説明

遊技媒体の通過を検出する装置及び遊技台

【課題】比較的簡易な構成で遊技媒体のスムーズな通過を損なうことなく、遊技媒体の引き上げをより強力に抑制すること。
【解決手段】遊技媒体が通過する通路を形成し、遊技媒体の通過を検出する装置において、前記通路に進退自在に設けられた可動部材を備え、前記可動部材は、他の部分よりも下流側に突出した一方側方端部を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)に代表される遊技台等に適用されるメダル(硬貨、コイン)等の遊技媒体の通過を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンに代表される遊技台に設けられたメダルセレクタは、メダル投入に関わる不正対策がなされている。例えば、糸吊りメダルをメダルセレクタに進入させ擬似的にメダルを通過させるように、差込み、引き抜きを繰り返してクレジットを増加させるといった不正行為を防止するものとして、糸吊りメダル防止機能を有する可動突片を設けたメダルセレクタが提案されている(特許文献1)。また、不正器具の引き抜きを困難にするために不正器具を捕捉する異物捕捉手段を備えた遊技台も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−275382号公報
【特許文献2】特許第4279716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、糸吊りメダルを用いた不正行為を防止するものは、メダル通過後にメダル通路内に突出してメダルの逆移動を阻止する構造のものが一般的であるが、メダルの外形が円形であるため、メダル通路内に突出する部材に対して、吊り上げられるメダルはその最上端が点接触して係止される状態にある。このため、メダルを強く引き上げると係止が解除されてメダルが引抜かれてしまう場合があった。単に係止力を向上しようとすると、構造が複雑化し易く、また、メダルのスムーズな投入を損なう場合もある。
【0005】
本発明の目的は、比較的簡易な構成で遊技媒体のスムーズな通過を損なうことなく、遊技媒体の引き上げをより強力に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、遊技媒体が通過する通路を形成し、遊技媒体の通過を検出する装置において、前記通路に進退自在に設けられた可動部材を備え、前記可動部材は、他の部分よりも下流側に突出した一方側方端部を含むものである、ことを特徴とする装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比較的簡易な構成で遊技媒体のスムーズな通過を損なうことなく、遊技媒体の引き上げをより強力に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図。
【図2】スロットマシン100の制御部の回路ブロック図。
【図3】(a)は各リール(左リール110、中リール111、右リール112)に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図、(b)はスロットマシン100の入賞役の種類の説明図。
【図4】主制御部メイン処理の流れを示すフローチャート。
【図5】メダルセレクタ200の斜視図。
【図6】メダルセレクタ200の分解斜視図。
【図7】フロントカバー230を取り外した状態でのメダルセレクタ200の正面図。
【図8】(a)及び(b)はフロントカバー230の斜視図。
【図9】(a)乃至(d)は可動部材270の説明図。
【図10】組付け時における被検出片274と動作検出センサ290との配置を示す説明図。
【図11】(a)及び(b)は進退部271a乃至271dの進退態様の説明図。
【図12】(a)は進退部271a乃至271dの下流側端部の位置の説明図、(b)は進退部271eの下流側端部の位置の説明図。
【図13】(a)乃至(c)は可動部材270の動作態様の説明図。
【図14】(a)乃至(c)は可動部材270の動作態様の説明図。
【図15】(a)乃至(c)は可動部材270の他の例の説明図。
【図16】(a)乃至(e)は可動部材270等の他の例の説明図。
【図17】(a)及び(b)は遊技球への適用例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
<全体構成>
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
【0010】
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0011】
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
【0012】
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを入賞ラインとして有効としてもよい。
【0013】
告知ランプ123は、例えば、後述する内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ128は演出用のランプである。
【0014】
ベットボタン130乃至132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
【0015】
メダル投入口141は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン130乃至132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。メダル投入口141に投入されたメダルは、スロットマシン100の内部に設けられた後述するメダルセレクタ200を通過し、正規メダルの選別がなされると共に、メダルの通過が検出される。
【0016】
貯留枚数表示器125は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器126は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器127は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、および、払出枚数表示器127は、7セグメント(SEG)表示器とした。
【0017】
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130乃至132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
【0018】
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン137乃至139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
【0019】
メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン134は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155から排出するためのボタンである。ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
【0020】
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル162が設けられている。タイトルパネル162の下部には、メダル払出口155、メダルの受け皿161が設けられている。
【0021】
音孔180はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の左右各部に設けられたサイドランプ144は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉102の上部には演出装置160が配設されており、演出装置160の上部には音孔143が設けられている。この演出装置160は、水平方向に開閉自在な2枚の右シャッタ163a、左シャッタ163bからなるシャッタ(遮蔽装置)163と、このシャッタ163の奥側に配設された液晶表示装置157(図示省略、演出画像表示装置)を備えており、右シャッタ163a、左シャッタ163bが液晶表示装置157の手前で水平方向外側に開くと液晶表示装置157(図示省略)の表示画面がスロットマシン100正面(遊技者側)に出現する構造となっている。
【0022】
なお、液晶表示装置でなくとも、種々の演出画像や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、複数セグメントディスプレイ(7セグディスプレイ)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、リール(ドラム)、或いは、プロジェクタとスクリーンとからなる表示装置等でもよい。また、表示画面は、方形をなし、その全体を遊技者が視認可能に構成している。本実施形態の場合、表示画面は長方形であるが、正方形でもよい。また、表示画面の周縁に不図示の装飾物を設けて、表示画面の周縁の一部が該装飾物に隠れる結果、表示画面が異形に見えるようにすることもできる。表示画面は本実施形態の場合、平坦面であるが、曲面をなしていてもよい。
【0023】
<制御部>
図2は、スロットマシン100の制御部の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の進行を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて、主な演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、によって構成されている。
【0024】
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムデータ、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。
【0025】
この基本回路302のCPU304は、水晶発振器314が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。さらには、CPU304は、電源が投入されるとROM306の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ312に送信し、カウンタタイマ312は受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU304に送信する。CPU304は、この割込み要求を契機に各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、水晶発振器314が出力するクロック信号を8MHz、カウンタタイマ312の分周値を1/256、ROM306の分周用のデータを47に設定した場合、割り込みの基準時間は、256×47÷8MHz=1.504msとなる。WDT313はウォッチドッグタイマである。
【0026】
基本回路302は、0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数発生回路316と、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路338を設けており、CPU304は、この起動信号出力回路338から起動信号を入力した場合に、遊技制御を開始する(後述する主制御部メイン処理を開始する)。
【0027】
また、基本回路302には、センサ回路320を設けており、CPU304は、割り込み時間ごとに各種センサ318(ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、ベットボタン132センサ、後述するメダルセレクタ200のメダル検出センサ、ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、ストップボタン139センサ、精算ボタン134センサ、メダル払出装置180から払い出されるメダルのメダル払出センサ、リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、リール112のインデックスセンサ、等)の状態を監視している。なお、センサ回路320がスタートレバーセンサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を乱数発生回路316に出力する。この信号を受信した乱数発生回路316は、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶する。
【0028】
スタートレバー135センサは、スタートレバー135内部に2個設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、および、ストップボタン139は、各々のストップボタン137乃至139に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
【0029】
ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、および、ベットボタン132センサは、メダル投入ボタン130乃至132のそれぞれに設置されており、RAM308に電子的に貯留されているメダルを遊技への投入メダルとして投入する場合の投入操作を検出する。精算ボタン134センサは、精算ボタン134に設けられている。精算ボタン134が一回押されると、電子的に貯留されているメダルを精算する。メダル払出センサは、メダル払出装置180が払い出すメダルを検出するためのセンサである。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
