説明

車載制御装置

【課題】 自車両と後方から接近する車両の走行状況を把握して、その状況に応じて適切な回避策をとることが可能な車載制御装置を提供する。
【解決手段】 車両の速度を検出する車速検出手段と、両の後方を走行する車両を検出する後方車両検出手段と、後方車両との車間距離を演算する車間距離演算手段と、車速および車間距離とに基づいて後方車両の接近速度を演算する接近速度演算手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、後方車両に報知を行なう報知手段と、道路種別の情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、道路種別に基づいて定められる速度および接近速度の基準値を記憶する基準値記憶手段と、速度および接近速度が車両の現在位置の道路種別毎に定められる基準値内にあるかどうかを判定する判定手段と、速度および接近速度が基準値を超えたと判定された場合に、報知手段に報知を行なわせる報知制御手段とを有することを特徴とする車載制御装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載制御装置、特に後続車両または自車両の運転者に適切に警告を与えるための構成を備えた車載制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前方不注意の追突事故は、自動車の衝突事故の中でも発生頻度が多い事故である。追突事故の発生要因の一つとして、前方の自動車がブレーキを踏んで速度を落とした場合にように、道路上での車両の走行状況が変化したにもかかわらず、運転者がこれに対応できずに追突するケースが挙げられる。特に、渋滞の最後尾の車両にトラックが追突する大惨事が後を絶たず、社会的に問題となっている。近年、前方監視装置による追突防止を備えた車両も実用化されているが、該当する装置を持たない車両からの追突に関しては防御手段がない。
【0003】
このため従来では、渋滞中の車両の運転手は、渋滞等の非常の事態で停車することを後続の車両に知らせるため、停車前に自己の車両のハザードランプを点滅させて注意喚起を行ない追突事故の発生を防いでいた。しかしながら、車両に備えられているハザードランプは運転手が手動で点滅させるものであるため、他の操作に気を取られるなどして点滅操作を忘れたり、点滅開始が遅れたりする恐れがあり、この場合、後続車両への注意喚起が十分行われず追突事故が発生してしまう。
【0004】
そこで、テレビカメラを用いて走行中の車両の周囲の状況を観測し、衝突の可能性のある周囲の車両を検出すると共に、その結果を元に自車両の運転手に警報を発生する装置が考案されている。特に、追い越しをかけてくる車両を高精度に検出すると共に、自車両のターンシグナルやハンドル舵角などを考慮して衝突の可能性を予測し、警報を発する衝突防止装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、カメラ等で自車両の前方の車両のブレーキランプあるいはハザードランプの状態を監視し、自車両が所定の速度の状態にあるときに、前方の車両のブレーキランプが点灯あるいはハザードランプが点滅した場合に、自車両のハザードランプを点滅させたり、自車両のブレーキランプが点灯あるいはハザードランプが点滅させる車両制御装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−285245号公報
【特許文献2】特開2000−113394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の例では、自車両の走行している状況を把握することができないため、その場面に応じた適切な回避策をとることができない。また、車両前方の状態を検知する手段は備えていない。
【0008】
特許文献1および2の例では、前方監視用のカメラあるいは車両の挙動の変化を検知するカメラあるいはセンサ等の機器およびそれら機器を制御する装置を追加する必要があり、これはコストアップの要因となってしまう。また、車両後方の状態を検知する手段は備えていない。
【0009】
上記問題を背景として、本発明の課題は、自車両と後方から接近する車両の走行状況を把握して、その状況に応じて適切な回避策をとることが可能な車載制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための車載制御装置を提供するものである。即ち、請求項1によれば、車両の速度を検出する車速検出手段と、両の後方を走行する車両を検出する後方車両検出手段と、後方車両との車間距離を演算する車間距離演算手段と、車速および車間距離とに基づいて後方車両の接近速度を演算する接近速度演算手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、後方車両に報知を行なう報知手段と、道路種別の情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、道路種別に基づいて定められる速度および接近速度の基準値を記憶する基準値記憶手段と、速度および接近速度が車両の現在位置の道路種別毎に定められる基準値内にあるかどうかを判定する報知判定手段と、速度および接近速度が基準値を超えたと判定された場合に、報知手段に報知を行なわせる報知制御手段とを有することを特徴とする車載制御装置として構成される。
