説明

輪郭線抽出装置およびその方法、並びに画像検査装置

【課題】様々な形状のものに対応可能で、かつノイズの影響を極力排除することが可能で、精度の高い輪郭線抽出が可能な輪郭線抽出装置およびその方法、並びに画像検査装置を提供する。
【解決手段】輪郭線抽出装置30は、画像を2値化する2値化回路31と、2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出機能と、輪郭線検出関数のパラメータを変更可能してエッジを検出する可変エッジ検出機能を有するエッジ検出処理部32と、輪郭線検出関数の固定または可変のパラメータをエッジ検出処理部に供給するパラメータ選択部33と、分割された領域毎に輪郭線を分割して画素数をカウントするカウント部34と、輪郭線を領域毎にカウントした結果で領域別のエッジ検出精度を評価する評価部35を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号等の2値化を行って輪郭線の抽出を行う輪郭線抽出装置およびその方法、並びに画像検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マシンビジョンで製品の検査・測定を行うのにエッジ抽出フィルタを用いて輪郭線を抽出し、得られた輪郭線で寸法などの形状測定や欠け割れ、ゴミ検査などは広く一般に行われている。
【0003】
このエッジ抽出フィルタの設定パラメータは照明条件や、物体、カメラの位置精度を制限した中で最も安定するパラメータを実験によって決定し、固定値で行われていることが多い。あるいは、抽出輪郭線の状況によってはパラメータ値を所定の第2、第3の候補に切り替えることが行われている。
【0004】
また、先行技術では、エッジ抽出においてノイズの影響を低減し、且つ処理時間の短縮を実現するための手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−159055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、機械的な位置精度の変動、照明の変動、或いは検査対象の表面の変動(例:ドリル刃の削り粗さ、角度、材質反射ばらつきなど)によって固定値で運用するには、定期的あるいはエラー発生時にその都度オペレータの手直しや初期化が必要であった。
またエラーが発生せずとも安定点とエラー発生点の間は測定結果自身に信頼性が乏しいといった問題もある。
【0007】
また、特許文献1に提案された技術は、自動車走行における道路上の白線認識への利用を主に想定されたもので、エッジの形状よりエッジの方向を知ることに重きが置かれている。
したがって、道路上の白線のようにごく単純で予想のつき易い形状のものには有効な方法であるが、複雑な形状や、微妙な形状の違いがあるもののエッジ検出には不向きであると言える。
【0008】
本発明の目的は、様々な形状のものに対応可能で、かつノイズの影響を極力排除することが可能で、精度の高い輪郭線抽出が可能な輪郭線抽出装置およびその方法、並びに画像検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点の輪郭線抽出装置は、画像を2値化する2値化手段と、
2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出手段と、検出された前記輪郭線を所定の領域に分割する領域分割手段と、前記2値化画像において前記輪郭線に幅をもたせた領域に相当する部分を前記画像の輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出手段と、輪郭線検出関数のパラメータを変更可能な可変エッジ検出手段と、前記輪郭線検出対象領域の境界をマスクするマスク手段と、検出された輪郭線の画素をカウントしてエッジ検出精度を評価する評価手段と、を有し、前記可変エッジ検出手段および前記評価手段は、前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する。
【0010】
好適には、前記可変エッジ検出手段は、前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を繰り返し行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する。
【0011】
好適には、前記画像抽出手段は、前記エッジ検出手段によって検出された輪郭線を膨張させた領域を前記輪郭線検出対象領域とする。
【0012】
好適には、前記マスク手段は、前記輪郭線を膨張させた領域に対してエッジ検出手段により抽出した輪郭線を膨張させた部分を前記輪郭線検出対象領域の境界としてマスクする。
【0013】
好適には、前記評価手段は、前記エッジ検出手段によって検出された輪郭線をカウントした値と前記可変エッジ検出手段によって検出された輪郭線をカウントした値との差分の2乗和を評価関数とする。
【0014】
