説明

適合性バリアシート、方法、及び用品

等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、平坦化層と、ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、平坦化層が高分子フィルム上に配置され、非晶質ガラス層が平坦化層上に蒸着され、2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、適合性バリアシートと、適合性バリアシートの作製方法と、適合性バリアシートを含む経皮用品と、該用品を使用して哺乳動物に薬物を送達する方法と、適合性バリアシートを使用して物品を保護する方法と、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、参照により本明細書に組み込まれる米国仮出願シリアル番号第61/265067号(2009年11月30日出願)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
酸素、水蒸気、他の気体、及び他の拡散材料に有効なバリアを提供する包装材及びバッキング材が開発されてきた。一例として、所定の経皮ドラッグデリバリー用品はバッキング材を含み、バッキング材は、水分及び酸素が用品を透過するのを制限し、また薬物製剤の成分がバッキング材中へ、又はバッキング材を通して拡散することを制限する。場合により、そのような包装材及びバッキング材は、典型的には、バリア層として、その極度の温度及び湿度に対する耐性に基づいて、金属箔、例えばアルミニウム箔を含む。透明性又は半透明性が重要である場合、所定の無機酸化物及び窒化物、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウム−シリコン−酸化物、インジウム−スズ−酸化物、アルミニウム−シリコン−オキシ−窒化物、及び酸化マグネシウムがフィルム上のバリア層として提案されており、そのような層の形成には蒸着又はスパッタリング法を使用する。
【0003】
これらのバリア層はポリエステル基材上に提供されており、これは、バリア層が適用された後の、伸縮に対する耐性を含む、バリア層の熱安定性、機械的及び寸法的安定性によるものである。しかしながら、例えば包装材及び経皮ドラッグデリバリー用品を含む所定の用途では、より高い柔軟性が所望され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、より高い柔軟性を提供すると共に、有効なバリア特性を提供する材料及び用品がなお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
有意な程度の伸縮性を有する基材と、平坦化層と、プラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、例えば加工及び使用中に、水蒸気透過抵抗を相当損失させることなく伸張され得る適合性バリアシートが見出された。
【0006】
したがって、一実施形態において、適合性バリアシートを提供し、シートは、
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、
平坦化層と、
ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、
平坦化層が高分子フィルム上に配置され、非晶質ガラス層が平坦化層上に蒸着され、
2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する。
【0007】
別の実施形態では、適合性バリアシートの製造方法を提供し、方法は、
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の伸びを有する高分子フィルムを提供する工程と、
平坦化層を高分子フィルム上に形成する工程と、
ケイ素、炭素、及び水素を含む非晶質ガラス層を平坦化層上にプラズマ蒸着する工程と、を含み、
前記バリアシートが、2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する。
【0008】
別の実施形態では、経皮ドラッグデリバリー用品を提供し、用品は、
適合性バリアシートであって、
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、
平坦化層と、
ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、
平坦化層が高分子フィルム上に配置され、非晶質ガラス層が平坦化層上に蒸着され、
2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、適合性バリアシートと、
高分子フィルム又は非晶質ガラス層と隣り合い、放出可能に貯蔵された用量の薬学的に活性な薬剤を含むリザーバと、を有する。
【0009】
別の実施形態では、哺乳動物に薬物を送達する方法を提供し、方法は、
上記の経皮ドラッグデリバリー用品の実施形態、又は本明細書に記載する経皮ドラッグデリバリー用品の実施形態の任意の1つに従った経皮ドラッグデリバリー用品を提供する工程と、
リザーバの表面を哺乳動物の皮膚と直接接触させて配置する工程と、
治療効果を提供するのに十分な時間、リザーバを皮膚と直接接触させた状態で残留させる工程と、を含む。
【0010】
別の実施形態では、物品の保護方法を提供し、方法は、上記の実施形態の任意の1つに記載した適合性ハイバリアシートを含む保護カバーで物品を包む工程を含む。
【0011】
定義
本明細書で使用するとき、水蒸気透過度又は酸素透過度に関連した「本質的に不変」とは、2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後の、2倍未満の増大、好ましくは1.5倍未満、より好ましくは1.1倍未満の増大、最も好ましくは増大しないことを指す。
【0012】
用語「含む」及びその変異(例えば、含んでいる、含むなど)は、これらの用語が説明及び請求項に現れる場合、限定した意味を有しない。
【0013】
本明細書で使用するとき「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、文脈によって他の用法が明確に示される場合を除き、互換可能に使用される。
【0014】
また本明細書で使用するとき、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば12.7〜127マイクロメートルには、12.7、12.9、15、50.8、76.2、100、101.6、127など)が含まれる。
【0015】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施を記載することを目的としていない。次に続く図及び「発明を実施するための形態」が、説明に役立つ実施形態を更に特別に例証する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の適合性バリアシートの実施形態の概略断面図。
【図2】リザーバが非晶質ガラス層と直接接触する、本発明の経皮ドラッグデリバリー用品の実施形態の概略断面図。
【図3】リザーバが高分子フィルムと直接接触し、高分子フィルムの反対側にプラズマ蒸着非晶質ガラス層が適用されている、本発明の経皮ドラッグデリバリー用品の実施形態の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
水分及び/又は酸素に敏感な製品用の包装材、例えば、保護カバーとして使用することができる、耐久性及び高いバリア特性を有する適合性の透明又は半透明のシート材料は、今日まで存在しない。存在する適合性基材は、十分な伸縮性を有して所望の適合性を提供するが、それらの適合性基材に関連した以前のバリア層は、基材が伸張された際、ひび割れし、剥離し、あるいはそうでなければそれらの相当量のバリア特性、例えば、水分透過抵抗性を損失することが見出されている。
【0018】
水蒸気透過に対する抵抗性を損失することなく相当の伸びを提供する、高分子フィルムバッキング層、平坦化層、及び非晶質ガラス層を含む適合性ハイバリアシートが見出された。この相当の伸びは高いバリア特性と一緒になって、適合性を提供し、また、バリアシートで包装された水分及び/又は酸素敏感製品のための安定した環境を提供する。別の例では、適合性ハイバリアシートは、薬物のための安全な環境を提供し、シートを経皮ドラッグデリバリー用品を含む用品の適合性バッキング材用などの用途に非常に好適なものとする。更に、シートの伸びを生じる張力下に置かれた後に水蒸気透過に対する抵抗性を維持する能力により、バリアシートはそれらの用品を製作するのに必要なウェブハンドリングが可能となり、また、バリアシートが伸張されるいかなる用途も可能となる。
【0019】
上記に示したように、高分子フィルムは、等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する。包装材及び経皮ドラッグデリバリー用品に使用されているPETフィルムは、屈曲するという意味で可撓性である一方、比較的小さい引張伸びを有し、フィルムがより大きい伸びを有する用品と比較して適合性とは感じないことが見出されている。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、好ましくは高分子フィルムは、等しい荷重下で、等しい寸法のPETフィルムの少なくとも3倍の引張伸びを有する。これらの実施形態の所定のものでは、引張伸びは、等しい荷重下で、等しい寸法のPETフィルムの少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも6倍であることが好ましい。この比較を目的として、PETフィルムは、フィルム中に使用され得る任意の添加剤(例えば、スリップ剤など)を除いて、ポリエチレンテレフタレートのみからなる。最も一般的なPETフィルムは、密度約1.39g/cmの2軸延伸PETである。そのようなフィルムは市販されており、HOSTAPHAN(Mitsubishi Polyester Film GmbH)、MYLAR(DuPont Teijin Films)、MELINEX(DuPont Teijin Films)、SCOTCHPAK 9753(3M Company(St.Paul,MN))などを含む。比較試験を目的として、本明細書ではSCOTCHPAK 9753が使用される。
【0020】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルムは、厚さ0.003インチ(76.2マイクロメートル)を有する幅9インチ(22.9cm)、長さ6インチ(15.2cm)のフィルムが、その全幅にわたって25ポンド(11.3kg)(111.2N)の荷重を付された際に、少なくとも5パーセントの伸びを有する。これらの実施形態の所定のものでは、伸びは、30ポンド(13.6kg)(133.4N)荷重にて、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも15パーセント、より好ましくは少なくとも20パーセントであることが好ましい。
【0021】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルムは、厚さ12.7〜127マイクロメートルで試験した際、破損することなく少なくとも100%の伸びを有する。これらの実施形態の所定のものでは、高分子フィルムは、少なくとも130%の伸び、最大600パーセントの伸びを有する。
【0022】
平坦化層は、バリアシートの高分子フィルムの主表面上に配置され、このフィルムを覆う。所定の実施形態では、平坦化層は、連続層であるよう十分厚く、したがって高分子フィルム表面上のトポグラフィーの高い及び低い範囲の両方が覆われる。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、平坦化層は、1.2マイクロメートルを超える厚さを有することが好ましい。厚さがより小さいと、相当のフィルム伸びを生じる応力を付された場合、バリア特性の有効性が低下することが現在見出されている。これらの実施形態の所定のものでは、平坦化層は少なくとも1.5マイクロメートルの厚さを有することが好ましい。これらの実施形態の所定のものでは、平坦化層は少なくとも2マイクロメートルの厚さを有することが好ましい。これらの実施形態の所定のものでは、厚さは6マイクロメートルを超えず、より好ましくは4マイクロメートルを超えない。より大きい厚さは必要なく、場合により、応力を受けたバリアシートを通した低い水蒸気透過を維持するのに逆効果であることが見出されている。
【0023】
ESCAなどの表面分析法を使用して、層中に水素が存在していても、無水素基準で、プラズマ蒸着非晶質ガラス層の元素組成を測定することができる。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、非晶質ガラス層は、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、35原子パーセントを超える炭素と、を含む。これらの実施形態の所定のものでは、非晶質ガラス層は更に、45未満〜0原子パーセントの酸素を含む。十分な酸素、例えば25原子パーセントを超える酸素が存在する場合、バリアシートは非常に薄い色(low color)を有し、無色透明に見える。これらの実施形態の所定のものでは、バリアシートは本質的に無色である。
【0024】
代替的に、非晶質ガラス層が薄い色又は無色の場合を除く、上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、非晶質ガラス層は、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、50原子パーセントを超える炭素と、更に25未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む。低いレベルの酸素が存在し又は酸素が存在しない場合、バリアシートは茶色、例えば、黄褐色又は金色である。これは、例えば黄褐色皮膚を有する対象上など、そのような色が好ましい用品に使用される際に好ましい可能性がある。これらの実施形態の所定のものでは、バリアシートは茶色である。
【0025】
有効なバリア特性のために、所定の実施形態では、好ましくは非晶質ガラス層は、少なくとも0.05マイクロメートル、より好ましくは少なくとも0.075マイクロメートル、最も好ましくは少なくとも0.1マイクロメートルの厚さを有する。これらの実施形態の所定のものでは、厚さは最大0.5マイクロメートル、好ましくは最大0.4、より好ましくは最大0.3マイクロメートルである。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、非晶質ガラス層は、約0.1マイクロメートル〜約0.5マイクロメートルの厚さを有する。これらの実施形態の所定のものでは、非晶質ガラス層は、0.1〜0.3マイクロメートルの厚さを有する。これらの実施形態の所定のものでは、非晶質ガラス層は、0.1〜0.2マイクロメートルの厚さを有する。薄い色又は無色が所望される場合、より小さい厚さを用いてもよく、茶色が所望される場合、比較的大きい厚さを用いてもよい。
【0026】
本明細書の適合性バリアシートに使用される高分子フィルムは、単層又は多層構造であってもよい。単層、又は多層構造内の1つの層のいずれも、層は単一のポリマー又は2種以上のポリマーのブレンドから構成することができる。1種以上のモノマーを重合して、例えばホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、又は更には3種を超える異なるモノマー前駆体を含むポリマーを提供することによって、任意の所定のポリマーを作製することができる。更に、多層構造内の層のそれぞれは、同一の、ポリマー若しくはポリマーのブレンド、又は異なる、ポリマー若しくはポリマーのブレンドを含むことができる。
