説明

車載装置および情報通知方法

【課題】運転者の安全運転を確保しつつ、運転者に有益な情報のみを通知することを課題とする。
【解決手段】車載装置(20)は、過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴DB(21)を有する。このような構成を有する車載装置(20)は、センターから配信された情報を受信し、履歴DB(21)に記憶される履歴に基づいて、受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する。そして、車載装置(20)は、センターから情報が受信された場合に、車両の走行状態を検知し、検知された走行状態に適した形式で、優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センターから受信した情報を運転者に通知する車載装置および情報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユビキタスネットワーク社会の到来により、生活環境のあらゆる場所に情報端末が遍在し、ユーザはそれを意識することなく、種々のサービスを利用できる環境下にある。特に、車載端末では、自動車向け情報サービスであるテレマティクスサービスが急速に普及しつつある。
【0003】
テレマティクスサービスの例としては、天気予報、渋滞情報、電子メール閲覧などがあり、運転者への有益な情報がセンターから車載装置に向けて、リアルタイムに大量配信されている。
【0004】
一方で、運転中の運転者は、視覚による情報収集を最大限に行っており、精神的・肉体的にもストレスを感じ易い環境下にある。このように、車の運転そのものが情報過多な状況である中、センターから配信される大容量の情報を運転者にさらに通知すると、運転者は、極度の情報過多に陥ってしまい、最悪の場合、運転に支障をきたして重大事故に繋がる恐れすらある。
【0005】
既存の車載機では、センターから配信される種々の情報を限られた狭い車載画面を通じて運転者に通知しているが、例えば、同乗者を識別し、識別された同乗者に応じて、センターから配信される情報の通知制限(出力制限)を行う技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
具体的に例を挙げると、同乗者が存在するときは、センターから配信された電子メールを車載機のディスプレイに通知しない、あるいは、自動読み上げを行わないように制御したりすることにより、運転者のプライバシーを保護するような、同乗者を考慮した、好適な情報提供を行っている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−213175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来の技術は、運転者のプライバシーを保護することができるものの、センターから大量配信される情報をそのまま運転者に通知しているため、運転者の情報過多を解消することができず、有益であるはずのセンターから大量配信される情報によって、運転者の安全運転が阻害されるという課題があった。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、運転者の安全運転を確保しつつ、運転者に有益な情報のみを通知することが可能である車載装置および情報通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、外部から配信された情報を受信する情報受信手段と、過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記履歴記憶手段に記憶される履歴に基づいて、前記情報受信手段により受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する優先度付与手段と、前記情報受信手段により情報が受信された場合に、車両の走行状態を検知する走行状態検知手段と、前記走行状態検知手段により検知された走行状態に適した形式で、前記優先度付与手段により優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する情報通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、外部から配信された情報を受信する情報受信工程と、過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴記憶部に記憶される履歴に基づいて、前記情報受信工程により受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する優先度付与工程と、前記情報受信工程により情報が受信された場合に、車両の走行状態を検知する走行状態検知工程と、前記走行状態検知工程により検知された走行状態に適した形式で、前記優先度付与工程により優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する情報通知工程と、を含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転者の安全運転を確保しつつ、運転者に有益な情報のみを通知することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車載装置および情報通知方法の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例に係る車載装置の概要、車載装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0014】
