説明

通信システム、同通信システムで使用するセンタ装置及び端末装置

【課題】複数の端末装置間を接続して形成した通信システムの各端末装置の消費電力を均一化する。
【解決手段】センタ装置30に対して複数の端末装置20を多段に接続して構成した通信システムにおいて、太陽電池40の充電量が不足した端末装置20(3)が、自身に経路設定された直近階層下位の端末装置20(8)に対して経路変更を促す。上記端末装置20(8)は、直近上位の端末装置20(4)を指定してセンタ装置30に変更許可を求め、センタ装置30は、端末装置20(4)の充電量と電界強度及び接続下位にある端末装置の情報を参照して端末装置20(4)の適否を判断する。許可が出ると端末装置20(8)は経路を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々自然エネルギーに基づく発電装置を備えた子機となる端末装置を親機となる端末装置を頂点とする階層構造状に多段に接続して構成した通信システム、同通信システムで使用するセンタ装置及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、親機となる端末装置と子機となる端末装置とを互いに無線通信可能に接続して、子機で収集したガスの使用量などのデータを親機経由でセンタ装置に送信して、センタ装置で各ガスメータの使用状態を一括管理する遠隔管理システムが知られている。
この遠隔管理システムでは、子機は例えばガスメータと一体に各家庭などに配置され、複数の子機を管理する親機が各子機と無線通信可能に接続されて、子機は自律的に或いはセンタ装置からの指令を親機経由で受信して測定データの送信等の動作を行う。
【0003】
親機と特定子機間の通信は、多段に接続した他の子機を介して行うため当該子機とそれに接続された子機の数は各子機毎に異なり、多数の子機に接続した子機は通信のための電力消費量が多いため、乾電池等を電源として用いる場合は、早く電池寿命に達し取り換えを要することになる。そのため、子機の電池を一斉に取り換えると、最初に寿命に達した電池に合わせなければならず、また、個々の子機毎に電池交換を行うとなると手間がかかるという問題がある。乾電池は10年程度の長期間に亘って使用可能ではあるが、いずれにしても電池の交換は煩雑である。そこで、個々の子機に小型の発電装置を備えることが好ましい。
【0004】
そのため、近年は、自然環境保全などの事情もあり、自然エネルギーを利用した発電システム、とくに太陽電池を用いた発明システムの利用が推奨されており、遠隔管理システムにおいても、従来の電池の代わりに太陽電池を用いることが行われている。
【0005】
図7は、特許文献に記載されたものではないが、従来のそれぞれ端末装置である親機と子機とからなる、例えば、遠隔管理装置に用いる通信システムを概略的に示したブロック図である。ここでは、子機の駆動電源として太陽電池40が用いられている。
図示のように、親機(となる端末装置)10には複数の子機(となる端末装置)20が親機10を頂点として一種の階層構造を形成して多段に接続されている。図示の例では親機(親端末装置ともいう)10には子機(単に端末装置ともいう)20(1)と20(2)が直接接続され、かつ子機20(1)及び子機20(2)の下段側には、それぞれ子機20(3)、20(4)、20(5)が、さらに子機20(3)の下段には子機20(6)、20(7)、20(8)が、また、子機20(5)の下段には子機20(9)がそれぞれ接続されている。
【0006】
この構成において、例えば、センタ装置30(単にセンタともいう)から公衆回線又は専用回線網NTを介して親機10経由で特定の子機、例えば子機20(7)に送信される指示又は命令は、親機10から子機20(1)、子機20(3)を経由して子機20(7)に伝えられ、子機20(7)からの測定データや通信文は、これと逆の経路を通ってセンタ装置30に伝送される。
したがって、ここでは子機20(7)と親機10との接続経路内にある子機20(1)と20(3)は、子機20(7)と親機10又はセンタ装置30間で通信が発生する毎に、データや通信文の送受信のための動作を行う。
即ち、子機20(3)は、3台の子機20(6)〜20(8)の接続経路中にあり、他方、子機20(4)はその階層下位には子機は存在しない。したがって、図示の例では、子機20(3)の消費電力は、子機20(4)よりも多い。そのため、子機20(3)にはこれに見合った発電量を確保するため、子機20(4)のものよりも発電量が大きな太陽電池40が取り付けられている。
