説明

透明導電性フィルムおよびその製造方法並びに透明導電性フィルムを用いた太陽電池及びエレクトロルミネッセンス素子

【課題】汎用性の高いフレキシブル基材上にシート抵抗値が十分に小さく、湿熱条件後及び屈曲後においてもシート抵抗値の上昇が抑制できる透明導電層を具備する透明導電性フィルム及びその製造方法並びに透明導電性フィルムを用いた太陽電池及びエレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】フレキシブル基材11の少なくとも片面に、(A)ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層12と、(B)透明導電層13とが順次形成された透明導電性フィルム10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明性と安定した導電性を達成する透明導電性フィルムとその製造方法並びに透明導電性フィルムを用いた太陽電池及びエレクトロルミネッセンス素子に関する。このような透明導電性フィルムは主として、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池、有機トランジスターのような電子デバイスや光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光学レーザー等の光学デバイスに使用され得るものである。
【背景技術】
【0002】
表示媒体や太陽電池などに利用される透明導電性フィルムの透明導電膜は、透明導電性材料としてスズをドーピングした酸化インジウム(ITO)が広く使用されている。ITOは安定した導電性および透明性を有している一方で希少金属であるインジウムを使用しているために、コスト的な課題を抱えている。ITOと同等な性能を持つような透明導電膜の発明や開発も数多く報告されている。特に高い透明性と安定した導電性の両立を成し得る可能性のある透明導電性材料として酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。ZnOはITOと比較して透明性に優れるような報告があるが、水分や熱に対して耐久性が不十分であり、シート抵抗値が上昇するといった課題を抱えている。この課題に対して非特許文献1は、透明導電性材料として酸化ガリウムを10%以上ドーピングした酸化亜鉛を透明導電膜とすることで湿熱条件後においても安定したシート抵抗値を示すことが開示されている。
【0003】
しかしながら、この報告では導電膜の厚みが400nm程度であること、高価な酸化ガリウムを10%以上ドーピングしているために生産性やコスト的な課題を残している。また、この非特許文献1はガラス基板を使用しており、且つフレキシブル基板に関しての記述がなされていないため、フレキシブル基板に対しての適応性は未知である。
【0004】
また、フレキシブル基板については、プラスチックフィルムを用いた報告例として特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4が挙げられる。特許文献1および特許文献2ではフレキシブル基板としてアクリル樹脂フィルム上に酸化亜鉛を主成分とする導電膜を設けた積層体に関して開示されている。特許文献3ではオレフィン系樹脂を含む透明基板上に酸化亜鉛を主成分とする導電膜を10〜150nm設けたことを特徴とする積層体が開示されている。しかしながらいずれも湿熱条件後においてのシート抵抗値の安定性を十分に満足するレベルではない。また、これらのプラスチックフィルムは、耐屈曲性が不十分であり、屈曲後にシート抵抗値が上昇してしまうことがあった。
【0005】
また、特許文献4にはシクロオレフィン樹脂を主成分とするフィルム上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電層、さらにこの酸化亜鉛層の上にダイヤモンドライクカーボン膜を形成するような構成体が開示されている。湿熱条件後においてシート抵抗値の安定性は記述されているが、より低いシート抵抗値の実現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−115656号公報
【特許文献2】特開2007−113109号公報
【特許文献3】特開2008−226641号公報
【特許文献4】特開2009−117071号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】APPLIED PHYSICS LETTERS 89,091904(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、汎用性の高いフレキシブル基材上にシート抵抗値が十分に小さく、湿熱条件後及び屈曲後においてもシート抵抗値の上昇が抑制できる透明導電層を具備する透明導電性フィルム及びその製造方法並びに透明導電性フィルムを用いた太陽電池及びエレクトロルミネッセンス素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討を行った結果、プラスチック等のフレキシブル基材上にポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層を形成した後、透明導電層を形成することにより、湿熱条件投入後及び屈曲後においてもシート抵抗値の上昇が抑制でき、シート抵抗値が小さい透明導電層となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、かかる本発明の透明導電性フィルムは、フレキシブル基材の少なくとも片面に、(A)ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層と、(B)透明導電層とが順次形成されることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記ポリオルガノシロキサン系化合物が、下記式(a)の主鎖構造を有するポリオルガノシロキサンであるのが好ましい。
【0012】
[化1]

式(a)中、括弧内は繰り返し単位を表し、nは繰り返し数を表し、Rxは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基等の非加水分解性基を表す。なお、式(a)の複数のRxは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。ただし、前記式(a)のRxが2つとも水素原子であることはない。
【0013】
また、前記透明導電層が金属酸化物または有機導電材料を含む透明導電性材料からなることが好ましい。
【0014】
また、前記アンダーコート層は、エネルギー線硬化型樹脂を含むのが好ましい。
【0015】
また、前記ポリオルガノシロキサン系化合物の含有量が、前記エネルギー線硬化型樹脂の固形分100質量部に対して、0.001〜80質量部であるのが好ましい。
【0016】
また、前記エネルギー線硬化型樹脂は、多官能(メタ)アクリラート及び単官能(メタ)アクリラートを含むのが好ましい。
【0017】