[車載装置の概要]
まず、図1を用いて、実施例1に係る車載装置の概要を説明する。図1は、実施例1に係る車載装置の概要を説明するための図である。
【0015】
本願が開示する車載装置は、当該車載装置を搭載する車両の各種センサ(例えば、車速センサ、ウインカーセンサなど)やカーナビゲーション装置、オーディオ装置などに接続されるとともに、当該車載装置に対して様々な情報を配信する配信サーバを有するセンターと接続されている。
【0016】
このセンターの配信サーバは、氏名、住所、電話番号、年齢、性別、嗜好情報などを用いてユーザ登録されている車載装置に対して、登録されている住所近辺の天気、性別や年齢にあったスポット情報、嗜好情報に関する様々なニュース、カーナビゲーション装置により特定される現在位置に関する情報などを定期的に配信している。なお、情報は配信サーバから一方的に配信されてもよく、又は車載装置から配信サーバへの要求信号により配信してもよい。更には、車載装置へユーザ登録すると、自動的にセンターの配信サーバに登録され、配信サーバは、ユーザ登録情報に応じて配信する情報を選択するものであってもよい。もっとも、ユーザ登録に関する情報は、上記した情報に限られるものではなく、センターが配信する情報も上記した情報に限られるものではない。
【0017】
このような車載装置は、過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴記憶手段である履歴DBを有する。具体的には、履歴DBは、『過去にセンターから配信された情報を示す「項目」、運転者が閲覧した回数を示す「閲覧回数」』として「天気情報、5」、「現在位置に関する情報、20」、「同乗者がいる場合、2」、「趣味(音楽)、30」、「ニュース、13」、「走行ルート情報、25」、「メール、11」などを記憶する。なお、ここで記憶される「同乗者がいる場合」とは、同乗者がいる場合には、センターから配信された情報を閲覧した回数を示している。
【0018】
このような構成を有する車載装置は、外部(例えば、センター)から配信された情報を受信し、履歴DBに記憶される履歴に基づいて、受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する(図1の(1)参照)。例えば、車載装置は、センターから「メール、天気、渋滞情報、最新ヒット音楽、スポーツニュース」などを受信した場合、履歴DBに記憶される回数が多い順(趣味、走行ルート情報、現在位置に関する情報、ニュース、メール、天気情報、同乗者がいる場合など)に基づいて、受信した情報に優先度を付与する。この例では、車載装置は、「メール(優先度5)、最新ヒット音楽(優先度4)、渋滞情報(優先度3)、スポーツニュース(優先度2)、天気(優先度1)」と優先度を付与する。
【0019】
そして、車載装置は、車両の走行状態を検知し(図1の(2)参照)、検知された走行状態に適した形式で、優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する(図1の(3))参照。
【0020】
例えば、車載装置は、車速センサから得られる車速情報が0km/hである場合には、当該車両の走行状態を停車中と検知し、優先度が高い「メール(優先度5)」から順に、スピーカを介した音声で「メールを受信した旨(または、メール内容の読み上げ)」を運転者に通知するとともに、カーナビゲーション装置のディスプレイなどに「メールを受信した旨(または、メール内容)」を表示して、運転者に通知する。
【0021】
また、例えば、車載装置は、車速センサから得られる車速情報が0km/hより大きい値である場合には、当該車両の走行状態を走行中と検知し、優先度が高い「メール(優先度5)」から順に、スピーカを介した音声のみで「メールを受信した旨(または、メール内容の読み上げ)」を運転者に通知する。
【0022】
このように、実施例1に係る車載装置は、過去にセンターから配信された情報などに基づいて受信された情報に対して優先度を付与し、走行状態に適した形式で、優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する。その結果、運転者の安全運転を確保しつつ、運転者に有益な情報のみを通知することが可能である。
【0023】
[車載装置の構成]
次に、図2を用いて、実施例1に係る車載装置を含む車載システムの構成を説明する。
【0024】
図2に示すように、この車載システム1は、車載装置20と、座席センサ11と、カーナビゲーション装置12と、車速センサ13と、ウインカーセンサ14と、シフトレバーセンサ15と、パーキングブレーキセンサ16と、スピーカ17と、ディスプレイ18とを有し、図示しない各種情報を配信するセンターと接続される。もっとも、車載装置20に接続される各種センサは、図2に図示したセンサに限定されるものでなく、例えば、ステアリングセンサなどを一般的な車両に設置される他のセンサが接続されていてもよい。
【0025】
かかる座席センサ11は、車内の各座席に設置され、人が座ったか否かを検出する装置である。具体的には、座席センサ11は、運転座席、助手座席、後部座席の各座席に設置され、人が座ったか否かを重さによって検出する。例えば、座席センサ11は、ある一定の重さ(例えば、30kg以上)をある一定時間(例えば、2分間)連続して検知した場合には、人が座ったと検知し、車載装置20に通知する。
