説明

車載システム

【課題】運転者以外のユーザの操作を受け付けるための表示が運転者の妨げとなることを抑制する「車載システム」を提供する。
【解決手段】表示装置2として二つの視野角を持つ二つの画像を表示可能な表示装置2を用いる。走行中に、助手席のユーザの操作部3の操作が発生したならば、助手席のユーザにのみ視認されるように、以降のユーザ操作を受け付けるためのメニューウインドウ420を表示装置2に表示する(c)。一方で、運転者であるユーザに対しては、経路案内を行うためのナビゲーションウインドウ40のみがそのまま視認され続けるように、表示装置2の表示を行う(d)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される車載システムにおけるユーザインタフェースの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される車載システムにおけるユーザインタフェースの技術としては、表示装置に地図や経路の表示を行うナビゲーション装置において、車両走行中は、ユーザの運転操作に対する集中を阻害しないように、ユーザの操作の受け付けを禁止する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
一方、このような車載システムに用いることのできる表示装置としては、異なる2方向から異なる画像が視認されるように二つの画像を表示可能な表示装置も知られている(たとえば、特許文献2)。
ここで、図6dは、このような異なる2方向から異なる画像が視認されるように二つの画像を表示可能な液晶表示装置の構造を模式的に示したものである。
図示するように、この液晶表示装置は、画像を表示するTFT液晶パネルなどである液晶表示パネル601と、パターン化位相差板などを用いた視差バリア602と、視差バリアの効果を有効/無効を切り替えるスイッチング液晶層603と、バックライト光源604とを有している。
【0004】
そして、スイッチング液晶層603によって、視差バリア602の効果を有効とした場合、表示パネル601の画素の視野は、図示するように、水平方向について交互に異なったものとなる。したがって、画像a1の画素と画像a2の画素を水平方向について交互に配置した画像bを、cのように液晶表示パネル601に表示することによって、e1、e2に示すように、液晶表示装置に対して第1の方向にいるユーザからはa1の画像のみが視認され、液晶表示装置に対して第2の方向にいるユーザからはa2の画像のみが視認されることになる。
【0005】
一方、スイッチング液晶層603によって視差バリア602の効果を無効とすれば、通常の液晶表示装置と同様に、液晶表示装置の全画素を一つの画像の表示に用いるようにすることもできる。
【特許文献1】特開平10-90390号公報
【特許文献2】特開2004-302409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、表示装置に地図や経路の表示を行うナビゲーション装置において、ユーザの運転操作に対する集中を阻害しないためには、車両走行中に全てのユーザの操作の受け付けを禁止する必要は必ずしもなく、助手席のユーザの操作については、これを受け付けるようにしてもよい。
【0007】
しかしながら、ナビゲーション装置において、ユーザの操作に応じて、ユーザの操作の案内や受け付けを行うためのメニューなどの表示オブジェクトを表示装置に表示する場合、車両走行中に助手席のユーザの操作を受け付けることとすると、表示装置の表示は、助手席のユーザの操作に応じて刻々と変化するものとなる。そして、このような表示の変化は、運転者であるユーザの、表示装置に表示されている地図や経路の把握や、運転操作への集中の妨げとなる。
【0008】
そこで、本発明は、表示装置を備えた車載システムにおいて、運転者以外のユーザの車載システムの操作を許容しつつ、当該操作による表示装置の表示内容の変化が、運転者の妨げとならないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、ユーザの操作を受け付ける操作部と、ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を生成する情報提供画像生成手段と、ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像をユーザインタフェース画像として生成するユーザインタフェース画像生成手段と、前記表示装置に前記情報提供画像を表示させると共に、前記ユーザの所定の操作を受け付けるときに、前記表示装置に前記ユーザインタフェース画像を表示させる表示制御手段とを備えた、自動車に搭載される車載システムにおいて、前記表示装置を、単一の表示画面を用いて、助手席のユーザから視認できず運転席のユーザから視認可能な視野角を有する第1の画像と、運転席のユーザから視認できず助手席のユーザから視認可能な視野角を有する第2の画像とを同時に表示する2画像表示モードを備えた表示装置とすると共に、前記表示制御手段において、所定の条件下で前記ユーザの所定の操作を受け付ける場合には、前記2画像表示モードにある前記表示装置に前記第1の画像として、前記情報提供画像を表示させると共に、前記表示装置に前記第2の画像として、前記ユーザインタフェース画像を表示させるようにしたものである。
