前述のステップのうちの少なくとも幾つかは、図7に示す輸送エージェントモジュール(a transport agent module)40において、たとえば輸送エージェントモジュールライブラリ(a transport agent module library)41と称されるスタンドアロンライブラリ(a stand−alone library)として実装される。ある特定例として、メッセージは汎用オブジェクト(a general object)としてオブジェクト指向式(an object−orientated way)に実装されることが可能である。以後、汎用オブジェクトを「輸送エージェント」と称する。メッセージ34は、輸送エージェントに関連づけられるデータメンバ(a data member)であり、かつ上述の方法の少なくとも一部は輸送エージェントの方法として包含される。
【0097】
図7に示すように、輸送エージェントモジュール40は輸送エージェントモジュールライブラリ41を用いて輸送エージェントを実行し、かつ、ホスト車両に搭載されたナビゲーションシステム16へのアクセスを有する。輸送エージェントは、ホスト車両の無線ネットワークインタフェース14等の無線通信技術によって通信することができる。輸送エージェントモジュール40はさらに、輸送エージェントが運転支援システム42と情報を交換できるようにする。運転支援システム42は、検出部32と、シグナリング部38と、センサ部(44)とを備えてもよい。
【0098】
輸送エージェントモジュール40または輸送エージェントモジュールライブラリ41は、無線ネットワークインタフェース14を用いることによって、たとえば運転支援システム42であるより高レベルのアプリケーションのメッセージを車両のアドホックネットワーク内でルートを割り当てる(routing)ための機能を提供することができる。これにより、本方法は、通信の中心として定置のゲートウェイを構成することなく、通信ネットワークを構成できるようにする。このような定置のインフラストラクチャが不要であるために、サービスコストは比較的低い。さらに、高台の場所に位置決めされる定置のアンテナシステムは、環境または景観を妨げるものとされる場合が多いが、これも本方法によって回避することができる。
【0099】
輸送エージェントは、メッセージ34または輸送エージェント自体がその目標目的地28、目標目的地30のうちの1つ以上に到達するルートをナビゲーションシステム16へアクセスすることによって計算してもよい。輸送エージェントはさらに、計算されたルートとホスト車両のルート22またはホスト車両のルート24との関係性を決定してもよい。
【0100】
無線ネットワークインタフェース14を用いて、輸送エージェントは、1つ以上の他の車両から地理的情報を受信するように適合される。輸送エージェントは、1つ以上の他の車両の各々に弁別子を割り当てることができる。上記で説明してきたように、弁別子は1つ以上の他の車両のルートがメッセージ34または輸送エージェントの計算されたルートにより良く適合するかどうかを定量化してもよい。具体的には、弁別子は、受信された地理的情報が、同じルートであるが、より高速の移動速度を示しているかどうかを定量化してもよい。さらに、同じルートおよび同じ移動速度の場合では、弁別子は1つ以上の他の車両の位置にアクセスしてもよい。後者の評価は、たとえば、ホスト車両が交通渋滞で動けなければ、輸送エージェントにとって重大である。この状況下では、輸送エージェントは、無線ネットワークインタフェース14を用いてその現行のホスト車両を繰り返し変更することによって前進することを決定することができる。これにより、輸送エージェントは、混雑の激しい道路状態下でホスト車両を繰り返し変更するという方策を効果的に遂行し、かつ通信リンクがまれであれば、ホスト車両の移動によって前進するという方策を遂行することができる。
【0101】
輸送エージェントはさらに、輸送エージェントモジュール40によってホストされている他の輸送エージェントと相互作用してもよい。相互作用は、少なくとも1つの共通する目標目的地を有する輸送エージェントまたはメッセージ34のマージ932を含むことが可能である。
【0102】
新しい輸送エージェントまたはメッセージ34は、図2に示すように、検出部32によって検出されるイベント26の結果として、輸送エージェントモジュール40により生成される。輸送エージェントのメッセージ34は、センサ部44から受信されるデータによって増やされてもよい。
【0103】
メッセージのルートを割り当てるその機能に加えて、輸送エージェントモジュール40は、シグナリング部38を用いてホスト車両内部で輸送エージェントまたはそのメッセージ34の情報をシグナリングする。
【0104】
輸送エージェントモジュールは、プロセッサ50と、プロセッサ50がアクセスできるメモリ52と、メモリ52内に格納される輸送エージェントモジュールライブラリ41とを備えるデバイス40としても実装されることが可能である。輸送エージェント40は、輸送エージェントまたはそのメッセージ34を少なくとも1つの目標目的地へ転送するための上記ステップのうちの任意の1つを実行するように適合される。デバイス40は、受信機および送信機の機能を提供する無線ネットワークインタフェース/モジュール14とデータを交換することができる。
【0105】
プロセッサ50はさらに、少なくとも1つの目標目的地に接近する1つ以上の他の車両のルートに関する関係性を決定するように適合される。車両12のルートがまだ知られていない場合、プロセッサ50はさらに、電子地図を用いて車両12のルートを計算するように適合されてもよい。計算は、受信された地理的情報に基づくものであってもよい。関係性の決定において、プロセッサ50は、車両12のルートと少なくとも1つの目標目的地との間の最短距離を計算するように適合されてもよい。最短距離は、メッセージ34の送信を決定するために、プロセッサ50によって送信機54の最大範囲と比較されることが可能である。
【0106】
上述の実施形態から明らかとなっているように、本明細書に記載の方法は様々な利点を提供する。まず第1に、これらの方法は、電子ナビゲーションシステムおよび無線通信デバイス等の既存かつ広く普及しているテクノロジを用いて実装されることが可能である。所定の状況においては、本明細書に記載の方法は、指定した通信ネットワークが遠方である場合、および定置の通信インフラストラクチャへのローカルアクセスが利用不可である場合に、メッセージが目標目的地へ届く唯一効率的な方法であることがある。さらに、所望される目標目的地への通信接続が存在しない場合でも、メッセージは、より長い時間に渡って保存されることが可能である。具体的には、利用可能な通信リソースの過負荷の防止または少なくとも低減が可能である(任意選択として、範囲が定められた危険地帯の場合の同報通信モードは例外である)。
【0107】
本明細書に示している方法は、移動体通信ノードが(少なくとも部分的に)既知のルート上を、かつ/または(少なくとも部分的に)既知の目的地へと移動する、という事実を活用する。さらに、これらの方法は、通信ノード(車両)がそれらの目的地へと移動する間に実行できるメッセージマージ機能およびメッセージ送達機能を提供する。
【0108】
以上、特有の個々の実施形態を示し、説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更、変形および置換が行われてもよい。このような変形、変更および置換は全て、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して車両間の通信(vehicle−to−vehicle communication)に関する。具体的には、本発明は、車両間の通信を介して1つ以上の目標目的地へメッセージを配信するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両間の通信の従来の活用法として、近くの車両同士はその相対位置を交換する。位置データに基づいて、車両の安全性は、たとえば、車両衝突回避システムおよび自律車両編隊システムによって高められることが提案されている。車両間の通信技術の詳細は、米国特許第6985089号明細書に記載されている。米国特許第6707378号明細書には、別の従来技術が記載されている。
【0003】
従来の車両間通信技術(inter−vehicle communication)には、幾つかの問題点および欠点がある。主な問題点の1つは、情報が方向づけなしに同報通信されることである。たとえば、米国特許第6985089号明細書は、配信の確率を高めるために送信を複数回繰り返すことを教示している。その結果、冗長なメッセージが通信チャネルを飽和させる場合があり、配信の確率も低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6985089号明細書
【特許文献2】米国特許第6707378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両間の通信を介して1つ以上の目標目的地へメッセージを方向付けて配信する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、メッセージを少なくとも1つの目標目的地へ転送するための方法が提供される。本方法は、第2の車両の地理的情報を受信するステップと、地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するステップと、決定の結果に依存して第2の車両へメッセージを条件付きで送信するステップとを含み、前述のステップが第1の車両によって実行される。地理的情報は、第2の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを含む。地理的情報の1つのソースとして、電子ナビゲーションシステムが適用されてもよい。
【0007】
ある典型例として、メッセージは、上記関係性が、第2の車両が上記少なくとも1つの目標目的地へのメッセージの転送に加わることに適することを示していれば交換される。目標目的地は、定置であっても移動体であってもよい。後者の場合、第2の車両の地理的情報と(移動性の)目標目的地との関係性を決定する際には、目標目的地の移動度を考慮することが可能である。具体的には、目標目的地は第2の車両とは異なっていてもよい。たとえば、目標目的地は路側の目的地であってもよい。路側の目的地の典型例は、警察署またはインターネットまたは他の通信ゲートウェイであってもよい。所定の事例では、目標目的地は第2の車両自体であってもよい。
【0008】
本明細書において理解されるように、車両は、自転車を含む非動力車両、自転車に乗っている人または歩行者も含む。本明細書に記載の方法は、携帯電話、ラップトップまたは移動体(個人用)または定置式電子ナビゲーションシステムによって、またはこれらと共働して実行されることが可能である。
