説明

軸受構造

【課題】回転軸の軸心が傾いていても、基準側軸受部と調心側軸受部とを軸心が略一致する状態に組付けることができ、円滑且つ安定した回転が長期間継続して得られる軸受構造を提供する。
【解決手段】軸受構造を構成する左ワン7を軸方向に移動して、調心側軸受部9の支持リング9bに保持された球体9a…をクランク軸4の左側フランジ部4aに当接すると共に、支持リング9bを左ワン7の球状面に沿って円周方向に変位させ、支持リング9bに保持された全球体9a…の軸受中心を、基準側軸受部8で軸受されたクランク軸4の軸心と略一致する状態に自動的に調心して、円滑且つ安定した回転が得られる状態に軸受する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自転車を構成するクランク軸やハンドル軸、ハブ軸、ペダル軸、或いは、機械や機構を構成する回転軸等を軸受するために用いられる軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の軸受構造としては、例えば自転車を構成するハンガ部のハンガラグ両端部に右ワン及び左ワンを固定し、その右ワン及び左ワンに組み込まれたベアリングでクランク軸を回転可能に軸受する特許文献1の軸受構造がある。
【0003】
しかし、上述のハンガラグに固定されるワンの組付け精度が低いと、クランク軸の軸心に対して、ワンに組み込まれたベアリングの回転中心が傾いた状態に取り付けられてしまい、ベアリングを構成する一部の球体に付与される回転抵抗及び接触抵抗が大きくなるため、クランク軸の回転が悪くなる。また、回転時に発生する騒音が大きく、クランク軸の回転時に発生する振動や衝撃等が原因で緩みが生じやすく、故障や破損、事故、怪我等が起きることがある。
【0004】
また、クランク軸を複数の球体で直接軸受する軸受構造の場合、クランク軸の軸心に対して、ワン内部に保持された全球体の軸受中心が傾いた状態に組み付けられると、一部の球体に対してクランク軸の回転応力がダイレクトに付与されるため、破損や損傷等が球体に発生しやすく、円滑且つ安定した回転を長期間得ることが難しい。また、左右一対のベアリングとクランク軸とをユニット化して組付けた場合、軸受構造を構成する部品数及び組付け工数が多くなり、組み付け作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、製造コストが高くなる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−300494
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記問題に鑑み、調心側軸受部の可動部材を軸方向に移動させて、該調心側軸受部を基準側軸受部の軸心と略一致する状態に自動的に調心することにより、回転軸の軸心が傾いていても、基準側軸受部と調心側軸受部とを軸心が略一致する状態に組付けることができ、円滑且つ安定した回転が長期間継続して得られる軸受構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明の軸受構造は、筒状部内部に取り付けた一対の軸受部で回転軸を軸受する軸受構造であって、上記一方の基準側軸受部で上記回転軸を変位可能に軸受し、上記他方の調心側軸受部を、上記筒状部内面と回転軸外面との間に可動部材と、支持部材と、複数の球体とを介在して構成し、上記可動部材と支持部材との対向面を、上記回転軸の軸心を中心とする略同一半径でもって滑らかな球状面に形成し、上記球体が保持される支持部材の周面を、上記回転軸の軸心を中心とする半径でもって滑らかな球状面に形成し、上記支持部材を、上記筒状部内面又は回転軸外面に設けた当接部に対して上記球体が当接される方向に移動可能に設け、該支持部材を上記可動部材の球状面に沿って円周方向に変位可能に設けると共に、上記球体を当接部に当接したときに生じる応力により、上記支持部材を可動部材の球状面に沿って円周方向に変位させ、該支持部材に保持された全球体の軸受中心を、上記基準側軸受部に軸受された回転軸の軸心と略一致する状態に調心することを特徴とする。
【0008】
上述の筒状部は、例えばハンドル軸が軸受されるヘッドラグ、ハブ軸が軸受されるハブ、ペダル軸が軸受されるペダル本体、機械や機構を構成する回転軸が軸受される部品等で構成することができる。また、回転軸は、例えばハンドル軸、ハブ軸、ペダル軸、機械や機構を構成する回転軸等で構成することができる。
【0009】
