説明

軸受装置およびファン

【課題】60mm角や80mm角の大型のファンでは、十分な軸受性能を確保する必要がある。
【解決手段】軸受装置4は、略円筒状の軸受部72と軸受部の下部を閉塞するキャップ部材43と、内側に軸受部を保持する略円筒状のホルダ31と、軸受部に挿入されるシャフト41の下端部から径方向外方に広がるスラストプレート42を備え、前記ホルダは前記外周面よりも外径が大きい拡径部を備え、前記軸受部における前記拡径部よりも径方向内方の部位が、スラストプレートを内側に収容するプレートの外周面の直径が、前記軸受部のプレート収容部よりも上側の部位の外周面の直径よりも大きく、プレート収容部の前記外周面と内周面との間の幅が、前記上側の部位の外周面と内周面の間の幅よりも小さく、前記スラストプレートの上面と上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体動圧を利用する軸受装置およびファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な電子機器の筐体内部に電子部品を冷却するための冷却ファンが設けられる。実公平6−31199号公報に開示されるファンモータは、ケースと、ステータと、スリーブと、軸と、環状部材と、ロータと、複数の羽根と、を備える。ステータは、ケースの内筒の外周に設けられる。スリーブは、内筒内に嵌合して固定される。軸は、スリーブに挿入される。軸の外周面には、動圧発生用の溝が設けられる。環状部材は、軸の下端部に嵌合して固定される。環状部材は、スリーブの下面と軸方向に対向する。スリーブと軸との間およびスリーブと環状部材との間に潤滑流体が封入される。軸の上端部には、ロータが固定される。ロータの円筒状の取付部材の内周に磁石が固定され、磁石はステータと径方向に対向する。取付部材の外周には複数の羽根が固定される。ファンモータでは、軸およびスリーブによりラジアル動圧軸受が構成される。スリーブおよび環状部材によりスラスト動圧軸受が構成される。
【特許文献1】実公平6−31199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ファンに搭載される軸受装置として流体動圧を利用するものが用いられる場合、ファンの駆動時には、インペラに大きな揚力が作用するため、十分な流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部を構成する必要がある。特に、60mm角や80mm角の大型のファンでは、十分な軸受性能を確保する必要がある。
【0004】
本発明は、ファン等の用途において、軸受装置の軸受性能を向上することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な第1の側面に係る軸受装置は、略円筒状の軸受部と、前記軸受部の下部を閉塞するキャップ部材と、内側に前記軸受部を保持し、ステータ配置用の外周面を有する略円筒状のホルダと、前記軸受部に挿入されるシャフトと、前記シャフトの下端部から径方向外方に広がるスラストプレートと、を備え、前記ホルダは前記外周面よりも外径が大きい拡径部、を備え、前記軸受部における、前記拡径部よりも径方向内方の部位が、前記スラストプレートを内側に収容するプレート収容部、を備え、前記プレート収容部の外周面の直径が、前記軸受部の前記プレート収容部よりも上側の部位の外周面の直径よりも大きく、前記プレート収容部の前記外周面と内周面との間の幅が、前記上側の部位の前記外周面と内周面との間の幅よりも小さく、前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スラストプレートの上面と前記上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される。
【0006】
本発明の例示的な第2の側面に係る軸受装置は、ステータ固定用の外周面を有する略円筒状の軸受部と、前記軸受部の下部を閉塞するキャップ部材と、前記軸受部に挿入されるシャフトと、前記シャフトの下端部から径方向外方に広がるスラストプレートと、を備え、前記軸受部は、前記スラストプレートを内側に収容するプレート収容部、を備え、前記プレート収容部の外周面の直径が、前記軸受部の前記プレート収容部よりも上側の部位の外周面の直径よりも大きく、前記プレート収容部の前記外周面と内周面との間の幅が、前記上側の部位の前記外周面と内周面との間の幅よりも小さく、前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スラストプレートの上面と前記上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される。
【0007】
本発明の例示的な第3の側面に係る軸受装置は、ステータ固定用の外周面を有する略円筒状の軸受部と、前記軸受部の下部を閉塞するキャップ部材と、前記ステータ固定用の外周面よりも下側にて、前記軸受部の下部を保持するホルダと、前記軸受部に挿入されるシャフトと、前記シャフトの下端部から径方向外方に広がり、前記軸受部の前記下部に構成されるプレート収容部内に収容されるスラストプレートと、を備え、前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スラストプレートの上面と前記上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸受装置の軸受性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るファンを示す断面図である。
【図2】図2は、モータの一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図3は、モータの一部を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、モータの一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、スリーブの断面図である。
【図6】図6は、スリーブの底面図である。
【図7】図7は、スラストキャップの平面図である。
【図8】図8は、他の例に係るモータの断面図である。
