説明

通報システム、通信装置、通信中継装置及びそれらに用いる通報方法並びにそのプログラム

【課題】 緊急時において移動通信端末を所持していない、または使用が困難な場合においても必要とされる連絡先に連絡を行うことができる緊急通信装置を提供する。
【解決手段】 CPU11は送信ボタン16の押下等の所定操作が行われると、メインメモリ12の制御プログラムを実行することで緊急信号等を発信する動作に移る。CPU11は記憶装置13の連絡先通知情報保持部131から連絡先通知情報(緊急連絡先端末4の情報)を読出し、近傍に存在する緊急中継装置2に対して近距離通信制御部15から少なくとも連絡先通知情報、GPS14で検出した位置情報、時刻情報等を発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通報システム、通信装置、通信中継装置及びそれらに用いる通報方法並びにそのプログラムに関し、特に移動通信端末を用いる緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動中における連絡は、携帯電話機等の移動通信端末を用いて行うことが可能である。また、GPS(Global Positioning System)等によって端末の位置が把握できる場合には、その位置情報も必要とされる通信先に送付することができる。
【0003】
このため、緊急時においても、携帯電話機等の移動通信端末を用いることによって、必要とする連絡先に緊急時の情報を伝達することができるので、移動通信端末を用いた緊急通信方法についての提案が行われている。
【0004】
しかしながら、移動通信端末を所持していない場合、または通信圏内であっても移動通信端末を使用するのが困難な状態では、必要とされる相手に連絡することができない。
【0005】
そこで、移動通信端末の使用が困難な場合における緊急連絡については、特定の話者による特定の音声に応答して緊急連絡を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、警報音を出力することで緊急連絡を行っている。
【0006】
また、他の緊急連絡としては、緊急時に使用者が電話機本体から離れた場所にいても、簡単な操作で電話回線に接続し、緊急事態の発生を通知し、かつ電話連絡した相手が画像による使用者の状況の確認を容易に行わせる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−158754号公報
【特許文献2】特開2001−127914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の緊急通信方法では、移動通信端末を用いて緊急時の情報を伝達する方法の場合、緊急時に移動通信端末を所持していない、または使用が困難な場合においても必要とされる連絡先に連絡を行うことができないという問題がある。
【0009】
つまり、移動通信端末を用いて緊急連絡を行う場合には、発信者が移動通信端末を所持している必要があるが、移動通信端末を所持している場合に、通信圏内であっても移動通信端末を使用するのが困難な状態では、必要とされる相手に連絡することはできない。
【0010】
また、従来の緊急通信方法では、上記の特許文献1に記載の技術の場合、単に警報音を出力することで緊急連絡を行っているので、必要とされる連絡先に連絡する際に、緊急音をきいた人に連絡先をいって連絡してもらうしかなく、使用者が話せる状態になければ、連絡をとってもらうことができない。
【0011】
さらに、従来の緊急通信方法では、上記の特許文献2に記載の技術の場合、電話機本体と離れた場所にいる場合、電話機本体から信号が届かないほど遠く離れてしまうと、緊急通信そのものができなくなってしまう。
【0012】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、緊急時において移動通信端末を所持していない、または使用が困難な場合においても必要とされる連絡先に連絡を行うことができる通報システム、通信装置、通信中継装置及びそれらに用いる通報方法並びにそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による通報システムは、予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する通信装置と、前記通信装置から送信された信号を受信して前記連絡先の情報を基に当該連絡先への連絡を行う通信中継装置と、前記通信中継装置からの連絡を受信する連絡先端末とからなっている。
【0014】
本発明による通信装置は、連絡先端末への連絡を行う通信中継装置に対して予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する手段を備えている。
【0015】
本発明による通信中継装置は、通信装置から近距離通信にて送信された連絡先の情報を受信する手段と、前記連絡先の情報を基に当該連絡先への連絡を行う手段とを備えている。
【0016】
