説明

車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造および衝突エネルギー吸収方法

【課題】 衝突荷重の入力時に、その衝突荷重が入力される車体骨格部材自体で理想的な変形モードにコントロールしつつ、効率良く衝突エネルギーを吸収することができる車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造を提供する。
【解決手段】 センターピラー3を断面コ字状のピラーアウタパネル3aとピラーインナパネル3bとによって閉断面に形成し、ピラーアウタパネル3aに、そのピラーアウタパネル3aを長手方向に2回折り返すようにして外層p1、中層p2、内層p3の3重の折り畳み部Pを断面コ字状に形成し、衝突荷重の入力時にその折り畳み部Pを外層p1と内層p3とで中層p2を拘束しつつ伸展変形させることにより、その伸展変形時に外層p1と中層p2との折返し部分L1と、中層p2と内層p3との折返し部分L2とがそれぞれしごき状態で伸展して大きな抵抗力を発揮し、理想的な変形モードにコントロールできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造および衝突エネルギー吸収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の側面衝突に対応させた車体構造としては、センタ−ピラー等のピラー部材の全周を閉断面構造化するとともに、そのピラー部材の下方に積極的に強度不連続部を設け、側面衝突時において同部位で的確に内側に折れ曲がるように変形させることにより、衝突前半においては同不連続部での折れ曲がり変形により衝突時の入力を支持し、同部位で折れ曲がり変形した後は、同不連続部を境にピラー部材の上下部とサイドルーフレールおよびサイドシルとの間に引張り力を発生させることにより、衝突時の入力を支持するようにしたものが知られている。
【0003】
また、ピラー部材の中央部分と上方部分での局部的な折れ曲がりを防止し、ピラー部材を略均一に内側に変位させるとともに、その内側への変形量を比較的少なくするようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−72740号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の車体構造では、ピラー部材を閉断面構造としてその変形モードをコントロールすることで、側面衝突時における衝突エネルギーを車体全体に分散・吸収させることができるが、ピラー部材の変形モードのコントロールはフロア周りの変形を積極的に含めた状態で行われるようになっている。
【0005】
ところが、車両によっては床下に燃料タンクを設置する場合があり、また、ハイブリッドカーや電気自動車などでは床下にバッテリを設置するようになっており、このような車両では側面が電柱に衝突する場合などの局部的な入力に対して、前記燃料タンクやバッテリを保護するためにはフロア周辺を強固にしておく必要がある。
【0006】
このようにフロア周辺を積極的に強固にする場合は、前記従来の変形モードのコントロール方法を適用することができず、ピラー部材に入力される衝突エネルギーの吸収効率が低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明は衝突荷重の入力時に、その衝突荷重が入力される車体骨格部材自体で理想的な変形モードにコントロールしつつ、効率良く衝突エネルギーを吸収することができる車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造および衝突エネルギー吸収方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、車体骨格部材を、衝突荷重の入力側に配置される断面コ字状のアウタ部材と、このアウタ部材の開放側を閉止するインナ部材と、によって閉断面に形成し、前記アウタ部材に、該アウタ部材を長手方向に2回折り返して外層、中層、内層とした3重の折り畳み部をアウタ部材の断面形状に沿って形成し、衝突荷重の入力時に該折り畳み部を外層と内層とで中層を拘束しつつ伸展変形させることを最も主要な特徴とする。
【0009】
また、本発明の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収方法は、閉断面に形成した車体骨格部材の衝突荷重の入力側に配置される断面コ字状のアウタ部材に、該アウタ部材を長手方向に2回折り返して形成した3重の折り畳み部をアウタ部材の断面形状に沿って形成し、衝突荷重の入力時に該折り畳み部の外層と内層とで中層を拘束しつつ伸展変形させて衝突エネルギーを吸収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造および衝突エネルギー吸収方法によれば、車体骨格部材のアウタ部材に衝突荷重が入力されると、該アウタ部材に形成した3重の折り畳み部が、その外層と内層とで中層を拘束しつつ伸展変形するので、この伸展変形時に前記折り畳み部は、外層と中層との折返し部分と、中層と内層との折返し部分とがそれぞれしごき状態で伸展するため、大きな抵抗力を発揮して理想的な変形モードにコントロールできるとともに、効率良く衝突エネルギーを吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1〜図10は本発明にかかる車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造の第1実施形態を示し、図1は車体の骨格構造を示す全体斜視図、図2は車体左側面の骨格構造を示す斜視図、図3は図2中A−A線に沿った拡大断面図、図4はセンターピラー下部結合部分の分解斜視図であり、図5は折り畳み部の形成工程を(a)〜(d)に順を追って示す斜視図、図6は図4中B−B線に沿った拡大断面図である。
