説明

部品長さ検知機構および部品供給装置

【課題】コストを低減しつつ部品の長さを検知することができる部品長さ検知機構および部品供給装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、1組の発光手段34と受光手段36とからなる光センサ28と、ネジ32を移動させるための供給テーブル22、テーブル台24、アクチュエータ26と、を有し、発光手段34が発する光の照射方向とネジ32の移動方向とが鋭角に交わり、ネジ32が移動する経路における上流側検査位置44と上流側検査位置44よりも発光手段34から遠い位置にある下流側検査位置46の少なくとも2箇所にて光センサ28がネジ32を検知した回数をもとにネジ32の長さを検知すること、を特徴とする部品長さ検知機構10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばネジやボルトなどの部品の長さを検知する部品長さ検知機構および、当該部品長さ検知機構を有する部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動でワークに対し基板をネジで締結して固定する締結設備においては、ネジの締め付けトルクの大きさを管理しながらネジの締結を行っている。しかしながら、この締結設備に所望の長さでないネジが誤って供給されてしまってもネジの長さを判別することができないので、そのままネジの締結を行ってしまう。そのため、ネジの長さが所望の長さよりも長い場合には、ネジがワークを貫通してネジの先端が締結設備の底部を突いてしまうおそれがある。また、ネジの長さが所望の長さよりも短い場合には、締結部分が浅くなり十分な締結力を得られないおそれがある。特に、ネジの長さが所望の長さよりも短い場合には、ネジの長さがワークの外部からは目視で確認できない。そのため、基板が固定されたワークのその後の使用環境によっては振動などの影響によりネジの締結を維持することができず、基板が固定されたワークの品質が低下してしまう。
【0003】
また、所望の長さでないネジが誤って締結されると、そのネジを取り外す工程が必要になり、そのネジを取り外さない限り前記の締結設備においては自動的に復帰することは困難となってしまう。
【0004】
また、画像センサやレーザセンサにより距離を測定するシステムを用いて、ネジの長さを測定することが考えられるが、複雑でかつ高価なため、コストが増大してしまう。特に、ネジの長さが正規の長さであると認められる許容範囲に収まっているのかを判別するためには、少なくとも許容範囲の上限側を検査するためのセンサと許容範囲の下限側を検査するためのセンサとの2つのセンサが必要になり、さらにコストが増大してしまう。
【0005】
ここで、特許文献1には、ネジの長さを検知するため、2組の光センサを配置した技術が開示されている。そして、特許文献1の技術では、2組の光センサがともにネジを検出した場合にはネジの長さが正規の長さよりも大きいと検知し、2組の光センサがともにネジを検出しなかった場合にはネジの長さが正規の長さよりも小さいと検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55−70702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、2組の光センサを設ける必要があるので、コストが増大してしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、コストを低減しつつ部品の長さを検知することができる部品長さ検知機構および部品供給装置を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、1組の発光手段と受光手段とからなる光センサと、部品を移動させるための移動手段と、を有し、前記発光手段が発する光の照射方向と前記部品の移動方向とが鋭角に交わり、前記部品が移動する経路における第1検査位置と前記第1検査位置よりも前記発光手段から遠い位置にある第2検査位置の少なくとも2箇所にて前記光センサが前記部品を検知した回数をもとに前記部品の長さを検知すること、を特徴とする部品長さ検知機構である。
【0010】
この態様によれば、1組だけの発光手段と受光手段とからなる光センサを使用して、部品が移動する経路における少なくとも2箇所での光センサの検知結果をもとに部品の長さを検知するので、光センサの数を最小限に抑えてコストを低減することができる。
【0011】
上記態様においては、前記部品が正規の長さであるときに前記第1検査位置にて前記部品が前記光を遮断し前記第2検査位置にて前記部品が前記光を遮断しないように、前記光の照射方向が設定されていること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、部品が正規の長さでない場合には、第1検査位置にて光センサの発光手段が発する光を遮断せず、または第2検査位置にて光センサの発光手段が発する光を遮断する。そのため、部品が正規の長さでない場合と部品が正規の長さである場合とで、光センサが部品を検知した回数が異なる。したがって、簡易な構造でコストの低減を図りつつ部品の長さを検知することができる。