【0027】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルムは、単層フィルム及び多層フィルムからなる群から選択される。
【0028】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルムは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー(商標名HYTRELでE.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能)、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。上記の実施形態のいずれか1つを含む所定の実施形態において、高分子フィルムは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン(ver low density polyethylene)、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン(ethoylene)−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。これらの実施形態の所定のものでは、高分子フィルムは、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、熱可塑性ポリエステルエラストマーと、からなる群から選択される。これらの実施形態の所定のものでは、高分子フィルムは、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、からなる群から選択される。これらの実施形態の所定のものでは、高分子フィルムは、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)である。これらの実施形態の所定のものでは、酢酸ビニル含有率は、2〜25重量パーセント、好ましくは2〜19重量パーセントである。
【0029】
高分子フィルムは、平坦化層及び非晶質ガラス層を支持するのに十分な厚さを有し、また取り扱うのに十分な強度を提供する。一方、フィルムは十分薄いため、所望の適合性が維持されている。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルムは、約150マイクロメートル以下、好ましくは125以下、より好ましくは100マイクロメートル以下の厚さを有する。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルムは、少なくとも約10マイクロメートル、好ましくは少なくとも25マイクロメートルの厚さを有する。
【0030】
平坦化層は、上部に非晶質ガラス層が適用される、比較的滑らかな表面を提供する。平坦化層は、少なくとも1つの架橋可能なモノマーの溶液を、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)、カーテンコート、ダイコーティングなどの従来の塗布方法を使用して塗布した後、可視、紫外線、及び/又は電子ビーム照射に暴露して架橋させることにより高分子フィルムの主表面上に形成され得る。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、平坦化層は架橋ポリマーである。
【0031】
好ましいモノマーとしては、単独で、又は他の多官能性若しくは一官能性(メタ)アクリレートと組み合わせて使用される多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。好適なモノマーの例としては、ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シアノエチル(モノ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジニトリルアクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ニトロフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレートトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ナフトロキシエチルアクリレート(ナフチルオキシエチル(naphthloxyethyl)アクリレート)、UCB Chemicals製のIRR−214環状ジアクリレート、Rad−Cure Corporation製のエポキシアクリレートRDX80095、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
適合性バリアシートの製造のための上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、高分子フィルム上の平坦化層の形成は、架橋可能な組成物を高分子フィルム上に塗布する工程(架橋可能な組成物は、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの成分を含む)と、架橋可能な組成物を架橋させる工程と、を含む。これらの実施形態の所定のものでは、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの成分は、多官能性(メタ)アクリレートである。
【0033】
平坦化層が架橋ポリマーである上記の実施形態の任意の1つを含む、所定の実施形態では、架橋ポリマーは、架橋多官能性(メタ)アクリレートを含む。
【0034】
これらの実施形態の所定のものでは、多官能性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレートトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの実施形態の所定のものでは、多官能性(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0035】
架橋可能なモノマー溶液に好適な溶媒としては、低粘度(メタ)アクリレートモノマー、及びエタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トリクロロメタンなどの揮発性溶媒が挙げられる。所定の実施形態では、溶媒はイソプロパノールが好ましい。
【0036】
上記に示したように、ケイ素、炭素、及び水素を含む非晶質ガラス層が、平坦化層上にプラズマ蒸着される。コーティングは冷却ドラム電極上を移動している平坦化ポリマーフィルム上に蒸着され、RF電力が真空下でドラムに適用され、電極上には非常に高い負電位が存在する。テトラメチルシランなどの有機ケイ素を、酸素なしで又は幾分かの酸素と伴に導入する。かくして、適合性バリアシートの製造のための上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、非晶質ガラス層のプラズマ蒸着は、平坦化層を塗布された高分子フィルムを収容するチャンバ内に、有機ケイ素化合物と、場合により酸素と、を含むソース気体を導入することにより行われる。形成される非晶質ガラス層は、高い基材バイアスにより生成されるイオン衝撃の結果として、小さい自由体積を有する。
【0037】
非晶質ガラス層及び平坦化層のいずれも、適合性バリアシートに有意な不透明性を全く導入しない。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、バリアシートは、バリアシートを通して目される構造を視覚的に観察するのに十分透明である。これらの実施形態の所定のものでは、バリアシートは、透明又は半透明である。これらの実施形態の所定のものでは、バリアシートは、入射角0度(即ち、バリアシートの主表面に直交する軸線から0度の角度)において、可視光波長領域400nm〜700nmにわたって少なくとも50パーセント、好ましくは少なくとも70パーセントの平均透過率を有する。
【0038】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、バリアシートは、5パーセント未満、好ましくは2パーセント未満、より好ましくは1パーセント未満の薬学的に活性な薬剤及び/又は賦形剤を吸収し及び/又は透過させ、薬学的に活性な薬剤及び賦形剤は、バリアシートの主表面に接触し、主表面を覆う組成物中に溶解、分散、又は浮遊されている。これらの実施形態の所定のものでは、バリアシートは、0.5未満、より好ましくは0.1パーセント未満の活性薬剤及び/又は賦形剤を吸収し及び/又は透過させることが好ましい。所定の実施形態では、活性薬剤を含有する組成物中の任意の成分の吸収及び/又は透過は、上記の値のいずれかに従って制限される。これらの実施形態の所定のものでは、組成物は、上部に非晶質ガラス層が蒸着されるバリアシートのサイドの主表面に接触し、主表面を覆うことが好ましい。
【0039】
一例において、バリアシートが薬学的に活性な薬剤及び/又は賦形剤の吸収に抵抗する能力は、例えば、ラウリン酸メチルなどの試験賦形剤がバリアシートにより吸収される速度を測定することにより評価することができる。ラウリン酸メチルの1時点におけるバリアシート中への吸収は、下記の等式により具現化することができる。
【0040】
Mass(t)−Mass(0)=Mass(sat)(1−exp(−kt/L))
式中、Mass(t)は、バリアシートの時点tにおける質量、Mass(0)は、バリアシートの最初の質量、Mass(sat)は、ラウリン酸メチルで飽和された後のバリアシートの質量、kは、バリアシート中のラウリン酸メチルの物質移動係数であり、バリアシート中へのラウリン酸メチルの吸収の速度を特徴付け、tは、時点tにおける時間、Lは、バリアシートの厚さである。上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、ラウリン酸メチルのバリアシート中への吸収はいずれも、ラウリン酸メチルの物質移動係数が0.005cm/s未満であり、上部に非晶質ガラス層が蒸着されているバリアシートのサイドの主表面に前記(neat)ラウリン酸メチルが接触する際に生じる。ラウリン酸メチルのバリアシート中への吸収の物質移動係数は、下記の実施例9の試験方法を使用して都合よく決定することができる。
【0041】
上記に示したように、本明細書では、上述したバリアシートの実施形態の任意の1つを含む適合性バリアシートを含む、薬学的に活性な薬剤を送達するための経皮ドラッグデリバリー用品も提供する。用品のリザーバは、適合性バリアシートの高分子フィルム又は非晶質ガラス層の主表面に接触し、主表面を覆う。リザーバは、皮膚表面に接触した際、皮膚表面に放出され得る薬学的に活性な薬剤を含有する。
【0042】
リザーバを含む様々な経皮ドラッグデリバリー用品の構造が既知であり、例えば、米国特許第4,834,979号(Gale)のゲル化又は液体リザーバを含む用品、いわゆる「リザーバ」パッチ、例えば、米国特許第6,004,578号(Leeら)の、隣接する接着層によって皮膚に取り付けられるマトリックスリザーバを含む用品、いわゆる「マトリックス」パッチ、及び例えば、米国特許第6,365,178号(Venkateshwaranら)の、感圧接着剤リザーバを含む用品、いわゆる「薬物含有粘着剤(drug-in-adhesive)」パッチが挙げられ、これらの特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。対象の皮膚表面と接触していないとき、所定の実施形態では、リザーバはある様式にて、例えば、剥離ライナーを用いて外部環境から保護される。これらの用品構造の任意の1つを、本明細書に記載した適合性バリア層と共に使用して本用品を提供してもよい。上記の経皮ドラッグデリバリー用品の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、リザーバは感圧接着剤を含む。
【0043】
リザーバ中に含まれ得る例示的な、薬物とも称される薬学的に活性な薬剤には、クロニジン、エストラジオール、ニコチン、ニトログリセリン、スコポラミン、リバスチグミン、リドカイン、及びフェンタニルなどの、皮膚に投与された際に局所効果又は全身効果が可能な任意の物質が含まれ、これらの全ては、経皮用品の形態で市販されている。他の例としては、ステロイド性(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン)及び非ステロイド性(例えば、ナプロキセン、ピロキシカム)の双方の抗炎症薬;静菌剤(例えば、クロルヘキシジン、ヘキシルレゾルシノール);抗菌物質(例えば、ペニシリン(ペニシリンVなど)、セファロスポリン(セファレキシンなど)、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、スルファチアゾール、ニトロフラントイン、及びキノロン(ノルフロキサシン、フルメキン、及びイバフロキサシンなど));抗原虫薬(例えば、メトロニダゾール);抗カビ物質(例えば、ナイスタチン);冠血管拡張剤;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン、ジルチアゼム);気管支拡張薬(例えば、テオフィリン、ピルブテロール、サルメテロール、イソプロテレノール);コラゲナーゼ阻害物質、蛋白質分解酵素抑制剤、エラスターゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、A64077)、及びアンギオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、リシノプリル);その他の抗高血圧症薬(例えば、プロプラノロール);ロイコトリエン拮抗薬(例えば、ICI204,219);抗潰瘍性大腸炎剤(H2拮抗薬);ステロイドホルモン(例えば、プロゲステロン、テストステロン、エストラジオール);抗ウイルス物質及び/又は免疫賦活剤(例えば、1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、及びアシクロビル);局所麻酔薬(例えば、ベンゾカイン)、プロポフォール;強心薬(例えば、ジギタリス、ジゴキシン);鎮咳剤(例えば、コデイン、デキストロメトルファン);抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、テルフェナジン);麻薬性鎮痛剤(例えば、モルヒネ、ブプレノルフィン、セントニル(sentonyl));ペプチドホルモン(例えば、ヒト又は動物の成長ホルモン、LHRH);タンパク質性の製品(proteinaceous products)(例えば、インスリン);酵素(例えば、抗歯垢性の酵素、リゾチーム、デキストラナーゼ);制吐薬;抗痙攣薬(例えば、カルバマゼピン);免疫抑制薬(例えば、シクロスポリン);精神病治療薬(例えば、ジアゼパム);鎮静剤(例えば、フェノバルビタール);抗凝血剤(例えば、ヘパリン);鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン);抗偏頭痛剤(例えば、エルゴタミン、メラトニン、スマトリプタン);不整脈治療薬(例えば、フレカイニド);制吐薬(例えば、メトクロプラミド、オンダンセトロン);抗癌剤(例えば、メトトレキサート);不安薬などの神経系の薬剤;止血剤;肥満防止剤;など、並びに薬学的に許容され得るその塩及びエステル、並びにそれらのプロドラッグが挙げられる。治療的有効量をなす薬物の量は、当業者であれば、特定の薬物、特定の担体、及び所望の治療効果を十分に考慮して容易に決定することができる。