【0026】
カーナビゲーション装置12は、ディスプレイ、タッチパネル、GPS(Global Positioning System)やVICS(Vehicle Information and Communication System)などを有し、高精度地図情報を表示出力する。具体的には、カーナビゲーション装置12は、利用者により選択された目的地までの道のり、現在位置、車両が走行している道路情報(例えば、右折レーンや上り坂など)などを、GPS、VICS、高精度地図情報を用いて取得し、ディスプレイやタッチパネルに表示出力するとともに、車載装置20に通知する。
【0027】
車速センサ13は、車の速度を検知する装置である。具体的には、車速センサ13は、車両の走行を制御する走行制御装置などに接続され、車両の走行スピードや車両の移動距離を検知し、検知した各種情報を車載装置20に通知する。
【0028】
ウインカーセンサ14は、運転者のウインカー操作を検知する装置である。具体的には、ウインカーセンサ14は、ステアリングのウインカーに接続されており、運転者が右ウインカーまたは左ウインカーを操作したことを検知して、車載装置20に通知する。
【0029】
シフトレバーセンサ15は、運転者のシフトレバー操作を検知する装置であり、具体的には、車内のシフトレバーに接続され、現在のシフトレバー(例えば、ドライブやバックなど)を検知して、車載装置20に通知する。パーキングブレーキセンサ16は、運転者のパーキングブレーキ操作を検知する装置であり、具体的には、パーキングブレーキがONであるかOFFであるかを検知して、車載装置20に通知する。
【0030】
スピーカ17は、車内に音声信号を出力する装置である。具体的には、スピーカ17は、車の扉や後部座席などに設置され、後述する車載装置20から出力された音声信号を車内に出力するとともに、カーナビゲーション装置12から出力されるナビ情報などをも音声信号として車内に出力する。
【0031】
ディスプレイ18は、タッチパネルなどを有し、各種画像を表示出力する装置であり、具体的には、後述する車載装置20から出力された画像信号を車内に出力する。また、このディスプレイ18は、カーナビゲーション装置12のディスプレイであってもよく、カーナビゲーション装置12とは別のディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイなど)であってもよい。
【0032】
車載装置20は、センターから配信された各種情報を運転者に通知する装置であり、特に、履歴DB21と、情報受信部22と、同乗者検出部23と、走行状態検出部24と、優先度付与部25と、通知部26とを有する。
【0033】
履歴DB21は、過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する。具体的には、履歴DBは、図3に示すように、『過去にセンターから配信された情報を示す「項目」、運転者が閲覧した回数を示す「閲覧回数」』として「天気情報、5」、「現在位置に関する情報、20」、「同乗者がいる場合、2」、「趣味(音楽)、30」、「ニュース、13」、「走行ルート情報、25」、「メール、50」などを記憶する。なお、ここで記憶される「同乗者がいる場合」とは、同乗者がいるときにセンターから配信された情報を閲覧した回数を示している。また、図3は、履歴DBに記憶される情報の例を示す図である。
【0034】
情報受信部22は、センターから配信された情報を受信する。具体的には、情報受信部22は、センターから定期的に配信される情報として、例えば、図4に示すように、「メール、天気情報、スポーツニュース、最新ヒットチャート、渋滞情報」などを受信し、受信した配信情報を後述する優先度付与部25に通知する。なお、図4は、センターから受信した情報の例を示す図である。
【0035】
同乗者検出部23は、同乗者かいるか否かを検出する。具体的には、同乗者検出部23は、座席センサ11に接続され、座席センサ11により検出された同乗者の有無に応じて、同乗者がいるまたはいないことを示す同乗者情報を後述する優先度付与部25に通知する。
【0036】
走行状態検出部24は、情報受信部22により情報が受信された場合に、車両の走行状態を検知する。具体的には、走行状態検出部24は、情報受信部22により情報が受信された場合に、車速センサ13から得られた車両の速度情報、ウインカーセンサ14から得られたウインカー情報、シフトレバーセンサ15から得られたシフトレバー情報などから、車両が停車状態であるや右折中である、バック中である、停車中であるなどを検出して、後述する通知部26に通知する。
【0037】
例えば、走行状態検出部24は、車速センサ13から得られた車両の速度情報が0km/hより大きい場合には車両は走行中であり、速度情報が0km/hである場合には車両が停車中であると検出する。また、走行状態検出部24は、ウインカーセンサ14から右または左ウインカー操作信号が得られた場合には車両が右折または左折中であり、ウインカーセンサ14からいずれのウインカー操作信号も得られない場合には車両は直進中であると検出する。また、走行状態検出部24は、シフトレバーセンサ15からドライブなどの走行レバー信号が得られた場合には車両は走行中であり、シフトレバーセンサ15からパーキングやニュートラル信号が得られた場合には車両は停車中であり、シフトレバーセンサ15からバックレバー信号が得られた場合には車両はバック中であると検出する。
【0038】
