説明

転動装置

【課題】環境有害物質を含有せず、金属製の軌道溝の防錆性能が長期に渡って持続され、耐食性に優れた転動装置を提供する。
【解決手段】本発明の転動装置は、互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置であって、前記第1部材の転動溝および前記第2部材の転動溝の少なくともいずれかは、その少なくとも一部が、金属で形成され、かつ、金属粉を含有する合成樹脂層で被覆されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐食性転動装置に関し、特に、環境有害物質を含有せず、金属製の軌道溝の防錆性能が長期に渡って持続され、耐食性に優れた転動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転動装置は、互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動するものであり、例えば、転がり軸受(ボール転動装置、ローラ転動装置等)、ボールねじ、リニアガイド、ボールスプライン、リニアボール等がある。
【0003】
例えば、転がり軸受の内外輪は、通常、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼2種)等の鉄鋼部材で形成されており、防錆を目的として表面にめっきを施すことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
一般に防錆を目的として採用されるめっき法としては、硬質クロムめっき、無電解ニッケルめっき、低温電解クロムめっき(いわゆる「レイデント処理」)等が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開平1−96394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の転動装置に適用されるめっき法は、環境有害物質である6価クロムを含有する処理工程を含むため、得られる製品中に数ppmのクロム化合物が残存してしまう場合がある。
これらの技術的な背景に加え、欧州ELV指令(End of Life Vehicle:自動車関連の環境規制で使用済みとなった車両が環境に影響を与えないよう配慮する)、および欧州RoHS(Restiction of the certain hazardous substance in electrical and electronic equipment:電子電気機器に含まれる特性有害物質の使用制限)によれば、6価クロムの使用が禁止されるため、その代替手段を探す必要がある。
【0006】
また、従来の転動装置に適用されるめっき法では、めっき層が薄いと、均一なめっき処理がなされなかったり、めっき層にクラックやビットが生じ易くなったりするため、防錆性能が不十分な場合がある。
一方、めっき層が厚いと防錆性能は高くなるが、厚さが不均一になり易い。転動体は面圧が付与された状態で軌道面を転動するため、厚さが不均一なめっき層は起動面から剥がれ易くなる。したがって、厚いめっき層を設けた場合でも、防錆性能を長期に渡って持続することは困難である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、転がり軸受等の転動装置において、環境有害物質を含有せず、金属製の軌道溝の防錆性能が長期に渡って持続されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記現状に鑑み、検討を重ねた結果、互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置において、前記第1部材の転動溝および前記第2部材の転動溝の少なくともいずれかは、その少なくとも一部が、金属で形成され、かつ、金属粉を含有する合成樹脂層で被覆されていることを特徴とする転動装置とすることによって、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置において、前記第1部材の転動溝および前記第2部材の転動溝の少なくともいずれかは、その少なくとも一部が、金属で形成され、かつ、金属粉を含有する合成樹脂層で被覆されていることを特徴とする転動装置;
(2)前記合成樹脂層は、フッ素樹脂からなる前記(1)記載の転動装置;
(3)前記金属粉は、VA族元素、VIA族元素、VIIA族元素、およびVIII族元素のいずれかの金属からなる前記(1)または(2)記載の転動装置;
(4)前記合成樹脂層の厚さは、0.5μm以上10μm以下である前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の転動装置;
(5)前記合成樹脂層は、表面硬さが2GPa以上5GPa未満であって、等価弾性定数が70GPa以上160GPa以下である前記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の転動装置;
