説明

車輪速度補正装置

【課題】定常円旋回などの定常旋回走行時であっても、異径タイヤ装着等によって生じる左右輪の車輪速度差の誤差を補正可能とする。
【解決手段】左右輪の実速度比に基づいて旋回半径R1を算出し、この旋回半径R1と車速から車体の横加速度を算出する(ST2〜ST4)。次に、実速度比に基づいて算出した算出横加速度が、タイヤグリップ限界等を考慮して設定した上限値(0.5G)を超えているか否かを判定し、算出横加速度が上限値を超えているときには、横加速度が上限値になるように後輪左右の基準速度比を逆算して左右輪の車輪速度の補正係数を算出し、この補正係数を用いて車輪速センサの各出力信号(生データ)を学習補正する(ST5〜ST8)。このように車体の横加速度(旋回半径)に基づいて学習補正を行うことによって、定常旋回走行時に後輪左右の車輪速度の誤差を低減する補正を実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の旋回判定に用いる車輪速度を補正する車輪速度補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の車両には、車両制動時に車輪のロックを抑制して車両の安定性を確保するアンチロックブレーキシステム(ABS:Antilock Brake System)や、車両旋回時に車輪の横滑りを緩和して車両挙動を安定させる車両挙動安定化制御装置(VSC:Vehicle Stability Control system)などが搭載されている。これらABSやVSCを精度良く制御するには、車両が直進状態または旋回状態のいずれの状態であるのかを判定する必要がある。
【0003】
車両の旋回状態を判定する方法としては、4輪の車輪のうち、前輪の左右速度差または後輪の左右速度差を算出し、その左右輪の速度差(絶対値)が所定の閾値以上であるときに旋回状態であると判定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような旋回判定方法では、異径タイヤ、片輪の磨耗、応急タイヤ装着等により、左右輪のタイヤ径に径差がある場合、車両が直進走行状態(もしくは直進制動状態)であるのにも関わらず、左右の車輪に速度差が発生してしまい、旋回状態であると誤判定する場合がある。
【0005】
ABS等を搭載した車両において、異径タイヤ装着等によって発生する車輪速度を補正する方法として、4輪の車輪速度の平均値を算出し、その平均値を正として各車輪の車輪速度の検出値(生データ)を補正するという方法がある。
【0006】
また、異径タイヤ装着等により発生する車輪速度の誤差を補正する技術として、下記の特許文献2に記載の車輪速度補正装置がある。この特許文献2に記載の車輪速度補正装置では、左右前輪速度の平均値と左右後輪速度の平均値とから前後輪速度比を算出し、この前後輪速度比が所定値を超えた場合に異径タイヤが装着されていると判断して前輪速度または後輪速度を補正している。
【0007】
さらに、異径タイヤ装着時やタイヤの磨耗状態が異なる場合の誤判定(旋回判定の誤判定)を回避する技術として、下記の特許文献3に記載の技術がある。
【0008】
特許文献3に記載の技術では、左右前輪の車輪速センサの検出信号から、左右速度差信号ΔVx(ΔVx=VFR−VFL)を形成し、この左右速度差信号ΔVxに基づいて車両の旋回を判定する走行状態判定装置において、前記左右速度差信号ΔVxに対して所定のカットオフ周波数(5Hz)の条件でハイパスフィルタリング処理をかけて低周波信号成分(200msec以上の周波数成分)を除去し、異径タイヤ装着などによる定常的な車輪速度差(定常偏差:図8参照)を除去することで、旋回判定の誤判定が生じないようにしている。なお、この特許文献3に記載の走行状態判定装置では、左右速度差信号ΔVxのハイパスフィルタリング処理後の信号ΔVwを設定値ΔVoと比較し、ΔVw≧ΔVoである場合に車両が旋回状態にあると判定している。
【特許文献1】特開平1−204852号公報
【特許文献2】特開平8−244593号公報
【特許文献3】特開平7−165048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、車輪速度を補正する方法のうち、上記した4輪の車輪速度の平均値を正として車輪の車輪速度を補正する方法では、車両が直進走行している状況のときには補正可能であるが、車両が定常円旋回している場合や大きなカーブを走行している場合などの定常旋回走行中には誤補正が生じることがある。すなわち、定常旋回走行中には、左右の車輪に車輪速度差が定常的に発生するので、その定常旋回による定常偏差を左右輪の径差による偏差であるものとして車輪の車輪速度を補正すると、車輪速度が誤った値となってしまう(誤学習)。このような誤補正が発生すると、定常旋回走行から直進走行に移行するときに、直進走行を旋回走行と誤判定することがある。従って、この方法では、定常旋回走行時には車輪速度を正しく補正することができない。こうした問題は上記した特許文献2の記載の技術についても同様なことが言える。
【0010】