つまり、筒状部内部に固定した一対の軸受部で回転軸を軸受するとき、調心側軸受部の可動部材を軸方向に移動させて、支持部材に保持された球体を、筒状部内面又は回転軸外面に設けた当接部に当接すると共に、その当接時に生じる応力により、支持部材を可動部材の球状面に沿って円周方向に変位させ、調心側軸受部の支持部材に保持された全球体の軸受中心を、基準側軸受部で軸受した回転軸の軸心と略一致する状態に自動的に調心する。
【0010】
また、実施例の右ワン、左ワンの球当り部のみを焼入れした部材を圧入等して軸受する構造もあるが、本願発明の軸受構造は、その構造とは大きく異なる。
【0011】
請求項2に記載した発明の軸受構造は、上記請求項1記載の構成と併せて、上記調心側軸受部を、上記筒状部内面に取り付けられる可動部材と、上記回転軸周面に押し当てられる球体との間に上記支持部材を変位可能に介在して構成したことを特徴とする。つまり、支持部材を、筒状部内面に取り付けた可動部材の内側球状面に沿って変位させ、調心側軸受部を基準側軸受部の軸心と略一致する状態に調心する。
【0012】
請求項3に記載した発明の軸受構造は、上記請求項1記載の構成と併せて、上記調心側軸受部を、上記回転軸外面に取り付けられる可動部材と、上記筒状部内面に押し当てられる球体との間に上記支持部材を変位可能に介在して構成したことを特徴とする。つまり、支持部材を、回転軸外面に取り付けた可動部材の外側球状面に沿って変位させ、調心側軸受部を基準側軸受部の軸心と略一致する状態に調心する。
【0013】
請求項4に記載した発明の軸受構造は、上記請求項1,2又は2に記載の構成と併せて、上記球体が当接される凸状の段部を、該球体が保持される支持部材の一端側周面に設けたことを特徴とする。
【0014】
つまり、支持部材に保持された球体を、筒状部内面又は回転軸外面の当接部に当接したとき、当接回避された球体が支持部材の球状面に沿って抵抗の小さい方へ移動しようとするが、支持部材の段部に球体が当接し、球体と支持部材とを一体的に変位する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、軸受構造を構成する調心側軸受部の可動部材を軸方向に移動して、支持部材に保持された球体を当接部に当接したときに生じる応力で、支持部材を可動部材の球状面に沿って円周方向に変位させ、調心側軸受部を基準側軸受部の軸心と略一致する状態に自動的に調心するので、回転軸の軸心が傾いていても、基準側軸受部と調心側軸受部とを軸心が略一致する状態に組付けることができ、組付け精度及び軸受精度が向上する。また、回転軸の回転時において、ガタ付きや振動等が発生せず、支持部材に保持された全球体が略均等に当接されるため、回転軸に付与される回転抵抗が小さくなり、円滑且つ安定した回転が長期間継続して得られる。
【0016】
また、回転軸の回転が安定するため、軸受構造の緩み止め機能が損なわれず、応力が分散され偏荷重が付与されないので、緩みにくくなる。また、回転音が小さくなり、振動や緩み、応力集中による割れや破損等が原因となる故障や部品の紛失を回避することができる。
【0017】
また、左右一対の軸受部と回転軸とをユニット化したまま組付けるよりも、軸受構造を構成する部品数が少なく、組付け工数が大幅に削減されるため、組み付け作業が簡単且つ容易に行える。
【0018】
また、調心が不要となるように軸受部の組付け精度を高くする作業及び工程が省け、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、回転軸の軸心が傾いていても、基準側軸受部と調心側軸受部とを軸心が略一致する状態に組付けることができ、円滑且つ安定した回転が長期間継続して得られるという目的を、軸受構造を構成する調心側軸受部の可動部材を軸方向に移動させて、該調心側軸受部を基準側軸受部の軸心と略一致する状態に自動的に調心することで達成した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
【0021】
図1は自転車1の左側面図を示し、フレーム本体2の下部中央に設けたハンガ部3にクランク軸4を変位可能に挿入し、ハンガ部3両端部に突出するクランク軸4の左右端部に左右一対のクランクアーム5,5を固定する。
【0022】
上述のハンガ部3に組み込まれる軸受構造は、図2、図4、図5にも示すように、ハンガラグ3aの右端部に右ワン6を螺入し、クランク軸4をハンガラグ3aの左端部から挿入し、ハンガラグ3aの左端部に左ワン7を螺入して、クランク軸4を右ワン6内部に組み込まれた右側軸受部8と、左ワン7内部に組み込まれた左側軸受部9とで軸受し、左ワン7の左端部にワッシャ10を介して締付けナット11を螺着する。