【0044】
リザーバは場合により、薬物及び担体マトリックスに加えて、他の添加剤又は賦形剤を含有してもよい。そのような添加剤としては、皮膚浸透促進剤(即ち、薬物が皮膚を横切る浸透速度を上昇させる物質)、熱力学的活性調整物質(thermodynamic activity modifier)(即ち、リザーバ中での薬物飽和度を増大させる物質)、可溶化剤(即ち、薬物を効果的に溶解させる物質)、及び/又はイオン泳動調整物質(iontopheresis modifier)若しくは薬剤として使用できる、薬学的に許容され得る材料が挙げられる。例示的な材料としては、イソステアリン酸、オクタン酸及びオレイン酸などのC〜C20脂肪酸;オレイルアルコール及びラウリルアルコールなどのC〜C20脂肪族アルコール;オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル及びラウリン酸メチルなどのC〜C20脂肪酸の低級アルキルエステル;アジピン酸ジイソプロピルなどのC〜C二塩基酸のジ(低級)アルキルエステル;グリセリルモノラウレートなどのC〜C20脂肪酸のモノグリセリド;テトラグリコール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);テトラエチレングリコール(エタノール、2,2’−(オキシビス(エチレンオキシ))ジグリコール);C〜C20アルキルピロリドンカルボキシレート;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;N,N−ジメチルドデシルアミン−N−オキシド、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。また、ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル、ポリエチレンオキシドジメチルエーテル、グリセロール、及びN−メチルピロリドンも好適である。テルペン類は医薬賦形剤の他の有用な部類であり、テルペン類には、ピネン、d−リモネン、カレン、テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルベオール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、メントン、メントール、ネオメントール、チモール、カンファー、ボルネオール、シトラール、イオノン、及びシネオールが単独で又は任意の組み合わせで含まれる。
【0045】
図を参照すると、図1は、本明細書で提供する適合性バリアシートの図である。断面で示される適合性バリアシート100は、主表面が平坦化層300で覆われた、上述した引張伸び特性を有する高分子フィルム400を含み、フィルム400は厚さを有し、上述したような架橋ポリマーを含む。上述した非晶質ガラス層200が平坦化層300上に蒸着される。本図面にて平坦化層及び非晶質ガラス層は、高分子フィルムの片側上のみに示されているが、非晶質ガラス層を有する又は有さない平坦化層又は他の高分子層は、高分子フィルムの反対側にも適用できることを理解すべきである。このことは、フィルムの片側から他方の側へと応力を均衡化し、更により高いバリア特性を提供することができる。
【0046】
図2は、本明細書で提供する経皮ドラッグデリバリー用品の一実施形態を示す。断面で示される用品200は、高分子フィルム420上に配置された平坦化層320と、平坦化層320上に蒸着された非晶質ガラス層220と、を有する適合性バリアシート120を含む。用品200のリザーバ520は、非晶質ガラス層220の少なくとも一部分に隣接する。図示するように、用品は更に、リザーバ520を覆う剥離ライナー620を含む。使用前、剥離ライナー620は非晶質ガラス層220の反対側のリザーバ520の表面を保護し、表面は、保護されない場合露出される。使用中、剥離ライナー620は除去され、リザーバ520は皮膚表面と接触して配置される。
【0047】
図2に示すように、リザーバ520は非晶質ガラス層220と直接接触し、非晶質ガラス層220の1つの表面全体を覆っている。しかしながら、上記に述べた用語「隣接する」は、非晶質ガラス層220がリザーバ520と直接接触する必要はなく、1つ以上の他の層、例えば空気プラズマ、酸素プラズマ、窒素プラズマ、コロナ、火炎、化学物質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される処理により得られた層などの接着促進層により、リザーバから分離されていてもよいことを理解すべきである。化学的処理としては、例えば、カップリング剤(例えば、アクリレート、メタクリレート、及び/又はエポキシ基含有シランなどのシランカップリング剤)により層を処理し、又は重合可能な層を適用して重合層(例えば、残留未反応アクリレート、メタクリレート、又はエポキシ基を有する、又は有さない重合アクリレート、メタクリレート、又はエポキシド)を形成することが挙げられる。上述した実施形態のいずれかにおいて、そのような接着促進層又はプライマー層(priming layer)は、高分子フィルムと平坦化層との間に使用することもできる。
【0048】
図3は、本明細書で提供する経皮ドラッグデリバリー用品の別の実施形態を示す。断面で示される用品300は、高分子フィルム430上に配置された平坦化層330と、平坦化層330上に蒸着された非晶質ガラス層230と、を有する適合性バリアシート130を含む。用品300のリザーバ530は、高分子フィルム430の少なくとも一部分と隣接している。図示するように、用品は更に、図2にて上述したように、リザーバ530を覆う剥離ライナー630を含む。図3に示すように、リザーバ530は高分子フィルム430と直接接触する。しかしながら、図2に示したように高分子フィルム430はリザーバ530と直接接触する必要はなく、図2にて上述したように、1つ以上の他の層、例えば接着促進層によりリザーバから分離されていてもよい。
【0049】
図示していないが、他の経皮ドラッグデリバリー用品構造も提供される。例えば、リザーバを接着剤で部分的に又は完全に包囲して、用品を対象の皮膚などの皮膚表面に接着させてもよい。この実施形態において、リザーバは皮膚表面に接触しているが、用品を定位置に保つのに依存されていない。そのような構造では、接着剤とリザーバとの両方が、高分子フィルム側、又は非晶質ガラス層側のいずれであっても、適合性バリアシートの一部に隣接している。
【0050】
本明細書で提供する経皮ドラッグデリバリー用品は、テープ、パッチ、シート、包帯などの物品の形態、又は当業者に既知の任意の他の形態に形成することができる。一般に、用品は、選択量の薬物を皮膚を介して送達するのに好適な寸法のパッチの形態をとる。
【0051】
一般に、用品は、約1cmを超え、より典型的には約5cmを超える表面積を有するであろう。一般に、用品は、約100cm未満、好ましくは約40cm未満の表面積を有するであろう。
【0052】
上記に示したように、患者が使用する前にリザーバの皮膚接触表面を覆い及び保護する剥離ライナーを、用品に含めることができる。好適な剥離ライナーには、好適なフルオロポリマー、シリコーン、フルオロシリコーン、不活性油又は蝋ベースのコーティングを塗布された、ポリエステルシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、又はポリエチレン塗布紙などの既知のシート材料を含む従来の剥離ライナーが挙げられる。本用品は、箔で裏打ちされたパウチ内に個別に包装されて保管され、及び/又は分配装置と共に使用される好適な巻回形態若しくは積み重ね形態で提供されてもよい。
【0053】
上述したような、哺乳動物に薬物を送達する方法も提供する。上述したような経皮ドラッグデリバリー用品を提供し、リザーバの表面が哺乳動物の皮膚と直接接触するよう配置する。リザーバを、治療効果を提供するのに十分な時間、定位置に残留させる。リザーバは、リザーバが感圧接着剤を含む場合、皮膚表面と直接接触して配置されてもよい。代替的に、リザーバは、薬物の皮膚表面への送達を抑制又は制御する膜又は他の層により、皮膚表面から分離されてもよい。リザーバが送達関係の状態にある時間の長さは、典型的には、好ましくは12時間から14日という長時間である。リザーバが送達関係の状態にある時間の長さは、好ましくは約1日(即ち、毎日の投与)、約3日から4日(週2回の投与)、又は約7日(毎週の投与)である。
【0054】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、適合性バリアシートは、約10g/m/日未満のシートを横切る水蒸気透過度を有することが好ましい。これらの実施形態の所定のものでは、水蒸気透過度は、7.5g/m/日未満、より好ましくは5g/m/日未満、最も好ましくは4g/m/日未満であることが好ましい。
【0055】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、適合性バリアシートは、伸ばされる前と比較して本質的に不変の、シートを横切る酸素透過度を有することが好ましい。これらの実施形態の所定のものでは、適合性バリアシートは、約250未満、好ましくは150未満、より好ましくは100cm/m/日未満の酸素透過度を有する。
【0056】
上記の実施形態の任意の1つを含む所定の実施形態では、適合性バリアシートは、2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けており、バリアシートは、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する。これらの実施形態の所定のものでは、伸びは、少なくとも3パーセント、少なくとも4パーセント、又は少なくとも5パーセントである。これらの実施形態の所定のものでは、伸びは、15パーセントまで、又は10パーセントまでである。
【0057】
水蒸気透過度(MVTR)は、水蒸気が定常状態条件下でフィルムを通して拡散する速度の評価基準であり、本明細書ではASTM F 1249−90に従って測定された。MVTRは、フィルム試料を2つのチャンバを分離する膜として装着することにより測定した。一方のチャンバは湿った空気を収容し、他方のチャンバは乾燥キャリアガスでゆっくりパージした。フィルムを通して拡散する任意の水蒸気は、乾燥キャリアガスと混合された。続いてキャリアガスの水蒸気濃度をアッセイした。下記の実施例で報告されている水蒸気透過度は、Permatran−W6 Programmable Water Vapor Permeability Tester(Modern Controls,Inc.,MOCON(Minneapolis,MN))を使用して測定した。結果は、フィルムを横切る水蒸気透過度として、単位g/m/日で提供した。キャリアガスとして、乾燥窒素を使用した。湿式チャンバ内でHPLC等級水を使用して、湿度100%の環境を形成した。温度を例えば、50℃または38℃に設定したため、MVTR測定値は、50℃または38℃及び100% RHに対応する。使用した拡散セルの面積は、50cmであった。
【0058】
上記に示したように、上記の実施形態の任意の1つに記載した適合性ハイバリアシートを含む保護カバーで物品を包む工程を含む、物品の保護方法も提供する。所定の実施形態では、物品は、水分又は酸素に敏感な任意の用品又は用品の一部である。保護カバーの一部分又は全部が、適合性ハイバリアシートであってもよい。
【0059】
実施形態の一覧
以下は、本明細書に記載の特定の実施形態の一覧である。
【0060】
1.適合性バリアシートであって、
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、
平坦化層と、
ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、
平坦化層が高分子フィルム上に配置され、非晶質ガラス層が平坦化層上に蒸着され、
2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、適合性バリアシート。
【0061】
2.高分子フィルムが12.7〜127マイクロメートルの厚さで試験された際、破損することなく少なくとも100%の伸びを有する、実施形態1のバリアシート。
【0062】
3.平坦化層が、1.2マイクロメートルを超え、6マイクロメートルを超えない厚さを有する、実施形態1又は実施形態2のバリアシート。
【0063】
4.非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、35原子パーセントを超える炭素と、更に45未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、実施形態1〜3のいずれか1つのバリアシート。
【0064】
5.バリアシートが本質的に無色である、実施形態4のバリアシート。
【0065】
6.非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、50原子パーセントを超える炭素と、更に25未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、実施形態1〜3のいずれか1つのバリアシート。
【0066】
7.バリアシートが茶色である、実施形態6のバリアシート。
【0067】
8.非晶質ガラス層が0.05マイクロメートル〜0.5マイクロメートルの厚さを有する、実施形態1〜7のいずれか1つのバリアシート。
【0068】
9.高分子フィルムが単層フィルム及び多層フィルムからなる群から選択される、実施形態1〜8のいずれか1つのバリアシート。
【0069】
10.高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、これらのブレンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態1〜9のいずれか1つのバリアシート。
【0070】
11.高分子フィルムが、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、からなる群から選択される、実施形態10のバリアシート。
【0071】
12.高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、これらのブレンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態1〜9のいずれか1つのバリアシート。
【0072】
13.高分子フィルムが、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、熱可塑性ポリエステルエラストマーと、からなる群から選択される、実施形態12のバリアシート。
【0073】
14.高分子フィルムが約150マイクロメートル以下の厚さを有する、実施形態1〜13のいずれか1つのバリアシート。
【0074】
15.高分子フィルムが少なくとも約10マイクロメートルの厚さを有する、実施形態1〜14のいずれか1つのバリアシート。
【0075】
16.平坦化層が架橋ポリマーである、実施形態1〜15のいずれか1つのバリアシート。
【0076】
17.架橋ポリマーが、架橋多官能性(メタ)アクリレートを含む、実施形態16のバリアシート。
【0077】
18.多官能性(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールテトラアクリレートである、実施形態17のバリアシート。
【0078】
19.バリアシートを通して目される構造を視覚的に観察するのに十分透明である、実施形態1〜18のいずれか1つのバリアシート。