【0030】
リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、および、リール112のインデックスセンサは、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールフレームに設けた遮光片が通過するたびにLレベルになる。CPU304は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
【0031】
主制御部300は、リール装置110乃至112に設けたステッピングモータを駆動する駆動回路322を設けており、投入されたメダルを選別するメダルセレクタ200に設けたソレノイドを駆動する駆動回路324を設けており、メダル払出装置180に設けたモータを駆動する駆動回路326を設けており、各種ランプ338(入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ123、遊技メダル投入可能ランプ124、再遊技ランプ122、遊技メダル投入ランプ129は、遊技開始ランプ121、貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、払出枚数表示器127)を駆動する駆動回路328を設けている。
【0032】
また、基本回路302には、情報出力回路334(外部集中端子板248)を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路334を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路652にスロットマシン100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
【0033】
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースを備えており、第1副制御部400との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
【0034】
<副制御部>
次に、スロットマシン100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主制御部300が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402は、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作し、第1副制御部400の全体を制御するための制御プログラム及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータ等が記憶されたROM406が設けている。
【0035】
CPU404は、所定のタイミングでデータバスを介してROM406の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ412に送信する。カウンタタイマ412は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU404に送信する。CPU404は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
【0036】
また、第1副制御部400には、音源IC418を設けており、音源IC418に出力インタフェースを介してスピーカ272、277を設けている。音源IC418は、CPU404からの命令に応じてアンプおよびスピーカ272、277から出力する音声の制御を行う。音源IC418には音声データが記憶されたS−ROM(サウンドROM)が接続されており、このROMから取得した音声データをアンプで増幅させてスピーカ272、277から出力する。
【0037】
また、第1副制御部400には、駆動回路422が設けられ、駆動回路422に入出力インタフェースを介して各種ランプ420(上部ランプ、下部ランプ、サイドランプ144、タイトルパネル162ランプ、等)を設けている。
【0038】
また、CPU404は、出力インタフェースを介して第2副制御部500へ信号の送受信を行う。スロットマシン100の第2副制御部500では、液晶表示装置157やシャッタ163の制御を行う。こうして遊技の進行に合わせて演出が実行される。
【0039】
<図柄配列>
図3(a)を用いて、上述の各リール110乃至112に施される図柄配列について説明する。なお、同図は、各リール(左リール110、中リール111、右リール112)に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。
【0040】
各リール110乃至112には、同図の右側に示す複数種類(本実施形態では8種類)の図柄が所定コマ数(本実施形態では、番号0〜20の21コマ)だけ配置されている。また、同図の左端に示した番号0〜20は、各リール110乃至112上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、本実施形態では、左リール110の番号1のコマには「リプレイ」の図柄、中リール111の番号0のコマには「ベル」の図柄、右リール112の番号2のコマには「スイカ」の図柄、がそれぞれ配置されている。
【0041】
<入賞役の種類>
次に、図3(b)を用いて、スロットマシン100の入賞役の種類について説明する。なお、同図は入賞役(作動役を含む)の種類、各入賞役に対応する図柄組合せ、各入賞役の作動または払出を示している。
【0042】
本実施形態における入賞役のうち、ビッグボーナス(BB1、BB2)および、レギュラーボーナス(RB)はボーナス遊技に移行する役として、また、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる役として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本実施形態における「入賞役」には、作動役である、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技が含まれる。また、本実施形態における「入賞」には、メダルの配当を伴わない(メダルの払い出しを伴わない)作動役の図柄組合せが有効ライン上に表示される場合も含まれ、例えば、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技への入賞が含まれる。
【0043】
スロットマシン100の入賞役には、ビッグボーナス(BB1、BB2)と、レギュラーボーナス(RB)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)と、再遊技(リプレイ)がある。なお、入賞役の種類は、これに限定されるものではなく、任意に採用できることは言うまでもない。
