説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】表示される道路交通情報に対する違和感および誤解ならびに道路交通情報の受信結果に対する不信感といったFM放送局から送信される道路交通情報に対応する領域が拡張されることによる弊害を防止することができる「車載用ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】第3の領域30についての道路交通情報28a,28b,28cを、この道路交通情報28a,28b,28cが隣接地域における第2の領域3外の領域について限定的に表示される道路交通情報28a,28b,28cであることをユーザが認識可能な状態で表示すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に係り、特に、道路交通情報を表示するのに好適な車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用ナビゲーション装置においては、図6に示すように、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)のレベル3として提供された渋滞情報や規制情報等の道路交通情報を、地図1上に重畳表示することが行われていた。
【0003】
現在、このようなVICSレベル3の情報を含むVICSによって提供される道路交通情報(以下、VICS情報と称する)は、都道府県の各地域(換言すれば、各包括的地方公共団体)(ただし、北海道は道内で5分割された5つの地域)単位で、各地域にそれぞれ属するFM放送局によるFM多重放送によって送信されている。
【0004】
また、FM放送局に対応する領域すなわちFM放送局から送信されるVICS情報に対応する領域は、原則として、FM放送局が所属する所属地域をこの所属地域とこれに隣接する隣接地域との境界が含まれるような一群の2次メッシュの集合として近似してなる第1の領域よりも、1個分の2次メッシュだけ全体的に隣接地域側に拡張された第2の領域とされている。なお、2次メッシュとは、2万5千分の1地形図の1図葉の区画に対応し、緯度差を5分、経度差を7分30秒、1辺の長さを約10kmとした区域である(以下同様)。また、前記第1の領域は、前記所属地域と前記隣接地域との境界を完全に含むため、例えば、県境が2次メッシュの境界に一致するような特段の事情がない限りは、当該境界上の2次メッシュのうちの境界の外側(前記隣接地域側)の余剰部分だけ前記所属地域よりも前記隣接地域側に拡張された領域となる。
【0005】
ここで、例えば、図7に示すように、互いに隣接するA県およびB県について考えると、A県に所属するFM放送局すなわちA県を前記所属地域としたFM放送局にとっては、図7において太い破線で囲まれる一群の2次メッシュMの集合からなる領域2が前記第1の領域となり、図7において太い実線で囲まれる一群の2次メッシュMの集合からなる領域3が前記第2の領域ということになる。
【0006】
このような第2の領域については、前記所属地域の外側の領域についても、前記所属地域内と同等の情報量のVICS情報を受信することが可能であった。
【0007】
このように、各FM放送局に対応する領域を前記第2の領域に限定しているのは、前記所属地域と前記隣接地域との間での利便性をある程度考慮するための運用上の理由によるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−311997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、現在、VICS情報提供サービスの向上の一環として、前記所属地域から前記隣接地域における主要な都市までの間に存在する高速道路や国道等の主要な道路についてのVICS情報を、前記第2の領域についてのVICS情報に追加して送信することによって、前記所属地域と前記隣接地域とを行き来する場合の利便性を高めるための運用が予定されている。これは、各FM放送局に対応する領域を従前よりも拡張することに相当する。
【0010】
このような新たな運用によれば、例えば、図8に示すように、A県に所属するFM放送局からは、このFM放送局にとっての第2の領域3(図8参照)についてのVICS情報だけでなく、A県からA県に隣接するB県の主要都市a、bまで続く主要な道路R、Rにおける第2の領域3外の区間4についてのVICS情報も送信されることになる。
【0011】
しかしながら、現状においては、このような新たな運用によってFM放送局に対応する領域を拡張することにより、以下のような弊害が生じることが懸念されている。
【0012】
すなわち、図9に示すように、前述した新たな運用によってA県に所属するFM放送局から送信されたVICSレベル3のVICS情報を表示した場合には、A県の隣県のB県については、一部の主要な道路R、RについてのみVICS情報が地図1上に重畳表示され、それ以外の道路についてはVICS情報が表示されないことになるので、同じB県内であるにもかかわらずVICS情報の表示密度(情報量)が著しく異なることにより、ユーザに違和感を与える虞がある。そればかりでなく、VICS情報が表示されない道路については、渋滞や混雑が一切発生していないとの誤解を生じさせる虞や、車載用ナビゲーション装置におけるVICS情報の受信機能に対する不信感を抱かせる可能性がある。
