車載充電制御装置
【課題】モータ駆動用の2次電池を外部電源によって充電可能な車両において、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、2次電池の寿命の延伸を図る。
【解決手段】2次電池の充電を制御するECUにおいて、電源制御を担う副制御マイコンは、ユーザによる電源操作SWの操作(イグニション系電源ON)がなされる度に、その操作された時刻をRTC等の計時手段から取得し、車両の利用履歴情報として蓄積する。そして、例えば朝8時に電源操作SWの操作がなされた頻度が高頻度判定閾値を超えたならば、その操作頻度の高い時間帯(朝8時)を2次電池の充電終了目標時間に設定する。車両の走行終了後、外部電源電力による充電可能となったときに、電池寿命延伸モードが設定されている場合は、設定された充電終了目標時間に満充電状態となるように充電スケジュールを演算して、その充電スケジュールに従って充電するよう指令を出す。
【解決手段】2次電池の充電を制御するECUにおいて、電源制御を担う副制御マイコンは、ユーザによる電源操作SWの操作(イグニション系電源ON)がなされる度に、その操作された時刻をRTC等の計時手段から取得し、車両の利用履歴情報として蓄積する。そして、例えば朝8時に電源操作SWの操作がなされた頻度が高頻度判定閾値を超えたならば、その操作頻度の高い時間帯(朝8時)を2次電池の充電終了目標時間に設定する。車両の走行終了後、外部電源電力による充電可能となったときに、電池寿命延伸モードが設定されている場合は、設定された充電終了目標時間に満充電状態となるように充電スケジュールを演算して、その充電スケジュールに従って充電するよう指令を出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動用の2次電池を外部電源によって充電可能な車両に搭載され、2次電池の充電を制御する車載充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池の電力によってモータを駆動することにより走行用の駆動力を得ることが可能に構成された車両が知られている。特に近年、環境保護や資源保護、燃料節減などの目的から、例えば家庭用電源などの外部電源によってモータ駆動用の2次電池を充電可能に構成された車両が提案され、既に実用化もされている。
【0003】
このように2次電池を外部から充電可能な方式の車両としては、例えば、エンジンとモータの双方から駆動力を得ることが可能なプラグインハイブリッド車(PHV)、モータのみで駆動力を得る電気自動車(EV)、燃料電池車(FC)などが挙げられる。また、モータ駆動用の2次電池としては、例えばニッケル水素2次電池やリチウムイオン2次電池などの各種の2次電池が挙げられる。
【0004】
このような方式の車両における、外部電源による2次電池への充電方法については、例えば短時間で急速に充電を行えるようにするなど、ユーザの利便性を損なわないようにするための各種の取り組みがなされている。その一方で、2次電池は、一般に、短時間で急速充電を行ったり満充電状態で長時間放置したりすると電池寿命が大幅に短くなることが知られている。
【0005】
そのため、ユーザの利便性を低下させることなく電池寿命の延伸を図ることが可能な充電方法を実現させることが、大きな課題となっている。
2次電池の電池寿命の延伸を図るための充電方法の1つとして、次のような技術が提案されている。即ち、ユーザにより次回運転日の設定を受付可能にして、運転終了時、次回運転日の設定があった場合には、先ずは予備充電を行って所定の充電容量(SOC:State of charge )まで充電させ、その後、設定された次回運転日の前夜に本充電を行って満充電状態とする。このようにすることで、2次電池が満充電状態で保存される期間を短縮することができ、電池寿命の延伸を図ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−254221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、次回運転日の設定に関してはユーザ自身が行う必要があるため、そもそも、ユーザ自身が設定しない限り、運転終了後に外部電源供給用のプラグを自動車に差し込むとすぐに充電が開始されて満充電状態で長時間保存されてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、モータ駆動用の2次電池を外部電源によって充電可能な車両において、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、2次電池の寿命の延伸を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、外部電源の電力を元に走行用モータの駆動源である2次電池を充電する充電装置を備えた車両に搭載され、充電装置による2次電池の充電を制御する車載充電制御装置であって、充電装置は、外部電源が入力されたときに所定の充電起動信号を出力するよう構成されている。
【0010】
そして、当該車載充電制御装置は、充電装置からの充電起動信号が入力される充電起動信号入力手段と、車両に搭載された電源スイッチの操作状態を示す操作信号が入力される操作信号入力手段と、現在時刻を計時する計時手段と、充電起動信号入力手段に充電起動信号が入力されたときに充電装置による2次電池の充電を制御するための制御指令を出力する制御指令出力手段と、操作信号入力手段に操作信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を計時手段から取得し、該取得した現在時刻に基づいて、以後、充電装置による2次電池の充電が行われる際における該充電終了目標時間を設定する終了目標設定手段と、を備えている。
【0011】
そして、制御指令出力手段は、充電起動信号入力手段に充電起動信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を計時手段から取得し、該取得した現在時刻と、終了目標設定手段により設定されている充電終了目標時間とに基づき、2次電池を充電終了目標時間を含む所定の終了目標時間帯で所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第1の充電スケジュールを設定して、該設定した第1の充電スケジュールを示す制御指令を出力する。
【0012】
このように構成された請求項1に記載の車載充電制御装置では、電源スイッチの操作がなされたときの時刻に基づいて充電終了目標時間が設定され、充電装置による2次電池の充電は、その設定されたその充電終了目標時間を含む終了目標時間帯で所定の充電容量まで充電されるように制御される。
【0013】
ユーザ等による電源スイッチの操作が実際になされた時刻というのは、後日またそのユーザが電源スイッチを操作する(延いては車両を走行させる)可能性が相対的に高い時刻であると考えることができる。そのため、電源スイッチが操作された時刻に基づいて、例えばその時刻をそのまま、或いはその時刻近傍の時刻などを充電終了目標時間とするなどの適宜の設定方法で充電終了目標時間を設定し、その設定した充電終了目標時間を含む終了目標時間帯で充電を終了させるようにすれば、充電終了後から再び電源スイッチが操作されるまでの時間を低減することが可能となる。
【0014】
従って、請求項1に記載の車載充電制御装置によれば、必要なときに十分に充電がなされているようにするというユーザの利便性を低下させず、且つ、ユーザ自身に手間をかけさせることなく、2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載充電制御装置であって、終了目標設定手段は、操作信号入力手段に操作信号が入力されたときに計時手段から取得した現在時刻を、電源スイッチが操作された操作時刻または操作時間帯の履歴として蓄積し、該蓄積結果に基づいて、電源スイッチが操作された頻度が所定の閾値より高い操作時刻又は操作時間帯を、充電終了目標時間として設定する。
【0016】
このように構成された請求項2に記載の車載充電制御装置によれば、電源スイッチの操作履歴に基づいて、操作された頻度の高い時刻又は時間帯が充電終了目標時間に設定されるため、ユーザの利用状況に合致したより適切な充電終了目標時間の設定が可能となる。これにより、充電終了後から再び電源スイッチが操作されるまでの時間をより短くすることができ、より効果的に2次電池の寿命延伸を図ることができる。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載充電制御装置であって、2次電池の充電モードとして、少なくとも、第1の充電スケジュールに従って充電を行う第1の充電モードを有している。また、第1の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第1充電モード設定手段を備えている。そして、制御指令出力手段は、第1充電モード設定手段により第1の充電モードが設定されている場合に、第1の充電スケジュールを設定して該第1の充電スケジュールを示す制御指令を出力する。
【0018】
このように構成された請求項3に記載の車載充電制御装置によれば、ユーザは必要に応じて第1の充電モードに設定するか否かを選択できるため、より利便性の高い車載充電制御装置の提供が可能となる。
【0019】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車載充電制御装置であって、2次電池の充電モードとして、更に、予め設定された、相対的に電力料金の安価な時間帯である深夜電力時間帯に充電を行う第2の充電モードを有している。また、第2の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第2充電モード設定手段を備えている。そして、制御指令出力手段は、第2充電モード設定手段により第2の充電モードが設定されている場合は、深夜電力時間帯において充電を開始及び終了させるための充電スケジュールである第2の充電スケジュールを設定して、該設定した第2の充電スケジュールを示す制御信号を出力する。
【0020】
このように構成された請求項4に記載の車載充電制御装置によれば、第2の充電モードに設定すれば、電気料金の安価な深夜電力時間帯で充電を開始・終了させることが可能であるため、電気料金を抑えることができる。
【0021】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車載充電制御装置であって、制御指令出力手段は、第1充電モード設定手段により第1の充電モードが設定されていると共に第2充電モード設定手段により第2の充電モードが設定されている場合は、深夜電力時間帯の終了時間を充電終了目標時間として、該充電終了目標時間までに2次電池を所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第3の充電スケジュールを設定する。
【0022】
このように構成された請求項5に記載の車載充電制御装置によれば、第1の充電モードと第2の充電モードが共に設定されている場合には、深夜電力時間帯で充電を開始・終了させると共に、その深夜電力時間帯の終了時間において2次電池の容量が所定の充電容量に到達するように充電がなされることになる。そのため、ユーザの利便性を低下させず、ユーザ自身に手間をかけさせることなく、更に充電にかかる電気料金を抑えつつ、2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0023】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、制御指令出力手段は、充電開始から終了までの間で単位時間あたりの充電容量が少なくとも二種類に変化するような充電スケジュールを設定可能に構成されている。
【0024】
このように構成された請求項6に記載の車載充電制御装置によれば、例えば、充電開始からある時間までは急速に充電を行ってある程度の容量を確保しておき、その後は充電速度を緩めて充電を行う、といった充電が可能となり、この場合、突発的に車両を使用する必要性が生じても全く走れなかったり或いは少ししか走れないといった不都合を回避することが可能となる。
【0025】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、充電装置に外部電源が入力されたときに車両が備える第1のリレーをONさせる第1のリレー駆動手段と、第1のリレー駆動手段によって第1のリレーがONされたときに該第1のリレーから出力される第1リレー出力信号が入力される第1リレー入力手段と、を備え、制御指令出力手段は、充電起動信号入力手段への充電起動信号の入力、及び第1リレー入力手段への第1リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、充電スケジュールを設定する。
【0026】
このように構成された請求項7に記載の車載充電制御装置によれば、充電装置に外部電源が入力されたこと、即ち2次電池の充電が可能になったことを、第1リレー出力信号及び充電起動信号の何れか一方又は双方で認識することができる。そのため、充電が可能になったことを確実に認識でき、それにより充電制御に必要な制御指令を確実に出力させることができる。
【0027】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、電源スイッチが操作されたときに車両が備える第2のリレーをONさせる第2のリレー駆動手段と、第2のリレー駆動手段によって第2のリレーがONされたときに該第2のリレーから出力される第2リレー出力信号が入力される第2リレー入力手段と、を備え、終了目標設定手段は、操作信号入力手段への操作信号の入力、及び第2リレー入力手段への第2リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、充電終了目標時間を設定する。
【0028】
このように構成された請求項8に記載の車載充電制御装置によれば、電源スイッチの操作がなされたことを、第2リレー出力信号及び操作信号の何れか一方又は双方で認識することができる。そのため、電源スイッチの操作がなされたことを確実に認識でき、それにより充電終了目標時間の設定を確実に行うことができる。
【0029】
次に、請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、充電起動信号入力手段、操作信号入力手段、制御指令出力手段、及び終了目標設定手段は、第1のマイコンにより構成されており、第1のマイコン及び計時手段は、電源スイッチの操作状態にかかわらず車両が備えるバッテリからの電力によって常時動作可能に構成されている。そして、第1のマイコンは、所定のスリープ条件が成立したときに、充電起動信号入力手段及び操作信号入力手段を除く他の機能の一部又は全ての動作を停止させるスリープ状態に移行すると共に、充電起動信号入力手段へ充電起動信号が入力されたか又は操作信号入力手段に操作信号が入力されたときに、スリープ状態を解除するよう構成されている。
【0030】
このように構成された請求項9に記載の車載充電制御装置によれば、必要時以外はスリープ状態になって消費電力が低減されるため、暗電流の低減が可能となる。また、例えば、スリープ状態が解除されたときに他のマイコン等の電源供給をONするなど、他のマイコン等への電源供給も行うようにすれば、より実用性の高い車載充電制御装置の提供が可能となる。
【0031】
次に、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の車載充電制御装置であって、計時手段は、リアルタイムクロックにより構成されている。リアルタイムクロックは、一般に時間精度が高いことが知られている。一方、車載充電制御装置をはじめ、車両に搭載される各種の電子制御装置は、通常、一度通電が開始されると例えば2〜5年程度は通電されたままの状態となる。そのため、時間制度の悪い計時手段を用いると、誤差が大きくなっていき、充電の開始、終了タイミング等を精度良く制御できなくなるおそれがある。これに対し、リアルタイムクロックを用いれば、時間制度が高いため、数年程度連続して使われても十分に実用性が保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態のECUの概略構成を表す構成図である。
【図2】2次電池の充電過程の一例を表す図であり、(a)は深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの何れも設定されていない場合の充電過程を表し、(b)は何れのモードも設定されている場合の充電過程を表す。
【図3】2次電池の充電過程の一例を表す図であり、(a)は深夜電力充電モードが設定されていて電池寿命延伸モードは設定されていない場合の充電過程を表し、(b)は深夜電力充電モードは設定されておらず電池寿命延伸モードが設定されている場合の充電過程を表す。
【図4】1次充電と2次充電の二段階で充電が行われる場合の充電過程の一例を表す図である。
【図5】副制御マイコンが実行する充電終了目標時間設定処理を表すフローチャートである。
【図6】副制御マイコンが実行する充電制御処理を表すフローチャートである。
【図7】図6の充電制御処理における、S440の電池寿命延伸充電制御の詳細を表すフローチャートである。
【図8】第2実施形態のECUの概略構成を表す構成図である。
【図9】第3実施形態のECUの概略構成を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明が適用された実施形態の車載電子制御装置(以下「ECU」という)について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のECU1の概略構成を表す構成図である。このECU1は、本発明の車載充電制御装置に相当するものであって、車両に搭載されている。このECU1が搭載された車両は、走行用の駆動源として内燃機関型エンジン(図示略)、及び2次電池2の電力によって駆動するモータ(電気モータ)3の双方を備えると共に、例えば家庭用電源(商用100Vまたは200V交流電源等)などの外部電源によって2次電池2を充電可能に構成された、プラグインハイブリッド車両に搭載されたものである。
【0034】
ECU1は、車載バッテリの電圧(バッテリ電圧)+Bを受けて動作するものであり、モータECU4、電池ECU5、更には図示しないエンジンECUなどの走行系のECUへその電源電圧としてのバッテリ電圧+Bを供給する機能と、これら走行系の各ECUと車載ネットワーク(例えばCAN)6によって相互にデータ通信することで各ECUから各種情報を取得すると共に各ECUを制御して車両の動力源を制御する機能と、図示しないメータECUやブレーキECU、エアコンECUなどのイグニション(IG)系の各ECUへその電源電圧としてのバッテリ電圧+Bを供給する機能と、図示しないオーディオ装置等のアクセサリ(ACC)系の装置へその電源電圧としてのバッテリ電圧+Bを供給する機能と、ユーザにより操作される電源操作スイッチ(以下「電源操作SW」という)7の操作内容に基づいて上記の各ECU等への電源供給を制御する機能と、車載充電器8による2次電池2の充電を制御する機能と、を少なくとも有している。
【0035】
更に、ECU1は、車載充電器8による2次電池2の充電を制御するにあたり、その充電開始時間や充電終了時間、充電速度など(以下まとめて「充電スケジュール」ともいう)を制御することで、2次電池2が満充電状態で長時間保存されないよう、また安価な電気料金にて充電を行えるようにする機能を有している。
【0036】
尚、IG系の各ECUへのバッテリ電圧+Bは、ECU1によりONされる2つのIGリレー(第1IGリレー9及び第2IGリレー10)を介して供給される。IG系へのバッテリ電圧+Bの供給がこのように二系統に分かれているのは、定格上1つのリレーだけではIG系の全ECUへの電力供給を補えないことや、機能別に系統を分けておきたいといった事情等によるものである。
【0037】
