説明

遊技媒体の管理方法

【課題】 使い捨てされている玉貸用プリペイドカードの使用を減らし、省資源化を図る。
【解決手段】 使い捨てされている従来の玉貸用プリペイドカードを販売する発券機10で、プリペイド機能を持った会員カード1も発券できるようにし、玉貸機30のカード読書機32で玉貸用のプリペイドカードと会員カード1の両方を使用して玉の払い出しができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコやパチスロなどの遊技装置で使用する遊技媒体の管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パチンコホールにおいては、プリペイドカードによる玉貸しが普及している。これは、パチンコホールの売上を第三者が管理し、脱税が行われないようにするものとして当初導入されたものであるが、遊技客にとっても購入したプリペイドカードを挿入口に挿入しておけば、玉を借りる度に財布からお金を一々取り出す必要がないことから好評を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のパチンコ装置で玉貸しのために使用されているプリペイドカードは使い捨てされていて、パチンコホールはプリペイドカーが不足すると新たにカード発行会社から購入する必要があった。
【0004】したがって、パチンコホールにとってはプリペイドカード購入のための費用負担が大きい。また、プリペイドカードが使い捨てにされて省資源といった環境面からも好ましくないため、パチンコホールの費用負担を軽減し、環境に配慮した遊技システムを提供する必要があり、これが解決すべき課題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本発明は、複数設置された遊技台で使用する遊技媒体の貸し出しを携帯可能な記録媒体を使用して行なう遊技システムにおける遊技媒体の管理方法において、記録媒体の記録領域に価値情報を記録する領域を設け、記録媒体販売機の貨幣投入口に貨幣を投入し、記録媒体販売機の販売ボタンを操作することにより、記録媒体販売機に提示した記録媒体の価値情報記録領域に販売ボタンに対応する価値情報を記録し、遊技台に対応して設置された記録媒体読書手段に記録媒体を挿入し、遊技媒体払出指示手段を操作したときに、記録媒体の価値情報記録領域に記録している価値情報に基づいて遊技媒体を払い出すようにした第1の構成の遊技媒体の管理方法と、
【0006】複数設置された遊技台で使用する遊技媒体の貸し出しを携帯可能な記録媒体を使用して行なう遊技システムにおける遊技媒体の管理方法において、記録媒体販売機の貨幣投入口に貨幣を投入し、記録媒体販売機の販売ボタンを操作することにより、記録媒体販売機に提示した記録媒体に関連付けた管理装置などの情報記録領域に、販売ボタンに対応する価値情報を記録し、遊技台に対応して設置された記録媒体読取装置に記録媒体を挿入し、遊技媒体払出指示手段を操作したときに、管理装置などの情報記録領域に記録している価値情報に基づいて遊技媒体を払い出すようにした第2の構成の遊技媒体の管理方法と、
【0007】前記第1または第2の構成の遊技媒体の管理方法において、残額がある記録媒体を記録媒体販売機に挿入して貨幣投入口に貨幣を投入し、販売ボタンを操作すると、販売ボタンに対応する価値情報を残額に加算して記録するようにした第3の構成の遊技媒体の管理方法と、を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態をパチンコ装置を例に挙げて説明する。図中10は遊技媒体であるパチンコ玉を借りるときに使用する携帯可能な、例えば磁気カードを記録媒体として発券する発券機、30は玉貸機、40はパチンコ台、50は管理装置であり、これらは通信線60によって接続されている。
【0009】発券機10は、貨幣投入口11、貨幣識別装置12、金額表示器13、販売ボタン14、販売可否表示器15、カード挿入/排出口16、玉貸時に使用する図示しない従来周知のプリペイドカードと、図3に示した会員カード1とを区画して収納しているカード収納部17、カード読書機18、サンプルカード19、テンキー20、つり銭返却口21、およびこれらを制御する発券機制御器22を備えており、貨幣投入口11に紙幣または硬貨が投入されると、貨幣識別装置12が投入された貨幣を調べ、偽金であるとそのまま排出して返却し、正規の貨幣であれば図示しない金庫に取り込み、投入金額が金額表示器13に表示されるように発券機制御器22が構成されている。
