説明

連続無段変速機を有する動力装置の制御方法及び装置

本発明は、エンジントルク抽出モードで、連続無段変速機を有する動力装置の制御方法及び装置に関する。関係するシステムは、熱エンジンと「エンジントルク抽出モード」で動作する連続無段変速機が装備された車両である。本発明によれば、非線形の多変数の包括的なモデルが、分離装置(35)へ送られる複数の中間の値(V、V、V)の変数が、調整装置(34)によって作られるように、決定装置(36)の中で実行される。使用される測定値の信号は、連続無段変速機の電気変速機の電気機械の回転数及びトルクと、電気変速機のエネルギバッファ要素の端子間の電圧である。発生される制御値は、電気機械と熱エンジンのトルクの指令値の信号である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続無段変速機を有する動力装置の制御方法及び装置に関する。関係する装置は、熱エンジンと、「エンジントルク抽出(tirage)」モード、「エンジンブレーキ(retro)」モード、「トルク低下(rampage en couple)」モード、「速度低下(rampage en vitesse)」モードで動作する連続無段変速機が装備された車両である。
【0002】
関係する動力装置は、熱エンジンとトランスミッションの間に、クラッチもコンバータも有しない。
【0003】
「エンジントルク抽出」モードにおいては、熱エンジンは、車両の車輪へ推進トルクを供給する。
【0004】
「エンジンブレーキ」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御に対して如何なる意図も示さない。
【0005】
「トルク低下」モードにおいては、車両は、低速度へ移行し、運転者は、熱エンジンの制御に対して、ブレーキ装置に作用を及ぼす意図を示す。
【0006】
「速度低下」モードにおいては、運転者は、熱エンジンの制御に対しても、ブレーキ装置に対しても、如何なる意図も示さない。運転者は、ブレーキペダルを踏んでいない。
【0007】
本発明の装置において使用される連続無段変速機は:
・エネルギのバッファ要素を介して電気的に接続され、電気変速機として作用する2つの電気機械と;
・熱エンジンと、車輪と、電気機械へそれぞれ接続された4つの入/出力軸を有する連鎖と;
から構成される。
【0008】
複数のアクチュエータが、熱エンジンと2つの電気機械の動作状態を本質的に制御することを可能にする。これらのアクチュエータは、例えば車載の計算機にインプリメンテーションされた監視装置から発生される操作信号を受ける必要がある。
【背景技術】
【0009】
文献FR 2834249には、監視装置を、熱エンジンのタイプ、連続無段変速機の特徴及びトラック運転者の行動や運転者の運転スタイルの特徴にも、殆ど依存しなくすることを可能にする、動力装置の監視装置のための3層のアーキテクチャが記載されている。
【0010】
第1層においては、監視装置は、車両の運転環境を考慮に入れながら、運転者の意志を解釈するための第1手段を有する。
【0011】
第2層においては、監視装置は、運転者の意志の解釈に応じて決定された指令値を適用するための動力装置の最適動作点を、熱エンジンのタイプから独立に決定するために第1手段と協同する、第2手段を有する。
【0012】
第3層においては、監視装置は、上述のタイプの連続無段変速機を有する動力装置のアクチュエータの制御信号を決定するために第2手段と協同する、第3手段を有する。
【特許文献1】FR 2834249
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、監視装置の第3層のレベルにおいて、使用可能な3つのアクチュエータ、すなわち熱エンジンと2つの電気機械の、特に「エンジントルク抽出」モードと、「エンジンブレーキ」モードと、「トルク低下」モードと、「速度低下」モードにおいて、トルク トラッキング(Torque Tracking)方法を使用して、監視の上の層から要求される動作点を実現することを可能にする、指令値を計算することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の制御方法は、動力装置の熱エンジンが、電気エネルギのバッファ要素を介して電気的に連結された2つの電気機械を包含する連続無段変速機を通して、車両の車輪へ直接連結された、車両の動力装置に関する。上記制御方法によって、上記車両は上記動力装置によって駆動され、上記動力装置によって制動され、上記動力装置から切り離され、あるいは停止状態に維持される。
【0015】
エンジントルク抽出モードであって、上記動力装置による上記車両の特有の駆動モードである第1のモードにおいては、電気エネルギのバッファ要素の充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記車輪に加えられるトルクと、上記熱エンジンの回転数を制御する。
【0016】
エンジンブレーキモードであって、上記動力装置による上記車両の特有の制動モードである第2のモードにおいては、上記熱エンジンは噴射停止状態にあり、上記電気変速機の上記充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記熱エンジンの回転数を制御する。
【0017】
トルク低下モードであって、上記動力装置による上記車両の特有の駆動モードである第3のモードにおいては、上記熱エンジンをアイドリング状態に維持しながら、上記電気変速機の上記充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記車輪に加えられるトルクを制御する。
【0018】
速度低下モードであって、上記動力装置による上記車両の特有の駆動モードである第4のモードにおいては、上記熱エンジンをアイドリング状態に維持しながら、上記電気変速機の上記充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記車両の速度を制御する。
【0019】
本発明によって提供される車両の動力装置の制御方法は、要求される目標値の集合、すなわち、車輪へ加えられるトルクと、熱エンジンの回転数と、エネルギバッファ要素のエネルギレベルの決定された値に、同時に到達することを可能にするための、動力装置GMPの制御を実現することを可能にする。本発明の制御方法は、熱エンジンとトランスミッションの間に、クラッチまたはコンバータのようなカプラを有しない動力装置GMPに適用されるという特徴を有する。
【0020】
また本発明は、
−運転者の意図を解釈するための第1のコントローラと、
−熱エンジンの最適動作点を決定するための第2のコントローラと、
−動力装置のアクチュエータの制御信号を作るための第3のコントローラと、
を有するタイプの、エンジントルク抽出モードにおける連続無段変速機を有する動力装置の制御装置にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の説明と添付図面によってよりよく理解されるであろう。これらの添付図面において:
−図1は、本発明の方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図であり;
−図2、3は、本発明の方法の様々な局面を説明するためのフローチャートであり;
−図4は、エンジントルク抽出モードにおける、本発明の装置の主要部を表わす模式図であり;
−図5は、図4の第3ブロックの実施の形態を表わす模式図であり;
−図6、7は、エンジンブレーキモードを示し;
−図8、9は、トルク低下モードを示し;
−図10、11は、速度低下モードを示す。
【0022】
以下の文中において、次の記号は以下に示す意味を有する:
・用語^aは、変数aの推定値を意味し;
・用語aは、変数aの最適化指令値を意味し;
・用語a#は、変数aの計算指令値を意味し;
・用語a’は、変数aの時間的な変化を意味し;
・用語Tsは、制御のサンプリング周期を意味する。
【0023】
図1に、動力装置(GMP)が装備された車両のブロック図を示す。動力装置GMPは、トルクを制御される熱エンジン(ICE)4と、連続無段変速機(IVT)5から構成される。この連続無段変速機は、4つの機械出力交換経路を有する連鎖13と、電気変速機21から構成される。電気変速機21自身は、トルクを制御され、エネルギバッファ要素10を介して連結された、2つの電気機械Me111及びMe212から構成される。説明される実施の形態のエネルギバッファ要素(エネルギ蓄積要素)10はコンデンサであるが、本制御方法は、バッテリやスーパーコンデンサのような、異なるテクノロジのエネルギ蓄積装置を有する連続無段変速機の場合にも適用可能である。
【0024】
各電気機械Me111またはMe212は、4特性象限(w、T)、あるいは換言すれば:
−モータとして、電気機械がエネルギバッファ要素10から電気エネルギをエンジントルク抽出し、4経路の連鎖へ回転軸17または18から機械エネルギを発生するモード;
−ジェネレータとして、電気機械が連鎖13から機械出力をエンジントルク抽出し、エネルギバッファ要素10へ向けて電気エネルギをリサイクルするモード;
において動作することができる。
【0025】
連鎖13は、次の4つの機械出力交換回転軸:
−エンジンまたはエンジンブレーキとして動作することが可能な熱エンジン4のクランクシャフトと機械出力を交換するための回転軸15;
−車両の車輪6と機械出力を交換するための回転軸16;
−2つの電気機械11、12のロータと機械出力を交換するための回転軸17、18;
を有する。
【0026】
熱エンジン4は、コントローラ3によってトルクを制御され、電気機械11、12は、それぞれコントローラ19とコントローラ20によって制御される。連続無段変速機IVT5の連鎖13は、クラッチとブレーキのような、変速機のモードのコントローラによって制御されるカプラを有する。変速機のモードのコントローラについては、上述の本出願人の特許出願において明らかにされており、本出願明細書においては説明しない。
【0027】
本発明に関する動力装置GMPの動作の第1モードは、トルクトラッキング(TT)と呼ばれるエンジントルク抽出モードである。エンジントルク抽出モードの間には、熱エンジンは正のトルクを変速機へ供給する。このモードの間に、本発明の方法によって求められる力学的な対象は、熱エンジンの回転数の調整と、車輪へ供給されるトルクである。本発明の方法によって求められるエネルギ的な対象は、コンデンサの電圧の調整である。
【0028】
以下の記述において、下記のような意味の記号を使用する:
・we1:第1電気機械11の回転数、
・we2:第2電気機械12の回転数、
・Tde1:第1電気機械Me111から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tde2:第2電気機械Me212から供給されるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Te1#:第1電気機械Me111に対するトルク指令値、