【0044】
「ビッグボーナス(BB1、BB2)」(以下、単に、「BB」と称する場合がある)は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。対応する図柄組合せは、BB1が「白7−白7−白7」、BB2が「青7−青7−青7」である。また、BB1、BB2についてはフラグ持越しを行う。すなわち、BB1、BB2に内部当選すると、これを示すフラグが立つ(主制御部300のRAM308の所定のエリア内に記憶される)が、その遊技においてBB1、BB2に入賞しなかったとしても、入賞するまで内部当選を示すフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBB1、BB2に内部当選中となり、BB1に対応する図柄組み合わせ「白7−白7−白7」、BB2に対応する図柄組み合わせ「青7−青7−青7」が、揃って入賞する状態にある。
【0045】
「レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)が開始される特殊役(作動役)である。対応する図柄組合せは、「ボーナス−ボーナス−ボーナス」である。なお、RBについても上述のBBと同様にフラグ持越しを行う。但し、(詳細は後述するが)ビッグボーナス遊技(BB遊技)においては、レギュラーボーナス遊技(RB遊技)が内部当選することや、図柄組み合わせが入賞ライン上に表示されること、を開始条件とせずに、ビッグボーナス遊技の開始後からレギュラーボーナス遊技を開始し、1回のレギュラーボーナス遊技を終了した場合には次のレギュラーボーナス遊技をすぐに開始するような自動的にレギュラーボーナス遊技を開始させる設定としてもよい。 「小役(チェリー、スイカ、ベル)」(以下、単に、「チェリー」、「スイカ」、「ベル」と称する場合がある)は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役で、対応する図柄組合せは、チェリーが「チェリー−ANY−ANY」、スイカが「スイカ−スイカ−スイカ」、ベルが「ベル−ベル−ベル」である。また、対応する払出枚数は同図に示す通りである。なお、「チェリー−ANY−ANY」の場合、左リール110の図柄が「チェリー」であればよく、中リール111と右リール112の図柄はどの図柄でもよい。
【0046】
「再遊技(リプレイ)」は、入賞により次回の遊技でメダル(遊技媒体)の投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行われない。なお、対応する図柄組合せは、再遊技は「リプレイ−リプレイ−リプレイ」である。
【0047】
<遊技状態の種類>
次に、スロットマシン100の遊技状態の種類について説明する。本実施例では、スロットマシン100の遊技状態は、通常遊技と、BB遊技と、RB遊技と、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技と、に大別した。但し、通常遊技と、BB遊技と、RB遊技と、に大別するような区分けであってもよい。
【0048】
<通常遊技>
通常遊技に内部当選する入賞役には、ビッグボーナス(BB)と、レギュラーボーナス(RB)と、再遊技(リプレイ)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)がある。「ビッグボーナス(BB)」は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)を開始する特殊役(作動役)である。「再遊技(リプレイ)」は、入賞により次回の遊技でメダルの投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出も行われない。「小役」は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役である。
【0049】
なお、各々の役の内部当選確率は、通常遊技に用意された抽選データから、各々の役に対応付けされた抽選データの範囲に該当する数値データを、内部抽選時に取得される乱数値の範囲の数値データ(例えば65535)で除した値で求められる。通常遊技に用意された抽選データは、予めいくつかの数値範囲に分割され、各数値範囲に各々の役やハズレを対応付けしている。内部抽選を実行した結果得られた乱数値が、何れの役に対応する抽選データに対応する値であったかを判定し、内部抽選役を決定する。この抽選データは少なくとも1つの役の当選確率を異ならせた設定1〜設定6が用意され、遊技店の係員等はいずれかの設定値を任意に選択し、設定することができる。
【0050】
通常遊技は、内部抽選の結果が概ねハズレ(ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、再遊技(リプレイ)および小役に当選していない)となる設定がされており、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数に満たない遊技状態になっている。よって、遊技者にとっては不利益となる遊技状態である。但し、予め定めた条件を満たした場合(例えば、特定の図柄組み合わせが表示された場合)には、再遊技の内部当選の確率を上昇させる変動をさせてもよい遊技状態であり、この場合、小役の入賞によって所定数のメダルが払い出されることにより、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態になり、遊技者にとっては利益となる遊技状態になる場合がある。
【0051】
<BB遊技>
BB遊技は、遊技者にとっては利益となる遊技状態になるように設定されている。つまり、BB遊技は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態となる。BB遊技は、本実施例では、ビッグボーナス(BB)の入賞により開始され、RB遊技(後述する)を連続して繰り返し実行可能になっており、遊技中に予め定められた一の数(例えば、465枚)を超えるメダルが獲得された場合に終了する。但し、BB遊技はRB遊技を連続して繰り返し実行可能とすることなく、RB遊技を開始する役(図柄組み合わせは例えば、リプレイ−リプレイ−リプレイ)を設定し、この役が内部当選した場合、または、入賞した場合に、RB遊技を開始するように設定してもよい。さらには、BB遊技は、BB遊技中のRB遊技を除くBB一般遊技を予め定めた回数(例えば、30回)実行した場合、または、BB遊技中に実行したRB遊技の回数が予め定めた回数に達した場合(例えば、3回)に終了するようにしてもよい。
【0052】
<RB遊技>