【0009】
メッセージは、少なくとも1つの目標目的地に関する情報を暗示的(たとえば、識別子の形式で)または明示的(たとえば、地理的座標の形式で)の何れかを含んでもよい。メッセージはさらに、イベントに関するイベント情報を含んでもよい。イベントは、交通障害をもたらすもの、または交通遅延の原因となるものであってもよい。一例として、自然現象(道路上の倒木、地滑りなど)が道路の遮断を引き起こす場合もある。メッセージまたはこのようなイベントに関するイベント情報は、たとえば、他の道路使用者に対する警告を含んでもよい。別の重要な事例では、検出されるイベントは事故に関するものであってもよい。事故は、第1の車両の近傍における他の車両に関連するものであっても、第1の車両自体に関連するものであってもよい。
【0010】
イベント情報は、イベントの時刻、場所およびタイプのうちの少なくとも1つを含んでもよい。イベントの時刻は、メッセージへ優先順位を割り付けるために使用されてもよい。また、イベントの時刻に基づいて制限時間を規定するように考えてもよい。制限時間が切れる前に、その目標目的地へ到達していないメッセージは、放棄されてもよい。場所は、イベントの場所へ救助を差し向けるために使用されてもよい。イベント情報がイベントのタイプを含む場合、イベントのタイプは技術的な故障、事故、自然事象または予め規定された交通状況を識別するものであってもよい。
【0011】
本方法はさらに、イベントを検出するステップも含む。イベントは、技術的故障および第1の車両の事故の事例を含み、第1の車両内部(すなわち、車載)で検出されてもよい。またイベントは、第1の車両の外側で検出されてもよい。外部イベントの検出は、たとえば別の車両の機能停止または事故の事例において有益である。
【0012】
また本方法は、メッセージを生成するステップも含む。イベントを検出するステップおよびメッセージを生成するステップは、メッセージの生成がイベントの検出によって引き起こされることにおいて関連づけられてもよい。
【0013】
本方法はさらに、目標目的地セットから少なくとも1つの目標目的地を選択するステップを含んでもよい。選択は、イベント情報および地理的情報の少なくとも一方に依存してもよい。たとえば、この選択は、第2の車両の計画されたルートに沿った1つ以上の目標目的地を考慮してもよい。少なくとも1つの目標目的地を選択するステップでは、第2の車両が路側の目的地を通過する間に通信範囲内に存在するという目的で、路側の目的地が好ましい場合がある。
【0014】
関係性を決定するステップは、第2の車両の位置がイベントの領域内部に存在するかどうかを評価することを含んでもよい。これは、たとえば、イベントの場所を通過した第1の車両が上記決定の結果として、近づいてくる第2の車両へ、第2の車両がイベントに到達する前にメッセージを送信することを可能にする。
【0015】
さらに、もしくは代替として、関係性を決定することは、第2の車両のルートがイベントに接近しているかどうか、またはイベントの領域に遭遇するかどうかを評価することを含んでもよい。この場合、第2の車両のルートが、第2の車両のルートを含んでいる受信された地理的情報から直接に導き出されることが可能であり、または、ルートが第2の車両の目的地に従って計算されることが可能である。第2の車両のルートがイベントに接近していれば、その決定の結果として第2の車両へメッセージを送信することができる。この手段は、たとえばイベントを避けるために第2の車両にとって有益である場合がある。
【0016】
受信される地理的情報が第2の車両の位置を含む場合は常に、上記関係性がこの位置に基づいて決定されてもよい。これは、たとえば、一車線しかなく、これが車両の長い列で占められている場合に効果的である。第1の車両の前にある第2の車両へメッセージを転送する場合、メッセージは車列内を進み、よって車列の平均走行速度より高速で移動する。
【0017】
またさらに、上記関連性を決定することは、第2の車両の目的地がイベントの領域内部にあるかどうかを決定することを含んでもよい。第2の車両の目的地がイベント領域内部にあれば、メッセージは第2の車両に関連している可能性がある。従って、メッセージは、上記決定の結果として第2の車両へ送信されることが可能である。
【0018】
さらに、第2の車両の位置が第1の車両の位置またはルートと比べて、少なくとも1つの目標目的地に近いか、または近くなるかどうかが決定されてもよい。本明細書において理解されるように、「より近接する」、「より近い」およびこれらに類似する距離関連の言い回しは、最短距離、道路距離、移動時間またはこれらの組み合わせの意味で定義されることが可能である。
【0019】
さらに、関係性を決定することは、第2の車両のルートが少なくとも1つの目標目的地へ接近するかどうかを評価することを含んでもよい。また、少なくとも1つの目標目的地の選択も、第2の車両のルートに依存してもよい。この場合、少なくとも1つの目標目的地は、第2の車両がこの目標目的地へ接近するように選択することが可能である。
【0020】
本方法はさらに、少なくとも1つの(たとえば、可能な目標目的地セットのうちの任意の1つの)目標目的地に接近する第1の車両に関する第1の弁別子(the first discriminator)を決定するステップを含むことが可能である。一例として、第1の弁別子は、少なくとも1つの目標目的地との通信範囲内に到来する第1の車両を示すパラメータを定量化してもよい。決定される弁別子は、マップマッチングアルゴリズム(map matching algorithms)によって推定または計算されることが可能であり、またはロケーション距離一覧表から検索されることが可能である。
【0021】
また、少なくとも1つの(たとえば、可能な目標目的地セットのうちの任意の1つの)目標目的地に接近する第2の車両に関する第2の弁別子(the second discriminator)も決定することができる。第2の弁別子は、第1の車両で定量化されることが可能であり、または第2の車両から受信されることが可能である。第2の弁別子は、地理的情報と共に、または少なくとも1つの目標目的地に関する情報が第2の車両へ送信された後に受信されてもよい。
【0022】
第2の弁別子は、第1の車両に関する第1の弁別子によって考慮される目標目的地とは異なる目標目的地に接近する第2の車両を明らかにするものであってもよい。これによって、異なる車両および異なる目標目的地を評価することが可能である。第1の弁別子および第2の弁別子が入手可能である場合は常に、本方法はさらに双方の弁別子を比較することを含んでもよい。
【0023】
一例として、弁別子(the discriminators)は、時間期間または距離測度であるように選ばれることが可能である。弁別子は、電子ナビゲーションシステムにより、既知のルートまたは計算されたルートに基づいて計算されることが可能である。さらに、たとえば時間および距離の重み付け法に従って時間期間および距離測度の組み合わせを有することも可能である。重み付け法は、平均速度等の第1および第2の車両の特性を考慮してもよい。別の態様によれば、本方法は、第2の車両の移動体通信機器に関する機器情報を受信するステップを含んでもよい。このステップは、地理的情報を受信するステップと組み合わされてもよい。或いは、機器情報は第1の車両によって要求された時点でのみ受信されてもよい。第2の車両へメッセージを送信するための決定は、さらに機器情報にも依存してもよい。たとえば、イベントが緊急事態である場合、携帯電話または警察電話等の車両固有の通信デバイスにアクセス可能であれば、メッセージは第2の車両へ転送される。
【0024】
第2の車両のルートを知ることが効果的である場合は常に、本方法はさらに、受信される地理的情報に基づいて第2の車両のルートを計算するステップを含んでもよい。第1の車両内に電子ナビゲーションシステムが存在する場合、第2の車両のルートの計算は、第1の車両車載のナビゲーションシステムによって実行されることが可能である。
【0025】
さらなる態様によれば、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送する方法が提供され、本方法は、第1の車両により実行され、第1の車両の地理的情報を決定するステップと、該地理的情報を第2の車両へ送信するステップと、地理的情報の送信に応答して目標目的地へ転送するためのメッセージを第2の車両から受信するステップとを含む。地理的情報は、第1の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
少なくとも1つの目標目的地へ転送するためのメッセージは、第2の車両から受信されてもよい。或いは、メッセージは、通信チェイン(a communication chain)の側枝を形成するために第2の車両から受信されることも可能である。これは、たとえば、警告メッセージ用に、または「カーボンコピー」メッセージ用に効果的である。
【0027】
上記のように、受信されるメッセージは、イベント情報および目標目的地に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。また本方法は、受信されるメッセージを処理するステップも含んでもよい。受信されるメッセージの処理は、少なくとも1つの目標目的地に依存してもよい。本方法はさらに、少なくとも1つの目標目的地をイベント情報および地理的情報の少なくとも一方に依存して選択するステップを含んでもよい。地理的情報への依存は、たとえば少なくとも1つの目標目的地が第2の車両のルートに従って選ばれる場合に生じる。イベント情報への依存は、メッセージが選択される目標目的地に関連するものであることを保証してもよい。
【0028】
本方法はさらに、少なくとも1つの目標目的地に接近する第1の車両に関する弁別子を送信し、かつ/または、受信するステップを含んでもよい。弁別子を送信する上記ステップは、第2の車両がメッセージを送信する前に弁別子を分析できるように、第2の車両からメッセージを受信する上記ステップに先行してもよい。従って、メッセージを受信するステップは、第2の車両へ送信される弁別子に依存してもよい。
【0029】
さらに他の態様によれば、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送する方法は、第1の車両により実行され、第1の車両によってイベントを検出するステップと、イベントの検出に応答してメッセージを生成するステップであって、該メッセージが、イベント情報および目標目的地の少なくとも一方を含み、目標目的地へ送信されるようにメッセージを第2の車両へ送信するステップとを含む。
【0030】