【0079】
20.バリアシートが5パーセント未満の薬学的に活性な薬剤及び/又は賦形剤を吸収し及び/又は透過させ、薬学的に活性な薬剤及び賦形剤が、上部に非晶質ガラス層が蒸着されるバリアシートのサイドの主表面に接触し、主表面を覆う組成物中に溶解、分散、又は浮遊されている、実施形態1〜19のいずれか1つのバリアシート。
【0080】
21.ラウリン酸メチルのバリアシート中への吸収がいずれも、ラウリン酸メチルの物質移動係数が0.005cm/秒未満である速度で生じ、ニートのラウリン酸メチルが、上部に非晶質ガラス層が蒸着されているバリアシートのサイドの主表面に接触する、実施形態1〜20のいずれか1つのバリアシート。
【0081】
22.適合性バリアシートの製造方法であって、等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムを提供する工程と、
平坦化層を高分子フィルム上に形成する工程と、
ケイ素、炭素、及び水素を含む非晶質ガラス層を平坦化層上にプラズマ蒸着する工程と、を含み、
バリアシートが、2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、方法。
【0082】
23.非晶質ガラス層のプラズマ蒸着が、有機ケイ素化合物と、場合により酸素と、を含むソース気体を、平坦化層を塗布された高分子フィルムを収容するチャンバ内に導入することにより行われる、実施形態22の方法。
【0083】
24.高分子フィルムが12.7〜127マイクロメートルの厚さで試験される際、破損することなく少なくとも100%の伸びを有する、実施形態22又は実施形態23の方法。
【0084】
25.平坦化層が、1.2マイクロメートルを超え、6マイクロメートルを超えない厚さを有する、実施形態22〜24のいずれか1つの方法。
【0085】
26.非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、35原子パーセントを超える炭素と、更に45未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、実施形態20〜23のいずれか1つの方法。
【0086】
27.バリアシートが本質的に無色である、実施形態26の方法。
【0087】
28.非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、50原子パーセントを超える炭素と、更に25未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、実施形態22〜25のいずれか1つの方法。
【0088】
29.バリアシートが茶色である、実施形態26の方法。
【0089】
30.非晶質ガラス層が0.05マイクロメートル〜0.5マイクロメートルの厚さを有する、実施形態22〜29のいずれか1つの方法。
【0090】
31.高分子フィルムが単層フィルム及び多層フィルムからなる群から選択される、実施形態22〜30のいずれか1つの方法。
【0091】
32.高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、これらのブレンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態22〜31のいずれか1つの方法。
【0092】
33.高分子フィルムが、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、からなる群から選択される、実施形態32の方法。
【0093】
34.高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、これらのブレンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態22〜31のいずれか1つの方法。
【0094】
35.高分子フィルムが、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、熱可塑性ポリエステルエラストマーと、からなる群から選択される、実施形態34の方法。
【0095】
36.高分子フィルムが約150マイクロメートル以下の厚さを有する、実施形態22〜35のいずれか1つの方法。
【0096】
37.高分子フィルムが少なくとも10マイクロメートルの厚さを有する、実施形態22〜36のいずれか1つの方法。
【0097】
38.平坦化層を高分子フィルム上に形成する工程が、
架橋可能な組成物を高分子フィルム上に塗布する工程(架橋可能な組成物は、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの成分を含む)と、
架橋可能な組成物を架橋させる工程と、を含む、実施形態22〜37のいずれか1つの方法。
【0098】
39.2つ以上のエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの成分が、多官能性(メタ)アクリレートである、実施形態38の方法。
【0099】
40.多官能性(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールテトラアシレートである、実施形態39の方法。
【0100】
41.バリアシートが、バリアシートを通して目される構造を視覚的に観察するのに十分透明である、実施形態22〜40のいずれか1つの方法。
【0101】
42.バリアシートが1パーセント未満の薬学的に活性な薬剤及び/又は賦形剤を吸収し及び/又は透過させ、薬学的に活性な薬剤及び賦形剤は、上部に非晶質ガラス層が蒸着されるバリアシートのサイドの主表面に接触し、主表面を覆う組成物中に溶解、分散、又は浮遊されている、実施形態22〜41のいずれか1つの方法。
【0102】
43.ラウリン酸メチルのバリアシート中への吸収がいずれも、ラウリン酸メチルの物質移動係数が0.005cm/秒未満である速度で生じ、ニートのラウリン酸メチルが、上部に非晶質ガラス層が蒸着されているバリアシートのサイドの主表面に接触する、実施形態22〜42のいずれか1つの方法。
【0103】
44.
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、
平坦化層と、
ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、
平坦化層が高分子フィルム上に配置され、非晶質ガラス層が平坦化層上に蒸着され、
2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、適合性バリアシートと、
高分子フィルム又は非晶質ガラス層と隣り合い、放出可能に貯蔵された用量の薬学的に活性な薬剤を含むリザーバと、を有する経皮ドラッグデリバリー用品。
【0104】
45.高分子フィルムが、12.7〜127マイクロメートルの厚さで試験された際、破損することなく少なくとも100%の伸びを有する、実施形態44の用品。
【0105】
46.平坦化層が、1.2マイクロメートルを超え、6マイクロメートルを超えない厚さを有する、実施形態44又は実施形態45の用品。
【0106】
47.非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、50原子パーセントを超える炭素と、更に25未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、実施形態44〜46のいずれか1つの用品。
【0107】
48.バリアシートが本質的に無色である、実施形態47の用品。
【0108】
49.非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、50原子パーセントを超える炭素と、更に25未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、実施形態44〜46のいずれか1つの用品。
【0109】
50.バリアシートが茶色である、実施形態49の用品。
【0110】
51.非晶質ガラス層が0.05マイクロメートル〜0.5マイクロメートルの厚さを有する、実施形態44〜50のいずれか1つの用品。
【0111】
52.高分子フィルムが単層フィルム及び多層フィルムからなる群から選択される、実施形態44〜51のいずれか1つの用品。
【0112】
53.高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、これらのブレンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態44〜52のいずれか1つの用品。
【0113】
54.高分子フィルムが、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、からなる群から選択される、実施形態53の用品。
【0114】
55.高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、これらのブレンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態44〜52のいずれか1つの用品。
【0115】
56.高分子フィルムが、酢酸ビニル含有率が2〜32重量パーセントであるポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)と、超低密度ポリエチレンと直線状低密度ポリエチレンとのブレンドと、低密度ポリエチレンと、ポリウレタンと、熱可塑性ポリエステルエラストマーと、からなる群から選択される、実施形態55の用品。
【0116】
57.高分子フィルムが約150マイクロメートル以下の厚さを有する、実施形態44〜56のいずれか1つの用品。
【0117】
58.高分子フィルムが少なくとも10マイクロメートルの厚さを有する、実施形態44〜57のいずれか1つの用品。
【0118】
59.平坦化層が架橋ポリマーである、実施形態44〜58のいずれか1つの用品。
【0119】
60.架橋ポリマーが架橋多官能性(メタ)アクリレートを含む、実施形態59の用品。
【0120】
61.多官能性(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールテトラアクリレートである、実施形態60の用品。
【0121】
62.バリアシートが、バリアシートを通して目される構造を視覚的に観察するのに十分透明である、実施形態44〜61のいずれか1つの用品。
【0122】
63.リザーバが感圧接着剤を含む、実施形態44〜62のいずれか1つの用品。
【0123】
64.リザーバが非晶質ガラス層と隣り合う、実施形態44〜63のいずれか1つの用品。
【0124】
65.バリアシートが1パーセント未満の薬学的に活性な薬剤及び/又は賦形剤を吸収し及び/又は透過させ、薬学的に活性な薬剤及び賦形剤が、上部に非晶質ガラス層が蒸着されるバリアシートのサイドの主表面に接触し、主表面を覆う組成物中に溶解、分散、又は浮遊されている、実施形態44〜64のいずれか1つの用品。
【0125】
66.ラウリン酸メチルのバリアシート中への吸収がいずれも、ラウリン酸メチルの物質移動係数が0.005cm/秒未満である速度で生じ、ニートのラウリン酸メチルが、上部に非晶質ガラス層が蒸着されているバリアシートのサイドの主表面に接触する、実施形態44〜65のいずれか1つの用品。
【0126】
67.リザーバが高分子フィルムと隣り合う、実施形態44〜63のいずれか1つの用品。
【0127】
68.バリアシートが1パーセント未満の薬学的に活性な薬剤及び/又は賦形剤を吸収し及び/又は透過させ、薬学的に活性な薬剤及び賦形剤が、上部に非晶質ガラス層が蒸着されるバリアシートのサイドの主表面に接触し、主表面を覆う組成物中に溶解、分散、又は浮遊されている、実施形態44〜63及び67のいずれか1つの用品。
【0128】
69.
実施形態44〜68のいずれか1つによる経皮ドラッグデリバリー用品を提供する工程と、
リザーバの表面を哺乳動物の皮膚と直接接触させて配置する工程と、
治療効果を提供するのに十分な時間、リザーバを皮膚と直接接触した状態で残留させる工程と、を含む、哺乳動物に薬物を送達する方法。
【0129】
70.適合性バリアシートが、リザーバと直接接触する皮膚を視覚的に観察して、皮膚の状態を決定することができるよう十分透明である、実施形態69の方法。
【0130】
71.実施形態1〜21のいずれか1つの適合性ハイバリアシートを含む保護カバーで物品を包む工程を含む、物品の保護方法。
【0131】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0132】
(実施例1)
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販);CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、9インチ(22.86cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、2マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 Fusion H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ2マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0133】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングの作製に使用されたコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10−2Pa)までポンピングした。チャンバ内にテトラメチルシラン(TMS)蒸気を速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度180sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって2000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は14mトル(1.86Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、およそ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間48秒に対応するウェブ速度4フィート/分(1.219m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は薄黄褐色であり、厚さは約0.3マイクロメートルであった。
【0134】
上述した材料を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する3つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの2つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)内に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。2つの試料を、それぞれ3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力及び6ポンド(2.72kg)(26.7N)張力を用いて伸長した。
【0135】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)に試験条件50℃及び湿度100パーセント下で配置した。試験結果を表1に示す。
【0136】
【表1】