【図9】図9は、さらに他の例に係るモータの断面図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係るファンの断面図である。
【図11】図11は、モータの一部を拡大して示す断面図である。
【図12】図12は、他の例に係るモータの断面図である。
【図13】図13は、第3の実施形態に係るファンの断面図である。
【図14】図14は、他の例に係るモータの断面図である。
【図15】図15は、第4の実施形態に係るファンの断面図である。
【図16】図16は、他の例に係るモータの断面図である。
【図17】図17は、第5の実施形態に係るファンの断面図である。
【図18】図18は、他の例に係るモータの断面図である。
【図19】図19は、第6の実施形態に係るファンの断面図である。
【図20】図20は、他の例に係るモータの断面図である。
【図21】図21は、さらに他の例に係るモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る軸流ファン1の断面図である。以下、軸流ファン1を単に「ファン1」という。ファン1は、サーバ等の電子機器の冷却ファンとして利用される。ファン1は、モータ11と、インペラ12と、ハウジング13と、複数の支持リブ14と、ベース部15と、を備える。ハウジング13は、インペラ12の外周を囲む。ハウジング13は、支持リブ14を介してベース部15に接続される。複数の支持リブ14は、周方向に配列される。ベース部15は、支持リブ14と一繋がりの部材である樹脂製の部材である。ベース部15上には、モータ11が固定される。
【0012】
インペラ12は樹脂製であり、有蓋略円筒状のカップ121と、複数の翼122と、を有する。カップ121は、モータ11の外側を覆う。カップ121は、後述のモータ11の回転部2の一部を兼ねている。カップ121は、天面部123と、側壁部124と、を有する。天面部123は、中心軸J1に略垂直に広がる環状の部位である。側壁部124は、天面部123の外縁部から下方に延びる略円筒状の部位である。複数の翼122は、中心軸J1を中心として側壁部124の外周面から径方向外方に延びる。翼122は周方向に等間隔で配置される。カップ121および複数の翼122は樹脂の射出成型により一繋がりの部材として構成される。
【0013】
天面部123の上面には、穴部125が設けられる。穴部125には錘129が配置される。錘129は、タングステン等の比重が大きい金属が含有された接着剤である。側壁部124の下端部124aの径方向内側においても、錘129が配置される。インペラ12の上部および下部に錘129が配置されることにより、インペラ12およびモータ11の回転部2のアンバランスを低減することができる。このように、二面バランス修正が行われることにより、インペラ12およびモータ11の重心の中心軸J1からのずれによるファン1の振動を抑制することができる。以下、錘129が配置される側壁部124の下端部124aおよび穴部125を「バランス修正部124a,125」という。なお、回転部2のアンバランスが小さい場合は、バランス修正を行わなくてもよい。すなわち、回転部2のアンバランスが小さい場合は、錘129を、バランス修正部124a,125に配置しなくてもよい。または、バランス修正部124aまたは125のどちらか一方に、錘129を配置してもよい。
【0014】
ファン1では、モータ11によりインペラ12が中心軸J1を中心として回転されることにより、上方から下方に向かってエアの流れが発生する。
【0015】
モータ11は、アウタロータ型の3相モータである。モータ11は、回転部2と、静止部3と、潤滑油40の流体動圧を発生する軸受装置である軸受機構4と、を有する。回転部2は、略円筒状の金属製のヨーク21と、ロータマグネット22と、カップ121と、を有する。ヨーク21は、カップ121の内側に固定される。ロータマグネット22は、ヨーク21の内周面に固定される。なお、磁性体であるヨーク21と樹脂製のカップ121とは、インサート成型により一体的に形成されてもよい。回転部2は、軸受機構4を介して中心軸J1を中心に、静止部3に対して回転可能に支持される。
【0016】
静止部3は、ステータ32と、回路基板33と、を有する。ステータ32は、ロータマグネット22の径方向内側に位置する。ステータ32は、ステータコア321と、ステータコア321上に形成された複数のコイル322と、を有する。ステータコア321は、積層鋼板にて形成される。
【0017】
ステータ32の下方に、回路基板33が配置される。回路基板33に挿入された図示省略のピンにコイル322からの引出線が取り付けられることにより、ステータ32と回路基板33とが電気的に接続される。コイル322の引出線は、直接回路基板33に接続されてもよい。モータ11の駆動時には、ロータマグネット22とステータ32との間にて回転力が発生する。
【0018】
回路基板33の上面には、環状の磁性部材331が配置される。磁性部材331は、ロータマグネット22の下方に位置する。モータ11の静止時において、ステータ32の磁気中心の軸方向の位置が、ロータマグネット22の磁気中心の軸方向の位置よりも下方に位置する。ファン1では、ロータマグネット22とステータ32との間およびロータマグネット22と磁性部材331との間にて、ロータマグネット22を下方に吸引する磁気吸引力が生じる。これにより、ファン1の回転時に、インペラ12が、静止部3に対して浮上する力を低減することができる。
【0019】
軸受機構4は、ホルダ31と、シャフト41と、環状のスラストプレート42と、キャップ部材であるスラストキャップ43と、軸受部441と、ブッシング25と、潤滑油40と、を有する。なお、シャフト41、スラストプレート42およびブッシング25は、回転部2の一部と捉えてもよい。ホルダ31、軸受部441およびスラストキャップ43は、静止部3の一部と捉えてもよい。以下の他の形態においても同様である。
【0020】