【0023】
上述の軸受部8は、複数の球体8a…を、受けリング8bと受けリング8cとの対向面間に変位可能に保持してなるベアリングで構成され、クランク軸4の右側外周面に固定された受けリング8bを、該外周面に形成したフランジ部4aに当接し、右ワン6内周面に固定された受けリング8cを、右ワン6内周面に形成した段部6aに当接して、クランク軸4の右端部を変位可能に軸受する。
【0024】
前述の軸受部9は、図3、図4にも示すように、複数の球体9a…を、クランク軸4の左側外周面に形成したフランジ部4aと、略碗形状に形成した支持リング9bとの対向面間に変位可能に保持し、支持リング9bを、左ワン7内周面に変位可能に保持して、クランク軸4の左端部を変位可能に軸受する。
【0025】
且つ、左ワン7の内周面と支持リング9bの外周面とを、クランク軸4の軸芯を中心とする略同一半径でもって滑らかな略球面形状に形成し、左ワン7及び支持リング9bの相互を、クランク軸4の軸芯を中心として前後及び左右の全周方向に変位可能に組み付けている。
【0026】
また、球体9a…の外周面に生じる接触抵抗及び接触面積よりも、左ワン7と支持リング9bとの対向面に生じる接触抵抗及び接触面積が大きく、クランク軸4の回転時において、支持リング9bが同一方向に回転又は連れ回りするのを防止することができる。
【0027】
且つ、球体9a…が保持される支持リング9bの内周面を、クランク軸4の軸芯を中心とする半径でもって滑らかな略球面形状に形成し、支持リング9bの一端側内周面(小径側又は大径側)に形成した凸状の段部9cを、球体9a…が保持される球状周面よりも小径に形成している。
【0028】
一方、左ワン7の左端部に取り付けられるワッシャ10は、任意の位置でも叩打変形や曲げ変形等が可能な厚みに形成され、ハンガラグ3aの左端部に突出する左ワン7のネジ部7aに取り付けたとき、ワッシャ10の内周縁部に形成した複数(又は一つ)の係止片10a…は、左ワン7の左端部に形成した複数(又は一つ)の係止溝7b…に係止する。また、ワッシャ10なしで組付けることもできる。
【0029】
上述の係止溝7b…は、ワッシャ10と締付けナット11の厚みを加算した深さであって、治具の回動操作が許容される以上の溝深さに形成して、ワッシャ10の係止片10aを係合許容する。
【0030】
また、ワッシャ10の環状部10bを右側へ突出するように変形させて形成した突起10cは、ハンガラグ3aの左端部に形成した係止溝3bに係合する。
【0031】
上述のワッシャ10に続いて左ワン7の左端部に取り付けられる締付けナット11は、ハンガラグ3aの左端部に突出する左ワン7のネジ部7aに螺着され、ワッシャ10の環状部10bを左側へ突出するように変形させて形成した突起10dは、締付けナット11の外周部に形成した複数(又は一つ)の凹部11a…に係合する。
【0032】
この後、図1に示すように、左右一対のクランクアーム5,5を、ハンガラグ3aの両端部に突出するクランク軸4の左右端部に固定する。また、プラスチック製や金属製のカバーをハンガ部3の一端又は両端に取り付けて、例えば泥や水等の異物が浸入及び付着するのを防止することもできる。
【0033】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、本発明の軸受構造により、自転車1を構成するフレーム本体2のハンガ部3にクランク軸4を変位可能に軸受する方法を説明する。
【0034】
先ず、図2、図3、図5に示すように、ハンガ部3を構成するハンガラグ3aの右端部に右ワン6を螺入し、クランク軸4をハンガラグ3aの左端部から挿入し、右ワン6内部に組み込まれた軸受部8でクランク軸4の右端を軸受して、軸受部8が基準となるように位置決めする。
【0035】
次に、ハンガラグ3aの左端部に左ワン7を螺入し、左ワン7内部に組み込まれた軸受部9でクランク軸4の左端を軸受する。左ワン7の組付け精度が高く、クランク軸4と左ワン7との軸心が一致する場合、左ワン7を治具により締込み方向に回動操作すると、クランク軸4の左側フランジ部4aに対して支持リング9bに保持された全球体9a…が略均等に当接され、図4に示すように、円滑且つ安定した回転が得られる状態に軸受することができる。
【0036】