本発明による通報方法は、通信装置が、連絡先端末への連絡を行う通信中継装置に対して予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する処理を実行している。
【0017】
本発明による通報方法のプログラムは、コンピュータに、連絡先端末への連絡を行う通信中継装置に対して予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する処理を実行させている。
【0018】
すなわち、本発明の緊急通報システムは、予め記憶された緊急連絡先の情報を送信する緊急通信装置と、緊急通信装置の信号を受信して緊急連絡先に移動通信端末自身の情報を送信可能な移動通信端末と、移動通信端末に対する基地局と、連絡先端末とからなることを特徴としている。
【0019】
緊急通信装置と移動通信端末との間の通信手段としては、近距離通信手段[赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の通信手段]を用いることが可能である。また、移動通信端末と連絡先端末との間の通信手段としては、携帯電話網やインタネット網等を用いることが可能である。
【0020】
さらに、移動通信端末は、緊急通信装置との通信履歴を記憶するメモリを搭載し、緊急通信装置は移動通信端末の情報を記憶するメモリを搭載している。さらにまた、移動通信端末は、緊急通信装置の通信を受信した時に送信不能の状態であっても、送信可能の状態になった時に緊急通信装置の情報を連絡先端末に送信可能としている。
【0021】
これによって、本発明の緊急通報システムでは、簡単な通信装置と、その通信装置の信号を受信することが可能な移動通信端末とによって、移動通信端末を持たない人物が近隣の移動通信端末を介して緊急通信を行うことが可能となるので、緊急時において移動通信端末を所持していない、または使用が困難な場合においても必要とされる連絡先に連絡を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、緊急時において移動通信端末を所持していない、または使用が困難な場合においても必要とされる連絡先に連絡を行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態による緊急通報システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態による緊急通報システムは、予め記憶された緊急連絡先端末4の情報を送信する緊急通信装置1と、緊急通信装置1の信号を受信して緊急連絡先端末4に自装置の情報を送信可能な緊急中継装置2と、緊急中継装置2との間で移動通信を行う基地局3と、緊急中継装置2で中継された緊急連絡を受信する連絡先端末4とから構成されている。
【0024】
緊急通信装置1は発信ボタンの押下等の所定動作を行うと、近距離通信[例えば、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等]にて緊急信号等を発信する小型の装置であり、使用者が送信ボタンの押下等の所定動作を行うと、緊急通信装置1からは近距離通信にて緊急連絡先端末4の情報(例えば、電子メール、緊急信号等)を発信する。
【0025】
緊急中継装置2は近距離通信手段及び移動通信手段を有する携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯通信端末、携帯通信の基地局であり、緊急通信装置1の近傍で、緊急連絡先端末4の情報を受信すると、基地局3を通して緊急連絡先端末4に緊急通信装置1から緊急連絡が発信している旨を通知する。この場合、緊急通信装置1から緊急連絡が発信している旨の通知は緊急連絡先端末4の情報に応じて音声、または文字情報で行われる。
【0026】
緊急連絡先端末4は緊急通信装置1の連絡先として予め登録された人物が使用する端末である。ここで、緊急中継装置2から連絡先端末4までの通信は通常の移動通信システムの通信網やインタネット網等で行われる。
【0027】
このように、本発明の実施の形態では、簡単な緊急通信装置1と、緊急通信装置1からの信号を受信することが可能な携帯通信端末等の緊急中継装置2とによって、移動通信端末を持たない人物が近隣の緊急中継装置2を介して緊急連絡先端末4への緊急通信を行うことができる。
【0028】
本発明の実施の形態では、この緊急通信装置1を子供に持たせて発信ボタンの押下を教えることで、誘拐や連れ去りといった犯罪の未然防止に役立てたり、迷子や老人の所在不明等にも役立てることができる。さらに、本発明の実施の形態では、警察署や消防署への連絡、警備会社や学校及び両親への連絡、自然災害時の役場への連絡等に用いることができる。
【実施例1】
【0029】
図2は本発明の一実施例による緊急通信装置の構成を示すブロック図である。本発明の一実施例による緊急通報システムは上述した本発明の実施の形態による緊急通報システムと同様のシステムとなっている。
【0030】