【0010】
このような車載システムによれば、通常時は、運転席と助手席のユーザに情報提供画像やユーザインタフェース画像を同じように提示するが、所定の条件下でユーザの所定の操作を受け付けるときには、運転席のユーザに対しては前記情報提供画像の提示を維持しつつ、助手席のユーザのみに前記ユーザインタフェース画像を提示する。
【0011】
したがって、前記所定の条件を、表示装置の表示内容の変化によって運転者を妨げることを抑止したい状況において満たされる条件とすれば、助手席のユーザの車載システムの操作を許容しつつ、当該操作による表示装置の表示内容の変化が運転者の妨げとなることを抑制することができる。
【0012】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される車載システムに、単一の表示画面を用いて、助手席のユーザから視認できず運転席のユーザから視認可能な視野角を有する第1の画像と、運転席のユーザから視認できず助手席のユーザから視認可能な視野角を有する第2の画像とを同時に表示する2画像表示モードと、前記表示画面を用いて運転席のユーザからも助手席のユーザからも視認可能な視野角を有する単一の画像を表示する単一画像表示モードとを有する表示装置と、ユーザの操作を受け付ける操作部と、ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を生成する情報提供画像生成手段と、ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像をユーザインタフェース画像として生成するユーザインタフェース画像生成手段と、前記表示装置に前記単一画像表示モードを設定し、前記表示装置に前記情報提供画像を表示させると共に、前記ユーザの所定の操作を受け付けるときに、前記表示装置に前記ユーザインタフェース画像を表示させる表示制御手段とを備え、前記表示制御手段において、所定の条件下で前記ユーザの所定の操作を受け付ける場合には、前記表示装置に前記2画像表示モードを設定し、前記表示装置に前記第1の画像として、前記情報提供画像を表示させると共に、前記表示装置に前記第2の画像として、前記ユーザインタフェース画像を表示させるようにしたものである。
【0013】
このような車載システムによっても、通常時は、運転席と助手席のユーザに情報提供画像やユーザインタフェース画像が同じように提示しつつ、所定の条件下でユーザの所定の操作を受け付けるときには、助手席のユーザのみに、操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像であるユーザインタフェース画像を提示し、運転席のユーザに、ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を提示し続けることができる。
【0014】
したがって、前記所定の条件を、表示装置の表示内容の変化によって運転者を妨げることを抑止したい状況において満たされる条件とすれば、助手席のユーザの車載システムの操作を許容しつつ、当該操作による表示装置の表示内容の変化が運転者の妨げとなることを抑制することができる。
【0015】
また、このような車載システムによれば、前記所定の条件下でユーザの所定の操作を受け付けるとき以外は、通常2画像表示モードよりもより良い画質で画像を表示可能な単一画像モードで、情報提供画像やユーザインタフェース画像を表示して、運転席や助手席のユーザの表示内容の視認性を向上することができる。
【0016】
また、前記課題達成のために、本発明は自動車に搭載される車載システムに、単一の表示画面を用いて、助手席のユーザから視認できず運転席のユーザから視認可能な視野角を有する第1の画像と、運転席のユーザから視認できず助手席のユーザから視認可能な視野角を有する第2の画像とを同時に表示する表示装置と、ユーザの操作を受け付ける操作部と、ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を生成する情報提供画像生成手段と、ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像をユーザインタフェース画像として生成するユーザインタフェース画像生成手段と、前記表示装置に前記第1の画像及び第2の画像として前記情報提供画像を表示させると共に、前記ユーザの所定の操作を受け付けるときに、前記表示装置に第1の画像及び第2の画像として前記ユーザインタフェース画像を表示させる表示制御手段とを備え、前記表示制御手段において、所定の条件下で前記ユーザの所定の操作を受け付ける場合には、前記表示装置に前記第1の画像として、前記情報提供画像を表示させると共に、前記表示装置に前記第2の画像として、前記ユーザインタフェース画像を表示させるようにしたものである。
【0017】