また、初期のシート抵抗値をR、60℃dry(10%RH(相対湿度)以下)で7日間、及び60℃90%RH(相対湿度)で7日間の環境で保管した後のシート抵抗値をそれぞれR、Rとしたとき、シート抵抗値の変化率T=(R−R)/R、T=(R−R)/Rの値がそれぞれ1.0以下であることが好ましい。
【0018】
また、前記透明導電層が、ガリウム、インジウム、アルミニウム、ホウ素、珪素の少なくとも1種類を含む酸化亜鉛を主成分とするものであることが好ましい。
【0019】
一方、本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、フレキシブル基材の少なくとも片面に、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層を形成し、次いで、前記アンダーコート層上に透明導電層を形成することを特徴とする。
【0020】
ここで、前記透明導電層が、ガリウム、インジウム、アルミニウム、ホウ素、珪素の少なくとも1種類を含む酸化亜鉛を主成分とするものであり、当該透明導電層をイオンプレーティング法もしくはスパッタリング法で成膜することが好ましい。
【0021】
また、本発明の太陽電池は、前記透明導電性フィルムを用いたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、前記透明導電性フィルムを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
かかる本発明によると、汎用性の高いフレキシブル基材上にシート抵抗値が十分に小さく、湿熱条件投入後及び屈曲後においてもシート抵抗値の上昇が抑制できる透明導電層を具備する透明導電性フィルム及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明の透明導電性フィルムは、湿熱条件投入後及び屈曲後においてもシート抵抗値の上昇が抑制できるため、これを用いることにより、ディスプレイ、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子等の電子デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施形態に係る透明導電性フィルムの概略断面図である。
【図2】他の実施形態に係る透明導電性フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の透明導電性フィルム及びその製造方法を実施形態に基づいて説明する。
【0026】
図1には、一実施形態に係る透明導電性フィルムの概略断面を示す。図示するように、透明導電性フィルム10は、フレキシブル基材11上に、アンダーコート層12及び透明導電層13を順次積層したものである。アンダーコート層12及び透明導電層13は、フレキシブル基材11の一面のみに設けてもよいが、両面に設けられていてもよい。また、フレキシブル基材11とアンダーコート層12との間には、必要に応じて、例えば、アンダーコート層を形成する際に溶剤による基材の変質等を防止するバリア層や水蒸気透過率が低いガスバリア層、ハードコート層など、他の層を設けてもよい。
【0027】
一方、フレキシブル基材のアンダーコート層が設けられる面とは反対側の面には、フレキシブル基材を保護する役割や透明導電性フィルムのカールの抑制を目的として、ハードコート層や水蒸気透過率が低いガスバリア層など、他の層を設けてもよい。このような透明導電性フィルムの一例を図2に示す。かかる透明導電性フィルム10Aは、一方面にアンダーコート層12及び透明導電層13を具備するフレキシブル基材11の反対側に、ハードコート層14を設けたものである。なお、ハードコート層14は、従来から公知のハードコート層を設ければよい。
【0028】
本発明に使用するフレキシブル基材とは、フレキシブル透明導電性フィルムの目的に合致するものであれば、すなわち透明性を有するものであれば特に制限されず、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、芳香族系重合体、熱硬化型もしくは放射線硬化型樹脂を用いて熱や放射線で硬化した硬化物のフィルム等が挙げられる。またこれらに酸化防止剤、難燃剤、高屈折率材料や低屈折率材料やレベリング剤、ナノレベルのクレー及び微粒子等の各種添加剤を透明性を損なわない範囲で含んでもよい。
【0029】
これらの中でも、透明性に優れ、汎用性があることから、ポリエステル、ポリアミドまたはシクロオレフィン系ポリマーが好ましく、ポリエステルまたはシクロオレフィン系ポリマーがより好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられる。
【0030】
ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等が挙げられる。
【0031】
シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれらの水素化物が挙げられる。その具体例としては、アペル(三井化学社製のエチレン−シクロオレフィン共重合体)、アートン(JSR社製のノルボルネン系重合体)、ゼオノア(日本ゼオン社製のノルボルネン系重合体)等が挙げられる。
【0032】
これらのフレキシブル基材の厚みは10〜500μmが好ましく、更に好ましくは50〜250μmの範囲が好ましい。これらの範囲であれば取扱いが容易であり、またフレキシブル性も問題ない。
【0033】
これらのフレキシブル基材の全光線透過率は、70%以上、ヘイズ値が10%以下であることが好ましい。また、上述したフレキシブル基材は、本発明における透明導電性フィルムの透明性を損なわない範囲で、フレキシブル基材上に低屈折率材料や高屈折率材料からなる層を各々積層しても構わない。
【0034】
本発明では、このようなフレキシブル基材に、所定の化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層を設ける。
【0035】
すなわち、アンダーコート層は、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層である。また、アンダーコート層は、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなる層であればよく、後述するエネルギー線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂からなるコート材料を主成分として、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなる層でもよい。例えば、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料は、従来のアンダーコート層のコート材料中にポリオルガノシロキサン系化合物を含んでも構わないし、ポリオルガノシロキサン系化合物のみを含有するコート材料であっても構わない。
【0036】
