説明

造粒粒子、錠剤、及び造粒粒子の製造方法

【課題】体内において薬物の溶出性に優れた造粒粒子、錠剤、及び造粒粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)を含有する造粒粒子において、 前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子の体積平均粒子径が0.01〜35μmであり、さらに水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と、界面活性剤(D)とを含有することを特徴とする造粒粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造粒粒子、錠剤、及び造粒粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固形薬品組成物は、その使用目的に応じて、錠剤、カプセル剤又は顆粒剤等として使用されている。
前記顆粒剤は、たとえば、活性成分(薬物)と共に適当な賦形剤を原料として用い、当該原料を、ロール圧縮機による乾式造粒法、押し出し造粒機による湿式造粒法、又は流動層造粒装置を用いて活性成分(薬物)を水溶性高分子化合物などで処理する湿式造粒法等により造粒粒子を製造して顆粒状とすることによって調製される。
また、錠剤は、たとえば、上記のようにして得られた顆粒剤ないしは顆粒様の組成物に、さらに添加剤(錠剤原料)を添加し、打錠することによって製造される。また、前記顆粒剤の一定量を、包装容器等に充填することによって硬カプセル剤や分包などが得られる。
【0003】
固形薬品組成物を調製する場合、一般的には、薬物の体内での吸収性や服用性の向上のために、造粒粒子を製造する際などに製剤上の工夫が行われることが多い。
なかでも、造粒粒子に含有される薬物が、水に対する溶解性が低い水難溶性薬物である場合、当該水難溶性薬物は体内では吸収されにくく、特に結晶性の薬物や粒子径が大きい薬物の場合には、体内において薬物の良好な溶出性を確保するために更なる工夫が必要となる。
なお、本明細書において「体内における薬物の溶出性」とは、造粒粒子または当該造粒粒子を含有する錠剤が経口投与された場合などに、造粒粒子に含有される薬物が、当該造粒粒子中から口腔内(体内)へ溶け出す際の溶け出しやすさを意味する。
【0004】
この場合の対策として、従来、水難溶性薬物を粉砕して当該水難溶性薬物の表面積を増加させる方法(特許文献1参照)や、有機溶媒を用いる方法等が提案されている。
また、難溶性のプロピオン酸系NSAIDs(非ステロイド系抗炎症剤)と水溶性高分子基剤及び非イオン性界面活性剤を含有してなる固形組成物等も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2004−530558号公報
【特許文献2】特開2000−95682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、水難溶性薬物を粉砕する際、水難溶性薬物の種類によっては、粉砕機などに水難溶性薬物が付着して粉砕性が著しく低下する場合があり、そのため、体内における薬物の溶出性が充分に確保できないという問題がある。
また、有機溶媒を用いる方法では、水難溶性薬物の種類によっては、有機溶媒に対する溶解性が悪かったり、体内における薬物の溶出性が芳しくなかったりする等の問題がある。
また、特許文献2に記載の方法では、水難溶性薬物の種類が異なったり、水難溶性薬物の粒子径が大きい場合などには、体内における薬物の溶出性が充分ではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、体内において薬物の溶出性に優れた造粒粒子、錠剤、及び造粒粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記課題を解決するために本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)を含有する造粒粒子において、 前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子の体積平均粒子径が0.01〜35μmであり、さらに水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と、界面活性剤(D)とを含有することを特徴とする造粒粒子である。
また、本発明の造粒粒子においては、前記(A)成分と前記(B)成分とは共粉砕されている共粉砕物であることが好ましい。
また、本発明の造粒粒子においては、前記(B)成分は、セルロース類、糖類及びデンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体であることが好ましい。
また、本発明の造粒粒子においては、造粒粒子中の前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量と、前記(C)成分の含有量との割合が、質量比で1/0.01〜1/0.3であり、かつ前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量と、前記(D)成分の含有量との割合が、質量比で1/0.001〜1/0.2であることが好ましい。
また、本発明の造粒粒子においては、前記(A)成分は非ステロイド抗炎症剤であることが好ましい。
また、本発明は、前記造粒粒子を含有する錠剤である。
