運行支援システム
【課題】車両などの移動体に装備されている充電系に故障が生じた場合に、到達可能な整備工場への案内など、ユーザーに対して適切な支援を行うことのできる運行支援システムを提供すること。
【解決手段】車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムにおいて、充電系に故障が生じたと判断された場合、バッテリ放電可能電気量、及び移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率に基づいて、バッテリ使用可能時間(走行可能時間)を算出し、バッテリ使用可能時間と到達までに要する所要時間とを比較することによって、到達可能な案内ポイントを検出する手段を装備する。
【解決手段】車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムにおいて、充電系に故障が生じたと判断された場合、バッテリ放電可能電気量、及び移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率に基づいて、バッテリ使用可能時間(走行可能時間)を算出し、バッテリ使用可能時間と到達までに要する所要時間とを比較することによって、到達可能な案内ポイントを検出する手段を装備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運行支援システムに関し、より詳細には、車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行中の安全性や快適性、利便性を高めるために、車両に装備される電子機器が急速に増加し、バッテリ、及び該バッテリに電力を充電する発電機など、充電系への負荷が高くなってきている。安全性を高めるものとしては、衝突軽減システム(プリクラッシュシステム)や、ブレーキアシストシステム、エアバッグシステムなどがあり、快適性を高めるものとしては、シートヒーターやミラーヒーターなどがある。
【0003】
ところが、充電系への負荷が高くなると、充電系に故障が生じた場合、走行を長時間継続させることができず、最悪の場合、路上で走行不能状態に陥り停止することになる。例えば、発電機に故障が生じた場合、バッテリへの充電ができないために、バッテリ上りが生じ、走行に必要となる電子機器へ電力を供給することができなくなるからである。
【0004】
車両に故障が生じた場合、ユーザーに対して何らかの支援を行う技術については、従来より種々提案されており、例えば、下記の特許文献1、2には、故障の際、サービスセンターへの案内情報を表示する技術について開示され、特許文献3には、故障の際、走行可能距離から、到達可能なサービスセンターを検出する技術について開示されている。
【0005】
当然のことではあるが、燃料が尽きれば、車両走行を継続させることはできない。そのため、サービスセンターを案内する場合、特許文献3に開示されているように、走行可能距離を求め、現在位置から走行可能距離の間に存在するサービスセンターを検索し、その間に存在するサービスセンターを案内するのが望ましい。
【0006】
しかしながら、充電系に故障が生じた場合、上記したように、バッテリ上りが生じ、走行に必要となる電子機器へ電力を供給することができなくなるため、燃料が残っていたとしても、走行不能状態に陥ることになる。つまり、現在位置から走行可能距離の間に存在するサービスセンターであっても、到達できないおそれがある。
【特許文献1】特開平7−129894号公報
【特許文献2】特開平10−103979号公報
【特許文献3】特開2002−277262号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、車両などの移動体に装備されている充電系に故障が生じた場合に、到達可能な整備工場への案内など、ユーザーに対して適切な支援を行うことのできる運行支援システムを提供することを目的としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る運行支援システム(1)は、車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムにおいて、充電系に故障が生じたと判断された場合、バッテリ放電可能電気量、前記移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率、及び到達までに要する所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出する案内ポイント検出手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
ある案内ポイントGの到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さければ、案内ポイントGへは到達可能と言える。
案内ポイントGの到達までに消費される電気消費量aは、下記の関係式から求められる。
a=PBAT×TGO
PBAT:移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率
TGO :案内ポイントGの到達までに要する所要時間
例えば、電力消費率PBATが20[A]で、所要時間TGOが30[分]である場合、電気消費量aは36000[Asec](=20[A]×30[分]×60[sec/分])となる。
【0010】
他方、バッテリ放電可能電気量Wは、下記の関係式から求められる。
W=バッテリ容量×(バッテリ充電率−放電終止充電率)
放電終止充電率は、バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率を表している。
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率が88[%]で、放電終止充電率Gが30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0011】
上記運行支援システム(1)によれば、バッテリ放電可能電気量、前記移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率、及び到達までに要する所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、到達可能な案内ポイントを適切に検出することができる。
【0012】
また、本発明に係る運行支援システム(2)は、上記運行支援システム(1)において、前記バッテリ放電可能電気量、及び前記電力消費率に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出するバッテリ使用可能時間算出手段を備え、前記案内ポイント検出手段が、前記バッテリ使用可能時間算出手段により算出されたバッテリ使用可能時間、及び前記所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであると共に、案内ポイントへ到達するまでの移動環境に基づいて、移動中に追加消費が予想されるものであり、前記電力消費率から求められる電気消費量に含まれない、追加電気消費量を算出する追加電気消費量算出手段を備え、前記バッテリ使用可能時間算出手段が、前記追加電気消費量算出手段により算出された追加電気消費量を加味して、バッテリ使用可能時間を算出するものであることを特徴としている。
【0013】
ある案内ポイントGの到達までに要する所要時間が、バッテリ使用可能時間(バッテリ放電が不能となるまでの時間)よりも小さければ、案内ポイントGへは到達可能と言える。
バッテリ使用可能時間TBATは、下記の関係式から求められる。
TBAT=W/PBAT
W :バッテリ放電可能電気量
PBAT:移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]である場合、114840[Asec]/20[A]で、バッテリ使用可能時間TBATは5742[sec ](=95分42秒)となる。
【0014】
上記運行支援システム(2)によれば、バッテリ使用可能時間、及び前記所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、到達可能な案内ポイントを適切に検出することができる。また、検索対象となる各案内ポイント毎に、到達までに消費される電気消費量aをいちいち算出する必要はなく、到達までに要する所要時間TGOが分かれば良いので、検索処理を簡素化することができ、コンピュータにかかる負荷を軽減することができる。
【0015】
上記したように、バッテリ使用可能時間については、前記バッテリ放電可能電気量、及び前記電力消費率から予想することができるが、これは電子機器の使用状況に変化が生じないことが前提となっている。従って、電子機器の使用状況に変化が生じれば、バッテリ使用可能時間についても変化が生じる。
【0016】
例えば、カーブ走行の場合、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering )への負荷が大きくなり、そのシステムへの電力供給量が多くなる。また、天候の変化や日の入りによって、周囲が暗くなり、ランプを作動させた場合、ランプを点灯させるシステムへの電力供給量が多くなる。
【0017】
上記運行支援システム(2)によれば、さらに、案内ポイントへ到達するまでの移動環境(例えば、カーブ走行時間、天候)に基づいて、移動中に追加消費される追加電気消費量(例えば、EPSへ追加供給される電気量、ランプ点灯システムへ追加供給される電気量)が算出され、この追加電気消費量を加味して、バッテリ使用可能時間が算出される。従って、バッテリ使用可能時間の精度が上がるため、到達可能な案内ポイントの検出精度についても高めることができる。
【0018】
また、本発明に係る運行支援システム(3)は、上記運行支援システム(1)又は(2)において、到達可能な案内ポイントが検出されない場合、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制する電力供給抑制手段を備え、該電力供給抑制手段により電力供給が抑制された後、前記案内ポイント検出手段による案内ポイントの検出が再度行われるように構成されていることを特徴としている。
【0019】
到達可能な案内ポイントが検出されないのは、到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さくなる案内ポイントが存在しない場合である。これを解消するには、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制すれば良い。例えば、安全系や走行系に寄与しない電子機器への電力供給量を部分的に削減したり、供給を停止すれば良い。
【0020】
上記運行支援システム(3)によれば、到達可能な案内ポイントが検出されない場合、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給が抑制され、電力供給が抑制された後、案内ポイントの検出が再度行われる。従って、到達可能な案内ポイントが検出される可能性を高めることができる。
【0021】
また、本発明に係る運行支援システム(4)は、上記運行支援システム(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段が、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、燃料残存量、燃料消費率、及び到達までに走行する走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであることを特徴としている。
【0022】
ある案内ポイントGの到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さければ、安全系や走行系に関係のある電子機器へ電力を供給しつづけることができるが、移動途中で、燃料が尽きれば、移動を継続させることはできない。
前記ある案内ポイントの到達まで移動を継続させるには、到達までに消費される燃料消費量が、燃料残存量よりも小さければ良い。
【0023】
案内ポイントGの到達までに消費される燃料消費量bは、下記の関係式から求められる。
b=PGAS×SGO
PGAS:燃料消費率
SGO :案内ポイントGの到達までに走行する走行距離
例えば、燃料消費率PGASが8[km/l]で、走行距離SGOが20[km]である場合、燃料消費量bは2.5[l](=20[km]/8[km/l])となり、燃料残存量が2.5[l]以上であれば、案内ポイントGまで走行を継続させることができる。
【0024】
上記運行支援システム(4)によれば、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、燃料残存量、燃料消費率、及び到達までに走行する走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、電気系、燃料系の両面から、到達可能な案内ポイントを検出することができる。
【0025】
また、上記運行支援システム(4)において、前記燃料残存量、及び前記燃料消費率に基づいて、走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段を備え、前記案内ポイント検出手段が、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、前記走行可能距離算出手段により算出された走行可能距離、及び前記走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであるようにしても良い。
【0026】
ある案内ポイントGの到達までに走行する走行距離が、走行可能距離(燃料が尽きるまでに走行できる距離)よりも小さければ、前記ある案内ポイントへは到達可能と言える。
走行可能距離SGASは、下記の関係式から求められる。
SGAS=E×PGAS
E :燃料残存量
PGAS:燃料消費率
例えば、燃料残存量Eが10[l]で、燃料消費率PGASが8[km/l]である場合、10[l]×8[km/l]で、走行可能距離SGASは80[km]となる。
【0027】
すなわち、上記構成とすることによって、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、走行可能距離、及び前記走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、到達可能な案内ポイントを適切に検出することができるようになる。また、検索対象となる各案内ポイント毎に、到達までに消費される燃料消費量bをいちいち算出する必要はなく、到達までに走行する走行距離SGOが分かれば良いので、検索処理を簡素化することができ、コンピュータにかかる負荷を軽減することができる。
【0028】
さらに、案内ポイントへ到達するまでの移動環境に基づいて、移動中に追加消費が予想されるものであり、前記燃料消費率から求められる燃料消費量に含まれない、追加燃料消費量を算出する追加燃料消費量算出手段を備え、前記走行可能距離算出手段が、前記追加燃料消費量算出手段により算出された追加燃料消費量を加味して、走行可能距離を算出するものであるようにしても良い。
【0029】
上記したように、走行可能距離については、燃料残存量、及び前記燃料消費率から予想することができるが、これは走行状態に変化が生じないことが前提となっている。従って、走行状態に変化が生じれば、走行可能距離についても変化が生じる。例えば、登坂走行の場合、通常走行時よりも燃料消費率は悪くなり、燃料消費量が多くなる。また、渋滞に遭遇した場合にもやはり燃費消費率は悪くなり、燃料消費量は多くなる。
【0030】
すなわち、上記構成とすることによって、案内ポイントへ到達するまでの移動環境(例えば、登坂走行の距離や勾配、渋滞の距離や程度)に基づいて、移動中に追加消費される追加燃料消費量(例えば、登坂走行で追加消費される燃料消費量、渋滞遭遇時に追加消費される燃料消費量)が算出され、この追加燃料消費量を加味して、走行可能距離が算出される。従って、走行可能距離の精度が上がるため、到達可能な案内ポイントの検出精度についても高めることができる。
【0031】
また、本発明に係る運行支援システム(5)は、上記運行支援システム(1)〜(4)のいずれかにおいて、充電系の故障内容に応じて、案内ポイントの検出対象を設定する検出対象設定手段を備えていることを特徴としている。
【0032】
発電機が故障した場合、整備機能のある整備工場やディーラーに案内すべきであるが、バッテリの故障の場合には、整備機能が無くても、バッテリ交換機能があれば良く、例えば、ガソリンスタンドやカーショップなどであっても良い。
【0033】
上記運行支援システム(5)によれば、充電系の故障内容に応じて、案内ポイントの検出対象が設定される。例えば、故障が発電機の場合には、整備工場やディーラーが検出対象に設定され、故障がバッテリの場合には、整備工場やディーラー、ガソリンスタンド、カーショップが検出対象に設定される。これにより、故障内容に応じた、適切な案内ポイントを検出することができる。
【0034】
また、本発明に係る運行支援システム(6)は、上記運行支援システム(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、前記バッテリ放電可能電気量から、前記電力消費率から求められる前記目的地到達までに消費される電気消費量を減算することによって、残りの放電可能電気量を算出する放電可能電気量算出手段と、該放電可能電気量算出手段により求められた残りの放電可能電気量と、前記案内ポイント検出手段による検出後に追加放電された追加放電電気量とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電子機器への電力供給を制御する電力供給制御手段を備えていることを特徴としている。
【0035】
案内ポイントの検出時点では、到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さく、到達可能な案内ポイントであると判断されていたとしても、例えば、検出時点では使用されていなかったエアコンが使用されるようになったり、カーブ走行でEPSへの電力供給量が増えて、追加放電が生じることが考えられる。この追加放電の電気量が多くなれば、目的地へ到達するまでに、バッテリ放電が不能になるおそれがある。
【0036】
上記運行支援システム(6)によれば、前記バッテリ放電可能電気量から、前記電力消費率から求められる前記目的地到達までに消費される電気消費量を減算することによって残りの放電可能電気量が算出され、そしてこの残りの放電可能電気量と、案内ポイント検出後に追加放電された追加放電電気量とが比較され、その比較結果に基づいて、前記電子機器への電力供給が制御される。
【0037】
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]で、目的地に設定された案内ポイントの到達までに要する所要時間TGOが30[分]である場合、残りの放電可能電気量は78840[Asec]となり、追加放電電気量が残りの放電可能電気量(78840[Asec])に接近しているか否か、又は上回っているか否かを判断する。追加放電電気量が残りの放電可能電気量を上回ると、目的地に設定されている案内ポイントへ到達できないことになるため、電力供給が抑制される。これにより、検出後に追加放電があっても、前記移動体を案内ポイントへ到達させることができる。
【0038】
また、上記運行支援システム(6)において、前記目的地までの走行ルートを分割したエリア毎に、前記残りの放電可能電気量が設定され、前記比較が、前記エリア毎に行われるように構成しても良い。
全走行ルートまとめて、前記比較を行い、そして電子機器への電力供給を抑制することになった場合、一旦抑制を開始してしまうと、前記移動体が目的地へ到達するまでその抑制は継続されることになる。一方、走行ルートを分割し、分割したエリア毎に、前記比較を行って、電子機器への電力供給を抑制するようにすれば、もし仮に抑制が開始されることになったとしても、そのエリアを越えれば、抑制を解除することができる。従って、抑制箇所を分散することができるので、エアコンなどが使えなくなったままになるといった事態が生じるのを防止することができる。
【0039】
