説明

車載端末装置

【課題】車両の運転上の利便性を保った上で、良好な電波受信を行なう。
【解決手段】制御部11は、現在位置から目的地までの複数の経路の検索を行ない、これら検索した各経路の始点から終点までの連続した位置情報、および、電界強度データベースで示される情報を照合することで、検索した経路の全区間のうち、予め定められた基準レベル以上の電界強度レベルの情報が対応付けられる位置情報の周囲一定の区域で表される区間を各経路について計算し、この計算結果をもとに、前述のように検索した経路のうち、自車位置から目的地までの走行において、基準レベルを超える電界強度レベルにある電波の受信に適した経路を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波の受信機能を備える車載端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、例えばテレビ放送などの放送電波を受信してこれを再生するためのテレビ放送受信機能を有する端末装置を搭載しているものがある(例えば特許文献1参照)。この端末装置では、放送局から送信されたTV放送電波を受信選局し、この選局した電波に含まれる映像および音声情報をモニタとスピーカにより再生する。
【特許文献1】特開2001−94897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両の走行中において、前述したテレビ放送受信機能により受信するテレビ放送電波の感度は、車両の走行する経路の周辺の障害物、地形、天候などによって大きく左右され、常に良好な受信が行なえるとは限らない。
【0004】
電波の良好な受信が行なえない場合において、この電波の良好な受信が行なえるようにするには、車両の運転者は、電波の良好な受信が可能な場所を探すための移動を行なう必要がある。しかしながら、電波の良好な受信が可能になる場所を運転者が手がかりもなく探すことは難しく、場所を探すために多くの時間を要するばかりか、運転上の安全性も損なわれる可能性がある。
【0005】
また、車両の中の乗客が携帯電話機を用いて通話やデータ通信を行なう場合に、この携帯電話機による良好な通話やデータ通信を行ないたい場合でも、この通話やデータ通信を良好に行なえる場所を探すとなると、テレビ放送電波の良好な受信ができる場所を探す場合と同様に、多くの時間を要してしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、車両の運転上の利便性を保った上で、良好な電波受信を行なうことが可能になる車載端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係わる車載端末装置は、無線による通信を行なう無線通信手段と、無線通信手段による通信を行なう位置情報と対応付けて、前記無線通信手段により受信する電波の電界強度の情報を記憶する電界強度記憶手段を備え、移動体の現在位置から目的地までの経路を複数検索し、これら検索した各経路における、現在位置から目的地までの位置情報、および、電界強度記憶手段に記憶された情報をもとにして、検索した各経路に含まれる、無線通信手段により受信する電波の電界強度が予め定められた条件を満たす区間を計算し、この計算結果をもとに、通信に適した経路を、前述のように検索した経路から選択してこれを案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わる車載端末装置では、移動体の現在位置から目的地までの経路を複数検索して、無線通信手段により受信する電波の電界強度の情報を、受信位置の情報と対応付けて記憶し、この記憶した情報、および、検索した経路中の位置情報をもとに、検索した経路のうち、無線通信手段による通信に適した経路を選択するので、移動体の走行中における無線通信を効率良く行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1の構成例を示すブロック図である。
図1に示した車載端末装置1は、TV(テレビ)アンテナ2が受信した、例えば地上波デジタルテレビ放送の電波から、予め選択したテレビ放送局の電波を受信・選局して復調および復号を行なうTV放送受信部3、表示部4、および、音声再生部5と接続される。なお、TV放送受信部3、表示部4、および、音声再生部5は車載端末装置1に内蔵される構成であってもよい。
【0010】
表示部4は、TV放送受信部3により復号したTV映像、およびその他の画像を表示する。音声再生部5は、TV放送受信部3により復号したTV音声、および、その他の音声を出力する。
【0011】
車載端末装置1は、装置全体の動作を司る制御部11、記憶部12、各種キーや操作スイッチからなる入力部13、および車速センサ14を備える。車速センサ14は、車両の前輪の回転軸などの回転駆動部(図示せず)に設けられ、当該車両の速度を検出する。