RB遊技は、遊技者にとっては利益となる遊技状態になるように設定されている。つまり、RB遊技は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態となる。RB遊技は、本実施例では、レギュラーボーナス(RB)の入賞により開始され、予め定めた一の役が内部当選の確率を上昇させる変動(例えば、「設定1」「通常遊技」に設定された「小役1」の内部当選確率1/15を、予め定めた一の値である内部当選確率1/1.2に上昇させる)をし、予め定めた一の数(例えば8回)の入賞があった場合に終了する。BB遊技は、予め定めた回数の入賞があった場合(例えば、8回)、または、RB遊技中に実行したRB遊技の回数が予め定めた回数に達した場合(例えば、8回)に終了するようにしてもよい。
【0053】
<ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技>
ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技に内部当選する入賞役には、再遊技(リプレイ)と、小役がある。ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)は内部当選することはなく、ビッグボーナス(BB)かレギュラーボーナス(RB)に対応する図柄組み合わせを入賞させることが可能となっている遊技状態である。
【0054】
但し、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)に内部当選した次遊技から、再遊技の内部当選の確率を変動させてもよく、例えば、再遊技の内部当選の確率を上昇させる変動をさせて、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)対応する図柄組み合わせが入賞するまでの間は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数とほぼ同じとなる遊技状態とし、通常遊技と比べると遊技者にとっては利益となる遊技状態としてもよい。
【0055】
<主制御部メイン処理>
図4を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部メイン処理について説明する。なお、同図は主制御部メイン処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、主制御部300には、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路(リセット信号出力回路)338を設けている。この起動信号を入力した基本回路302のCPU304は、リセット割込によりリセットスタートしてROM306に予め記憶している制御プログラムに従って図4に示す主制御部メイン処理を実行する。
【0056】
電源投入が行われると、まず、S1で各種の初期設定を行う。この初期設定では、CPU304のスタックポインタ(SP)へのスタック初期値の設定、割込禁止の設定、I/O310の初期設定、RAM308に記憶する各種変数の初期設定、WDT313への動作許可及び初期値の設定等を行う。
【0057】
S2ではメダル投入・スタート操作受付処理を実行する。ここではメダルの投入の有無をチェックし、メダルの投入に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合は、前回の遊技で投入されたメダル枚数と同じ数のメダルを投入する処理を行うので、遊技者によるメダルの投入が不要となる。また、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタートレバー135の操作があればS3へ進む。
【0058】
S3では投入されたメダル枚数を確定し、有効な入賞ラインを確定する。S4では乱数発生回路316で発生させた乱数を取得する。S5では、現在の遊技状態に応じてROM306に格納されている入賞役抽選テーブルを読み出し、これとS4で取得した乱数値とを用いて内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、その入賞役の内部当選フラグをONにする。S6では内部抽選結果に基づき、リール停止データを選択する。
【0059】
S7では全リール110乃至112の回転を開始させる。S8では、ストップボタン137乃至139の受け付けが可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110乃至112の何れかをS6で選択したリール停止制御データに基づいて停止させる。リールの停止制御は、基本的には、内部当選した入賞役がある場合は、その入賞役に対応する図柄組み合わせが表示されることは許容し、ハズレ等の場合はいずれの役に対応する図柄組み合わせも表示されないように、いわゆる引き込み・蹴飛ばしといったリールの停止制御を行う。
【0060】
全リール110乃至112が停止するとS9へ進む。S9では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、何らかの入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン上に「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、フラグ持ち越しの場合を除き、内部当選フラグをリセットする。
【0061】
S10では払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを入賞ライン数に応じて払い出す。S11では遊技状態制御処理を行う。遊技状態制御処理では、通常遊技、BB遊技、RB遊技、内部当選遊技、の各遊技状態の移行に関する処理を行い、それらの開始条件、終了条件の成立により、遊技状態を移行する。こうして本実施形態では、停止表示された図柄の組み合わせに基づいて遊技者に特典を付与している。以上により1ゲームが終了する。以降S2へ戻って上述した処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
【0062】
<メダルセレクタ>
次に、前面扉102の背面に取り付けられるメダルセレクタ200について説明する。図5はメダルセレクタ200の斜視図、図6はメダルセレクタ200の分解斜視図、図7はフロントカバー230を取り外した状態でのメダルセレクタ200の正面図である。メダルセレクタ200はメダル投入口141から投入されたメダルが転動しながら通過するメダル通路を形成すると共に、正規のメダルよりも小径のメダルをメダル通路の一方側方に脱落させることにより正規のメダルを選別し、正規のメダルの通過を検出する。なお、上流側、下流側とはメダルが転動しながら流れる方向を基準とし、メダル投入口141側が上流側である。
【0063】
メダルセレクタ200はセレクタベース210と、ガイド部材220と、フロントカバー230と、アクチュエータ250と、メダル検出センサ260と、可動部材270と、付勢部材280と、動作検出センサ290と、を備える。メダル投入口141に投入されたメダルは、まず、セレクタベース210とガイド部材220とにより形成される導入口201に導入され、セレクタベース210に形成された排出口215から排出される。