このような車載システムによっても、通常時は、運転席と助手席のユーザに情報提供画像やユーザインタフェース画像が同じように提示しつつ、所定の条件下でユーザの所定の操作を受け付けるときには、助手席のユーザのみに、操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像であるユーザインタフェース画像を提示し、運転席のユーザに、ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を提示し続けることができる。
【0018】
したがって、前記所定の条件を、表示装置の表示内容の変化によって運転者を妨げることを抑止したい状況において満たされる条件とすれば、助手席のユーザの車載システムの操作を許容しつつ、当該操作による表示装置の表示内容の変化が運転者の妨げとなることを抑制することができる。
【0019】
ここで、以上の車載システムにおいて、前記ユーザインタフェース画像は、前記情報提供画像と共に、前記ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトたとえばコマンドボタンなどを含めた画像としてもよい。
また、以上の車載システムに、車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段を設けると共に、前記所定の条件を、前記停車検出手段が駐車中でないことを検出しているという条件としてもよい。
または、以上の車載システムに、車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段を設けと共に、当該車載システムにおいて、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始すると共に、前記所定の条件を、前記停車検出手段が駐車中でないことを検出しているときに、前記操作部の操作が発生したという条件としてもよい。
【0020】
または、以上の車載システムに、車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段を設け、当該車載システムにおいて、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始すると共に、前記所定の条件を、前記停車検出手段が駐車中でないことを検出しているときに、前記操作部の、駐車中でないときに運転席のユーザに対して禁止される操作が発生したという条件としてもよい。
【0021】
または、以上の車載システムに、車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段と、前記操作部が受け付けた操作の操作者が、運転席のユーザによって行われた操作であるか、助手席のユーザによって行われた操作であるかを検出する操作者検出センサとを設け、当該車載システムにおいて、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始すると共に、前記所定の条件を、前記停車検出手段が駐車中を検出しておらず、前記操作者検出センサが操作者として助手席のユーザを検出しているときに、前記操作部の操作が発生したという条件としてもよい。
【0022】
または、以上の車載システムに、車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段と、前記操作部が受け付けた操作の操作者が、運転席のユーザによって行われた操作であるか、助手席のユーザによって行われた操作であるかを検出する操作者検出センサとを設け、当該車載システムにおいて、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始すると共に、前記所定の条件を、前記停車検出手段が駐車中を検出しておらず、前記操作者検出センサが操作者として助手席のユーザを検出しているときに、前記操作部の、駐車中でないときに運転席のユーザに対して禁止される操作が発生したという条件としてもよい。
【0023】
なお、以上の各車載システムは、前記情報提供画像生成手段において、前記情報提供画像として、地図上に少なくとも現在位置を表したナビゲーション画像を生成するナビゲーションシステムであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、表示装置を備えた車載システムにおいて、運転者以外のユーザの車載システムの操作を許容しつつ、当該操作による表示装置の表示内容の変化によって運転者の妨げとなることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、自動車に搭載されるナビゲーション装置への適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す。
図示するように、ナビゲーション装置100は、制御装置1、表示装置2、操作部3、操作者検出センサ4、GPS受信機5、車両状態センサ6を備えて構成される。ここで、車両状態センサ6は、方位センサや車速センサや停車検出センサなどの車両状態を検出するセンサ群である。なお、停車検出センサとしては、たとえば、ハンドブレーキの位置が制動位置にあって、かつ、車速センサで検出した車速が0であるときに、車両の停車を検出するセンサなどであってよい。
【0026】