【0137】
(実施例2)
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、9インチ(22.86cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、2マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 FUSION H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ2マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0138】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングを作製するのに使用されるコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10−2Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって2000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は14mトル(1.86Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間48秒に対応するウェブ速度4フィート/分(1.219m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は無色であり、厚さは約0.3マイクロメートルであった。
【0139】
上述した材料を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する2つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料の1つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて試料を末端部上でクランプした。3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力を用いて試料を伸長した。
【0140】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)内に試験条件50℃及び湿度100パーセント下で配置した。
【0141】
各試料の酸素透過度(OTR)測定を、ASTM−D3985試験プロトコルに従って行った。フィルム試料を、2つのチャンバを分離する膜バリアとして装着した。一方のチャンバが酸素を収容する一方、第2のチャンバに窒素ガスをゆっくりパージした。酸素はフィルムを通して拡散し、窒素キャリアガスと混合された。電量検出器を使用して、キャリアガスの酸素濃度をアッセイした。OX−TRAN 1000H機器(MOCON Company(Minneapolis,MN)から市販)を使用して、酸素透過度を測定した。試験結果を表2に示す。
【0142】
【表2】

【0143】
(実施例3)
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリトール(pentaeritol)テトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、9インチ(22.86cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、4マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布したコーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動しているUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 FUSION H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ4マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0144】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングを作製するのに使用されるコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10−2Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度180sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって2000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は14mトル(1.86Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間48秒に対応するウェブ速度4フィート/分(1.219m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は黄褐色であり、厚さは約0.3マイクロメートルであった。
【0145】
上述した材料を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する3つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの2つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。2つの試料を、それぞれ3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力及び6ポンド(2.72kg)(26.7N)張力を用いて伸長した。
【0146】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,Model 700で市販)内に試験条件50℃及び湿度100パーセント下で配置した。試験結果を表3に示す。
【0147】
【表3】