【0010】また、投入金額が販売ボタン14毎に予め設定した金額を超えると、その販売ボタン14に添設した販売可否表示器15が点灯する。そして、テンキー20が操作されることなく、側の販売可否表示器15が点灯している販売ボタン14が押されると、プリペイドカードの販売動作が開始されるようになっている。
【0011】すなわち、押された販売ボタン14に対応したプリペイドカードがカード収納部17から取り込まれ、そのカードをカード挿入/排出口16から排出すると共に、販売可否表示器15を消灯し、管理装置50にカード売上情報を通信線60を介して送信し、さらに管理装置50を介してカード販売会社にもカード売上情報が送信通知されるように構成されている。
【0012】このとき、販売するプリペイドカードには、識別符号などをカード読書機18を起動して追加記録し、管理装置50にも識別符号などを送信して記録し、パチンコ台40で玉貸しする際にカードの記録と管理装置50の記録とを照合し、不正が排除できるように構成されても良い。
【0013】また、貨幣投入口11に投入した金額が、操作した購入ボタン14に対応して予め設定してある金額を越えている場合は、余った金額がつり銭返却口21に返却されるように構成されている。
【0014】一方、図3に示した構成の会員カード1の発券は、以下のようにして行われる。すなわち、購入したいカードの販売ボタン14に添設されている販売可否表示器15が点灯するまで、貨幣を貨幣投入口11に投入し、遊技客がテンキー20を利用して所望の数値を入力すると、新しい会員カード1がカード収納部17から取り込まれ、そのカードのコード記録領域2に、テンキー20によって入力された数値がカード読書機18によってIDコードとして記録される。この場合も、貨幣投入口11に投入した金額は金額表示器13に表示される。
【0015】販売可否表示器15が点灯している側の販売ボタン14が押されると、会員カード1の価値情報記録領域3に、操作した販売ボタン14に対応して予め設定した金額情報(払出可能なパチンコ玉の個数であっても良い)がカード読書機18によって記録され、この記録済み会員カード1がカード挿入/排出口16から排出されると共に販売可否表示器15が消灯する。また、価値情報記録領域3には、所定の付加価値(プレミアム)を追加して記録できるようにしても良い。
【0016】この場合も、投入した金額が操作した購入ボタン14に対応して予め設定してある金額を越えている場合は、余った金額はつり銭返却口21に返却され、売上情報は管理装置50とカード販売会社とに送信通知される。
【0017】また、この発券機10は、玉貸しに使用されて残金がなくなった会員カード1に対しても、金額情報が追加して記録できるようになっている。
【0018】すなわち、残金のない会員カード1をカード挿入/排出口16に挿入して、前記したように貨幣を貨幣投入口11に投入し、販売ボタン14を押すと、カード挿入/排出口16に挿入した会員カード1に、操作した購入ボタン14に対応して予め設定してある金額が価値情報記録領域3に記録され、再使用が可能となる。
【0019】この発券機10による会員カード1の再使用化機能は、残金がある会員カード1に対しても有効に機能し、その会員カード1が販売されたときに保有していた金額まではいつでも発券機10で加算して記録できるようになっている。
【0020】玉貸機30は、カード挿入/排出口31、カード読書機32、およびこれらを制御する玉貸機制御器33を備えて構成されており、カード挿入/排出口31に挿入されたカードに記録されている情報をカード読書機32が読み取り、その読み取られたカードの情報は管理装置50に通信線60を介して送信される。
【0021】パチンコ台40は、遊技客がパチンコ玉を借りるとき、すなわち装置がパチンコ玉を貸し出すときに遊技客によって操作される玉貸ボタン41と、この玉貸ボタン41によって起動される玉払出機42と、カード返却指示ボタン43と、価値情報表示器44と、これらを制御するパチンコ台制御器46などから構成されていて、玉払出機42が図示しないタンクから上皿45に払い出したパチンコ玉を用いて遊技することができるようになっている。