本発明の第2の観点の輪郭線抽出方法は、画像を2値化する2値化ステップと、2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出ステップと、検出された前記輪郭線を所定の領域に分割する領域分割ステップと、前記2値化画像において前記輪郭線に幅をもたせた領域に相当する部分を前記画像の輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出ステップと、輪郭線検出関数のパラメータを変更可能な可変エッジ検出ステップと、前記輪郭線検出対象領域の境界をマスクするマスクステップと、検出された輪郭線の画素をカウントしてエッジ検出精度を評価する評価ステップと、を有し、前記可変エッジ検出ステップおよび前記評価ステップは、前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する。
【0015】
本発明の第3の観点の画像検査装置は、検査対象を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された画像の輪郭線抽出機能を含む輪郭線抽出装置と、を有し、前記輪郭線抽出装置は、前記撮像部で撮像された画像を2値化する2値化手段と、画像を2値化する2値化手段と、2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出手段と、検出された前記輪郭線を所定の領域に分割する領域分割手段と、前記2値化画像において前記輪郭線に幅をもたせた領域に相当する部分を前記画像の輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出手段と、輪郭線検出関数のパラメータを変更可能な可変エッジ検出手段と、前記輪郭線検出対象領域の境界をマスクするマスク手段と、検出された輪郭線の画素をカウントしてエッジ検出精度を評価する評価手段と、を含み、前記可変エッジ検出手段および前記評価手段は、記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、様々な形状のものに対応可能で、かつノイズの影響を極力排除することができ、精度の高い輪郭線抽出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る輪郭線抽出装置を採用した画像検査装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る輪郭線抽出装置30を具体的に示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る輪郭線抽出処理を説明するための第1のフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る輪郭線抽出処理を説明するための第2のフローチャートである。
【図5】図4における最適化処理を具体的に説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る輪郭線抽出処理を説明するための第1の概念図である。
【図7】本実施形態に係る輪郭線抽出処理を説明するための第2の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る輪郭線抽出装置を採用した画像検査装置の構成例を示す図である。
【0020】
本画像検査装置10は、撮像部20、画像処理部としての輪郭線抽出装置30、および検査対象40を有する。
【0021】
本実施形態においては、輪郭線抽出方法として多くの分野で利用されているシステマティックフィルタの複数あるパラメータを最適に設定する手法である。
本実施形態においては、代表的なケニーフィルタと検査対象40であるドリルの刃先の輪郭線抽出を例にあげて説明する。なお、ドリルの刃先はたとえば40μm程度の長さを有する。
ケニーフィルタは不連続や誤検出、未検出が少ない優秀なエッジ検出アルゴリズムであるが、パラメータが3つあるため、それを最適に設定するのは複雑な作業となる。逆に言えばパラメータが最適でないと正確なエッジをうまく検出できない(拾えない)という問題がある。
本実施形態の画像検査装置10は、後述するように、検査対象(被写体)40の条件のばらつきやノイズの影響を受けない安定した画像の輪郭線抽出手法を採用している。
画像検査装置10は、画像を2値化して得られるエッジの周辺を対象領域として、その領域を分割し、分割した領域毎にエッジ抽出関数のパラメータを変更しながらエッジ抽出の評価関数が極値となるパラメータを選択するという特徴を有する。
このように、本実施形態の画像検査装置10は、2値化画像の輪郭線をもとに輪郭線検出対象領域を設定し、さらにそれを分割した領域ごとに最適なエッジ抽出関数パラメータを求めることで、様々な形状のものに対応可能で且つノイズの影響を極力排除した輪郭線抽出を可能としている。
以下、画像検査装置10の具体的に構成および機能について説明する。