また、ACC系の装置へのバッテリ電圧+Bは、ECU1によりONされるACCリレー11を介して供給される。また、モータECU4や電池ECU5などの走行系のECUへのバッテリ電圧+Bは、ECU1によりONされるメインリレー12を介して供給される。
【0038】
2次電池2は、走行用のモータ3を駆動するための電力供給源であり、例えばリチウムイオン2次電池やニッケル水素2次電池などの各種の2次電池が用いられる。そして、この2次電池2からの直流電力は、駆動回路13によりモータ駆動用の交流に変換されてモータ3へ供給され、これによりモータ3が駆動される。駆動回路13は、モータECU4により制御される。モータECU4は、ECU1からの指令に基づいて駆動回路13の動作を制御することにより、モータ3のトルクや回転数などを制御する。
【0039】
電池ECU5は、2次電池2の状態を監視すると共にその監視結果をECU1へ伝達する。電池ECU5による監視内容として、本実施形態では少なくとも、2次電池2のSOC(State of charge :充電容量)があり、その他、例えば2次電池2の電圧や温度なども監視される。ECU1は、この電池ECU5からの各種情報をみながら、2次電池2の充電を制御する。
【0040】
なお、2次電池2から駆動回路13に至る通電経路において、2次電池2の正極と駆動回路13の間に正極側モータリレー14が、2次電池2の負極と駆動回路13の間に負極側モータリレー15が、それぞれ設けられている。これら各モータリレー14,15は、ECU1によりONされる。
【0041】
車載充電器8は、家庭用電源などの外部電源のコンセントに差込プラグ16が差し込まれることによって、その外部電源から充電用の電力が入力される。外部電源から入力される電圧は例えば商用100Vまたは200Vの交流電圧であるため、車載充電器8は、この交流電圧をAC−DCコンバータ等によって所望の電圧の充電用直流電圧に変換して2次電池2へ供給する。
【0042】
この車載充電器8は、上述したように2次電池2の充電用直流電圧を生成するという基本的機能の他、差込プラグ16が外部電源のコンセントに差し込まれて充電用の電力が供給されてきたときにその旨を示す充電起動信号をECU1へ出力する機能も有する。また、車載充電器8による充電は、ECU1との間で送受信される充電制御信号に基づき、ECU1からの指令に従って行われる。
【0043】
なお、車載充電器8から2次電池2に至る通電経路において、車載充電器8における正極側出力と2次電池2の正極との間に正極側充電リレー17が、車載充電器8における負極側出力と2次電池2の負極との間に負極側充電リレー18が、それぞれ設けられている。これら各充電リレー17,18は、ECU1によりONされる。
【0044】
そして、ECU1は、副制御マイコン21と、主制御マイコン22と、充電制御マイコン23と、電源IC24と、充電制御電源回路25と、RTC(Real Time Clock :リアルタイムクロック)26と、メモリ27と、+B検出部28と、を備えている。即ち、このECU1は、複数のマイコンを備えた機能統合製品であり、マイコン毎に制御内容が異なっている。
【0045】
電源IC24は、車載バッテリから常時供給されるバッテリ電圧+Bを降圧して、副制御マイコン21を動作させるための所定の電源電圧(以下「副制御電源電圧」ともいう)を生成する副制御電源回路35と、同じく車載バッテリから常時供給されるバッテリ電圧+Bを降圧して、主制御マイコン22を動作させるための所定の電源電圧(以下「主制御電源電圧」ともいう)を生成する主制御電源回路36と、を備えている。
【0046】
また、副制御マイコン21から入力される電源制御信号(詳細は後述)に従ってACCリレー11及び各IGリレー9,10を選択的にONさせる出力回路37と、副制御マイコン21から入力される電源制御信号が、IG−ON(詳細は後述)を示す信号であった場合にHレベルの信号を出力するIGON検出部38と、このIGON検出部38からの出力と後述するプラグイン電源入力との論理和を演算して出力するOR回路39と、を備えている。
【0047】
電源IC24において、副制御電源回路35は、副制御マイコン21へ常時副制御電源電圧を供給するよう構成されている。但し、副制御マイコン21の動作状態(スリープモード中かウェイクアップしているか)に応じてその供給量や供給対象は異なり、スリープモード中は最小限の電力供給に留めている。なお、副制御電源回路35からの副制御電源電圧は、RTC26に対しても常時供給される。そのため、RTC26は、車両の状態にかかわらず、電源IC24へバッテリ電圧+Bが供給されている限り常時動作する。
【0048】
主制御電源回路36は、メインリレー12を介してバッテリ電圧+Bが供給されていないときは動作せず、主制御マイコン22への主制御電源電圧の供給は行われない。そして、メインリレー12がONされることによりこのメインリレー12を介してバッテリ電圧+Bが入力されたときに、主制御電源回路36が動作して、主制御マイコン22へ主制御電源電圧を供給する。
【0049】
副制御マイコン21は、主として、電源操作スイッチ7の操作内容や車載充電器8からの充電起動信号などに基づいて上述した車両内の各部への電力供給を制御する電源制御機能と、車載充電器8から充電起動信号が入力されたときに2次電池2の充電スケジュールを設定してそれに応じた充電要求指令を出力する充電制御機能と、を備えている。
【0050】
この副制御マイコン21は、電源IC24内の副制御電源回路35から常時電源供給を受けて動作し、所定のスリープ条件が成立するとスリープモードに移行し、車載充電器8から充電起動信号が入力されたり或いは電源操作SW7が操作される等の所定の起動条件が成立するとウェイクアップする。
【0051】
スリープモードにおいては、少なくとも、車載充電器8からの充電起動信号の入力、電源操作SW7の操作入力、及びRTC26からの設定時刻到達信号の入力については受け付け可能な状態としつつも、他の各種機能の動作は基本的に停止させ、必要最小限の消費電力にて動作している。そして、これらのうちいずれかの入力があった場合にはウェイクアップして、当該副制御マイコンが有する各種の機能の動作を開始する。
【0052】
副制御マイコン21が備える、上述した電源制御機能は、大きく分けて、車載充電器8からの充電起動信号に基づくものと、電源操作SW7の操作入力に基づくものとに分けられる。
【0053】
電源操作SW7は、車両の運転者等のユーザにより操作される、押しボタン式のスイッチである。この電源操作SW7がユーザにより操作(押し操作)されると、操作入力信号が副制御マイコン21に入力される。副制御マイコン21は、電源操作SW7が操作される毎に、予め決められたパターンで電源制御信号を電源IC24へ出力する。
【0054】
具体的には、電源操作SW7が1回操作される毎に、「全リレーOFF」(即ち電源OFF)→「ACCリレー11のみON」(即ちACCON)→「更に各IGリレー9,10及びメインリレー12もON」(即ちIGON)→「全リレーOFF」(電源OFF)となるような電源制御信号を電源IC24へ出力する。なお、特定の条件においては1回操作で電源OFFの状態からIGONの状態に移行する場合もあるが、ここではその詳細は省略する。
【0055】
電源IC24において、出力回路37は、副制御マイコン21からの電源制御信号に基づいて各IGリレー9,10及びACCリレー11をそれぞれ駆動する。例えば、電源OFFの状態のときに、電源操作SW7が1回操作された旨の電源制御信号が副制御マイコン21から入力されると、ACCリレー11のみをONさせる(ACCON状態)。これにより、ACC系の各種装置へバッテリ電源+Bが供給されることとなる。
【0056】
その状態で更に電源操作SW7が操作され、その旨の電源制御信号が副制御マイコン21から入力されると、出力回路37が更に各IGリレー9,10もONさせる(IGON状態)と共に、IG−ON検出部38がOR回路39へHレベル信号を出力することによりOR回路39からメインリレー駆動信号が出力され、これによりメインリレー12もONされる。これにより、IG系の各ECU等や走行系の各ECU4,5等にもバッテリ電圧+Bが供給されることとなる。そして、その状態から更に電源操作SW7が操作され、その旨の電源制御信号が副制御マイコン21から入力されると、出力回路37は全リレー9,10,11をOFFさせると共に、IG−ON検出部はOR回路39へLレベル信号を出力してメインリレー12をOFFさせる。
【0057】
メインリレー12がONされると、このメインリレー12を介してバッテリ電圧+BがECU1内にも入力される。具体的には、電源IC24内の主制御電源回路36へ入力され、これによりこの主制御電源回路36が動作して主制御マイコン22へ主制御電源電圧が供給され、主制御マイコン22が起動する。
【0058】
また、メインリレー12からのバッテリ電圧+Bは、ECU1内において+B検出部28にも入力される。この+B検出部28は、入力されたバッテリ電圧+Bを所定の分圧比にて分圧し、+B入力信号として副制御マイコン21へ出力するものである。副制御マイコン21は、この+B検出部28からの+B入力信号に基づき、メインリレー12がONされているか否かを検出することができる。
【0059】
このように、メインリレー12は、ユーザにより電源操作SW7が操作されてIGON状態となった場合にONされるのであるが、このメインリレー12は、車載充電器8から副制御マイコン21へ充電起動信号が入力された場合にもONされる。
【0060】
即ち、車載充電器8から充電起動信号が入力されると、副制御マイコン21は、その旨を示す充電起動指令を電源IC24へ出力する。これにより、電源IC24は、プラグインリレー40をONさせる。プラグインリレー40がONされると、このプラグインリレー40を介してバッテリ電圧+Bが入力される。なお、このプラグインリレー40からのバッテリ電圧+Bの入力を、以下「プラグイン電源入力」ともいう。
【0061】
プラグインリレー40からのプラグイン電源入力は、ECU1内において、充電制御電源回路25に入力される。これにより、充電制御電源回路25が動作し、充電制御マイコン23へその動作用の電源電圧である充電制御電源電圧を供給する。この充電制御電源電圧の供給により、充電制御マイコン23が起動する。
【0062】
また、プラグインリレー40からのプラグイン電源入力は、ECU1内において、電源IC24内のOR回路39にも入力される。そのため、プラグイン電源入力があるとメインリレー12がONし、このメインリレー12を介してバッテリ電圧+Bが走行系の各ECU及びECU1内に供給される。
【0063】
なお、プラグインリレー40からのプラグイン電源入力は、副制御マイコン21にも入力されている。副制御マイコン21は、このプラグイン電源入力を受けることによって、プラグインリレー40がONされたことや、それにより充電制御電源回路25が動作しているはずであること(延いては充電制御マイコン23が動作しているはずであること)を確認的に認識することができる。
【0064】
このように、メインリレー12は、電源OFFの状態から電源操作SW7が2回操作されたとき、及び、車載充電器8から充電起動信号が入力されたときに、ONされることとなる。
【0065】
RTC26は、周知の時間管理デバイスであって、既述の通り常時動作している。副制御マイコン21は、このRTC26から必要に応じて現在時刻を取得することができる。本例においては、例えば、年・月・日・曜日・時・分・秒までの細かい単位で現在時刻を取得することができる。
【0066】
また、副制御マイコン21は、RTC26に対し、予め設定した時刻になった時にその旨を通知してもらう(具体的には設定時刻到達信号を出力してもらう)ことが可能である。RTCは、副制御マイコン21から、通知すべき時刻の設定がなされた場合には、自身が計時している現在時刻に基づき、その設定された時刻に到達した時に、副制御マイコン21へ設定時刻到達信号を出力する。副制御マイコン21は、既述の通り、スリープモードのときにもこの設定時刻到達信号を受け付け可能であって、この設定時刻到達信号が入力された場合にはウェイクアップする。
【0067】
また、本実施形態の車両には、充電を行う際の充電モードを設定するための2つの充電モード設定スイッチ(第1充電モード設定スイッチ31,第2充電モード設定スイッチ32)が設けられており、これら各充電モード設定スイッチ31,32の状態が副制御マイコン21へ入力される。
【0068】
本実施形態では、充電モードとして、電気料金の安価な深夜電力時間帯に充電を行って充電完了させる「深夜電力充電モード」と、設定された充電終了目標時間(より詳しくは本実施形態では2次充電終了目標時間)に2次電池2が満充電状態となるように充電スケジュール(充電速度:単位時間あたりに充電させるべき充電容量)を演算してその充電スケジュールに従って充電を行う「電池寿命延伸モード」が設定可能に構成されている。
【0069】
なお、本実施形態でいう深夜電力時間帯とは、例えば23時から翌朝7時までの時間帯を示すものとする。
このうち深夜電力充電モードは、第1充電モード設定スイッチ31をONすることにより設定され、電池寿命延伸モードは、第2充電モード設定スイッチ32をONすることにより設定される。
【0070】
なお、電池寿命延伸モードでは、予め充電終了目標時間(2次充電終了目標時間)が設定され、その設定された目標時間で満充電状態となるように充電が行われるため、目標時間を適切に設定することで、2次電池2が満充電状態のまま長時間放置されるのを防止することができる。これにより、2次電池2の寿命の延伸を図ることができる。
【0071】
主制御マイコン22は、主として、モータECU4や電池ECU5等の走行系のECUを制御する機能を担うものである。この主制御マイコン22は、既述の通り、電源OFF時は電源供給されずに停止しており、電源OFF状態から電源操作SW7が2回操作されたとき、若しくは車載充電器8から充電起動信号が入力されたときに、メインリレー12から+B電源が供給されることにより起動する。
【0072】
主制御マイコン22は、電池ECU5やモータECU4との間で、車載ネットワーク6を介して各種データのやり取りを行うことで、モータ3の制御や2次電池2の監視制御を行っている。電池ECU5からは、2次電池2のSOCなどの各種情報を取得しており、その取得したSOCは、後述するように副制御マイコン21においても利用される。なお、図示しない他のECU(エンジンECUなど)ともデータ通信を行っており、車両における、走行のための各種(走行系制御)全体を統括している。
【0073】
充電制御マイコン23は、車載充電器8の制御、即ち外部電源による2次電池2の充電を制御する役割を担っている。但し、この充電制御マイコン23は、自身が充電スケジュール等の演算を積極的に行って自身が主導で車載充電器8の動作を制御しているのではなく、あくまでも、副制御マイコン21からの充電要求指令に基づき、その充電要求指令が示す充電スケジュールに従って、車載充電器8へ充電制御信号を出力する。
【0074】
車載充電器8は、充電制御マイコン23から出力された充電制御信号に従って(つまり副制御マイコン21にて演算された充電スケジュール等に従って)2次電池2への充電を行うこととなる。また、充電制御マイコン23は、2次電池2の充電を行う際は、各充電リレー17,18をONさせて、車載充電器8と2次電池2とを結ぶ高圧ラインを導通させ、2次電池2への充電を可能な状態にする。これら各充電リレー17,18は、充電時以外は通常はOFFされている。
【0075】
尚、副制御マイコン21,主制御マイコン22,及び充電制御マイコン23は、DMA通信によって互いにデータのやり取りを行っている。その一例が、副制御マイコン21から充電制御マイコン23への充電要求指令(充電スケジュール等)である。
【0076】
また、主制御マイコン22が電池ECU5からSOCなどの2次電池2に関する情報を取得していることは既に述べた通りであるが、副制御マイコン21は、主制御マイコン22が取得した2次電池2に関する情報のうち、少なくともSOCを、DMA通信によって取得し、自身が充電スケジュール等を演算する際に用いている。
【0077】
また、本実施形態のECU1は、複数のマイコン(本例では3つ)を有し、マイコン毎に役割を分担させているが、1つのマイコンを用いずにこのように複数のマイコンに役割分担させている理由としては、例えば、暗電流の低減や、走行系にかかわる制御の信頼性の向上、などが挙げられる。即ち、複数のマイコンを用意して、常時動作させるべき機能については1つのマイコンに集約し、他のマイコンは電源OFF時は完全に動作を停止させることができるようにすることで、全体として消費電力を低減できる。また、車両において最も重要となる走行系の制御を担うマイコン(本例の主制御マイコン22)を他のマイコンと切り分けることで、当該走行系マイコンの信頼性を向上させることができる。更に、他のマイコンによって当該走行系のマイコンを監視させることで、信頼性をより向上させることもできる。
【0078】
次に、副制御マイコン21が主体となって行う、2次電池2の充電制御について説明する。ここではまず、充電制御についてその概要を説明する。そして、その詳細については、後でフローチャート(図5〜図7参照)を用いて説明する。
【0079】
外部コンセントや充電スタンド等に差込プラグ16を差し込むことにより車載充電器8に充電用の電力が供給されると、車載充電器8は、ECU1へ充電起動信号を出力する。この充電起動信号は、ECU1内において副制御マイコン21に入力される。
【0080】
副制御マイコン21は、この充電起動信号を受けることによってウェイクアップすると、上述したように電源IC24へ充電起動指令を出力することにより、プラグインリレー40をONさせる。
【0081】
プラグインリレー40のONにより、プラグイン電源入力がなされ、充電制御電源回路25から充電制御電源電圧が供給されて充電制御マイコン23が起動される。更に、プラグイン電源入力は電源IC24にも入力され、これにより電源IC24内のOR回路39からメインリレーON信号が出力されてメインリレー12がONされる。
【0082】
このメインリレー12のONにより、メインリレー12を介したバッテリ電圧+BがECU1内の主制御電源回路36を起動させて主制御マイコン22を起動させると同時に、メインリレー12の配下にある走行系のECU(モータECU4,電池ECU5等)にもバッテリ電圧+Bが供給されることによりこれら各ECUが起動する。これにより、主制御マイコン22は電池ECU5から2次電池2のSOCを取得できるようになり、延いては、副制御マイコン21がそのSOCをDMA通信を介して主制御マイコン22から取得できるようになり、充電制御のための準備段階が整ったことになる。
【0083】
充電制御のための準備が整うと、副制御マイコン21は、第1充電モード設定スイッチ31及び第2充電モード設定スイッチ32の設定内容に基づいて、即ち、充電モードが深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの何れか一方又は両方に設定されているか否かに基づいて、充電スケジュールを演算する。そして、その演算した充電スケジュールに従って充電を行うよう、充電制御マイコン23に対してDMA通信を経由して充電要求指令を出力する。
【0084】
充電制御マイコン23は、副制御マイコン21からの充電要求指令を受けると、その充電要求指令(充電スケジュールを含む)に従って車載充電器8に充電制御信号(例えばDUTY信号)を出力すると共に、各充電リレー17,18をONすることにより、充電を開始させる。
【0085】
充電開始後も、副制御マイコン21は2次電池2のSOCを監視し、2次電池2が満充電状態になって充電が完了すると、充電処理を終了する。なお、本例における満充電状態とは、電池ECU5からのSOCが所定の目標値(例:80%)になった状態を示す。
【0086】
次に、副制御マイコン21による、充電スケジュールの演算について説明する。
本実施形態では、副制御マイコン21が、自身が起動(ウェイクアップ)したときに、それが電源操作SW7の操作によるウェイクアップなのか、それとも車載充電器8からの充電起動信号によるものかを判別することができる。更に、RTC26が設けられていることにより、電源操作SW7の操作によりウェイクアップしたときにそのウェイクアップした時刻をRTC26から取得することができる。