【0013】
そこで、本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、表示される道路交通情報に対する違和感および誤解ならびに道路交通情報の受信結果に対する不信感といったFM放送局から送信される道路交通情報に対応する領域が拡張されることによる弊害を防止することができ、ひいては、ユーザが、FM放送局から送信される道路交通情報に対応する領域が拡張されることによるメリットを適切に享受および実感することができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題を解決するために、本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、地図データが記憶された地図データ記憶手段と、この地図データ記憶手段に記憶された前記地図データに基づいて、所定の領域を示す地図を表示部に表示する地図表示手段と、FM放送局からFM多重放送によって送信された当該FM放送局に対応する対応領域についての道路交通情報を受信する道路交通情報受信手段と、この道路交通情報受信手段によって受信された前記道路交通情報を、前記地図表示手段によって表示される前記所定の領域としての前記対応領域の少なくとも一部を含む領域を示す前記地図上に重畳表示する道路交通情報表示手段とを備えた車載用ナビゲーション装置であって、前記対応領域は、前記FM放送局が所属する所属地域をこの所属地域とこれに隣接する隣接地域との境界が含まれるような一群の単位区域の集合として近似してなる第1の領域よりも1個分の前記単位区域だけ全体的に前記隣接地域側に拡張された第2の領域と、前記隣接地域における前記第2の領域外の特定の領域からなる第3の領域とによって形成され、前記道路交通情報表示手段に対して、前記第3の領域についての前記道路交通情報を、この道路交通情報が前記隣接地域における前記第2の領域外の領域について限定的に表示される道路交通情報であることをユーザが認識可能な状態で表示するための制御を行う道路交通情報表示制御手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
そして、このような構成によれば、道路交通情報表示制御手段の制御により、第3の領域についての道路交通情報を、この道路交通情報が隣接地域における第2の領域外の領域について限定的に表示される道路交通情報であることをユーザが認識可能な状態で表示することができるので、表示される道路交通情報に対する違和感および誤解ならびに道路交通情報の受信結果に対する不信感といった前記対応領域が第3の領域まで拡張されることによる弊害を防止することができる。
【0016】
また、前記第3の領域は、前記所属地域から前記隣接地域の主要都市まで続く主要道路における前記第2の領域外の区間からなるものであってもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、道路交通情報の提供サービスが所属地域から隣接地域の主要都市まで続く主要道路における第2の領域外の区間まで拡張されることによる弊害を防止することができる。
【0018】
さらに、前記道路交通情報表示制御手段は、前記制御として、前記第3の領域についての前記道路交通情報の表示態様を前記第2の領域についての前記道路交通情報の表示態様と異ならせるための制御を行うようにしてもよい。
【0019】
そして、このような構成によれば、第3の領域についての道路交通情報の表示態様を第2の領域についての道路交通情報の表示態様と異ならせることにより、第3の領域についての道路交通情報を、この道路交通情報が隣接地域における第2の領域外の領域について限定的に表示される道路交通情報であることをユーザがさらに容易に認識可能な状態で表示することができる。
【0020】
さらにまた、前記道路交通情報表示制御手段は、前記制御として、前記隣接地域における前記第2の領域外かつ前記第3の領域外の領域についての前記道路交通情報が存在しないことを示す情報を表示するための制御を行うようにしてもよい。
【0021】
そして、このような構成によれば、隣接地域における第2の領域外かつ第3の領域外の領域についての道路交通情報が存在しないことを示す情報を表示することにより、第3の領域についての道路交通情報を、この道路交通情報が隣接地域における第2の領域外の領域について限定的に表示される道路交通情報であることをユーザがさらに容易に認識可能な状態で表示することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、表示される道路交通情報に対する違和感および誤解ならびに道路交通情報の受信結果に対する不信感といったFM放送局から送信される道路交通情報に対応する領域が拡張されることによる弊害を防止することができ、ひいては、ユーザが、当該領域が拡張されることによるメリットを適切に享受および実感することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示すハードウェア構成図