さらに、走行状態検出部24は、パーキングブレーキセンサ16から得られたパーキングブレーキ情報がONであるかOFFであるかを検知し、検知したパーキングブレーキ情報を後述する通知部26に通知する。
【0039】
優先度付与部25は、履歴DB21に記憶される履歴に基づいて、情報受信部22により受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する。具体的には、優先度付与部25は、情報受信部22により受信された情報が「メール、天気情報、スポーツニュース、最新ヒットチャート、渋滞情報」であり、履歴DB21に記憶される情報が「天気情報、5」、「現在位置に関する情報、20」、「同乗者がいる場合、2」、「趣味(音楽)、30」、「ニュース、13」、「走行ルート情報、25」、「メール、50」であったとする。この場合、優先度付与部25は、履歴DB21に「同乗者がいる場合、2」と記憶されているため、受信された情報のうちプライバシーに関する情報については、「優先度が2」となる、つまり、同乗者検出部23により同乗者がいると検知された場合と、同乗者がいないと検知された場合とで付与する優先度の順番が変わる。
【0040】
例えば、優先度付与部25は、同乗者検出部23により同乗者がいると検知された場合、プライバシーに関する情報についても通常通り優先度が付与され、図5に示すように、「メール(優先度5)、最新ヒットチャート(優先度4)、渋滞情報(優先度3)、スポーツニュース(優先度2)、天気情報(優先度1)」と優先度を付与して通知部26に通知する。なお、図5は、同乗者がいる場合に優先度が付与された例を示す図である。
【0041】
また、優先度付与部25は、同乗者検出部23により同乗者がいないと検知された場合、プライバシーに関する情報については優先度が2として付与されることとなるため、受信情報「メール、天気情報、スポーツニュース、最新ヒットチャート、渋滞情報」のうち、「メール」については優先度が2として付与される。例えば、優先度付与部25は、図6に示すように、「最新ヒットチャート(優先度5)、渋滞情報(優先度4)、スポーツニュース(優先度3)、メール(優先度2)、天気情報(優先度1)」と優先度を付与して通知部26に通知する。なお、図6は、同乗者がいない場合に優先度が付与された例を示す図である。
【0042】
通知部26は、走行状態検出部24により検知された走行状態に適した形式で、優先度付与部25により優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する。具体的には、通知部26は、走行状態検出部24により車両の走行状態が停車中であると検知された場合には、優先度付与部25により付与された優先度が高い「メール(優先度5)」から順に、スピーカ17を介した音声で「メールを受信した旨(または、メール内容の読み上げ)」を運転者に通知するとともに、ディスプレイ18などに「メールを受信した旨(または、メール内容)」を表示して、運転者に通知する。
【0043】
また、通知部26は、走行状態検出部24により車両の走行状態が停車中であると検知された場合には、優先度付与部25により付与された優先度が高い「メール(優先度5)」から順に、スピーカ17を介した音声のみで「メールを受信した旨(または、メール内容の読み上げ)」を運転者に通知する。
【0044】
また、通知部26は、走行状態検出部24により検知された車両の走行状態が停車中であり、かつ、パーキングブレーキがOFFであると検知された場合には、優先度が高い情報から順にテキストデータでディスプレイ18に表示し、走行状態検出部24により検知された車両の走行状態が停車中であり、かつ、パーキングブレーキがONであると検知された場合には、優先度が高い情報から順にテキストデータと画像データでディスプレイ18に表示して、運転者に通知することもできる。
【0045】
[車載装置による処理]
次に、図7と図8とを用いて、車載装置による処理を説明する。ここでは、図7を用いて、実施例1に係る車載装置の全体的な処理の流れを説明し、図8を用いて、実施例1に係る車載装置における情報通知処理の流れを説明する。
【0046】
(全体的な処理の流れ)
まず、図7を用いて、実施例1に係る車載装置の全体的な処理の流れを説明する。図7は、実施例1に係る車載装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図7に示すように、車載装置20は、センターから情報をダウンロード(DL)すると(ステップS101肯定)、履歴DB21を参照してダウンロードした情報の閲覧回数を確認し(ステップS102)、受信した情報に優先順位を付与する(ステップS103)。
【0048】
そして、車載装置20は、受信した情報を通知しないなどの設定が利用者により設定されていない限り、受信した情報を通知すると判定して(ステップS104肯定)、情報通知処理を実行する(ステップS105)。
【0049】
(情報通知処理の流れ)
次に、図8を用いて、図7に示した情報通知処理の流れを説明する。図8は、実施例1に係る車載装置における情報通知処理の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、車載装置20は、情報通知処理が開始されると(ステップS201肯定)、ウインカーセンサ14からウインカー操作信号を取得する(ステップS202)。
【0050】
そして、車載装置20は、ウインカーが点灯中でないと判定すると(ステップS203否定)、シフトレバーセンサ15から運転者のシフトレバー操作を検知する(ステップS204)。