【0013】
また、図7は衝突荷重の入力時におけるセンターピラー下部の変形状態を(a),(b)に順を追って示す図2中A−A線に対応した拡大断面図、図8は折り畳み部の伸展変形を(a)〜(c)に順を追って示す斜視図であり、図9はセンターピラーに衝突荷重が入力した際の反力特性を従来と比較して示す説明図、図10は衝突荷重が入力した際のセンターピラーの変形挙動を(a)の従来の場合と(b)の本発明の場合とで示す概略断面図である。
【0014】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は図1に示す車体Bのセンターピラー3に適用され、この車体Bは図2にも示すように、車体上部のルーフ部RFの左右両側に車体前後方向に延在する左,右一対のルーフサイドレール1と、車体下部のフロア部FLの左右両側に車体前後方向に延在する左,右一対のサイドシル2と、これら上下に対向するルーフサイドレール1とサイドシル2とを上下方向に連結する車体骨格部材であるピラー部材としてのセンターピラー3と、を備えている。
【0015】
また、前記ルーフサイドレール1と前記サイドシル2との間には、センターピラー3の車体前方に所定間隔をおいてフロントピラー4が配置されるとともに、センターピラー3の車体後方に所定間隔をおいてリアピラー5が配置され、これらセンターピラー3、フロントピラー4、リアピラー5および上記ルーフサイドレール1、サイドシル2はそれぞれ断面矩形状の閉断面に形成される。
【0016】
更に、図1に示すように前記左右一対のサイドシル2間にはフロアパネル6が敷設され、このフロアパネル6の車幅方向中央部に形成した前後方向に延在するトンネル部7とサイドシル2との間には車幅方向にクロスメンバ8が設けられる。
【0017】
前記センターピラー3は、図2に示すように全体的に車体外方に湾曲しており、その長手方向(上下方向)の略下半部の上下2箇所に所定間隔をおいて、リアドアを開閉自在に取付ける一対の上・下ヒンジ9a,9bが設けられる。
【0018】
ここで、本実施形態では車体骨格部材としての前記センターピラー3がサイドシル2に連結される下部に本発明の衝突エネルギー吸収構造を適用してある。
【0019】
即ち、図3,図4に示すように前記センターピラー3を、側面衝突時に衝突荷重の入力側に配置される断面コ字状のアウタ部材としてのピラーアウタパネル3aと、このピラーアウタパネル3aの開放側を閉止するインナ部材としてのピラーインナパネル3bと、によって閉断面に形成し、ピラーアウタパネル3aの下部に、該ピラーアウタパネル3aを長手方向に2回折り返して外層p1、中層p2、内層p3とした3重の折り畳み部Pをピラーアウタパネル3aの断面形状に沿って断面コ字状に形成し、衝突荷重の入力時に該折り畳み部Pを外層p1と内層p3とで中層p2を拘束しつつ伸展変形させるようにしてある。
【0020】
また、本発明の衝突エネルギー吸収方法では、閉断面に形成した前記センターピラー3の衝突荷重の入力側に配置される断面コ字状のピラーアウタパネル3aに、該ピラーアウタパネル3aを長手方向に2回折り返した3重の折り畳み部Pをピラーアウタパネル3aの断面形状に沿って形成し、衝突荷重の入力時に該折り畳み部Pの外層p1と内層p3とで中層p2を拘束しつつ伸展変形させて衝突エネルギーを吸収するようにしている。
【0021】
一方、前記サイドシル2は、図3に示すようにシルアウタパネル2aとシルインナパネル2bとによって同様に閉断面に形成され、本実施形態では図4に示すようにピラーアウタパネル3aとシルアウタパネル2aとは連続して一体に形成される。
【0022】
前記折り畳み部Pは、図5に示す工程によって形成されており、まず、(a)に示すようにピラーアウタパネル3aを形成する平板状のブランク材Kを所定形状に裁断した後、(b)に示すように折れ線L1を山折りし、折れ線L2を谷折りして折り畳み、(c)に示すようにその折り畳み部分を加圧して外層p1,中層p2,内層p3を密着させることにより折り畳み部Pを形成し、そして、(d)に示すように前記ブランク材Kを折り畳み部Pとともに断面コ字状にプレス成型することによりピラーアウタパネル3aが形成される。
【0023】
また、前記ピラーアウタパネル3aはプレス成型した際に、両側縁部にピラーインナパネル3bと接合するためのフランジ3fを形成するようにしているが、このフランジ3fは、図5(a)に示すようにブランク材Kを裁断する際に予め折り畳み部Pに対応する部分で切除(切除部分E)しておき、図5(d)に示すように折り畳み部Pを形成して最終的に断面コ字状にプレスした時点で、フランジ3fは重なることなく連続するようになっている。
【0024】
そして、折り畳み部Pを形成したセンターピラー3は、図2に示すようにルーフサイドレール1とサイドシル2とを車体上下方向に連結してあり、前記折り畳み部Pをサイドシル2との連結部Xと下方のドアヒンジ9bの取付部との間の領域に配置してある。
【0025】