【0087】
そこで本実施形態では、副制御マイコン21が、電源操作SW7によって起動した場合に、そのときの現在時刻をRTC26から取得する。但し、単に電源操作SW7が操作されたというだけでそのときの現在時刻を取得するのではなく、IGON状態となるような操作、即ち電源OFF状態から電源操作SW7が2回操作された場合に、ユーザによる、車両を走行させる意思に基づく動作がなされたものとして、そのときの現在時刻を取得する。そして、取得した現在時刻情報は、時間帯別の起動頻度(即ち車両利用頻度)として、メモリ27に格納される。
【0088】
つまり、ユーザが車両を走行させようとして電源操作SW7を操作し、IGON状態とする度に、そのときの時刻に基づき、どの時間帯での起動の頻度が高いのかといった履歴情報が蓄積される。そして、起動頻度の高い時間帯が、上述した充電終了目標時間としてメモリ27に格納される。
【0089】
但し、本実施形態では、起動頻度の高い時間帯が深夜電力時間帯にあるか否かによって、充電終了目標時間を個別に設定している。具体的には、起動頻度の高い時間帯が深夜電力時間帯以外の時間帯(例えば朝8時など)であれば、その時間帯における所定の時刻を2次充電終了目標時間として設定(メモリ27に格納)する。一方、起動頻度の高い時間帯が深夜電力時間帯にある場合(例えば深夜2時など)ならば、その時間帯における所定の時刻を一次充電終了目標時間として設定する。
【0090】
一次充電終了目標時間と2次充電終了目標時間は、ユーザの起動頻度によって、何れか一方のみ設定される場合もあれば双方ともに設定される場合もある。例えば、深夜電力時間帯に車両に乗ることはまずなくて毎朝だいたい8時頃に車両に乗って勤務先等へ出掛けるようなユーザの場合は、通常、2次充電終了目標時間のみが設定されることとなる。一方、基本的には毎朝8時頃に出掛けるものの、深夜電力時間帯における決まった時間帯に所要で出掛けることがたまにあるようなユーザの場合は、2次充電終了目標時間に加えて1時充電終了目標時間も設定されることとなる。
【0091】
そして、このようにして設定される2次充電終了目標時間及び1次充電終了目標時間は、いずれも、ユーザによる車両の利用頻度が高い時間帯における設定時刻である。即ち、その時刻になるとユーザが車両に乗って出掛ける(車両を駆動させる)可能性が高いということである。
【0092】
そこで本実施形態では、副制御マイコン21が、充電スケジュールを演算する際、充電モードが電池寿命延伸モードに設定されている場合には、メモリ27に設定されている第2充電終了目標時間及び第1充電終了目標時間を基準に1次充電、2次充電が行われるよう、充電スケジュールを設定する。
【0093】
具体的には、例えば2次充電終了目標時間のみ設定されている場合には、充電開始時刻から、その設定されている2次充電終了目標時間までの時間に基づき、およそその2次充電終了目標時間において満充電状態となるように(満充電状態になってから2次充電終了目標時間までの時間が所定の放置時間閾値を超えないように)充電速度を演算する。
【0094】
また例えば、2次充電終了目標時間及び1次充電終了目標時間の双方が設定されている場合には、充電開始時刻から、まず1次充電終了目標時間までは、1次充電として、車載充電器8の最大充電能力で充電を行わせることで、1次充電終了目標時間の時点で実用的な充電容量を確保させる。これにより、深夜時間帯に突発的に車両を利用する必要が生じた場合にも対応できるようになる。
【0095】
そして、1次充電終了目標時間になった後は、その時刻から2次充電終了目標時間までの時間に基づき、およそその2次充電終了目標時間において満充電状態となるように(満充電状態になってから2次充電終了目標時間までの時間が所定の放置時間閾値を超えないように)充電スケジュールを演算する。そして、その演算した充電スケジュールに従って充電(2次充電)を行う。
【0096】
一方、充電モードが深夜電力充電モードに設定されている場合には、副制御マイコン21は、設定されている深夜電力時間帯(23時〜7時)の間で充電が行われるように充電スケジュールを演算する。この深夜電力充電モードは、単に、深夜電力時間帯に充電を行うというものであるため、原則的には、充電開始後は予め設定された一定の充電速度(本例では1次充電と同じく最大充電能力)にて充電が行われる。
【0097】
これに対し、深夜電力充電モードが設定されていると共に電池寿命延伸モードも設定されている場合には、深夜電力時間帯の中で充電を行うということに加え、更に、深夜電力時間帯が終わる時刻近辺にて満充電状態となるように充電速度が制御される。
【0098】
ここで、充電モードの設定状態毎の、充電過程(充電速度)の一例を、図2〜図4を用いて説明する。
まず、第1充電モード設定スイッチ31と第2充電モード設定スイッチ32の何れもOFFされている場合、即ち深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの何れも設定されていない場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図2(a)に示す。
【0099】
図2(a)に示すように、車両が走行している間は電池電力が消費されるため2次電池2の容量は減少していく。そして、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止したとき、本例では何れの充電モードも設定されていないため、停止後、差込プラグ16を外部コンセント等に差し込むと、すぐに充電が開始される。しかも、その充電は、上述したように車載充電器8の最大充電能力で行われる。
【0100】
これにより、2次電池2への充電は急速に進み、深夜電力時間帯の途中で満充電状態となる。そして、満充電状態となった後、再び車両の走行が開始されるまでは、その満充電の状態で放置されることとなる。
【0101】
そして、例えば朝8時頃にユーザが電源操作SW7を操作して車両走行を開始させると、そのときの時刻がECU1により(詳しくは副制御マイコン21により)学習される。つまり、上述したように、充電終了目標時間を設定するための履歴情報として反映される。
【0102】
次に、上記図2(a)とは全く逆に、第1充電モード設定スイッチ31と第2充電モード設定スイッチ32の何れもONされている場合、即ち深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの双方が設定されている場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図2(b)に示す。
【0103】
この場合、図2(b)に示すように、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止した後に差込プラグ16を外部コンセント等に差し込んでも、充電モードが深夜電力充電モードに設定されていることから、すぐには充電は開始されない。そして、23時になって深夜電力時間帯に入ったときに、充電が開始される。
【0104】
また、本例では電池寿命延伸モードにも設定されていることから、充電開始時に、充電終了の目標時間近辺でちょうど満充電となるような充電スケジュールが演算され、その演算された充電スケジュールにて充電が開始される。
【0105】
これにより、2次電池2への充電は、深夜電力時間帯の開始時刻である23時から開始され、その後、深夜電力時間帯の終了時刻に向けてゆっくりと充電が進む。そして、深夜電力時間帯の終了時刻である7時に満充電状態となる。
【0106】
このように充電されることにより、充電にかかる電気料金を安価に抑えることが可能になると共に、満充電状態となってから車両が走行開始するまでの、満充電状態での放置時間を短く抑えることも可能となる。これにより、2次電池2の寿命の延伸を図ることができる。
【0107】
次に、いずれか一方の充電モード設定スイッチのみがオンされている場合について説明する。まずは、第1充電モード設定スイッチ31はONされているが第2充電モード設定スイッチ32はOFFされている場合、即ち深夜電力充電モードに設定されているが電池寿命延伸モードには設定されていない場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図3(a)に示す。
【0108】
この場合、図3(a)に示すように、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止した後に差込プラグ16を外部コンセント等に差し込んでも、深夜電力充電モードに設定されていることから、すぐには充電は開始されない。そして、23時になって深夜電力時間帯に入ったときに、充電が開始される。
【0109】
一方、本例では電池寿命延伸モードには設定されていないことから、その充電は、車載充電器8の最大充電能力で行われる。そのため、2次電池2への充電は急速に進み、深夜電力時間帯の途中で満充電状態となる。そして、満充電状態となった後、再び車両の走行が開始されるまでは、その満充電の状態で放置されることとなる。
【0110】
本例の場合、深夜電力充電モードに設定されていることから、充電にかかる電気料金を安価に抑えることは可能である。但し、充電開始後は能力最大で充電されるため、満充電状態での放置時間は長くなる。もっとも、いずれの充電モード設定スイッチもOFFされている図2(a)の場合に比べれば、充電開始が23時からとなっている分、満充電状態での放置時間が短縮される。
【0111】
次に、上記図3(a)とは全く逆に、第1充電モード設定スイッチ31はOFFされているが第2充電モード設定スイッチ32はONされている場合、即ち深夜電力充電モードには設定されていないが電池寿命延伸モードには設定されている場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図3(b)に示す。
【0112】
この場合、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止させ、差込プラグ16を外部コンセント等に差し込むと、すぐに充電が開始される。但し、電池寿命延伸モードに設定されていることから、その充電は、目標終了時刻(ここでは2次充電終了目標時間)近辺で満充電状態となるように行われる。
【0113】
このように充電されることにより、充電にかかる電気料金は高めになるものの、満充電状態となってから車両が走行開始するまでの、満充電状態での放置時間を短く抑えることは可能となり、これにより2次電池2の寿命の延伸が図られる。
【0114】
次に、充電モードについては上記図2(b)と同じように深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの双方が設定されており、更に、充電終了の目標時間として、1次充電終了目標時間が設定(メモリ27に格納)されている場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図4に示す。
【0115】
この場合、図4に示すように、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止した後に差込プラグ16を外部コンセント等に差し込んでも、深夜電力充電モードに設定されていることから、すぐには充電は開始されない。そして、23時になって深夜電力時間帯に入ったときに、充電が開始される。
【0116】
そして、本例では、深夜電力時間帯内における1次充電終了目標時間が設定されていることから、23時の充電開始後、その1次充電終了目標時間までは、車載充電器8の最大充電能力にて充電が行われる。
【0117】
そして、1次充電終了目標時間に到達すると、その最大充電能力での1次充電を停止し、2次充電に移行する。即ち、その1次充電終了目標時間から、最終的に終了すべき目標時間(本例では深夜電力時間帯の終了時刻である7時)近辺で満充電状態となるように充電スケジュールが演算され、充電される。
【0118】
これにより、1次充電終了目標時間からは、深夜電力時間帯の終了時刻に向けてゆっくりと充電が進む。そして、深夜電力時間帯の終了時刻である7時に満充電状態となる。
このように充電されることにより、充電にかかる電気料金を安価に抑えることが可能になると共に、満充電状態となってから車両が走行開始するまでの、満充電状態での放置時間を短く抑えることも可能となる。更に、充電開始後まずは1次充電を行ってある程度の実用的な容量を確保するようにしているため、深夜時間帯における突発的な車両の利用にも応えることができる。
【0119】
ここまで、副制御マイコン21によって行われる、ユーザの利用履歴に基づく充電終了目標時間の学習と設定、及び、設定されている充電モードと上記充電終了目標時間に基づく充電スケジュールの演算について説明したが、これら各種設定や演算を行うために副制御マイコン21が実行する処理について、図5〜図7のフローチャートを用いて説明する。
【0120】
まず、ユーザの利用履歴に基づいて充電終了目標時間を設定する充電終了目標時間設定処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
副制御マイコン21は、ウェイクアップによってこの処理を開始すると、まず、そのウェイクアップ起動要因を判定する(S110)。そして、起動要因が電源操作SW7のON操作によるものでない場合は(S120:NO)、そのままこの充電終了目標時間設定処理を終了するが、起動要因が電源操作SW7のON操作によるものであった場合は(S120:YES)、更に、+B検出部28からの+B入力信号の有無に基づき、メインリレー12からバッテリ電圧+Bが入力されているか否かを判断する(S130)。つまり、電源操作SW7の操作によってIGON状態となっているかどうかを判断する。
【0121】
ここで、一定時間経過しても+B入力がない場合は、S140にてタイムアウト判定されてそのままこの充電終了目標時間設定処理を終了するが、+B入力があった場合は(S130:YES)、起動頻度の判定対象となるため、RTC26から現在時刻を取得する(S150)。
【0122】
そして、取得した現在時刻と同時刻帯の操作履歴カウント値nxがメモリ27に格納されているか否か判断する(S160)。ここでいう同時刻帯とは、任意に設定された時間幅(例えば30分単位)で区切られる時刻帯であり、例えば現在時刻が7時38分だった場合には、7時30分から8時の時刻帯に属することとなる。
【0123】
そして、その時刻帯における操作履歴カウント値nxがメモリ27に格納されていない場合は(S160:NO)、その時刻帯における操作履歴カウント値nxを1に設定してメモリ27に格納し(S170)、この充電終了目標時間設定処理を終了する。
【0124】
一方、取得した現在時刻の時刻帯における操作履歴カウント値nxが既にメモリ27に格納されている場合は(S160:YES)、その時刻帯における操作履歴カウント値nxを1インクリメントする(S180)。そして、そのインクリメントした後の操作履歴カウント値nxが、予め設定されている高頻度判定閾値(例えば3〜5のいずれか)より大きいか否か判断する(S190)。
【0125】
このとき、操作履歴カウント値nxがまだ高頻度閾値より大きくない場合は(S19O:NO)、その時刻帯の利用頻度はまだ高いとはいえないことから、そのままこの充電終了目標時間設定処理を終了する。一方、操作履歴カウント値nxが高頻度閾値より大きい場合は(S19O:YES)、その時刻帯の利用頻度が高いということができ、その時刻帯を、充電を終了させる為の目標時間として設定することができる。
【0126】
そこでまず、その時刻帯が深夜電力時間帯であるか否かを判断する(S200)。そして、深夜電力時間帯でなければ(S200:NO)、その時刻帯を、2次充電終了目標時間としてメモリ27に格納する。具体的には、その時刻帯における所定の時刻(例えば7時30分から8時の時刻帯であれば、その中間の7時45分、など)に設定する。一方、深夜電力時間帯である場合は(S200:YES)、その時刻帯を、1次充電終了目標時間としてメモリ27に格納する。
【0127】
このように、副制御マイコン21が、ウェイクアップする度に上記の充電終了目標時間設定処理を実行することで、ユーザによる車両の利用頻度が時刻帯別に学習され、利用頻度の高い時刻帯が、その時刻帯が深夜電力時間帯内であるか否かに応じて1次充電終了目標時間又は2次充電終了目標時間に設定される。そして、このようにして設定され、メモリ27に格納された各充電終了目標時間が、次に説明する、副制御マイコン21にて実行される充電制御処理において適宜用いられる。
【0128】
次に、副制御マイコン21が実行する、2次電池2の充電スケジュールを演算して2次電池2の充電を制御するための、充電制御処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0129】
副制御マイコン21は、ウェイクアップによってこの処理を開始すると、まず、そのウェイクアップ起動要因を判定する(S310)。そして、起動要因が、車載充電器8からの充電起動信号又はRTC26からの設定時刻到達信号であるか否か判断し(S320)、これらの何れでもない場合は(S320:NO)、起動要因に応じた各種処理を実行した上で(S330)、この充電制御処理を終了する。
【0130】
起動要因が、充電起動信号又はRTC26からの設定時刻到達信号である場合は(S320:YES)、更に、RTC26によるウェイクアップであるか否か、即ち起動要因がRTC6からの設定時刻到達信号であるか否かを判断する(S340)。そして、RTC26からの設定時刻到達信号によるウェイクアップではない場合、即ち充電起動信号によるウェイクアップである場合は(S340:NO)、充電モードの設定判断に進む。
【0131】
まず、第1充電モード設定スイッチ31がONされているか否か、即ち深夜電力充電モードに設定されているか否かを判断する(S350)。そして、深夜電力充電モードに設定されている場合は(S350:YES)、RTC26より現在時刻を取得し(S360)、更に充電開始目標時間をメモリ27から取得する。ここでいう充電開始目標時間とは、深夜電力充電モードにおける充電開始時間であり、本例では23時である。深夜電力時間帯に関する情報も、メモリ27に予め格納されている。
【0132】
そして、取得した現在時刻と充電開始目標時間とを比較して、現在時刻が充電開始目標時間よりもまだ前であるか否かを判断する(S380)。そして、現在時刻がすでに充電開始目標時間を過ぎている場合は(S380:NO)、既に深夜電力時間帯に入っているということであるから、すぐに充電を開始してもよいということであり、よってS430に進む。
【0133】
一方、現在時刻がまだ充電開始目標時間よりも前である場合は(S380:YES)、RTC26に充電開始目標時間(23時)をセットし(S390)、さらに自身を充電開始待機モードに設定した上で(S400)、スリープモードに移行する(S410)。
【0134】
このようにして、現在時刻がまだ充電開始目標時間よりも前であることによって一旦スリープモードに移行した場合は、RTC26に設定した充電開始目標時間が到来したときに、RTC26からその旨の設定時刻到達信号が入力され、これによりウェイクアップすることとなる。その場合、起動要因がRTC26であるため、S340の判断処理では肯定判定されてS420に進むことになる。
【0135】
この場合、S420では、自身が充電開始待機モードに設定されているか否かを判断する。そして、1次充電を開始するためのウェイクアップである場合は、先にS400で充電開始待機モードに設定されていることから、S430以降の処理に進むこととなる。
【0136】
一方、RTC26によるウェイクアップであったものの(S340:YES)、充電開始待機モードに設定されていない場合は(S420:NO)、そのときの起動要因に応じた各種処理を行って(S330)、この充電制御処理を終了する。
【0137】
350の判断にて、第1充電モード設定スイッチ31がオンされていない場合、及びS380の判断処理にて、現在時刻が充電開始目標時間を過ぎていると判断された場合は、S430に進み、第2充電モード設定スイッチ32がONされているか否か、即ち電池寿命延伸モードに設定されているか否かを判断する。そして、電池寿命延伸モードに設定されている場合は(S430:YES)、S440の電池寿命延伸充電制御に進む。
