説明

運転情報評価システム

【課題】運転手ごとの運転内容を客観的に評価できるとともに、エコ運転についても評価可能な運転情報評価システムを提供する。
【解決手段】撮像手段32により撮像された画像データを記憶する画像データ記憶手段38、車両情報検出手段34によって測定された運転状況データを記憶する運転状況データ記憶手段39、並びに画像データおよび運転状況データを無線で送信する無線送信手段35を有する運転情報記録装置30と、運転情報記録装置30から、画像データと運転状況データとを無線によって受信するデータ受信手段53、および運転状況データを読み込み、加速度変化の状況から運転手の運転内容を評価する評価手段66を有する運転情報評価装置50とを具備し、評価手段66は、閾値以上の加速度が測定された回数に基づいての安全運転評価と、閾値以上の加速度が測定された回数および法定速度以上の速度が測定された回数に基づいてエコ運転評価とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、重機、船舶等の乗り物内に設置された運転情報記録装置と、運転状況データから運転内容を評価する運転情報評価装置とを具備する運転情報評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物の一例としての車両の事故状況や運転状況を判断するために、運転情報記録装置が開発され、様々な車両に設置されつつある。
従来の運転情報記録装置は、撮像手段としてのカメラと、車両の車速、加速度、ブレーキ圧等を検出する衝撃検出センサと、カメラで撮像された画像データを記憶する画像データ記憶装置と、GPSで認識された運転位置および衝撃検出センサで測定された速度や加速度等のデータからなる運転状況データを記憶する運転状況データ記憶装置とを具備している。
【0003】
運転情報記録装置は、バス、タクシー、トラック等の業務用車両に設けられ、車両の運転状況を解析するのに役立っている。
【0004】
一方、運転情報記録装置には、このような運転状況データや画像データをCFカード等の記憶媒体に記憶され、運転終了後に記憶媒体を取り外し、営業所等に設けられた解析装置にデータを移し、解析装置によってデータ解析を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、運転の終了後に記憶媒体を取り外し、データを取り出すようにする場合、車両内から記憶媒体を取り外す手間がかかり、また運転再開時には再度記憶媒体を装着しなくてはならず、解析装置へデータを渡す手間がかかっている。
そこで、無線によってデータを解析装置側へ送信する運転情報の収集システムが既に知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−328819号公報
【特許文献2】特開2008−108245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献2の情報収集システムでは、各車両で記録されたデータは車両の運行管理者によって分析され、乗務員の運転指導や運転評価に用いられるということが開示されている。
【0008】
一方、バス、タクシー等のように顧客を乗せる場合はもちろんのことながら、長距離トラックや宅配便等、直接顧客を乗せない場合であっても運転手の運転が荒いだけでその会社のイメージダウンに繋がることもあり、運転手には特に安全運転を遵守させることが望まれており、客観的に安全運転を評価できるシステムが望まれていると言う課題がある。
【0009】
さらに、近年の環境問題の高まりを受け、各企業においてもその対策が図られているところであるが、運輸・交通業にあっては特に燃料消費を抑えたエコ運転をすることが好ましいと言う課題もある。
【0010】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、運転手ごとの運転内容を客観的に評価できるとともに、エコ運転についても評価可能な運転情報評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成すべく、以下の構成を備える。