ここで、表示装置2は、先に図6に示した、水平方向について画素を交互に二つの画像の表示に用いることにより、異なる2つの視野角を持つ二つの画像を表示することも、全ての画素を一つの画像の表示に用いることにより一つの視野角をもつ一つの画像を表示することもできる表示装置2である。そして、この表示装置2は、制御装置1からダブルビューモードが設定されると、異なる2つの視野角を持つ二つの画像の表示動作を行い、制御装置1からシングルビューモードが設定されると、一つの視野角をもつ一つの画像の表示動作を行う。ここで、ダブルビューモードにおける二つの視野角は、運転席と助手席のユーザのうちの運転席のユーザのみが二つの画像のうちの一方の画像を視認できる視野角と、運転席と助手席のユーザのうちの助手席のユーザのみが二つの画像のうちの他方の画像を視認できる視野角となっている。また、シングルビューモードにおける一つの視野角は、運転席と助手席の双方が画像を視認できる視野角となっている。
【0027】
また、図2に示すように、表示装置2は、たとえば、運転席と助手席の間に配置されており、運転席のユーザと助手席のユーザによって共用される。また、図示するように、操作部3も、運転席と助手席の間に配置されており、運転席のユーザと助手席のユーザによって共用される。そして、操作者検出センサ4は、図示するように、この操作部3への操作者の手の接近を検出するセンサであり、左からの操作者の手の接近と、右からの操作者の手の接近をそれぞれ検知し、(右ハンドル車の場合は)左からの手の接近を検出した場合は操作者として助手席のユーザを検出し、右からの手の接近を検出した場合は操作者として運転手であるユーザを検出する。なお、このような操作者検出センサ4としては、超音波や赤外線などを用いた、操作部3の左右に配置した二つの接近センサを用いることができる。
【0028】
図1に戻り、制御装置1は、現在状態算出部11、ルート探索部12、地図を表す地図データを記憶したDVDドライブやHDDなどの記憶装置である地図データ記憶部13、メモリ14、制御部15、案内画像生成部16、操作部3や表示装置2を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部17、表示装置2の表示を制御する表示コントローラ18を有する。
【0029】
但し、以上の制御装置1の表示コントローラ18やメモリ14や地図データ記憶部13を除く各部は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリ14や、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示した制御装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、制御装置1に提供されるものであって良い。
【0030】
さて、このような構成において、制御装置1の現在状態算出部11は、車両状態センサ6やGPS受信機5の出力から推定される現在位置に対して、地図データ記憶部13から読み出した地図データが示す、前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを算出し、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ14に設定する。
【0031】
また、制御部15は、ユーザから操作部3、GUI制御部17を介して目的地の設定を受付け、これをメモリ14にセットする。
そして、制御部15は、目的地の設定を受け付けたならば、目的地までの推奨ルートをルート探索部12に探索させる。ルート探索部12は、必要地理的範囲の地図データを地図データ記憶部13から読み出し、メモリ14に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、距離最小などの所定のコストモデルに基づいて推奨ルートとして算出し、算出した推奨ルートを、メモリ14にセットする。また、制御部15は、メモリ14にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ14にセットされている目的地と推奨ルートをクリアする処理も行う。
【0032】
そして、案内画像生成部16は、メモリ14にセットされた現在位置もしくはユーザが指定したポイントと、その時点で設定されている地図の表示縮尺に従って制御部15が算定した地図表示範囲の地図画像を、地図データ記憶部13に記憶された地図データに基づいて描画する。また、描画した地図画像上に、メモリ14にセットされている現在位置や推奨ルートや目的地を表す図形を描画した案内画像を生成する。
【0033】
以下、制御部15が行うユーザインタフェース制御処理について説明する。
図3に、このユーザインタフェース制御処理の手順を示す。なお、このユーザインターフェース制御処理は、ナビゲーション装置100が起動されると、その処理を開始する。
さて、図示するようにユーザインタフェース制御処理では、まず、表示コントローラ18を介して表示装置2にシングルビューモードを設定する(ステップ302)。前述したように、シングルビューモードが設定されると、表示装置2は、運転席と助手席の双方のユーザに視認される一つの画像の表示動作を行う。
【0034】
