説明

速度警報機能付カーナビ装置

【課題】従来、走行する道路状況が変わって制限速度も変わっている場合に、走行中の道路の制限速度と走行速度とを比較し、速度違反を犯さないように警報を発するカーナビ装置はなかった。
【解決手段】車両に搭載するカーナビ装置9のカーナビ情報格納部13内に制限速度格納部13Aを設け、そこへ地図情報の他に道路毎の制限速度の情報も格納しておく。GPS衛星1からの信号を受信すると、その信号に基づいて割り出した現在位置に対応した地図情報を読み出してカーナビ表示部11に表示すると共に、走行中の道路の制限速度も読み出して、車速センサ15で検出した走行速度と比較する。制限速度に近くなったり、超過したりしている時には、カーナビ表示部の一部に設けた警報領域11Aの色を、それぞれ黄色にしたり赤色にしたりして運転者に警報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が道路の制限速度を超えて走行する場合に、運転者に警報を発するようにした速度警報機能付カーナビ装置(カーナビ装置:カーナビゲーション装置の略)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行速度が所定の速度を超えた場合、運転者に警報を発する技術は従来にもあった。但しそれは、車両の種類に応じて予め一定の速度が設定されており(例、軽自動車なら時速何Kmと)、走行速度がその設定速度を超えた時、警報音を発するようにするものであった。
しかし、車両の制限速度は道路状況によっていろいろに定められている。一般に、広い道路では制限速度は大に定められ、細い道路では小に定められている。同じ幅の道路であっても、小,中学校や老人施設等の近くでは小に定められているが、郊外に出ると大に定められている。
【0003】
従って、同じ車両を運転する場合でも、どのような道路を走行するかによって制限速度は異なるので、運転者は絶えず道路標識に注意して、制限速度の範囲内で運転することが要請される。制限速度に違反して走行すると、当然のことながら、速度違反として摘発され、罰金等が科せられる。
この罰金も、近年では一般庶民の感覚では相当高額になって来ており、不意の出費としてはかなり痛い出費となっている。安全運転をするためには勿論のことであるが、この痛い出費から免れるためにも、運転者は道路標識を見落とすことなく制限速度内で走行する必要がある。
しかし、夜暗くなっていたり、他の物に注意をそらされたりすると、どうしても見落としてしまうこともある。その結果、先を急いでいる場合などには不本意にも速度違反を犯してしまい、高額の罰金を科されることになってしまうことも少なくなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(問題点)
従来の技術では、走行する道路状況が変わって制限速度も変わっている場合に、その変化に対応して警報を発することが出来ず、速度違反を防止するには不十分であるという問題点があった。
【0005】
(問題点の説明)
例えば、第1の道路を走行している場合の制限速度はA(Km/h)であり、第2の道路を走行している場合の制限速度はB(Km/h)であるとした場合、運転者としては、第1の道路走行時には走行速度がA(Km/h)になると警報を発してくれ、第2の道路走行時にはB(Km/h)になると警報を発してくれると、速度違反防止の点で大変好都合である。
しかしながら従来の技術では、当該車両に予め設定されているC(Km/h)という速度で警報を発してくれるだけであり、道路状況の変化に応じて設定速度を変えるなりして警報の発し方を変えることは、出来ないものであった。
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の速度警報機能付カーナビ装置では、走行速度を検出する車速センサと、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信部と、道路毎の制限速度情報も予め格納されているカーナビ情報格納部、および制限速度と走行速度とを比較する比較部を有するカーナビ本体と、該カーナビ本体からの信号に従ってカーナビ情報を画面に表示するカーナビ表示部と、カーナビの音声サービスをするスピーカとを具え、前記GPS受信部で受信した信号に基づいて割り出した現在位置に対応した情報を前記カーナビ情報格納部から読み出して前記カーナビ表示部に表示すると共に、同時に読み出した走行道路の制限速度と検出された走行速度とを前記比較部で比較し、前記カーナビ表示部およびスピーカによって運転者に警報することとした。
【0007】