【0064】
セレクタベース210は、通路壁211を備える。通路壁211は、通過するメダルの側面と周面のうち、側面に面する通路壁の一方形成する。通路壁211には、メダル通路の幅方向に互いに離間し、メダルの通過方向に延びる複数条のリブ211aと、メダル通路の幅方向に互いに離間し、メダルの通過方向に延びる複数のスリット211bと、が形成されている。スリット211bはリブ211aの間に形成されている。リブ211aを設けたことにより、通過するメダルの側面と接する面積が小さくなり、メダルをより円滑に移動させることができる。
【0065】
通路壁211の下流側には、メダル通路の底部BT及び当接部214が形成されている。底部BTにはメダルの周面が転動しながら接し、当接部214はメダルの側面に当接する。底部BTの一部は可動底部212により形成されている。可動底部212は、セレクタベース210に設けた可動機構(不図示)により底部BTの他の部分からずれた位置に移動可能にされており、アクチュエータ250により駆動されて、メダル投入禁止時等において作動するメダルブロッカを構成している。
【0066】
つまり、メダル投入禁止時等において、アクチュエータ250の作動により可動底部212は可動し、これにより底部BTを部分的に非連続なものとして、底部BT上を転動するメダルをメダル通路の一方側方(フロントカバー230側)に脱落するようにしている。メダルブロッカの構成としては、このようにメダル通路の構成部分の一部を可動とする構成のほかに、メダル通路の側方から出没・退避する部材をアクチュエータで駆動する構成でもよい。
【0067】
当接部214はセレクタベース210の正面側に突出してメダルの流れ方向に形成されており、後述するガイド部材220と共に正規のメダルの脱落を防止するスリットを形成する。セレクタベース210は、フック形状の一対の軸受部213を備える。この軸受部213には軸240が着脱自在に装着される。排出口215は底部BTの下流端に形成されており、メダルセレクタ200を通過するメダルはこの排出口215から排出され、不図示の案内部材により、メダルを貯留するホッパー装置(不図示)に導かれることになる。
【0068】
アクチュエータ250は、電磁ソレノイドを有するアクチュエータであり、セレクタベース210の背面側に取り付けられる。メダル検出センサ260は、セレクタベース210に支持され、そのスリット261を通過するメダルの通過を検出する光センサであるが、光センサ以外のセンサを利用可能である。本実施形態では、相対的に上流側、下流側にそれぞれメダル検出センサ260が配置され、これら2個のメダル検出センサ260の検出結果に基づいてメダルの正常投入を判定する。なお、コネクタ262には電気配線が接続される。
【0069】
次に、フロントカバー230について図6及び図8を参照して説明する。図8(a)及び(b)はフロントカバー230の斜視図である。フロントカバー230は、セレクタベース210の通路壁211に対向する通路壁231を備える。通路壁211及び231によりメダル通路の厚み方向に離間した通路壁が形成され、これらの間をメダルが通過する。通路壁231にも、メダル通路の幅方向に互いに離間し、メダルの通過方向に延びる複数条のリブ231aが形成されており、メダルとの摩擦を低下させる。
【0070】
フロントカバー230は、軸240の両端部がそれぞれ嵌合する一対の嵌合部232を有する。軸240には、スプリング241が装填されており、軸240が嵌合部232に嵌合された状態で、軸240を軸受部213に装着することで、フロントカバー230をセレクタベース210に取り付けることができる。セレクタベース210に取り付けられた状態においてフロントカバー230は軸240回りに開閉自在とされているが、スプリング241により常時閉方向に付勢されている。
【0071】
フロントカバー230の正面側にはつまみ部234が形成されている。このつまみ部234を利用することで、フロントカバー230の開閉作業や、セレクタベース210との着脱作業を容易化することができる。フロントカバー230は、また、メダル検出センサ260を覆うカバー部233を備える。カバー部233は、メダル検出センサ260の正面側を覆うとともに、メダル検出センサ260の上面側を覆う天井部233aを有する。この天井部233aによりメダル検出センサ260のコネクタ262が覆われるので、コネクタ262に対する不正器具の侵入等を防止することができる。本実施形態では、このようにフロントカバー230がメダル検出センサ260の保護機能を有している。
【0072】
図6及び図7を参照して、ガイド部材220は、例えば、金属製の板材を曲折して形成され、取付部221と、スリット形成部222と、を備える。取付部221には複数の取付孔が形成されており、セレクタベース210の取付軸がこれに嵌合することで、ガイド部材220がセレクタベース210に固定される。
【0073】
スリット形成部222は、セレクタベース210の当接部214と共に正規メダルの上部が通過するスリットを形成する。このスリットは、正規メダルの上部の僅かな部分のみが挿入されるように、底部BTから正規メダルの直径に応じた距離だけ離間した位置に形成され、正規メダルよりも小径のメダルは挿入されない位置に形成される。
【0074】
したがって、小径メダルは、スリット形成部222及び当接部214に支持されず、側方に傾倒してメダルセレクタ200から脱落することになり正規メダルと小径メダルとが選別される。正規メダルはスリット形成部222と当接部214とに支持されることで、メダル検出センサ260に到達し、その通貨が検出されることになる。
【0075】
図6及び図7を参照して、可動部材270はセレクタベース210の背面側に枢着される。付勢部材280は可動部材270を常時一方向に付勢する。本実施形態の場合、付勢部材280はねじりコイルバネであるが、可動部材270を付勢可能な部材であれば何でもよい。動作検出センサ290は、可動部材270の回動位置を検出する光センサであり、メダル検出センサ260と同様にスリットを通過する物体を検出する透過型の光センサである。
【0076】
図9(a)乃至(d)は可動部材270の説明図であり、図9(a)及び(b)は取り付け状態での平面図と右側面図、図9(c)及び(d)は斜視図である。可動部材270は、円筒状の軸部272を備える。この軸部272の中心孔にセレクタベース210の軸部材(不図示)が挿入され、可動部材270は軸部272の中心軸線回りに回動自在にセレクタベース210に支持される。軸部272は相対的に小径のバネ装着部272aを有し、ここに付勢部材280が装填される。
【0077】
可動部材270は、通路壁211に形成された各スリット211bに対応した進退部271a乃至271dを備える。進退部271a及び271bはその上流側端部が軸部272に接続され、進退部271c及び271dは、上流側の連結部273aと下流側の連結部273bとを介して進退部271a及び271bに接続されている。