【0013】
上記態様においては、前記移動手段として、前記部品を保持する保持手段と前記保持手段が搭載される保持台とを備え、前記保持台には前記発光手段が発する光が貫通できる溝が設けられ、前記溝は前記第1検査位置と前記第2検査位置の少なくとも2箇所にて前記部品が移動する経路と交わること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、確実に第1検査位置と第2検査位置の少なくとも2箇所における光センサの検知結果を得ることができ、この検知結果をもとに部品の長さを検知することができる。
【0015】
上記態様においては、前記移動手段は、前記部品を円周状の経路上に移動させること、が好ましい。
【0016】
上記態様においては、前記移動手段は、前記部品を直線状の経路上に移動させること、が好ましい。
【0017】
上記課題を解決するためになされた他の一態様は、部品を受け取る部品受取部と、前記部品の長さを検知する部品長さ検知部と、前記部品長さ検知部の検知結果をもとに前記部品を外部機器へ供給する部品供給部と、前記部品供給部にて前記外部機器へ供給しなかった前記部品を破棄する部品破棄部と、を有し、前記部品長さ検知部では、1組の発光手段と受光手段とからなる光センサの前記発光手段が発する光の照射方向と前記部品の移動方向とが鋭角に交わるようにして、前記部品が移動する経路における第1検査位置と前記第1検査位置よりも前記発光手段から遠い位置にある第2検査位置の少なくとも2箇所にて前記光センサが前記部品を検知した回数をもとに前記部品の長さを検知し、前記部品受取部と前記部品長さ検知部と前記部品供給部と前記部品破棄部とが前記部品が移動する経路上に設けられていること、を特徴とする部品供給装置である。
【0018】
この態様によれば、1組の発光手段と受光手段とからなる光センサにより部品の長さを検知することができるので、コストを低減することができる。また、部品の受取と、部品の長さの検知と、検知結果に基づく外部機器への部品の供給または部品の破棄と、を一連の経路上で行うことができ、簡易な構造でコストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る部品長さ検知機構および部品供給装置によれば、コストを低減しつつ部品の長さを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の部品長さ検知機構を有する部品供給装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】光センサにおける発光手段と受光手段との間で照射される光の方向についての説明図である。
【図5】ネジの長さの検知方法について説明したフローチャート図である。
【図6】実施例2を示す図である。
【図7】光センサにおける発光手段と受光手段との間で照射される光の方向についての説明図である。
【図8】基板とワークの締結を行う設備への適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施例1〕
まず、実施例1の部品長さ検知機構10を有する部品供給装置1の構成について説明する。図1〜図3は実施例1の部品長さ検知機構10を有する部品供給装置1の概要図であり、図1は平面図であり、図2は図1のA−A断面図であり、図3は図1のB−B断面図である。
【0022】
図1〜図3に示すように、実施例1の部品供給装置1は、直進フィーダ20、供給テーブル22、テーブル台24、アクチュエータ26、光センサ28などを有する。そして、前記の供給テーブル22、テーブル台24、アクチュエータ26、光センサ28などによって、部品長さ検知機構10が構成される。部品長さ検知機構10は、ネジやボルトやリベットやピンなどの棒状に形成された部分を備える様々な部品の長さの検知を行うことができるが、以下の説明においては、部品の一例としてネジ32を挙げて説明する。なお、部品供給装置1を構成する各機器は不図示の制御手段によって制御される。
【0023】
直進フィーダ20は、ネジ32を搬送して供給テーブル22に供給する手段である。本実施例では、ネジ32を直線方向に搬送させる直進フィーダを使用しているが、ネジ32を円周方向に搬送させる円形フィーダなどを使用しても良く、ネジ32の搬送形式は特に限定されない。
【0024】
供給テーブル22は、円盤状に形成され、ネジ32を保持しながら円周状の経路上を移動させるための手段である。この供給テーブル22は、回転可能な状態でテーブル台24に搭載されている。また、図3に示すように、供給テーブル22にはアクチュエータ26が接続され、このアクチュエータ26により供給テーブル22が回転する。なお、供給テーブル22がネジ32を保持する手法は、特に限定されず、例えば、磁気吸着によりネジ32を保持する手法や、供給テーブル22の外周部に設けた不図示の溝部にネジ32を挿入して保持する手法などが考えられる。