【0148】
(実施例4)
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリトール(pentaeritol)テトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、9インチ(22.86cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、2マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 FUSION H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ2マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0149】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングの作製に使用されたコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10−2Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって2000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は14mトル(1.86Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間19秒に対応するウェブ速度10フィート/分(3.05m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は無色であり、厚さは約0.1マイクロメートルであった。
【0150】
上述した材料を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する8つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの7つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。以下の条件の1つを使用して、7つの試料を伸長した。3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力、9ポンド(4.09kg)(40.0N)張力、12ポンド(5.45kg)(53.4N)張力、15ポンド(6.81kg)(66.7N)張力、20ポンド(9.08kg)(89.0N)張力、25ポンド(11.35kg)(111.2N)張力、33ポンド(14.98kg)(146.8N)張力。
【0151】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)に試験条件50℃及び湿度100パーセント下で配置した。試験結果を表4に示す。
【0152】
プラズマ塗布非晶質ガラス層を、X線光電子分光システム(ESCA、Physical Electronics(Chanhassen,MN)から商標名PHI VERSAPROBE 5000で市販)を使用して、相対的な表面元素組成に関して分析した。試料を3つの別個の範囲内で分析し、炭素、酸素、及びケイ素のパーセント濃度値を3つの試験の平均値として決定した(表5)。計算は水素の存在を無視して行われ、検出可能なレベルで存在する元素について100パーセントに正規化した。
【0153】
【表4】

【0154】
【表5】

【0155】
(実施例5)
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリトール(pentaeritol)テトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、幅9インチ(22.86cm)、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、4マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名「F600 Fusion Hランプ」で市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ4マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0156】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングを作製するのに使用されたコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10−2Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって2000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は14mトル(1.86Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間19秒に対応するウェブ速度10フィート/分(3.05m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は金色であり、厚さは約0.1マイクロメートルであった。
【0157】
プラズマ塗布非晶質ガラス層を、X線光電子分光システム(ESCA、Physical Electronics(Chanhassen,MN)から商標名PHI VERSAPROBE 5000で市販)を使用して、相対的な表面元素組成に関して分析した。試料を3つの別個の範囲内で分析し、炭素、酸素、及びケイ素のパーセント濃度値を3つの試験の平均値として決定した(表6)。計算は水素の存在を無視して行われ、検出可能なレベルで存在する元素について100パーセントに正規化した。
【0158】
【表6】