前記センターピラー3は、図3,図4に示すようにピラーアウタパネル3aとピラーインナパネル3bとで構成される閉断面内に、ピラー補強部材としてのピラーアウタレインフォース10を設け、このピラーアウタレインフォース10の下部に前記折り畳み部Pの伸展変形に伴って伸展する伸展許容部11を形成してある。
【0026】
ピラーアウタレインフォース10は、ピラーアウタパネル3aに沿って断面コ字状に形成して前記折り畳み部Pの内面に近接配置するとともに、下端部をサイドシル2の閉断面内に配置されるシル補強部材としてのシルアウタレインフォース12に結合し、かつ、伸展許容部11を折り畳み部Pとの近接部分Nとシルアウタレインフォース12への結合部x1との間に配置してある。
【0027】
前記シルアウタレインフォース12は、シルアウタパネル2aの内側に沿った形状に形成されるとともに、その上端部に車幅方向内方に折曲して延設される上端閉止板12aを設けて断面逆コ字状に形成してあり、シルアウタレインフォース12の上・下端部をピラーインナパネル3bの下端部を挟み込んだ状態でシルインナパネル2bに接合してある。
【0028】
また、前記上端閉止板12aのシルアウタパネル2a寄りには、前記ピラーアウタレインフォース10の下端部の前記結合部x1となる段部12bを形成してある。
【0029】
前記伸展許容部11は、図6に示すように上下方向に波形断面となる凹凸状のビード部11aで形成される。
【0030】
前記ピラーインナパネル3bは、図4に示すようにブランク材を帯状の平板に裁断して形成され、該ピラーインナパネル3bを前記ピラーアウタパネル3aに接合して構成した閉断面内の下部にはシートベルトリトラクタを収納するようになっており、前記ピラーインナパネル3bの下部にはリトラクタに巻き取られたウェビングを取り出すためのほぼ矩形状の開口部13が形成される。
【0031】
そして、前記ピラーインナパネル3bには、前記折り畳み部Pの伸展変形に伴って破断する易破断部としてのノッチ14を形成してある。
【0032】
前記ノッチ14は、前記開口部13の下側縁の前後両角部をV字状に切欠いて形成してあり、衝突荷重の入力によってピラーインナパネル3bに引張り力が作用した際に、そのときの応力が前記ノッチ14に集中して、該ノッチ14を起点としてピラーインナパネル3bが破断C(図7(b)参照)するようにしてある。
【0033】
また、前記ピラーインナパネル3bは、図3,図4に示すように閉断面に形成した前記サイドシル2の外側部分と内側部分とに跨って結合される二股構造部20を備えている。
【0034】
前記二股構造部20は箱状に形成され、その内側フランジ20aを前記ピラーインナパネル3bの前記開口部13周縁部にスポット溶接などにより接合して、ピラーインナパネル3bの下端部を一方の脚とするとともに、外側面20bを下方に延長した延設部21を他方の脚として、これら2つの脚により二股部分を構成してあり、その延設部21を前記シルアウタレインフォース12の段部12bに接合してある。
【0035】
以上の構成により本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造および衝突エネルギー吸収方法によれば、側面衝突によりセンターピラー3のピラーアウタパネル3aに衝突荷重が入力されると、センターピラー3は図7(a)に示す通常状態から図7(b)に示すようにサイドシル2との連結部Xから車両内方(図中左方)に折れ曲がり(図10(b)参照)、このときピラーアウタパネル3aには引張り力が作用することにより、該ピラーアウタパネル3aに形成した3重の折り畳み部Pが、その外層p1と内層p3とで中層p2を拘束しつつ伸展変形する。
【0036】
つまり、前記折り畳み部Pは、図8(a)に示すようにセンターピラー3に引張り力がFpが作用すると、図8(b)に示すように外層p1と中層p2との折返し部分L1と、中層p2と内層p3との折返し部分L2とがそれぞれしごき状態で伸展する。
【0037】
このとき、前記折り畳み部Pはピラーアウタパネル3aの断面形状に沿って断面コ字状に形成してあるため、前記折返し部分L1,L2がしごかれる際に、稜線R部分を引き裂きつつめくれるように伸展するため、大きな抵抗力を発揮して図9中実線の反力特性αに示す理想的な変形モードにコントロールできるとともに、効率良く衝突エネルギーを吸収することができる。
【0038】
従って、衝突荷重の入力時には、従来では図10(a)に示すようにフロア部FLの変形を伴ってセンターピラー3Aが車室内方に変形することにより衝突エネルギーを吸収するのに対して、本実施形態ではフロア部FLの剛性を高く設定した場合に、図10(b)に示すように衝突荷重の入力時には、フロア部FLの変形を伴うことなくセンターピラー3の下部が前記折り畳み部Pの伸展変形を伴って車室内方に変形することにより、衝突エネルギーを効率良く吸収し、かつ、変形モードをコントロールすることができる。
【0039】
尚、図9中破線はフロア部FLの変形を伴う従来の反力特性βを示すが、この場合はピラー3Aの変形が大きくなると反力が低下するため、衝突エネルギーの吸収効率が悪化することになる。
【0040】
また、本実施形態では前記折り畳み部Pをサイドシル2との連結部Xと下方のドアヒンジ9bの取付部との間の領域に配置したので、側面衝突時にピラー3の下部を上下方向に延び変形させて車室内に侵入させつつ衝突エネルギーを吸収し、このとき、サイドシル2ひいてはフロア部FLに対して相対的にピラー3が変形できるため、サイドシル2およびフロア部FLの強度を低減することなく、側面衝突に対する変形モードをコントロールすることができる。