また、本発明の速度警報機能付カーナビ装置は、走行速度を検出する車速センサと、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信部と、道路に沿って設置された制限速度情報発信装置からの信号を受信する制限速度情報受信部と、カーナビ情報格納部、および制限速度と走行速度とを比較する比較部を有するカーナビ本体と、該カーナビ本体からの信号に従ってカーナビ情報を画面に表示するカーナビ表示部と、カーナビの音声サービスをするスピーカとを具え、前記GPS受信部で受信した信号に基づいて割り出した現在位置に対応した情報を前記カーナビ情報格納部から読み出して前記カーナビ表示部に表示すると共に、前記制限速度情報受信部で受信した走行道路の制限速度と検出された走行速度とを前記比較部で比較し、前記カーナビ表示部およびスピーカによって運転者に警報するように構成することも出来る。
【0008】
更に、本発明の速度警報機能付カーナビ装置は、走行速度を検出する車速センサと、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信部と、道路毎の制限速度情報を含むカーナビ情報を通信サービスにより提供されると共に、制限速度と走行速度とを比較する比較部を有するカーナビ本体と、該カーナビ本体からの信号に従ってカーナビ情報を画面に表示するカーナビ表示部と、カーナビの音声サービスをするスピーカとを具え、前記GPS受信部で受信した信号に基づいて割り出した現在位置に対応したカーナビ情報の提供を受けて前記カーナビ表示部に表示すると共に、同時に提供された走行道路の制限速度と検出された走行速度とを前記比較部で比較し、前記カーナビ表示部およびスピーカによって運転者に警報するように構成することも出来る。
【0009】
なお、前記した速度警報機能付カーナビ装置でのカーナビ表示部での警報の仕方としては、カーナビ表示部の画面の一部分に警報領域を定めておき、警報の度合に応じて該警報領域の色を変化させるようにしても良いし、あるいは、カーナビ表示部の画面全体の色調を、警報の度合に応じて変えるようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の速度警報機能付カーナビ装置によれば、走行速度を現に走行している道路の制限速度と比較し、カーナビ装置の表示部あるいはスピーカにより、速度に関しての警報を発するようにしたので、走行している道路が変わって制限速度が変わっても、速度違反を防止し得るよう適切に警報を発することが出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図3は、本発明の技術思想の概要を説明する図である。図3において、1はGPS衛星、2,3は道路、4は車両、5は速度制限標識である。道路2は広い幹線道路であり、そこの速度制限標識5に示されるように、制限速度は80Km/hであるとする。道路3は、道路2より枝分かれする少し狭い道路であり、そこの速度制限標識5に示されるように、制限速度は60Km/hであるとする。
車両4にはカーナビ装置が搭載されており、GPS衛星1からの信号により自己の地理的位置を認識しつつ、カーナビ装置に案内されながら走行しているとする。
【0012】
カーナビ装置に道路情報を入力する際、地図情報のほか各道路の制限速度の情報も併せて入力されるようにしておく。そして、道路を走行するときはその道路の制限速度も呼び出し、常に走行速度と比較するようにしておく。
例えば、図3に示すように、車両4が道路2上を走行している場合、カーナビ装置はGPS衛星1からの信号により現在道路2上を走行していることを認識するが、このとき道路2の制限速度80Km/hという情報を呼び出し、走行している速度と比較する。そして、この制限速度に接近したり超えたりした場合には、カーナビ装置により所定の警報を発する。
【0013】
車両4が道路2から道路3に進入すると、GPS衛星1からの信号によりそのことを認識し、今度は道路3の制限速度60Km/hという情報を呼び出し、走行している速度と比較する。そして、上記と同様の要領で警報を発する。
なお、カーナビ装置への各道路の制限速度情報の入力の仕方には、いろいろなものが考えられるが、例えば、次のようなものが挙げられる。
(1)カーナビ装置が、内部に予めカーナビ情報を格納しておくタイプのものである場合、制限速度情報も予め格納しておく。
(2)道路沿いに制限速度情報発信装置が設置してある場合、そこから発信される制限速度情報を、走行時にカーナビ装置で受信する。