【0138】
このS440の電池寿命延伸充電制御を、図7に示す。この電池寿命延伸充電制御に進むと、まず、メモリ27に1次充電終了目標時間が格納されているか否か判断する(S610)。そして、1次充電終了目標時間が格納されている場合は(S610:YES)、そのメモリ27に格納されている1次充電終了目標時間を取得し(S620)、更にRTC26から現在時刻を取得して(S630)、現在時刻が1次充電終了目標時間よりも前か否かを判断する(S640)。
【0139】
ここで、現在時刻が1次充電終了目標時間よりもまだ前ならば(S640:YES)、RTC26へ1次充電終了目標時間をセットして(S650)、充電制御マイコン23に対し、充電開始を許可する(S660)。具体的には、最大充電能力にて充電を開始すべき旨の充電要求指令を送る。これにより、充電制御マイコン23は、車載充電器8に対して最大充電能力で充電するよう充電制御信号を出力し、車載充電器8による1次充電が開始されることとなる。
【0140】
そして、RTC26から設定時刻到達信号が出力されたか否か、即ちS650で設定した1次充電終了目標時間に到達したことを示す信号が出力されたか否かを判断し(S670)、設定時刻到達信号が出力されるまではS660に戻ることになるが、設定時刻到達信号が出力された場合は(S670:YES)、1次充電終了目標時間になったということであるため、1次充電終了処理を行う(S680)。即ち、充電制御マイコン23に対して1次充電をやめるよう指令する。
【0141】
このようにして1次充電が終了した場合や、S610にてメモリ27に1次充電終了目標時間が格納されていなかった場合、更にはS640にて現在時刻が1次充電終了目標時間よりも前ではないと判断された場合は、S690に進み、2次充電を行うべく、2次充電終了目標時間を取得する(S690)。
【0142】
ここで取得する2次充電終了目標時間は、深夜電力充電モードが設定されている場合には、メモリ27に格納されている深夜電力時間帯の終了時刻であり、深夜電力充電モードが設定されていない場合には、メモリ27に格納されている2次充電終了設定時間である。
【0143】
そして、RTC26から現在時刻を取得し(S700)、更に主制御マイコン22から2次電池2のSOCを取得して(S710)、現在のSOCの状態から通常通り(最大充電能力で)充電を行って満充電状態にした場合に2次充電終了目標時間までその満充電状態で放置される時間(満充電放置時間)を推定する(S720)。
【0144】
そして、推定した満充電放置時間が予め設定した放置時間閾値を超えていなかった場合は、そのまま最大能力で充電しても問題ないとして、S450(図6)へ進む。逆に、推定した満充電放置時間が予め設定した放置時間閾値を超えた場合は、そのまま最大能力で充電すると満充電状態で放置される時間が長くなるということであり、それは好ましくないため、2次充電終了目標時間近辺で満充電状態となるように充電速度を演算する(S740)。
【0145】
そして、充電制御マイコン23へ充電開始を許可する(S750)。具体的には、S740で演算した充電速度で充電を行うべき旨の充電要求指令を充電制御マイコン23へ送る。これにより、充電制御マイコン23は、車載充電器8に対し、上記充電速度で充電するよう充電制御信号を出力し、車載充電器8による2次充電が開始されることとなる。
【0146】
2次充電開始後は、主制御マイコン22から2次電池2のSOCを取得し(S760)、その取得したSOCが、充電完了状態を示す値になっているか否か、即ち満充電状態に到達しているか否かを判断する(S770)。そして、充電が完了するまで、即ちSOCが満充電状態になるまでは充電を継続し、SOCが満充電状態となって充電が完了した場合は(S770:YES)充電終了処理を行う(S780)。即ち、充電制御マイコン23に対して充電(2次充電)をやめるよう指令する。そして、スリープモードに移行する(S790)。
【0147】
図6に戻り、S430の処理にて、第2充電モード設定スイッチ32がオンされていないと判断された場合は、S450に進み、充電制御マイコン23へ充電開始を許可する(S450)。具体的には、通常の充電速度で(即ち最大充電能力で)充電を行うべき旨の指令を充電制御マイコン23へ送る。これにより、最大充電能力で2次充電2が開始されることとなる。
【0148】
そして、その充電開始後は、主制御マイコン22から2次電池のSOCを取得し(S460)、その取得したSOCに基づいて充電完了状態が否か判断する(S470)。そして、充電が完了するまで、即ちSOCが満充電状態になるまでは充電を継続し、SOCが満充電状態となって充電が完了した場合は(S470:YES)、充電終了処理を行って(S480)、スリープモードに移行する(S490)。
【0149】
従って、上記構成のECU1によれば、ユーザによる電源操作SW7の操作頻度に応じて充電終了目標時間が設定され、それに合わせて充電スケジュールが演算されるため、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、ユーザの利用状況等に応じた適切な充電スケジュールにて2次電池2を充電させることができ、よって2次電池2の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0150】
[第2実施形態]
図8に、第2実施形態のECU50の概略構成を示す。尚、図8において、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付しているため、その説明を省略する。
【0151】
本実施形態のECU50が第1実施形態のECU1と異なる主な点は、充電制御マイコン54及びこれに動作用電源(充電制御電源電圧)を供給する充電制御電源回路53がいずれも車載充電器52内に統合されている点である。
【0152】
これにより、第1実施形態のECU1では、副制御マイコン21が演算した充電スケジュールを充電制御マイコン23に充電要求指令として伝え、これに基づいて充電制御マイコン23が車載充電器8へ充電制御信号を出力していたのに対し、本実施形態のECU50では、副制御マイコン51が、自身が演算した充電スケジュールと共に、充電制御信号を車載充電器52内の充電制御マイコン54へ送信する。
【0153】
車載充電器52内の充電制御マイコン54は、ECU50における副制御マイコン51からの充電制御信号に従い、車載充電器52を動作させて2次電池2への充電を制御する。
【0154】
また、このように充電制御マイコン54及び充電制御電源回路53が車載充電器52内に統合されたことから、充電制御電源回路53にバッテリ電圧+Bを供給するプラグインリレー40は、車載充電器52からのプラグインリレー出力によりONされる。即ち、外部コンセント等に差込プラグ16が差し込まれて外部電源電力が入力されると、車載充電器52は、第1実施形態と同様に充電起動信号を出力するのに加え、プラグインリレー40をONさせるためのプラグインリレー出力を行う。これによりプラグインリレー40がONされ、このプラグインリレー40を介してバッテリ電圧+Bが供給されて、充電制御電源回路53が動作する。
【0155】
このように構成された本実施形態のECU50においても、副制御マイコン51は、第1実施形態の副制御マイコン21と同様、電源操作SW7の操作履歴を学習することにより充電終了目標時間を演算し、その演算結果や、各充電モード設定スイッチ31,32の設定内容等に応じて、充電スケジュールを演算する。そして、その充電スケジュールが車載充電器52内の充電制御マイコン54へ伝達されることで、その充電スケジュールに従った充電が行われることとなる。
【0156】
そのため、本実施形態のECU50によっても、第1実施形態と同様、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、ユーザの利用状況等に応じた適切な充電スケジュールにて2次電池を充電させることができ、よって2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0157】
[第3実施形態]
図9に、第3実施形態のECU60の概略構成を示す。尚、図9において、第1実施形態及び第2実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付しているため、その説明を省略する。
【0158】
本実施形態のECU60が第2実施形態のECU50と異なる点は、下記の事項である。即ち、第2実施形態では、ユーザが操作するスイッチとして、押しボタン型の電源操作SW7を備えていたが、本実施形態では、車両において従来からよく用いられているメカニカルキー61によって、電源操作、即ちACCリレー11及び各IGリレー9,10の駆動がなされる。
【0159】
メカニカルキー61は、ユーザが所持するキーを当該メカニカルキー61におけるキー挿入口に挿入して捻ることにより、その捻り角度に応じて電源OFF、ACCON、IGONの各状態に切り替えることが可能な周知のキー装置である。
【0160】
このメカニカルキー61がACCの位置に捻り操作されると、ACCリレー11がONする。更に、IGONの位置に捻り操作されると、ACCリレー11に加えて各IGリレー9,10もONする。
【0161】
本実施形態では、第2IGリレー10からの+B電源が、イグニション系の各ECUに供給されるのに加え、ECU60にも供給されて副制御マイコン51へ入力される。副制御マイコン51は、第2IGリレー10から+B電源が入力されると、電源IC62内のOR回路39を介してメインリレー12をONさせる。
【0162】
つまり、上記第1,第2実施形態では電源操作SW7が2回操作されることによってその操作情報が副制御マイコン21から電源IC24に伝えられてメインリレー12がONされたのに対し、本実施形態では、電源操作SW7からの入力に代えて、メカニカルキー61の操作により第2IGリレー10から入力される+B電源に基づいてメインリレー12がONされる。
【0163】
そのため、副制御マイコン51は、ユーザによりメカニカルキー61がIGの位置に操作されたことを第2IGリレー10からの+B電源入力によって知ることができ、その+B電源が入力される度にRTC26から現在時刻を取得することで、第1,第2実施形態と同じように、ユーザによる操作履歴の学習や充電終了目標時間の設定、充電スケジュールの演算等を行うことができる。
【0164】
そのため、本実施形態のECU60によっても、上記各実施形態と同様、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、ユーザの利用状況等に応じた適切な充電スケジュールにて2次電池を充電させることができ、よって2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0165】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0166】
例えば、上記実施形態では、充電終了目標時間を設定するにあたり、図5で説明したように、電源操作SW7の操作履歴を、30分単位の時間帯に区切って学習し、同じ時間帯での操作頻度が多かった場合にその時間帯を充電終了目標時間に設定するようにしたが、このように30分の時間帯で区切るのはあくまでも一例であり、もっと大きな時間単位(例えば1時間単位)で区切っても良いし、逆に細かい時間単位で区切っても良い。或いは、例えば1分単位で細かく利用頻度を蓄積していって1分単位での充電終了目標時間を設定するようにしてもよい。
【0167】
また、上記実施形態では、1次充電と2次充電の二段階の充電を可能としたが、これはあくまでも一例であり、1段階のみの充電としてもよいし、逆に3段階上に充電速度を切り替えて充電するようにしてもよい。
【0168】
また、1次充電と2次充電のいずれも、その充電終了目標時間をユーザの使用履歴から演算して設定するようにしたが、これは必須ではなく、例えば1次充電に関しては予め設定した時刻を固定設定してその時刻で1次充電を終わらせるようにしてもよい。
【0169】
また、1次充電において車載充電器の最大充電能力で充電するようにしたのはあくまでも一例であり、必ずしも最大充電能力で充電する必要はない。
また、電池寿命延伸モードにおいては、充電終了目標時間で満充電状態にするようにしたが、電池寿命をより長持ちさせるために、例えば満充電状態(上記例では80%)よりも少ない容量で充電が完了するように設定するようにしてもよい。
【0170】
また、上記実施形態では、プラグインハイブリッド車両における2次電池の充電制御を行うECUに対して本発明を適用した例について説明したが、プラグインハイブリッド車両への適用はあくまでも一例であり、本発明は、2次電池の電力により駆動される走行用モータを備えると共にその2次電池を外部電源によって充電可能に構成されたあらゆる種類の車両に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0171】
1,50,60…第、2…2次電池、3…モータ、4…モータECU、5…電池ECU、6…車載ネットワーク、7…電源操作スイッチ、8,52…車載充電器、9…第1IGリレー、10…第2IGリレー、11…ACCリレー、12…メインリレー、13…駆動回路、14…正極側モータリレー、15…負極側モータリレー、16…差込プラグ、17…正極側充電リレー、18…負極側充電リレー、21,51…副制御マイコン、22…主制御マイコン、23,54…充電制御マイコン、24…電源IC、25,53…充電制御電源回路、26…RTC、27…メモリ、28…+B検出部、31…第1充電モード設定スイッチ、32…第2充電モード設定スイッチ、35…副制御電源回路、36…主制御電源回路、37…出力回路、38…IG−ON検出部、39…OR回路、40…プラグインリレー、61…メカニカルキー
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動用の2次電池を外部電源によって充電可能な車両に搭載され、2次電池の充電を制御する車載充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池の電力によってモータを駆動することにより走行用の駆動力を得ることが可能に構成された車両が知られている。特に近年、環境保護や資源保護、燃料節減などの目的から、例えば家庭用電源などの外部電源によってモータ駆動用の2次電池を充電可能に構成された車両が提案され、既に実用化もされている。
【0003】
このように2次電池を外部から充電可能な方式の車両としては、例えば、エンジンとモータの双方から駆動力を得ることが可能なプラグインハイブリッド車(PHV)、モータのみで駆動力を得る電気自動車(EV)、燃料電池車(FC)などが挙げられる。また、モータ駆動用の2次電池としては、例えばニッケル水素2次電池やリチウムイオン2次電池などの各種の2次電池が挙げられる。
【0004】
このような方式の車両における、外部電源による2次電池への充電方法については、例えば短時間で急速に充電を行えるようにするなど、ユーザの利便性を損なわないようにするための各種の取り組みがなされている。その一方で、2次電池は、一般に、短時間で急速充電を行ったり満充電状態で長時間放置したりすると電池寿命が大幅に短くなることが知られている。
【0005】
そのため、ユーザの利便性を低下させることなく電池寿命の延伸を図ることが可能な充電方法を実現させることが、大きな課題となっている。
2次電池の電池寿命の延伸を図るための充電方法の1つとして、次のような技術が提案されている。即ち、ユーザにより次回運転日の設定を受付可能にして、運転終了時、次回運転日の設定があった場合には、先ずは予備充電を行って所定の充電容量(SOC:State of charge )まで充電させ、その後、設定された次回運転日の前夜に本充電を行って満充電状態とする。このようにすることで、2次電池が満充電状態で保存される期間を短縮することができ、電池寿命の延伸を図ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−254221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、次回運転日の設定に関してはユーザ自身が行う必要があるため、そもそも、ユーザ自身が設定しない限り、運転終了後に外部電源供給用のプラグを自動車に差し込むとすぐに充電が開始されて満充電状態で長時間保存されてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、モータ駆動用の2次電池を外部電源によって充電可能な車両において、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、2次電池の寿命の延伸を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、外部電源の電力を元に走行用モータの駆動源である2次電池を充電する充電装置を備えた車両に搭載され、充電装置による2次電池の充電を制御する車載充電制御装置であって、充電装置は、外部電源が入力されたときに所定の充電起動信号を出力するよう構成されている。
【0010】
そして、当該車載充電制御装置は、充電装置からの充電起動信号が入力される充電起動信号入力手段と、車両に搭載された電源スイッチの操作状態を示す操作信号が入力される操作信号入力手段と、現在時刻を計時する計時手段と、充電起動信号入力手段に充電起動信号が入力されたときに充電装置による2次電池の充電を制御するための制御指令を出力する制御指令出力手段と、操作信号入力手段に操作信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を計時手段から取得し、該取得した現在時刻に基づいて、以後、充電装置による2次電池の充電が行われる際における該充電終了目標時間を設定する終了目標設定手段と、を備えている。
【0011】
そして、制御指令出力手段は、充電起動信号入力手段に充電起動信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を計時手段から取得し、該取得した現在時刻と、終了目標設定手段により設定されている充電終了目標時間とに基づき、2次電池を充電終了目標時間を含む所定の終了目標時間帯で所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第1の充電スケジュールを設定して、該設定した第1の充電スケジュールを示す制御指令を出力する。
【0012】
このように構成された請求項1に記載の車載充電制御装置では、電源スイッチの操作がなされたときの時刻に基づいて充電終了目標時間が設定され、充電装置による2次電池の充電は、その設定されたその充電終了目標時間を含む終了目標時間帯で所定の充電容量まで充電されるように制御される。
【0013】
ユーザ等による電源スイッチの操作が実際になされた時刻というのは、後日またそのユーザが電源スイッチを操作する(延いては車両を走行させる)可能性が相対的に高い時刻であると考えることができる。そのため、電源スイッチが操作された時刻に基づいて、例えばその時刻をそのまま、或いはその時刻近傍の時刻などを充電終了目標時間とするなどの適宜の設定方法で充電終了目標時間を設定し、その設定した充電終了目標時間を含む終了目標時間帯で充電を終了させるようにすれば、充電終了後から再び電源スイッチが操作されるまでの時間を低減することが可能となる。
【0014】
従って、請求項1に記載の車載充電制御装置によれば、必要なときに十分に充電がなされているようにするというユーザの利便性を低下させず、且つ、ユーザ自身に手間をかけさせることなく、2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載充電制御装置であって、終了目標設定手段は、操作信号入力手段に操作信号が入力されたときに計時手段から取得した現在時刻を、電源スイッチが操作された操作時刻または操作時間帯の履歴として蓄積し、該蓄積結果に基づいて、電源スイッチが操作された頻度が所定の閾値より高い操作時刻又は操作時間帯を、充電終了目標時間として設定する。