【0159】
(実施例6)
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリトール(pentaeritol)テトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、9インチ(22.86cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレンフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9720で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、2マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 Fusion H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ2マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0160】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングを作製するのに使用されたコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10−2Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって2000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は14mトル(1.86Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間19秒に対応するウェブ速度10フィート/分(3.05m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は無色であり、厚さは約0.1マイクロメートルであった。
【0161】
上述した材料を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する6つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの5つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。以下の条件の1つを使用して、5つの試料を伸長した。3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力、9ポンド(4.09kg)(40.0N)張力、12ポンド(5.45kg)(53.4N)張力、15ポンド(6.81kg)(66.7N)張力、25ポンド(11.35kg)(111.2N)張力。試験結果を表7に示す。
【0162】
【表7】

【0163】
比較例1
厚さ74マイクロメートルのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの試料(3M Company(St.Paul,MN)から商標名SCOTCHPAK9753で市販)を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する6つの別個の試料中に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの5つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。以下の条件の1つを使用して、5つの試料を伸長した。3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力、9ポンド(4.09kg)(40.0N)張力、12ポンド(5.45kg)(53.4N)張力、15ポンド(6.81kg)(66.7N)張力、及び83ポンド(37.68kg)(369.2N)張力。試験結果を表8に示す。
【0164】
【表8】

【0165】
比較例2
コロナ処理した試料、厚さ76マイクロメートルの低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する7つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの6つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。以下の条件の1つを使用して、6つの試料を伸長した。3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力、6ポンド(2.72kg)(26.7N)張力、9ポンド(4.09kg)(40.0N)張力、12ポンド(5.45kg)(53.4N)張力、15ポンド(6.81kg)(66.7N)張力、20ポンド(9.08kg)(89.0N)張力。
【0166】
ASTM−D3985試験プロトコルに従って、試料の酸素透過度(OTR)を測定した。COTRAN 9705フィルム試料を、2つのチャンバを分離する膜バリアとして装着した。1つのチャンバが酸素を収容する一方、第2のチャンバに窒素ガスをゆっくりパージした。酸素はフィルムを通して拡散し、窒素キャリアガスと混合された。電量検出器を使用して、キャリアガスの酸素濃度をアッセイした。OX−TRAN 1000H機器(MOCON Company(Minneapolis,MN)から市販)を使用して、酸素透過度を測定した。
【0167】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)に試験条件50℃及び湿度100パーセント下で配置した。試験結果を表9に示す。
【0168】
【表9】

【0169】
比較例3
770グラムのイソプロピルアルコールに溶解した、220グラムのペンタエリトール(pentaeritol)テトラアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);10グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、9インチ(22.86cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9705で市販)上に、スロットダイコーティング法を使用して、2マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度30ft/分(9.14m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて150°F(65.6℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 FUSION H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ2マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0170】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)に試験条件50℃及び湿度100パーセント下で配置した。試験結果を表10に示す。
【0171】
【表10】

【0172】
比較例4
コロナ処理した試料、厚さ76マイクロメートルの低密度ポリエチレンフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9720で市販)を、それぞれ対角線測定値10.81インチ(27.46cm)及び縦横比3:2を有する8つの別個の試料に分割した。ASTM−D638試験プロトコルに従って、試料のうちの7つを伸び計(MTS Systems Corporation(Eden Prairie,MN)から商標名INSIGHTで市販)に配置した。把持機構を変更せずに、伸びの方向を横切る2つの鋼シム間にて各試料を末端部上でクランプした。以下の条件の1つを使用して、7つの試料を伸長した。3ポンド(1.36kg)(13.3N)張力、6ポンド(2.72kg)(26.7N)張力、9ポンド(4.09kg)(40.0N)張力、12ポンド(5.45kg)(53.4N)張力、15ポンド(6.81kg)(66.7N)張力、20ポンド(9.08kg)(89.0N)張力、25ポンド(11.35kg)(111.2N)張力。試験結果を表11に示す。
【0173】
【表11】

【0174】
(実施例7)
261ポンド(118.4kg)(1161.0N)のイソプロピルアルコールに溶解した、87.5ポンド(39.7kg)(389.2N)のペンタエリトール(pentaeritol)テトラアシレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);397グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Gallarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、49インチ(124.5cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレンフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9720で市販)上に、グラビアロールコーティング法を使用して、3マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度150ft/分(45.7m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて210°F(98.9℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 Fusion H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ3マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0175】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングの作製に使用されたコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度720sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって6000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は42mトル(5.6Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間19秒に対応するウェブ速度5ft/分(1.5m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は無色であり、厚さは約0.1マイクロメートルであった。
【0176】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)に試験条件38℃及び湿度90パーセント下で配置した。試験結果を表12に示す。
【0177】
各試料の酸素透過度(OTR)測定を、ASTM−D3985試験プロトコルに従って行った。フィルム試料を、2つのチャンバを分離する膜バリアとして装着した。チャンバが酸素を収容した後、第2のチャンバに窒素ガスをゆっくりパージした。酸素はフィルムを通して拡散し、窒素キャリアガスと混合された。電量検出器を使用して、キャリアガスの酸素濃度をアッセイした。OX−TRAN 1000H機器(MOCON Company(Minneapolis,MN)から市販)を使用して、酸素透過度を測定した。上記のように調製した試料(実施例7)と、未処理COTRAN 9720(比較例4)とに関する試験結果を、表12に示す。
【0178】
【表12】

【0179】
(実施例8)
261ポンド(118.4kg)(1161.0N)のイソプロピルアルコールに溶解した、87.5ポンド(39.7kg)(389.2N)のペンタエリトール(pentaeritol)テトラアシレート(Sartomer Company(Exton,PA)から商標名SR444で市販);397グラムの光開始剤ESACURE KK[Lamberti S.p.A(Ballarate,Italy)から市販;CAS名:ベンゼン、(1−メチルエテニル)−、ホモポリマー、Ar−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソプロピル)誘導体;CAS登録番号:163702−01−0]を含有するUV硬化性ポリマー溶液を作製した。得られた溶液を、49インチ(124.5cm)の、厚さ76マイクロメートルのコロナ処理低密度ポリエチレンフィルム(3M Company(St.Paul,MN)から商標名COTRAN 9722で市販)上に、グラビアロールコーティング法を使用して、3マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを達成する溶液供給速度を用いて、ウェブ速度150ft/分(45.7m/分)で塗布した。コーティングをインラインにて210°F(98.9℃)で乾燥させ、100%出力で作動するUVランプ(Fusion UV Systems(Gaithersberg,MD)から商標名F600 Fusion H LAMPで市販)を用いて窒素雰囲気下で硬化させ、厚さおよそ2マイクロメートルの乾燥コーティングを得た。
【0180】
上述したポリマー塗布ウェブを、米国特許第5,888,594号に示される、プラズマコーティングの作製に使用されたコーティングシステムの真空チャンバ内に入れ、およそ5×10−4トル(6.65×10Pa)までポンピングした。テトラメチルシラン(TMS)蒸気をチャンバ内に速度360sccmで連続的に導入し、酸素をチャンバ内に速度720sccmで連続的に導入した。プラズマを開始し、rf電力をドラム電極に適用することによって6000ワットに維持した。チャンバ内の圧力は42mトル(5.6Pa)で平衡化し、DCセルフバイアス電圧は、ほぼ−520Vであった。ドラムを連続的に回転させて、ウェブがドラムを横切る際のプラズマ蒸着時間19秒に対応するウェブ速度5フィート/分(1.5m/分)を提供した。得られたプラズマ塗布非晶質ガラス層は無色であり、厚さは約0.1マイクロメートルであった。
【0181】
各試料の50cm片を、ASTM F−1249、TAPPI T557、及びJIS K−7129試験プロトコルに従って、水蒸気透過度(MVTR)試験システム(MOCON Company(Minneapolis,MN)から商標名PERMATRAN−W,MODEL 700で市販)内に試験条件38℃及び湿度90パーセント下で配置した。試験結果を表13に示す。
【0182】
各試料の酸素透過度(OTR)測定を、ASTM−D3985試験プロトコルに従って行った。フィルム試料を、2つのチャンバを分離する膜バリアとして装着した。チャンバが酸素を収容した後、第2のチャンバに窒素ガスをゆっくりパージした。酸素はフィルムを通して拡散し、窒素キャリアガスと混合された。電量検出器を使用して、キャリアガスの酸素濃度をアッセイした。OX−TRAN 1000H機器(MOCON Company(Minneapolis,MN)から市販)を使用して、酸素透過度を測定した。上記のように調製した試料(実施例7)と、未処理COTRAN 9722(比較例4)とに関する試験結果を、表12に示す。
【0183】
【表13】