本方法はさらに、第2の車両からメッセージを受諾する受信通知またはメッセージの拒絶を受信することを含んでもよい。受信される受信通知はさらに、第2の車両がメッセージを転送しようとする少なくとも1つの目標目的地を含んでもよい。本方法はさらに、メッセージを繰り返し送信することを含んでもよい。繰返し送信するステップは、第2の車両によってメッセージが拒絶されれば、または、メッセージが第2の車両によって受信を確認されていない別の目標目的地へ転送されるべきものであれば引き起こされてもよい。イベントを検出するステップでは、イベントは第1の車両によって、(または第1の車両内で)検出されてもよい。以下、本明細書に記載の任意の方法と組み合わせることができる追加的な特徴を示す。
【0031】
上記送信、および受信するステップおよび方法は、無線通信に適用されてもよい。適用される無線通信は、高周波信号に基づくものであることが可能である。本発明の内容における車両間の通信に適格である適切な方法および規格の中には、車両間の通信用の専用狭域通信(DSRC)、狭域通信用の十分に確立されたBluetooth(商標)技術(IEEE802.15.1)またはWiFi(商標)(IEEE802.11)等のモバイルコンピューティングテクノロジがある。無線通信がこのような規格または高周波信号伝達に全く限定されないことは理解される。他に、赤外線信号伝達または超音速信号伝達を含む任意の無線通信技術が適用されてもよい。
【0032】
任意の方法には、生成された、または受信されたメッセージに関する情報を第1の車両の内部または外部でシグナリングすることをさらに包含することが可能である。一例として、受信されたメッセージまたはその任意の情報部分は、車両のディスプレイに表示されてもよい。さらに、メッセージに含まれる情報は、第1および第2の車両の少なくとも一方の内部で音響的にシグナリングされてもよい。そのためには、音声合成機構が適用されてもよい。
【0033】
すでに簡単に説明したように、第1および第2の車両に関連する目標目的地は異なる場合がある。これには、車両に関連して考察される目標目的地セットが共通する目標目的地を持たないという意味で分離されていることが含まれる。さらに、第1および第2の車両に関して、1つ以上の目標目的地が同じである場合もある。上述の弁別子に関しては、異なる目標目的地が適用されてもよい。
【0034】
さらに、本明細書に記載の任意の方法は、(たとえば目標目的地の通信範囲への進入時に)少なくとも1つの目標目的地へメッセージを送信するステップを含んでもよい。ある可能な目標目的地には、別の車両または固定の目的地(具体的には、路側の目的地)が包含される。この点に関しては、車載の携帯電話または他の車載の通信機構が適用されてもよい。狭域無線通信システムを選好して車載携帯電話を使用するという決定は、メッセージの優先順位に依存してもよい。たとえば、交通事故に関するメッセージは、任意の利用可能な、またはアクセス可能な通信を使用する優先権を有してもよい。
【0035】
少なくとも1つの目標目的地を共通して有するメッセージのマージも考慮される。この過程は、メッセージの内容を分析することをさらに含んでもよい。分析の結果に基づいて、冗長なメッセージまたは同一メッセージは、転送を回避されることが可能である。特に、冗長な情報または同一情報は、メッセージから削除されてもよい。
【0036】
さらに、メッセージは追加の情報(たとえば、運転中に生じる情報)で増やされてもよい。たとえば、その内容がイベントのタイプに関連づけられれば、または少なくとも1つの目標目的地に関連するものであれば、メッセージをホストする車両が、メッセージにこの内容を追加してもよい。さらに、追加の情報が、車載センサのデータまたは交通渋滞に関する情報を含んでもよい。このような追加の情報は、ホスト車両または隣接車両の動作を検出するセンサから導き出されてもよい。
【0037】
さらなる態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、これは、たとえばトランシーバデバイスまたは車両に搭載されて使用されるように適合されたデバイスである1つ以上のコンピューティングデバイス上でコンピュータプログラムプロダクトが実行されると、本明細書に記載の1つ以上の方法および方法の態様のステップを実行するためのプログラムコード部分を備える。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイス内に、または、コンピューティングデバイスに関連付けられる永久メモリまたは書換え可能メモリ、あるいは取り外し可能なメモリカード、CD−ROM、DVDまたはUSBスティック等のコンピュータ読取り可能記録媒体に格納されてもよい。或いは、または追加的に、コンピュータプログラム製品は、たとえばインターネット等のデータネットワークまたは電話回線もしくは無線リンク等の通信回線を介してコンピューティングデバイスへダウンロードするために備えられてもよい。
【0038】
さらに他の態様によれば、第1の車両に搭載して使用されるように適合され、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するためのデバイスが提供される。本デバイスは、受信機と、プロセッサと、送信機とを備える。受信機は、第2の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を受信するように適合される。プロセッサは、地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するように適合される。送信機は、上記決定の結果に依存してメッセージを第2の車両へ条件付きで送信するように適合される。プロセッサは、上記関連性を定量化できる、上述したような弁別子を受信または決定するように適合されることが可能である。
【0039】
さらに別の態様によれば、第1の車両によって使用されるように適合され、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するためのデバイスが提供され、前記デバイスがプロセッサと送信機と受信機とを備える。プロセッサは、第1の車両の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を決定するように適合される。送信機は、地理的情報を第2の車両へ送信するように適合される。受信機は、地理的情報の送信に応答して第2の車両から目標目的地へ転送するためのメッセージを受信するように適合される。プロセッサはさらに、受信されたメッセージを処理するように適合されてもよい。受信されたメッセージの処理は、少なくとも1つの目標目的地に依存してもよい。
【0040】
さらに別の態様によれば、第1の車両によって使用されるように適合され、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するためのデバイスが提供され、前記デバイスが検出部とプロセッサと送信機とを備える。検出部は、第1の車両によってイベントを検出するように適合される。プロセッサは、イベントの検出に応答してメッセージを生成するように適合され、上記メッセージはイベント情報および目標目的地の少なくとも一方を含む。送信機は、目標目的地へ搬送されるためのメッセージを第2の車両へ送信するように適合される。
【0041】
以下、本明細書に記載の任意のデバイスと組み合わせることができる追加的な特徴を示す。
【0042】
各デバイスはさらに、メッセージに関する情報をシグナリングするように適合されるシグナリング部を備えてもよい。情報を第1の車両の外側へシグナリングするために、シグナリング部は、警告灯またはクラクション等の車両シグナルを適用してもよい。シグナリング部はさらに、第1の車両の内側で情報をシグナリングするように適合されてもよい。またシグナリング部は、シグナリングされた情報を表示するためにディスプレイを備えてもよく、またはディスプレイにアクセスしてもよい。さらに、もしくは代替として、シグナリング部は、情報を音響的にシグナリングするためにスピーカまたはオーディオシステムを備えてもよく、もしくはこれらにアクセスしてもよい。後者の場合、シグナリング部は、受信されるメッセージに関連づけられる音声信号を生成する電子音声合成部も備えてもよい。
【0043】
各デバイスはさらに、衛星ナビゲーションシステム等の電子ナビゲーションシステムを備えてもよく、もしくは上記電子ナビゲーションシステムへのアクセスを有してもよい。プロセッサは、ナビゲーションシステムの処理部を形成してもよく、またはナビゲーションシステムの結果を処理するように適合されてもよい。ナビゲーションシステムのこのような結果は、電子ナビゲーションシステムによって推定されたルートまたは道路距離または時間期間を包含してもよい。また、このような結果を処理して上記関係性の決定の際に前述の弁別子を計算するようにプロセッサを適合することも有益である。またプロセッサは、イベントに関するイベント情報をメッセージへ包含するように適合されてもよい。プロセッサはさらに、少なくとも1つの目標目的地をイベント情報または地理的情報に依存して選択するように適合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
さらなる詳細、態様および利点について、図面を参照して説明する。
【図1】2台の車両のルートと、イベントを通過する前の2台の車両の位置とを概略的に示している。
【図2】2台の車両のうちの一方がイベントを通過した時の図1のその後の状況を示す。
【図3】双方の車両による相互通信範囲内への進入に伴う地理的情報の送信および受信を示す。
【図4】メッセージの受信および送信を概略的に示している。
【図5】メッセージが2台の車両のうちのもう一方の車両によってホストされていることを略示している。
【図6】メッセージが目標目的地へ送信されていることを概略的に示している。
【図7】メッセージを転送するために車両に搭載されたデバイス実施形態のモジュールを概略的に示している。
【図8A】メッセージを送信するために実行される方法の実施形態のステップを示す。
【図8B】メッセージを送信するために実行される方法の実施形態のステップを示す。
【図9】メッセージを受信するための補完的方法の実施形態のステップを示す。
【図10】さらなる方法の実施形態のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明では、本発明の理解を深めるために、少なくとも1つの目標目的地へメッセージを転送するための個々のステップ等の特定の詳細について、限定としてではなく、説明することを目的として述べる。当業者には、本発明がこれらの特定の態様から逸脱する他の実施形態において実施されてもよいことが明らかである。
【0046】