図2は、軸受機構4の下部近傍を拡大して示す断面図である。ホルダ31は中心軸J1を中心とする略円筒状の金属製の部材であり、内側に軸受部441を保持する。ホルダ31の下部は、ベース部15の中央の孔部に固定される。なお、金属製のホルダ31と樹脂製のベース部15とは、インサート成型により一体的に形成されてもよい。ホルダ31は、拡径部311と、ステータ固定部312と、を有する。拡径部311は、ステータ固定部312の下側に位置する。拡径部311の外径は、ステータ固定部312の外周面312aの直径よりも大きい。拡径部311は、環状部313と、下筒部314と、を備える。環状部313は、中心軸J1を中心とする略円環状であり、ステータ固定部312の外周面312aの下部から径方向外方に向かう。下筒部314は、中心軸J1を中心とする円筒状であり、環状部313から下方に向かって延びる。ステータコア321は、拡径部311の上側に位置する。ステータコア321の径方向内側の部位が、ステータ固定部312の外周面312aに固定される。また、当該部位は、環状部313の上面313a、すなわち、法線が上方を向く面に軸方向に当接する。
【0021】
図1に示すブッシング25は、中心軸J1を中心とする略環状であり、金属にて形成される。軸受部441の上側にてシャフト41の上部が、ブッシング25に固定される。ブッシング25の外周面には、インペラ12の天面部123が取り付けられる。ブッシング25の外径は、ステータ固定部312の内径よりも小さい。スラストプレート42は、シャフト41の下端部から径方向外方に広がる。図2に示すように、スラストプレート42とシャフト41との間には、軸方向に延びる連通孔421aが構成される。スラストキャップ43は、スラストプレート42の下側にて軸受部441の下部を閉塞する。
【0022】
図1に示すように、軸受部441は、筒形状のスリーブ45と、スリーブ45の外周面を覆う略円筒状の軸受ハウジング46と、を有する。スリーブ45は金属の焼結体であり、スリーブ45には潤滑油40が含浸されている。シャフト41は、スリーブ45の内側に挿入される。スリーブ45の下面は、中心軸J1に垂直な環状の面であり、スラストプレート42の上面と軸方向に対向する。スリーブ45の下部451は径方向外方に突出し、下部451の外径は、スリーブ45の下部451よりも上側の部位452の外径よりも大きい。以下、下部451を「スリーブ下部451」という。部位452を「スリーブ上部452」という。スラストプレート42の外径は、スリーブ上部452の外径よりも大きい。
【0023】
軸受ハウジング46は、環状上部461と、スリーブ保持部462と、ハウジング下部463と、を備える。環状上部461は、スリーブ45の上側にて径方向に広がる略環状の部位である。スリーブ保持部462は、環状上部461の外縁部から下方に延びる略円筒状であり、スリーブ上部452を保持する。軸受ハウジング46の下部である略円筒状のハウジング下部463は、スリーブ保持部462の下側にてスリーブ45よりも下方に延びる。ハウジング下部463は、スラストプレート42の外周面を覆う。
【0024】
軸受部441では、ハウジング下部463およびスリーブ下部451によりスラストプレート42を内側に収容するプレート収容部71が構成される。以下、スリーブ保持部462およびスリーブ上部452、すなわち、軸受部441においてプレート収容部71の上側の部位を「軸受中央部72」と呼ぶ。
【0025】
図2に示すように、プレート収容部71は、ホルダ31の下筒部314の径方向内側に位置する。スリーブ保持部462とハウジング下部463との間には、下方に向かって拡径する段差部464が設けられ、段差部464とホルダ31の環状部313とが軸方向に当接する。
【0026】
プレート収容部71の内周面71b、すなわち、ハウジング下部463の内周面の直径は、スリーブ保持部462の内周面の直径よりも大きい。プレート収容部71の外周面71a、すなわち、ハウジング下部463の外周面の直径は、軸受中央部72の外周面72a、すなわち、スリーブ保持部462の外周面の直径よりも大きい。プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅は、軸受中央部72の内周面72b、すなわち、スリーブ45の内周面と軸受中央部72の外周面72aとの間の幅よりも小さい。
【0027】
図3に示すように、環状上部461の内周面461aは、下方に向かって径方向内方へと傾斜する。環状上部461の内周面461aとシャフト41の外周面との間には、上方に向かって径方向の幅が漸次増大する1つのシール間隙55が構成される。シール間隙55は、中心軸J1を中心とする環状である。シール間隙55では、毛管現象を利用して潤滑油40を保持するシール部55aが構成される。シール間隙55には、潤滑油40の界面が位置する。シール間隙55は、多くの潤滑油40を保持するオイルバッファとしての役割も果たす。
【0028】
図4に示すように、スリーブ45の内周面とシャフト41の外周面との間にラジアル間隙51が構成される。ラジアル間隙51は、図3のシール間隙55の下側に位置する。スリーブ45の外周面には軸方向に延びる縦溝が設けられている。当該縦溝を規定する面とスリーブ保持部462の内周面とによって、循環孔56が構成される。スラストプレート42の上面とスリーブ45の下面との間に間隙52が構成される。以下、間隙52を「第1スラスト間隙52」という。スラストプレート42の下面とスラストキャップ43の上面との間に間隙54が構成される。以下、間隙54を「第2スラスト間隙54」という。第1スラスト間隙52および第2スラスト間隙54の軸方向における幅の和は、10μm以上40μm以下である。スラストプレート42の外周面とハウジング下部463の内周面との間に間隙53が構成される。以下、間隙53を「側部間隙53」という。
【0029】
モータ11では、図3のシール間隙55、ラジアル間隙51、第1スラスト間隙52、側部間隙53、および、第2スラスト間隙54が互いに繋がった1つの袋構造5をなし、袋構造5に潤滑油40が連続して存在する。袋構造5では、シール間隙55のみに潤滑油40の界面が形成される。
【0030】
モータ11の駆動時には、ラジアル間隙51、第1スラスト間隙52、循環孔56、および、図3の環状上部461の下面とスリーブ45の上面との間の間隙により構成される経路を潤滑油40が循環する。さらに、第1スラスト間隙52、側部間隙53、第2スラスト間隙54および連通孔421aにより構成される経路においても潤滑油40が循環する。
【0031】
