説明

車載エンジン制御装置

【課題】安価な構成で始動用キーの認証照合精度を向上させるためのパルス幅変調信号を生成する車載エンジン制御装置を得る。
【解決手段】マイクロプロセッサ110は、タイマ回路部300ac、300bdにより第1、第2の駆動制御用タイマTIM1、TIM2を構成し、クランク角センサ105aと同期動作する点火・燃料噴射制御用の制御出力信号を生成する。各制御出力信号は、気筒選択用ゲート回路116a〜116dにより気筒別に分配され、エンジン駆動用機器161a〜161dを順次駆動する。認証照合完了までは、第1の駆動制御用タイマTIM1で生成されたパルス幅変調信号は、認証用ゲート回路144を介してイモビライザ104bに送信され、イモビライザ104bは、受信したパルス幅変調信号の周期、デューティに対応した周波数、振幅の無線信号をトランスポンダ104aに送信して、始動用キー103から暗証番号を読出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載エンジンの始動用キーの認証照合を行うためのイモビライザが接続された車載エンジン制御装置に関し、特に安価な構成で始動用キーの認証照合精度を向上するための新規な改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、始動用キーに設けられた暗証番号を始動用キーに設けられたトランスポンダを介してイモビライザに無線送信し、イモビライザまたは車載エンジン制御装置に格納されている正解暗証番号と照合することにより、不正な始動用キーによるエンジン始動を阻止するシステムは広く実用化されている。
【0003】
従来の車載エンジン制御装置として、公知のイモビライザおよびイモビライザによる認証方法があげられる(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の認証制御方法によれば、始動用キーの固有情報(暗証番号)がトランスポンダを介してイモビライザに無線送信されると、イモビライザが認証一致判定を行い、車載エンジン制御装置に対して始動許可信号を与えるようになっており、特に前回のエンジン始動時間情報を基にした乱数を用いて暗証番号を暗号化することにより認証精度を向上させている。
【0004】
また、他の従来装置として、集積化されたマイクロプロセッサにおけるマクロセルを有するシステムおよび集積化されたマイクロプロセッサにおけるマクロセルの制御方法があげられる(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2には、車載エンジン制御装置に適用可能なカウンタ/タイマのマクロセルに関する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−012123号公報(図1、要約)
【特許文献2】特開平09−259102号公報(図1、要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車載エンジン制御装置は、たとえば特許文献1に記載の技術では、暗号化技術の併用によって認証精度の向上を図っているものの、イモビライザとトランスポンダとの間で送受信される無線信号については言及されておらず、安価な構成で始動用キーに対する認証照合精度を向上させることができないという課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、カウンタ/タイマを多様な用途に適用するための動作モードの設定手段が開示されているものの、カウンタ/タイマモジュールの具体的用途については言及されておらず、やはり安価な構成で始動用キーに対する認証照合精度を向上させることができないという課題があった。
【0008】
この発明は、燃料噴射用電磁弁および点火コイルの少なくとも一方からなるエンジン駆動用機器に対する駆動制御手段と併用することにより、安価な構成で始動用キーに対する認証照合精度を向上させることのできる車載エンジン制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る車載エンジン制御装置は、
車載のエンジンの運転状態を検出するためのクランク角センサを含む各種センサに接続され、車載バッテリから給電されて、運転状態に応じて燃料噴射用電磁弁および点火コイルの少なくとも一方からなるエンジン駆動用機器を制御する駆動制御手段と、
エンジンの始動用キーに対する認証照合手段となる制御プログラムを格納したプログラムメモリと、プログラムメモリと協働するマイクロプロセッサとを備え、
始動用キーに設けられたトランスポンダを介して、始動用キーの暗証番号を無線信号で読出すためのイモビライザと接続された車載エンジン制御装置であって、
マイクロプロセッサは、複数のタイマ回路部およびタイマ出力部と協働し、
プログラムメモリは、タイマ回路部に対する動作時間設定手段およびタイマ出力切換手段となる制御プログラムを含み、
タイマ回路部は、計時用クロック信号を計数する計時カウンタと、設定値レジスタと、計時カウンタの計数現在値が設定値レジスタに格納された目標設定値に達したときに比較一致出力を発生してタイマ出力部を駆動する比較回路により構成され、
タイマ出力部は、マイクロプロセッサによって設定値レジスタに可変設定される所定のON時間およびOFF時間に対応した論理出力を発生し、
動作時間設定手段は、設定値レジスタに対して、ON時間およびOFF時間に対応したON時間データおよびOFF時間データ、またはON/OFF合計時間データとON時間データ又はOFF時間データを転送格納するとともに、計時開始時には計数現在値をリセットし、
認証照合手段は、マイクロプロセッサから送信されるパルス幅変調信号の周期およびデューティに対応した、周波数および振幅を有する無線信号により、イモビライザを介して始動キーの暗証番号を読出し、読出した暗証番号が、プログラムメモリまたはイモビライザにあらかじめ格納されている正解暗証番号と一致しているか否かの認証判定を行い、
パルス幅変調信号は、タイマ回路部、動作時間設定手段、およびタイマ出力部により生成され、所定のOFF時間およびON時間を有する連続したパルス信号からなり、
タイマ出力切換手段は、認証判定が一致判定であった場合にタイマ出力切換指令信号を発生して、パルス幅変調信号を生成するために使用されたタイマ回路部を駆動制御用タイマとして切換え使用し、
駆動制御用タイマは、タイマ回路部、動作時間設定手段、およびタイマ出力部により構成され、タイマ回路部はクランク角センサの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後に初回の比較一致出力を発生するとともに、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後に次回の比較一致出力を発生し、タイマ出力部は初回の一致出力が発生してから次回の比較一致出力が発生するまでの期間においてタイマ出力を発生し、
エンジン駆動用機器は、タイマ出力部からのタイマ出力によって駆動され、
複数のタイマ回路部のうちの1つは、認証照合手段および駆動制御手段の中で選択切換え使用されるとともに、認証照合手段による認証照合の結果として一致判定が得られるまでは、駆動制御手段への選択切換えが行われず、駆動制御手段の出力発生が禁止されるものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、始動用キーの認証照合を行うためにパルス幅変調信号が使用され、パルス幅変調信号はエンジンの点火制御または燃料噴射制御を行うためのタイマ回路部を兼用して生成され、認証照合が完了するまではエンジンの駆動制御出力が発生しないようになっている。したがって、マイクロプロセッサと併用されるタイマ回路部の点数を増加することなく安価にパルス幅変調信号を生成して、高度な認証照合が行うことができる。
また、認証照合が正常完了するまではエンジン駆動用機器に対する車載バッテリの不要な放電を抑制し、低電圧・寒冷時の始動特性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、図1の回路ブロック図を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る車載エンジン制御装置100Aについて説明する。
図1において、車載エンジン制御装置100Aには、電源リレー(図6とともに後述する)の出力接点102aを介して車載バッテリ101が接続されるとともに、電源スイッチ103aおよび始動スイッチ103bが接続され、さらに、車載センサ群105および電気負荷群106が接続されている。
【0012】
電源スイッチ103aおよび始動スイッチ103bは、図6(後述する)に示すように、エンジン(図示せず)の始動用キー103の回動位置と関連して開閉動作し、電源スイッチ103aは、始動用キー103の第1の回動位置から第3の回動位置で閉路され、始動スイッチ103bは、始動用キー103の第3の回動位置で閉路される。
【0013】
始動用キー103には、始動用キー103に固有に付加された暗証番号を送信するためのトランスポンダ104aが一体化されており、トランスポンダ104aは、キースイッチ本体104に内蔵されたイモビライザ104bとの間で無線交信を行う。イモビライザ104bは、データ通信回線12Aを介して車載エンジン制御装置100Aに接続されており、始動用キー103に付加された暗証番号を読み取って、車載エンジン制御装置100A内のマイクロプロセッサ110に入力する。
【0014】
車載センサ群105は、クランク角センサ105aを含むとともに、図示しない変速機の変速段選択スイッチ、排気ガスセンサ、アクセルポジションセンサ、スロットルポジションセンサ、エアーフローセンサ、排気ガスセンサ、水温センサなど、エンジンの運転状態を監視するための種々のセンサを含む。
【0015】
電気負荷群106は、図示しない吸気スロットルの弁開度制御用モータ、変速機の変速段選択用の燃料噴射用電磁弁、排気循環弁の駆動用モータ、排気ガスセンサの温度制御用電熱ヒータなど、エンジンの駆動制御に関連した各種の電気負荷を含む。なお、電気負荷群106のうち、燃料噴射用電磁弁(インジェクタINJ)または点火コイル(イグニッションコイルIGC)については、エンジン駆動用機器161Aとして示されている。
【0016】
エンジン駆動用機器161Aは、車載エンジン制御装置100Aにより、増幅出力回路160を介して駆動される。ここでは、エンジン駆動用機器161Aは、4気筒4サイクルエンジン用の点火コイルまたは燃料噴射用電磁弁に対応した4個のエンジン駆動用機器161a〜161dを含むものとする。なお、各エンジン駆動用機器161a〜161dは、161a→161b→161c→161d→161a→・・・の順序で循環動作し、この間に、エンジンは2回転するようになっている。
【0017】
車載エンジン制御装置100Aの主要部を構成するマイクロプロセッサ110は、演算処理用のRAMメモリ111と、プログラムメモリ112A(たとえば、不揮発フラッシュメモリ)と、タイマ回路部300ac、300bd、300rvとを備えている。マイクロプロセッサ110には、入力インタフェース125を介して車載センサ群105が接続され、出力インタフェース126を介して電気負荷群106が接続されている。また、車載センサ群105に含まれるアナログセンサの検出信号は、多チャンネルAD変換器(図示せず)を介してマイクロプロセッサ110に入力されるようになっている。
【0018】
マイクロプロセッサ110内のプログラムメモリ112Aには、車載センサ群105および電気負荷群106に関する入出力制御プログラムが格納されるとともに、駆動制御用タイマTIM1、TIM2によってエンジン駆動用機器161Aに対する駆動制御指令を供給するための制御プログラムとが格納されている。
【0019】
マイクロプロセッサ110に接続された気筒選択用ゲート回路116a〜116dは、エンジン駆動用機器161a〜161dを駆動するための増幅出力回路160の入力部に挿入された3入力端子の論理積素子からなり、各論理積素子の第1の入力端子には、タイマ出力切換指令信号INHBが入力されている。
【0020】
また、気筒選択用ゲート回路116a、116cの第2の入力端子には、駆動制御用タイマTIM1の出力信号が入力され、気筒選択用ゲート回路116b、116dの第2の入力端子には、駆動制御用タイマTIM2の出力信号が入力されている。さらに、気筒選択用ゲート回路116a〜116dの第3の入力端子には、それぞれ、マイクロプロセッサ110からの気筒選択用ゲート信号OP1〜OP4が個別に入力されている。
【0021】
マイクロプロセッサ110が発生するタイマ出力切換指令信号INHBは、始動用キー103の認証照合結果が正当判定であった場合に論理レベルが「H」となり、エンジン駆動用機器161Aに対する駆動指令を有効にする。
【0022】
駆動制御用タイマTIM1、TIM2の出力信号は、図2とともに後述するように、クランク角センサ105aの検出信号のLレベルからHレベルへの動作後に、第1設定時間(可変の設定OFF時間)の経過後に、論理レベルが「H」となってエンジン駆動用機器161Aを駆動するとともに、可変第2設定時間の経過後に論理レベルが「L」に復帰してエンジン駆動用機器161Aの駆動を停止させる。
【0023】
気筒選択用ゲート信号OP1〜OP4は、燃料噴射制御および点火制御が行われる気筒を順次選択して、各気筒のエンジン駆動用機器161a〜161dが動作している期間に論理レベルが「H」となる。また、少なくともクランク角センサ105aが動作(L→H)するごとに、気筒選択用ゲート信号OP1と気筒選択用ゲート信号OP3とが交互に論理反転し、気筒選択用ゲート信号OP2と気筒選択用ゲート信号OP4とが交互に論理反転する。したがって、気筒選択用ゲート信号OP1、OP3の論理レベルが同時に「H」になることはなく、同様に、気筒選択用ゲート信号OP2、OP4の論理レベルが同時に「H」になることはない。
【0024】
車載エンジン制御装置100A内の定電圧電源回路120は、外部電源となる車載バッテリ101から、電源リレーの出力接点102aを介して給電され、電源電圧Vbを安定化された制御電源電圧Vcc(たとえば、DC5V)に変換して、マイクロプロセッサ110に対する制御電源を供給する。
【0025】
マイクロプロセッサ110が発生する同期用クロック信号CLKは、車載エンジン制御装置100A内のドライバ回路141aと、車載エンジン制御装置100Aとキースイッチ本体104とを接続する外部配線からなる同期信号送信回線11と、キースイッチ本体104内のレシーバ回路141bとを介して、キースイッチ本体104内のイモビライザ104bに供給される。
【0026】
マイクロプロセッサ110とイモビライザ104bとの間の交信データDATAは、マイクロプロセッサ110から、車載エンジン制御装置100A内のドライバ回路142aと、車載エンジン制御装置100Aとキースイッチ本体104とを接続する外部配線からなるデータ通信回線12Aと、キースイッチ本体104内のレシーバ回路142bとを介して、イモビライザ104bに送信される。また、交信データDATAは、イモビライザ104bから、キースイッチ本体104内のドライバ回路143bと、データ通信回線12Aと、車載エンジン制御装置100A内のレシーバ回路143aとを介して、マイクロプロセッサ110に送信される。
【0027】
マイクロプロセッサ110に接続された認証用ゲート回路144は、駆動制御用タイマTIM1の出力信号と、タイマ出力切換指令信号INHBの反転論理信号と、を入力情報とする論理積素子からなり、論理積素子の出力信号は、ドライバ回路145aと、PWM信号送信回線13と、キースイッチ本体104内のレシーバ回路145bとを介して、イモビライザ104bに供給される。
【0028】
なお、後述するように、マイクロプロセッサ110内の駆動制御用タイマTIM1は、始動用キー103の正当性が認証されるまでは、パルス幅変調信号PWMを生成してイモビライザ104bに供給する。これにより、イモビライザ104bは、パルス幅変調信号PWMの周期に反比例した周波数と、パルス幅変調信号PWMのデューティ(論理レベルが「H」の時間と周期との比率)に比例した振幅と、を有する無線信号を発生し、始動用キー103に設けられたトランスポンダ104aとの間で無線交信を行う。
【0029】