【0025】
テーブル台24には、図3に示すように、溝38が設けられている。溝38は、テーブル台24における光センサ28の発光手段34側の面40と受光手段36側の面42との間を貫通するように設けられている。これにより、光センサ28の発光手段34から発せられる光は、テーブル台24を貫通して受光手段36まで達することができる。また、溝38は、上流側検査位置44(図1参照)と下流側検査位置46(図1参照)の2箇所にてネジ32が移動する経路と交わっている。なお、供給テーブル22とテーブル台24とアクチュエータ26は、本発明の「移動手段」の構成部材の一例である。また、供給テーブル22は本発明の「保持手段」の一例であり、テーブル台24は本発明の「保持台」の一例である。
【0026】
光センサ28は、発光手段34と受光手段36とを備えており、本実施例では発光手段34と受光手段36が1組だけ設けられている。そして、発光手段34と受光手段36は、供給テーブル22とテーブル台24を挟んで設けられており、発光手段34から溝38を貫通させて受光手段36へ照射される光の照射経路と供給テーブル22の回転によるネジ32の移動経路とが、上流側検査位置44と下流側検査位置46の2箇所で交わっている。本実施例では、下流側検査位置46が、上流側検査位置44よりも発光手段34から遠い位置に存在する。なお、上流側検査位置44は本発明の「第1検査位置」の一例であり、下流側検査位置46は本発明の「第2検査位置」の一例である。
【0027】
また、図2に示すように、ネジ32の長さ方向(図2の上下方向)について、発光手段34と受光手段36との間で照射される光の照射方向はネジ32の移動方向に対して角度θで交わるように、発光手段34と受光手段36とを配置している。本実施例では、ネジ32が正規の長さであるときに上流側検査位置44にて当該ネジ32が発光手段34から発する光を遮断する一方で下流側検査位置46にて当該ネジ32が発光手段34から発する光を遮断しないように、発光手段34から発する光の照射方向が設定されている。なお、発光手段34と受光手段36の位置関係は、図1〜図3に示す位置関係と反対であってもよい。
【0028】
ここで、角度θの設定方法について説明する。図4は、角度θの設定方法についての説明図である。ここで、図4に示すように、基準ネジ(基準の長さのネジ32)の長さをL(例えばL=8mmなど)、ネジ32が下流側検査位置46に達したときの光センサ28の受光手段36とネジ32との距離をXとする。また、ネジ32の幅をY、上流側検査位置44と下流側検査位置46との距離をZとする。
【0029】
また、ネジ32の長さ方向における基準ネジの先端と光センサ28の受光手段36との距離をh、基準ネジよりも長いネジを検出したい長さをα、基準ネジよりも短いネジを検出したい長さをβとする。すなわち、ネジ32が正規の長さであるとして許容する範囲を、(L−β)以上(L+α)以下とする。
【0030】
そこで、本実施例では、以下の数式の条件が成立するように、角度θを設定する。
【数1】

【数2】

【数3】

このように、角度θを鋭角に設定し、さらにtanθの範囲を設定する。
以上が、角度θの設定方法について説明である。
【0031】
また、図1に示すように、部品供給装置1は、領域ごとに、部品受取部48、部品長さ検知部50、部品供給部52、部品破棄部54の部分に分けることができる。そして、部品受取部48と部品長さ検知部50と部品供給部52と部品破棄部54とは、ネジ32が移動する経路上に設けられている。
部品受取部48は、ネジ32が直進フィーダ20から供給テーブル22へ受け取られる部分である。そして、部品長さ検知部50は、上流側検査位置44と下流側検査位置46において前記の部品長さ検知機構10によりネジ32の長さを検知する部分である。
【0032】
また、供給テーブル22が回転してネジ32が上流側検査位置44と下流側検査位置46とを過ぎた後の位置、詳しくは、部品受取部48の位置に対し供給テーブル22の回転方向に180°移動した位置を、部品供給部52とする。部品供給部52は、部品長さ検知部50におけるネジ32の長さの検知結果をもとに、外部機器であるドライバユニット(例えば、後述するネジ締結用ロボット82(図8参照)など)へ供給テーブル22からネジ32が供給される部分である。
【0033】
また、供給テーブル22が回転して部品供給部52を通過した位置、詳しくは、部品供給部52から供給テーブル22の回転方向に90°移動した位置を、部品破棄部54とする。部品破棄部54においては、テーブル台22に破棄穴56が設けられている。部品破棄部54は、部品供給部52でドライバユニットへ供給されなかったネジ32を破棄穴56から破棄する部分である。なお、部品破棄部54はこの位置に限定されず、供給テーブル22の回転方向について部品供給部52を通過した以降の位置であって部品受取部48に達するまでの位置であればどこでもよい。
【0034】
次に、ネジ32の長さの検知方法について説明する。