すなわち、本発明にかかる運転情報記録装置は、運転手により運転される乗り物内に搭載され、撮像手段、撮像手段によって撮像された画像データを記憶する画像データ記憶手段、乗り物内に設けられた車両情報検出手段によって測定された速度および加速度の状況をデータの1つとして構成する運転状況データを記憶する運転状況データ記憶手段、並びに前記画像データ記憶手段内に記憶されている画像データおよび運転状況データ記憶手段内に記憶されている運転状況データを無線で送信可能な無線送信手段を有する運転情報記録装置と、前記運転情報記録装置から、前記画像データと前記運転状況データとを無線によって受信するデータ受信手段、および受信したデータのうち運転状況データを読み込み、加速度変化の状況から運転手の運転内容を評価する評価手段を有する運転情報評価装置とを具備する運転情報評価システムであって、前記運転情報評価相装置の評価手段は、予め設定された閾値以上の加速度が測定された回数に基づいての安全運転評価と、予め設定された閾値以上の加速度が測定された回数および法定速度以上の速度が測定された回数に基づいてエコ運転評価とを行うことを特徴としている。
この構成を採用することによって、運転情報記録装置で蓄積されたデータを容易に運転情報評価装置へ移すことができ、また安全運転の評価とともにエコ運転の評価を容易に得ることができる。これにより、運転手の運転の質を向上させ、営業力を上げるとともに企業のイメージアップを図ることもできる。
【0012】
前記運転情報記録装置は、乗り物の速度を時刻ごとに記録した速度データ並びに、エンジンのオンおよびオフがされた時刻を記録したエンジンのオン−オフデータを運転状況データとして前記運転情報評価装置へ送信し、前記運転情報評価装置の前記評価手段は、速度データにおいて速度0の時、エンジンのオン−オフデータからエンジンがオンまたはオフの何れの状態かを判断することによって、アイドリング時のエンジンオフの継続時間とエンジンオンの継続時間とを比較し、前記エコ運転評価を行うことを特徴としてもよい。
この構成によれば、エコ運転の評価がより明確なものとなり、運転手へのエコ運転の指導がしやすくなる。
【0013】
なお、前記運転情報評価装置は、前記運転情報記録装置へ、画像データおよび運転状況データを発信させるように指示するデータ発信命令を無線で出力する命令発信手段を具備することを特徴としてもよい。
【0014】
さらに、前記運転情報記録装置は、前記乗り物のエンジンオフを検出する検出手段と、該検出手段によってエンジンオフが検出された場合に、前記無線発信機から前記画像データ記憶手段内に記憶されている画像データおよび運転状況データ記憶手段内に記憶されている運転状況データを無線で発信するように制御する制御手段とを有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、エンジンのオフをトリガーとして蓄積したデータを発信するので、運転手はデータの取り出しに関しては、何らの操作を必要とせず、データ取り出しの手間をさらに省くことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる運転情報記録装置によれば、運転手ごとの運転内容を客観的に評価できるとともに、エコ運転についても評価可能となり、運転手への運転指導に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1に基づいて、運転情報評価システム全体の構成について説明する。
運転情報評価システム20は、乗り物の一例としての車両21に搭載される運転情報記録装置30を備えている。本実施形態の車両としては、バス、タクシー等の営業車両であり、業務で走行中の画像データや、速度や加速度等の運転状況データを記憶している。
【0017】
このような運転情報記録装置30を搭載した車両を所有する企業の営業所内に、
画像データや運転状況データを収集して評価する運転情報評価装置50が備えられている。
運転情報評価装置50は、収集した運転状況データに基づいて安全運転評価およびエコ運転評価を実行する評価手段66を有している。
【0018】
また、運転情報記録装置30と、運転情報評価装置50との間は無線でデータ通信が可能となるように設けられている。
運転情報記憶装置30には、データを無線で送受信する無線通信手段35が設けられ、運転情報評価装置50には、データを無線で送受信する無線通信手段53が設けられている。
【0019】
次に、図2〜図3に基づいて運転情報記録装置について説明する。
本実施形態の運転情報記録装置30は、車両のフロントガラスの内側上部においてバックミラーの裏側に装着可能な装置本体31に、車両前方を向くように可動する撮像手段としてのカメラ32が設けられている。カメラ32は、光学レンズ40と、イメージセンサ47とを備えている(図3参照)。イメージセンサ47としては、CCDまたはCMOS等を採用することができる。
【0020】
次に、本実施形態の運転情報記録装置の内部構成を説明する。
