説明

運転評価装置、及び運転評価方法

【課題】交差点で車両を右左折させる際の運転操作を適切に評価する運転評価装置、及び運転評価方法を提供すること。
【解決手段】交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する運転評価装置10において、車両の走行距離Dの推移とステアリングハンドル又は車輪の操舵角θの推移とを検出し記憶させる検出記憶手段21と、検出記憶手段21により検出し記憶させた走行距離Dの推移と操舵角θの推移とに基づいて交差点への進入地点Qを検出する進入地点検出手段23と、進入地点検出手段23により検出された進入地点Qを考慮して運転操作を評価する運転操作評価手段25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する運転評価装置、及び運転評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を受信して、自車両の現在位置を検出する運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この運転支援装置は、急ブレーキ等の危険運転状態が発生したか否かを判定させ、危険運転状態が発生したと判定されると自車両の現在位置を危険箇所として記憶させ、自車両が危険箇所に再び接近する際に危険情報を報知させる。危険情報を認知した運転者は、危険箇所の存在を知ることができる。
【特許文献1】特開2007−108926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ウインカー操作やブレーキペダル操作等の交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する場合、交差点への進入地点を考慮して運転操作を評価する必要がある。この場合に人工衛星からの電波を利用して進入地点を検出すると、最大で数十mの誤差が生じるため、運転操作を適切に評価できない場合も考えられる。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、交差点で車両を右左折させる際の運転操作を適切に評価する運転評価装置、及び運転評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、第1の発明は、交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する運転評価装置において、
前記車両の走行距離の推移と、ステアリングハンドル又は車輪の操舵角の推移とを検出し記憶させる検出記憶手段と、
前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて前記交差点への進入地点を検出する進入地点検出手段と、
前記進入地点検出手段により検出された前記進入地点を考慮して前記運転操作を評価する運転操作評価手段と、
を備える。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る運転評価装置であって、前記進入地点検出手段は、前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて、連続する切り込み操舵時及び切り戻し操舵時に前記操舵角の絶対値が所定角になる一対の走行地点の中間地点を検出し、前記中間地点に基づいて前記交差点への進入地点を検出する。
【0007】
第3の発明は、第1の発明に係る運転評価装置であって、前記進入地点検出手段は、前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて、前記操舵角の絶対値が極大になる走行地点を検出し、前記操舵角の絶対値が極大になる走行地点に基づいて前記交差点への進入地点を検出する。
【0008】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明に係る運転評価装置であって、前記進入地点検出手段は、左側通行の交差点で車両が左折された場合、又は右側通行の交差点で車両が右折された場合であって、且つ、前記操舵角の絶対値が最大角の1/3以上になされた場合に、前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて前記交差点への進入地点を検出する。
【0009】
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明に係る運転評価装置であって、前記運転操作評価手段は、前記進入地点検出手段により検出された前記進入地点手前の所定区間を車両が通過した通過時間に応じて前記交差点でのブレーキペダル操作を評価する。