駆動制御用タイマTIM1(認証制御用タイマとして兼用)がパルス幅変調信号PWMを発生している期間においては、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルが「L」となり、認証用ゲート回路144を介してパルス幅変調信号PWMがイモビライザ104bに送信される。しかし、この時点では、気筒選択用ゲート回路116a、116cは、タイマ出力切換指令信号INHBによって出力停止されているので、エンジン駆動用機器161a、161cにパルス幅変調信号PWMが供給されることはない。
【0030】
なお、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルが「L」となっている期間において、駆動制御用タイマTIM2の出力発生が停止する構成であれば、タイマ出力切換指令信号INHBを気筒選択用ゲート回路116b、116dに導入するインターロック回路119(破線参照)は不要である。しかし、気筒選択用ゲート回路116b、116dにインターロック回路119を接続すれば、タイマ出力切換指令信号INHBによって気筒選択用ゲート回路116b、116dも出力停止されるので、認証照合が正常完了するまでは確実に駆動制御用タイマTIM2の出力発生を停止させることができる。
【0031】
マイクロプロセッサ110内のタイマ回路部300ac、300bdは、駆動制御用タイマTIM1、TIM2を生成するためのカウンタ回路(CNT1、CNT2)により構成されている。同様に、タイマ回路部300rvは、エンジン回転速度Neの検出手段として機能し、クランク角センサ105aの動作間隔(Hレベルのパルス発生間隔)を測定するためのカウンタ回路(CNT0)により構成されている。なお、タイマ回路部300ac、300bd、300rvの詳細については、図3とともに後述する。
【0032】
次に、図2のタイミングチャートを参照しながら、図1内の駆動制御用タイマTIM1、TIM2の出力特性について説明する。
図2においては、横軸(エンジン回転軸のクランク角度位置)に対し、(A)クランク角センサ105aの検出信号、(B)燃料噴射の駆動制御用タイマTIM1の出力信号、(C)燃料噴射の駆動制御用タイマTIM2の出力信号、(D)点火の駆動制御用タイマTIM1の出力信号、(E)点火の駆動制御用タイマTIM2の出力信号の各動作順序が示されている。
【0033】
図2(A)において、クランク角センサ105aの検出信号は、エンジンの回転周期T0(1回転:360度)の中で1回だけクランク角センサ105aが動作(L→H)して、各気筒のピストン位置が判定できるようになっている。ただし、実際には、回転角度の代わりに、クランク角センサ105aの最新動作からの経過時間によって回転角度が判定されるようになっている。回転周期T0(クランク角センサ105aの動作周期)は、エンジン回転速度Neに反比例した値として毎回計測され、前回測定された回転周期T0は、今回のクランク角360度に相当した時間として扱われる。
【0034】
図2(B)、図2(C)は、エンジン駆動用機器161a〜161dが燃料噴射用電磁弁INJ1〜INJ4である場合に、燃料噴射順序が1番目および3番目の燃料噴射用電磁弁INJ1、INJ3を駆動する駆動制御用タイマTIM1と、燃料噴射順序が2番目および4番目の燃料噴射用電磁弁INJ2、INJ4を駆動する駆動制御用タイマTIM2と、の各出力特性を示している。
【0035】
図2(B)において、クランク角センサ105aの最新動作からの経過時間に対応した時間T11は、燃料噴射用電磁弁INJ1、INJ3の開弁時期に相当し、これに続く経過時間に対応した時間T12は、燃料噴射用電磁弁INJ1、INJ3の閉弁時期までの開弁期間に相当する。燃料噴射用電磁弁INJ1、INJ3の区分は、気筒選択用ゲート信号OP1、OP3によって弁別され、燃料噴射用電磁弁INJ1と燃料噴射用電磁弁INJ3とは、交互に動作するようになっている。
【0036】
同様に、図2(C)において、クランク角センサ105aの最新動作からの経過時間に対応した時間T21は、燃料噴射用電磁弁INJ2、INJ4の開弁時期に相当し、これに続く経過時間に対応した時間T22は、燃料噴射用電磁弁INJ2、INJ4の閉弁時期までの開弁期間に相当する。燃料噴射用電磁弁INJ2、INJ4の区分は、気筒選択用ゲート信号OP2、OP4によって弁別され、燃料噴射用電磁弁INJ2と燃料噴射用電磁弁INJ4とは、交互に動作するようになっている。
【0037】
図2(D)、図2(E)は、エンジン駆動用機器161a〜161dがガソリンエンジンの点火コイルIGC1〜IGC4である場合に、点火順序が1番目および3番目の点火コイルIGC1、IGC3を駆動する駆動制御用タイマTIM1と、点火順序が2番目および4番目の点火コイルIGC2、IGC4を駆動する駆動制御用タイマTIM2と、の各出力特性を示している。
【0038】
図2(D)において、クランク角センサ105aの最新動作からの経過時間に対応した時間T13は、点火コイルIGC1、IGC3の励磁開始時期に相当し、これに続く経過時間に対応した時間T14は、点火コイルIGC1、IGC3の励磁遮断時期(点火時期)までの励磁期間に相当する。点火コイルIGC1、IGC3の区分は、気筒選択用ゲート信号OP1、OP3によって弁別され、点火コイルIGC1と点火コイルIGC3とは、交互に動作するようになっている。
【0039】
同様に、図2(E)において、クランク角センサ105aの最新動作からの経過時間に対応した時間T23は、点火コイルIGC2、IGC4の励磁開始時期に相当し、これに続く経過時間に対応した時間T24は、点火コイルIGC2、IGC4の励磁遮断時期(点火時期)までの励磁期間に相当する。点火コイルIGC2、IGC4の区分は、気筒選択用ゲート信号OP2、OP4によって弁別され、点火コイルIGC2と点火コイルIGC4とは、交互に動作するようになっている。
【0040】
次に、図3のブロック図を参照しながら、図1内のタイマ回路部300ac、300bd、300rvとマイクロプロセッサ110内のタイマ出力部304nとについて説明する。
図3において、タイマ回路部300nは、タイマ回路部300ac、300bd、300rvを代表的に示しており、タイマ出力部304nは、タイマ出力部304ac、304bd、304rvを代表的に示している。
【0041】
タイマ回路部300nは、計時用クロック信号113が入力される計時カウンタ301と、マイクロプロセッサ110により計時目標値がセットされる設定値レジスタ302と、計時カウンタ301の現在値レジスタの値と設定値レジスタ302の値を比較する比較回路303とを備えている。
なお、図3においては、タイマ回路部300nはマイクロプロセッサ110を構成する集積回路素子の外部に設けられ、タイマ出力部304nはマイクロプロセッサ110を構成する集積回路素子の内部に設けられているが、両者をマイクロプロセッサ110の内部又は外部に設置するように構成することもでき、図1では両者がマイクロプロセッサ110内に構成された事例となっている。
【0042】
タイマ回路部300n内の計時カウンタ301は、計数現在値を出力するための現在値レジスタを有する。現在値レジスタの計数現在値は、計時カウンタ301が計時用クロック信号113を計数することにより、時間経過にともなって増加する。なお、計時用クロック信号113は、マイクロプロセッサ110に供給される基準クロック信号(図示せず)を分周することにより得られる一定時間のパルス列信号である。
【0043】
クランク角センサ105aからの検出信号および比較回路303からの比較一致出力CMPは、マイクロプロセッサ110の割込入力端子に入力される。計時カウンタ301の計数現在値は、読出入力端子RDを介してマイクロプロセッサ110に読込まれる。マイクロプロセッサ110が発生するリセット信号RSTは、論理レベルが「H」の場合には、計時カウンタ301の計数現在値をゼロにリセットするとともに、計時用クロック信号113(計時信号)の計時カウンタ301への入力を停止させる。
【0044】
タイマ回路部300n内の設定値レジスタ302は、メモリからなり、マイクロプロセッサ110からの設定出力SETによって計時目標値が書込まれる。比較回路303は、計時カウンタ301内の現在値レジスタの計数現在値と、設定値レジスタ302の計時目標値とを比較し、両者が一致した場合に比較一致出力CMPをマイクロプロセッサ110に供給する。
【0045】
マイクロプロセッサ110内のタイマ出力部304nは、RAMメモリ111(図1参照)によって構成されており、比較一致出力CMPが入力されるごとに論理レベルが交互に反転動作する交互反転フラグを有する。交互反転フラグの反転制御動作は、プログラムメモリ112Aに格納されたフラグ反転手段522(図5とともに後述する)により実行される。
【0046】
タイマ回路部300nは、図4および図5とともに後述するように、駆動制御用タイマとして使用され、パルス幅変調信号PWMを発生する認証制御用タイマとして使用され、また、エンジンの回転周期T0を測定するために使用される。
【0047】
以下、図1〜図3を参照しながら、タイマ回路部300nの第1の例として、図1内のタイマ回路部300rv(カウンタ回路CNT0)を用いて、エンジンの回転周期T0を測定する際のマイクロプロセッサ110の制御動作について説明する。
【0048】
マイクロプロセッサ110は、まず、リセット出力RSTを生成することにより、計時カウンタ301の計数現在値をリセットしておいてから、クランク角センサ105aの検出信号がLレベルからHレベルに動作した時点で、読出入力端子RDを介して計時カウンタ301の計数現在値を読出す。その直後、再びリセット出力RSTを瞬時発生して計数現在値のリセットする処理を繰返す。この結果、読出入力端子RDからの読込値として、クランク角センサ105aの動作間隔時間(エンジンの回転周期T0)に比例した値が得られる。
【0049】
次に、タイマ回路部300nの第2の例として、図1内のタイマ回路部300ac(カウンタ回路CNT1)を用いて、パルス幅変調信号PWMを生成する際のマイクロプロセッサ110の制御動作について説明する。
【0050】
マイクロプロセッサ110は、まず、タイマ出力部304ac(304n)をリセットして、駆動制御用タイマTIM1(TIMn)の論理出力を「L」とする。続いて、設定出力SETにより、タイマ回路部300ac内の設定値レジスタ302に設定OFF時間(駆動制御用タイマTIM1の論理出力レベルが「L」となっている第1設定時間)を書込む。また、リセット信号RSTにより計時カウンタ301の計数現在値を瞬時リセットし、計時カウンタ301の計時動作を開始させる。
【0051】
その後、計時カウンタ301の計数現在値が増加して、設定値レジスタ302に格納されている設定OFF時間に達すると、比較回路303は、初回の比較一致出力CMPをマイクロプロセッサ110の割込入力端子に入力する。
【0052】
マイクロプロセッサ110は、比較一致出力CMPが生成されると、交互反転フラグからなるタイマ出力部304acの論理出力を「H」に反転させる。続いて、設定出力SETにより設定値レジスタ302に設定ON時間(論理レベルが「H」となっている第2設定時間)を書込む。また、リセット信号RSTにより、計時カウンタ301の計数現在値を瞬時リセットして再度計時動作を開始させる。
【0053】
その後、計時カウンタ301の計数現在値が増加して、設定値レジスタ302に格納されている設定ON時間に達すると、比較回路303は、次回の比較一致出力CMPを発生し、マイクロプロセッサ110は、交互反転フラグからなるタイマ出力部304acの論理出力を再び「L」に反転させる。以下、同様の動作を繰返す。
【0054】
以上の動作は、代表的に、奇数番号の気筒に関するタイマ回路部300ac(カウンタ回路CNT1)およびタイマ出力部304ac(駆動制御用タイマTIM1)を用いてパルス幅変調信号を発生する場合について説明したが、偶数番号の気筒に関するタイマ回路部300bd(カウンタ回路CNT2)およびタイマ出力部304bd(駆動制御用タイマTIM2)を用いてパルス幅変調信号を発生することも可能である。
【0055】
次に、タイマ回路部300nの第3の例として、図1内のタイマ回路部300ac(カウンタ回路CNT1)を用いて、エンジン駆動用機器161Aに対する駆動制御信号を生成する際のマイクロプロセッサ110の制御動作について説明する。
【0056】
マイクロプロセッサ110は、まず、タイマ出力部304acをリセットして論理出力を「L」とし、設定出力SETにより設定値レジスタ302に設定OFF時間(論理レベルが「L」となっている第1設定時間)を書込むとともに、リセット信号RSTを継続発生して、計時用クロック信号113の計数を停止させ、計時カウンタ301の計数現在値をリセット状態に維持させる。
【0057】
その後、エンジン回転にともなってクランク角センサ105aの検出信号の論理レベルが「H」になると、マイクロプロセッサ110は、リセット信号RSTの発生を停止し、計時カウンタ301による計時用クロック信号113の計数を開始させる。
【0058】
この結果、計時カウンタ301の計数現在値が設定値レジスタ302の設定OFF時間に一致した時点で、比較回路303からの初回の比較一致出力CMPがマイクロプロセッサ110の割込入力端子に入力され、マイクロプロセッサ110は、タイマ出力部300acの論理出力を「H」レベルに反転させる。また、設定出力SETにより、設定値レジスタ302に設定ON時間(論理レベルが「H」となっている第2設定時間)を書込むとともに、リセット信号RSTにより、計時カウンタ301の計数現在値を瞬時リセットして計時動作を開始させる。
【0059】
その後、計時カウンタ301の計数現在値が増加して、設定値レジスタ302に格納されている設定ON時間に達すると、比較回路303が次回の比較一致出力CMPを発生する。マイクロプロセッサ110は、比較一致出力CMPに応答して、タイマ出力部304acの論理出力を「L」に復帰反転させる。また、設定出力SETにより、設定値レジスタ302に設定OFF時間(論理レベルが「L」となっている第1設定時間)を書込むとともに、リセット信号RSTを継続発生して、計時用クロック信号113による計数を停止させ、計時カウンタ301の計数現在値をリセット状態に維持する。以下、次回のクランク角センサ105aの検出信号の到来を待機する。
【0060】
なお、タイマ回路部300nを駆動制御用タイマとして使用する場合には、計時カウンタ301を減算カウンタで構成し、設定出力SETにより、計時カウンタ301内の現在値レジスタに計時目標値が設定されればよい。この場合、計時カウンタ301内の現在値レジスタは、設定値レジスタ302として兼用され、比較回路303は、現在値レジスタの値がゼロになったか否かを判定する回路となり、現在値レジスタの値がゼロに達した時点で比較一致出力CMPが生成される。
【0061】
以上の動作は、代表的に、奇数番号の気筒に関するタイマ回路部300ac(カウンタ回路CNT1)およびタイマ出力部304ac(駆動制御用タイマTIM1)の場合について説明したが、偶数番号の気筒に関するタイマ回路部300bd(カウンタ回路CNT2)およびタイマ出力部304bd(駆動制御用タイマTIM2)の場合も同様である。
【0062】
次に、図1に示したこの発明の実施の形態1による動作について概括説明する。
図1において、電源スイッチ103aを閉路すると、電源リレーの出力接点102aが閉路して、車載エンジン制御装置100Aには、車載バッテリ101から電源電圧Vb(たとえば、10V〜16V)が印加され、定電圧電源回路120を介して安定化された制御電源電圧Vcc(=5V)がマイクロプロセッサ110に供給される。
【0063】
マイクロプロセッサ110は、イモビライザ104bを介して、使用された始動用キー103の正当性を認証照合し、続いて、車載センサ群105の動作状態と、プログラムメモリ112Aに格納された入出力制御プログラムとに基づいて、電気負荷群106を制御するとともに、エンジン駆動用機器161Aに対する駆動制御プログラムに基づいて、駆動制御用タイマTIM1、TIM2を動作させる。
【0064】
次に、図1〜図3とともに、図4のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1による認証照合動作および駆動制御動作について説明する。