ポリオルガノシロキサン系化合物は、好ましくは有機変性ポリシロキサン系化合物誘導体であり、特にアルキル基、アラルキル基、アリール基、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ポリエステル基、ポリエーテル基、ポリウレタン基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の有機変性部分を導入した有機変性ポリシロキサン系化合物誘導体である。このような化合物としてはシリコーン粘着剤やシリコーン接着剤、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤などの市販品を使用することができ、1種類でも、2種類以上を併用しても構わない。
【0037】
本発明において、アンダーコート層は、後述する透明導電層と接する層が、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなる層であればよい。
【0038】
かかるアンダーコート層は、フレキシブル基材からのオリゴマー成分や低分子成分が透明導電層へ侵入するのを遮蔽する効果に加え、透明導電層との密着性に優れ、特に湿熱条件投入後及び屈曲後のシート抵抗値の上昇を抑制する効果を発揮する。
【0039】
ポリオルガノシロキサン系化合物の主鎖構造に制限はなく、直鎖状、ラダー状、籠状のいずれであってもよい。
【0040】
例えば、前記直鎖状の主鎖構造としては下記式(a)で表される構造が、ラダー状の主鎖構造としては下記式(b)で表される構造が、籠状の主鎖構造としては、例えば下記式(c)で表される構造が、それぞれ挙げられる。
【0041】
[化2]



式中、括弧内は繰り返し単位を表し、nは繰り返し数を表し、Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基等の非加水分解性基を表す。なお、式(a)の複数のRx、式(b)の複数のRy、及び式(c)の複数のRzは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。ただし、前記式(a)のRxが2つとも水素原子であることはない。
【0042】
無置換若しくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
【0043】
無置換若しくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0044】
前記アルキル基及びアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0045】
無置換又は置換基を有するアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
【0046】
前記アリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
【0047】
本発明においては、ポリオルガノシロキサン系化合物としては、前記式(a)で表される直鎖状の化合物が好ましく、入手容易性、及び後述する透明導電層のシート抵抗値の上昇を抑制するアンダーコート層を得るという観点から、前記式(a)において2つのRxがともにメチル基の化合物であるポリジメチルシロキサンがより好ましい。すなわち、上述のフレキシブル基材と後述する透明導電層の密着性を高め、湿熱条件投入後においてもシート抵抗値の上昇を抑制する。
【0048】
ポリオルガノシロキサン系化合物は、例えば、加水分解性官能基を有するシラン化合物を重縮合する、公知の製造方法により得ることができる。
【0049】
用いるシラン化合物は、目的とするポリオルガノシロキサン系化合物の構造に応じて適宜選択すればよい。好ましい具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等の2官能シラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルジエトキシメトキシシラン等の3官能シラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラs−ブトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン等の4官能シラン化合物等が挙げられる。
【0050】
さらにジメチルシロキサン骨格を有するポリジメチルシロキサンとしては、下記式(1)で表されるポリジメチルシロキサンの他、ポリジメチルシロキサンの両末端、片末端または側鎖のメチル基を他の官能基で置換した変性ポリジメチルシロキサンや、分子内に電離放射線硬化性基が導入された変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。ポリジメチルシロキサンまたは変性ポリジメチルシロキサンは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0051】
[化3]

(式(1)中、nは0〜2000の整数である。)
【0052】
具体例としては、ポリジメチルシロキサン(チッソ社製,製品名:PS040;東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製,製品名:SH28)、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製,製品名:BYK−310)、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製,製品名:BYK−377)が挙げられる。
変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、下記式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
[化4]

(式(2)中、nは0〜2000の整数であり、Rはそれぞれ独立して水酸基、カルボキシアルキル基、そのカルボキシアルキル基のアルキルエステル、アミノアルキル基、ジアミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはジヒドロキシアルキル基、アルケニル基、メルカプト基、エポキシ基、ビニル基を表す。)
【0054】
[化5]

(式(3)中、nは0〜2000の整数であり、Rは水酸基、カルボキシアルキル基、そのアルキルエステル、アミノアルキル基、ジアミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはジヒドロキシアルキル基、アルケニル基、メルカプト基、エポキシ基、ビニル基である。)
【0055】
[化6]

(式(4)中、mは0または1以上の整数であり、nは整数であり、Rはアミノアルキル基、ジアミノアルキル基、カルボキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはジヒドロキシアルキル基、アルケニル基、メルカプト基、エポキシ基、ビニル基である。)
【0056】