また、本発明は、水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)とを共粉砕して体積平均粒子径が0.01〜35μmの共粉砕物を調製した後、当該共粉砕物に、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と界面活性剤(D)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒することを特徴とする造粒粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、体内において薬物の溶出性に優れた造粒粒子、錠剤、及び造粒粒子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
≪造粒粒子≫
本発明の造粒粒子は、水難溶性薬物(A)(以下、(A)成分ということがある。)と賦形剤(B)(以下、(B)成分ということがある。)を含有する造粒粒子において、前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子の体積平均粒子径が0.01〜35μmであり、さらに水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)(以下、(C)成分ということがある。)と、界面活性剤(D)(以下、(D)成分ということがある。)とを含有するものである。
以下、(A)〜(D)成分について詳細に説明する。
【0010】
<(A)成分>
本発明の造粒粒子は、水難溶性薬物(A)を含有する。
本発明において、「水難溶性薬物」とは、20℃の水に対する溶解度が0〜30mg/mLであり、好ましくは0〜10mg/mLである薬物を示す。
水難溶性薬物(A)としては、その種類は特に限定されず、具体的には、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、アスピリン、ジクロフェナック、アルクロフェナック、フェンクロフェナック、エトドラック、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカム等の非ステロイド抗炎症剤;ニトラゼパム、トリアゾラム、フェノバルビタ−ル、アミバルビタ−ル等の催眠・鎮静剤;フェニトイン、メタルビタ−ル、プリミドン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸等の抗てんかん剤;塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等の鎮うん剤;イミプラニン、ノキシプチリン、フェネルジン等の抗うつ剤;ハロペリドール、メプロバメート、クロルジアゼポキシド、ジアゼバム、オキサゼバム、スルピリド等の精神神経用剤;パパベリン、アトロピン、エトミドリン等の鎮けい剤;ジゴキシン、ジギトキシン、メチルジゴキシン、ユビデカレノン等の強心剤;ピンドロール、アジマリン、ジソピラミド等の不整脈剤;ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロセミド、ブメタニド等の利尿剤;レセルピン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、塩酸プラゾシン、メトプロロール、プロプラノロール、アテノロール等の抗高血圧剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ジルチアゼム、ニフェジピン、ジピリダモール等の冠血管拡張剤;ノスカピン、サルブタモール、プロカテロール、ツロプテロール、トラニラスト、ケトチフェン等の鎮咳剤;塩酸ブロムヘキシン、グアイフェネシン等の去痰剤;ニカルジピン、ピンポセチン等の脳循環改善剤;エリスロマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、リファンピシン、グリセオフルビン等の抗生物質;ジフェンヒドラミン、プロメタジン、メキタジン、フマル酸クレマスチン等の抗ヒスタミン剤;トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニソロン、ダナゾール、メチルテストステロン、酢酸クロルマジノン等のステロイド剤;ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類、葉酸(ビタミンM類)等のビタミン剤;ジメチコン、ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、メトクロプラミド、ファモチジン、オメプラゾール、スルピリド、トレピブトン、スクラルファート等の消化器系疾患治療剤;カフェイン、ジクマロール、シンナリジン、クロフィブラート、ゲファルナート、ブロベネシド、メルカプトプリン、メトトレキサート、ウルソデスオキシコール酸、メシル酸ジヒドロエルゴタミン等が挙げられる。
上記(A)成分のなかでも、本発明の効果が特に顕著に得られることから、非ステロイド抗炎症剤であることが好ましい。
これらの(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の造粒粒子中の含有量は、それぞれの水難溶性薬物における有効量とすることができる。(A)成分の含有量としては、たとえば、造粒粒子中、30〜90質量%程度であることが好ましく、50〜75質量%程度であることがより好ましい。
【0011】
<(B)成分>
本発明の造粒粒子は、賦形剤(B)を含有する。
賦形剤(B)としては、特に限定されず、なかでも本発明の効果が特に向上することから、セルロース類、糖類及びデンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体であることが好ましい。
セルロース類の粉体として具体的には、結晶セルロース、粉末セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が好ましく挙げられ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースがより好ましく挙げられ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが最も好ましく挙げられる。