図4において、ステップ403は、読出確認手段を構成し、ステップ407は、認証照合手段を構成し、ステップ408は、始動停止手段を構成し、ステップ409は、出力禁止手段を構成し、ステップ411は、タイマ出力切換手段を構成している。また、ステップ412ac、412bd、413ac、413bdは、エンジン駆動用機器161Aに対する駆動制御手段421を構成している。
【0065】
図4において、マイクロプロセッサ110が動作開始すると(ステップ400)、まず、ステップ410(後述する)で初回動作完了フラグがセットされているか否かにより、初回動作であるか否かを判定する(ステップ401)。
【0066】
ステップ401において、初回動作である(すなわち、YES)と判定されれば、次のステップ402に移行し、初回動作でない(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ412に移行する。なお、ステップ410でセットされる初回動作完了フラグは、電源投入時にリセットされることにより、電源スイッチ103aの閉路時には、ステップ401において、一旦は必ず「YES」の判定が行われることになる。
【0067】
ステップ402において、マイクロプロセッサ110は、同期信号送信回線11およびデータ通信回線12Aを介して、マイクロプロセッサ110とイモビライザ104bとの間の交信を行い、イモビライザ104bがデータ通信回線12Aを介してマイクロプロセッサ110に送信した交信データDATA(パルス幅変調信号PWMの周波数および振幅の値に関連する)を、イモビライザ情報として受信する。
【0068】
続いて、ステップ402で読出された交信データDATA(要求データ)と、プログラムメモリ112Aに格納されているデータとが一致しているか否かにより、読出情報が正常か否かを判定する(ステップ403)。
【0069】
ステップ403において、読出情報が格納データと一致していて正常である(すなわち、YES)と判定されれば、次のステップ404に移行し、読出情報が格納データと不一致であって異常である(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ408に移行する。
【0070】
ステップ404において、マイクロプロセッサ110は、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルを「L」にして、認証用ゲート回路144の信号通過を可能にするとともに、気筒選択用ゲート回路116a〜116dの論理出力レベルを「L」に固定して、点火/噴射禁止出力を発生することにより、点火コイルまたは燃料噴射用電磁弁からなるエンジン駆動用機器161Aの動作を停止させる。
【0071】
続いて、マイクロプロセッサ110は、タイマ回路部300ac(カウンタ回路CNT1)により構成された駆動制御用タイマTIM1を用いて、パルス幅変調信号PWMを生成するとともに、PWM信号送信回線13を介してイモビライザ104bにパルス幅変調信号PWMを送信するために、タイマ回路部300ac内の計時カウンタ301をリセットし、設定値レジスタ302にOFF時間(設定OFF時間)を設定する(ステップ405)。以下、マイクロプロセッサ110の割込制御動作(図5とともに後述する)により、パルス幅変調信号PWMが生成される。
【0072】
続いて、イモビライザ104bは、マイクロプロセッサ110から受信したパルス幅変調信号PWMの周期に反比例した周波数と、パルス幅変調信号PWMのデューティに比例した振幅と、を有する無線信号を、始動用キー103のトランスポンダ104aに対して送信し、始動用キー103に付与されている暗証番号を読出す。
【0073】
マイクロプロセッサ110は、所定時間の経過後にパルス幅変調信号PWMの送信を停止し、データ通信回線12Aを介して、イモビライザ104bから暗証番号(トランスポンダ情報)を読出す(ステップ406)。
【0074】
続いて、プログラムメモリ112Aに格納されている暗証番号と、ステップ406で読出された暗証番号とが一致しているか否かを判定し(ステップ407)、認証照合が一致する(すなわち、YES)と判定されれば、正当な始動用キー103であると見なして次のステップ410に移行し、認証照合が不一致である(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ408に移行する。
【0075】
なお、正当な暗証番号があらかじめイモビライザ104bに格納されている場合には、イモビライザ104bで認証照合を行い、その判定結果をデータ通信回線12Aを介してマイクロプロセッサ110に送信してもよい。
【0076】
ステップ408(始動停止手段)においては、ステップ403での判定結果が読出異常(すなわち、NO)の場合、または、ステップ407での判定結果が照合不一致(すなわち、NO)の場合に、始動電動機(図示せず)の始動回路を遮断して、エンジン始動を停止させる。
【0077】
また、ステップ408に続いて、駆動制御用タイマTIM1、TIM2の出力信号をリセットして論理出力レベルを「L」に維持することにより、点火/噴射を停止させて(ステップ409)、CPU動作終了処理(ステップ420)に移行し、図4の処理ルーチンを終了する。
【0078】
一方、ステップ407での判定結果が照合一致(すなわち、YES)の場合に実行されるステップ410においては、初回動作完了フラグをセットする。続いて、マイクロプロセッサ110は、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルを「H」にして、認証用ゲート回路144の出力信号の論理レベルを「L」に固定するとともに、気筒選択用ゲート回路116a〜116dの信号通過を可能にして、点火/噴射禁止出力を解除し、点火コイルまたは燃料噴射用電磁弁からなるエンジン駆動用機器161Aの動作を有効にする(ステップ411)。
【0079】
次に、始動電動機によるエンジン始動操作により、後述するステップ512(図5参照)で検出されたエンジンの回転周期T0が、たとえば200ms以下(エンジン回転速度Neが300rpm以上)であるか否かにより、エンジン回転速度Neが所定回転速度に達したか否かを判定する(ステップ412)。
【0080】
ステップ412において、Ne<所定回転速度(すなわち、NO)と判定されれば、駆動制御手段421内のステップ412acに移行し、Ne≧所定回転速度(すなわち、YES)と判定されれば、駆動制御手段421内のステップ413acに移行する。
【0081】
ステップ412acにおいては、駆動制御用タイマTIM1をリセットして、駆動制御用タイマTIM1の論理出力を「L」(出力停止)に維持する。続いて、駆動制御用タイマTIM2をリセットして、駆動制御用タイマTIM2の論理出力を「L」(出力停止)に維持して(ステップ412bd)、CPU動作終了処理(ステップ420)に移行する。
【0082】
一方、ステップ413acにおいては、駆動制御用タイマTIM1の適正値として、図2内の開弁開始時期T11(または、励磁開始時期T13)の適正値と、開弁期間T12(または、励磁期間T14)の適正値とを算出する。続いて、駆動制御用タイマTIM2の適正値として、図2内の開弁開始時期T21(または、励磁開始時期T23)の適正値と、開弁期間T22(または、励磁期間T24)の適正値とを算出して(ステップ413bd)、CPU動作終了処理(ステップ420)に移行する。
【0083】
なお、駆動制御手段421内のステップ413ac、413bdで算出された設定OFF時間および設定ON時間は、図5とともに後述する時期に、タイマ回路部300ac、300bd内の各設定値レジスタ302に転送書込みされる。
【0084】
また、ステップ413ac、413bdで算出された適正値は、たとえばエンジン駆動用機器161Aが点火コイルの着火時期である場合には、主として、燃料噴射量に関連する燃料の燃焼所要時間と、点火コイルに所定励磁電流を流すのに必要な時間とを考慮して、点火コイルを励磁開始して適切な(上死点前の)クランク角度で励磁遮断して着火を行うものであるとともに、ノックセンサ(図示せず)の検出信号に応じて点火時期が帰還調整される。
【0085】
また、エンジン駆動用機器161Aが燃料噴射用電磁弁の適切な開弁期間(燃料噴射量に対応)である場合には、主として、エアフローセンサ(図示せず)によって検出された吸気量に比例した所要給燃量と、気筒圧および燃料圧に関連する開弁期間とを確保して、しかも燃料の点火前供給を完了するように開弁時期が決定されるとともに、空燃比センサ(図示せず)の検出信号に応じて開弁期間が帰還調整される。
【0086】
ステップ409、412bd、413bdに続いて実行される動作終了ステップ420においては、動作待機して他の制御プログラムを実行して、少なくとも演算周期(たとえば、10ms)後には、再度動作開始ステップ400に移行するようになっている。なお、演算周期(=10ms)は、6000rpmで回転しているエンジンが1回転するのに要する時間である。
【0087】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1による割込制御動作について説明する。
図5において、ステップ505、507、512a、515は、動作時間設定手段521を構成し、ステップ506、508、516、518は、フラグ反転手段522を構成している。
【0088】
図5において、マイクロプロセッサ110は、クランク角センサ105aからの検出信号またはタイマ回路部300nからの比較一致出力CMPによる割込動作指令が、割込入力端子に入力されたときに、入力割込動作を開始する(ステップ500)。
【0089】
まず、マイクロプロセッサ110は、現在の動作状態を一時的に退避して演算退避状態とし、ステップ520(後述する)が実行されたときに、元の制御フローに復帰して演算を継続するように現状記憶する(ステップ501)。
【0090】
続いて、図4内のステップ410で初回動作完了フラグのセットが完了したか否かを判定し(ステップ502)、初回動作完了フラグのセットが未完了(すなわち、NO)と判定されれば、次のステップ503に移行し、初回動作完了フラグのセットが完了している(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ510に移行する。
【0091】
ステップ503においては、パルス幅変調信号PWMを生成するカウンタ回路CNT1に対応したタイマ回路部300ac(図3内でタイマ回路部300nと代表記載されている)の比較一致出力CMPの論理レベルが「H」になったか否かを判定する。
【0092】
ステップ503において、比較一致出力CMPが「H」になった(すなわち、YES)と判定されれば、次のステップ504に移行し、比較一致出力CMPが「L」である(すなわち、NO)と判定されれば、復帰処理(ステップ520)に移行して、図5の割込制御ルーチンを終了する。なお、比較一致出力CMPは、図4内のステップ405で計時カウンタ301が計時開始したことに基づいている。
【0093】
ステップ504においては、タイマ出力部304ac(図3内で304nと代表記載されている)に出力論理レベル(交互反転フラグからのパルス幅変調信号PWMの論理出力)が「H」であるか否かを判定する。
【0094】
ステップ504において、タイマ出力部304acの出力信号の論理レベルが「H」である(すなわち、YES)と判定されれば、動作時間設定手段521内のステップ505に移行し、論理レベルが「L」である(すなわち、NO)と判定されれば、動作時間設定手段521内のステップ507に移行する。
【0095】
動作時間設定手段521内のステップ505においては、設定出力SETにより、設定値レジスタ302にOFF時間を設定する。続いて、フラグ反転手段522内のステップ506に移行し、タイマ出力部304acを瞬時リセットして、論理出力を「L」に反転させる。
【0096】
一方、動作時間設定手段521内のステップ507においては、設定出力SETにより設定値レジスタ302にON時間(設定ON時間)を設定する。続いて、フラグ反転手段522内のステップに移行し、タイマ出力部304acを瞬時セットして、論理出力を「H」に反転させる。
【0097】
フラグ反転手段522内のステップ506、508に続くステップ509においては、計時カウンタ301の計数現在値を瞬時リセットし、復帰処理(ステップ520)に移行する。これにより、動作時間設定手段521内のステップ505または507で設定されたOFF時間またはON時間の計時が開始されて、図5の割込制御ルーチンを終了する。
【0098】
その後、ステップ505または507で設定されたOFF時間またはON時間に達すると、タイマ回路部300acが比較一致出力CMPを発生して、再び入力割込動作開始ステップ500が活性化され、図5内のステップ503〜509の一連動作により、タイマ出力部304acの論理出力が交互に反転動作する。このとき、タイマ出力部304acの論理レベルが「L」となっている第1設定時間は、ステップ505で設定されたOFF時間により決定され、タイマ出力部304acの論理レベルが「H」となっている第2設定時間は、ステップ507で設定されたON時間により決定される。
【0099】
一方、ステップ502の判定結果が初回動作完了(すなわち、YES)と判定された場合に実行されるステップ510においては、クランク角センサ105aの検出信号(L→H)による割込動作開始であるか否かを判定する。ステップ502において、クランク角センサ105aの検出信号がLレベルからHレベルに動作したことによる割込動作開始である(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ511に移行し、クランク角センサ105aの検出信号が動作(L→H)したことによる割込動作開始ではない(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ513に移行する。
【0100】
ステップ511においては、回転周期T0を測定するためのタイマ回路部300rv(カウンタ回路CNT0)の計数現在値を読出して、現在値レジスタを瞬時リセットする。続いて、動作時間設定手段521内のステップ512aに移行し、タイマ回路部300acおよびタイマ回路部300bd(カウンタ回路CNT1、CNT2)内の設定値レジスタ302に対して、図4内のステップ413ac、413bdで算出した設定ON/OFF時間のうちのOFF時間を設定する。
【0101】
続いて、タイマ出力部304ac、304bd(駆動制御用タイマTIM1、TIM2)内およびタイマ回路部300ac、300bd(カウンタ回路CNT1、CNT2)内の現在値レジスタを瞬時リセットするか、または、ステップ518、519(後述する)により継続リセットされていた状態を解除し(ステップ512b)、復帰処理(ステップ520)に移行する。
【0102】
一方、ステップ510の判定結果がクランク角センサ105aによる割込みでない(すなわち、NO)と判定された場合に実行されるステップ513においては、タイマ回路部300ac、300bdが発生する比較一致出力CMP(Hレベル)による割込みか否かを判定する。
【0103】
ステップ513において、比較一致出力CMP(Hレベル)による割込みである(すなわち、YES)と判定されれば、次のステップ514に移行し、比較一致出力CMP(Hレベル)による割込みでない(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに復帰処理(ステップ520)に移行する。
【0104】
ステップ514においては、タイマ出力部304ac、304bd(駆動制御用タイマTIM1、TIM2)の出力信号(交互反転フラグ)の論理レベルが「L」であるか否かを判定する。ステップ514において、交互反転フラグの論理レベルが「L」である(すなわち、YES)と判定されれば、動作時間設定手段521内のステップ515に移行し、交互反転フラグの論理レベルが「L」でない(すなわち、NO)と判定されれば、フラグ反転手段522内のステップ518に移行する。
【0105】
動作時間設定手段521内のステップ515においては、タイマ回路部300acまたは300bd内の設定値レジスタ302に対して、図4内のステップ413acまたは413bdで算出した設定ON/OFF時間のうちのON時間を設定する。このとき、ON時間の設定対象となるタイマ回路部300ac、300bdの区別は、ステップ513で判定された比較一致出力CMPが、タイマ回路部300ac、300bdのどちらの出力であったかにより決定される。
