説明

遊技機

【課題】払い出す遊技媒体の種類によって、新たな演出報知を実施することができるようにした遊技機を提供する。
【解決手段】投入された遊技媒体を貯留するとともに入賞の際、遊技媒体を遊技者に払い出すための貯留払い出し手段(65)と、遊技媒体として、識別可能な少なくとも2種類の遊技媒体を識別するための識別手段(140)と、遊技媒体を遊技者へ払い出す際、識別手段(140)により識別された遊技媒体のうちいずれの種類の遊技媒体を払い出すかの選択を、遊技状態に応じて、判断するための選択判断制御手段(120)とを備え、選択判断制御手段(120)は、識別手段(140)により識別された遊技媒体を、遊技状態に応じて、貯留払い出し手段(65)により遊技者に向かって払い出し可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数種類の遊技媒体を使用可能な遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機、具体的には、スロットマシンであるが、かかるスロットマシンとしては、1台のスロットマシンに対して1種類の遊技媒体、具体的には、円板状のメダルが使用されているものが知られている。また、遊技ホールによっては、メダルとして、直径の異なるメダルを使用する場合もあるが、各遊技機毎に、所定の大きな直径のメダルを使用する大径専用の遊技機や、通常の直径のメダルを使用する通常径専用の遊技機として区分されて使用されているものである。そこで、1台の遊技機で、複数種類のメダルの使用が可能なスロットマシンが検討されている(例えば、特許文献1。)。
一方、スロットマシンは、抽選の結果、当選フラグが成立している遊技状態であることの報知演出や、入賞したことを報知演出するために、報知手段を用いて遊技者へ報知演出を実施している。具体的には、報知手段は、液晶表示装置等の表示装置の画像や、スピーカからの音や、種々のランプの点灯、点滅等を利用している。
【特許文献1】特開2006−238996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、演出方法が上述したランプ点灯や液晶表示装置等に限定されていると、次第に、報知演出が単調となり、報知演出に新鮮味が無くなってくるという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1) すなわち、請求項1記載の発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、払い出す遊技媒体の種類によって、新たな演出報知を実施することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
【0004】
(請求項2) 請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項2記載の発明は、磁性の有無により、磁性遊技媒体と非磁性遊技媒体とを識別することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
(請求項3) 請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項3記載の発明は、遊技媒体の大きさの相違により、遊技媒体を簡単に識別することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
【0005】
(請求項4) 請求項4記載の発明は、上記した請求項1から3までのいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項4記載の発明は、払い出される遊技媒体の種類によって、所定の当選フラグ成立を報知することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
(請求項5) 請求項5記載の発明は、上記した請求項1から4までのいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項5記載の発明は、払い出される遊技媒体の払い出し形態の相違により、更に、遊技状態の相違を明確に認識することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
【0006】
(請求項6) 請求項6記載の発明は、上記した請求項1から5までのいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項6記載の発明は、払い出される遊技媒体の払い出し口の相違により、更に、遊技状態の相違を明確に認識することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
(請求項7) 請求項7記載の発明は、上記した請求項1から6までのいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項7記載の発明は、当選フラグが複数種類、成立していることを、遊技媒体の払い出し形態によって報知演出することができるようにした遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
(特徴点) 請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。すなわち、複数の図柄(61)を変動表示又は停止表示するための図柄表示手段(41)と、前記図柄表示手段(41)を変動表示から停止表示へ移行させるための変動表示停止手段(51)と、前記図柄(61)の組み合わせにより構成される当選役を抽選により決定するとともに、前記抽選の結果、所定の前記当選役に当選することにより前記当選役に対応する当選フラグを成立させるための当選抽選手段(110)と、所定数の遊技媒体の投入を条件として遊技を開始可能とし、前記当選抽選手段(110)の抽選結果に対応した停止制御を前記図柄表示手段(41)に対して行うとともに、前記当選抽選手段(110)の抽選結果、所定の前記当選役の当選フラグが成立して、且つ前記当選役に応じて予め定められた入賞図柄(61)が所定の入賞有効ライン上に揃うことにより入賞となって所定数の前記遊技媒体の払い出しが実施可能となり、或いは入賞図柄(61)が前記入賞有効ライン上に揃わないことにより外れとなって1回の遊技を終了させるための遊技制御手段(27)とを備えた遊技機(10)において、投入された前記遊技媒体を貯留するとともに入賞の際、前記遊技媒体を遊技者に払い出すための貯留払い出し手段(65)と、少なくとも2種類の前記遊技媒体を識別するための識別手段(140)と、前記遊技媒体を遊技者へ払い出す際、前記識別手段(140)により識別された前記遊技媒体のうちいずれの種類の前記遊技媒体を払い出すかの選択を、遊技状態に応じて、判断するための選択判断制御手段(120)とを備え、前記選択判断制御手段(120)は、前記識別手段(140)により識別された前記遊技媒体を、遊技状態に応じて、前記貯留払い出し手段(65)により遊技者に向かって払い出し可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、ここで、「図柄表示手段(41)」とあるのは、例えば、回転リール(40)であるが、周囲に複数の図柄を表示したものが、実際に回転するようなものに限定されるものではなく、液晶画面に表示されるようなものも含まれるものである。具体的には、例えば、パチンコ機等の遊技盤面の中央に設けた液晶装置を使用することにより、周囲に複数の図柄を表示した回転リールが回転するような画像を当該液晶装置によって遊技者に向かって表示するものも含まれる。
また、ここで、「役」とは、原則として図柄の組み合わせにより構成されるもので、通常、回転リールに表示される図柄を、3つ揃えた形が基本形となるものである。但し、チェリーのように、3つ揃わなくとも、特定の回転リールの入賞有効ライン上に止まるだけで、入賞となる役もある。なお、役の構成は、スロットマシンの前面側の何処かに貼付されている遊技内容説明シート等により表示されている。そして、かかる「役」が、当選抽選手段(110)の抽選の結果、当選しているものを「当選役」としている。
【0009】
また、ここで、「入賞図柄」とは、入賞有効ライン上に揃うと入賞となる役(当選役)の図柄の組み合わせである。
また、ここで、「遊技機(10)」とは、具体的には、例えば、スロットマシンであるが、上述した回転リール(40)を有するパチンコ機や、その他の遊技機を含むものである。
また、ここで、「遊技媒体」とは、遊技機(10)内部への投入により遊技開始の条件となり、また、入賞により所定数が遊技者へ払い出される価値物であって、具体的には、例えば、円板状のメダルであるが、それに限定されるものではなく、通常のコインでもよく、また、球状のボール球でもよいものである。
【0010】
また、ここで、「遊技状態に応じて」の「遊技状態」とは、具体的には、例えば、所定の当選役(例えば、当選役BBゲームや、当選役ベル)の当選フラグが成立している遊技状態や、所定の特別遊技中(例えば、BBゲーム中)である遊技状態の場合や、所定の特殊遊技中(例えば、リプレイタイムゲーム(RTゲーム)中)である遊技状態の場合等を含む。
また、ここで、「少なくとも2種類の遊技媒体」とは、遊技媒体として、識別可能な少なくとも2種類の遊技媒体であって、所定の手段により種類が異なることを識別することができて、選別することができるような複数種類の遊技媒体であれば良いものである。具体的には、例えば、磁石にくっつく材質を有する遊技媒体と、磁石にくっつかない材質からなる遊技媒体とのようなものや、コイン状の形状の直径や厚み等の寸法形状が異なる遊技媒体のようなものを含む。また、外観が色や表面に表示されるデザイン等により異なることにより複数種類に識別可能な遊技媒体も含む。また、円板状(コイン状)の形状の中央や、内部に孔があいているものや、その孔の直径が異なることにより識別可能な遊技媒体も含む。また、表面形状の凹凸や、また、使用されている材質の違いによって質感が異なることにより識別可能な遊技媒体も含む。また、静電結合、電磁結合、電磁誘導、UHFやマイクロ波による電波方式などによるRFID(Radio Frequency IDentification)システムを利用して、ICチップと小型アンテナを内蔵したRFIDタグ(ICタグ、無線タグ)を、遊技媒体内部に埋蔵して、識別可能な遊技媒体も含む。なお、かかる場合にはアンテナを通じて情報を読み書きするリーダ/ライタを、スロットマシンやジェットカウンタ等に設けることにより識別可能なものである。更に、上述した具体例を組み合わせたことにより、識別可能な遊技媒体も含まれる。
【0011】
(作用) 本発明は、選択判断制御手段(120)は、識別手段(140)により識別された遊技媒体を、遊技状態に応じて、貯留払い出し手段(65)により遊技者に向かって払い出し可能である。これにより、遊技者は、少なくとも2種類の遊技媒体のうち、いずれの種類の遊技媒体が貯留払い出し手段(65)により払い出されるかによって、現在の遊技状態を知る、或いは推測することができる。
なお、上述の作用及び効果を得るために、いずれの種類の遊技媒体が貯留払い出し手段(65)により払い出される場合にどんな遊技状態であるのかの表示を遊技者に予め知らせなくても遊技者の経験則により報知可能である。かかる情報を遊技者に全く知らせなくても、例えば、A,Bの2種類の遊技媒体を使用して、特別当選役BBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)が成立している場合のときだけ、遊技媒体Bを払い出し、当選役BBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)が成立していないときの払い出しでは全て、遊技媒体Aを払い出すようにすると、遊技回数を経ることによって、遊技媒体Bの払い出しが、特別当選役BBゲームの当選フラグが成立している状態であることを認識可能或いは推測可能だからである。
【0012】
(請求項2)
(特徴点) 請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記遊技媒体として、磁性体を少なくとも一部に有する磁性遊技媒体(181)と、磁性体を含まず非磁性体のみからなる非磁性遊技媒体(183)とが用いられ、前記識別手段(140)は、磁性の有無により、前記磁性遊技媒体(181)及び前記非磁性遊技媒体(183)の識別を実施することを特徴とする。
なお、ここで、「磁性体」とは、鉄等を代表とする磁石に吸引する性質をもった物質であり、更に、ここでは、遊技ホール等の常温、常圧下で、小型の電磁石により、遊技に使用するメダル程度の重量のものを吸引可能な性質をもった物質を意味する。
【0013】
また、ここで、「非磁性体」とは、セラミック、ガラス、ステンレスの一部(例えば、SUS304等のオーステナイト系ステンレス)、チタン、アルミニウム、真鍮、プラスチック、竹のような磁性を示さない物質であり、磁場と相互作用を及ぼさない性質を持った物質を意味する。
(作用) 本発明は、識別手段(140)が、磁性の有無により、磁性遊技媒体(181)と、非磁性遊技媒体(183)との識別を実施する。すなわち、磁場中に、磁性遊技媒体(181)と、非磁性遊技媒体(183)とを置くと、その磁場の作用により、磁性遊技媒体(181)は移動するが、非磁性遊技媒体(183)は移動しない性質を利用することで、磁性遊技媒体(181)と非磁性遊技媒体(183)とを識別することができる。これにより、両者を分離して選択することができる。
【0014】
(請求項3)
(特徴点) 請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記遊技媒体として、大きさの異なる少なくとも2種類のものが用いられ、前記識別手段(140)は、前記遊技媒体の大きさにより、前記遊技媒体の識別を実施することを特徴とする。
ここで、「遊技媒体の大きさにより」とは、遊技媒体としてのメダルの直径の違いによるものや、メダルの厚みの違いによるもの等を含む。
(作用) 本発明は、識別手段(140)が、遊技媒体の大きさにより、遊技媒体の識別を実施する。すなわち、遊技媒体の大きさの相違により、小さい方の遊技媒体は通過するが、大きい方の遊技媒体を通過しないような寸法形状の入り口や分岐点を形成することで、大きさの異なる遊技媒体を寸法形状の違いで簡単に識別することができる。これにより、両者を分離して選択することができる。
【0015】
(請求項4)
(特徴点) 請求項4記載の発明は、上記した請求項1から3までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、遊技として、前記遊技媒体の投入を条件として、一般的に実行される通常遊技と、同一の遊技回数を基準とした遊技期間で比較した場合に前記通常遊技よりも遊技者に大きな利益を付与可能な特別遊技とを少なくとも備え、前記選択判断制御手段(120)は、遊技状態が、前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立した遊技状態の場合、前記遊技媒体を払い出すときには、かかる当選フラグが成立していない遊技状態で払い出す前記遊技媒体とは異なる種類の前記遊技媒体を、払い出す前記遊技媒体として選択可能としたことを特徴とする。
【0016】
なお、ここで、「特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグ」は、当該遊技で、入賞図柄を、所定の入賞有効ライン上に停止させることができなかった場合、当該当選フラグは消失せずに次の遊技へ当該当選フラグ(特別当選フラグ)を持ち越すことができる、すなわち、かかる当選フラグが成立した権利を持ち越すことができるものを含む。
また、ここで、「遊技媒体を払い出すときには、」とあるのは、クレジットメダルが最大貯留枚数に到達していない場合には、遊技媒体を払い出さずに、クレジット枚数に加算するような場合があるからである。
(作用) 本発明は、特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立している遊技状態の場合に遊技媒体を払い出すときには、かかる当選フラグが成立していない遊技状態で払い出す遊技媒体とは異なる種類の遊技媒体が選択されて、遊技者へ払い出すことができる。これにより、払い出される遊技媒体の種類によって、特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立しているか否かを、遊技者へ報知することができる。すなわち、払い出される遊技媒体の種類によって、所定の当選フラグ成立を報知することが可能となる。これにより、新たな演出報知形態を実施することができ、演出報知の幅を拡げ、演出報知が単調となることを回避することができる。
【0017】
なお、上述の作用及び効果を得るために、特別遊技の当選フラグ成立の有無により、払い出す遊技媒体の種類がどのようなものであるかの内容の報知は、遊技機(10)の前面等に表示する遊技内容の説明や、小冊子や、液晶表示装置等により遊技者に予め知らせることはできるが、かかる報知を、常時、実施しなくても、遊技者の経験則により、遊技者に知らしめることができる。かかる情報を遊技者に全く知らせなくても、遊技回数を経ることによって、遊技内容に熟練した熟練者ならば、特別遊技の当選フラグ成立の有無という遊技状態の違いによって、払い出される遊技媒体の種類が異なることを推測して、その内容を察知することが充分可能である。また、そのような内容を察知、推測することも遊技の楽しみの一つとなる。
【0018】
(請求項5)