【0078】
進退部271dには、被検出片274が一体に形成されている。動作検出センサ290は、この被検出片274の存在の有無を検出することで可動部材270の回動位置を検出する。図10は、組付け時における被検出片274と動作検出センサ290との配置を示す説明図である。被検出片274は動作検出センサ290のスリットに臨む位置に位置している。
【0079】
各進退部271a乃至271dは、可動部材270の回動により、対応するスリット211bを通過してメダル通路の厚み方向に進退する。本実施形態では可動部材270の回動運動により各進退部271a乃至271dを進退させる構成としたが、可動部材270の並進運動によって各進退部271a乃至271dを進退させる構成としてもよい。
【0080】
付勢部材280は可動部材270を図9(b)の矢印d1方向、つまり、進退部271a乃至271dがメダル通路内へ進入する方向に常時付勢する。図11(a)及び(b)は進退部271a乃至271dの進退態様の説明図である。同図において破線L1はリブ211aの先端位置を、破線L2はリブ231aの先端位置を、それぞれ示している。
【0081】
図11(a)はメダルが非通過時の態様を示しており、進退部271a乃至271dが進入状態にある場合を示している。破線L1を基準とした、メダル通路内への各進退部271a乃至271dの突出量は、上流側から下流側に向かって徐々に増加しており、メダルの円滑な通過を妨げないようにしている一方、進退部271a乃至271dの下流側端部が破線L2に近接して、通過メダルとの干渉を確実なものとしている。なお、図11(a)に示すメダルが非通過時の状態においては、被検出片274は動作検出センサ290のスリット外に位置し、その存在が動作検出センサ290によって検出されない。
【0082】
図11(b)はメダル(不図示)が通過時の態様を示しており、進退部271a乃至271dが退避状態にある場合を示している。破線L1を基準とした、メダル通路内への各進退部271a乃至271dの突出量が減少し、破線L2から全体的に離間してメダルの通過空間が確保されている。進退部271a乃至271dの退避位置は、メダル通路から完全に脱した位置としてもよいが図11(b)に示すようにメダルが通過可能であればメダル通路内に残っていてもよい。なお、図11(b)に示すメダルが通過時の状態においては、被検出片274は動作検出センサ290のスリット内に位置し、その存在が動作検出センサ290によって検出される。動作検出センサ290が規定時間(例えば数十秒)継続して被検出片274を検出している場合、何らかの不正行為(メダルセレクタ200に異物を挿入している等)が行われているとして、エラー処理を実行するようにしてもよい。
【0083】
次に、可動部材270の下流側端部の形状、つまり、進退部271a乃至271dの下流側端部を図12(a)を参照して説明する。図12(a)は進退部271a乃至271dの下流側端部の位置の説明図である。本実施形態の場合、進退部271a乃至271dの下流側端部は、メダル通路の幅方向の中央部の進退部271b及び271cよりも、メダル通路の幅方向の両端部の進退部271a及び271dの方が下流側に突出している。破線P1は中央部の進退部271b及び271cの下流側端部の位置を、破線P2は両端部の進退部271a及び271dの下流側端部の位置を、それぞれ示している。このため、可動部材270を通過したメダルを吊り糸等で引き上げようとすると、メダル周縁に引っかかる進退部271a乃至271dの数が多くなる。
【0084】
特に本実施形態の場合、進退部271a及び271dの下流側端部がメダルの外形円弧形状に合わせて下流側に突出し、進退部271a乃至271dの下流側端部がメダルの外形円弧形状に合わせた形状となっていることから、進退部271a乃至271dの各下流側端部が略同時にメダル周縁に引っかかる。このため、メダルの引き上げにより強固に抵抗する。このため、比較的簡易な構成でメダルのスムーズな投入を損なうことなく、メダルの引き上げをより強力に抑制することができる。
【0085】
図12(b)は比較例として、進退部271a乃至271dに代えて、下流側端部の位置が同じ(破線P3)進退部271eを用いた例を示している。この構成の場合、中央の2つの進退部271dしかメダル周縁に引っかからないため、メダルの引き上げに対する抵抗力が劣ることは明白である。
【0086】
次に、メダル通過時における可動部材270の一連の動作態様について説明する。図13及び図14は可動部材270の動作態様の説明図である。図13(a)はメダルMが導入口201に導入されつつある状態を示す。この場合、進退部271a乃至271dは進入状態にある。図13(b)及び(c)、図14(a)及び(b)は、メダルMが進退部271a乃至271d上を通過している態様を示している。メダルMの自重により付勢部材280の付勢に抗して可動部材270が図9(b)の矢印d1と逆方向に回動し、進退部271a乃至271dが退避状態に変位する。
【0087】
メダルMが進退部271a乃至271d上を通過する際、進退部271a乃至271dからメダルMに対して摩擦抵抗が作用するので、メダルMの減速効果も得られ、メダルMが暴れながら移動することを防止できる。特に、進退部271a及び271dがメダルの通過方向に長いことから、メダルMの減速効果を向上できる。
【0088】
メダルMが進退部271a乃至271d上を通過し終えると、付勢部材280の付勢により図14(c)に示すように進退部271a乃至271dが進入状態に復帰する。この後、メダルMを吊り糸等で引き上げようとしても、進退部271a乃至271dにより抵抗を受けることは上記の通りである。
【0089】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、メダル通路の幅方向両端部に位置する進退部271a及び271dの双方の下流側端部を、下流側に突出した構成としたが、いずれか一方でもよい。図15(a)は可動部材270の他の例を示す斜視図、図15(b)は進退部271a乃至271d’の下流側端部の位置の説明図である。同図の例では、進退部271d’は、中央側の進退部271b及び271cと下流側端部の位置を同じとし、進退部271aのみその下流側端部を下流側に突出させている。この構成でも、進退部271a乃至271cの3つがメダル周縁に引っかかるので、図12(b)に示した例よりはメダルの引き上げにより強固に抵抗する。
【0090】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、進退部271a乃至271dのメダル通路内への各突出量を、メダルの通過方向に沿って均一としたが(図11(a))が異なるようにしてもよい。図15(c)は、突出量を変えた例を示す。
【0091】