本願明細書において、「低置換度」とは、置換基(前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合はヒドロキシプロポキシ基)のモル置換度が、好ましくは5〜16、より好ましくは7〜12程度であることを意味する。
糖類の粉体として具体的には、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖など)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット,ソルビトール,ラクチトール,エリスリトール,キシリトール,還元澱粉糖化物,マルチトール,マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が好ましく挙げられる。
デンプン類の粉体として具体的には、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン;ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が好ましく挙げられ、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)がより好ましく挙げられる。
上記のなかでも、セルロース類の粉体、デンプン類の粉体であることがより好ましく、セルロース類の粉体であることが特に好ましい。
これらの(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、造粒粒子中、10〜70質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、前記(A)成分と混合した際、前記(A)成分の粉砕機等への付着が抑えられて混合効率や粉砕性が向上する。他方、上限値以下であることにより、他の成分とのバランスをとることができ、本発明の効果が向上する。
【0012】
本発明の造粒粒子において、前記(A)成分と前記(B)成分との混合割合は、質量比で1/0.01〜1/10であることが好ましく、1/0.05〜1/5であることがより好ましく、1/0.2〜1/2であることがさらに好ましい。当該質量比において、(B)成分が0.01以上であることにより、混合した際、(A)成分の粉砕機等への付着が抑えられて混合効率や粉砕性が向上する。他方、(B)成分が10以下であることにより、本発明の効果が向上する。
また、前記(A)成分と前記(B)成分とは共粉砕されている共粉砕物であることが好ましい。(A)成分と(B)成分とが共粉砕されている共粉砕物であることにより、(A)成分の表面積をより高めることができ、本発明の効果が向上する。また、粉砕に適さない水難溶性薬物の粉砕も良好に行うことができる。
【0013】
本発明においては、前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子の体積平均粒子径は0.01〜35μmであり、好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは1〜25μmである。該範囲の下限値以上であることにより(A)成分の表面積が充分に高くなって本発明の効果が向上する。また、均一な粒子が得られやすくなる。他方、上限値以下であることにより、本発明の効果や造粒性が向上する。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、レーザー回折法により、たとえば、ベックマン・コールター社製のLS230型(製品名)等を用いて測定される値である。
【0014】
前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子の体積平均粒子径を0.01〜35μmに制御する方法としては、(A)成分と(B)成分をそれぞれ別個に粉砕して当該体積平均粒子径の範囲となるように両成分の各粒子の粒子径をそれぞれ調整する方法であってもよく、(A)成分と(B)成分とを共粉砕して調製される共粉砕物中の両成分の粒子の混合粒子径を調整する方法であってもよい。なかでも、上記のように共粉砕による効果が得られることから、(A)成分と(B)成分とを共粉砕して調製される共粉砕物中の両成分の粒子の混合粒子径を調整する方法が好ましい。
【0015】
<(C)成分>
本発明の造粒粒子は、(A)成分と(B)成分を含有し、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)をさらに含有する。当該(C)成分をさらに含有することにより、本発明の効果が向上する。また、造粒性が向上する。
ここで、本明細書において「水溶性高分子化合物」とは、20℃の水に対する溶解度が1mg/mL以上であり、好ましくは10mg/mL以上である高分子化合物を示す。
「水膨潤性高分子化合物」とは、水を加えると膨潤し、澄明、混濁または懸濁性の粘稠な液性を示す高分子化合物を意味する。
かかる(C)成分としては、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
なかでも、2質量%水溶液の20℃における粘度が1〜50mPa・sであるものが好ましく、より好ましくは1〜25mPa・sのものであり、さらに好ましくは1.2〜10mPa・sのものであり、特に好ましくは1.5〜5.0mPa・sのものである。
また、(C)成分は、けん化度が96mol%以下であるものも好ましい。
(C)成分における粘度、けん化度が前記範囲であることにより、本発明の効果が特に向上する。かかる効果が得られる理由は定かではないが、当該(C)成分を用いることにより、造粒粒子に含有される(A)成分の体内へ溶け出す速度が、従来よりも増大するためであると推測される。