一方、上記した特許文献3に記載の技術のように、左右輪の車輪速度差信号にハイパスフィルタリング処理を施すことにより、異径タイヤ装着などによる定常偏差を除去する方法では、車両が定常円旋回している場合や大きなカーブを走行している場合などの定常旋回走行時に旋回を判定することができない。この点について図7を参照して説明する。
【0011】
まず、直進走行状態からハンドルを操作し、右旋回(または左旋回)を行った後に、ハンドルを戻して直進走行を行った場合、ハイパスフィルタリング処理を施した後の信号ΔVwには、P1に示すような波形の変化が現れ、この波形変化から[直進]→[旋回]→[直進]を判定することができる。これに対し、直進走行から円旋回走行などの定常旋回走行に移行した場合、[直進走行]→[定常旋回走行]の移行時には、信号ΔVwに変化(P2)が現れるが、定常旋回走行中は信号ΔVwが変化しない。このため、円旋回走行などの定常旋回走行中であるのにも関わらず、直進走行状態であると誤判定してしまう。また、定常旋回走行中で直進走行と誤判定している状態のときに、走行状態が[定常旋回走行]から[直進走行]に移行すると、その移行時に信号ΔVwに変化(P3)が現れてしまい、直進走行への移行中であるのにも関わらず、逆方向にハンドルが操作(旋回側への操作)されたと誤判定してしまう。
【0012】
さらに、左右輪の車輪速度差信号にハイパスフィルタリング処理を施す方法では、図8に示すように、ハイパスフィルタリング処理後の信号ΔVwが、処理前の信号である左右速度差信号ΔVxに対して遅れるため(例えば200msec)、旋回判定の判定遅れが生じる。このような判定遅れがあると、瞬時の作動が要求されるABS制御やVSC制御を追随性良く実行することができないという問題もある。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、定常円旋回などの定常旋回走行時であっても、異径タイヤ装着等によって生じる左右輪の車輪速度差の誤差を補正することができ、旋回判定の精度を高めることが可能な車輪速度補正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
まず、本発明では、車両の左右輪の車輪速度の実速度比(または実速度差)に基づいて横加速度を算出する。このように左右輪の実速度比(または実速度差)に基づいて算出する推定横加速度は、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差がある場合、図6の実線に示すように車速が高速になるに従って大きくなる。これに対し、車両に実際に掛かる実横加速度は、車速が高速になっても、一定値以上(例えばタイヤグリップ限界以上)の状態が継続されることはレアである。このような点に着目して、本発明では、実速度比(または実速度差)に基づいて算出する推定横加速度が、例えばタイヤグリップ限界等に相当する実横加速度の上限値よりも大きい場合、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差があると判定して、左右輪の車輪速度の誤差を補正することを特徴としている。
【0015】
次に、本発明の具体的な構成について説明する。
【0016】
本発明(第1の発明)は、車両の左右輪の各車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、車両の車速を検出する車速検出手段とを備え、車両の旋回判定に用いる車輪速度を補正する車輪速度補正装置を前提とする。
【0017】
このような車輪速度補正装置において、前記車輪速度検出手段によって検出された車輪速度に基づいて、左右輪の実速度比を算出する実速度比算出手段と、前記実速度比算出手段にて算出された実速度比に基づいて車体の旋回半径を算出し、その算出した旋回半径及び車速に基づいて車体の横加速度を算出する横加速度算出手段と、前記横加速度算出手段にて算出された横加速度が所定の上限値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記算出横加速度が上限値を超えている場合には、前記横加速度の上限値及び車速に基づいて基準旋回半径を算出し、その基準旋回半径に基づいて基準速度比を算出する基準速度比算出手段とを設けている。そして、前記基準速度比算出手段にて算出された基準速度比、及び、前記実速度比算出手段にて算出された実速度比に基づいて、車輪の車輪速度を補正することを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、左右輪の実速度比に基づいて算出した横加速度が、上限値(具体的には、タイヤグリップ限界等を考慮して設定した上限値)を超えているときには、その横加速度の上限値を正として左右輪の速度比(基準速度比)を逆算し、この逆算した基準速度比及び実速度比に基づいて車輪速度を補正しているので、異径タイヤ装着等により左右輪の車輪速度に誤差があっても、その誤差を低減することができる。
【0019】
しかも、車体の横加速度(車体の旋回半径)に基づいて車輪速度を補正しているので、車両が定常円旋回している場合や大きなカーブを走行している場合などの定常旋回走行時においても、車輪速度を補正することが可能となり、旋回判定の精度を向上させることができる。なお、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差がある場合、車両が直進走行している状況であっても、車速が高速になるにつれて大きくなって推定横加速度が上記上限値を超えることがあるので、直進走行時においても、左右輪の車輪速度の誤差を学習補正することができる。