運転情報記録装置30は、カメラ32と、カメラ32で撮像された画像データをデジタル化してリングバッファに記憶可能なデジタルデータに変換する画像処理部33と、加速度センサ42および車速度センサ44を有する車両情報検出手段34と、カメラ32によって撮像された画像データを記憶する画像データ記憶装置38と、車両情報検出手段34によって検出された速度、加速度等の運転状況データを記憶する運転状況データ記憶装置39とを備えている。
画像処理部33としては、画像処理機能を有する画像処理エンジン等が該当する。
【0021】
運転情報記録装置30の画像データ記憶装置38は、リングバッファを採用している。リングバッファは、メモリ容量いっぱいまでデータが記憶されると、最も古いデータの上に最新のデータが上書きされることにより、データが順次記憶されていく。
【0022】
なお、運転状況データ記憶装置39は、リングバッファでなくてもよく、通常のRAM等を用いることができる。
【0023】
画像処理部33では、画像データを常時リングバッファに記憶させておき、後述するように車両情報検出手段34からのトリガー信号が入力されると、トリガー信号が入力された時から所定時間経過後に画像データの記憶を停止する。これにより、トリガー発生の前後所定時間にわたる画像データが確実に記憶されることとなる。
【0024】
車両情報検出手段34は、加速度センサ42によって加速度が発生した事を検出したら、常にこの加速度を加速度データとしてセンサ信号解析部41に出力する。センサ信号解析部41は、CPU等のプロセッサで構成されており、予め図示しないメモリ内に記憶させておいた制御プログラムを読み出して実行することによって以下に示す所定の動作を実行する。
【0025】
センサ信号解析部41では、事故等の衝撃が発生したか否かを判断するため、加速度データの閾値が予め記憶されている。センサ信号解析部41では、入力された加速度データを閾値と比較する。センサ信号解析部41は、入力された加速度データが閾値以上であると判断した場合、事故等の衝撃が発生したものとしてトリガー信号を画像処理部33に出力する。
トリガー信号が入力された画像処理部33では、上述したように画像データを画像データ記憶装置38へトリガー信号の入力時の前後所定時間にわたって記憶する。
【0026】
センサ信号解析部41では、入力された加速度データと閾値とを比較した結果、加速度データが閾値未満である場合には、加速度データを運転状況データ記憶装置39へ出力する。なお、センサ信号解析部41では現在時刻を検出する時計機能45を有しており、加速度データを、当該加速度データが生じた時刻と関連づけする。そして、運転状況データ記憶装置39では、加速度データと当該加速度が生じた時刻とを関連づけして記憶するとよい。
【0027】
また、車速度センサ44は、例えば車輪の回転速度を検出してこれを出力するセンサとして設けられており、常時車速度を検出してセンサ信号解析部41へ速度データを出力する。センサ信号解析部41では、入力された速度データを予め設定されたサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリング後の速度データと時刻データとを関連づけして運転状況データ記憶装置39へ出力する。そして、運転状況データ記憶装置39では、速度データとその速度が生じていた時刻とを関連づけして記憶するとよい。
【0028】
このように、本実施形態において運転状況データ記憶装置39に記憶されている運転状況データとしては、時刻と関連づけされた加速度データと、時刻と関連づけされた速度データの2つである。
【0029】
本実施形態の運転情報記録装置30では、無線通信手段35は、運転情報評価装置50からのデータ送信命令を受信すると、画像データ記憶装置38に記憶されている画像データ、および運転状況データ記憶装置39に記憶されている運転状況データを無線で発信する。
【0030】
次に、図4に基づいて運転情報評価装置50の内部構成について説明する。
運転情報評価装置50としては、通常のコンピュータを採用することができる。すなわち、通常のコンピュータに、入力された運転状況データを読み込んで評価を実行可能な運転状況評価プログラムをインストールして実行することにより、コンピュータを運転情報評価装置として実現することができる。
【0031】
運転情報評価装置50は、制御プログラムに基づいて動作する制御部60を具備している。制御部60は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されている。制御部60は、内部バス61を介して、ハードディスクドライブ等の記憶装置62と接続されている。