【0106】
続いて、フラグ反転手段522内のステップ516に移行し、タイマ出力部304acまたは304bd内の交互反転フラグを瞬時セットして、論理出力レベルを「H」に反転セットする。このとき、交互反転フラグの「H」への瞬時セットの対象となるタイマ出力部304ac、304bdの区別は、ステップ513で判定された比較一致出力CMPがどちらの出力であったかにより決定される。
【0107】
続いて、タイマ回路部300acまたは300bd(カウンタ回路CNT1、CNT2)の現在値レジスタを瞬時リセットして(ステップ517)、復帰処理(ステップ520)に移行する。このとき、瞬時リセットの対象となるタイマ回路部300ac、300bdの区別は、ステップ513で判定された比較一致出力CMPがどちらの出力であったかにより決定される。
【0108】
一方、ステップ514で交互反転フラグが「H」(すなわち、NO)と判定された場合に実行されるフラグ反転手段522内のステップ518においては、タイマ出力部304acまたは304bdの交互反転フラグを継続的にリセットして、論理出力レベルを「L」に反転維持する。このとき、交互反転フラグの「L」への継続リセットの対象となるタイマ出力部304ac、304bdの区別は、ステップ513で判定された比較一致出力CMPがどちらの出力であったかにより決定される。
【0109】
続いて、タイマ回路部300acまたは300bdの現在値レジスタを継続的にリセットして(ステップ519)、復帰処理(ステップ520)に移行する。このとき、現在値レジスタの継続リセットの対象となるタイマ回路部300ac、300bdの区別は、ステップ513で判定された比較一致出力CMPがどちらの出力であったかにより決定される。
【0110】
以上の動作を整理して概括説明すると、図5内のステップ503〜509の一連処理は、パルス幅変調信号PWMの発生手段として機能する。これにより、マイクロプロセッサ110内のタイマ出力部304acは、ステップ505、507により交互に書込まれるパルス幅変調信号PWM(論理「L」のOFF時間と、論理「H」のON時間とからなる)を発生する。パルス幅変調信号PWMは、図1内の認証用ゲート回路144、ドライバ回路145a、PWM信号送信回線13およびレシーバ回路145bを介して、イモビライザ104bに送信される。
【0111】
また、ステップ510〜512bの一連処理においては、図3内のタイマ回路部300rvの計数現在値を読出して、エンジンの回転周期T0を測定してから、計数現在値を初期化するとともに、クランク角センサ105aの動作と同期して、タイマ回路部300ac、300bdのOFF時間設定および初期化再起動を行う。
【0112】
また、ステップ513〜517の一連処理においては、タイマ回路部300ac、300bdのうち、比較一致出力CMPを発生した方の論理出力を「H」に反転させ、ON時間を設定して、計時カウンタ301の計数現在値をリセットしてON時間の計時を開始させる。
【0113】
さらに、ステップ513〜519の一連処理においては、タイマ回路部300ac、300bdのうち、比較一致出力CMPを発生した方の論理出力を「L」に反転復帰させ、再度クランク角センサ105aが動作するまでタイマ出力部304nの論理出力を「L」に維持し、計時カウンタ301の計数現在値をリセットして計時動作を停止させる。
【0114】
以上のように、この発明の実施の形態1による車載エンジン制御装置100Aは、車載バッテリ101から給電され、燃料噴射用電磁弁および点火コイルの少なくとも一方からなるエンジン駆動用機器161Aに対する駆動制御手段421と、始動用キー103に対する認証照合手段(ステップ407)となる制御プログラムを格納したプログラムメモリ112Aと、プログラムメモリ112Aと協働するマイクロプロセッサ110とを備え、始動用キー103に設けられたトランスポンダ104aを介して始動用キー103の暗証番号を無線信号で読出すイモビライザ104bが接続されている。
【0115】
また、マイクロプロセッサ110は、複数のタイマ回路部300ac、300bd(カウンタ回路CNT1、CNT2)およびタイマ出力部304ac、304bd(駆動制御用タイマTIM1、TIM2)を備え、プログラムメモリ112Aは、タイマ回路部300ac、300bdに対する動作時間設定手段521およびタイマ出力切換手段(ステップ411)となる制御プログラムを含む。
【0116】
タイマ回路部300ac、300bdは、計時用クロック信号113を計数する計時カウンタ301と、設定値レジスタ302と、計時カウンタ301の計数現在値が設定値レジスタ302に格納された目標設定値に達したときに比較一致出力CMPを発生してタイマ出力部304nを駆動する比較回路303とにより構成されている。
【0117】
タイマ出力部304ac、304bdは、マイクロプロセッサ110によって設定値レジスタ302に可変設定される所定のON時間およびOFF時間に対応した論理出力を発生する出力回路からなる。
【0118】
動作時間設定手段521は、設定値レジスタ302に対してOFF時間データまたはON時間データを転送格納するとともに、計時開始時には、計時カウンタ301の計数現在値をリセットする。
【0119】
認証照合手段407は、マイクロプロセッサ110から送信されるパルス幅変調信号PWMの周期およびデューティに対応した、周波数および振幅を有する無線信号によって暗証番号の読出しを行い、読出した暗証番号が、プログラムメモリ112Aまたはイモビライザ104bにあらかじめ格納されている正解暗証番号と一致しているか否かの認証判定を行う。
【0120】
パルス幅変調信号PWMは、タイマ回路部300ac、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304acにより生成されて、所定のOFF時間およびON時間を有する連続したパルス信号からなる。
【0121】
タイマ出力切換手段411は、認証判定結果が一致判定の場合に、タイマ出力切換指令信号INHBを発生して、パルス幅変調信号PWMを生成するために使用されたタイマ回路部300acを駆動制御用タイマTIM1として切換え使用する。
【0122】
駆動制御用タイマTIMnの出力信号は、タイマ回路部300ac、300bdと、動作時間設定手段521と、タイマ出力部304ac、304bdとにより生成され、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生し、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にタイマ出力を停止する。これにより、駆動制御用タイマTIMnのタイマ出力によってエンジン駆動用機器161Aが駆動され、タイマ回路部300ac、300bdの1つが、認証照合手段407および駆動制御手段421の中で選択切換え使用されるとともに、認証照合の結果として一致判定が得られるまでは、駆動制御手段421への選択切換えが行われず、駆動制御手段421の出力信号の発生が禁止される。
【0123】
また、タイマ出力部304ac、304bdは、プログラムメモリ112Aに格納されたフラグ反転手段522により生成される。動作時間設定手段521は、設定値レジスタ302に対してOFF時間データまたはON時間データを交互に転送格納するとともに、計時開始時には計時カウンタ301の計数現在値をリセットする。
【0124】
フラグ反転手段522は、計時カウンタ301の比較回路303が比較一致出力CMPを発生するごとに論理出力を反転させ、OFF時間の設定期間では論理レベルが「L」の出力信号を発生し、ON時間の設定期間では論理レベルが「H」の出力信号を発生するフラグをタイマ出力とする。このとき、計時用クロック信号113を高速計数する計時カウンタ301を用いて、マイクロプロセッサ110の制御負担を軽減するとともに、高精度なタイマが得られる。また、マイクロプロセッサ110の入力割込制御によってタイマ出力部が生成されているので、タイマ回路部300nの構成が簡略化されて安価となる。
【0125】
また、パルス幅変調信号PWMの周期およびデューティの値は、プログラムメモリ112Aとイモビライザ104bとの両方に格納されているとともに、プログラムメモリ112Aは、読出確認手段(ステップ403)となる制御プログラムを含む。
【0126】
プログラムメモリ112A内の読出確認手段403は、あらかじめイモビライザ104bに格納されている周期およびデューティを読出し、マイクロプロセッサ110は、読出データがプログラムメモリ112Aに格納されている正解データと一致した場合に、パルス幅変調信号PWMを送信する。したがって、不正なイモビライザの使用を防止することができる。
【0127】
また、駆動制御用タイマTIM1は、タイマ回路部300ac、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304acにより構成され、エンジンの点火コイルに対する通電指令を行い、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生して、点火コイルに対する励磁を開始し、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後に、タイマ出力を停止する。これにより、点火コイルの励磁が遮断されて、着火が行われる。したがって、クランク角センサ105aの動作と同期して動作開始する点火制御用の駆動制御用タイマの動作開始指令を変更することにより、簡単にパルス幅変調信号PWMを生成することができる。
【0128】
また、駆動制御用タイマTIM1の出力信号は、隣接する点火気筒を弁別するゲート回路116a、116cを介して、複数の気筒に順次分配供給され、点火順序が奇数番号の気筒に対しては、1個のタイマ回路部300acが使用されている。点火順序が偶数番号の気筒に対しては、他の1個のタイマ回路部300bdによる第2の駆動制御用タイマTIM2とが使用される。第2の駆動制御用タイマTIM2の出力信号は、隣接する点火気筒を弁別するゲート回路116b、116dを介して、複数の気筒に順次分配供給される。したがって、一方の駆動制御用タイマが使用されているときには、他方の駆動制御用タイマの設定時間をあらかじめ演算しておくことにより、遅滞なく次に動作する駆動制御用タイマの時間設定を行うことができる。
【0129】
また、駆動制御用タイマTIM1の出力信号は、タイマ回路部300ac、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304acにより生成されて、燃料噴射用電磁弁に対する通電指令を行い、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後に、タイマ出力を発生して燃料噴射用電磁弁の開弁駆動を行い、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後に、タイマ出力を停止して燃料噴射用電磁弁の閉弁復帰を行う。これにより、タイマ出力によって給燃時期および給燃期間が決定されるので、クランク角センサ105aの動作と同期して動作開始する燃料噴射制御用の駆動制御用タイマの動作開始指令を変更することにより、簡単にパルス幅変調信号PWMを生成することができる。
【0130】
また、駆動制御用タイマTIM1の出力信号は、隣接噴射気筒を弁別するゲート回路116a、116cを介して、複数の気筒に順次分配供給され、燃料噴射順序が奇数番号の気筒に対して1個のタイマ回路部300acが使用されている。燃料噴射順序が偶数番号の気筒に対しては、他の1個のタイマ回路部300bdによる第2の駆動制御用タイマTIM2とが使用される。第2の駆動制御用タイマTIM2の出力信号は、隣接噴射気筒を弁別するゲート回路116b、116dを介して、複数の気筒に順次分配供給される。したがって、一方の駆動制御用タイマが使用されているときには、他方の駆動制御用タイマの設定時間をあらかじめ演算しておくことにより、遅滞なく次に動作する駆動制御用タイマの時間設定を行うことができる。
【0131】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、言及しなかったが、図6に示すように、エンジンの始動用キー103および始動電動機108に関連して、直列開閉素子130および補助開閉素子137をさらに設けてもよい。
【0132】
以下、図6の回路ブロック図を参照しながら、この発明の実施の形態2について説明する。なお、図6においては、図1で省略されていた始動電動機108の制御回路を中心に示している。また、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付している。さらに、他の構成および動作については、前述のとおりであり、図2〜図5をそのまま適用することができる。
【0133】
図6において、エンジン駆動用機器161Bを制御するエンジン制御装置100Bには、電源リレー102の出力接点102aを介して車載バッテリ101が接続されている。電源リレー102の励磁コイル102bは、駆動トランジスタ121(後述する)により駆動される。エンジン制御装置100Bに接続された電源スイッチ103aは、始動用キー103の操作位置(第1の回動位置から第3の回動位置)に応動して閉路され、始動スイッチ103bは、始動用キー103の第3の回動位置に応動して閉路される。イモビライザ104bは、始動用キー103に付加された暗証番号(固有コード)を読み取って、マイクロプロセッサ110に入力する。
【0134】
また、エンジン制御装置100Bには、駐車スイッチ109および電磁リレー107を介して、始動電動機108が接続されている。始動電動機108は、エンジン始動時に電磁リレー107の出力接点107aを介して、車載バッテリ101から給電され、電磁押し出し機構(図示せず)により、エンジンのリングギア(図示せず)に係合して、エンジンを回転駆動する。
【0135】
電磁リレー107の励磁コイル107bは、車両のシフトレバーが駐車位置にあるときに閉路する駐車スイッチ109と、直列開閉素子130(後述する)とを介して、給電付勢される。
【0136】
エンジン制御装置100Bの内部構成として、マイクロプロセッサ110は、演算処理用のRAMメモリ111およびプログラムメモリ112B(たとえば、不揮発フラッシュメモリ)と協働するように、各メモリと互いにバス接続されている。
【0137】
プログラムメモリ111Bには、車載エンジン制御装置100Bとして機能するための入出力制御プログラムが格納されるとともに、前述(図4、図5参照)の認証照合手段407、タイマ出力切換手段411、駆動制御手段421および動作時間設定手段521となる制御プログラムや、暗証番号の照合用の固有コードデータが格納されている。また、マイクロプロセッサ110には、前述(図3参照)と同様のタイマ回路部300nが接続されており、マイクロプロセッサ110は、タイマ回路部300nによって駆動されるタイマ出力部304nを備えている。
【0138】
定電圧電源回路(制御電源ユニットPSU)120は、電源リレー102の出力接点102aから給電され、車載バッテリ101の電源電圧Vb(=10V〜16V)に基づいて制御電圧Vcc(=5V)を発生し、マイクロプロセッサ110を含む車載エンジン制御装置100B内の各部に安定化電圧を供給する。
【0139】
励磁コイル102bを付勢する駆動トランジスタ121は、電源スイッチ103aから、互いに直列接続された駆動抵抗122a、122bおよびダイオード122cを介して、ベース電流が供給されて導通し、電源リレー102の出力接点102aを閉路する。
【0140】
なお、出力接点102aが閉路して定電圧電源回路120に給電が行われ、マイクロプロセッサ110が動作を開始すると、マイクロプロセッサ110が発生する自己保持駆動指令DRから、自己保持駆動抵抗123aおよびダイオード123bを介して、駆動トランジスタ121のベース電流が供給されるので、その後は、電源スイッチ103aが開路しても電源リレー102の付勢動作が継続され、マイクロプロセッサ110が自己保持駆動指令DRを停止した時点で、電源リレー102は消勢される。
【0141】