【0020】
この発明において、前輪左右の実速度比または後輪左右の実速度比のいずれか一方の実速度比に基づいて横加速度を算出して車輪速度の補正を行ってもよいし、前輪左右の実速度比及び後輪左右の実速度比の各実速度比に基づいて横加速度を算出して車輪速度の補正を行ってもよい。
【0021】
また、本発明(第2の発明)は、車両の左右輪の各車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、車両の車速を検出する車速検出手段とを備え、車両の旋回判定に用いる車輪速度を補正する車輪速度補正装置を前提とする。
【0022】
このような車輪速度補正装置において、前記車輪速度検出手段によって検出された車輪速度に基づいて、左右輪の実速度差を算出する実速度差算出手段と、前記実速度差算出手段にて算出された実速度差及び車速に基づいて車体の旋回半径を算出し、その算出した旋回半径及び車速に基づいて車体の横加速度を算出する横加速度算出手段と、前記横加速度算出手段にて算出された横加速度が所定の上限値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記算出横加速度が上限値を超えている場合には、前記横加速度の上限値及び車速に基づいて基準旋回半径を算出し、その基準旋回半径及び車速に基づいて基準速度差を算出する基準速度差算出手段とを設けている。そして、前記基準速度差算出手段にて算出された基準速度差、及び、前記実速度差算出手段にて算出された実速度差に基づいて、車輪の車輪速度を補正することを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、左右輪の実速度差に基づいて算出した横加速度が、上限値(具体的には、タイヤグリップ限界等を考慮して設定した上限値)を超えているときには、その横加速度の上限値を正として左右輪の速度差(基準速度差)を逆算し、この逆算した基準速度差及び実速度差に基づいて車輪速度を補正しているので、異径タイヤ装着等により左右輪の車輪速度に誤差があっても、その誤差を低減することができる。
【0024】
しかも、車体の横加速度(車体の旋回半径)に基づいて車輪速度を補正しているので、車両が定常円旋回している場合や大きなカーブを走行している場合などの定常旋回走行時においても、車輪速度を補正することが可能となり、旋回判定の精度を向上させることができる。なお、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差がある場合、車両が直進走行している状況であっても、車速が高速になるにつれて大きくなって推定横加速度が上記上限値を超えることがあるので、直進走行時においても、左右輪の車輪速度の誤差を学習補正することができる。
【0025】
この発明において、前輪左右の実速度差または後輪左右の実速度差のいずれか一方の実速度差に基づいて横加速度を算出して車輪速度の補正を行ってもよいし、前輪左右の実速度差及び後輪左右の実速度差の各実速度差に基づいて横加速度を算出して車輪速度の補正を行ってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、定常円旋回などの定常旋回走行時であっても、異径タイヤ装着時等によって生じる左右輪の車輪速度の誤差を補正することが可能になるので、車両の旋回判定の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明を適用する車両の一例を示す概略構成図である。
【0029】
この例の車両には、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両であって、エンジン1、トルクコンバータ2、自動変速機3、電動パワーステアリング装置(EPS:Electronic Power Steering)4、及び、ECU(Electronic Control Unit)100などが搭載されており、そのECU100により実行されるプログラムによって本発明の車輪速度補正装置が実現される。
【0030】
また、車両には、右前輪10FR、左前輪10FL、右後輪10RR、左後輪10RL(以下、右前輪10FR、左前輪10FL、右後輪10RR、左後輪10RLを単に「車輪10」という場合もある)の4輪の車輪が配置されている。これら4輪の車輪10のうち、右前輪10FR及び左前輪10FLは、エンジン1により駆動される駆動輪であり、電動パワーステアリング装置4によって転舵される転舵輪である。
【0031】
−エンジン−
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1に吸入される空気量は、電子制御式のスロットルバルブ11により調整される。スロットルバルブ11は、運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ22によって検出される。