図2において、緊急通信装置1はCPU(中央処理装置)11と、CPU11が実行する制御プログラム12aを格納するメインメモリ12と、緊急連絡先端末4の情報を保持する連絡先通知情報保持部131を含む記憶装置13と、自装置の位置を検出するGPS(Global Positioning System)14と、近距離通信[例えば、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等]にて緊急信号等を発信する近距離通信制御部15と、送信ボタン16とから構成されている。尚、CPU11と、メインメモリ12と、記憶装置13と、GPS14と、近距離通信制御部15と、送信ボタン16とはそれぞれ内部バス110に接続されている。
【0031】
但し、GPS14については搭載していなくともよく、緊急中継装置2に位置検出手段を備えていれば、その位置情報を緊急連絡先端末4に通知することで、緊急中継装置2から5m以内とか、10m以内とかの所定範囲内に限定することができる。また、送信ボタン16の代わりに、強く握ることで押下可能なレバー機構、あるいは抜くことで緊急信号等を発信するピン等であってもよい。
【0032】
CPU11は送信ボタン16の押下等の所定操作が行われると、メインメモリ12の制御プログラムを実行することで緊急信号等を発信する動作に移る。まず、CPU11は記憶装置13の連絡先通知情報保持部131から連絡先通知情報(緊急連絡先端末4の情報)を読出し、近傍に存在する緊急中継装置2に対して近距離通信制御部15から少なくとも連絡先通知情報、GPS14で検出した位置情報、時刻情報等を発信する。ここで、連絡先通知情報保持部131には予め緊急連絡先端末4の電話番号や電子メールアドレスが記憶されている。
【0033】
図3は本発明の一実施例による緊急中継装置の構成を示すブロック図である。図3において、緊急中継装置2はCPU21と、CPU21が実行する制御プログラム22aを格納するメインメモリ22と、緊急通信装置1からの緊急情報を保持する緊急情報保持部231を含む記憶装置23と、自装置における移動体通信を制御する無線通信制御部24と、近距離通信にて緊急信号等を受信する近距離通信制御部25とから構成されている。尚、CPU21と、メインメモリ22と、記憶装置23と、無線通信制御部24と、近距離通信制御部25とはそれぞれ内部バス210に接続されている。
【0034】
図4は本発明の一実施例による緊急通報システムの動作を示すシーケンスチャートである。これら図1〜図4を参照して本発明の一実施例による緊急通報システムの動作について説明する。尚、図4における緊急通信装置1及び緊急中継装置2の動作はそれぞれCPU11,21が制御プログラム12a,22aを実行することで実現される。
【0035】
緊急通信装置1には予め緊急連絡先端末4の電話番号や電子メールアドレスが記憶装置13の連絡先通知情報保持部131に記憶されているものとする。緊急通信装置1の所持者が緊急通信を行う時に送信ボタン16を押下すると(図4のa1)、CPU11は連絡先通知情報保持部131に記憶された緊急連絡先端末4の情報を読出し(図4のa2)、その緊急連絡先端末4の情報を近距離通信制御部15から近距離通信にて緊急信号等として送信する(図4のa3)。
【0036】
緊急通信装置1からの近距離通信による緊急連絡先端末4の情報の送信圏内に緊急中継装置2が存在した場合、その緊急中継装置2は受信した緊急連絡先端末4の情報を受信した後(図4のa4)、緊急連絡先端末4に対する連絡が可能であれば(図4のa5)、緊急連絡先端末4に対して緊急中継装置2の情報(電話番号や電子メールアドレス等)を基地局3を介して送信する(図4のa6)。
【0037】
緊急連絡先端末4の使用者は受信した緊急中継装置2の情報を基に緊急中継装置2に連絡をとって、緊急中継装置2の所持者に緊急通信装置1の所持者の所在を確かめるように依頼したり、緊急通信装置1の所持者が犯罪に巻き込まれた場合に近くに緊急中継装置2の所持者が近くにいることを警察に情報として通知したりすることが可能となる。尚、緊急連絡先端末4では複数の緊急中継装置2から連絡があることで、より正確に緊急通信装置1の所持者の所在を確認することが可能となる。
【0038】
このように、本実施例では、簡単な緊急通信装置1と、緊急通信装置1からの信号を受信することが可能な緊急中継装置2とによって、移動通信手段を持たない人物が近隣の移動通信端末や基地局等の緊急中継装置2を介して緊急通信を行うことができる。
【実施例2】
【0039】
上記の本発明の一実施例において、緊急中継装置2が基地局3の移動通信圏外であったり、緊急中継装置2が通信中であったりした場合、緊急通信装置1からの信号を受信しても即時に緊急連絡先端末4に緊急情報を送信することができない。そのため、緊急中継装置2に、通信可能な状態になった場合に緊急通信を再度行う機能を持たせることによって、緊急通信装置1の所持者が緊急事態であることを緊急連絡先端末4に通知することができる。
【0040】
この場合、緊急中継装置2が緊急通信を再送するまでに、長距離移動しなければならない場合も考えられるため、緊急中継装置2に搭載されたメモリに緊急通信装置1からの信号を受信した時刻や位置情報(緊急通信装置1で検出された位置情報、あるいは緊急中継装置2で検出された位置情報)等を記憶するようにし、記憶内容を緊急連絡先端末4に再送することによって、緊急中継装置2の所持者に緊急通信装置1からの信号を受信した時の状況等を問い合わせることが可能となる。