【0010】
第6の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明に係る運転評価装置であって、前記運転操作評価手段は、前記進入地点検出手段により検出された前記進入地点とウインカー操作時の走行地点との間の相対距離に応じて前記交差点でのウインカー操作を評価する。
【0011】
第7の発明は、交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する運転評価方法において、
前記車両の走行距離の推移と、ステアリングハンドル又は車輪の操舵角の推移とを検出し記憶させる第1ステップと、
前記第1ステップにより検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて前記交差点への進入地点を検出する第2ステップと、
前記第2ステップにより検出された前記進入地点を考慮して前記運転操作を評価する第3ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交差点で車両を右左折させる際の運転操作を適切に評価する運転評価装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る運転評価装置の構成の第1実施例を示す機能ブロック図である。運転評価装置10は、交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する装置であり、図1に示すように、車両に搭載される運転評価ECU(Electrical Control Unit)20を中心に構成される。運転評価ECU20には、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の車内ネットワークを介して、操舵角センサ30、車速センサ40、ウインカースイッチ50、ディスプレイ61やスピーカ63等の出力装置60、ナビゲーションシステム70が接続されている。
【0015】
運転評価ECU20は、マイクロコンピュータによって構成され、例えば、CPU、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、時間を計測するタイマ、演算等の処理の回数を計測するカウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。この運転評価ECU20は、検出記憶手段21、進入地点検出手段23、及び運転操作評価手段25に対応するプログラムをROM等の記録媒体に格納する。また、この運転評価ECU20は、ROM等の記録媒体に格納されたプログラムの処理をCPUに実行させて各種手段を実現する。各種手段の詳細については、後述する。
【0016】
運転評価ECU20は、ユーザによる所定のスイッチ操作に応じて運転評価装置10を作動させる。そして、運転評価ECU20は、運転評価装置10が有する各種機能を実現させように、各種車載装置(例えば、ディスプレイ61やスピーカ63)を制御する。
【0017】
操舵角センサ30は、ステアリングハンドル(以下、「ハンドル」という)や車輪の操舵角θを検出するために用いられる。例えば、操舵角センサ30は、ステアリングシャフトに圧入されたスリット板とフォトインタラプタとの組合せで構成される。スリット板がハンドルの操舵に応じて回転し、フォトインタラプタの光を遮光することでパルス状の操舵角信号が出力される。この操舵角信号は、運転評価ECU20へ供給される。
【0018】
車速センサ40は、走行距離を検出するために用いられる。例えば、車速センサ40は、車輪と共に回転する歯車状の磁性回転体と、車体側に設置される電圧発生用コイルとを含み構成される。磁性回転体の外周面に等間隔で突設された歯部が電圧発生用コイルの近傍を通過する毎に、電圧発生用コイルに磁束変化が生じ、磁束変化に応じたパルス状の車速信号が出力される。この車速信号は、運転評価ECU20へ供給される。
【0019】
ウインカースイッチ50は、運転者によるウインカー操作を検出するために用いられる。運転者によるウインカースイッチ50の操作に応じて、操作信号が出力され、ウインカーの表示状態が、左折を示す表示状態と、右折を示す表示状態と、オフ状態との間で切り替わる。これにより、運転者の右左折の意思表示がなされる。この操作信号は、運転評価ECU20へ供給される。
【0020】
