遊技機製造ラインの制御システム
【課題】複数の作業エリアに効率的に作業対象品を搬送し、生産効率の向上を図り得るよう構成する。
【解決手段】作業対象品Xの搬送および搬送停止を行ない得る第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16を複数連設してなるメインラインMLと、第1の回転式搬送装置13においてメインラインMLから分岐し、作業エリアSAを設けた複数のサブラインSLと、各搬送装置13,16を個別に作動制御して作業対象品Xの搬送および搬送停止を行なわせる制御手段とを備える。そして、メインラインMLにおけるサブラインSLとの分岐位置に、作業対象品Xの待機エリアTAを夫々設定し、下流側の待機エリアTAまたは対応するサブラインSLへ作業対象品Xを送出した待機エリアTAに、その上流側の待機エリアTAから作業対象品Xを補充するよう各搬送装置13,16を作動制御して、常には各待機エリアTAに作業対象品Xを待機させる。
【解決手段】作業対象品Xの搬送および搬送停止を行ない得る第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16を複数連設してなるメインラインMLと、第1の回転式搬送装置13においてメインラインMLから分岐し、作業エリアSAを設けた複数のサブラインSLと、各搬送装置13,16を個別に作動制御して作業対象品Xの搬送および搬送停止を行なわせる制御手段とを備える。そして、メインラインMLにおけるサブラインSLとの分岐位置に、作業対象品Xの待機エリアTAを夫々設定し、下流側の待機エリアTAまたは対応するサブラインSLへ作業対象品Xを送出した待機エリアTAに、その上流側の待機エリアTAから作業対象品Xを補充するよう各搬送装置13,16を作動制御して、常には各待機エリアTAに作業対象品Xを待機させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機製造ラインの制御システムに関し、更に詳しくは、搬送ラインにより所定の作業エリアに搬送された作業対象品に対して各種作業を行なうよう構成された遊技機製造ラインの制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機の生産効率の向上を図るため、工場に設けられた遊技機製造ラインに対し種々の改良がなされている。例えば、特許文献1に記載された遊技機製造ラインでは、各種の加工や点検作業が行なわれる作業対象品(例えば遊技機の完成品や遊技盤等)を所定方向に搬送する搬送ラインを複数列配置すると共に、各搬送ライン毎に作業エリアを設け、各搬送ラインにおける作業対象品の搬送状況に偏りが生じた場合に、搬送量の多い搬送ラインから搬送量の少ない搬送ラインへ作業対象品を移し替えるよう構成されている。すなわち、各搬送ラインにおける作業対象品の搬送量を平均化することで、前記作業エリアへ搬送される作業対象品の偏りをなくし、生産効率の向上に寄与するようになっている。
【特許文献1】特開平10−109747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記作業エリアによっては、完成した遊技機の動作チェック等のように比較的時間を要する作業が行なわれる。このような検査工程では、搬送ラインで搬送された作業対象品を作業エリアで一定時間停止させて作業を行なう必要があるため、生産性低下の要因となる欠点を内在している。このような場合には、同じ作業を行なう作業エリアを複数設置し、一度に多くの作業対象品に対して同じ作業を行なうことで生産性低下を防止することが可能である。しかし、前記作業エリアを多数設ける場合には、前記特許文献1に記載のように作業エリアに合わせて搬送ラインも多数設置する必要があり、製造ラインの大型化を招来し、スペース的な問題が生ずる。また、前記作業エリアに対応する搬送ラインを複数設ける場合には、前工程から搬送された作業対象品を各搬送ラインへ分配する必要があり、作業対象品の移動距離が長くなって必ずしも作業効率が優れるとは言えない欠点もある。
【0004】
このような場合には、図13に示すように、1つの搬送ライン60上に複数の作業エリアSAを設け、各作業エリアSAで作業対象品62に対する作業を行なうことが考えられる。しかし、搬送ライン60上に複数の作業エリアSAを設けた場合には、何れかの作業エリアSAでの作業が滞った場合には(図13では中間に位置する作業エリアSAで作業の滞りが生じている)、搬送ライン60の全体を停止する必要が生ずるため、この場合にも生産性の向上を図れない問題が指摘される。
そこで、本発明は、複数の作業エリアに効率的に作業対象品を搬送し、生産効率の向上を図り得る遊技機製造ラインの制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムは、
遊技機として完成されるべき作業対象品(X)に対し所要の作業を行なう作業エリア(SA)と、前記作業エリア(SA)へ向けて作業対象品(X)を搬送する搬送ライン(10,11)とを備えた遊技機製造ラインにおいて、
前記搬送ライン(10,11)の一部をなし、任意の作業対象品(X)の搬送および搬送停止を行ない得る複数の搬送手段(13,16)を複数連設したメインライン(ML)と、
前記搬送ライン(10,11)の一部をなし、前記搬送手段(13,16)の何れかにおいて前記メインライン(ML)から対応的に分岐すると共に、前記作業エリア(SA)が適所に設けられた複数のサブライン(SL)と、
前記夫々の搬送手段(13,16)を個別に作動制御し、該搬送手段(13,16)での作業対象品(X)の搬送および搬送停止を行なわせる制御手段(50)とからなり、
前記メインライン(ML)における各サブライン(SL)への分岐位置に、前記作業対象品(X)を待機可能な待機エリア(TA)を夫々設定することで、
何れかの待機エリア(TA)に待機させた作業対象品(X)を下流側の待機エリア(TA)または対応するサブライン(SL)へ送出した際に、この作業対象品(X)を送出した待機エリア(TA)に対して、上流側の待機エリア(TA)から作業対象品(X)を補充するよう前記各搬送手段(13,16)を作動制御して、常には各待機エリア(TA)に作業対象品(X)を待機させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、前記各待機エリア(TA)は複数の搬送手段(13,16)からなり、各待機エリア(TA)に複数の作業対象品(X)を待機させ得るよう構成してもよい。
【0007】
更に、前記各待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数を記憶する記憶手段(52)が設けられ、
何れかの待機エリア(TA)から作業対象品(X)が下流側の待機エリア(TA)または対応するサブライン(SL)へ送出された際に、前記記憶手段(52)が記憶する作業対象品(X)を補充すべき待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数と、その1つ上流側に位置する待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数とを比較し、
上流側に位置する待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数の方が少数の場合には作業対象品(X)の補充を一時的に停止し、当該上流側に位置する待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数が同数となった後に、作業対象品(X)を補充すべき待機エリア(TA)へ作業対象品(X)を補充するよう前記各搬送手段(13,16)を作動制御するようにすることもできる。
【0008】
更にまた、前記メインライン(ML)と各サブライン(SL)との分岐位置に設けられる搬送手段(13,16)は、メインライン(ML)の下流側へ向けて作業対象品(X)を搬送する第1位置、および対応するサブライン(SL)へ向けて作業対象品(X)を搬送し得る第2位置に変更可能に構成することも可能である。
【0009】
そして、前記サブライン(SL)の夫々は、前記メインライン(ML)と作業エリア(SA)との間に個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段(20)を備え、該第2の搬送手段(20)に作業対象品(X)を待機させ得るよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、搬送ラインをメインラインと該メインラインから分岐する複数のサブラインとから構成し、各サブラインに作業エリアを設けると共に、その分岐位置に作業対象品を待機させる待機エリアを設けたことで、何れかの作業エリアにおいて作業対象品に対する作業が完了した場合には、当該作業エリアを設けたサブラインに対して速やかに次の作業対象品を送出すことができるから、製造ラインの生産効率の向上を図り得る。また、何れかの待機エリアに待機させた作業対象品をメインラインの下流側または対応するサブラインへ送出した際には、該待機エリアに対して、上流側に位置する待機エリアから作業対象品を補充するようにしたから、下流側に位置する作業エリアに対してスムーズに作業対象品を補充し得る。更に、メインラインを不必要に増加させる必要がないから、製造ラインの大型化を招来することもなく、スペース的な問題を解消し得る利点がある。
【0011】
そして、請求項2に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、各待機エリアに複数の作業対象品を待機し得るよう構成したことで、1つの作業エリアに供給可能な作業対象品が増大するから、下流側の待機エリアに対して作業対象品を補充した場合であっても、上流側の待機エリアに作業対象品を残すことができ、対応の作業エリアに作業対象品を供給する必要が生じた場合であっても速やかに対応することが可能となる。更に、各待機エリアに複数の作業対象品を待機し得るよう構成したことで、前工程から搬送ラインへ供給される作業対象品を各待機エリアに順次ストックすることができるから、該前工程からの作業対象品の供給が滞るのを防止し得る。
【0012】
また、請求項3に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、上流側と下流側に隣接する待機エリアにおける作業対象品の待機数を比較し、その結果に応じて上流側から下流側へ作業対象品を搬送するようにしたから、下流側の待機エリアへの作業対象品の供給過剰、および上流側の待機エリアでの作業対象品の不足を防止することができ、各作業エリアに対して均一に作業対象品を供給できる。更に、請求項4に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、メインラインと各サブラインとの分岐位置に設けられる搬送手段を第1位置および第2位置に変更することで、メインラインに沿って搬送される作業対象品をサブラインへ向けて自動的に送出すことができるから、効率的に作業エリアへ作業対象品を供給し得る。
【0013】
更にまた、請求項5に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、サブラインの夫々に個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段を設け、該第2の搬送手段に作業対象品を待機させ得るよう構成したことで、対応する作業エリアに対して確実に作業対象品を供給でき、生産性をより一層向上し得る。殊に、分岐位置に設けられる搬送手段を第1位置および第2位置に変更し得る構成では、待機エリアの作業対象品を作業エリアへ供給するに際し、該搬送手段を第1位置から第2位置へ変位する動作を要するため、該作業エリアに対して作業対象品を速やかに供給し得ない。このような場合であっても、前記第2の搬送手段を設けることで、作業エリアに対して作業対象品を速やかに供給し得ると共に、その後に該第2の搬送手段へ作業対象品を供給し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、パチンコ機を製造する製造ラインにおいて、装飾部材や電子部品等の各種部材を取付けたパチンコ機(以下、作業対象品という)に対し、所定の作業エリアにおいて作業者が各種部材の取付状態や動作状態等を検査する検査ラインの制御システムを例にして説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、実施例に係る遊技機製造ラインの検査ラインKLを概略で示す説明図である。前記検査ラインKLは、作業対象品Xを所定方向へ搬送する第1搬送ライン10および第2搬送ライン11の2つのラインからなり、前工程において各種部材を取付けた作業対象品Xを、供給ライン30を介してこれら第1および第2搬送ライン10,11に供給するようになっている。ここで、前記第1搬送ライン10および第2搬送ライン11は基本的に同一構成であって、直線的に延在するメインラインMLと、該メインラインMLにおける作業対象品Xの搬送方向に離間する複数箇所からメインラインMLに対して直交する方向へ分岐する複数のサブラインSLとからなり、各サブラインSLに、所定の検査作業を行ない得る作業エリアSAを1箇所設けるよう構成されている。なお、以下の説明においては、必要に応じて第1搬送ライン10のメインラインMLを第1メインラインML1と指称し、第2搬送ライン11のメインラインMLを第2メインラインML2と指称すると共に、第1メインラインML1から分岐するサブラインSLを、その上流側から順に第1〜第3サブラインSL1〜SL3と指称し、第2メインラインML2から分岐するサブラインSLを、その上流側から順に第4〜第6サブラインSL4〜SL6と指称する。
【0016】
また、第1メインラインML1および第2メインラインML2は略平行に延在するよう設置されると共に、前記第1〜第3サブラインSL1〜SL3と第4〜第6サブラインSL4〜SL6の夫々は、対応のメインラインML1,ML2から反対方向へ分岐するよう設けられており、第1〜第3サブラインSL1〜SL3および第4〜第6サブラインSL4〜SL6の夫々が相互に干渉しないよう構成してある。すなわち、図1において、第1〜第3サブラインSL1〜SL3は第1メインラインML1から上方へ向けて延在すると共に、第4〜第6サブラインSL4〜SL6は第2メインラインML2から下方へ向けて延在している。
【0017】
なお、前記第1および第2搬送ライン10,11(各メインラインMLおよびサブラインSL)の下方位置には、作業エリアSAでの検査作業が完了したパチンコ機(以下、作業完了品Y(図6〜図9参照)という)を搬出する搬出ライン40(図2参照)が設けられて、検査ラインKLおよび搬出ライン40の上下2段構造となっている。このように、検査ラインKLおよび搬出ライン40の上下2段構造とすることで、製造ライン全体の幅方向への大型化を防止している。なお、上段に位置する前記第1および第2搬送ライン10,11は、概ね作業者の腰高さ位置となるよう設定されて、前記作業エリアSAにおいて作業者が立ち姿勢で容易に作業を行ない得るようになっている。
【0018】
(メインラインについて)
前記各メインラインMLは、任意の作業対象品Xの搬送および搬送停止を行ない得る第1の回転式搬送装置(搬送手段)13および第1の搬送装置(搬送手段)16を複数連設して構成され、制御手段50(図2参照)の制御に基づいてこれら各搬送装置13,16を作動させることで、作業対象品Xを所定の搬送方向(図1における左方向)へ搬送し得るようになっている。ここで、前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16は、夫々が独立した小型のローラーコンベヤタイプのものであって、前記制御手段50により個別に作動および作動停止され、必要に応じて各搬送装置13,16を作動することで作業対象品Xを搬送し得るようになっている。そして、前記各搬送装置13,16は、その作動停止時に1つの作業対象品Xを停止状態で保持し得る大きさに設定してある。なお、前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々は、作業対象品Xの上側を支持する支持手段(図示せず)を備えており、各搬送装置13,16で搬送される作業対象品Xの転倒を防止するよう構成されている。
【0019】
また、前記第1の回転式搬送装置13は、各メインラインMLに3基設けられて、各第1の回転式搬送装置13に対応して前記サブラインSLの夫々が分岐している。ここで、前記第1の回転式搬送装置13の夫々は、前記制御手段50の制御により、対応するメインラインMLの下流側へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第1位置(図3(a)参照)、および該第1位置から略90°回転して各第1の回転式搬送装置13に対応するサブラインSLの夫々へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第2位置(図3(b)参照)に変更し得るよう構成されており、該第1の回転式搬送装置13を回転させることで作業対象品Xの搬送方向を適宜変更可能となっている。なお、前記第1の回転式搬送装置13は、常には前記第1位置に位置決めされて、各メインラインMLの下流側へ向けて作業対象品Xを搬送(補充)可能で、かつ上流側から搬送される作業対象品Xを受入れ得るよう保持されている。また、前記第1の回転式搬送装置13により作業対象品Xを90°回転させることで、作業エリアSAでは作業者側に作業対象品Xの正面側が向く姿勢で到来し、作業場で作業者が容易に作業を行ない得るようになっている。
【0020】
前記各メインラインMLは、前記第1の回転式搬送装置13の上流側に2基の第1の搬送装置16,16が位置するよう構成されて、1基の第1の回転式搬送装置13およびその上流側に位置する2基の第1の搬送装置16,16により、最大で3つの作業対象品Xを待機可能な待機エリアTA(図1参照)を設定してある。なお、以下の説明においては、必要に応じて前記第1〜第6サブラインSL1〜SL6の夫々に対応する待機エリアTAを、第1〜第6の待機エリアTA1〜TA6という。
【0021】
このように、前記第1〜第6サブラインSL1〜SL6の夫々に対応して第1〜第6待機エリアTA1〜TA6を設けることで、各サブラインSL1〜SL6には対応する第1〜第6待機エリアTA1〜TA6に待機させた作業対象品Xが送出され、必要に応じて各メインラインMLにおける上流側の待機エリアTAから下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xを補充するようになっている。なお、以下の説明においては、図3に示すように、各待機エリアTAにおける第1の回転式搬送装置13を第1待機位置と、該第1の回転式搬送装置13より1つ上流側に位置する第1の搬送装置16を第2待機位置と、該第2待機位置より1つ上流側に位置する第1の搬送装置16を第3待機位置と夫々指称する。ここで、実施例では、前記待機エリアTA内では第1待機位置、第2待機位置、第3待機位置の順に優先的に作業対象品Xを待機させるよう前記制御手段50が各搬送装置13,16を作動制御している。