【0041】
更に、前記センターピラー3のピラーアウタパネル3aとピラーインナパネル3bとで構成される閉断面内に設けたピラーアウタレインフォース10に、前記折り畳み部Pの伸展変形に伴って伸展する伸展許容部11を形成したので、通常時には前記ピラーアウタレインフォース10によってセンターピラー3の強度を高めることができる一方、側面衝突時は伸展許容部11が伸展することにより、前記折り畳み部Pの機能を阻害することがなく、しかも、該伸展許容部11の伸展によって衝突エネルギーをより効率良く吸収するとともに、変形モードをコントロールすることができる。
【0042】
更にまた、センターピラー3のピラーインナパネル3bには、前記折り畳み部Pの伸展変形に伴って破断する易破断部(ノッチ14)を形成したので、図7(b)に示すように側面衝突時にピラーインナパネル3bが前記破断部から破断Cして前記折り畳み部Pの機能を阻害するのを防止できる。
【0043】
また、前記破断部はピラーインナパネル3bに形成した開口部13の下側縁の前後両角部をV字状に切欠いたノッチ14で形成したので、衝突荷重の入力によりピラーインナパネル3bに発生する引張り応力を前記ノッチ14に集中させてピラーインナパネル3bを破断させることができ、易破断部を簡単な構成としてコスト上昇を抑えることができる。
【0044】
更に、前記ピラーインナパネル3bは、閉断面に形成したサイドシル2の外側部分と内側部分とに跨って結合される二股構造部20を備えているので、通常状態では二股構造部20によってピラーインナパネル3bとサイドシル2との結合力を高める一方、衝突過重の入力時には図7(b)に示すように二股構造部20が平行四辺形状に圧潰して、ピラーインナパネル3bがサイドシル2に対して車幅方向内方に相対移動できるので、ピラーアウタパネル3aの変形、ひいては折り畳み部Pの機能を阻害するのを防止できる。
【0045】
更にまた、ピラーアウタレインフォース10を、ピラーアウタパネル3aに沿って断面コ字状に形成して前記折り畳み部Pの内面に近接配置するとともに、下端部をサイドシル2の閉断面内に配置されるシルアウタレインフォース12に結合し、かつ、前記伸展許容部11を折り畳み部Pとの近接部分Nとシルアウタレインフォース12への結合部x1との間に配置したので、前記ピラーアウタレインフォース10によってセンターピラー3とサイドシル2との連結部Xの結合剛性を高めることができるとともに、伸展許容部11を折り畳み部Pから外して配置できるので、側面衝突時に近接部分Nとなるピラーアウタレインフォース10の一般部分で折り畳み部Pを拘束できることにより、折り畳み部Pが捻れることなく外層p1,中層p2,内層p3をスライドするように伸展変形させて、センターピラー3下部の連続的な曲げ変形を促進し、持続的に抵抗力を発生させることができる。
【0046】
また、前記伸展許容部11を、上下方向に波形断面となる凹凸状のビード部11aで形成したので、衝突荷重の入力によりピラーアウタレインフォース10に発生する引張り力により前記ビード部11aを伸展させることができ、その伸展許容部11を簡単な構成としてコストアップを抑えることができる。
【0047】
図11は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11はピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図である。
【0048】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、基本的に第1実施形態と同様の構成となり、本実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、図11に示すように折り畳み部Pの中層p2を拘束する外層p1および内層p3の剛性を、中層p2の剛性よりも大きくしてある。
【0049】
このように外層p1および内層p3の剛性と中層p2の剛性とを異ならせるにあたって、中層p2の断面コ字状とした稜線R部分に低剛性部としての空孔部30を形成してある。
【0050】
前記空孔部30は、稜線R部分に沿って断続的に複数形成してある。
【0051】
従って、本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、折り畳み部Pの中層p2を拘束する外層p1および内層p3の剛性を、中層p2の剛性よりも大きくしたので、外層p1および内層p3による中層p2の拘束性を高め、折り畳み部Pが伸展変形する際に、外層p1,中層p2,内層p3が相互に離反することなく連続的にスライドさせて、外層p1と中層p2との折返し部分L1と、中層p2と内層p3との折返し部分L2とのしごき効果を高めることができるため、衝突エネルギーの吸収効率を高めて理想的な変形モードにコントロールできる。
【0052】
また、中層p2の断面コ字状となった稜線R部分に低剛性部(空孔部30)を形成したので、センターピラー3の長手方向(上下方向)に対して適宜な角度をもった衝突荷重が折り畳み部P以外の領域に入力した場合にも、折り畳み部Pの断面外周形状を維持しつつその折り畳み部Pを確実に伸展変形させることができる。
【0053】
更に、前記低剛性部を稜線R部分に沿って断続的に形成される複数の空孔部30で形成したので、その空孔部30の大きさやピッチを調整することにより、折り畳み部Pが伸展変形する際の抵抗力をコントロールして、車両に適した変形モードに調整することができる。