【0012】
車載端末装置1は、カーナビゲーションを行なうためのGPS(Global Positioning System)受信部15をさらに備える。GPS受信部15は、GPS衛星(図示せず)から送られる電波をGPSアンテナ16を介して受信し、現在の自車位置を検出する。この自車位置は、緯度および経度で表される。
【0013】
車載端末装置1はモデム装置17を備える。モデム装置17は、携帯電話機6と通信可能に接続される。モデム装置17は、携帯電話機6と接続された状態でデータ通信回線を確立させる処理を行ない、非音声の通信データを送受信するための変復調処理を行なう。
【0014】
記憶部12は、制御部11が処理動作を行なうために実行する制御プログラム、および、カーナビゲーション機能を実行するための全国の地図情報のイメージデータを記憶する。
【0015】
地図情報は、記憶部12に記憶する形態に限らず、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に格納してもよい。この場合、車載端末装置1に記録媒体の読み出し装置を設け、この読み出し装置に対して前述した記録媒体をセットすればよい。
【0016】
本実施形態にしたがった車載端末装置1と接続されるTV放送受信部3は、受信した放送電波の電界強度を検出する機能を有する。この放送電波は、放送局から送信されるTV放送電波またはデータ通信用電波の2通りである。TV放送電波は、TV映像及びTV音声情報を含む。データ通信用電波は、データ放送用のデータ、および、車載端末装置1の機能更新用の制御用プログラムのデータのいずれかを含む。
【0017】
また、車載端末装置1は、TV放送受信部3により受信する放送電波の電界強度の情報、および、位置情報を対応付けて管理する機能を有する。制御部11は、車両の走行中または停車中において受信したTV放送電波・データ通信用電波の電界強度の検出処理を一定時間間隔で行なっている。
【0018】
車載端末装置1は、この検出した電界強度を例えば最小値を0として最大値を9とした10段階で表現した電界強度レベルの情報、および、電界強度の検出時においてGPS受信部15により検出した自車位置の情報を対応付けて管理するための電界強度データベース(図2参照)を作成して、これを記憶部12に記憶する。図2に示した電界強度データベースで管理する自車位置の情報は、緯度および経度で表される。
【0019】
電界強度データベース(図2参照)における位置情報と対応する電界強度レベルは、本来はその地点のみの電界強度レベルを示すが、その地点の周囲一定の区域は同じ電界強度レベルであるとみなす。
【0020】
このような処理を行なうことで、車載端末装置1を搭載した車両が通過したことのある箇所の情報、および、この箇所を走行している際に受信した放送電波の電界強度の情報を管理することができる。
【0021】
また、車両が走行する各位置に対する、電波の電界強度レベルが明らかであるならば、図2に示した電界強度データベースを外部の図示しないサーバに格納した上で、このデータを、データ通信などを介して車載端末装置1と接続した携帯電話機6またはその他の通信モジュールを介して受信した上で記憶部12に記憶させてもよい。このような手法を用いれば、車載端末装置1を搭載した車両が一度も通過したことのない箇所の情報、および、この箇所を走行している際に受信した電波の電界強度の情報も管理することができる。
【0022】
また、車載端末装置1の制御部11は、携帯電話機6と接続されている場合に、この携帯電話機6により通話を行っている際の通話・データ通信用の電波の電界強度の検出処理を一定時間間隔で行なっており、携帯電話機6により受信した音声通話用・データ通信用の電波の電界強度レベルの情報と、自車位置を示す情報を対応付けて管理する機能を有する。
【0023】
具体的には、携帯電話機6が車載端末装置1と接続されている場合で、かつ、通信部62がアンテナ63を介して音声通話用およびデータ通信用の電波の受信を行っている場合には、この電波の電界強度の情報を取得して、これを車載端末装置1に出力する。
【0024】
車載端末装置1は、このように携帯電話機6から送信された、電波の電界強度の情報をモデム装置17を介して受信した場合、この電界強度から変換した電界強度レベルの情報、および、電波の受信時においてGPS受信部15により検出した自車位置の情報とを対応付けて管理するための電界強度データベースを作成して、これを、図2に示した、TV放送電波の受信に関する電界強度データベース(図2参照)とは別のデータベースとして、記憶部12に記憶する。
【0025】