図3に示すように、シャフト41の上部に固定されたブッシング25の下面と環状上部461の上面との間には中心軸J1に垂直な方向に広がる横間隙501が構成される。ブッシング25の外周面とホルダ31の内周面の上部との間には、軸方向に広がる縦間隙502が構成される。横間隙501の軸方向の幅および縦間隙502の径方向の幅は、200μm以下であり、より好ましくは、100μm以下である。シール間隙55は、横間隙501および縦間隙502を介して外部空間に連絡する。ここでの外部空間とは、図1のステータ32の上方の空間を指す。横間隙501および縦間隙502が設けられることにより、シール部55aから気化した潤滑油を含む空気が、軸受機構4の外部へと移動することが抑制される。その結果、軸受機構4内の潤滑油40の蒸発を抑制することができる。
【0032】
図5はスリーブ45の縦断面図である。スリーブ45の内周面の上部および下部には、ヘリングボーン形状の第1ラジアル動圧溝列491および第2ラジアル動圧溝列492が設けられる。図4に示すラジアル間隙51の上部では、第1ラジアル動圧溝列491により、潤滑油40に対してラジアル方向に流体動圧を発生する上ラジアル動圧軸受部681が構成される。ラジアル間隙51の下部では、第2ラジアル動圧溝列492により、下ラジアル動圧軸受部682が構成される。以下、上ラジアル動圧軸受部681および下ラジアル動圧軸受部682をまとめて「ラジアル動圧軸受部68」という。軸方向において、ラジアル動圧軸受部68は、図1の2つのバランス修正部124a,125の間に位置する。また、径方向において、上ラジアル動圧軸受部681は、モータ11の回転部2およびインペラ12の重心と重なる。
【0033】
図6はスリーブ45の底面図である。スリーブ45の下面には、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝列493が設けられる。図7は、スラストキャップ43の平面図である。スラストキャップ43の上面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝列494が設けられる。図4に示す第1スラスト間隙52において、第1スラスト動圧溝列493により潤滑油40に対してアキシャル方向の流体動圧を発生する第1スラスト動圧軸受部691が構成される。また、第2スラスト間隙54において、第2スラスト動圧溝列494により第2スラスト動圧軸受部692が構成される。
【0034】
モータ11の駆動時には、ラジアル動圧軸受部68によりシャフト41がラジアル方向に支持される。第1スラスト動圧軸受部691および第2スラスト動圧軸受部692により、袋構造5の底部の上方に存在するスラストプレート42がスラスト方向に支持される。その結果、図1の回転部2およびインペラ12が静止部3に対して回転可能に支持される。
【0035】
以上、第1の実施形態に係るファン1について説明したが、軸受機構4では、プレート収容部71の外周面71aが、軸受中央部72の外周面72aよりも径方向外方に位置し、かつ、プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅が、軸受中央部72の外周面72aと内周面72bとの間の幅よりも小さい。これにより、プレート収容部71の内側の空間を径方向に広くすることができ、プレート収容部71に収容されるスラストプレート42の外径を大きくすることができる。特に、径方向において、軸受中央部72の外径が、プレート収容部71の内径と、ほぼ同じであることにより、スラストプレート42の外径をより大きくすることができる。
【0036】
その結果、第1スラスト間隙52および第2スラスト間隙54に十分な流体動圧を発生する第1スラスト動圧軸受部691および第2スラスト動圧軸受部692を構成することができ、軸受機構4の軸受性能を向上することができる。軸受機構4の軸受性能が向上することにより、大型のファンであっても、軸受機構4によりインペラおよび回転部を十分に支持することができる。また、ファン1を高速回転することができ、ファン1から送出される風量を増大することができる。その結果、電子機器を効率よく冷却することができる。スリーブ45のスリーブ下部451のみが径方向外方に突出することにより、スリーブ45全体を大きくすることなく、スラストプレート42と軸方向に対向する面を大きくすることができる。
【0037】
ブッシング25の外径がホルダ31のステータ固定部312の内径よりも小さいため、軸受機構4の組み立て時にシャフト41の上部にブッシング25を固定することにより、横間隙501および縦間隙502を構成することができ、軸受機構4とファン1の他の部材とを組み立てる際に、軸受機構4内に埃が進入することが防止される。
【0038】
軸受機構4では、図8に示すように、スリーブ45が2つの部材にて構成されてもよい。スリーブ45は、上側スリーブ453と、下側スリーブ454と、を備える。スリーブ45において、上側スリーブ453は、図1に示すスリーブ45のスリーブ上部452に対応する部材であり、下側スリーブ454は、スリーブ下部451に対応する部材である。上側スリーブ453の内周面とシャフト41の外周面との間に構成されるラジアル間隙51にラジアル動圧軸受部68が構成される。下側スリーブ454は、上側スリーブ453の下部に固定される。下側スリーブ454の外径は、上側スリーブ453の外径よりも大きい。スラストプレート42の外径は、上側スリーブ453の外径よりも大きい。下側スリーブ454の下面とスラストプレート42の上面との間に構成されるスラスト間隙52に第1スラスト動圧軸受部691が構成される。スリーブ45が2つの部材にて構成されることにより、スリーブ45を容易に形成することができる。
【0039】
図9は、軸受機構4の他の例を示す図である。ホルダ31の拡径部311および軸受部441のプレート収容部71は、回路基板33よりも下方に位置する。拡径部311の環状部313の上面313aには、回路基板33の径方向内側の部位が軸方向に当接する。他の構造は、図2の軸受機構4と同様である。ファン1では、回路基板33の下側に存在する部材の数が少ないため、プレート収容部71を径方向外方に大きくする設計を比較的容易に行うことができる。その結果、スラストプレート42の外径をより大きくすることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係るファン1aを示す図である。軸受機構4aは、ステンレス鋼やりん青銅等の金属により形成された1つのスリーブである軸受部442、を備える。軸受部442は、ホルダ31のステータ固定部312の内周面に固定される。軸受部442は、軸受上部471と、軸受下部472と、を備える。シャフト41は、軸受上部471に挿入される。軸受上部471の下端部473の下面474、すなわち、法線が下方を向く面は、中心軸J1を中心とする環状であり、スラストプレート42の上面と軸方向に対向する。軸受下部472は中心軸J1を中心とする略円筒状であり、軸受上部471から下方に延びる。軸受下部472は、スラストプレート42の外周面を覆う。軸受機構4aでは、軸受上部471の下端部473および軸受下部472により、スラストプレート42を内側に収容するプレート収容部71が構成される。