また、上記運行支援システム(6)において、前記追加放電電気量が前記残りの放電可能電気量を上回る(すなわち、何らかの処置を施さなければ、目的地への到達前にバッテリ放電不能になる)と判断された場合、前記電力供給制御手段が、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制するものであるようにしても良い。これにより、追加放電があった場合にも、前記移動体を目的地へ到達させることができる。
【0040】
また、本発明に係る運行支援システム(7)は、上記運行支援システム(6)において、前記電力供給制御手段による電力供給の抑制が、電力供給抑制の対象が安全系又は走行系に寄与するものと、安全系及び走行系に寄与しないものとで差別化が図られるように構成されていることを特徴としている。
【0041】
上記運行支援システム(7)によれば、電力供給抑制の対象が安全系又は走行系に寄与するものと、そうでないものとで、抑制の差別化が図られる。これにより、電力供給の抑制を適切に行うことができる。
【0042】
また、上記運行支援システム(7)において、電力供給抑制の対象物の決定、及び/又は抑制度合いの決定が、その対象物の属性、使用状況、及び移動環境のうちの少なくとも1要因に基づいて行われるように構成しても良い。このように構成すれば、電力供給抑制の対象物の決定、及び/又は抑制度合いの決定が、その対象物の属性(例えば、安全系や走行系に寄与するものであるか否か)、使用状況、及び移動環境のうちの少なくとも1要因に基づいて行われるので、より一層適切に電力供給を抑制することができる。
【0043】
また、本発明に係る運行支援システム(8)は、上記運行支援システム(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、安全系及び走行系に寄与しない電子機器が停止状態から稼動状態に遷移する場合、電力消費状態に基づいて、前記目的地へ到達可能か否かを判断する判断手段と、該判断手段により前記目的地へ到達できないと判断された場合、前記遷移を許可しない不許可手段とを備えていることを特徴としている。
【0044】
上記運行支援システム(8)によれば、安全系及び走行系に寄与しない電子機器が停止状態から稼動状態に遷移する場合、電力消費状態に基づいて、前記目的地へ到達可能か否かが判断され、前記目的地へ到達できないと判断された場合、前記遷移が許可されない。これにより、安全系及び走行系に寄与しない電子機器(例えば、エアコンやオーディオ)が停止状態から稼動状態に遷移され、そのまま使用が続けられて、走行系の電子機器に電力が供給できなくなり、目的地へ到達できなくなるといった事態が生じるのを防止することができる。
【0045】
また、本発明に係る運行支援システム(9)は、上記運行支援システム(1)〜(8)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段により到達可能な案内ポイントが検出されない場合であって、前記移動体が案内ポイントとは異なる所定の場所へ到着すると、前記移動体に装備されている電子機器の一部への電力供給を停止させる電力供給停止手段を備えていることを特徴としている。
【0046】
上記運行支援システム(9)によれば、整備機能を有した整備工場や、バッテリ交換機能を有したガソリンスタンドなどではなく、前記所定の場所(例えば、単に退避するためだけの場所であり、駐車場など)へ到着すると、前記移動体に装備されている電子機器の一部への電力供給が停止される。これにより、バッテリ上りが生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明に係る運行支援システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムの要部を概略的に示したブロック図である。図中1は、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1はマイコン2と各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1にはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0048】
マイコン2は、充電系故障判定部2aと、ユーザー報知部2bと、外部情報取得部2cと、バッテリ使用可能時間算出部2dと、走行可能距離算出部2eと、情報送受信部2fと、電力供給制御部2gとを含んで構成されている。また、電源ラインLにはバッテリ監視装置1だけでなく、オルタネータ5と、開閉器6〜8を介して複数のユニット9〜11,…とが接続されている。開閉器6〜8,…の開閉はバッテリ監視装置1によって制御されるようになっている。
【0049】
バッテリ電圧値を検出するための電圧センサ12と、バッテリ電流値を検出するための電流センサ13と、オルタネータ5のP端子(図示せず)と、各ユニット9〜11で消費されている電気量(負荷使用電流)を検出するための電流センサ14〜16と、燃料残存量を検出するための燃料センサ17とは、センサ取得部3に接続され、バッテリ電圧値、バッテリ電流値、オルタネータ5のP端子からの出力電圧(異常が発生すると0[V]になる)、各ユニット9〜11で消費される電気量、及び燃料残存量がバッテリ監視装置1(マイコン2)で認識されるようになっている。
【0050】
また、バッテリ監視装置1には各ユニット9〜11、ナビゲーション装置21、及び携帯電話などの移動体通信機22と接続されており、これらと各種情報のやり取りを行うことができ、例えば、ナビゲーション装置21は、バッテリ監視装置1から送信されてくる目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして、車両を目的地まで誘導するようになっている。また、ナビゲーション装置21には、電波ビーコンや、光ビーコン、FM多重放送を受信する機能を有しており、渋滞情報や、交通規制情報、天候情報などを取得することができるようになっている。
【0051】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う処理動作[1]を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[1]は所定時間毎に行われる動作である。
【0052】
まず、電圧センサ12から得られるバッテリ電圧値や、オルタネータ5のP端子からの出力電圧値に基づいて、充電系(バッテリ4、オルタネータ5)に故障が生じているか否かを判断する(ステップS1)。バッテリ4に異常が生じると、バッテリ電圧値が急激に低下することになり、オルタネータ5に異常が生じると、P端子からの出力電圧が0[V]になる。
【0053】
充電系に故障が生じていると判断すれば、次に、オルタネータ5に異常が生じているか否かを判断する(ステップS2)。オルタネータ5に異常が生じていると判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)など、整備機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS3)。充電系に故障が生じていないと判断すれば、そのまま処理動作[1]を終了する。
【0054】
一方、ステップS2において、オルタネータ5に異常が生じていない(すなわち、バッテリ4に異常が生じている)と判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)、ガソリンスタンド、カーショップなど、バッテリ交換機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS4)。
【0055】
ナビゲーション装置21は、施設の検索指令を受信すると、車両から所定距離(例えば、30km)の範囲内に存在する当該施設を検索し、その検索結果(案内ポイントの候補地情報)をバッテリ監視装置1へ送信するようになっている。バッテリ監視装置1へ送信される情報(案内ポイントの候補地情報)としては、候補地の所在地、連絡先、到達までに要する所要時間TGO、到達までに走行する走行距離SGOなどが挙げられる。
【0056】
ナビゲーション装置21から送信されてくる検索結果(案内ポイントの候補地情報)を受信すると、案内ポイントの候補地に「1」から順番に番号を付し、候補地リストを作成して候補地情報を記憶する(ステップS5)。次に、受信した案内ポイントの候補地情報に基づいて、案内ポイントの候補地が存在するか否かを判断する(ステップS6)。
【0057】
案内ポイントの候補地が存在すると判断すれば、ステップS7へ進んで、整備工場などへ誘導するための『案内ポイントへの誘導』(図4参照)処理を行う。オルタネータ5に異常が生じているときに、車両から前記所定距離の範囲内に整備機能を有した施設が存在する場合や、バッテリ4に異常が生じているときに、車両から前記所定距離の範囲内にバッテリ交換機能を有した施設が存在する場合、『案内ポイントへの誘導』処理が行われることになる。後で詳しく説明するが、『案内ポイントへの誘導』処理には、電力面から到達可能か否かを判断する処理や、燃料面から到達可能か否かを判断する処理が含まれている。
【0058】
一方、案内ポイントの候補地が存在しないと判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS8へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。これは、路上停止といった最悪の事態を避けるために行う処理である。
【0059】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『安全エリアへの誘導』(図2のステップS8)処理を図3に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、安全エリアの検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS11)。
【0060】
ナビゲーション装置21は、安全エリアの検索指令を受信すると、最寄りの安全エリア(例えば、到達までに要する所要時間が最も短い駐車場や、到達までに走行する走行距離が最も短い駐車場)を検索し、その検索結果をバッテリ監視装置1へ送信するようになっている。
【0061】
ナビゲーション装置21から送信されてくる検索結果(例えば、安全エリアの所在地)を受信すると(ステップS12)、最寄りの安全エリアを目的地に設定し(ステップS13)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力し(ステップS14)。ナビゲーション装置21は、目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして車両を目的地まで誘導するようになっている。
【0062】
その後、移動体通信機22を使って、サービスセンターに対し、充電系に故障が生じたために安全エリアへ退避することや、その安全エリアの所在地を連絡する(ステップS15)。これにより、整備工場などへ移動できなくても、安全エリアで適切な処置を受けることができる。
【0063】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『案内ポイントへの誘導』(図2のステップS7)処理を図4に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf1を「0」にし(ステップS21)、次に、バッテリ充電率SOCの情報をマイコン2のメモリM(図示せず)から取得する(ステップS22)。
【0064】
バッテリ充電率SOCは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2のメモリMに記憶されるようになっている。バッテリ充電率SOCとバッテリ開放電圧VOPNとの間には、図5に示したように、相関関係が成り立つため、バッテリ開放電圧VOPNからバッテリ充電率SOCを求めることができる。
また、バッテリ開放電圧VOPNについては、バッテリ電流値が0[A]近くまで収束した時のバッテリ電圧値となる。つまり、バッテリ電流がほとんど流れていない時のバッテリ電圧値がバッテリ開放電圧VOPNとなる。
【0065】
次に、電流センサ14〜16から得られる情報に基づいて、各ユニット9〜11で消費されている電気量(すなわち、車両に装備されている電子機器の使用状況)を検出し(ステップS23)、この電気量に基づいて、車両に装備されている電子機器で消費される電力消費率PBATを算出する(ステップS24)。
【0066】
次に、バッテリ放電可能電気量Wを、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS25)。
W=バッテリ容量×(SOC−放電終止充電率)
SOC:バッテリ充電率
放電終止充電率:バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率SOCが88[%]で、放電終止充電率が30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0067】
次に、バッテリ使用可能時間TBAT(すなわち、走行可能時間)を、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS26)。
TBAT=W/PBAT
W:バッテリ放電可能電気量
PBAT:電力消費率
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]である場合、114840[Asec]/20[A]で、バッテリ使用可能時間Tは5742[sec ](=95分42秒)となる。
【0068】
次に、カウンタC1を1に設定し(ステップS27)、C1番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに要する所要時間TGO情報を取得し(ステップS28)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS29)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいと判断すれば、電力面では当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS30)、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf1を「1」に設定し(ステップS31)、その後、ステップS33へ進む。
【0069】
一方、バッテリ使用可能時間TBATは所要時間TGOよりも大きくないと判断すれば、このままの電力消費状態が続けば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、バッテリ放電不能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS32)、その後、ステップS33へ進む。
【0070】
ステップS33では、カウンタC1に1を加算し、次に、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS34)。C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS28へ戻る。
一方、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf1が「1」であるか否かを判断する(ステップS35)。
【0071】
フラグf1が「1」である(すなわち、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS36へ進んで、燃料面で到達可能といえるか否かを判断するための『燃料系判定』(図7参照)処理を行う。一方、フラグf1が「1」でない(すなわち、このままの電力消費状態が続けば、どの案内ポイントへも到達できない)と判断すれば、ステップS37へ進んで、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制するための『電力供給抑制I』(図6参照)処理を行う。電力供給を抑制すると、電力消費率PBATが小さくなり、バッテリ使用可能時間TBATを伸ばすことができる。
【0072】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『電力供給抑制I』(図4のステップS37)処理を図6に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、電力供給抑制の処理を既に実行しているか否かを判断する(ステップS41)。
【0073】
電力供給抑制の処理を既に実行している(すなわち、電力供給を抑制しているにも拘らず、案内ポイントの候補地が存在しない)と判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS42へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。
【0074】
一方、電力供給抑制の処理は実行されていないと判断すれば、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制し(ステップS43)、その後、ステップS44へ進んで、車両を整備工場などへ誘導するための『案内ポイントへの誘導』(図4参照)処理を再度行う。
【0075】
電子機器への電力供給を抑制する方法としては、安全系・走行系に寄与しない電子機器への電力供給を停止させるといった方法が挙げられ、例えば、ユニット10,11が安全系・走行系に寄与しない電子機器である場合、開閉器7,8を開放させ、ユニット10,11への電力供給を停止させる。
【0076】
電子機器への電力供給を抑制すると、電力消費率PBATが低下する。例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]である時に、電力消費率PBATが20[A]から5[A]に低下すれば、バッテリ使用可能時間TBAT(=W/PBAT)は5742[sec ](=95分42秒)から22968[sec ](=382分48秒)まで長くなる。
【0077】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『燃料系判定』(図4のステップS36)処理を図7に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf2を「0」にし(ステップS51)、次に、燃料消費率PGASの情報をマイコン2のメモリMから取得する(ステップS52)。
燃料消費率PGASは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2のメモリMに記憶されるようになっている。なお、燃料消費率PGASについては、走行距離、及び燃料消費量に基づいて求めることができる。
【0078】
次に、燃料センサ17から得られる情報に基づいて、燃料残存量Eを検出し(ステップS53)、燃料残存量E、及び燃料消費率PGASを用い、下記に示す関係式に基づいて、走行可能距離SGASを算出する(ステップS54)。
SGAS=E×PGAS
例えば、燃料残存量Eが10[l]で、燃料消費率PGASが8[km/l]である場合、10[l]×8[km/l]=80[km]となる。
【0079】
次に、カウンタC2を1に設定し(ステップS55)、C2番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに走行する走行距離SGO情報を取得し(ステップS56)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS57)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいと判断すれば、燃料面でも当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS58)、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf2を「1」に設定し(ステップS59)、その後、ステップS61へ進む。
一方、走行可能距離SGASは走行距離SGOよりも大きくないと判断すれば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、燃料が尽きることになるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS60)、その後、ステップS61へ進む。