【0007】
また、太陽電池に限らず、風力、波力、地熱等の自然エネルギーを用いて発電を行う場合は、発電量が安定しないという問題がある。とくに、例えば、太陽電池を用いる場合は、天候や周りの環境の影響や、昼夜の差により発電量に大きな変動があるため、端末装置(子機)を安定に作動するためには、備える蓄電池も最大電力使用時を想定した容量が必要であると共に、十分な電気量発生のため発電能力に十分な余裕を持った太陽電池が必要である。
したがって、従来の太陽電池使用の通信システムではコストが掛かるという問題がある。
【0008】
また、それだけではなく、とくに、子機20(3)のようにアクセスが集中する子機では、子機毎の最大消費電力を予想すること自体容易ではないという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、例えば遠隔管理システムのような、親機と自然エネルギーを利用した発電装置、例えば太陽電池を駆動電源として備えた複数の子機となる端末装置で構成された通信システムにおいて、各子機の電力消費量をできる限り均等化して、システム全体での電力消費を最適化することで、各子機の発電装置や蓄電部の容量を均一化すると共に節減して、コストを低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、センタ装置と複数の端末装置を多段に接続した端末装置で構成した通信システムにおいて使用する端末装置であって、 自然エネルギー利用の発電装置と、前記発電装置の充電量を算出する手段と、自端末装置の通信電界強度を検知する手段と、前記充電量情報及び通信電界強度データをセンタ装置に送信する手段と、前記充電電力量が所定値以下のとき、当該端末装置に経路設定がなされた他の端末装置に対して経路変更を促す信号を送信する手段と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された端末装置において、他の端末装置から経路変更を促す信号を受信したとき、センタ装置に対して接続経路変更要求を送信する手段、センタ装置から接続経路変更指示を受信したとき、当該接続経路に接続経路変更を行う手段を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載された端末装置において接続経路変更要求を送信する手段は、前記電界強度情報に基づく接続相手先候補となる端末装置情報をセンタ装置に送信することを特徴とする。
請求項4の発明は、センタ装置と複数の端末装置を多段に接続した端末装置で構成した通信システムにおいて使用するセンタ装置であって、各端末装置から送信される各自端末装置の充電電力量、電界強度データ及び下位接続端末装置データを記憶する記憶手段、端末装置から接続経路変更要求を受信したとき、前記電界強度データ、充電電力量及び下位接続端末装置データに基づき当該接続経路変更要求に含まれる変更先端末装置について変更の可否判断をする手段、を有し、変更可と判断したとき、前記端末装置に対して指定した接続経路変更先端末装置への接続経路変更指示を行うことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載された端末装置と、請求項4に記載されたセンタ装置とからなることを特徴とする通信システム。
【0011】
(作用)
本通信システムでは、個々の子機となる端末装置に自然エネルギー利用の発電装置を備えかつ個々に蓄電しておく。特定の端末装置(子機)の充電量が不足するおそれがある場合には、他の子機からの中継を抑制するか或いは中止して、他の充電量に余裕のある端末装置(子機)に接続経路を変更する。
また、接続経路の変更は、各端末装置から収集した自端末装置の充電電力情報と通信電界強度情報に基づきセンタ装置で接続経路変更先端末装置を指定することで行う。指定に当たっては、指定先端末装置の充電量情報と電界強度データ、及び配下子機情報から変更先端末装置の適否を判断し、適と判断したとき接続経路を行う。接続経路変更は子機となる各端末装置或いは親機となる端末装置、或いは親機と接続されたセンタ装置に登録する。登録後は、上記通信システムの通信は全て変更後の接続経路を通して行われる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定の子機となる端末装置の充電量が不足するおそれがあるときは、他の充電量が足りる端末装置に接続経路を変更するため、個々の子機となる端末装置毎に発電された電力を、通信システム全体で過不足無く効率的に利用することができる。