【0022】
また、図2に示すように、前記第1〜第3待機位置に対応する各搬送装置13,16,16の夫々には、前記作業対象品Xを検出する第1検出センサ(検出手段)14、第2検出センサ(検出手段)17および第3検出センサ(検出手段)18が対応して設けられている。ここで、前記各検出センサ14,17,18による検出結果は前記制御手段50の記憶手段52へ出力されて、該検出センサ14,17,18の検出結果に基づいて記憶手段52が各待機エリアTAにおける作業対象品Xの待機数(以下、単に待機エリアTAの待機数という)を個別に記憶し得るよう構成されている。そして、前記記憶手段52が記憶する作業対象品Xの待機数に基づいて、前記制御手段50が第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々を個別に作動および作動停止するようになっている。
【0023】
すなわち、何れかの第1の回転式搬送装置13(すなわち第1待機位置)から下流側の待機エリアTAあるいは対応するサブラインSLへ向けて作業対象品Xが送出されると、当該第1の回転式搬送装置13の属する待機エリアTAにおける第2待機位置の作業対象品Xが第1待機位置へ搬送され、第3待機位置の作業対象品Xが第2待機位置へ搬送される。このように、メインラインMLとサブラインSLとの分岐位置に、作業対象品Xを待機させる待機エリアTAを夫々設けることで、何れかのサブラインSLの作業エリアSAにおいて作業対象品Xに対する作業が完了した場合に、当該サブラインSLに対して速やかに次の作業対象品Xを送出し得るようになっている。
【0024】
ここで、前記記憶手段52は、前記第1の回転式搬送装置13から下流側の待機エリアTAまたは対応するサブラインSLへ作業対象品Xを送出した際に、この作業対象品Xを送出した待機エリアTAに対応する作業対象品Xの待機数を1減算するよう設定される。具体的には、第1待機エリアTA1における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなると、第1待機エリアTA1の待機数が1減算され、同様に第2〜第6待機エリアTA2〜TA6における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなると、対応する第2〜第6待機エリアTA2〜TA6の待機数が1減算されるようになっている。
【0025】
また、上流側から下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xが補充(搬送)されたときには、上流側の待機エリアTAから搬送されてきた作業対象品Xが補充されるべき搬送装置13,16の第1〜第3検出センサ14,17,18が該作業対象品Xを検出することで、この作業対象品Xが補充された下流側の待機エリアTAの待機数が1加算されるよう設定される。具体的には、待機エリアTAに作業対象品Xが待機していない状態(すなわち待機数「0」の状態)では、前記第1待機位置に対応する第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出することで待機数が1加算され、待機エリアTAに作業対象品Xを1つ待機させている状態(すなわち待機数「1」の状態)では、前記第2待機位置に対応する第1の搬送装置16の第2検出センサ17が作業対象品Xを検出することで待機数が1加算され、待機エリアTAに作業対象品Xを2つ待機させている状態(すなわち待機数「2」の状態)では、前記第3待機位置に対応する第1の搬送装置16の第3検出センサ18が作業対象品Xを検出することで待機数が1加算される。
【0026】
また、上流側に位置する待機エリアTAから下流側に位置する待機エリアTAへの作業対象品Xの補充(搬送)に関しては、前記制御手段50は、前記記憶手段52が記憶している隣接し合う待機エリアTAの作業対象品Xの待機数を比較して、上流側に位置する待機エリアTAの待機数の方が少数の場合には下流側に位置する待機エリアTAへの作業対象品Xの補充(搬送)を停止し、当該上流側に位置する待機エリアTAの作業対象品Xの待機数が同数以上となった後に、下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xを補充(搬送)するよう前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々を作動制御するよう構成してある。
【0027】
但し、前記制御手段50は、上流側の待機エリアTAと下流側の待機エリアTAの待機数を比較するに際し、比較対象となる上流側および下流側の待機エリアTA内における作業対象品Xの移動が夫々停止した後に、その待機数の比較を行なうよう設定される。すなわち、待機数の加算・減算が完了して各待機エリアTAの待機数が確定した後に、上流側と下流側に隣接する待機エリアTAの待機数を比較して上流側から下流側へ作業対象品Xを搬送することで、下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xが過剰に供給されたり、上流側の待機エリアTAにおける作業対象品Xの不足を防止し得るようになっている。
【0028】
ここで、図4〜図9に示す具体例を挙げて説明する。図4に示すように、第1待機エリアTA1に2つの作業対象品Xが待機(待機数「2」)し、第2待機エリアTA2に2つの作業対象品Xが待機(待機数「2」)すると共に、第3待機エリアTA3に3つの作業対象品Xが待機(待機数「3」)している状態では、第2待機エリアTA2の待機数は第3待機エリアTA3の待機数より少数であるため、第2待機エリアTA2から第3待機エリアTA3への作業対象品Xの補充は一時的に停止される。一方、第1待機エリアTA1の待機数は「2」であり、第2待機エリアTA2の待機数は「2」であるため、該第1待機エリアTA1から第2待機エリアTA2における第3待機位置へ作業対象品Xが補充(搬送)される(図5参照)。このとき、第1待機エリアTA1における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなるから、該第1待機エリアTA1の待機数が1減算されて待機数は「1」となる。但し、この時点では第2待機エリアTA2の待機数は加算されずに待機数は「2」のままである。なお、第1待機エリアTA1における第2待機位置にある作業対象品Xは第1待機位置へ搬送される。但し、この場合は同じ待機エリアTA(第1待機エリアTA1)内での作業対象品Xの移動のため、該第1待機エリアTA1の待機数は増減しない。
【0029】
更に、第2サブラインSL2の作業エリアSAでの作業が終了すると、第2待機エリアTA2から第2サブラインSL2へ向けて作業対象品Xが搬送される。このとき、第2待機エリアTA2における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなるから、該第2待機エリアTA2の待機数が1減算されて待機数は「1」となる(図6参照)。その後、図7に示すように、第2待機エリアTA2における第2待機位置にある作業対象品Xが第1待機位置へ搬送される。ここで、第2待機エリアTA2の待機数は「1」となっているが、前記第1待機エリアTA1から搬送された作業対象品Xは、第3待機位置まで到来して前記第3検出センサ18が作業対象品Xを検出することで、該第2待機エリアTA2の待機数が1加算されて「2」となる。なお、第2待機エリアTA2では第2待機位置から作業対象品Xが移動しているため、第1待機エリアTA1から第3待機位置へ到来した作業対象品Xは第2待機位置へ移動する。但し、この場合は同じ待機エリアTA(第2待機エリアTA2)内での作業対象品Xの移動のため、該第2待機エリアTA2の待機数は増減しない。
【0030】
更に、第3サブラインSL3の作業エリアSAでの作業が終了すると、第3待機エリアTA3から第3サブラインSL3へ向けて作業対象品Xが搬送される。このとき、第3待機エリアTA3における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなるから、該第3待機エリアTA3の待機数が1減算されて待機数は「2」となる。その後、図8に示すように、第3待機エリアTA3における第2待機位置にある作業対象品Xが第1待機位置へ搬送され、第3待機位置にある作業対象品Xが第2待機位置へ搬送される。但し、この場合は同じ待機エリアTA(第3待機エリアTA3)内での作業対象品Xの移動のため、該第3待機エリアTA3の待機数は増減しない。
【0031】
このとき、第2および第3待機エリアTA2,TA3の待機数は何れも「2」となるが、第2および第3待機エリアTA2,TA3内で作業対象品Xが移動しているため、各待機エリアTAの待機数の比較は行なわれない。従って、図8に示すように、前記第2待機エリアTA2の第1および第2待機位置に到来した作業対象品Xはそのまま待機し、第2サブラインSL2の作業エリアSAでの作業が終了した場合には、該第2サブラインSL2へ向けて第1待機位置の作業対象品Xが搬送される。また、前記第2サブラインSL2へ向けて作業対象品Xを搬送する前に、第3待機エリアTA3の第1および第2待機位置の夫々に作業対象品Xが到来すると(図9参照)、第2待機エリアTA2と第3待機エリアTA3の待機数が比較され、両待機エリアTA2,TA3の待機数は同数(待機数は何れも「2」)であるため、第2待機エリアTA2から第3待機エリアTA3の第2待機位置へ作業対象品Xが補充(搬送)される。このとき、前述したと同様に、第2待機エリアTA2における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなったときに、該第2待機エリアTA2の待機数が1減算されて待機数は「1」となるが、この時点では第3待機エリアTA3の待機数は加算されずに待機数は「2」のままである。このように、前述した条件に基づいて各待機エリアTAの待機数を増減し、かつ各待機エリアTA内の作業対象品Xの移動が停止した後に待機エリアTAの待機数を比較することで、各待機エリアTA内に略均等に作業対象品Xを待機させることができる。なお、前記第1待機エリアTA1に対しては、前記供給ライン30から作業対象品Xが順次供給される。
【0032】
(サブラインについて)
図1に示すように、前記サブラインSLの夫々は、前記第1の回転式搬送装置13に接続する第2の搬送装置20と、該第2の搬送装置20に接続し、前記作業エリアSAが設けられる第3の搬送装置23と、該第3の搬送装置23に接続し、作業エリアSAからの作業完了品Yを前記搬出ライン40へ移動するリフト手段27とを一列に連設して構成されている。すなわち、実施例では前記第3の搬送装置23の近傍に作業者が位置して、該第3の搬送装置23に停止した作業対象品Xに対して所定の検査作業を行なうようになっている。
【0033】
前記第2および第3の搬送装置20,23は、前記第1の搬送装置16と同様に、夫々が独立した小型のローラーコンベヤタイプのものであって前記制御手段50により個別に作動および作動停止が制御され、各搬送装置20,23の作動により第1の回転式搬送装置13からリフト手段27へ向けて作業対象品Xまたは作業完了品Yを搬送するよう構成される。また、前記第2および第3の搬送装置20,23の夫々は、その作動停止時に1つの作業対象品Xまたは作業完了品Yを停止状態で保持し得る大きさに設定してある。すなわち、前記第1の回転式搬送装置13から対応するサブラインSL1〜SL6へ送出された作業対象品Xを前記第2の搬送装置20に一時的に待機させ、作業エリアSAでの作業が完了した後に、作業完了品Yとしてリフト手段27へ搬送すると共に、第2の搬送装置20から第3の搬送装置23(作業エリアSA)へ作業対象品Xを搬送して、次の作業対象品Xに対して検査作業を行なうようになっている。なお、前記第2および第3の搬送装置20,23の夫々は、作業対象品Xの上側を支持する支持手段(図示せず)を備えており、各搬送装置20,23で搬送される作業対象品Xの転倒を防止するよう構成されている。
【0034】
また、前記第2の搬送装置20および第3の搬送装置23の夫々には、作業対象品Xまたは作業完了品Yを検出する第4検出センサ21および第5検出センサ24が設けられており、第3の搬送装置23に設けた第5検出センサ24が作業完了品Yを検出しなくなると、第2の搬送装置20の作業対象品Xを第3の搬送装置23(作業エリアSA)へ搬送するよう前記制御手段50が第2の搬送装置20を作動制御している。同様に、前記第2の搬送装置20に設けた第4検出センサ21が作業対象品Xを検出しなくなると、対応する第1の回転式搬送装置13を第2位置に回転させて、該第1の回転式搬送装置13から第2の搬送装置20へ作業対象品Xを搬送するようになっている。
【0035】
なお、前記各作業エリアSAの近傍には、前記制御手段50に設けた識別手段54に接続するスイッチ25(図2参照)が設けられており、該スイッチ25のON−OFFにより対応する作業エリアSA(サブラインSL)の稼働の有無を識別手段54が識別するようになっている。すなわち、検査作業を開始するに際して、作業者が作業エリアSAに対応するスイッチ25をONにすると、前記識別手段54が対応の作業エリアSA(サブラインSL)が稼働しているものと認識し、該スイッチ25をOFFにすると、識別手段54が対応する作業エリアSA(サブラインSL)が稼働していないものとして認識するようになっている。なお、実施例では、第2搬送ライン11における第6サブラインSL6に設けた作業エリアSAのスイッチ25がOFFになっており、第1搬送ライン10では第1〜第3サブラインSL1〜SL3に設けた3箇所の作業エリアSAが稼働し、第2搬送ライン11では第4および第5サブラインSL4,SL5に設けた2箇所の作業エリアSAが稼働している。
【0036】
ここで、前記制御手段50は、前記識別手段54の識別情報に基づいて、稼働している作業エリアSA(サブラインSL)に対応する待機エリアTAに作業対象品Xを待機させると共に、稼働していない作業エリアSA(サブラインSL)に対応する待機エリアTAには作業対象品Xを待機させないよう前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々を作動制御している。具体的には、実施例では稼働していない作業エリアSAを設けた第6サブラインSL6に対応する第6待機エリアTA6を除く第1〜第5待機エリアTA1〜TA5の夫々に、作業対象品Xを待機させるよう前記制御手段50が各搬送装置13,16を作動制御している(図1参照)。このように、稼働している作業エリアSAに対応する第1〜第5待機エリアTA1〜TA5に作業対象品Xを待機させることで、生産計画に合わせて稼働させる作業エリアSAを決定し得るようになっている。
【0037】
また、前記リフト手段27は、前記作業エリアSA(第3の搬送装置23)からの作業完了品Yを受入れ可能な受入れ位置、および該受入れ位置から下降移動し、前記搬出ライン40へ作業完了品Yを受渡し可能な受渡し位置に昇降移動可能に構成され、常には受入位置に位置決めされて作業完了品Yを受入れ得るよう位置決めされている。そして、前記リフト手段27に設けた第6検出センサ28が作業完了品Yを検出することで、該リフト手段27を前記受渡し位置へ移動させるよう前記制御手段50が作動制御している。なお、リフト手段27には、小型のローラーコンベヤタイプの搬送装置が組み込まれており、前記受渡し位置へ移動した後に作業完了品Yをリフト手段27から搬出ライン40へ搬送し得るようになっている。このように、リフト手段27により作業完了品Yを搬出ライン40へ搬送するよう構成することで、作業者が作業終了後に作業完了品Yを搬出ライン40へ移動させる手間が省け、作業効率の向上が図られる。
【0038】
(供給ラインについて)
前記第1および第2搬送ライン10,11へ向けて作業対象品Xを供給する前記供給ライン30は、前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)に接続する供給コンベヤ32と、該供給コンベヤ32の下流端から第2搬送ライン11側へ延在するよう分岐し、前記第2搬送ライン11(第2メインラインML2)に接続する接続コンベヤ34とからなり、第1搬送ライン10に対しては作業対象品Xを供給コンベヤ32から供給し、第2搬送ライン11に対しては供給コンベヤ32からの作業対象品Xを、接続コンベヤ34を介して供給するようになっている。前記供給コンベヤ32と接続コンベヤ34との分岐位置には、第1メインラインML1へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第3位置、および該第3位置から略90°回転して接続コンベヤ34へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第4位置に変更し得る第2の回転式搬送装置36が設けられており、必要に応じて第1搬送ライン10(第1メインラインML1)または第2搬送ライン11(第2メインラインML2)に作業対象品Xを搬送し得るよう構成されている。
【0039】
なお、前記供給コンベヤ32および接続コンベヤ34の夫々は、前述と同様にローラーコンベヤタイプのものであって、前記制御手段50により作動および作動停止を制御されている。ここで、前記制御手段50は、前記第2の回転式搬送装置36に設けた第7検出センサ37が作業対象品Xを検出している間は、前記供給コンベヤ32を停止させるよう制御している。そして、第2の回転式搬送装置36から前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)または第2搬送ライン11(第2メインラインML2)へ向けて作業対象品Xが搬送されて、前記第7検出センサ37が作業対象品Xを検出しなくなると、供給コンベヤ32を作動させて第2の回転式搬送装置36へ作業対象品Xを移動するようになっている。
【0040】
具体的には、前記制御手段50は、前記識別手段54が識別する第1および第2搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数を比較して、作業エリアSAの稼働数の比率に応じて前記第1および第2メインラインML1,ML2への作業対象品Xの供給数を調整している。すなわち、実施例では、前述したように第1搬送ライン10では3箇所の作業エリアSAが稼働し、第2搬送ライン11では2箇所の作業エリアSAが稼働していることから、常にはその稼働数の比率(すなわち3対2)となるよう第1搬送ライン10および第2搬送ライン11への作業対象品Xの供給数が調整される。なお、供給順序としては、第1搬送ライン10(第1メインラインML1)へ3つの作業対象品Xを供給した後に、第2搬送ライン11(第2メインラインML2)へ2つの作業対象品Xを供給するのを繰返し、全体として両メインラインML1,ML2への作業対象品Xの供給が偏らないよう制御される。
【0041】