次に制御部15は、GUI制御部17、表示コントローラ18を介して表示装置2へのナビゲーションウインドウの表示を開始する(ステップ304)。
ここで、図4aに、このナビゲーションウインドウを表示した表示装置2の表示画面の表示例を示す。図示するように、ナビゲーションウインドウ40は、表示装置2の全面に表示され、このナビゲーションウインドウ40中には案内画像表示領域400と案内情報表示領域410が設けられている。
【0035】
そして、案内画像表示領域400には、案内画像生成部16が生成した案内画像401が表示される。ここで、案内画像401は、現在位置周辺の地図画像上に、現在位置を表す現在位置マーク402や、目的地を表す目的地マーク403や、推奨ルートを表すルート図形404が表されたものとなっている。
【0036】
また、案内情報表示領域410には、進行方位や案内画像401の縮尺や目的地到着までの所要時間や所要道程距離や現在時刻などの各種経路案内情報を表示する。
図3に戻り、ナビゲーションウインドウ40を表示したならば(ステップ304)、操作部3におけるユーザ操作の発生を監視する(ステップ306)。そして、ユーザ操作が発生したならば、発生したユーザ操作が、車両の走行中の有無を問わず運転者であるユーザに許諾される操作であるかどうかを調べる(ステップ308)。ここで、本実施形態では、車両の走行中の有無を問わず運転者であるユーザに許諾される操作は、操作に応じてメニューを表示しない操作、たとえば、案内画像401の地図縮尺の変更操作などとする。
【0037】
そして、発生したユーザ操作が、車両の走行中の有無を問わず運転者であるユーザに許諾される操作であれば、そのユーザ操作に応じた制御部15の処理を起動して実行させ(ステップ326)、ステップ306に戻って次のユーザ操作の発生を待つ。すなわち、たとえば、発生したユーザ操作が案内画像401の地図縮尺の減少操作(広域表示操作)であれば、案内画像生成部16に設定されている表示縮尺を一段階減少させ、ステップ306に戻る。
【0038】
一方、発生したユーザ操作が、車両の走行中の有無を問わず運転者であるユーザに許諾される操作でなければ、現在状態算出部11を介して車両状態センサ6の停車検出センサが車両の停車を検出しているかどうかを調べる(ステップ310)。そして、停車を検出していれば、たとえば、図4bに示すように、発生したユーザ操作に応じたメニューを表したメニューウインドウ420を、GUI制御部17、表示コントローラ18を介して表示装置2に、ナビゲーションウインドウ40上にメニューウインドウ420が重畳されるように表示し(ステップ328)、ユーザの操作部3を介したメニュー操作を受け付け(ステップ330)、メニューウインドウ420を閉じて、受け付けたメニュー操作に応じた制御部15の処理を起動して実行させ(ステップ332)、ステップ306に戻って次のユーザ操作の発生を待つ。すなわち、たとえば、発生した操作が、メインメニュー呼出操作であれば、図4bに示すように、目的地の設定処理の呼び出しを受け付ける目的地設定メニュー項目や、最寄り施設の探索処理の呼び出し指示を受け付ける最寄施設メニュー項目や、ナビゲーション装置100の各種設定処理の呼び出しを受け付ける各種設定メニュー項目を表したメインメニューを表示する。そして、たとえば、操作部3を介して目的地設定メニュー項目が選択されたならば、目的地の設定処理を起動して、目的地の設定や変更を受け付ける。なお、起動された目的地の設定処理は、適宜、所定の目的地設定受け付け用のウインドウを表示装置2に表示しながら、目的地の設定や変更を受け付けて、これを設定し、設定が終了したならば表示したウインドウを閉じて処理を終了する。
【0039】
図3に戻り、ステップ310において、停車が検出されていない場合には、操作者検出センサ4が、操作者として運転者であるユーザを検出しているかどうかを調べ(ステップ312)、操作者として運転手であるユーザを検出している場合には、そのままステップ306に戻って、次のユーザ操作の発生を待つ。すなわち、この場合は、発生したユーザ操作を受け付けない。
【0040】
一方、作者検出センサが、操作者として運転者であるユーザを検出していない場合、すなわち、操作者として助手席のユーザを検出している場合には(ステップ312)、表示コントローラ18を介して、表示装置2にダブルビューモードを設定する(ステップ314)。前述したように、ダブルビューモードが設定されると、表示装置2は、助手席のユーザのみに視認される画像と、運転席のユーザのみに視認される画像との二つの画像の表示動作を行う。ここで、ダブルビューモードでは、表示装置2が、運転席のユーザのみに視認される画像を表示する一つの表示装置と、助手席のユーザのみに視認される画像を表示する一つの表示装置との二つの表示装置を形成すると仮想的に捉えることができる。そこで、以下では、便宜上、この運転席のユーザのみに視認される画像を表示する仮想的な表示装置を「運転席用仮想表示装置」と呼び、助手席のユーザのみに視認される画像を表示する仮想的な表示装置を「助手席用仮想表示装置」と呼ぶこととする。
【0041】