【0041】
図5は本発明の他の実施例による緊急通報システムの構成を示すブロック図である。図5において、本発明の他の実施例では、緊急中継装置6と緊急通信装置5との間で信号の送受信ができるようになっている。緊急通信装置5にメモリを持たせることで、緊急通信装置5は緊急中継装置6との通信を行った時、緊急中継装置6の電話番号や電子メールアドレス、及び位置情報等の情報をメモリに記憶させておくことができる。
【0042】
緊急通信装置5と緊急中継装置6との間で通信可能とすることで、緊急通信装置5からの信号を受け取った複数の緊急中継装置6のうちの1台に対して緊急連絡先端末4に対する連絡を依頼することができる。また、緊急通信装置5の通信履歴を確認することによって、緊急連絡を行った緊急中継装置6の所持者以外に緊急通信装置1の信号を受信した緊急中継装置6の所持者が緊急通信装置5の所持者についての情報を入手することができる。
【0043】
図6は本発明の他の実施例による緊急通信装置の構成を示すブロック図である。図6において、本発明の他の実施例では、緊急通信装置5に、記憶装置13の代わりに、緊急中継装置6の情報を保持する中継装置情報保持部511を含む記憶装置51を設け、近距離通信制御部15が近距離通信にて緊急中継装置6との間で双方向通信可能とした以外は図2に示す本発明の一実施例と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0044】
記憶装置51の中継装置情報保持部511は、近距離通信制御部15を通して緊急中継装置6との間で通信を行った時に得た緊急中継装置6の電話番号や電子メールアドレス、及び位置情報等の情報を通信履歴として記憶している。これによって、本実施例では、中継装置情報保持部511に記憶された緊急通信装置5の通信履歴を確認することによって、緊急連絡を行った緊急中継装置6の所持者以外に緊急通信装置1の信号を受信した緊急中継装置6の所持者が緊急通信装置5の所持者についての情報を中継装置情報保持部511から入手することができる。
【0045】
図7は本発明の他の実施例による緊急中継装置の構成を示すブロック図である。図7において、本発明の他の実施例では、緊急中継装置6に、記憶装置23の代わりに、緊急通信装置5への応答情報を保持する応答情報保持部611を含む記憶装置61を設け、近距離通信制御部25が近距離通信にて緊急通信装置5との間で双方向通信可能とし、緊急情報保持部231が緊急通信装置5からの緊急情報のほかに緊急通信装置5からの信号を受信した時刻や位置情報等を記憶するようにした以外は図2に示す本発明の一実施例と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0046】
図8は本発明の他の実施例による緊急通報システムの動作を示すシーケンスチャートである。これら図5〜図8を参照して本発明の他の実施例による緊急通報システムの動作について説明する。尚、図8における緊急通信装置5及び緊急中継装置6の動作はそれぞれCPU11,21が制御プログラム12a,22aを実行することで実現される。
【0047】
緊急通信装置5には予め緊急連絡先端末4の電話番号や電子メールアドレスが記憶装置13の連絡先通知情報保持部131に記憶されているものとする。緊急通信装置5の所持者が緊急通信を行う時に送信ボタン16を押下すると(図8のb1)、CPU11は連絡先通知情報保持部131に記憶された緊急連絡先端末4の情報を読出し(図8のb2)、その緊急連絡先端末4の情報を近距離通信制御部15から近距離通信にて緊急信号等として送信する(図8のb3)。
【0048】
緊急通信装置5からの近距離通信による緊急連絡先端末4の情報の送信圏内に緊急中継装置6が存在した場合、その緊急中継装置6は受信した緊急連絡先端末4の情報を受信した後(図8のb4)、緊急連絡先端末4に対する連絡が可能であれば(図8のb5)、緊急連絡先端末4に対して緊急中継装置6の情報(電話番号や電子メールアドレス等)を基地局3を介して送信し(図8のb6)、応答情報保持部611の情報を基に緊急通信装置5に対して緊急連絡先端末4への連絡を行った旨を通知する(図8のb7)。緊急通信装置5はその通知を受けると、中継装置情報保持部511に緊急中継装置6の電話番号や電子メールアドレス、及び位置情報等の情報を通信履歴として記憶する(図8のb8)。
【0049】
また、緊急中継装置6は緊急連絡先端末4に対する連絡が不可であれば(図8のb5)、応答情報保持部611の情報を基に緊急通信装置5に対して緊急連絡先端末4への連絡を行えなかった旨を通知する(図8のb9)。緊急通信装置5はその通知を受けると、中継装置情報保持部511に緊急中継装置6の電話番号や電子メールアドレス、及び位置情報等の情報を通信履歴として記憶する(図8のb10)。
【0050】