【0022】そして、発券機10で発券されたプリペイドカードまたは会員カード1が玉貸機30のカード挿入/排出口31に挿入されると、前記したようにそのカードに記録されている情報はカード読書機32によって読み取られ、通信線60を介して管理装置50に送信されるようになっている。
【0023】マイコン、メモリー部、ディスプレイなどを備えて構成される管理装置50は、カード挿入/排出口31に挿入されたカードが正規のものであるか否かを、玉貸器30から送信されてきた情報と、そのカードが発券されたり、前に使用されたときなどに管理装置50に送信され、そのメモリー部に記録されている情報とを照合し、その照合結果と金額情報を玉貸機制御器33へ送信する。
【0024】カードに記録されている情報と、管理装置50に記録されている情報とが一致せず、カードに記録されている情報が改竄されている恐れがあるときには、玉貸機30はカードをそのまま排出して遊技客に返却する。
【0025】照合結果が一致したときには、玉貸機制御器33が通信線60を介してパチンコ台制御器46にカードの金額情報を送信し、この金額情報に基づいてパチンコ台制御器46によりカードの残金が価値情報表示器44に表示される。
【0026】この状態で玉貸ボタン41が操作されると、玉払出機42が起動して図示しない上部タンクから所定の個数のパチンコ玉が上皿45に払い出されて遊技可能になると共に、このパチンコ玉の払出情報が売上情報として管理装置50に送信され、さらに管理装置50を介してカード販売会社にも送信通知される。
【0027】このとき、カードに記録されている金額情報も、カード読書機32が起動して更新(払出し操作1回に相当する金額が減算)される。
【0028】遊技によりカードの残金がゼロになると、玉貸機30はカード挿入/排出口31からそのカードを排出して遊技客に返却する。
【0029】残金がゼロになって返却されたカードが会員カード1であれば、前記したように発券機10により繰返し価値情報を書込むことで、再使用することができるようになる。
【0030】以上は、会員カード1に金額情報を直接書込んで記録し、管理するものであったが、金額情報は書込まず、金額情報を会員カード1に対応させて管理装置50で管理することも可能である。この場合のカード処理は次の通りである。
【0031】購入したいカードの販売ボタン14に添設されている販売可否表示器15が点灯するまで貨幣が貨幣投入口11に投入され、遊技客によってテンキー20を利用して数値が入力されると、カード読書機18が起動してその数値をIDコードとして会員カード1のコード記録領域2に記録する。この場合も、貨幣投入口11に投入された金額は金額表示器13に表示される。
【0032】そして、販売可否表示器15が点灯している側の販売ボタン14が押されると、会員カード1と販売ボタン14に対応して予め設定した金額情報(この場合も払出可能なパチンコ玉の個数であっても良い)を通信線60を介して管理装置50に送信し、そのメモリー部に記録する。このとき、記録する金額情報には所定の付加価値(プレミアム)が付加されてもよい。
【0033】発券機10は、管理装置50への情報送信を終えると、会員カード1を排出すると共に、販売可否表示器15を消灯する。
【0034】この場合も、投入金額が操作した購入ボタン14に対応して予め設定している金額を越えている場合は、余った金額をつり銭返却口21に払い出す。
【0035】このようにして販売された会員カード1が、玉貸機30のカード挿入/排出口31に挿入されたときには、カード読書機32はそのカードのID番号を読み取って管理装置50に送信し、管理装置50に記録されているカードの残金を調べ、残金があるときには玉貸ボタン41によるパチンコ玉の払い出しを受け付け、パチンコ玉を払い出す度に管理装置50に記録されているカードの残金を減額するように構成される。
【0036】管理装置50のメモリー部に金銭などの具体的な数値情報を記録し、カードには識別符号のみを記録するこのようなパチンコ玉の管理では、不正が行い難くなると云った利点がある。
【0037】また、発券機10で販売するプリペイドカードにも、金額情報だけでなく識別符号などの情報を書込むようにすることもできる。