・Te2#:第2電気機械Me212に対するトルク指令値、
・wice:熱エンジンICE4の回転数、
・Tice:クランクシャフト8に対して加えられる熱エンジンICEのトルク、
・Tdice:熱エンジンICE4のトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・Tice#:熱エンジンICE4に対するトルク指令値、
・To:動力装置GMPから車輪に加えられるトルク、
・Tdwh:車輪へ加えられるトルクに対して加えられる擾乱トルク、
・W:コンデンサのエネルギレベル、
・j(Te1,Te2,we1,we2):コンデンサ10によって電気機械と交換される出力と、2つの電気機械Me1、Me2とそれらの貯蔵コンデンサを含む電気変速機の損失とによって定義されるスカラー関数、
・PdW:コンデンサの動特性に対して加えられる擾乱出力。
【0029】
システムの状態を記述する変数は、1次元の2つのリスト、またはここでは転置ベクトルの形で表されたベクトルX1、X2;
X1=[we1,we2,Tice,Tdwh,Tdice,Tde1,Tde2] (8)
X2=[W,PdW] (9)
に分けられる。
【0030】
状態ベクトルX1は、
・電気変速機の回転数の値;
・熱エンジンのトルクの値;
・トルクの信号の擾乱の値;
を含んでいる。
【0031】
状態ベクトルX2は、
・変速機の中のエネルギバッファ要素のエネルギ状態を記述する少なくとも1つの値;
・このエネルギ状態の少なくとも1つの擾乱の値;
を含んでいる。
【0032】
本発明の制御装置2は、電気変速機21の状態パラメータの3グループ:
−ライン22を介して、コントローラ19によって発生される、第1電気機械Me111の電気出力の状態(Te1、we1);
−ライン23を介して、コントローラ20によって発生される、第1電気機械Me212の電気出力の状態(Te2、we2);
−エネルギバッファ要素10の充電レベル(Ucapa);
のベクトルVを入力として受ける。
【0033】
制御装置2は、応答として、本発明の方法を適用して、動力装置1のアクチュエータのための制御信号、すなわち:
−熱エンジンの回転数に関する制御目標に到達することを可能にする、ライン7を介して熱エンジン4のコントローラ3へ向けて発生される制御信号;
−熱エンジンの回転数に関する制御目標と、車輪へ加えられるトルクToの制御目標とに、同時に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号;
を返送する。
【0034】
望ましい実施の形態においては、ライン7を介して発生される制御信号は、熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号である。
【0035】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0036】
図2に、本発明の制御方法によって実行される主要な操作のシーケンスを示す。
【0037】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S1における制御開始操作に続いて、制御は、3つのアクチュエータの指令値Tice#、Te1#、Te2#が、後に説明する測定ベクトルZに基づいて計算される、計算段階S2へ移行する。このため、本発明の方法は、あらかじめ定められた関数f()によって表される。関数f()は、その表現が、制御の目標に応じた記述の情報に基づいて、解析的に、またはアルゴリズムによって決定され、使用可能な3つのアクチュエータ、すなわち熱エンジンと2つの電気機械の、特にエンジントルク抽出モードにおいて、トルク トラッキング(Torque Tracking)方法を使用して、監視の上の層から要求される動作点を実現させることを可能にする、指令値を計算することであると理解される。
【0038】
これらの値が計算段階S2において一旦計算されると、これらの値は動力装置の3つのコントローラへ伝達される。すなわち、熱エンジンのコントローラに対してTiceが、第1電気機械のコントローラに対してTe1が、また第2電気機械のコントローラに対してTe2が伝達される。次いで、制御は、特定の駆動モードの終わりをテストするテスト段階S3へ移行する。実際、本発明の方法は、選択された他の駆動モードの後で止めることができる。テスト段階S3の結果がNoであれば、制御は、上述の段階S2におけるその評価の際の関数f()のアーギュメントから、その後に変化された変数の瞬間的な値を測定する、測定段階S4へ移行する。ベクトルZの中で、様々な測定値が照合される。望ましい実施の形態においては、ベクトルZは:
−望ましくは端子間の電圧によって測定される、連続無段変速機の電気変速機のエネルギのバッファ要素の中に蓄積されたエネルギのレベル;
−電気変速機の2つの電気機械の各々について、トルクTe1またはTe2と、回転速度we1またはwe2
を含む。
【0039】
テスト段階S3の結果がYesであれば、制御は、本発明の制御装置が不活性化される終了段階S5へ移行する。
【0040】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、以下の段階を有する:
−電気変速機21の充電レベルUcapaと、車輪に加えられるトルクToと、熱エンジンの回転数wiceの決定段階、
−指令値に応じて決定される、充電レベルと、車輪へ加えられるトルクと、熱エンジンの回転数の調整による中間の値の取得段階、
−中間の値の、電気変速機21のトルク指令値Te1#、Te2#の信号と、熱エンジン4のトルク指令値Tice#の信号への分離段階。
【0041】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、
−電気機械(Me111、Me212)の回転数(we1、we2)、
−熱エンジン(4)の回転数(wice)、
−熱エンジン(4)のクランクシャフトに加えられるトルク(Tice)、
−電気機械(Me111、Me212)の電磁的なトルク(Te1、Te2)、
−電気変速機の充電レベル(Ucapa)、
−電気変速機の電気出力の交換の修正係数、
−クランクシャフトと車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用して、中間の値の信号の分離を実行することからなる。
【0042】
図3に、図2を使用して説明した、関数f()による動力装置の指令値を算定するための、計算段階S2の実施の形態を示す。
【0043】
決定段階S8において、本発明の方法は、熱エンジンの回転数の推定値^wiceと、コンデンサのエネルギレベルの推定値^Wと、車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、与えられた動力装置の連続無段変速機の電気変速機を表す電気機械連鎖のシミュレーションの量を集合させる推定ベクトル^Xfの、推定を実行することからなる。推定ベクトル^Xfは、図4を使用して、説明及び定義される。
【0044】
決定段階S8が一旦実行されると、決定段階S8で推定されたデータと、動力装置の動作点の要求に対応する2つの指令値に基づいて、調整段階S9が実行される。これらの指令値は、本出願人の先のフランス特許出願第01.16915に記載された方法において定義された3層のアーキテクチャに特に適応された特有の実施の形態においては、それぞれ、熱エンジンの回転数の指令値wiceと、車輪に加えられるトルクの指令値Toである。調整段階S9は、後に定義する調整アルゴリズムを適用して、中間の値のベクトルVを生じる。
【0045】
調整段階S9が一旦実行されると、調整段階S9で作られた中間の値の変数に基づいて、分離段階S10が実行される。分離段階S10は、動力装置の調整された動作点(wice、To)が達成されるように、動力装置のコントローラへ送られる指令値の対、すなわち:
−熱エンジンのトルク指令値Tice#;
−各電気機械に対するトルク指令値Te1#、Te2#;
を生じる。分離のアルゴリズムは、後に説明する。
【0046】
図4に、本発明の制御装置2の主要な装置の特有の実施の形態を示す。本発明の特有の実施の形態においては、これらの装置は、本出願人の先のフランス特許出願第01.16915に記載され、最適指令信号(wice、To)の二重項の形の動力装置の最適動作点を受ける、第3層のコントローラCOSの主要部分を構成する。最適動作点は、動力装置のタイプが何であっても、アクセルペダルの踏み込み角度のようなパラメータを考慮に入れた運転者の意志の解釈と、運転のレギュレータおよび車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境パラメータの検出との少なくとも一方に応じて、最適動作点のコントローラによって決定される。運転者の意志の解釈と環境パラメータの検出は、車両制御のコントローラに委ねられる。
【0047】
本発明による制御装置2において実行される制御構造は、本出願人の名において出願されたフランス特許出願第01.16915に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。本発明の目的は、熱エンジンが、連続無段変速機から切り離されることなく、上の2つの層から制御される「エンジントルク抽出」モードにおける、制御の中間層(COS)を構築することにある。
【0048】
熱エンジンの動作点の最適化を実行する監視装置またはコントローラOPFは、第3層のコントローラCOSの入力へ、熱エンジンの回転数の指令値を供給する。監視装置またはコントローラIVCは、車輪へ加えられるトルクの指令値も供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの3つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、本発明が係る「エンジントルク抽出」モードにおける、動力装置GMPの3つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)と熱エンジンに関するトルクの指令値を生成する。
【0049】
第1層において、車両の環境、特に車両の移動速度に応じて、モジュールが運転者の意図の解釈を実行する。特に、アクセルペダルの踏み込み角度またはブレーキペダルの踏み込み角度がゼロであることを検知して、「エンジントルク抽出」モードにあることを明らかにする。
【0050】
図4に、本発明の制御装置2の主要な装置の実施の特有の形態、すなわち:
・システムの状態を表す変数の決定装置36、
・調整装置34、
・分離装置35、
を示す。
【0051】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な、自動化(Automatique)の意味で、概念の表現のモデルの形をした、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて導かれ、また、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。上述の概念のモデルは、非線形多変数モデルである。