【0080】
ステップS61では、カウンタC2に1を加算し、次に、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS62)。C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS56へ戻る。
一方、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf2が「1」であるか否かを判断する(ステップS63)。
【0081】
フラグf2が「1」である(すなわち、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS64へ進んで、案内ポイントを選定するための『案内ポイント選定』(図8参照)処理を行う。一方、フラグf2が「1」でない(すなわち、到達可能な案内ポイントが存在しない)と判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS65へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。
【0082】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『案内ポイント選定』(図7のステップS64)処理を図8に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、候補地リストに候補地として残っている案内ポイントをユーザーへ紹介する(ステップS71)。紹介の仕方としては、案内ポイントの所在地を示した地図を表示したり、到達までに要する所要時間や走行距離を表示するといった方法が挙げられる。
【0083】
次に、ユーザーより案内ポイントが選択されたか否かを判断する(ステップS72)。案内ポイントが選択されたと判断すれば、選択された案内ポイントを目的地に設定し(ステップS73)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS76)。ナビゲーション装置21は、目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして車両を目的地まで誘導するようになっている。
【0084】
また、ステップS72において、ユーザーより案内ポイントはまだ選択されていないと判断すれば、次に、案内ポイントをユーザーに紹介してから所定時間(例えば、20秒)が経過しているか否かを判断する(ステップS74)。案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していると判断すれば、最寄りの案内ポイント(例えば、所要時間TGOの最も短い案内ポイントや、走行距離SGOの最も短い案内ポイント)を目的地に設定し(ステップS75)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS76)。一方、案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していないと判断すれば、ステップS72へ戻る。
【0085】
次に、移動体通信機22を使って、目的地に設定された案内ポイントに対し、充電系に故障が生じたために向かっていることや、故障内容を連絡し(ステップS77)、その後、ユーザーに対して、電子機器の使用を抑制するように告知する(ステップS78)。その告知方法としては、表示告知や音声告知が挙げられる。なお、上記告知を行うのは、目的地への誘導開始前に電力に余裕があったとしても、その後、エアコンやオーディオなどが新たに使用されることによって、バッテリ4が放電不能となるまでの時間が短縮され、目的地へ到達できなくなるのを防止するためである。
【0086】
上記実施の形態(1)に係る運行支援システムによれば、オルタネータ5に異常が生じた場合には、整備工場など、整備機能を有した施設まで、車両を誘導することができ、バッテリ4に異常が生じた場合には、整備工場やガソリンスタンドなど、バッテリ交換機能を有した施設まで、車両を誘導することができる。また、もし仮に、整備工場などへ誘導することができなかったとしても、路上で停止しないように、駐車場など安全なエリアへ誘導することができる。
【0087】
次に、実施の形態(2)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0088】
図中1Aは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Aはマイコン2Aと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Aにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0089】
実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Aにおけるマイコン2Aの行う処理動作[2]を図9に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[2]は所定時間毎に行われる動作である。
【0090】
まず、電圧センサ12から得られるバッテリ電圧値や、オルタネータ5のP端子からの出力電圧値に基づいて、充電系(バッテリ4、オルタネータ5)に故障が生じているか否かを判断する(ステップS81)。バッテリ4に異常が生じると、バッテリ電圧値が急激に低下することになり、オルタネータ5に異常が生じると、P端子からの出力電圧が0[V]になる。
【0091】
充電系に故障が生じていると判断すれば、次に、オルタネータ5に異常が生じているか否かを判断する(ステップS82)。オルタネータ5に異常が生じていると判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)など、整備機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS83)。充電系に故障が生じていないと判断すれば、そのまま処理動作[2]を終了する。
【0092】
一方、ステップS82において、オルタネータ5に異常が生じていない(すなわち、バッテリ4に異常が生じている)と判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)、ガソリンスタンド、カーショップなど、バッテリ交換機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS84)。
【0093】
ナビゲーション装置21は、施設の検索指令を受信すると、車両から所定距離(例えば、30km)の範囲内に存在する当該施設を検索し、その検索結果(案内ポイントの候補地情報)をバッテリ監視装置1Aへ送信するようになっている。バッテリ監視装置1Aへ送信される情報(案内ポイントの候補地情報)としては、候補地の所在地、連絡先、到達までに要する所要時間TGO、到達までに走行する走行距離SGO、到達までに走行するカーブ走行時間やトンネル走行時間、走行ルートの路面、勾配などが挙げられる。
【0094】
ナビゲーション装置21から送信されてくる検索結果(案内ポイントの候補地情報)を受信すると、案内ポイントの候補地に「1」から順番に番号を付し、候補地リストを作成して候補地情報を記憶する(ステップS85)。次に、受信した案内ポイントの候補地情報に基づいて、案内ポイントの候補地が存在するか否かを判断する(ステップS86)。
【0095】
案内ポイントの候補地が存在すると判断すれば、次に、外部環境情報(例えば、天気)を取得し(ステップS87)、その後、ステップS88へ進んで、整備工場などへ誘導するための『案内ポイントへの誘導』(図10参照)処理を行う。なお、外部環境情報を取得する方法としては、移動体通信機22を用いて取得する方法や、ナビゲーション装置21を介して取得する方法が挙げられる。
【0096】
一方、案内ポイントの候補地が存在しないと判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS89へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。これは、路上停止といった最悪の事態を避けるために行う処理である。
【0097】
実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Aにおけるマイコン2Aの行う『案内ポイントへの誘導』(図9のステップS88)処理を図10に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf1を「0」にし(ステップS91)、次に、バッテリ充電率SOCの情報をマイコン2AのメモリM(図示せず)から取得する(ステップS92)。
【0098】
バッテリ充電率SOCは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2AのメモリMに記憶されるようになっている。バッテリ充電率SOCとバッテリ開放電圧VOPNとの間には、図5に示したように、相関関係が成り立つため、バッテリ開放電圧VOPNからバッテリ充電率SOCを求めることができる。
また、バッテリ開放電圧VOPNについては、バッテリ電流値が0[A]近くまで収束した時のバッテリ電圧値となる。つまり、バッテリ電流がほとんど流れていない時のバッテリ電圧値がバッテリ開放電圧VOPNとなる。
【0099】
次に、電流センサ14〜16から得られる情報に基づいて、各ユニット9〜11で消費されている電気量(すなわち、車両に装備されている電子機器の使用状況)を検出し(ステップS93)、この電気量に基づいて、車両に装備されている電子機器で消費される電力消費率PBATを算出する(ステップS94)。
【0100】
次に、バッテリ放電可能電気量Wを、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS95)。
W=バッテリ容量×(SOC−放電終止充電率)
SOC:バッテリ充電率
放電終止充電率:バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率SOCが88[%]で、放電終止充電率が30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0101】
次に、カウンタC1を1に設定し(ステップS96)、C1番目の案内ポイント候補地へ到達するまでのカーブ走行時間、及びトンネル走行時間の情報を取得し(ステップS97)、これらカーブ走行時間、及びトンネル走行時間に基づいて、追加電気消費量ABATを算出する(ステップS98)。
【0102】
カーブ走行時にはEPSに供給される電気量が多くなり、トンネル走行時にはランプへ供給される電気量が多くなることが予想され、例えば、EPSでの追加電気消費量が500[Asec]、ランプでの追加電気消費量が500[Asec]である場合、追加電気消費量ABATは1000[Asec]となる。
【0103】
次に、バッテリ使用可能時間TBAT(すなわち、走行可能時間)を、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS99)。
TBAT=(W−ABAT)/PBAT
W:バッテリ放電可能電気量
ABAT:追加電気消費量
PBAT:電力消費率
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、追加電気消費量ABATが1000[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]である場合、(114840[Asec]−1000[Asec])/20[A]で、バッテリ使用可能時間Tは5692[sec ](=94分52秒)となる。
【0104】
次に、C1番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに要する所要時間TGO情報を取得し(ステップS100)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS101)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいと判断すれば、電力面では当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS102)、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf1を「1」に設定し(ステップS103)、その後、ステップS105へ進む。
【0105】
一方、バッテリ使用可能時間TBATは所要時間TGOよりも大きくないと判断すれば、このままの電力消費状態が続けば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、バッテリ放電不能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS104)、その後、ステップS105へ進む。
【0106】
ステップS105では、カウンタC1に1を加算し、次に、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS106)。C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS97へ戻る。
一方、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf1が「1」であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0107】
フラグf1が「1」である(すなわち、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS108へ進んで、燃料面で到達可能といえるか否かを判断するための『燃料系判定』(図11参照)処理を行う。一方、フラグf1が「1」でない(すなわち、このままの電力消費状態が続けば、どの案内ポイントへも到達できない)と判断すれば、ステップS109へ進んで、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制するための『電力供給抑制I』(図6参照)処理を行い、そして再度『案内ポイントへの誘導』(図10)処理を行う。
【0108】
実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Aにおけるマイコン2Aの行う『燃料系判定』(図10のステップS108)処理を図11に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf2を「0」にし(ステップS111)、次に、燃料消費率PGASの情報をマイコン2AのメモリMから取得する(ステップS112)。
燃料消費率PGASは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2AのメモリMに記憶されるようになっている。なお、燃料消費率PGASについては、走行距離、及び燃料消費量に基づいて求めることができる。
【0109】
次に、カウンタC2を1に設定し(ステップS113)、C2番目の案内ポイント候補地へ到達するまでの走行ルートにおける渋滞、路面、勾配の情報や、天候情報を取得し(ステップS114)、これら渋滞、路面、勾配、天候の状況に基づいて、追加燃料消費量AGASを算出する(ステップS115)。渋滞していたり、路面が悪かったり、登坂道路であったり、強い雨が降っている場合には、余分に燃料が消費されることが予想される。
【0110】
次に、燃料センサ17から得られる情報に基づいて、燃料残存量Eを検出し(ステップS116)、燃料残存量E、追加燃料消費量AGAS、及び燃料消費率PGASを用い、下記に示す関係式に基づいて、走行可能距離SGASを算出する(ステップS117)。
SGAS=(E−AGAS)×PGAS
例えば、燃料残存量Eが10[l]で、追加燃料消費量AGASが1[l]で、燃料消費率PGASが8[km/l]である場合、(10[l]−1[l])×8[km/l]=72[km]となる。
【0111】
次に、C2番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに走行する走行距離SGO情報を取得し(ステップS118)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS119)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいと判断すれば、燃料面でも当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS120)、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf2を「1」に設定し(ステップS121)、その後、ステップS123へ進む。
一方、走行可能距離SGASは走行距離SGOよりも大きくないと判断すれば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、燃料が尽きることになるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS122)、その後、ステップS123へ進む。
【0112】
ステップS123では、カウンタC2に1を加算し、次に、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS124)。C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS114へ戻る。
一方、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf2が「1」であるか否かを判断する(ステップS125)。
【0113】
フラグf2が「1」である(すなわち、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS126へ進んで、案内ポイントを選定するための『案内ポイント選定』(図8参照)処理を行う。一方、フラグf2が「1」でない(すなわち、到達可能な案内ポイントが存在しない)と判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS127へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。
【0114】
上記実施の形態(2)に係る運行支援システムによれば、各案内ポイントごとに異なる走行ルートにおける状況を考慮に入れて、電力面、燃料面の両方から、案内ポイントへ到達可能であるか否かが判断されるので、車両をより適切に案内ポイントまで誘導することができる。
【0115】
次に、実施の形態(3)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0116】
図中1Bは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Bはマイコン2Bと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Bにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0117】
実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Bにおけるマイコン2Bは、マイコン2、2Aの行う処理動作[1]、[2]と同様の処理動作[3−1]を行うように構成されている。ここでは、処理動作[1]、[2]と異なる『案内ポイント選定』処理を図12に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、候補地リストに候補地として残っている案内ポイントをユーザーへ紹介する(ステップS131)。紹介の仕方としては、案内ポイントの所在地を示した地図を表示したり、到達までに要する所要時間や走行距離を表示するといった方法が挙げられる。
【0118】