上記変性ポリジメチルシロキサンの具体例としては、片末端シラノール変性ポリジメチルシロキサン(チッソ社製、製品名:PS340.5)、両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサン(チッソ社製、製品名:PS−341、分子量:3200)、側鎖アミノ変性ポリジメチルシロキサン(信越シリコーン社製、製品名:KF−859、製品名:KF−865)、側鎖カルビノール変性ポリシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、製品名:SF8428)、側鎖カルボキシ変性ポリジメチルシロキサン(信越シリコーン社製、製品名:X−22−3710)、両末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製、製品名:BY16−750)、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(チッソ社製、製品名:FM0411)、ジメチルポリシロキサンーポリオキシアルキレン共重合体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、製品名:DC190)等が挙げられる。
【0057】
また、分子内に電離放射線硬化性基が導入された変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、分子内にアルケニル基およびメルカプト基を有するラジカル付加型のポリジメチルシロキサン、分子内にアルケニル基および水素原子を有するヒドロシリル化反応型のポリジメチルシロキサン、分子内にエポキシ基を有するカチオン重合型のポリジメチルシロキサン、分子内に(メタ)アクリル基を有するラジカル重合型のポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品としては、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製、製品名:BYK-UV3500、ビックケミー・ジャパン社製、製品名:BYK-UV3510、ビックケミー・ジャパン社製、製品名:BYK-UV3570)が挙げられる。
【0058】
分子内にエポキシ基や(メタ)アクリル基を有するポリジメチルシロキサンとしては、例えば、エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、アクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0059】
また、分子内にビニル基を有するポリジメチルシロキサンとしては、例えば、末端ビニルポリジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサンホモポリマー等が挙げられる。ポリオルガノシロキサン系化合物の重量平均分子量は、300〜200000であるのが好ましく、特に500〜20000であるのが好ましい。
【0060】
本発明において、アンダーコート層を形成するコート材料とは、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するものである。また、従来から公知のコート層を形成する材料を主成分として含んでいてもよい。公知のコート材料としては、一般的には、エネルギー線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂を主成分とするものが挙げられる。
【0061】
ここで、コート材料の主成分に関して、特に制限されるものではないが、例えば、エネルギー線硬化性化合物と、光重合開始剤で構成することができ、さらに熱可塑性樹脂や各種添加剤を加えることで目的とするアンダーコート層とすることができる。
また、例えば、光重合開始剤、増感剤、溶剤、エネルギー線硬化型反応性粒子、無機粒子、酸化防止剤、帯電防止剤、イオン液体、紫外線吸収剤等各種添加剤を、シート抵抗値や透明導電層とアンダーコート層の密着性を損なわない範囲で含んでいても構わない。
【0062】
コート材料の主成分の代表例である、例えばエネルギー線硬化型樹脂としては、アクリラート系モノマーを挙げることができ、具体的には分子量1000未満の多官能(メタ)アクリラート系モノマーを好ましく挙げることができる。なお、(メタ)アクリラートとは、アクリラート又はメタクリラートの総称であり、他の「(メタ)」もこれに準拠する。
【0063】
この分子量1000未満の多官能(メタ)アクリラート系モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリラート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリラート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリラート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリラート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリラート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリラート、エチレンオキサイド変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリラート、トリシクロデカンジメタノールアクリラート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート、アダマンタンジ(メタ)アクリラートなどの2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリラート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラートなどの4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラートなどの5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリラート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリラートなどの6官能型などが挙げられる。
【0064】
本発明において、これらの多官能(メタ)アクリラート系モノマーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、骨格構造に環状構造を有するものを含有することが好ましい。環状構造は、炭素環式構造でも、複素環式構造でもよく、また、単環式構造でも多環式構造でもよい。
【0065】
このような多官能(メタ)アクリラート系モノマーとしては、例えばジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有するもの、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリラート、エチレンオキサイド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリラート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリラート、アダマンタンジ(メタ)アクリラートなどが好適である。