当業者は、以下、本願明細書において説明される機能が、個々のハードウェア回路を使用して、プログラムされたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータと共同で機能するソフトウェアを使用して、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、かつ/または1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して実施されてもよいことを理解する。また、本発明は、コンピュータプロセッサおよび上記プロセッサへ結合されるメモリにおいて具現化される場合、上記メモリが上記プロセッサによって実行されると、本願明細書に記載されている方法のステップを実行する1つ以上のプログラムで符号化されることも理解される。
【0047】
以下の実施形態において、少なくとも1つの目標目的地へのメッセージの効率的な転送が、車両間の通信を用いて促進される。効率は、ナビゲーションシステムによって提供され得る地理的情報によって生じる。ナビゲーションシステムは内蔵型車載システムであっても、一部が車両に搭載されて位置決めされかつ一部が1つ以上のリモートサイトに位置決めされる分散システムであってもよく、個々のシステムパーツは(たとえば、セル通信方法を使用して)互いに通信し合うように構成されている。
【0048】
図1から図6は、第1の車両10および第2の車両12のルートおよび地理的位置を時間順に示している。車両10および車両12の各々には、図7に概略的に示されているように、無線ネットワークモジュール14と、電子ナビゲーションシステム16と、プロセッサ50と、プロセッサ50へアクセス可能なメモリモジュール52とが装備されている。電子ナビゲーションシステムは、衛星を利用することが可能である。この目的を達成するために、衛星から全地球測位システム(GPS)またはガリレオ・ナビゲーション・システムの信号が受信される。十分な数の衛星と通信できない場合、または他の場合において、電子ナビゲーションシステムは車両の位置を移動体ネットワーク内で位置決めしてもよい。この目的を達成するために、移動体通信ネットワークが最も高頻度で適用される(たとえば、既知の基地局の信号強度を比較できる)。
【0049】
或いは、位置は(たとえば、移動体通信サービスのプロバイダから)直接要求される。位置決め精度を高める目的で、または外部位置信号がない場合、ナビゲーションシステムは車載センサ(たとえば、ステアリングセンサおよび、速度および加速用センサ)を使用して車両の現在位置を追跡してもよい。さらに、任意の同等の方法を適用して、位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つを評価することもできる。
【0050】
第1の車両10および第2の車両12の目的地は、対応するナビゲーションシステム16内に格納され、図1において、それぞれロケーション18およびロケーション20として識別されている。第1の車両のルート22はその目的地18へ導き、かつ車両12のルート24はその目的地20へ導く。ルート22およびルート24はナビゲーションシステム16によって計算され、かつ/または車両10および車両12の車内に格納される。
【0051】
図1に示す状況においては、第1の車両10のルート22に沿った路側でイベント26が発生している。イベント26は、たとえば、車両10のルート22の反対車線を阻む事故である。
【0052】
図1のマップはさらに、2つの路側目標目的地28および30も示し、少なくともその一方はイベントの発生について通知されるべき警察署である。目標目的地28は車両10のルート22の路側に位置決めされ、目標目的地30は車両12のルート24の分岐点に位置決めされる。目標目的地28と目標目的地30との各々に対応するルート22とルート24との間の最短距離は、車両10および車両12内に設置された無線ネットワークモジュール14の通信範囲内に入るに足る長さである。
【0053】
第1の車両10がイベント26を通過しながら、イベント26は、図7に概略的に示されている検出部32によって検出される。検出部32は、センサ部44、即ちセンサ部44へ接続される1つまたは複数のセンサからデータを受信する。このような自動検出に加えて、またはその代替として、車両の乗員は運転支援システム42のユーザインタフェースを介して情報を入力することができる。ユーザインタフェースの安価な実施形態は、スイッチまたはキーボードであってもよい。本実施形態において、運転支援システム42のシグナリング部38は、ユーザインタフェースの機能を設けるタッチスクリーンを備える。進歩的な実施形態では、車両の乗員へ非接触入力を提供するためにマイクロホンおよび音声認識装置が付加的に設置される。
【0054】
図1から図6に示す外的なイベント26の他に、車両でのイベントのタイプには、スリップ防止制御システムのセンサにより検出される「滑りやすい路面」、カメラまたは前方霧灯/後方霧灯のスイッチが入っているという事実から検出される「濃霧」、加速度センサ、エアバッグセンサ、カメラまたはユーザインタフェースを介する入力により検出される「自動車事故」、第1の車両10の盗難警報装置により検出される「自動車窃盗進行中」、および加速度センサ、エアバッグセンサまたはユーザインタフェースを介する入力により検出される「医療緊急事態」といったタイプが含まれる。
【0055】
図8Aおよび図8Bのフローチャート800は、車両10に搭載されたプロセッサ50により実行されるステップの方法の実施形態を示し、図9のフローチャート900は、車両12に搭載されたプロセッサ50により実行可能な方法の実施形態の補完的なまたは組合せ可能なステップを示す。
【0056】
イベント26の検出810に引き起こされて、検出されたイベント26に証拠値(an evidence value)が割り当てられる。証拠値は、検出810において適用されたセンサの信頼度、ならびに受信信号の品質および重要性を表わす。
【0057】
図8のステップ812によるメッセージ34は、証拠値がメッセージ閾値を超える場合に限って生成される。これにより、第1の車両10での「偽のイベント」を効率的に排除することができる。図2に示されているように、メッセージ34は既に生成されていて、この時点で車両10によってホストされている。メッセージ34は、図7に示される検出部32から受信されたデータに基づくイベント情報を含んでいる。第1の車両10がイベント26を通過しながら、検出部32からイベント26に関するさらなるデータが受信される。このような連続するイベントに割り当てられる証拠値は、蓄積されていく。メッセージは、蓄積された証拠値が転送閾値を超える場合に限って、転送可能とされている。これにより、「誤ったメッセージ」の転送を効率的に回避することができる。図2に示す時点では、メッセージ34は既に転送するに足る証拠値を蓄積し、かつ第1の車両10の移動によって増大している。
【0058】
第1の車両10は、車両10がイベント26に近接する予め画定された範囲内に存在する限り、イベント領域内に存在している車両へ通知するためのその通信領域内の任意の第2の車両12へメッセージ34を送信する。この機能を実現する1つの方法は、同報通信モード(a broadcasting mode)である。第1の車両10は、イベント26に近接する予め画定された範囲内に存在する限りにおいて、同報通信モードに切り換える。同報通信モードにおいて、メッセージ34は、第1の車両10によって、通信範囲内に存在する任意の第2の車両12へ同報通信される。この機能は、たとえば、イベント26の対向交通に対して、対向交通がイベント26に遭遇する前に警告してもよい。
【0059】
車両10によりメッセージ34が伝送されながら、ステップ814では、車両10の(車載ナビゲーションシステム16により計算された)既知のルート22に基づいて目標目的地28が選択される。この選択のために、目標目的地28および目標目的地30として可能性のあるロケーションを含む電子地図が調べられる。イベントに依存して、メッセージが唯一の適切な目標目的地を有する可能性もあり、この場合、目標目的地28および目標目的地30を選択するステップは省略される。このような場合、車両10は、適切な目標目的地へ効果的にメッセージを伝送できる車両12を見つけることを目指す。
【0060】
しばらくすると、状況は図3に示すようになる。第2の車両12は、この時点で車両10の通信範囲内に存在する。第2の車両12の現在位置、目的地20およびルート24のうちの少なくとも1つに関する地理的情報が、車両12から車両10へ自動的に、または車両10から明確な要求があった時点の何れかで伝達される。このステップ816は、図8のフローチャート800にも示されている。
【0061】
ステップ818は、第2の車両12のルート24が受信された地理的情報にも含まれているかどうかを分析する。目的地20しか受信されていなければ、ステップ820において、車両10の車載ナビゲーションシステム16により車両12の目的地20に基づいて、車両12のルート24が計算される。
【0062】
イベント情報がイベント26のタイプを含んでいる場合、ターゲット選択822は、このタイプのイベントに関連づけられる既知の目標目的地のセットからターゲットとして可能性のあるものを検索してもよい。たとえば、事故の事例において、この選択は、警察署の位置を含む電子地図に基づくものであってもよい。イベント情報に関する依存事項としては、他にも複数の可能性がある。
【0063】
一般に、選択822は、イベント情報および地理的情報の双方に依存してもよい。少なくとも1つの目標目的地の選択は、イベントのタイプに基づくことが可能であり、たとえば機器の不良の場合には、サービスステーションが選択されてもよい。同時に、この目標目的地は、第2の車両12の第2のルートの近傍に位置決めされるように選ばれてもよい。本事例の場合、ステップ822では、第2の車両12に関するルート24およびイベント26のタイプに基づいて、目標目的地30がメッセージ34の潜在的なキャリア(a potential carrier)として選択される。
【0064】
次のステップ824は、一般に、地理的情報、メッセージ34、目標目的地28および目標目的地30のうちの少なくとも2つの間の関係性を決定する。
【0065】
ステップ826のグループは、イベント26に関する追加的警告が車両12へ送信されるべきかどうかを分析する。この目的を達成するために、ステップ828は、車両12のルート24がイベント26へ接近しているかどうかを分析する。接近していなければ、次のステップ830は、車両12の現在位置がイベント26の領域内であるかどうかを分析する。ここで、イベント26の領域は、イベント26によって影響される道路の図3におけるトンネル(the segment)36を包含する。この点もやはり該当しないことから、車両10は車両12へ警告を送信しない。
【0066】