また、図7に示すように、ハンガラグ3aの左端部に螺着される左ワン7の組付け精度が低く、クランク軸4の軸心に対して左ワン7が傾いた状態に取り付けられる場合、左ワン7を治具により締込み方向に回動操作して、支持リング9bに保持された一部の球体9a…を、クランク軸4の左側フランジ部4aに先行して当接する。
【0037】
且つ、当接回避された球体9a…をクランク軸4の左側フランジ部4aに当接される方向に向けて移動させると共に、支持リング9bを左ワン7の内側球状面に沿って円周方向に変位させ、調心側軸受部9の支持リング9bに保持された全球体9a…の軸受中心を、基準側軸受部8で軸受されたクランク軸4の軸心と略一致する状態に自動的に調心させ、クランク軸4の左側フランジ部4aに対して支持リング9bに保持された全球体9a…を略均等に当接する。
【0038】
また、支持リング9bに保持された球体9a…を、クランク軸4の左側フランジ部4aに当接したとき、当接回避された球体9a…が支持リング9bの球状面に沿って抵抗の小さい方へ移動しようとするが、球体9a…が支持リング9bの段部9cに当接するため、球体9a…と支持リング9bとが一体的に回転し、最適な保持位置を保ちながら自動的に調心される。
【0039】
次に、ハンガラグ3a左端部に突出する左ワン7のネジ部7aに取り付けたワッシャ10の係止片10a…を、左ワン7の係止溝7b…に係止し、ワッシャ10の環状部10bを右側へ突出するように変形させて形成した突起10cを、ハンガラグ3aの係止溝3bに係合し、ワッシャ10の環状部10bを左側へ突出するように変形させて形成した突起10dを、締付けナット11の凹部11a…に係止して、図6に示す状態に組み付ける。
【0040】
以上のように、左ワン7を締付け方向に回動操作して、支持リング9bに保持された球体9a…をクランク軸4の左側フランジ部4aに当接したときに生じる応力で、支持リング9bを左ワン7の球状面に沿って円周方向に変位させ、調心側軸受部9を基準側軸受部8の軸心と略一致する状態に自動的に調心するので、左ワン7を締め込むことにより、クランク軸4の軸心が傾いていても、基準側軸受部8と調心側軸受部9とを軸心が略一致する状態に組付けることができ、組付け精度及び軸受精度が向上する。
【0041】
また、クランク軸4の回転時において、ガタ付きや振動等が発生せず、支持リング9bに保持された全球体9a…がクランク軸4の左側フランジ部4aに対して略均等に当接されるため、クランク軸4に付与される回転抵抗が小さくなり、円滑且つ安定した回転が長期間継続して得られる。
【0042】
また、クランク軸4の回転が安定するため、軸受構造の緩み止め機能が損なわれず、応力が分散され偏荷重が付与されないので、緩みにくくなる。また、回転音が小さくなり、振動や緩み、割れ、破損等が原因となる故障や部品の紛失を回避することができる。
【0043】
また、クランク軸4と一対の軸受部6,7とをユニット化したまま組付けるよりも、軸受構造を構成する部品数が少なく、組付け工数が大幅に削減されるため、組み付け作業が簡単且つ容易に行える。
【0044】
また、調心が不要となるように左ワン7の組付け精度を高くする作業及び工程が省け、製造コストの低減を図ることができる。
【0045】
図8は、ベアリング型を有する軸受部8の代わりに、複数の球体6b…を、クランク軸4の右側フランジ部4aと右ワン6とで変位可能に保持した軸受構造の他の例を示し、クランク軸4を左右一対の軸受部8,9で軸受するため、上述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。なお、上述の実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0046】
図9は、自転車1を構成するフレーム本体2のハブ部20にハブ軸21を変位可能に軸受する軸受構造のその他の例を示し、ハブ軸21外面に取り付けた球押しリング22を軸方向に移動して、支持リング23に保持された球体24…をハブ本体25の内周面に当接すると共に、支持リング23を球押しリング22の外側球状面に沿って変位させ、支持リング23に保持された全球体24…の軸受中心を、ハブ軸21の軸心と略一致する状態に自動的に調心するので、上述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、支持リング23をハブ本体25の内周面に組み付けてもよい
【0047】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の筒状部は、実施例のハンガ部3、ハブ部20に対応し、