【0038】また、発券機10は硬貨や紙幣などの現金だけでなく、現金と同様に使用できるデビッドカードなどのカードを用いて、会員カード1やプリペイドカードを販売するように構成されても良い。
【0039】なお、本発明はパチンコ玉以外の遊技媒体、例えばコイン、メタルなどを用いて遊技する遊技装置の遊技媒体を管理するときにも有効である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明は書き換え可能なカードによって遊技媒体の個数を管理するので、使い捨て式のプリペイドカードによって遊技媒体の貸し出しを行うものに比べて、遊技ホールの費用負担が軽減できる。また、プリペイドカードの使い捨てが減るので、省資源といった環境面からも好ましいものである。
【0041】さらに、カードの挿入/排出口が一つ設けられているだけで、ここに挿入するのは会員カードであっても良いし、プリペイドカードであっても良いので、遊技客にとってもカードをどこに入れれば良いか迷うと行った不都合もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技システムの構成を示す説明図である。
【図2】カード販売機の構成を示す説明図である。
【図3】会員カードの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 会員カード
2 コード記録領域
3 価値情報記録領域
10 発券機
11 貨幣投入口
12 貨幣識別装置
13 金額表示器
14 販売ボタン
15 販売可否表示器
16 カード挿入/排出口
17 カード収納部
18 カード読書機
19 サンプルカード
20 テンキー
21 つり銭返却口
22 発券機制御器
30 玉貸機
31 カード挿入/排出口
32 カード読書機
33 玉貸機制御器
40 パチンコ台
41 玉貸ボタン
42 玉払出機
43 カード返却指示ボタン
44 価値情報表示器
45 上皿
46 パチンコ台制御器
50 管理装置
60 通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数設置された遊技台で使用する遊技媒体の貸し出しを携帯可能な記録媒体を使用して行なう遊技システムにおける遊技媒体の管理方法であって、記録媒体の記録領域に価値情報を記録する領域を設け、記録媒体販売機の貨幣投入口に貨幣を投入し、記録媒体販売機の販売ボタンを操作することにより、記録媒体販売機に提示した記録媒体の価値情報記録領域に販売ボタンに対応する価値情報を記録し、遊技台に対応して設置された記録媒体読書手段に記録媒体が提示され、遊技媒体払出指示手段が操作されたときに、記録媒体の価値情報記録領域に記録されている価値情報に基づいて遊技媒体を払い出すことを特徴とする遊技媒体の管理方法。
【請求項2】 複数設置された遊技台で使用する遊技媒体の貸し出しを携帯可能な記録媒体を使用して行なう遊技システムにおける遊技媒体の管理方法であって、記録媒体販売機の貨幣投入口に貨幣を投入し、記録媒体販売機の販売ボタンを操作することにより、記録媒体販売機に提示した記録媒体に関連付けられた管理装置などの情報記録領域に、販売ボタンに対応する価値情報を記録し、遊技台に対応して設置された記録媒体読取装置に記録媒体が提示され、遊技媒体払出指示手段が操作されたときに、管理装置などの情報記録領域に記録されている価値情報に基づいて遊技媒体を払い出すことを特徴とする遊技媒体の管理方法。
【請求項3】 残額がある記録媒体が記録媒体販売機に提示されて貨幣投入口に貨幣が投入され、販売ボタンが操作されると、販売ボタンに対応する価値情報が残額に加算されて記録されることを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−237442(P2000−237442A)
【公開日】平成12年9月5日(2000.9.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−42115
【出願日】平成11年2月19日(1999.2.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】