【0066】
また、活性エネルギー線硬化型のアクリラート系オリゴマーを用いることもできる。このアクリラート系オリゴマーは重量平均分子量50,000以下のものが好ましい。このようなアクリラート系オリゴマーの例としては、ポリエステルアクリラート系、エポキシアクリラート系、ウレタンアクリラート系、ポリエーテルアクリラート系、ポリブタジエンアクリラート系、シリコーンアクリラート系などが挙げられる。
【0067】
ここで、ポリエステルアクリラート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリラート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリラート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリラートリゴマーも用いることができる。ウレタンアクリラート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ポリオールアクリラート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0068】
上記アクリラート系オリゴマーの重量平均分子量は、GPC法で測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値で、50,000以下が好ましく、より好ましくは500〜50,000、さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲で選定される。
【0069】
これらのアクリラート系オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
また(メタ)アクリロイル基を有する基が側鎖に導入されたアダクトアクリラート系ポリマーを用いることもできる。このようなアダクトアクリラート系ポリマーは、既存の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体において(メタ)アクリル酸エステルと、分子内に架橋性官能基を有する単量体との共重合体を用い、該共重合体の架橋性官能基の一部に、(メタ)アクリロイル基及び架橋性官能基と反応する基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。該アダクトアクリラート系ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、通常50万〜200万である。前記の多官能アクリラート系モノマー、アクリラート系オリゴマー及びアダクトアクリラート系ポリマーの中から、適宜1種を選び用いてもよく、2種以上を選び併用してもよい。
【0071】
一方、カチオン重合型の光重合性モノマーやオリゴマーとしては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
【0072】
単官能アクリラート系モノマーとしては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ラウリル(メタ)アクリラート、ステアリル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート等が挙げられる。
【0073】
コート材料にエネルギー線硬化性化合物を含む場合には、所望により光重合開始剤を含有させることができる。この光重合開始剤としては、例えばベンソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、前記エネルギー線硬化型樹脂100質量部に対して、通常0.01〜20質量部の範囲で選ばれる。カチオン重合型の光重合性モノマーやオリゴマーに対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられる。
【0074】
熱硬化性樹脂は、特に制限はなく、従来公知のものの中から、適宜選択して用いることができ、一般に分子量200〜2,000,000程度のものが用いられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば炭素−炭素二重結合やグリシジル基を有するアクリラート系重合体、不飽和ポリエステル、イソプレン重合体、ブタジエン重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに所望により硬化剤などを含有してもよい。硬化剤としては、例えばジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、t−ブチルぺルオキシベンゾエート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、フェニレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどのポリアミン類、ドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類やジシアンジアミド、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのルイス酸、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。これらの硬化剤は、使用する熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択される。
【0075】
また、コート材料には、熱可塑性樹脂を含有させてもよい。かかる熱可塑性樹脂としては、特に制限されるものではなく、様々な樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂は、エネルギー線硬化型樹脂と相溶していてもよいし、エネルギー線硬化型樹脂の硬化物中に粒子状に分散して保持されていてもよい。熱可塑性樹脂を粒子状に分散させるには、粒子状の熱可塑性樹脂を用いてもよく、エネルギー線硬化型樹脂との相分離により粒子状となる熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0076】
アンダーコート層は、表面に微細な凹凸構造が形成されていてもよく、微細な凹凸構造を形成しやすい観点から、エネルギー線硬化型樹脂と熱可塑性樹脂の相分離を用いてエネルギー線硬化型樹脂の硬化物中に熱可塑性樹脂を粒子状に分散することが好ましい。
【0077】
熱可塑性樹脂としては、導電層との密着性や耐湿熱性の点などから、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などが好適である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