【0011】
本発明は、ナビゲーション装置等の車載機器からの車両の走行している道路情報や、車両の走行状況の情報、また後方からの車両の接近情報を組み合わせることで適切な処置を可能とし、自車両から後方車両へ適切な注意を促すことで追突事故を防止するものである。上記構成によって、車両の速度および後方車両の接近速度が所定の関係になった場合に、追突防止を喚起させる旨を後続車両に報知することが可能となる。報知の際、運転者の操作を必要としないので、運転者の負荷は増えず、運転者は運転に集中することができる。また、車両の速度および後方車両の接近速度が所定の関係になったときに自動的に報知を行なうことで、報知が遅れて後続車に追突される可能性も低くなる。
【0012】
また、道路種別(高速道路,一般道路等)に応じて、速度および接近速度の基準値を定めることで、該道路における車両の走行状態に応じた報知のための条件を設定でき、適切なタイミングで報知を行なうことが可能となる。
【0013】
請求項2によれば、本発明の車載制御装置は、渋滞地点の情報を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、地図データと車両の現在位置とに基づいて車両と渋滞地点との距離を演算する距離演算手段と、演算された渋滞地点と車両との距離が所定の距離以内に接近したかどうかを判定する渋滞地点接近判定手段と、を有し、渋滞地点接近判定手段により車両が渋滞地点に対し所定の距離以内に接近したと判定され、かつ報知判定手段により速度および接近速度が基準値を超えたと判定された場合に、報知制御手段が報知手段に報知を行なわせる構成をとることもできる。
【0014】
上記構成によって、車両が渋滞地点に対し所定の距離以内に接近して減速したときに、それに気づかずに接近してくる後続車両に前方が渋滞である旨を報知することが可能となる。報知の際、運転者の操作を必要としないので、運転者の負荷は増えず、運転者は運転に集中することができる。また、また、車両の速度および後方車両の接近速度が所定の関係になったときに自動的に報知を行なうことで、報知が遅れて後続車に追突される可能性も低くなる。
【0015】
請求項3によれば、本発明の車載制御装置における地図データは交差点および曲線路を含む車両の減速が必要な地点の位置データを含み、車両の現在位置から目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、案内経路上に存在する車両の減速が必要な地点を抽出する報知地点抽出手段と、抽出された車両の減速が必要な地点と車両との距離が所定の距離以内に接近したかどうかを判定する減速地点接近判定手段を有し、減速地点接近判定手段により車両が減速地点に対し所定の距離以内に接近したと判定され、かつ報知判定手段により速度および接近速度が基準値を超えたと判定された場合に、報知制御手段が報知手段に報知を行なわせる構成をとることもできる。
【0016】
上記構成は、報知手段を行なう地点として渋滞地点の他に交差点および曲線路等の、車両の減速が必要な地点を含めることで、これらの地点においても自車両から後方車両へ適切な注意を促すことで追突事故を防止するものである。上記構成によって、車両の減速が必要な地点に対し所定の距離以内に接近したときに、その旨を後続車両に報知することが可能となる。報知の際、運転者の操作を必要としないので、運転者の負荷は増えず、運転者は運転に集中することができる。また、車両の速度および後方車両の接近速度が所定の関係になったときに自動的に報知を行なうことで、報知が遅れて後続車に追突される可能性も低くなる。
【0017】
ところで、車両用ナビゲーション装置には、本発明における渋滞情報取得手段,位置検出手段,および地図データ記憶手段が含まれており、これら以外の各手段を追加することで容易に本発明の車載制御装置を構成することが可能である。よって、専用の車載制御装置を開発・製造する必要はなく、車両用ナビゲーション装置の改造という方法によって、比較的安価に本発明の車載制御装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
自車両と後方から接近する車両の走行状況を把握して、その状況に応じて適切な回避策をとることが可能な車載制御装置を提供するという目的を、車両用ナビゲーション装置を用いて実現した。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の車載制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は車載制御装置の全体構成を示すブロック図である。本車載制御装置は、車両用ナビゲーション装置100(詳細は後述),車速センサ31(本発明の車速検出手段),ハザードランプコントローラ32,ブレーキランプコントローラ36,および車間距離センサ34(本発明の後方車両検出手段)が車内ネットワーク35により接続され車両40に搭載されている。また、ハザードランプコントローラ32にはハザードランプ33が接続され、ブレーキランプコントローラ36にはブレーキランプ37が接続され、これらにより本発明における報知手段を構成している。なお、ハザードランプ33およびブレーキランプ37は法規に遵守して車両に設置されているものである。