緊急連絡先端末4の使用者は受信した緊急中継装置6の情報を基に緊急中継装置6に連絡をとって、緊急中継装置6の所持者に緊急通信装置5の所持者の所在を確かめるように依頼したり、緊急通信装置5の所持者が犯罪に巻き込まれた場合に近くに緊急中継装置6の所持者が近くにいることを警察に情報として通知したりすることが可能となる。尚、緊急連絡先端末4では複数の緊急中継装置6から連絡があることで、より正確に緊急通信装置5の所持者の所在を確認することが可能となる。
【0051】
このように、本実施例では、簡単な緊急通信装置5と、緊急通信装置5からの信号を受信することが可能な緊急中継装置6とによって、移動通信手段を持たない人物が近隣の移動通信端末や基地局等の緊急中継装置6を介して緊急通信を行うことができる。
【実施例3】
【0052】
図9は本発明の別の実施例による緊急中継装置の構成を示すブロック図である。図9において、本発明の別の実施例では、緊急中継装置7に、記憶装置23の代わりに、緊急通信装置1からの緊急信号がどのような緊急通知であるかを示すメッセージ等の情報に変換するための緊急信号変換テーブル711を含む記憶装置71を設けた以外は図2に示す本発明の一実施例と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0053】
緊急信号変換テーブル711には緊急通信装置1からの緊急信号の種類に対応して、その緊急信号の種類がどのような緊急通知であるかを示すメッセージ等の情報に変換するための情報が記憶されている。本実施例では、例えば、緊急通信装置1からの緊急信号aを受信した時に「持ち主の持病が悪化したので、病院に連絡して下さい」というメッセージを、緊急信号bを受信した時に「知らない人から家族が病気といわれたので、警察に連絡して下さい」というメッセージをそれぞれ表示することで、緊急通信装置1の所持者からの緊急通報を所望の機関に連絡してもらうことができる。尚、緊急信号変換テーブル711に記憶する情報は緊急通信装置1から入力することも、また予め設定された情報を緊急通信装置1から指定することも可能である。
【0054】
上述した各実施例では、緊急通信装置1,5,7の相手を緊急中継装置2,6として移動通信端末や基地局を用いているが、移動通信の機器以外にも、緊急通信装置1,5,7の出力信号を受信することができ、インタネット網等の通信網に接続している端末、例えばパーソナルコンピュータやゲーム機等でも緊急中継装置2,6として用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態による緊急通報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による緊急通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例による緊急中継装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例による緊急通報システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図5】本発明の他の実施例による緊急通報システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施例による緊急通信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施例による緊急中継装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施例による緊急通報システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の別の実施例による緊急中継装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1,5 緊急通信装置
2,6,7 緊急中継装置
3 基地局
4 緊急連絡先端末
11,21 CPU
12,22 メインメモリ
12a,22a 制御プログラム
13,23,51,61,71 記憶装置
14 GPS
15,25 近距離通信制御部
16 送信ボタン
24 無線通信制御部
110,210 内部バス
131 連絡先通知情報保持部
231 緊急情報保持部
511 中継装置情報保持部
611 応答情報保持部
711 緊急信号変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する通信装置と、前記通信装置から送信された信号を受信して前記連絡先の情報を基に当該連絡先への連絡を行う通信中継装置と、前記通信中継装置からの連絡を受信する連絡先端末とからなることを特徴とする通報システム。
【請求項2】
前記通信装置は、予め設定された所定操作の実行時に前記連絡先の情報を前記近距離通信にて送信することを特徴とする請求項1記載の通報システム。
【請求項3】
前記近距離通信として、少なくとも赤外線通信とBluetooth(登録商標)通信と無線LAN(Local Area Network)通信とのいずれかを使用することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通報システム。
【請求項4】
前記通信装置は、前記連絡先の情報を受信した通信中継装置の情報を記憶する記憶手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の通報システム。