【0054】
図12,図13は本発明の第3実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図12はピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図、図13は折り畳み部の形成工程を(a),(b)に順を追って示す説明図である。
【0055】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、基本的に第1実施形態と同様の構成となり、本実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、図12に示すように折り畳み部Pの外層p1と中層p2の折返し部分L1および中層p2と内層p3の折返し部分L2に、板厚以上の直径を有する芯金32をそれぞれ内包してある。
【0056】
即ち、前記折返し部分L1,L2に芯金32を内包する方法としては、図13(a)に示すように山折りする折れ線L1に対応する位置ではブランク材Kの下側に芯金32を配置するとともに、谷折りする折れ線L2に対応する位置ではブランク材Kの上側に芯金32を配置し、この状態で図13(b)に示すようにそれぞれの折れ線L1,L2を山折り,谷折りすることにより、それぞれの折返し部分L1,L2に芯金32が内包されるようになっている。
【0057】
従って、本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、折り畳み部Pの外層p1と中層p2の折返し部分L1および中層p2と内層p3の折返し部分L2に、板厚以上の直径を有する芯金32をそれぞれ内包したので、それぞれの折返し部分L1,L2でブランク材Kに必要な最小限の曲率を維持できるため、加工硬化による脆性化を防止でき、衝突荷重の入力時に折り畳み部Pを円滑に伸展変形させることができる。
【0058】
図14は本発明の第4実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図14はピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図である。
【0059】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、基本的に第1実施形態と同様の構成となり、本実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、折り畳み部Pを、中層p2を薄肉化した差厚鋼板Mで形成するとともに、中層p2と外層p1との間の差厚境界B1を所定幅d1だけ外層p1側に位置させ、中層p2と内層p3との間の差厚境界B2を所定幅d2だけ内層側に位置させてある。
【0060】
即ち、本実施形態では前記差厚鋼板Mを、中層p2部分を形成する板厚t1のブランク材K1を他の一般部分とは別体に形成して、そのブランク材K1を一般部分の板厚tのブランク材Kに2箇所の溶接線Wをもって溶接することにより一体化させて形成してある。
【0061】
従って、本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、折り畳み部Pを、中層p2を薄肉化した差厚鋼板Mで形成したので、外層p1および内層p3による中層p2の拘束性を高めて、折り畳み部Pが伸展変形する際に中層p2の稜線R部分の破断変形を連続的に発生させることができるため、衝突エネルギーの吸収効率を高めて理想的な変形モードにコントロールできる。
【0062】
また、センターピラー3への衝突荷重の入力点が折り畳み部Pの上方である場合にも、肉厚な外層p1および内層p3により薄肉な中層p2の高い拘束性により、折り畳み部Pの断面形状を維持しつつ確実にその折り畳み部Pを伸展変形させることができる。
【0063】
更に、中層p2と外層p1との間の差厚境界B1を所定幅d1だけ外層p1側に位置させ、中層p2と内層p3との間の差厚境界B2を所定幅d2だけ内層側に位置させたので、外層p1と中層p2の折返し部分L1および中層p2と内層p3の折返し部分L2を薄肉化でき、折り畳み部Pの伸展変形初期から一定の衝突エネルギーの吸収特性を得ることができる。
【0064】
図15は本発明の第5実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図15はピラーインナパネルの下部を示す斜視図である。
【0065】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、基本的に第1実施形態と同様の構成となり、本実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、図15に示すように二股構造部20Aは、センターピラー3の下部に収納されるシートベルトリトラクタの収納スペースSを確保するようにしてピラーインナパネル3bから一体部品で形成してある。
【0066】
即ち、前記二股構造部20Aは、ピラーインナパネル3bの下部に形成したウェビング取出し用の開口部13の上側縁から一体に車幅方向外方に水平部20Aaを一旦突出した後、前記シートベルトリトラクタの収納スペースSの車体外側面に沿って下方に垂下部20Abを垂下させて断面逆L字状に形成してある。
【0067】