図3は、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1と通信可能に接続される携帯電話機6の内部構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、携帯電話機6は、全体の制御動作を司る制御部61を中心として構成される。制御部61は、マイクロコンピュータなどを主体として構成され、通信部62、音声切替部64、表示部65、入力部66、および、インタフェース(I/F)67と接続される。
【0026】
通信部62は、アンテナ63を介して、図示しない基地局と無線通信を行ない、この基地局からの受信信号に加えて、電波受信レベル(例えば、受信信号の電界強度を示すRSSI信号)を制御部61に出力する。音声切替部64は、マイクロホン68及びスピーカ69と接続され、通話を行なう際の信号の切替処理を行なう。
【0027】
表示部65は、携帯電話機6の本体ケース(図示せず)の前面部に設けられた液晶などからなり、電話番号の表示や着信あるいは発信などに際して必要な表示項目を表示する。入力部66は、本体ケースの前面部に設けられ、種々の入力操作を行なうためのキーが複数配設される。I/F67は、車載端末装置1との接続を行なうための装置である。
【0028】
次に、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1の処理動作について説明する。
図4は、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1の経路検索にかかる処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、車載端末装置1の制御部11は、GPS受信部15から出力された自車位置の情報を取得する。そして、制御部11は、目的地設定にかかる操作、および、自車位置から目的地までの経路検索要求にかかる操作が入力部12に対してなされた場合には、現在位置から目的地までの経路の検索を行なう。ここでは、検索対象の経路が複数存在するものとする。制御部11は、これら検索した経路の位置情報を記憶部12に記憶する(ステップS1)。
【0029】
前述した複数の経路検索の一例を説明する。例えば、検索条件として、3通りの経路の検索を行なうとの条件、および、高速道路を走行しないとの条件が入力部12に対する操作により設定された場合には、制御部11は、現在位置から目的地までの距離が最短となる経路、現在位置から目的地までの距離が2番目に短い経路、および、現在位置から目的地までの距離が3番目に短い経路の検索を行なう。
【0030】
また、検索条件として、3通りの経路の検索を行なうとの条件、および、高速道路を走行するとの条件が入力部12に対する操作により設定された場合には、制御部11は、現在位置から目的地までの所要時間が最短となる経路、現在位置から目的地までの所要時間が2番目に短い経路、および、現在位置から目的地までの所要時間が3番目に短い経路の検索を行なう。この検索条件は、入力部12に対する所定の操作によりいつでも変更することができる。
【0031】
本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1では、大きく分けて2種類の経路検索モードがある。ユーザは、入力部12による操作により、これらのモードのうちいずれかをいつでも設定することができる。
【0032】
前述した2種類の経路検索モードのうち第1の経路検索モードは、TV放送受信部3により受信した放送電波、または、携帯電話機6により受信した音声通話用もしくはデータ通信用の電波の電界強度の大小を考慮した経路検索を行なうモードであり、第2の経路検索モードは、前述した電界強度の大小を考慮せずに経路検索を行なうモードである。
【0033】
制御部11は、経路検索モードが第2の経路検索モードに設定されている場合(ステップS2のNO)には、ステップS1の処理で記憶部12に記憶した各経路の情報を読み出して、この経路を示す情報(例えば経路に沿った矢印など)を、例えば、現在位置およびその周囲と対応する地図情報と重ね合わせて表示部4に表示させる(ステップS2→S4)。
【0034】
一方、制御部11は、経路検索モードが第1の経路検索モードに設定されている場合(ステップS2のYES)には、経路検索にあたって考慮する受信電波の種別が、TV放送受信部3により受信する放送電波、および、携帯電話機6により受信する電波のいずれであるかを認識する(ステップS3)。
【0035】
具体的には、制御部11は、TV放送受信部3および携帯電話機6のうち、TV放送受信部3のみの電源が投入されている場合には、経路検索にあたって考慮する受信電波の種別が、TV放送受信部3により受信する放送電波であると認識し、車載端末装置1と接続された携帯電話機6のみの電源が投入されている場合には、経路検索にあたって考慮する受信電波の種別が、携帯電話機6により受信する電波であると認識する。