したがって、端末装置(子機)が階層的に多段に配置された場合であっても、各端末装置(子機)の発電容量や充電量を均一化することができる。そのため、発電装置等を小容容量化することができ、従来の同種の通信システムに比してコストを低減させることができる。
また、接続経路の変更に当たっては、接続先端末装置の充電量や接続先端末装置との通信における電界強度、及び配下子機情報から変更先端末装置の適否を判断し、適と判断したとき接続経路変更を行うため、各端末装置の発電環境や通信状況が変化しても常に安定的なシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の1実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムで用いる端末装置のブロック図である。
端末装置20は、端末装置20全体を制御する、例えばマイクロコンピュータからなるメイン制御部21と、他の端末装置20又は親機となる端末装置10と無線通信を行うための無線部22と、他の機器等との接続のためのI/Oインターフェース23と、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池40と、発電した電力を蓄電する蓄電池の充電制御を行うと共に充電量を計測する充電量計測部25と、太陽電池40で発電した電力を蓄電する蓄電部である充電電池又はコンデンサ26及び電解強度測定部28とから成っている。
【0014】
端末装置20は、太陽電池40で発電した電力を蓄電部(充電池又はコンデンサ)26に蓄電すると共に、充電量計測部25で現在の蓄電量を蓄電部26の出力電流又は電圧により計測する。メイン制御部21は、後述する自端末装置の予測電力消費量と充電量とを比較し、充電量が上記予測消費電力量を上回っていればそのまま接続経路を維持し、上回っていないときは後述するような接続経路の変更のための処理を行う。また、電界強度測定部28は、受信信号からその電界強度を測定してその電界強度情報をメイン制御部21に送りメモリに記憶しておく。
【0015】
図2は、上記端末装置を子機に用いた、本発明の通信システムの1実施形態に係る遠隔監視システムを概略的に示した図であり、システムの構成自体は既に説明した従来のものと基本的には同じであるので、同一の部分には同一の符号を付している。
即ち、親機10には複数の端末装置(子機)20が親機10を頂点とし、親機10に直接接続された第1段の端末装置20(1)と20(2)と、端末装置20(1)及び端末装置20(2)に接続される第2段の端末装置20(3)、20(4)、20(5)と、端末装置20(3)〜20(5)に接続される第3段の端末装置20(6)〜20(9)が3段の階層構造状に接続配置されている。また、各端末装置20には、自然エネルギー利用の発電装置、即ち、太陽電池40がそれぞれ付設されている。
【0016】
既に述べたように、この構成において、例えば、センタ装置30から特定の端末装置、例えば端末装置20(8)に対してなされる指示又は命令は、親機10から端末装置20(1)、端末装置20(3)を経由して端末装置20(8)に伝送され、端末装置20(8)からの測定データや通信文は、これと逆の経路を辿ってセンタ装置30に伝送される。
【0017】
このように端末装置20同士を図2に示す階層構造状に多段に配置して接続すると、電力消費量が個々の端末装置で大幅に異なることが生じる。
そのため、本実施形態では、ある特定の端末装置での予測電力消費量が充電電力量を上回ると判断されたときは、その特定端末装置を経由する接続経路を他の充電量(蓄電量)に余裕のある端末装置経由に変更することができるようにしている。
【0018】
また、接続経路の変更に当たっては、各端末装置の充電量情報と電界強度データをセンタ装置30のデータサーバに蓄積しておき、センタ装置30は、上記各端末装置20毎の充電量を表すデータである充電電流レベルと、電界強度データと、更に当該端末装置20の支配下にある子機(下位段の子機)情報(「下位接続端末装置データ」という)に基づき、経路変更の可否判断を行う。