従って、本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、二股構造部20Aを、センターピラー3の下部に収納されるシートベルトリトラクタの収納スペースSを確保するようにしてピラーインナパネル3bから一体部品で形成したので、部品点数を削減するとともに、型費の削減などによって生産性を向上することができる。
【0068】
図16は第5実施形態の変形例を示すピラーインナパネルの下部を示す斜視図で、断面逆L字状に形成した前記二股構造部20Aの垂下部20Abに上下方向に波形断面となる凹凸状のビード部22を形成してある。
【0069】
従って、本変形例では第5実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、凹凸状のビード部22を二股構造部20Aの垂下部20Abに形成したことにより、側面衝突時にピラーインナパネル3bがノッチ14から破断した際の二股構造部20Aの伸び代を拡大することができる。
【0070】
図17は本発明の第6実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図17はピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図である。
【0071】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、基本的に第1実施形態と同様に、ピラーアウタレインフォース10の下部に折り畳み部Pの伸展変形に伴って伸展する伸展許容部11Aを形成してある。
【0072】
そして、本実施形態の伸展許容部11Aは、第1実施形態と同様にピラーアウタレインフォース10の下部に形成され、互いに離れる方向にクランク状に突出させた二股状の前後両側部11Aa,11Abで形成してある。
【0073】
従って、本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、伸展許容部11Aを、互いに離れる方向にクランク状に突出させた二股状の前後両側部11Aa,11Abで形成したので、側面衝突により伸展許容部11Aに引張り力が発生すると、クランク状に突出した前後両側部11Aa,11Abが図中破線に示すように一直線状になることで、ピラーアウタレインフォース10の下部を引き延ばすことができ、折り畳み部Pの伸展機能を阻害するのを防止できる。
【0074】
図18は本発明の第7実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図18はピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図である。
【0075】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、第6実施形態と同様に伸展許容部11Bをピラーアウタレインフォース10の下部に形成してあり、この伸展許容部11Bは、ピラーアウタレインフォース10の車両前後幅を上方から下方に向かって徐々に増幅して最大幅部分11Baを形成するとともに、この最大幅部分11Baから下方に向かって徐々に縮幅させ、その最大幅部分11Baに車両前後方向に近接して並設される複数の空孔部33を設けて形成してある。
【0076】
また、前記空孔部33が近接する間隔s1を、前後終端の空孔部33と前記最大幅部分11Baの前後方向端との間の幅s2よりも十分に小さく設定してある。
【0077】
従って、本実施形態の本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、伸展許容部11Bを、ピラーアウタレインフォース10の下部に形成した最大幅部分11Baに複数の空孔部33をピラーアウタレインフォース10の車両前後方向に近接して形成したので、側面衝突時に伸展許容部11Bに引張り力が作用すると、近接配置した空孔部33間がそれぞれ破断して相互に繋がり、図中破線に示すようにピラーアウタレインフォース10が上下方向に伸長できるため、折り畳み部Pの伸展機能を阻害するのを防止できる。
【0078】
また、前記空孔部33が近接する間隔s1を、前後終端の空孔部33と前記最大幅部分11Baの前後方向端との間の幅s2よりも十分に小さく設定したので、側面衝突時には隣接する空孔部33間のみを破断して、最大幅部分11Ba両側の幅s2部分を繋げた状態で伸長させることができる。
【0079】
図19,図20は本発明の第8実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図19はセンターピラーとサイドシルとの連結部分の断面図、図20はシル補強部材の斜視図である。
【0080】
本実施形態の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造は、基本的に第1実施形態と同様の構成となり、本実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、図19,図20に示すようにシル補強部材としてのサイドシルレインフォース40を、軽合金押出し成型による閉断面の一体成形品で形成してある。
【0081】
即ち、一体成形した前記サイドシルレインフォース40は、シルアウタパネル2aの内側に配置されるシルアウタレインフォース41と、シルインナパネル2bの内側に配置されるシルインナレインフォース42と、を縦リブ43を介して一体に結合するとともに、段部12bの下端に位置する水平リブ44をシルアウタレインフォース41とシルインナレインフォース42に亘って結合してある。