反転論理素子124は、駆動抵抗122a、122bの接続点の電位の大/小、すなわち、電源スイッチ103aのON/OFFに応じて、論理レベルが「L」/「H」となる電源投入モニタ信号PWSを発生して、マイクロプロセッサ110に入力する。
【0142】
Pチャンネル型の電界効果トランジスタからなる直列開閉素子130は、ソース端子が、始動スイッチ103bを介して車載バッテリ101に接続され、ドレイン端子が、駐車スイッチ109を介して励磁コイル107bに接続され、ゲート端子が、開路安定抵抗132と導通駆動抵抗133との接続点に接続されている。
【0143】
開路安定抵抗132は、直列開閉素子130のソース端子とゲート端子との間に接続されている。直列開閉素子130のゲート端子は、導通駆動抵抗133および導通駆動トランジスタ134を介して、グランド回路に接続されている。NPN型トランジスタからなる導通駆動トランジスタ134は、始動スイッチ103bから、始動抵抗135を介してベース電流が供給されて導通し、直列開閉素子130を介して電磁リレー107を付勢する。
【0144】
転流ダイオード131は、駐車スイッチ109および励磁コイル107bからなる直列回路に対して並列接続されている。始動抵抗135に接続された安定抵抗136は、導通駆動トランジスタ134のベース端子とエミッタ端子との間に接続されている。
【0145】
補助開閉素子137は、導通駆動トランジスタ134のベース端子とエミッタ端子との間に接続された禁止トランジスタからなり、マイクロプロセッサ110が発生する導通禁止指令出力STPから、ベース抵抗138を介して駆動される。補助開閉素子137(禁止トランジスタ)は、暗証番号が不一致の場合またはエンジンが回転中の場合には、導通禁止指令出力STPにより導通されて、導通駆動トランジスタ134を不導通にすることによって、電磁リレー107を消勢する。なお、マイクロプロセッサ110が不作動状態の場合には、プルダウン抵抗139によって補助開閉素子137が不導通となる。
【0146】
次に、図6に示したこの発明の実施の形態2の動作について説明する。
図6において、電源スイッチ103aが閉路されると、駆動抵抗122a、122bおよびダイオード122cを介して、駆動トランジスタ121が導通し、電源リレー102が付勢されて出力接点102aが閉路され、車載エンジン制御装置100Bに給電が行われる。
【0147】
この結果、マイクロプロセッサ110が動作を開始して自己保持駆動指令DRを発生し、自己保持駆動抵抗123aおよびダイオード123bにより駆動トランジスタ121の導通が維持される。また、始動スイッチ103bが閉路すると、直列開閉素子130および駐車スイッチ109を介して、電磁リレー107が付勢されて始動電動機108が回転を開始する。
【0148】
このとき、車載バッテリ101の充電状態が悪く、かつ環境温度が低い場合には、始動電動機108への給電開始にともなって、車載バッテリ101の出力電圧が異常低下するので、マイクロプロセッサ110は、通常では動作不能状態に陥る可能性があるが、たとえこのような劣悪状態であっても、直列開閉素子130の導通は維持される。その後、始動電動機108の回転が上昇して負荷電流が減少すると、車載バッテリ101の出力電圧が異常低下状態から回復して、マイクロプロセッサ110は、問題なく動作可能な状態になる。
【0149】
このような動作状態でイモビライザ104bによる認証照合が行われ、照合結果が一致判定であれば、通常の点火制御や燃料噴射制御が開始して、エンジンが自立回転するようになる。その後、エンジン回転が十分に高くなれば、マイクロプロセッサ110から禁止指令出力STPが発生することにより、補助開閉素子137が導通し、導通駆動トランジスタ134および直列開閉素子130が開路して、始動電動機108の過回転を停止させる。
【0150】
一方、イモビライザ104bによる認証照合の判定結果が照合不一致であれば、点火制御や燃料噴射制御が開始することはなく、直ちにマイクロプロセッサ110から禁止指令出力STPが発生して、補助開閉素子137が導通し、導通駆動トランジスタ134および直列開閉素子130が開路して、始動電動機108の継続回転を禁止させる。これにより、始動電動機108を動力源とした車両の移動動作を禁止することができる。
【0151】
以上のように、この発明の実施の形態2による車載エンジン制御装置100Bは、前述の実施の形態1と同様に、車載バッテリ101から給電され、燃料噴射用電磁弁および点火コイルの少なくとも一方からなるエンジン駆動用機器161Bに対する駆動制御手段421と、始動用キー103に対する認証照合手段(ステップ407)となる制御プログラムを格納したプログラムメモリ112Bと、プログラムメモリ112Bと協働するマイクロプロセッサ110とを備えるとともに、始動用キー103に設けられたトランスポンダ104aを介して始動用キー103の暗証番号を無線信号で読出すイモビライザ104bが接続されている。
【0152】
また、マイクロプロセッサ110は、複数のタイマ回路部300nおよびタイマ出力部304nを備え、プログラムメモリ112Bは、タイマ回路部300nに対する動作時間設定手段521およびイマ出力切換手段(ステップ411)となる制御プログラムを含む。タイマ回路部300nは、計時用クロック信号113を計数する計時カウンタ301と、設定値レジスタ302と、計時カウンタ301の計数現在値が設定値レジスタ302に格納された目標設定値に達したときに比較一致出力CMPを発生してタイマ出力部304nを駆動する比較回路303とにより構成されている。
【0153】
タイマ出力部304nは、マイクロプロセッサ110により設定値レジスタ302に可変設定される所定のON時間およびOFF時間に対応した論理出力を発生する出力回路からなる。動作時間設定手段521は、設定値レジスタ302に対してOFF時間データまたはON時間データを転送格納するとともに、計時開始時には計時カウンタ301の計数現在値をリセットする。
【0154】
認証照合手段407は、マイクロプロセッサ110から送信されるパルス幅変調信号PWMの周期およびデューティに対応した、周波数および振幅を有する無線信号により暗証番号の読出しを行い、読出した暗証番号がプログラムメモリ112Bまたはイモビライザ104bにあらかじめ格納されている正解暗証番号と一致しているか否かの認証判定を行う。パルス幅変調信号PWMは、タイマ回路部300n、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304nにより生成されて、所定のOFF時間およびON時間を有する連続したパルス信号からなる。
【0155】
タイマ出力切換手段411は、認証判定結果が一致判定の場合に、タイマ出力切換指令信号INHBを発生して、パルス幅変調信号PWMの生成に使用されたタイマ回路部300nを駆動制御用タイマTIM1として切換え使用する。駆動制御用タイマTIMnは、タイマ回路部300n、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304nにより構成され、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生し、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にマイマ出力を停止する。タイマ出力によってエンジン駆動用機器161Bが駆動され、タイマ回路部300nの1つが、認証照合手段407および駆動制御手段421の中で選択切換え使用されるとともに、認証照合の結果として一致判定が得られるまでは、駆動制御手段421への選択切換えが行われず、駆動制御手段421の出力発生が禁止される。
【0156】
また、駆動制御用タイマTIM1は、タイマ回路部300n、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304nにより構成され、エンジンの点火コイルに対する通電指令を行い、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生して点火コイルに対する励磁を開始し、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にマイマ出力を停止して点火コイルの励磁を遮断させて着火を行う。したがって、クランク角センサ105aの動作と同期して動作開始する点火制御用の駆動制御用タイマの動作開始指令を変更することにより、簡単にパルス幅変調信号PWMを生成することができる。
【0157】
また、駆動制御用タイマTIM1は、タイマ回路部300n、動作時間設定手段521およびタイマ出力部304nにより構成され、燃料噴射用電磁弁に対する通電指令を行い、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生して燃料噴射用電磁弁の開弁駆動を行い、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にタイマ出力を停止して燃料噴射用電磁弁の閉弁復帰を行う。これにより、タイマ出力によって給燃時期および給燃期間が決定されるので、クランク角センサ105aの動作と同期して動作開始する燃料噴射制御用の駆動制御用タイマの動作開始指令を変更することにより、簡単にパルス幅変調信号PWMを生成することができる。
【0158】
また、車載エンジン制御装置100Bは、直列開閉素子130および補助開閉素子137を備え、直列開閉素子130は、車載バッテリ101と始動電動機108とを接続する電磁リレー107の励磁コイル107bに対して直列接続され、始動スイッチ103bの閉路時に導通してエンジンの始動を行う。
【0159】
補助開閉素子137は、認証照合手段407による判定結果が比較不一致であった場合に応動して、直列開閉素子130の導通を禁止する。また、補助開閉素子137は、マイクロプロセッサ110の不作動状態においては直列開閉素子130の導通を阻害しない関係にバイアス付勢されている。
【0160】
したがって、エンジンの寒冷始動において、始動電動機108が回転上昇するまでの過大始動電流によって車載バッテリ101の電圧が異常低下して、車載エンジン制御装置100Bが作動不能となっても、始動電動機108の回転を持続することができる。
また、始動電動機108の回転上昇にともなって始動電流が減少し、車載バッテリ101の出力電圧が回復することにより、車載エンジン制御装置100Bが動作を開始し、認証照合結果が正常であれば、点火制御や燃料噴射制御が開始してエンジンが自立回転することができる。一方、認証照合が不一致であれば、エンジンの点火制御や燃料噴射制御を停止させるとともに、始動電動機108も停止させるので、始動電動機108を動力源とした車両移動も不可能となり不正な運転を防止することができる。
【0161】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図3参照)では、タイマ回路部300n内に単一の設定値レジスタ302を設けたが、図8に示すように、タイマ回路部800n内に2個の設定値レジスタ802a、802bおよび比較回路803a、803bを設けてもよい。
【0162】
以下、図7の回路ブロック図および図8のブロック図を参照しながら、この発明の実施の形態3について、主に図1との相違点を中心に注目して説明する。
図7において、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「C」を付している。
【0163】
なお、図7における図1との主な相違点は、イモビライザ104cに対するデータ通信回線12CがPWM信号送信回線を兼用した共用化回線からなる点、エンジン駆動用機器161Cが点火コイルおよび燃料噴射用電磁弁を併用している点、および、タイマ回路部800n(図8参照)の構成が異なる点である。
【0164】
図7において、車載エンジン制御装置100Cには、電源リレーの出力接点102aを介して、車載バッテリ101が接続されている。始動用キー103には、始動用キー103に付加された暗証番号を送信するためのトランスポンダ104aが一体化されており、トランスポンダ104aは、キースイッチ本体104内のイモビライザ104cとの間で無線交信を行う。イモビライザ104cは、車載エンジン制御装置100Cとデータ通信回線12Cを介して接続され、始動用キー103に付加された暗証番号を読み取ってマイクロプロセッサ110Cに入力する。
【0165】
エンジン駆動用機器161C(第1のエンジン駆動用機器)は、燃料噴射用電磁弁(または、点火コイル)からなるエンジン駆動用機器161ac、161bdにより構成され、駆動制御用タイマTIM1、TIM2の出力信号により、増幅出力回路160を介して駆動される。
【0166】
エンジン駆動用機器171C(第2のエンジン駆動用機器)は、点火コイル(または、燃料噴射用電磁弁)からなるエンジン駆動用機器171ac、171bdにより構成され、駆動制御用タイマTIM3、TIM4の出力信号により、増幅出力回路170を介して駆動される。エンジン駆動用機器161C、171Cは、どちらか一方が燃料噴射用電磁弁であって、他方が点火コイルとなる。
【0167】
車載エンジン制御装置100Cの主要部を構成するマイクロプロセッサ110Cは、演算処理用のRAMメモリ111、プログラムメモリ112C(たとえば、不揮発フラッシュメモリ)、および、図示しない多チャンネルAD変換器などと協働して動作し、車載センサ群105に含まれるアナログセンサの検出信号は、多チャンネルAD変換器を介して取り込まれる。
【0168】
プログラムメモリ112Cには、車載センサ群105および電気負荷群106に関する入出力制御プログラムが格納されるとともに、駆動制御用タイマTIM1〜TIM4によりエンジン駆動用機器161C、171Cに対する駆動制御指令を供給するための制御プログラムが格納されている。
【0169】
気筒選択用ゲート回路116a〜116dは、エンジン駆動用機器161ac、161bdを駆動するための増幅出力回路160の入力部に接続された論理積素子であり、各論理積素子の入力端子には、タイマ出力切換指令信号INHBが入力されている。また、気筒選択用ゲート回路116a、116cには、駆動制御用タイマTIM1の出力信号が入力され、気筒選択用ゲート回路116b、116dには、駆動制御用タイマTIM2の出力信号が入力され、気筒選択用ゲート回路116a〜116dには、図1の場合と同様に、気筒選択用ゲート信号OP1〜OP4がそれぞれに入力されている。
【0170】
気筒選択用ゲート回路117a〜117dは、エンジン駆動用機器171ac、171bdを駆動するための増幅出力回路170の入力部に接続された論理積素子であり、各論理積素子の入力端子には、タイマ出力切換指令信号INHBが入力されている。また、気筒選択用ゲート回路117a、117cには、駆動制御用タイマTIM3の出力信号が入力され、気筒選択用ゲート回路117b、117dには、駆動制御用タイマTIM4の出力信号が入力され、気筒選択用ゲート回路117a〜117dには、それぞれ、気筒選択用ゲート信号OP1〜OP4が接続されている。
【0171】
なお、マイクロプロセッサ110Cが発生するタイマ出力切換指令信号INHBは、始動用キー103の認証照合結果が正当判定であった場合に論理レベルが「H」となり、エンジン駆動用機器161Cに対する駆動指令を有効にする。
【0172】
駆動制御用タイマTIM1〜TIM4の出力信号は、図2とともに前述したとおり、クランク角センサ105aが動作してから、可変の第1設定時間の経過後に論理レベルが「H」となって、エンジン駆動用機器161C、171Cを駆動するとともに、可変の第2設定時間の経過後に論理レベルが「L」に復帰して、エンジン駆動用機器161C、171Cの駆動を停止する。
【0173】
気筒選択用ゲート信号OP1〜OP4は、燃料噴射および点火が行われる気筒を順次選択して、各気筒のエンジン駆動用機器161ac、161bd、171ac、171bdが動作している期間において、論理レベルが「H」となる。なお、少なくともクランク角センサ105aが動作するごとに、気筒選択用ゲート信号OP1と気筒選択用ゲート信号OP3とが交互に論理反転し、気筒選択用ゲート信号OP2と気筒選択用ゲート信号OP4とが交互に論理反転する。したがって、気筒選択用ゲート信号OP1、OP3の論理レベルが同時に「H」になることはなく、同様に、気筒選択用ゲート信号OP2、OP4の論理レベルが同時に「H」になることはない。