【0020】
なお、本実施例では車載制御装置の一部として車両用ナビゲーション装置を用いているが、車両用ナビゲーション装置以外の制御装置を用いて本発明の構成を実現してもよい。
【0021】
車間距離センサ34は、電波を発射して後方車両の距離を測定するものであるが、レーザ測距儀のようなレーザ波を用いるものを使用してもよい。
【0022】
また、報知手段として、ハザードランプ33およびブレーキランプ37以外の灯火装置、あるいはLEDディスプレイやプラズマディスプレイを用いた表示装置等を用いても構わない。音声あるいは音を用いる報知手段を用いてもよい。
【0023】
図2は車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置とも称する)100の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なうスピーカ15,外部メモリ9,表示装置10,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0024】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。なお、この位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0025】
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む各種データを記憶媒体18から入力するための装置である。記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVD,ハードディスクドライブ(以降、HDDと称する)を用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。なお、この記憶媒体18が本発明の地図データ記憶手段に相当する。
【0026】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置10の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群7およびリモコン端末12によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0027】
表示装置10はカラー液晶表示器により構成されており、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器6から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行なうためのメニューボタンが表示される。
【0028】
送受信機13(本発明の渋滞情報取得手段)は、外部、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)センタ14などから提供される渋滞情報を含む道路情報を受信し、また外部へ情報を送信するための装置である。この送受信機13を介して外部から受け取った情報は、制御回路8において処理する。
【0029】
また、通信ユニット19に携帯電話機17あるいは自動車電話機等の移動体通信機器を接続することによっても、外部ネットワークとの接続が可能である。さらに、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した、料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16を用いて外部ネットワークと接続することも可能である。
【0030】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82およびRAM83に記憶されたプログラムおよびデータにより制御を行なう。ROM82は、プログラム格納領域82aとデータ記憶領域82bとを有している。プログラム格納領域82aにはナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと称する)82pが格納される。データ記憶領域82bにはナビプログラム82pの動作に必要なデータが格納されている。また、ナビプログラム82pは、RAM83上にてナビプログラム用ワークメモリ83wを作業領域とする形で作動する。なお、地図データ入力器6にHDDを用いる場合は、ROM82およびRAM83の機能をHDDによって実施してもよい。
【0031】
なお、この制御回路8が本発明の車間距離演算手段,接近速度演算手段,報知判定手段,報知制御手段,経路検索手段,報知地点抽出手段,および減速地点接近判定手段に相当する。
【0032】
さらに、外部メモリ9(本発明の基準値記憶手段)には、本ナビゲーション装置の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、外部メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(即ち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0033】
そして、音声認識ユニット30は、利用者が音声を入力することによって、操作スイッチ群7あるいはリモコン12を操作したときと同様に目的地などを指示することができるようにするための装置である。