【0052】
決定装置36は、5入力ゲート:
第1電気機械のトルク指令値Te1#の信号を受ける入力ゲートa;
第2電気機械のトルク指令値Te2#の信号を受ける入力ゲートb;
熱エンジンのトルクの指令値Tice#の信号を受ける入力ゲートc;
電気機械の電気的な状態we1、we2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
スーパーコンデンサの端子間電圧の測定信号Ucapaを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0053】
決定装置36は4出力ゲート:
分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
それぞれ、調整装置34の入力ゲートfと分離装置35の入力ゲートdへ伝達される、熱エンジンの回転数の推定値^wiceとその時間微分^w‘iceを発生する出力ゲートS2;
調整装置の入力ゲートeへ伝達される、エネルギバッファ要素のエネルギレベルの推定値^Wとその時間微分^W‘の対を発生する出力ゲートS3;
調整装置34の入力ゲートdへ伝達されるエンジントルクの推定値^Toの信号を発生する出力ゲートS4;
を有する。
【0054】
決定装置36は、9ベクトル成分を有する下記のベクトル:
^Xf=[^W ^we1 ^we2 ^Tice ^Te1 ^Te2 ^Tdwh ^Tdice ^PdW] (16)
によって表される、推定ベクトル^Xfの信号を構成する役割を有する、^Xfの構成回路を有する。
【0055】
これらの信号の推定値は、線形システムの自動化工学(Automatique)として知られる技術を使用することによって、選ばれた概念モデルから構成される線形監視装置によって計算される。このようなシステムの状態の再構成に関する文献、特にフィリップ ド ラルミナ著:「自動化工学(Automatique)−線形システムの制御」エルメス サイエンス出版2000、第2版(Philippe de Larminat, “Automatique −Commande des systems lineaires”, 2° editions, Hermes, Science Publication 2000)を参照することができる。
【0056】
この監視装置のゲインは、決定装置の調整パラメータを構成する。
【0057】
調整装置34は、6入力ゲート:
エネルギバッファ10の端子間電圧の指令値の信号を受ける入力ゲートa;
エンジンの回転数の指令値wiceの信号を受ける入力ゲートb;
エンジントルクの指令値Toの信号を受ける入力ゲートc;
エンジンのトルクの推定値^Toの信号を受ける入力ゲートd;
エネルギレベルの推定値^Wとその微分^W’を受ける入力ゲートe;
エンジンの回転数の推定値^wiceとその微分^w’iceを受ける入力ゲートf;
を有する。
【0058】
調整装置34は、3出力ゲート:
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS1;
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS2;
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS3;
を有する。
【0059】
調整装置34は、3指令値:
−バッファ要素のエネルギレベルの指令値W
−エンジンの回転数の指令値wice
−エンジントルクの指令値To
から、各指令値にそれぞれ対応する、3つの中間の値の制御信号(V、V、V)を構成し、決定装置から供給される情報を元にして:
−信号Vは、コンデンサ10の端子間電圧のような、エネルギバッファ要素の充電の指令値を元にして、微分比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算され;
−信号Vは、熱エンジンの回転数の指令値と熱エンジンの回転数の推定値を元にして、微分比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算され;
−信号Vは、車輪に加えられるトルクの指令値と、車輪に加えられるトルクの推定値を元にして、比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算される。
【0060】
分離装置35は、5入力ゲート:
調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートa;
調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートb;
調整装置34の出力ゲートS3から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートc;
熱エンジンの回転数の推定値^wiceまたはその時間微分^w’iceを受ける入力ゲートd;
制御の推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0061】
分離装置35は、3出力ゲート:
第1電気機械のトルク指令値Te1#の出力ゲートS1;
第2電気機械のトルク指令値Te2#の出力ゲートS2;
熱エンジンのトルク指令値Tice#の出力ゲートS3;
を有する。
【0062】
調整装置34によって作り出される中間の値の制御信号(V、V、V)と、決定装置36から供給されるシステムの状態に関する推定ベクトル^Xfを元にして、分離装置35は、熱エンジンのトルク指令値Tice#と、電気変速機21の2つの電磁トルク指令値Te1#、Te2#の信号を構築する。本発明の方法に関する段階は、以下の下部段階:
−特に、エイ.イシドリ著:「非線形制御システム」、第2版、スプリンガー出版、1989(A.Isidori,“Non Linear Control System”,2d Edition, Springer−Verlag, 1989)に記載されている方法のような、中間制御のトリプレット(u、u、u)を作るための、出力の逐次微分による概念モデルの反転に基づく中間の値の制御信号(V、V、V)の分離段階;
−電磁トルク指令値(Te1#、Te2#)のダブレットの形の、車輪へ加えられるトルクの制御信号を作るための、最初の2つの中間信号(u、u)の積分段階;
−熱エンジンの回転数に依存する最大熱エンジントルクによる信号uの飽和段階であって、熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号は、離散遅延演算子(operateur retard discret)によって信号uから導出される段階;
を有する。
【0063】
図5に、本発明の分離装置35の実施の特有の形態を示す。
【0064】
3調整信号V、V、Vが、ベクトル集合器140へ送られる。ベクトル集合器140の出力は、分離モジュールである回路141の第1入力端子へ、3信号を逐次伝達する。回路141は、出力の逐次微分による概念モデルの反転を実行する。
【0065】
モデルの反転を行う回路141は、推定ベクトル^Xfを受ける入力端子e(35)に接続された第2入力端子も有する。従って、反転は、調整信号V、V、Vの成分についてと、推定ベクトル^Xfの成分について、同時に作用する。
【0066】
モデルの反転に相当する3出力信号は、それぞれu、u、uと表示され、ベクトル分離器142へ送られる。ベクトル分離器142の第1出力端子は、値の第1ペアu、uを選択する。第1ペアu、uは、変速機の電気機械のコントローラ回路へ送られる2つの指令値(Te1#、Te2#)の信号を得るために、積分回路143−147へ供給される。
【0067】
この実施の特有の形態においては、積分回路は、システムのサンプリング周期である時定数Tsによって調整される、ゲインモジュール143を有する。成分u、uを同様に処理したゲインモジュール143の出力信号は、加算器144の入力端子へ送られる。加算器144の出力端子は、飽和回路146の第1入力端子へ接続される。推定ベクトル^Xfも、成分2と3の選択ブロック145の入力端子へ供給される。選択ブロック145の出力端子は、飽和回路146の第2入力端子へ直接接続される。この図から、飽和回路146は、一方では反転成分u、uの値を元にして、また他方では2つの電気機械の回転速度の推定値^we1、^we2の成分を元にして作用することが分かる。
【0068】
また、分離装置35は、入力端子が、エンジンの回転数の推定値^wiceと、その時間微分の推定値^w’iceを表す値の対を受ける、成分1の選択ブロック149を有する。
【0069】
成分の選択ブロック149の出力端子は、このようにして、エンジンの回転数の推定値^wiceの信号を、飽和回路148の第1入力端子へ送る。飽和回路148の第2入力端子は、モデルの第3信号uを受けるために、ベクトル分離器142へ接続される。飽和回路148は、エンジントルクの指令値を決定する、Tice制御の飽和信号の作成手段を有する。
【0070】
本発明の方法のシーケンスを尊重することを可能にするために、分離装置35の出力端子S3(35)にエンジンのトルク指令値Tice#を準備するための離散遅延を適用する回路150を、飽和回路148の出力端子に接続する。
【0071】
一般的に、本発明の分離装置35は:
−あらかじめ定められた、充電レベルと、車輪へ加えられるトルクと、熱エンジンの回転数の調整から生じた、中間の値を集合させるベクトル集合器140;
−ベクトル集合器140の出力と定められた変数の集合を受ける、非線形の分離モジュール141;
−分離モジュール141の2つの第1出力に、システムのサンプリング周期Tsに等しいゲインを適用するモジュール143;
−モジュール143の出力に、分離装置35の第1出力信号を加える加算器144;
−加算器144の出力に、各電気機械毎に定められた回転数に依存する、最大電磁トルクに応じた飽和を適用する飽和回路146;
−2つの電気機械のトルク指令値Te1#、Te2#の信号を作るために、飽和回路146の出力信号に遅延を適用する回路147;
−モジュール141の第3出力に、熱エンジンの定められた回転数に依存する、熱エンジンの最大トルクに応じた飽和を適用する飽和回路148;
−熱エンジンのトルク指令値Tice#の信号を作るために、飽和回路148の出力信号に遅延を適用する回路150;
を有する。
【0072】
実施の特有の形態においては、本発明の方法によって実行される特殊な駆動モードは、動力装置によって供給されるトルク(To)を制御しながらアイドリングの調整を確保する。
【0073】