(特徴点) 請求項5記載の発明は、上記した請求項1から4までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、入賞の結果、所定数の前記遊技媒体を、前記貯留払い出し手段(65)から遊技者に向かって払い出すための払い出し口(32)と、前記払い出し口(32)から払い出された前記遊技媒体を受けて貯留するための払い出し皿(33)と、前記遊技媒体を所定の限度数まで予めクレジットとして貯留可能なクレジット制御手段(130)とを備え、前記選択判断制御手段(120)は、前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中で、且つ、前記クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合、入賞により払い出される前記遊技媒体は、前記払い出し口(32)から前記払い出し皿(33)へ払い出さずに、前記クレジット制御手段(130)のクレジット枚数を増加させ、前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中で、且つ、前記クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達している場合、入賞により払い出される前記遊技媒体は、前記払い出し口(32)から前記払い出し皿(33)へ払い出し、前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立中の場合、前記クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達していなくても、入賞により払い出される前記遊技媒体のうち少なくとも一部は、前記払い出し口(32)から前記払い出し皿(33)へ払い出すことを特徴とする。
【0019】
(作用) 本発明は、クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合において、入賞により払い出される遊技媒体は、特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中のときにクレジット枚数が増加するが、特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立中のときに遊技媒体のうち少なくとも一部は、払い出し口(32)から払い出し皿(33)へ払い出される。これにより、クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合において、入賞により払い出される遊技媒体のうち少なくとも一部が、クレジット枚数の増加により払い出されるのか、或いは、払い出し口(32)から払い出し皿(33)へ払い出されるのかによって、特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立しているか否かの報知演出が可能となる。すなわち、遊技者は、クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合において、入賞により払い出される遊技媒体のうち少なくとも一部が、クレジット枚数増加となるのか、払い出し皿(33)へ直接払い出されるのかの払い出し形態を観察することによって、特別遊技の当選フラグの成立の有無を知ることができる。これにより、新たな演出報知形態を実施することができ、演出報知の幅を拡げ、演出報知が単調となることを回避可能な上に、更に、遊技状態の相違を明確に認識することができる。
【0020】
なお、上述の作用及び効果を得るために、クレジット制御手段(130)の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合、入賞による払い出しのうち少なくとも一部が、クレジット枚数増加となるのか、直接、払い出し皿(33)へ払い出されるのかにより、どんな遊技状態であるのかの内容の報知は、遊技機(10)の前面等に表示する遊技内容の説明や、小冊子や、液晶表示装置等により遊技者に予め知らせることはできるが、そのような報知は、必ずしも実施しなくても、遊技者にその内容を経験則により知らしめることができる。かかる情報を遊技者に全く知らせなくても、遊技回数を経ることによって、遊技内容に熟練した熟練者ならば、遊技状態の違いによって、払い出し形態が異なることを察知することが充分可能であり、また、そのような内容を察知することも遊技の楽しみの一つとなる。
【0021】
(請求項6)
(特徴点) 請求項6記載の発明は、上記した請求項1から5までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、入賞の結果、所定数の前記遊技媒体を、前記貯留払い出し手段(65)から遊技者に向かって払い出すための払い出し口(32)と、前記払い出し口(32)から払い出された前記遊技媒体を受けて貯留するための払い出し皿(33)とを備え、前記払い出し口(32)は、前記遊技媒体の種類毎に複数個、形成されていることを特徴とする。
本発明は、具体的には、図4に示すように、払い出し口(32)を横方向の左右に設けるものや、縦方向の上下に複数の払い出し口(32)を設けるようなものを含む。
【0022】
(作用) 本発明は、遊技媒体の種類毎に、異なる払い出し口(32)から払い出すことができる。これにより、遊技媒体の種類の違いに加えて、払い出される払い出し口(32)の違いにより、遊技状態の相違を明確に認識することができる。
(請求項7)
(特徴点) 請求項7記載の発明は、上記した請求項1から6までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記当選役は、複数種類、形成されると共に、複数種類の当選フラグが成立可能に形成され、前記当選役の当選フラグが1回の遊技で複数種類、成立しているときには、1回の遊技で払い出される前記遊技媒体の種類も、複数種類にわたって払い出し可能であり、成立している当選フラグの態様と、払い出される前記遊技媒体の種類とが対応するように形成されていることを特徴とする。
【0023】
なお、ここで、「成立している当選フラグの態様と、払い出される遊技媒体の種類とが対応する」とは、成立している当選フラグの種類と、払い出される遊技媒体の種類とが1対1に対応するようなものを含むものである。具体的には、例えば、当選役ベルの単独当選のときは、メダルAが払い出され、当選役チェリーの単独当選のときは、メダルBが払い出され、当選役ベル及び当選役チェリーの両方が同時に当選しているときは、メダルA及びメダルBが払い出されるようなものを含む。
また、本発明は、1回の遊技で、BBゲームの当選フラグと、ベルの当選フラグとの両方が重複して成立している場合、BBゲームの当選フラグ成立に対応する種類の遊技媒体と、ベルの当選フラグ成立に対応する種類の遊技媒体との2種類の遊技媒体とが、1回の遊技メダルの払い出しに混在して払い出されるようなものを含む。
【0024】
また、「成立している当選フラグの態様と、払い出される遊技媒体の種類とが対応する」とは、成立している複数の当選フラグの組み合わせと、払い出される遊技媒体の種類とが対応するものを含むものである。具体的には、例えば、当選役ベルの単独当選のときは、メダルAが払い出され、当選役チェリーの単独当選のときは、メダルBが払い出され、当選役ベル及び当選役チェリーの両方が同時に当選しているときは、メダルCが払い出されるものを含む。
(作用) 本発明は、複数種類の遊技媒体を払い出すことにより、当選フラグが複数種類、成立していることを、払い出し形態によって報知演出することができる。これにより、遊技者は、複数種類の当選フラグ成立を、払い出される遊技媒体により知ることができる。更に、成立している当選フラグの態様と、払い出される遊技媒体の種類とが対応しているため、払い出される遊技媒体の種類を確認することにより、成立している当選フラグの態様を知ることができる。すなわち、払い出される遊技媒体の種類により、成立している当選フラグの種類の報知を行うことができる。結果として、遊技者へ多くの情報を提供することができ、報知演出の幅を拡げることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1) 請求項1記載の発明によれば、次のような効果を奏する。すなわち、請求項1記載の発明によれば、払い出す遊技媒体の種類によって、新たな演出報知を実施することができるようにした遊技機を提供することができる。
(請求項2) 請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項2記載の発明によれば、磁性の有無により、磁性遊技媒体と非磁性遊技媒体とを識別することができるようにした遊技機を提供することができる。
【0026】
(請求項3) 請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項3記載の発明によれば、遊技媒体の大きさの相違により、遊技媒体を簡単に識別することができるようにした遊技機を提供することができる。
(請求項4) 請求項4記載の発明によれば、上記した請求項1から3までのいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項4記載の発明によれば、払い出される遊技媒体の種類によって、所定の当選フラグ成立を報知することができるようにした遊技機を提供することができる。
【0027】
(請求項5) 請求項5記載の発明によれば、上記した請求項1から4までのいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項5記載の発明によれば、払い出される遊技媒体の払い出し形態の相違により、更に、遊技状態の相違を明確に認識することができるようにした遊技機を提供することができる。
(請求項6) 請求項6記載の発明によれば、上記した請求項1から5までのいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項6記載の発明によれば、払い出される遊技媒体の払い出し口(32)の相違により、更に、遊技状態の相違を明確に認識することができるようにした遊技機を提供することができる。
【0028】
(請求項7) 請求項7記載の発明によれば、上記した請求項1から6までのいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項7記載の発明によれば、当選フラグが複数種類、成立していることを、遊技媒体の払い出し形態によって報知演出することができるようにした遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1の実施の形態)
(図面の説明) 図1から図13までは、本発明の第1の実施の形態を示すものである。図1は遊技機の入力、制御及び出力のブロック図、図2は遊技制御手段のブロック図、図3は当選抽選手段のブロック図、図4は遊技機の外観正面図、図5は裏面側から見た媒体セレクター及び案内通路の外観斜視図、図6は識別手段の作動状態の全体概念の側面図、図7は識別手段の電磁石が媒体通路からメダルを吸引した状態の側面図、図8はメダルを吸引した状態の電磁石が回転している状態の側面図、図9はメダルを吸引した状態の電磁石が90度回転した状態の側面図、図10は電磁石からメダルが外れて案内通路へ落下している状態の側面図、図11から図13までは遊技機の通常遊技の動作の概略のフローをそれぞれ示すものである。
【0030】
(遊技機10) 遊技機10は、正面に向かって開口する正面開口部を有する四角箱状の筐体11を有する。この筐体11の正面開口部の向かって左縁側には、筐体11の正面開口部を開閉自在に塞ぐ前扉14がヒンジにより軸支されている。前記前扉14の中央部から上部には、遊技者側に向かって臨む略四角窓状の表示窓12が形成されている。そして、この表示窓12の略中央には、三個の回転リール40の図柄61、いわゆる停止図柄61を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。そして、前扉14の下部には、入賞した場合に、賞品としての所定数の遊技媒体であるメダルが後述する貯留払い出し手段65から遊技者に向かって払い出される払い出し口32が形成されている。そして、この払い出し口32の下方には、払い出し口32から払い出された遊技媒体を受けて貯留するための上方に向かって開口する皿状の払い出し皿33が形成されている。
【0031】
そして、前記払い出し口32は、遊技媒体としてのメダルの種類毎に複数個、形成されている。具体的には、前記払い出し口32は、払い出し皿33の略中央に位置して、後述する非磁性遊技媒体183としての非磁性メダル184を払い出すための通常払い出し口193と、払い出し皿33の正面から向かって右側に位置して、後述する磁性遊技媒体181としての磁性メダル182を払い出すための特別払い出し口194とを備えている。
前記回転リール40は、図4の向かって左端側に位置する左側回転リール43と、図4の向かって右端側に位置する右側回転リール45と、この左側回転リール43及び右側回転リール45の間に位置する中央回転リール44とからなるものである。そして、遊技機10の前面側には、特に図示しないが、横方向に三本、左右の対角線上の斜め方向に二本の合計五本の入賞ラインが形成されている。そして、この入賞ラインは、投入メダルの枚数に応じて入賞が有効になる入賞有効ラインとなるものである。具体的には、メダルの投入枚数が、1枚の場合、五本の入賞ラインのうち、横中央の一本が入賞有効ラインとなる。そして、メダルの投入枚数が、2枚の場合、五本の入賞ラインのうち、横方向の三本が入賞有効ラインとなる。そして、メダルの投入枚数が、3枚の場合、対角線も含めた五本の入賞ラインの全部が、入賞有効ラインとなる。
【0032】
遊技機10の内部には、図示していないが、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置20(図1参照)が内蔵されている。
なお、ここで、「前面」や「前方向」や「手前方向」とは、遊技者が、遊技機10の正面側の前に遊技機10の方に顔を向けて座って、或いは、立っているような場合のかかる遊技者から見た場合の奥から手前への方向を意味する。したがって、前方向や手前方向とは、遊技機10の奥から正面へ向かう方向を意味する。
また、「背面」や「後方向」や「奥方向」とは、遊技者が、遊技機10の正面側に遊技機10の方を向いて位置しているような場合のかかる遊技者から見たときの手前から奥への方向を意味する。したがって、後方向とは、遊技機10の正面から奥(後ろ)へ向かう方向を意味する。また、本明細書における「左方向」や「右方向」等の左右方向も、かかる遊技機10の前面の方を向いて位置している者から見た場合の右方向や、左方向を意味する。
【0033】
(遊技媒体(メダル)) 前記遊技媒体としてのメダルは、円板型のコイン状のものであって、遊技開始の条件として、メダル投入口18から投入されるものであり、所定の当選役に入賞した場合には、予め定めた所定枚数のメダルが、払い出し口32を介して、払い出し皿33へ払い出されるものである。本実施の形態に係る遊技媒体としてのメダルは、識別可能な2種類の遊技媒体(メダル)を有している。具体的には、本実施の形態に係る遊技媒体(メダル)は、磁性体から形成される磁性遊技媒体181としての磁性メダル182と、磁性体を含まず非磁性体のみからなる非磁性遊技媒体183としての非磁性メダル184とを備えている。
【0034】
そして、前記磁性メダル182と、前記非磁性メダル184とは、表面の色やデザイン等によって、外観が異なるように形成されてあり、一目で両者の違いを区別することができるように形成されている。
前記磁性メダル182は、全部が磁性体から形成されているが、特にこのような構造に限定されるものではなく、磁性メダル182は、少なくとも一部に磁性体を有するような構造のものであれば良いものである。例えば、中央に円板状の磁性体を有し、その周囲にリング状の樹脂等の非磁性体のものを配置するような構造のものでも良いものである。もちろん、磁性メダル182は、少なくとも一部に磁性体を備えたものであれば良いものであって、磁性体の部分がリング状で、樹脂からなる非磁性体が中央の小径円板状のもののように、他の形状や構造からなるものであっても良い。
【0035】
本実施の形態に係る磁性メダル182は、磁性体として、鉄を主成分として他の微量元素を含む鉄合金を使用している。もちろん、この磁性メダル182に使用する磁性体の材料は、これに限定されるものではなく、磁石に吸引される性質をもった物質であり、遊技ホール等の常温、常圧下で、小型の電磁石により、遊技に使用するメダル程度の重量のもので吸引可能な性質をもった形状からなる他の磁性体であっても良いものである。
前記非磁性メダル184は、その全てが非磁性体から形成されている。本実施の形態に係る非磁性メダル184は、非磁性体として、アルミニウムを主成分として他の微量元素を含むアルミニウム合金を使用している。もちろん、この非磁性メダル184に使用する非磁性体は、磁性を示さない物質であり、磁場と相互作用を及ぼさない性質を持った他の非磁性体、例えば、セラミック、ガラス、ステンレスの一部(例えば、SUS304等のオーステナイト系ステンレス)、チタン、真鍮、プラスチック(樹脂)、竹等でも良い。また、これらの非磁性体同士を組み合わせたものでも良く、例えば、円板状の非磁性体からなる金属と、非磁性体からなる樹脂とを組み合わせた構造のものであっても良い。
【0036】
(制御装置20) 前記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、次の(1)遊技制御装置21及び(2)演出制御装置22の装置を有するものである。