【0032】
スロットルバルブ11のスロットル開度はECU100によって駆動制御される。具体的には、エンジン回転数センサ21(図2参照)によって検出されるエンジン回転数、及び、運転者のアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御している。より具体的には、スロットル開度センサ22を用いてスロットルバルブ11の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ11のスロットルモータ12をフィードバック制御している。
【0033】
エンジン1にはトルクコンバータ2及び自動変速機3が接続されており、エンジン1を駆動することによりドライブシャフト5を介して駆動・転舵輪である右前輪10FR及び左前輪10FLが回転駆動される。
【0034】
−トルクコンバータ・自動変速機−
トルクコンバータ2は、入力軸側のポンプ羽根車、出力軸側のタービン羽根車、ワンウェイクラッチ、トルク増幅機能を発現するステータ、及び、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチなどを備えており、ポンプ羽根車とタービン羽根車との間で流体を介して動力伝達を行う。トルクコンバータ2と自動変速機3とは回転軸によって接続される。
【0035】
自動変速機3は、例えば、クラッチやブレーキ等の複数の摩擦係合要素及び遊星歯車装置などを備えた遊星歯車式の変速機であって、摩擦係合要素を所定の状態に係合または解放することによって複数のギヤ段(変速段)を自動的に設定する。自動変速機3の摩擦係合要素の係合・解放は油圧制御回路300(図2参照)によって制御される。
【0036】
油圧制御回路300には、リニアソレノイドバルブ及びオンオフソレノイドバルブなどが設けられており、それらリニアソレノイドバルブ及びオンオフソレノイドバルブの励磁・非励磁を制御して油圧回路を切り替えることによって、自動変速機3のクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素の係合・解放を制御することができる。油圧制御回路300のリニアソレノイドバルブ及びオンオフソレノイドバルブの励磁・非励磁は、ECU100からのソレノイド制御信号(指示油圧信号)によって制御される。
【0037】
−電動パワーステアリング装置−
電動パワーステアリング装置4は、ステアリングホイール(ハンドル)41、ステアリングシャフト42、操舵トルクセンサ43、アシストモータ44、及び、ラックアンドピニオン機構45などを備えている。ラックアンドピニオン機構45のラック軸にはドライブシャフト5が連結されている。
【0038】
ステアリングホイール41にはステアリングシャフト42の一端が接続されており、ステアリングシャフト42の他端には、ラックアンドピニオン機構45が連結されている。操舵トルクセンサ43はステアリングシャフト42に作用するトルクを検出する。この操舵トルクセンサ43によって検出される操舵トルク値はECU100に入力される。ECU100は、操舵トルクセンサ43からの操舵トルク値などに基づいて、操舵系に付加する補助操舵力を算出し、その算出した補助操舵力に基づいてアシストモータ44を駆動制御する。
【0039】
一方、各車輪10にはそれぞれブレーキ装置8FR,8FL,8RR,8RL(以下、各ブレーキ装置8FR,8FL,8RR,8RLを単に「ブレーキ装置8」という場合もある)が設けられている。ブレーキ装置8FR,8FL,8RR,8RLはブレーキディスクと、ブレーキパッド及びホイルシリンダを内蔵したキャリパとを備えている。ブレーキ装置8FR,8FL,8RR,8RLの各ホイルシリンダは、ブレーキ配管を介して制動系の油圧制御回路200に接続されている。また、各ホイルシリンダはブレーキ配管や油圧制御回路200を介してマスタシリンダ7にも接続されている。油圧制御回路200は、油圧ポンプ及びソレノイドバルブなどを備えている。
【0040】
この例の制動系において、通常のブレーキ時に運転者によってブレーキペダル6が操作されると、マスタシリンダ7内の圧力が上昇し、この圧力上昇がブレーキ配管や油圧制御回路200を介して各ブレーキ装置8FR,8FL,8RR,8RLのホイルシリンダに伝達されて各ホイルシリンダ内の圧力が上昇する。このようにして、ホイルシリンダ内の油圧が上昇すると、ブレーキパッドがブレーキディスクに押圧され、その押圧力にて発生する摩擦力によってブレーキディスクと連結されている各車輪10が制動される。
【0041】
右前輪10FR、左前輪10FL、右後輪10RR、左後輪10RLには、それぞれの車輪速度を検出する車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLが配置されている。車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLの出力信号はECU100に入力される。
【0042】
−ECU−
ECU100は、図2に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。
【0043】