「エンジンブレーキ」モードでは、熱エンジンは、本発明の本来の意味における制御装置から独立なコントローラの制御の下に、噴射停止の動作モードにある。そこで、このような駆動状態が検出されたときには、制御装置2は、熱エンジンの制御を、噴射停止回転数の自律的なコントローラ26に委ねる。噴射停止のコントローラ26は、それ自身、特有のラインによって、熱エンジン4のコントローラ3のアイドリングの制御に該当する入力へ接続される。同時に、本発明の制御装置2は、バッファ要素10の充電の調整目標を追及することを可能にする、トルク指令値Te1#、Te2#の信号を作ることによって、熱エンジンの回転数の調整の目標の制御を実行する。
【0074】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S1における制御開始操作に続いて、制御は、2つのアクチュエータの指令値Te1#、Te2#が、後に説明する測定ベクトルZに基づいて計算される、計算段階S2へ移行する。このため、本発明の方法は、あらかじめ定められた関数fretro()によって表される。関数fretro()は、その表現が、制御の目標に応じた記述の情報に基づいて、解析的に、またはアルゴリズムによって決定され、電気機械に関する使用可能な2つのアクチュエータの指令値を計算することであると理解され、特に駆動モード「エンジンブレーキ」において監視の上層から要求される動作点を実現させることを可能にする。
【0075】
これらの値の対が計算段階S2において一旦計算されると、これらの値は動力装置の2つのコントローラへ伝達される。すなわち、第1電気機械のコントローラに対してTe1が、また第2電気機械のコントローラに対してTe2が伝達される。次いで、制御は、特定の駆動モードの終わりをテストするテスト段階S3へ移行する。実際、本発明の方法は、選択された他の駆動モードの後で止めることができる。テスト段階S3の結果がNoであれば、制御は、上述の段階S2におけるその評価の際の関数f()のアーギュメントから、その後に変化された変数の瞬間的な値を測定する、測定段階S4へ移行する。ベクトルZの中で、様々な測定値が照合される。望ましい実施の形態においては、ベクトルZは:
−望ましくは端子間の電圧によって測定される、連続無段変速機の電気変速機のエネルギのバッファ要素の中に蓄積されたエネルギのレベル;
−電気変速機の2つの電気機械の各々について、トルクTe1またはTe2と、回転速度we1またはwe2
を含む。
【0076】
テスト段階S3の結果がYesであれば、制御は、本発明の制御装置が不活性化される終了段階へ移行する。
【0077】
エンジンブレーキモードにおいては、本発明の方法は、以下の段階を有する:
−電気変速機(21)の充電レベルと、熱エンジンの回転数(wice)の決定段階、
−指令値に応じて決定される、充電レベルと、熱エンジンの回転数の調整による中間の値の取得段階、
−中間の値の、電気変速機の制御信号への分離段階。
【0078】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、
−電気機械の回転数、
−熱エンジンのクランクシャフトに加えられるトルク、
−電気機械の電磁的なトルク、
−電気変速機の充電レベル、
−変速機の中における電気出力の交換の修正係数、
−クランクシャフトと車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用して、中間の値の信号の分離を実行することからなる。
【0079】
決定段階S8において、本発明の方法は、熱エンジンの回転数の推定値^wiceと、コンデンサのエネルギレベルの推定値^Wと、与えられた動力装置の連続無段変速機の電気変速機を表す電気機械連鎖のシミュレーションの量を集合させる推定ベクトル^Xfの、推定を実行することからなる。推定ベクトル^Xfは、図6を使用して、説明及び定義される。
【0080】
決定段階S8が一旦実行されると、決定段階S8で推定されたデータと、動力装置の動作点の要求に対応する1つの指令値に基づいて、調整段階S9が実行される。これらの指令値は、本出願人の先のフランス特許出願第01.16915に記載された方法において定義された3層のアーキテクチャに特に適応された特有の実施の形態においては、熱エンジンの回転数の指令値wiceである。調整段階S9は、後に定義する調整アルゴリズムを適用して、中間の値のベクトルVを生じる。
【0081】
調整段階S9が一旦実行されると、調整段階S9で作られた中間の値の変数に基づいて、分離段階S10が実行される。分離段階S10は、本発明の制御装置2の支配の下に、動力装置の調整された動作点(wice)が達成されるように、動力装置のコントローラへ送られる指令値の対、すなわち各電気機械に対するトルク指令値Te1#、Te2#を生じる。分離のアルゴリズムは、後に説明する。
【0082】
図6に、本発明の制御装置2の主要な装置の特有の実施の形態を示す。本発明の特有の実施の形態においては、これらの装置は、本出願人の特許文献FR 2834249に記載され、指令値(wice、To)の信号の二重項の形の動力装置の最適動作点を受ける、第3層のコントローラCOSの主要部分を構成する。最適動作点は、動力装置のタイプが何であっても、アクセルペダルの踏み込み角度のようなパラメータを考慮に入れた運転者の意志の解釈と、運転のレギュレータおよび車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境パラメータの検出との少なくとも一方に応じて、最適動作点のコントローラによって決定される。運転者の意志の解釈と環境パラメータの検出は、車両制御のコントローラに委ねられる。
【0083】
本発明による制御装置2において実行される制御構造は、特許文献FR 2834249に示された、3指令値の多変数制御構造に基礎を置く。エンジンブレーキモードでは、熱エンジンが、上の2つの層から制御されないが、連続無段変速機から切り離されることなく、噴射停止状態で作動する、制御の中間層(COS)を構築する。
【0084】
熱エンジンの動作点の最適化を実行する監視装置またはコントローラOPFは、第3層のコントローラCOSの入力へ、熱エンジンの回転数の指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、「エンジンブレーキ」モードにおける、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0085】
第1層において、車両の環境、特に車両の移動速度の検出に応じて、モジュールが運転者の意図の解釈を実行する。特に、アクセルペダルの踏み込み角度及びブレーキペダルの踏み込み角度がゼロであることを検知して、「エンジンブレーキ」モードにあることを明らかにする。
【0086】
図6に、本発明の制御装置2の主要な装置の実施の特有の形態、すなわち:
・システムの状態を表す変数の決定装置36、
・調整装置34、
・分離装置35、
を示す。
【0087】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な、自動化工学(Automatique)の意味で、概念の表現のモデルの形をした、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて導かれ、また、他方では、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。上述の概念のモデルは、非線形多変数モデルである。
【0088】
決定装置36は、4入力ゲート:
第1電気機械に対するトルク指令値Te1#の信号を受ける入力ゲートa;
第2電気機械に対するトルク指令値Te2#の信号を受ける入力ゲートb;
電気機械の電気的な状態we1、we2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
スーパーコンデンサの端子間電圧の測定信号Ucapaを受ける入力ゲートe;
を有する。
【0089】
決定装置36は3出力ゲート:
分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、エンジンの回転数の推定値^wiceを発生する出力ゲートS2;
調整装置34の入力ゲートeへ伝達される、エネルギバッファ要素のエネルギレベルの推定値^Wを発生する出力ゲートS3;
決定装置36は、9ベクトル成分を有する下記のベクトル:
^Xf=[^W ^we1 ^we2 ^Tice ^Te1 ^Te2 ^Tdwh ^Tdice ^PdW] (16)
によって表される、推定ベクトル^Xfの信号を構成する役割を有する、^Xfの構成装置を有する。
【0090】
これらの信号の推定値は、線形システムの自動化工学(Automatique)として知られる技術を使用することによって、選ばれた概念モデルから構成される線形監視装置によって計算される。このようなシステムの状態の再構成に関する文献、特にフィリップ ド ラルミナ著:「自動化工学(Automatique)−線形システムの制御」エルメス サイエンス出版2000、第2版(Philippe de Larminat, “Automatique −Commande des systems lineaires”, 2° editions, Hermes, Science Publication 2000)を参照することができる。
【0091】
この監視装置のゲインは、決定装置の調整パラメータを構成する。
【0092】
調整装置34は、4入力ゲート:
エネルギバッファ10の端子間電圧の指令値の信号を受ける入力ゲートa;
エンジンの回転数の指令値wiceの信号を受ける入力ゲートb;
エネルギバッファ要素のエネルギレベルの推定値^Wを受ける入力ゲートe;
エンジンの回転数の推定値^wiceの信号を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0093】
調整装置34は、2出力ゲート:
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS1;
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS2;
を有する。
【0094】
調整装置34は、第1の中間の値の制御信号Vの計算装置と、第2の中間の値の制御信号Vの計算装置との、2つの中間の値の制御信号計算装置を有する。
【0095】
第1の中間の値の制御信号Vの計算装置は、コンデンサ10の端子における電圧のような、エネルギバッファ要素の電圧の指令値から、比例タイプの調整計算を、各計算サイクル毎に実行する。
【0096】
第2の中間の値の制御信号Vの計算装置は、熱エンジンの回転数の指令値と熱エンジンの回転数の推定値から、微分比例タイプの調整計算を、各計算サイクル毎に実行する。
【0097】
分離装置35は、3入力ゲート:
調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートa;
調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートb;