次に、ユーザーより案内ポイントが選択されたか否かを判断する(ステップS132)。案内ポイントが選択されたと判断すれば、選択された案内ポイントを目的地に設定し(ステップS133)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS136)。ナビゲーション装置21は、目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして車両を目的地まで誘導するようになっている。
【0119】
また、ステップS132において、ユーザーより案内ポイントはまだ選択されていないと判断すれば、次に、案内ポイントをユーザーに紹介してから所定時間(例えば、20秒)が経過しているか否かを判断する(ステップS134)。案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していると判断すれば、最寄りの案内ポイント(例えば、所要時間TGOの最も短い案内ポイントや、走行距離SGOの最も短い案内ポイント)を目的地に設定し(ステップS135)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS136)。一方、案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していないと判断すれば、ステップS132へ戻る。
【0120】
次に、移動体通信機22を使って、目的地に設定された案内ポイントに対し、充電系に故障が生じたために向かっていることや、故障内容を連絡し(ステップS137)、その後、ユーザーに対して、電子機器の使用を抑制するように告知する(ステップS138)。その告知方法としては、表示告知や音声告知が挙げられる。なお、上記告知を行うのは、目的地への誘導開始前に電力に余裕があったとしても、その後、エアコンやオーディオなどが新たに使用されることによって、バッテリ4が放電不能となるまでの時間が短縮され、目的地へ到達できなくなるのを防止するためである。
【0121】
次に、目的地へ到達するまでに要する所要時間TGO情報をマイコン2BのメモリMから取得し(ステップS139)、続いて、バッテリ充電率SOCの情報をマイコン2BのメモリMから取得する(ステップS140)。次に、電流センサ14〜16から得られる情報に基づいて、各ユニット9〜11で消費されている電気量(すなわち、車両に装備されている電子機器の使用状況)を検出し(ステップS141)、この電気量に基づいて、車両に装備されている電子機器で消費される電力消費率PBATを算出する(ステップS142)。
【0122】
次に、バッテリ放電可能電気量Wを、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS25)。
W=バッテリ容量×(SOC−放電終止充電率)
SOC:バッテリ充電率
放電終止充電率:バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率SOCが88[%]で、放電終止充電率が30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0123】
次に、追加放電可能電気量X(すなわち、目的地への誘導開始後、新たに追加して使用できる電気量)を、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS144)。
X=W−PBAT×TGO
W:バッテリ放電可能電気量
PBAT:電力消費率
TGO:目的地へ到達するまでに要する所要時間
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]で、所要時間が30[分]である場合、114840[Asec]−20[A]×30[分]×60[sec/分]で、追加放電可能電気量Xは78840[Asec]となる。追加電気消費量ABATを加味する場合には、X=W−PBAT×TGO−ABATとなる。
【0124】
実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Bにおけるマイコン2Bの行う処理動作[3−2]を図13に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[3−2]は所定時間毎に行われる動作である。まず、電流センサ13から得られるバッテリ電流値を積算することによって、積算電気量を算出する(ステップS151)。但し、この時、電力消費率PBAT分は除く。
【0125】
次に、積算電気量が追加放電可能電気量Xよりも大きいか否かを判断する(ステップS152)。積算電気量が追加放電可能電気量Xよりも大きい(すなわち、このままの電力消費状態が続けば、目的地へ到達することができない)と判断すれば、ステップS153へ進んで、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制するための『電力供給抑制II』(図14参照)処理を行う。
一方、積算電気量が追加放電可能電気量Xよりも大きくないと判断すれば、そのまま『電力供給抑制II』処理を終了する。
【0126】
実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Bにおけるマイコン2Bの行う『電力供給抑制II』(図13のステップS153)処理を図14に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、各ユニット9〜11の使用状況を検出し(ステップS161)、検出結果に基づいて、電力供給抑制対象ユニットを決定する(ステップS162)。
【0127】
次に、電力供給抑制対象ユニットが安全系や走行系に関係するものであるか否かを判断する(ステップS163)。電力供給抑制対象ユニットが安全系や走行系に関係するものであると判断すれば、外部環境情報(例えば、天気、時刻など)を取得し(ステップS164)、電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持させる必要があるか否かを判断する(ステップS165)。例えば、ヘッドランプと車幅灯が点灯している時に、天候も悪くなく、夜間走行でもなく、視界が悪くない場合、ヘッドランプを消灯しても問題はない。視界が非常に良好であれば、ヘッドランプと車幅灯の両方を消灯しても問題はない。つまり、このような場合には電力供給を抑制することができる。
【0128】
電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持させる必要がある(すなわち、電力供給を抑制すると、安全面、走行面で問題がある)と判断すれば、当該電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持とする(ステップS166)。一方、電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持させる必要はないと判断すれば、その時の環境に応じて、電力供給を抑制する(ステップS167)。
【0129】
また、ステップS163において、電力供給抑制対象ユニットが安全系や走行系に関係するものでないと判断すれば、外部環境情報(例えば、天気、車内温度、外気温度など)を取得し(ステップS168)、電力供給抑制対象ユニットへ電力を供給する必要があるか否かを判断する(ステップS169)。例えば、冷房が作動している時に、車内温度が高くなければ、設定温度を下げたり、エアコンを停止させても問題はない。つまり、このような場合には電力供給を抑制することができる。なお、車内温度や外気温度を把握するには温度センサを設け、該温度センサから得られるデータをセンサ取得部3で取得できるようにすれば良い。
【0130】
ステップS169において、電力供給抑制対象ユニットへ電力を供給する必要があると判断すれば、その時の環境に応じて、停止しない程度に電力供給を抑制する(ステップS170)。一方、電力供給抑制対象ユニットへ電力を供給する必要がないと判断すれば、電力供給を停止する(ステップS171)。
【0131】
上記実施の形態(3)に係る運行支援システムによれば、目的地への誘導開始時に予想していた消費電気量以外の追加消費電気量が多くなり、目的地への到達が難しい状況に陥った場合、電力供給が抑制される。これにより、車両を目的地までより確実に到達させることができる。
【0132】
なお、上記実施の形態(3)に係る運行支援システムでは、全走行ルートに対する追加放電可能電気量Xを算出し、この追加放電可能電気量Xと積算電気量とを比較することによって、電力供給抑制の必要性を判断するようにしているが、別の実施の形態に係る運行支援システムでは、例えば、図15に示したように、追加放電可能電気量Xを複数のエリアに分けて、エリア毎に電力供給抑制の必要性を判断するようにしても良い。
【0133】
次に、実施の形態(4)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0134】
図中1Cは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Cはマイコン2Cと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Cにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0135】
実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Cにおけるマイコン2Cは、マイコン2、2A、2Bの行う処理動作[1]、[2]、[3−1]と同様の処理動作[4−1]を行うように構成されている。
【0136】
次に、実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Cにおけるマイコン2Cの行う処理動作[4−2]を図16に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[4−2]は目的地誘導開始から到達までの間に所定時間毎に行われる動作である。
【0137】
まず、ユニット9〜11のいずれかから起動要求があるか否かを判断する(ステップS181)。起動要求があると判断すれば、起動要求のあったユニットで消費される消費電流値IAを検出し(ステップS182)、当該ユニットが稼動しつづけた場合のバッテリ使用可能時間TAを算出する(ステップS183)。
【0138】
バッテリ使用可能時間TAについては、下記に示す関係式に基づいて算出することができる。
TA=W/(PBAT+IA)
W:バッテリ放電可能電気量
PBAT:電力消費率
IA:消費電流値
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率20[A]で、消費電流値IAが4[A]である場合、バッテリ使用可能時間TAは4785[sec ](=79分45秒)となる。
【0139】
次に、バッテリ使用可能時間TAが目的地へ到達するまでに要する所要時間TGOよりも大きいか否かを判断する(ステップS184)。バッテリ使用可能時間TAが所要時間TGOよりも大きい(すなわち、当該ユニットが稼動しつづけたとしても、目的地まで到達することができる)と判断すれば、電力供給を許可する(ステップS185)。
一方、バッテリ使用可能時間TAが所要時間TGOよりも大きくない(すなわち、当該ユニットが稼動しつづけた場合、目的地まで到達することができない)と判断すれば、電力供給を禁止する(ステップS186)。
【0140】
上記実施の形態(4)に係る運行支援システムによれば、目的地設定当初に使用されていなかったユニットが使用されるようになったとしても、目的地へ到達できなくなるのを防止することができる。
【0141】
次に、実施の形態(5)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0142】
図中1Dは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Dはマイコン2Dと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Dにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0143】
実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Dにおけるマイコン2Dは、マイコン2、2A、2B、2Cの行う処理動作[1]、[2]、[3−1]、[4−1]と同様の処理動作[5−1]を行うように構成されている。
【0144】
次に、実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Dにおけるマイコン2Dの行う処理動作[5−2]を図17に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[5−2]は目的地誘導開始から到達までの間に所定時間毎に行われる動作である。
【0145】
まず、目的地へ到着したか否かを判断する(ステップS191)。目的地へ到着したと判断すれば、到着地が安全エリア(すなわち、整備工場などでなく、駐車場)であるか否かを判断する(ステップS192)。
【0146】
到着地が安全エリアである(すなわち、すぐに修理ができる状況下にない)と判断すれば、バッテリ上りが生じるのを避けるために、走行系に関係のない電子機器への電力供給を停止させる(ステップS193)。一方、到着地が安全エリアではない(すなわち、整備工場などであり、すぐに修理できる状況下にある)と判断すれば、バッテリ上りを考える必要がないので、そのまま処理動作[5−2]を終了する。また、ステップS191において、目的地へ到着していないと判断した場合にも、そのまま処理動作[5−2]を終了する。
【0147】
上記実施の形態(5)に係る運行支援システムによれば、整備機能を有した整備工場や、バッテリ交換機能を有したガソリンスタンドなどではなく、駐車場などの安全エリアへ到着すると、走行系に関係のない電子機器への電力供給が停止される。これにより、バッテリ上りが生じるのを防止することができる。
なお、ここでは安全エリアへ到着した場合には、ユーザーの意志に関係なく、電力供給を停止するようにしているが、別の実施の形態では、ユーザーの意志を確認するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図2】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図3】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図4】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図5】バッテリ開放電圧とバッテリ充電率との関係を示したグラフである。
【図6】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図7】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図8】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図9】実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図10】実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図11】実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図12】実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図13】実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図14】実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図15】追加放電可能電気量を複数のエリアに分けた状態を説明するための説明図である。
【図16】実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図17】実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0149】
1、1A〜1D バッテリ監視装置
2、2A〜2D マイコン
4 バッテリ
5 オルタネータ
6〜8 開閉器
9〜11 ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は運行支援システムに関し、より詳細には、車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行中の安全性や快適性、利便性を高めるために、車両に装備される電子機器が急速に増加し、バッテリ、及び該バッテリに電力を充電する発電機など、充電系への負荷が高くなってきている。安全性を高めるものとしては、衝突軽減システム(プリクラッシュシステム)や、ブレーキアシストシステム、エアバッグシステムなどがあり、快適性を高めるものとしては、シートヒーターやミラーヒーターなどがある。
【0003】
ところが、充電系への負荷が高くなると、充電系に故障が生じた場合、走行を長時間継続させることができず、最悪の場合、路上で走行不能状態に陥り停止することになる。例えば、発電機に故障が生じた場合、バッテリへの充電ができないために、バッテリ上りが生じ、走行に必要となる電子機器へ電力を供給することができなくなるからである。
【0004】
車両に故障が生じた場合、ユーザーに対して何らかの支援を行う技術については、従来より種々提案されており、例えば、下記の特許文献1、2には、故障の際、サービスセンターへの案内情報を表示する技術について開示され、特許文献3には、故障の際、走行可能距離から、到達可能なサービスセンターを検出する技術について開示されている。
【0005】
当然のことではあるが、燃料が尽きれば、車両走行を継続させることはできない。そのため、サービスセンターを案内する場合、特許文献3に開示されているように、走行可能距離を求め、現在位置から走行可能距離の間に存在するサービスセンターを検索し、その間に存在するサービスセンターを案内するのが望ましい。
【0006】
しかしながら、充電系に故障が生じた場合、上記したように、バッテリ上りが生じ、走行に必要となる電子機器へ電力を供給することができなくなるため、燃料が残っていたとしても、走行不能状態に陥ることになる。つまり、現在位置から走行可能距離の間に存在するサービスセンターであっても、到達できないおそれがある。
【特許文献1】特開平7−129894号公報
【特許文献2】特開平10−103979号公報
【特許文献3】特開2002−277262号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、車両などの移動体に装備されている充電系に故障が生じた場合に、到達可能な整備工場への案内など、ユーザーに対して適切な支援を行うことのできる運行支援システムを提供することを目的としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る運行支援システム(1)は、車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムにおいて、充電系に故障が生じたと判断された場合、バッテリ放電可能電気量、前記移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率、及び到達までに要する所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出する案内ポイント検出手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
ある案内ポイントGの到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さければ、案内ポイントGへは到達可能と言える。
案内ポイントGの到達までに消費される電気消費量aは、下記の関係式から求められる。
a=PBAT×TGO
PBAT:移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率
TGO :案内ポイントGの到達までに要する所要時間
例えば、電力消費率PBATが20[A]で、所要時間TGOが30[分]である場合、電気消費量aは36000[Asec](=20[A]×30[分]×60[sec/分])となる。