なお、ここでいう「水溶液」とは、高分子化合物が水に溶解した液、高分子化合物が水を吸収して膨潤した均一な液などを包含するものとする。
また、「粘度」は、B型粘度計、ブルックスフィールド型粘度計(LVDVII+PRO(BROOK FIELD社製:単一円筒形回転粘度計)、スピンドルNo.ULA、回転数:60rpm、測定時間:4分間、測定温度:20℃)により測定される値である。
【0016】
かかる(C)成分として具体的には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウムがより好ましく用いられる。
これらの(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の含有量は、造粒粒子中、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることにより本発明の効果が向上する。他方、上限値以下であることにより造粒性が向上する。
【0017】
<(D)成分>
本発明の造粒粒子は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有し、界面活性剤(D)をさらに含有する。当該(D)成分をさらに含有することにより、発明の効果が向上する。また、多少高い粘度(好ましくは、2質量%水溶液の20℃における粘度が50mPa・s程度)の(C)成分を用いることができるとともに造粒性が向上する。
かかる(D)成分としては、特に限定されず、通常、経口製剤などで使用されているノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。
【0018】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(2)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(21)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(25)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(5)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(15)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(30)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(40)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(60)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ステロール、ポリオキシエチレン(20)ステロール、ポリオキシエチレン(30)ステロール、水素添加ステロール、ポリエチレングリコール(1)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(2)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(4)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(10)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(25)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(40)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレン(6)ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン(20)ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン(5)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(10)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(15)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(5)脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(10)脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(15)脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミン、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ショ糖エステル、メチルグルコシドエステル、メチルグルカミド等が挙げられる。
なお、上記例示のノニオン活性剤の表記における括弧内の数値は、エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数を表す。
【0019】