【0034】
このような構成を持つことにより、本ナビゲーション装置は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム82pが起動されると、運転者が操作スイッチ群7,リモコン端末12あるいは音声認識ユニット30によって、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。即ち、運転者が表示装置10上の地図に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機5から得られる衛星のデータに基づき車両の現在地が求められ、現在地から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。そして、表示装置10上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。また、表示装置10およびスピーカ15によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの送出を行なう。
【0035】
(警告実施例1)
次に、図3および図4のフローチャート,図5を用いて、CPU81において実行されるナビプログラム82pの後方車両への警告処理の流れについて説明する。なお、この処理はナビゲーション装置100が動作中に他の処理とともに繰り返し行われる。
【0036】
最初に、図3のフローチャートのように、車間距離センサ34から後方へ電波を発射して後方車両の有無を検索する(S1)。後方を車両が走行している場合は該後方車両から該発射した電波(反射波)が反射して戻ってくるので、電波を発射してから、反射波を受信するまでの時間を測定することで、該後方車両までの距離を推定演算することができる(S2)。つまり、ナビゲーション装置100(制御回路8)から車内LANユニット20および車内ネットワーク35を介して車間距離センサ34に対して電波を発射する指令を送った時点から、車間距離センサ34が反射波を受信して該受信情報を制御回路8が受け取る時点までの時間を測定し、該時間および車速センサ31において検出される車両40の車速に基づいて該後方車両までの距離を推定演算する。
【0037】
電波を移動する物体に向けて発射すると、その反射波は物体の移動速度に比例した周波数偏倚(元の発射周波数からのずれ)を受けて戻ってくる(所謂ドップラー効果)。このドップラー効果を利用すれば、次の式のような関係が成立するので該後方車両の速度を算出することができる。
f=((V−u)/(V−v))×f
ここで、f:車両40で測定される反射波の周波数,f:車両40から発射される電波の周波数,V:電波の速度,u:車両40の速度,v:後方車両の速度である。
【0038】
後方車両の速度(v)を算出できれば、後方車両の接近速度を求めることができる(S3)。即ち、接近速度=車両40の速度(u)−後方車両の速度(v)である。接近速度が正の値となるときは後方車両から離れつつあるということで、接近速度が負の値となるときは後方車両が接近しつつあるということである。
【0039】
本実施の形態では、後方車両の接近を検出する装置として、レーダを用いた検出方式を用いているが、後方監視用カメラ(撮影された後方車両の画像データから車間距離および接近速度を算出する)や車両間通信(車両間で速度、走行位置等のデータの遣り取りを行なう)を用いた検出方式も可能である。
【0040】
次に、図4のフローチャートのように、車両40の現在位置と記憶媒体18に記憶されている地図データに基づいて、車両40が走行している道路の種別(一般道路,高速道路等)を取得する(S11)。そして、車速センサ31において検出される車両40の車速を取得し(S12)、先に図3を用いて説明したように、車両40の車速と後方車両の速度から後方車両の接近速度を演算により取得する(S13)。
【0041】
そして、警告内容判断テーブル(図5参照,詳細は後述)を参照し、車両40が走行している道路の種別,車両40の車速,および後方車両の接近速度に基づいた警告内容を取得する(S14)。そして、制御回路8は該警告内容に基づいて車内LANユニット20および車内ネットワーク35を介してハザードランプコントローラ32およびブレーキランプコントローラ36に指令を送り、ハザードランプコントローラ32およびブレーキランプコントローラ36は送られてきた指令に基づいて、それぞれハザードランプ33,ブレーキランプ37の点滅あるいは点灯を行なって後方車両に対して報知(警告)を行なう(S15)。
【0042】
図5の警告内容判断テーブル(本発明の基準値)は、外部メモリ9に記憶されている。道路種別(一般道路,高速道路等)によって大分類され、この大分類において自車両(車両40)の速度および後方車両の接近速度に基づいて後方車両への警告内容が定義されている。なお、図5の警告内容判断テーブルにおける「状況」欄は、本発明の実施の形態を説明するために設けたものである。例えば、道路種別が高速道路で、車両40の走行速度がA(km/h)未満かつ後方車両の接近速度がB(km/h)以上である場合は、車両40が渋滞の最後尾に接近しつつあるが後方車両が渋滞に気づかず減速しないという状況(追突される可能性が高い状況)と判断されるので、ハザードランプ33およびブレーキランプ37を点滅させて後方車両に対して警告を行なう。また、道路種別が一般道路で、車両40の走行速度がC(km/h)以上かつ後方車両の接近速度がD(km/h)未満である場合は、後方車両に追突される可能性が極めて低いので後方車両に対する警告は行なわない。