また、所定条件が成立した場合には、前記制御手段50は、前記記憶手段52が記憶している前記第1搬送ライン10の最下流側で稼働している作業エリアSAに対応する第1の特定の待機エリアTA(実施例では第3待機エリアTA3)の待機数と、前記第2搬送ライン11の最下流側で稼働している作業エリアSAに対応する第2の特定の待機エリアTA(実施例では第5待機エリアTA5)の待機数とを比較し、待機数の少ない特定の待機エリアTA3,TA5が属するメインラインML1,ML2の何れかへ作業対象品Xを優先的に供給し得るよう供給ライン30を作動制御している。ここで、前記「所定条件」としては、一定時間が経過した地点、あるいは何れかの特定の待機エリアTA3,TA5の待機数が最大数(すなわち待機数「3」)になった時点、その他任意の条件に設定することができ、設定した条件の成立毎に両特定の待機エリアTA3,TA5の待機数を比較して、各搬送ライン10,11(メインラインML1,ML2)への作業対象品Xの供給数を調整するようになっている。
【0042】
(搬出ラインについて)
前記搬出ライン40は、前記検査ラインKLと基本的に同一構成であるから、同一の機能を有する部材には同一の符号を付して説明する。前記搬出ライン40は、前記各メインラインMLの下方に設けられて、作業完了品Yを図示しない出荷工程へ搬送する2つの第1の回収ライン42,42と、前記各サブラインSLの下方に設けられて第1回収ライン42,42に合流する第2回収ライン44とから構成される(図2参照)。ここで、前記第1回収ライン42の夫々は、前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16を連設して構成され、前記第2回収ライン44との合流位置に第1の回転式搬送装置13を配置してある。
【0043】
すなわち、前記第1回収ライン42における第1の回転式搬送装置13を前記第1位置に位置決めすることで、該第1回収ライン42に沿って作業完了品Yを搬送し得ると共に、該第1の回転式搬送装置13を第2位置に回転させることで、対応する第2回収ライン44で搬送される作業完了品Yを第1回収ライン42に受入れ得るようになっている。なお、前記第2回収ライン44における前記リフト手段27と第1回収ライン42の第1の回転式搬送装置13との間は、2つの第2の搬送装置20で接続してある。
【0044】
ここで、前記第1回収ライン42には、前記各メインラインMLの待機エリアTAにおける第3待機位置と上下に対応する位置に、作業完了品Yを検出する第8検出センサ45が設けられると共に、前記第2回収ライン44には、前記各サブラインSLにおける第3の搬送装置23と上下に対応する位置に、作業完了品Yを検出する第9検出センサ46が夫々設けられている。そして、前記第8検出センサ45および第9検出センサ46の何れか先に作業完了品Yを検出した検出センサ45,46に対応する回収ライン42,44から作業完了品Yを優先的に搬出するよう前記第1の回転式搬送装置13を回転させるようになっている。
【0045】
具体的には、前記第2回収ライン44の第9検出センサ46より先に第1回収ラインの第8検出センサ45が作業完了品Yを検出した場合には、第2回収ライン44の各第2の搬送装置20を停止させると共に、前記第1の回転式搬送装置13を第1位置に位置決めして第1回収ライン42の作業完了品Yを前記出荷工程へ搬送する。一方、前記第1回収ライン42の第8検出センサ45より先に第2回収ライン44の第9検出センサ46が作業完了品Yを検出した場合には、第1回収ライン42の各第1の搬送装置16を停止させて第1回収ライン42での搬送を停止すると共に、前記第1の回転式搬送装置13を第2位置に回転させて第2回収ライン44の作業完了品Yを第1の回転式搬送装置13に受入れ、受入れ後に当該第1の回転式搬送装置13第1位置に回転して第1回収ライン42での搬送を再開して、前記出荷工程へ搬送するようになっている。
【0046】
次に、前述した供給ラインKLおよび各搬送ライン10,11の制御態様の一例につき、図10〜図12を用いて説明する。
【0047】
(供給ラインから各搬送ラインへの作業対象品の供給について)
前工程において各種部品の組付けが完了した作業対象品Xは、図10に示す作業対象品供給処理に基づいて、供給ライン30を作動して順次検査ラインKLへ向けて搬送される。先ず、前記供給コンベヤ32の下流側に位置する第2の回転式搬送装置36に設けた第7検出センサ37が作業対象品Xを検出したか否かを判定する(ステップS101)。このとき、第7検出センサ37が作業対象品Xを検出していないときは、そのまま作業対象品供給処理が終了する。第7検出センサ37が作業対象品Xを検出すると、ステップS102へ進んで予め定めた時間等の所定条件が成立したか否かを判定して、所定条件が成立していないとき場合にはステップS103へ進み、所定条件が成立している場合にはステップS106へ進む。すなわち、作業対象品供給処理では、常にはステップS103以降の処理がなされ、所定条件が成立する毎にステップS106以降の処理がなされるようになっている。
【0048】
ステップS103に進むと、前記識別手段54が識別した前記第1搬送ライン10における作業エリアSAの稼働数を取得すると共に、前記第2搬送ライン11における作業エリアSAの稼働数を取得し(ステップS104)、各搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数の比率に応じて前記第1メインラインML1および第2メインラインML2へ作業対象品Xを供給する(ステップS105)。具体的には、前述のように第1搬送ライン10では3つの作業エリアSAが稼働しているのに対し、前記第2搬送ライン11では2つの作業エリアSAが稼働しているから、前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)への作業対象品Xの供給数と第2搬送ライン11(第2メインラインML2)への作業対象品Xの供給数との比率が、3:2となるよう供給ライン30が作動する。
【0049】
このように、第1および第2搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数の比率に応じて各搬送ライン10,11(各メインラインML1,ML2)への作業対象品Xの供給数を調整することで、稼働している各作業エリアSAへの作業対象品Xの供給割合を均一にし得るから、各搬送ライン10,11への作業対象品Xの供給効率を向上し得る利点がある。また、第1メインラインML1へ3つの作業対象品Xを供給した後に、第2メインラインML2へ2つの作業対象品Xを供給するよう設定されているから、全体として両メインラインML1,ML2への作業対象品Xの供給が偏ることはなく、生産効率の低下を招来することはない。
【0050】
また、前記ステップS102からステップS106へ進んだ場合には、前記記憶手段52が記憶している第1搬送ライン10(第1メインラインML1)における第3待機エリアTA3(第1の特定の待機エリア)の待機数、および第2搬送ライン11(第2メインラインML2)における第5待機エリアTA5(第2の特定の待機エリア)の待機数を取得する(ステップS106,ステップS107)。そして、取得した第3待機エリアTA3の待機数と、第5待機エリアTA5の待機数とを比較し(ステップS108)、両待機エリアTA3,TA5の待機数が同数以上の場合には前記ステップS103に進んで各搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数の比率に応じて作業対象品Xを供給する。
【0051】
一方、前記ステップS108において、第3および第5待機エリアTA3,TA5の待機数が同数でないと判定された場合にはステップS109に進み、第3待機エリアTA3の待機数が第5待機エリアTA5の待機数より少数か否かを判定する。そして、第3待機エリアTA3の待機数の方が少数の場合には前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)へ向けて作業対象品Xを供給し(ステップS110)、第3待機エリアTA3の待機数の方が多数の場合には第2搬送ライン11(第2メインラインML2)へ向けて作業対象品Xを供給する(ステップS111)。
【0052】
このように、待機数の少ない待機エリアTA3,TA5の属する搬送ラインへ優先的に作業対象品Xを供給することで、作業者の作業能力の差に応じて各搬送ライン10,11(メインラインML1,ML2)へ作業対象品Xを供給できるから、生産効率の向上が図られる。また、一定時間の経過等の予め定めた所定条件が成立する毎に、前記第3および第5待機エリアTA3,TA5の待機数を比較して、作業対象品Xを優先的に供給する搬送ライン10,11(メインラインML1,ML2)を見直すようにしてあるから、両搬送ライン10,11の各待機エリアTAの待機数を常に略均等に保つことが可能である。殊に、実施例に示す検査作業のように、作業者の熟練度等により作業速度が異なる場合であっても、その作業速度に合わせて各作業エリアSAに対して作業対象品Xを供給し得るようになるから、作業効率を大きく改善し得る利点がある。
【0053】
(各搬送ラインにおける作業対象品の搬送について)
次に、前記供給ライン30から各搬送ライン(メインライン)に供給された作業対象品Xの作業エリアSAへの搬送について説明する。なお、前記第1搬送ライン10および第2搬送ライン11において、夫々に設けた作業エリアSAへの作業対象品Xの搬送制御に関しては同一であり、また前記制御手段50は、前記待機エリアTAの夫々を1つの単位として、各待機エリアTAに対して同じ作業対象品搬送処理(図11参照)を行なっている。
【0054】
図11に示すように、先ず待機エリアTAにおける第1待機位置(第1の回転式搬送装置13)に作業対象品Xがあるか否かを判定する(ステップS201)。すなわち、第1の回転式搬送装置13に設けた第1検出センサ14が作業対象品Xを検出している場合にはステップS202に進み、該第1検出センサ14が作業対象品Xを検出していない場合には後述するステップS207に進む。前記ステップS202に進むと、前記待機エリアTAに対応するサブラインSLにおける第2の搬送装置20に作業対象品Xがあるか否かを判定する。すなわち、前記第2の搬送装置20に設けた第4検出センサ21が作業対象品Xを検出していない場合にはステップS203に進み、第4検出センサ21が作業対象品Xを検出している場合には後述するステップS212に進む。換言すると、作業エリアSAでの作業が終了して第2の搬送装置20から作業対象品Xが搬送された場合にステップS203に進み、作業エリアSAにおいて作業が行なわれている最中で第2の搬送装置20に作業対象品Xが待機している場合にステップS212に進む。
【0055】
ステップS203に進むと、対応する第1の回転式搬送装置13を第2位置へ回転させて、該第1の回転式搬送装置13(第1待機位置)から第2の搬送装置20へ作業対象品Xを搬送する(ステップS204)。そして、この待機エリアTAに関して前記記憶手段52が記憶している作業対象品Xの待機数を1減算した後に(ステップS205)、ステップS206へ進んで前記第1の回転式搬送装置13を第1位置へ回転させ、その後ステップS207へ進む。すなわち、前記第1待機位置に作業対象品Xが待機していない場合にステップS207に進む。このように、前記第1の回転式搬送装置13を第1位置および第2位置に回転可能に構成したことで、各メインラインMLに沿って搬送される作業対象品Xを自動的に対応するサブラインSLへ向けて送出すことができる。すなわち、作業対象品Xを、各サブラインSLに設けた作業エリアSAへ効率的に供給し得る利点がある。
【0056】
また、サブラインSLの夫々に、個別に作動および作動停止可能な第2の搬送装置20を設け、前記第1の回転式搬送装置13からの作業対象品Xを第2の搬送装置20に一旦待機させるようにしたことで、対応する作業エリアSAに対して確実に作業対象品Xを供給でき、生産性をより一層向上し得る。殊に、実施例のように第1の回転式搬送装置13を第1位置および第2位置に回転させる構成では、待機エリアTAの作業対象品XをサブラインSLへ送出すに際して、前述のように第1の回転式搬送装置13を第1位置から第2位置へ変位する動作を要するため、サブラインSLに対して作業対象品Xを速やかに供給し得ない。このような場合であっても、前記第2の搬送装置20を設けることで、作業エリアSAに対して第2の搬送装置20に待機させた作業対象品Xを速やかに供給し得ると共に、更にその後に第2の搬送装置20へ作業対象品Xを供給して待機させることで、生産効率の向上を図り得る。
【0057】
ステップS207に進むと、前記第2待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定する。具体的には、第2待機位置に対応する第1の搬送装置16に設けた第2検出センサ17が作業対象品Xを検出している場合には、ステップS208へ進んで該第1の搬送装置16を作動して第2待機位置の作業対象品Xを第1待機位置(第1の回転式搬送装置13)へ搬送してステップS209に進む。なお、前記第2検出センサ17が作業対象品Xを検出していない場合には、ステップS209に進む。ステップS209では、前記第3待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定する。すなわち、第3待機位置に対応する第1の搬送装置16に設けた第3検出センサ18が作業対象品Xを検出している場合には、該第1の搬送装置16を作動して第3待機位置の作業対象品Xを第2待機位置へ搬送し(ステップS210)、該第3検出センサ18が作業対象品Xを検出していない場合には、ステップS211に進んで作業対象品補充処理(図12参照)が行なわれる。
【0058】
一方、前記ステップS202において第2の搬送装置20に作業対象品Xがあると判定されてステップS212へ進むと、前記第2待機位置に作業対象品Xがあるか否かが判定される。すなわち、第2待機位置に対応する第1の搬送装置16に設けた第2検出センサ17が作業対象品Xを検出している場合にはステップS213に進んで第3待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定する。なお、前記ステップS212において、第2待機位置に作業対象品Xがない(第2検出センサ17が作業対象品Xを検出していない)場合には、前記ステップS209に進んで第3待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定して、前述と同様に該第3待機位置に作業対象品Xがある場合には第3待機位置の作業対象品Xを第2待機位置へ搬送し(ステップS210)、該第3待機位置に作業対象品Xがない場合には、ステップS211に進んで作業対象品補充処理(図12参照)が行なわれるようになっている。また、ステップS213では、第3待機位置に作業対象品Xがある(すなわち、対応する第1の搬送装置16に設けた第3検出センサ18が作業対象品Xを検出している)場合には、作業対象品搬送処理が終了し、該第3検出センサ18が作業対象品Xを検出していない場合にはステップS210に進んで作業対象品補充処理(図12参照)が行なわれる。
【0059】
このように、各メインラインMLにおけるサブラインSLとの分岐位置に作業対象品Xを待機させる待機エリアTAを設けたことで、何れかのサブラインSLにおける作業エリアSAにおいて作業対象品Xに対する作業が完了した場合には、当該作業エリアSA(サブラインSL)に対して速やかに次の作業対象品Xを送出すことができるから、製造ラインの生産効率の向上を図り得る。また、待機エリアTA内において下流側に位置する待機位置へ優先的に作業対象品Xを待機させるようにしたことで、作業対象品Xを対応のサブラインSLまたは下流側の待機エリアTAに対して速やかに送出し得るから、下流側の待機エリアTAへの、あるいは全ての待機エリアTAから対応のサブラインSLへの作業対象品Xの供給効率を向上することができる。
【0060】
更に、各待機エリアTAに最大で3つの作業対象品Xを待機させ得るよう構成したから、下流側の待機エリアTAに対して作業対象品Xを補充した場合であっても、上流側の待機エリアTAに作業対象品Xを残すことができ、対応の作業エリアSAに作業対象品Xを供給する必要が生じた場合であっても速やかに対応することが可能となる。更にまた、各待機エリアTAに複数の作業対象品Xを待機させることで、供給ライン30から供給される作業対象品Xを各待機エリアTAに順次ストックすることができ、該供給ライン30からの作業対象品Xの供給をスムーズに行ない得る。すなわち、供給ライン30を極力停止させなくて済むから、前工程での作業に悪影響を及ぼすことはない。
【0061】
(上流側の待機エリアからの作業対象品の補充について)
図12に示すように、前記作業対象品補充処理では、前記記憶手段52が記憶している作業対象品Xを補充すべき待機エリアTA(以下、受入れ側の待機エリアTAという)と、その1つ上流に位置する待機エリアTA(以下、送出し側の待機エリアTAという)の待機数を比較する(ステップS301)。ここで、送出し側の待機エリアTAの待機数の方が少数の場合には、該送出し側の待機エリアTAの待機数が同数になるまで受入れ側の待機エリアTAへの作業対象品Xの補充(搬送)を一時的に停止する(ステップS302、ステップS303)。送出し側と受入れ側の待機エリアTAの待機数が同数になると、ステップS304に進んで、送出し側の待機エリアTAにおける第1の回転式搬送装置13が第1位置にあるかを判定し、この第1の回転式搬送装置13が第1位置に変位した後に、該第1の回転式搬送装置13から作業対象品Xを受入れ側の待機エリアTAへ搬送する(ステップS305)。そして、送出し側の待機エリアTAから作業対象品Xを搬送すると、前記記憶手段52が記憶する送出し側の待機エリアTAの待機数を1減算する(ステップS306)。なお、ステップS301において、送出し側の待機エリアTAの待機数が受入れ側の待機エリアTAの待機数と同数以上と判定された場合には、ステップS304に直接進むようになっている。
【0062】
このように、送出し側と受入れ側に隣接する待機エリアTAの待機数を比較して作業対象品Xを搬送することで、受入れ側の待機エリアTAへの作業対象品Xの供給過剰、および送出し側の待機エリアTAでの作業対象品Xの不足を防止することができる。すなわち、各待機エリアTAに対応する作業エリアSAに均一に作業対象品Xを供給できるから、作業エリアSAでの作業負担にバラツキが生ずるのを防止し得る利点がある。
【0063】
次いで、ステップS307に進むと、前記受入れ側の待機エリアTAの待機数が「0」か否かを判定し、「0」の場合には作業対象品Xを第1の回転式搬送装置13(第1待機位置)に補充するよう各搬送装置13,16を作動制御する(ステップS308)。また、受入れ側の待機エリアTAの待機数が「0」でない場合には、ステップS309に進んで待機数が「1」か否かを判定し、待機数が「1」の場合には作業対象品Xを第2待機位置に補充すると共に、待機数が「1」でない場合(すなわち、待機数が「2」の場合)には作業対象品Xを第3待機位置に補充するよう各搬送装置13,16を作動制御する(ステップS310,ステップS311)。そして、補充される待機位置の検出センサ14,17,18が作業対象品Xを検出すると、前記記憶手段52が記憶する受入れ側の待機エリアTAの待機数が1加算されて(ステップS312)、待機数が上限に達すると、作業対象品補充処理が終了する。なお、各メインラインML1,ML2において最上流側に位置する第1待機エリアTA1および第4待機エリアTA4への作業対象品Xの補充に関しては、前記供給ライン30から供給される作業対象品Xを前記ステップS307〜ステップS312の処理に基づいて第1〜第3待機位置の何れかに補充される。