ROM102には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM103はCPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
【0044】
これらCPU101、ROM102、RAM103、及び、バックアップRAM104はバス106を介して互いに接続されるとともに、インターフェース105と接続されている。
【0045】
ECU100のインターフェース105には、エンジン回転数センサ21、スロットル開度センサ22、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ23、ブレーキペダル6の近傍に配置されたブレーキペダルセンサ24、操舵トルクセンサ43、及び、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLなどが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
【0046】
ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットル開度制御(スロットルモータ12の制御)、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
【0047】
また、ECU100は、自動変速機3の油圧制御回路300にソレノイド制御信号(指示油圧信号)を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて、油圧制御回路300のリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定のギヤ段を構成するように、自動変速機3のクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素が所定の状態に係合または解放される。
【0048】
さらに、ECU100は下記の「スリップ判定」、「ABS制御」、「旋回判定」及び「車輪速度の学習補正」を実行する。
【0049】
−スリップ判定−
ECU100は、まず、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLの出力信号に基づいて各車輪10の車輪速度VFR,VFL,VRR,VRLを算出する。
【0050】
次に、算出した右前輪10FRの車輪速度VFRと左前輪10FLの車輪速度VFLとの平均値、及び、右後輪10RRの車輪速度VRRと左後輪10RLの車輪速度VRLとの平均値をそれぞれ算出し、それら平均値の差分値を求める。そして、その差分値(もしくは差分値の微分値)が所定の閾値以上であるときに車輪10の空転によるスリップが発生していると判定する。
【0051】
なお、スリップの判定方法としては、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLの出力信号に基づいて車輪10の加速度(車輪速度の微分値)を算出し、その車輪10の加速度が所定の閾値以上であるときにスリップが発生していると判定するという方法を採用してもよい。
【0052】
−ABS制御−
ECU100は、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLの出力信号に基づいて、各車輪10の車輪速度VFR,VFL,VRR,VRL、及び、車体速度(車速)を算出し、それら車輪速度及び車速から制動スリップ率(例えば、制動スリップ率=[車体速度−車輪速度]/車体速度)を算出する。そして、その算出した制動スリップ率のうち、いずれかの車輪10の制動スリップ率がABS開始の基準値よりも大きくなると(ABS制御の開始条件が成立すると)、ABS制御の終了条件が成立するまで、当該車輪10について制動スリップ率が所定の範囲内になるように、ブレーキ装置8の制動力つまりホイルシリンダ内の圧力を増減するアンチスキッド制御を行う。
【0053】
−旋回判定−
ECU100は、後輪の車輪速センサ20RR,20RLの各出力信号から算出した右後輪10RRの車輪速度VRR及び左後輪10RLの車輪速度VRL(いずれも、下記の学習補正後の車輪速度)を用いて、後輪左右の車輪速度差(VRR−VRL)を算出し、その左右の車輪10の車輪速度差(VRR−VRL)の絶対値が所定値以上であるときに車両が旋回状態であると判定する。
【0054】
なお、前輪の車輪速センサ20FR,20FLの各出力信号から算出した車輪速度VFR,VFL(下記の学習補正後の車輪速度)を用いて、前輪左右の車輪速度差(VFR−VFL)を算出して旋回判定を行ってもよい。
【0055】
−車輪速度の学習補正−
以下、この例で実行する車輪速度の学習補正について図3〜図5を参照して説明する。
【0056】
まず、車輪速度の学習補正に用いる速度比マップについて、図4を参照して説明する。
【0057】
図4に示す速度比マップは、後輪左右の速度比と車体の旋回半径Rとの関係を示す2次元マップであって、ECU100のROM102内に記憶されている。
【0058】