【0041】
図11に示すように、プレート収容部71の内周面71b、すなわち、軸受下部472の内周面の直径は、軸受上部471の内周面71bの直径よりも大きい。プレート収容部71の外周面71a、すなわち、軸受下部472の外周面の直径は、プレート収容部71よりも上側の部位である軸受上部471の外周面471aの直径よりも大きい。プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅は、軸受上部471の外周面471aと内周面471bとの間の幅よりも小さい。軸受上部471と軸受下部472との間には、下方に向かって拡径する段差部475が設けられ、段差部475の上面がホルダ31の環状部313と軸方向に当接する。ファン1aの他の構造は、第1の実施形態に係るファン1と同様である。
【0042】
軸受上部471の下面474には、図6と同様の第1スラスト動圧溝列493が設けられ、下面474とスラストプレート42の上面との間に構成される第1スラスト間隙52にスラストプレートをアキシャル方向に支持する第1スラスト動圧軸受部691が構成される。また、スラストキャップ43の上面には、図7と同様の第2スラスト動圧溝列494が設けられ、スラストキャップ43とスラストプレート42との間の第2スラスト間隙54に第2スラスト動圧軸受部692が構成される。
【0043】
軸受部442の内周面には、図5と同様に第1ラジアル動圧溝列491および第2ラジアル動圧溝列492が設けられ、軸受部442の内周面とシャフト41の外周面との間に構成されるラジアル間隙51にシャフト41をラジアル方向に支持するラジアル動圧軸受部68が構成される。ラジアル間隙51の上側において、軸受部442の内周面の上部とシャフト41の外周面との間に潤滑油40の界面が位置するシール間隙55が構成される。シール間隙55には、潤滑油40を保持するシール部55aが構成される。シャフト41の上部には、ブッシング25が固定され、ブッシング25の下面と軸受部442の上面との間に横間隙501が構成される。ブッシング25の外周面とホルダ31の内周面の上部との間に縦間隙502が成される。横間隙501および縦間隙502が設けられることにより、シール部55aからの潤滑油40の蒸発を抑制することができる。
【0044】
第2の実施形態においても、プレート収容部71の内側の空間を径方向に広くすることができ、外径が大きいスラストプレート42を設けることができる。その結果、十分な流体動圧を発生する第1および第2スラスト動圧軸受部691,692を構成することができる。
【0045】
図12は、軸受機構4aの他の例を示す図である。ホルダ31では、拡径部311の環状部313の上面313aに回路基板33の径方向内側の部位が軸方向に当接する。拡径部311および軸受部442のプレート収容部71は、回路基板33よりも下側に位置する。プレート収容部71が回路基板33の下側に位置することにより、プレート収容部71を径方向外方に大きくする設計を容易に行うことができる。
【0046】
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係るファン1bを示す図である。ファン1bの軸受機構4bは、第1の実施形態に係るファン1の軸受部441と同様の構造の軸受部441、を備える。ファン1bでは、図1のホルダ31が省略され、ステータコア321が、軸受中央部72の外周面72aに直接的に固定される。ステータコア321は、プレート収容部71の上側に位置する。軸受ハウジング46のスリーブ保持部462とハウジング下部463との間の段差部464にステータコア321の径方向内側の部位が軸方向に当接する。ハウジング下部463は、ベース部15の孔部に固定される。ファン1bの他の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
シャフト41の上部には、ブッシング25が固定される。ブッシング25の下面と軸受ハウジング46の環状上部461の上面との間に径方向に広がる横間隙501が構成される。横間隙501を介してシール間隙55が外部空間と連絡する。ブッシング25の外径は、ステータコア321の内径よりも小さい。これにより、軸受機構4bの組み立て時に横間隙501を構成することができ、軸受機構4bとファン1bの他の部材とを組み立てる際に、軸受機構4内に埃が進入することが防止される。以下の実施形態においても同様である。また、軸方向の幅が狭い横間隙501が構成されることにより、シール間隙55からの潤滑油40の蒸発をある程度抑制することができる。
【0048】
第3の実施形態においても、プレート収容部71の外周面71aの直径が、軸受中央部72の外周面72aの直径よりも大きく、かつ、プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅が、軸受中央部72の外周面72aと内周面72bとの間の幅よりも小さい。これにより、プレート収容部71の内側の空間を径方向に広くすることができる。ファン1bでは、ホルダが存在しないため、ホルダの厚さ分だけ軸受ハウジング46全体を径方向に大きくすることができる。その結果、プレート収容部71の内側の空間をより広くすることができる。
【0049】
図14は、軸受機構4bの他の例を示す図である。プレート収容部71は、回路基板33よりも下側に位置する。プレート収容部71の上側に位置する段差部464の上面464aには、回路基板33の径方向内側の部位が軸方向に当接する。図14に示す場合においても、プレート収容部71を径方向外方に大きくする設計を容易に行うことができる。
【0050】
(第4の実施形態)