【0016】
このように構成された請求項2に記載の車載充電制御装置によれば、電源スイッチの操作履歴に基づいて、操作された頻度の高い時刻又は時間帯が充電終了目標時間に設定されるため、ユーザの利用状況に合致したより適切な充電終了目標時間の設定が可能となる。これにより、充電終了後から再び電源スイッチが操作されるまでの時間をより短くすることができ、より効果的に2次電池の寿命延伸を図ることができる。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載充電制御装置であって、2次電池の充電モードとして、少なくとも、第1の充電スケジュールに従って充電を行う第1の充電モードを有している。また、第1の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第1充電モード設定手段を備えている。そして、制御指令出力手段は、第1充電モード設定手段により第1の充電モードが設定されている場合に、第1の充電スケジュールを設定して該第1の充電スケジュールを示す制御指令を出力する。
【0018】
このように構成された請求項3に記載の車載充電制御装置によれば、ユーザは必要に応じて第1の充電モードに設定するか否かを選択できるため、より利便性の高い車載充電制御装置の提供が可能となる。
【0019】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車載充電制御装置であって、2次電池の充電モードとして、更に、予め設定された、相対的に電力料金の安価な時間帯である深夜電力時間帯に充電を行う第2の充電モードを有している。また、第2の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第2充電モード設定手段を備えている。そして、制御指令出力手段は、第2充電モード設定手段により第2の充電モードが設定されている場合は、深夜電力時間帯において充電を開始及び終了させるための充電スケジュールである第2の充電スケジュールを設定して、該設定した第2の充電スケジュールを示す制御信号を出力する。
【0020】
このように構成された請求項4に記載の車載充電制御装置によれば、第2の充電モードに設定すれば、電気料金の安価な深夜電力時間帯で充電を開始・終了させることが可能であるため、電気料金を抑えることができる。
【0021】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車載充電制御装置であって、制御指令出力手段は、第1充電モード設定手段により第1の充電モードが設定されていると共に第2充電モード設定手段により第2の充電モードが設定されている場合は、深夜電力時間帯の終了時間を充電終了目標時間として、該充電終了目標時間までに2次電池を所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第3の充電スケジュールを設定する。
【0022】
このように構成された請求項5に記載の車載充電制御装置によれば、第1の充電モードと第2の充電モードが共に設定されている場合には、深夜電力時間帯で充電を開始・終了させると共に、その深夜電力時間帯の終了時間において2次電池の容量が所定の充電容量に到達するように充電がなされることになる。そのため、ユーザの利便性を低下させず、ユーザ自身に手間をかけさせることなく、更に充電にかかる電気料金を抑えつつ、2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0023】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、制御指令出力手段は、充電開始から終了までの間で単位時間あたりの充電容量が少なくとも二種類に変化するような充電スケジュールを設定可能に構成されている。
【0024】
このように構成された請求項6に記載の車載充電制御装置によれば、例えば、充電開始からある時間までは急速に充電を行ってある程度の容量を確保しておき、その後は充電速度を緩めて充電を行う、といった充電が可能となり、この場合、突発的に車両を使用する必要性が生じても全く走れなかったり或いは少ししか走れないといった不都合を回避することが可能となる。
【0025】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、充電装置に外部電源が入力されたときに車両が備える第1のリレーをONさせる第1のリレー駆動手段と、第1のリレー駆動手段によって第1のリレーがONされたときに該第1のリレーから出力される第1リレー出力信号が入力される第1リレー入力手段と、を備え、制御指令出力手段は、充電起動信号入力手段への充電起動信号の入力、及び第1リレー入力手段への第1リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、充電スケジュールを設定する。
【0026】
このように構成された請求項7に記載の車載充電制御装置によれば、充電装置に外部電源が入力されたこと、即ち2次電池の充電が可能になったことを、第1リレー出力信号及び充電起動信号の何れか一方又は双方で認識することができる。そのため、充電が可能になったことを確実に認識でき、それにより充電制御に必要な制御指令を確実に出力させることができる。
【0027】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、電源スイッチが操作されたときに車両が備える第2のリレーをONさせる第2のリレー駆動手段と、第2のリレー駆動手段によって第2のリレーがONされたときに該第2のリレーから出力される第2リレー出力信号が入力される第2リレー入力手段と、を備え、終了目標設定手段は、操作信号入力手段への操作信号の入力、及び第2リレー入力手段への第2リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、充電終了目標時間を設定する。
【0028】
このように構成された請求項8に記載の車載充電制御装置によれば、電源スイッチの操作がなされたことを、第2リレー出力信号及び操作信号の何れか一方又は双方で認識することができる。そのため、電源スイッチの操作がなされたことを確実に認識でき、それにより充電終了目標時間の設定を確実に行うことができる。
【0029】
次に、請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、充電起動信号入力手段、操作信号入力手段、制御指令出力手段、及び終了目標設定手段は、第1のマイコンにより構成されており、第1のマイコン及び計時手段は、電源スイッチの操作状態にかかわらず車両が備えるバッテリからの電力によって常時動作可能に構成されている。そして、第1のマイコンは、所定のスリープ条件が成立したときに、充電起動信号入力手段及び操作信号入力手段を除く他の機能の一部又は全ての動作を停止させるスリープ状態に移行すると共に、充電起動信号入力手段へ充電起動信号が入力されたか又は操作信号入力手段に操作信号が入力されたときに、スリープ状態を解除するよう構成されている。
【0030】
このように構成された請求項9に記載の車載充電制御装置によれば、必要時以外はスリープ状態になって消費電力が低減されるため、暗電流の低減が可能となる。また、例えば、スリープ状態が解除されたときに他のマイコン等の電源供給をONするなど、他のマイコン等への電源供給も行うようにすれば、より実用性の高い車載充電制御装置の提供が可能となる。
【0031】
次に、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の車載充電制御装置であって、計時手段は、リアルタイムクロックにより構成されている。リアルタイムクロックは、一般に時間精度が高いことが知られている。一方、車載充電制御装置をはじめ、車両に搭載される各種の電子制御装置は、通常、一度通電が開始されると例えば2〜5年程度は通電されたままの状態となる。そのため、時間制度の悪い計時手段を用いると、誤差が大きくなっていき、充電の開始、終了タイミング等を精度良く制御できなくなるおそれがある。これに対し、リアルタイムクロックを用いれば、時間制度が高いため、数年程度連続して使われても十分に実用性が保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態のECUの概略構成を表す構成図である。
【図2】2次電池の充電過程の一例を表す図であり、(a)は深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの何れも設定されていない場合の充電過程を表し、(b)は何れのモードも設定されている場合の充電過程を表す。
【図3】2次電池の充電過程の一例を表す図であり、(a)は深夜電力充電モードが設定されていて電池寿命延伸モードは設定されていない場合の充電過程を表し、(b)は深夜電力充電モードは設定されておらず電池寿命延伸モードが設定されている場合の充電過程を表す。
【図4】1次充電と2次充電の二段階で充電が行われる場合の充電過程の一例を表す図である。
【図5】副制御マイコンが実行する充電終了目標時間設定処理を表すフローチャートである。
【図6】副制御マイコンが実行する充電制御処理を表すフローチャートである。
【図7】図6の充電制御処理における、S440の電池寿命延伸充電制御の詳細を表すフローチャートである。
【図8】第2実施形態のECUの概略構成を表す構成図である。
【図9】第3実施形態のECUの概略構成を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明が適用された実施形態の車載電子制御装置(以下「ECU」という)について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のECU1の概略構成を表す構成図である。このECU1は、本発明の車載充電制御装置に相当するものであって、車両に搭載されている。このECU1が搭載された車両は、走行用の駆動源として内燃機関型エンジン(図示略)、及び2次電池2の電力によって駆動するモータ(電気モータ)3の双方を備えると共に、例えば家庭用電源(商用100Vまたは200V交流電源等)などの外部電源によって2次電池2を充電可能に構成された、プラグインハイブリッド車両に搭載されたものである。
【0034】
ECU1は、車載バッテリの電圧(バッテリ電圧)+Bを受けて動作するものであり、モータECU4、電池ECU5、更には図示しないエンジンECUなどの走行系のECUへその電源電圧としてのバッテリ電圧+Bを供給する機能と、これら走行系の各ECUと車載ネットワーク(例えばCAN)6によって相互にデータ通信することで各ECUから各種情報を取得すると共に各ECUを制御して車両の動力源を制御する機能と、図示しないメータECUやブレーキECU、エアコンECUなどのイグニション(IG)系の各ECUへその電源電圧としてのバッテリ電圧+Bを供給する機能と、図示しないオーディオ装置等のアクセサリ(ACC)系の装置へその電源電圧としてのバッテリ電圧+Bを供給する機能と、ユーザにより操作される電源操作スイッチ(以下「電源操作SW」という)7の操作内容に基づいて上記の各ECU等への電源供給を制御する機能と、車載充電器8による2次電池2の充電を制御する機能と、を少なくとも有している。
【0035】
更に、ECU1は、車載充電器8による2次電池2の充電を制御するにあたり、その充電開始時間や充電終了時間、充電速度など(以下まとめて「充電スケジュール」ともいう)を制御することで、2次電池2が満充電状態で長時間保存されないよう、また安価な電気料金にて充電を行えるようにする機能を有している。
【0036】
尚、IG系の各ECUへのバッテリ電圧+Bは、ECU1によりONされる2つのIGリレー(第1IGリレー9及び第2IGリレー10)を介して供給される。IG系へのバッテリ電圧+Bの供給がこのように二系統に分かれているのは、定格上1つのリレーだけではIG系の全ECUへの電力供給を補えないことや、機能別に系統を分けておきたいといった事情等によるものである。
【0037】
また、ACC系の装置へのバッテリ電圧+Bは、ECU1によりONされるACCリレー11を介して供給される。また、モータECU4や電池ECU5などの走行系のECUへのバッテリ電圧+Bは、ECU1によりONされるメインリレー12を介して供給される。
【0038】
2次電池2は、走行用のモータ3を駆動するための電力供給源であり、例えばリチウムイオン2次電池やニッケル水素2次電池などの各種の2次電池が用いられる。そして、この2次電池2からの直流電力は、駆動回路13によりモータ駆動用の交流に変換されてモータ3へ供給され、これによりモータ3が駆動される。駆動回路13は、モータECU4により制御される。モータECU4は、ECU1からの指令に基づいて駆動回路13の動作を制御することにより、モータ3のトルクや回転数などを制御する。
【0039】
電池ECU5は、2次電池2の状態を監視すると共にその監視結果をECU1へ伝達する。電池ECU5による監視内容として、本実施形態では少なくとも、2次電池2のSOC(State of charge :充電容量)があり、その他、例えば2次電池2の電圧や温度なども監視される。ECU1は、この電池ECU5からの各種情報をみながら、2次電池2の充電を制御する。
【0040】
なお、2次電池2から駆動回路13に至る通電経路において、2次電池2の正極と駆動回路13の間に正極側モータリレー14が、2次電池2の負極と駆動回路13の間に負極側モータリレー15が、それぞれ設けられている。これら各モータリレー14,15は、ECU1によりONされる。
【0041】
車載充電器8は、家庭用電源などの外部電源のコンセントに差込プラグ16が差し込まれることによって、その外部電源から充電用の電力が入力される。外部電源から入力される電圧は例えば商用100Vまたは200Vの交流電圧であるため、車載充電器8は、この交流電圧をAC−DCコンバータ等によって所望の電圧の充電用直流電圧に変換して2次電池2へ供給する。
【0042】
この車載充電器8は、上述したように2次電池2の充電用直流電圧を生成するという基本的機能の他、差込プラグ16が外部電源のコンセントに差し込まれて充電用の電力が供給されてきたときにその旨を示す充電起動信号をECU1へ出力する機能も有する。また、車載充電器8による充電は、ECU1との間で送受信される充電制御信号に基づき、ECU1からの指令に従って行われる。
【0043】
なお、車載充電器8から2次電池2に至る通電経路において、車載充電器8における正極側出力と2次電池2の正極との間に正極側充電リレー17が、車載充電器8における負極側出力と2次電池2の負極との間に負極側充電リレー18が、それぞれ設けられている。これら各充電リレー17,18は、ECU1によりONされる。
【0044】
そして、ECU1は、副制御マイコン21と、主制御マイコン22と、充電制御マイコン23と、電源IC24と、充電制御電源回路25と、RTC(Real Time Clock :リアルタイムクロック)26と、メモリ27と、+B検出部28と、を備えている。即ち、このECU1は、複数のマイコンを備えた機能統合製品であり、マイコン毎に制御内容が異なっている。
【0045】
電源IC24は、車載バッテリから常時供給されるバッテリ電圧+Bを降圧して、副制御マイコン21を動作させるための所定の電源電圧(以下「副制御電源電圧」ともいう)を生成する副制御電源回路35と、同じく車載バッテリから常時供給されるバッテリ電圧+Bを降圧して、主制御マイコン22を動作させるための所定の電源電圧(以下「主制御電源電圧」ともいう)を生成する主制御電源回路36と、を備えている。
【0046】
また、副制御マイコン21から入力される電源制御信号(詳細は後述)に従ってACCリレー11及び各IGリレー9,10を選択的にONさせる出力回路37と、副制御マイコン21から入力される電源制御信号が、IG−ON(詳細は後述)を示す信号であった場合にHレベルの信号を出力するIGON検出部38と、このIGON検出部38からの出力と後述するプラグイン電源入力との論理和を演算して出力するOR回路39と、を備えている。
【0047】
電源IC24において、副制御電源回路35は、副制御マイコン21へ常時副制御電源電圧を供給するよう構成されている。但し、副制御マイコン21の動作状態(スリープモード中かウェイクアップしているか)に応じてその供給量や供給対象は異なり、スリープモード中は最小限の電力供給に留めている。なお、副制御電源回路35からの副制御電源電圧は、RTC26に対しても常時供給される。そのため、RTC26は、車両の状態にかかわらず、電源IC24へバッテリ電圧+Bが供給されている限り常時動作する。
【0048】
主制御電源回路36は、メインリレー12を介してバッテリ電圧+Bが供給されていないときは動作せず、主制御マイコン22への主制御電源電圧の供給は行われない。そして、メインリレー12がONされることによりこのメインリレー12を介してバッテリ電圧+Bが入力されたときに、主制御電源回路36が動作して、主制御マイコン22へ主制御電源電圧を供給する。
【0049】
副制御マイコン21は、主として、電源操作スイッチ7の操作内容や車載充電器8からの充電起動信号などに基づいて上述した車両内の各部への電力供給を制御する電源制御機能と、車載充電器8から充電起動信号が入力されたときに2次電池2の充電スケジュールを設定してそれに応じた充電要求指令を出力する充電制御機能と、を備えている。
【0050】
この副制御マイコン21は、電源IC24内の副制御電源回路35から常時電源供給を受けて動作し、所定のスリープ条件が成立するとスリープモードに移行し、車載充電器8から充電起動信号が入力されたり或いは電源操作SW7が操作される等の所定の起動条件が成立するとウェイクアップする。
【0051】
スリープモードにおいては、少なくとも、車載充電器8からの充電起動信号の入力、電源操作SW7の操作入力、及びRTC26からの設定時刻到達信号の入力については受け付け可能な状態としつつも、他の各種機能の動作は基本的に停止させ、必要最小限の消費電力にて動作している。そして、これらのうちいずれかの入力があった場合にはウェイクアップして、当該副制御マイコンが有する各種の機能の動作を開始する。
【0052】
副制御マイコン21が備える、上述した電源制御機能は、大きく分けて、車載充電器8からの充電起動信号に基づくものと、電源操作SW7の操作入力に基づくものとに分けられる。
【0053】
電源操作SW7は、車両の運転者等のユーザにより操作される、押しボタン式のスイッチである。この電源操作SW7がユーザにより操作(押し操作)されると、操作入力信号が副制御マイコン21に入力される。副制御マイコン21は、電源操作SW7が操作される毎に、予め決められたパターンで電源制御信号を電源IC24へ出力する。
【0054】
具体的には、電源操作SW7が1回操作される毎に、「全リレーOFF」(即ち電源OFF)→「ACCリレー11のみON」(即ちACCON)→「更に各IGリレー9,10及びメインリレー12もON」(即ちIGON)→「全リレーOFF」(電源OFF)となるような電源制御信号を電源IC24へ出力する。なお、特定の条件においては1回操作で電源OFFの状態からIGONの状態に移行する場合もあるが、ここではその詳細は省略する。
【0055】
電源IC24において、出力回路37は、副制御マイコン21からの電源制御信号に基づいて各IGリレー9,10及びACCリレー11をそれぞれ駆動する。例えば、電源OFFの状態のときに、電源操作SW7が1回操作された旨の電源制御信号が副制御マイコン21から入力されると、ACCリレー11のみをONさせる(ACCON状態)。これにより、ACC系の各種装置へバッテリ電源+Bが供給されることとなる。
【0056】
その状態で更に電源操作SW7が操作され、その旨の電源制御信号が副制御マイコン21から入力されると、出力回路37が更に各IGリレー9,10もONさせる(IGON状態)と共に、IG−ON検出部38がOR回路39へHレベル信号を出力することによりOR回路39からメインリレー駆動信号が出力され、これによりメインリレー12もONされる。これにより、IG系の各ECU等や走行系の各ECU4,5等にもバッテリ電圧+Bが供給されることとなる。そして、その状態から更に電源操作SW7が操作され、その旨の電源制御信号が副制御マイコン21から入力されると、出力回路37は全リレー9,10,11をOFFさせると共に、IG−ON検出部はOR回路39へLレベル信号を出力してメインリレー12をOFFさせる。