そのため、センタ装置30は、そのデータサーバ内に、図2に示すように、電界強度参照テーブルT1、充電電流量参照テーブルT2及び配下子機情報参照テーブルT3を備えている。
【0019】
ここで、電界強度参照テーブルT1には、電界強度データと経路変更の判断を行う場合に使用するデータとしての指数との対照表が格納されている。図示の例では、例えば電界強度9と10は指数3に対応させている。充電電流量参照テーブルT2には、同様に充電電流レベルを表すデータと、上記判断のために用いる指数との対照表が格納されている。図示の例では、充電電流レベル10と9がいずれも指数3に対応させている。更に、配下子機情報参照テーブルT3には、配下の端末装置即ち特定子機からみてその上段の子機又は親機となる端末装置、つまりある子機とその通信先端末装置情報が対になって格納されている。
【0020】
センタ装置30では、経路変更先端末装置について上記電界強度参照テーブルT1、充電電流量参照テーブルT2を用いて次式(1)により経路判断レベルを算出し、この算出値で配下子機情報参照テーブルT3を参照することで経路変更の適否を判断する。
即ち、経路変更判断レベルf(x)=電界強度レベルポイント+充電レベルポイント(式1)。
【0021】
図3は、上記経路変更判断レベルf(x)と判断内容を示す。つまり、指数化された上記経路変更判断レベルと配下子機情報参照テーブルT3から決定される内容を対照して示した一覧表である。
図示のように、当該子機となる端末装置から変更しようとしている相手先の端末装置の経路変更判断レベルf(x)が3以下の場合は、上記配下子機情報参照テーブルT3を参照して、その相手先端末装置に配下の子機がなければ、ルート(経路)を変更することを決定する。経路変更判断レベルf(x)が4のときは、変更相手先の配下子機が1台以下であればルート(経路)を変更することを決定する。以下、同様に、f(x)が5のときは、変更相手先の配下子機が2台以下の場合、f(x)が6のときは、変更相手先の配下子機が3台以下の場合にそれぞれルート(経路)を変更することを決定する。以上の基準に合わなければ当該端末装置への変更は行わない。
【0022】
本実施形態では、各端末装置20は自律的に或いはセンタ装置30からの指示により、上記電界強度測定部28で測定した通信相手先からの信号の電界強度をセンタ装置30に送信し、センタ装置30では各端末装置20から取得した電界強度情報に基づき、上記電界強度参照テーブルT1に基づき、指数化しておく。
【0023】
次に、この電界強度取得等、経路変更の判断のためにセンタ装置30が行う基礎データ(各端末装置の電界強度データと充電電流量)の収集について説明する。
(1)センタ装置による各端末装置の電界強度取得について
本処理の前提として各端末装置は端末間通信時や縁組み登録を行う際に行う通信動作で取得した周辺他端末装置との通信電界強度(値)を取得している。
図4Aは端末装置が発報時に自身のデータベースに格納した電界強度情報を電文に付随データとして付与してセンタ装置へ送信する手順を示し、図4Bは、センタ装置からの要求に基づき電界強度情報をセンタ装置に送信する手順を示す。
【0024】
即ち、端末装置20が自身の電界強度データを自律的に送信する場合は、図4Aに示すように、信号の発報時に合わせて電界強度情報データを親端末装置(親機)10に送信し(S101)、親端末装置10はその情報をセンタ装置に転送する(S102)。センタ装置30は、取得した端末装置20の端末電界強度情報として記憶する(S103)。
【0025】
端末装置20がセンタ装置30からの要求に基づき自身の電界強度データを送信する場合は、図4Bに示すように、まず、センタ装置30は親端末装置10に電界強度通知要求を送り(S201)、親端末装置10はそれを管理下の端末装置20に転送する(S202)。センタ装置30からの上記通知要求を受信した端末装置20は、これに基づき自身の電界強度情報を親端末装置10に送信し(S203)、親端末装置10はそれをセンタ装置30に転送する(S204)。センタ装置30は、取得した端末装置20の端末電界強度情報として記憶する(S205)。
【0026】
(2)センタ装置による各端末装置の充電電流量取得について
図5Aは端末装置が発報時に自身の充電電流量を電文に対する付随データとして付与してセンタ装置へ送信する手順を示し、図5Bは、センタ装置からの要求に基づき充電電流量をセンタ装置に送信する手順を示す。