【図2】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示す機能ブロック図
【図3】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、本実施形態に特有のVICS情報の表示状態の一例を示す模式図
【図4】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、図3とは異なる本実施形態に特有のVICS情報の表示状態の一例を示す模式図
【図5】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示すフローチャート
【図6】従来から採用されていたレベル3のVICS情報の表示状態を示す模式図
【図7】従前のVICS情報の提供サービスにおけるFM放送局に対応する領域を説明するための説明図
【図8】現在予定されているVICS情報の提供サービスにおけるFM放送局に対応する領域を説明するための説明図
【図9】現状における問題点を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態における車載用ナビゲーション装置5は、大別して、ナビゲーションメインユニット6と、このナビゲーションメインユニット6にそれぞれ接続されたGPSレシーバ7、自律航法センサ8、入力操作部10、ディスプレイ11、スピーカ12、ビーコン受信機14および本実施形態における道路交通情報受信手段としてのFM多重レシーバ15とによって構成されている。
【0026】
GPSレシーバ7は、図示しないGPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションメインユニット6側に出力するようになっている。
【0027】
自律航法センサ8は、自車両の加速度、車速および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット6側に出力するようになっている。この自律航法センサ8は、ジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0028】
入力操作部10は、車載用ナビゲーション装置5に対する種々の入力操作に用いられるようになっている。この入力操作部10は、リモコン、ディスプレイ11のタッチパネル、リニアエンコーダまたはロータリエンコーダ等であってもよい。
【0029】
ビーコン受信機14は、主として高速道路に設置された電波ビーコンまたは主として一般道に設置された光ビーコンによって送信された道路交通情報としてのVICS情報を受信するようになっている。
【0030】
FM多重レシーバ15は、車載用ナビゲーション装置5側において選局されたFM放送局からFM多重放送によって送信された当該FM放送局に対応する領域(以下、対応領域と称する)についてのVICS情報を受信するようになっている。なお、前記対応領域は、FM放送局から送信されるVICS情報に対応する領域ということができる。
【0031】
電波ビーコン、光ビーコンおよびFM放送局には、VICS情報がVICSセンタから所定時間間隔で逐次配信されるようになっており、この配信されたVICS情報が電波ビーコン、光ビーコンまたはFM放送局によって車載用ナビゲーション装置5側に送信されるようになっている。
【0032】
次に、ナビゲーションメインユニット6について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット6は、システムバス13にそれぞれ接続されたナビCPU16、ROM17、RAM18およびハードディスクドライブ(HDD)19によって構成されている。
【0033】
ここで、ナビCPU16は、地図表示機能、自車位置算出機能、経路探索機能および経路誘導機能等の車載用ナビゲーション装置5の各種の機能を実行するようになっている。
【0034】
また、ROM17には、ナビCPU16の実行プログラムが記憶されており、ナビCPU16は、この実行プログラムを実行することによって車載用ナビゲーション装置5の機能を実行するようになっている。
【0035】
さらに、RAM18は、ナビCPU16による処理結果等のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0036】