【0064】
このように、何れかの待機エリアTAに待機させた作業対象品XをメインラインMLの下流側または対応するサブラインSLへ送出して、第1〜第3待機位置の何れかに「空き」が生じた際に、該待機エリアTAの上流側に位置する待機エリアTAから作業対象品Xを補充するようにしたから、下流側に位置する作業エリアSAに対してスムーズに作業対象品Xを補充し得る。すなわち、メインラインMLに対して複数の作業エリアSAを設けた場合であっても、各作業エリアSAに対して滞りなく作業対象品Xを搬送することができるから、作業効率を向上し得る。従って、各作業エリアSAに作業能力が異なる作業者を配置した場合であっても、その作業能力に合わせて各作業エリアSAに対して作業対象品Xを供給し得るようになるから、作業効率が大幅に改善される。また、作業エリアSAを複数設けるに際し、メインラインMLを不必要に増加させる必要がないから、製造ラインの大型化を招来することもなく、スペース的な問題を解消し得る利点がある。
【0065】
更に、実施例のように、前記各待機エリアTAから下流側の待機エリアTAまたは対応するサブラインSLへ向けて作業対象品Xを送出した際に限り、記憶手段52の記憶数を1減算すると共に、上流側の待機エリアTAからの作業対象品Xを、補充すべき搬送装置13,16の検出センサ14,17,18が検出した際に記憶手段52の記憶数を1加算するようにしたことで、各待機エリアTAの作業対象品Xの待機数を正確に管理し得る。すなわち、同じ待機エリアTA内での作業対象品Xの移動によっては作業対象品Xの待機数を増減しないから、各待機エリアTAの待機数を正確に把握でき、下流側の待機エリアTAへの作業対象品Xの供給過剰、および上流側の待機エリアTAでの作業対象品Xの不足を防止して、各作業エリアSAに対して均一に作業対象品Xを供給し得る利点がある。また、検出センサ14,17,18が検出した際に記憶手段52の記憶数を1加算することで、各待機エリアTAへ作業対象品Xを補充するに際し、作業対象品Xを補充すべき待機位置を容易に特定することが可能となる。
【0066】
(作業完了品の搬出について)
なお、前記作業エリアSAでの作業が完了した作業完了品Yは、前記第3の搬送装置23により前記リフト手段27へ搬送されると共に、該リフト手段27により搬出ライン40へ搬送されて出荷工程へと運ばれる。このように、作業完了品Yをリフト手段27により搬出ライン40へ搬送することにより、作業終了後に作業者が搬出ライン40や出荷工程へ作業完了品Yを移動させる手間が省けるから、作業効率の向上が図られる。
【0067】
また、前記搬出ライン40により作業完了品Yを搬送するに際し、該搬出ライン40における第1回収ライン42と第2回収ライン44との合流位置で、該第1回収ライン42に搬送される作業完了品Yと第2回収ライン44に搬送される作業完了品Yとが接触等する虞がある。そこで、実施例では、第1回収ライン42に第8検出センサ45を設けると共に、第2回収ライン44に第9検出センサ46を設け、これら検出センサ45,46の何れか先に作業完了品Yを検出した回収ライン42,44の作業完了品Yを先に搬送するようにしたから、作業完了品Yをスムーズに搬送することが可能である。
【0068】
〔変更例〕
なお、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムとしては、実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、実施例では、2つのメインラインを設けたが、1または3以上のメインラインを設けるようにしてもよく、またメインラインから分岐するサブラインの数も実施例のように3つに限られるものでなく、1つのメインラインから2以上のサブラインを分岐させることが可能である。また、実施例では各待機エリアに3つの作業対象品を待機させ得るよう構成したが、これに限らず、1つまたは2、あるいは4以上の作業対象品を待機させるようにしてもよい。
【0069】
更に、前記メインラインを構成する搬送手段としては、実施例に示す搬送装置に限らず、任意の作業対象品の搬送および搬送停止を行ない得るものであれば、従来公知の各種搬送手段を採用し得る。ここで、実施例では、前記メインラインにおけるサブラインとの分岐位置に回転式搬送装置を設けて、該回転式搬送装置を第1位置と第2位置とに回転するよう構成したがメインラインの下流および対応するサブラインへ作業対象品を送出し得る構成であれば任意の構成・手段を採用可能である。例えばメインラインにおけるサブラインとの分岐位置に作業対象品をサブラインへ向けて押出すプッシャ等の押出し手段を配設するようにしても、実施例と同様に作用効果を得ることができる。更にまた、実施例では、サブラインにおける前記メインラインと作業エリアとの間に、個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段を設ける構成を例示したが、該第2の搬送手段を設けることなく作業エリアをメインラインに隣接して設ける構成とすることもできる。
【0070】
また、搬送ライン(メインラインおよびサブライン)の制御態様に関しては、実施例のものに限定されるものではなく、何れかの待機エリアに待機させた作業対象品を下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出した際に、この作業対象品を送出した待機エリアに対して、上流側の待機エリアから作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御して、常には各待機エリアに作業対象品を待機させるようにすれば、任意に変更することができる。同様に、何れかの待機エリアから作業対象品が下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出された際に、前記記憶手段が記憶する作業対象品を補充すべき待機エリアにおける作業対象品の待機数と、その1つ上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数とを比較し、上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数の方が少数の場合には作業対象品の補充を一時的に停止し、当該上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数が同数となった後に、作業対象品を補充すべき待機エリアへ作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御するようすれば、実施例とは異なる制御態様を採用することが可能である。
【0071】
そして、複数設けた搬送ライン(メインライン)へ作業対象品を供給する供給ラインの制御態様に関しても実施例のものに限定されず、所要に応じて変更することができる。すなわち、識別手段の識別情報に基づいて各搬送ラインにおける作業エリアの稼働数を比較して、作業エリアの稼働数の比率に応じて各メインラインへの作業対象品の供給数を調整するようにすればよい。同様に、前記記憶手段が記憶する各待機エリアにおける作業対象品の待機数が均等になるよう各メインラインの搬送手段を制御すると共に、所定条件の成立により各搬送ラインにおける所定の待機エリアにおける作業対象品の待機数を比較して、待機数の少ない待機エリアの属する搬送ラインのメインラインへ優先的に作業対象品を供給することで、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
また、作業対象品としては、実施例のような各種部材が取付けられて作動検査前のパチンコ機に限定されるものではなく、例えば遊技盤やその他遊技機製造に係る部材であれば、何れのものであっても採用することができる。更に、遊技機としてはパチンコ機に限定されるものではなく、スロットマシン機やアレンジボール機、その他各種遊技機に関して本発明を採用することができる。なお、本発明は、作業エリアにおいて作業対象品に対して検査作業を行なう場合に限らず、遊技機製造ラインで行なわれる各種作業を行なう場合であっても適用することが可能であり、殊に作業者の作業能力の差により各作業エリアへの作業対象品の供給数が変化する作業に対して好適に適用し得るものである。
【0073】
〔付記〕
なお、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムに関しては、以下に示す具体的構成に限定することも可能である。
(A) 請求項3記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、下流側の待機エリア(TA)またはサブライン(SL)へ作業対象品(X)を送出した際に、この作業対象品(X)を送出した待機エリア(TA)に対応する前記記憶手段(52)が記憶する待機数を1減算する。
このように前記待機エリアから作業対象品が送出された際に限り、記憶手段の記憶数を1減算するようにしたことで、各待機エリアの作業対象品の待機数を正確に管理し得る。すなわち、作業対象品の移動中は各待機エリアにおける作業対象品の待機数を増減しないから、各待機エリアの待機数を正確に把握でき下流側の待機エリアへの作業対象品の供給過剰、および上流側の待機エリアでの作業対象品の不足を防止して、各作業エリアに対して均一に作業対象品を供給できる。
なお、前記(A)に係る遊技機製造ラインの制御システムに対して、請求項4および請求項5に係る構成を付加することも可能である。
(B) 請求項3または前記(A)記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記待機エリア(TA)における前記各搬送手段(13,16)は、作業対象品(X)を検出する検出手段を有し、前記上流側の待機エリア(TA)から搬送されてきた作業対象品(X)を補充すべき搬送手段(13,16)の検出手段が該作業対象品(X)を検出することで、この作業対象品(X)を補充した待機エリア(TA)に対応する前記記憶手段(52)の待機数が1加算されるようになっている。
このように、上流側の待機エリアからの作業対象品を、補充すべき搬送手段の検出手段が検出した際に記憶手段の記憶数を1加算することで、各待機エリアの作業対象品の待機数を正確に管理し得る。すなわち、作業対象品の移動中は各待機エリアにおける作業対象品の待機数を増減しないから、各待機エリアの待機数を正確に把握でき下流側の待機エリアへの作業対象品の供給過剰、および上流側の待機エリアでの作業対象品の不足を防止して、各作業エリアに対して均一に作業対象品を供給できる。
なお、前記(B)に係る遊技機製造ラインの制御システムに対して、請求項4および請求項5に係る構成を付加することも可能である。
(C) 請求項4記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記メインライン(ML)と各サブライン(SL)との分岐位置に設けられる搬送手段(13)は、常には前記第1位置に位置決めされる。
このように、前記搬送手段を常には第1位置に位置決めすることで、該搬送手段に待機させた作業対象品をメインラインの下流側へ向けて速やかに搬送(補充)し得ると共に、上流側から搬送された作業対象品を当該搬送手段にそのまま受入れることができる。
なお、前記(C)に係る遊技機製造ラインの制御システムに対して、請求項5に係る構成を付加することも可能である。
(D) 請求項1〜5および前記(A)〜(C)の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記作業エリア(SA)での作業が完了した作業完了品の搬出ライン(40)が、前記メインライン(ML)および各サブライン(SL)の下方に配置されている。
このように、作業エリアでの作業が完了した作業完了品の搬出ラインを、メインラインおよび各サブラインの下方に配置したことで、製造ラインの幅方向への大型化を防止し得る利点がある。
作業エリアが作業者の待機エリア立ち姿勢に適した高さとなる作業が楽になる
(E) 前記(D)記載の搬出ライン(40)を備える遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記サブライン(SL)の夫々は、前記作業エリア(SA)の下流側に昇降動作可能なリフト手段(27)を有し、該リフト手段(27)により作業完了品を搬出ラインへ搬送するよう構成される。
このように、リフト手段により作業完了品を搬出ラインへ搬送し得るよう構成することで、作業効率の向上を図り得る。
(F) 請求項1〜5および前記(A)〜(E)の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記各作業エリア(SA)の稼働状態を識別する識別手段(54)が設けられており、前記制御手段(50)は、前記識別手段(54)の識別情報に基づいて稼働している作業エリア(SA)のサブライン(SL)に対応する前記待機エリア(TA)における搬送手段(13,16)の夫々に作業対象品(X)を待機させるよう各搬送手段(13,16)を作動制御する。
このように、稼働している作業エリアを識別して、対応する待機エリアにおける搬送手段の夫々に作業対象品を待機させた際に各搬送手段を作動停止させることで、生産ペースに合わせて稼働させる作業エリアを決定することができ、生産効率の向上に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例に係る遊技機製造ラインの検査ラインを概略で示す平面図である。
【図2】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの制御体系を示すブロック図である。
【図3】実施例に係るメインラインにおける第1の回転式搬送装置を示す拡大図であって、(a)は第1位置にある状態を示し、(b)は第2位置に回転した状態を示す。
【図4】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図である。
【図5】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、第1待機エリアから第2待機エリアへ作業対象品を補充(搬送)する状態を示す。
【図6】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図5に示した状態において、第2サブラインの作業エリアでの作業が終了した状態を示す。
【図7】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図6に示した状態において、第1待機エリアから第2待機エリアに作業対象品が搬送されて、第2待機エリア内で作業対象品が移動する状態を示す。
【図8】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図7に示した状態において、第3サブラインの作業エリアでの作業が終了し、第3エリア内で作業対象品が移動する状態を示す。
【図9】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図8に示した状態において、第3待機エリア内での作業対象品の移動が終了した状態を示す。
【図10】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの作業対象品供給処理を示すフローチャート図である。
【図11】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの作業対象品搬送処理を示すフローチャート図である。
【図12】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの作業対象品補充処理を示すフローチャート図である。
【図13】従来技術に係る搬送ラインと作業エリアとの関係を概略で示す平面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 第1搬送ライン(搬送ライン)
11 第2搬送ライン(搬送ライン)
13 第1の回転式搬送装置(搬送手段)
16 第1の搬送装置(搬送手段)
20 第2の搬送装置(第2の搬送手段)
50 制御手段
52 記憶手段
ML(ML1,ML2) メインライン(第1メインライン、第2メインライン)
SA 作業エリア
SL(SL1〜SL6) サブライン(第1〜第6サブライン)
TA(TA1〜TA6) 待機エリア(第1〜第6待機エリア)
X 作業対象品
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機製造ラインの制御システムに関し、更に詳しくは、搬送ラインにより所定の作業エリアに搬送された作業対象品に対して各種作業を行なうよう構成された遊技機製造ラインの制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機の生産効率の向上を図るため、工場に設けられた遊技機製造ラインに対し種々の改良がなされている。例えば、特許文献1に記載された遊技機製造ラインでは、各種の加工や点検作業が行なわれる作業対象品(例えば遊技機の完成品や遊技盤等)を所定方向に搬送する搬送ラインを複数列配置すると共に、各搬送ライン毎に作業エリアを設け、各搬送ラインにおける作業対象品の搬送状況に偏りが生じた場合に、搬送量の多い搬送ラインから搬送量の少ない搬送ラインへ作業対象品を移し替えるよう構成されている。すなわち、各搬送ラインにおける作業対象品の搬送量を平均化することで、前記作業エリアへ搬送される作業対象品の偏りをなくし、生産効率の向上に寄与するようになっている。
【特許文献1】特開平10−109747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記作業エリアによっては、完成した遊技機の動作チェック等のように比較的時間を要する作業が行なわれる。このような検査工程では、搬送ラインで搬送された作業対象品を作業エリアで一定時間停止させて作業を行なう必要があるため、生産性低下の要因となる欠点を内在している。このような場合には、同じ作業を行なう作業エリアを複数設置し、一度に多くの作業対象品に対して同じ作業を行なうことで生産性低下を防止することが可能である。しかし、前記作業エリアを多数設ける場合には、前記特許文献1に記載のように作業エリアに合わせて搬送ラインも多数設置する必要があり、製造ラインの大型化を招来し、スペース的な問題が生ずる。また、前記作業エリアに対応する搬送ラインを複数設ける場合には、前工程から搬送された作業対象品を各搬送ラインへ分配する必要があり、作業対象品の移動距離が長くなって必ずしも作業効率が優れるとは言えない欠点もある。
【0004】