さて、ダブルビューモードを設定したならば(ステップ314)、次に、GUI制御部17と表示コントローラ18を介して、運転席用仮想表示装置に、ナビゲーションウインドウ40の表示を開始すると共に(ステップ316)、助手席用仮想表示装置にナビゲーションウインドウ40の表示を開始する(ステップ318)。また、このステップ316で運転席用仮想表示装置に表示するナビゲーションウインドウ40と、ステップ318で助手席用仮想表示装置に表示するナビゲーションウインドウ40は、ステップ304で表示を開始したナビゲーションウインドウ40と同じ内容を持つものである。ただし、ステップ316と318で表示を開始するナビゲーションウインドウ40は、その水平方向の画素数(解像度)が、ステップ304で表示を開始したナビゲーションウインドウ40の水平方向の画素数の半分となるように、画素を間引いたものとなる。
【0042】
さて、次に、制御部15は、助手席用仮想表示装置にのみ、発生したユーザ操作に応じたメニューを表したメニューウインドウ420を、助手席用仮想表示装置に表示したナビゲーションウインドウ40上にメニューウインドウ420が重畳されるように表示し(ステップ320)、ユーザの操作部3を介したメニュー操作を受け付け(ステップ322)、メニューウインドウ420を閉じて受け付けたメニュー操作に応じた制御部15の処理を起動して実行させ(ステップ324)、始めのステップ302からの処理に戻る。ここで、ステップ324で起動された処理も、当該処理で用いるウインドウを表示する場合には、助手席用仮想表示装置にのみこれを表示する。なお、ステップ322では、操作者検出センサ4が操作者として助手席のユーザを検出している場合にのみ、ユーザの操作部3を介したメニュー操作を受け付けるようにしてもよい。
【0043】
さて、このように助手席用仮想表示装置にのみメニューウインドウ420やメニュー操作に応じて起動される処理で用いるウインドウを表示する結果、車両の走行中に、助手席のユーザの、操作に応じてメニューを表示することになる操作が発生した場合の、表示装置2の表示は、図4c、dに示すようになる。
【0044】
図4cは、助手席用仮想表示装置の表示画面、すなわち、助手席のユーザから視認される表示装置2の表示画面を表しており、図4dは、運転席用仮想表示装置の表示画面、すなわち運転席のユーザから視認される表示装置2の表示画面を表している。
図示するように、車両の走行中に、助手席のユーザの、操作に応じてメニューを表示することになる操作が発生した場合には、図4cに示すように助手席のユーザにのみ視認されるようにメニューウインドウ420やその他のウインドウが、表示装置2に表示される。一方で、図4dに示すように運転者であるユーザに対しては、ナビゲーションウインドウ40のみがそのまま視認され続けるように、表示装置2の表示が行われる。したがって、助手席のユーザの操作を許容しつつ、助手席のユーザの操作に応じたメニューなどの表示が、運転者の妨げとなることを抑制することができる。
【0045】
以上、制御部15が行うユーザインタフェース制御処理について説明した。
なお、以上のユーザインタフェース制御処理によれば、車両の走行中に、助手席のユーザの操作に応じてメニューなどを表示する場合の他は、シングルビューモードで、画質良くナビゲーションウインドウ40やメニューウインドウ420などの各種表示を行うことになる。
【0046】
ところで、以上のユーザインタフェース制御処理は、ステップ312を廃して、ステップ310で停車中と判定されたならば、そのままステップ316に進むようにしてもよい。このようにしても、運転者であるユーザは、ステップ320で表示されるメニューウインドウ420が視認することができないので、以降の操作を行うことができず、結果的に運転者であるユーザの走行中の運転者に許容されない操作は禁止されることになる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、走行中に、助手席のユーザの、運転者には許容されない操作が発生した場合にのみ、助手席のユーザの操作の受け付けまたは受け付けた処理の完了まで、表示装置2にダブルビューモードを設定するようにしたが、これは、車両の走行中には、常時、表示装置2にダブルビューモードを設定するようにしてもよい。
【0048】
そして、この場合には、表示装置2の表示は以下のように行うようにしてもよい。
すなわち、停車中には、表示装置2にシングルビューモードを設定し、図5aに示すようにナビゲーションウインドウ40に重畳して、ユーザ操作を受け付けるための各種コマンドボタン501を表示する。また、走行中には、助手席用仮想表示装置には、図5bに示すように、ナビゲーションウインドウ40に重畳して停車中と同様の各種コマンドボタン501を表示し、運転席用仮想表示装置には、図5cに示すように、ナビゲーションウインドウ40に重畳して走行中の運転者に許容される操作を受け付けるコマンドボタン501のみを表示するようにする。また、走行中に、走行中の運転者に許容されない操作の発生に応じて、メニューウインドウ420やその他のウインドウを表示する場合には、助手席用仮想表示装置にのみ、これらウインドウを表示して、助手席のユーザの操作の受け付けを行い、操作の受け付けまたは受け付けた処理の完了まで、運転席用仮想表示装置に表示したコマンドボタンを消去するようにする。