(3)カーナビ装置がセンターからのカーナビ情報を受信して表示するタイプのものである場合、センターからのカーナビ情報に制限速度情報も含ませておく。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示す図である。符号は図3のものに対応し、9はカーナビ装置、10はGPS受信部、11はカーナビ表示部、11Aは警報領域、12はカーナビ本体、13はカーナビ情報格納部、13Aは制限速度格納部、14は比較部、15は車速センサ、16はスピーカである。
カーナビ装置9は、GPS受信部10,カーナビ表示部11,カーナビ本体12及びスピーカ16により構成されている。カーナビ本体12には、少なくともカーナビ情報格納部13及び比較部14が設けられている。カーナビ情報格納部13は、地図情報を初めとした種々のカーナビ情報を格納しておく部分であるが、本発明ではその一角に制限速度格納部13Aを設け、ここに道路毎の制限速度を格納しておく。スピーカ16は、カーナビの音声サービスをするためのものである。
【0015】
GPS衛星1からの信号をGPS受信部10で受信し、カーナビ本体12で解析して自己の位置を認識する(位置を割り出す)。その認識に従い、カーナビ情報格納部13から所要の情報を読み出してカーナビ表示部11へ送り、現在地および周辺の地図等を表示する。
自己の位置が分かれば、現在走行している道路が分かるから、その道路の制限速度を制限速度格納部13Aから読み出し、比較部14へ送る。比較部14では、この制限速度と車速センサ15で検出されて来る走行速度とを比較する。そして、その比較結果に従い、警報を発すべき場合には、カーナビ表示部11あるいはスピーカ16を使って、所定の要領で警報を発する。
【0016】
このように、現在走行している道路の制限速度に即してカーナビ装置9より警報が出されるので、運転者は道路が変わって制限速度が変わっても適切に注意を喚起され、走行速度を制限速度内になるよう運転するようになる。そのため、速度違反を犯すことが少なくなる。
なお、警報を発する要領は種々に定めることが出来るが、例えば次のように定めることが出来る。
(1)第1の例
制限速度に接近した場合(例、制限速度に達するまでにあと5Km/hの範囲内に接近した場合)には、警報領域11Aを黄色にすると共に、スピーカ16から低音の警報音を発する。そして、制限速度を超えた場合には、警報領域11Aを赤色にすると共に、スピーカ16から高音の警報音を発する。
【0017】
(2)第2の例
制限速度を超えること0〜10Km/hの範囲内にある場合には、警報領域11Aを黄色にすると共に、スピーカ16から低音の警報音を発する。そして、制限速度を超えること10Km/h以上の場合には、警報領域11Aを赤色にすると共に、スピーカ16から高音の警報音を発する。
【0018】
(3)第3の例
カーナビ表示部11内に警報領域11Aを設けることはせず、画面全体の色調を変える(表示されている地図情報等は消すことなく)ことによって警報する。
例えば、制限速度を超えること0〜10Km/hの範囲内にある場合には、画面全体の色調を黄味を帯びたものに変えると共に、スピーカ16から低音の警報音を発する。そして、制限速度を超えること10Km/h以上の場合には、画面全体の色調を赤味を帯びたものに変えると共に、スピーカ16から高音の警報音を発する。
【0019】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態を示す図である。符号は図1のものに対応し、17は制限速度情報発信装置、18は制限速度情報受信部である。全ての道路についてというわけではないが、主要な道路には、その道路の制限速度を電波で知らせる制限速度情報発信装置17が設けられている。そこで、その電波を受信する制限速度情報受信部18を設け、受信した制限速度と走行速度とを比較し、警報を発するようにしたものが、この第2の実施形態である。
【0020】
GPS衛星1からの信号をGPS受信部10で受信し、カーナビ本体12で自己の位置を割り出し、周辺の地図情報等のカーナビ情報をカーナビ表示部11に表示するのは、図1の第1の実施形態と同様である。
制限速度情報発信装置17より発せられている信号を制限速度情報受信部18で受信し、カーナビ情報格納部13で制限速度を割り出し、それと車速センサ15からの走行速度とを比較部14で比較し、警報を発すべき場合には第1の実施形態で述べたのと同様の要領で警報を発する。
この実施形態では、制限速度情報発信装置17が設置されている主要な道路を走行する場合にしか、警報サービスの恩恵を受けることが出来ないことになるが、実際問題としてはそれで充分間に合うという人が多いと思われる。
【0021】
(第3の実施形態)