【0051】
続いて、車載装置20は、シフトレバーセンサ15から受信した信号がリバース信号でないと判定した場合、つまり、車両がバック中でないと判定した場合(ステップS205否定)、カーナビゲーション装置12からナビデータを取得する(ステップS206)。
【0052】
そして、車載装置20は、取得したナビデータにより、運転者の運転に支障をきたさない状態であると判定した場合に(ステップS207肯定)、車速センサ13から走行スピード(SPD)やパーキングブレーキセンサ16からパーキングブレーキ信号(PKB)を取得する(ステップS208)。
【0053】
具体的に例を挙げると、車載装置20は、取得したナビデータが「交差点、合流点、踏切手前、ETC(Electronic Toll Collection System)カード未挿入時の料金ゲート手前、事故多発地点、車線減少時」など、運転に特に集中する必要がある状態以外の状態であると判定した場合に、SPDやPKBを取得する。
【0054】
その後、車載装置20は、取得したSPDが0km/hより大きく、PKBがOFFである場合など、車両が走行中であると判定し(ステップS209肯定)、優先度が高い情報から順にスピーカ17を介した音声で運転者に通知する(ステップS210)。
【0055】
一方、車載装置20は、取得したSPDが0km/hであり、PKBがONである場合など、車両が走行中でない(停車中である)と判定し(ステップS209否定)、優先度が高い情報から順にスピーカ17を介した音声とディスプレイ18を介した画像データ(例えば、テキストデータ)で運転者に通知する(ステップS211)。
【0056】
また、車載装置20は、ステップS203においてウインカーが点灯中であると判定した場合(ステップS203肯定)、ステップS205において車両がバック中であると判定した場合(ステップS205肯定)、ステップS207において運転者の運転に支障をきたす状態であると判定した場合に(ステップS207否定)、ステップS202に戻って以降の処理を実行する。
【0057】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、車載装置20は、過去にセンターから受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴DB21を有し、センターから配信された情報を受信し、記憶される履歴に基づいて、受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する。そして、車載装置20は、車両の走行状態を検知し、検知された走行状態に適した形式で、優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する。その結果、運転者の安全運転を確保しつつ、運転者に有益な情報のみを通知することが可能である。また、運転者や同乗者は、不必要な情報を選別する手間を省くことができる。
【0058】
また、実施例1によれば、車載装置20は、検知された走行状態に基づいて運転に支障をきたさないと判断した場合に、優先度が高い情報から順に運転者に通知することができる。その結果、車載装置20は運転者の運転を妨げることなく、運転者は安全運転を遂行することができる。
【0059】
また、実施例1によれば、車載装置20は、検知された走行状態が停車中である場合には、優先度が高い情報から順にテキストデータおよび音声データで運転者に通知し、検知された走行状態が走行中である場合には、優先度が高い情報から順に音声データで運転者に通知することができる。その結果、車載装置20は、運転者の運転を妨げることなく運転者に有益な情報のみを通知することが可能であり、運転者は、運転中に確認することのできる形式で情報を取得することができるので、画面注視などを避けることができ、安全運転を遂行しつつ、情報も確認することができる。また、走行/停車時で通知方法を自動的に変えることができるので、運転者や同乗者は、通知手法を切替える手間を省くことができる。
【0060】
また、実施例1によれば、車載装置20は、検知された走行状態が停車中であり、かつ、パーキングブレーキがOFFである場合には、優先度が高い情報から順にテキストデータで運転者に通知し、検知された走行状態が停車中であり、かつ、パーキングブレーキがONである場合には、優先度が高い情報から順にテキストデータと画像データで運転者に通知することができる。その結果、車載装置20は、より正確に車両の停車時を判定して、情報を通知することができる。
【実施例2】
【0061】
ところで、実施例1では、センターから受信した情報の優先順位を付与して順に通知する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、センターから緊急情報を受信した場合には、優先順位を付与することなく、即時通知することもできる。
【0062】
そこで、実施例2では、図9を用いて、センターから緊急情報を受信した場合には、即時通知する例について説明する。図9は、実施例2に係る車載装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
図9に示すように、車載装置20は、センターから情報をダウンロード(DL)すると(ステップS301肯定)、受信した情報に緊急情報が含まれるか否かを判定する(ステップS302)。ここで、緊急情報か否かの判定としては、例えば、「緊急情報」、「地震情報」、「台風情報」などの言葉が含まれているか否かを解析して判定することもでき、予め緊急情報として扱う言葉が含まれているか否かを解析して判定することもできる。