【0032】
制御部60には、内部バス61を介して入力装置であるキーボード63およびマウス64等のポインティングデバイスが接続されている。ポインティングデバイスとしては、マウス64の他にタブレット等があげられる。
また、制御部60には、内部バス61を介してLCD等のモニタ65が接続されている。
【0033】
記憶装置62には、運転状況評価プログラムPが記憶されている。制御部60は記憶装置62から運転状況評価プログラムPを読み出して実行することによって、運転状況データから各運転手の運転の評価を自動的に実行する評価手段66を実現する。
さらに、記憶装置62には、無線通信手段53で受信した運転状況データと、画像データとを、各運転手ごとに記憶するデータテーブル68が形成される。データテーブル68の一例を図5に示す。
【0034】
また、無線通信手段53(特許請求の範囲でいう命令発信手段)からは、制御部60の指示によって、各車両21の運転情報記録装置30へデータ送信命令を送信することができる。かかる場合、データ送信命令は、複数の車両21(運転情報記録装置30)へ一斉に配信することもできるし、指定された一の車両21(運転情報記録装置30)のみへデータ送信命令を送信することもできる。
【0035】
制御部60は、データ送信命令の発信を、予め設定された時刻に行うように制御するとよい。すなわち、無線でデータを送受信できる範囲は決まっているので、なるべく運転情報評価装置50の近くに車両21が到達する予定時刻が予め判明していれば、その時刻にデータ送信命令を出すようにするとよい。
例えば、運転情報評価装置50には、予め各車両の運行時刻をデータ85として記憶させておく。制御部60は、常時運行時刻データ85を確認し、車両21が営業所(運転情報評価装置50が設置されている場所)へ戻る予定時刻になった時に、データ送信命令を無線通信手段53から発信するように制御する。
【0036】
なお、指定された運転情報記録装置30のみにデータ送信命令を送信する場合、予め運転情報記録装置30にIDを付与しておくとよい。運転情報評価装置50では、データを送信させたい運転情報記録装置30のIDをデータ送信命令に記述して送信する。そして、運転情報記録装置30の無線通信手段35では付与されたIDが記述されたデータ送信命令のみを受信して実行するようにする。
【0037】
また、データ送信命令の発信については以下の様な構成を採用してもよい。
営業所の駐車場への車両出入口(あるいは、車両21を駐車させる駐車スペース近傍)には車両センサ84を設けておき、車両センサ84が営業所へ戻ってきた車両21を検出した場合には、運転情報評価装置50の制御部60へ車両検出信号を出力させる。
制御部60は、車両検出信号を検出すると、データ送信命令を無線通信手段53から発信するように制御する。これによると、車両21が営業所に戻った時に確実にデータを収集できる。
【0038】
以下、評価手段66の具体的な評価方法について説明する。
評価手段66は、運転状況評価プログラムが実行されると、まずデータテーブル68からいずれのデータを取り出して評価するかを作業者に促す画面をモニタ65に表示させる。
【0039】
作業者が、評価したい運転手の氏名や社員番号を入力し、または一覧表から選択して運転手を特定すると、評価手段66では、特定された運転手に係る運転状況データをデータテーブル68から検索して抽出する。
【0040】
次に、評価手段66は、安全運転評価を実行するか、エコ運転評価を実行するかの選択を作業者に促すための画面をモニタ65に表示させる。
作業者が安全運転評価を選択した場合には、評価手段66中の安全運転評価手段70が起動して動作を開始する。
【0041】
安全運転評価手段70の動作について説明する。
安全運転評価手段70は、データテーブル68から抽出した特定された運転手の運転状況データの加速度データから、急ブレーキ、急加速および急ハンドルの3つの評価を実行する。
加速度データは、車両21の進行方向への加速度と、水平面で車両の進行方向と直交する左右方向への加速度とが検出されている。例えば、進行方向+側の加速度は、車両21が加速していくときの加速であり、進行方向−側の加速度は、車両21が減速するときの加速度である。また、左右方向への加速度は、車両21がカーブしたり右折・左折するときの水平方向にかかる加速度(横G)を示している。
【0042】
安全運転評価手段70は、予め進行方向+側の加速度の閾値、進行方向−側の加速度の閾値および水平方向の加速度の閾値を有している。