【0036】
また、TV放送受信部3および携帯電話機6の電源がともに投入されている場合には、制御部11は、予め定めた優先順位にしたがって、考慮する電波の種別を認識する。ここでは、TV放送受信部3により受信する放送電波の種別が、経路検索にあたって考慮する電波として認識されたものとして以後の処理を説明する。
【0037】
ステップS3の処理後、制御部11は、ステップS1の処理により検索した各経路の始点から終点までの連続した位置情報、および、記憶部12に記憶された電界強度データベース(図2参照)で示される情報を照合し、ステップS1の処理により検索した経路の始点から終点までの各位置情報で示される位置の周囲一定の区域のうち一部または全部が、電界強度データベース中の位置情報で示される位置の周囲一定の区域と一致するか否かを経路ごとに判別する(ステップS5)。
【0038】
ステップS5の処理の結果「NO」と判別された場合、つまり、ステップS1の処理により検索した経路のうち、当該経路中の、自車位置から終点までの各位置情報で示される位置の周囲一定の区域の一部または全部が、電界強度データベース中の位置情報で示される位置の周囲一定の区域に含まれる経路である電界強度レベル対応経路が1つ以下であると判別された場合には、制御部11は、前述したステップS4と同様の処理を行なう。
【0039】
一方、ステップS5の処理の結果「YES」と判別された場合、つまり、ステップS1の処理により検索した経路のうち、前述した電界強度レベル対応経路が2つ以上あると判別された場合には、制御部11は、電界強度データベース(図2参照)中の情報のうち、電界強度レベル対応経路中の各位置情報で示される区域と一致する区域と対応する各位置情報、および、当該位置情報と対応付けられる電界強度レベルの情報を記憶部12から読み出す(ステップS6)。
【0040】
そして、制御部11は、ステップS6の処理で読み出した情報をもとに、電界強度レベル対応経路の全区間のうち、予め定められた基準レベル(例えば10段階の5)以上の電界強度レベルの情報が対応付けられる位置情報が示す位置の周囲一定の区域で表される区間を計算する。
【0041】
制御部11は、前述した区間の計算を、電界強度レベル対応経路の各経路について行ない、これらの計算結果をもとに、つまり、自車位置から目的地までの区間のうち基準レベルを超える電界強度レベルにある電波の受信に最適な経路を選択する(ステップS7)。電波の受信に最適な経路とは、例えば、予め定められた距離にわたって電波の正常な受信ができない区間の数が最も少ない経路である。
【0042】
具体的には、制御部11は、経路の始点から終点までの長さの大小、経路中における電波の正常な受信が行なえる区間の長さの合計の大小、および、車両が予め定められた速度で走行すると仮定した場合の走行所要時間の大小などをもとに、電波の受信に最適な区間をステップS1の処理で検索した経路の各経路から選択する。
【0043】
次に、制御部11は、TV放送受信部3が、放送局から送信されたデータ放送用のデータのダウンロード、または、双方向通信によるデータ送信の発呼処理を行なわない場合(ステップS8のNO)には、制御部11は、ステップS7の処理で選択した経路を示す情報を、経路の周囲の地図情報とあわせて表示部4に表示させる(ステップS8→S4)。
【0044】
一方、データ送信の発呼処理を行なう場合(ステップS8のYES)には、制御部11は、発呼処理を行なった通信における通信対象のデータの通信開始から通信終了までの所要時間を計算する(ステップS9)。
【0045】
具体的には、ステップS9の処理では、制御部11は、発呼処理にともない、受信または送信対象データの総サイズを認識する。そして、制御部11は、TV放送受信部3によるデータ通信速度を認識して、通信対象データの総サイズおよびデータ通信速度をもとに、通信対象データの通信所要時間を計算する。
【0046】
そして、制御部11は、ステップS7の処理で選択した経路における、現在位置から目的地までの全区間のうち、ステップS9の処理で計算した通信所要時間だけ連続した時間にわたって正常なデータ通信が可能な区間が含まれるか否かを判別する(ステップS10)。
【0047】
このステップS10の処理を具体的に説明する。制御部11は、予め定めた車両速度、および、ステップS9の処理で計算した通信所要時間をもとに、車両が前述した車両速度で走行する際に、前述のように発呼処理を行なった通信の通信対象データを途中遮断やリトライ処理を行なうことなく通信するための必要距離を計算する。前述した車両速度は、例えば法規で定められた最高速度である。
【0048】
そして、制御部11は、ステップS7の処理で選択した経路中の各位置情報と、電界強度データベース(図2参照)で示される情報とを照合することで、ステップS7の処理で選択した経路において、前述した基準レベル以上の電界強度レベルによる電波の受信が可能な区間がある場合、この区間の長さを計算する。