ディスプレイ61やスピーカ63等の出力装置60は、運転評価ECU20により評価される評価情報を画像表示や音声案内により運転者等のユーザに伝達するために用いられる。これらの出力装置60で出力される画像出力(映像出力を含む)や音声出力は、運転評価ECU20により制御される。
【0021】
ディスプレイ61は、液晶ディスプレイ(LCD)等で構成され、ユーザが見やすい位置、好ましくは、運転者が運転中の視野を大きく変えることなく見ることができるような位置に配置される。例えば、ディスプレイ61は、インストルメントパネル上面の中央部に配置されてよいし、また、メーター内に配置されてもよい。
【0022】
スピーカ63は、一般的な構成であってよく、ユーザが聞きやすい位置、好ましくは、運転者が聞きやすい位置に配置される。例えば、スピーカ63は、運転席側のサイドドアパネル内に配置されてよいし、また、助手席側のサイドドアパネル内に配置されてもよい。
【0023】
ナビゲーションシステム70は、GPS(Global Positioning System)受信機71によるGPS衛星からの受信情報と地図データベース内の地図情報とに基づいて、自車両の地図上での位置を認識することができる。
【0024】
地図データベースは、緯度経度に対応づけて格納されたHDDやCDやDVD−ROM等の記録媒体である。地図データベース内の地図情報には、車両が走行する一般道や高速道路に関する情報や、駐車場や店舗等の建物に関する情報が含まれ、特に、交差点やその交差角に関する情報が含まれている。
【0025】
次に、運転評価ECU20が有する各種手段について図2を参照しながら説明する。
【0026】
図2は、車両が交差点で左折される際の状況例を模式的に示す上面図である。図2において、R1は第1道路、R2は第2道路、Aは第1道路R1上の車両である。第1道路R1と第2道路R2とは、垂直に交差する三叉路であり、第1道路R1上の車両Aの前方で、第2道路R2が二叉に分岐している。なお、各道路R1、R2は、左側通行の道路である。
【0027】
車両Aの運転者は、第1道路R1と第2道路R2とが交差する交差点の手前で、ウインカー操作により外部に対して右左折の意思表示を行ったり、ブレーキペダル操作により車両Aを安全な速度に減速させたりする。
【0028】
検出記憶手段21は、車両Aの走行距離Dの推移と、ハンドル又は車輪の操舵角θの推移とを検出し記憶させる手段である。
【0029】
ハンドル又は車輪の操舵角θの推移を検出し記憶する場合、例えば、検出記憶手段21は、操舵角センサ30から出力される操舵角信号に基づきハンドルの操舵角θ1を所定時間Δt毎に検出し、操舵角θ1の推移をRAM等の記録媒体に記憶させる。
【0030】
また、ハンドルの操舵角θ1の推移の代わりに、車輪の操舵角θ2の推移を記憶させても良い。ハンドルの操舵角θ1と車輪の操舵角θ2との間には所定の関係があるため、ハンドルの操舵角θ1を検出することで車輪の操舵角θ2が検出される。
【0031】
走行距離Dの推移を検出し記憶させる場合、例えば、検出記憶手段21は、車速センサ40から出力される車速信号に基づいて車速Vを所定時間Δt毎に検出し、この車速Vを時間積分して走行距離Dを所定時間Δt毎に検出し、走行距離Dの推移をRAM等の記録媒体に記憶させる。
【0032】
進入地点検出手段23は、検出記憶手段21により検出し記憶させた走行距離Dの推移と、操舵角θの推移とに基づいて交差点への進入地点Qを検出する手段である。ここで、交差点への進入地点Qは、図2に示すように、第1道路R1上の車両Aが第1道路R1と第2道路R2とが交差する交差点で右左折する場合、交差点の第1道路R1側の端点である。
【0033】
最初に、進入地点検出記憶手段23は、例えば、車両Aが右左折された後(例えば、操舵角θの絶対値が所定角を超え再び所定角を下回った後)、検出記憶手段21により検出し記憶させた推移のデータを読み出し、走行距離Dと操舵角θとの関係を検出する。
【0034】
図3は、比較的急なハンドル操作が行われる場合における、交差点右左折時の操舵角θ1の絶対値と走行距離Dとの関係の一例を示す図である。図4は、比較的緩やかなハンドル操作が行われる場合における、交差点右左折時の操舵角θ1の絶対値と走行距離Dとの関係の一例を示す図である。図3、図4において、縦軸はハンドルの操舵角θ1の絶対値、横軸は走行距離Dであり、操舵角θ1はハンドルの中立位置(すなわち、車輪の中立位置)を0°とし、反時計回りの回転方向を正、時計回り方向の回転方向を負とし、−600°〜600°の範囲で変更可能である。
【0035】