本処理の前提として、端末装置20は自身の太陽電池40の発電量を検出する(S301)と共に、自端末装置20の予測消費電力を計算する(S302)、具体的には、例えば端末装置20(3)を例に採ると、階層下位に端末装置20(6)〜20(8)が接続された端末装置20(3)のメイン制御部21は、例えば過去のデータから、端末装置20(6)〜20(8)との通信に要する電力消費量を加えた全体の電力消費量を算出し、これに所定のマージンを加えた電力消費量を自己の予測電力消費量、即ち自端末消費電力量として計算する。この自端末消費電力量と前記太陽電池発電量との差を充電量として、その情報を充電量情報(ここでは充電電流量情報)として発報情報に付加して親端末装置10に送信する(S303)。
親端末装置10は、その発報情報+充電量情報をセンタ装置30に送信し(S304)、センタ装置30は充電量情報を記憶装置に記憶する(S305)。
【0027】
図5Bは、センタ装置30からの要求により端末装置20が自己の充電量を通知する場合の処理手順を説明するフロー図である。
端末装置20は、自身の太陽電池40の発電量を検出し(S401)、また、自端末装置20の消費電力を計算して(S402)、その充電電流量情報を自身のデータベースに記憶しておく。この状態で、センタ装置30から先ず親端末装置10に対して当該端末装置20の充電量通知要求が送信されると(S403)、親端末装置10は、その要求を自身の管理下にある当該端末装置20に送信する(S404)。当該端末装置20は、上記要求を受信すると、上記データベースから充電電流量情報を読み出して親端末装置10に送信する(S405)。親端末装置10は上記充電電流量情報をセンタ装置30に転送し(S406)、センタ装置30は、取得した端末充電電流量情報を記憶装置に記憶する(S407)。
以上のようにして、センタ装置30は各端末装置20の端末電界強度情報と充電電流量情報を収集し、ルート変更処理に備える。
【0028】
次に、ルート(経路)変更処理について具体的に説明する。
本実施形態では、端末装置20、例えば端末装置20(3)は、既に述べたようにして得た自己の予測電力消費量と現在の充電量とを比較する。比較の結果、現在の充電量が上記予測電力消費量を上回っているときはそのままの接続経路を維持し、逆に現在及び現在までの一定期間の充電量が予測電力消費量を下回るとき、即ち充電量が所定レベル以下、ここではゼロ以下になるとき、直近下位に接続された端末装置に対して経路変更を促す信号を送信する。上記信号を受信した端末装置は、その場合の変更先(候補)端末装置(変更先端末装置情報は、例えば各端末装置が通信動作で取得した電界強度情報を基に選択される)の指定情報を含めた接続経路変更要求を親端末装置10経由でセンター装置30に送る。
【0029】
センタ装置30は変更先として指定された端末装置の充電電流量データと端末装置間の通信電界強度データに基づく前記経路変更判断レベルf(x)を算出し、この値と上記配下子機情報参照テーブルT3を参照して、変更の適否を判断する。適と判断すれば上記指定された端末装置への経路変更を指示する。なお、この場合、配下子機数には、変更対象となる端末装置の配下の子機(端末装置)数と、変更要求を行った端末装置の配下の子機(端末装置)数が加算される。
【0030】
図6は、この経路変更を行うための第1の実施の形態に係る経路変更フロー図である。
まず、前提として、本通信システムに属する全ての端末装置(子機)は、既に述べたように近隣の端末装置との間の通信電界強度情報を取得し(S501)、蓄電された太陽電池発電量の検出を行い(S502)、かつ自端末装置の上記予測消費電力の算出を行っており(S503)、これらの情報から得た充電電流量情報及び電界強度情報を発報時か、或いはセンタ装置30からの要求に応じて親端末装置10に通知(送信)する(S504)。親端末装置10は受信した上記情報をセンタ装置30に転送する(S505)。センタ装置30は取得した上記各情報(データ)を記憶装置に記憶する(S506)。
【0031】