図4の速度比マップは、例えば、右後輪10RRと左後輪10RLとのタイヤ径を同一径とし、ホイルベース、トレッド及び舵角などをパラメータとして、後輪左右の速度比[速度比=(左後輪の車輪速度VFR)/(右後輪の車輪速度VRR)]と車体の旋回半径Rとの関係を予め計算によって求めておき、その計算結果(基準データ)をマップ化したものである。
【0059】
図3は車輪速度の学習補正の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。図3に示す制御ルーチンはECU100において所定時間毎に繰り返して実行される。
【0060】
まず、ステップST1において、車両走行状態が補正可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、スリップが発生しておらず、かつ、ABS制御中でない場合に、補正可能であると判定してステップST2に進む。ステップST1の判定結果が否定判定である場合つまりスリップ発生中またはABS制御中である場合は、車輪10の車輪速度の学習補正を正確に行うことができないので、このルーチンを一旦終了する。
【0061】
ステップST2では、左右後輪の車輪速センサ20RR,20RLの各出力信号から読み込んだ車輪速度VRR,VRLを用いて、後輪左右の実速度比[実速度比=(左後輪の車輪速度VFR・Kb)/(右後輪の車輪速度VRR・Ka)]を算出する。次いで、算出した後輪左右の実速度比に基づいて、図4の速度比マップを参照して車体の旋回半径R1を算出する。なお、Ka,Kbは、後述するように、車輪速度VRR,VRL(生データ)を補正する補正係数であって、デフォルト値は「1」である。
【0062】
ステップST3では、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLの出力信号に基づいて各車輪10の車輪速度VFR,VFL,VRR,VRLを読み込み、それら車輪速度VFR,VFL,VRR,VRLに基づいて平均車速を求め、その平均車速及びステップST2で算出した旋回半径R1を用いて横加速度[横加速度=R1・ω2 ω:平均車速]を算出する。なお、横加速度の算出に用いる車速は、車速検出用の車速センサを設けて、そのセンサ出力から算出するようにしてもよい。
【0063】
次に、ステップST4において、ステップST3で算出した算出横加速度(推定横加速度)が上限値を超えているか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合は、このルーチンを一旦終了する。ステップST4の判定結果が肯定判定である場合は、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差があると判定してステップST5に進む。なお、このステップST4の判定処理に用いる上限値は、例えばタイヤグリップ限界を考慮して設定すればよく、この例では、横加速度の上限値を0.5Gとしている。
【0064】
ステップST5では、横加速度が上限値(0.5G)であるときの基準旋回半径Roを算出する。具体的には、[横加速度=Ro・ω2]→[Ro=上限値(0.5G)/ω2]であるので、この演算式から算出する。ただし、ωは、上記ステップST3で算出した平均車速とする。
【0065】
ステップST6では、ステップST5で算出した基準旋回半径Roに基づいて、図4に示す速度比マップを参照して、基準速度比を逆算する。具体的には、図5に示すように、基準旋回半径Roを正としてマップの逆引きを行って、速度比曲線と基準旋回半径Roとが交差する点の基準速度比を読み取る。
【0066】
ステップST7では、ステップST6で逆算した基準速度比と、ステップST2で算出した実速度比との比率α[α=基準速度比/実速度比]を算出する。
【0067】
そして、ステップST8において、後輪左右の車輪速センサ20RR,20RLの出力信号から得られる車輪速度VRR,VRL(生データ)を補正する補正係数を学習補正する。具体的には、右後輪10RRの車輪速度VRRの補正係数をKa、左後輪10RLの補正係数をKbとすると、その各補正係数Ka、Kbを上記したステップST7で算出した比率αを用いて学習補正することにより、後輪左右のタイヤ径の径差による誤差を軽減することができる。ただし、補正に用いる比率α[α=基準速度比/実速度比]は、後輪左右の速度比に基づく値であるので、後輪左右のうち、補正を反映する車輪を特定する必要がある。この例では以下の処理で反映車輪を特定する。
【0068】
まず、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLの出力信号に基づいて4輪の車輪速度の平均値を算出する。次に、その算出した車輪速度平均値と右後輪10RRの車輪速度VRRとの差、及び、車輪速度平均値と左後輪10RLの車輪速度VRLとの差を求め、車輪速度平均値との差が大きい側を補正を反映する車輪とする。例えば、車輪速度平均値と車輪速度VRRとの差の方が大きくて、反映車輪が右後輪10RRである場合、補正係数Kaについて[Ka←Ka×1/α]という学習補正を行う。一方、車輪速度平均値と車輪速度VRLとの差が大きくて、反映車輪が左後輪10RLである場合、補正係数Kaについて[Ka←Ka×α]という学習補正を行う。
【0069】