図3、図4に示すように、ハンドルの操舵角θ1の絶対値は、交差点右左折時に山状に変化する。これは、右左折の前後では、車両Aを直進走行させるよう、ハンドルが中立位置に操舵され、右左折時では、車両をカーブ走行させるよう、ハンドルが中立位置から離れた位置に操舵されるからである。
【0036】
次に、進入地点検出手段23は、操舵角θの絶対値が極大になる走行地点Poを検出し、走行地点Poに基づいて交差点への進入地点Qを検出する。
【0037】
図3に示すように、比較的急なハンドル操作が行われる場合、操舵角θ1の絶対値が比較的左右対称な山状に推移する。このため、操舵角θ1の絶対値が極大になる走行地点Poが、交差点における車両Aの旋回軌跡の中間地点Mと略一致する。したがって、走行地点Poから車両Aの旋回軌跡に沿って所定距離α(例えば、α=3m)だけ手前にオフセットさせた地点を、進入地点Qとして検出することができる。
【0038】
また、進入地点検出手段23は、連続する切り込み操舵時及び切り戻し操舵時に操舵角θの絶対値が所定角β(例えば、操舵角θがハンドルの操舵角θ1である場合、β=200°)になる一対の走行地点P1、P2の中間地点Pmを検出し、中間地点Pmに基づいて交差点への進入地点Qを検出してもよい。
【0039】
図4に示すように、比較的緩やかなハンドル操作が行われる場合、運転者が交差点における車両Aの旋回軌跡を確認しながらハンドルの操舵角θ1を調節するので、走行地点Poと中間地点Mとが一致しなくなることが考えられる。
【0040】
そこで、走行地点Poの代わりに、中間地点Pmに基づいて交差点への進入地点Qを検出する。走行地点P1、P2の中間地点Pmは、操舵角θ1が右左折の前後で中立位置に戻されるため、旋回軌跡の中間地点Mと略一致する。したがって、中間地点Pmから車両Aの旋回軌跡に沿って所定距離αだけ手前にオフセットさせた地点を、進入地点Qとして検出することができる。
【0041】
所定距離αは、車両Aが左側通行(右側通行)の交差点で右折(左折)される場合、第1道路R1及び第2道路R2の道幅に応じて変更されてもよい。これにより、第1道路R1及び第2道路R2の道幅に応じて交差点における車両Aの旋回半径が変わる場合に、進入地点Qをより正確に検出することができる。ここで、第1道路R1及び第2道路R2の道幅の情報は、ナビゲーションシステム70のHDDやDVD−ROM等の記録媒体に格納されている地図情報から読み出して用いられる。
【0042】
一方、所定距離αは、車両Aが左側通行(右側通行)の交差点で左折(右折)される場合、第1道路R1及び第2道路R2の道幅に関わらず、例えば、3mで固定されてもよい。左側通行の交差点で左折される場合、右折される場合とは異なり、図2に示すように、車両Aが左側に幅寄せされながら左折されるため、第1道路R1及び第2道路R2の道幅に関わらず交差点における車両Aの旋回半径が略一定になるからである。なお、右側通行の交差点で右折される場合も、同様に、第1道路R1及び第2道路R2の道幅に関わらず交差点における車両Aの旋回半径が略一定になる。
【0043】
また、所定距離αは、ハンドルが最大限に切り込み操舵された状態での車両Aの旋回半径(最小回転半径)に応じて変更されてもよい。
【0044】
更に、所定距離αは、第1道路R1と第2道路R2との交差角に応じて変更されてもよい。これにより、第1道路R1と第2道路R2との交差角に応じて旋回軌跡の中間地点Mと進入地点Qとの距離が変わる場合に、進入地点Qをより正確に検出することができる。ここで、第1道路R1と第2道路R2との交差角の情報は、ナビゲーションシステム70の地図情報から読み出して用いられる。
【0045】
運転評価装置10は、進入地点検出手段23により、走行距離Dに対する操舵角θの推移に基づいて交差点への進入地点Qを検出させ、後述の運転操作評価手段25により、この進入地点Qを考慮して交差点での運転操作を評価する。これにより、交差点への進入地点Qを正確に検出することができ、交差点での運転操作を適切に評価することができる。
【0046】
運転操作評価手段25は、進入地点検出手段23により検出された進入地点Qを考慮して交差点での運転操作を評価する手段である。
【0047】
例えば、運転操作評価手段25は、進入地点検出手段23により検出された進入地点Q手前の所定区間を車両Aが通過した通過時間に応じて交差点でのブレーキペダル操作を評価する。進入地点Q手前の所定区間は、例えば、進入地点Qと、進入地点Qから5m離れた地点との間の区間である。ブレーキペダル操作の評価は、例えば、通過時間が2秒未満の場合を不良、2秒以上4秒未満の場合を良、4秒以上10秒未満の場合を優良、10秒以上の場合を良とし、3段階評価で行われる。ここで、最も良い評価は優良、最も悪い評価は不良である。なお、車両Aが通過した通過時間は、検出記憶手段21により検出し記憶させた走行距離Dの推移に基づいて演算される。