図1の画像検査装置10は、検査対象40であるドリルの刃先の形状、汚れ、欠け、傷などを検査する装置として用いられる。
【0022】
撮像部20は、検査対象40であるドリルの刃先を撮像し、撮像画像データを輪郭線抽出装置30に供給する。
撮像部20は、たとえばカメラにより形成される。
たとえば撮像部20がカメラで形成される場合、撮像部20は、図示しない撮像レンズ、固体撮像素子を含んで構成される。
固体撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device),あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサにより形成される。
撮像部20は、たとえば検査対象40である刃先41の長さ方向の略中央部CTRにピントの中心がくるように焦点調整が行われる。
【0023】
本輪郭線抽出装置30は、図1に示すように、基本的に2値化回路31、エッジ検出処理部32、パラメータ選択部33、カウント部34、および評価部35を主構成要素として有している。
【0024】
2値化回路31は、撮像部20による画像を2値化し、その画像をエッジ検出部32に出力する。
2値化回路31は、グレイ画像(gray1)を2値化(bw1)する。
【0025】
エッジ検出処理部32は、2値化画像を受けて、2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出機能と、輪郭線検出関数のパラメータを変更可能にしてエッジを検出する可変エッジ検出機能を有する。
エッジ検出処理部32は、2値化画像(bw1)から輪郭線(edg1)を検出する。
エッジ検出処理部32は、検出された輪郭線を所定の領域に分割する領域分割機能を有する。
エッジ検出処理部32は、2値化画像において輪郭線(edg1)に幅をもたせた領域に相当する部分を輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出機能を有する。
この画像抽出機能においては、エッジ検出機能よって検出された輪郭線を膨張させた領域を検出対象領域とする。
さらに、エッジ検出処理部32は、抽出領域の境界をマスクするマスク機能を有する。
このマスク機能においては、エッジ検出機能によって検出された輪郭線を膨張させてエッジ検出より抽出した輪郭線を膨張させた部分を領域の境界としてマスクする。
【0026】
パラメータ選択部33は、ケニーフィルタの固定のパラメータまたは評価関数が極値となるよう決定された可変パラメータをエッジ検出処理部32に供給する。
【0027】
カウント部34は、分割された領域毎に輪郭線(edg1)を分割して画素数をカウント(c1)する。
【0028】
評価部35は、輪郭線(edg1)を領域毎にカウントした結果(c1)で領域別のエッジ検出精度を評価する。
評価部35は、領域抽出された2値化画像に対して、分割領域毎に、パラメータを変更してエッジ検出を繰り返し行って、評価関数が極値となるようなパラメータを決定し、これをパラメータ選択部33に指示する。
評価部35は、エッジ検出処理部32によって検出された輪郭線をカウントした値と可変エッジ検出機能によって検出された輪郭線をカウントした値との差分の2乗和を評価関数とする。
【0029】
図2は、本実施形態に係る輪郭線抽出装置30を具体的に示す機能ブロック図である。
【0030】
図2において、エッジ検出処理部32とパラメータ選択部33は同一の機能ブロックに含まれるように示している。
【0031】
図2のエッジ検出処理部32は、ケニーフィルタ321,322,323、第1膨張処理部324、第2膨張処理部325、領域分割部326、AND回路327,328、および輪郭線画像処理部329を有する。
【0032】
図2のカウント部34は、第1画素カウント部341、および第2画素カウント部342を有する。
【0033】
図2の評価部35は、第1領域比取得部351、第2領域比取得部352、および比較器353を有する。
【0034】
なお、図2において、FPはケニーフィルタの固定パラメータp1,p2,p3を、VPは評価部35の指示に応じて選択される可変パラメータを示す。
【0035】
輪郭線抽出のケニーフィルタ321は、その固定パラメータが標準的な値(デフォルト値)p1,p2,p3に設定される。
ケニーフィルタ321は、固定パラメータFPで、2値画像(bw1)の輪郭線(edg1)を抽出する。
ケニーフィルタ321は、抽出した輪郭線(edg1)を第1膨張処理部324、および第1画素カウント部341に出力する。
【0036】
第1膨張処理部324は、抽出された輪郭線(edg1)を所定の量だけ膨張させ、輪郭線近傍のマスク(mask1)を生成する。
第1膨張処理部324は、マスク(mask1)をケニーフィルタ322、領域分割部326、およびAND回路327に出力する。
【0037】
ケニーフィルタ322は、固定パラメータFPを用いて帯状のmask1の輪郭線(edg2)を抽出する。
【0038】
第2膨張処理部325は、輪郭線(edg2)を所定の量だけ膨張させ、mask1の縁マスク(mask2)を生成する。