図1に示すように、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するための遊技制御装置21と、ランプやスピーカー等の報知手段66を制御するための演出制御装置22とが内蔵されている。また、CPUは、遊技制御装置21及び演出制御装置22に、それぞれ一個ずつ配置されているが、特にこれに限定されるものではなく、一個のCPUで制御しても良く、或いは、二個以上のCPUで制御するようにしても良いものである。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成しても良いものである。
【0037】
(遊技制御装置21) 前記遊技制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の遊技者による操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。この遊技制御装置21は、次の手段として機能する。
(1)遊技制御手段27(通常遊技制御手段70、特別遊技制御手段80)
(2)当選抽選手段110
(3)選択判断制御手段120
(4)クレジット制御手段130
なお、本遊技機により行う遊技は、メダル投入を条件として、一般的(通常)に行われる通常遊技と、同一の遊技回数を基準として遊技期間で比較した場合に、この通常遊技よりも遊技者に大きな利益を付与可能な特別遊技とを備えている。そして、前記通常遊技制御手段70は、通常遊技を行わせるために通常遊技に関する制御を行うものであり、前記特別遊技制御手段80は、特別遊技を行わせるために特別遊技に関する制御を行うものである。また、遊技制御装置21としては、上記した手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0038】
(演出制御装置22) 前記演出制御装置22は、主として演出データに関するものであって、報知ランプ69やスピーカー67等の報知手段66を制御するためのものである。そして、遊技制御装置21の内部データの信頼性を担保するため、遊技制御装置21と演出制御装置22との間での信号のやりとりは、一方通行となるように設定されている。すなわち、遊技制御装置21から、演出制御装置22に向かって出力信号のみが送出され、この演出制御装置22から遊技制御装置21に向かっていかなる信号も送出されないように設定されている。これにより、当選率等の抽選に関するデータを有する遊技制御装置21のデータ保護を容易なものにすることができる。
【0039】
そして、この演出制御装置22は、次の手段として機能する。
(1)演出データ記憶手段25
(2)演出制御手段26
また、演出制御装置22としては、上記した手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
また、ここで、遊技機10は、遊技制御装置21を配置した主基板23の他に、前記演出制御装置22を配置したサブ基板24を設けているものである。前記制御装置20の入力側には、主として制御装置20に信号を送る入力手段が配置され、前記制御装置20の出力側には、主として制御装置20からの信号が送り込まれる出力手段が配置されている。
【0040】
(入力手段) 前記制御装置20の入力側には、図1に示すように、次のパーツが接続されている。
(1)投入スイッチ15(非磁性メダル検知センサ153及び磁性メダル検知センサ141)
(2)ベットスイッチ16
(3)精算スイッチ17
(4)スタートスイッチ30(変動表示開始手段31)
(5)ストップスイッチ50(変動表示停止手段51)
なお、入力手段としては、上記したパーツに限定されるものではない。
【0041】
(出力手段) 前記制御装置20の出力側には、図1に示すように、次のパーツが接続されている。
(1)貯留払い出し手段65(通常貯留払い出し手段191及び特別貯留払い出し手段192)
(2)リールユニット60(モータードライバ62及び駆動モーター63)
(3)報知手段66(スピーカー67、報知ランプ69及び表示装置68)
なお、出力手段としては、上記した(1)から(3)までのパーツに限定されるものではない。
(投入スイッチ15(媒体セレクター19)) 前記投入スイッチ15は、図4に示すように、回転リール40の斜め下方に位置する媒体セレクター19に設けたスイッチであって、メダルのメダル投入口18から投入されたメダルを検知するためのものである。そして、この投入スイッチ15は、図5に示すように、メダル投入口18から投入された非磁性メダル184を検知するための非磁性メダル検知センサ153と、後述する識別手段140の電磁石144の中央付近に形成されて、メダル投入口18から投入された磁性メダル182を検知するための磁性メダル検知センサ141とを備えている。
【0042】
前記媒体セレクター19は、メダル投入口18から投入されたメダルの正否や種類を検知して選択するためのものであって、投入スイッチ15を備えているものである。本実施の形態に係る媒体セレクター19は、メダルの正否に加えて、磁性の有無により磁性メダル182及び非磁性メダル184の識別も可能な媒体電磁セレクター150である。
図5は、前扉14の裏面側に固定された媒体セレクター19を、前扉14の裏面側から見たときの媒体セレクター19の外観斜視図である。
前記媒体セレクター19は、メダル投入口18から投入されたメダルをセレクター媒体受け口151から受け入れるように形成されている。前記媒体電磁セレクター150には、一端が回動可能に軸支されて媒体電磁セレクター150の本体の奥側(図5の手前側)を覆う全体形状が略L字状のカバー157が形成されている。そして、セレクター媒体受け口151から下方に落下して入ってきたメダルは、所定の寸法形状であれば、媒体セレクター19内部の媒体通路152を通って横方向に進行方向を変えて移動する。そして、予め定めた寸法形状よりも小さい寸法形状のメダルは、後述するブロッカー155の作用により、媒体通路152から落下し、カバー157と立設面156との間の排出通路196を通って、下方の皿通路195へ入り込み、そのまま払い出し皿33へ返却される。なお、予め定めた寸法形状とは異なる寸法形状のメダル(異形メダル)の排除処理に関しては、後で説明する。
【0043】
媒体通路152を通って横方向に移動してきた所定寸法形状のメダルが、非磁性メダル184であれば、そのまま媒体通路152を横方向に進んで、光センサである非磁性メダル検知センサ153(投入スイッチ15)を通過することにより、1枚の非磁性メダル184としてカウントされる。この非磁性メダル検知センサ153は、非磁性メダル184の投入スイッチ15としての役割を有するものである。この投入スイッチ15としての前記非磁性メダル検知センサ153は、LEDと、フォトトランジスタとを有する光センサであって、媒体通路152上を、非磁性メダル184が通過することで、LEDから照射された光をメダルが遮断することとなり、1枚の非磁性メダル184の投入を検知するものである。もちろん、この非磁性メダル検知センサ153は、このような光センサに限定されるものではなく、他の近接センサでも良いものである。そして、最後に、セレクター媒体排出口154から排出されて、非磁性メダル184のホッパーユニットである後述する通常貯留払い出し手段191の内部に貯留される。
【0044】
一方、媒体通路152を通って横方向に移動してきた所定寸法形状のメダルが、磁性メダル182であれば、媒体通路152を横方向に進む途中、後述するブロッカー155と非磁性メダル検知センサ153との間で、後述する識別手段140の電磁石144により吸引される。そして、磁性メダル182が電磁石144に吸引されることにより、電磁石144に設けた磁性メダル検知センサ141が、吸引された磁性メダル182を検知して、1枚の磁性メダル182としてカウントする。この磁性メダル検知センサ141は、磁性メダル182の投入スイッチ15としての役割を有するものである。この磁性メダル検知センサ141も、LEDと、フォトトランジスタとを有する光センサであって、電磁石144に吸引された磁性メダル182にLEDから発光された光が、反射して、フォトトランジスタに入ることにより、磁性メダル182の存在を検知可能なものである。もちろん、この磁性メダル検知センサ141も、そのような光センサに限定されるものではなく、磁気センサや接触式センサ等の他の近接センサでも良いものである。そして、電磁石144に吸引された磁性メダル182は、回転ソレノイド142により電磁石144とともに90度回転した後、電磁石144の電磁力がオフとなることにより、下方の案内通路190へ落下して、磁性メダル182の貯留払い出し手段65である特別貯留払い出し手段192へ貯留される。
【0045】
本実施の形態に係る投入スイッチ15は、非磁性メダル184を非磁性メダル検知センサ153により検知し、また、磁性メダル182を磁性メダル検知センサ141により検知し、それぞれメダル投入としてカウントする。そして、磁性メダル182と非磁性メダル184とが混在した状態で投入されても、両方のセンサで検知したカウント数の合計が、投入されたメダルとしてカウントされる。
(予め定めた寸法形状とは異なるメダル(異形メダル)の排除処理)
前記媒体セレクター19の前記媒体通路152から立設する立設面156(セレクター媒体受け口151付近に縦方向に突出する突条も含む)のうち、セレクター媒体受け口151からブロッカー155までは、鉛直面ではなく、僅かに下方に臨むように傾斜して形成されている。すなわち、セレクター媒体受け口151からブロッカー155付近までの立設面156は、僅かに上部が奥側(図5では手前側)へ突出し、下部が手前側(図5では奥側)に引っ込んでいる。そして、立設面156は、ブロッカー155を過ぎた付近から鉛直面となるように形成され、或いは上部が手前側(図5では奥側)になるとともに、下部が奥側(図5では手前側)になるような傾斜面となるように形成されている。このブロッカー155は、薄板金属であって、媒体通路152を通過するメダルの奥側(図5の手前側)の面の上部に当接するような位置に形成されている。すなわち、ブロッカー155と、立設面156との間をメダルが通過可能に形成されている。そして、ブロッカー155付近までの立設面156が下方に向かって臨むように僅かに傾斜しているため、ブロッカー155に側面(円形面)の上部が支持される寸法形状のメダルは、そのまま媒体通路152を転がるが、ブロッカー155に上部が支持されない標準のメダルよりも直径が小さな寸法形状のメダル(具体的には、媒体通路152の上面とブロッカー155の下端との間の距離よりも小さな直径からなるメダル)は、ブロッカー155付近の媒体通路152にくると、媒体通路152の奥側(図5の手前側)へ倒れて、カバー157と立設面156との間の排出通路196へ入り込むようになっているものである。なお、このブロッカー155は、メダルの側面(円形面)上部を支持可能なオン状態と、立設面156から離れる方向に移動して、メダルの側面(円形面)上部を支持しないオフ状態との切り換えが、前面からの手動又は制御命令により可能に形成されている。通常の遊技状態では、ブロッカー155は、オン状態を維持するが、詰まり等の異常が発生した場合には、強制的にオフ状態にすることができるように形成されている。
【0046】
更に、メダルの寸法形状と磁性の有無で区分して、具体的に説明する。
(a)予め定めた寸法形状の非磁性メダル184は、立設面156が下方側に臨むように傾斜しているが、ブロッカー155がオン状態となっていることによって、メダルの側面(円形面)の上部が支えられ、通常通り、媒体通路152を転がる。そして、メダルは、セレクター小径媒体排出口172から排出される。
(b)予め定めた寸法形状よりも小さい非磁性メダル184(具体的には、媒体通路152の上面とブロッカー155の下端との間の距離よりも小さな直径からなる非磁性メダル184)は、立設面156が下方側に臨むように傾斜していること、及びブロッカー155の支えが無いことにより、途中で落ちて、カバー157と立設面156との間の排出通路196から皿通路195へ落下し、払い出し皿33へキャンセルされる。
【0047】
(c)予め定めた寸法形状よりも大きい非磁性メダル184(具体的には、媒体通路152の上面とブロッカー155の下端との間の距離よりも大きな直径からなる非磁性メダル184)は、メダル投入口18或いはセレクター媒体受け口151の幅等が予め定められた寸法形状のメダルと略同じ(若干大きい)であることにより、そもそもセレクター媒体受け口151に入らない。
(d)予め定めた寸法形状の磁性メダル182は、ブロッカー155を過ぎると、図6に示すように、立設面156が略鉛直面となり、或いは上部が手前側(図5では奥側)になるとともに、下部が奥側(図5では手前側)になるような傾斜面となり、上部の支えが無くても排出通路196へ落下することなく、媒体通路152を通過する。そして、磁性メダル182が、ブロッカー155と、非磁性メダル検知センサ153との間の位置で、電磁石144がオン状態となっているため、この電磁石144にくっつく。
【0048】
(e)予め定めた寸法形状よりも小さい磁性メダル182(具体的には、媒体通路152の上面とブロッカー155の下端との間の距離よりも小さな直径からなる磁性メダル182)は、立設面156が下方側に臨むように傾斜していること、及びブロッカー155の支えが無いことにより、電磁石144による吸引力が届く前の媒体通路152上の箇所(図5の媒体通路152のカーブ部付近からブロッカー155付近までの間)で、カバー157と立設面156との間の排出通路196へ落下して、キャンセルされる。
(f)予め定めた寸法形状よりも大きい磁性メダル182(具体的には、媒体通路152の上面とブロッカー155の下端との間の距離よりも大きな直径からなる磁性メダル182)は、メダル投入口18或いはセレクター媒体受け口151の幅等が予め定められた寸法形状のメダルと略同じ(若干大きい)であることにより、そもそもセレクター媒体受け口151に入らない。
【0049】
(異形メダルの排除処理の他のバリエーション)
予め定めた寸法形状と異なるメダルの排除処理は、上述したものに限定されるものではない。上述したものは、媒体通路152上において、ブロッカー155と、非磁性メダル検知センサ153との間に、電磁石144でメダルを吸引させるためのスペースが存在していたが、本バリエーションでは、かかるスペースを有しないものである。そして、上述したものでは、ブロッカー155を過ぎたあとの立設面156は垂直面に、或いは上部が手前側(図5では奥側)になるとともに、下部が奥側(図5では手前側)になるような傾斜面となるように形成されていたが、本バリエーションでは、同様に垂直面でも良いが、ブロッカー155までの立設面156と同じような下方側に臨む傾斜面をそのまま形成しても良いものである。具体的には、例えば、上述した(d)の代わりに、以下の(g)のようにすることができる。なお、(d)の代わりに(g)を使用し、その他の(a),(b),(c),(e),(f)は、同一である。
【0050】
(g)ブロッカー155の手前側にセンサー(磁気センサー等)があり、そのセンサーが磁性メダル182の通過を検知したら、ブロッカー155がオフ状態となり、メダル上部の支えが無くなるように形成されている。かかる場合、予め定めた寸法形状の磁性メダル182は、ブロッカー155手前側のセンサーに検知されて、ブロッカー155がオフ状態となり、支えが無くなる。ここで、電磁石144がオン状態となっているため、磁性メダル182は、この電磁石144にくっつく。
(識別手段140) 前記識別手段140は、上述した媒体電磁セレクター150の背面側に位置して、遊技媒体として、識別可能な複数の遊技媒体を識別するためのものである。具体的には、前記媒体電磁セレクター150は、磁性遊技媒体181としての磁性メダル182と、非磁性遊技媒体183としての非磁性メダル184との2種類の遊技媒体を識別するための識別手段140を備えている。すなわち、前記識別手段140は、磁性の有無により、磁性遊技媒体181(磁性メダル182)及び非磁性遊技媒体183(非磁性メダル184)の識別を実施するものである。
【0051】
本実施の形態に係る識別手段140は、具体的には、図5及び図6に示すように、媒体電磁セレクター150の媒体通路152を通過する磁性メダル182を磁力により吸引可能な電磁石144と、この電磁石144の略中央付近に設けられて、吸引された磁性メダル182の存在を検知可能な磁性メダル検知センサ141と、前記電磁石144の背面側に一体的に固定されて側方に延びる棒状の回転軸143と、この回転軸143を制御信号により90度の回転方向の異なる回転が可能な回転ソレノイド142とを備えている。
前記電磁石144は、制御信号により、磁力が発生するオン状態と、磁力が発生しないオフ状態とを、切り換えることができるように形成されている。そして、この電磁石144は、立設した位置で、オン状態により媒体通路152を通過しようとする磁性メダル182を吸引することができるように形成されている。そして、電磁石144は、その後、回転ソレノイド142により90度回転し、オフ状態となることにより、磁性メダル182を下方の案内通路190へ落下できるように形成されている。そして、磁性メダル182を吸引した際、磁性メダル検知センサ141により、1枚の磁性メダル182が投入されたことを検知することができるように形成されている。メダル投入口18から磁性メダル182が連続して投入されても、1枚、1枚検知できるように上述した検知サイクルは、そのメダルの転がり速度に充分、間に合うように設定されている。
【0052】
なお、上記回転ソレノイド142等は、媒体電磁セレクター150の外枠から延びる板(図示せず)により、媒体電磁セレクター150に一体となるように固定されているものである。
(識別手段140による磁性メダル182の識別処理)