【0048】
また、運転操作評価手段25は、進入地点検出手段23により検出された進入地点Qとウインカー操作時の走行地点との間の相対距離Lに応じて交差点でのウインカー操作を評価する。ウインカー操作の評価は、例えば、相対距離Lが20m未満の場合を不良、20m以上25m未満の場合を良、25m以上35m未満の場合を優良、35m以上の場合を良として、3段階評価で行われる。なお、ウインカー操作時の走行地点は、ウインカー操作信号が検出された時刻と、検出記憶手段21により検出し記憶させた走行距離Dの推移とに基づいて演算される。
【0049】
ここで、運転評価ECU20が実行する処理の一例について図5のフローチャートを参照して説明する。運転評価ECU20は、ユーザによる所定スイッチ操作に応じて、S11以降の処理を開始する。
【0050】
最初に、運転評価ECU20は、検出記憶手段21により、車両Aの走行距離Dの推移とステアリングハンドル又は車輪の操舵角θの推移とを検出し記憶させる(ステップS11)。
【0051】
次に、運転評価ECU20は、進入地点検出手段23により、ステップS11により検出し記憶させた走行距離Dの推移と操舵角θの推移とに基づいて交差点への進入地点Qを検出する(ステップS12)。具体的には、例えば、検出し記憶させた走行距離Dの推移と操舵角θの推移とに基づいて交差点における車両Aの旋回軌跡の中間地点Mを検出させ、中間地点Mから所定距離αだけ手前にオフセットさせた地点を進入地点Qとして検出させる。
【0052】
続いて、運転評価ECU20は、運転操作評価手段25により、ステップ12により検出された進入地点Qを考慮して運転操作の評価をさせる(ステップS13)。具体的には、例えば、進入地点Q手前の所定区間を車両Aが通過した通過時間に応じて交差点でのブレーキペダル操作を評価させる。
【0053】
最後に、運転評価ECU20は、評価の結果を出力装置60で画像表示や音声案内させ(ステップS14)、今回の処理を終了する。
【実施例2】
【0054】
図6は、本発明に係る運転評価装置の構成の第2実施例を示す機能ブロック図である。この運転評価装置100は、第1実施例とは異なり、左側通行(右側通行)の交差点で車両Aを左折(右折)させる際の運転操作を評価する装置であり、ナビゲーションシステム70を有さない。以下、各構成について説明するが、第1実施例と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
運転評価ECU120は、マイクロコンピュータによって構成され、図6に示すように、検出記憶手段21、進入地点検出手段123、及び運転操作評価手段25に対応するプログラムをROM等の記録媒体に格納する。また、この運転評価ECU120は、ROM等の記録媒体に格納されたプログラムの処理をCPUに実行させて各種手段を実現する。各種手段の詳細については、後述する。
【0056】
進入地点検出手段123は、左側通行(右側通行)の交差点で車両Aが左折(右折)された場合であって、且つ、操舵角θの絶対値が最大角の1/3以上になされた場合に、検出記憶手段21により検出し記憶させた走行距離Dの推移と操舵角θの推移とに基づいて交差点への進入地点Qを検出する手段である。
【0057】
左側通行(右側通行)の交差点で車両Aが左折(右折)される場合、上述したように、第1道路R1及び第2道路R2の道幅に関わらず、交差点における車両Aの旋回半径が略一定になる。ここで、車両Aが左折されたか右折されたかに関する判定は、例えば、ハンドルの操舵角θ1の正負に基づき行われる。また、左側通行か右側通行かに関する情報は、例えば、あらかじめ運転評価ECU120に格納され、必要に応じて読み出される。
【0058】
そして、ハンドルの操舵角θ1が最大角の1/3以上になされる場合、車両Aの進行方向がある程度以上に変更されている。交差点の交差角は、一般に、見通しの良い90°に設定されることが多く、この場合、旋回軌跡の中間地点Mと進入地点Qとの距離が略一定になる。
【0059】