そして、安全運転評価手段70は、データテーブル68から抽出した加速度データから、進行方向+側の加速度と予め設定された閾値とを比較する。安全運転評価手段70は、閾値以上の進行方向+側の加速度があった都度、急加速があったとして急加速の回数をカウントする。
【0043】
同様に、安全運転評価手段70は、データテーブル68から抽出した加速度データから、進行方向−側の加速度と予め設定された閾値とを比較する。安全運転評価手段70は、閾値以上の進行方向−側の加速度があった都度、急ブレーキがあったとして急ブレーキの回数をカウントする。
【0044】
さらに、安全運転評価手段70は、データテーブル68から抽出した加速度データから、左右方向の加速度と予め設定された閾値とを比較する。安全運転評価手段70は、閾値以上の左右方向の加速度があった都度、急ハンドルがあったとして急ハンドルの回数をカウントする。
【0045】
安全運転評価手段70は、該当する運転手の加速度データの評価を終了すると、カウントした急加速、急ブレーキ、急ハンドルの回数を安全運転評価の結果としてデータテーブル68内の該当する運転手の欄に記憶する。
【0046】
次に、評価手段66は、安全運転評価を算出するか、エコ運転評価を算出するかの選択を作業者に促すための画面をモニタ65に表示させた際に作業者がエコ運転評価を選択した場合には、評価手段66中のエコ運転評価手段72が起動して動作を開始する。
【0047】
エコ運転評価手段72の動作について説明する。
エコ運転評価手段72は、データテーブル68から抽出した特定された運転手の運転状況データの加速度データおよび速度データから、急加速および速度超過の2つの評価を実行する。
加速度データは、車両21の進行方向への加速度と、水平面で車両の進行方向と直交する左右方向への加速度とが検出されているが、上述した安全運転評価手段70で説明したものと同様、進行方向+側の加速度が急加速である。エコ運転評価手段72は、予め進行方向+側の加速度の閾値を有している。
そして、エコ運転評価手段72は、データテーブル68から抽出した加速度データから、進行方向+側の加速度と予め設定された閾値とを比較する。エコ運転評価手段72は、閾値以上の進行方向+側の加速度があった都度、急加速があったとして急加速の回数をカウントする。
【0048】
なお、エコ運転評価手段72は、急加速の評価をする前に、安全運転評価手段70が既に急加速の評価を実施している場合には、急加速の回数をカウントする必要はなく、データテーブル68に記憶されている急加速の回数を利用すればよい。
【0049】
また、エコ運転評価手段72は、データテーブル68から抽出した速度データに基づいて、速度超過の回数を検出する。ここで、エコ運転評価手段72は、予め一般道路の法定速度の上限(60km/h)が予め記憶されており、データテーブル68から抽出した速度データと、一般道路の法定速度の上限とを比較する。エコ運転評価手段72は、法定速度の上限値以上の速度を出していたことを検出した都度、速度超過があったとして速度超過の回数をカウントする。
【0050】
エコ運転評価手段72は、該当する運転手の加速度データの評価を終了すると、カウントした急加速および速度超過の回数をエコ運転評価の結果としてデータテーブル68内の該当する運転手の欄に記憶する。
【0051】
上述した安全運転評価手段70が算出した、急加速、急ブレーキおよび急ハンドルの回数は総合的な評価としての安全評価点数に変換される。安全評価点数への変換は、評価手段66の一機能である点数変換手段74が実行する。
安全評価点数への変換は、予め設定された変換式によって変換される。つまり、点数変換手段74は、安全運転評価手段70が算出した急加速、急ブレーキおよび急ハンドルの各項目毎の回数を変換式に代入し、安全評価点数を算出する。
点数変換手段74は、算出した安全評価点数をデータテーブル68に運転手毎に記憶する。
【0052】
なお、エコ運転評価手段72が算出した、急加速および速度超過は、評価手段66の一機能である点数変換手段74によって総合的な評価であるエコ評価点数に変換される。
点数への変換は、やはり予め設定された変換式によって変換される。つまり、点数変換手段74は、エコ運転評価手段72が算出した急加速および速度超過の各項目毎の回数を変換式に代入し、エコ評価点数を算出する。
点数変換手段74は、算出したエコ評価点数をデータテーブル68に運転手毎に記憶する。
【0053】
評価手段66は、評価した運転手名、安全運転評価手段70が評価した急ブレーキ、急加速および急ハンドルの各回数並びに総合評価(点数)をモニタ65に表示させる表示手段75を有する。