(6)前記金属で形成され、かつ金属粉を含有する合成樹脂層で被覆された転動溝の表面は無数の凹部を有し、前記金属粉の少なくとも一部が、当該凹部内に配置されてなる前記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の転動装置;を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、環境有害物質を含有せず、金属製の軌道溝の防錆性能が長期に渡って持続され、耐食性に優れた転動装置を提供することができる。耐食性に優れるため、水中等で使用された場合の寿命を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0012】
本発明の転動装置は、互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置において、前記第1部材の転動溝および前記第2部材の転動溝の少なくともいずれかは、その少なくとも一部が、金属で形成され、かつ、金属粉を含有する合成樹脂層で被覆されている。
【0013】
上記構成とすることにより、環境有害物質を含有せず、かつ、金属製の軌道溝の防錆性能が長期に渡って維持され、耐食性に優れた転動装置を提供することができる。
すなわち、金属製の転動溝の少なくとも一部が合成樹脂層で被覆されていることによって、転動体と当該転動溝との隙間が狭くなっても、この合成樹脂層が接触応力に対してクリープ変形を起こすため、転動体の円滑な転動を確保することができる。
【0014】
上記において、「前記第1部材の転動溝および前記第2部材の転動溝の少なくともいずれかは」とは、第1部材および第2部材の一方のみが金属で形成されかつ所定に被覆されていてもよいし、あるいは、第1部材および第2部材の両方が金属で形成されかつ所定に被覆されていてもよいとの意味である。
上記において、「その少なくとも一部が、金属で形成され、かつ、金属粉を含有する合成樹脂層で被覆され」とは、転動溝の一部のみが金属で形成されかつ所定に被覆されていてもいし、あるいは、転動溝の全部が金属で形成されかつ所定に被覆されていてもよいとの意味である。
【0015】
図1は、本発明の転動装置の一実施形態に係る軌道溝の一部断面図である。
図1に示すように、第1部材の金属製の軌道溝1の表面には、金属粉3を含有する合成樹脂層2が設けられており、軌道溝1は合成樹脂層2により被覆されている。
【0016】
軌道溝1の表面は無数の凹部を有し、当該凹部内に金属粉3の少なくとも一部が配置されることが好ましい。このように金属粉3の少なくとも一部が凹部内に配置されることによって、軌道溝1に対する合成樹脂層2の密着性が高くなる。
「金属粉の少なくとも一部が当該凹部内に配置され」とは、金属粉の全部が軌道溝表面の凹部内に入る場合のほか、金属粉の一部のみが凹部内に配置される場合も含む意味である。
例えば、軌道溝1の中心線平均表面粗さ(Ra)が0.1μmである場合、金属粉3の平均粒径は0.005〜0.1μmであることが好ましい。
【0017】
上記転動装置において、前記合成樹脂層は、耐水性、耐酸性、および耐アルカリ性が良好な(水中、酸性液、アルカリ液中で、機械的強度が保持される)材質からなることが好ましい。例えば、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、フラン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等からなることが好ましい。
【0018】
特に、前記合成樹脂層は、フッ素樹脂からなることが好ましい。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(pTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(pcTFE)、ポリビニリデンフルオライド(pvDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(pFA)等が好ましい。
【0019】
フッ素樹脂において、フッ素元素の重量比率は5%以上45%以下が好ましい。5%未満では撥水性に乏しく、ピンホールやクラックを被覆することができない。
【0020】
上記転動装置において、前記金属粉は、VA族元素、VIA族元素、VIIA族元素、およびVIII族元素のいずれかの金属からなることが好ましい。
【0021】
前記金属粉としては、前記軌道溝をなす金属と原子半径が近い金属からなる粉末を用いることが好ましい。
前記軌道溝をなす金属が高炭素クロム軸受鋼やステンレス鋼等の鉄鋼製である場合には、前記金属粉として、ニッケル、コバルト、又はこれらの混合からなる粉体を用いることが好ましい。
前記軌道溝をなす金属がアルミニウム合金やマグネシウム合金製である場合には、前記金属粉として、チタンからなる粉体を用いることが好ましい。
【0022】
上記転動装置において、前記合成樹脂層の厚さは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
このような好適な合成樹脂層の厚さとすることによって、合成樹脂層が接触応力に対してクリープ変形を起こすことによる転動体の円滑な転動の確保を一層有効に行うことができる。