さらにまた、ハードディスクドライブ19は、地図データ記憶手段として機能するようになっており、このハードディスクドライブ19には、地図データが記憶されている。なお、本実施形態において、地図データは、その詳細度および領域面積に応じて複数層のレベルに階層化されて管理されているとともに、各レベルにおいては、地図データが、各レベルに応じたサイズのメッシュ単位で管理されている。そして、複数層のレベルのうち、所定のレベルにおいては、地図データが2次メッシュ単位で管理されている。また、本実施形態において、地図データには、2次メッシュごとに、各2次メッシュにそれぞれ対応する区域において受信可能な少なくとも1局のFM放送局を示す識別情報(例えば、FM放送局の周波数を示す情報)が、受信の優先順位とともに2次メッシュと対応付けられた状態で記述されている。また、地図データには、道路データ(リンク、ノード、セグメントおよび形状補間点等)や背景データ(点、ポリライン、ポリゴンおよびテキスト等)等のデータも含まれている。
【0037】
次に、ナビCPU16について詳述すると、図2に示すように、ナビCPU16は、その機能ブロックの1つとしての自車位置算出部20を有しており、この自車位置算出部20には、GPSレシーバ7から出力されたGPS情報および自律航法センサ8から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部20は、GPSレシーバ7側から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対座標として算出する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部20は、自律航法センサ8側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの変化分である相対位置として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部20は、ハードディスクドライブ19に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法または自律航法によって算出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部20は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0038】
また、図2に示すように、ナビCPU16は、その機能ブロックの1つとして、地図表示手段としての地図描画部21を有している。この地図描画部21は、ハードディスクドライブ19に記憶されている地図データを用いることによって、所定の領域を示す地図を生成するようになっている。なお、この地図描画部21によって生成される地図は、所定の領域としての自車位置算出部20によって算出された自車位置の周辺の領域を示すものであってもよいし、また、入力操作部10を用いた地図スクロールによってユーザが指定した領域を示すものであってもよい。そして、地図描画部21は、生成された地図をディスプレイ11に表示するようになっている。
【0039】
さらに、図2に示すように、ナビCPU16は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部22を有している。この経路探索部22は、ハードディスクドライブ19に記憶されている地図データに基づいて、自車位置算出部20によって算出された自車位置から入力操作部10を用いた目的地設定操作にともなってナビCPU16が設定した目的地までの経路(例えば、推奨経路)を探索するルート計算を行うようになっている。なお、経路探索部22は、ビーコン受信機14またはFM多重レシーバ15によって受信されたVICS情報に基づいて、渋滞や混雑を回避する経路をリアルタイムに探索するようになっている。
【0040】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU16は、その機能ブロックの1つとして、経路誘導手段としての経路誘導部23を有しており、この経路誘導部23は、経路探索部22によって探索された経路に沿って自車両を目的地へと誘導する経路誘導(換言すればルート案内)を行うようになっている。この経路誘導は、例えば、ディスプレイ11に交差点拡大図を表示することや、地図描画部21によってディスプレイ11に表示された地図上に、経路探索部22によって探索された経路の画像を重畳表示すること、あるいは、スピーカ12を介して交差点右左折案内用の音声を出力すること等によって行われるようになっている。
【0041】
また、図2に示すように、ナビCPU16は、その機能ブロックの1つとして、道路交通情報表示手段としてのVICS情報描画部24を有しており、このVICS情報描画部24は、ビーコン受信機14またはFM多重レシーバ15によって受信されたVICS情報をディスプレイ11に表示するようになっている。このとき、VICS情報描画部24は、入力操作部10を用いた入力操作によってユーザが選択したレベルのVICS情報を表示するようになっている。具体的には、VICS情報描画部24は、レベル1が選択された場合には、VICS情報を文字情報として表示し、レベル2が選択された場合には、VICS情報を簡易図形を用いて表示し、レベル3が選択された場合には、VICS情報を地図描画部21によって表示される地図(ただし、前記対応領域の少なくとも一部を含む地図)上に重畳表示するようになっている。