第2膨張処理部325は、縁マスク(mask2)をAND回路328に出力する。
【0039】
領域分割部326は、帯状のmask1をボケや輝度分布の程度に合わせて所定の領域に分割する。
本事例では、中心領域、刃の中間領域、刃の最外形の鋭角コーナー領域、それ以外の最外形領域に領域を分割する複数マスク(masks)を生成する。
領域分割部326は、分割した複数マスク(masks)を、カウント部34の第1画素カウント部341および第2画素カウント部342に出力する。
【0040】
第1画素カウント部341は、分割した領域毎に画素数をカウントし領域毎のカウント値をc1とする。
第1画素カウント部341は、カウント値c1を第1領域比取得部315に出力する。
【0041】
第1領域比取得部351は、分割された領域の複数の数値からなるc1の比r1を算出し、その結果を比較器353に出力する。
【0042】
AND回路327は、撮像部20によるグレイ画像(gray1)にmask1をかけて領域を限定したグレイ画像(gray2)を生成する。
AND回路327は、生成したグレイ画像(gray2)をケニーフィルタ323に出力する。
ケニーフィルタ323は、パラメータ最適化の初期値をデフォルト値として最適化アルゴリズムを回す。
ケニーフィルタ323は、最適化が終わり、最終的に決定したパラメータでエッジ(edg3)を抽出する。
【0043】
AND回路328および輪郭線画像処理部329は、そのedg3にmask2でmask1の縁を消去して得られたedg3を最終エッジとして確定する。
【0044】
第2画素カウント部342は、edg3に対してmasksで各領域毎の画素数をカウントし、その値C2を第2領域比取得部352に出力する。
【0045】
第2領域比取得部352は、得られた領域毎の画素数C2を比r2に変換する。
【0046】
比較器353は、第1領域比取得部351によるr1と第2領域比取得部352によるr2の差分の2乗和Vを計算する。
比較器353は、可変パラメータVPを振りながらVが最低値になるように最適化処理を回し、制御する。
【0047】
図3および図4は、本実施形態に係る輪郭線抽出処理を説明するためのフローチャートである。
図5は、図4における最適化処理を具体的に説明するためのフローチャートである。
図6(A)〜(E)および図7(A)および(B)は本実施形態に係る輪郭線抽出処理を説明するための概念図である。
以下、本実施形態に係る輪郭線抽出処理をフローチャートおよび概念図に関連付けて説明する。
【0048】
[ステップST1]
ステップST1においては、2値化回路31で、図6(A)に示すような、撮像部20により撮像して得られた8bitの元グレイ画像(gray1)の最大輝度と最低輝度の中間の値を閾値として2値化処理を行い、図6(B)に示すような、2値化画像(bw1)を生成する。
この場合、多少の膨張、収縮はあるがくっきりとした画像となる。
【0049】
[ステップST2]
ステップST2においては、輪郭線抽出のケニーフィルタのパラメータを標準的な値(デフォルト値)p1,p2,p3に設定する。
【0050】
[ステップST3]
ステップST3においては、ステップST2で設定した上記パラメータで、図6(C)に示すように、2値画像(bw1)の輪郭線(edg1)を抽出する。
【0051】
[ステップST4]
ステップST4においては、図6(D)に示すように、輪郭線(edg1)を所定の量だけ膨張させ、輪郭線近傍のマスク(mask1)を生成する。
【0052】
[ステップST5]
ステップST5において、帯状のmask1の輪郭線を抽出する(edg2)。
【0053】
[ステップST6]
ステップST6において、図6(E)に示すように、edg2を所定の量だけ膨張させ、mask1の縁マスク(mask2)を生成する。
【0054】
[ステップST7]
ステップST7においては、帯状のmask1をボケや輝度分布の程度に合わせて所定の領域に分割する。
本事例では、中心領域、刃の中間領域、刃の最外形の鋭角コーナー領域、それ以外の最外形領域に領域を分割する複数マスク(masks)を生成する。
【0055】
[ステップST8]
ステップST8においては、たとえば図7(A)に示すように、masksでedg1を領域分割する。その後、領域毎に画素数をカウントし領域毎のカウント値をc1とする。
図7(A)の例では、半径30%の領域ARA1、90%の領域ARA2、角度29度の領域ARA3、ARA4として、edg1を領域分割する例を示している。
そして、分割した領域毎に画素数をカウントする。そのカウント値c1は、図7(A)の例では、たとえば領域ARA1で100、領域ARA2で320、領域ARA3で150、領域ARA4で50となる。
図7(B)は、左右で4分割ずつで計8つの領域LARL1,LARA2,LARA3,LARA4、並びに、RARA1,RARA2,RARA3,RARA4に分割する(masks)。
【0056】
[ステップST9]