このような場合には、図13に示すように、1つの搬送ライン60上に複数の作業エリアSAを設け、各作業エリアSAで作業対象品62に対する作業を行なうことが考えられる。しかし、搬送ライン60上に複数の作業エリアSAを設けた場合には、何れかの作業エリアSAでの作業が滞った場合には(図13では中間に位置する作業エリアSAで作業の滞りが生じている)、搬送ライン60の全体を停止する必要が生ずるため、この場合にも生産性の向上を図れない問題が指摘される。
そこで、本発明は、複数の作業エリアに効率的に作業対象品を搬送し、生産効率の向上を図り得る遊技機製造ラインの制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムは、
遊技機として完成されるべき作業対象品(X)に対し所要の作業を行なう作業エリア(SA)と、前記作業エリア(SA)へ向けて作業対象品(X)を搬送する搬送ライン(10,11)とを備えた遊技機製造ラインにおいて、
前記搬送ライン(10,11)の一部をなし、任意の作業対象品(X)の搬送および搬送停止を行ない得る複数の搬送手段(13,16)を複数連設したメインライン(ML)と、
前記搬送ライン(10,11)の一部をなし、前記搬送手段(13,16)の何れかにおいて前記メインライン(ML)から対応的に分岐すると共に、前記作業エリア(SA)が適所に設けられた複数のサブライン(SL)と、
前記夫々の搬送手段(13,16)を個別に作動制御し、該搬送手段(13,16)での作業対象品(X)の搬送および搬送停止を行なわせる制御手段(50)とからなり、
前記メインライン(ML)における各サブライン(SL)への分岐位置に、前記作業対象品(X)を待機可能な待機エリア(TA)を夫々設定することで、
何れかの待機エリア(TA)に待機させた作業対象品(X)を下流側の待機エリア(TA)または対応するサブライン(SL)へ送出した際に、この作業対象品(X)を送出した待機エリア(TA)に対して、上流側の待機エリア(TA)から作業対象品(X)を補充するよう前記各搬送手段(13,16)を作動制御して、常には各待機エリア(TA)に作業対象品(X)を待機させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、前記各待機エリア(TA)は複数の搬送手段(13,16)からなり、各待機エリア(TA)に複数の作業対象品(X)を待機させ得るよう構成してもよい。
【0007】
更に、前記各待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数を記憶する記憶手段(52)が設けられ、
何れかの待機エリア(TA)から作業対象品(X)が下流側の待機エリア(TA)または対応するサブライン(SL)へ送出された際に、前記記憶手段(52)が記憶する作業対象品(X)を補充すべき待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数と、その1つ上流側に位置する待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数とを比較し、
上流側に位置する待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数の方が少数の場合には作業対象品(X)の補充を一時的に停止し、当該上流側に位置する待機エリア(TA)における作業対象品(X)の待機数が同数となった後に、作業対象品(X)を補充すべき待機エリア(TA)へ作業対象品(X)を補充するよう前記各搬送手段(13,16)を作動制御するようにすることもできる。
【0008】
更にまた、前記メインライン(ML)と各サブライン(SL)との分岐位置に設けられる搬送手段(13,16)は、メインライン(ML)の下流側へ向けて作業対象品(X)を搬送する第1位置、および対応するサブライン(SL)へ向けて作業対象品(X)を搬送し得る第2位置に変更可能に構成することも可能である。
【0009】
そして、前記サブライン(SL)の夫々は、前記メインライン(ML)と作業エリア(SA)との間に個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段(20)を備え、該第2の搬送手段(20)に作業対象品(X)を待機させ得るよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、搬送ラインをメインラインと該メインラインから分岐する複数のサブラインとから構成し、各サブラインに作業エリアを設けると共に、その分岐位置に作業対象品を待機させる待機エリアを設けたことで、何れかの作業エリアにおいて作業対象品に対する作業が完了した場合には、当該作業エリアを設けたサブラインに対して速やかに次の作業対象品を送出すことができるから、製造ラインの生産効率の向上を図り得る。また、何れかの待機エリアに待機させた作業対象品をメインラインの下流側または対応するサブラインへ送出した際には、該待機エリアに対して、上流側に位置する待機エリアから作業対象品を補充するようにしたから、下流側に位置する作業エリアに対してスムーズに作業対象品を補充し得る。更に、メインラインを不必要に増加させる必要がないから、製造ラインの大型化を招来することもなく、スペース的な問題を解消し得る利点がある。
【0011】
そして、請求項2に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、各待機エリアに複数の作業対象品を待機し得るよう構成したことで、1つの作業エリアに供給可能な作業対象品が増大するから、下流側の待機エリアに対して作業対象品を補充した場合であっても、上流側の待機エリアに作業対象品を残すことができ、対応の作業エリアに作業対象品を供給する必要が生じた場合であっても速やかに対応することが可能となる。更に、各待機エリアに複数の作業対象品を待機し得るよう構成したことで、前工程から搬送ラインへ供給される作業対象品を各待機エリアに順次ストックすることができるから、該前工程からの作業対象品の供給が滞るのを防止し得る。
【0012】
また、請求項3に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、上流側と下流側に隣接する待機エリアにおける作業対象品の待機数を比較し、その結果に応じて上流側から下流側へ作業対象品を搬送するようにしたから、下流側の待機エリアへの作業対象品の供給過剰、および上流側の待機エリアでの作業対象品の不足を防止することができ、各作業エリアに対して均一に作業対象品を供給できる。更に、請求項4に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、メインラインと各サブラインとの分岐位置に設けられる搬送手段を第1位置および第2位置に変更することで、メインラインに沿って搬送される作業対象品をサブラインへ向けて自動的に送出すことができるから、効率的に作業エリアへ作業対象品を供給し得る。
【0013】
更にまた、請求項5に係る遊技機製造ラインの制御システムによれば、サブラインの夫々に個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段を設け、該第2の搬送手段に作業対象品を待機させ得るよう構成したことで、対応する作業エリアに対して確実に作業対象品を供給でき、生産性をより一層向上し得る。殊に、分岐位置に設けられる搬送手段を第1位置および第2位置に変更し得る構成では、待機エリアの作業対象品を作業エリアへ供給するに際し、該搬送手段を第1位置から第2位置へ変位する動作を要するため、該作業エリアに対して作業対象品を速やかに供給し得ない。このような場合であっても、前記第2の搬送手段を設けることで、作業エリアに対して作業対象品を速やかに供給し得ると共に、その後に該第2の搬送手段へ作業対象品を供給し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、パチンコ機を製造する製造ラインにおいて、装飾部材や電子部品等の各種部材を取付けたパチンコ機(以下、作業対象品という)に対し、所定の作業エリアにおいて作業者が各種部材の取付状態や動作状態等を検査する検査ラインの制御システムを例にして説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、実施例に係る遊技機製造ラインの検査ラインKLを概略で示す説明図である。前記検査ラインKLは、作業対象品Xを所定方向へ搬送する第1搬送ライン10および第2搬送ライン11の2つのラインからなり、前工程において各種部材を取付けた作業対象品Xを、供給ライン30を介してこれら第1および第2搬送ライン10,11に供給するようになっている。ここで、前記第1搬送ライン10および第2搬送ライン11は基本的に同一構成であって、直線的に延在するメインラインMLと、該メインラインMLにおける作業対象品Xの搬送方向に離間する複数箇所からメインラインMLに対して直交する方向へ分岐する複数のサブラインSLとからなり、各サブラインSLに、所定の検査作業を行ない得る作業エリアSAを1箇所設けるよう構成されている。なお、以下の説明においては、必要に応じて第1搬送ライン10のメインラインMLを第1メインラインML1と指称し、第2搬送ライン11のメインラインMLを第2メインラインML2と指称すると共に、第1メインラインML1から分岐するサブラインSLを、その上流側から順に第1〜第3サブラインSL1〜SL3と指称し、第2メインラインML2から分岐するサブラインSLを、その上流側から順に第4〜第6サブラインSL4〜SL6と指称する。
【0016】
また、第1メインラインML1および第2メインラインML2は略平行に延在するよう設置されると共に、前記第1〜第3サブラインSL1〜SL3と第4〜第6サブラインSL4〜SL6の夫々は、対応のメインラインML1,ML2から反対方向へ分岐するよう設けられており、第1〜第3サブラインSL1〜SL3および第4〜第6サブラインSL4〜SL6の夫々が相互に干渉しないよう構成してある。すなわち、図1において、第1〜第3サブラインSL1〜SL3は第1メインラインML1から上方へ向けて延在すると共に、第4〜第6サブラインSL4〜SL6は第2メインラインML2から下方へ向けて延在している。
【0017】
なお、前記第1および第2搬送ライン10,11(各メインラインMLおよびサブラインSL)の下方位置には、作業エリアSAでの検査作業が完了したパチンコ機(以下、作業完了品Y(図6〜図9参照)という)を搬出する搬出ライン40(図2参照)が設けられて、検査ラインKLおよび搬出ライン40の上下2段構造となっている。このように、検査ラインKLおよび搬出ライン40の上下2段構造とすることで、製造ライン全体の幅方向への大型化を防止している。なお、上段に位置する前記第1および第2搬送ライン10,11は、概ね作業者の腰高さ位置となるよう設定されて、前記作業エリアSAにおいて作業者が立ち姿勢で容易に作業を行ない得るようになっている。
【0018】
(メインラインについて)
前記各メインラインMLは、任意の作業対象品Xの搬送および搬送停止を行ない得る第1の回転式搬送装置(搬送手段)13および第1の搬送装置(搬送手段)16を複数連設して構成され、制御手段50(図2参照)の制御に基づいてこれら各搬送装置13,16を作動させることで、作業対象品Xを所定の搬送方向(図1における左方向)へ搬送し得るようになっている。ここで、前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16は、夫々が独立した小型のローラーコンベヤタイプのものであって、前記制御手段50により個別に作動および作動停止され、必要に応じて各搬送装置13,16を作動することで作業対象品Xを搬送し得るようになっている。そして、前記各搬送装置13,16は、その作動停止時に1つの作業対象品Xを停止状態で保持し得る大きさに設定してある。なお、前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々は、作業対象品Xの上側を支持する支持手段(図示せず)を備えており、各搬送装置13,16で搬送される作業対象品Xの転倒を防止するよう構成されている。
【0019】
また、前記第1の回転式搬送装置13は、各メインラインMLに3基設けられて、各第1の回転式搬送装置13に対応して前記サブラインSLの夫々が分岐している。ここで、前記第1の回転式搬送装置13の夫々は、前記制御手段50の制御により、対応するメインラインMLの下流側へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第1位置(図3(a)参照)、および該第1位置から略90°回転して各第1の回転式搬送装置13に対応するサブラインSLの夫々へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第2位置(図3(b)参照)に変更し得るよう構成されており、該第1の回転式搬送装置13を回転させることで作業対象品Xの搬送方向を適宜変更可能となっている。なお、前記第1の回転式搬送装置13は、常には前記第1位置に位置決めされて、各メインラインMLの下流側へ向けて作業対象品Xを搬送(補充)可能で、かつ上流側から搬送される作業対象品Xを受入れ得るよう保持されている。また、前記第1の回転式搬送装置13により作業対象品Xを90°回転させることで、作業エリアSAでは作業者側に作業対象品Xの正面側が向く姿勢で到来し、作業場で作業者が容易に作業を行ない得るようになっている。
【0020】
前記各メインラインMLは、前記第1の回転式搬送装置13の上流側に2基の第1の搬送装置16,16が位置するよう構成されて、1基の第1の回転式搬送装置13およびその上流側に位置する2基の第1の搬送装置16,16により、最大で3つの作業対象品Xを待機可能な待機エリアTA(図1参照)を設定してある。なお、以下の説明においては、必要に応じて前記第1〜第6サブラインSL1〜SL6の夫々に対応する待機エリアTAを、第1〜第6の待機エリアTA1〜TA6という。
【0021】
このように、前記第1〜第6サブラインSL1〜SL6の夫々に対応して第1〜第6待機エリアTA1〜TA6を設けることで、各サブラインSL1〜SL6には対応する第1〜第6待機エリアTA1〜TA6に待機させた作業対象品Xが送出され、必要に応じて各メインラインMLにおける上流側の待機エリアTAから下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xを補充するようになっている。なお、以下の説明においては、図3に示すように、各待機エリアTAにおける第1の回転式搬送装置13を第1待機位置と、該第1の回転式搬送装置13より1つ上流側に位置する第1の搬送装置16を第2待機位置と、該第2待機位置より1つ上流側に位置する第1の搬送装置16を第3待機位置と夫々指称する。ここで、実施例では、前記待機エリアTA内では第1待機位置、第2待機位置、第3待機位置の順に優先的に作業対象品Xを待機させるよう前記制御手段50が各搬送装置13,16を作動制御している。
【0022】
また、図2に示すように、前記第1〜第3待機位置に対応する各搬送装置13,16,16の夫々には、前記作業対象品Xを検出する第1検出センサ(検出手段)14、第2検出センサ(検出手段)17および第3検出センサ(検出手段)18が対応して設けられている。ここで、前記各検出センサ14,17,18による検出結果は前記制御手段50の記憶手段52へ出力されて、該検出センサ14,17,18の検出結果に基づいて記憶手段52が各待機エリアTAにおける作業対象品Xの待機数(以下、単に待機エリアTAの待機数という)を個別に記憶し得るよう構成されている。そして、前記記憶手段52が記憶する作業対象品Xの待機数に基づいて、前記制御手段50が第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々を個別に作動および作動停止するようになっている。
【0023】
すなわち、何れかの第1の回転式搬送装置13(すなわち第1待機位置)から下流側の待機エリアTAあるいは対応するサブラインSLへ向けて作業対象品Xが送出されると、当該第1の回転式搬送装置13の属する待機エリアTAにおける第2待機位置の作業対象品Xが第1待機位置へ搬送され、第3待機位置の作業対象品Xが第2待機位置へ搬送される。このように、メインラインMLとサブラインSLとの分岐位置に、作業対象品Xを待機させる待機エリアTAを夫々設けることで、何れかのサブラインSLの作業エリアSAにおいて作業対象品Xに対する作業が完了した場合に、当該サブラインSLに対して速やかに次の作業対象品Xを送出し得るようになっている。
【0024】
ここで、前記記憶手段52は、前記第1の回転式搬送装置13から下流側の待機エリアTAまたは対応するサブラインSLへ作業対象品Xを送出した際に、この作業対象品Xを送出した待機エリアTAに対応する作業対象品Xの待機数を1減算するよう設定される。具体的には、第1待機エリアTA1における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなると、第1待機エリアTA1の待機数が1減算され、同様に第2〜第6待機エリアTA2〜TA6における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなると、対応する第2〜第6待機エリアTA2〜TA6の待機数が1減算されるようになっている。
【0025】
また、上流側から下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xが補充(搬送)されたときには、上流側の待機エリアTAから搬送されてきた作業対象品Xが補充されるべき搬送装置13,16の第1〜第3検出センサ14,17,18が該作業対象品Xを検出することで、この作業対象品Xが補充された下流側の待機エリアTAの待機数が1加算されるよう設定される。具体的には、待機エリアTAに作業対象品Xが待機していない状態(すなわち待機数「0」の状態)では、前記第1待機位置に対応する第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出することで待機数が1加算され、待機エリアTAに作業対象品Xを1つ待機させている状態(すなわち待機数「1」の状態)では、前記第2待機位置に対応する第1の搬送装置16の第2検出センサ17が作業対象品Xを検出することで待機数が1加算され、待機エリアTAに作業対象品Xを2つ待機させている状態(すなわち待機数「2」の状態)では、前記第3待機位置に対応する第1の搬送装置16の第3検出センサ18が作業対象品Xを検出することで待機数が1加算される。
【0026】
また、上流側に位置する待機エリアTAから下流側に位置する待機エリアTAへの作業対象品Xの補充(搬送)に関しては、前記制御手段50は、前記記憶手段52が記憶している隣接し合う待機エリアTAの作業対象品Xの待機数を比較して、上流側に位置する待機エリアTAの待機数の方が少数の場合には下流側に位置する待機エリアTAへの作業対象品Xの補充(搬送)を停止し、当該上流側に位置する待機エリアTAの作業対象品Xの待機数が同数以上となった後に、下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xを補充(搬送)するよう前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々を作動制御するよう構成してある。