【0184】
(実施例9)
前記した実施例のフィルム中への化学賦形剤の吸収速度を評価した。ラウリン酸メチル(Penta Manufacturing Company(Fairfield,New Jersey)から入手可能)をモデル賦形剤として使用した。吸収実験は、試験フィルムの60cm円形試料を型抜きすることを含んだ。フィルムの質量を秤量した。試験フィルムのための5cm開口により特徴付けられるFranx拡散セル内に試料を配置し、クランプで締めて閉鎖した。プラズマ塗布非晶質ガラス層が、Franzセルの上部リザーバに向かって上方に面するように、フィルムをFranzセル内で配向させた。セルの上部リザーバにおよそ5mLのラウリン酸メチルを満たし、蓋をして閉鎖した。Franzセルの下部チャンバは、空のまま残した。フィルムをFranzセルから除去し、フィルムを拭き取って乾燥した後、はかり上で秤量することにより、試験フィルムの質量を、選択された1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間の時点で測定した。ラウリン酸メチルで飽和された試験フィルムの質量も、24時間を超える時点で測定した。質量を測定した後、試料を上述したようにFranzセル内に再度挿入し、セルに新鮮な5mLのラウリン酸メチルを満たした。各時点でのフィルムの質量と、その最初の質量との差を取ることにより、ラウリン酸メチル(methy laurate)のフィルム中への分散に寄与する試験フィルムの質量における利得を計算した。各試験フィルムについて、3つの反復を評価した。これらのデータを、個々の反復の平均として表14に示し、質量値をミリグラムで報告する。
【0185】
各時点でのラウリン酸メチルの試験フィルム中への吸収を等式により具現化した。
【0186】
Mass(t)−Mass(0)=[Mass(sat)][1−exp(−kt/L)]
式中、Mass(t)は、時点tにおける試験フィルムの質量、Mass(0)は、試験フィルムの最初の質量、Mass(sat)は、ラウリン酸メチルで飽和させた後の試験フィルムの質量、kは、試験フィルム中のラウリン酸メチルの物質移動係数であり、ラウリン酸メチルの試験フィルム中への吸収の速度を特徴付け、tは、時点tにおける時間、Lは、試験フィルムの厚さである。上記の等式を使用して、ラウリン酸メチル吸収データセット(Mass(t)−Mass(0))を適合することにより、各フィルムに関して物質移動係数を決定した。予測される質量吸収と表14の実際の質量吸収との差の二乗の合計を最小化し、調整パラメータとして物質移動係数を使用することにより、最小二乗法を使用した。各試験フィルムの物質移動係数を、表14に示す。これらのデータは、プラズマ塗布非晶質ガラス層を有する試験フィルムのそれぞれが、対応する非塗布等価物よりも小さい質量移動係数(mass transfer coeeficient)を有することを示す。
【0187】
【表14】

【0188】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明の範囲は、記述される「特許請求の範囲」によってのみ限定されると考えており、本発明が、本明細書で説明された例示的実施形態及び実施例により過度に限定されるものではないこと、及びこのような実施例及び実施形態は、例示のためにのみ提示されていることを理解されるべきである。
【0189】
本明細書に引用した特許、特許文書、及び刊行物の完全な開示は、その全体又はそれぞれの一部分が、それぞれが個々に組み込まれるが如く参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、
平坦化層と、
ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含み、
前記平坦化層が前記高分子フィルム上に配置され、前記非晶質ガラス層が前記平坦化層上に蒸着され、
2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、適合性バリアシート。
【請求項2】
前記平坦化層が、1.2マイクロメートルを超え、6マイクロメートルを超えない厚さを有する、請求項1に記載のバリアシート。
【請求項3】
前記非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、35原子パーセントを超える炭素と、更に45未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、請求項1又は2に記載のバリアシート。
【請求項4】
本質的に無色である、請求項3に記載のバリアシート。
【請求項5】
前記非晶質ガラス層が0.05マイクロメートル〜0.5マイクロメートルの厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項6】
前記高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1〜5いずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項7】
前記平坦化層が架橋ポリマーである、請求項1〜6いずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項8】
ラウリン酸メチルの前記バリアシート中への吸収がいずれも、ラウリン酸メチルの物質移動係数が0.005cm/s未満である速度で生じ、前記ラウリン酸メチルが、上部に前記非晶質ガラス層が蒸着されている前記バリアシートのサイドの主表面に接触する、請求項1〜7いずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項9】
適合性バリアシートの製造方法であって、
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の伸びを有する高分子フィルムを提供する工程と、
平坦化層を前記高分子フィルム上に形成する工程と、
ケイ素、炭素、及び水素を含む非晶質ガラス層を前記平坦化層上にプラズマ蒸着する工程と、を含み、
前記バリアシートが、2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、方法。
【請求項10】
前記非晶質ガラス層のプラズマ蒸着が、有機ケイ素化合物と、場合により酸素とを含むソース気体を、前記平坦化層を塗布された前記高分子フィルムを収容するチャンバ内に導入することにより行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記平坦化層が、1.2マイクロメートルを超え、6マイクロメートルを超えない厚さを有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、35原子パーセントを超える炭素と、更に45未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項13】
前記バリアシートが本質的に無色である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記非晶質ガラス層が、0.05マイクロメートル〜0.5マイクロメートルの厚さを有する、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項16】
前記平坦化層を前記高分子フィルム上に形成する工程が、
架橋可能な組成物を前記高分子フィルム上に塗布する工程であって、前記架橋可能な組成物が2つ以上のエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの成分を含む、工程と、
前記架橋可能な組成物を架橋させる工程と、を含む、請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ラウリン酸メチルのバリアシート中への吸収がいずれも、ラウリン酸メチルの物質移動係数が0.005cm/s未満である速度で生じ、前記ラウリン酸メチルが、上部に前記非晶質ガラス層が蒸着されている前記バリアシートのサイドの主表面に接触する、請求項9〜16のいずれか一項に記載のバリアシート。
【請求項18】
等しい荷重下で、等しい寸法のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも2倍の引張伸びを有する高分子フィルムと、
平坦化層と、
ケイ素、炭素、及び水素を含むプラズマ蒸着非晶質ガラス層と、を含む適合性バリアシートであって、
前記平坦化層が前記高分子フィルム上に配置され、前記非晶質ガラス層が前記平坦化層上に蒸着され、
2%〜20%の範囲内の引張伸びを受けた後、十分な適合性を有し、伸ばされる前と比較して本質的に不変の水蒸気透過度を有する、適合性バリアシートと、
前記高分子フィルム又は前記非晶質ガラス層と隣り合い、放出可能に貯蔵された用量の薬学的に活性な薬剤を含むリザーバと、を有する、経皮ドラッグデリバリー用品。
【請求項19】
前記平坦化層が、1.2マイクロメートルを超え、6マイクロメートルを超えない厚さを有する、請求項18に記載の用品。
【請求項20】
前記非晶質ガラス層が、無水素基準で、約20〜40原子パーセントのケイ素と、35原子パーセントを超える炭素と、更に45未満〜0原子パーセントの酸素と、を含む、請求項18又は19に記載の用品。
【請求項21】
前記バリアシートが本質的に無色である、請求項20に記載の用品。
【請求項22】
前記非晶質ガラス層が、0.05マイクロメートル〜0.5マイクロメートルの厚さを有する、請求項18〜21のいずれか一項に記載の用品。
【請求項23】
前記高分子フィルムが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−ヘキセン)、ポリ(エチレン−コ−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載の用品。
【請求項24】
請求項18〜23のいずれか一項に記載の経皮ドラッグデリバリー用品を提供する工程と、
前記リザーバの表面を前記哺乳動物の皮膚と直接接触させて配置する工程と、
治療効果を提供するのに十分な時間、前記リザーバを前記皮膚と直接接触させた状態で残留させる工程と、を含む、哺乳動物に薬物を送達する方法。
【請求項25】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の適合性ハイバリアシートを含む保護カバーで物品を包む工程を含む、物品の保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−512257(P2013−512257A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541218(P2012−541218)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058155
【国際公開番号】WO2011/066493
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】