同図の例では、進退部271a及び271dの組でメダル通路内への突出量を均一とし、メダル通路の幅方向中央側の進退部271b及び271cの組でメダル通路内への突出量を均一としている。進退部271b及び271cの組は上流側の部分UPにおいて進退部271a及び271dの組よりも突出量が少なくなっており、この上流側の部分UPにおいては、進退部271b及び271cの組においてメダル通路の厚み方向に凹んだ形状となっている。
【0092】
メダルは円形であるため、進退部271a乃至271d上にメダルが到達する際、上記第1実施形態のように進退部271a乃至271dのメダル通路内への各突出量をメダルの通過方向に沿って均一とすると、最初に中央側の進退部271b及び271cとメダルが干渉する(図13(b)参照)。このため、進退部271b及び271cの上流側の部分が偏磨耗し易い。
【0093】
本実施形態のように、進退部271b及び271cの組は上流側の部分UPにおいて進退部271a及び271dの組よりも突出量を少なくすることによって、最初は進退部271b及び271cとメダルとが干渉せず、略同時に全進退部271a乃至271dがメダルと干渉するので、偏磨耗を防ぐことができ、可動部材270の耐久性を向上できる。
【0094】
次に、図15(c)の例では、進退部271b及び271cの組は下流側端部において、進退部271a及び271dの下流側端部と突出量が同じとされている。これにより、メダルの非通過時において、進退部271b及び271cの組だけでも、メダル通路を略完全に閉鎖することができる。
【0095】
なお、図15(c)の例では、進退部271b及び271cの上流側の部分UPと下流側端部の双方の突出量を変更したが、いずれか一方でもよいことは言うまでもない。また、本実施形態は上記第2実施形態と組み合わせることも可能である。
【0096】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、進退部271a乃至271dを一体的に形成したが、それぞれ別々に構成して、個別に回動可能な構成としてもよい。図16(a)は、可動部材270を、進退部271a乃至271d毎に軸部272bを設けて、別々に構成した例を示す。このように進退部271a乃至271dを別々に構成することで、一部の進退部が不正行為により退避位置に移動させられた場合であっても、残りの進退部がなお進入位置に位置してメダル通路を閉鎖できるという利点がある。
【0097】
本実施形態のように、進退部271a乃至271dを別々に構成した場合、進退部271a乃至271d毎に付勢部材280が必要となるが、進退部271a乃至271d毎の付勢部分を有する一体成形部品を用いてもよい。図16(b)は付勢部材280に代わる付勢部材281を示す。付勢部材281は、板バネ等の弾性部材で一体形成され、進退部271a乃至271d毎の付勢部分281a乃至281dを有し、これらが進退部271a乃至271dを個別に付勢する。
【0098】
次に、進退部271a乃至271dを、グループ毎に回動可能な構成としてもよい。図16(c)の例は、可動部材270を、進退部271a及び271bの組と、進退部271c及び271dの組と、でそれぞれ共通の軸部272cを設けたものであり、各組毎に回動する。また、図16(d)の例は、可動部材270を、進退部271a及び271dの組と、進退部271b及び271cの組と、でそれぞれ共通の軸部272d、272eを設けたものであり、各組毎に回動する。
【0099】
なお、本実施形態は上記第2及び第3実施形態と組み合わせることも可能である。
【0100】
<第5実施形態>
上記第1実施形態では、メダル通路の幅方向に離間した進退部271a乃至271dがメダル通路内に進退する構成としたが、該幅方向に連続した進退部を備えた構成でもよい。図16(e)の可動部材270の例は、軸部272fに進退部271eが接続された構成であり、軸部272fの中心軸線回りに回動する。進退部271eはメダル通路の幅方向に連続した1つの部材であり、その下流側端部はメダルの外径円弧形状に合わせて、メダル通路の幅方向両端部が下流側に突出した構成である。
【0101】
この例の場合、通路壁211には、スリット211bに代えて、進退部271eが進退可能な開口部を形成することになる。なお、本実施形態は上記第2及び第3実施形態と組み合わせることも可能である。
【0102】
<他の適用例>
上記各実施形態では、糸吊りメダルの引き上げ防止を対象としたが、糸吊り遊技球(パチンコ玉)の引き上げ防止にも適用可能である。図17(a)は、可動部材270の進退部271a乃至271dの下流側端部の位置の説明図であり、やはり遊技球Pの外径に合わせて円弧形状になっている。図17(b)は、電動チューリップDに対する糸吊り遊技球Pの不正行為の例を示しており、遊技球Pを上下させて電動チューリップDに進入、退避させる不正行為を示している。可動部材270は、例えば、電動チューリップD内の遊技球Pの通路のうち、遊技球Pの入球を検出するセンサの上流側に配置することで、このような不正行為を防止できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体が通過する通路を形成し、遊技媒体の通過を検出する装置において、
前記通路に進退自在に設けられた可動部材を備え、
前記可動部材は、他の部分よりも下流側に突出した一方側方端部を含むものである、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記一方側方端部は、前記通路の厚み方向に最も突出した形状を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記可動部材の下流側の端部うち、前記一方側方端部を除く部位は、前記遊技媒体の通過方向に均一に突出した形状を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置であって、
前記遊技媒体が遊技球である、
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置であって、
前記通路を形成する通路壁と、
前記通路壁に形成され、前記遊技媒体の通過方向に延びる複数条のリブと、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置を備えた遊技台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−245412(P2012−245412A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207508(P2012−207508)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2009−232806(P2009−232806)の分割
【原出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】