【0049】
そして制御部11は、この計算した区間の長さが前述した必要距離以上であるかを判別する処理を区間ごとに行なうことで、車両が前述した車両速度で走行する際に、前述した通信所要時間だけ連続した時間にわたって正常なデータ通信が可能な区間が、ステップS7の処理で選択した経路中に少なくとも1区間以上含まれるか否かを判別する。
【0050】
ステップS10の処理で「YES」と判別された場合には、制御部11は、ステップS7の処理により選択した経路を示す情報を、自車位置及びその周囲と対応する地図情報と重ね合わせて表示部4に表示させる(ステップS10→S4)。
【0051】
前述したステップS3〜S10の処理を経て選択した経路の表示例を図5および図6に示す。表示部4の画面上では、自車の現在位置を示す記号21、および、現在位置から目的地までの経路が地図とともに表示される。
【0052】
図5は、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1により計算した、自車位置から目的地までの経路の表示例(その1)を示す図である。
図5に示した例では、受信電波の電界強度にかかる情報を画面表示しており、現在位置から目的地までの経路を、電波の良好な受信が可能なエリア22、および、電波の良好な受信ができないエリア23の組み合せで表現している。
【0053】
図6は、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置1により計算した、自車位置から目的地までの経路の表示例(その2)を示す図である。
図6に示した例では、受信電波の電界強度にかかる情報を画面表示せず、現在位置から目的地までの経路を矢印24として表現している。
【0054】
図5および図6に示した例では、目的地を示す情報が画面表示されていないが、画面表示させる地図の縮尺を入力部12に対する所定の操作により変更することで、目的地を示す情報を画面表示させることが可能である。
【0055】
一方、ステップS10の処理の結果、「NO」と判別された場合には、制御部11は、ステップS7の処理で選択した経路に対して迂回した経路を検索することで、車両が前述した車両速度で走行した状態で、かつ、前述した通信所要時間だけ連続した時間にわたって正常なデータ通信が可能な区間が含まれる経路を検索する(ステップS11)。この検索では、自車位置から目的地までの、迂回により延長される距離が最小になるような検索を行なう。
【0056】
ステップS11の処理後は、制御部11は、当該ステップS11の処理で検索した経路を、現在位置と目的地が含まれる範囲と対応する地図情報と重ね合わせて表示部4に表示させる(ステップS11→S4)。
【0057】
以上説明したように、本発明の実施形態にしたがった車載端末装置では、この装置を搭載した車両が走行する位置に対応する、受信電波の電界強度レベルを電界強度データベースとして記憶しておき、車両の現在位置から目的地までの経路の候補を複数種類検索した際に、各経路の全区間と対応する位置情報と、電界強度データベースを照合することで、各経路のうち正常な電波受信に適した経路を選択して、この経路を地図とともにモニタ表示させるので、運転者は、目的地を設定して、経路検索を開始するための操作を行なうだけで、電波受信が良好に行なえる経路を容易に把握することができる。よって、車両の運転上の利便性を保った上で、良好な電波受信を行なうことができるようになる。
【0058】
また、ステップS3の処理により、携帯電話機6により受信する放送電波の種別が、経路検索にあたって考慮する電波として認識された際の処理は、前述したステップS4以降の処理と同様である。この場合、処理の説明で示したTV放送受信部3による受信と関わる処理を、携帯電話機6により受信した電波に関わる処理として読み替えればよい。
【0059】
また、以上説明した実施形態では、現在位置から目的地までの経路を示す情報を、現在位置およびその周辺の地図とともに画面表示することで、目的地までの経路を案内する構成としたが、これに限らず、例えばモニタ表示の代わりに、音声による道順ガイダンスを行なうことで、目的地までの経路を案内するようにしてもよい。
【0060】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態にしたがった車載端末装置の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態にしたがった車載端末装置の記憶部に記憶される電界強度データベースの内容の一例を示す図。