【0049】
なお、図5に示すようなユーザインタフェースの制御を行う場合には、操作部3として、表示装置2の表示画面上に配置した透明なタッチパネルを用いるようにすることも好ましい。
また、以上の実施形態は、常時、表示装置2をダブルビューモードで使用するものとしてもよい。この場合には、以上の実施形態においてシングルビューモードで行った図4aや図4bや図5aの表示は、これらの表示を、運転席用仮想表示装置と助手席用仮想表示の双方に対して行うようにする。
【0050】
なお、以上では、ナビゲーション装置への適用を例にとり説明したが、本実施形態に係るユーザインタフェースの制御の技術は、TV放送で受信したビデオやDVDビデオ再生装置が再生したビデオを表示する車載ビデオシステムなどの各種車載システムのユーザインタフェースの制御に同様に適用することができる。すなわち、たとえば、車載ビデオシステムに適用する場合には、ビデオを表示するウインドウを、ナビゲーションウインドウ40に代えて以上の実施形態を適用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示装置と操作部と操作者検出センサの配置例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るユーザインタフェース制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示例を示す図である。
【図6】二つの視野角を持つ二つの画像を表示可能な表示装置の構成と動作を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…制御装置、2…表示装置、3…操作部、4…操作者検出センサ、5…GPS受信機、6…車両状態センサ、11…現在状態算出部、12…ルート探索部、13…地図データ記憶部、14…メモリ、15…制御部、16…案内画像生成部、17…GUI制御部、18…表示コントローラ、100…ナビゲーション装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
ユーザの操作を受け付ける操作部と、
ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を生成する情報提供画像生成手段と、
ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像をユーザインタフェース画像として生成するユーザインタフェース画像生成手段と、
前記表示装置に前記情報提供画像を表示させると共に、前記ユーザの所定の操作を受け付けるときに、前記表示装置に前記ユーザインタフェース画像を表示させる表示制御手段とを備えた、
自動車に搭載される車載システムであって、
前記表示装置は、単一の表示画面を用いて、助手席のユーザから視認できず運転席のユーザから視認可能な視野角を有する第1の画像と、運転席のユーザから視認できず助手席のユーザから視認可能な視野角を有する第2の画像とを同時に表示する2画像表示モードを備え、
前記表示制御手段は、所定の条件下で前記ユーザの所定の操作を受け付ける場合には、前記2画像表示モードにある前記表示装置に前記第1の画像として、前記情報提供画像を表示させると共に、前記表示装置に前記第2の画像として、前記ユーザインタフェース画像を表示させることを特徴とする車載システム。
【請求項2】
自動車に搭載される車載システムであって、
単一の表示画面を用いて、助手席のユーザから視認できず運転席のユーザから視認可能な視野角を有する第1の画像と、運転席のユーザから視認できず助手席のユーザから視認可能な視野角を有する第2の画像とを同時に表示する2画像表示モードと、前記表示画面を用いて運転席のユーザからも助手席のユーザからも視認可能な視野角を有する単一の画像を表示する単一画像表示モードとを有する表示装置と、
ユーザの操作を受け付ける操作部と、
ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を生成する情報提供画像生成手段と、
ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像をユーザインタフェース画像として生成するユーザインタフェース画像生成手段と、
前記表示装置に前記単一画像表示モードを設定し、前記表示装置に前記情報提供画像を表示させると共に、前記ユーザの所定の操作を受け付けるときに、前記表示装置に前記ユーザインタフェース画像を表示させる表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、所定の条件下で前記ユーザの所定の操作を受け付ける場合には、前記表示装置に前記2画像表示モードを設定し、前記表示装置に前記第1の画像として、前記情報提供画像を表示させると共に、前記表示装置に前記第2の画像として、前記ユーザインタフェース画像を表示させることを特徴とする車載システム。
【請求項3】
自動車に搭載される車載システムであって、
単一の表示画面を用いて、助手席のユーザから視認できず運転席のユーザから視認可能な視野角を有する第1の画像と、運転席のユーザから視認できず助手席のユーザから視認可能な視野角を有する第2の画像とを同時に表示する表示装置と、