ここで、ポリエステル系樹脂としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物などのアルコール成分の中から選ばれる少なくとも1種と、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその酸無水物などのカルボン酸成分の中から選ばれる少なくとも1種とを縮重合させて得られた重合体などを挙げることができる。
【0079】
また、ポリエステルウレタン系樹脂としては、前記のポリエステル系樹脂において例示されたアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られた末端にヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールに、各種のポリイソシアナート化合物を反応させて得られた重合体などを挙げることができる。
【0080】
また、ポリウレタン樹脂としては、水酸基含有化合物とポリイソシアナート化合物の反応物、例えば、ハードセグメントとして短鎖グリコールや短鎖エーテルとイソシアナート化合物との反応で得られるポリウレタンと、ソフトセグメントとして長鎖グリコールや長鎖エーテルとイソシナート化合物の反応で得られるポリウレタンの直鎖状のマルチブロックコポリマーを挙げることができる。また、ウレタンプレポリマーとポリイソシアナート化合物の反応物(硬化物)であってもよい。
【0081】
さらに、アクリル系樹脂としては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合体、又は前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の共重合可能な単量体との共重合体などを挙げることができる。
【0082】
これらの中で、特にポリエステル系樹脂及び/又はポリエステルウレタン系樹脂が好ましい。
【0083】
本発明において、従来のアンダーコート層のコート材料中にポリオルガノシロキサン系化合物を含有する場合には、ポリオルガノシロキサン系化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、エネルギー線硬化型樹脂のモノマーまたはオリゴマーの合計を100質量部として、0.001〜80質量部、好ましくは、0.005〜10質量部、さらに好ましくは0.01〜5質量部の範囲が好ましい。含有量がこの範囲であれば、透明導電層とアンダーコート層の密着性または湿熱環境下でのシート抵抗値変化抑制に対して効果がある。
【0084】
本発明においては、上述したポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるコート剤(硬化性組成物)を、フレキシブル基材の表面に塗布し、希釈剤を含む場合は乾燥させてアンダーコート層とする。
【0085】
コート剤の調製に用いる溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
【0086】
このような硬化性組成物のフレキシブル基材への塗布方法は、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法など従来公知の方法が挙げられる。
【0087】
上述したコート材料が、エネルギー線硬化型樹脂を含む場合には、上述したポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるコート剤を、フレキシブル基材の表面に塗布し、コート材料が希釈剤を含む場合は乾燥させてエネルギー線を照射してアンダーコート層とする。
【0088】
照射されるエネルギー線は、種々のエネルギー線発生装置から発生するエネルギー線が用いられる。例えば、紫外線は、通常は紫外線ランプから輻射される紫外線が用いられる。この紫外線ランプとしては、通常波長300〜400nmの領域にスペクトル分布を有する紫外線を発光する、高圧水銀ランプ、ヒュ−ジョンHランプ、キセノンランプ等の紫外線ランプが用いられ、照射量は通常50〜3000mJ/cmが好ましい。
【0089】
アンダーコート層の厚さは、0.001〜20μmであることが好ましく、0.05〜20μmであることが好ましく、特に0.1〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0090】
一方、本発明の透明導電層の透明導電性材料としては、白金、金、銀、銅等の薄膜金属、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素材料、ポリアリニン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の有機導電材料、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化亜鉛、二酸化亜鉛等の金属酸化物等を挙げることができる。前記有機導電材料には、ドーパントとして、ヨウ素、五フッ化ヒ素、アルカリ金属、ポリアニオンポリ(スチレンスルホン酸塩)などを添加しても良い。具体的にはスタルクヴィテック株式会社が販売しているポリエチレンジオキシチオフェンを用いた商品名CLEVIOS P AI 4083が挙げられる。本発明の透明導電層は、これらの透明導電材料を単層もしくは多層に積層して透明導電層としてもよい。上記薄膜金属を積層する場合は透明性と導電性を考慮して、薄膜金属層を部分的に配置するようなパターニング層として使用しても構わない。これらの中でも、特に、酸化亜鉛系、酸化インジウム系等の金属酸化物が好ましく、酸化亜鉛系金属酸化物が特に好ましい。この場合、アンダーコート層としての密着性や湿熱特性変化に特に優れているからである。
【0091】
本発明の透明導電層の透明導電性材料は、好適には、金属酸化物を90質量%以上含有することが好ましい。その他の組成は特に限定されず、例えば、抵抗率を低下させるために、アルミニウム、インジウム、ホウ素、ガリウム、ケイ素、スズ、ゲルマニウム、アンチモン、イリジウム、レニウム、セリウム、ジルコニウム、スカンジウムおよびイットリウムなど各種添加剤を添加されたものでもよい。これらの各種添加剤は、少なくとも1種以上含んでいてもよく、添加量は0.05〜15%の範囲が好ましく、特に0.05〜10質量%含んでいることが好ましい。
【0092】
このような透明導電性材料としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、錫およびガリウムドープ酸化インジウム(IGZO)等、酸化亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO、登録商標)、フッ素ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、フッ素含有酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛等が挙げられる。特に、フッ素含有酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛等の酸化亜鉛を主成分とする透明導電性材料が好ましい。