次のステップは、転送遅延の観点から、第1の車両10から第2の車両12へメッセージ34を転送することが実際に効果的であるかどうかを分析する。最初の単純な分析は、目標目的地30に接近している第2の車両12のルート24について検査するステップ832として示されている。ステップ832による分析の肯定的な結果は、第2の車両12へメッセージを転送することの利点を示してもよい。
【0067】
本実施形態は、ステップ834のグループによるさらに高度な分析を適用する。ステップ836では、車両10に搭載されたナビゲーションシステムによって第1の車両10に関する第1の弁別子が推定される。この実施形態において、第1の弁別子は、ルート22を辿る車両10が目標目的地28へ到達するまでの時間を示す。第2の弁別子は、ルート24を辿る第2の車両12が目標目的地30へ到達する時間によって規定される。ステップ838は、第2の弁別子が車両12から受信されているかどうか、または受信されるべきかどうかを分析する。第2の弁別子の受信は、たとえば、第1の車両10に搭載されているナビゲーションシステムが第2の車両12のルート24を計算できなかった場合に必要である場合がある。このような状況では、車両10は、車両12から第2の弁別子を受信するための要求を任意選択として目標目的地30に関する情報と共に車両12へ送信することができる。
【0068】
本実施形態では、第2の車両12のルート24は既知であるため、ステップ840において第2の弁別子は第1の車両10で推定される。
【0069】
ある代替実施形態によれば、第2の弁別子は、第2の車両12が少なくとも1つの目標目的地へ接近しているかどうか、またはどのような状況で接近しているかを定量化する。目標目的地が2つ以上存在する場合、第2の弁別子は、目標目的地毎に入口(entries)を有するリストを包含してもよい。第2の弁別子はさらに、目標目的地の重要性または適切性を定量化するために重み付け係数を含んでもよい。
【0070】
次のステップ842は、第1の弁別子と第2の弁別子とを比較する。本事例において、ステップ842による比較の結果は、車両12がその目標目的地30へ到達する時間の方が、車両10がその目標目的地28へ到達する時間よりも短いことを示している。この結果に基づいて、ステップ850では、図4に概略的に示されているように、第1の車両10から第2の車両12へメッセージ34が送信される。
【0071】
一般に、関係性の決定に際しては、第1の車両10と比較して、第2の車両12の方がメッセージ34の輸送に適しているかどうかが考慮される。したがって、メッセージ34が、メッセージをその固有の移動によって、通常少なくとも1つの目標目的地28と目標目的地30に従って進行する車両によってホストされる、という利点がある。これにより、本発明は、メッセージ34を配信する上でその通信ノードが移動しているという事実を利点に変える。
【0072】
さらに、メッセージ34を、その固有の移動によってメッセージ34を進行する車両においてホストすることは、通信範囲内に適切な第2の車両12が存在しない、または、全くない場合でもメッセージ34の伝搬を可能にする。したがって、本発明が車両10と車両12の可変密度に対して極めてロバストであるという利点がある。
【0073】
弁別子の比較結果が第2の車両12に利するものでなかったとしても、メッセージ34を第2の車両12へ転送する他の理由は、たとえばその通信機器の観点から存在する可能性がある。これは、ステップ842における弁別子の比較結果が否であれば、ステップ842に続く可能性もあるステップ844に示されている。この場合、ステップ846は、機器情報を第2の車両12から、恐らくは要求された時点で受信可能かどうかを分析する。
【0074】
機器情報が与えられると、ステップ848は、第2の車両12へメッセージ34を転送すること、および車両12の通信機器を使用することが効果的であるかどうかを分析する。一例として、第2の車両12に搭載された携帯電話にアクセスできれば、ステップ848の結果は是であることが可能である。
【0075】
メッセージ34を送信するステップ850では、上述の(蓄積された)証拠値をメッセージ34に包含することができる。従って、たとえば、さらなる証拠値がメッセージ34へ割り当てられ、かつメッセージ34によって第2の車両12内に蓄積されることが可能である。
【0076】
ステップ832、ステップ834またはステップ844のグループのうちの1つによる肯定的な結果に基づいて、ステップ850において、第2の車両12へメッセージが送信される場合は常に、メッセージは第2の車両12へ渡される。すなわち、これまでメッセージ34をホストしていた車両10は、ステップ826のグループに従って近づきつつある交通に警告を続けるが、もはや別の車両へメッセージを送信せず、他の車両に目標目的地の1つへメッセージを転送するように指令する。これにより、メッセージ34の転送におけるアバランシェ効果が回避される。
【0077】
冗長メッセージを回避するために、メッセージ34の送信として、メッセージ34に割り当てられたタイマT34が始動される。第1の車両10は、所定の待ち時間の経過後であるしばらく後に、即ち、T34>TLATENCYであれば、類似のメッセージ34’を送信する。たとえば、領域36内に「濃霧」タイプの自然イベント26が検出されれば、待ち時間TLATENCYは領域36内で霧が晴れる最短推定時間に設定される。T34<TLATENCYである限り、類似のメッセージ34’は、たとえば、その検出場所がメッセージ34によってすでに報告されているイベント26の領域36の外側であれば送信される。これは、イベントの程度を更新することを効果的に可能にする。メッセージ34’を生成すべきかどうかの決定は、(利用可能であれば)メッセージ34に割り当てられる(蓄積された)証拠値および現行メッセージ34’の(蓄積された)証拠値にも依存してもよい。たとえば、待ち時間TLATENCYは、このような証拠値の関数として計算されることが可能である。
【0078】
メッセージ34は第2の車両12へ送信され、メッセージ34をメッセージ34内にターゲット情報として含まれる1つ以上の特定の目標目的地30へ転送することが第2の車両12に指令されることも可能であるが、1つ以上の他の目標目的地28へメッセージ34を転送することは引き続き第1の車両10の仕事(a task)である。これにより、目標目的地28、30のセットへメッセージ34を転送する仕事は、2つ以上の車両10、車両12間で分けられてもよい。ターゲット情報は、明確な目標目的地の代わりに、または追加的に、一般に可能な目的地を特定する目標目的地のタイプを含むことが可能である。このタイプの目標目的地は、メッセージ転送における第2の車両の適応性(flexibility)を効果的に増大させる。
【0079】
本実施形態では、図5に示すように、第2の車両12がメッセージ34を独占的に引き受ける。この時点では、メッセージ34は第2の車両12の移動によって前進する。
【0080】
メッセージ34を第1の車両10から第2の車両12へ転送するためのアナログ的方法を、メッセージ34の起源からは独立して適用できることが理解される。たとえば、検出されたイベント26の結果としてメッセージ34を生成する代わりに、図8のフローチャート800のステップ808により、車両12が車両10からメッセージを受信するのと同様の方法で、またはそれ以外の方法で、車両10がメッセージ34を受信することも可能である。
【0081】
ここで、車両12の視点から、図9に示すようなフローチャート900による補完的方法の実施形態を説明する。
【0082】
補完的方法の実施形態は、ステップ910において地理的情報を決定することによって始まる。これは、車両12の通信範囲内に進入した別の車両10が要求した時点で実行される。図3は、この場合の可能な状況を示す。図3はまた、車両12から車両10へ地理的情報を送信する次のステップ912も示している。
【0083】
車両10が、目標目的地30へ到着するためにルート24を辿っている車両12に関する弁別子も要求するという可能性もある。その場合は、車両12に搭載されたナビゲーションシステム16が電子地図に基づいて、たとえば目標目的地30までの道路距離を計算することにより弁別子を推定する。結果として得られる弁別子は、たとえば、後の異なる弁別子の比較におけるその再計算を回避するために格納される。弁別子は、ステップ914により、車両12から車両10へ送信される。
【0084】
さらに、車両10が車両12の機器に関する情報を要求することも可能である。データのセキュリティ問題を考慮する場合があり、かつ車両10に承認の証明を送信するように要求する場合がある予め規定された設定に依存して、車両12は、ステップ916により要求された機器情報を送信する。
【0085】
図4に示すように、ステップ918においてメッセージは車両10から受信され、ステップ920において車両12に対するその関連性が分析される。分析920の結果が、たとえば受信されたメッセージが警告であるゆえに肯定であれば、ステップ922において、メッセージ34に含まれる情報が車両12内でシグナリングされる。シグナリングを行うためには、図7に示すシグナリング部38が適用される。警告のシグナリングは、車両12の外側でも行うことが重要である場合が多い。この目的を達成するために、シグナリング部38は、車両12の警告灯を直接制御する。この利点を示す一例は、高速道路前方における交通渋滞に対して警告するメッセージの受信によって与えられる。車両12の警告灯は、次には後続車両の注意を喚起し、よって追突の危険性が低減される。
【0086】
ステップ920の結果に関わらず、ステップ924は、少なくとも1つの目標目的地を含む特定のターゲット情報をメッセージが含んでいるかどうかを分析する。明確な目標目的地の代わりに、または追加的に、目標目的地は、あるタイプの目標目的地、即ち予め規定された、または共通識別子(たとえば、「半径20km以内に病院」)を含むことが可能である。明確な目標目的地が含まれていなければ、ステップ926は少なくとも1つの目標目的地を選択する。少なくとも1つの目標目的地は、ルート24沿いに、(受信されていれば)目標目的地のタイプまたは受信されたメッセージ34に割り当てられている、またはメッセージ34のイベント情報に含まれているイベントタイプに依存して選択される。一般に、イベント26に関連するメッセージ34を転送するための少なくとも1つの目標目的地の選択は、イベント情報に依存する。
【0087】
受信されるメッセージはさらに、ステップ928において、車両12が入手可能な追加の情報によって増やされてもよい。追加の情報は、メッセージ34のタイプによって、または選択される目標目的地30に依存して選ばれてもよい。たとえば、追加の情報には、タイムスタンプ、交通渋滞に関する情報または車両12のセンサ情報が含まれてもよい。センサ情報として可能性のあるものは、交通渋滞の存在を示す可能性がある車両12の平均速度が含まれてもよい。