【0043】
上述した走行速度(A,C),後方車両の接近速度(B,D),および警告内容は推奨設定値として予め外部メモリ9に記憶されているものであるが、該記憶内容を変更することも可能である。つまり、操作スイッチ群7あるいはリモコン12の操作、あるいは音声認識ユニット30への音声入力によって表示装置10の表示画面上に設定画面を表示させて変更したい項目について数値を入力する。また、後方車両に対する警告を全く行なわないように設定することも可能である。さらに、安全上問題となる(事故を誘発する)数値を設定できないようにする方法を採ってもよい。
【0044】
(警告実施例2)
図6および図7,図8を用いて、経路案内を行なっている際に地図データと車両の現在位置に基づいて後方車両に対する警告方法について説明する。まず、操作スイッチ群7あるいはリモコン12の操作、あるいは音声認識ユニット30への音声入力によって、ナビゲーション装置100の周知の機能である目的地までの案内経路の検索を行なった場合に、地図データから該案内経路上に存在する警告を行なう対象となる地点あるいは施設の情報を取得する(S31)。取得した情報は、RAM83あるいは外部メモリ9に記憶する。
【0045】
次に、車両40の現在位置および上記で取得した情報に基づいて、車両40が該地点あるいは該施設(図7の例では交差点を左折のため減速)から所定の距離内に接近したかどうかを調べ、該所定の距離内(例えば、30m以内)に接近した場合(S32:Yes)には、先に図3および図4を用いて説明したように、後方車両41との距離を取得し(S33)、後方車両の接近速度を取得する(S34)。
【0046】
そして、図8のように、後方車両41との距離が所定の距離以下(例えば、10m以下)となり、かつ後方車両の接近速度が所定の速度を上回る(例えば、30k/m以上)場合(S35:Yes)には、制御回路8は該警告内容に基づいて車内LANユニット20および車内ネットワーク35を介してハザードランプコントローラ32およびブレーキランプコントローラ36に指令を送り、ハザードランプコントローラ32およびブレーキランプコントローラ36は送られてきた指令に基づいて、それぞれハザードランプ33,ブレーキランプ37の点滅あるいは点灯させて後方車両に対して警告を行なう(S36)。
【0047】
交差点と同様に、カーブの入口(減速が必要)および踏切(減速,一旦停止が必要)から所定の距離に接近した場合にも、後方車両41との距離および後方車両の接近速度を取得して、必要に応じて後方車両に対して警告を行なう。
【0048】
図8の警告内容テーブル(本発明の基準値)は、外部メモリ9に記憶されている。警告を行なう対象となる地点あるいは施設によって大分類され、この大分類において該地点あるいは該施設までの距離,自車両(車両40)の速度,および後方車両の接近速度に基づいて後方車両への警告内容が定義されている。例えば、カーブ警告モードで、警告点(カーブの入口)までの距離がA’m以下かつ、後方車両41の接近速度がB’(km/h)以上かつ、車両40と後方車両41との車間距離がC’m以下である場合は、車両40の減速に後方車両が渋滞に気づいていないという状況(追突される可能性が高い状況)と判断されるので、ハザードランプ33およびブレーキランプ37を点滅させて後方車両に対して警告を行なう。踏切警告モードの場合も同様である。
【0049】
上述した警告点までの距離(A,A’,A”),後方車両の接近速度(B,B’,B”),車両40と後方車両41との車間距離(C,C’,C”),および警告内容は推奨設定値として予め外部メモリ9に記憶されているものであるが、該記憶内容を変更することも可能である。つまり、操作スイッチ群7あるいはリモコン12の操作、あるいは音声認識ユニット30への音声入力によって表示装置10の表示画面上に設定画面を表示させて変更したい項目について数値を入力する。また、後方車両に対する警告を全く行なわないように設定することも可能である。さらに、安全上問題となる(事故を誘発する)数値を設定できないようにする方法を採ってもよい。
【0050】
ナビゲーション装置100は起動されているが経路案内を行なっていない場合、以下のようにして後方車両への警告を行なうことができる。地図データ上で、車両40の進行方向に警告を行なう対象となる地点あるいは施設(交差点,カーブの入口,踏切等)があるか否かを検索し、該地点あるいは該施設がある場合は、車両40の現在位置および地図データに基づいて車両40との距離を測定し、該地点あるいは該施設の種別に応じて設定される距離以内に車両40が接近した場合には、上述したように後方車両への警告表示を行なう。
【0051】
(警告実施例3)
渋滞情報を取得して該渋滞地点に接近した際に後方車両に対する警告方法について説明する。まず、送受信機13がVICSセンタ14から提供される渋滞情報を含む道路情報を受信してRAM83あるいは外部メモリ9に記憶する。次に、車両40の現在位置および上記で取得した情報に基づいて、車両40が該渋滞地点所定の距離内に接近したかどうかを調べ、該所定の距離内(例えば、500m以内)に接近した場合には、先に図3および図4を用いて説明したように、後方車両41との距離を取得し、後方車両の接近速度を取得する。