さらに、表示手段75は、エコ運転評価手段72が評価した急加速および速度超過の各回数並びに総合評価(点数)をモニタ65に表示させる。
【0054】
また、表示手段75は、データテーブル68中に同一の運転手の総合評価が継続して記憶されている場合には、総合評価の推移をグラフに表示する機能も有している。
このように、表示手段75が実行してモニタ65に表示させた一例を図6に示す。
【0055】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図7に基づいて説明する。
なお、エコ運転評価手段72が評価する対象項目としてアイドリングを追加してもよい。
アイドリングは、車両21が停車している状態でエンジンがかかりっぱなしであることからこの間の燃料の消費や排気ガスの排出等の問題があり、停車時にはこまめにエンジンをオフにすることが好ましいと考えられている。
【0056】
そこで、図7に示すように、運転情報記録装置30には、車両情報検出手段34として、情報エンジンのオン−オフを検出するオン−オフ検出手段80を設け、オン−オフ検出手段80は、エンジンのオン−オフの切り換えの都度、センサ信号解析部41にエンジン状態信号を出力する。
センサ信号解析部41では、エンジン状態信号に基づくエンジンのオン−オフデータとそのときの時刻を関連づけして運転状況データ記憶装置39へ出力する。運転状況データ記憶装置39では、エンジンのオン−オフデータと時刻とを関連づけして、運転状況データのうちの一つのデータとして記憶する。
【0057】
運転情報記録装置30から、運転状況データが運転情報評価装置50に送信されると、運転状況データはデータテーブル68内に記憶される。
運転情報評価装置50のエコ運転評価手段72は、記憶装置62の内のデータテーブル68に記憶された運転状況データからエンジンのオン−オフデータおよび速度データを抽出し、速度が0のときにエンジンがオンまたはオフのいずれかであるかを判断する。
速度0である時間に対し、エンジンがオンとなっている時間がアイドリング時間であり、エコ運転評価手段72は、このアイドリング時間を%で表し、この%で表された数値を、データテーブル68に記憶する。このアイドリング(%)の数値が多いほどエコではないとの評価ができる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図8に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態では、運転情報記録装置30からの画像データの送信および運転状況データの送信は、車両21のエンジンオフをトリガーとして運転情報記録装置から自動的に発信する。
【0059】
すなわち、本実施形態の運転情報記録装置30では、車両情報検出手段34として、エンジンをオフにしたことを検出するエンジンオフ検出手段82を設け、エンジンがオフになった場合において、無線通信手段35にエンジンオフ信号を出力する。
無線通信手段35は、エンジンオフ信号を受けて、画像データ記憶装置38に記憶されている画像データ、および運転状況データ記憶装置39に記憶されている運転状況データを無線で発信する。本実施形態では、請求項4でいう制御手段は無線通信手段35に該当する。
【0060】
このような構成によれば、車両21が営業を終えて営業所に帰社し、エンジンをオフにすると自動的に画像データや運転状況データを発信できるので、効率よく各種データの収集が可能となる。
【0061】
なお、上述してきた各実施形態では、運転情報記録装置30からの画像データおよび運転状況データの発信は、データ送信命令の受信やエンジンオフなどのトリガーがかかったときに自動的に発信されるものであった。
しかし、運転情報記録装置30には、運転手が操作可能な発信スイッチ(図示せず)が無線通信手段35に接続されて設けられ、発信スイッチが操作されると無線通信手段35が画像データ記憶装置38に記憶されている画像データ、および運転状況データ記憶装置39に記憶されている運転状況データを無線で発信する。
【産業上の技術分野】
【0062】
上述してきた運転情報解析システムの各実施形態の運転情報記録装置としては、車両に搭載するケースについて説明してきた。
しかし、運転情報記録装置の搭載は、車両に限定されることなく、工事用の重機、船舶等にもすることができる。
【0063】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の運転情報評価システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】運転情報記録装置の外観構成を示す説明図である。