図7から図8を使用して、識別手段140が磁性メダル182を識別する連続状態を以下に説明する。
先ず、図7に示すように、電磁石144は、通常状態は、立設した状態で、磁力が発生するオン状態になっている。かかるときに、メダル投入口18から磁性メダル182が投入されると、媒体電磁セレクター150の上部のセレクター媒体受け口151から磁性メダル182が媒体通路152内部に入り込む。その際、投入されたメダルが、予め定めた寸法形状より小さい場合には、上述したブロッカー155及び傾斜する立設面156の効果により、図6に示すように、カバー157と立設面156との間の排出通路196から下方の払い出し皿33へそのまま返却される。そして、投入された磁性メダル182が所定の寸法形状であって、媒体通路152を側方に移動してくると、識別手段140の電磁石144の磁力によって、図7の矢印に示すように、電磁石144に吸引されて移動し、磁性メダル182が電磁石144にくっつく。
【0053】
なお、媒体通路152上を非磁性メダル184が通過しても、非磁性メダル184は磁力によって作用されないため、そのまま媒体通路152を通過して、非磁性メダル検知センサ153によってカウントされる。
次に、図8に示すように、電磁石144は磁力を発生しているオン状態を維持して、電磁石144の表面に磁性メダル182をくっつけたまま、回転ソレノイド142の回転駆動力により、回転する。具体的には、電磁石144は、表面が立設した状態から水平方向に向かって、90度の回転を開始する。
次に、図9に示すように、電磁石144は磁力を発生しているオン状態を維持して、電磁石144の表面に磁性メダル182をくっつけたまま、回転ソレノイド142による90度の回転が終了する。その時点で、回転ソレノイド142による電磁石144の回転は停止する。そして、電磁石144の回転が停止した状態で、電磁石144の表面が下方の案内通路190に臨むような水平状態となる。
【0054】
次に、図10に示すように、制御信号に基づいて、電磁石144は磁力を発生しているオン状態から、磁力を発生しないオフ状態へ移行する。そして、電磁石144の表面に磁力によりくっついていた磁性メダル182が、磁力の消滅により、電磁石144の表面から離れ、下方の案内通路190の内部に向かって落下する。磁性メダル182が電磁石144から離れた時点で、電磁石144の中央に設けてある磁性メダル検知センサ141が、磁性メダル182を吸引した状態から離れた状態(オンからオフ)を検知して、当該磁性メダル182を、投入されたメダルとして1枚をカウントする。
次に、図示していないが、電磁石144は、水平状態から元の立設状態へ、回転ソレノイド142の回転駆動力により、先ほどの回転方向とは反対方向に90度、回転し、元の立設した状態に戻る。そして、電磁石144が元の立設した状態に戻った時点で、電磁石144は磁力を発生していないオフ状態から、磁力を発生するオン状態となって、次の磁性メダル182が媒体通路152を通過するのを待つことになる。これにより、図7から始まった識別手段140の電磁石144による磁性メダル182の識別工程の1サイクルが終了することになる。上述した磁性メダル182の識別工程の1サイクルは、メダル投入口18から連続して磁性メダル182を投入しても、そのような連続して投入される磁性メダル182を全て、媒体通路152へ案内することができるような短時間に終了できるように設定されている。すなわち、連続して投入される磁性メダル182を1枚、1枚、全て上述したサイクルの繰り返しで媒体通路152へ案内することができるように、高速で電磁石144が90度の回動を繰り返し、且つ、電磁石144の磁力のオンオフの切り換えを実施している。
【0055】
(ベットスイッチ16) 前記ベットスイッチ16は、図4に示すように、回転リール40の下方に位置するスイッチであって、遊技者により予め投入されて遊技機内部に貯留した貯留メダル数を減じてメダル投入に代えるためのものである。
(精算スイッチ17) 前記精算スイッチ17は、図4に示すように、回転リール40の斜め下方に位置するスイッチであって、貯留した投入メダルを払い出すためのものである。
(スタートスイッチ30) 前記スタートスイッチ30は、前記図柄表示手段41としての回転リール40の回転停止表示を回転変動表示へ移行させるために遊技者により変動開始操作が可能な変動表示開始手段31である。このスタートスイッチ30は、図4に示すように、回転リール40の斜め下方に位置するレバーであって、メダルの投入若しくはベットスイッチ16の投入を条件に、または、「再遊技(リプレイ、Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、リールユニット60の駆動を開始させるためのものである。
【0056】
なお、ここで、「再遊技(リプレイ、Replay)」とは、当選抽選手段110の抽選により、「再遊技(リプレイ、Replay)」のフラグが成立し、「再遊技(リプレイ、Replay)」の図柄が入賞有効ライン上に揃うことにより、次の遊技において、メダルを新たに投入することなく、再度、遊技を行うことができるものである。
(ストップスイッチ50) 前記ストップスイッチ50は、前記図柄表示手段の回転変動表示を回転停止表示へ移行させるために遊技者により複数個の前記図柄表示手段を別個独立に停止操作が可能な変動表示停止手段51であって、リールユニット60の駆動モーターの回転を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、図4に示すように、各回転リール40に対応した三個のスイッチから構成され、各回転リール40の下方に1個ずつ配置されているものである。遊技者が回転リール40に対応したストップスイッチ50を指で押す又は触れる等の停止操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止するように設定されているものである。
【0057】
(貯留払い出し手段65) 前記貯留払い出し手段65は、いわゆるホッパーユニットであって、図示しないが、投入された遊技媒体を貯留することができるとともに、入賞した場合に、遊技者に向かって所定数の遊技媒体としてのメダルを払い出すためのものである。
前記貯留払い出し手段65は、非磁性メダル184を貯留するとともに入賞した場合に払い出すための通常貯留払い出し手段191と、磁性メダル182を貯留するとともに入賞した場合に払い出すための特別貯留払い出し手段192とを備えている。
前記通常貯留払い出し手段191及び特別貯留払い出し手段192のいずれも、上方に向かって開口するホッパーを有し、上方から投入されるメダルをホッパー内部に貯留することができるように形成されている。そして、特に図示していないがホッパーの下部に周囲に複数の孔が開いた円板が配置され、その孔の中にメダルが入り込んで、その円板が回転することにより、孔の中のメダルが排出されて、払い出し口32から払い出し皿33へメダルの払い出しが実施されるように形成されている。
【0058】
前記通常貯留払い出し手段191は、図4に示すように、遊技機10の下部の略中央に配置され、払い出し皿33の略中央に位置する通常払い出し口193から、非磁性メダル184を払い出し皿33へ払い出すことができるように形成されている。
前記特別貯留払い出し手段192は、図4に示すように、遊技機10の下部の正面から向かって右側に配置され、払い出し皿33の右側に位置する特別払い出し口194から、磁性メダル182を払い出し皿33へ払い出すことができるように形成されている。
(リールユニット60(モータードライバ62、駆動モーター63)) 前記リールユニット60は、複数の配列された図柄を回転変動表示又は回転停止表示するための複数個の図柄表示手段41を備えているものである。この図柄表示手段41は、21個の図柄を周囲に均等に配列した筒状の回転リール40を有している。すなわち、リールユニット60には、3個の駆動モーター63が、基体としての枠体に固定されている。そして、各々の駆動モーター63の回転駆動軸には、三個の回転リール40の回転中心軸が固定されている。そして、各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープ42とを備えている。このリールテープ42の外周面には、複数個(21個)の図柄61が表示されている。そして、回転リール40の一部に、突出している突出片状のいわゆるスタートインデックスが形成してある。そして、駆動モーター63による回転を開始した後、前記スタートインデックスを光センサ等により検知してからの回転角度を認識することで、現在位置を特定し、その後、所定角度で停止させることによって、停止制御が行われるものである。この光センサは、全体形状が、略コ字状であって、一端に発光素子(LED)が配置され、他端に受光素子(フォトトランジスタ)が配置され、そのコ字状の内部を、突出片状のスタートインデックスが移動することにより、発光素子からの光が遮断され、スタートインデックスの位置を検知可能なものである。
【0059】
以下、具体的に説明すると、この回転リール40の外周表面の21個の図柄61には、各図柄61の表示位置により異なる図柄番号が付与されている。そして、この回転リール40の回転駆動軸には、回転リール40を回転駆動させるための回転駆動源である駆動モーター63としてのステッピングモーター64が固定されている。このステッピングモーター64は、リールユニット60の基体である枠体に固定されて所定の回転角度だけ回転リール40を回転させるための回転駆動力を発生するものである。このリールユニット60には、このステッピングモーター64を回転駆動させるためのモータードライバ62が形成されている。このモータードライバ62には、遊技制御装置21からの制御信号としてのパルス信号が入力されることにより、ステッピングモーター64を回転駆動させるように形成されている。
【0060】
(報知手段66) 前記報知手段66は、遊技者に当選や入賞等を音や光や映像で報知させるためのものである。具体的には、報知手段66は、筐体11に埋め込まれた左右のスピーカー67と、表示窓12の上部中央に配置された液晶表示装置からなる表示装置68と、表示窓12の周囲縁に配置された5個の報知ランプ69とを備えているものである。そして、この報知手段66は、演出制御装置22の制御により、当選時や入賞時にスピーカー67から当選音や入賞音を発生させ、報知ランプ69を点灯又は点滅させることにより、また、表示装置68に図柄模様や文字列を点灯表示させることにより、遊技者に当選や入賞等を報知させるためのものである。
【0061】
(遊技制御手段27) 前記遊技制御手段27は、遊技を行わせるためのものであって、当選抽選手段110の抽選結果に対応した停止制御を図柄表示手段41に対して行うためのものである。具体的には、遊技制御手段27は、通常遊技の制御を行う通常遊技制御手段70と、特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段80とを備えている。
なお、ここで、遊技制御手段27が行わせる遊技は、メダルの投入を条件として遊技が開始可能となり、当選抽選手段の抽選結果、所定の当選役に当選し、且つ遊技状況が当選役に応じて予め定められた図柄表示の態様になること(当選役に対応する図柄が入賞有効ライン上に揃うこと)により入賞となり、或いは、かかる図柄表示の態様にならないこと(当選役に対応する図柄が入賞有効ライン上に揃わないこと)により外れとなって1回の遊技が終了するように設定されている。
【0062】
(通常遊技制御手段70) 前記通常遊技制御手段70は、通常遊技を行わせるためのものである。すなわち、メダルの投入若しくはベットスイッチ16の投入を条件に、または、「再遊技(リプレイ、Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、スタートスイッチ30を操作すると、リールユニット60が駆動され、三個の回転リール40が回転を開始する。その後、ストップスイッチ50の一個を操作すると、当該対応する回転リール40の回転が停止する。そして、ストップスイッチ50を三個全て操作し終わると、三個の回転リール40の回転が全て停止する。このとき、表示窓12の入賞有効ライン上に、予め設定された図柄61が停止すると、ホッパーユニット65を介して所定枚数のメダルが払い出される。なお、メダルを払い出す代わりに、クレジットしても良い。
【0063】
当選には、入賞した場合、メダルの払い出しを伴い、遊技者に利益を付与する小役当選(この小役当選が入賞した場合は小役入賞となる)と、入賞した場合、この小役当選よりもさらに大きな利益を遊技者に付与する特別当選(この特別当選が入賞した場合は特別入賞となる)と、入賞した場合、メダルの払い出しは無いが、メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行うことができる「再遊技(リプレイ、Replay)当選」(この再遊技当選が入賞した場合は再遊技入賞となる)の当選とを備えている。そして、その抽選結果がいずれかの当選となった場合(内部入賞とも言う。)、その当選に対応した当選フラグが成立する。
【0064】
ここで、「フラグ」とは、当選抽選手段110の抽選結果が所定の当選役に当選の場合に、当選であることを記憶しておくためのメモリーであり、小役当選の場合には、小役当選フラグを成立させ、抽選結果が特別当選である場合には特別当選フラグを成立させるものである。そして、この特別当選の当選フラグ成立中に、リールユニット60の回転リール40の停止図柄61の組み合わせが、予め定められた所定の入賞図柄61(例えば、入賞有効ライン上に「7」が三個揃うもの)と一致したことを条件に入賞し、遊技者に有利な特別遊技を行わせるように形成されている。そして、抽選により特別当選フラグが成立したが、回転リール40の停止図柄61の組み合わせが入賞図柄61と一致していない場合、すなわち、特別当選フラグが成立している遊技で入賞できなかった場合、それ以後の遊技に特別当選フラグ成立の権利が持ち越されるように設定されている。そして、当該特別当選フラグを持ち越した遊技でも、入賞できなかった場合、更に、それ以後の遊技に特別当選フラグの権利は、入賞できるまで持ち越されるように形成されている。なお、小役当選の当選フラグは、当選フラグが成立した遊技で入賞させられない場合、当選フラグ成立の権利の次の遊技への持ち越しはない。
【0065】
(蹴飛ばし設定と、引き込み設定) 前記回転リール40の回転及び停止を制御する停止制御として、入賞図柄の組み合わせを遊技者がストップスイッチ50を操作して所定位置に停止させようとしても、回転リール40が回転して、かかる入賞図柄が所定位置に揃わないように設定した蹴飛ばし設定と、ストップスイッチ50を操作した状態から所定の図柄数だけ回転リール40の回転上流側に位置する引き込み可能図柄の中に、当選フラグ成立中の入賞図柄が含まれているような場合に、入賞図柄を所定位置にまで引き込んで停止するように設定した引き込み設定とを備えている。
また、いずれかの当選フラグが成立中に、対応する入賞図柄61を入賞有効ライン上に揃えることができるか否かは、回転リール40の回転速度が一定の場合、ストップスイッチ50のタイミングによるものである。具体的には、ストップスイッチ50を操作した後、190ms以内に回転リール40が停止するように設定されているため、ストップスイッチ50を操作した後、そのまま停止させるか、或いは190ms以内に停止可能な回転リール40の円周上の引き込み可能図柄61、例えば停止位置の図柄の上の図柄から連続する4個の引き込み可能図柄61の中、すなわち停止位置の図柄も含めて全部で5個の図柄中に、対応する入賞図柄61が含まれているような場合には、停止するまでの時間を遅らせて、回転リール40は入賞有効ライン上にその入賞図柄61を引き込んで停止する。一方、停止位置の図柄及びかかる4個の引き込み可能図柄61の中、すなわち全部で5個の図柄中に、対応する入賞図柄61が含まれていないような場合には、入賞有効ライン上にその入賞図柄61を引き込んで停止することができない。また、いずれの当選フラグも成立していない場合には、入賞図柄の入賞確定は不可能となるように設定されている。すなわち、いずれの当選フラグも成立していない場合には、蹴飛ばし設定により、入賞図柄が、所定の入賞有効ライン上に揃わないような位置に停止する、いわゆる蹴飛ばされる。
【0066】
本形態では、停止制御として、上述したような条件判断停止制御を使用しているが、特にこれに限定されるものではなく、停止制御として、停止テーブルを使用しても良い。これは、いずれかの当選フラグが成立中に、対応する入賞図柄61を入賞有効ライン上に揃えることができるか否かは、選択した停止テーブル上に予め記載されている21個の図柄に対応する各停止操作位置(No0〜No20)でのすべりコマ数により決定されるものである。例えば、左側回転リール43、中央回転リール44及び右側回転リール45の入賞有効ライン上の図柄が順にセブン、セブン、セブンと停止することにより、BBゲームに入賞するように設定されている。そして、かかるBBゲームの当選フラグが成立している場合に、右側回転リール45での基準位置での停止操作位置がNo6であるとき、選択された停止テーブルのNo6の位置から3コマ後にセブンが位置して、そのNo6の位置のすべりコマ数には3が予め設定されているとする。かかる場合、その基準位置には、No6の図柄から3コマだけ回転移動してセブンの入賞図柄が停止することとなるものである。このように、停止テーブルには、各停止操作位置でのすべりコマ数が予め設定されている。そして、BBゲームの当選の場合の停止テーブルのように、各当選役が当選しているときの停止テーブルや、ハズレの場合の停止テーブルが予め用意されてあり、当選抽選手段110の抽選結果によって、所定の停止テーブルが選択されるものである。
【0067】