制御の推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0098】
分離装置35は、2出力ゲート:
第1電気機械のトルク指令値Te1#の出力ゲートS1;
第2電気機械のトルク指令値Te2#の出力ゲートS2;
を有する。
【0099】
調整装置34によって作り出される中間の値の制御信号(V、V)と、決定装置36から供給されるシステムの状態に関する推定ベクトル^Xfを元にして、分離装置35は、電気変速機21の2つの電磁トルク指令値Te1#、Te2#の信号を構築する。本発明の方法に関する段階は、以下の下部段階:
−特に、エイ.イシドリ著:「非線形制御システム」、第2版、スプリンガー出版、1989(A.Isidori,“Non Linear Control System”,2d Edition, Springer−Verlag, 1989)に記載されている方法のような、中間制御の二重項(u1、u2)を作るための、出力の逐次微分による概念モデルの反転に基づく中間の値の制御信号(v1、v2)の分離段階;
−電磁トルク指令値(Te1#、Te2#)の制御信号を作るための、2つの中間信号(u、u)の積分段階;
を有する。
【0100】
図7に、本発明の分離装置35の実施の特有の形態を示す。この図において、図5の要素と同じ要素は同じ名称と参照数字が付されており、説明を省略する。
【0101】
2調整信号V、Vが、ベクトル集合器140へ送られる。ベクトル集合器140の出力は、回路141(分離モジュール)の第1入力端子へ、2信号を逐次伝達する。回路141は、出力の逐次微分による概念モデルの反転を実行する。特に、エイ.イシドリ著:「非線形制御システム」、第2版、スプリンガー出版、1989を参照されたい。
【0102】
モデルの反転を行う回路141は、推定ベクトル^Xfを受ける入力端子e(35)に接続された第2入力端子も有する。従って、反転は、調整信号V、Vの成分についてと、推定ベクトル^Xfの成分について、同時に作用する。
【0103】
モデルの反転に相当する2出力信号は、それぞれu、uと表示され、変速機の電気機械のコントローラ回路へ送られる2つの制御信号(Te1#、Te2#)を得るために、積分回路143−147へ供給される。
【0104】
この実施の特有の形態においては、積分回路は、システムのサンプリング周期である時定数Tsで調整される積分器143を有する。成分u、uを同様に処理した積分器(モジュール)143の出力信号は、加算器144の入力端子へ送られる。加算器144の出力端子は、飽和回路146の第1入力端子へ接続される。推定ベクトル^Xfも、成分2と3の選択ブロック145の入力端子へ供給される。選択ブロック145の出力端子は、飽和回路146の第2入力端子へ直接接続される。この図から、飽和回路146は、一方では反転成分u、uの値を元にして、また他方では2つの電気機械の回転速度の推定値^we1、^we2の成分を元にして作用することが分かる。
【0105】
トルク低下モードでは、制御装置2は、動力装置1のアクチュエータのための制御信号、すなわち:
−制御装置2が、車両をトルク低下モードと呼ばれる特殊な駆動モードに置いたときに、それ自身は熱エンジン4のコントローラ3へ接続されたアイドリングのコントローラ26を作動させるためにライン25を介して発生される制御信号;
−熱エンジンの回転数に関する制御目標と、車輪へ加えられるトルクToの制御目標とに、同時に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号;
を返送する。
【0106】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0107】
本発明の制御装置2は、アイドリングモードにおける燃焼によって発生されるエンジンのトルクを関数Tticeの形でモデル化することを可能にする手段、及び燃焼エネルギの回転の力学的エネルギへの変換をモデル化することを可能にするクランクシャフトの管理の部分と、協同する。その表現がモデル化された車両に依存する関数Tticeは、本発明のシーケンサによって定められた瞬間ごとに、熱エンジンのトルクTiceと熱エンジンの回転速度wiceを表す信号すなわち数値を作る。
【0108】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S1における制御開始操作に続いて、制御は、2つのアクチュエータの指令値Te1#、Te2#が、後に説明する測定ベクトルZに基づいて計算される、計算段階S2へ移行する。このため、本発明の方法は、あらかじめ定められた関数f()とfral()によって表される。2つの関数は、その表現が、制御の目標に応じた記述の情報に基づいて、解析的に、またはアルゴリズムによって決定される。制御の目標は、電気機械に対して使用可能な2つのアクチュエータの指令値を計算し、特に「トルク低下」駆動モードにおいて、監視の上の層から要求される動作点を、関係式、(Te1#、Te2#)=f(Z)に従って実現させることである。一方、アイドリングのコントローラは、関係式、wice=fral。()によって表される制御を適用する。この関数の中のアーギュメントは、アイドルングの回転数の管理を可能にするために、当業者に周知である。
【0109】
これらの値が計算段階S2において一旦計算されると、これらの値は動力装置の3つのコントローラへ伝達される。すなわち、熱エンジンのコントローラ26に対してアイドルングの回転数の制御の値が、第1電気機械のコントローラに対してTe1が、また第2電気機械のコントローラに対してTe2が伝達される。次いで、制御は、特定の駆動モードの終わりをテストするテスト段階S3へ移行する。実際、本発明の方法は、選択された他の駆動モードの後で止めることができる。テスト段階S3の結果がNoであれば、制御は、上述の段階S2におけるその評価の際の関数f()のアーギュメントから、その後に変化された変数の瞬間的な値を測定する、測定段階S4へ移行する。ベクトルZの中で、様々な測定値が照合される。望ましい実施の形態においては、ベクトルZは:
−望ましくは端子間の電圧によって測定される、連続無段変速機の電気変速機のエネルギのバッファ要素の中に蓄積されたエネルギのレベル;
−電気変速機の2つの電気機械の各々について、トルクTe1またはTe2と、回転速度we1またはwe2
を含む。
【0110】
テスト段階S3の結果がYesであれば、制御は、本発明の制御装置が不活性化される終了段階S5へ移行する。
【0111】
特有の実施の形態においては、本発明の方法の中で制御される特有の駆動モードは、熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、動力装置によって供給されるトルクを打ち消すことを可能にする。
【0112】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、以下の段階を有する:
−電気変速機の充電レベルUcapaと、車輪に加えられるトルクToの決定段階、
−指令値に応じた、充電レベルと、車輪へ加えられるトルクの調整による中間の値の取得段階、
−中間の値の、電気変速機の制御信号への分離段階。
【0113】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、
−電気機械の回転数、
−熱エンジンのクランクシャフトに加えられるトルク、
−電気機械の電磁的なトルク、
−電気変速機の充電レベル、
−電気変速機21における電気出力の交換の修正係数、
−クランクシャフトと車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用して、中間の信号の分離を実行することからなる。
【0114】
決定段階S8において、本発明の方法は、エネルギレベルの推定値^Wと、車輪へ加えられるトルクの推定値^Toと、与えられた動力装置の連続無段変速機の電気変速機を表す電気機械連鎖のシミュレーションの量を集合させる推定ベクトル^Xfの、推定を実行することからなる。推定ベクトル^Xfは、図8を使用して、説明及び定義される。
【0115】
決定段階S8が一旦実行されると、決定段階S8で推定されたデータと、動力装置の動作点の要求に対応する1つの指令値のデータに基づいて、調整段階S9が実行される。この指令値は、本出願人の先のフランス特許出願第01.16915に記載された方法において定義された3層のアーキテクチャに特に適応された特有の実施の形態においては、車輪へ加えられるトルクの指令値Toである。調整段階S9は、後に定義する調整アルゴリズムを適用して、中間の値のベクトルVを生じる。
【0116】
調整段階S9が一旦実行されると、調整段階S9で作られた中間の値の変数に基づいて、分離段階S10が実行される。分離段階S10は、動力装置の調整された動作点(To)が達成されるように、本発明の制御装置2の支配下にある動力装置のコントローラへ送られる指令値の対、すなわち各電気機械に対するトルク指令値Te1#、Te2#を生じる。分離のアルゴリズムは、後に説明する。
【0117】
図8に、本発明の制御装置2の主要な装置の特有の実施の形態を示す。本発明の特有の実施の形態においては、これらの装置は、本出願人の先のフランス特許出願第01.16915に記載され、最適指令信号(wice、To)の二重項の形の動力装置の最適動作点を受ける、第3層のコントローラCOSの主要部分を構成する。最適動作点は、動力装置のタイプが何であっても、アクセルペダルの踏み込み角度のようなパラメータを考慮に入れた運転者の意志の解釈と、運転のレギュレータおよび車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境パラメータの検出との少なくとも一方に応じて、最適動作点のコントローラによって決定される。運転者の意志の解釈と環境パラメータの検出は、車両制御のコントローラに委ねられる。
【0118】
トルク低下モードにおいては、熱エンジンは上の2つの層からは制御されないが、連続無段変速機から切り離されることなく、アイドリング回転数で動作する、制御の中間層(COS)を構築する。
【0119】
監視装置またはコントローラIVCは、第3層のコントローラCOSの入力へ、車輪へ加えられるトルクの指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、本発明が係る「トルク低下」モードにおける、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0120】
第1層において、車両の環境、特に車両の移動速度に応じて、モジュールが運転者の意図の解釈を実行する。特に、アクセルペダルの踏み込み角度がゼロで、ブレーキペダルの踏み込み角度がゼロでないことを検知して、「トルク低下」モードにあることを明らかにする。
【0121】
図8に、本発明の制御装置2の第3層のコントローラCOSを構成する主要な装置の実施の特有の形態、すなわち:
・システムの状態を表す変数の決定装置36、
・調整装置34、
・分離装置35、
を示す。
【0122】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて導かれ、また、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。上述の概念のモデルは、非線形多変数モデルである。
【0123】
決定装置36は、4入力ゲート:
第1電気機械のトルク指令値Te1#の信号を受ける入力ゲートa;
第2電気機械のトルク指令値Te2#の信号を受ける入力ゲートb;
電気機械の電気的な状態we1、we2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートd;
スーパーコンデンサの端子間電圧の測定値Ucapaの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0124】
決定装置36は3出力ゲート:
分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
調整装置34の入力ゲートdへ伝達される車輪へ加えられるトルクの推定値^Toの信号を発生する出力ゲートS4;
調整装置の入力ゲートeへ伝達される、エネルギバッファ要素のエネルギレベルの推定値^Wを発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0125】
決定装置36は、9成分を有する下記のベクトル:
^Xf=[^W ^we1 ^we2 ^Ttice ^Te1 ^Te2 ^Tdwh ^wice ^PdW] (16)
によって表される、推定ベクトル^Xfの信号を構成する役割を有する、推定ベクトル^Xfの構成装置を有する。
【0126】
これらの信号の推定値は、線形システムの自動化工学(Automatique)として知られる技術を使用することによって、選ばれた概念モデルから構成される線形監視装置によって計算される。このようなシステムの状態の再構成に関する文献、特にフィリップ ド ラルミナ著:「自動化工学(Automatique)−線形システムの制御」エルメス サイエンス出版2000、第2版(Philippe de Larminat, “Automatique −Commande des systems lineaires”, 2° editions, Hermes, Science Publication 2000)を参照することができる。
【0127】
この監視装置のゲインは、決定装置の調整パラメータを構成する。
【0128】
調整装置34は、4入力ゲート:
エネルギバッファ10の端子間電圧の指令値の信号を受ける入力ゲートa;
車輪へのエンジントルクの指令値Toの信号を受ける入力ゲートc;
エネルギバッファ要素のエネルギレベルの推定値^Wを受ける入力ゲートe;
車輪へ加えられるトルクの推定値^Toの信号を受ける入力ゲートd;
を有する。
【0129】
調整装置34は、2出力ゲート:
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS1;
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS3;
を有する。
【0130】
調整装置34は、それぞれ第1の中間の値の制御信号Vと第3の中間の値の制御信号Vの、2つの計算装置を有する。
【0131】
調整装置34は、2指令値:
−バッファ要素のエネルギレベルの指令値W
−車輪へ加えられるトルクの指令値To
から、それぞれ各指令値に対応する、2つの中間の値の制御信号(V、V)を構成し、
決定装置から供給される情報を元にして:
−信号Vは、コンデンサ10の端子間電圧のような、エネルギバッファ要素の充電の指令値を元にして、比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算され;
−信号Vは、車輪へ加えられるトルクの指令値と、車輪へ加えられるトルクの推定値を元にして、比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算される。
【0132】
分離装置35は、3入力ゲート:
調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートa;
調整装置34の出力ゲートS3から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートc;
制御の推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0133】
分離装置35は、2出力ゲート:
第1電気機械のトルク指令値Te1#の出力ゲートS1;
第2電気機械のトルク指令値Te2#の出力ゲートS2;
を有する。
【0134】
勿論、上に記載した機能を実行する装置は、従来技術において知られた、プログラムのメモリ及びデータのメモリと協同する、信号処理のプロセッサをもとにして実現される。
【0135】
図9に、分離装置35の実施の特有の形態を示す。
【0136】
2調整信号V、Vが、ベクトル集合器140へ送られる。ベクトル集合器140の出力は、回路141(分離モジュール)の第1入力端子へ、2信号を逐次伝達する。回路141は、出力の逐次微分による概念モデルの反転を実行する。特に、エイ.イシドリ著:「非線形制御システム」、スプリンガー出版、1989(A.Isidori,“Non Linear Control System”, Springer−Verlag, 1989)を参照されたい。
【0137】
モデルの反転を行う回路141は、推定ベクトル^Xfを受ける入力端子e(35)に接続された第2入力端子も有する。従って、反転は、調整信号V、Vの成分についてと、推定ベクトル^Xfの成分について、同時に作用する。
【0138】
モデルの反転に相当する2出力信号は、それぞれu、uと表示され、変速機の電気機械のコントローラ回路へ送られる2つの指令値(Te1#、Te2#)の信号を得るために、積分回路143−147の入力へ供給される。
【0139】
この実施の特有の形態においては、積分回路は、システムのサンプリング周期である時定数Tsで調整されるゲイン(モジュール)143を有する。成分u、uを同様に処理したゲイン143の出力信号は、加算器144の入力端子へ送られる。加算器144の出力端子は、飽和回路146の第1入力端子へ接続される。推定ベクトル^Xfも、成分2と3の選択ブロック145の入力端子へ供給される。選択ブロック145の出力端子は、飽和回路146の第2入力端子へ直接接続される。この図から、飽和回路146は、一方では反転成分u、uの値を元にして、また他方では2つの電気機械の回転速度の推定値^we1、^we2の成分を元にして作用することが分かる。
【0140】
速度低下モードでは、制御装置2は、動力装置1のアクチュエータのための制御信号、すなわち:
−制御装置2が、車両を速度低下モードと呼ばれる特殊な駆動モードに置いたときに、それ自身は熱エンジン4のコントローラ3へ接続されたアイドリングのコントローラ26を作動させるためにライン25を介して発生される制御信号;
−車両の速度に関する制御目標に、同時に到達することを可能にする、ライン8、9を介して電気変速機21のコントローラへ向けて発生される制御信号;
を返送する。
【0141】
望ましい実施の形態においては、ライン8、9を介して発生される制御信号は、それぞれ電気機械Me111、Me212のコントローラ19、20の適当な入力へ向けて発生される、一対のトルク指令値Te1#、Te2#の信号である。
【0142】
本発明の制御装置2は、アイドリングモードにおける燃焼によって発生されるエンジンのトルクを関数Tticeの形でモデル化することを可能にする手段、及び燃焼エネルギの回転の力学的エネルギへの変換をモデル化することを可能にするクランクシャフトの管理の部分と協同する。その表現がモデル化された車両に依存する関数Tticeは、本発明のシーケンサによって定められた瞬間ごとに、熱エンジンのトルクTiceと熱エンジンの回転速度wiceを表す信号すなわち数値を作る。
【0143】
整備の操作の際には、本発明の制御装置の構成が定められた後に初期化され、整備の操作の際以外では初期化のみされる、開始段階S1における制御開始操作に続いて、制御は、2つのアクチュエータの指令値(Te1#、Te2#)が、後に説明する測定ベクトルZに基づいて計算される、計算段階S2へ移行する。このため、本発明の方法は、あらかじめ定められた関数frv()と関数fral()によって表される。2つの関数は、制御の目標に応じた記述の情報に基づいて、解析的に、またはアルゴリズムによって決定される。制御の目標は、電気機械に対して使用可能な2つのアクチュエータの指令値を計算し、特に「速度低下」駆動モードにおいて、監視の上の層から要求される動作点を、関係式、(Te1#、Te2#)=f(Z)に従って実現させることである。一方、アイドリングのコントローラは、関係式、Tice=fral()によって表される制御を適用する。この関数の中のアーギュメントは当業者に周知であり、アイドルングの回転数の管理を可能にするようにアレンジされる。
【0144】
これらの値が計算段階S2において一旦計算されると、これらの値は動力装置の3つのコントローラへ伝達される。すなわち、熱エンジンのコントローラ26に対してアイドリングの回転数の制御値が、第1電気機械のコントローラに対してTe1が、また第2電気機械のコントローラに対してTe2が伝達される。次いで、制御は、特定の駆動モードの終わりをテストするテスト段階S3へ移行する。実際、本発明の方法は、選択された他の駆動モードの後で止めることができる。テスト段階S3の結果がNoであれば、制御は、上述の段階S2におけるその評価の際の関数frv()のアーギュメントから、その後に移行された変数の瞬間的な値を測定する、測定段階S4へ移行する。ベクトルZの中で、様々な測定値が照合される。望ましい実施の形態においては、ベクトルZは:
−望ましくは端子間の電圧によって測定される、連続無段変速機の電気変速機のエネルギのバッファ要素の中に蓄積されたエネルギのレベル;
−電気変速機の2つの電気機械の各々について、トルクTe1またはTe2と、回転速度we1またはwe2
を含む。
【0145】
テスト段階S3の結果がYesであれば、制御は、本発明の制御装置が不活性化される終了段階S5へ移行する。
【0146】
特有の実施の形態においては、本発明の方法の中で制御される特有の駆動モードは、熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、車両の速度を打ち消すことを可能にする。
【0147】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、以下の段階を有する:
−電気変速機の充電レベルと、車両の速度の決定段階、
−指令値に応じて決定された、充電レベルの調整と、車両の速度による中間の値の取得段階、