【請求項5】
前記通信中継装置は、前記通信装置との通信履歴を記憶する記憶手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載の通報システム。
【請求項6】
前記通信中継装置は、前記記憶手段に、少なくとも前記通信装置からの前記連絡先の情報と受信時刻と受信位置の情報とを記憶し、前記連絡先端末への連絡が不可の時に前記通信装置からの前記連絡先の情報を受信した場合に、前記連絡先端末への連絡が可能となってから前記記憶手段の記憶内容を前記連絡先端末に送信することを特徴とする請求項5記載の通報システム。
【請求項7】
前記通信中継装置と前記連絡先端末との間の通信に、少なくとも携帯電話網とインタネット網とのいずれかを用いることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか記載の通報システム。
【請求項8】
前記通信中継装置は、少なくとも前記携帯電話網と前記インタネット網とのいずれかとの通信機能を持つ情報処理装置であることを特徴とすることを特徴とする請求項7記載の通報システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、少なくとも携帯電話機と、PHS(Personal Handy−phone System)と、PDA(Personal Digital Assistant)と、前記携帯電話網の基地局とのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の通報システム。
【請求項10】
前記通信装置は、前記近距離通信にて緊急であることを示す情報を送信することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか記載の通報システム。
【請求項11】
前記通信装置は、前記近距離通信にて緊急であることを示す信号を送信することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか記載の通報システム。
【請求項12】
前記通信中継装置は、前記緊急であることを示す信号をその緊急であることを示すメッセージに変換することを特徴とする請求項11記載の通報システム。
【請求項13】
前記通信装置は、予め連絡先の情報として前記連絡先端末の電話番号及び電子メールアドレスを少なくとも保持する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか記載の通報システム。
【請求項14】
連絡先端末への連絡を行う通信中継装置に対して予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する手段を有することを特徴とする通信装置。
【請求項15】
予め設定された所定操作の実行時に前記連絡先の情報を前記近距離通信にて送信することを特徴とする請求項14記載の通信装置。
【請求項16】
前記近距離通信として、少なくとも赤外線通信とBluetooth(登録商標)通信と無線LAN(Local Area Network)通信とのいずれかを使用することを特徴とする請求項14または請求項15記載の通信装置。
【請求項17】
前記連絡先の情報を受信した通信中継装置の情報を記憶する記憶手段を含むことを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか記載の通信装置。
【請求項18】
前記通信中継装置と前記連絡先端末との間の通信に、少なくとも携帯電話網とインタネット網とのいずれかを用いることを特徴とする請求項14から請求項17のいずれか記載の通信装置。
【請求項19】
前記通信中継装置が、少なくとも前記携帯電話網と前記インタネット網とのいずれかとの通信機能を持つ情報処理装置であることを特徴とすることを特徴とする請求項7記載の通信装置。
【請求項20】
前記情報処理装置が、少なくとも携帯電話機と、PHS(Personal Handy−phone System)と、PDA(Personal Digital Assistant)と、前記携帯電話網の基地局とのいずれかであることを特徴とする請求項19記載の通信装置。
【請求項21】
前記近距離通信にて緊急であることを示す情報を送信することを特徴とする請求項14から請求項20のいずれか記載の通信装置。
【請求項22】
前記近距離通信にて緊急であることを示す信号を送信することを特徴とする請求項14から請求項20のいずれか記載の通信装置。
【請求項23】
予め連絡先の情報として前記連絡先端末の電話番号及び電子メールアドレスを少なくとも保持する手段を含むことを特徴とする請求項14から請求項22のいずれか記載の通信装置。
【請求項24】
通信装置から近距離通信にて送信された連絡先の情報を受信する手段と、前記連絡先の情報を基に当該連絡先への連絡を行う手段とを有することを特徴とする通信中継装置。
【請求項25】