【0174】
マイクロプロセッサ110Cが発生する同期用クロック信号CLKは、車載エンジン制御装置100C内のドライバ回路141aと、外部配線である同期信号送信回線11と、キースイッチ本体104内のレシーバ回路141bとを介して、イモビライザ104cに供給される。
【0175】
マイクロプロセッサ110Cとイモビライザ104cとの間の交信データDATAは、車載エンジン制御装置100C内のドライバ回路142aと、データ通信回線12Cと、キースイッチ本体104内のレシーバ回路142bとを介して、イモビライザ104cに送信されるとともに、イモビライザ104cから、キースイッチ本体104内のドライバ回路143bと、データ通信回線12Cと、車載エンジン制御装置100C内のレシーバ回路143aとを介して、マイクロプロセッサ110Cに送信される。
【0176】
認証用ゲート回路144は、駆動制御用タイマTIM1とタイマ出力切換指令信号INHBの反転論理信号とを入力信号とする論理積素子であり、論理積素子の出力信号は、ドライバ回路145aと、データ通信回線12Cと、キースイッチ本体104内のレシーバ回路145bとを介して、イモビライザ104cに供給される。
【0177】
なお、駆動制御用タイマTIM1は、始動用キー103の正当性が認証されるまでは、後述のように、パルス幅変調信号PWMを生成してイモビライザ104cに供給し、イモビライザ104cは、マイクロプロセッサ110Cから送信されたパルス幅変調信号PWMの周期に反比例した周波数と、パルス幅変調信号PWMのデューティ(論理レベルが「H」の時間と周期との比率)に比例した振幅とを有する無線信号を発生して、トランスポンダ104aとの間で無線交信を行う。
【0178】
駆動制御用タイマTIM1は、認証制御用タイマとして兼用され、パルス幅変調信号PWMを発生している期間においては、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルが「L」となっていて、認証用ゲート回路144を介して、パルス幅変調信号PWMがイモビライザ104cに送信される。しかし、この時点では、気筒選択用ゲート回路116a、116cは、タイマ出力切換指令信号INHBによって出力停止されているので、エンジン駆動用機器161acにパルス幅変調信号PWMが供給されることはない。
【0179】
なお、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルが「L」となっている期間において、駆動制御用タイマTIM2〜TIM4の出力発生を停止させる場合には、図7内の破線で示したインターロック回路119は不要となる。しかし、インターロック回路119を接続しておけば、気筒選択用ゲート回路116b、116d、117a〜117dは、タイマ出力切換指令信号INHBにより出力停止されているので、認証照合が正常完了するまでは、確実に駆動制御用タイマTIM2〜TIM4の出力信号を停止させることができる。
【0180】
ただし、点火を行わないで燃料噴射を行うと生ガスを排出する問題があることと、不用意に点火コイルの通電を遮断すると異常な着火が行われる可能性があることとに鑑み、駆動制御用タイマTIM1〜TIM4の動作状態と、タイマ出力切換指令信号INHBとの関連を考慮しておく必要がある。
【0181】
マイクロプロセッサ110C内のタイマ回路部800nは、駆動制御用タイマTIM1〜TIM4を生成するためのカウンタ回路により構成されており、その詳細については、図8とともに後述する。同様に、タイマ回路部800nの中の1つは、エンジン回転速度Neの検出手段として機能し、クランク角センサ105aの動作時間間隔(回転周期T0)を測定するためのカウンタ回路として使用される。
【0182】
次に、図8のブロック図を参照しながら、図7のマイクロプロセッサ110C内で示されたタイマ回路部800nについて説明する。なお、図8においてはタイマ回路部800nとタイマ出力部804nはマイクロプロセッサ110Cの外部に接続されている場合の構成となっている。
図8において、前述(図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または、符号の後に「C」を付している。
【0183】
タイマ回路部800nは、駆動制御用タイマTIMn(図7内のTIM1〜TIM4)を生成するための各タイマ回路部を代表的に示している。計時用クロック信号113は、マイクロプロセッサ110Cに供給される基準クロック信号(図示せず)を分周して得られる一定時間のパルス列信号である。
【0184】
タイマ回路部800n内の計時カウンタ801は、現在値レジスタを有し、計時用クロック信号113を計数する。これにより、計時カウンタ801内の現在値レジスタの値は、時間経過にともなって増加する。マイクロプロセッサ110Cが発生するリセット信号RSTは、論理レベルが「H」の場合に計時カウンタ801の計数現在値をゼロにリセットするとともに、計時用クロック信号113による計時信号の入力を停止させる。
【0185】
タイマ回路部800n内の設定値レジスタ802a、802b(第1および第2の設定値レジスタ)は、マイクロプロセッサ110Cからの設定出力SETa、SETbにより計時目標値が書込まれるメモリからなる。比較回路803a、803b(第1および第2の比較回路)は、計時カウンタ801の計数現在値と、設定値レジスタ802a、802bの各設定値とを比較して、比較一致したときに、フリップフロップ回路からなるタイマ出力部804nをセットまたはリセットする。比較回路803b(第2の比較回路)の出力信号は、完了信号FINとしてマイクロプロセッサ110Cに供給される。
【0186】
タイマ回路部800nは、図9および図10とともに後述するように、駆動制御用タイマ(TIMn)として使用されたり、パルス幅変調信号PWMを発生する認証制御用タイマとして使用されたり、エンジンの回転周期T0を測定するために使用される。
【0187】
ここで、図8に示したタイマ回路部800nの第1の例として、タイマ回路800rvを用いて回転周期T0を測定する場合のマイクロプロセッサ110Cの制御動作について説明する。
【0188】
まず、計時カウンタ801の計数現在値をリセット出力RSTによりリセットしておいて、マイクロプロセッサ110Cの割込入力端子に入力されたクランク角センサ105aの検出信号が動作(L→H)した時点で、読出入力RDにより計時カウンタ801の計数現在値を読出す。その直後、再びリセット出力RSTにより計数現在値を瞬時リセットし、以下、上記動作を繰返す。この結果、読出入力RDの値は、クランク角センサ105aの動作間隔時間(回転周期T0)に比例した値として得られる。
【0189】
次に、タイマ回路部800nの第2の例として、タイマ回路部800acを用いてパルス幅変調信号PWMを生成する場合のマイクロプロセッサ110Cの制御動作について説明する。
【0190】
まず、設定出力SETa、SETbにより、設定値レジスタ802aにOFF時間(論理レベルが「L」となっている時間)を書込むとともに、設定値レジスタ802bにパルス周期(設定ON時間+設定OFF時間)を書込む。続いて、リセット信号RSTにより、タイマ出力部804ac(図8内の804n)および計時カウンタ801の計数現在値を瞬時リセットし、タイマ出力部804nの論理出力を「L」としてから、計時動作を開始する。
【0191】
その後、計時カウンタ801の計数現在値が、設定値レジスタ802aに格納されている設定OFF時間に達すると、比較回路803aは、初回の比較一致出力を発生してタイマ出力部804nをセットし、タイマ出力部804nの論理出力を「H」にする。
【0192】
さらに、計時が進行して、計時カウンタ801の計数現在値が、設定値レジスタ802bに格納されているパルス周期(設定ON時間+設定OFF時間)に達すると、比較回路803bは、次回の比較一致出力を発生してタイマ出力部804nをリセットし、タイマ出力部804nの論理出力を「L」にする。
【0193】
上記の一巡動作が完了すると、比較回路803bの比較一致出力が、完了信号FINとしてマイクロプロセッサ110Cに割込み入力され、マイクロプロセッサ110Cは、再度リセット信号RSTを発生し、以下、同様の動作を繰返し実行する。なお、パルス幅変調信号PWMの発生中に、設定OFF時間またはパルス周期(設定ON時間+設定OFF時間)を変更したい場合には、設定出力SETa、SETbにより、再セットすることができる。以上の動作は、タイマ回路部800nとしてタイマ回路部800acに代わってタイマ回路部800bdを用いた場合も同様である。
【0194】
次に、タイマ回路部800nの第3の例として、タイマ回路部800acを用いてエンジン駆動用機器161C、171Cに対する駆動制御信号を生成する場合のマイクロプロセッサ110Cの制御動作について説明する。
【0195】
まず、設定出力SETa、SETbにより、設定値レジスタ802aにOFF時間を書込むとともに、設定値レジスタ802bにパルス周期(設定ON時間+設定OFF時間)を書込む。続いて、リセット信号RSTにより、タイマ出力部804acおよび計時カウンタ801の計数現在値を継続リセットして、タイマ出力部804acの論理出力を「L」とする。
【0196】
その後、マイクロプロセッサ110Cの割込入力端子に接続されているクランク角センサ105aの検出信号の論理レベルが「H」になると、マイクロプロセッサ110Cは、リセット信号RSTの発生を停止して、計時カウンタ801による計時用クロック信号113の計数を開始させる。
【0197】
その後、計時カウンタ801の計数現在値が設定値レジスタ802aに格納されている設定OFF時間に達すると、比較回路803aは、初回の比較一致出力を発生してタイマ出力部804acをセットし、タイマ出力部804acの論理出力を「H」にする。
【0198】
さらに計時が進行して、計時カウンタ801の計数現在値が設定値レジスタ802bに格納されているパルス周期に達すると、比較回路803bは、次回の比較一致出力を発生してタイマ出力部804nをリセットし、タイマ出力部804acの論理出力を「L」にする。
【0199】
上記の一巡動作が完了すると、比較回路803bの比較一致出力が、完了信号FINとしてマイクロプロセッサ110Cに割込み入力され、マイクロプロセッサ110Cは、クランク角センサ105aが再度動作するまで、リセット信号RSTを継続発生して、計時カウンタ801の動作を停止させる。以上の動作は、タイマ回路部800nとしてタイマ回路部800bdを用いた場合も同様である。
【0200】
なお、タイマ回路部800nの異なる形態として、完了信号FINが発生すると、タイマ回路部800nの内部で自動的に計時カウンタ801の計時動作を停止して、次回のクランク角センサ105aの動作に応動して、計時を開始するように構成されてもよい。この場合、マイクロプロセッサ110Cは、タイマ回路部800nに対してモード選択指令を供給し、パルス幅変調信号PWMを発生したいのであれば、完了信号FINに応動して自動的に計時動作を再開させることができる。
【0201】
次に、図7に示したこの発明の実施の形態3の動作について概括説明する。
図7において、電源スイッチ103aを閉路すると、電源リレーの出力接点102aが閉路して、車載エンジン制御装置100Cには、車載バッテリ101から電源電圧Vb(=10V〜16Vが印加され、定電圧電源回路120を介して安定化された制御電源電圧Vcc(=5V)がマイクロプロセッサ110Cに供給される。
【0202】
マイクロプロセッサ110Cは、イモビライザ104cを介して、使用された始動用キー103の正当性を認証照合し、続いて、車載センサ群105の動作状態と、プログラムメモリ112Cに格納された入出力制御プログラムとに基づいて、電気負荷群106を制御する。また、駆動制御用タイマTIM1〜TIM4は、エンジン駆動用機器161C、171Cに対する駆動制御プログラムに基づいて動作する。
【0203】
次に、図7および図8とともに、図9のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態3による認証照合動作および駆動制御動作について説明する。
図9において、ステップ900〜912、920は、前述(図4参照)のステップ400〜412、420と同様の処理であり、エンジン駆動用機器161C、171Cに対する駆動制御手段921が、ステップ913〜916により構成されている点のみが前述(図4)と異なる。
【0204】
まず、マイクロプロセッサ110Cが動作を開始すると(ステップ900)、ステップ910により初回動作完了フラグがセットされているか否かを判定し(ステップ901)、初回動作である(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ902に移行し、初回動作でない(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ912に移行する。なお、ステップ910でセットされる初回動作完了フラグは、電源投入時にリセットされ、電源スイッチ103aの閉路時には、ステップ901において、必ず一旦は「YES」と判定される。
【0205】
ステップ902において、マイクロプロセッサ110Cは、同期信号送信回線11およびデータ通信回線12Cを介して、イモビライザ104cとの間で交信を行い、イモビライザ104cからデータ通信回線12Cを介して送信されたパルス幅変調信号の周波数および振幅の各値に関する交信データDATAを受信する。
【0206】
続いて、ステップ903(読出確認手段)においては、ステップ902で読出された要求データと、プログラムメモリ112Aに格納されているデータとが一致しているか否かを判定し、読出情報が正常一致している(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ904に移行し、不一致である(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ908に移行する。
【0207】
ステップ904において、マイクロプロセッサ110Cは、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルを「L」にして、認証用ゲート回路144の信号通過を可能にするとともに、気筒選択用ゲート回路116a〜116d、117a〜117dの論理出力レベルを「L」に固定して、エンジン駆動用機器161C、171C(点火コイルまたは燃料噴射用電磁弁)の動作を停止させる。
【0208】
続いて、ステップ905において、マイクロプロセッサ110Cは、タイマ回路部800acにより構成された駆動制御用タイマTIM1を用いて、パルス幅変調信号PWMを生成し、データ通信回線12Cを介してイモビライザ104cにパルス幅変調信号PWMを送信するために、タイマ回路部800acの計時カウンタ801をリセットし、設定値レジスタ802a、802bに対してOFF時間と、パルス周期(ON時間+OFF時間)を設定する。以降は、図10に示すマイクロプロセッサ110Cの割込制御動作により、パルス幅変調信号PWMが発生する処理に移行する。
【0209】
イモビライザ104cは、受信したパルス幅変調信号PWMの周期に反比例した周波数と、パルス幅変調信号PWMのデューティに比例した振幅とを有する無線信号を、トランスポンダ104aに対して送信し、始動用キー103に付与されている暗証番号を読出す。
【0210】
マイクロプロセッサ110Cは、所定時間の経過後にパルス幅変調信号PWMの送信を停止し、続いて、ステップ906において、データ通信回線12Cを介して、イモビライザ104cから暗証番号を読出す。続いて、ステップ907(認証照合手段)において、プログラムメモリ112Cに格納されている暗証番号と、ステップ906で読出された暗証番号とが一致するか否かを照合し、一致する(すなわち、YES)と判定されれば、正当な始動用キー103と見なして、ステップ910に移行し、不一致である(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ908に移行する。
【0211】
なお、正当な暗証番号がイモビライザ104cに格納されている場合には、イモビライザ104cで認証照合を行い、その判定結果を、データ通信回線12Cを介してマイクロプロセッサ110Cに送信してもよい。