図15は、第4の実施形態に係るファン1cを示す図である。ファン1cの軸受機構4cは、第2の実施形態に係るファン1aの軸受部442と同形状の軸受部442、を備える。ファン1cでは、ホルダが省略され、ステータコア321が、軸受上部471の外周面471aに直接的に固定される。軸受上部471と軸受下部472との間の段差部475の上面には、ステータコア321の径方向内側の部位が軸方向に当接する。軸受下部472は、ベース部15の孔部に固定される。軸受部442の上面とブッシング25の下面との間に横間隙501が構成される。ファン1cの他の構造は、第2の実施形態と同様である。
【0051】
第4の実施形態では、第2の実施形態と同様に、プレート収容部71の外周面71aの直径が、軸受上部471の外周面471aの外周面の直径よりも大きく、かつ、プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅が、軸受上部471の外周面471aと内周面471bとの間の幅よりも小さい。これにより、プレート収容部71の内側の空間を径方向に広くすることができる。ホルダが存在しないため、プレート収容部71の内側の空間をより広くすることができる。軸受機構4cでは、図16に示すように、プレート収容部71が、回路基板33よりも下側に位置し、図14と同様に回路基板33と軸方向に当接してもよい。
【0052】
(第5の実施形態)
図17は、第5の実施形態に係るファン1dを示す断面図である。軸受機構4dの軸受部443では、軸受ハウジング46のスリーブ保持部462の内周面および外周面の直径がそれぞれ、ハウジング下部463の内周面および外周面の直径とほぼ同じである。スリーブ45は、中心軸J1を中心とする円筒であり、スリーブ下部451の外径は、スリーブ上部452の外径と同じである。軸受部443の下部であるハウジング下部463およびスリーブ下部451により、プレート収容部71が構成される。軸受部443の他の構造は、第1の実施形態に係るファン1の軸受部441と同様である。
【0053】
ファン1dでは、ステータコア321の径方向内側の部位が、軸受中央部72の外周面72a、すなわち、スリーブ保持部462の外周面に直接的に固定される。ホルダ31は軸受中央部72の外周面72aにおける下部、もしくは、外周面72aよりも下側に位置し、プレート収容部71を保持する。ホルダ31の上端部は、ステータコア321の径方向内側の部位と軸方向に当接する。ファン1dの他の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
ファン1dでは、スリーブ保持部462とステータコア321との間にホルダ31が存在しないため、ホルダ31の厚さ分だけ軸受ハウジング46全体を径方向に大きくすることができる。その結果、プレート収容部71の内側の空間を径方向に広くすることができる。以下の実施形態においても同様である。
【0055】
図18は、他の例に係る軸受機構4dを示す図である。軸受部443では、プレート収容部71の外周面71aの直径が、軸受中央部72の外周面72aの直径よりも大きく、かつ、プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅が、軸受中央部72の外周面72aと内周面72bとの間の幅よりも小さい。これにより、プレート収容部71の内側の空間を径方向により広くすることができ、プレート収容部71において、スリーブ下部451の外径およびスラストプレート42の外径をスリーブ上部452の外径よりも大きくすることができる。軸受機構4dの他の構造は、図17と同様である。プレート収容部71およびホルダ31は、図14と同様に、回路基板33よりも下方に配置されてもよい。これにより、プレート収容部71を径方向により広くすることができる。
【0056】
(第6の実施形態)
図19は、第6の実施形態に係るファン1eを示す断面図である。ファン1eでは、軸受機構4eの軸受部444の外周面が円筒面である。すなわち、軸受上部471の外周面471aの直径と軸受下部472の外周面であるプレート収容部71の外周面71aの直径とが同じである。軸受部444の他の構造は、第2の実施形態に係る軸受機構4aの軸受部442と同様である。軸受上部471の外周面471aには、ステータコア321が直接的に固定される。ホルダ31は、ステータコア321の下側に位置し、ホルダ31の上端部とステータコア321の径方向内側の部位とが軸方向に当接する。また、ホルダ31によりプレート収容部71が保持される。ファン1eの他の構造は、第2の実施形態と同様である。
【0057】
図20は、他の例に係る軸受機構4eを示す図である。軸受部444では、プレート収容部71の外周面71aの直径が、軸受上部471の外周面471aの直径よりも大きく、かつ、プレート収容部71の外周面71aと内周面71bとの間の幅が、軸受上部471の外周面471aと内周面471bとの間の幅よりも小さい。これにより、プレート収容部71の内側の空間を径方向により広くすることができる。軸受機構4eにおいても、プレート収容部71およびホルダ31が回路基板33よりも下方に配置してもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、第1の実施形態では、ラジアル動圧溝列が、シャフト41の外周面に設けられてもよい。第1スラスト動圧溝列が、スラストプレート42の上面に設けられてよい。第2スラスト動圧溝列が、スラストプレート42の下面に設けられてよい。軸受機構4には、必ずしも、第2スラスト動圧軸受部692が設けられる必要はない。この場合であっても、ロータマグネット22とステータ32との間およびロータマグネット22と磁性部材331との間の磁気吸引力により、ファン1の回転時におけるインペラ12の浮上する力を低減することができる。他の実施形態においても同様である。
【0059】
第3および第5の実施形態では、スリーブが2つの部材にて構成されてもよい。第1、第3および第5の実施形態では、軸受ハウジング46とスラストキャップ43とが一繋がりの部材でもよい。第2、第4および第6の実施形態では、軸受部442,444とスラストキャップ43とが一繋がりの部材でもよい。
【0060】
上記実施形態では、ブッシング25の外周面に、インペラ12の天面部123が直接的に取り付けられるが、1つ以上の部材を介して天面部123が取り付けられてもよい。第1および第2の実施形態では、ステータコア321が、1つ以上の部材を介してステータ固定部312の外周面312aの外側に配置されてもよい。第1および第2の実施形態では、横間隙501のみが構成されてもよい。