−中間の値の、電気変速機の指令値の信号への分離段階。
【0148】
特有の実施の形態においては、本発明の方法は、
−電気機械の回転数、
−熱エンジンのクランクシャフトによって加えられるトルク、
−電気機械の電磁的なトルク、
−電気変速機の充電レベル、
−電気変速機21における電気出力の交換の修正係数、
−クランクシャフトと車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用して、中間の値の信号の分離を実行することからなる。
【0149】
決定段階S8において、本発明の方法は、車輪の回転速度の推定値^wwhと、コンデンサのエネルギレベルの推定値^Wと、車輪に加えられるトルクの推定値^Toと、与えられた動力装置の連続無段変速機の電気変速機を表す電気機械連鎖のシミュレーションの量を集合させる推定ベクトル^Xfの、推定を実行することからなる。推定ベクトル^Xfは、図10を使用して、説明及び定義される。
【0150】
決定段階S8が一旦実行されると、決定段階S8で推定されたデータと、動力装置の動作点の要求に対応する2つの指令値に基づいて、調整段階S9が実行される。これらの指令値は、本出願人の先のフランス特許出願第01.16915に記載された方法において定義された3層のアーキテクチャに特に適応された特有の実施の形態においては、それぞれ、熱エンジンの回転数の指令値wiceと、車輪に加えられるトルクの指令値Toである。調整段階S9は、後に定義する調整アルゴリズムを適用して、中間の値のベクトルVを生じる。
【0151】
調整段階S9が一旦実行されると、調整段階S9で作られた中間の値の変数に基づいて、分離段階S10が実行される。分離段階S10は、動力装置の調整された動作点(wice、wwh)が達成されるように、本発明の制御装置2に従属している動力装置のコントローラへ送られる指令値の対、すなわち各電気機械に対するトルク指令値Te1#、Te2#を生じる。分離のアルゴリズムは、後に説明する。
【0152】
図10に、本発明の制御装置2の主要な装置の特有の実施の形態を示す。本発明の特有の実施の形態においては、これらの装置は、先行文献FR2834249に記載され、指令値(wice、To)の信号の二重項の形の動力装置の最適動作点を受ける、第3層のコントローラCOSの主要部分を構成する。最適動作点は、動力装置のタイプが何であっても、アクセルペダルの踏み込み角度のようなパラメータを考慮に入れた運転者の意志の解釈と、運転のレギュレータおよび車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境パラメータの検出との少なくとも一方に応じて、最適動作点のコントローラによって決定される。運転者の意志の解釈と環境パラメータの検出は、車両制御のコントローラに委ねられる。
【0153】
「速度低下」モードでは、熱エンジンは、上の2つの層からは制御されないが、連続無段変速機から切り離されるこよなく、アイドリングの回転数で動作する。
【0154】
監視装置またはコントローラIVCは、第3層のコントローラCOSの入力へ、車輪の回転数の指令値を供給する。また、たいていの場合電気変速機のエネルギバッファの役割をするコンデンサの電圧の指令値を設ける。これらの2つの指令値と、車両の走行速度または車両が位置している勾配のような車両の環境を表わす利用可能な測定値から、コントローラCOSは、本発明が係る「速度低下」モードにおける、動力装置GMPの2つの主要なアクチュエータ、すなわち2つの電気機械(Me1、Me2)に関するトルクの指令値を生成する。
【0155】
第1層において、車両の環境、特に車両の移動速度に応じて、モジュールが運転者の意図の解釈を実行する。特に、アクセルペダルの踏み込み角度及びブレーキペダルの踏み込み角度がゼロであることを検知して、「速度低下」モードモードにあることを明らかにする。
【0156】
図10に、本発明の制御装置2の主要な装置の実施の特有の形態、すなわち:
・システムの状態を表す変数の決定装置36、
・調整装置34、
・分離装置35、
を示す。
【0157】
これらの装置のパラメータの決定は、直接利用可能であるために充分簡単で、適切な物理現象の全体を表すために充分複雑な概念の、車両の行動のモデルに根拠を置く。その選択は、一方では沢山の理論的な決定に基づいて導かれ、また、上述の目標に到達することを可能にする実際的なテストによって導かれた。
【0158】
決定装置36は、4入力ゲート:
第1電気機械のトルク指令値Te1#の信号を受ける入力ゲートa;
第2電気機械のトルク指令値Te2#の信号を受ける入力ゲートb;
電気機械の電気的な状態we1、we2、Te1、Te2を特徴付けるベクトルを受ける入力ゲートc;
スーパーコンデンサの端子間電圧Ucapaの測定信号を受ける入力ゲートd;
を有する。
【0159】
決定装置36は3出力ゲート:
分離装置35の入力ゲートeへ伝達されるベクトル^Xfの形の推定信号を発生する出力ゲートS1;
調整装置34の入力ゲートfへ伝達される、車輪の回転数の推定値^wwhを発生する出力ゲートS2;
調整装置の入力ゲートeへ伝達される、エネルギバッファ要素のエネルギレベルの推定値^Wを発生する出力ゲートS3;
を有する。
【0160】
決定装置36は、9ベクトル成分を有する下記のベクトル:
^Xf=[^W ^we1 ^we2 ^Ttice ^Te1 ^Te2 ^Tdwh ^wice ^PdW] (16)
によって表される、推定ベクトル^Xfの信号を構成する役割を有する、^Xfの構成装置を有する。
【0161】
これらの信号の推定値は、線形システムの自動化工学(Automatique)として知られる技術を使用することによって、選ばれた概念モデルから構成される線形監視装置によって計算される。このようなシステムの状態の再構成に関する文献、特にフィリップ ド ラルミナ著:「自動化工学(Automatique)線形システムの制御」エルメス サイエンス出版2000、第2版(Philippe de Larminat, “Automatique −Commande des systems lineaires”, 2° editions, Hermes, Science Publication 2000)を参照することができる。
【0162】
この監視装置のゲインは、決定装置の調整パラメータを構成する。
【0163】
調整装置34は、4入力ゲート:
−エネルギバッファ10の端子間電圧の指令値の信号を受ける入力ゲートa;
−車輪の回転速度の最適な指令値wwhを表す信号を受ける入力ゲートb;
−エネルギバッファのエネルギレベルの推定値^Wの信号を受ける入力ゲートe;
−車輪の回転速度の推定値^wwhの信号を受ける入力ゲートf;
を有する。
【0164】
調整装置34は、2出力ゲート:
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS1;
中間の値の制御信号Vの出力ゲートS2;
を有する。
【0165】
調整装置34は、それぞれ第1の中間の値の制御信号Vと第2の中間の値の制御信号Vの、2つの計算装置を有する。
【0166】
調整装置34は、2指令値:
−バッファ要素のエネルギレベルの指令値W
−車輪の回転速度の指令値wwh
から、それぞれ決定装置から供給される情報を元にして、各指令値に対応する、3つの中間の値の制御信号(V、V)を構成する。すなわち:
−信号Vは、コンデンサ10の端子間電圧のような、エネルギバッファ要素の充電の指令値を元にして、微分比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算され;
−信号Vは、車輪の回転数の指令値と車輪の回転数の推定値を元にして、比例型の調整器を組み込んだ回路によって計算される。
【0167】
−分離装置35は、3入力ゲート:
−調整装置34の出力ゲートS1から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートa;
−調整装置34の出力ゲートS2から出る、中間の値の制御信号Vを受ける入力ゲートb;
−制御の推定ベクトル^Xfの信号を受ける入力ゲートe;
を有する。
【0168】
分離装置35は、2出力ゲート:
−第1電気機械のトルク指令値Te1#の出力ゲートS1;
−第2電気機械のトルク指令値Te2#の出力ゲートS2;
を有する。
【0169】
勿論、上に記載した機能を実行する装置は、従来技術において知られた、プログラムのメモリ及びデータのメモリと協同する、信号処理のプロセッサをもとにして実現される。
【0170】
図11に、分離装置35の実施の特有の形態を示す。
【0171】
2調整信号V、Vが、ベクトル集合器140へ送られる。ベクトル集合器140の出力は、回路(分離モジュール)141の第1入力端子へ、2信号を逐次伝達する。回路141は、出力の逐次微分による概念モデルの反転を実行する。特に、エイ.イシドリ著:「非線形制御システム」、スプリンガー出版、1989(A.Isidori,“Non Linear Control System”, Springer−Verlag, 1989)を参照されたい。
【0172】
モデルの反転を行う回路141は、推定ベクトル^Xfを受ける入力端子e(35)に接続された第2入力端子も有する。従って、反転は、調整信号V、Vの成分についてと、推定ベクトル^Xfの成分について、同時に作用する。
【0173】
モデルの反転に相当する2出力信号は、それぞれu、uと表示され、変速機の電気機械のコントローラ回路へ送られる2つの指令値(Te1#、Te2#)の信号を得るために、積分回路143−147の入力へ供給される。
【0174】
この実施の特有の形態においては、積分回路は、システムのサンプリング周期である時定数Tsで調整されるゲイン(モジュール)143を有する。成分u、uを同様に処理したゲイン143の出力信号は、加算器144の入力端子へ送られる。加算器144の出力端子は、飽和回路146の第1入力端子へ接続される。推定ベクトル^Xfも、成分2と3の選択ブロック145の入力端子へ供給される。選択ブロック145の出力端子は、飽和回路146の第2入力端子へ直接接続される。この図から、飽和回路146は、一方では反転成分u、uの値を元にして、また他方では2つの電気機械の回転速度の推定値^we1、^we2の成分を元にして作用することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の方法と装置が適用される車両の主要な要素を表わす模式図である。
【図2】本発明の方法の様々な局面を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の方法の様々な局面を説明するためのフローチャートである。
【図4】エンジントルク抽出モードにおける、本発明の装置の主要部を表わす模式図である。
【図5】図4の第3ブロックの実施の形態を表わす模式図である。
【図6】エンジンブレーキモードにおける、本発明の装置の主要部を表わす模式図である。