【0212】
ステップ908(始動停止手段)においては、始動電動機108の始動回路を遮断し、続くステップ909(出力禁止手段)においては、駆動制御用タイマTIM1〜TIM4の出力をリセットして、論理出力レベルを「L」に維持する。
【0213】
ステップ910において、マイクロプロセッサ110Cは、初回動作完了フラグをセットし、続くステップ911において、タイマ出力切換指令信号INHBの論理レベルを「H」にして、認証用ゲート回路144の出力信号の論理レベルを「L」に固定するとともに、気筒選択用ゲート回路116a〜116d、117a〜117dの信号通過を可能にして、エンジン駆動用機器161C、171C(点火コイルまたは燃料噴射用電磁弁)の動作を有効にする。
【0214】
続いて、ステップ912においては、始動電動機108によるエンジン始動操作により、ステップ1011(図10とともに後述する)で検出されたエンジン回転周期T0が、たとえば200ms以下(エンジン回転速度Neが300rpm以上)となっているか否かを判定する。
【0215】
ステップ912において、エンジン回転速度Ne<所定回転速度(すなわち、NO)と判定されれば、駆動制御手段921内のステップ913に移行し、エンジン回転速度Ne≧所定回転速度(すなわち、YES)と判定されれば、駆動制御手段921内のステップ915に移行する。
【0216】
ステップ913においては、駆動制御用タイマTIM1、TIM2をリセットして、タイマ出力部804nの論理出力を「L」にし、続くステップ914においては、駆動制御用タイマTIM3、TIM4をリセットして、タイマ出力部804nの論理出力を「L」にする。
【0217】
ステップ915、916においては、図2内の開弁開始時期T11および励磁開始時期T13の適正値と、開弁期間T12および励磁期間T14の適正値と、開弁開始時期T21および励磁開始時期T23の適正値と、開弁期間T22および励磁期間T24の適正値とを算出する。なお、ステップ915、916で算出された設定OFF時間および設定ON時間は、所定時期(図10とともに後述する)に、タイマ回路部800n内の各設定値レジスタ802a、802bに転送書込みされる。
【0218】
次に、図10のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態3による割込制御動作について説明する。
図10において、ステップ1000〜1002、1010、1020は、前述(図5参照)のステップ500〜502、510、520と同様の処理である。この場合、動作時間設定手段1021は、ステップ1005および1015により構成されている。
【0219】
まず、マイクロプロセッサ110Cは、クランク角センサ105aの検出信号、またはタイマ回路部800nが発生する完了信号FINが、割込動作指令として割込入力端子に入力された場合に、ステップ1000で割込動作を開始し、続くステップ1001において、現在の動作状態を一時的に退避し、ステップ1020の復帰処理の実行時に元の制御フローに復帰して演算を継続可能にする。
【0220】
続くステップ1002においては、図9内のステップ910で初回動作完了フラグがセットされたか否かを判定し、セット未完了(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ1003に移行し、セット完了(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ1010に移行する。
【0221】
ステップ1003においては、図8内の完了信号FINの論理レベルが「H」になったか否かを判定し、完了信号FINの論理レベルが「H」になった(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ1005に移行し、完了信号FINの論理レベルが「H」なっていない(すなわち、NO)と判定されれば、復帰処理(ステップ1020)に移行する。なお、完了信号FINは、図9内のステップ905で計時カウンタ801が計時開始したことに基づいている。
【0222】
ステップ1005においては、設定出力SETa、SETbにより、各設定値レジスタ802a、802bに、OFF時間とパルス周期(ON時間+OFF時間)を設定する。続くステップ1009においては、リセット指令RSTにより、計時カウンタ801の計数現在値およびタイマ出力部804nを瞬時リセットして、論理出力を「L」に維持してから、復帰処理(ステップ1020)に移行する。
【0223】
ステップ1002の判定結果が「YES」の場合に実行されるステップ1010においては、クランク角センサ105aの動作による割込動作開始であるか否かを判定し、クランク角センサ105aの動作による割込動作開始である(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ1015に移行し、クランク角センサ105aの動作による割込動作開始でない(すなわち、NO)と判定されれば、ステップ1013に移行する。
【0224】
ステップ1015においては、各タイマ回路部800nへの設定出力SETa、SETbにより、設定値レジスタ802a、802bに対して、OFF時間とパルス周期とを設定する。続くステップ1019においては、リセット指令RSTにより、計時カウンタ801の計数現在値およびタイマ出力部804nを瞬時リセットするか、または、後述のステップ1014で保持されたリセット状態を解除してから、ステップ1011に移行する。
【0225】
ステップ1011においては、回転周期T0を測定するためのタイマ回路部800n内の計時カウンタ801の計数現在値を読出してから、リセット指令RSTにより、計時カウンタ801内の現在値レジスタを瞬時リセットし、復帰処理(ステップ1020)に移行する。
【0226】
ステップ1013においては、図8内の完了信号FINの論理レベルが「H」になったか否かを判定し、完了信号FINの論理レベルが「H」になった(すなわち、YES)と判定されれば、ステップ1014に移行し、完了信号FINの論理レベルが「H」になっていない(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに復帰処理(ステップ1020)に移行する。
【0227】
ステップ1014においては、リセット信号RSTの論理レベルを「H」に維持して、タイマ回路部800n内の計時カウンタ801の計数現在値を継続リセットするとともに、タイマ出力部804nのリセットを保持して、復帰処理(ステップ1020)に移行する。
【0228】
以上のように、この発明の実施の形態3による車載エンジン制御装置100Cは、車載バッテリ101から給電され、燃料噴射用電磁弁および点火コイルの少なくとも一方からなるエンジン駆動用機器161C、171cに対する駆動制御手段921と、始動用キー103に対する認証照合手段(ステップ907)となる制御プログラムを格納したプログラムメモリ112Cと、プログラムメモリ112Cと協働するマイクロプロセッサ110Cとを備え、始動用キー103に設けられたトランスポンダ104aを介して始動用キー103の暗証番号を無線信号で読出すイモビライザ104cが接続されている。
【0229】
また、マイクロプロセッサ110Cは、複数のタイマ回路部800nおよびタイマ出力部804nを備え、プログラムメモリ112Cは、タイマ回路部800nに対する動作時間設定手段1021およびタイマ出力切換手段(ステップ911)となる制御プログラムを含む。
【0230】
タイマ回路部800nは、計時用クロック信号113を計数する計時カウンタ801と、設定値レジスタ802a、802bと、計時カウンタ801の計数現在値が、設定値レジスタ802a、802bに格納された目標設定値に達したときに、比較一致出力を発生してタイマ出力部804nを駆動する比較回路803a、803bとにより構成されている。
【0231】
タイマ出力部804nは、マイクロプロセッサ110Cにより、設定値レジスタ802a、802bに可変設定される所定のON時間およびOFF時間に対応した論理出力を発生する出力回路からなる。動作時間設定手段1021は、設定値レジスタ802a、802bに対して、OFF時間データ、ON時間データ、またはON/OFF合計時間のいずれかを転送格納するとともに、計時開始時には計時カウンタ801の計数現在値をリセットする。
【0232】
認証照合手段907は、マイクロプロセッサ110Cから送信されるパルス幅変調信号PWMの周期およびデューティに対応した、周波数および振幅を有する無線信号により暗証番号の読出しを行い、読出した暗証番号が、プログラムメモリ112Cまたはイモビライザ104cにあらかじめ格納されている正解暗証番号と一致するか否かの認証判定を行う。
【0233】
パルス幅変調信号PWMは、タイマ回路部800n、動作時間設定手段1021およびタイマ出力部804nにより生成されて、所定のOFF時間およびON時間を有する連続したパルス信号からなる。
【0234】
タイマ出力切換手段911は、認証判定が一致判定の場合に、タイマ出力切換指令信号INHBを発生して、パルス幅変調信号PWMを生成するために使用されたタイマ回路部800nを、駆動制御用タイマTIM1として切換え使用する。
【0235】
駆動制御用タイマTIMnの出力信号は、タイマ回路部800n、動作時間設定手段1021およびタイマ出力部804nにより生成され、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生し、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にタイマ出力を停止する。これにより、タイマ出力によってエンジン駆動用機器161C、171Cが駆動され、タイマ回路部800nの1つが認証照合手段907および駆動制御手段921の中で選択切換え使用されるとともに、認証照合の結果として一致判定が得られるまでは、駆動制御手段921への選択切換えが行われず、駆動制御手段921の出力発生が禁止される。
【0236】
また、タイマ回路部800nは、計時用クロック信号113を計数する計時カウンタ801と、設定値レジスタ802a、802b(第1および第2の設定値レジスタ)と、計時カウンタ801の計数現在値が、設定値レジスタ802a、802bに格納された目標設定値に達したときに、第1および第2の比較一致出力を発生する比較回路803a、803b(第1および第2の比較回路)と、タイマ出力部804nに相当するタイマ出力回路とにより構成されている。
【0237】
タイマ出力部804nは、計時カウンタ801の計数現在値がリセットされてから、設定値レジスタ802a(第1の設定値レジスタ)に格納されているOFF時間だけ経過した時点でセットされ、設定値レジスタ802b(第2の設定値レジスタ)に格納されたON時間とOFF時間との合計値に応動して、所定のON時間を経過した時点でリセットされるフリップフロップ回路により構成されている。
【0238】
したがって、計時用クロック信号113を高速計数する計時カウンタ801を用いることにより、マイクロプロセッサ110Cの制御負担を軽減して、高精度なタイマが得られるとともに、タイマ回路部800n内でタイマ出力部804nが生成されるので、マイクロプロセッサ110Cの制御負担をさらに軽減することができる。
【0239】
また、マイクロプロセッサ110Cは、イモビライザ104cに対してパルス幅変調信号PWMを送信し、イモビライザ104cが始動用キー103の暗証番号を読出している期間では、イモビライザ104cとマイクロプロセッサ110Cとの間のデータ交信を行わず、イモビライザ104cが暗証番号を読取完了したと推定される時点で、パルス幅変調信号PWMの送信を停止して、イモビライザ104cから暗証番号情報または一致判定情報を入手するよう時分割動作する。また、マイクロプロセッサ110Cとイモビライザ104cとの間のデータ通信回線12Cは、パルス幅変調信号PWMの送信回線と兼用した同一回線となっているので、信号回線数を増加させることなく、高度な認証照合を行うことができる。
【0240】
また、パルス幅変調信号PWMの周期およびデューティの値は、プログラムメモリ112Cとイモビライザ104cとの両方に格納され、プログラムメモリ112Cは、読出確認手段(ステップ903)となる制御プログラムを含む。読出確認手段(ステップ903)は、あらかじめイモビライザ104cに格納されている周期およびデューティを読出して、読出したデータ(読出データ)が、プログラムメモリ112Cに格納されている正解データと一致した場合に、マイクロプロセッサ110Cからのパルス幅変調信号PWMの送信を有効にする。したがって、不正なイモビライザの使用を防止することができる。
【0241】
また、駆動制御用タイマTIM1の出力信号は、タイマ回路部800n、動作時間設定手段1021およびタイマ出力部804nにより生成されて、エンジンの点火コイルに対する通電指令を行い、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生して、点火コイルに対する励磁を開始し、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にタイマ出力を停止して、点火コイルの励磁を遮断して着火を行う。したがって、クランク角センサ105aの動作と同期して動作開始する点火制御用の駆動制御用タイマの動作開始指令を変更することにより、簡単にパルス幅変調信号PWMを生成することができる。
【0242】
また、駆動制御用タイマTIM1の出力信号は、タイマ回路部800n、動作時間設定手段1021およびタイマ出力部804nにより生成されて、燃料噴射用電磁弁に対する通電指令を行い、クランク角センサ105aの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後にタイマ出力を発生して、燃料噴射用電磁弁の開弁駆動を行い、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後にタイマ出力を停止して、燃料噴射用電磁弁の閉弁復帰を行う。これにより、タイマ出力によって給燃時期および給燃期間が決定されるので、クランク角センサ105aの動作と同期して動作開始する燃料噴射制御用の駆動制御用タイマの動作開始指令を変更することにより、簡単にパルス幅変調信号PWMを生成することができる。
【0243】
また、マイクロプロセッサ110Cは、第1または第2のエンジン駆動用機器161C、171C(点火コイル、燃料噴射用電磁弁のいずれか)の両方に対する駆動制御手段921を含み、第1のエンジン駆動用機器161Cに対しては、隣接動作しない奇数順序の気筒と偶数順序の気筒とに対応して、第1および第2の駆動制御用タイマTIM1、TIM2が使用されている。
【0244】
また、第2のエンジン駆動用機器171Cに対しては、隣接動作しない奇数順序の気筒と偶数順序の気筒とに対応して、第3、第4の駆動制御用タイマTIM3、TIM4が使用されている。第1〜第4の駆動制御用タイマTIM1〜TIM4の出力回路のそれぞれには、該当気筒を選択する複数の気筒選択用ゲート回路116a〜116d、117a〜117dが設けられている。
【0245】
第1〜第4の駆動制御用タイマTIM1〜TIM4のいずれか1つは、イモビライザ104cに送信するパルス幅変調信号PWMを生成する認証制御用タイマTIM1として兼用されている。
【0246】
認証制御用タイマTIM1の出力回路には、タイマ出力切換手段(ステップ911)によって生成されたタイマ出力切換指令信号INHBにより選択動作する認証用ゲート回路144が接続され、認証照合手段(ステップ907)が照合一致判定を行うまでは、認証用ゲート回路144を介してパルス幅変調信号PWMの送信が可能である。
【0247】
また、少なくとも認証制御用タイマとして兼用された駆動制御用タイマTIM1の出力回路に設けられた気筒選択用ゲート回路116a、116cを含む、一部または全部の気筒選択用ゲート回路116a〜116d、117a〜117dは、駆動制御用タイマTIM1〜TIM4のタイマ出力を禁止する。
【0248】