【0057】
メインリレー12がONされると、このメインリレー12を介してバッテリ電圧+BがECU1内にも入力される。具体的には、電源IC24内の主制御電源回路36へ入力され、これによりこの主制御電源回路36が動作して主制御マイコン22へ主制御電源電圧が供給され、主制御マイコン22が起動する。
【0058】
また、メインリレー12からのバッテリ電圧+Bは、ECU1内において+B検出部28にも入力される。この+B検出部28は、入力されたバッテリ電圧+Bを所定の分圧比にて分圧し、+B入力信号として副制御マイコン21へ出力するものである。副制御マイコン21は、この+B検出部28からの+B入力信号に基づき、メインリレー12がONされているか否かを検出することができる。
【0059】
このように、メインリレー12は、ユーザにより電源操作SW7が操作されてIGON状態となった場合にONされるのであるが、このメインリレー12は、車載充電器8から副制御マイコン21へ充電起動信号が入力された場合にもONされる。
【0060】
即ち、車載充電器8から充電起動信号が入力されると、副制御マイコン21は、その旨を示す充電起動指令を電源IC24へ出力する。これにより、電源IC24は、プラグインリレー40をONさせる。プラグインリレー40がONされると、このプラグインリレー40を介してバッテリ電圧+Bが入力される。なお、このプラグインリレー40からのバッテリ電圧+Bの入力を、以下「プラグイン電源入力」ともいう。
【0061】
プラグインリレー40からのプラグイン電源入力は、ECU1内において、充電制御電源回路25に入力される。これにより、充電制御電源回路25が動作し、充電制御マイコン23へその動作用の電源電圧である充電制御電源電圧を供給する。この充電制御電源電圧の供給により、充電制御マイコン23が起動する。
【0062】
また、プラグインリレー40からのプラグイン電源入力は、ECU1内において、電源IC24内のOR回路39にも入力される。そのため、プラグイン電源入力があるとメインリレー12がONし、このメインリレー12を介してバッテリ電圧+Bが走行系の各ECU及びECU1内に供給される。
【0063】
なお、プラグインリレー40からのプラグイン電源入力は、副制御マイコン21にも入力されている。副制御マイコン21は、このプラグイン電源入力を受けることによって、プラグインリレー40がONされたことや、それにより充電制御電源回路25が動作しているはずであること(延いては充電制御マイコン23が動作しているはずであること)を確認的に認識することができる。
【0064】
このように、メインリレー12は、電源OFFの状態から電源操作SW7が2回操作されたとき、及び、車載充電器8から充電起動信号が入力されたときに、ONされることとなる。
【0065】
RTC26は、周知の時間管理デバイスであって、既述の通り常時動作している。副制御マイコン21は、このRTC26から必要に応じて現在時刻を取得することができる。本例においては、例えば、年・月・日・曜日・時・分・秒までの細かい単位で現在時刻を取得することができる。
【0066】
また、副制御マイコン21は、RTC26に対し、予め設定した時刻になった時にその旨を通知してもらう(具体的には設定時刻到達信号を出力してもらう)ことが可能である。RTCは、副制御マイコン21から、通知すべき時刻の設定がなされた場合には、自身が計時している現在時刻に基づき、その設定された時刻に到達した時に、副制御マイコン21へ設定時刻到達信号を出力する。副制御マイコン21は、既述の通り、スリープモードのときにもこの設定時刻到達信号を受け付け可能であって、この設定時刻到達信号が入力された場合にはウェイクアップする。
【0067】
また、本実施形態の車両には、充電を行う際の充電モードを設定するための2つの充電モード設定スイッチ(第1充電モード設定スイッチ31,第2充電モード設定スイッチ32)が設けられており、これら各充電モード設定スイッチ31,32の状態が副制御マイコン21へ入力される。
【0068】
本実施形態では、充電モードとして、電気料金の安価な深夜電力時間帯に充電を行って充電完了させる「深夜電力充電モード」と、設定された充電終了目標時間(より詳しくは本実施形態では2次充電終了目標時間)に2次電池2が満充電状態となるように充電スケジュール(充電速度:単位時間あたりに充電させるべき充電容量)を演算してその充電スケジュールに従って充電を行う「電池寿命延伸モード」が設定可能に構成されている。
【0069】
なお、本実施形態でいう深夜電力時間帯とは、例えば23時から翌朝7時までの時間帯を示すものとする。
このうち深夜電力充電モードは、第1充電モード設定スイッチ31をONすることにより設定され、電池寿命延伸モードは、第2充電モード設定スイッチ32をONすることにより設定される。
【0070】
なお、電池寿命延伸モードでは、予め充電終了目標時間(2次充電終了目標時間)が設定され、その設定された目標時間で満充電状態となるように充電が行われるため、目標時間を適切に設定することで、2次電池2が満充電状態のまま長時間放置されるのを防止することができる。これにより、2次電池2の寿命の延伸を図ることができる。
【0071】
主制御マイコン22は、主として、モータECU4や電池ECU5等の走行系のECUを制御する機能を担うものである。この主制御マイコン22は、既述の通り、電源OFF時は電源供給されずに停止しており、電源OFF状態から電源操作SW7が2回操作されたとき、若しくは車載充電器8から充電起動信号が入力されたときに、メインリレー12から+B電源が供給されることにより起動する。
【0072】
主制御マイコン22は、電池ECU5やモータECU4との間で、車載ネットワーク6を介して各種データのやり取りを行うことで、モータ3の制御や2次電池2の監視制御を行っている。電池ECU5からは、2次電池2のSOCなどの各種情報を取得しており、その取得したSOCは、後述するように副制御マイコン21においても利用される。なお、図示しない他のECU(エンジンECUなど)ともデータ通信を行っており、車両における、走行のための各種(走行系制御)全体を統括している。
【0073】
充電制御マイコン23は、車載充電器8の制御、即ち外部電源による2次電池2の充電を制御する役割を担っている。但し、この充電制御マイコン23は、自身が充電スケジュール等の演算を積極的に行って自身が主導で車載充電器8の動作を制御しているのではなく、あくまでも、副制御マイコン21からの充電要求指令に基づき、その充電要求指令が示す充電スケジュールに従って、車載充電器8へ充電制御信号を出力する。
【0074】
車載充電器8は、充電制御マイコン23から出力された充電制御信号に従って(つまり副制御マイコン21にて演算された充電スケジュール等に従って)2次電池2への充電を行うこととなる。また、充電制御マイコン23は、2次電池2の充電を行う際は、各充電リレー17,18をONさせて、車載充電器8と2次電池2とを結ぶ高圧ラインを導通させ、2次電池2への充電を可能な状態にする。これら各充電リレー17,18は、充電時以外は通常はOFFされている。
【0075】
尚、副制御マイコン21,主制御マイコン22,及び充電制御マイコン23は、DMA通信によって互いにデータのやり取りを行っている。その一例が、副制御マイコン21から充電制御マイコン23への充電要求指令(充電スケジュール等)である。
【0076】
また、主制御マイコン22が電池ECU5からSOCなどの2次電池2に関する情報を取得していることは既に述べた通りであるが、副制御マイコン21は、主制御マイコン22が取得した2次電池2に関する情報のうち、少なくともSOCを、DMA通信によって取得し、自身が充電スケジュール等を演算する際に用いている。
【0077】
また、本実施形態のECU1は、複数のマイコン(本例では3つ)を有し、マイコン毎に役割を分担させているが、1つのマイコンを用いずにこのように複数のマイコンに役割分担させている理由としては、例えば、暗電流の低減や、走行系にかかわる制御の信頼性の向上、などが挙げられる。即ち、複数のマイコンを用意して、常時動作させるべき機能については1つのマイコンに集約し、他のマイコンは電源OFF時は完全に動作を停止させることができるようにすることで、全体として消費電力を低減できる。また、車両において最も重要となる走行系の制御を担うマイコン(本例の主制御マイコン22)を他のマイコンと切り分けることで、当該走行系マイコンの信頼性を向上させることができる。更に、他のマイコンによって当該走行系のマイコンを監視させることで、信頼性をより向上させることもできる。
【0078】
次に、副制御マイコン21が主体となって行う、2次電池2の充電制御について説明する。ここではまず、充電制御についてその概要を説明する。そして、その詳細については、後でフローチャート(図5〜図7参照)を用いて説明する。
【0079】
外部コンセントや充電スタンド等に差込プラグ16を差し込むことにより車載充電器8に充電用の電力が供給されると、車載充電器8は、ECU1へ充電起動信号を出力する。この充電起動信号は、ECU1内において副制御マイコン21に入力される。
【0080】
副制御マイコン21は、この充電起動信号を受けることによってウェイクアップすると、上述したように電源IC24へ充電起動指令を出力することにより、プラグインリレー40をONさせる。
【0081】
プラグインリレー40のONにより、プラグイン電源入力がなされ、充電制御電源回路25から充電制御電源電圧が供給されて充電制御マイコン23が起動される。更に、プラグイン電源入力は電源IC24にも入力され、これにより電源IC24内のOR回路39からメインリレーON信号が出力されてメインリレー12がONされる。
【0082】
このメインリレー12のONにより、メインリレー12を介したバッテリ電圧+BがECU1内の主制御電源回路36を起動させて主制御マイコン22を起動させると同時に、メインリレー12の配下にある走行系のECU(モータECU4,電池ECU5等)にもバッテリ電圧+Bが供給されることによりこれら各ECUが起動する。これにより、主制御マイコン22は電池ECU5から2次電池2のSOCを取得できるようになり、延いては、副制御マイコン21がそのSOCをDMA通信を介して主制御マイコン22から取得できるようになり、充電制御のための準備段階が整ったことになる。
【0083】
充電制御のための準備が整うと、副制御マイコン21は、第1充電モード設定スイッチ31及び第2充電モード設定スイッチ32の設定内容に基づいて、即ち、充電モードが深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの何れか一方又は両方に設定されているか否かに基づいて、充電スケジュールを演算する。そして、その演算した充電スケジュールに従って充電を行うよう、充電制御マイコン23に対してDMA通信を経由して充電要求指令を出力する。
【0084】
充電制御マイコン23は、副制御マイコン21からの充電要求指令を受けると、その充電要求指令(充電スケジュールを含む)に従って車載充電器8に充電制御信号(例えばDUTY信号)を出力すると共に、各充電リレー17,18をONすることにより、充電を開始させる。
【0085】
充電開始後も、副制御マイコン21は2次電池2のSOCを監視し、2次電池2が満充電状態になって充電が完了すると、充電処理を終了する。なお、本例における満充電状態とは、電池ECU5からのSOCが所定の目標値(例:80%)になった状態を示す。
【0086】
次に、副制御マイコン21による、充電スケジュールの演算について説明する。
本実施形態では、副制御マイコン21が、自身が起動(ウェイクアップ)したときに、それが電源操作SW7の操作によるウェイクアップなのか、それとも車載充電器8からの充電起動信号によるものかを判別することができる。更に、RTC26が設けられていることにより、電源操作SW7の操作によりウェイクアップしたときにそのウェイクアップした時刻をRTC26から取得することができる。
【0087】
そこで本実施形態では、副制御マイコン21が、電源操作SW7によって起動した場合に、そのときの現在時刻をRTC26から取得する。但し、単に電源操作SW7が操作されたというだけでそのときの現在時刻を取得するのではなく、IGON状態となるような操作、即ち電源OFF状態から電源操作SW7が2回操作された場合に、ユーザによる、車両を走行させる意思に基づく動作がなされたものとして、そのときの現在時刻を取得する。そして、取得した現在時刻情報は、時間帯別の起動頻度(即ち車両利用頻度)として、メモリ27に格納される。
【0088】
つまり、ユーザが車両を走行させようとして電源操作SW7を操作し、IGON状態とする度に、そのときの時刻に基づき、どの時間帯での起動の頻度が高いのかといった履歴情報が蓄積される。そして、起動頻度の高い時間帯が、上述した充電終了目標時間としてメモリ27に格納される。
【0089】
但し、本実施形態では、起動頻度の高い時間帯が深夜電力時間帯にあるか否かによって、充電終了目標時間を個別に設定している。具体的には、起動頻度の高い時間帯が深夜電力時間帯以外の時間帯(例えば朝8時など)であれば、その時間帯における所定の時刻を2次充電終了目標時間として設定(メモリ27に格納)する。一方、起動頻度の高い時間帯が深夜電力時間帯にある場合(例えば深夜2時など)ならば、その時間帯における所定の時刻を一次充電終了目標時間として設定する。
【0090】
一次充電終了目標時間と2次充電終了目標時間は、ユーザの起動頻度によって、何れか一方のみ設定される場合もあれば双方ともに設定される場合もある。例えば、深夜電力時間帯に車両に乗ることはまずなくて毎朝だいたい8時頃に車両に乗って勤務先等へ出掛けるようなユーザの場合は、通常、2次充電終了目標時間のみが設定されることとなる。一方、基本的には毎朝8時頃に出掛けるものの、深夜電力時間帯における決まった時間帯に所要で出掛けることがたまにあるようなユーザの場合は、2次充電終了目標時間に加えて1時充電終了目標時間も設定されることとなる。
【0091】
そして、このようにして設定される2次充電終了目標時間及び1次充電終了目標時間は、いずれも、ユーザによる車両の利用頻度が高い時間帯における設定時刻である。即ち、その時刻になるとユーザが車両に乗って出掛ける(車両を駆動させる)可能性が高いということである。
【0092】
そこで本実施形態では、副制御マイコン21が、充電スケジュールを演算する際、充電モードが電池寿命延伸モードに設定されている場合には、メモリ27に設定されている第2充電終了目標時間及び第1充電終了目標時間を基準に1次充電、2次充電が行われるよう、充電スケジュールを設定する。
【0093】
具体的には、例えば2次充電終了目標時間のみ設定されている場合には、充電開始時刻から、その設定されている2次充電終了目標時間までの時間に基づき、およそその2次充電終了目標時間において満充電状態となるように(満充電状態になってから2次充電終了目標時間までの時間が所定の放置時間閾値を超えないように)充電速度を演算する。
【0094】
また例えば、2次充電終了目標時間及び1次充電終了目標時間の双方が設定されている場合には、充電開始時刻から、まず1次充電終了目標時間までは、1次充電として、車載充電器8の最大充電能力で充電を行わせることで、1次充電終了目標時間の時点で実用的な充電容量を確保させる。これにより、深夜時間帯に突発的に車両を利用する必要が生じた場合にも対応できるようになる。
【0095】
そして、1次充電終了目標時間になった後は、その時刻から2次充電終了目標時間までの時間に基づき、およそその2次充電終了目標時間において満充電状態となるように(満充電状態になってから2次充電終了目標時間までの時間が所定の放置時間閾値を超えないように)充電スケジュールを演算する。そして、その演算した充電スケジュールに従って充電(2次充電)を行う。
【0096】
一方、充電モードが深夜電力充電モードに設定されている場合には、副制御マイコン21は、設定されている深夜電力時間帯(23時〜7時)の間で充電が行われるように充電スケジュールを演算する。この深夜電力充電モードは、単に、深夜電力時間帯に充電を行うというものであるため、原則的には、充電開始後は予め設定された一定の充電速度(本例では1次充電と同じく最大充電能力)にて充電が行われる。
【0097】
これに対し、深夜電力充電モードが設定されていると共に電池寿命延伸モードも設定されている場合には、深夜電力時間帯の中で充電を行うということに加え、更に、深夜電力時間帯が終わる時刻近辺にて満充電状態となるように充電速度が制御される。
【0098】
ここで、充電モードの設定状態毎の、充電過程(充電速度)の一例を、図2〜図4を用いて説明する。
まず、第1充電モード設定スイッチ31と第2充電モード設定スイッチ32の何れもOFFされている場合、即ち深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの何れも設定されていない場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図2(a)に示す。
【0099】
図2(a)に示すように、車両が走行している間は電池電力が消費されるため2次電池2の容量は減少していく。そして、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止したとき、本例では何れの充電モードも設定されていないため、停止後、差込プラグ16を外部コンセント等に差し込むと、すぐに充電が開始される。しかも、その充電は、上述したように車載充電器8の最大充電能力で行われる。
【0100】
これにより、2次電池2への充電は急速に進み、深夜電力時間帯の途中で満充電状態となる。そして、満充電状態となった後、再び車両の走行が開始されるまでは、その満充電の状態で放置されることとなる。
【0101】
そして、例えば朝8時頃にユーザが電源操作SW7を操作して車両走行を開始させると、そのときの時刻がECU1により(詳しくは副制御マイコン21により)学習される。つまり、上述したように、充電終了目標時間を設定するための履歴情報として反映される。
【0102】
次に、上記図2(a)とは全く逆に、第1充電モード設定スイッチ31と第2充電モード設定スイッチ32の何れもONされている場合、即ち深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの双方が設定されている場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図2(b)に示す。
【0103】
この場合、図2(b)に示すように、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止した後に差込プラグ16を外部コンセント等に差し込んでも、充電モードが深夜電力充電モードに設定されていることから、すぐには充電は開始されない。そして、23時になって深夜電力時間帯に入ったときに、充電が開始される。
【0104】
また、本例では電池寿命延伸モードにも設定されていることから、充電開始時に、充電終了の目標時間近辺でちょうど満充電となるような充電スケジュールが演算され、その演算された充電スケジュールにて充電が開始される。
【0105】
これにより、2次電池2への充電は、深夜電力時間帯の開始時刻である23時から開始され、その後、深夜電力時間帯の終了時刻に向けてゆっくりと充電が進む。そして、深夜電力時間帯の終了時刻である7時に満充電状態となる。
【0106】
このように充電されることにより、充電にかかる電気料金を安価に抑えることが可能になると共に、満充電状態となってから車両が走行開始するまでの、満充電状態での放置時間を短く抑えることも可能となる。これにより、2次電池2の寿命の延伸を図ることができる。
【0107】