アニオン界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシル−N−メチルβアラニン塩等のN−アシルアミノ酸塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、リン酸アルキル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、N−アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N−アシルグアニジン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、大豆リン脂質、水素添加大豆リン脂質、卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、ホスファチジルコリンなどのレシチン誘導体、N−アルキルジメチルアミンオキサイド、N−アルキル−β−イミノビプロピオン酸塩、N−アルキルジメチルベタイン、N−アシル−ジメチルベタイン、N−アシルアミドプロピルジメチルベタイン、2−アルキルイミダゾリン誘導体、N−アルキルスルホベタイングルカミン、N−アルキルカルボキシベタイングルカミン等が挙げられる。
【0020】
上記のなかでも、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、さらに内服するという観点から、ノニオン界面活性剤がより好ましい。
これらの(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の含有量は、造粒粒子中、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることにより本発明の効果が向上する。他方、上限値以下であることにより造粒性が向上する。
【0021】
本発明の造粒粒子において、造粒粒子中の(A)成分と(B)成分との合計の含有量と、(C)成分の含有量(固形分)との割合は、質量比で1/0.01〜1/0.3であることが好ましく、1/0.05〜1/0.25であることがより好ましく、かつ(A)成分と(B)成分との合計の含有量と、(D)成分の含有量との割合は、質量比で1/0.001〜1/0.2であることが好ましく、1/0.005〜1/0.05であることがより好ましい。
前記それぞれの質量比において、当該(C)成分と(D)成分の割合をそれぞれ下限値以上とすることにより本発明の効果が向上する。他方、当該(C)成分と(D)成分の割合をそれぞれ上限値以下とすることにより造粒性が向上する。
【0022】
本発明の造粒粒子は、上記(A)〜(C)成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常、医薬製剤に用いられる任意成分を含有させることができる。
【0023】
本発明にかかる造粒粒子の体積平均粒子径は、当該造粒粒子を用いて錠剤とする場合、その体積平均粒子径は100〜1000μmであることが好ましく、150〜700μmであることがより好ましい。
また、当該造粒粒子を用いて顆粒剤とする場合、当該造粒粒子の体積平均粒子径は400〜1000μmであることが好ましく、500〜850μmであることがより好ましい。
【0024】
本発明の造粒粒子の製造方法は、その一例として、後述する本発明の造粒粒子の製造方法と同様の方法が好適な製造方法として挙げられる。
【0025】
≪錠剤≫
本発明の錠剤は、前記本発明の造粒粒子を含有して成形されているものである。
当該錠剤には、前記本発明の造粒粒子とともに、必要に応じてその他の原料、たとえば結合剤、崩壊剤等の賦形剤、滑沢剤、香料、矯味剤(甘味料、酸味料など)等を含んでいてもよい。
【0026】
具体的には、結合剤としては、たとえば澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等を用いることができる。
賦形剤としては、たとえばカルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;乳糖、コーンスターチ、タルク、結晶セルロース(アビセルなど)、粉糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、L−システインを用いることができる。
滑沢剤としては、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることができる。
香料としては、たとえばメントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油など)等を用いることができる。
甘味料としては、たとえばサッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等を用いることができる。
酸味料としては、たとえばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。
【0027】
本発明の錠剤は、一例として、本発明の造粒粒子と、必要に応じて上記の各種原料とを混合し、リブラ(製品名、菊水製作所製)、L−41型(製品名、畑鐵工所製)などのロータリー式の打錠機等を用いて打錠することにより製造することができる。
【0028】
≪造粒粒子の製造方法≫
本発明の造粒粒子の製造方法は、水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)とを共粉砕して体積平均粒子径が0.01〜35μmの共粉砕物を調製した後、当該共粉砕物に、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と界面活性剤(D)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒する製造方法である。
以下、本発明の造粒粒子の製造方法の一例について、共粉砕物を調製する工程と、湿式造粒する工程に分けて説明する。
【0029】
[共粉砕物を調製する工程]
本工程では、水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)とを混合し、共粉砕することにより体積平均粒子径が0.01〜35μmの共粉砕物を調製する。
その際、水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)は、それぞれ前記(A)成分と(B)成分において例示したものと同様のものを用いることができる。