なお、ここで、「基準位置」とは、図柄表示窓13内部に停止する図柄の停止位置の範囲のうち、予め定めた所定の位置を意味する。この基準位置は、図柄表示窓13内部の位置であれば、いずれの位置に設定しても良いものであり、回転リール40の図柄の停止位置を定めるための基準となる位置である。具体的には、この基準位置は、図柄表示窓13の上段に停止する図柄位置の中央の位置に設定されているが、もちろん、他の基準位置に設定しても良い。
なお、ここで、「当選役」とは、各回転リール40で予め定めた入賞図柄の組み合わせを意味するものであって、入賞となる入賞態様の総称を意味するものである。具体的には、当選役とは、例えば、左、中、右の回転リール40の所定の入賞有効ライン上の停止図柄が、それぞれセブン、セブン、セブンとなることにより、入賞となるような入賞図柄の組み合わせ(入賞態様)を意味するものである。
【0068】
(特別遊技制御手段80) 前記特別遊技制御手段80は、抽選手段の抽選結果に基づいて、通常遊技よりも遊技者に大きな利益を付与することができて、遊技者に有利な特別遊技を行わせるためのものである。前記特別遊技としては、大別すると、次のゲームがある。なお、当選していない当選役が入賞しないように不当入賞を回避するための蹴飛ばし設定や、ストップスイッチ50の操作タイミングにおける所定の位置の図柄の上から4図柄(当該図柄を含めると5図柄)の所定範囲の引き込み範囲から、引き込み可能な引き込み設定を有しているのは、通常遊技制御手段70で説明したものと同様である。
(1)特定導入遊技(BBゲーム)
(2)特定遊技(RBゲーム)
(3)特定当選遊技(JACゲーム)
なお、当選していない当選役が入賞しないように不当入賞を回避するための蹴飛ばし設定や、ストップスイッチ50の操作タイミングにおける所定の位置の図柄の上から4図柄(当該図柄を含めると5図柄)の所定範囲の引き込み範囲から、引き込み可能な引き込み設定を有しているのは、通常遊技制御手段70で説明したものと同様である。
【0069】
上述した特別遊技のうち、特定導入遊技(BBゲーム)と、特定遊技(RBゲーム)とは、通常遊技及び特殊遊技中に単独に実施可能に設定されている。具体的には、前記特定遊技(RBゲーム)は、通常遊技及び特殊遊技から移行して単独で実施される独立RBゲームと、この独立RBゲームと遊技内容は同一であるが特定導入遊技(BBゲーム)中に移行可能な従属RBゲームとを実施可能に形成されている。
前記特定当選遊技(JACゲーム)は、本形態において通常遊技から移行することはできず(単独では実施されず)、RBゲーム(独立RBゲーム及び従属RBゲーム)の内部で実施されるものである。すなわち、前記特定当選遊技、いわゆるJACゲームは、RBゲーム中に行われるものである。
【0070】
また、特定遊技(RBゲーム)のうち、従属RBゲームは、特定導入遊技、いわゆるBBゲーム中に、所定の条件の範囲内(具体的には、所定の獲得メダル枚数の範囲内)で入賞した場合には何回でも行われるように設定されている。そして、独立RBゲームは、BBゲーム中で無い場合、通常遊技や特殊遊技から移行して単独で実施される。
そして、特別遊技制御手段80は、図2に示すように、大別すると、次の手段を備える。
(1)特定導入遊技制御手段91(BBゲーム制御手段90)
(2)特定遊技制御手段101(RBゲーム制御手段100)
(特定導入遊技制御手段91)
前記特定導入遊技制御手段91は、BBゲームを制御するためのBBゲーム制御手段90である。具体的には、BBゲームに移行すると、通常遊技と同様のBB中小役遊技が、最大3枚のメダルの投入によって開始され、3つの回転リール40の回転を各々停止させた際に、入賞有効ライン上に入賞図柄が揃っているか否かによって、メダルの払い出しが行われるものである。したがって、BBゲーム中のBB中小役遊技では、通常遊技と同様に小役を含めた抽選が毎回行われるものである。ただ、このBBゲーム中にRBゲームに移行するための入賞図柄が入賞有効ライン上に揃った場合には、その後RBゲーム(従属RBゲーム)に移行するものである。
【0071】
なお、BBゲーム中はRBゲーム(従属RBゲーム)への移行が、所定獲得枚数までは何回でも行われることになっているために、1回目のRBゲームが終了した後は、また前述したような通常遊技と同様なBB中小役遊技の抽選及び制御が行われるものである。
そして、BBゲームでは、BBゲーム中の獲得メダル枚数が、予め定めた特定枚数を超えるまでは、BBゲーム中のRBゲームを何回でも行うことができるように設定されている。そして、BBゲーム中の獲得メダル枚数が特定枚数を超えたときに、当該BBゲームは終了するものである。もちろん、終了条件はこれに限定されるものではなく、例えば、BBゲーム中のRBゲームが所定の最大回数、例えば3回か、或いはBBゲーム中のBB中小役遊技が所定の最大回数、例えば最大30回の終了により、BBゲームは終了するように設定しても良い。また、かかる場合のBBゲーム中のRBゲームや、BB中小役遊技の最大回数は、上述したものに限定されるものではなく、遊技機10の種類の違いにより、他の回数(例えば、RBゲームの最大回数が2回)に設定されているものでも良い。
【0072】
(特定遊技制御手段101) 前記特定遊技制御手段101は、RBゲームを制御するためのものである。具体的には、RBゲームに移行すると、メダルが1枚投入となり、回転リール40の所定の図柄61が表示窓12のセンターライン上に揃った場合に入賞となる特定当選遊技(いわゆるJACゲーム)が行われるものである。そして、RBゲームでは、当選するか否かの特定当選遊技(いわゆるJACゲーム)が最大12回行えるものであり、そのうち、最大8回の入賞が可能である。すなわち、最大8回の入賞となるか、或いは最大12回の特定当選遊技(いわゆるJACゲーム)の終了により、RBゲームは終了するものである。もちろん、終了条件は、これに限定されるものではなく、予め定めた特定の獲得メダル枚数に到達することにより終了するように設定しても良い。
【0073】
(当選抽選手段110) 前記当選抽選手段110は、予め定めた当選率に基づいて当選か否かの当選判定の抽選を行うものである。そして、当選抽選手段110による抽選結果が当選である場合(内部入賞とも言う。)に当選フラグが成立し、この当選フラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた入賞図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
前記当選抽選手段110は、図1に示すように、大別すると、次の手段を備える。
(1)当選乱数発生手段111
(2)当選乱数抽出手段112
(3)当選判定テーブル記憶手段113
(4)当選判定手段114
なお、当選抽選手段110としては、上記した(1)から(4)までに限定されるものではない。
【0074】
(当選乱数発生手段111) 前記当選乱数発生手段111は、抽選用の乱数を所定の領域内(十進数で0から65535までの範囲)で発生させるものである。この当選乱数発生手段111は、一定範囲の数字を高速で1ずつ加算するカウンタを用いて構成するものであって、0から65535の範囲の数字を、1秒間に数百万回程度順次繰り返すようにしたカウンタである。そして、「当選乱数抽出手段」としては、スタートスイッチを押したタイミングでカウンタの数字を読みとるものである。これは、「当選乱数発生手段」では乱数を発生しているわけではないものの、「当選乱数抽出手段」によって抽出される数字は、あたかも乱数のような分布となるものである。
【0075】
なお、ここで、「当選乱数発生手段」には、ソフト乱数としての平均採中法(n桁の数字を2乗して中央のn桁の数を取り出すことの繰り返しによる乱数発生方法)等で乱数を発生させることができるものでも良い。このように結果として乱数のような分布を示す数字が得られる手段を、ここでは、「当選乱数発生手段」或いは「当選乱数抽出手段」に含めて考えるものである。
(当選乱数抽出手段112) 前記当選乱数抽出手段112は、当選乱数発生手段111が発生する乱数を、所定の条件(具体的には、スタートスイッチ30の操作)で抽出するものである。なお、この抽出した乱数を抽出乱数データとする。
【0076】
(当選判定テーブル記憶手段113) 前記当選判定テーブル記憶手段113は、当選乱数発生手段111がとる乱数の全領域中、各当選項目の当選領域を有するものである。この当選判定テーブル記憶手段113は、異なる抽選確率を記憶した複数のものが形成されている。具体的には、当選判定テーブル記憶手段113は、第1設定当選判定テーブルと、第2設定当選判定テーブルと、第3設定当選判定テーブルと、第4設定当選判定テーブルと、第5設定当選判定テーブルと、第6設定当選判定テーブルとを備えているものである。この第1〜6設定当選判定テーブルは、それぞれ異なる抽選確率が記録されてあり、いわゆるスロットマシンの1から6までの「設定」を決めるものであって、第1設定当選判定テーブルから第6設定当選判定テーブルまで、順に、抽選確率が高くなるように設定されている。
【0077】
(当選判定手段114) 前記当選判定手段114は、当選乱数抽出手段112が抽出した抽出乱数データと、当選判定テーブル記憶手段113の当選率データを基に当選乱数発生手段111がとる乱数の全領域中の各当選項目の当選領域からなる当選判定領域データとを照合し、当該抽出乱数データが属する当選領域に対応する当選を決定するものである。
なお、本実施の形態では、後述するようにBBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)は、当該遊技で入賞しない場合、次の遊技に当該権利(当選フラグ成立の権利)は、持ち越されるが、かかる当選フラグ(特別当選フラグ)成立が持ち越されている遊技でも、上述したような抽選が実施される。これにより、1回の遊技中に複数の当選フラグが成立するような場合が発生し得るものである。具体的には、例えば、BBゲームの当選フラグと、チェリーの当選フラグとの両方が成立しているような状況が発生し得るものである。
【0078】
なお、BBゲームの当選フラグ成立中でも、BBゲームの抽選も含めて同じ抽選を実施しているため、BBゲームに再度、当選することもあるが、BBゲームの複数の当選フラグのストックはできないように設定しているため、BBゲームの当選フラグ中に再度、BBゲームに当選しても、BBゲームの当選フラグが複数個、成立することはないように形成されている。その際の抽選は、BBゲームの当選フラグ成立中には、BBゲーム移行のための当選役以外の小役や再遊技の抽選だけを実施するように形成しても良い。もちろん、BBゲームの複数の当選フラグを成立することができるように形成しても良いものである。
【0079】
(選択判断制御手段120) 前記選択判断制御手段120は、遊技媒体としてのメダルを遊技者へ払い出す際、識別手段140により識別されたメダルのうちいずれの種類のメダルを払い出すかの選択を、遊技状態に応じて、判断するためのものである。この選択判断制御手段120は、識別手段140により識別されたメダルを、遊技状態に応じて、貯留払い出し手段65により遊技者に向かって払い出し可能としている。
前記選択判断制御手段120は、遊技状態が、特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立した遊技状態の場合、かかる当選フラグが成立していない遊技状態で払い出すメダルとは異なる種類のメダルを、払い出すメダルとして選択している。
【0080】
具体的には、前記選択判断制御手段120は、当選抽選手段110の抽選結果、BBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)が成立している遊技状態の場合であって、同時に他の当選役に入賞(例えばチェリー2枚役に入賞)した場合、その当選役(チェリー)の入賞により払い出されるメダルは、特別貯留払い出し手段192の下部の円板を回転させて、特別貯留払い出し手段192に貯留されている磁性メダル182を、特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出す。かかる磁性メダル182は、非磁性メダル184とは外観が違うようにしているため、払い出された磁性メダル182を見た遊技者は、現在の遊技状態が、BBゲームの当選フラグが成立していることを直ぐに認識することができる。なお、BBゲームへ移行可能な当選役が入賞した場合も、BBゲームの入賞により遊技媒体の払い出しのある場合には、特別貯留払い出し手段192に貯留されている磁性メダル182を、特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出す。
【0081】
一方、前記選択判断制御手段120は、かかるBBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)が成立していない遊技状態で、他の当選役に入賞(例えばチェリー2枚役に入賞)した場合、その当選役(チェリー)の入賞により払い出されるメダルは、通常貯留払い出し手段191の下部の円板を回転させて、通常貯留払い出し手段191に貯留されている非磁性メダル184を、通常払い出し口193から払い出し皿33へ払い出す。かかる非磁性メダル184は、磁性メダル182とは外観が異なるようにしているため、払い出された非磁性メダル184を見た遊技者は、現在の遊技状態が、BBゲームの当選フラグは成立していないことを直ぐに認識することができる。なお、上述したようなBBゲームの当選フラグ成立中の払い出しが磁性メダル182であるという内容に関しては、予め遊技者に何らかの手段で報知されるものである。具体的には、遊技機10の前面側に貼付されたシールの表面の遊技内容説明文中や、遊技ホールで配布されるチラシや小冊子等に記載されている。また、表示装置68等の液晶表示装置により、BBゲームの当選フラグが成立している場合には、磁性メダル182が払い出されることを、予め遊技者に報知するようにしても良い。また、現在、成立中の当選フラグが複数であることを、遊技者に液晶表示装置やランプ等により報知するようにしても良い。また、上述したような内容に関して、全く報知を実施しなくても、熟練した遊技者は遊技回数を重ねるにつれて、払い出しメダルが磁性メダル182のときには、BBゲームの当選フラグ成立中であることを経験則により知ることが充分可能である。また、熟練遊技者に対して、そのような内容を遊技経験による報知によって、楽しませることができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、BBゲームの当選フラグ成立中に他の当選役に入賞してメダルが払い出される場合、払い出される全てのメダルを磁性メダル182で払い出しているが、特にこれに限定されるものではなく、払い出されるメダルのうちの一部を磁性メダル182で払い出し、その残りの払い出されるメダルは、非磁性メダル184で払い出すようにしても良い。これにより、払い出されるメダルに、磁性メダル182が混じっていることで、遊技者は、現在の遊技状態が、BBゲームの当選フラグ成立中であることを認識することができる。
また、本実施の形態では、BBゲームの当選フラグ成立中に他の当選役に入賞してメダルが払い出される場合、常に、所定のメダル(磁性メダル182)を払い出すようにしているが、特にこれに限定されるものではない。具体的には、BBゲームの当選フラグ成立中に他の当選役に入賞してメダルが払い出される場合、BBゲームの当選フラグが成立してから最初のメダル払い出しのときのみ、所定のメダル(例えば磁性メダル182)を払い出すようにして、それ以後のメダル払い出しのときには、通常時に使用するメダル(非磁性メダル184)を払い出すように形成しても良いものである。
【0083】
(クレジット制御手段130) 前記クレジット制御手段130は、遊技媒体としてのメダルを所定の限度枚数まで、予めクレジットとして貯留可能なものである。具体的には、このクレジット制御手段130は、最大クレジット限度枚数を50枚に設定している。このクレジット制御手段130は、現在のクレジット枚数が最大クレジット枚数の50枚に達していない場合、メダル投入口18からメダルが投入されると、投入されたメダルは50枚までクレジットとしてカウントされることになる。また、クレジット制御手段130は、現在のクレジット枚数が最大クレジット枚数の50枚に達していない場合、入賞により払い出されるメダルは、払い出し口32から払い出し皿33へ払い出されずに50枚までクレジット枚数を増加させるように形成されている。
【0084】
(演出データ記憶手段25) 前記演出データ記憶手段25は、報知手段66の演出データを記憶するためのものである。具体的には、例えば、BBゲームの入賞時の報知手段66のスピーカー67から発生させるサウンドや、報知ランプ69の点灯、点滅の時間や順序等のデータや、表示装置68に表示される図柄模様及び文字列のデータが記憶されているものである。もちろん、記憶する演出内容は、これらに限定されるものではなく、予め記憶された音声や、振動や、他のランプの点灯等の種々の報知手段によるものでも良いものである。
(演出制御手段26) 前記演出制御手段26は、演出データ記憶手段25からの各演出データを、制御装置20等からの制御信号に基づいて、報知手段66に出力し、かかる装置を制御するためのものである。
【0085】
具体的には、所定の当選フラグ成立中に所定の入賞有効ライン上に当該入賞図柄が揃うことにより入賞したときに、演出データ記憶手段25からの演出情報に基づいて、報知ランプ69の所定位置のランプを点灯や点滅させたり、スピーカー67から所定の電子音を発生させたり、表示装置68に所定の図柄模様及び文字列を点灯表示させるためのものである。
(遊技機10の動作) 次に、前記構成を備えた遊技機の通常遊技の動作の概略について、図11から図13までに示したフローを用いて説明する。