【0027】
但し、前記制御手段50は、上流側の待機エリアTAと下流側の待機エリアTAの待機数を比較するに際し、比較対象となる上流側および下流側の待機エリアTA内における作業対象品Xの移動が夫々停止した後に、その待機数の比較を行なうよう設定される。すなわち、待機数の加算・減算が完了して各待機エリアTAの待機数が確定した後に、上流側と下流側に隣接する待機エリアTAの待機数を比較して上流側から下流側へ作業対象品Xを搬送することで、下流側の待機エリアTAへ作業対象品Xが過剰に供給されたり、上流側の待機エリアTAにおける作業対象品Xの不足を防止し得るようになっている。
【0028】
ここで、図4〜図9に示す具体例を挙げて説明する。図4に示すように、第1待機エリアTA1に2つの作業対象品Xが待機(待機数「2」)し、第2待機エリアTA2に2つの作業対象品Xが待機(待機数「2」)すると共に、第3待機エリアTA3に3つの作業対象品Xが待機(待機数「3」)している状態では、第2待機エリアTA2の待機数は第3待機エリアTA3の待機数より少数であるため、第2待機エリアTA2から第3待機エリアTA3への作業対象品Xの補充は一時的に停止される。一方、第1待機エリアTA1の待機数は「2」であり、第2待機エリアTA2の待機数は「2」であるため、該第1待機エリアTA1から第2待機エリアTA2における第3待機位置へ作業対象品Xが補充(搬送)される(図5参照)。このとき、第1待機エリアTA1における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなるから、該第1待機エリアTA1の待機数が1減算されて待機数は「1」となる。但し、この時点では第2待機エリアTA2の待機数は加算されずに待機数は「2」のままである。なお、第1待機エリアTA1における第2待機位置にある作業対象品Xは第1待機位置へ搬送される。但し、この場合は同じ待機エリアTA(第1待機エリアTA1)内での作業対象品Xの移動のため、該第1待機エリアTA1の待機数は増減しない。
【0029】
更に、第2サブラインSL2の作業エリアSAでの作業が終了すると、第2待機エリアTA2から第2サブラインSL2へ向けて作業対象品Xが搬送される。このとき、第2待機エリアTA2における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなるから、該第2待機エリアTA2の待機数が1減算されて待機数は「1」となる(図6参照)。その後、図7に示すように、第2待機エリアTA2における第2待機位置にある作業対象品Xが第1待機位置へ搬送される。ここで、第2待機エリアTA2の待機数は「1」となっているが、前記第1待機エリアTA1から搬送された作業対象品Xは、第3待機位置まで到来して前記第3検出センサ18が作業対象品Xを検出することで、該第2待機エリアTA2の待機数が1加算されて「2」となる。なお、第2待機エリアTA2では第2待機位置から作業対象品Xが移動しているため、第1待機エリアTA1から第3待機位置へ到来した作業対象品Xは第2待機位置へ移動する。但し、この場合は同じ待機エリアTA(第2待機エリアTA2)内での作業対象品Xの移動のため、該第2待機エリアTA2の待機数は増減しない。
【0030】
更に、第3サブラインSL3の作業エリアSAでの作業が終了すると、第3待機エリアTA3から第3サブラインSL3へ向けて作業対象品Xが搬送される。このとき、第3待機エリアTA3における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなるから、該第3待機エリアTA3の待機数が1減算されて待機数は「2」となる。その後、図8に示すように、第3待機エリアTA3における第2待機位置にある作業対象品Xが第1待機位置へ搬送され、第3待機位置にある作業対象品Xが第2待機位置へ搬送される。但し、この場合は同じ待機エリアTA(第3待機エリアTA3)内での作業対象品Xの移動のため、該第3待機エリアTA3の待機数は増減しない。
【0031】
このとき、第2および第3待機エリアTA2,TA3の待機数は何れも「2」となるが、第2および第3待機エリアTA2,TA3内で作業対象品Xが移動しているため、各待機エリアTAの待機数の比較は行なわれない。従って、図8に示すように、前記第2待機エリアTA2の第1および第2待機位置に到来した作業対象品Xはそのまま待機し、第2サブラインSL2の作業エリアSAでの作業が終了した場合には、該第2サブラインSL2へ向けて第1待機位置の作業対象品Xが搬送される。また、前記第2サブラインSL2へ向けて作業対象品Xを搬送する前に、第3待機エリアTA3の第1および第2待機位置の夫々に作業対象品Xが到来すると(図9参照)、第2待機エリアTA2と第3待機エリアTA3の待機数が比較され、両待機エリアTA2,TA3の待機数は同数(待機数は何れも「2」)であるため、第2待機エリアTA2から第3待機エリアTA3の第2待機位置へ作業対象品Xが補充(搬送)される。このとき、前述したと同様に、第2待機エリアTA2における第1の回転式搬送装置13の第1検出センサ14が作業対象品Xを検出しなくなったときに、該第2待機エリアTA2の待機数が1減算されて待機数は「1」となるが、この時点では第3待機エリアTA3の待機数は加算されずに待機数は「2」のままである。このように、前述した条件に基づいて各待機エリアTAの待機数を増減し、かつ各待機エリアTA内の作業対象品Xの移動が停止した後に待機エリアTAの待機数を比較することで、各待機エリアTA内に略均等に作業対象品Xを待機させることができる。なお、前記第1待機エリアTA1に対しては、前記供給ライン30から作業対象品Xが順次供給される。
【0032】
(サブラインについて)
図1に示すように、前記サブラインSLの夫々は、前記第1の回転式搬送装置13に接続する第2の搬送装置20と、該第2の搬送装置20に接続し、前記作業エリアSAが設けられる第3の搬送装置23と、該第3の搬送装置23に接続し、作業エリアSAからの作業完了品Yを前記搬出ライン40へ移動するリフト手段27とを一列に連設して構成されている。すなわち、実施例では前記第3の搬送装置23の近傍に作業者が位置して、該第3の搬送装置23に停止した作業対象品Xに対して所定の検査作業を行なうようになっている。
【0033】
前記第2および第3の搬送装置20,23は、前記第1の搬送装置16と同様に、夫々が独立した小型のローラーコンベヤタイプのものであって前記制御手段50により個別に作動および作動停止が制御され、各搬送装置20,23の作動により第1の回転式搬送装置13からリフト手段27へ向けて作業対象品Xまたは作業完了品Yを搬送するよう構成される。また、前記第2および第3の搬送装置20,23の夫々は、その作動停止時に1つの作業対象品Xまたは作業完了品Yを停止状態で保持し得る大きさに設定してある。すなわち、前記第1の回転式搬送装置13から対応するサブラインSL1〜SL6へ送出された作業対象品Xを前記第2の搬送装置20に一時的に待機させ、作業エリアSAでの作業が完了した後に、作業完了品Yとしてリフト手段27へ搬送すると共に、第2の搬送装置20から第3の搬送装置23(作業エリアSA)へ作業対象品Xを搬送して、次の作業対象品Xに対して検査作業を行なうようになっている。なお、前記第2および第3の搬送装置20,23の夫々は、作業対象品Xの上側を支持する支持手段(図示せず)を備えており、各搬送装置20,23で搬送される作業対象品Xの転倒を防止するよう構成されている。
【0034】
また、前記第2の搬送装置20および第3の搬送装置23の夫々には、作業対象品Xまたは作業完了品Yを検出する第4検出センサ21および第5検出センサ24が設けられており、第3の搬送装置23に設けた第5検出センサ24が作業完了品Yを検出しなくなると、第2の搬送装置20の作業対象品Xを第3の搬送装置23(作業エリアSA)へ搬送するよう前記制御手段50が第2の搬送装置20を作動制御している。同様に、前記第2の搬送装置20に設けた第4検出センサ21が作業対象品Xを検出しなくなると、対応する第1の回転式搬送装置13を第2位置に回転させて、該第1の回転式搬送装置13から第2の搬送装置20へ作業対象品Xを搬送するようになっている。
【0035】
なお、前記各作業エリアSAの近傍には、前記制御手段50に設けた識別手段54に接続するスイッチ25(図2参照)が設けられており、該スイッチ25のON−OFFにより対応する作業エリアSA(サブラインSL)の稼働の有無を識別手段54が識別するようになっている。すなわち、検査作業を開始するに際して、作業者が作業エリアSAに対応するスイッチ25をONにすると、前記識別手段54が対応の作業エリアSA(サブラインSL)が稼働しているものと認識し、該スイッチ25をOFFにすると、識別手段54が対応する作業エリアSA(サブラインSL)が稼働していないものとして認識するようになっている。なお、実施例では、第2搬送ライン11における第6サブラインSL6に設けた作業エリアSAのスイッチ25がOFFになっており、第1搬送ライン10では第1〜第3サブラインSL1〜SL3に設けた3箇所の作業エリアSAが稼働し、第2搬送ライン11では第4および第5サブラインSL4,SL5に設けた2箇所の作業エリアSAが稼働している。
【0036】
ここで、前記制御手段50は、前記識別手段54の識別情報に基づいて、稼働している作業エリアSA(サブラインSL)に対応する待機エリアTAに作業対象品Xを待機させると共に、稼働していない作業エリアSA(サブラインSL)に対応する待機エリアTAには作業対象品Xを待機させないよう前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16の夫々を作動制御している。具体的には、実施例では稼働していない作業エリアSAを設けた第6サブラインSL6に対応する第6待機エリアTA6を除く第1〜第5待機エリアTA1〜TA5の夫々に、作業対象品Xを待機させるよう前記制御手段50が各搬送装置13,16を作動制御している(図1参照)。このように、稼働している作業エリアSAに対応する第1〜第5待機エリアTA1〜TA5に作業対象品Xを待機させることで、生産計画に合わせて稼働させる作業エリアSAを決定し得るようになっている。
【0037】
また、前記リフト手段27は、前記作業エリアSA(第3の搬送装置23)からの作業完了品Yを受入れ可能な受入れ位置、および該受入れ位置から下降移動し、前記搬出ライン40へ作業完了品Yを受渡し可能な受渡し位置に昇降移動可能に構成され、常には受入位置に位置決めされて作業完了品Yを受入れ得るよう位置決めされている。そして、前記リフト手段27に設けた第6検出センサ28が作業完了品Yを検出することで、該リフト手段27を前記受渡し位置へ移動させるよう前記制御手段50が作動制御している。なお、リフト手段27には、小型のローラーコンベヤタイプの搬送装置が組み込まれており、前記受渡し位置へ移動した後に作業完了品Yをリフト手段27から搬出ライン40へ搬送し得るようになっている。このように、リフト手段27により作業完了品Yを搬出ライン40へ搬送するよう構成することで、作業者が作業終了後に作業完了品Yを搬出ライン40へ移動させる手間が省け、作業効率の向上が図られる。
【0038】
(供給ラインについて)
前記第1および第2搬送ライン10,11へ向けて作業対象品Xを供給する前記供給ライン30は、前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)に接続する供給コンベヤ32と、該供給コンベヤ32の下流端から第2搬送ライン11側へ延在するよう分岐し、前記第2搬送ライン11(第2メインラインML2)に接続する接続コンベヤ34とからなり、第1搬送ライン10に対しては作業対象品Xを供給コンベヤ32から供給し、第2搬送ライン11に対しては供給コンベヤ32からの作業対象品Xを、接続コンベヤ34を介して供給するようになっている。前記供給コンベヤ32と接続コンベヤ34との分岐位置には、第1メインラインML1へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第3位置、および該第3位置から略90°回転して接続コンベヤ34へ向けて作業対象品Xを搬送可能な第4位置に変更し得る第2の回転式搬送装置36が設けられており、必要に応じて第1搬送ライン10(第1メインラインML1)または第2搬送ライン11(第2メインラインML2)に作業対象品Xを搬送し得るよう構成されている。
【0039】
なお、前記供給コンベヤ32および接続コンベヤ34の夫々は、前述と同様にローラーコンベヤタイプのものであって、前記制御手段50により作動および作動停止を制御されている。ここで、前記制御手段50は、前記第2の回転式搬送装置36に設けた第7検出センサ37が作業対象品Xを検出している間は、前記供給コンベヤ32を停止させるよう制御している。そして、第2の回転式搬送装置36から前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)または第2搬送ライン11(第2メインラインML2)へ向けて作業対象品Xが搬送されて、前記第7検出センサ37が作業対象品Xを検出しなくなると、供給コンベヤ32を作動させて第2の回転式搬送装置36へ作業対象品Xを移動するようになっている。
【0040】
具体的には、前記制御手段50は、前記識別手段54が識別する第1および第2搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数を比較して、作業エリアSAの稼働数の比率に応じて前記第1および第2メインラインML1,ML2への作業対象品Xの供給数を調整している。すなわち、実施例では、前述したように第1搬送ライン10では3箇所の作業エリアSAが稼働し、第2搬送ライン11では2箇所の作業エリアSAが稼働していることから、常にはその稼働数の比率(すなわち3対2)となるよう第1搬送ライン10および第2搬送ライン11への作業対象品Xの供給数が調整される。なお、供給順序としては、第1搬送ライン10(第1メインラインML1)へ3つの作業対象品Xを供給した後に、第2搬送ライン11(第2メインラインML2)へ2つの作業対象品Xを供給するのを繰返し、全体として両メインラインML1,ML2への作業対象品Xの供給が偏らないよう制御される。
【0041】
また、所定条件が成立した場合には、前記制御手段50は、前記記憶手段52が記憶している前記第1搬送ライン10の最下流側で稼働している作業エリアSAに対応する第1の特定の待機エリアTA(実施例では第3待機エリアTA3)の待機数と、前記第2搬送ライン11の最下流側で稼働している作業エリアSAに対応する第2の特定の待機エリアTA(実施例では第5待機エリアTA5)の待機数とを比較し、待機数の少ない特定の待機エリアTA3,TA5が属するメインラインML1,ML2の何れかへ作業対象品Xを優先的に供給し得るよう供給ライン30を作動制御している。ここで、前記「所定条件」としては、一定時間が経過した地点、あるいは何れかの特定の待機エリアTA3,TA5の待機数が最大数(すなわち待機数「3」)になった時点、その他任意の条件に設定することができ、設定した条件の成立毎に両特定の待機エリアTA3,TA5の待機数を比較して、各搬送ライン10,11(メインラインML1,ML2)への作業対象品Xの供給数を調整するようになっている。
【0042】
(搬出ラインについて)
前記搬出ライン40は、前記検査ラインKLと基本的に同一構成であるから、同一の機能を有する部材には同一の符号を付して説明する。前記搬出ライン40は、前記各メインラインMLの下方に設けられて、作業完了品Yを図示しない出荷工程へ搬送する2つの第1の回収ライン42,42と、前記各サブラインSLの下方に設けられて第1回収ライン42,42に合流する第2回収ライン44とから構成される(図2参照)。ここで、前記第1回収ライン42の夫々は、前記第1の回転式搬送装置13および第1の搬送装置16を連設して構成され、前記第2回収ライン44との合流位置に第1の回転式搬送装置13を配置してある。
【0043】
すなわち、前記第1回収ライン42における第1の回転式搬送装置13を前記第1位置に位置決めすることで、該第1回収ライン42に沿って作業完了品Yを搬送し得ると共に、該第1の回転式搬送装置13を第2位置に回転させることで、対応する第2回収ライン44で搬送される作業完了品Yを第1回収ライン42に受入れ得るようになっている。なお、前記第2回収ライン44における前記リフト手段27と第1回収ライン42の第1の回転式搬送装置13との間は、2つの第2の搬送装置20で接続してある。
【0044】
ここで、前記第1回収ライン42には、前記各メインラインMLの待機エリアTAにおける第3待機位置と上下に対応する位置に、作業完了品Yを検出する第8検出センサ45が設けられると共に、前記第2回収ライン44には、前記各サブラインSLにおける第3の搬送装置23と上下に対応する位置に、作業完了品Yを検出する第9検出センサ46が夫々設けられている。そして、前記第8検出センサ45および第9検出センサ46の何れか先に作業完了品Yを検出した検出センサ45,46に対応する回収ライン42,44から作業完了品Yを優先的に搬出するよう前記第1の回転式搬送装置13を回転させるようになっている。
【0045】
具体的には、前記第2回収ライン44の第9検出センサ46より先に第1回収ラインの第8検出センサ45が作業完了品Yを検出した場合には、第2回収ライン44の各第2の搬送装置20を停止させると共に、前記第1の回転式搬送装置13を第1位置に位置決めして第1回収ライン42の作業完了品Yを前記出荷工程へ搬送する。一方、前記第1回収ライン42の第8検出センサ45より先に第2回収ライン44の第9検出センサ46が作業完了品Yを検出した場合には、第1回収ライン42の各第1の搬送装置16を停止させて第1回収ライン42での搬送を停止すると共に、前記第1の回転式搬送装置13を第2位置に回転させて第2回収ライン44の作業完了品Yを第1の回転式搬送装置13に受入れ、受入れ後に当該第1の回転式搬送装置13第1位置に回転して第1回収ライン42での搬送を再開して、前記出荷工程へ搬送するようになっている。
【0046】
次に、前述した供給ラインKLおよび各搬送ライン10,11の制御態様の一例につき、図10〜図12を用いて説明する。
【0047】
(供給ラインから各搬送ラインへの作業対象品の供給について)
前工程において各種部品の組付けが完了した作業対象品Xは、図10に示す作業対象品供給処理に基づいて、供給ライン30を作動して順次検査ラインKLへ向けて搬送される。先ず、前記供給コンベヤ32の下流側に位置する第2の回転式搬送装置36に設けた第7検出センサ37が作業対象品Xを検出したか否かを判定する(ステップS101)。このとき、第7検出センサ37が作業対象品Xを検出していないときは、そのまま作業対象品供給処理が終了する。第7検出センサ37が作業対象品Xを検出すると、ステップS102へ進んで予め定めた時間等の所定条件が成立したか否かを判定して、所定条件が成立していないとき場合にはステップS103へ進み、所定条件が成立している場合にはステップS106へ進む。すなわち、作業対象品供給処理では、常にはステップS103以降の処理がなされ、所定条件が成立する毎にステップS106以降の処理がなされるようになっている。