【0010】
他方、バッテリ放電可能電気量Wは、下記の関係式から求められる。
W=バッテリ容量×(バッテリ充電率−放電終止充電率)
放電終止充電率は、バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率を表している。
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率が88[%]で、放電終止充電率Gが30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0011】
上記運行支援システム(1)によれば、バッテリ放電可能電気量、前記移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率、及び到達までに要する所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、到達可能な案内ポイントを適切に検出することができる。
【0012】
また、本発明に係る運行支援システム(2)は、上記運行支援システム(1)において、前記バッテリ放電可能電気量、及び前記電力消費率に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出するバッテリ使用可能時間算出手段を備え、前記案内ポイント検出手段が、前記バッテリ使用可能時間算出手段により算出されたバッテリ使用可能時間、及び前記所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであると共に、案内ポイントへ到達するまでの移動環境に基づいて、移動中に追加消費が予想されるものであり、前記電力消費率から求められる電気消費量に含まれない、追加電気消費量を算出する追加電気消費量算出手段を備え、前記バッテリ使用可能時間算出手段が、前記追加電気消費量算出手段により算出された追加電気消費量を加味して、バッテリ使用可能時間を算出するものであることを特徴としている。
【0013】
ある案内ポイントGの到達までに要する所要時間が、バッテリ使用可能時間(バッテリ放電が不能となるまでの時間)よりも小さければ、案内ポイントGへは到達可能と言える。
バッテリ使用可能時間TBATは、下記の関係式から求められる。
TBAT=W/PBAT
W :バッテリ放電可能電気量
PBAT:移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]である場合、114840[Asec]/20[A]で、バッテリ使用可能時間TBATは5742[sec ](=95分42秒)となる。
【0014】
上記運行支援システム(2)によれば、バッテリ使用可能時間、及び前記所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、到達可能な案内ポイントを適切に検出することができる。また、検索対象となる各案内ポイント毎に、到達までに消費される電気消費量aをいちいち算出する必要はなく、到達までに要する所要時間TGOが分かれば良いので、検索処理を簡素化することができ、コンピュータにかかる負荷を軽減することができる。
【0015】
上記したように、バッテリ使用可能時間については、前記バッテリ放電可能電気量、及び前記電力消費率から予想することができるが、これは電子機器の使用状況に変化が生じないことが前提となっている。従って、電子機器の使用状況に変化が生じれば、バッテリ使用可能時間についても変化が生じる。
【0016】
例えば、カーブ走行の場合、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering )への負荷が大きくなり、そのシステムへの電力供給量が多くなる。また、天候の変化や日の入りによって、周囲が暗くなり、ランプを作動させた場合、ランプを点灯させるシステムへの電力供給量が多くなる。
【0017】
上記運行支援システム(2)によれば、さらに、案内ポイントへ到達するまでの移動環境(例えば、カーブ走行時間、天候)に基づいて、移動中に追加消費される追加電気消費量(例えば、EPSへ追加供給される電気量、ランプ点灯システムへ追加供給される電気量)が算出され、この追加電気消費量を加味して、バッテリ使用可能時間が算出される。従って、バッテリ使用可能時間の精度が上がるため、到達可能な案内ポイントの検出精度についても高めることができる。
【0018】
また、本発明に係る運行支援システム(3)は、上記運行支援システム(1)又は(2)において、到達可能な案内ポイントが検出されない場合、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制する電力供給抑制手段を備え、該電力供給抑制手段により電力供給が抑制された後、前記案内ポイント検出手段による案内ポイントの検出が再度行われるように構成されていることを特徴としている。
【0019】
到達可能な案内ポイントが検出されないのは、到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さくなる案内ポイントが存在しない場合である。これを解消するには、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制すれば良い。例えば、安全系や走行系に寄与しない電子機器への電力供給量を部分的に削減したり、供給を停止すれば良い。
【0020】
上記運行支援システム(3)によれば、到達可能な案内ポイントが検出されない場合、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給が抑制され、電力供給が抑制された後、案内ポイントの検出が再度行われる。従って、到達可能な案内ポイントが検出される可能性を高めることができる。
【0021】
また、本発明に係る運行支援システム(4)は、上記運行支援システム(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段が、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、燃料残存量、燃料消費率、及び到達までに走行する走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであることを特徴としている。
【0022】
ある案内ポイントGの到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さければ、安全系や走行系に関係のある電子機器へ電力を供給しつづけることができるが、移動途中で、燃料が尽きれば、移動を継続させることはできない。
前記ある案内ポイントの到達まで移動を継続させるには、到達までに消費される燃料消費量が、燃料残存量よりも小さければ良い。
【0023】
案内ポイントGの到達までに消費される燃料消費量bは、下記の関係式から求められる。
b=PGAS×SGO
PGAS:燃料消費率
SGO :案内ポイントGの到達までに走行する走行距離
例えば、燃料消費率PGASが8[km/l]で、走行距離SGOが20[km]である場合、燃料消費量bは2.5[l](=20[km]/8[km/l])となり、燃料残存量が2.5[l]以上であれば、案内ポイントGまで走行を継続させることができる。
【0024】
上記運行支援システム(4)によれば、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、燃料残存量、燃料消費率、及び到達までに走行する走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、電気系、燃料系の両面から、到達可能な案内ポイントを検出することができる。
【0025】
また、上記運行支援システム(4)において、前記燃料残存量、及び前記燃料消費率に基づいて、走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段を備え、前記案内ポイント検出手段が、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、前記走行可能距離算出手段により算出された走行可能距離、及び前記走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであるようにしても良い。
【0026】
ある案内ポイントGの到達までに走行する走行距離が、走行可能距離(燃料が尽きるまでに走行できる距離)よりも小さければ、前記ある案内ポイントへは到達可能と言える。
走行可能距離SGASは、下記の関係式から求められる。
SGAS=E×PGAS
E :燃料残存量
PGAS:燃料消費率
例えば、燃料残存量Eが10[l]で、燃料消費率PGASが8[km/l]である場合、10[l]×8[km/l]で、走行可能距離SGASは80[km]となる。
【0027】
すなわち、上記構成とすることによって、前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、走行可能距離、及び前記走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントが検出される。従って、到達可能な案内ポイントを適切に検出することができるようになる。また、検索対象となる各案内ポイント毎に、到達までに消費される燃料消費量bをいちいち算出する必要はなく、到達までに走行する走行距離SGOが分かれば良いので、検索処理を簡素化することができ、コンピュータにかかる負荷を軽減することができる。
【0028】
さらに、案内ポイントへ到達するまでの移動環境に基づいて、移動中に追加消費が予想されるものであり、前記燃料消費率から求められる燃料消費量に含まれない、追加燃料消費量を算出する追加燃料消費量算出手段を備え、前記走行可能距離算出手段が、前記追加燃料消費量算出手段により算出された追加燃料消費量を加味して、走行可能距離を算出するものであるようにしても良い。
【0029】
上記したように、走行可能距離については、燃料残存量、及び前記燃料消費率から予想することができるが、これは走行状態に変化が生じないことが前提となっている。従って、走行状態に変化が生じれば、走行可能距離についても変化が生じる。例えば、登坂走行の場合、通常走行時よりも燃料消費率は悪くなり、燃料消費量が多くなる。また、渋滞に遭遇した場合にもやはり燃費消費率は悪くなり、燃料消費量は多くなる。
【0030】
すなわち、上記構成とすることによって、案内ポイントへ到達するまでの移動環境(例えば、登坂走行の距離や勾配、渋滞の距離や程度)に基づいて、移動中に追加消費される追加燃料消費量(例えば、登坂走行で追加消費される燃料消費量、渋滞遭遇時に追加消費される燃料消費量)が算出され、この追加燃料消費量を加味して、走行可能距離が算出される。従って、走行可能距離の精度が上がるため、到達可能な案内ポイントの検出精度についても高めることができる。
【0031】
また、本発明に係る運行支援システム(5)は、上記運行支援システム(1)〜(4)のいずれかにおいて、充電系の故障内容に応じて、案内ポイントの検出対象を設定する検出対象設定手段を備えていることを特徴としている。
【0032】
発電機が故障した場合、整備機能のある整備工場やディーラーに案内すべきであるが、バッテリの故障の場合には、整備機能が無くても、バッテリ交換機能があれば良く、例えば、ガソリンスタンドやカーショップなどであっても良い。
【0033】
上記運行支援システム(5)によれば、充電系の故障内容に応じて、案内ポイントの検出対象が設定される。例えば、故障が発電機の場合には、整備工場やディーラーが検出対象に設定され、故障がバッテリの場合には、整備工場やディーラー、ガソリンスタンド、カーショップが検出対象に設定される。これにより、故障内容に応じた、適切な案内ポイントを検出することができる。
【0034】
また、本発明に係る運行支援システム(6)は、上記運行支援システム(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、前記バッテリ放電可能電気量から、前記電力消費率から求められる前記目的地到達までに消費される電気消費量を減算することによって、残りの放電可能電気量を算出する放電可能電気量算出手段と、該放電可能電気量算出手段により求められた残りの放電可能電気量と、前記案内ポイント検出手段による検出後に追加放電された追加放電電気量とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電子機器への電力供給を制御する電力供給制御手段を備えていることを特徴としている。
【0035】
案内ポイントの検出時点では、到達までに消費される電気消費量が、バッテリ放電可能電気量よりも小さく、到達可能な案内ポイントであると判断されていたとしても、例えば、検出時点では使用されていなかったエアコンが使用されるようになったり、カーブ走行でEPSへの電力供給量が増えて、追加放電が生じることが考えられる。この追加放電の電気量が多くなれば、目的地へ到達するまでに、バッテリ放電が不能になるおそれがある。
【0036】
上記運行支援システム(6)によれば、前記バッテリ放電可能電気量から、前記電力消費率から求められる前記目的地到達までに消費される電気消費量を減算することによって残りの放電可能電気量が算出され、そしてこの残りの放電可能電気量と、案内ポイント検出後に追加放電された追加放電電気量とが比較され、その比較結果に基づいて、前記電子機器への電力供給が制御される。
【0037】
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]で、目的地に設定された案内ポイントの到達までに要する所要時間TGOが30[分]である場合、残りの放電可能電気量は78840[Asec]となり、追加放電電気量が残りの放電可能電気量(78840[Asec])に接近しているか否か、又は上回っているか否かを判断する。追加放電電気量が残りの放電可能電気量を上回ると、目的地に設定されている案内ポイントへ到達できないことになるため、電力供給が抑制される。これにより、検出後に追加放電があっても、前記移動体を案内ポイントへ到達させることができる。
【0038】
また、上記運行支援システム(6)において、前記目的地までの走行ルートを分割したエリア毎に、前記残りの放電可能電気量が設定され、前記比較が、前記エリア毎に行われるように構成しても良い。
全走行ルートまとめて、前記比較を行い、そして電子機器への電力供給を抑制することになった場合、一旦抑制を開始してしまうと、前記移動体が目的地へ到達するまでその抑制は継続されることになる。一方、走行ルートを分割し、分割したエリア毎に、前記比較を行って、電子機器への電力供給を抑制するようにすれば、もし仮に抑制が開始されることになったとしても、そのエリアを越えれば、抑制を解除することができる。従って、抑制箇所を分散することができるので、エアコンなどが使えなくなったままになるといった事態が生じるのを防止することができる。
【0039】
また、上記運行支援システム(6)において、前記追加放電電気量が前記残りの放電可能電気量を上回る(すなわち、何らかの処置を施さなければ、目的地への到達前にバッテリ放電不能になる)と判断された場合、前記電力供給制御手段が、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制するものであるようにしても良い。これにより、追加放電があった場合にも、前記移動体を目的地へ到達させることができる。
【0040】
また、本発明に係る運行支援システム(7)は、上記運行支援システム(6)において、前記電力供給制御手段による電力供給の抑制が、電力供給抑制の対象が安全系又は走行系に寄与するものと、安全系及び走行系に寄与しないものとで差別化が図られるように構成されていることを特徴としている。
【0041】
上記運行支援システム(7)によれば、電力供給抑制の対象が安全系又は走行系に寄与するものと、そうでないものとで、抑制の差別化が図られる。これにより、電力供給の抑制を適切に行うことができる。
【0042】
また、上記運行支援システム(7)において、電力供給抑制の対象物の決定、及び/又は抑制度合いの決定が、その対象物の属性、使用状況、及び移動環境のうちの少なくとも1要因に基づいて行われるように構成しても良い。このように構成すれば、電力供給抑制の対象物の決定、及び/又は抑制度合いの決定が、その対象物の属性(例えば、安全系や走行系に寄与するものであるか否か)、使用状況、及び移動環境のうちの少なくとも1要因に基づいて行われるので、より一層適切に電力供給を抑制することができる。
【0043】
また、本発明に係る運行支援システム(8)は、上記運行支援システム(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、安全系及び走行系に寄与しない電子機器が停止状態から稼動状態に遷移する場合、電力消費状態に基づいて、前記目的地へ到達可能か否かを判断する判断手段と、該判断手段により前記目的地へ到達できないと判断された場合、前記遷移を許可しない不許可手段とを備えていることを特徴としている。
【0044】
上記運行支援システム(8)によれば、安全系及び走行系に寄与しない電子機器が停止状態から稼動状態に遷移する場合、電力消費状態に基づいて、前記目的地へ到達可能か否かが判断され、前記目的地へ到達できないと判断された場合、前記遷移が許可されない。これにより、安全系及び走行系に寄与しない電子機器(例えば、エアコンやオーディオ)が停止状態から稼動状態に遷移され、そのまま使用が続けられて、走行系の電子機器に電力が供給できなくなり、目的地へ到達できなくなるといった事態が生じるのを防止することができる。
【0045】
また、本発明に係る運行支援システム(9)は、上記運行支援システム(1)〜(8)のいずれかにおいて、前記案内ポイント検出手段により到達可能な案内ポイントが検出されない場合であって、前記移動体が案内ポイントとは異なる所定の場所へ到着すると、前記移動体に装備されている電子機器の一部への電力供給を停止させる電力供給停止手段を備えていることを特徴としている。
【0046】
上記運行支援システム(9)によれば、整備機能を有した整備工場や、バッテリ交換機能を有したガソリンスタンドなどではなく、前記所定の場所(例えば、単に退避するためだけの場所であり、駐車場など)へ到着すると、前記移動体に装備されている電子機器の一部への電力供給が停止される。これにより、バッテリ上りが生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明に係る運行支援システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムの要部を概略的に示したブロック図である。図中1は、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1はマイコン2と各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1にはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0048】
マイコン2は、充電系故障判定部2aと、ユーザー報知部2bと、外部情報取得部2cと、バッテリ使用可能時間算出部2dと、走行可能距離算出部2eと、情報送受信部2fと、電力供給制御部2gとを含んで構成されている。また、電源ラインLにはバッテリ監視装置1だけでなく、オルタネータ5と、開閉器6〜8を介して複数のユニット9〜11,…とが接続されている。開閉器6〜8,…の開閉はバッテリ監視装置1によって制御されるようになっている。
【0049】
バッテリ電圧値を検出するための電圧センサ12と、バッテリ電流値を検出するための電流センサ13と、オルタネータ5のP端子(図示せず)と、各ユニット9〜11で消費されている電気量(負荷使用電流)を検出するための電流センサ14〜16と、燃料残存量を検出するための燃料センサ17とは、センサ取得部3に接続され、バッテリ電圧値、バッテリ電流値、オルタネータ5のP端子からの出力電圧(異常が発生すると0[V]になる)、各ユニット9〜11で消費される電気量、及び燃料残存量がバッテリ監視装置1(マイコン2)で認識されるようになっている。
【0050】