【0042】
そして、本実施形態において、前記対応領域は、第2の領域と第3の領域とによって形成された領域とされている。ただし、前記第2の領域とは、FM放送局が所属する地域である所属地域を、この所属地域とこれに隣接する地域である隣接地域との境界が含まれるような一群の2次メッシュ(単位区域)の集合として近似してなる第1の領域よりも1個分の2次メッシュだけ全体的に前記隣接地域側に拡張された領域のことをいう(以下、同様)。また、前記第3の領域とは、前記隣接地域における前記第2の領域外の特定の領域のことをいう(以下、同様)。
【0043】
なお、本実施形態において、前記第2の領域は、図7に示した領域3に相当し、また、前記第1の領域は、図7に示した領域2に相当する。また、前記所属地域および前記隣接地域は、都道府県を単位とするものであってもよく、特に、北海道については、道内においてさらに複数に分割された地域を単位とするものであってもよい。
【0044】
さらに、前記第3の領域は、前記所属地域から前記隣接地域の主要都市まで続く主要道路における前記第2の領域外の区間であってもよい。
【0045】
さらに、図2に示すように、ナビCPU16は、その機能ブロックの1つとして、道路交通情報表示制御手段としてのVICS情報描画制御部25を有している。このVICS情報描画制御部25は、入力操作部10によってレベル3のVICS情報の表示が選択・指示された場合に、VICS情報描画部24に対して、前記第3の領域についてのVICS情報を、このVICS情報が前記隣接地域における前記第2の領域外の領域について限定的に表示されるVICS情報であることをユーザが認識可能な状態で表示するための制御(以下、VICS情報表示制御と称する)を行うようになっている。
【0046】
そして、VICS情報描画部24は、レベル3のVICS情報を表示する際に、VICS情報描画制御部25による前記VICS情報表示制御にしたがってVICS情報を表示するようになっている。
【0047】
なお、VICS情報描画制御部25は、前記VICS情報表示制御として、前記第3の領域についてのVICS情報の表示態様を前記第2の領域についてのVICS情報の表示態様と異ならせるための制御を行うようにしてもよい。
【0048】
ここで、図3は、このような前記VICS情報表示制御の結果としてのVICS情報の表示状態の一例を示したものである。
【0049】
図3においては、A県に所属するFM放送局すなわちA県を前記所属地域としたFM 放送局から受信したレベル3のVICS情報として、地図描画部21によって表示された地図1における第2の領域3上に、この第2の領域3内の道路に沿って当該道路の交通量を示す3種類の矢印マーク27a,27b,27cが重畳表示されている。これら3種類の矢印マーク27a,27b,27cのうちの1つ27aは、この矢印マーク27aに該当する道路の流れが順調であることを示している。また、他の2種類の矢印マーク27b,27cのうちの1つ27bは、この矢印マーク27bに該当する道路が混雑していることを示している。さらに、残りの1つの矢印マーク27cは、この矢印マーク27cに該当する道路に渋滞が発生していることを示している。これらの矢印マーク27a,27b,27cは、互いに異なる表示色で表示されている。また、地図1上には、第2の領域3の外形を示す線31も表示されている。なお、VICS情報描画部24は、このような矢印マーク27a,27b,27cに加えて、さらに、交通規制情報等の他の道路交通情報も表示するようにしてもよい。
【0050】
そして、図3においては、地図1における前記第3の領域としてのA県(前記所属地域)からA県の隣県のB県(前記隣接地域)の主要都市まで続く主要道路道路R、Rにおける第2の領域外の区間(以下、主要道路該当区間と称する)30についてのVICS情報として、この主要道路該当区間30の道路に沿って、当該道路の交通量を示す3種類の矢印マーク28a,28b,28cが重畳表示されている。なお、地図の縮尺によっては、主要道路該当区間30のすべてが地図1上に同時に表示されない場合もあるが、このような場合には、主要道路該当区間30のうちの地図1上に表示されている部分についての矢印マーク28a,28b,28cが重畳表示されることになる。
【0051】
図3に示すように、3種類の矢印マーク28a,28b,28cは、それぞれ、主要道路該当区間30内の該当する道路の流れが順調であることを示す矢印マーク28a、主要道路該当区間30内の該当する道路が混雑していることを示す矢印マーク28bおよび主要道路該当区間30内の該当する道路に渋滞が発生していることを示す矢印マーク28cとされている。これらの矢印マーク28a,28b,28cは、互いに異なる表示色で表示されているとともに、第2の領域3内の各矢印マーク27a,27b,27cとも異なる表示色で表示されている。例えば、第2の領域3内の矢印マーク27aが緑色の場合には、これと同レベルの交通量(順調)を示す矢印マーク28aを深緑色で表示し、矢印マーク27bがオレンジ色の場合には、これと同レベルの交通量(混雑)を示す矢印マーク28bを茶色で表示し、矢印マーク27cが赤色の場合には、これと同レベル(渋滞)の交通量を示す矢印マーク28cを黒みががった赤色で表示してもよい。