したがって、左側通行(右側通行)の交差点で車両Aが左折(右折)される場合であって、且つ、操舵角θが最大角の1/3以上になされる場合、所定距離αを固定して、交差点への進入地点Qを正確に検出することができる。また、所定距離αを補正するためのナビゲーションシステム70が不要なので、運転評価装置100を安価に製造することができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る運転評価装置の構成の第1実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】車両が交差点で右左折される際の状況例を模式的に示す上面図である。
【図3】比較的急なハンドル操作が行われる場合における、交差点右左折時の操舵角θ1の絶対値と走行距離Dとの関係の一例を示す図である。
【図4】比較的緩やかなハンドル操作が行われる場合における、交差点右左折時の操舵角θ1の絶対値と走行距離Dとの関係の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る運転評価方法の第1実施例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る運転評価装置の構成の第2実施例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
10、100 運転評価装置
20、120 運転評価ECU
21 検出記憶手段
23、123 進入地点検出手段
25 運転操作評価手段
30 操舵角センサ
40 車速センサ
50 ウインカースイッチ
60 出力装置
70 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する運転評価装置において、
前記車両の走行距離の推移と、ステアリングハンドル又は車輪の操舵角の推移とを検出し記憶させる検出記憶手段と、
前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて前記交差点への進入地点を検出する進入地点検出手段と、
前記進入地点検出手段により検出された前記進入地点を考慮して前記運転操作を評価する運転操作評価手段と、
を備える運転評価装置。
【請求項2】
前記進入地点検出手段は、前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて、連続する切り込み操舵時及び切り戻し操舵時に前記操舵角の絶対値が所定角になる一対の走行地点の中間地点を検出し、前記中間地点に基づいて前記交差点への進入地点を検出する請求項1記載の運転評価装置。
【請求項3】
前記進入地点検出手段は、前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて、前記操舵角の絶対値が極大になる走行地点を検出し、前記操舵角の絶対値が極大になる走行地点に基づいて前記交差点への進入地点を検出する請求項1記載の運転評価装置。
【請求項4】
前記進入地点検出手段は、左側通行の交差点で車両が左折された場合、又は右側通行の交差点で車両が右折された場合であって、且つ、前記操舵角の絶対値が最大角の1/3以上になされた場合に、前記検出記憶手段により検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて前記交差点への進入地点を検出する請求項1〜3いずれか一項記載の運転評価装置。
【請求項5】
前記運転操作評価手段は、前記進入地点検出手段により検出された前記進入地点手前の所定区間を車両が通過した通過時間に応じて前記交差点でのブレーキペダル操作を評価する請求項1〜4いずれか一項記載の運転評価装置。
【請求項6】
前記運転操作評価手段は、前記進入地点検出手段により検出された前記進入地点とウインカー操作時の走行地点との間の相対距離に応じて前記交差点でのウインカー操作を評価する請求項1〜4いずれか一項記載の運転評価装置。
【請求項7】
交差点で車両を右左折させる際の運転操作を評価する運転評価方法において、
前記車両の走行距離の推移と、ステアリングハンドル又は車輪の操舵角の推移とを検出し記憶させる第1ステップと、
前記第1ステップにより検出し記憶させた前記走行距離の推移と前記操舵角の推移とに基づいて前記交差点への進入地点を検出する第2ステップと、
前記第2ステップにより検出された前記進入地点を考慮して前記運転操作を評価する第3ステップと、
を備える運転評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−251861(P2009−251861A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98020(P2008−98020)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】