ここで、例えば、接続階層下位に端末装置20(8)を有する端末装置20(3)の太陽電池発電量が自端末装置の予測消費電力以下(太陽発電量≦自端末装置の予測消費電力)であるとき、端末装置20(3)から直近下位に接続された端末装置20(8)に経路変更を促す信号を送信する。上記信号を受信した端末装置20(8)は、親端末装置10に対して、予め経路変更候補として定められている端末装置20(4)(太陽発電量≦自端末装置の予測消費電力)、を指定した指定情報を含めて接続経路変更要求を送信する(S507)。親端末装置10は、この要求をセンタ装置30に転送する(S508)。センタ装置30は、この要求を受信すると、データベースから端末装置20(4)の端末電界強度データと充電電流量情報を読み出し、これらのデータに基づき上記経路変更判断レベルf(x)(=電界強度レベルポイント+充電レベルポイント)を算出する。この算出結果と、上記配下子機情報参照テーブルT3を参照して、端末装置20(8)の接続経路変更先子機としての端末装置20(4)が適するか否かを判断する。ここでは、端末装置20(4)には配下子機(端末装置)が無いから、図3の一覧表に従ってルート変更が決定される(S509)。
【0032】
センタ装置30は、端末装置20(8)への経路を端末装置20(3)から端末装置20(4)へ変更する経路変更の指示を親端末装置10に送り(S510)、親端末装置10は、端末装置20(2)、端末装置20(4)の経路で端末装置20(8)へ経路変更要求を送る(S511)。
【0033】
親端末装置10からの経路変更要求を受信した端末装置20(8)は、通信先として端末装置20(4)を設定し、設定が終了したときは、経路変更終了報告を親端末装置10に送り(S512)、親端末装置10はその終了報告をセンタ装置30に送る(S513)。親端末装置10からの報告を受信したセンタ装置30は、自身に備えた端末情報20(8)の電界強度、充電電流量、配下子機(端末装置)情報を更新して(S514)、処理を終了する。
【0034】
なお、以上の処理において、端末装置20(3)には、直近階層下位に20(8)以外に端末装置20(6)、20(7)も接続されているが、これらの端末装置20(6)、20(7)に対しても同様の処理を行うことができる。その場合、例えば、端末装置20(6)〜20(8)間に優先順位をつけ、まず端末装置20(8)を変更して、その場合の予測消費電力と太陽電池発電量とを比較して、予測消費電力が太陽電池発電量を上回っていれば次に、端末装置20(7)の接続経路を変更し、同様の比較を行ってさらに端末装置20(6)との接続経路変更を行うなど、接続経路変更処理を順次行ってもよい。
【0035】
なお、直近階層上位の端末装置の選択は、図示の例では、端末装置20(4)以外に、端末装置20(5)も直近階層上位にあるため、端末装置20(5)もその対象になり得る。そこで、接続経路を変更する場合の直近階層上位の接続先となる端末装置の選択順位は、例えば、親機と子機からなる監視システムにおける縁組み登録を行う際の通信動作で取得した電界強度を比較して、その結果に基づき、ここでは、端末装置20(8)の新たな接続先候補として、端末装置20(4)に対して端末装置20(5)よりも高い優先度を設定している。この場合、仮に端末装置20(4)もその太陽電池発電量が予想消費電力を上回っていない状態にあれば、端末装置20(5)が選択される。
【0036】
また、接続経路を変更したときは、それぞれの端末装置の図示しない記憶手段に接続相手先情報の書き換えを行うと共に、親端末装置10、或いはさらにセンタ装置30に通知し、それぞれに保存されている経路情報等の書き換えを行う。
【0037】
以上の実施の形態によれば、各端末装置20は自端末装置の太陽電池の発電量と予測される自己の消費電力とを比較して、自端末装置の発電量が不足すると予測されるときは、接続経路を変更することで事前に自端末装置を経由する通信量を削減でき、従来のように余分な蓄積電力や太陽電池の容量の大型化を要せずに必要な通信を行うことができる。
【0038】
以上の説明では、電源として太陽電池を例に採って説明したが、必ずしもこれに限定するものではなく、本発明の通信システムでは、風力・波力などの他の自然エネルギーを利用した電源を用いる場合にも適用可能である。
【0039】
以上の説明では、接続経路の変更に当たり、接続経路変更要求を行う端末装置(子機)が、予め定めた端末装置を変更先候補としてセンタ装置30に通知するものとして説明したが、センタ装置30側で登録された接続ルートと、上記充電電流量データ、通信電界強度、配下子機情報に基づき接続先端末装置(子機)を選定するように構成してもよい。