また、バッテリ監視装置1には各ユニット9〜11、ナビゲーション装置21、及び携帯電話などの移動体通信機22と接続されており、これらと各種情報のやり取りを行うことができ、例えば、ナビゲーション装置21は、バッテリ監視装置1から送信されてくる目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして、車両を目的地まで誘導するようになっている。また、ナビゲーション装置21には、電波ビーコンや、光ビーコン、FM多重放送を受信する機能を有しており、渋滞情報や、交通規制情報、天候情報などを取得することができるようになっている。
【0051】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う処理動作[1]を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[1]は所定時間毎に行われる動作である。
【0052】
まず、電圧センサ12から得られるバッテリ電圧値や、オルタネータ5のP端子からの出力電圧値に基づいて、充電系(バッテリ4、オルタネータ5)に故障が生じているか否かを判断する(ステップS1)。バッテリ4に異常が生じると、バッテリ電圧値が急激に低下することになり、オルタネータ5に異常が生じると、P端子からの出力電圧が0[V]になる。
【0053】
充電系に故障が生じていると判断すれば、次に、オルタネータ5に異常が生じているか否かを判断する(ステップS2)。オルタネータ5に異常が生じていると判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)など、整備機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS3)。充電系に故障が生じていないと判断すれば、そのまま処理動作[1]を終了する。
【0054】
一方、ステップS2において、オルタネータ5に異常が生じていない(すなわち、バッテリ4に異常が生じている)と判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)、ガソリンスタンド、カーショップなど、バッテリ交換機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS4)。
【0055】
ナビゲーション装置21は、施設の検索指令を受信すると、車両から所定距離(例えば、30km)の範囲内に存在する当該施設を検索し、その検索結果(案内ポイントの候補地情報)をバッテリ監視装置1へ送信するようになっている。バッテリ監視装置1へ送信される情報(案内ポイントの候補地情報)としては、候補地の所在地、連絡先、到達までに要する所要時間TGO、到達までに走行する走行距離SGOなどが挙げられる。
【0056】
ナビゲーション装置21から送信されてくる検索結果(案内ポイントの候補地情報)を受信すると、案内ポイントの候補地に「1」から順番に番号を付し、候補地リストを作成して候補地情報を記憶する(ステップS5)。次に、受信した案内ポイントの候補地情報に基づいて、案内ポイントの候補地が存在するか否かを判断する(ステップS6)。
【0057】
案内ポイントの候補地が存在すると判断すれば、ステップS7へ進んで、整備工場などへ誘導するための『案内ポイントへの誘導』(図4参照)処理を行う。オルタネータ5に異常が生じているときに、車両から前記所定距離の範囲内に整備機能を有した施設が存在する場合や、バッテリ4に異常が生じているときに、車両から前記所定距離の範囲内にバッテリ交換機能を有した施設が存在する場合、『案内ポイントへの誘導』処理が行われることになる。後で詳しく説明するが、『案内ポイントへの誘導』処理には、電力面から到達可能か否かを判断する処理や、燃料面から到達可能か否かを判断する処理が含まれている。
【0058】
一方、案内ポイントの候補地が存在しないと判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS8へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。これは、路上停止といった最悪の事態を避けるために行う処理である。
【0059】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『安全エリアへの誘導』(図2のステップS8)処理を図3に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、安全エリアの検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS11)。
【0060】
ナビゲーション装置21は、安全エリアの検索指令を受信すると、最寄りの安全エリア(例えば、到達までに要する所要時間が最も短い駐車場や、到達までに走行する走行距離が最も短い駐車場)を検索し、その検索結果をバッテリ監視装置1へ送信するようになっている。
【0061】
ナビゲーション装置21から送信されてくる検索結果(例えば、安全エリアの所在地)を受信すると(ステップS12)、最寄りの安全エリアを目的地に設定し(ステップS13)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力し(ステップS14)。ナビゲーション装置21は、目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして車両を目的地まで誘導するようになっている。
【0062】
その後、移動体通信機22を使って、サービスセンターに対し、充電系に故障が生じたために安全エリアへ退避することや、その安全エリアの所在地を連絡する(ステップS15)。これにより、整備工場などへ移動できなくても、安全エリアで適切な処置を受けることができる。
【0063】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『案内ポイントへの誘導』(図2のステップS7)処理を図4に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf1を「0」にし(ステップS21)、次に、バッテリ充電率SOCの情報をマイコン2のメモリM(図示せず)から取得する(ステップS22)。
【0064】
バッテリ充電率SOCは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2のメモリMに記憶されるようになっている。バッテリ充電率SOCとバッテリ開放電圧VOPNとの間には、図5に示したように、相関関係が成り立つため、バッテリ開放電圧VOPNからバッテリ充電率SOCを求めることができる。
また、バッテリ開放電圧VOPNについては、バッテリ電流値が0[A]近くまで収束した時のバッテリ電圧値となる。つまり、バッテリ電流がほとんど流れていない時のバッテリ電圧値がバッテリ開放電圧VOPNとなる。
【0065】
次に、電流センサ14〜16から得られる情報に基づいて、各ユニット9〜11で消費されている電気量(すなわち、車両に装備されている電子機器の使用状況)を検出し(ステップS23)、この電気量に基づいて、車両に装備されている電子機器で消費される電力消費率PBATを算出する(ステップS24)。
【0066】
次に、バッテリ放電可能電気量Wを、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS25)。
W=バッテリ容量×(SOC−放電終止充電率)
SOC:バッテリ充電率
放電終止充電率:バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率SOCが88[%]で、放電終止充電率が30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0067】
次に、バッテリ使用可能時間TBAT(すなわち、走行可能時間)を、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS26)。
TBAT=W/PBAT
W:バッテリ放電可能電気量
PBAT:電力消費率
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]である場合、114840[Asec]/20[A]で、バッテリ使用可能時間Tは5742[sec ](=95分42秒)となる。
【0068】
次に、カウンタC1を1に設定し(ステップS27)、C1番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに要する所要時間TGO情報を取得し(ステップS28)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS29)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいと判断すれば、電力面では当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS30)、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf1を「1」に設定し(ステップS31)、その後、ステップS33へ進む。
【0069】
一方、バッテリ使用可能時間TBATは所要時間TGOよりも大きくないと判断すれば、このままの電力消費状態が続けば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、バッテリ放電不能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS32)、その後、ステップS33へ進む。
【0070】
ステップS33では、カウンタC1に1を加算し、次に、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS34)。C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS28へ戻る。
一方、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf1が「1」であるか否かを判断する(ステップS35)。
【0071】
フラグf1が「1」である(すなわち、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS36へ進んで、燃料面で到達可能といえるか否かを判断するための『燃料系判定』(図7参照)処理を行う。一方、フラグf1が「1」でない(すなわち、このままの電力消費状態が続けば、どの案内ポイントへも到達できない)と判断すれば、ステップS37へ進んで、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制するための『電力供給抑制I』(図6参照)処理を行う。電力供給を抑制すると、電力消費率PBATが小さくなり、バッテリ使用可能時間TBATを伸ばすことができる。
【0072】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『電力供給抑制I』(図4のステップS37)処理を図6に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、電力供給抑制の処理を既に実行しているか否かを判断する(ステップS41)。
【0073】
電力供給抑制の処理を既に実行している(すなわち、電力供給を抑制しているにも拘らず、案内ポイントの候補地が存在しない)と判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS42へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。
【0074】
一方、電力供給抑制の処理は実行されていないと判断すれば、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制し(ステップS43)、その後、ステップS44へ進んで、車両を整備工場などへ誘導するための『案内ポイントへの誘導』(図4参照)処理を再度行う。
【0075】
電子機器への電力供給を抑制する方法としては、安全系・走行系に寄与しない電子機器への電力供給を停止させるといった方法が挙げられ、例えば、ユニット10,11が安全系・走行系に寄与しない電子機器である場合、開閉器7,8を開放させ、ユニット10,11への電力供給を停止させる。
【0076】
電子機器への電力供給を抑制すると、電力消費率PBATが低下する。例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]である時に、電力消費率PBATが20[A]から5[A]に低下すれば、バッテリ使用可能時間TBAT(=W/PBAT)は5742[sec ](=95分42秒)から22968[sec ](=382分48秒)まで長くなる。
【0077】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『燃料系判定』(図4のステップS36)処理を図7に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf2を「0」にし(ステップS51)、次に、燃料消費率PGASの情報をマイコン2のメモリMから取得する(ステップS52)。
燃料消費率PGASは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2のメモリMに記憶されるようになっている。なお、燃料消費率PGASについては、走行距離、及び燃料消費量に基づいて求めることができる。
【0078】
次に、燃料センサ17から得られる情報に基づいて、燃料残存量Eを検出し(ステップS53)、燃料残存量E、及び燃料消費率PGASを用い、下記に示す関係式に基づいて、走行可能距離SGASを算出する(ステップS54)。
SGAS=E×PGAS
例えば、燃料残存量Eが10[l]で、燃料消費率PGASが8[km/l]である場合、10[l]×8[km/l]=80[km]となる。
【0079】
次に、カウンタC2を1に設定し(ステップS55)、C2番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに走行する走行距離SGO情報を取得し(ステップS56)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS57)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいと判断すれば、燃料面でも当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS58)、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf2を「1」に設定し(ステップS59)、その後、ステップS61へ進む。
一方、走行可能距離SGASは走行距離SGOよりも大きくないと判断すれば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、燃料が尽きることになるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS60)、その後、ステップS61へ進む。
【0080】
ステップS61では、カウンタC2に1を加算し、次に、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS62)。C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS56へ戻る。
一方、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf2が「1」であるか否かを判断する(ステップS63)。
【0081】
フラグf2が「1」である(すなわち、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS64へ進んで、案内ポイントを選定するための『案内ポイント選定』(図8参照)処理を行う。一方、フラグf2が「1」でない(すなわち、到達可能な案内ポイントが存在しない)と判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS65へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。
【0082】
実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1におけるマイコン2の行う『案内ポイント選定』(図7のステップS64)処理を図8に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、候補地リストに候補地として残っている案内ポイントをユーザーへ紹介する(ステップS71)。紹介の仕方としては、案内ポイントの所在地を示した地図を表示したり、到達までに要する所要時間や走行距離を表示するといった方法が挙げられる。
【0083】
次に、ユーザーより案内ポイントが選択されたか否かを判断する(ステップS72)。案内ポイントが選択されたと判断すれば、選択された案内ポイントを目的地に設定し(ステップS73)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS76)。ナビゲーション装置21は、目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして車両を目的地まで誘導するようになっている。
【0084】
また、ステップS72において、ユーザーより案内ポイントはまだ選択されていないと判断すれば、次に、案内ポイントをユーザーに紹介してから所定時間(例えば、20秒)が経過しているか否かを判断する(ステップS74)。案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していると判断すれば、最寄りの案内ポイント(例えば、所要時間TGOの最も短い案内ポイントや、走行距離SGOの最も短い案内ポイント)を目的地に設定し(ステップS75)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS76)。一方、案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していないと判断すれば、ステップS72へ戻る。
【0085】
次に、移動体通信機22を使って、目的地に設定された案内ポイントに対し、充電系に故障が生じたために向かっていることや、故障内容を連絡し(ステップS77)、その後、ユーザーに対して、電子機器の使用を抑制するように告知する(ステップS78)。その告知方法としては、表示告知や音声告知が挙げられる。なお、上記告知を行うのは、目的地への誘導開始前に電力に余裕があったとしても、その後、エアコンやオーディオなどが新たに使用されることによって、バッテリ4が放電不能となるまでの時間が短縮され、目的地へ到達できなくなるのを防止するためである。
【0086】
上記実施の形態(1)に係る運行支援システムによれば、オルタネータ5に異常が生じた場合には、整備工場など、整備機能を有した施設まで、車両を誘導することができ、バッテリ4に異常が生じた場合には、整備工場やガソリンスタンドなど、バッテリ交換機能を有した施設まで、車両を誘導することができる。また、もし仮に、整備工場などへ誘導することができなかったとしても、路上で停止しないように、駐車場など安全なエリアへ誘導することができる。
【0087】
次に、実施の形態(2)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0088】
図中1Aは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Aはマイコン2Aと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Aにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0089】
実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Aにおけるマイコン2Aの行う処理動作[2]を図9に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[2]は所定時間毎に行われる動作である。
【0090】