そして、このような学習補正によって得られた補正係数KaまたはKbを用いて、後輪左右の車輪速センサ20RR,20RLの各出力信号(車輪速度の生データ)を補正することによって、後輪左右の車輪速度の誤差を軽減することができる。なお、学習補正後の車速と横加速度との関係は例えば図6の破線で示すような関係となる。
【0070】
ここで、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差がある場合、車両が直進走行している状況であっても、車速が高速になるにつれて大きくなって上限値を超えることがある。従って、直進走行時においても、左右輪のタイヤ径に径差がある場合、その車輪速度の誤差を学習補正することができる。
【0071】
なお、以上の学習補正によって得られた補正係数Ka,Kbは、後輪左右の車輪速センサ20RR,20RLの出力信号から得られる車輪速度(生データ)に一度に反映させるのではなく、所定時間ごと(例えばデータ採取ごと)に段階的に反映(例えば学習ゲイン=10%で反映)させるという補正を行うことが好ましい。
【0072】
以上の車輪速度の学習補正制御によれば、後輪左右の実速度比に基づいて算出した推定横加速度が、タイヤグリップ限界等を考慮して設定した上限値を超えているときには、その横加速度の上限値を正として後輪左右の基準速度比を逆算することによって、後輪10の車輪速度の補正係数KaまたはKbを算出し、この補正係数KaまたはKbを用いて車輪速センサ20RRまたは20RLの各出力信号(生データ)を補正しているので、異径タイヤ、片輪の磨耗、応急タイヤ装着等により後輪左右の車輪速度に誤差があっても、その車輪速度の誤差を低減することができる。
【0073】
しかも、車体の横加速度(旋回半径)を算出して補正を行っているので、車両が定常円旋回している場合や大きなカーブを走行している場合などの定常旋回走行時、及び、直進走行時において、左右輪の車輪速度の誤差を補正することができ、旋回判定の精度を向上させることができる。
【0074】
−他の実施形態−
以上の例では、左右輪の速度比と車体の旋回半径との関係に基づいて車輪速度を学習補正しているが、本発明はこれに限られることなく、左右輪の速度差と車体の旋回半径との関係に基づいて車輪速度を学習補正してもよい。
【0075】
この場合、学習補正に用いるマップとして、例えば後輪左右のタイヤ径を同一径とし、ホイルベース、トレッド、舵角、及び、車速などをパラメータとして、後輪左右の速度差との関係を予め計算によって求めておき、その計算結果(基準データ)をマップ化した3次元マップ(基準速度差・車速−旋回半径)を作成し、その3次元マップをECUのROM等に記憶しておけばよい。
【0076】
そして、このような車輪速度差を利用する場合も、上記した実施形態と同様な処理によりに車輪速度を学習補正することができる。その学習補正の手順の一例を以下に簡単に説明する。
【0077】
(I)車輪速センサ20RR,20RLの各出力信号から読み込んだ車輪速度VRR,VRLに基づいて、後輪左右の実速度差を算出し、この算出した実速度差及び車速に基づいて上記した3次元マップを参照して車体の旋回半径R1を算出する。次に、車体の旋回半径R1及び車速を用いて横加速度[横加速度=R1・ω2 ω:車速]を算出し、その算出した横加速度が上限値(0.5G)を超えている場合は、異径タイヤ装着等により左右輪のタイヤ径に径差があると判定する。
【0078】
(II)左右輪のタイヤ径に径差があると判定した場合、横加速度が上限値(0.5G)であるときの基準旋回半径Roを算出し、その基準旋回半径Ro及び車速に基づいて、上記3次元マップを参照して後輪左右の基準速度差を逆算する。その逆算した基準速度差を用いて、実速度差が基準速度差となるような速度差補正値を求める。そして、その速度差補正値に基づいて車輪速度VRRまたはVRLの補正係数を算出し、その補正係数を用いて車輪速センサ20RR,20RLの出力信号(生データ)を補正することによって、後輪左右の車輪速度の誤差を補正することができる。
【0079】
以上の例では、後輪左右の速度比(速度差)に基づいて横加速度を求めて左右輪の車輪速度の誤差を補正しているが、前輪左右の速度比(速度差)に基づいて横加速度を求めて左右輪の車輪速度の誤差を補正するようにしてもよい。また、後輪左右の速度比(速度差)及び前輪左右の速度比(速度差)の双方の横加速度を求め、その各横加速度に基づいて左右輪の車輪速度の誤差を補正するようにしてもよい。
【0080】
以上の例では、実速度比(実速度差)に基づく車体の旋回半径の算出、及び、車体の旋回半径に基づく基準速度比(基準速度差)の逆算をマップを用いて計算しているが、本発明はこれに限られることなく、それら旋回半径を算出する演算式と基準速度比(基準速度差)を逆算する演算式(逆関数)とを、ECU100のROM102内に予め記憶しておき、その各演算式に基づく計算処理にて、旋回半径の算出及び基準速度比(基準速度差)の逆算を行うようにしてもよい。
【0081】
本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に限れらることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両、4輪駆動車にも適用できる。