ユーザの操作を受け付ける操作部と、
ユーザに提供する情報を表す情報提供画像を生成する情報提供画像生成手段と、
ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像をユーザインタフェース画像として生成するユーザインタフェース画像生成手段と、
前記表示装置に前記第1の画像及び第2の画像として前記情報提供画像を表示させると共に、前記ユーザの所定の操作を受け付けるときに、前記表示装置に第1の画像及び第2の画像として前記ユーザインタフェース画像を表示させる表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、所定の条件下で前記ユーザの所定の操作を受け付ける場合には、前記表示装置に前記第1の画像として、前記情報提供画像を表示させると共に、前記表示装置に前記第2の画像として、前記ユーザインタフェース画像を表示させることを特徴とする車載システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車載システムであって、
前記ユーザインタフェース画像は、前記情報提供画像と共に、前記ユーザの所定の操作を案内もしくは受け付けるための表示オブジェクトを含めた画像であることを特徴とする車載システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の車載システムであって、
車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段を有し、
前記所定の条件は、前記停車検出手段が駐車中でないことを検出しているという条件であることを特徴とする車載システム。
【請求項6】
請求項1、2、3または4記載の車載システムであって、
車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段を有し、
当該車載システムは、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始し、
前記所定の条件は、前記停車検出手段が駐車中でないことを検出しているときに、前記操作部の操作が発生したという条件であることを特徴とする車載システム。
【請求項7】
請求項1、2、3または4記載の車載システムであって、
車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段を有し、
当該車載システムは、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始し、
前記所定の条件は、前記停車検出手段が駐車中でないことを検出しているときに、前記操作部の、駐車中でないときに運転席のユーザに対して禁止される操作が発生したという条件であることを特徴とする車載システム。
【請求項8】
請求項1、2、3または4記載の車載システムであって、
車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段と、
前記操作部が受け付けた操作の操作者が、運転席のユーザによって行われた操作であるか、助手席のユーザによって行われた操作であるかを検出する操作者検出センサとを有し、
当該車載システムは、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始し、
前記所定の条件は、前記停車検出手段が駐車中を検出しておらず、前記操作者検出センサが操作者として助手席のユーザを検出しているときに、前記操作部の操作が発生したという条件であることを特徴とする車載システム。
【請求項9】
請求項1、2、3または4記載の車載システムであって、
車両の駐車中の有無を検出する駐車検出手段と、
前記操作部が受け付けた操作の操作者が、運転席のユーザによって行われた操作であるか、助手席のユーザによって行われた操作であるかを検出する操作者検出センサとを有し、
当該車載システムは、前記操作部の操作に応答して、前記ユーザの所定の操作の受け付けを開始し、
前記所定の条件は、前記停車検出手段が駐車中を検出しておらず、前記操作者検出センサが操作者として助手席のユーザを検出しているときに、前記操作部の、駐車中でないときに運転席のユーザに対して禁止される操作が発生したという条件であることを特徴とする車載システム。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の車載システムであって、
当該車載システムは、前記情報提供画像生成手段において、前記情報提供画像として、地図上に少なくとも現在位置を表したナビゲーション画像を生成するナビゲーションシステムを形成していることを特徴とする車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−347482(P2006−347482A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179027(P2005−179027)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】