水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)との共粉砕は、たとえば粉砕機を用いて、当該共粉砕により調製される共粉砕物の体積平均粒子径が0.01〜35μmとなるように行う。
共粉砕に用いられる粉砕機の機種は、特に限定されず、ハンマーミル、サンプルミル、ディスクミル、ピンミル等の衝撃式粉砕機;ジェット粉砕機等の乾式微粉砕機、シリンダー粉砕機、ローラー粉砕機等が挙げられ、なかでも衝撃式粉砕機が好ましく、サンプルミルがより好ましい。
【0030】
[湿式造粒する工程]
本工程では、前工程で調製された共粉砕物に、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と界面活性剤(D)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒することにより造粒粒子を製造する。
その際、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)、界面活性剤(D)は、それぞれ前記(C)成分、前記(D)成分において例示したものと同様のものを用いることができる。
前記水性液中、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)の含有量は0.1〜50質量%とすることが好ましい。
また、前記水性液中、界面活性剤(D)の含有量は0.01〜20質量%とすることが好ましい。
当該(C)成分と(D)成分を、それぞれ前記範囲の下限値以上とすることにより造粒性が向上する。他方、上限値以下とすることにより、前記共粉砕物へ水性液を噴霧する際の操作性等が向上する。
前記水性液には、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)、界面活性剤(D)、水以外に、必要に応じてその他の成分、たとえばエタノール、イソプロピルアルコール等を添加することができる。
【0031】
前記共粉砕物に、当該(C)成分と(D)成分を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒する方法としては、たとえば、マルチプレックス(製品名、(株)パウレック製)やスパイラルフロー(製品名、フロイント産業(株)製)等の撹拌型流動層造粒装置を用いて、当該高分子化合物(C)を含有する水性液を噴霧しながら造粒する流動層造粒;ハイスピードミキサー(製品名、深江パウテック(株)製)や高速撹拌造粒機(製品名、(株)ダルトン製)等の撹拌造粒機を用いて、当該(C)成分と(D)成分を含有する水性液を噴霧または滴下しながら撹拌錬合した後に、ドームグラン(製品名、(株)ダルトン製)等の押出し造粒機を用いて造粒する撹拌造粒等が挙げられる。なかでも、体内における水難溶性薬物(A)の溶出性の向上の観点から、流動層造粒とすることが好ましい。
【0032】
前記共粉砕物への水性液の噴霧は、造粒粒子中の水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)との合計の含有量と、当該(C)成分の含有量(固形分)との割合と、造粒粒子中の水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)との合計の含有量と、当該(D)成分の含有量との割合が、上記本発明の造粒粒子において説明したそれぞれの質量比となるように水性液の噴霧量を調整することが好ましい。
【0033】
かかる製造方法により製造される造粒粒子の体積平均粒子径は、当該造粒粒子を用いて錠剤又は顆粒剤とする場合、それぞれ上記本発明の造粒粒子において例示した錠剤又は顆粒剤とする場合の造粒粒子の体積平均粒子径とすることが好ましい。
【0034】
なお、製造される造粒粒子に対して、その後、安定性の向上などを目的として、必要に応じてコーティング剤によりコーティング処理を施してもよい。
かかるコーティング剤としては、本発明の効果である体内における水難溶性薬物(A)の溶出性を著しく損なわないものを選択することが好ましく、なかでも水溶性高分子化合物や糖類などが好ましい。
具体的には、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット,ソルビトール,ラクチトール,エリスリトール,キシリトール,還元澱粉糖化物,マルチトール,マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。
これらのコーティング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
コーティング剤の使用量は、造粒粒子100質量部に対し、0.1〜20質量部程度とすることが好ましい。
【0035】
本発明によれば、体内において薬物の溶出性に優れた造粒粒子、錠剤、及び造粒粒子の製造方法を提供することができる。
また、本発明により提供される造粒粒子と錠剤は、経時安定性が良好である。
また、本発明においては、(A)成分と(B)成分との粉砕時に、(A)成分が粉砕機などに付着しにくいため、粉砕性が良好である。
また、本発明は、粉砕後の取り扱いに課題が生じることがなく、製造性に優れている。
また、本発明は、造粒性にも優れている。
また、本発明によれば、体内における薬物の溶出性が高く、即効性、有効性に優れた水難溶性薬物を含有する医薬製剤、好ましくは粒状医薬組成物、錠剤などの固形薬品組成物等を提供することができる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部および質量%を示す。
なお、表1および表3中の配合量の単位は造粒粒子の全質量を基準とする質量%を示し、表2、表4および表5中の配合量の単位は錠剤の全質量を基準とする質量%を示す。