【0052】
なお、図3に示した構成以外にも、例えば、VICS情報描画制御部25は、前記VICS情報表示制御として、主要道路該当区間30内の3種類の矢印マーク28a,28b,28cをそれぞれ点滅表示させるための制御を行うようにしてもよい。この場合に、各矢印マーク28a,28b,28cの点灯時における表示色は、それぞれの矢印マーク28a,28b,28cと同レベルの交通量を示す第2の領域3内の各矢印マーク27a,27b,27cの表示色と同一となるようにしてもよいし、異なるようにしてもよい。
【0053】
さらに、図4は、図3に示したものとは異なる前記VICS情報表示制御の結果としてのVICS情報の表示状態の一例を示したものである。
【0054】
図4には、図3に示した表示態様の3種類の矢印マーク28a,28b,28cに加えて、さらに、B県における第2の領域3外および主要道路該当区間30外の領域(以下、第4の領域と称する)上に、この第4の領域に対応するVICS情報が存在しないことを示すメッセージ情報32が表示されている。なお、図4において、メッセージ情報32は、第4の領域を想像線(二点鎖線)で囲むとともに、この領域上に「VICS情報無し」の文字を重畳した情報とされている。
【0055】
なお、VICS情報描画制御部25による前記VICS情報表示制御を実現するためには、VICS情報描画制御部25が、FM多重レシーバ15によって受信された前記対象領域についてのVICS情報の中から、前記第3の領域についてのVICS情報と前記第2の領域についてのVICS情報とを明確に峻別することが前提となる。そのための具体的な方法としては、VICSセンタから前記対象領域についてのVICS情報を配信する際に、当該対象領域のうちの前記第2の領域を構成する2次メッシュについての識別情報(例えば、2次メッシュの座標情報)と、当該対象領域における前記第3の領域についての識別情報(例えば、リンクIDや2次メッシュの座標情報等)とを、VICS情報と対応させた状態で配信すればよい。そして、VICS情報描画制御部25は、FM多重レシーバ15を介して受信された当該対象領域についてのVICS情報、前記第2の領域を構成する2次メッシュについての識別情報および前記第3の領域についての識別情報と、ハードディスクドライブ19に記憶されている地図データにおける前記対象領域に対応するデータとを座標等を比較対象として比較することによって、前記第3の領域についてのVICS情報と前記第2の領域についてのVICS情報とを峻別すればよい。
【0056】
上記構成の他にも、ナビCPU16は、自車位置算出部20によって算出された自車位置が該当する地図データ中の2次メッシュに対応する少なくとも1局のFM放送局のうち、前記受信の優先順位が最も高いFM放送局からのVICS情報を受信するようにFM多重レシーバ15を制御するようになっている。すなわち、本実施形態においては、車載用ナビゲーション装置5側において、自車位置に対応するFM放送局が自動的に選局されるようになっている。なお、ナビCPU16は、選局されたFM放送局からVICS情報が適切に受信されない場合には、自車位置が該当する地図データ中の2次メッシュに対応するFM放送局のうち、現在選局されているFM放送局の次に優先順位が高いFM放送局をFM多重レシーバ15に選局させるようにしてもよい。
【0057】
次に、本実施形態の作用の一例について説明する。
【0058】
本実施形態においては、まず、図5のステップ1(ST1)において、自車位置算出部20によって自車位置を算出する。
【0059】
次いで、ステップ2(ST2)において、地図描画部21により、ステップ1(ST1)において算出された自車位置の周辺の所定の領域を示す地図(以下、自車位置周辺地図と称する)を生成し、生成された前記自車位置周辺地図をディスプレイ11に表示する。
【0060】
次いで、ステップ3(ST3)において、ナビCPU16により、入力操作部10からVICS情報の表示の指示があったか否かを判定し、当該指示があった場合にはステップ4(ST4)に進み、当該指示がなかった場合にはステップ3(ST3)を繰り返す。
【0061】
次いで、ステップ4(ST4)において、ナビCPU16により、ステップ1(ST1)において算出された自車位置が該当する地図データ中の2次メッシュに対応する複数局のFM放送局の識別情報を抽出し、抽出された識別情報のうち、前記受信の優先順位が最も高い識別情報に対応するFM放送局をFM多重レシーバ15に選局させる。なお、ステップ4(ST4)において選局されたFM放送局の前記対応領域は、少なくともその一部が前記自車位置周辺地図に示される領域内に含まれている。
【0062】