【0061】
第4の実施形態では、図21に示すように、軸受部442に軸受下部472よりも下側にて径方向外方に広がる環状部476が設けられてもよい。環状部476の外周面からベース部15が径方向外方に広がる。ただし、環状部476の外周面は、ロータマグネット22の外周面よりも径方向内側に位置する。環状部476がロータマグネット22の内側に位置することにより、インペラ12およびモータ11のバランス修正を行う際に、バランス修正部124aに錘を容易に設けることができる。
【0062】
モータ11は、遠心ファン等の他のファンのモータとして利用されてよい。さらには、ファン以外の用途に用いられてもよい。
【0063】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、エアの流れを発生するファンに利用することができる。また、軸受装置はファン以外の用途に利用することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1,1a〜1e ファン
2 回転部
3 静止部
4,4a〜4e 軸受機構
11 モータ
12 インペラ
22 ロータマグネット
25 ブッシング
31 ホルダ
32 ステータ
33 回路基板
41 シャフト
42 スラストプレート
43 スラストキャップ
441〜444 軸受部
45 スリーブ
46 軸受ハウジング
51 ラジアル間隙
53 第1スラスト間隙
54 第2スラスト間隙
55 シール間隙
68 ラジアル動圧軸受部
71 プレート収容部
71a (プレート収容部の)外周面
71b (プレート収容部の)内周面
72 軸受中央部
72a (軸受中央部の)外周面
72b (軸受中央部の)内周面
122 翼
311 拡径部
453 上側スリーブ
454 下側スリーブ
464 段差部
464a (段差部の)上面
471 軸受上部
471a (軸受上部の)外周面
471b (軸受上部の)内周面
501 横間隙
502 縦間隙
691 第1スラスト動圧軸受部
692 第2スラスト動圧軸受部
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の軸受部と、
前記軸受部の下部を閉塞するキャップ部材と、
内側に前記軸受部を保持し、ステータ配置用の外周面を有する略円筒状のホルダと、
前記軸受部に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの下端部から径方向外方に広がるスラストプレートと、
を備え、
前記ホルダが、前記外周面よりも外径が大きい拡径部、を備え、
前記軸受部における、前記拡径部よりも径方向内方の部位が、前記スラストプレートを内側に収容するプレート収容部、を備え、
前記プレート収容部の外周面の直径が、前記軸受部の前記プレート収容部よりも上側の部位の外周面の直径よりも大きく、前記プレート収容部の前記外周面と内周面との間の幅が、前記上側の部位の前記外周面と内周面との間の幅よりも小さく、
前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スラストプレートの上面と前記上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される、軸受装置。
【請求項2】
ステータ固定用の外周面を有する略円筒状の軸受部と、
前記軸受部の下部を閉塞するキャップ部材と、
前記軸受部に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの下端部から径方向外方に広がるスラストプレートと、
を備え、
前記軸受部が、前記スラストプレートを内側に収容するプレート収容部、を備え、
前記プレート収容部の外周面の直径が、前記軸受部の前記プレート収容部よりも上側の部位の外周面の直径よりも大きく、前記プレート収容部の前記外周面と内周面との間の幅が、前記上側の部位の前記外周面と内周面との間の幅よりも小さく、
前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スラストプレートの上面と前記上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される、軸受装置。
【請求項3】
ステータ固定用の外周面を有する略円筒状の軸受部と、
前記軸受部の下部を閉塞するキャップ部材と、
前記ステータ固定用の外周面よりも下側にて、前記軸受部の下部を保持するホルダと、
前記軸受部に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの下端部から径方向外方に広がり、前記軸受部の前記下部に構成されるプレート収容部内に収容されるスラストプレートと、
を備え、
前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スラストプレートの上面と前記上面に軸方向に対向する前記軸受部の環状の面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成される、軸受装置。
【請求項4】
前記軸受部が、
金属の焼結体であるスリーブと、
前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、
を備え、
前記軸受ハウジングの下部が、前記スリーブよりも下方に延び、前記スリーブの下面と前記スラストプレートとの間に前記スラスト動圧軸受部が構成される、請求項3に記載の軸受装置。
【請求項5】
前記プレート収容部の外周面の直径が、前記軸受部の前記プレート収容部よりも上側の部位の外周面の直径よりも大きく、前記プレート収容部の前記外周面と内周面との間の幅が、前記上側の部位の前記外周面と内周面との間の幅よりも小さい、請求項3に記載の軸受装置。
【請求項6】
前記軸受部が、
金属の焼結体であるスリーブと、
前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、
を備え、
前記軸受ハウジングの下部が、前記スリーブよりも下方に延び、前記スリーブの下面と前記スラストプレートとの間に前記スラスト動圧軸受部が構成され、