ステップST9においては、4分割された領域の4個の数値からなるc1の比r1を算出する。
【0057】
[ステップST10]
ステップST10においては、グレイ画像(gray1)にmask1をかけて領域を限定したグレイ画像(gray2)を生成する。
【0058】
[ステップST11、ST12]
ステップST11,ST12においては、パラメータ最適化の初期値をデフォルト値として最適化アルゴリズムを回す。
【0059】
[ステップST13]
ステップST13においては、最適化が終わり、最終的に決定したパラメータでエッジ(edg3)を抽出し、そのedg3にmask2でmask1の縁を消去して得られたedg3を最終エッジとして確定する。
【0060】
ここで、ステップST12の最適化処理を図5に関連付けて説明する。
【0061】
[ステップST121]
ステップST121において、初期のパラメータを設定し領域を限定した画像gray2に対してフィルタ処理をかけedg3を得る。
edg3にmask2でmask1の縁を消去して得たものをedg3とする。
【0062】
[ステップST122]
ステップST122においては、edg3に対してmasksで各領域毎の画素数を算出する。
【0063】
[ステップST123]
ステップST123においては、得られた領域毎の画素数C2を比r2に変換する。
【0064】
[ステップST124]
ステップST124においては、r1とr2の差分の2乗和Vを計算する。
【0065】
[ステップST125]
ステップST125においては、パラメータを振りながらVが最低値になるように最適化処理を回す。
【0066】
以下に、評価関数の算出処理を示す。
【0067】
評価関数の算出:
<1>edg3=edge(gray2, Canny', [p1, p2], p3) エッジ抽出
<2>edg3=(edg3 & mask2) mask1の縁の消去 ダブルマスク
<3>for … c2(k)= sum(sum(edg3(masks{k}))) 領域毎にpxカウント
<4>r2 = c2/sum(c2) 全体に対する各領域の比を算出
<5>V =Σw・(r2 - r1)^2 ターゲットとの差分の2乗和
【0068】
このように、評価関数の算出処理においては、エッジ抽出を行い、mask1の縁の消去を行う。領域毎に画素数pxをカウントし、全体に対する各領域の比を算出し、ターゲットとの差分の2乗和を求める。
最適化においては、Vが最低になるようにパラメータp1,p2,p3を変更する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像検査装置10は、撮像部20、および輪郭線抽出装置30を有する。
輪郭線抽出装置30は、撮像部20による画像を2値化する2値化回路31と、2値化画像を受けて、2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出機能と、輪郭線検出関数のパラメータを変更可能としてエッジを検出する可変エッジ検出機能を有するエッジ検出処理部32と、ケニーフィルタの固定のパラメータまたは評価関数が極値となるよう決定された可変パラメータをエッジ検出処理部32に供給するパラメータ選択部33と、分割された領域毎に輪郭線(edg1)を分割して画素数をカウント(c1)するカウント部34と、輪郭線(edg1)を領域毎にカウントした結果(c1)で領域別のエッジ検出精度を評価する評価部35を有する。
そして、評価部35は、領域抽出された2値化画像に対して、分割領域毎に、パラメータを変更してエッジ検出を繰り返し行って、評価関数が極値となるようなパラメータを決定し、これをパラメータ選択部33に指示する。
評価部35は、エッジ検出処理部32によって検出された輪郭線をカウントした値と可変エッジ検出機能によって検出された輪郭線をカウントした値との差分の2乗和を評価関数とする。
【0070】
したがって、本実施形態の画像検査装置10は、2値化画像の輪郭線をもとに輪郭線検出対象領域を設定し、さらにそれを分割した領域ごとに最適なエッジ抽出関数パラメータを求めることで、様々な形状のものに対応可能でかつノイズの影響を極力排除した輪郭線抽出を実現することが可能である。
【0071】
なお、以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・画像検査装置、20・・・撮像部、30・・・輪郭線抽出装置、31・・・2値化回路、32・・・エッジ検出処理部、321,322,323・・・ケニーフィルタ、324・・・第1膨張処理部、325・・・第2膨張処理部、326・・・領域分割部、327,328・・・AND回路、329・・・輪郭線画像処理部、33・・・パラメータ選択部、34・・・カウント部、341・・・第1画素カウント部、342・・・第2画素カウント部、35・・・評価部、351・・・第1領域比取得部、352・・・第2領域比取得部、353・・・比較器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を2値化する2値化手段と、