まず、電圧センサ12から得られるバッテリ電圧値や、オルタネータ5のP端子からの出力電圧値に基づいて、充電系(バッテリ4、オルタネータ5)に故障が生じているか否かを判断する(ステップS81)。バッテリ4に異常が生じると、バッテリ電圧値が急激に低下することになり、オルタネータ5に異常が生じると、P端子からの出力電圧が0[V]になる。
【0091】
充電系に故障が生じていると判断すれば、次に、オルタネータ5に異常が生じているか否かを判断する(ステップS82)。オルタネータ5に異常が生じていると判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)など、整備機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS83)。充電系に故障が生じていないと判断すれば、そのまま処理動作[2]を終了する。
【0092】
一方、ステップS82において、オルタネータ5に異常が生じていない(すなわち、バッテリ4に異常が生じている)と判断すれば、整備工場(ディーラーを含む)、ガソリンスタンド、カーショップなど、バッテリ交換機能を有した施設(案内ポイント)の検索指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS84)。
【0093】
ナビゲーション装置21は、施設の検索指令を受信すると、車両から所定距離(例えば、30km)の範囲内に存在する当該施設を検索し、その検索結果(案内ポイントの候補地情報)をバッテリ監視装置1Aへ送信するようになっている。バッテリ監視装置1Aへ送信される情報(案内ポイントの候補地情報)としては、候補地の所在地、連絡先、到達までに要する所要時間TGO、到達までに走行する走行距離SGO、到達までに走行するカーブ走行時間やトンネル走行時間、走行ルートの路面、勾配などが挙げられる。
【0094】
ナビゲーション装置21から送信されてくる検索結果(案内ポイントの候補地情報)を受信すると、案内ポイントの候補地に「1」から順番に番号を付し、候補地リストを作成して候補地情報を記憶する(ステップS85)。次に、受信した案内ポイントの候補地情報に基づいて、案内ポイントの候補地が存在するか否かを判断する(ステップS86)。
【0095】
案内ポイントの候補地が存在すると判断すれば、次に、外部環境情報(例えば、天気)を取得し(ステップS87)、その後、ステップS88へ進んで、整備工場などへ誘導するための『案内ポイントへの誘導』(図10参照)処理を行う。なお、外部環境情報を取得する方法としては、移動体通信機22を用いて取得する方法や、ナビゲーション装置21を介して取得する方法が挙げられる。
【0096】
一方、案内ポイントの候補地が存在しないと判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS89へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。これは、路上停止といった最悪の事態を避けるために行う処理である。
【0097】
実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Aにおけるマイコン2Aの行う『案内ポイントへの誘導』(図9のステップS88)処理を図10に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf1を「0」にし(ステップS91)、次に、バッテリ充電率SOCの情報をマイコン2AのメモリM(図示せず)から取得する(ステップS92)。
【0098】
バッテリ充電率SOCは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2AのメモリMに記憶されるようになっている。バッテリ充電率SOCとバッテリ開放電圧VOPNとの間には、図5に示したように、相関関係が成り立つため、バッテリ開放電圧VOPNからバッテリ充電率SOCを求めることができる。
また、バッテリ開放電圧VOPNについては、バッテリ電流値が0[A]近くまで収束した時のバッテリ電圧値となる。つまり、バッテリ電流がほとんど流れていない時のバッテリ電圧値がバッテリ開放電圧VOPNとなる。
【0099】
次に、電流センサ14〜16から得られる情報に基づいて、各ユニット9〜11で消費されている電気量(すなわち、車両に装備されている電子機器の使用状況)を検出し(ステップS93)、この電気量に基づいて、車両に装備されている電子機器で消費される電力消費率PBATを算出する(ステップS94)。
【0100】
次に、バッテリ放電可能電気量Wを、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS95)。
W=バッテリ容量×(SOC−放電終止充電率)
SOC:バッテリ充電率
放電終止充電率:バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率SOCが88[%]で、放電終止充電率が30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0101】
次に、カウンタC1を1に設定し(ステップS96)、C1番目の案内ポイント候補地へ到達するまでのカーブ走行時間、及びトンネル走行時間の情報を取得し(ステップS97)、これらカーブ走行時間、及びトンネル走行時間に基づいて、追加電気消費量ABATを算出する(ステップS98)。
【0102】
カーブ走行時にはEPSに供給される電気量が多くなり、トンネル走行時にはランプへ供給される電気量が多くなることが予想され、例えば、EPSでの追加電気消費量が500[Asec]、ランプでの追加電気消費量が500[Asec]である場合、追加電気消費量ABATは1000[Asec]となる。
【0103】
次に、バッテリ使用可能時間TBAT(すなわち、走行可能時間)を、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS99)。
TBAT=(W−ABAT)/PBAT
W:バッテリ放電可能電気量
ABAT:追加電気消費量
PBAT:電力消費率
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、追加電気消費量ABATが1000[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]である場合、(114840[Asec]−1000[Asec])/20[A]で、バッテリ使用可能時間Tは5692[sec ](=94分52秒)となる。
【0104】
次に、C1番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに要する所要時間TGO情報を取得し(ステップS100)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS101)、バッテリ使用可能時間TBATが所要時間TGOよりも大きいと判断すれば、電力面では当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS102)、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf1を「1」に設定し(ステップS103)、その後、ステップS105へ進む。
【0105】
一方、バッテリ使用可能時間TBATは所要時間TGOよりも大きくないと判断すれば、このままの電力消費状態が続けば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、バッテリ放電不能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS104)、その後、ステップS105へ進む。
【0106】
ステップS105では、カウンタC1に1を加算し、次に、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS106)。C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS97へ戻る。
一方、C1番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf1が「1」であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0107】
フラグf1が「1」である(すなわち、電力面では到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS108へ進んで、燃料面で到達可能といえるか否かを判断するための『燃料系判定』(図11参照)処理を行う。一方、フラグf1が「1」でない(すなわち、このままの電力消費状態が続けば、どの案内ポイントへも到達できない)と判断すれば、ステップS109へ進んで、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制するための『電力供給抑制I』(図6参照)処理を行い、そして再度『案内ポイントへの誘導』(図10)処理を行う。
【0108】
実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Aにおけるマイコン2Aの行う『燃料系判定』(図10のステップS108)処理を図11に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、初期設定として、フラグf2を「0」にし(ステップS111)、次に、燃料消費率PGASの情報をマイコン2AのメモリMから取得する(ステップS112)。
燃料消費率PGASは、あるタイミングで算出され、その算出結果についてはマイコン2AのメモリMに記憶されるようになっている。なお、燃料消費率PGASについては、走行距離、及び燃料消費量に基づいて求めることができる。
【0109】
次に、カウンタC2を1に設定し(ステップS113)、C2番目の案内ポイント候補地へ到達するまでの走行ルートにおける渋滞、路面、勾配の情報や、天候情報を取得し(ステップS114)、これら渋滞、路面、勾配、天候の状況に基づいて、追加燃料消費量AGASを算出する(ステップS115)。渋滞していたり、路面が悪かったり、登坂道路であったり、強い雨が降っている場合には、余分に燃料が消費されることが予想される。
【0110】
次に、燃料センサ17から得られる情報に基づいて、燃料残存量Eを検出し(ステップS116)、燃料残存量E、追加燃料消費量AGAS、及び燃料消費率PGASを用い、下記に示す関係式に基づいて、走行可能距離SGASを算出する(ステップS117)。
SGAS=(E−AGAS)×PGAS
例えば、燃料残存量Eが10[l]で、追加燃料消費量AGASが1[l]で、燃料消費率PGASが8[km/l]である場合、(10[l]−1[l])×8[km/l]=72[km]となる。
【0111】
次に、C2番目の案内ポイント候補地へ到達するまでに走行する走行距離SGO情報を取得し(ステップS118)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいか否かを判断し(ステップS119)、走行可能距離SGASが走行距離SGOよりも大きいと判断すれば、燃料面でも当該案内ポイント候補地への到達が可能となるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストへ残し(ステップS120)、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在することを示すフラグf2を「1」に設定し(ステップS121)、その後、ステップS123へ進む。
一方、走行可能距離SGASは走行距離SGOよりも大きくないと判断すれば、当該案内ポイント候補地へ到達するまでに、燃料が尽きることになるので、当該案内ポイント候補地を候補地リストから外し(ステップS122)、その後、ステップS123へ進む。
【0112】
ステップS123では、カウンタC2に1を加算し、次に、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在するか否かを判断する(ステップS124)。C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在する(すなわち、検討すべき候補地が候補地リストに残っている)と判断すれば、ステップS114へ戻る。
一方、C2番目の案内ポイント候補地が候補地リストに存在しない(すなわち、検討すべき候補地は候補地リストに残っていない)と判断すれば、次に、フラグf2が「1」であるか否かを判断する(ステップS125)。
【0113】
フラグf2が「1」である(すなわち、電力面、燃料面のいずれからも到達可能といえる案内ポイントが存在する)と判断すれば、ステップS126へ進んで、案内ポイントを選定するための『案内ポイント選定』(図8参照)処理を行う。一方、フラグf2が「1」でない(すなわち、到達可能な案内ポイントが存在しない)と判断すれば、整備工場などへ誘導することはできないと看做し、ステップS127へ進んで、駐車場など安全エリアへ誘導するための『安全エリアへの誘導』(図3参照)処理を行う。
【0114】
上記実施の形態(2)に係る運行支援システムによれば、各案内ポイントごとに異なる走行ルートにおける状況を考慮に入れて、電力面、燃料面の両方から、案内ポイントへ到達可能であるか否かが判断されるので、車両をより適切に案内ポイントまで誘導することができる。
【0115】
次に、実施の形態(3)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0116】
図中1Bは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Bはマイコン2Bと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Bにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0117】
実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Bにおけるマイコン2Bは、マイコン2、2Aの行う処理動作[1]、[2]と同様の処理動作[3−1]を行うように構成されている。ここでは、処理動作[1]、[2]と異なる『案内ポイント選定』処理を図12に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、候補地リストに候補地として残っている案内ポイントをユーザーへ紹介する(ステップS131)。紹介の仕方としては、案内ポイントの所在地を示した地図を表示したり、到達までに要する所要時間や走行距離を表示するといった方法が挙げられる。
【0118】
次に、ユーザーより案内ポイントが選択されたか否かを判断する(ステップS132)。案内ポイントが選択されたと判断すれば、選択された案内ポイントを目的地に設定し(ステップS133)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS136)。ナビゲーション装置21は、目的地への誘導開始の指令を受信すると、地図画面や誘導経路を表示するなどして車両を目的地まで誘導するようになっている。
【0119】
また、ステップS132において、ユーザーより案内ポイントはまだ選択されていないと判断すれば、次に、案内ポイントをユーザーに紹介してから所定時間(例えば、20秒)が経過しているか否かを判断する(ステップS134)。案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していると判断すれば、最寄りの案内ポイント(例えば、所要時間TGOの最も短い案内ポイントや、走行距離SGOの最も短い案内ポイント)を目的地に設定し(ステップS135)、目的地への誘導開始の指令をナビゲーション装置21に対して出力する(ステップS136)。一方、案内ポイントをユーザーに紹介してから前記所定時間が経過していないと判断すれば、ステップS132へ戻る。
【0120】
次に、移動体通信機22を使って、目的地に設定された案内ポイントに対し、充電系に故障が生じたために向かっていることや、故障内容を連絡し(ステップS137)、その後、ユーザーに対して、電子機器の使用を抑制するように告知する(ステップS138)。その告知方法としては、表示告知や音声告知が挙げられる。なお、上記告知を行うのは、目的地への誘導開始前に電力に余裕があったとしても、その後、エアコンやオーディオなどが新たに使用されることによって、バッテリ4が放電不能となるまでの時間が短縮され、目的地へ到達できなくなるのを防止するためである。
【0121】
次に、目的地へ到達するまでに要する所要時間TGO情報をマイコン2BのメモリMから取得し(ステップS139)、続いて、バッテリ充電率SOCの情報をマイコン2BのメモリMから取得する(ステップS140)。次に、電流センサ14〜16から得られる情報に基づいて、各ユニット9〜11で消費されている電気量(すなわち、車両に装備されている電子機器の使用状況)を検出し(ステップS141)、この電気量に基づいて、車両に装備されている電子機器で消費される電力消費率PBATを算出する(ステップS142)。
【0122】
次に、バッテリ放電可能電気量Wを、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS25)。
W=バッテリ容量×(SOC−放電終止充電率)
SOC:バッテリ充電率
放電終止充電率:バッテリ放電不能となる時のバッテリ充電率
例えば、バッテリ容量が55[Ah]で、バッテリ充電率SOCが88[%]で、放電終止充電率が30[%]である場合、55[Ah]×(88[%]−30[%])×3600[sec/h ]で、バッテリ放電可能電気量Wは114840[Asec]となる。
【0123】
次に、追加放電可能電気量X(すなわち、目的地への誘導開始後、新たに追加して使用できる電気量)を、下記に示す関係式に基づいて算出する(ステップS144)。
X=W−PBAT×TGO
W:バッテリ放電可能電気量
PBAT:電力消費率
TGO:目的地へ到達するまでに要する所要時間
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率PBATが20[A]で、所要時間が30[分]である場合、114840[Asec]−20[A]×30[分]×60[sec/分]で、追加放電可能電気量Xは78840[Asec]となる。追加電気消費量ABATを加味する場合には、X=W−PBAT×TGO−ABATとなる。
【0124】
実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Bにおけるマイコン2Bの行う処理動作[3−2]を図13に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[3−2]は所定時間毎に行われる動作である。まず、電流センサ13から得られるバッテリ電流値を積算することによって、積算電気量を算出する(ステップS151)。但し、この時、電力消費率PBAT分は除く。
【0125】
次に、積算電気量が追加放電可能電気量Xよりも大きいか否かを判断する(ステップS152)。積算電気量が追加放電可能電気量Xよりも大きい(すなわち、このままの電力消費状態が続けば、目的地へ到達することができない)と判断すれば、ステップS153へ進んで、車両に装備されている電子機器への電力供給を抑制するための『電力供給抑制II』(図14参照)処理を行う。
一方、積算電気量が追加放電可能電気量Xよりも大きくないと判断すれば、そのまま『電力供給抑制II』処理を終了する。
【0126】
実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Bにおけるマイコン2Bの行う『電力供給抑制II』(図13のステップS153)処理を図14に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、各ユニット9〜11の使用状況を検出し(ステップS161)、検出結果に基づいて、電力供給抑制対象ユニットを決定する(ステップS162)。
【0127】