【0037】
≪造粒粒子の製造≫
表1、3にそれぞれ示す水難溶性薬物、賦形剤、水溶性高分子化合物、水膨潤性高分子化合物、界面活性剤を用いて、下記製造方法により各例の造粒粒子を製造した。
なお、各例において、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径と、得られた造粒粒子A〜F、M、Nの体積平均粒子径を表1にそれぞれ併記した。表1中の※は、比較例3に示す組成に従って各原料を混合した混合物(共粉砕処理はなし)の体積平均粒子径を示す。
体積平均粒子径は、ベックマン・コールター社製のLS230型(製品名)を用いて測定した(測定条件:ドライパウダーモジュール、バイブレーター16、オーガオフ、所要時間20秒間)。
(C)成分の粘度は、以下の条件で測定した。
回転粘度計:LVDVII+PRO(BROOK FIELD社製:単一円筒形回転粘度計)
測定容器:トールビーカー500mL
測定液量:約450mL
測定温度:20℃
スピンドルNo.:ULA
回転数:60rpm
測定時間:4分
【0038】
以下に、造粒粒子の製造に用いた、賦形剤、水溶性高分子化合物、水膨潤性高分子化合物について説明する。
【0039】
・賦形剤(B)
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:商品名「LH−21」、信越化学工業(株)製;粉砕前の体積平均粒子径40μm、モル置換度11。
【0040】
・水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)
ポリビニルアルコール:商品名「ゴーセノールEG−30」、日本合成化学(株)製;2質量%,20℃の粘度15.0mPa・s。
ポリビニルアルコール:商品名「ゴーセノールEG−05」、日本合成化学(株)製;2質量%,20℃の粘度3.0mPa・s。
ヒドロキシプロピルセルロース:商品名「NISSO HPC−L」、日本曹達(株)製;2質量%,20℃の粘度8.0mPa・s。
ヒドロキシプロピルセルロース:商品名「NISSO HPC−SSL」、日本曹達(株)製;2質量%,20℃の粘度2.5mPa・s。
ポリビニルピロリドン:商品名「プラスドンK−25」、ISP製;2質量%,20℃の粘度1.5mPa・s。
【0041】
(実施例1)
イブプロフェン(共粉砕前の体積平均粒子径70μm)と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(共粉砕前の体積平均粒子径40μm)を粉砕機(製品名:サンプルミル、(株)奈良機械製作所製)により16分間共粉砕した。当該共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後のイブプロフェン粒子と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粒子)の体積平均粒子径は16μmであった。
得られた共粉砕物に、スパイラルフロー(製品名、フロイント産業(株)製、撹拌型流動層造粒装置)を用いて、ポリビニルアルコール(けん化度87.5mol%)5質量%とポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポリソルベート80、エチレンオキサイドの平均付加モル数20モル、日光ケミカルズ(株)製)2.5質量%を含有する水性液を噴霧しながら流動層造粒を行うことにより造粒粒子Aを製造した。得られた造粒粒子Aの体積平均粒子径は約350μmであった。
【0042】
(実施例2)
表1に示す組成に従って、実施例1と同様にして造粒粒子Bを製造した。なお、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径は15μmであった。また、得られた造粒粒子Bの体積平均粒子径は約350μmであった。
【0043】
(実施例3)
表1に示す組成に従って、実施例1と同様にして造粒粒子Cを製造した。なお、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径は16μmであった。また、得られた造粒粒子Cの体積平均粒子径は約350μmであった。
【0044】
(実施例4)
表1に示す組成に従って、実施例1と同様にして造粒粒子Mを製造した。なお、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径は16μmであった。また、得られた造粒粒子Mの体積平均粒子径は約350μmであった。
【0045】
(実施例5)
表1に示す組成に従って、実施例1と同様にして造粒粒子Nを製造した。なお、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径は16μmであった。また、得られた造粒粒子Nの体積平均粒子径は約350μmであった。
【0046】
(比較例1)
実施例1において、ポリビニルアルコールとポリソルベート80を含有する水性液の代わりに、ポリビニルアルコール(けん化度87.5mol%)7.5質量%水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして造粒粒子Dを製造した。
なお、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径は16μmであった。また、得られた造粒粒子Dの体積平均粒子径は約350μmであった。
【0047】
(比較例2)
実施例1において、ポリビニルアルコールとポリソルベート80を含有する水性液の代わりに、ポリソルベート80の3.5質量%とラウリル硫酸ナトリウム3.5質量%を含有する水性液を使用した以外は、実施例1と同様にして造粒粒子Eを製造した。