以下同様に、
回転軸は、クランク軸4、ハブ軸21に対応し、
可動部材は、左ワン7、球押しリング22に対応し、
支持部材は、支持リング9b,23に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0048】
本発明の軸受構造を、例えばハンガ部3を構成するハンガラグ3aに固定した右ワン6と、軸受部8を構成する受けリング8cとの対向面を略球面形状に形成する等して構成することもできる。
【0049】
また、ハンガラグ3aの加工精度が高くても、フレーム本体2の各部を溶接するときに歪が必ず発生するが、そのような場合でも、本発明の軸受構造を用いれば上述の実施例と略同等の作用及び効果が効果が得られる。
【0050】
また、ハンドル部のヘッドラグに組み込まれる上ワン、下ワン、球押しリング等の球当り部分に用いても、上述の実施例と略同等の作用及び効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の軸受構造は、例えばヘッドラグに取り付けられるハンドル軸、前後のハブに取り付けられるハブ軸、ペダル本体が取り付けられるペダル軸、或いは、機械や機構を構成する回転軸等を軸受するのにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】自転車のハンガ部を示す側面図。
【図2】ハンガ部の分解状態を示す斜視図。
【図3】調心側軸受部の分解状態を示す斜視図。
【図4】調心側軸受部の軸受構造を示す拡大断面図。
【図5】調心側軸受部にベアリングを組み込んだ軸受構造を示す断面図。
【図6】ハンガ部の組み付け状態を示す斜視図。
【図7】調心側軸受部の調心状態を示す拡大断面図。
【図8】クランク軸を球体で直接軸受する軸受構造を示す断面図。
【図9】ハブ部のハブ軸を軸受する軸受構造を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0053】
1…自転車
3…ハンガ部
3a…ハンガラグ
4…クランク軸
4a…フランジ部
5…クランクアーム
6…右ワン
7…左ワン
8…軸受部
9…軸受部
9a,24…球体
9b,23…支持リング
9c…段部
20…ハブ部
21…ハブ軸
22…球押しリング
25…ハブ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部内部に取り付けた一対の軸受部で回転軸を軸受する軸受構造であって、
上記一方の基準側軸受部で上記回転軸を変位可能に軸受し、
上記他方の調心側軸受部を、上記筒状部内面と回転軸外面との間に可動部材と、支持部材と、複数の球体とを介在して構成し、
上記可動部材と支持部材との対向面を、上記回転軸の軸心を中心とする略同一半径でもって滑らかな球状面に形成し、
上記球体が保持される支持部材の周面を、上記回転軸の軸心を中心とする半径でもって滑らかな球状面に形成し、
上記支持部材を、上記筒状部内面又は回転軸外面に設けた当接部に対して上記球体が当接される方向に移動可能に設け、該支持部材を上記可動部材の球状面に沿って円周方向に変位可能に設けると共に、
上記球体を当接部に当接したときに生じる応力により、上記支持部材を可動部材の球状面に沿って円周方向に変位させ、該支持部材に保持された全球体の軸受中心を、上記基準側軸受部に軸受された回転軸の軸心と略一致する状態に調心する
軸受構造。
【請求項2】
上記調心側軸受部を、上記筒状部内面に取り付けられる可動部材と、上記回転軸周面に押し当てられる球体との間に上記支持部材を変位可能に介在して構成した
請求項1記載の軸受構造。
【請求項3】
上記調心側軸受部を、上記回転軸外面に取り付けられる可動部材と、上記筒状部内面に押し当てられる球体との間に上記支持部材を変位可能に介在して構成した
請求項1記載の軸受構造。
【請求項4】
上記球体が当接される凸状の段部を、該球体が保持される支持部材の一端側周面に設けた
請求項1,2又は3に記載の軸受構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−46501(P2006−46501A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228597(P2004−228597)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(391063710)株式会社山本製作所 (2)
【Fターム(参考)】