【0088】
メッセージ34が交通渋滞の中にいる車両内に閉じこめられない(does not get trapped)ことを確実にするために、少なくとも1つの目標目的地を選択するステップ926は、その時点の交通状況に関する最新情報を包含すべく反復されてもよい。従って、目標目的地は、たとえば交通渋滞におけるさらに前方の車両、または渋滞した道路を抜けていく車両に対して調節されることが可能である。
【0089】
ステップ930は、共通する内容(common content)または少なくとも1つの共通する目標目的地を有するメッセージが車両12に存在するかどうかを分析する。存在していれば、ステップ932において、冗長な情報または等しい目標目的地を有するメッセージ同士が合併される。共通する目標目的地に対するステップ932の実装は、1つを除く全てのメッセージヘッダ(共通の目標目的地を含む)を削除して、メッセージの内容を連結する。共通する内容に対するステップ932の別の実装は、メッセージ34内のデータ記録へ予め規定されたカテゴリを割り当てるか、予め規定されたカテゴリに従ってメッセージ34内のデータ記録をソートする。これに続いて、予め規定された各カテゴリ内の冗長なデータ記録が削除される。
【0090】
図5に概略的に示されている場合では、車両12はメッセージ34をホストし、他のメッセージはホストしていない。従って、ステップ930は、ステップ934に引き継がれ、図6に示すようにメッセージ34が目標目的地30へ送信される。これにより、メッセージ34は、その目標目的地のうちの少なくとも1つへ到達している。
【0091】
メッセージ34を少なくとも1つの目標目的地30へ送信するステップ934は、目標目的地30へある程度近接して到達することによって引き起こされてもよい。このステップ934はまた、規定値に達する、または予め規定された限界値を超える弁別子によって引き起こされてもよい。さらに、もしくは代替として、ステップ934は、少なくとも1つの目標目的地30との通信接続のロバスト性を検査することによって引き起こされてもよい。
【0092】
たとえば車両10が動けない状態の事故であるイベントに車両10が関与している場合、メッセージ34の転送は、さらなる方法実施形態を示されている図10のフローチャート1000に示すように追跡される。この方法実施形態は、図8A、図8Bおよび図9の内容において、上記で説明した方法実施形態との組み合わせで、またはその代替として実行されてもよい。
【0093】
第1のステップ1010において(第1の車両10で)イベントを検出した後、ステップ1020において、メッセージ34に転送情報が包含される。転送情報は、イベントのタイプ、または対応する目標目的地を第2の車両が選択できるようにする目標目的地のタイプを含む。選択するステップが第1の車両10の性能(the capability)の範囲内である場合、転送情報は即時、第1の車両10によって選択された少なくとも1つの目標目的地28、目標目的地30を含む。
【0094】
ステップ1030において、第1の車両10はメッセージを同報通信するため、車両10の通信範囲に進入する任意の第2の車両12はメッセージを受信する。受信側の第2の車両12は、任意選択として、メッセージ34を転送することを引き受けるか拒絶するかを決定する。この決定は、転送情報に基づく。この目的を達成するために、受信側の第2の車両12は、そのルートが少なくとも1つの目標目的地28、目標目的地30に一致するかどうかを分析する。分析は、上記で説明したような弁別子によって定量化されてもよい。ルートが一致しなければ、車両12は(拒絶を送信することにより任意選択として)メッセージを取り消す。メッセージが車両12へ正式に転送された後に、分析が否定的である場合、メッセージは車両10へ戻される。第2の車両12によって送信される拒絶は、部分的な拒絶である可能性もある。すなわち、目標目的地の幾つかの転送は、肯定応答されるが、他の幾つかの目的地は拒絶される。第1の車両10は、拒絶を受信するたびにメッセージの送信を続ける。当業者には、肯定応答された目標目的地を少なくとも1つの目標目的地のリストから削除することにより、メッセージのアバランシェ効果が回避されることが容易に理解される。本方法実施形態のこの特徴は、効果的には、上記に示した転送方法の任意の変形を事故に関与する車両へと拡大することを可能にする。
【0095】
さらに、メッセージ34自体の観点から見ることも教示的である。上記で説明した方法の結果として、メッセージ34は、ホスト車両の地理的情報に依存して、ホスト車両における「仮想ヒッチハイカ(virtual hitchhiker)」のように行動する。地理的情報は、現在位置、ホスト車両の目的地およびホスト車両のルートのうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
これまでに述べた任意の実施形態と組み合わされてもよいコンピュータプログラム製品の実施形態によれば、前述のステップのうちの少なくとも幾つかは、図7に示す輸送エージェントモジュール(a transport agent module)40において、たとえば輸送エージェントモジュールライブラリ(a transport agent module library)41と称されるスタンドアロンライブラリ(a stand−alone library)として実装される。ある特定例として、メッセージは汎用オブジェクト(a general object)としてオブジェクト指向式(an object−orientated way)に実装されることが可能である。以後、汎用オブジェクトを「輸送エージェント」と称する。メッセージ34は、輸送エージェントに関連づけられるデータメンバ(a data member)であり、かつ上述の方法の少なくとも一部は輸送エージェントの方法として包含される。
【0097】
図7に示すように、輸送エージェントモジュール40は輸送エージェントモジュールライブラリ41を用いて輸送エージェントを実行し、かつ、ホスト車両に搭載されたナビゲーションシステム16へのアクセスを有する。輸送エージェントは、ホスト車両の無線ネットワークインタフェース14等の無線通信技術によって通信することができる。輸送エージェントモジュール40はさらに、輸送エージェントが運転支援システム42と情報を交換できるようにする。運転支援システム42は、検出部32と、シグナリング部38と、センサ部(44)とを備えてもよい。
【0098】
輸送エージェントモジュール40または輸送エージェントモジュールライブラリ41は、無線ネットワークインタフェース14を用いることによって、たとえば運転支援システム42であるより高レベルのアプリケーションのメッセージを車両のアドホックネットワーク内でルートを割り当てる(routing)ための機能を提供することができる。これにより、本方法は、通信の中心として定置のゲートウェイを構成することなく、通信ネットワークを構成できるようにする。このような定置のインフラストラクチャが不要であるために、サービスコストは比較的低い。さらに、高台の場所に位置決めされる定置のアンテナシステムは、環境または景観を妨げるものとされる場合が多いが、これも本方法によって回避することができる。
【0099】
輸送エージェントは、メッセージ34または輸送エージェント自体がその目標目的地28、目標目的地30のうちの1つ以上に到達するルートをナビゲーションシステム16へアクセスすることによって計算してもよい。輸送エージェントはさらに、計算されたルートとホスト車両のルート22またはホスト車両のルート24との関係性を決定してもよい。
【0100】
無線ネットワークインタフェース14を用いて、輸送エージェントは、1つ以上の他の車両から地理的情報を受信するように適合される。輸送エージェントは、1つ以上の他の車両の各々に弁別子を割り当てることができる。上記で説明してきたように、弁別子は1つ以上の他の車両のルートがメッセージ34または輸送エージェントの計算されたルートにより良く適合するかどうかを定量化してもよい。具体的には、弁別子は、受信された地理的情報が、同じルートであるが、より高速の移動速度を示しているかどうかを定量化してもよい。さらに、同じルートおよび同じ移動速度の場合では、弁別子は1つ以上の他の車両の位置にアクセスしてもよい。後者の評価は、たとえば、ホスト車両が交通渋滞で動けなければ、輸送エージェントにとって重大である。この状況下では、輸送エージェントは、無線ネットワークインタフェース14を用いてその現行のホスト車両を繰り返し変更することによって前進することを決定することができる。これにより、輸送エージェントは、混雑の激しい道路状態下でホスト車両を繰り返し変更するという方策を効果的に遂行し、かつ通信リンクがまれであれば、ホスト車両の移動によって前進するという方策を遂行することができる。
【0101】
輸送エージェントはさらに、輸送エージェントモジュール40によってホストされている他の輸送エージェントと相互作用してもよい。相互作用は、少なくとも1つの共通する目標目的地を有する輸送エージェントまたはメッセージ34のマージ932を含むことが可能である。
【0102】
新しい輸送エージェントまたはメッセージ34は、図2に示すように、検出部32によって検出されるイベント26の結果として、輸送エージェントモジュール40により生成される。輸送エージェントのメッセージ34は、センサ部44から受信されるデータによって増やされてもよい。
【0103】
メッセージのルートを割り当てるその機能に加えて、輸送エージェントモジュール40は、シグナリング部38を用いてホスト車両内部で輸送エージェントまたはそのメッセージ34の情報をシグナリングする。
【0104】
輸送エージェントモジュールは、プロセッサ50と、プロセッサ50がアクセスできるメモリ52と、メモリ52内に格納される輸送エージェントモジュールライブラリ41とを備えるデバイス40としても実装されることが可能である。輸送エージェント40は、輸送エージェントまたはそのメッセージ34を少なくとも1つの目標目的地へ転送するための上記ステップのうちの任意の1つを実行するように適合される。デバイス40は、受信機および送信機の機能を提供する無線ネットワークインタフェース/モジュール14とデータを交換することができる。
【0105】
プロセッサ50はさらに、少なくとも1つの目標目的地に接近する1つ以上の他の車両のルートに関する関係性を決定するように適合される。車両12のルートがまだ知られていない場合、プロセッサ50はさらに、電子地図を用いて車両12のルートを計算するように適合されてもよい。計算は、受信された地理的情報に基づくものであってもよい。関係性の決定において、プロセッサ50は、車両12のルートと少なくとも1つの目標目的地との間の最短距離を計算するように適合されてもよい。最短距離は、メッセージ34の送信を決定するために、プロセッサ50によって送信機54の最大範囲と比較されることが可能である。