【0093】
これらの材料の中でも、特に三酸化二ガリウムを1〜10%の範囲で添加したガリウムドープ酸化亜鉛であると、導電性が好適である。
【0094】
透明導電層の膜厚は、10〜400nmの範囲が好ましく、特に好ましくは30〜200nmの範囲が好ましい。膜厚は所望するシート抵抗値に応じて調整することができる。透明導電層の成膜工程時にフレキシブル基材に熱負荷を与えない範囲内であれば公知の技術で成膜することができる。1回で目標とする透明導電層を成膜しても構わないし、複数回で成膜しても良い。更に透明導電層を多層構造化させる時に、透明導電層の各層の成膜条件を変更し、透明導電層のキャリア密度や移動度が異なるような成膜方法であってもよい。
【0095】
透明導電層の成膜方法としては従来から公知の方法により成膜される。例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、化学気相成長法などで成膜することができるが、最も好適な方法はイオンプレーティング法もしくはスパッタリング法である。イオンプレーティング法は、特許文献1に記載されているものがある。また透明導電性材料を成膜する前にフィルムの融点を超えない温度領域で真空もしくは大気圧下で加熱処理や、プラズマ処理や紫外線照射処理を行う工程を設けても良い。
【0096】
イオンプレーティング法は飛来粒子の持つ運動エネルギーが小さいために、粒子が衝突するときにフレキシブル基材や成膜される透明導電層に与えるダメージが小さく、結晶性の良好な透明導電層が得られる。
【0097】
また、本発明の透明導電性フィルムは、初期のシート抵抗値をR、60℃dry(10%RH(相対湿度)以下)で7日間、及び60℃90%RH(相対湿度)で7日間の環境で保管した後のシート抵抗値をそれぞれR、Rとしたとき、シート抵抗値の変化率T=(R−R)/R、T=(R−R)/Rの値がそれぞれ1.0以下であることが好ましい。また、初期のシート抵抗値が1000Ω/□以下、好ましくは600Ω/□以下であるのが好ましい。なお、本発明でいう初期のシート抵抗値Rとは、耐湿熱試験に投入する前に測定した抵抗値のことをいう。
【0098】
本発明の電子デバイスは、本発明の透明導電性フィルムを備える。具体例としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、及びこれらに用いられるエレクトロルミネッセンス素子、電子ペーパー、太陽電池、有機トランジスタ等が挙げられる。
【0099】
本発明の電子デバイスは、本発明の透明導電性フィルムを備えているので、湿熱条件後においてもシート抵抗値の上昇が抑制でき、抵抗値が十分に小さく優れた透明導電性を有する。
【実施例】
【0100】
以下実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、実施例に限定されるものではない。
【0101】
[評価法]
(1)シート抵抗値
23℃50%RH環境下で透明導電性フィルムのシート抵抗値を測定した。測定装置として、「LORESTA―GP MCP−T600」三菱化学社製を使用した。またプローブは「PROBE TYPE LSP」株式会社三菱化学アナリック社製を用いた。
【0102】
(2)湿熱試験
透明導電性フィルムを60℃dry(10%RH(相対湿度)以下)および60℃90%RH(相対湿度)環境下に、それぞれ7日間投入した。取り出し後、23℃50%RH環境下で1日調温・調湿を行い、シート抵抗値を測定した。投入前のシート抵抗値Rと、60℃dry7日間投入後のシート抵抗値R、60℃90%RH7日間投入後のシート抵抗値Rの値から以下のような計算式で評価を行った。
=(R−R)/R
=(R−R)/R
【0103】
(3)屈曲性試験
直径15mmのアクリル丸棒を用いて透明導電性フィルムの透明導電層側を内側にして屈曲させて(丸棒に接する面が透明導電層)、30秒間屈曲させた状態で、屈曲前後でのシート抵抗値変化率を以下の式で求めた。屈曲前のシート抵抗値R、屈曲後のシート抵抗値Rとした。
=R/R
【0104】
(実施例1)
フレキシブル基材として、東洋紡績株式会社製の片面に易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである商品名:コスモシャインA4300(厚み188μm)を用いて、PETの易接着層側の面に塗布液1をバーコーターによって乾燥膜厚が4μmになるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、紫外線を照射し(照射条件:高圧水銀ランプ 照度310mW/cm2、光量300mJ/cm2)、アンダーコート層を設けた。
【0105】
<塗布液1の調製>
塗布液1の配合は以下の通りである。アンダーコート層のコート材料としては以下の材料を調製した。
ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28 固形濃度100% 0.05質量部
荒川化学工業社製 ウレタンアクリラート系紫外線硬化型樹脂 商品名:ビームセット575CB 固形濃度 100% 100質量部
東洋紡績株式会社 ポリエステル樹脂 商品名:バイロン20SS 固形濃度30% 8質量部
トルエン 100部
エチルセロソルブ 100部
【0106】
<透明導電層の成膜>
圧力勾配型ガンを用いたイオンプレーティング法により、アンダーコート層を有するPETフィルムのアンダーコート層上に透明導電層を作成し、透明導電性フィルムを得た。
【0107】
<成膜条件>
透明導電性材料:三酸化二ガリウムを4質量%添加した酸化亜鉛焼結体
放電電圧:68V
放電電流:143A
導入アルゴン流量と酸素流量の比率: アルゴン:酸素=16:1
透明導電層の膜厚:100nm
【0108】
(実施例2)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28 固形濃度100%の添加量を0.5質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0109】
(実施例3)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28 固形濃度100%の添加量を5.0質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0110】
(実施例4)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28をビックケミー・ジャパン株式会社製 商品名:BYK−310 固形濃度100%に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0111】