【0023】
上記転動装置において、前記合成樹脂層は、表面硬さが2GPa以上5GPa未満であって、等価弾性定数が70GPa以上160GPa以下であることが好ましい。
本発明において「表面硬さ」とは、塑性変形硬さを意味し、例えば、エリオニクス社製微小硬度計を用いて測定することができる。
本発明において「等価弾性定数」とは、JISで定められた手法とは異なる押し込み試験法で求められる定数であり、例えば、フィッシャー社製微小硬度測定装置を用いて測定することができる。
このような好適な構成とすることによって、軌道溝からの合成樹脂層のはく離を防止することができる。
等価弾性定数が160GPaより大きいと、剛性が高くなるため、転動体との応力や走行時の衝撃による母剤の変形に追従できない欠点がある。また、硬さと等価弾性定数が70GPaより小さいと、走行面での発熱が大きすぎる問題点が生じる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
図2は、実施例1に係るリニアガイドの一部断面図である。
図2に示すように、案内レール(第1部材)4と、スライダ(第2部材)5と、ボール(転動体)6とから、リニアガイドを構成した。
【0026】
案内レール4の両側面には、ボール転動溝(軌道溝)41が形成されている。スライダ5の内側面にも、案内レール4のボール転動溝41と向かい合う位置に、ボール転動溝51が形成されている。両ボール転動溝41、51により、ボール6の転動通路が形成されている。なお、このリニアガイドは、スライダ5にボール戻し路が形成されていないタイプである。
【0027】
図2において、ボール転動溝41を有する案内レール4の全体を、S58C相当の材料で形成した。ボール転動溝51を含むスライダ5の全体を、S58C相当の材料で形成した。ボール6はSUJ2で形成した。ボール転動溝41、51の表面粗さは0.09μmとした。
【0028】
次に、ボール転動溝41、51の全表面に、以下の方法で、金属粉を含有する合成樹脂層を形成した。
フッ素樹脂粉末と、平均粒径0.03μmであるコバルト(Co)粒子およびニッケル(Ni)粒子の混合粉末と、界面活性剤と、をアルコールに均一に分散させた。この分散液を容器に入れ、容器内の分散液を撹拌しながら、この分散液に案内レール4とスライダ5を所定時間浸漬した。
次に、案内レール4とスライダ5を分散液中から取り出し、大気中で200℃の加熱処理を行った。その結果、コバルト粒子とニッケル粒子が均一に分散されている厚さ1.8μmのフッ素樹脂層が、案内レール4とスライダ5の全表面に形成された。
【0029】
得られた案内レール4とスライダ5を用いてリニアガイドを組み立てた。
【0030】
得られたリニアガイドを用いて、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を行い、噴霧時間48時間までの耐食性を調べた。上記実施例1のボール転動溝41、51の表面に所定のフッ素樹脂層を形成した場合にあっては、噴霧時間48時間を過ぎても錆が発生しなかった。
【0031】
〔比較例1〕
比較例1として、公知のレイデント処理を行うことにより、厚さ2.0μmのクロムめっき層を、案内レール4の全表面とスライダ5の全表面に形成した。
この案内レール4とスライダ5を用いてリニアガイドを組み立て、実施例1と同様に耐食性を調べた。その結果、噴霧時間12時間後に点錆が発生し、噴霧時間24時間後には全面に錆が発生した。
【0032】
以上より、実施例1の転動装置は比較例1に比べて、耐食性が顕著に向上したことが判った。
なお、実施例1において、案内レール4やスライダ5の全体をS58C相当の材料で形成したが、SCR420等の材料で形成してもよい。
【0033】
〔実施例2〕
図3は、実施例2に係るボールねじの一部断面図である。
図3に示すように、ねじ軸(第1部材)7と、ナット(第2部材)8と、ボール(転動体)9とから、ボールねじを構成した。ねじ軸7の外周面にはボール転動溝(軌道溝)71が螺旋状に形成され、ナット8の内周面にもボール転動溝(軌道溝)81が螺旋状に形成されている。
図3において、ボール転動溝71を有するねじ軸7の全体をSAE4150相当の材料で形成した。ボール転動溝81を含むナット8の全体をSAE4150相当の材料で形成した。ボール9はSUJ2で形成した。ボール転動溝71、81の表面粗さは0.06μmとした。
【0034】
次に、ボール転動溝71、81の全表面に、実施例1と同じ方法により、コバルト粒子とニッケル粒子が均一に分散されている厚さ1.8μmのフッ素樹脂層を形成した。
【0035】
得られたねじ軸7とナット8を用いてボールねじを組み立てた。その際、ねじ軸7とナット8との間にグリース10を充填し、ナット8の両端にシール部材82を設けて、ねじ軸7とナット8との間を塞いだ。
【0036】
得られたボールねじを用いて、結露雰囲気中での耐食性試験を行った。具体的には、環境試験装置内にボールねじを入れて装置内を相対湿度90%とし、3時間毎に温度を20℃と70℃に変えることを繰り返すことで、この環境試験装置内に結露を発生させた。その結果、90時間経過した後でも実施例2のボールねじに錆が発生しなかった。