【図3】本発明の実施形態にしたがった車載端末装置と通信可能に接続される携帯電話機の内部構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態にしたがった車載端末装置の経路検索にかかる処理動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態にしたがった車載端末装置により計算した、自車位置から目的地までの経路の表示例(その1)を示す図。
【図6】本発明の実施形態にしたがった車載端末装置により計算した、自車位置から目的地までの経路の表示例(その2)を示す図。
【符号の説明】
【0062】
1…車載端末装置、2…TVアンテナ、3…TV放送受信部、4…表示部、5…音声再生部、6…携帯電話機、11…制御部、12…記憶部、13…入力部、14…車速センサ、15…GPS(Global Positioning System)受信部、16…GPSアンテナ、17…モデム装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される、車載端末装置であって、
無線による通信を行なう無線通信手段と、
前記移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段により検出した現在位置から目的地までの経路を複数検索する経路検索手段と、
前記無線通信手段による通信を行なう位置情報と対応付けて、前記無線通信手段により受信する電波の電界強度の情報を記憶する電界強度記憶手段と、
前記検索した各経路における、前記現在位置から目的地までの位置情報、および、前記電界強度記憶手段に記憶された情報をもとにして、前記検索した各経路に含まれる、前記無線通信手段により受信する電波の電界強度が予め定められた条件を満たす区間を計算する区間計算手段と、
この区間計算手段による計算結果をもとに、前記無線通信手段による通信に適した経路を前記検索した経路から選択する経路選択手段と、
この経路選択手段により選択した経路を案内する案内手段と
を備えたことを特徴とする車載端末装置。
【請求項2】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段をさらに備え、
前記案内手段は、
前記地図情報記憶手段に記憶された、前記現在位置およびその周囲と対応する地図情報を、前記経路選択手段により選択した経路を示す情報とあわせて表示させる制御を行なうことで、前記選択した経路の案内を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の車載端末装置。
【請求項3】
前記無線通信手段は、放送電波を受信・選局する受信選局手段であり、
前記電界強度記憶手段は、前記放送電波の受信を行なう位置情報と対応付けて、前記受信選局手段により受信する電波の電界強度の情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載端末装置。
【請求項4】
前記無線通信手段は、音声通話用の電波を受信する携帯型電話機であり、
前記電界強度記憶手段は、前記音声通話用の電波の受信を行なう位置情報と対応付けて、前記携帯型電話機により受信する電波の電界強度の情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載端末装置。
【請求項5】
前記無線通信手段は、データ通信を行なうデータ通信手段を有し、
前記電界強度記憶手段は、前記無線通信手段によるデータ通信を行なう位置情報と対応付けて、前記無線通信手段により通信する電波の電界強度の情報を記憶し、
前記データ通信手段による通信対象のデータの通信開始から通信完了までに要する時間を計算する時間計算手段と、
前記経路選択手段により選択した経路における、前記現在位置から目的地までの位置情報、および、前記電界強度記憶手段に記憶された情報をもとにして、前記移動体が前記選択した経路を予め定められた速度で移動する際に、前記予め定められた条件にある電界強度の電波を前記時間計算手段により計算した時間以上の時間にわたって連続通信できる区間が前記選択した経路中にある否かを判別する判別手段と、
この判別手段により、前記連続通信できる区間が前記選択した経路中にないと判別された場合に、前記経路選択手段により選択された経路の迂回経路を検索することで、前記連続通信ができる区間が含まれる経路を検索する迂回経路検索手段と
をさらに備え、
前記案内手段は、前記迂回経路検索手段により検索した経路を案内する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−108921(P2006−108921A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290537(P2004−290537)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】