その場合は、複数の候補端末装置から、上記経路変更判断レベルf(x)と、配下子機情報参照テーブルを参照して最適な端末装置を選択する。
【0040】
以上、本実施形態では、太陽電池を用いて安定した電力を確保することができ、太陽電池の充電能力を検出することができ、また、各端末装置毎の消費電力量や端末装置間における特定小電力無線の電界強度情報をセンタ装置で管理することができる。
したがって、電界強度や太陽充電量レベルに基づくルート(経路)設定を行って、特定端末装置へのアクセス集中を回避し、最適なルートを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施の形態に係る通信システムに用いる端末装置のブロック図である。
【図2】上記端末装置を子機に用いた、本発明の通信システムの1実施形態に係る遠隔監視システムを概略的に示したブロック図である。
【図3】指数化された経路変更判断レベルと上記配下子機情報参照テーブルT3から決定される内容を対照して示した一覧表である。
【図4】端末装置からセンタ装置へ電界強度情報を送信する手順を説明するフロー図である。
【図5】端末装置からセンタ装置へ充電電流量を送信する手順を説明するフロー図である。
【図6】経路変更を行うための本発明の実施の形態に係る経路変更フロー図である。
【図7】従来の通信用など子機の駆動電源として太陽電池を利用した遠隔管理システムを概略的に示したブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
10・・・親機(親端末装置)、20・・・子機(端末装置)、21・・・メイン制御部、22・・・無線部、23・・・I/Oインターフェース、25・・・充電制御及び充電量計測部、26・・・充電電池又はコンデンサ、28・・・電界強度測定部、40・・・太陽電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ装置と複数の端末装置を多段に接続した端末装置で構成した通信システムにおいて使用する端末装置であって、
自然エネルギー利用の発電装置と、前記発電装置の充電量を算出する手段と、自端末装置の通信電界強度を検知する手段と、前記充電量情報及び通信電界強度データをセンタ装置に送信する手段と、前記充電電力量が所定値以下のとき、当該端末装置に経路設定がなされた他の端末装置に対して経路変更を促す信号を送信する手段と、を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載された端末装置において、
他の端末装置から経路変更を促す信号を受信したとき、センタ装置に対して接続経路変更要求を送信する手段、センタ装置から接続経路変更指示を受信したとき、当該接続経路に接続経路変更を行う手段を有することを特徴とする端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載された端末装置において
接続経路変更要求を送信する手段は、前記電界強度情報に基づく接続相手先候補となる端末装置情報をセンタ装置に送信することを特徴とする端末装置。
【請求項4】
センタ装置と複数の端末装置を多段に接続した端末装置で構成した通信システムにおいて使用するセンタ装置であって、
各端末装置から送信される各自端末装置の充電電力量、電界強度データ及び下位接続端末装置データを記憶する記憶手段、
端末装置から接続経路変更要求を受信したとき、前記電界強度データ、充電電力量及び下位接続端末装置データに基づき当該接続経路変更要求に含まれる変更先端末装置について変更の可否判断をする手段、を有し、
変更可と判断したとき、前記端末装置に対して指定した接続経路変更先端末装置への接続経路変更指示を行うことを特徴とするセンタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載された端末装置と、請求項4に記載されたセンタ装置とからなることを特徴とする通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−81790(P2009−81790A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251019(P2007−251019)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】