【0106】
上述の実施形態から明らかとなっているように、本明細書に記載の方法は様々な利点を提供する。まず第1に、これらの方法は、電子ナビゲーションシステムおよび無線通信デバイス等の既存かつ広く普及しているテクノロジを用いて実装されることが可能である。所定の状況においては、本明細書に記載の方法は、指定した通信ネットワークが遠方である場合、および定置の通信インフラストラクチャへのローカルアクセスが利用不可である場合に、メッセージが目標目的地へ届く唯一効率的な方法であることがある。さらに、所望される目標目的地への通信接続が存在しない場合でも、メッセージは、より長い時間に渡って保存されることが可能である。具体的には、利用可能な通信リソースの過負荷の防止または少なくとも低減が可能である(任意選択として、範囲が定められた危険地帯の場合の同報通信モードは例外である)。
【0107】
本明細書に示している方法は、移動体通信ノードが(少なくとも部分的に)既知のルート上を、かつ/または(少なくとも部分的に)既知の目的地へと移動する、という事実を活用する。さらに、これらの方法は、通信ノード(車両)がそれらの目的地へと移動する間に実行できるメッセージマージ機能およびメッセージ送達機能を提供する。
【0108】
以上、特有の個々の実施形態を示し、説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更、変形および置換が行われてもよい。このような変形、変更および置換は全て、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の車両(12)の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を受信するステップと、
前記地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するステップと、
前記決定の結果に依存して、前記第2の車両(12)へメッセージを条件付きで送信するステップとを含み、
前記ステップが第1の車両(10)によって実行され、前記メッセージを少なくとも1つの前記目標目的地へ転送する方法。
【請求項2】
前記メッセージが、イベントに関するイベント情報を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の車両で、または前記第1の車両付近で前記イベントを検出するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メッセージを生成するステップをさらに含み、
前記メッセージの生成が前記イベントの前記検出によって引き起こされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記イベント情報が、前記イベントの時刻、場所およびタイプのうちの少なくとも1つを備える、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記イベントが、交通事故、交通遅延および交通障害のうちの少なくとも1つに関連する、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記目標目的地を選択するステップをさらに含み、前記目標目的地の選択が、前記イベント情報および前記地理的情報の少なくとも一方に依存する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記関係性を決定するステップは、前記第2の車両の前記位置、前記ルートおよび前記目的地のうちの少なくとも1つが、前記イベントの領域に遭遇するかどうかを評価するステップを含む、請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記関係性を決定するステップは、前記第2の車両の前記位置が、前記第1の車両よりも少なくとも1つの前記目標目的地に近いまたは近づくかどうか、あるいは、前記第2の車両の前記ルートが、少なくとも1つの前記目標目的地に接近しているかどうかを評価するステップを含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記関係性を決定するステップが、少なくとも1つの前記目標目的地に接近している前記第1の車両に関する第1の弁別子および少なくとも1つの前記目標目的地に接近している前記第2の車両に関する第2の弁別子のうちの少なくとも一方を決定するステップを含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の弁別子および前記第2の弁別子の各々が決定され、かつ、前記第1の弁別子と前記第2の弁別子とを比較するステップをさらに含み、
前記メッセージを前記第2の車両へ送信するステップが前記比較の結果に依存する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記弁別子が時間周期または距離測度である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の車両(12)の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を決定するステップと、
前記地理的情報を第2の車両(10)へ送信するステップと、
前記地理的情報の前記送信に応答してメッセージを前記第2の車両(10)から受信するステップとを含み、
前記ステップが前記第1の車両(12)により実行され、少なくとも1つの目標目的地へ前記メッセージを転送する方法。
【請求項14】
前記メッセージが、イベントに関するイベント情報を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イベント情報および前記地理的情報の少なくとも一方に依存して、少なくとも1つの前記目標目的地を選択するステップをさらに含む、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージを少なくとも1つの前記目標目的地へ送信するステップをさらに含む、請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記地理的情報に基づいて、車両のルートまたはメッセージのルートを計算するステップをさらに含む、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
受信される前記メッセージに関する情報をシグナリングするステップをさらに含む、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
冗長なメッセージまたは少なくとも1つの共通する目標目的地を有するメッセージをマージするステップをさらに含む、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1の車両(10)によってイベントを検出するステップと、
メッセージが、イベント情報および目標目的地の少なくとも一方を含み、前記イベントの検出に応答して前記メッセージを生成するステップと、
前記目標目的地へ送信されるように前記メッセージを第2の車両(12)へ送信するステップとを含み、
前記ステップが前記第1の車両(10)により実行され、少なくとも1つの前記目標目的地へメッセージを転送する方法。
【請求項21】
送信および/または受信用に無線通信が適用される、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されると請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の前記方法を実行するためのプログラムコード部を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
コンピュータ読取り可能記録媒体上に格納される、請求項22に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
第2の車両(12)の位置、ルート(24)および目的地(20)のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を受信するように適合される受信機(54)と、
前記地理的情報と少なくとも1つの目標目的地(28、30)との関係性を決定するように適合されるプロセッサ(50)と、
前記決定の結果に依存してメッセージ(34)を前記第2の車両(12)へ条件付きで送信するように適合される送信機(54)とを備え、
少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)へ前記メッセージ(34)を転送するために第1の車両(10)に搭載して使用されるように適合されるデバイス(40、46、48)。
【請求項25】
前記プロセッサ(50)が、少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)に接近している前記第1の車両および前記第2の車両(10、12)に関する弁別子を決定または比較するようにさらに適合される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
第1の車両(12)の位置、ルート(24)および目的地(20)のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を決定するように適合されるプロセッサ(50)と、
前記地理的情報を第2の車両(10)へ送信するように適合される送信機(54)と、
前記地理的情報の前記送信に応答して前記第2の車両(10)からメッセージ(34)を受信するように適合される受信機(54)とを備え、
少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)へ前記メッセージ(34)を転送するために前記第1の車両(12)に搭載して使用されるように適合されるデバイス(40、46、48)。
【請求項27】
第1の車両(10)によってイベントを検出するように適合される検出部(32)と、
前記イベントの検出に応答してメッセージ(34)を生成するように適合され、前記メッセージ(34)がイベント情報および目標目的地の少なくとも一方を備えるプロセッサ(50)と、
前記目標目的地へ輸送されるように前記メッセージを第2の車両(12)へ送信すべく適合される送信機(54)とを備え、
少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)へ前記メッセージ(34)を転送するために前記第1の車両(10)に搭載して使用されるように適合されるデバイス(40、46、48)。