先ず、図11に示すステップ101において、スタートスイッチ30が操作されることにより、スタートスイッチ30がONとなる。そして、次のステップ102に進む。
【0086】
ステップ102において、当選抽選手段110により抽選処理が行われる。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、回転リール40の回転が開始する。そして、次のステップ104に進む。
ステップ104において、ストップスイッチ50が操作されることにより、ストップスイッチ50がONとなる。そして、次のステップ105に進む。
ステップ105において、回転リール40の回転停止処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
【0087】
ステップ106において、三個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われたと判定された場合、次のステップ107に進む。
ステップ107において、所定枚数のメダルの払い出しのある当選役の入賞図柄が入賞有効ライン上に揃ったか否か、すなわち、メダル払い出しのある当選役に入賞したか否かが判定される。そして、入賞したと判定された場合、次のステップ108に進む。
ステップ108において、BBゲームへ移行するための当選役の当選フラグが成立中であるか否かが判定される。そして、BBゲームの当選フラグが成立中であると判定された場合、次のステップ109に進む。
【0088】
ステップ109において、クレジット枚数が最大貯留枚数(50枚)に達して、メダルの直接の払い出しがあるときには、所定の枚数の磁性メダル182が、特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出される。なお、クレジット枚数が最大貯留枚数(50枚)に達しておらず、メダルの直接の払い出しがないときには、クレジット枚数が、所定枚数だけ加算される。そして、当該遊技が終了する。
前記ステップ106において、三個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われていないと判定された場合、ステップ104に戻る。
前記ステップ107において、メダル払い出しのある当選役に入賞していないと判定された場合、当該遊技が終了する。
【0089】
前記ステップ108において、BBゲームへ移行するための当選役の当選フラグが成立中でないと判定された場合、次のステップ110に進む。
ステップ110において、クレジット枚数が最大貯留枚数(50枚)に達して、メダルの直接の払い出しがあるときには、所定の枚数の非磁性メダル184が、通常払い出し口193から払い出し皿33へ払い出される。なお、クレジット枚数が最大貯留枚数(50枚)に達しておらず、メダルの直接の払い出しがないときには、クレジット枚数が、所定枚数だけ加算される。そして、当該遊技が終了する。
上述したステップ102の当選抽選処理について、図12のフローを用いて説明する。
【0090】
ステップ200において、当選抽選手段110の当選乱数発生手段111により発生された乱数の中から当選乱数抽出手段112により乱数が抽出される。そして、次のステップ201に進む。
ステップ201において、抽出された乱数が当選乱数抽出手段112の内部に記憶される。そして、次のステップ202に進む。
ステップ202において、当選判定手段114により、抽出された乱数と、当選判定テーブル記憶手段113の当選判定領域データとの比較が行われる。そして、次のステップ203に進む。
【0091】
ステップ203において、当選判定手段114により、抽出された乱数が、当選判定テーブル記憶手段113のどの当選領域に含まれるか決定され、抽選処理の評価が決定される。そして、次のステップ204に進む。
ステップ204において、所定の図柄の蹴飛ばしと、所定図柄の引き込みとが設定される。そして、当選抽選処理が終了する。
上述したステップ105の回転リール40の回転停止処理について、図13を用いて説明する。
ステップ300において、所定の図柄に対して、蹴飛ばしの設定が達成されたか否かが判定される。この蹴飛ばしの設定は、全ての入賞有効ライン上で、当選抽選手段110の抽選結果に基づいて不当入賞が発生しないように全ての停止操作タイミングにおいて、設定されているものである。そして、所定の図柄の蹴飛ばしの設定が達成されていないと判定された場合、次のステップ301に進む。
【0092】
ステップ301において、1個の図柄分だけ、回転リール40を回転させる。すなわち、1個の図柄分だけ蹴飛ばしを行う。そして、次のステップ302に進む。
ステップ302において、上述した1個の図柄分だけ回転リール40を回転させた当該図柄の数がストップスイッチ50の操作後の4個目に該当するか否かが判定される。そして、ストップスイッチ50を操作した後、1図柄ずつ回転リール40を回転させてずらした図柄の数が4個目の場合には、次のステップ303に進む。
ステップ303において、回転リール40の回転を停止させる。これにより、メダル投入から回転リール40の回転停止までの遊技機10の動作が終了する。
【0093】
前記ステップ300において、所定の図柄の蹴飛ばしの設定が達成されていると判定された場合、次のステップ304に進む。
ステップ304において、いずれかの図柄に対して引き込みが設定されているか否かが判定される。そして、いずれかの図柄に対して引き込みが設定されていると判定された場合、次のステップ305に進む。
ステップ305において、引き込み設定が達成されたか否かが判定される。そして、引き込み設定が達成されたと判定された場合、次のステップ303に進む。
前記ステップ304において、いずれの図柄に対しても引き込みが設定されていないと判定された場合、ステップ303に進む。
【0094】
前記ステップ305において、引き込み設定が達成されていないと判定された場合、ステップ301に進む。
前記ステップ302において、ストップスイッチ50を操作した後、1図柄ずつ回転リール40を回転させてずらした図柄の数が4個目でない場合には、ステップ300に戻る。
なお、上述した実施の形態において、回転リール40の停止処理に関してステップ301からステップ305で説明しているが、この例は、引き込み範囲図柄のうち、基準位置に近い図柄から条件を調査する、いわゆる最小引き込み停止制御の例である。逆に、引き込み範囲図柄のうち、基準位置に遠い図柄から条件を調査する、いわゆる最大引き込み停止制御としても良い。
【0095】
更には、例えば、ストップスイッチ50を押すタイミングで予め定めたテーブルに従って回転リール40の停止位置を決定する、いわゆるテーブル停止制御の方法によるものでも良いものである。このテーブル停止制御は、当選フラグ成立の有無や、当選フラグ成立中の入賞図柄に基づいた複数のテーブルを有し、この複数のテーブルから適宜、遊技状況に応じたテーブルが選択されるものである。
なお、テーブル停止制御においても、当選フラグが成立しているときには、その当選フラグに対応する図柄が入賞有効ライン上に揃うように、予めテーブルの上で停止位置が決定されてあり、いわゆる引き込み設定の一種を備えているものである。また、当選フラグが成立していないときには、他の入賞図柄が入賞有効ライン上に揃わないように、予めテーブルの上で停止位置が決定されてあり、いわゆる蹴飛ばし設定の一種を備えているものである。
【0096】
(作用) 本実施の形態は、選択判断制御手段120は、現物のメダルが払い出されるとき、識別手段140により識別された遊技媒体としてのメダルを、BBゲームの当選フラグ成立中の有無という遊技状態に応じて、貯留払い出し手段65により遊技者に向かって払い出し可能である。これにより、遊技者は、現物のメダルが払い出されるとき、磁性メダル182及び非磁性メダル184という2種類のメダルのうち、いずれの種類のメダルが貯留払い出し手段65により払い出されるかによって、現在の遊技状態がBBゲームの当選フラグ成立中であるか否かを知ることができる。なお、特別払い出し口194から磁性メダル182が払い出されたときには、BBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)が成立中であることは、予め遊技者に貼付シール等によって報知されているものであり、また、液晶表示装置等により遊技間又は遊技中にその内容を報知しても良いものである。
【0097】
本実施の形態は、識別手段140の電磁石144が発生する磁場の有無により、磁性遊技媒体181と、非磁性遊技媒体183との識別を実施する。すなわち、電磁石144で発生した磁場中に、磁性遊技媒体181と、非磁性遊技媒体183とを置くと、その磁場の作用により、磁性遊技媒体181は電磁石144に向かって吸引されて移動するが、非磁性遊技媒体183は移動しない性質を利用することで、磁性遊技媒体181と非磁性遊技媒体183とを識別することができる。これにより、両者を分離して選択することができる。
本実施の形態は、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグが成立している遊技状態の場合、かかるBBゲームの当選フラグが成立していない遊技状態で払い出す遊技媒体としてのメダルとは外観上、異なる種類のメダルが、選択されて、遊技者へ払い出される。これにより、払い出されるメダルの種類によって、BBゲームへ移行可能な当選役の当選フラグが成立しているか否かを、遊技者へ報知することができる。すなわち、払い出されるメダルの種類によって、所定の当選フラグ成立を報知することが可能となる。これにより、新たな演出報知形態を実施することができ、演出報知の幅を拡げ、演出報知が単調となることを回避することができる。
【0098】
BBゲームの当選フラグ成立の有無により、払い出すメダルの種類がどのようなものであるかの報知は、遊技機10の前面に表示する遊技内容の説明や、小冊子等により遊技者に予め知らせている。しかし、その報知は、必ずしも必要な構成ではなく、かかる情報を遊技者に全く知らせなくても、遊技回数を経ることによって、遊技内容に熟練した熟練者ならば、BBゲームの当選フラグ成立の有無という遊技状態の違いによって、払い出されるメダルの種類が異なることを推測して、その内容を察知することが充分可能である。また、そのような内容を察知、推測することも遊技の楽しみの一つとなる。
本実施の形態は、メダルの種類毎に、異なる払い出し口32から払い出している。すなわち、磁性メダル182は、特別払い出し口194から払い出し、非磁性メダル184は、通常払い出し口193から払い出している。これにより、メダルの種類の違いに加えて、払い出される払い出し口32の違いにより、遊技者は、遊技状態の相違を明確に認識することができる。
【0099】
本実施の形態は、メダルの材質を磁性との相互作用の関係で、2種類に分離しているが、更に、それぞれに分離したメダルを、寸法形状の相違による、複数種類(S種類、Sは自然数、Sは3以上が好適である)に分離するように形成することができる。そして、当選役の種類を、R種類(Rは自然数、Rは3以上が好適である)だけ形成しているような場合、1回の遊技で、複数種類(最大R種類)の当選フラグを成立可能に形成することができる。そして、当選役の当選フラグが1回の遊技でT種類(Tは自然数、Tは、R以下、且つS以下)、成立しているときには、1回の遊技で払い出されるメダルの種類も、そのT種類のメダルが、含まれるようにするように形成することができる。そして、更に、成立している当選フラグの種類と、払い出される前記遊技媒体の種類とが、1対1に対応するように形成することができる。
【0100】
このように形成すると、当該遊技の1回の払い出しで使用されるメダルにT種類のメダルを含んていることにより、当選フラグがT種類だけ、成立していることを、払い出されたメダルの種類である払い出し形態によって報知演出することができる。これにより、遊技者は、T種類の当選フラグ成立を、払い出されるメダルにより知ることができる。更に、成立している当選フラグの種類と、払い出される遊技媒体の種類とが1対1に対応しているため、払い出される遊技媒体の種類を確認することにより、成立している当選フラグの種類を知ることができる。すなわち、払い出される遊技媒体の種類により、成立している当選フラグの種類の報知を行うことができる。結果して、遊技者へ多くの情報を提供することができ、報知演出の幅を拡げることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、ステップ109及び110において、クレジット枚数が最大貯留枚数(50枚)に到達しているときだけ、現物のメダル(磁性メダル182又は非磁性メダル184)の払い出しを実施していたが、特にこれに限定せずに、クレジット制御手段130を有さずに、或いは、クレジット制御手段130を有していてもクレジットを実行せずに、いずれの場合もクレジットの加算をせずに、現物のメダル(磁性メダル182又は非磁性メダル184)の払い出しを実施するように形成しても良い。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、入賞によるメダルの払い出し処理において、BBゲームの当選フラグ成立の有無に拘わらず、磁性メダル182及び非磁性メダル184のいずれも、クレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していない場合は、現物のメダルの払い出しをせずに、クレジットを加算していた。そして、クレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達している場合は、BBゲームの当選フラグ成立の有無によって、磁性メダル182又は非磁性メダル184のいずれかの現物のメダルを、直接、払い出し皿33へ払い出していた。
【0102】
本実施の形態は、入賞による払い出し口32からのメダルの払い出し処理において、BBゲームの当選フラグが成立していない場合であって、且つ、クレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していない場合は、クレジットを加算する。そして、BBゲームの当選フラグが成立していない場合であって、且つ、限度枚数(50枚)に到達している場合は、非磁性メダル184を直接、払い出し皿33へ払い出すものである。
そして、選択判断制御手段120は、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグ(特別当選フラグ)が成立中の場合、クレジット制御手段130の貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していなくても、入賞による払い出し処理において、遊技媒体のうち少なくとも一部は、特別払い出し口194から払い出し皿33へ直接、払い出すものである。その他は、第1の実施の形態で説明したものと同一の構成を有し、同一の作用及び効果を奏するものである。
【0103】
更に、第1の実施の形態と異なる点を主として、以下に、具体的に説明する。
選択判断制御手段120は、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグ(特別当選フラグ)が不成立中で、且つ、クレジット制御手段130の貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していない場合、入賞による払い出し処理においては、非磁性メダル184を、通常払い出し口193から払い出し皿33へ払い出さずに、クレジット制御手段130のクレジット枚数を増加させる。
そして、選択判断制御手段120は、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグ(特別当選フラグ)が不成立中で、且つ、クレジット制手段130の貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達している場合、入賞による払い出し処理においては、非磁性メダル184を、通常払い出し口193から払い出し皿33へ直接、払い出す。
【0104】
そして、入賞による払い出し口32からのメダルの払い出し処理において、BBゲームの当選フラグが成立した場合、クレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達しているか否かに拘わらず、全て、磁性メダル182を直接、特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出すものである。
具体的には、選択判断制御手段120は、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグ(特別当選フラグ)が成立中の場合、クレジット制御手段130の貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達しているか否かに拘わらず、入賞による払い出し処理においては、クレジット制御手段130のクレジット枚数を増加させずに、磁性メダル182を、全て、特別払い出し口194から払い出し皿33へ直接、払い出す。
【0105】
なお、本実施の形態では、BBゲームの当選フラグ成立中は、クレジット枚数が限度枚数(50枚)に到達しているか否かに拘わらず、クレジット枚数を増加させずに、払い出し枚数の全てを、特別払い出し口194から払い出しているが、特にこれに限定されるものではなく、払い出し枚数のうちの一部だけを、特別払い出し口194から払い出し、残りをクレジット枚数の増加に当てても良いものである。例えば、1枚(或いは、予め定めた所定枚数)だけは、直接、払い出し皿33へ払い出し、残り枚数は、クレジット枚数を増加させるように形成しても良い。或いは、クレジット枚数の空き状況を検知して、払い出し枚数のうち何枚を直接、払い出し可能であるか判断するように形成しても良い。具体的には、例えば、クレジット枚数が40枚(50枚まで貯留可能とする)のときに、15枚払い出しの入賞があった場合、5枚以上の所定枚数のメダルを、直接、払い出し皿33へ払い出すように判断するようにしても良いものである。