次いで、ステップ5(ST5)において、FM多重レシーバ15により、選局されたFM放送局からFM多重放送によって送信された当該FM放送局に対応する前記対応領域についてのVICS情報を受信する。
【0063】
次いで、ステップ6(ST6)において、VICS情報描画制御部25により、ステップ3(ST3)において表示が指示されたVICS情報がレベル3であるか否かを判定し、レベル3である場合にはステップ7(ST7)に進み、レベル3ではない場合にはステップ9(ST9)に進む。
【0064】
次いで、ステップ7(ST7)においては、VICS情報描画制御部25により、VICS情報描画部24に対する前記VICS情報表示制御を行ってステップ8(ST8)に進む。
【0065】
次いで、ステップ8(ST8)において、VICS情報描画部24により、ステップ7(ST7)における前記VICS情報表示制御にしたがって前記対応領域についてのVICS情報を表示して処理を終了する。
【0066】
一方、ステップ9(ST9)においては、VICS情報描画部24により、ステップ3(ST3)において指示されたレベル(レベル3以外のレベル)のVICS情報を表示して処理を終了する。
【0067】
以上述べたように、本実施形態によれば、VICS情報描画制御部25の制御により、前記第3の領域についてのVICS情報を、このVICS情報が前記隣接地域における前記第2の領域外の領域について限定的に表示されるVICS情報であることをユーザが認識可能な状態で表示することができるので、表示されるVICS情報に対する違和感および誤解ならびにVICS情報の受信結果に対する不信感といった前記対応領域が前記第3の領域まで拡張されることによる弊害を防止することができる。
【0068】
なお、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0069】
例えば、本発明は、RDS/TMC(Radio Data System/Traffic Message Channel)による道路交通情報の配信サービスにも有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
5 車載用ナビゲーション装置
11ディスプレイ
15FM多重レシーバ
19ハードディスクドライブ
21地図描画部
24VICS情報描画部
25VICS情報描画制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データが記憶された地図データ記憶手段と、
この地図データ記憶手段に記憶された前記地図データに基づいて、所定の領域を示す地図を表示部に表示する地図表示手段と、
FM放送局からFM多重放送によって送信された当該FM放送局に対応する対応領域についての道路交通情報を受信する道路交通情報受信手段と、
この道路交通情報受信手段によって受信された前記道路交通情報を、前記地図表示手段によって表示される前記所定の領域としての前記対応領域の少なくとも一部を含む領域を示す前記地図上に重畳表示する道路交通情報表示手段と
を備えた車載用ナビゲーション装置であって、
前記対応領域は、前記FM放送局が所属する所属地域をこの所属地域とこれに隣接する隣接地域との境界が含まれるような一群の単位区域の集合として近似してなる第1の領域よりも1個分の前記単位区域だけ全体的に前記隣接地域側に拡張された第2の領域と、前記隣接地域における前記第2の領域外の特定の領域からなる第3の領域とによって形成され、
前記道路交通情報表示手段に対して、前記第3の領域についての前記道路交通情報を、この道路交通情報が前記隣接地域における前記第2の領域外の領域について限定的に表示される道路交通情報であることをユーザが認識可能な状態で表示するための制御を行う道路交通情報表示制御手段を備えたこと
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記第3の領域は、前記所属地域から前記隣接地域の主要都市まで続く主要道路における前記第2の領域外の区間からなること
を特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記道路交通情報表示制御手段は、前記制御として、前記第3の領域についての前記道路交通情報の表示態様を前記第2の領域についての前記道路交通情報の表示態様と異ならせるための制御を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記道路交通情報表示制御手段は、前記制御として、前記隣接地域における前記第2の領域外かつ前記第3の領域外の領域についての前記道路交通情報が存在しないことを示す情報を表示するための制御を行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−276450(P2010−276450A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128863(P2009−128863)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】