なお、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径は16μmであった。また、得られた造粒粒子Eの体積平均粒子径は約400μmであった。
【0048】
(比較例3)
イブプロフェン(混合前の体積平均粒子径40μm)と、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(混合前の体積平均粒子径40μm)と、ヒドロキシプロピルセルロースと、ラウリル硫酸ナトリウム(粉)を混合し、ハイスピードミキサー(製品名、深江パウテック(株)製)を用いて、撹拌造粒を行うことにより造粒粒子Fを製造した。
なお、各原料を混合した後の混合物の体積平均粒子径は40μmであった。また、得られた造粒粒子Fの体積平均粒子径は約380μmであった。
【0049】
(実施例11〜16)
表3に示す組成に従って、実施例1と同様にして造粒粒子G〜Lをそれぞれ製造した。
なお、各例において、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の水難溶性薬物粒子と賦形剤粒子)の体積平均粒子径と、得られた造粒粒子G〜Lの体積平均粒子径を表3にそれぞれ併記した。
【0050】
≪錠剤の製造≫。
(実施例6〜10、実施例17〜28、比較例4〜6)
表2、4、5にそれぞれ示した錠剤原料を混合し、ロータリー式の打錠機L−41型(製品名、畑鐵工所製)を用いて打錠することにより各例の錠剤を得た。
【0051】
(実施例29)
下記に示す組成(原料と、2層錠中の含有量)によりそれぞれ混合した第一層と第二層の錠剤原料を、前記打錠機に、第一層、第二層の順に仕込んで、2層錠を製造した。
第一層:造粒粒子B30質量%、乳糖15質量%、クロスカルメロースナトリウム4質量%、ステアリン酸Mg1質量%。
第二層:合成ヒドロタルサイト30質量%、乳糖15質量%、クロスカルメロースナトリウム4質量%、ステアリン酸Mg1質量%。
【0052】
≪造粒粒子及び錠剤からの薬物の溶出性の評価≫
造粒粒子及び錠剤からの薬物の溶出性の評価は、日局溶出性試験のパドル法に準じて行った。
試験の条件は、酢酸ナトリウム59.5gと酢酸33.2mLを、20Lの精製水に加えて溶かして試験液を調製し、当該試験液のpHを4.5に調整した。
試験は、パドル回転数を50rpmに設定し、撹拌しながら所定の経時で試験液をそれぞれ10mL採取し、溶出率(水難溶性薬物の初期値(造粒粒子に含有させた水難溶性薬物の設定量)に対する溶出量)を高速液体クロマトグラフィー法により測定した。
当該溶出率が90質量%の時点を溶出時間(分)とし、この溶出時間が15分以下であれば、体内における薬物の溶出性が良好であると判断した。
また、上記試験は、製造直後及び40℃で6ヶ月保存後の造粒粒子、錠剤に対してそれぞれ行った。評価結果を表1〜5(造粒粒子の評価結果は表1、3;錠剤の評価結果は表2、4、5)に示した。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
実施例29については、製造直後の錠剤における溶出時間は12分、40℃で6ヶ月保存後の錠剤における溶出時間は13分であった。
【0059】
表1、3の結果から、本発明にかかる実施例1〜5、11〜16の造粒粒子は、比較例1〜3の造粒粒子に比べて、体内における薬物の溶出性に優れていることが確認できた。
また、表2、4、5の結果から、本発明にかかる実施例6〜10、17〜29の錠剤は、比較例4〜6の錠剤に比べて、体内における薬物の溶出性に優れていることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)を含有する造粒粒子において、
前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子の体積平均粒子径が0.01〜35μmであり、さらに水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と、界面活性剤(D)とを含有することを特徴とする造粒粒子。
【請求項2】
前記(A)成分と前記(B)成分とは共粉砕されている共粉砕物である請求項1記載の造粒粒子。
【請求項3】
前記(B)成分は、セルロース類、糖類及びデンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体である請求項1又は2に記載の造粒粒子。
【請求項4】
造粒粒子中の前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量と、前記(C)成分の含有量との割合が、質量比で1/0.01〜1/0.3であり、かつ前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量と、前記(D)成分の含有量との割合が、質量比で1/0.001〜1/0.2である請求項1〜3のいずれかに記載の造粒粒子。
【請求項5】
前記(A)成分は非ステロイド抗炎症剤である請求項1〜4のいずれかに記載の造粒粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の造粒粒子を含有する錠剤。
【請求項7】
水難溶性薬物(A)と賦形剤(B)とを共粉砕して体積平均粒子径が0.01〜35μmの共粉砕物を調製した後、当該共粉砕物に、水溶性高分子化合物及び/又は水膨潤性高分子化合物(C)と界面活性剤(D)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒することを特徴とする造粒粒子の製造方法。

【公開番号】特開2007−314529(P2007−314529A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120331(P2007−120331)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】