【0106】
図14は、本実施の形態に係る遊技機の遊技の動作の概略のフローを示すものである。なお、第1の実施の形態で説明した図1から図10まで、並びに、図12及び図13は、本実施の形態でもそのまま適用されるものである。
先ず、図14のステップ401から407までは、図11のステップ101からステップ107までと同一であるため、説明を省略する。
ステップ408において、BBゲームの当選フラグ(特別当選フラグ)が成立中であるか否かが判定される。そして、BBゲームへ移行するための当選役の当選フラグが成立中であると判定された場合、次のステップ409に進む。
【0107】
ステップ409において、特別払い出し口194より1枚の磁性メダル182が払い出し皿33へ払い出される。そして、次のステップ410に進む。
ステップ410において、予め定められた所定枚数のメダルの払い出しが終了したか否かが判定される。そして、メダル払い出しが終了していると判定された場合、当該遊技が終了する。
前記ステップ408において、BBゲームへ移行するための当選役の当選フラグが成立中でないと判定された場合、次のステップ411に進む。
ステップ411において、クレジット制御手段130のクレジット枚数が限度枚数(50枚)に到達したか否かが判定される。そして、クレジット枚数が限度枚数に到達していると判定された場合、次のステップ412に進む。
【0108】
ステップ412において、通常払い出し口193より1枚の非磁性メダル184が、払い出し皿33へ払い出される。そして、次のステップ413に進む。
ステップ413において、予め定められた所定枚数のメダルの払い出しが終了したか否かが判定される。そして、所定枚数のメダルの払い出しが終了していると判定された場合、当該遊技が終了する。
前記ステップ411において、クレジット枚数が限度枚数(50枚)に到達していないと判定された場合、次のステップ414に進む。
ステップ414において、クレジット制御手段130のクレジット枚数に1が加算される。そして、次のステップ413に進む。
【0109】
前記ステップ413において、所定枚数のメダルの払い出しが終了していないと判定された場合、ステップ411の前に戻る。
(作用) 本実施の形態は、クレジット制御手段130のクレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していない場合において、入賞により払い出される遊技媒体(メダル)は、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中のときには払い出されずにクレジット枚数が増加するが、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグが成立中のときにクレジット枚数を増加させずに払い出し口32から磁性メダル182が直接、払い出し皿33へ払い出される。これにより、クレジット制御手段130のクレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していない場合において、入賞により払い出される遊技媒体としてのメダルが、クレジット枚数の増加がされるが払い出されないのか、或いは、磁性メダル182が特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出されるのかによって、特別遊技(BBゲーム)へ移行可能な当選役の当選フラグが成立しているか否かの報知演出が可能となる。すなわち、遊技者は、クレジット制御手段130の貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していない場合において、入賞による払い出し処理が、クレジット枚数増加となるのか、遊技媒体(メダル)が払い出し皿33へ直接払い出されるのかの払い出し形態を観察することによって、特別遊技の当選フラグの成立の有無を知ることができる。これにより、新たな演出報知形態を実施することができ、演出報知の幅を拡げ、演出報知が単調となることを回避可能な上に、更に、遊技状態の相違を明確に認識することができる。
【0110】
上述の作用及び効果を得るために、クレジット制御手段130の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合、入賞による払い出しが、クレジット枚数増加となるのか、直接、払い出し皿33へ払い出されるのかの相違により、どのような遊技状態であるのかという内容の報知は、遊技機10の前面に貼付された遊技内容説明文中の説明や、小冊子等により遊技者に予め知らせている。また、表示装置68等の液晶表示装置に表示しても良い。但し、かかる内容の報知は、必ずしも必要ではなく、かかる情報を遊技者に全く知らせなくても、遊技回数を経ることによって、遊技内容に熟練した熟練者ならば、遊技状態の違いによって、払い出し形態が異なることを察知することが充分可能である。そして、そのような内容を察知することも遊技の楽しみの一つとなる。
【0111】
また、本実施の形態では、BBゲームへ移行するための当選役の当選フラグ(特別当選フラグ)が成立中であるか否かにより、磁性メダル182を特別払い出し口194で払い出すのか、或いは、非磁性メダル184を通常払い出し口193で払い出すのかの違いに加えて、上述したようなクレジット限度枚数に達していないときに、クレジット増加ではなく、払い出し皿33への直接払い出しを実行している。しかし、これに限定されるものではなく、メダルを磁性メダル182と非磁性メダル184とに区分せずに共通のメダルを使用して、更に、特別払い出し口194と通常払い出し口193とに区分せずに、共通の1つの払い出し口32だけを備えて、BBゲームの当選フラグ成立の有無により、払い出しメダルによるクレジットの加算の有無を決定しても良い。すなわち、共通のメダルを使用して、1個の払い出し口32を用いて、上述したようなBBゲームの当選フラグ成立中には、クレジット限度枚数に達していないときでも、直接払い出しを実施するようにしても良いものである。すなわち、入賞によるメダルの払い出し処理で、BBゲームの当選フラグが成立していない場合において、クレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達していないときは、クレジットを加算し、限度枚数(50枚)に到達しているときは、メダルを直接、払い出し口32から払い出し皿33へ払い出す。そして、入賞による払い出し処理で、BBゲームの当選フラグが成立した場合において、クレジット貯留枚数が限度枚数(50枚)に到達しているか否かに拘わらず、全て、メダルを直接、払い出し口32から払い出し皿33へ払い出すものである。このようにすると、BBゲームの当選フラグ成立の有無を、クレジット加算か、払い出し口32への直接払い出しかの払い出し形態だけを観察することで、認識することが可能となる。
【0112】
(第3の実施の形態)
上述した第1及び第2の実施の形態では、複数種類のメダルを、磁性メダル182と非磁性メダル184との磁性の違いにより識別していたが、本実施の形態は、複数種類のメダルを、メダルの大きさの違いにより識別するものである。
本実施の形態に係る遊技媒体としてのメダルは、大きさの異なる2種類のものを備えている。具体的には、メダルは、円板状であって通常的に使用される小径メダル186と、この小径メダル186と厚みは同じだが、小径メダル186よりも直径が大きな大径メダル185との2種類、設けている。そして、識別手段140は、遊技媒体(メダル)の直径の大きさにより、遊技媒体(メダル)の識別を実施することを特徴とするものである。
【0113】
本形態に係る媒体セレクター19は、メダルの直径寸法の違いにより、選択可能な媒体寸法セレクター160である。
ここで、図15は、本実施の形態に係る媒体寸法セレクター160の識別手段140の概略図を示している。この媒体寸法セレクター160は、メダル投入口18から投入されたメダルが案内されるセレクター媒体受け口161を上部に備えている。そして、このセレクター媒体受け口161から投入されたメダルを、媒体寸法セレクター160内部に案内する媒体通路162が形成されている。なお、この媒体通路162は、大径メダル185及び小径メダル186のいずれも通過可能な寸法形状に形成されている。そして、この媒体通路162の途中で下面側に、小径メダル186のみが通過可能で、大径メダル185は通過不可能な寸法形状の小径媒体通路166が形成されている。小径媒体通路166の幅は、小径メダル186の直径より僅かに大きく、大径メダル185の直径より小さく形成されている。そして、この小径媒体通路166が形成されていることにより、媒体通路162から案内されてきた小径メダル186だけを選択して、小径媒体通路166へ案内することが可能となる。そして、媒体通路162は、小径媒体通路166の正面から向かって右側に大径メダル185が通過可能な大径媒体通路165が形成されている。すなわち、媒体通路162は、媒体寸法セレクター160の内部で、小径メダル186だけが通過する小径媒体通路166と、残りの大径メダル185が通過する大径媒体通路165との二股に分岐している構造となっているものである。そして、小径媒体通路166の先には、小径媒体通路166に案内されてきた小径メダル186の通過を検知可能な光センサーである小径メダル検知センサ168が形成されている。これは、第1の実施の形態で説明した非磁性メダル検知センサ153と略同様の構造で形成されているものであって、2組のLEDとフォトトランジスタにより小径メダル186の通過を検知可能なものである。この小径メダル検知センサ168は、投入スイッチ15としての役割を有するものである。そして、小径メダル検知センサ168の位置の下流側には、小径メダル186が媒体通路162から排出されるセレクター媒体排出口164としてのセレクター小径媒体排出口172が形成されている。このセレクター小径媒体排出口172から排出された小径メダル186は、通常貯留払い出し手段191のホッパー内部に貯留される。
【0114】
また、大径媒体通路165の先にも、大径媒体通路165に案内されてきた大径メダル185の通過を検知可能な光センサーである大径メダル検知センサ167が形成されている。これも、第1の実施の形態の非磁性メダル検知センサ153や、上述の小径メダル検知センサ168と略同様の構造で形成されているものであって、大径メダル185の通過を検知可能なものである。また、この大径メダル検知センサ167も、投入スイッチ15としての役割を有するものである。そして、大径メダル検知センサ167の位置の下流側には、大径メダル185が媒体通路162から排出されるセレクター媒体排出口164としてのセレクター大径媒体排出口171が形成されている。このセレクター大径媒体排出口171から排出された大径メダル185は、特別貯留払い出し手段192のホッパー内部に貯留される。
【0115】
その他の構成や、作用及び効果は、第1の実施の形態と同様であって、第1の実施の形態の非磁性メダル184の代わりに、小径メダル186が使用され、第1の実施の形態の磁性メダル182の代わりに、大径メダル185が使用されるものである。すなわち、本実施の形態では、BBゲームへ移行可能な当選役の当選フラグが成立中に他の当選役が入賞し、現物のメダルが払い出し口32から払い出し皿33へ払い出される場合には、特別貯留払い出し手段192から大径メダル185が特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出されるものである。なお、BBゲームの移行当選役だけが入賞した場合も、特別貯留払い出し手段192からの大径メダル185が、特別払い出し口194から払い出し皿33へ払い出される。そして、BBゲームへ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中に他の当選役が入賞し、現物のメダルが払い出し口32から払い出し皿33へ払い出される場合には、通常貯留払い出し手段191からの小径メダル186が、通常払い出し口193から払い出し皿33へ払い出されるものである。
【0116】
なお、第1の実施の形態で説明したブロッカー155も、図面等に記載していないが、小径媒体通路166と、大径媒体通路165とのそれぞれに各メダル寸法形状に適合したブロッカー155が形成されているものである。
(作用) 本実施の形態は、識別手段140が、遊技媒体としてのメダルの直径寸法の大きさにより、大径メダル185と小径メダル186との識別を実施する。すなわち、メダルの直径寸法の相違により、小さい小径メダル186は通過するが、大きい大径メダル185を通過しないような寸法形状の入り口や分岐点を有する小径媒体通路166を形成することで、小径メダル186を分離することができ、大きさの異なる遊技媒体を寸法形状の違いで簡単に識別することができる。これにより、小径メダル186及び大径メダル185を分離して選択することができる。
【0117】
本実施の形態では、大径メダル185及び小径メダル186の2種類の大きさの異なるメダルを使用しているが、これに限定されることなく、メダルの直径を、大、中、小の3種類の大きさの異なる3タイプのメダルをそれぞれ分岐可能な媒体通路162を形成するようにして、3個の貯留払い出し手段65を設けて使用しても良いものである。また、更に、4種類以上の直径寸法の異なるNタイプ(Nは自然数)のメダルを使用しても、Nタイプのメダルを同様にそれぞれ分岐可能に媒体通路162を形成して、N個の貯留払い出し手段65を設けて使用しても良いものである。更に、当選役の種類の数(K種類)と同じ数(K個)だけの寸法の異なるKタイプのメダルを使用しても良い(Kは自然数)。更に、上述した第1、第2及び第3の実施の形態において、当選役の当選フラグが1回の遊技で複数種類(Q種類、QはK以下の自然数)、成立し得るように形成し、当選フラグが複数種類(Q種類)成立しているときには、1回の遊技で払い出されるメダルの種類も、かかるQ種類のメダルを混在して払い出すようにしても良いものである(但し、払い出し枚数がQ以上の場合)。更に、成立している当選フラグの種類と、払い出される前記遊技媒体の種類とが1対1に対応するように形成する。これにより、当選フラグが複数種類(Q種類)、成立していることを、Q種類のメダルが払い出せれた払い出し形態によって報知演出することができる。したがって、遊技者は、複数種類(Q種類)の当選フラグ成立を、Q種類の異なるタイプのメダルの払い出しにより知ることができる。そして、成立している当選フラグの種類と、払い出される遊技媒体の種類とが1対1に対応しているため、払い出される遊技媒体の種類を確認することにより、成立している当選フラグの種類を知ることができる。すなわち、払い出される遊技媒体の種類により、成立している当選フラグの種類の報知を行うことができる。結果として、遊技者により多くの情報を提供することができ、報知演出の幅を拡げることができる。
【0118】
本実施の形態は、メダルの直径寸法の違いにより、複数種類のメダルを識別しているが、これに限定されることなく、メダルの厚み寸法の違いにより、メダルを識別するように形成しても良い。かかる場合、媒体寸法セレクター160内部にメダル厚みの違いにより分岐可能な媒体通路162を設け、これらに対応する複数個の貯留払い出し手段65を設けるものである。
本実施の形態は、メダルの寸法形状で複数のメダルを識別しているが、第1の実施の形態で説明した磁性の異なるメダルと組み合わせても良いものである。具体的には、小径メダル186を磁性の有無により複数種類に分けて、小径の磁性メダル182と、小径の非磁性メダル184と、非磁性の大径メダル185との3種類のメダルを使用しても良い。かかる場合は、小径媒体通路166の途中に第1の実施の形態で説明した電磁石144を有する識別手段140を設けることにより、小径メダル186を磁性の有無により識別することができる。そして、3個の貯留払い出し手段65を有し、3個の払い出し口32を設けることにより、3種類のメダルを遊技状態に応じて、払い出すことが可能となる。
【0119】
更に、大径メダル185を磁性の有無により複数種類に分けて、大径の磁性メダル182と、大径の非磁性メダル184と、非磁性の小径メダル186との3種類のメダルを同様に使用しても良い。かかる場合は、大径媒体通路165の途中に第1の実施の形態で説明した電磁石144を有する識別手段140を設けることにより、大径メダル185を磁性の有無により識別することができる。そして、3個の貯留払い出し手段65を有し、3個の払い出し口32を設けることにより、3種類のメダルを遊技状態に応じて、払い出すことが可能となる。
更に、これらを組み合わせて、小径メダル186及び大径メダル185の両方を磁性の有無により複数種類に分けて、小径の磁性メダルと、小径の非磁性メダルと、大径の磁性メダルと、大径の非磁性メダルとの4種類のメダルを使用しても良い。かかる場合は、小径媒体通路166及び大径媒体通路165の両方の途中に第1の実施の形態で説明した電磁石144を有する識別手段140をそれぞれ設けることにより、小径メダル及び大径メダルを磁性の有無によりそれぞれ識別することができる。そして、4個の貯留払い出し手段65を有し、4個の払い出し口32を設けることにより、4種類のメダルを遊技状態に応じて、払い出すことが可能となる。
【0120】