【0064】
そして、車載装置20は、受信した情報に緊急情報が含まれる場合(ステップS302肯定)、緊急情報のみを音声または画像データで運転者に通知し(ステップS303)、その他の情報については、実施例1と同様に、履歴DB21を参照して優先順位を付与して情報通知処理を実行する(ステップS304〜ステップS308)。
【0065】
なお、車載装置20が緊急情報を通知する場合に、車両が走行中であれば、音声のみで通知し、車両が停車中であれば、音声と画像データとの両方で通知するようにしてもよい。
【0066】
一方、車載装置20は、受信した情報に緊急情報が含まれない場合(ステップS302否定)、実施例1と同様に、履歴DB21を参照して優先順位を付与して情報通知処理を実行する(ステップS306〜ステップS308)。
【0067】
このように、実施例2によれば、車載装置20は、受信された情報が緊急を有する緊急情報であるか否かを判定し、緊急情報であると判定された情報については、運転者に即時通知することができる。その結果、運転者の安全運転を確保しつつ、緊急情報を遅滞無く運転者に通知することができる。
【実施例3】
【0068】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)走行ルート情報、(2)通知方法、(3)システム構成等、(4)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0069】
(1)走行ルート情報
例えば、実施例1では、受信した情報に優先度を付与した後、優先度を付与した情報について、順に通知する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、優先度が付与された情報が走行ルートに関する情報の場合には、走行状態に基づいて、運転に支障をきたさないと判断してから通知するようにすることもできる。
【0070】
具体的には、走行中の車両に搭載される車載装置20は、センターから情報として「天気情報、音楽、渋滞情報」の3種類の情報を受信し、優先度を付与して、「音楽、渋滞情報、天気情報」の順に通知すると決定したとする。この場合、車載装置20は、まず、「音楽」について、車両が走行中であることより、音声で通知する。次に、車載装置は、「渋滞情報」について通知することとなるが、通知すべき情報が走行ルートに関する情報であることから、カーナビゲーション装置12からナビデータを取得し、「交差点、合流点、踏切手前、ETC(Electronic Toll Collection System)カード未挿入時の料金ゲート手前、事故多発地点、車線減少時」など運転に特に集中する必要がある状態の場合には、待機状態となり、運転に特に集中すべき状態以外の状態となった場合に、「渋滞情報」を音声で通知する。その後、車載装置20は、「天気情報」については、「音楽」と同様に通知する。
【0071】
このようにすることで、運転者が最も注意を払うこととなる走行ルート(例えば、渋滞情報、工事情報、事故情報など)を、運転に支障がないと判断したタイミングで通知することができるので、運転者の運転を妨げることなく、運転者に有益な情報を通知することが可能である。
【0072】
(2)通知方法
また、本願が開示する車載装置20は、走行状態が停車中である場合には、優先度が高い情報から順に当該情報の全てを運転者に通知し、走行状態が走行中である場合には、優先度が高い情報から順に当該情報の一部を運転者に通知することもできる。例えば、車載装置20は、走行状態が停車中である場合には、センターから受信したメールや情報の内容すべてを音声にて通知するとともに、メールや情報の内容を全てディスプレイ18に表示し、走行状態が走行中である場合には、センターから受信したメールの件名や情報の一部を音声にて通知するようにすることもできる。
【0073】
このようにすることで、1つ1つの情報を通知する時間を省くことができ、受信した情報を迅速に通知することができる。また、運転者は、メールなどのプライバシーを確保することができる。
【0074】
また、車載装置20は、停車時でもパーキングブレーキがONであるかOFFであるかによって、通知方法を変更することもできる。例えば、車載装置20は、停車時かつパーキングブレーキがONである場合には、テキストデータと画像データで運転者に通知し、停車時かつパーキングブレーキがOFFである場合には、テキストデータのみで運転者に通知することもできる。
【0075】
また、車載装置20は、走行状態が停車中である場合には、受信された情報の一覧をディスプレイ18に表示することもできる。具体的に例を挙げると、車載装置20は、図10の(1)に示すように、車両の走行状態が停車中である場合には、通知済みの情報・未通知の情報に関わらず、受信した情報全ての一覧をディスプレイ18に表示する。そして、車載装置20は、図10の(2)に示すように、運転者や同乗者にクリックされた場合に、当該情報をポップアップでテキスト通知する。図10は、情報の表示例を示す図である。
【0076】
なお、一覧表示する情報は、未通知の情報のみであってもよく、利用者により任意に設定することができる。また、通知手法についても、ポップアップだけでなく、ティッカーなどを用いることもできる。このようにすることで、他の車載画面をなるべく隠さず、かつ、車載画面という限られた領域に多くの情報を表示することができる。
【0077】