【0037】
〔比較例2〕
比較例2として、公知のレイデント処理を行うことにより、厚さ2.0μmのクロムめっき層を、ねじ軸7の全表面とナット8の全表面に形成した。
このねじ軸7とナット8を用いてボールねじを組み立て、実施例2と同様に耐食性を調べた。その結果、24時間経過後には錆が発生していなかったが、48時間経過後に点錆が発生し、90時間経過後には全面に錆が発生した。
【0038】
〔評価:表面硬さとはく離の有無〕
実施例1のリニアガイドを用いて、合成樹脂層の表面硬さ(GPa)を変化させて、はく離の有無を調べた。表面硬さは、大気中での加熱処理温度と時間を変えることによって制御した。
表面硬さは塑性変形硬さを意味し、表面硬さの評価は、エリオニクス社製微小硬度計を用いて、押し込み荷重5mNの条件で、荷重−除荷曲線から求めた。このような10μ以下の合成樹脂層を測定では、母剤硬さの影響を回避できる微小硬度計を用いた。
はく離の評価は、接触応力1.5GPaの条件で走行試験を行い、1000km走行後のはく離の状況によって行った。
表1に、その結果を示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示すように、硬さが5GPaより大きいと剛性が高くなるため応力に対して変形しにくく、合成樹脂層の破壊が短時間で起こりやすくなることが判った。
【0041】
〔評価:等価弾性定数とはく離の有無〕
実施例1のリニアガイドを用いて、合成樹脂層の等価弾性定数を変化させて、はく離の有無を調べた。等価弾性定数は金属とフッ素樹脂層の配合比率を変えることによって制御した。
等価弾性定数の評価は、フィッシャー社製微小硬度測定装置を用いて行った。圧子の構成方法はシリコンの単結晶基板表面に1mNの荷重条件で押し込んだ深さが50nm〜60nmであるバーコビッチ圧子を使用した。
はく離の評価は、接触応力1.5GPaの条件で走行試験を行い、1000km走行後のはく離の状況によって行った。
表2に、その結果を示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、等価弾性定数が70未満であると弾性変形による接触面積が大きくなり、転がり抵抗が過大となるため好ましくない。逆に160GPa以上であるとやはり応力に対して変形しにくく破壊の要因となることが判った。
【0044】
以上により、表面硬さは5GPa未満であって、等価弾性定数は70GPa以上160GPa以下が好ましいことが判った。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の転動装置の一実施形態に係る軌道溝の一部断面図であって、金属粉3を含有する合成樹脂層2で被覆された軌道溝1の一部を示す。
【図2】実施例1に係るリニアガイドの一部断面図である。
【図3】実施例2に係るボールねじの一部断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 軌道溝
2 合成樹脂層
3 金属粉
4 案内レール
41 ボール転動溝
5 スライダ
51 ボール転動溝
6 ボール
7 ねじ軸
71 ボール転動溝
8 ナット
81 ボール転動溝
82 シール部材
9 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置において、
前記第1部材の転動溝および前記第2部材の転動溝の少なくともいずれかは、その少なくとも一部が、金属で形成され、かつ、金属粉を含有する合成樹脂層で被覆されていることを特徴とする転動装置。
【請求項2】
前記合成樹脂層は、フッ素樹脂からなる請求項1記載の転動装置。
【請求項3】
前記金属粉は、VA族元素、VIA族元素、VIIA族元素、およびVIII族元素のいずれかの金属からなる請求項1または2記載の転動装置。
【請求項4】
前記合成樹脂層の厚さは、0.5μm以上10μm以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の転動装置。
【請求項5】
前記合成樹脂層は、表面硬さが2GPa以上5GPa未満であって、等価弾性定数が70GPa以上160GPa以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の転動装置。
【請求項6】
前記金属で形成され、かつ金属粉を含有する合成樹脂層で被覆された転動溝の表面は無数の凹部を有し、前記金属粉の少なくとも一部が、当該凹部内に配置されてなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の転動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−327600(P2007−327600A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160182(P2006−160182)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】