図示はしていないが、地図情報等のカーナビ情報を予めカーナビ情報格納部13内に格納しておかず、通信により提供して貰うタイプのカーナビ装置9がある。そのようなタイプの場合には、各道路の制限速度情報も、通信で提供するカーナビ情報に含めておくこととする。
そうすれば、GPS衛星1からの信号を受信し、カーナビ本体12で自己の位置を割り出し、その位置の周辺のカーナビ情報を通信により提供して貰う際、走行中の制限速度情報も一緒に提供されることになる。その制限速度と走行速度とを比較し、警報を発すべき場合には第1の実施形態で述べたのと同様の要領で警報を発する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図3】本発明の技術思想の概要を説明する図
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態を示す図
【符号の説明】
【0023】
1…GPS衛星、2,3…道路、4…車両、5…速度制限標識、9…カーナビ装置、10…GPS受信部、11…カーナビ表示部、11A…警報領域、12…カーナビ本体、13…カーナビ情報格納部、13A…道路毎の制限速度、14…比較部、15…車速センサ、16…スピーカ、17…制限速度情報発信装置、18…制限速度情報受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行速度を検出する車速センサと、
GPS衛星からの信号を受信するGPS受信部と、
道路毎の制限速度情報も予め格納されているカーナビ情報格納部と、制限速度と走行速度とを比較する比較部とを有するカーナビ本体と、
該カーナビ本体からの信号に従ってカーナビ情報を画面に表示するカーナビ表示部と、
カーナビの音声サービスをするスピーカと
を具え、
前記GPS受信部で受信した信号に基づいて割り出した現在位置に対応した情報を前記カーナビ情報格納部から読み出して前記カーナビ表示部に表示すると共に、同時に読み出した走行道路の制限速度と検出された走行速度とを前記比較部で比較し、前記カーナビ表示部およびスピーカによって運転者に警報するようにした
ことを特徴とする速度警報機能付カーナビ装置。
【請求項2】
走行速度を検出する車速センサと、
GPS衛星からの信号を受信するGPS受信部と、
道路に沿って設置された制限速度情報発信装置からの信号を受信する制限速度情報受信部と、
カーナビ情報格納部と、制限速度と走行速度とを比較する比較部とを有するカーナビ本体と、
該カーナビ本体からの信号に従ってカーナビ情報を画面に表示するカーナビ表示部と、
カーナビの音声サービスをするスピーカと
を具え、
前記GPS受信部で受信した信号に基づいて割り出した現在位置に対応した情報を前記カーナビ情報格納部から読み出して前記カーナビ表示部に表示すると共に、前記制限速度情報受信部で受信した走行道路の制限速度と検出された走行速度とを前記比較部で比較し、前記カーナビ表示部およびスピーカによって運転者に警報するようにした
ことを特徴とする速度警報機能付カーナビ装置。
【請求項3】
走行速度を検出する車速センサと、
GPS衛星からの信号を受信するGPS受信部と、
道路毎の制限速度情報を含むカーナビ情報を通信サービスにより提供されると共に、制限速度と走行速度とを比較する比較部を有するカーナビ本体と、
該カーナビ本体からの信号に従ってカーナビ情報を画面に表示するカーナビ表示部と、
カーナビの音声サービスをするスピーカと
を具え、
前記GPS受信部で受信した信号に基づいて割り出した現在位置に対応したカーナビ情報の提供を受けて前記カーナビ表示部に表示すると共に、同時に提供された走行道路の制限速度と検出された走行速度とを前記比較部で比較し、前記カーナビ表示部およびスピーカによって運転者に警報するようにした
ことを特徴とする速度警報機能付カーナビ装置。
【請求項4】
カーナビ表示部の画面の一部分に警報領域を定めておき、警報の度合に応じて該警報領域の色を変化させるようにした
ことを特徴とする請求項1,2または3記載の速度警報機能付カーナビ装置。
【請求項5】
カーナビ表示部の画面全体の色調を、警報の度合に応じて変えるようにした
ことを特徴とする請求項1,2または3記載の速度警報機能付カーナビ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−171314(P2008−171314A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5675(P2007−5675)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(500001208)有限会社 サン技研 (3)
【Fターム(参考)】