【0048】
ステップS103に進むと、前記識別手段54が識別した前記第1搬送ライン10における作業エリアSAの稼働数を取得すると共に、前記第2搬送ライン11における作業エリアSAの稼働数を取得し(ステップS104)、各搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数の比率に応じて前記第1メインラインML1および第2メインラインML2へ作業対象品Xを供給する(ステップS105)。具体的には、前述のように第1搬送ライン10では3つの作業エリアSAが稼働しているのに対し、前記第2搬送ライン11では2つの作業エリアSAが稼働しているから、前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)への作業対象品Xの供給数と第2搬送ライン11(第2メインラインML2)への作業対象品Xの供給数との比率が、3:2となるよう供給ライン30が作動する。
【0049】
このように、第1および第2搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数の比率に応じて各搬送ライン10,11(各メインラインML1,ML2)への作業対象品Xの供給数を調整することで、稼働している各作業エリアSAへの作業対象品Xの供給割合を均一にし得るから、各搬送ライン10,11への作業対象品Xの供給効率を向上し得る利点がある。また、第1メインラインML1へ3つの作業対象品Xを供給した後に、第2メインラインML2へ2つの作業対象品Xを供給するよう設定されているから、全体として両メインラインML1,ML2への作業対象品Xの供給が偏ることはなく、生産効率の低下を招来することはない。
【0050】
また、前記ステップS102からステップS106へ進んだ場合には、前記記憶手段52が記憶している第1搬送ライン10(第1メインラインML1)における第3待機エリアTA3(第1の特定の待機エリア)の待機数、および第2搬送ライン11(第2メインラインML2)における第5待機エリアTA5(第2の特定の待機エリア)の待機数を取得する(ステップS106,ステップS107)。そして、取得した第3待機エリアTA3の待機数と、第5待機エリアTA5の待機数とを比較し(ステップS108)、両待機エリアTA3,TA5の待機数が同数以上の場合には前記ステップS103に進んで各搬送ライン10,11における作業エリアSAの稼働数の比率に応じて作業対象品Xを供給する。
【0051】
一方、前記ステップS108において、第3および第5待機エリアTA3,TA5の待機数が同数でないと判定された場合にはステップS109に進み、第3待機エリアTA3の待機数が第5待機エリアTA5の待機数より少数か否かを判定する。そして、第3待機エリアTA3の待機数の方が少数の場合には前記第1搬送ライン10(第1メインラインML1)へ向けて作業対象品Xを供給し(ステップS110)、第3待機エリアTA3の待機数の方が多数の場合には第2搬送ライン11(第2メインラインML2)へ向けて作業対象品Xを供給する(ステップS111)。
【0052】
このように、待機数の少ない待機エリアTA3,TA5の属する搬送ラインへ優先的に作業対象品Xを供給することで、作業者の作業能力の差に応じて各搬送ライン10,11(メインラインML1,ML2)へ作業対象品Xを供給できるから、生産効率の向上が図られる。また、一定時間の経過等の予め定めた所定条件が成立する毎に、前記第3および第5待機エリアTA3,TA5の待機数を比較して、作業対象品Xを優先的に供給する搬送ライン10,11(メインラインML1,ML2)を見直すようにしてあるから、両搬送ライン10,11の各待機エリアTAの待機数を常に略均等に保つことが可能である。殊に、実施例に示す検査作業のように、作業者の熟練度等により作業速度が異なる場合であっても、その作業速度に合わせて各作業エリアSAに対して作業対象品Xを供給し得るようになるから、作業効率を大きく改善し得る利点がある。
【0053】
(各搬送ラインにおける作業対象品の搬送について)
次に、前記供給ライン30から各搬送ライン(メインライン)に供給された作業対象品Xの作業エリアSAへの搬送について説明する。なお、前記第1搬送ライン10および第2搬送ライン11において、夫々に設けた作業エリアSAへの作業対象品Xの搬送制御に関しては同一であり、また前記制御手段50は、前記待機エリアTAの夫々を1つの単位として、各待機エリアTAに対して同じ作業対象品搬送処理(図11参照)を行なっている。
【0054】
図11に示すように、先ず待機エリアTAにおける第1待機位置(第1の回転式搬送装置13)に作業対象品Xがあるか否かを判定する(ステップS201)。すなわち、第1の回転式搬送装置13に設けた第1検出センサ14が作業対象品Xを検出している場合にはステップS202に進み、該第1検出センサ14が作業対象品Xを検出していない場合には後述するステップS207に進む。前記ステップS202に進むと、前記待機エリアTAに対応するサブラインSLにおける第2の搬送装置20に作業対象品Xがあるか否かを判定する。すなわち、前記第2の搬送装置20に設けた第4検出センサ21が作業対象品Xを検出していない場合にはステップS203に進み、第4検出センサ21が作業対象品Xを検出している場合には後述するステップS212に進む。換言すると、作業エリアSAでの作業が終了して第2の搬送装置20から作業対象品Xが搬送された場合にステップS203に進み、作業エリアSAにおいて作業が行なわれている最中で第2の搬送装置20に作業対象品Xが待機している場合にステップS212に進む。
【0055】
ステップS203に進むと、対応する第1の回転式搬送装置13を第2位置へ回転させて、該第1の回転式搬送装置13(第1待機位置)から第2の搬送装置20へ作業対象品Xを搬送する(ステップS204)。そして、この待機エリアTAに関して前記記憶手段52が記憶している作業対象品Xの待機数を1減算した後に(ステップS205)、ステップS206へ進んで前記第1の回転式搬送装置13を第1位置へ回転させ、その後ステップS207へ進む。すなわち、前記第1待機位置に作業対象品Xが待機していない場合にステップS207に進む。このように、前記第1の回転式搬送装置13を第1位置および第2位置に回転可能に構成したことで、各メインラインMLに沿って搬送される作業対象品Xを自動的に対応するサブラインSLへ向けて送出すことができる。すなわち、作業対象品Xを、各サブラインSLに設けた作業エリアSAへ効率的に供給し得る利点がある。
【0056】
また、サブラインSLの夫々に、個別に作動および作動停止可能な第2の搬送装置20を設け、前記第1の回転式搬送装置13からの作業対象品Xを第2の搬送装置20に一旦待機させるようにしたことで、対応する作業エリアSAに対して確実に作業対象品Xを供給でき、生産性をより一層向上し得る。殊に、実施例のように第1の回転式搬送装置13を第1位置および第2位置に回転させる構成では、待機エリアTAの作業対象品XをサブラインSLへ送出すに際して、前述のように第1の回転式搬送装置13を第1位置から第2位置へ変位する動作を要するため、サブラインSLに対して作業対象品Xを速やかに供給し得ない。このような場合であっても、前記第2の搬送装置20を設けることで、作業エリアSAに対して第2の搬送装置20に待機させた作業対象品Xを速やかに供給し得ると共に、更にその後に第2の搬送装置20へ作業対象品Xを供給して待機させることで、生産効率の向上を図り得る。
【0057】
ステップS207に進むと、前記第2待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定する。具体的には、第2待機位置に対応する第1の搬送装置16に設けた第2検出センサ17が作業対象品Xを検出している場合には、ステップS208へ進んで該第1の搬送装置16を作動して第2待機位置の作業対象品Xを第1待機位置(第1の回転式搬送装置13)へ搬送してステップS209に進む。なお、前記第2検出センサ17が作業対象品Xを検出していない場合には、ステップS209に進む。ステップS209では、前記第3待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定する。すなわち、第3待機位置に対応する第1の搬送装置16に設けた第3検出センサ18が作業対象品Xを検出している場合には、該第1の搬送装置16を作動して第3待機位置の作業対象品Xを第2待機位置へ搬送し(ステップS210)、該第3検出センサ18が作業対象品Xを検出していない場合には、ステップS211に進んで作業対象品補充処理(図12参照)が行なわれる。
【0058】
一方、前記ステップS202において第2の搬送装置20に作業対象品Xがあると判定されてステップS212へ進むと、前記第2待機位置に作業対象品Xがあるか否かが判定される。すなわち、第2待機位置に対応する第1の搬送装置16に設けた第2検出センサ17が作業対象品Xを検出している場合にはステップS213に進んで第3待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定する。なお、前記ステップS212において、第2待機位置に作業対象品Xがない(第2検出センサ17が作業対象品Xを検出していない)場合には、前記ステップS209に進んで第3待機位置に作業対象品Xがあるか否かを判定して、前述と同様に該第3待機位置に作業対象品Xがある場合には第3待機位置の作業対象品Xを第2待機位置へ搬送し(ステップS210)、該第3待機位置に作業対象品Xがない場合には、ステップS211に進んで作業対象品補充処理(図12参照)が行なわれるようになっている。また、ステップS213では、第3待機位置に作業対象品Xがある(すなわち、対応する第1の搬送装置16に設けた第3検出センサ18が作業対象品Xを検出している)場合には、作業対象品搬送処理が終了し、該第3検出センサ18が作業対象品Xを検出していない場合にはステップS210に進んで作業対象品補充処理(図12参照)が行なわれる。
【0059】
このように、各メインラインMLにおけるサブラインSLとの分岐位置に作業対象品Xを待機させる待機エリアTAを設けたことで、何れかのサブラインSLにおける作業エリアSAにおいて作業対象品Xに対する作業が完了した場合には、当該作業エリアSA(サブラインSL)に対して速やかに次の作業対象品Xを送出すことができるから、製造ラインの生産効率の向上を図り得る。また、待機エリアTA内において下流側に位置する待機位置へ優先的に作業対象品Xを待機させるようにしたことで、作業対象品Xを対応のサブラインSLまたは下流側の待機エリアTAに対して速やかに送出し得るから、下流側の待機エリアTAへの、あるいは全ての待機エリアTAから対応のサブラインSLへの作業対象品Xの供給効率を向上することができる。
【0060】
更に、各待機エリアTAに最大で3つの作業対象品Xを待機させ得るよう構成したから、下流側の待機エリアTAに対して作業対象品Xを補充した場合であっても、上流側の待機エリアTAに作業対象品Xを残すことができ、対応の作業エリアSAに作業対象品Xを供給する必要が生じた場合であっても速やかに対応することが可能となる。更にまた、各待機エリアTAに複数の作業対象品Xを待機させることで、供給ライン30から供給される作業対象品Xを各待機エリアTAに順次ストックすることができ、該供給ライン30からの作業対象品Xの供給をスムーズに行ない得る。すなわち、供給ライン30を極力停止させなくて済むから、前工程での作業に悪影響を及ぼすことはない。
【0061】
(上流側の待機エリアからの作業対象品の補充について)
図12に示すように、前記作業対象品補充処理では、前記記憶手段52が記憶している作業対象品Xを補充すべき待機エリアTA(以下、受入れ側の待機エリアTAという)と、その1つ上流に位置する待機エリアTA(以下、送出し側の待機エリアTAという)の待機数を比較する(ステップS301)。ここで、送出し側の待機エリアTAの待機数の方が少数の場合には、該送出し側の待機エリアTAの待機数が同数になるまで受入れ側の待機エリアTAへの作業対象品Xの補充(搬送)を一時的に停止する(ステップS302、ステップS303)。送出し側と受入れ側の待機エリアTAの待機数が同数になると、ステップS304に進んで、送出し側の待機エリアTAにおける第1の回転式搬送装置13が第1位置にあるかを判定し、この第1の回転式搬送装置13が第1位置に変位した後に、該第1の回転式搬送装置13から作業対象品Xを受入れ側の待機エリアTAへ搬送する(ステップS305)。そして、送出し側の待機エリアTAから作業対象品Xを搬送すると、前記記憶手段52が記憶する送出し側の待機エリアTAの待機数を1減算する(ステップS306)。なお、ステップS301において、送出し側の待機エリアTAの待機数が受入れ側の待機エリアTAの待機数と同数以上と判定された場合には、ステップS304に直接進むようになっている。
【0062】
このように、送出し側と受入れ側に隣接する待機エリアTAの待機数を比較して作業対象品Xを搬送することで、受入れ側の待機エリアTAへの作業対象品Xの供給過剰、および送出し側の待機エリアTAでの作業対象品Xの不足を防止することができる。すなわち、各待機エリアTAに対応する作業エリアSAに均一に作業対象品Xを供給できるから、作業エリアSAでの作業負担にバラツキが生ずるのを防止し得る利点がある。
【0063】
次いで、ステップS307に進むと、前記受入れ側の待機エリアTAの待機数が「0」か否かを判定し、「0」の場合には作業対象品Xを第1の回転式搬送装置13(第1待機位置)に補充するよう各搬送装置13,16を作動制御する(ステップS308)。また、受入れ側の待機エリアTAの待機数が「0」でない場合には、ステップS309に進んで待機数が「1」か否かを判定し、待機数が「1」の場合には作業対象品Xを第2待機位置に補充すると共に、待機数が「1」でない場合(すなわち、待機数が「2」の場合)には作業対象品Xを第3待機位置に補充するよう各搬送装置13,16を作動制御する(ステップS310,ステップS311)。そして、補充される待機位置の検出センサ14,17,18が作業対象品Xを検出すると、前記記憶手段52が記憶する受入れ側の待機エリアTAの待機数が1加算されて(ステップS312)、待機数が上限に達すると、作業対象品補充処理が終了する。なお、各メインラインML1,ML2において最上流側に位置する第1待機エリアTA1および第4待機エリアTA4への作業対象品Xの補充に関しては、前記供給ライン30から供給される作業対象品Xを前記ステップS307〜ステップS312の処理に基づいて第1〜第3待機位置の何れかに補充される。
【0064】
このように、何れかの待機エリアTAに待機させた作業対象品XをメインラインMLの下流側または対応するサブラインSLへ送出して、第1〜第3待機位置の何れかに「空き」が生じた際に、該待機エリアTAの上流側に位置する待機エリアTAから作業対象品Xを補充するようにしたから、下流側に位置する作業エリアSAに対してスムーズに作業対象品Xを補充し得る。すなわち、メインラインMLに対して複数の作業エリアSAを設けた場合であっても、各作業エリアSAに対して滞りなく作業対象品Xを搬送することができるから、作業効率を向上し得る。従って、各作業エリアSAに作業能力が異なる作業者を配置した場合であっても、その作業能力に合わせて各作業エリアSAに対して作業対象品Xを供給し得るようになるから、作業効率が大幅に改善される。また、作業エリアSAを複数設けるに際し、メインラインMLを不必要に増加させる必要がないから、製造ラインの大型化を招来することもなく、スペース的な問題を解消し得る利点がある。
【0065】
更に、実施例のように、前記各待機エリアTAから下流側の待機エリアTAまたは対応するサブラインSLへ向けて作業対象品Xを送出した際に限り、記憶手段52の記憶数を1減算すると共に、上流側の待機エリアTAからの作業対象品Xを、補充すべき搬送装置13,16の検出センサ14,17,18が検出した際に記憶手段52の記憶数を1加算するようにしたことで、各待機エリアTAの作業対象品Xの待機数を正確に管理し得る。すなわち、同じ待機エリアTA内での作業対象品Xの移動によっては作業対象品Xの待機数を増減しないから、各待機エリアTAの待機数を正確に把握でき、下流側の待機エリアTAへの作業対象品Xの供給過剰、および上流側の待機エリアTAでの作業対象品Xの不足を防止して、各作業エリアSAに対して均一に作業対象品Xを供給し得る利点がある。また、検出センサ14,17,18が検出した際に記憶手段52の記憶数を1加算することで、各待機エリアTAへ作業対象品Xを補充するに際し、作業対象品Xを補充すべき待機位置を容易に特定することが可能となる。
【0066】
(作業完了品の搬出について)
なお、前記作業エリアSAでの作業が完了した作業完了品Yは、前記第3の搬送装置23により前記リフト手段27へ搬送されると共に、該リフト手段27により搬出ライン40へ搬送されて出荷工程へと運ばれる。このように、作業完了品Yをリフト手段27により搬出ライン40へ搬送することにより、作業終了後に作業者が搬出ライン40や出荷工程へ作業完了品Yを移動させる手間が省けるから、作業効率の向上が図られる。
【0067】
また、前記搬出ライン40により作業完了品Yを搬送するに際し、該搬出ライン40における第1回収ライン42と第2回収ライン44との合流位置で、該第1回収ライン42に搬送される作業完了品Yと第2回収ライン44に搬送される作業完了品Yとが接触等する虞がある。そこで、実施例では、第1回収ライン42に第8検出センサ45を設けると共に、第2回収ライン44に第9検出センサ46を設け、これら検出センサ45,46の何れか先に作業完了品Yを検出した回収ライン42,44の作業完了品Yを先に搬送するようにしたから、作業完了品Yをスムーズに搬送することが可能である。
【0068】
〔変更例〕
なお、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムとしては、実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、実施例では、2つのメインラインを設けたが、1または3以上のメインラインを設けるようにしてもよく、またメインラインから分岐するサブラインの数も実施例のように3つに限られるものでなく、1つのメインラインから2以上のサブラインを分岐させることが可能である。また、実施例では各待機エリアに3つの作業対象品を待機させ得るよう構成したが、これに限らず、1つまたは2、あるいは4以上の作業対象品を待機させるようにしてもよい。
【0069】
更に、前記メインラインを構成する搬送手段としては、実施例に示す搬送装置に限らず、任意の作業対象品の搬送および搬送停止を行ない得るものであれば、従来公知の各種搬送手段を採用し得る。ここで、実施例では、前記メインラインにおけるサブラインとの分岐位置に回転式搬送装置を設けて、該回転式搬送装置を第1位置と第2位置とに回転するよう構成したがメインラインの下流および対応するサブラインへ作業対象品を送出し得る構成であれば任意の構成・手段を採用可能である。例えばメインラインにおけるサブラインとの分岐位置に作業対象品をサブラインへ向けて押出すプッシャ等の押出し手段を配設するようにしても、実施例と同様に作用効果を得ることができる。更にまた、実施例では、サブラインにおける前記メインラインと作業エリアとの間に、個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段を設ける構成を例示したが、該第2の搬送手段を設けることなく作業エリアをメインラインに隣接して設ける構成とすることもできる。