【0052】
警告内容判断テーブル(図5参照,詳細は後述)を参照し、車両40が走行している道路の種別,車両40の車速,および後方車両の接近速度に基づいた警告内容を取得する。そして、制御回路8は該警告内容に基づいて車内LANユニット20および車内ネットワーク35を介してハザードランプコントローラ32およびブレーキランプコントローラ36に指令を送り、ハザードランプコントローラ32およびブレーキランプコントローラ36は送られてきた指令に基づいて、それぞれハザードランプ33,ブレーキランプ37の点滅あるいは点灯を行なって後方車両に対して報知(警告)を行なう。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例としての車載制御装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図3】後方車両との距離および後方車両の速度を求める処理を説明するためのフロー図。
【図4】後方車両への警告表示処理を説明するためのフロー図。
【図5】警告内容判断テーブルの一例を示す図。
【図6】警告地点における後方車両への警告表示処理を説明するためのフロー図。
【図7】警告地点付近における後方車両との位置関係を示す図。
【図8】警告内容テーブルの一例を示す図。
【符号の説明】
【0055】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(車間距離演算手段,接近速度演算手段,報知判定手段,報知制御手段,経路検索手段,報知地点抽出手段,減速地点接近判定手段)
9 外部メモリ(基準値記憶手段)
13 送受信装置(渋滞情報取得手段)
18 記憶媒体(地図データ記憶手段)
31 車速センサ(車速検出手段)
32 ハザードランプコントローラ(報知手段)
33 ハザードランプ(報知手段)
34 車間距離センサ(後方車両検出手段)
35 車内ネットワーク
36 ブレーキランプコントローラ(報知手段)
37 ブレーキランプ(報知手段)
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両の後方を走行する車両を検出する後方車両検出手段と、
前記後方車両との車間距離を演算する車間距離演算手段と、
前記車速および前記車間距離とに基づいて前記後方車両の接近速度を演算する接近速度演算手段と、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記後方車両に報知を行なう報知手段と、
道路種別の情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記道路種別に基づいて定められる前記速度および前記接近速度の基準値を記憶する基準値記憶手段と、
前記速度および前記接近速度が前記車両の現在位置の道路種別毎に定められる基準値内にあるかどうかを判定する報知判定手段と、
前記速度および前記接近速度が前記基準値を超えたと判定された場合に、前記報知手段に報知を行なわせる報知制御手段と、
を有することを特徴とする車載制御装置。
【請求項2】
渋滞地点の情報を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
前記地図データと前記車両の現在位置とに基づいて前記車両と前記渋滞地点との距離を演算する距離演算手段と、
前記演算された前記渋滞地点と前記車両との距離が所定の距離以内に接近したかどうかを判定する渋滞地点接近判定手段と、を有し、
前記渋滞地点接近判定手段により前記車両が前記渋滞地点に対し前記所定の距離以内に接近したと判定され、かつ前記報知判定手段により前記速度および前記接近速度が前記基準値を超えたと判定された場合に、前記報知制御手段が前記報知手段に報知を行なわせるものである請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
前記地図データは交差点および曲線路を含む前記車両の減速が必要な地点の位置データを含み、
前記車両の現在位置から目的地までの案内経路を検索する経路検索手段と、
前記案内経路上に存在する前記車両の減速が必要な地点を抽出する報知地点抽出手段と、
前記抽出された前記車両の減速が必要な地点と前記車両との距離が所定の距離以内に接近したかどうかを判定する減速地点接近判定手段を有し、
前記減速地点接近判定手段により前記車両が前記減速地点に対し前記所定の距離以内に接近したと判定され、かつ前記報知判定手段により前記速度および前記接近速度が前記基準値を超えたと判定された場合に、前記報知制御手段が前記報知手段に報知を行なわせるものである請求項1または2に記載の車載制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−39806(P2006−39806A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216915(P2004−216915)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】