【0082】
尚、前記サイドシルレインフォース40は、押出し成形によることなく、その他の一体成形方法、例えばスチール液圧成型によっても形成することができる。
【0083】
そして、図19に示すようにシルインナレインフォース42をシルインナパネル2bの内側に締結部材45で結合する一方、ピラーインナパネル3bの下端部を前記縦リブ43の上方突出部43aに結合するとともに、前記段部12bには第1実施形態と同様に二股構造部20の外側面20bの延設部21と、ピラーアウタレインフォース10の下端部とを結合してある。
【0084】
従って、本実施形態の衝突エネルギー吸収構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、サイドシルレインフォース40を閉断面の一体成形品で形成したので、サイドシル2の強度を大幅に向上できるとともに、局部的な入力が顕著となる衝突形態にあってもサイドシル2の変形を抑制できるため車室内の生存空間を確保でき、また、センターピラー3への入力が顕著となる衝突形態であっても、衝突エネルギーの吸収効率を高めつつ変形モードをコントロールすることができる。
【0085】
ところで、本発明は前記第1〜第8実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施形態における車体の骨格構造を示す全体斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における車体左側面の骨格構造を示す斜視図。
【図3】図2中A−A線に沿った拡大断面図。
【図4】本発明の第1実施形態におけるセンターピラー下部結合部分の分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態における折り畳み部の形成工程を(a)〜(d)に順を追って示す斜視図。
【図6】図4中B−B線に沿った拡大断面図。
【図7】本発明の第1実施形態における衝突荷重の入力時におけるセンターピラー下部の変形状態を(a),(b)に順を追って示す図2中A−A線に対応した拡大断面図。
【図8】本発明の第1実施形態における折り畳み部の伸展変形を(a)〜(c)に順を追って示す斜視図。
【図9】本発明の第1実施形態におけるセンターピラーに衝突荷重が入力した際の反力特性を従来と比較して示す説明図。
【図10】本発明の第1実施形態における衝突荷重が入力した際のセンターピラーの変形挙動を(a)の従来の場合と(b)の本発明の場合とで示す概略断面図。
【図11】本発明の第2実施形態におけるピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図。
【図12】本発明の第3実施形態におけるピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図。
【図13】本発明の第3実施形態における折り畳み部の形成工程を(a),(b)に順を追って示す説明図。
【図14】本発明の第4実施形態におけるピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図。
【図15】本発明の第5実施形態におけるピラーインナパネルの下部を示す斜視図。
【図16】本発明の第5実施形態の変形例におけるピラーインナパネルの下部を示す斜視図。
【図17】本発明の第6実施形態におけるピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図。
【図18】本発明の第7実施形態におけるピラーアウタパネルの折り畳み部を展開した斜視図。
【図19】本発明の第8実施形態におけるセンターピラーとサイドシルとの連結部分の断面図。
【図20】本発明の第8実施形態におけるシル補強部材の斜視図。
【符号の説明】
【0087】
1 ルーフサイドレール
2 サイドシル
2a シルアウタパネル
2b シルインナパネル
3 センターピラー(ピラー部材)
3a ピラーアウタパネル(アウタ部材)
3b ピラーインナパネル(インナ部材)
9a,9b ヒンジ
10 ピラーアウタレインフォース(ピラー補強部材)
11,11A,11B 伸展許容部
11a ビード部
11Aa,11Ab 二股状の前後両側部
11Ba 最大幅部分
12 シルアウタレインフォース(シル補強部材)
13 開口部
14 ノッチ
20,20A 二股構造部
30 空孔部
32 芯金
33 空孔部
40 サイドシルレインフォース(シル補強部材)
RF ルーフ部
FL フロア部
P 折り畳み部
p1 外層
p2 中層
p3 内層
R 稜線
L1,L2 折返し部分
M 差厚鋼板
B1,B2 差厚境界
S シートベルトリトラクタの収納スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体骨格部材を、衝突荷重の入力側に配置される断面コ字状のアウタ部材と、このアウタ部材の開放側を閉止するインナ部材と、によって閉断面に形成し、前記アウタ部材に、該アウタ部材を長手方向に2回折り返して外層、中層、内層とした3重の折り畳み部をアウタ部材の断面形状に沿って形成し、衝突荷重の入力時に該折り畳み部を外層と内層とで中層を拘束しつつ伸展変形させるようにしたことを特徴とする車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項2】