前記近距離通信として、少なくとも赤外線通信とBluetooth(登録商標)通信と無線LAN(Local Area Network)通信とのいずれかを使用することを特徴とする請求項24記載の通信中継装置。
【請求項26】
前記通信装置との通信履歴を記憶する記憶手段を含むことを特徴とする請求項24または請求項25記載の通信中継装置。
【請求項27】
前記記憶手段に、少なくとも前記通信装置からの前記連絡先の情報と受信時刻と受信位置の情報とを記憶し、前記連絡先端末への連絡が不可の時に前記通信装置からの前記連絡先の情報を受信した場合に、前記連絡先端末への連絡が可能となってから前記記憶手段の記憶内容を前記連絡先端末に送信することを特徴とする請求項26記載の通信中継装置。
【請求項28】
前記連絡先端末との間の通信に、少なくとも携帯電話網とインタネット網とのいずれかを用いることを特徴とする請求項24から請求項27のいずれか記載の通信中継装置。
【請求項29】
少なくとも前記携帯電話網と前記インタネット網とのいずれかとの通信機能を持つ情報処理装置であることを特徴とすることを特徴とする請求項28記載の通信中継装置。
【請求項30】
前記情報処理装置が、少なくとも携帯電話機と、PHS(Personal Handy−phone System)と、PDA(Personal Digital Assistant)と、前記携帯電話網の基地局とのいずれかであることを特徴とする請求項29記載の通信中継装置。
【請求項31】
前記通信装置から前記近距離通信にて緊急であることを示す信号を受信した時に当該信号をその緊急であることを示すメッセージに変換することを特徴とする請求項24から請求項30のいずれか記載の通信中継装置。
【請求項32】
通信装置が、連絡先端末への連絡を行う通信中継装置に対して予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する処理を実行することを特徴とする通報方法。
【請求項33】
前記通信装置が、予め設定された所定操作の実行時に前記連絡先の情報を前記近距離通信にて送信することを特徴とする請求項32記載の通報方法。
【請求項34】
前記近距離通信として、少なくとも赤外線通信とBluetooth(登録商標)通信と無線LAN(Local Area Network)通信とのいずれかを使用することを特徴とする請求項32または請求項33記載の通報方法。
【請求項35】
前記通信装置が、前記連絡先の情報を受信した通信中継装置の情報を記憶手段に記憶することを特徴とする請求項32から請求項34のいずれか記載の通報方法。
【請求項36】
前記通信中継装置が、前記通信装置との通信履歴を記憶手段に記憶することを特徴とする請求項32から請求項35のいずれか記載の通報方法。
【請求項37】
前記通信中継装置が、前記記憶手段に、少なくとも前記通信装置からの前記連絡先の情報と受信時刻と受信位置の情報とを記憶し、前記連絡先端末への連絡が不可の時に前記通信装置からの前記連絡先の情報を受信した場合に、前記連絡先端末への連絡が可能となってから前記記憶手段の記憶内容を前記連絡先端末に送信することを特徴とする請求項36記載の通報方法。
【請求項38】
前記通信中継装置と前記連絡先端末との間の通信に、少なくとも携帯電話網とインタネット網とのいずれかを用いることを特徴とする請求項32から請求項37のいずれか記載の通報方法。
【請求項39】
前記通信中継装置が、少なくとも前記携帯電話網と前記インタネット網とのいずれかとの通信機能を持つ情報処理装置であることを特徴とすることを特徴とする請求項38記載の通報システム。
【請求項40】
前記情報処理装置が、少なくとも携帯電話機と、PHS(Personal Handy−phone System)と、PDA(Personal Digital Assistant)と、前記携帯電話網の基地局とのいずれかであることを特徴とする請求項39記載の通報方法。
【請求項41】
前記通信装置が、前記近距離通信にて緊急であることを示す情報を送信することを特徴とする請求項32から請求項40のいずれか記載の通報方法。
【請求項42】
前記通信装置が、前記近距離通信にて緊急であることを示す信号を送信することを特徴とする請求項32から請求項40のいずれか記載の通報方法。
【請求項43】
前記通信中継装置が、前記緊急であることを示す信号をその緊急であることを示すメッセージに変換することを特徴とする請求項42記載の通報方法。
【請求項44】
前記通信装置が、予め連絡先の情報として前記連絡先端末の電話番号及び電子メールアドレスを少なくとも保持することを特徴とする請求項32から請求項43のいずれか記載の通報方法。
【請求項45】
コンピュータに、連絡先端末への連絡を行う通信中継装置に対して予め記憶された連絡先の情報を近距離通信にて送信する処理を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−197043(P2006−197043A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4624(P2005−4624)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】