【図7】図6の第3ブロックの実施の形態を表わす模式図である。
【図8】トルク低下モードにおける、本発明の装置の主要部を表わす模式図である。
【図9】図8の第3ブロックの実施の形態を表わす模式図である。
【図10】速度低下モードにおける、本発明の装置の主要部を表わす模式図である。
【図11】図10の第3ブロックの実施の形態を表わす模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪へ直接連結された熱エンジンと、2つの電気機械を包含する電気変速機を有する連続無段変速機を含んでなる車両の動力装置の制御方法であって、上記制御方法に従って、上記車両は上記動力装置によって駆動され、上記動力装置によって制動され、上記動力装置から切り離され、あるいは停止状態に維持される、車両の動力装置の制御方法において、上記動力装置による上記車両の特有の駆動モードである第1のモードにおいては、電気エネルギのバッファ要素の充電レベル(Ucapa)の測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(we1、we2)及び上記電気機械から供給されるトルク(Te1、Te2)の測定値のみを利用して、上記車輪に加えられるトルク(To)と、上記熱エンジンの回転数(wice)を制御することからなることを特徴とする、車両の動力装置の制御方法。
【請求項2】
上記第1のモードは、上記動力装置から供給される、上記車輪に加えられるトルク(To)を制御しながら、上記熱エンジンのアイドリングの調整を確保することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項3】
以下の段階:
−上記電気変速機(21)の充電レベル(Ucapa)と、上記車輪に加えられるトルク(To)と、上記熱エンジンの回転数(wice)の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記充電レベルと、上記車輪へ加えられるトルクと、上記熱エンジンの回転数の調整による中間の値の取得段階、
−上記中間の値の、上記電気変速機(21)のトルク指令値(Te1#、Te2#)の信号と、上記熱エンジン(4)のトルク指令値(Tice#)の信号への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項4】
上記中間の値の信号の分離段階は、
−上記電気機械(Me111、Me212)の回転数(we1、we2)、
−上記熱エンジン(4)の回転数(wice)、
−上記熱エンジン(4)のクランクシャフトへ加えられるトルク(Tice)、
−上記電気機械(Me111、Me212)の電磁的なトルク(Te1、Te2)、
−上記電気変速機の充電レベル(Ucapa)、
−上記電気変速機の中における電気出力の交換の修正係数、
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用することを特徴とする、請求項3に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項5】
上記動力装置による上記車両の特有の制動モードである第2のモードを設け、上記第2のモードにおいては、上記熱エンジンは噴射停止状態にあり、上記電気変速機の上記充電レベルの測定値と、上記電気機械の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記熱エンジンの回転数を制御することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項6】
以下の段階:
−上記電気変速機(21)の充電レベルと、上記熱エンジンの回転数(wice)の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記充電レベルと、上記熱エンジンの回転数の調整による中間の値の取得段階、
−上記中間の値の、上記電気変速機の制御信号への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項5に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項7】
上記中間の値の信号の分離段階は、
−上記電気機械の回転数、
−上記熱エンジンのクランクシャフトへ加えられるトルク、
−上記電気機械の電磁的なトルク、
−上記電気変速機の充電レベル、
−上記電気変速機の中における電気出力の交換の修正係数、
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用することを特徴とする、請求項6に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項8】
上記動力装置による上記車両の特有の駆動モードである第3のモードを設け、上記第3のモードに従って、上記熱エンジンをアイドリング状態に維持しながら、上記電気変速機(21)の上記充電レベルの測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記車輪に加えられるトルクを制御することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項9】
上記第3のモードは、上記熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、上記動力装置から供給されるトルクを打ち消すことを可能にすることを特徴とする、請求項8に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項10】
以下の段階:
−上記電気変速機の充電レベルと、上記車輪に加えられるトルクの決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記充電レベルと、上記車輪へ加えられるトルクの調整による中間の値の取得段階、
−上記中間の値の、上記電気変速機の制御信号への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項11】
上記中間の値の信号の分離段階は、
−上記電気機械の回転数、
−上記熱エンジンのクランクシャフトへ加えられるトルク、
−上記電気機械の電磁的なトルク、
−上記電気変速機の充電レベル、
−上記電気変速機(21)の中における電気出力の交換の修正係数、
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用することを特徴とする、請求項10に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項12】
上記動力装置による上記車両の特有の駆動モードである第4のモードを設け、上記第4のモードに従って、上記熱エンジンをアイドリング状態に維持しながら、上記電気変速機(21)の上記充電レベルの測定値と、上記電気機械(Me111、Me212)の回転数及び上記電気機械から供給されるトルクの測定値のみを利用して、上記車両の速度を制御することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項13】
上記第4のモードは、上記熱エンジンから供給されるエネルギを消費させることによって、上記車両の速度を低下することを可能にすることを特徴とする、請求項12に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項14】
以下の段階:
−上記電気変速機の充電レベルと、上記車両の速度の決定段階、
−指令値に応じて決定される、上記充電レベルと、上記車両の速度の調整による中間の値の取得段階、
−上記中間の値の、上記電気変速機の制御信号への分離段階、
を有することを特徴とする、請求項12または13に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項15】
上記中間の値の信号の分離段階は、
−上記電気機械の回転数、
−上記熱エンジンのクランクシャフトへ加えられるトルク、
−上記電気機械の電磁的なトルク、
−上記電気変速機の充電レベル、
−上記電気変速機(21)の中における電気出力の交換の修正係数、
−上記クランクシャフトと上記車輪に加えられるトルクの修正係数、
の決定された値を利用することを特徴とする、請求項14に記載の車両の動力装置の制御方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1つに記載の車両の動力装置の制御方法を実行するための、第1〜第3のコントローラ(20、22、25)を有する動力装置の制御装置において、
上記第3のコントローラ(25)は、
−調整装置(34)、
−分離装置(35)、
−決定装置(36)、
を有し、
上記分離装置(35)は、
−上記調整装置(34)によって実行されて決定された上記充電レベルと上記車輪へ加えられるトルクの、上記調整装置(34)から発生される、中間の値の変数(V、V)を集合させるベクトル集合器(140)、
−上記ベクトル集合器(140)の出力と、上記決定装置(36)によって実行されて決定された変数の集合の推定ベクトル(^Xf)を受ける、非線形の分離モジュール(141)、
−上記分離モジュール(141)の2つの第1出力に、システムのサンプリング周期(Ts)に等しいゲインを適用するモジュール(143)、
−上記モジュール(143)の出力信号に、上記分離装置の出力信号を加える加算器(144)、
−上記加算器(144)の出力に、各上記電気機械毎に決定された回転数に依存する最大電磁トルクに応じて飽和を適用する飽和回路(146)、
−上記飽和回路(146)の出力信号に、2つの上記電気機械のトルクの指令値(Te1#、Te2#)の信号を生じるように、遅延を適用する回路(147)、
を有する、
ことを特徴とする、車両の動力装置の制御装置。
【請求項17】
−上記分離モジュール(141)の第3出力に、上記熱エンジンの決定された回転数に依存する熱エンジンの最大トルクに応じて飽和を適用する飽和回路(148)、
−上記飽和回路(148)の出力信号に、上記熱エンジンのトルクの指令値(Tice#)の信号を生じるように、遅延を適用する回路(150)、
を有する、
ことを特徴とする、請求項16に記載の車両の動力装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−512993(P2007−512993A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530367(P2006−530367)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001232
【国際公開番号】WO2004/106097
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】