(3)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図3〜図6など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0078】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、同乗者検出部23と走行状態検出部24とを統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0079】
(4)プログラム
なお、本実施例で説明した情報表示方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係る車載装置および情報通知方法は、センターから受信した情報を運転者に通知することに有用であり、特に、運転者の安全運転を確保しつつ、運転者に有益な情報のみを通知することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施例1に係る車載装置の概要を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る車載装置を含む車載システムの構成を示すブロック図である。
【図3】履歴DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図4】センターから受信した情報の例を示す図である。
【図5】同乗者がいない場合に優先度が付与された例を示す図である。
【図6】同乗者がいる場合に優先度が付与された例を示す図である。
【図7】実施例1に係る車載装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係る車載装置における情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2に係る車載装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
1 車載システム
11 座席センサ
12 カーナビゲーション装置
13 車速センサ
14 ウインカーセンサ
15 シフトレバーセンサ
16 パーキングブレーキセンサ
17 スピーカ
18 ディスプレイ
20 車載装置
21 履歴DB
22 情報受信部
23 同乗者検出部
24 走行状態検出部
25 優先度付与部
26 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から配信された情報を受信する情報受信手段と、
過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記履歴記憶手段に記憶される履歴に基づいて、前記情報受信手段により受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する優先度付与手段と、
前記情報受信手段により情報が受信された場合に、車両の走行状態を検知する走行状態検知手段と、
前記走行状態検知手段により検知された走行状態に適した形式で、前記優先度付与手段により優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する情報通知手段と、
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記情報受信手段により受信された情報が緊急を有する緊急情報であるか否かを判定する情報判定手段をさらに備え、
前記情報通知手段は、前記情報判定手段により緊急情報であると判定された情報については、運転者に即時通知することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記情報通知手段は、前記走行状態検知手段により検知された走行状態に基づいて運転に支障をきたさないと判断した場合に、前記走行状態に適した形式で、前記優先度が高い情報から順に運転者に通知することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記情報通知手段は、前記優先度付与手段により優先度が付与された情報が車両の走行ルートに関するルート情報である場合には、前記走行状態検知手段により検知された走行状態に基づいて、運転に支障をきたさないと判断した上で、前記走行状態に適した形式で、前記優先度が高い情報から順に運転者に通知することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
外部から配信された情報を受信する情報受信工程と、
過去に外部から受信した情報について運転者が閲覧した履歴を記憶する履歴記憶部に記憶される履歴に基づいて、前記情報受信工程により受信された情報に対して、運転者に通知する優先度を付与する優先度付与工程と、
前記情報受信工程により情報が受信された場合に、車両の走行状態を検知する走行状態検知工程と、
前記走行状態検知工程により検知された走行状態に適した形式で、前記優先度付与工程により優先度が付与された情報のうち、優先度が高い情報から順に運転者に通知する情報通知工程と、
を含んだことを特徴とする情報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−92438(P2010−92438A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264652(P2008−264652)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】