【請求項28】
前記メッセージ(34)に関する情報を知らせるように適合されるシグナリング部(44)をさらに備える、請求項24から請求項27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項1】
第2の車両(12)の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を受信するステップと、
前記地理的情報と少なくとも1つの目標目的地との関係性を決定するステップと、
前記決定の結果に依存して、前記第2の車両(12)へメッセージを条件付きで送信するステップとを含み、
前記ステップが第1の車両(10)によって実行され、前記メッセージを少なくとも1つの前記目標目的地へ転送する方法。
【請求項2】
前記メッセージが、イベントに関するイベント情報を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の車両で、または前記第1の車両付近で前記イベントを検出するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メッセージを生成するステップをさらに含み、
前記メッセージの生成が前記イベントの前記検出によって引き起こされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記イベント情報が、前記イベントの時刻、場所およびタイプのうちの少なくとも1つを備える、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記イベントが、交通事故、交通遅延および交通障害のうちの少なくとも1つに関連する、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記目標目的地を選択するステップをさらに含み、前記目標目的地の選択が、前記イベント情報および前記地理的情報の少なくとも一方に依存する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記関係性を決定するステップは、前記第2の車両の前記位置、前記ルートおよび前記目的地のうちの少なくとも1つが、前記イベントの領域に遭遇するかどうかを評価するステップを含む、請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記関係性を決定するステップは、前記第2の車両の前記位置が、前記第1の車両よりも少なくとも1つの前記目標目的地に近いまたは近づくかどうか、あるいは、前記第2の車両の前記ルートが、少なくとも1つの前記目標目的地に接近しているかどうかを評価するステップを含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記関係性を決定するステップが、少なくとも1つの前記目標目的地に接近している前記第1の車両に関する第1の弁別子および少なくとも1つの前記目標目的地に接近している前記第2の車両に関する第2の弁別子のうちの少なくとも一方を決定するステップを含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の弁別子および前記第2の弁別子の各々が決定され、かつ、前記第1の弁別子と前記第2の弁別子とを比較するステップをさらに含み、
前記メッセージを前記第2の車両へ送信するステップが前記比較の結果に依存する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記弁別子が時間周期または距離測度である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の車両(12)の位置、ルートおよび目的地のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を決定するステップと、
前記地理的情報を第2の車両(10)へ送信するステップと、
前記地理的情報の前記送信に応答してメッセージを前記第2の車両(10)から受信するステップとを含み、
前記ステップが前記第1の車両(12)により実行され、少なくとも1つの目標目的地へ前記メッセージを転送する方法。
【請求項14】
前記メッセージが、イベントに関するイベント情報を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イベント情報および前記地理的情報の少なくとも一方に依存して、少なくとも1つの前記目標目的地を選択するステップをさらに含む、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージを少なくとも1つの前記目標目的地へ送信するステップをさらに含む、請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記地理的情報に基づいて、車両のルートまたはメッセージのルートを計算するステップをさらに含む、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
受信される前記メッセージに関する情報をシグナリングするステップをさらに含む、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
冗長なメッセージまたは少なくとも1つの共通する目標目的地を有するメッセージをマージするステップをさらに含む、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1の車両(10)によってイベントを検出するステップと、
メッセージが、イベント情報および目標目的地の少なくとも一方を含み、前記イベントの検出に応答して前記メッセージを生成するステップと、
前記目標目的地へ送信されるように前記メッセージを第2の車両(12)へ送信するステップとを含み、
前記ステップが前記第1の車両(10)により実行され、少なくとも1つの前記目標目的地へメッセージを転送する方法。
【請求項21】
送信および/または受信用に無線通信が適用される、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されると請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の前記方法を実行するためのプログラムコード部を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
コンピュータ読取り可能記録媒体上に格納される、請求項22に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
第2の車両(12)の位置、ルート(24)および目的地(20)のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を受信するように適合される受信機(54)と、
前記地理的情報と少なくとも1つの目標目的地(28、30)との関係性を決定するように適合されるプロセッサ(50)と、
前記決定の結果に依存してメッセージ(34)を前記第2の車両(12)へ条件付きで送信するように適合される送信機(54)とを備え、
少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)へ前記メッセージ(34)を転送するために第1の車両(10)に搭載して使用されるように適合されるデバイス(40、46、48)。
【請求項25】
前記プロセッサ(50)が、少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)に接近している前記第1の車両および前記第2の車両(10、12)に関する弁別子を決定または比較するようにさらに適合される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
第1の車両(12)の位置、ルート(24)および目的地(20)のうちの少なくとも1つに関する地理的情報を決定するように適合されるプロセッサ(50)と、
前記地理的情報を第2の車両(10)へ送信するように適合される送信機(54)と、
前記地理的情報の前記送信に応答して前記第2の車両(10)からメッセージ(34)を受信するように適合される受信機(54)とを備え、
少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)へ前記メッセージ(34)を転送するために前記第1の車両(12)に搭載して使用されるように適合されるデバイス(40、46、48)。
【請求項27】
第1の車両(10)によってイベントを検出するように適合される検出部(32)と、
前記イベントの検出に応答してメッセージ(34)を生成するように適合され、前記メッセージ(34)がイベント情報および目標目的地の少なくとも一方を備えるプロセッサ(50)と、
前記目標目的地へ輸送されるように前記メッセージを第2の車両(12)へ送信すべく適合される送信機(54)とを備え、
少なくとも1つの前記目標目的地(28、30)へ前記メッセージ(34)を転送するために前記第1の車両(10)に搭載して使用されるように適合されるデバイス(40、46、48)。
【請求項28】
前記メッセージ(34)に関する情報を知らせるように適合されるシグナリング部(44)をさらに備える、請求項24から請求項27のいずれか一項に記載のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−527474(P2011−527474A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516966(P2011−516966)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005679
【国際公開番号】WO2010/003440
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511007093)エレクトロビット オートモーティブ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005679
【国際公開番号】WO2010/003440
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511007093)エレクトロビット オートモーティブ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】
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