したがって、エンジンの始動過程にあって、認証照合処理中における点火制御および燃料噴射制御が停止されるので、車載バッテリ101の負荷電流を抑制して、寒冷始動能力を向上されることができる。すなわち、認証照合が正常完了するまでは、車載バッテリ101の不要な放電を抑制して、低圧始動特性および寒冷始動特性を改善することができる。また、充電状態が良好でない車載バッテリ101によるエンジンの寒冷始動特性を悪化させずに、認証照合を行うことができる。
【0249】
さらに、プログラムメモリ112cは、出力禁止手段(ステップ909)となる制御プログラムを含み、出力禁止手段(ステップ909)は、認証照合手段(ステップ907)が認証判定中の場合と、認証判定結果が不一致判定の場合とに作用して、認証制御用タイマTIM1を除く駆動制御用タイマTIM2〜TIM4の出力発生を停止する。したがって、正常認証結果が得られなくても、始動電動機108の回転動作が行われるものの、点火制御や燃料噴射制御が停止されているので、エンジンが自立回転することはなく、不正に運転されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0250】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載エンジン制御装置を示す回路ブロック図である。
【図2】図1内の駆動制御用タイマの出力特性を示すタイミングチャートである。
【図3】図1内のタイマ回路部およびタイマ出力部を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1による認証照合動作および駆動制御動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による割込制御動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る車載エンジン制御装置を示す回路ブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る車載エンジン制御装置を示す回路ブロック図である。
【図8】図7内のタイマ回路部およびタイマ出力部を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3による認証照合動作および駆動制御動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3による割込制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0251】
12A データ通信回線、12C データ通信回線兼PWM信号送信回線、100A、100B、100C 車載エンジン制御装置、101 車載バッテリ、103 始動用キー、103b 始動スイッチ、104 キースイッチ本体、104a トランスポンダ、104b、104c イモビライザ、105a クランク角センサ、107 電磁リレー、107b 励磁コイル、108 始動電動機、110、110C マイクロプロセッサ(CPU)、112A、112B、112C プログラムメモリ、113 計時用クロック信号、116a〜116d 気筒選択用ゲート回路、117a〜117d 気筒選択用ゲート回路、130 直列開閉素子、137 補助開閉素子、144 認証用ゲート回路、161A、161B エンジン駆動用機器、161C 第1のエンジン駆動用機器、171C 第2のエンジン駆動用機器、300n、800n、300ac、300bd タイマ回路部、301、801 計時カウンタ、302 設定値レジスタ、303 比較回路、304n、804n タイマ出力部、403、903 読出確認手段、407、907 認証照合手段、408、908 始動停止手段、409、909 出力禁止手段、411、911 タイマ出力切換手段、421、921 駆動制御手段、521、1021 動作時間設定手段、522 フラグ反転手段、802a 第1の設定値レジスタ、802b 第2の設定値レジスタ、803a 第1の比較回路、803b 第2の比較回路、CMP 比較一致出力、INHB タイマ出力切換指令信号、PWM パルス幅変調信号、TIM1〜TIM4、駆動制御用タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載のエンジンの運転状態を検出するためのクランク角センサを含む各種センサに接続され、車載バッテリから給電されて、前記運転状態に応じて燃料噴射用電磁弁および点火コイルの少なくとも一方からなるエンジン駆動用機器を制御する駆動制御手段と、
前記エンジンの始動用キーに対する認証照合手段となる制御プログラムを格納したプログラムメモリと、前記プログラムメモリと協働するマイクロプロセッサとを備え、
前記始動用キーに設けられたトランスポンダを介して、前記始動用キーの暗証番号を無線信号で読出すためのイモビライザと接続された車載エンジン制御装置であって、
前記マイクロプロセッサは、複数のタイマ回路部およびタイマ出力部と協働し、
前記プログラムメモリは、前記タイマ回路部に対する動作時間設定手段およびタイマ出力切換手段となる制御プログラムを含み、
前記タイマ回路部は、計時用クロック信号を計数する計時カウンタと、設定値レジスタと、前記計時カウンタの計数現在値が前記設定値レジスタに格納された目標設定値に達したときに比較一致出力を発生して前記タイマ出力部を駆動する比較回路により構成され、
前記タイマ出力部は、前記マイクロプロセッサによって前記設定値レジスタに可変設定される所定のON時間およびOFF時間に対応した論理出力を発生し、
前記動作時間設定手段は、前記設定値レジスタに対して、前記ON時間および前記OFF時間に対応したON時間データおよびOFF時間データ、またはON/OFF合計時間データとON時間データ又はOFF時間データを転送格納するとともに、計時開始時には前記計数現在値をリセットし、
前記認証照合手段は、前記マイクロプロセッサから送信されるパルス幅変調信号の周期およびデューティに対応した、周波数および振幅を有する無線信号により、前記イモビライザを介して前記始動キーの暗証番号を読出し、読出した前記暗証番号が、前記プログラムメモリまたは前記イモビライザにあらかじめ格納されている正解暗証番号と一致しているか否かの認証判定を行い、
前記パルス幅変調信号は、前記タイマ回路部、前記動作時間設定手段、および前記タイマ出力部により生成され、所定のOFF時間およびON時間を有する連続したパルス信号からなり、
前記タイマ出力切換手段は、前記認証判定が一致判定であった場合にタイマ出力切換指令信号を発生して、前記パルス幅変調信号を生成するために使用された前記タイマ回路部を駆動制御用タイマとして切換え使用し、
前記駆動制御用タイマは、前記タイマ回路部、前記動作時間設定手段、および前記タイマ出力部により構成され、前記タイマ回路部は前記クランク角センサの検出信号と同期して動作開始して、設定OFF時間に対応した第1設定時間の経過後に初回の比較一致出力を発生するとともに、設定ON時間に対応した第2設定時間の経過後に次回の比較一致出力を発生し、前記タイマ出力部は初回の一致出力が発生してから次回の比較一致出力が発生するまでの期間においてタイマ出力を発生し、
前記エンジン駆動用機器は、前記タイマ出力部からのタイマ出力によって駆動され、
前記複数のタイマ回路部のうちの1つは、前記認証照合手段および前記駆動制御手段の中で選択切換え使用されるとともに、前記認証照合手段による認証照合の結果として一致判定が得られるまでは、前記駆動制御手段への選択切換えが行われず、前記駆動制御手段の出力発生が禁止されることを特徴とする車載エンジン制御装置。
【請求項2】
前記タイマ出力部は、前記プログラムメモリに格納されたフラグ反転手段によって生成され、
前記動作時間設定手段は、前記設定値レジスタに対して前記OFF時間データまたは前記ON時間データを交互に転送格納するとともに、計時開始時には前記計数現在値をリセットし、
前記フラグ反転手段は、前記計時カウンタの比較回路が比較一致出力を発生するごとに前記論理出力を反転させて、前記OFF時間データの設定期間では前記論理出力の論理レベルが「L」となり、前記ON時間データの設定期間では前記論理出力の論理レベルが 「H」となるフラグを前記タイマ出力として生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項3】
前記タイマ回路部は、前記設定値レジスタとして第1および第2の設定値レジスタを含むとともに、前記比較回路として第1および第2の比較回路を含み、
前記第1の比較回路は、前記計数現在値が前記第1の設定値レジスタに格納された目標設定値に達したときに第1の比較一致出力を発生し、
前記第2の比較回路は、前記計数現在値が前記第2の設定値レジスタに格納された目標設定値に達したときに第2の比較一致出力を発生し、
前記タイマ出力部は、前記計数現在値がリセットされてから前記第1の設定値レジスタに格納されているOFF時間を経過したときにセットされ、前記第2の設定値レジスタに格納されたON時間とOFF時間との合計値に応動して所定のON時間を経過したときにリセットされるフリップフロップ回路により構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項4】
前記マイクロプロセッサは、前記イモビライザに前記パルス幅変調信号を送信し、前記イモビライザが前記始動用キーの暗証番号を読出している期間では前記イモビライザとの間のデータ交信を行わず、前記イモビライザが暗証番号を読取完了したと推定される時点には、前記パルス幅変調信号の送信を停止して、前記イモビライザから暗証番号情報または一致判定情報を入手するように時分割動作し、
前記マイクロプロセッサと前記イモビライザとの間の通信回線と、前記パルス幅変調信号の送信回線とは、同一回線で構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項5】
前記パルス幅変調信号の周期およびデューティの各値は、前記プログラムメモリおよび前記イモビライザの両方にあらかじめ格納されており、
前記プログラムメモリは、読出確認手段となる制御プログラムを含み、
前記読出確認手段は、前記イモビライザに格納されている周期およびデューティを読出データとして読出し、前記読出データが、前記プログラムメモリに格納されている周期およびデューティの正解データと一致するか否かを確認し、
前記マイクロプロセッサは、前記読出データが前記正解データと一致した場合に前記パルス幅変調信号を送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項6】
前記駆動制御用タイマは、前記点火コイルに対する通電指令を行うとともに、前記クランク角センサの検出信号と同期して動作開始して、前記第1設定時間の経過後に前記タイマ出力を発生して前記点火コイルに対する励磁を開始し、前記第2設定時間の経過後に前記タイマ出力を停止して前記点火コイルの励磁を遮断して着火を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項7】
前記エンジンは、順次に点火制御される複数の気筒を有し、
前記駆動制御用タイマは、第1および第2の駆動制御用タイマを含み、
前記第1の駆動制御用タイマの出力信号は、隣接する点火気筒を弁別する気筒選択用ゲート回路を介して前記複数の気筒に順次分配供給され、
点火順序が奇数番号の気筒に対しては、前記複数のタイマ回路部のうちの1個のタイマ回路部が使用され、
点火順序が偶数番号の気筒に対しては、前記複数のタイマ回路部のうちの他の1個のタイマ回路部による前記第2の駆動制御用タイマとが使用され、
前記第2の駆動制御用タイマの出力信号は、前記気筒選択用ゲート回路を介して前記偶数番号の気筒に順次分配供給される
ことを特徴とする請求項6に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項8】
前記駆動制御用タイマは、前記燃料噴射用電磁弁に対する通電指令を行うとともに、前記クランク角センサの検出信号と同期して動作開始して、前記第1設定時間の経過後に前記タイマ出力を発生して前記燃料噴射用電磁弁の開弁駆動を行い、前記第2設定時間の経過後に前記タイマ出力を停止して前記燃料噴射用電磁弁の閉弁復帰を行い、
前記エンジンに対する給燃時期および給燃期間は、前記駆動制御用タイマのタイマ出力により決定されることを特徴とする請求項1に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項9】
前記エンジンは、順次に燃料噴射制御される複数の気筒を有し、
前記駆動制御用タイマは、第1および第2の駆動制御用タイマを含み、
前記第1の駆動制御用タイマの出力信号は、隣接する噴射気筒を弁別する気筒選択用ゲート回路を介して前記複数の気筒に順次分配供給され、
燃料噴射順序が奇数番号の気筒に対しては、前記複数のタイマ回路部のうちの1個のタイマ回路部が使用され、
燃料噴射順序が偶数番号の気筒に対しては、前記複数のタイマ回路部のうちの他の1個のタイマ回路部による前記第2の駆動制御用タイマとが使用され、
前記第2の駆動制御用タイマの出力信号は、前記気筒選択用ゲート回路を介して前記偶数番号の気筒に順次分配供給される
ことを特徴とする請求項8に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項10】
前記始動用キーに応動する始動スイッチは直列開閉素子および補助開閉素子をさらに備え、
前記直列開閉素子は、前記車載バッテリと前記エンジンの始動電動機とを接続する電磁リレーの励磁コイルに対して直列接続され、前記エンジンの始動スイッチの閉路時に導通して前記エンジンの始動を行い、
前記補助開閉素子は、前記認証照合手段による判定結果が比較不一致であったことに応動して、前記直列開閉素子の導通を禁止するとともに、前記マイクロプロセッサの不作動時に前記直列開閉素子の導通を阻害しない関係にバイアス付勢されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項11】
前記エンジンは、順次に燃料噴射制御および点火制御される複数の気筒を有し、
前記エンジン駆動用機器は、前記燃料噴射用電磁弁または前記点火コイルの一方である第1のエンジン駆動用機器と、前記燃料噴射用電磁弁または前記点火コイルの他方である第2のエンジン駆動用機器とを含み、
前記駆動制御用タイマは、第1〜第4の駆動制御用タイマを含み、
前記駆動制御手段は、前記第1および第2のエンジン駆動用機器の両方を制御し、
前記第1のエンジン駆動用機器に対しては、隣接動作しない奇数順序の気筒と偶数順序の気筒とに対応して、前記第1および第2の駆動制御用タイマが使用され、
前記第2のエンジン駆動用機器に対しては、隣接動作しない前記奇数順序の気筒および前記偶数順序の気筒とに対応して、前記第3および第4の駆動制御用タイマが使用され、
前記第1〜第4の駆動制御用タイマの出力回路のそれぞれには、対応する気筒を選択する複数の気筒選択用ゲート回路が設けられ、
前記第1〜第4の駆動制御用タイマのいずれか1つは、前記イモビライザに送信される前記パルス幅変調信号を生成する認証制御用タイマと兼用されており、
前記認証制御用タイマの出力回路には、前記タイマ出力切換手段により生成されたタイマ出力切換指令信号によって選択動作する認証用ゲート回路が接続され、
前記認証照合手段が照合一致判定を行うまでは、前記認証用ゲート回路を介して前記パルス幅変調信号の送信が可能であるとともに、
前記複数の気筒選択用ゲート回路のうち、前記認証制御用タイマと兼用された兼用駆動制御用タイマの出力回路に設けられた気筒選択用ゲート回路を含む一部または全部の気筒選択用ゲート回路は、前記駆動制御用タイマのタイマ出力を禁止する
ことを特徴とする請求項6または請求項8に記載の車載エンジン制御装置。
【請求項12】
前記プログラムメモリは、出力禁止手段となる制御プログラムを含み、
前記出力禁止手段は、前記認証照合手段が認証判定中の場合と、認証判定結果が不一致判定の場合とに作用して、前記認証制御用タイマ以外の駆動制御用タイマの出力発生を停止することを特徴とする請求項11に記載の車載エンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−169709(P2008−169709A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1566(P2007−1566)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】