(実施例5)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28をビックケミー・ジャパン株式会社製 商品名:UV−3500 固形濃度100% 添加量0.1質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0112】
(実施例6)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28をビックケミー・ジャパン株式会社製 商品名:UV−3570 固形濃度100% 添加量0.1質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0113】
(実施例7)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28をビックケミー・ジャパン株式会社製 商品名:UV−3510 固形濃度100% 添加量0.1質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0114】
(実施例8)
実施例1において、ポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28をビックケミー・ジャパン株式会社製 商品名:BYK−377 固形濃度100% 添加量0.05質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0115】
(実施例9)
実施例1において、透明導電層を下記の通り成膜した以外は実施例1に従った。
H.C.STARCK株式会社が販売している商品名:CLEVIOUSTM PVPAI4083(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液を、マイヤーバーを用いてアンダーコート層上に100nmの厚みになるように塗布して、100℃ 30分間乾燥機で乾燥して目的とする導電フィルムを得た。
【0116】
(比較例1)
実施例1において、アンダーコート層を設けない以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0117】
(比較例2)
実施例1のポリジメチルシロキサン系化合物 東レ・ダウコーニング社製 商品名:SH−28をビックケミー・ジャパン株式会社製アクリル系レベリング剤 商品名:BYK−345 固形濃度100% 添加量0.05質量部に変更した以外は実施例1に従って、透明導電性フィルムを得た。
【0118】
【表1】

【0119】
(試験結果)
表1に示す結果より、実施例1〜9に係る透明導電性フィルムでは、湿熱試験後のシート抵抗値の上昇が著しく小さく、耐湿熱性に優れるものであることがわかった。また、屈曲性試験においても、フレキシブル基材と透明導電層の密着性が高いため、屈曲性試験前後のシート抵抗値の上昇が小さく、屈曲性に優れていることがわかった。
【0120】
これに対し、比較例1、比較例2に係る透明導電性フィルムでは、湿熱試験後及び屈曲性試験後において、シート抵抗値の上昇が大きく、耐湿熱性および屈曲性が悪いことがわかった。
【符号の説明】
【0121】
10、10A 透明導電性フィルム
11 フレキシブル基材
12 アンダーコート層
13 透明導電層
14 ハードコート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基材の少なくとも片面に、(A)ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層と、(B)透明導電層とが順次形成されることを特徴とする透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記ポリオルガノシロキサン系化合物が、下記式(a)の主鎖構造を有するポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。

式(a)中、括弧内は繰り返し単位を表し、nは繰り返し数を表し、Rxは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基等の非加水分解性基を表す。なお、式(a)の複数のRxは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。ただし、前記式(a)のRxが2つとも水素原子であることはない。
【請求項3】
前記透明導電層が金属酸化物または有機導電材料を含む透明導電性材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記アンダーコート層は、エネルギー線硬化型樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記ポリオルガノシロキサン系化合物の含有量が、前記エネルギー線硬化型樹脂の固形分100質量部に対して、0.001〜80質量部であることを特徴とする請求項4に記載の透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記エネルギー線硬化型樹脂は、多官能(メタ)アクリラート及び単官能(メタ)アクリラートを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
初期のシート抵抗値をR、60℃dryで7日間、及び60℃90%RHで7日間の環境で保管した後のシート抵抗値をそれぞれR、Rとしたとき、シート抵抗値の変化率T=(R−R)/R、T=(R−R)/Rの値がそれぞれ1.0以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記透明導電層が、ガリウム、インジウム、アルミニウム、ホウ素、珪素の少なくとも1種類を含む酸化亜鉛を主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項9】
フレキシブル基材の少なくとも片面に、ポリオルガノシロキサン系化合物を含有するコート材料からなるアンダーコート層を形成し、次いで、前記アンダーコート層上に透明導電層を形成することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記透明導電層が、ガリウム、インジウム、アルミニウム、ホウ素、珪素の少なくとも1種類を含む酸化亜鉛を主成分とするものであり、当該透明導電層をイオンプレーティング法もしくはスパッタリング法で成膜することを特徴とする請求項9に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜8の何れか1項に記載の透明導電性フィルムを用いたことを特徴とする太陽電池。
【請求項12】
請求項1〜8の何れか1項に記載の透明導電性フィルムを用いたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−56309(P2012−56309A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137827(P2011−137827)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】