次に、いずれか一方の充電モード設定スイッチのみがオンされている場合について説明する。まずは、第1充電モード設定スイッチ31はONされているが第2充電モード設定スイッチ32はOFFされている場合、即ち深夜電力充電モードに設定されているが電池寿命延伸モードには設定されていない場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図3(a)に示す。
【0108】
この場合、図3(a)に示すように、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止した後に差込プラグ16を外部コンセント等に差し込んでも、深夜電力充電モードに設定されていることから、すぐには充電は開始されない。そして、23時になって深夜電力時間帯に入ったときに、充電が開始される。
【0109】
一方、本例では電池寿命延伸モードには設定されていないことから、その充電は、車載充電器8の最大充電能力で行われる。そのため、2次電池2への充電は急速に進み、深夜電力時間帯の途中で満充電状態となる。そして、満充電状態となった後、再び車両の走行が開始されるまでは、その満充電の状態で放置されることとなる。
【0110】
本例の場合、深夜電力充電モードに設定されていることから、充電にかかる電気料金を安価に抑えることは可能である。但し、充電開始後は能力最大で充電されるため、満充電状態での放置時間は長くなる。もっとも、いずれの充電モード設定スイッチもOFFされている図2(a)の場合に比べれば、充電開始が23時からとなっている分、満充電状態での放置時間が短縮される。
【0111】
次に、上記図3(a)とは全く逆に、第1充電モード設定スイッチ31はOFFされているが第2充電モード設定スイッチ32はONされている場合、即ち深夜電力充電モードには設定されていないが電池寿命延伸モードには設定されている場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図3(b)に示す。
【0112】
この場合、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止させ、差込プラグ16を外部コンセント等に差し込むと、すぐに充電が開始される。但し、電池寿命延伸モードに設定されていることから、その充電は、目標終了時刻(ここでは2次充電終了目標時間)近辺で満充電状態となるように行われる。
【0113】
このように充電されることにより、充電にかかる電気料金は高めになるものの、満充電状態となってから車両が走行開始するまでの、満充電状態での放置時間を短く抑えることは可能となり、これにより2次電池2の寿命の延伸が図られる。
【0114】
次に、充電モードについては上記図2(b)と同じように深夜電力充電モード及び電池寿命延伸モードの双方が設定されており、更に、充電終了の目標時間として、1次充電終了目標時間が設定(メモリ27に格納)されている場合の、車両走行停止から翌朝再び走行させるまでの電池容量の変化例を、図4に示す。
【0115】
この場合、図4に示すように、深夜電力時間帯に入る前に車両の走行を停止した後に差込プラグ16を外部コンセント等に差し込んでも、深夜電力充電モードに設定されていることから、すぐには充電は開始されない。そして、23時になって深夜電力時間帯に入ったときに、充電が開始される。
【0116】
そして、本例では、深夜電力時間帯内における1次充電終了目標時間が設定されていることから、23時の充電開始後、その1次充電終了目標時間までは、車載充電器8の最大充電能力にて充電が行われる。
【0117】
そして、1次充電終了目標時間に到達すると、その最大充電能力での1次充電を停止し、2次充電に移行する。即ち、その1次充電終了目標時間から、最終的に終了すべき目標時間(本例では深夜電力時間帯の終了時刻である7時)近辺で満充電状態となるように充電スケジュールが演算され、充電される。
【0118】
これにより、1次充電終了目標時間からは、深夜電力時間帯の終了時刻に向けてゆっくりと充電が進む。そして、深夜電力時間帯の終了時刻である7時に満充電状態となる。
このように充電されることにより、充電にかかる電気料金を安価に抑えることが可能になると共に、満充電状態となってから車両が走行開始するまでの、満充電状態での放置時間を短く抑えることも可能となる。更に、充電開始後まずは1次充電を行ってある程度の実用的な容量を確保するようにしているため、深夜時間帯における突発的な車両の利用にも応えることができる。
【0119】
ここまで、副制御マイコン21によって行われる、ユーザの利用履歴に基づく充電終了目標時間の学習と設定、及び、設定されている充電モードと上記充電終了目標時間に基づく充電スケジュールの演算について説明したが、これら各種設定や演算を行うために副制御マイコン21が実行する処理について、図5〜図7のフローチャートを用いて説明する。
【0120】
まず、ユーザの利用履歴に基づいて充電終了目標時間を設定する充電終了目標時間設定処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
副制御マイコン21は、ウェイクアップによってこの処理を開始すると、まず、そのウェイクアップ起動要因を判定する(S110)。そして、起動要因が電源操作SW7のON操作によるものでない場合は(S120:NO)、そのままこの充電終了目標時間設定処理を終了するが、起動要因が電源操作SW7のON操作によるものであった場合は(S120:YES)、更に、+B検出部28からの+B入力信号の有無に基づき、メインリレー12からバッテリ電圧+Bが入力されているか否かを判断する(S130)。つまり、電源操作SW7の操作によってIGON状態となっているかどうかを判断する。
【0121】
ここで、一定時間経過しても+B入力がない場合は、S140にてタイムアウト判定されてそのままこの充電終了目標時間設定処理を終了するが、+B入力があった場合は(S130:YES)、起動頻度の判定対象となるため、RTC26から現在時刻を取得する(S150)。
【0122】
そして、取得した現在時刻と同時刻帯の操作履歴カウント値nxがメモリ27に格納されているか否か判断する(S160)。ここでいう同時刻帯とは、任意に設定された時間幅(例えば30分単位)で区切られる時刻帯であり、例えば現在時刻が7時38分だった場合には、7時30分から8時の時刻帯に属することとなる。
【0123】
そして、その時刻帯における操作履歴カウント値nxがメモリ27に格納されていない場合は(S160:NO)、その時刻帯における操作履歴カウント値nxを1に設定してメモリ27に格納し(S170)、この充電終了目標時間設定処理を終了する。
【0124】
一方、取得した現在時刻の時刻帯における操作履歴カウント値nxが既にメモリ27に格納されている場合は(S160:YES)、その時刻帯における操作履歴カウント値nxを1インクリメントする(S180)。そして、そのインクリメントした後の操作履歴カウント値nxが、予め設定されている高頻度判定閾値(例えば3〜5のいずれか)より大きいか否か判断する(S190)。
【0125】
このとき、操作履歴カウント値nxがまだ高頻度閾値より大きくない場合は(S19O:NO)、その時刻帯の利用頻度はまだ高いとはいえないことから、そのままこの充電終了目標時間設定処理を終了する。一方、操作履歴カウント値nxが高頻度閾値より大きい場合は(S19O:YES)、その時刻帯の利用頻度が高いということができ、その時刻帯を、充電を終了させる為の目標時間として設定することができる。
【0126】
そこでまず、その時刻帯が深夜電力時間帯であるか否かを判断する(S200)。そして、深夜電力時間帯でなければ(S200:NO)、その時刻帯を、2次充電終了目標時間としてメモリ27に格納する。具体的には、その時刻帯における所定の時刻(例えば7時30分から8時の時刻帯であれば、その中間の7時45分、など)に設定する。一方、深夜電力時間帯である場合は(S200:YES)、その時刻帯を、1次充電終了目標時間としてメモリ27に格納する。
【0127】
このように、副制御マイコン21が、ウェイクアップする度に上記の充電終了目標時間設定処理を実行することで、ユーザによる車両の利用頻度が時刻帯別に学習され、利用頻度の高い時刻帯が、その時刻帯が深夜電力時間帯内であるか否かに応じて1次充電終了目標時間又は2次充電終了目標時間に設定される。そして、このようにして設定され、メモリ27に格納された各充電終了目標時間が、次に説明する、副制御マイコン21にて実行される充電制御処理において適宜用いられる。
【0128】
次に、副制御マイコン21が実行する、2次電池2の充電スケジュールを演算して2次電池2の充電を制御するための、充電制御処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0129】
副制御マイコン21は、ウェイクアップによってこの処理を開始すると、まず、そのウェイクアップ起動要因を判定する(S310)。そして、起動要因が、車載充電器8からの充電起動信号又はRTC26からの設定時刻到達信号であるか否か判断し(S320)、これらの何れでもない場合は(S320:NO)、起動要因に応じた各種処理を実行した上で(S330)、この充電制御処理を終了する。
【0130】
起動要因が、充電起動信号又はRTC26からの設定時刻到達信号である場合は(S320:YES)、更に、RTC26によるウェイクアップであるか否か、即ち起動要因がRTC6からの設定時刻到達信号であるか否かを判断する(S340)。そして、RTC26からの設定時刻到達信号によるウェイクアップではない場合、即ち充電起動信号によるウェイクアップである場合は(S340:NO)、充電モードの設定判断に進む。
【0131】
まず、第1充電モード設定スイッチ31がONされているか否か、即ち深夜電力充電モードに設定されているか否かを判断する(S350)。そして、深夜電力充電モードに設定されている場合は(S350:YES)、RTC26より現在時刻を取得し(S360)、更に充電開始目標時間をメモリ27から取得する。ここでいう充電開始目標時間とは、深夜電力充電モードにおける充電開始時間であり、本例では23時である。深夜電力時間帯に関する情報も、メモリ27に予め格納されている。
【0132】
そして、取得した現在時刻と充電開始目標時間とを比較して、現在時刻が充電開始目標時間よりもまだ前であるか否かを判断する(S380)。そして、現在時刻がすでに充電開始目標時間を過ぎている場合は(S380:NO)、既に深夜電力時間帯に入っているということであるから、すぐに充電を開始してもよいということであり、よってS430に進む。
【0133】
一方、現在時刻がまだ充電開始目標時間よりも前である場合は(S380:YES)、RTC26に充電開始目標時間(23時)をセットし(S390)、さらに自身を充電開始待機モードに設定した上で(S400)、スリープモードに移行する(S410)。
【0134】
このようにして、現在時刻がまだ充電開始目標時間よりも前であることによって一旦スリープモードに移行した場合は、RTC26に設定した充電開始目標時間が到来したときに、RTC26からその旨の設定時刻到達信号が入力され、これによりウェイクアップすることとなる。その場合、起動要因がRTC26であるため、S340の判断処理では肯定判定されてS420に進むことになる。
【0135】
この場合、S420では、自身が充電開始待機モードに設定されているか否かを判断する。そして、1次充電を開始するためのウェイクアップである場合は、先にS400で充電開始待機モードに設定されていることから、S430以降の処理に進むこととなる。
【0136】
一方、RTC26によるウェイクアップであったものの(S340:YES)、充電開始待機モードに設定されていない場合は(S420:NO)、そのときの起動要因に応じた各種処理を行って(S330)、この充電制御処理を終了する。
【0137】
350の判断にて、第1充電モード設定スイッチ31がオンされていない場合、及びS380の判断処理にて、現在時刻が充電開始目標時間を過ぎていると判断された場合は、S430に進み、第2充電モード設定スイッチ32がONされているか否か、即ち電池寿命延伸モードに設定されているか否かを判断する。そして、電池寿命延伸モードに設定されている場合は(S430:YES)、S440の電池寿命延伸充電制御に進む。
【0138】
このS440の電池寿命延伸充電制御を、図7に示す。この電池寿命延伸充電制御に進むと、まず、メモリ27に1次充電終了目標時間が格納されているか否か判断する(S610)。そして、1次充電終了目標時間が格納されている場合は(S610:YES)、そのメモリ27に格納されている1次充電終了目標時間を取得し(S620)、更にRTC26から現在時刻を取得して(S630)、現在時刻が1次充電終了目標時間よりも前か否かを判断する(S640)。
【0139】
ここで、現在時刻が1次充電終了目標時間よりもまだ前ならば(S640:YES)、RTC26へ1次充電終了目標時間をセットして(S650)、充電制御マイコン23に対し、充電開始を許可する(S660)。具体的には、最大充電能力にて充電を開始すべき旨の充電要求指令を送る。これにより、充電制御マイコン23は、車載充電器8に対して最大充電能力で充電するよう充電制御信号を出力し、車載充電器8による1次充電が開始されることとなる。
【0140】
そして、RTC26から設定時刻到達信号が出力されたか否か、即ちS650で設定した1次充電終了目標時間に到達したことを示す信号が出力されたか否かを判断し(S670)、設定時刻到達信号が出力されるまではS660に戻ることになるが、設定時刻到達信号が出力された場合は(S670:YES)、1次充電終了目標時間になったということであるため、1次充電終了処理を行う(S680)。即ち、充電制御マイコン23に対して1次充電をやめるよう指令する。
【0141】
このようにして1次充電が終了した場合や、S610にてメモリ27に1次充電終了目標時間が格納されていなかった場合、更にはS640にて現在時刻が1次充電終了目標時間よりも前ではないと判断された場合は、S690に進み、2次充電を行うべく、2次充電終了目標時間を取得する(S690)。
【0142】
ここで取得する2次充電終了目標時間は、深夜電力充電モードが設定されている場合には、メモリ27に格納されている深夜電力時間帯の終了時刻であり、深夜電力充電モードが設定されていない場合には、メモリ27に格納されている2次充電終了設定時間である。
【0143】
そして、RTC26から現在時刻を取得し(S700)、更に主制御マイコン22から2次電池2のSOCを取得して(S710)、現在のSOCの状態から通常通り(最大充電能力で)充電を行って満充電状態にした場合に2次充電終了目標時間までその満充電状態で放置される時間(満充電放置時間)を推定する(S720)。
【0144】
そして、推定した満充電放置時間が予め設定した放置時間閾値を超えていなかった場合は、そのまま最大能力で充電しても問題ないとして、S450(図6)へ進む。逆に、推定した満充電放置時間が予め設定した放置時間閾値を超えた場合は、そのまま最大能力で充電すると満充電状態で放置される時間が長くなるということであり、それは好ましくないため、2次充電終了目標時間近辺で満充電状態となるように充電速度を演算する(S740)。
【0145】
そして、充電制御マイコン23へ充電開始を許可する(S750)。具体的には、S740で演算した充電速度で充電を行うべき旨の充電要求指令を充電制御マイコン23へ送る。これにより、充電制御マイコン23は、車載充電器8に対し、上記充電速度で充電するよう充電制御信号を出力し、車載充電器8による2次充電が開始されることとなる。
【0146】
2次充電開始後は、主制御マイコン22から2次電池2のSOCを取得し(S760)、その取得したSOCが、充電完了状態を示す値になっているか否か、即ち満充電状態に到達しているか否かを判断する(S770)。そして、充電が完了するまで、即ちSOCが満充電状態になるまでは充電を継続し、SOCが満充電状態となって充電が完了した場合は(S770:YES)充電終了処理を行う(S780)。即ち、充電制御マイコン23に対して充電(2次充電)をやめるよう指令する。そして、スリープモードに移行する(S790)。
【0147】
図6に戻り、S430の処理にて、第2充電モード設定スイッチ32がオンされていないと判断された場合は、S450に進み、充電制御マイコン23へ充電開始を許可する(S450)。具体的には、通常の充電速度で(即ち最大充電能力で)充電を行うべき旨の指令を充電制御マイコン23へ送る。これにより、最大充電能力で2次充電2が開始されることとなる。
【0148】
そして、その充電開始後は、主制御マイコン22から2次電池のSOCを取得し(S460)、その取得したSOCに基づいて充電完了状態が否か判断する(S470)。そして、充電が完了するまで、即ちSOCが満充電状態になるまでは充電を継続し、SOCが満充電状態となって充電が完了した場合は(S470:YES)、充電終了処理を行って(S480)、スリープモードに移行する(S490)。
【0149】
従って、上記構成のECU1によれば、ユーザによる電源操作SW7の操作頻度に応じて充電終了目標時間が設定され、それに合わせて充電スケジュールが演算されるため、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、ユーザの利用状況等に応じた適切な充電スケジュールにて2次電池2を充電させることができ、よって2次電池2の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0150】
[第2実施形態]
図8に、第2実施形態のECU50の概略構成を示す。尚、図8において、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付しているため、その説明を省略する。
【0151】
本実施形態のECU50が第1実施形態のECU1と異なる主な点は、充電制御マイコン54及びこれに動作用電源(充電制御電源電圧)を供給する充電制御電源回路53がいずれも車載充電器52内に統合されている点である。
【0152】
これにより、第1実施形態のECU1では、副制御マイコン21が演算した充電スケジュールを充電制御マイコン23に充電要求指令として伝え、これに基づいて充電制御マイコン23が車載充電器8へ充電制御信号を出力していたのに対し、本実施形態のECU50では、副制御マイコン51が、自身が演算した充電スケジュールと共に、充電制御信号を車載充電器52内の充電制御マイコン54へ送信する。
【0153】
車載充電器52内の充電制御マイコン54は、ECU50における副制御マイコン51からの充電制御信号に従い、車載充電器52を動作させて2次電池2への充電を制御する。
【0154】
また、このように充電制御マイコン54及び充電制御電源回路53が車載充電器52内に統合されたことから、充電制御電源回路53にバッテリ電圧+Bを供給するプラグインリレー40は、車載充電器52からのプラグインリレー出力によりONされる。即ち、外部コンセント等に差込プラグ16が差し込まれて外部電源電力が入力されると、車載充電器52は、第1実施形態と同様に充電起動信号を出力するのに加え、プラグインリレー40をONさせるためのプラグインリレー出力を行う。これによりプラグインリレー40がONされ、このプラグインリレー40を介してバッテリ電圧+Bが供給されて、充電制御電源回路53が動作する。
【0155】
このように構成された本実施形態のECU50においても、副制御マイコン51は、第1実施形態の副制御マイコン21と同様、電源操作SW7の操作履歴を学習することにより充電終了目標時間を演算し、その演算結果や、各充電モード設定スイッチ31,32の設定内容等に応じて、充電スケジュールを演算する。そして、その充電スケジュールが車載充電器52内の充電制御マイコン54へ伝達されることで、その充電スケジュールに従った充電が行われることとなる。
【0156】
そのため、本実施形態のECU50によっても、第1実施形態と同様、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、ユーザの利用状況等に応じた適切な充電スケジュールにて2次電池を充電させることができ、よって2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0157】
[第3実施形態]