折り畳み部は、中層を拘束する外層および内層の剛性を、その中層の剛性よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項3】
折り畳み部は、中層の断面コ字状となった稜線部分に低剛性部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項4】
折り畳み部は、外層と中層の折返し部分および中層と内層の折返し部分に、板厚以上の直径を有する芯金をそれぞれ内包したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項5】
折り畳み部は、中層を薄肉化した差厚鋼板で形成するとともに、中層と外層との間の差厚境界を所定幅だけ外層側に位置させ、中層と内層との間の差厚境界を所定幅だけ内層側に位置させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項6】
低剛性部は、稜線部分に沿って断続的に形成される複数の空孔部で形成したことを特徴とする請求項3に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項7】
折り畳み部を形成した車体骨格部材は、ルーフ部の左右両側に車体前後方向に延在するルーフサイドレールと、フロア部の左右両側に車体前後方向に延在するサイドシルと、を車体上下方向に連結するピラー部材であり、前記折り畳み部をサイドシルとの連結部と下方のドアヒンジ取付部との間の領域に配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項8】
ピラー部材は、アウタ部材とインナ部材とで構成される閉断面内にピラー補強部材を備え、このピラー補強部材に前記折り畳み部の伸展変形に伴って伸展する伸展許容部を形成したことを特徴とする請求項7に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項9】
インナ部材に、前記折り畳み部の伸展変形に伴って破断する易破断部を形成したことを特徴とする請求項8に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項10】
易破断部は、インナ部材をV字状に切欠いたノッチであることを特徴とする請求項9に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項11】
インナ部材は、閉断面に形成した前記サイドシルの外側部分と内側部分とに跨って結合される二股構造部を備えたことを特徴とする請求項9または10に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項12】
二股構造部は、ピラー部材の下部に収納されるシートベルトリトラクタの収納スペースを確保するようにしてインナ部材から一体部品で形成したことを特徴とする請求項11に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項13】
ピラー補強部材は、アウタ部材に沿って断面コ字状に形成して前記折り畳み部の内面に近接配置するとともに、下端部をサイドシルの閉断面内に配置されるシル補強部材に結合し、かつ、伸展許容部を折り畳み部との近接部分とシル補強部材への結合部との間に配置したことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1つに記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項14】
伸展許容部は、上下方向に波形断面となる凹凸状のビード部であることを特徴とする請求項13に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項15】
伸展許容部は、互いに離れる方向にクランク状に突出させた二股状の前後両側部であることを特徴とする請求項13に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項16】
伸展許容部は、ピラー補強部材の車両前後幅を上方から下方に向かって徐々に増幅して最大幅部分を形成するとともに、その最大幅部分から下方に向かって徐々に縮幅させ、その最大幅部分に車両前後方向に近接して並設される複数の空孔部を設けて形成したことを特徴とする請求項13に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項17】
シル補強部材は、軽合金押出し成型やスチール液圧成型などによる閉断面の一体成形品で形成したことを特徴とする請求項13または16に記載の車体骨格部材の衝突エネルギー吸収構造。
【請求項18】
閉断面に形成した車体骨格部材の衝突荷重の入力側に配置される断面コ字状のアウタ部材に、該アウタ部材を長手方向に2回折り返して形成した3重の折り畳み部をアウタ部材の断面形状に沿って形成し、衝突荷重の入力時に該折り畳み部の外層と内層とで中層を拘束しつつ伸展変形させて衝突エネルギーを吸収することを特徴とする車体骨格部材の衝突エネルギー吸収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2006−341687(P2006−341687A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168242(P2005−168242)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】