【0082】
本発明は、ABS制御の他、車両挙動安定化制御(VSC)、アクティブサスペンション制御によるロール抑制、4輪駆動力コントロールによるヨーコントロールなどを行う車両にも適用することができる。また、旋回時に変速を禁止する旋回時変速禁止制御を行う車両にも適用できる。
【0083】
以上の例では、ガソリンエンジンを搭載した車両に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両の制御にも適用可能である。また、本発明は、駆動源としてエンジン(内燃機関)と電動機(例えば走行用モータまたはジェネレータモータ等)が搭載されたハイブリッド車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明を適用する車両の一例を示す概略構成図である。
【図2】ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】車輪速度の学習補正の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】図3の車輪速度の学習補正に用いる速度比マップを示す図である。
【図5】図4の速度比マップを用いて基準速度比を逆算する処理の説明図である。
【図6】異径タイヤ装着等による左右輪にタイヤ径に径差がある場合の車速と横加速度との関係の一例を示すグラフである。
【図7】左右車輪速度差の信号にハイパスフィルタリング処理を施すことにより定常偏差を除去する方法の問題点を示す図である。
【図8】左右車輪速度差の信号にハイパスフィルタリング処理を施すことにより定常偏差を除去する方法の問題点を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 自動変速機
4 電動パワーステアリング装置
5 ドライブシャフト
6 ブレーキペダル
7 マスタシリンダ
8FR,8FL,8RR、8RL ブレーキ装置
10FR 右前輪
10FL 左前輪
10RR 右後輪
10RL 左後輪
20FR,20FL,20RR,20RL 車輪速センサ
100 ECU
200 油圧制御回路(制動系)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の旋回判定に用いる車輪速度を補正する車輪速度補正装置であって、
前記車両の左右輪の各車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車輪速度検出手段によって検出された車輪速度に基づいて、左右輪の実速度比を算出する実速度比算出手段と、
前記実速度比算出手段にて算出された実速度比に基づいて車体の旋回半径を算出し、その算出した旋回半径及び車速に基づいて車体の横加速度を算出する横加速度算出手段と、
前記横加速度算出手段にて算出された横加速度が所定の上限値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記算出横加速度が上限値を超えている場合には、前記横加速度の上限値及び車速に基づいて基準旋回半径を算出し、その基準旋回半径に基づいて基準速度比を算出する基準速度比算出手段と、
前記基準速度比算出手段にて算出された基準速度比、及び、前記実速度比算出手段にて算出された実速度比に基づいて、車輪の車輪速度を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする車輪速度補正装置。
【請求項2】
車両の旋回判定に用いる車輪速度を補正する車輪速度補正装置であって、
前記車両の左右輪の各車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車輪速度検出手段によって検出された車輪速度に基づいて、左右輪の実速度差を算出する実速度差算出手段と、
前記実速度差算出手段にて算出された実速度差及び車速に基づいて車体の旋回半径を算出し、その算出した旋回半径及び車速に基づいて車体の横加速度を算出する横加速度算出手段と、
前記横加速度算出手段にて算出された横加速度が所定の上限値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記算出横加速度が上限値を超えている場合には、前記横加速度の上限値及び車速に基づいて基準旋回半径を算出し、その基準旋回半径及び車速に基づいて基準速度差を算出する基準速度差算出手段と、
前記基準速度差算出手段にて算出された基準速度差、及び、前記実速度差算出手段にて算出された実速度差に基づいて、車輪の車輪速度を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする車輪速度補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−230513(P2008−230513A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75409(P2007−75409)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】