図9に、第3実施形態のECU60の概略構成を示す。尚、図9において、第1実施形態及び第2実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付しているため、その説明を省略する。
【0158】
本実施形態のECU60が第2実施形態のECU50と異なる点は、下記の事項である。即ち、第2実施形態では、ユーザが操作するスイッチとして、押しボタン型の電源操作SW7を備えていたが、本実施形態では、車両において従来からよく用いられているメカニカルキー61によって、電源操作、即ちACCリレー11及び各IGリレー9,10の駆動がなされる。
【0159】
メカニカルキー61は、ユーザが所持するキーを当該メカニカルキー61におけるキー挿入口に挿入して捻ることにより、その捻り角度に応じて電源OFF、ACCON、IGONの各状態に切り替えることが可能な周知のキー装置である。
【0160】
このメカニカルキー61がACCの位置に捻り操作されると、ACCリレー11がONする。更に、IGONの位置に捻り操作されると、ACCリレー11に加えて各IGリレー9,10もONする。
【0161】
本実施形態では、第2IGリレー10からの+B電源が、イグニション系の各ECUに供給されるのに加え、ECU60にも供給されて副制御マイコン51へ入力される。副制御マイコン51は、第2IGリレー10から+B電源が入力されると、電源IC62内のOR回路39を介してメインリレー12をONさせる。
【0162】
つまり、上記第1,第2実施形態では電源操作SW7が2回操作されることによってその操作情報が副制御マイコン21から電源IC24に伝えられてメインリレー12がONされたのに対し、本実施形態では、電源操作SW7からの入力に代えて、メカニカルキー61の操作により第2IGリレー10から入力される+B電源に基づいてメインリレー12がONされる。
【0163】
そのため、副制御マイコン51は、ユーザによりメカニカルキー61がIGの位置に操作されたことを第2IGリレー10からの+B電源入力によって知ることができ、その+B電源が入力される度にRTC26から現在時刻を取得することで、第1,第2実施形態と同じように、ユーザによる操作履歴の学習や充電終了目標時間の設定、充電スケジュールの演算等を行うことができる。
【0164】
そのため、本実施形態のECU60によっても、上記各実施形態と同様、ユーザの利便性を低下させず、且つユーザ自身の手間を省きつつ、ユーザの利用状況等に応じた適切な充電スケジュールにて2次電池を充電させることができ、よって2次電池の寿命の延伸を図ることが可能となる。
【0165】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0166】
例えば、上記実施形態では、充電終了目標時間を設定するにあたり、図5で説明したように、電源操作SW7の操作履歴を、30分単位の時間帯に区切って学習し、同じ時間帯での操作頻度が多かった場合にその時間帯を充電終了目標時間に設定するようにしたが、このように30分の時間帯で区切るのはあくまでも一例であり、もっと大きな時間単位(例えば1時間単位)で区切っても良いし、逆に細かい時間単位で区切っても良い。或いは、例えば1分単位で細かく利用頻度を蓄積していって1分単位での充電終了目標時間を設定するようにしてもよい。
【0167】
また、上記実施形態では、1次充電と2次充電の二段階の充電を可能としたが、これはあくまでも一例であり、1段階のみの充電としてもよいし、逆に3段階上に充電速度を切り替えて充電するようにしてもよい。
【0168】
また、1次充電と2次充電のいずれも、その充電終了目標時間をユーザの使用履歴から演算して設定するようにしたが、これは必須ではなく、例えば1次充電に関しては予め設定した時刻を固定設定してその時刻で1次充電を終わらせるようにしてもよい。
【0169】
また、1次充電において車載充電器の最大充電能力で充電するようにしたのはあくまでも一例であり、必ずしも最大充電能力で充電する必要はない。
また、電池寿命延伸モードにおいては、充電終了目標時間で満充電状態にするようにしたが、電池寿命をより長持ちさせるために、例えば満充電状態(上記例では80%)よりも少ない容量で充電が完了するように設定するようにしてもよい。
【0170】
また、上記実施形態では、プラグインハイブリッド車両における2次電池の充電制御を行うECUに対して本発明を適用した例について説明したが、プラグインハイブリッド車両への適用はあくまでも一例であり、本発明は、2次電池の電力により駆動される走行用モータを備えると共にその2次電池を外部電源によって充電可能に構成されたあらゆる種類の車両に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0171】
1,50,60…第、2…2次電池、3…モータ、4…モータECU、5…電池ECU、6…車載ネットワーク、7…電源操作スイッチ、8,52…車載充電器、9…第1IGリレー、10…第2IGリレー、11…ACCリレー、12…メインリレー、13…駆動回路、14…正極側モータリレー、15…負極側モータリレー、16…差込プラグ、17…正極側充電リレー、18…負極側充電リレー、21,51…副制御マイコン、22…主制御マイコン、23,54…充電制御マイコン、24…電源IC、25,53…充電制御電源回路、26…RTC、27…メモリ、28…+B検出部、31…第1充電モード設定スイッチ、32…第2充電モード設定スイッチ、35…副制御電源回路、36…主制御電源回路、37…出力回路、38…IG−ON検出部、39…OR回路、40…プラグインリレー、61…メカニカルキー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源の電力を元に走行用モータの駆動源である2次電池を充電する充電装置を備えた車両に搭載され、前記充電装置による前記2次電池の充電を制御する車載充電制御装置であって、
前記充電装置は、外部電源が入力されたときに所定の充電起動信号を出力するよう構成されており、
当該車載充電制御装置は、
前記充電装置からの前記充電起動信号が入力される充電起動信号入力手段と、
前記車両に搭載された電源スイッチの操作状態を示す操作信号が入力される操作信号入力手段と、
現在時刻を計時する計時手段と、
前記充電起動信号入力手段に前記充電起動信号が入力されたときに前記充電装置による前記2次電池の充電を制御するための制御指令を出力する制御指令出力手段と、
前記操作信号入力手段に前記操作信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を前記計時手段から取得し、該取得した現在時刻に基づいて、以後、前記充電装置による前記2次電池の充電が行われる際における該充電終了目標時間を設定する終了目標設定手段と、
を備え、
前記制御指令出力手段は、前記充電起動信号入力手段に前記充電起動信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を前記計時手段から取得し、該取得した現在時刻と、前記終了目標設定手段により設定されている前記充電終了目標時間とに基づき、前記2次電池を前記充電終了目標時間を含む所定の終了目標時間帯で所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第1の充電スケジュールを設定して、該設定した第1の充電スケジュールを示す前記制御指令を出力する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載充電制御装置であって、
前記終了目標設定手段は、
前記操作信号入力手段に前記操作信号が入力されたときに前記計時手段から取得した前記現在時刻を、前記電源スイッチが操作された操作時刻または操作時間帯の履歴として蓄積し、該蓄積結果に基づいて、前記電源スイッチが操作された頻度が所定の閾値より高い前記操作時刻又は前記操作時間帯を、前記充電終了目標時間として設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載充電制御装置であって、
前記2次電池の充電モードとして、少なくとも、前記第1の充電スケジュールに従って充電を行う第1の充電モードを有し、
前記第1の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第1充電モード設定手段を備え、
前記制御指令出力手段は、前記第1充電モード設定手段により前記第1の充電モードが設定されている場合に、前記第1の充電スケジュールを設定して該第1の充電スケジュールを示す前記制御指令を出力する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載充電制御装置であって、
前記2次電池の充電モードとして、更に、予め設定された、相対的に電力料金の安価な時間帯である深夜電力時間帯に充電を行う第2の充電モードを有し、
前記第2の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第2充電モード設定手段を備え、
前記制御指令出力手段は、前記第2充電モード設定手段により前記第2の充電モードが設定されている場合は、前記深夜電力時間帯において充電を開始及び終了させるための充電スケジュールである第2の充電スケジュールを設定して、該設定した第2の充電スケジュールを示す前記制御信号を出力する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載充電制御装置であって、
前記制御指令出力手段は、前記第1充電モード設定手段により前記第1の充電モードが設定されていると共に前記第2充電モード設定手段により前記第2の充電モードが設定されている場合は、前記深夜電力時間帯の終了時間を前記充電終了目標時間として、該充電終了目標時間までに前記2次電池を所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第3の充電スケジュールを設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記制御指令出力手段は、充電開始から終了までの間で単位時間あたりの充電容量が少なくとも二種類に変化するような前記充電スケジュールを設定可能に構成されている
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記充電装置に外部電源が入力されたときに前記車両が備える第1のリレーをONさせる第1のリレー駆動手段と、
前記第1のリレー駆動手段によって前記第1のリレーがONされたときに該第1のリレーから出力される第1リレー出力信号が入力される第1リレー入力手段と、
を備え、
前記制御指令出力手段は、前記充電起動信号入力手段への前記充電起動信号の入力、及び前記第1リレー入力手段への前記第1リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、前記充電スケジュールを設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記電源スイッチが操作されたときに前記車両が備える第2のリレーをONさせる第2のリレー駆動手段と、
前記第2のリレー駆動手段によって前記第2のリレーがONされたときに該第2のリレーから出力される第2リレー出力信号が入力される第2リレー入力手段と、
を備え、
前記終了目標設定手段は、前記操作信号入力手段への前記操作信号の入力、及び前記第2リレー入力手段への前記第2リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、前記充電終了目標時間を設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記充電起動信号入力手段、前記操作信号入力手段、前記制御指令出力手段、及び前記終了目標設定手段は、第1のマイコンにより構成されており、
前記第1のマイコン及び前記計時手段は、前記電源スイッチの操作状態にかかわらず前記車両が備えるバッテリからの電力によって常時動作可能に構成されており、
前記第1のマイコンは、所定のスリープ条件が成立したときに、前記充電起動信号入力手段及び前記操作信号入力手段を除く他の機能の一部又は全ての動作を停止させるスリープ状態に移行すると共に、前記充電起動信号入力手段へ前記充電起動信号が入力されたか又は前記操作信号入力手段に前記操作信号が入力されたときに、前記スリープ状態を解除するよう構成されている
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車載充電制御装置であって、
前記計時手段は、リアルタイムクロックにより構成されている
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項1】
外部電源の電力を元に走行用モータの駆動源である2次電池を充電する充電装置を備えた車両に搭載され、前記充電装置による前記2次電池の充電を制御する車載充電制御装置であって、
前記充電装置は、外部電源が入力されたときに所定の充電起動信号を出力するよう構成されており、
当該車載充電制御装置は、
前記充電装置からの前記充電起動信号が入力される充電起動信号入力手段と、
前記車両に搭載された電源スイッチの操作状態を示す操作信号が入力される操作信号入力手段と、
現在時刻を計時する計時手段と、
前記充電起動信号入力手段に前記充電起動信号が入力されたときに前記充電装置による前記2次電池の充電を制御するための制御指令を出力する制御指令出力手段と、
前記操作信号入力手段に前記操作信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を前記計時手段から取得し、該取得した現在時刻に基づいて、以後、前記充電装置による前記2次電池の充電が行われる際における該充電終了目標時間を設定する終了目標設定手段と、
を備え、
前記制御指令出力手段は、前記充電起動信号入力手段に前記充電起動信号が入力されたときに、該入力されたときの現在時刻を前記計時手段から取得し、該取得した現在時刻と、前記終了目標設定手段により設定されている前記充電終了目標時間とに基づき、前記2次電池を前記充電終了目標時間を含む所定の終了目標時間帯で所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第1の充電スケジュールを設定して、該設定した第1の充電スケジュールを示す前記制御指令を出力する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載充電制御装置であって、
前記終了目標設定手段は、
前記操作信号入力手段に前記操作信号が入力されたときに前記計時手段から取得した前記現在時刻を、前記電源スイッチが操作された操作時刻または操作時間帯の履歴として蓄積し、該蓄積結果に基づいて、前記電源スイッチが操作された頻度が所定の閾値より高い前記操作時刻又は前記操作時間帯を、前記充電終了目標時間として設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載充電制御装置であって、
前記2次電池の充電モードとして、少なくとも、前記第1の充電スケジュールに従って充電を行う第1の充電モードを有し、
前記第1の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第1充電モード設定手段を備え、
前記制御指令出力手段は、前記第1充電モード設定手段により前記第1の充電モードが設定されている場合に、前記第1の充電スケジュールを設定して該第1の充電スケジュールを示す前記制御指令を出力する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載充電制御装置であって、
前記2次電池の充電モードとして、更に、予め設定された、相対的に電力料金の安価な時間帯である深夜電力時間帯に充電を行う第2の充電モードを有し、
前記第2の充電モードにて充電を行わせるか否かを選択的に設定可能な第2充電モード設定手段を備え、
前記制御指令出力手段は、前記第2充電モード設定手段により前記第2の充電モードが設定されている場合は、前記深夜電力時間帯において充電を開始及び終了させるための充電スケジュールである第2の充電スケジュールを設定して、該設定した第2の充電スケジュールを示す前記制御信号を出力する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載充電制御装置であって、
前記制御指令出力手段は、前記第1充電モード設定手段により前記第1の充電モードが設定されていると共に前記第2充電モード設定手段により前記第2の充電モードが設定されている場合は、前記深夜電力時間帯の終了時間を前記充電終了目標時間として、該充電終了目標時間までに前記2次電池を所定の充電容量まで充電させるための充電スケジュールである第3の充電スケジュールを設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記制御指令出力手段は、充電開始から終了までの間で単位時間あたりの充電容量が少なくとも二種類に変化するような前記充電スケジュールを設定可能に構成されている
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記充電装置に外部電源が入力されたときに前記車両が備える第1のリレーをONさせる第1のリレー駆動手段と、
前記第1のリレー駆動手段によって前記第1のリレーがONされたときに該第1のリレーから出力される第1リレー出力信号が入力される第1リレー入力手段と、
を備え、
前記制御指令出力手段は、前記充電起動信号入力手段への前記充電起動信号の入力、及び前記第1リレー入力手段への前記第1リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、前記充電スケジュールを設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記電源スイッチが操作されたときに前記車両が備える第2のリレーをONさせる第2のリレー駆動手段と、
前記第2のリレー駆動手段によって前記第2のリレーがONされたときに該第2のリレーから出力される第2リレー出力信号が入力される第2リレー入力手段と、
を備え、
前記終了目標設定手段は、前記操作信号入力手段への前記操作信号の入力、及び前記第2リレー入力手段への前記第2リレー出力信号の入力のうち何れか一方又は双方がなされた場合に、前記充電終了目標時間を設定する
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車載充電制御装置であって、
前記充電起動信号入力手段、前記操作信号入力手段、前記制御指令出力手段、及び前記終了目標設定手段は、第1のマイコンにより構成されており、
前記第1のマイコン及び前記計時手段は、前記電源スイッチの操作状態にかかわらず前記車両が備えるバッテリからの電力によって常時動作可能に構成されており、
前記第1のマイコンは、所定のスリープ条件が成立したときに、前記充電起動信号入力手段及び前記操作信号入力手段を除く他の機能の一部又は全ての動作を停止させるスリープ状態に移行すると共に、前記充電起動信号入力手段へ前記充電起動信号が入力されたか又は前記操作信号入力手段に前記操作信号が入力されたときに、前記スリープ状態を解除するよう構成されている
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車載充電制御装置であって、
前記計時手段は、リアルタイムクロックにより構成されている
ことを特徴とする車載充電制御装置。
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−182518(P2011−182518A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42656(P2010−42656)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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