2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出手段と、
検出された前記輪郭線を所定の領域に分割する領域分割手段と、
前記2値化画像において前記輪郭線に幅をもたせた領域に相当する部分を前記画像の輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出手段と、
輪郭線検出関数のパラメータを変更可能な可変エッジ検出手段と、
前記輪郭線検出対象領域の境界をマスクするマスク手段と、
検出された輪郭線の画素をカウントしてエッジ検出精度を評価する評価手段と、
を有し、
前記可変エッジ検出手段および前記評価手段は、
前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する
輪郭線抽出装置。
【請求項2】
前記可変エッジ検出手段は、
前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を繰り返し行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する
請求項1に記載の輪郭線抽出装置。
【請求項3】
前記画像抽出手段は、
前記エッジ検出手段によって検出された輪郭線を膨張させた領域を前記輪郭線検出対象領域とする
請求項1または2に記載の輪郭線抽出装置。
【請求項4】
前記マスク手段は、
前記輪郭線を膨張させた領域に対してエッジ検出手段により抽出した輪郭線を膨張させた部分を前記輪郭線検出対象領域の境界として
マスクする請求項3に記載の輪郭線抽出装置。
【請求項5】
前記評価手段は、
前記エッジ検出手段によって検出された輪郭線をカウントした値と前記可変エッジ検出手段によって検出された輪郭線をカウントした値との差分の2乗和を評価関数とする
請求項1から4のいずれか一に記載の輪郭線抽出装置。
【請求項6】
画像を2値化する2値化ステップと、
2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出ステップと、
検出された前記輪郭線を所定の領域に分割する領域分割ステップと、
前記2値化画像において前記輪郭線に幅をもたせた領域に相当する部分を前記画像の輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出ステップと、
輪郭線検出関数のパラメータを変更可能な可変エッジ検出ステップと、
前記輪郭線検出対象領域の境界をマスクするマスクステップと、
検出された輪郭線の画素をカウントしてエッジ検出精度を評価する評価ステップと、
を有し、
前記可変エッジ検出ステップおよび前記評価ステップは、
前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する
輪郭線抽出方法。
【請求項7】
前記可変エッジ検出ステップは、
前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を繰り返し行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する
請求項6に記載の輪郭線抽出方法。
【請求項8】
検査対象を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像の輪郭線抽出機能を含む輪郭線抽出装置と、を有し、
前記輪郭線抽出装置は、
前記撮像部で撮像された画像を2値化する2値化手段と、
画像を2値化する2値化手段と、
2値化画像から輪郭線を検出するエッジ検出手段と、
検出された前記輪郭線を所定の領域に分割する領域分割手段と、
前記2値化画像において前記輪郭線に幅をもたせた領域に相当する部分を前記画像の輪郭線検出対象領域として抽出する画像抽出手段と、
輪郭線検出関数のパラメータを変更可能な可変エッジ検出手段と、
前記輪郭線検出対象領域の境界をマスクするマスク手段と、
検出された輪郭線の画素をカウントしてエッジ検出精度を評価する評価手段と、
を含み、
前記可変エッジ検出手段および前記評価手段は、
前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する
画像検査装置。
【請求項9】
前記可変エッジ検出手段は、
前記領域抽出された前記画像に対して、前記パラメータを変更してエッジ検出を繰り返し行って、前記分割領域毎にカウントし、全体として前記評価の値が極値となるようなパラメータを決定する
請求項8に記載の画像検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−231462(P2010−231462A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77825(P2009−77825)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】