更に、上述した第3の実施の形態では、BBゲームの当選フラグ成立中の有無により、第1の実施の形態と同様に、クレジット枚数が最大貯留枚数(50枚)に到達して現物のメダルの払い出し口32から払い出し皿33への払い出しがあるときに、2種類のメダルを特別払い出し口194又は通常払い出し口193から払い出すだけであった。しかし、特にこれに限定されることなく、この第3の実施の形態においても、払い出し形態を第2の実施の形態のように、BBゲームの当選フラグ成立中の有無により、払い出し形態を変更するように形成しても良い。すなわち、BBゲームの当選フラグ不成立中のメダル払い出しでは、クレジット枚数が限度枚数(50枚)に到達しているか否かで払い出し形態を直接、払い出し皿33への払い出しとクレジット枚数の加算とに分けて実施するが、BBゲームの当選フラグ成立中のメダル払い出しでは、クレジット枚数が限度枚数(50枚)に到達しているか否かに拘わらず、全て、直接、払い出し皿33へ払い出し口32から払い出すように形成しても良いものである。これにより、第3の実施の形態のように寸法形状の異なる複数種類のメダルを使用した場合も、第2の実施の形態で説明したものと同様の作用及び効果を奏することが可能となる。
【0121】
上述した第1、第2及び第3の実施の形態では、磁性メダル182や大径メダル185は、特別払い出し口194から払い出し、非磁性メダル184や小径メダル186は、通常払い出し口193から、それぞれ別個に払い出していた。しかし、特別払い出し口194と通常払い出し口193とのように2つの払い出し口32を設けずに、異なる種類のメダルのいずれも、1つの共通の払い出し口32から払い出すように形成しても良い。これにより、メダルの種類の外観の違いだけでBBゲームの当選フラグ成立の有無を認識することになり、当選フラグ成立の判断をより高度な注意力が必要なものにすることができる。
上述した第1、第2及び第3の実施の形態では、BBゲームの当選フラグ成立中であるか否かという遊技状態に応じて、識別手段140により識別されたメダルを払い出していたが、特に「BBゲーム」に限定されるものではない。かかる「BBゲーム」の代わりに、当選フラグが成立した遊技で入賞できなかった場合に次の遊技に当該権利を持ち越すことができるような他の当選役に設定しても良い。また、そのような持ち越しが発生しないような当選役であっても、1回の遊技で、同時に複数の当選役の当選が可能であるような場合には、持ち越しが発生しないような例えば、当選役ベルや、当選役チェリー等の通常の小役の当選役の当選フラグが成立中であるか否かという遊技状態に応じて、識別手段140により識別されたメダルを払い出すようにしても良いものである。これにより、2つの当選役の当選フラグが成立して一方の入賞により払い出しが発生した場合、その1つの当選フラグが成立して払い出されるメダルとは異なる種類のメダルを払い出すことにより、今の当選では、入賞した当選役以外に、他の所定の当選役の当選フラグも成立していたことを、払い出しメダルの種類によって認識することができる。これにより、抽選結果をより詳細に把握することが可能となって、その後の遊技で目押しをする図柄を変更する等のその後の遊技展開に種々の示唆を与えることが可能となる。
【0122】
また、上述した第1、第2及び第3の実施の形態では、メダルを払い出し口32から払い出し皿33へ払い出すとき、BBゲームの当選フラグ成立中であるか否かという遊技状態に応じて、識別手段140により識別されたメダルを払い出していたが、特に「当選フラグ成立中」の遊技状態に限定されるものではない。具体的には、例えば、遊技状態が、所定の特別遊技中(例えば、BBゲーム中)である遊技状態の場合や、所定の特殊遊技中(例えば、リプレイタイムゲーム(RTゲーム)中)である遊技状態の場合等に、メダルを払い出し口32から払い出し皿33へ払い出すときに、通常とは異なる所定の識別されたメダルを払い出すように形成しても良いものである。例えば、通常遊技中では、非磁性メダル184が使用され、或いは、小径メダル186が使用されるが、BBゲーム中には、磁性メダル182だけが払い出されたり、或いは、大径メダル185だけが払い出されるようなものである。これにより、当該特別な或いは特殊な遊技中であることを、周囲の者に明確に知らしめることができ、遊技者の優越感や、達成感を満足させることが可能となる。
【0123】
また、上述した第1、第2及び第3の実施の形態では、通常遊技中の当選抽選手段110の抽選においてのみ、BBゲームへ移行可能な当選フラグが成立可能である。そのため、通常遊技中に関して説明したが、BBゲーム中やリプレイタイムゲーム中においても、BBゲームへの移行可能な当選フラグが成立可能である場合には、これらのゲーム中においても、第1、第2及び第3の実施の形態と同様に、BBゲームの当選フラグ成立中には、かかる当選フラグが成立していない遊技状態で払い出す遊技媒体(メダル)とは異なる種類の遊技媒体を選択して、異なる払い出し口32から払い出すように形成しても良いものである。
【0124】
更に、上述した第1、第2及び第3の実施の形態において、当選役は、複数種類、形成されると共に、複数種類の当選フラグが1回の遊技で同時に成立可能に形成され、当選役の当選フラグが1回の遊技で複数種類、成立しているときには、1回の遊技で払い出される遊技媒体の種類も、複数種類にわたって払い出し可能であり、成立している当選フラグの態様と、払い出される前記遊技媒体の種類とが対応するように形成しても良い。具体的には、以下の(a)や、(b)の場合である。
(a)成立している1つの当選フラグの種類と、払い出される遊技媒体の種類とが1対1に対応するような場合である。具体的には、例えば、当選役ベルの単独当選のときは、メダルAが払い出され、当選役チェリーの単独当選のときは、メダルBが払い出され、当選役ベル及び当選役チェリーの両方が同時に当選しているときは、メダルA及びメダルBが払い出されるようなものである。
【0125】
すなわち、本発明は、1回の遊技で、ベルの当選フラグと、チェリーの当選フラグとの両方が重複して成立している場合、ベルの当選フラグ成立に対応する種類の遊技媒体と、チェリーの当選フラグ成立に対応する種類の遊技媒体との2種類の遊技媒体とが、1回の遊技メダルの払い出しに混在して払い出されるものである。
(b)成立している複数の当選フラグの組み合わせと、払い出される遊技媒体の種類とが対応するものである。具体的には、例えば、当選役ベルの単独当選のときは、メダルAが払い出され、当選役チェリーの単独当選のときは、メダルBが払い出され、当選役ベル及び当選役チェリーの両方が同時に当選しているときは、メダルCが払い出されるものである。
【0126】
すなわち、本発明は、1回の遊技で、ベルの当選フラグと、チェリーの当選フラグとの両方が重複して成立している場合、ベルの当選フラグ及びチェリーの当選フラグが重複して同時に成立していることを意味する予め定めた特定の1種類の遊技媒体が、当該遊技の遊技メダルの払い出しで払い出されるものである。
上記(a)及び(b)によれば、当選フラグの発生態様を、払い出し形態によって報知演出することができる。これにより、遊技者は、複数種類の当選フラグ成立を、払い出される遊技媒体により知ることができる。更に、成立している当選フラグの態様と、払い出される遊技媒体の種類とが対応しているため、払い出される遊技媒体の種類を確認することにより、成立している当選フラグの態様を知ることができる。すなわち、払い出される遊技媒体の種類により、成立している当選フラグの種類の報知を行うことができる。結果として、遊技者へ多くの情報を提供することができ、報知演出の幅を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、遊技機の入力、制御及び出力を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態であって、遊技制御手段を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態であって、当選抽選手段を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態であって、遊技機を示す外観正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態であって、裏面側から見た媒体セレクター及び案内通路を示す外観斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態であって、識別手段の作動状態の全体概念を示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態であって、識別手段の電磁石が媒体通路からメダルを吸引した状態を示す側面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態であって、メダルを吸引した状態の電磁石が回転している状態の側面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態であって、メダルを吸引した状態の電磁石が90度回転した状態を示す側面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態であって、電磁石からメダルが外れて案内通路へ落下している状態を示す側面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態であって、遊技機の通常遊技の動作の概略を示すフローである。
【図12】本発明の第1の実施の形態であって、当選抽選処理を示すフローである。
【図13】本発明の第1の実施の形態であって、回転リールの回転停止処理を示すフローである。
【図14】本発明の第2の実施の形態であって、遊技機の通常遊技の動作の概略を示すフローである。
【図15】本発明の第3の実施の形態であって、媒体寸法セレクターの識別手段を示す概略図である。
【符号の説明】
【0128】
10 遊技機 11 筐体
12 表示窓 13 図柄表示窓
14 前扉 15 投入スイッチ
16 ベットスイッチ 17 精算スイッチ
18 メダル投入口 19 媒体セレクター
20 制御装置 21 遊技制御装置
22 演出制御装置 23 主基板
24 サブ基板 25 演出データ記憶手段
26 演出制御手段 27 遊技制御手段
30 スタートスイッチ 31 変動表示開始手段
32 払い出し口 33 払い出し皿
40 回転リール 41 図柄表示手段
42 リールテープ 43 左側回転リール
44 中央回転リール 45 右側回転リール
50 ストップスイッチ 51 変動表示停止手段
60 リールユニット 61 図柄
62 モータードライバ 63 駆動モーター
64 ステッピングモーター 65 貯留払い出し手段
66 報知手段 67 スピーカー
68 表示装置 69 報知ランプ
70 通常遊技制御手段 80 特別遊技制御手段
90 BBゲーム制御手段 91 特定導入遊技制御手段
100 RBゲーム制御手段 101 特定遊技制御手段
110 当選抽選手段 111 当選乱数発生手段
112 当選乱数抽出手段 113 当選判定テーブル記憶手段
114 当選判定手段 120 選択判断制御手段
130 クレジット制御手段 140 識別手段
141 磁性メダル検知センサ 142 回転ソレノイド
143 回転軸 144 電磁石
150 媒体電磁セレクター 151 セレクター媒体受け口
152 媒体通路 153 非磁性メダル検知センサ
154 セレクター媒体排出口 160 媒体寸法セレクター
161 セレクター媒体受け口 162 媒体通路
163 メダル検知センサ 164 セレクター媒体排出口
165 大径媒体通路 166 小径媒体通路
167 大径メダル検知センサ 168 小径メダル検知センサ
171 セレクター大径媒体排出口 172 セレクター小径媒体排出口
181 磁性遊技媒体 182 磁性メダル
183 非磁性遊技媒体 184 非磁性メダル
185 大径メダル 186 小径メダル
190 案内通路 191 通常貯留払い出し手段
192 特別貯留払い出し手段 193 通常払い出し口
194 特別払い出し口 195 皿通路
196 排出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄を変動表示又は停止表示するための図柄表示手段と、
前記図柄表示手段を変動表示から停止表示へ移行させるための変動表示停止手段と、
前記図柄の組み合わせにより構成される当選役を抽選により決定するとともに、前記抽選の結果、所定の前記当選役に当選することにより前記当選役に対応する当選フラグを成立させるための当選抽選手段と、
所定数の遊技媒体の投入を条件として遊技を開始可能とし、前記当選抽選手段の抽選結果に対応した停止制御を前記図柄表示手段に対して行うとともに、
前記当選抽選手段の抽選結果、所定の前記当選役の当選フラグが成立して、且つ前記当選役に応じて予め定められた入賞図柄が所定の入賞有効ライン上に揃うことにより入賞となって所定数の前記遊技媒体の払い出しが実施可能となり、或いは入賞図柄が前記入賞有効ライン上に揃わないことにより外れとなって1回の遊技を終了させるための遊技制御手段とを備えた遊技機において、
投入された前記遊技媒体を貯留するとともに入賞の際、前記遊技媒体を遊技者に払い出すための貯留払い出し手段と、
少なくとも2種類の前記遊技媒体を識別するための識別手段と、
前記遊技媒体を遊技者へ払い出す際、前記識別手段により識別された前記遊技媒体のうちいずれの種類の前記遊技媒体を払い出すかの選択を、遊技状態に応じて、判断するための選択判断制御手段とを備え、
前記選択判断制御手段は、前記識別手段により識別された前記遊技媒体を、遊技状態に応じて、前記貯留払い出し手段により遊技者に向かって払い出し可能としたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技媒体として、磁性体を少なくとも一部に有する磁性遊技媒体と、磁性体を含まず非磁性体のみからなる非磁性遊技媒体とが用いられ、
前記識別手段は、磁性の有無により、前記磁性遊技媒体及び前記非磁性遊技媒体の識別を実施することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技媒体として、大きさの異なる少なくとも2種類のものが用いられ、
前記識別手段は、前記遊技媒体の大きさにより、前記遊技媒体の識別を実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
遊技として、
前記遊技媒体の投入を条件として、一般的に実行される通常遊技と、
同一の遊技回数を基準とした遊技期間で比較した場合に前記通常遊技よりも遊技者に大きな利益を付与可能な特別遊技とを少なくとも備え、
前記選択判断制御手段は、遊技状態が、前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立した遊技状態の場合、前記遊技媒体を払い出すときには、かかる当選フラグが成立していない遊技状態で払い出す前記遊技媒体とは異なる種類の前記遊技媒体を、払い出す前記遊技媒体として選択可能としたことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
入賞の結果、所定数の前記遊技媒体を、前記貯留払い出し手段から遊技者に向かって払い出すための払い出し口と、
前記払い出し口から払い出された前記遊技媒体を受けて貯留するための払い出し皿と、
前記遊技媒体を所定の限度数まで予めクレジットとして貯留可能なクレジット制御手段とを備え、
前記選択判断制御手段は、
前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中で、且つ、前記クレジット制御手段の貯留枚数が限度枚数に到達していない場合、入賞により払い出される前記遊技媒体は、前記払い出し口から前記払い出し皿へ払い出さずに、前記クレジット制御手段のクレジット枚数を増加させ、
前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが不成立中で、且つ、前記クレジット制御手段の貯留枚数が限度枚数に到達している場合、入賞により払い出される前記遊技媒体は、前記払い出し口から前記払い出し皿へ払い出し、
前記特別遊技へ移行可能な当選役の当選フラグが成立中の場合、前記クレジット制御手段の貯留枚数が限度枚数に到達していなくても、入賞により払い出される前記遊技媒体のうち少なくとも一部は、前記払い出し口から前記払い出し皿へ払い出すことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
入賞の結果、所定数の前記遊技媒体を、前記貯留払い出し手段から遊技者に向かって払い出すための払い出し口と、
前記払い出し口から払い出された前記遊技媒体を受けて貯留するための払い出し皿とを備え、
前記払い出し口は、前記遊技媒体の種類毎に複数個、形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記当選役は、複数種類、形成されると共に、複数種類の当選フラグが成立可能に形成され、
前記当選役の当選フラグが1回の遊技で複数種類、成立しているときには、1回の遊技で払い出される前記遊技媒体の種類も、複数種類にわたって払い出し可能であり、
成立している当選フラグの態様と、払い出される前記遊技媒体の種類とが対応するように形成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−165697(P2009−165697A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8113(P2008−8113)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】