次に、電力供給抑制対象ユニットが安全系や走行系に関係するものであるか否かを判断する(ステップS163)。電力供給抑制対象ユニットが安全系や走行系に関係するものであると判断すれば、外部環境情報(例えば、天気、時刻など)を取得し(ステップS164)、電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持させる必要があるか否かを判断する(ステップS165)。例えば、ヘッドランプと車幅灯が点灯している時に、天候も悪くなく、夜間走行でもなく、視界が悪くない場合、ヘッドランプを消灯しても問題はない。視界が非常に良好であれば、ヘッドランプと車幅灯の両方を消灯しても問題はない。つまり、このような場合には電力供給を抑制することができる。
【0128】
電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持させる必要がある(すなわち、電力供給を抑制すると、安全面、走行面で問題がある)と判断すれば、当該電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持とする(ステップS166)。一方、電力供給抑制対象ユニットへの電力供給を現状維持させる必要はないと判断すれば、その時の環境に応じて、電力供給を抑制する(ステップS167)。
【0129】
また、ステップS163において、電力供給抑制対象ユニットが安全系や走行系に関係するものでないと判断すれば、外部環境情報(例えば、天気、車内温度、外気温度など)を取得し(ステップS168)、電力供給抑制対象ユニットへ電力を供給する必要があるか否かを判断する(ステップS169)。例えば、冷房が作動している時に、車内温度が高くなければ、設定温度を下げたり、エアコンを停止させても問題はない。つまり、このような場合には電力供給を抑制することができる。なお、車内温度や外気温度を把握するには温度センサを設け、該温度センサから得られるデータをセンサ取得部3で取得できるようにすれば良い。
【0130】
ステップS169において、電力供給抑制対象ユニットへ電力を供給する必要があると判断すれば、その時の環境に応じて、停止しない程度に電力供給を抑制する(ステップS170)。一方、電力供給抑制対象ユニットへ電力を供給する必要がないと判断すれば、電力供給を停止する(ステップS171)。
【0131】
上記実施の形態(3)に係る運行支援システムによれば、目的地への誘導開始時に予想していた消費電気量以外の追加消費電気量が多くなり、目的地への到達が難しい状況に陥った場合、電力供給が抑制される。これにより、車両を目的地までより確実に到達させることができる。
【0132】
なお、上記実施の形態(3)に係る運行支援システムでは、全走行ルートに対する追加放電可能電気量Xを算出し、この追加放電可能電気量Xと積算電気量とを比較することによって、電力供給抑制の必要性を判断するようにしているが、別の実施の形態に係る運行支援システムでは、例えば、図15に示したように、追加放電可能電気量Xを複数のエリアに分けて、エリア毎に電力供給抑制の必要性を判断するようにしても良い。
【0133】
次に、実施の形態(4)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0134】
図中1Cは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Cはマイコン2Cと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Cにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0135】
実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Cにおけるマイコン2Cは、マイコン2、2A、2Bの行う処理動作[1]、[2]、[3−1]と同様の処理動作[4−1]を行うように構成されている。
【0136】
次に、実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Cにおけるマイコン2Cの行う処理動作[4−2]を図16に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[4−2]は目的地誘導開始から到達までの間に所定時間毎に行われる動作である。
【0137】
まず、ユニット9〜11のいずれかから起動要求があるか否かを判断する(ステップS181)。起動要求があると判断すれば、起動要求のあったユニットで消費される消費電流値IAを検出し(ステップS182)、当該ユニットが稼動しつづけた場合のバッテリ使用可能時間TAを算出する(ステップS183)。
【0138】
バッテリ使用可能時間TAについては、下記に示す関係式に基づいて算出することができる。
TA=W/(PBAT+IA)
W:バッテリ放電可能電気量
PBAT:電力消費率
IA:消費電流値
例えば、バッテリ放電可能電気量Wが114840[Asec]で、電力消費率20[A]で、消費電流値IAが4[A]である場合、バッテリ使用可能時間TAは4785[sec ](=79分45秒)となる。
【0139】
次に、バッテリ使用可能時間TAが目的地へ到達するまでに要する所要時間TGOよりも大きいか否かを判断する(ステップS184)。バッテリ使用可能時間TAが所要時間TGOよりも大きい(すなわち、当該ユニットが稼動しつづけたとしても、目的地まで到達することができる)と判断すれば、電力供給を許可する(ステップS185)。
一方、バッテリ使用可能時間TAが所要時間TGOよりも大きくない(すなわち、当該ユニットが稼動しつづけた場合、目的地まで到達することができない)と判断すれば、電力供給を禁止する(ステップS186)。
【0140】
上記実施の形態(4)に係る運行支援システムによれば、目的地設定当初に使用されていなかったユニットが使用されるようになったとしても、目的地へ到達できなくなるのを防止することができる。
【0141】
次に、実施の形態(5)に係る運行支援システムについて説明する。但し、実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムは、バッテリ監視装置1、及びマイコン2を除いて、図1に示したバッテリ監視システムと同様であるので、バッテリ監視装置、及びマイコンには異なる符号を付し、ここではその他の説明を省略する。
【0142】
図中1Dは、車両に搭載されるバッテリ監視装置を示しており、バッテリ監視装置1Dはマイコン2Dと各種センサからの信号を取得するためのセンサ取得部3とを含んで構成されている。また、バッテリ監視装置1Dにはバッテリ4からの電力を供給するための電源ラインLが接続されている。
【0143】
実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Dにおけるマイコン2Dは、マイコン2、2A、2B、2Cの行う処理動作[1]、[2]、[3−1]、[4−1]と同様の処理動作[5−1]を行うように構成されている。
【0144】
次に、実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置1Dにおけるマイコン2Dの行う処理動作[5−2]を図17に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[5−2]は目的地誘導開始から到達までの間に所定時間毎に行われる動作である。
【0145】
まず、目的地へ到着したか否かを判断する(ステップS191)。目的地へ到着したと判断すれば、到着地が安全エリア(すなわち、整備工場などでなく、駐車場)であるか否かを判断する(ステップS192)。
【0146】
到着地が安全エリアである(すなわち、すぐに修理ができる状況下にない)と判断すれば、バッテリ上りが生じるのを避けるために、走行系に関係のない電子機器への電力供給を停止させる(ステップS193)。一方、到着地が安全エリアではない(すなわち、整備工場などであり、すぐに修理できる状況下にある)と判断すれば、バッテリ上りを考える必要がないので、そのまま処理動作[5−2]を終了する。また、ステップS191において、目的地へ到着していないと判断した場合にも、そのまま処理動作[5−2]を終了する。
【0147】
上記実施の形態(5)に係る運行支援システムによれば、整備機能を有した整備工場や、バッテリ交換機能を有したガソリンスタンドなどではなく、駐車場などの安全エリアへ到着すると、走行系に関係のない電子機器への電力供給が停止される。これにより、バッテリ上りが生じるのを防止することができる。
なお、ここでは安全エリアへ到着した場合には、ユーザーの意志に関係なく、電力供給を停止するようにしているが、別の実施の形態では、ユーザーの意志を確認するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図2】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図3】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図4】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図5】バッテリ開放電圧とバッテリ充電率との関係を示したグラフである。
【図6】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図7】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図8】実施の形態(1)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図9】実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図10】実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図11】実施の形態(2)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図12】実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図13】実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図14】実施の形態(3)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図15】追加放電可能電気量を複数のエリアに分けた状態を説明するための説明図である。
【図16】実施の形態(4)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図17】実施の形態(5)に係る運行支援システムを採用した、バッテリ監視システムを構成するバッテリ監視装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0149】
1、1A〜1D バッテリ監視装置
2、2A〜2D マイコン
4 バッテリ
5 オルタネータ
6〜8 開閉器
9〜11 ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムにおいて、
充電系に故障が生じたと判断された場合、
バッテリ放電可能電気量、前記移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率、及び到達までに要する所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出する案内ポイント検出手段を備えていることを特徴とする運行支援システム。
【請求項2】
前記バッテリ放電可能電気量、及び前記電力消費率に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出するバッテリ使用可能時間算出手段を備え、
前記案内ポイント検出手段が、
前記バッテリ使用可能時間算出手段により算出されたバッテリ使用可能時間、及び前記所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであると共に、
案内ポイントへ到達するまでの移動環境に基づいて、移動中に追加消費が予想されるものであり、前記電力消費率から求められる電気消費量に含まれない、追加電気消費量を算出する追加電気消費量算出手段を備え、
前記バッテリ使用可能時間算出手段が、前記追加電気消費量算出手段により算出された追加電気消費量を加味して、バッテリ使用可能時間を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の運行支援システム。
【請求項3】
到達可能な案内ポイントが検出されない場合、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制する電力供給抑制手段を備え、
該電力供給抑制手段により電力供給が抑制された後、
前記案内ポイント検出手段による案内ポイントの検出が再度行われるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の運行支援システム。
【請求項4】
前記案内ポイント検出手段が、
前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、
燃料残存量、燃料消費率、及び到達までに走行する走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項5】
充電系の故障内容に応じて、案内ポイントの検出対象を設定する検出対象設定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項6】
前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、
前記バッテリ放電可能電気量から、前記電力消費率から求められる前記目的地到達までに消費される電気消費量を減算することによって、残りの放電可能電気量を算出する放電可能電気量算出手段と、
該放電可能電気量算出手段により求められた残りの放電可能電気量と、前記案内ポイント検出手段による検出後に追加放電された追加放電電気量とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電子機器への電力供給を制御する電力供給制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項7】
前記電力供給制御手段による電力供給の抑制が、
電力供給抑制の対象が安全系又は走行系に寄与するものと、安全系及び走行系に寄与しないものとで差別化が図られるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の運行支援システム。
【請求項8】
前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、
安全系及び走行系に寄与しない電子機器が停止状態から稼動状態へ遷移する場合、電力消費状態に基づいて、前記目的地へ到達可能か否かを判断する判断手段と、
該判断手段により前記目的地へ到達できないと判断された場合、前記遷移を許可しない不許可手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項9】
前記案内ポイント検出手段により到達可能な案内ポイントが検出されない場合であって、
前記移動体が案内ポイントとは異なる所定の場所へ到着すると、前記移動体に装備されている電子機器の一部への電力供給を停止させる電力供給停止手段を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項1】
車両などの移動体に故障が生じた場合に、運行を支援するための運行支援システムにおいて、
充電系に故障が生じたと判断された場合、
バッテリ放電可能電気量、前記移動体に装備されている電子機器の使用状況から求められる電力消費率、及び到達までに要する所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出する案内ポイント検出手段を備えていることを特徴とする運行支援システム。
【請求項2】
前記バッテリ放電可能電気量、及び前記電力消費率に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出するバッテリ使用可能時間算出手段を備え、
前記案内ポイント検出手段が、
前記バッテリ使用可能時間算出手段により算出されたバッテリ使用可能時間、及び前記所要時間に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであると共に、
案内ポイントへ到達するまでの移動環境に基づいて、移動中に追加消費が予想されるものであり、前記電力消費率から求められる電気消費量に含まれない、追加電気消費量を算出する追加電気消費量算出手段を備え、
前記バッテリ使用可能時間算出手段が、前記追加電気消費量算出手段により算出された追加電気消費量を加味して、バッテリ使用可能時間を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の運行支援システム。
【請求項3】
到達可能な案内ポイントが検出されない場合、前記移動体に装備されている電子機器への電力供給を抑制する電力供給抑制手段を備え、
該電力供給抑制手段により電力供給が抑制された後、
前記案内ポイント検出手段による案内ポイントの検出が再度行われるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の運行支援システム。
【請求項4】
前記案内ポイント検出手段が、
前記バッテリ放電可能電気量、前記電力消費率、及び前記所要時間だけでなく、
燃料残存量、燃料消費率、及び到達までに走行する走行距離に基づいて、到達可能な案内ポイントを検出するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項5】
充電系の故障内容に応じて、案内ポイントの検出対象を設定する検出対象設定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項6】
前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、
前記バッテリ放電可能電気量から、前記電力消費率から求められる前記目的地到達までに消費される電気消費量を減算することによって、残りの放電可能電気量を算出する放電可能電気量算出手段と、
該放電可能電気量算出手段により求められた残りの放電可能電気量と、前記案内ポイント検出手段による検出後に追加放電された追加放電電気量とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電子機器への電力供給を制御する電力供給制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項7】
前記電力供給制御手段による電力供給の抑制が、
電力供給抑制の対象が安全系又は走行系に寄与するものと、安全系及び走行系に寄与しないものとで差別化が図られるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の運行支援システム。
【請求項8】
前記案内ポイント検出手段により検出された案内ポイントの中から目的地を設定する目的地設定手段と、
安全系及び走行系に寄与しない電子機器が停止状態から稼動状態へ遷移する場合、電力消費状態に基づいて、前記目的地へ到達可能か否かを判断する判断手段と、
該判断手段により前記目的地へ到達できないと判断された場合、前記遷移を許可しない不許可手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【請求項9】
前記案内ポイント検出手段により到達可能な案内ポイントが検出されない場合であって、
前記移動体が案内ポイントとは異なる所定の場所へ到着すると、前記移動体に装備されている電子機器の一部への電力供給を停止させる電力供給停止手段を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の運行支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−218715(P2007−218715A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38984(P2006−38984)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]