前記プレート収容部において、前記スリーブの下部の外径が、前記スリーブの前記下部よりも上側の部位の外径よりも大きい、請求項1、2および5のいずれかに記載の軸受装置。
【請求項7】
前記スリーブが、
前記シャフトの外周面との間に前記ラジアル間隙を構成する内周面を有し、前記上側の部位を構成する上側スリーブと、
前記スラストプレートの上面との間に前記スラスト間隙を構成する下面を有し、前記上側スリーブの下側に配置されて前記下部を構成する下側スリーブと、
を備える、請求項6に記載の軸受装置。
【請求項8】
前記スラストプレートの外径が、前記スリーブの前記上側の部位の外径よりも大きい、請求項6または7に記載の軸受装置。
【請求項9】
前記軸受部が、金属の1つの部材である、請求項1ないし3並びに5のいずれかに記載の軸受装置。
【請求項10】
前記軸受部の上側にて前記シャフトに固定され、外周面に直接的または1つ以上の部材を介してインペラが取付可能である略環状のブッシング、をさらに備え、
前記軸受部と前記ブッシングとの間に前記中心軸に垂直な方向に広がる横間隙が構成され、
前記ラジアル動圧軸受部の上側にて、前記軸受部と前記シャフトとの間に前記潤滑油の界面が位置するシール間隙が構成され、
前記シール間隙が、前記横間隙を介して外部空間と連絡する、請求項1ないし9のいずれかに記載の軸受装置。
【請求項11】
前記軸受部の上側にて前記シャフトに固定され、外周面に直接的または1つ以上の部材を介してインペラが取付可能である略環状のブッシング、をさらに備え、
前記軸受部と前記ブッシングとの間に前記中心軸に垂直な方向に広がる横間隙が構成され、
前記ホルダの内周面と前記ブッシングの外周面との間に、軸方向に広がる縦間隙が構成され、
前記ラジアル動圧軸受部の上側にて、前記軸受部と前記シャフトとの間に前記潤滑油の界面が位置するシール間隙が構成され、
前記シール間隙が、前記横間隙および前記縦間隙を介して外部空間と連絡する、請求項1に記載の軸受装置。
【請求項12】
モータと、
複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、
を備え、
前記モータが、
請求項1ないし11のいずれかに記載の軸受装置と、
ステータを有する静止部と、
前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有し、前記軸受装置により前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、
を備える、ファン。
【請求項13】
モータと、
複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、
を備え、
前記モータが、
請求項1に記載の軸受装置と、
静止部と、
前記軸受装置により、前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、
を備え、
前記回転部が、ロータマグネット、を備え、
前記静止部が、前記拡径部よりも上側において、前記ロータマグネットの径方向内側に配置されるステータ、を備える、ファン。
【請求項14】
前記静止部が、前記ステータの下側にて、前記ステータに電気的に接続される回路基板、をさらに備え、
前記拡径部が、前記回路基板よりも下方に位置する、請求項13に記載のファン。
【請求項15】
前記拡径部が、
径方向外側に向かって広がる略円環の環状部と、
前記環状部の外縁部から下方に向かって延びる円筒状の筒部と、
を備え、
前記回路基板が、前記環状部の上面に軸方向に当接する、請求項14に記載のファン。
【請求項16】
前記軸受装置が、前記軸受部の上側にて前記シャフトに固定され、外周面に直接的または1つ以上の部材を介してインペラが取付可能である略環状のブッシング、をさらに備え、
前記軸受部と前記ブッシングとの間に前記中心軸に垂直な方向に広がる横間隙が構成され、
前記ホルダの内周面と前記ブッシングの外周面との間に、軸方向に広がる縦間隙が構成され、
前記ラジアル動圧軸受部の上側にて、前記軸受部と前記シャフトとの間に前記潤滑油の界面が位置するシール間隙が構成され、
前記シール間隙が、前記横間隙および前記縦間隙を介して外部空間と連絡する、請求項13ないし15のいずれかに記載の軸受装置。
【請求項17】
モータと、
複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、
を備え、
前記モータが、
請求項2に記載の軸受装置と、
静止部と、
前記軸受装置により、前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、
を備え、
前記回転部が、ロータマグネット、を備え、
前記静止部が、前記プレート収容部よりも上側において、前記ロータマグネットの径方向内側に配置されるステータ、を備える、ファン。
【請求項18】
前記静止部が、前記ステータの下側にて、前記ステータに電気的に接続される回路基板、をさらに備え、
前記プレート収容部が、前記回路基板よりも下方に位置する、請求項17に記載のファン。
【請求項19】
前記軸受部が、前記プレート収容部と前記プレート収容部よりも上側の部位との間に段差部、を有し、
前記回路基板が、前記段差部の上面に軸方向に当接する、請求項18に記載のファン。
【請求項20】
前記軸受装置が、前記軸受部の上側にて前記シャフトに固定され、外周面に直接的または1つ以上の部材を介してインペラが取付可能である略環状のブッシング、をさらに備え、
前記軸受部と前記ブッシングとの間に前記中心軸に垂直な方向に広がる横間隙が構成され、
前記ラジアル動圧軸受部の上側にて、前記軸受部と前記シャフトとの間に前記潤滑油の界面が位置するシール間隙が構成され、
前記シール間隙が、前記横間隙を介して外部空間と連絡する、請求項17ないし19のいずれかに記載の軸受装置。
【請求項21】
前記ブッシングの外径が、前記ステータの内径よりも小さい、請求項16または20に記載の軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−100891(P2013−100891A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246101(P2011−246101)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】