【0070】
また、搬送ライン(メインラインおよびサブライン)の制御態様に関しては、実施例のものに限定されるものではなく、何れかの待機エリアに待機させた作業対象品を下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出した際に、この作業対象品を送出した待機エリアに対して、上流側の待機エリアから作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御して、常には各待機エリアに作業対象品を待機させるようにすれば、任意に変更することができる。同様に、何れかの待機エリアから作業対象品が下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出された際に、前記記憶手段が記憶する作業対象品を補充すべき待機エリアにおける作業対象品の待機数と、その1つ上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数とを比較し、上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数の方が少数の場合には作業対象品の補充を一時的に停止し、当該上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数が同数となった後に、作業対象品を補充すべき待機エリアへ作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御するようすれば、実施例とは異なる制御態様を採用することが可能である。
【0071】
そして、複数設けた搬送ライン(メインライン)へ作業対象品を供給する供給ラインの制御態様に関しても実施例のものに限定されず、所要に応じて変更することができる。すなわち、識別手段の識別情報に基づいて各搬送ラインにおける作業エリアの稼働数を比較して、作業エリアの稼働数の比率に応じて各メインラインへの作業対象品の供給数を調整するようにすればよい。同様に、前記記憶手段が記憶する各待機エリアにおける作業対象品の待機数が均等になるよう各メインラインの搬送手段を制御すると共に、所定条件の成立により各搬送ラインにおける所定の待機エリアにおける作業対象品の待機数を比較して、待機数の少ない待機エリアの属する搬送ラインのメインラインへ優先的に作業対象品を供給することで、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
また、作業対象品としては、実施例のような各種部材が取付けられて作動検査前のパチンコ機に限定されるものではなく、例えば遊技盤やその他遊技機製造に係る部材であれば、何れのものであっても採用することができる。更に、遊技機としてはパチンコ機に限定されるものではなく、スロットマシン機やアレンジボール機、その他各種遊技機に関して本発明を採用することができる。なお、本発明は、作業エリアにおいて作業対象品に対して検査作業を行なう場合に限らず、遊技機製造ラインで行なわれる各種作業を行なう場合であっても適用することが可能であり、殊に作業者の作業能力の差により各作業エリアへの作業対象品の供給数が変化する作業に対して好適に適用し得るものである。
【0073】
〔付記〕
なお、本発明に係る遊技機製造ラインの制御システムに関しては、以下に示す具体的構成に限定することも可能である。
(A) 請求項3記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、下流側の待機エリア(TA)またはサブライン(SL)へ作業対象品(X)を送出した際に、この作業対象品(X)を送出した待機エリア(TA)に対応する前記記憶手段(52)が記憶する待機数を1減算する。
このように前記待機エリアから作業対象品が送出された際に限り、記憶手段の記憶数を1減算するようにしたことで、各待機エリアの作業対象品の待機数を正確に管理し得る。すなわち、作業対象品の移動中は各待機エリアにおける作業対象品の待機数を増減しないから、各待機エリアの待機数を正確に把握でき下流側の待機エリアへの作業対象品の供給過剰、および上流側の待機エリアでの作業対象品の不足を防止して、各作業エリアに対して均一に作業対象品を供給できる。
なお、前記(A)に係る遊技機製造ラインの制御システムに対して、請求項4および請求項5に係る構成を付加することも可能である。
(B) 請求項3または前記(A)記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記待機エリア(TA)における前記各搬送手段(13,16)は、作業対象品(X)を検出する検出手段を有し、前記上流側の待機エリア(TA)から搬送されてきた作業対象品(X)を補充すべき搬送手段(13,16)の検出手段が該作業対象品(X)を検出することで、この作業対象品(X)を補充した待機エリア(TA)に対応する前記記憶手段(52)の待機数が1加算されるようになっている。
このように、上流側の待機エリアからの作業対象品を、補充すべき搬送手段の検出手段が検出した際に記憶手段の記憶数を1加算することで、各待機エリアの作業対象品の待機数を正確に管理し得る。すなわち、作業対象品の移動中は各待機エリアにおける作業対象品の待機数を増減しないから、各待機エリアの待機数を正確に把握でき下流側の待機エリアへの作業対象品の供給過剰、および上流側の待機エリアでの作業対象品の不足を防止して、各作業エリアに対して均一に作業対象品を供給できる。
なお、前記(B)に係る遊技機製造ラインの制御システムに対して、請求項4および請求項5に係る構成を付加することも可能である。
(C) 請求項4記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記メインライン(ML)と各サブライン(SL)との分岐位置に設けられる搬送手段(13)は、常には前記第1位置に位置決めされる。
このように、前記搬送手段を常には第1位置に位置決めすることで、該搬送手段に待機させた作業対象品をメインラインの下流側へ向けて速やかに搬送(補充)し得ると共に、上流側から搬送された作業対象品を当該搬送手段にそのまま受入れることができる。
なお、前記(C)に係る遊技機製造ラインの制御システムに対して、請求項5に係る構成を付加することも可能である。
(D) 請求項1〜5および前記(A)〜(C)の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記作業エリア(SA)での作業が完了した作業完了品の搬出ライン(40)が、前記メインライン(ML)および各サブライン(SL)の下方に配置されている。
このように、作業エリアでの作業が完了した作業完了品の搬出ラインを、メインラインおよび各サブラインの下方に配置したことで、製造ラインの幅方向への大型化を防止し得る利点がある。
作業エリアが作業者の待機エリア立ち姿勢に適した高さとなる作業が楽になる
(E) 前記(D)記載の搬出ライン(40)を備える遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記サブライン(SL)の夫々は、前記作業エリア(SA)の下流側に昇降動作可能なリフト手段(27)を有し、該リフト手段(27)により作業完了品を搬出ラインへ搬送するよう構成される。
このように、リフト手段により作業完了品を搬出ラインへ搬送し得るよう構成することで、作業効率の向上を図り得る。
(F) 請求項1〜5および前記(A)〜(E)の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システムに関し、前記各作業エリア(SA)の稼働状態を識別する識別手段(54)が設けられており、前記制御手段(50)は、前記識別手段(54)の識別情報に基づいて稼働している作業エリア(SA)のサブライン(SL)に対応する前記待機エリア(TA)における搬送手段(13,16)の夫々に作業対象品(X)を待機させるよう各搬送手段(13,16)を作動制御する。
このように、稼働している作業エリアを識別して、対応する待機エリアにおける搬送手段の夫々に作業対象品を待機させた際に各搬送手段を作動停止させることで、生産ペースに合わせて稼働させる作業エリアを決定することができ、生産効率の向上に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例に係る遊技機製造ラインの検査ラインを概略で示す平面図である。
【図2】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの制御体系を示すブロック図である。
【図3】実施例に係るメインラインにおける第1の回転式搬送装置を示す拡大図であって、(a)は第1位置にある状態を示し、(b)は第2位置に回転した状態を示す。
【図4】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図である。
【図5】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、第1待機エリアから第2待機エリアへ作業対象品を補充(搬送)する状態を示す。
【図6】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図5に示した状態において、第2サブラインの作業エリアでの作業が終了した状態を示す。
【図7】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図6に示した状態において、第1待機エリアから第2待機エリアに作業対象品が搬送されて、第2待機エリア内で作業対象品が移動する状態を示す。
【図8】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図7に示した状態において、第3サブラインの作業エリアでの作業が終了し、第3エリア内で作業対象品が移動する状態を示す。
【図9】実施例に係る第1搬送ラインにおける作業対象品の搬送態様を概略で示す説明図であって、図8に示した状態において、第3待機エリア内での作業対象品の移動が終了した状態を示す。
【図10】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの作業対象品供給処理を示すフローチャート図である。
【図11】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの作業対象品搬送処理を示すフローチャート図である。
【図12】実施例に係る遊技機製造ラインの制御システムの作業対象品補充処理を示すフローチャート図である。
【図13】従来技術に係る搬送ラインと作業エリアとの関係を概略で示す平面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 第1搬送ライン(搬送ライン)
11 第2搬送ライン(搬送ライン)
13 第1の回転式搬送装置(搬送手段)
16 第1の搬送装置(搬送手段)
20 第2の搬送装置(第2の搬送手段)
50 制御手段
52 記憶手段
ML(ML1,ML2) メインライン(第1メインライン、第2メインライン)
SA 作業エリア
SL(SL1〜SL6) サブライン(第1〜第6サブライン)
TA(TA1〜TA6) 待機エリア(第1〜第6待機エリア)
X 作業対象品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機として完成されるべき作業対象品に対し所要の作業を行なう作業エリアと、前記作業エリアへ向けて作業対象品を搬送する搬送ラインとを備えた遊技機製造ラインにおいて、
前記搬送ラインの一部をなし、任意の作業対象品の搬送および搬送停止を行ない得る複数の搬送手段を複数連設したメインラインと、
前記搬送ラインの一部をなし、前記搬送手段の何れかにおいて前記メインラインから対応的に分岐すると共に、前記作業エリアが適所に設けられた複数のサブラインと、
前記夫々の搬送手段を個別に作動制御し、該搬送手段での作業対象品の搬送および搬送停止を行なわせる制御手段とからなり、
前記メインラインにおける各サブラインへの分岐位置に、前記作業対象品を待機可能な待機エリアを夫々設定することで、
何れかの待機エリアに待機させた作業対象品を下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出した際に、この作業対象品を送出した待機エリアに対して、上流側の待機エリアから作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御して、常には各待機エリアに作業対象品を待機させるようにした
ことを特徴とする遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項2】
前記各待機エリアは複数の搬送手段からなり、各待機エリアに複数の作業対象品を待機させ得るよう構成されている請求項1記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項3】
前記各待機エリアにおける作業対象品の待機数を記憶する記憶手段が設けられ、
何れかの待機エリアから作業対象品が下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出された際に、前記記憶手段が記憶する作業対象品を補充すべき待機エリアにおける作業対象品の待機数と、その1つ上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数とを比較し、
上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数の方が少数の場合には作業対象品の補充を一時的に停止し、当該上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数が同数となった後に、作業対象品を補充すべき待機エリアへ作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御するようになっている請求項2記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項4】
前記メインラインと各サブラインとの分岐位置に設けられる搬送手段は、メインラインの下流側へ向けて作業対象品を搬送する第1位置、および対応するサブラインへ向けて作業対象品を搬送し得る第2位置に変更可能に構成される請求項1〜3の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項5】
前記サブラインの夫々は、前記メインラインと作業エリアとの間に個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段を備え、該第2の搬送手段に作業対象品を待機させ得るよう構成されている請求項1〜4の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項1】
遊技機として完成されるべき作業対象品に対し所要の作業を行なう作業エリアと、前記作業エリアへ向けて作業対象品を搬送する搬送ラインとを備えた遊技機製造ラインにおいて、
前記搬送ラインの一部をなし、任意の作業対象品の搬送および搬送停止を行ない得る複数の搬送手段を複数連設したメインラインと、
前記搬送ラインの一部をなし、前記搬送手段の何れかにおいて前記メインラインから対応的に分岐すると共に、前記作業エリアが適所に設けられた複数のサブラインと、
前記夫々の搬送手段を個別に作動制御し、該搬送手段での作業対象品の搬送および搬送停止を行なわせる制御手段とからなり、
前記メインラインにおける各サブラインへの分岐位置に、前記作業対象品を待機可能な待機エリアを夫々設定することで、
何れかの待機エリアに待機させた作業対象品を下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出した際に、この作業対象品を送出した待機エリアに対して、上流側の待機エリアから作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御して、常には各待機エリアに作業対象品を待機させるようにした
ことを特徴とする遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項2】
前記各待機エリアは複数の搬送手段からなり、各待機エリアに複数の作業対象品を待機させ得るよう構成されている請求項1記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項3】
前記各待機エリアにおける作業対象品の待機数を記憶する記憶手段が設けられ、
何れかの待機エリアから作業対象品が下流側の待機エリアまたは対応するサブラインへ送出された際に、前記記憶手段が記憶する作業対象品を補充すべき待機エリアにおける作業対象品の待機数と、その1つ上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数とを比較し、
上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数の方が少数の場合には作業対象品の補充を一時的に停止し、当該上流側に位置する待機エリアにおける作業対象品の待機数が同数となった後に、作業対象品を補充すべき待機エリアへ作業対象品を補充するよう前記各搬送手段を作動制御するようになっている請求項2記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項4】
前記メインラインと各サブラインとの分岐位置に設けられる搬送手段は、メインラインの下流側へ向けて作業対象品を搬送する第1位置、および対応するサブラインへ向けて作業対象品を搬送し得る第2位置に変更可能に構成される請求項1〜3の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【請求項5】
前記サブラインの夫々は、前記メインラインと作業エリアとの間に個別に作動および作動停止可能な第2の搬送手段を備え、該第2の搬送手段に作業対象品を待機させ得るよう構成されている請求項1〜4の何れかに記載の遊技機製造ラインの制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−174947(P2006−174947A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369745(P2004−369745)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
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