【図3】運転情報記録装置の内部構成を示す説明図である。
【図4】運転情報評価装置の内部構成を示す説明図である。
【図5】データテーブルの一例を示す説明図である。
【図6】評価の結果の表示画面の一例を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態における運転情報記録装置の内部構成を示す説明図である。
【図8】第3の実施形態における運転情報記録装置の内部構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
20 運転情報評価システム
21 車両
30 運転情報記憶装置
31 装置本体
32 カメラ
33 画像処理部
34 車両情報検出手段
35 無線通信手段
38 画像データ記憶装置
39 運転状況データ記憶装置
40 光学レンズ
41 センサ信号解析部
42 加速度センサ
44 車速度センサ
45 時計機能
47 イメージセンサ
50 運転情報評価装置
53 無線通信手段
60 制御部
61 内部バス
62 記憶装置
63 キーボード
64 マウス
65 モニタ
66 評価手段
68 データテーブル
70 安全運転評価手段
72 エコ運転評価手段
74 点数変換手段
75 表示手段
80 オン−オフ検出手段
82 エンジンオフ検出手段
84 車両センサ
85 運行時刻データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手により運転される乗り物内に搭載され、撮像手段、撮像手段によって撮像された画像データを記憶する画像データ記憶手段、乗り物内に設けられた車両情報検出手段によって測定された速度および加速度の状況をデータの1つとして構成する運転状況データを記憶する運転状況データ記憶手段、並びに前記画像データ記憶手段内に記憶されている画像データおよび運転状況データ記憶手段内に記憶されている運転状況データを無線で送信可能な無線送信手段を有する運転情報記録装置と、
前記運転情報記録装置から、前記画像データと前記運転状況データとを無線によって受信するデータ受信手段、および受信したデータのうち運転状況データを読み込み、加速度変化の状況から運転手の運転内容を評価する評価手段を有する運転情報評価装置とを具備する運転情報評価システムであって、
前記運転情報評価相装置の評価手段は、
予め設定された閾値以上の加速度が測定された回数に基づいての安全運転評価と、予め設定された閾値以上の加速度が測定された回数および法定速度以上の速度が測定された回数に基づいてエコ運転評価とを行うことを特徴とする運転情報評価システム。
【請求項2】
前記運転情報記録装置は、乗り物の速度を時刻ごとに記録した速度データ並びに、エンジンのオンおよびオフがされた時刻を記録したエンジンのオン−オフデータを運転状況データとして前記運転情報評価装置へ送信し、
前記運転情報評価装置の前記評価手段は、速度データにおいて速度0の時、エンジンのオン−オフデータからエンジンがオンまたはオフの何れの状態かを判断することによって、アイドリング時のエンジンオフの継続時間とエンジンオンの継続時間とを比較し、前記エコ運転評価を行うことを特徴とする請求項1記載の運転情報評価システム。
【請求項3】
前記運転情報評価装置は、前記運転情報記録装置へ、画像データおよび運転状況データを発信させるように指示するデータ発信命令を無線で出力する命令発信手段を具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の運転情報評価システム。
【請求項4】
前記運転情報記録装置は、
前記乗り物のエンジンオフを検出する検出手段と、
該検出手段によってエンジンオフが検出された場合に、前記無線発信機から前記画像データ記憶手段内に記憶されている画像データおよび運転状況データ記憶手段内に記憶されている運転状況データを無線で発信するように制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載の運転情報評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−72766(P2010−72766A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237234(P2008−237234)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】