図5は、ネジ32の長さの検知方法について説明したフローチャート図である。図5に示すように、まず、部品受取部48において供給テーブル22が直進フィーダ20からネジ32を受け取り(ステップS1)、供給テーブル22はネジ32を保持する。
【0035】
次に、供給テーブル22を180°回転させる(ステップS2)。これにより、ネジ32は部品受取部48から部品供給部52へ移動する。このとき、ネジ32が部品受取部48から部品供給部52へ移動する間に、ネジ32は上流側検査位置44と下流側検査位置46とを通過する。なお、このとき、部品受取部48においては、直進フィーダ20から供給テーブル22に新たにネジ32が供給される。
【0036】
そして、ネジ32が上流側検査位置44と下流側検査位置46とを通過するときに光センサ28がネジ32を検知した回数をもとに、部品長さ検知機構10の部品長さ判定部(不図示)において、以下のようにネジ32の長さを検知する。
まず、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計1回であったか否かを判断する(ステップS3)。
そして、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計1回であったと判断された場合には、ネジ32の長さは正規の長さとして許容できる範囲内にあり「正常」であると検知する(ステップS4)。そして、ネジ32が部品供給部52に位置する状態で供給テーブル22を一旦停止し(ステップS5)、ネジ32が供給テーブル22からドライバユニット(不図示)へ供給される(ステップS6)。
【0037】
一方、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計1回でなかったと判断された場合には、ネジ32の長さは正規の長さとして許容できる範囲内にないとして「NG」と検知する(ステップS7)。そして、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計0回であったか否かを判断する(ステップS8)。そして、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計0回であったと判定された場合には、ネジ32は正規の長さよりも短いと検知する(ステップS9)。そして、ネジ32が部品供給部52に位置する状態で供給テーブル22を一旦停止させることなくそのまま回転させて、ネジ32を部品破棄部54に設けられた破棄穴56から破棄する(ステップS10)。なお、このとき、光センサ28により次のネジ32の長さについての検知が既に行われている。
【0038】
また、ステップS8において、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計0回でなかったと判断された場合には、光センサ28がネジ32を検知した回数が合計2回であったと判断し(ステップS11)、ネジ32は正規の長さよりも長いと検知する(ステップS12)。そして、前記と同様に、ネジ32を部品破棄部54に設けられた破棄穴56から破棄する(ステップS10)。
【0039】
このように、直進フィーダ20から正規の長さでないネジ32を供給テーブル22が受け取った場合には、正規の長さでないネジ32を部品破棄部54にて破棄するので、正規の長さでないネジ32が誤ってドライバユニット(外部機器)に供給されない。そのため、供給先のドライバユニットにおいて正規の長さでないネジ32が誤って締結されるなどの不具合を防止できる。
【0040】
また、ネジ32の長さが「NG」と判断された場合には、供給テーブル22の回転を停止することなくネジ32を部品破棄部54にて破棄するので、正規の長さのネジ32を効率よくドライバユニットに供給することができる。
【0041】
なお、ネジ32が移動する経路における2箇所での光センサ28の検知結果をもとに部品の長さを検知することを説明したが、ネジ32が移動する経路における3箇所以上での光センサ28の検知結果をもとに部品の長さを検知してもよい。
【0042】
次に、実施例1の効果について説明する。
以上のように、実施例1の部品長さ検知機構10によれば、1組だけの発光手段34と受光手段36とからなる光センサ28を使用して、ネジ32が移動する経路における少なくとも2箇所での光センサ28の検知結果をもとに部品の長さを検知する。そのため、光センサ28の数を最小限に抑えてコストを低減することができる。
【0043】
また、ネジ32が正規の長さであるときに上流側検査位置44にてネジ32が光センサ28の光を遮断し下流側検査位置46にてネジ32が光センサ28の光を遮断しないように、光センサ28の光の照射方向が設定されているので、ネジ32が正規の長さでない場合には、上流側検査位置44にて光センサ28の発光手段34が発する光を遮断せず、または下流側検査位置46にて光センサ28の発光手段34が発する光を遮断する。そのため、ネジ32が正規の長さでない場合とネジ32が正規の長さである場合とで、光センサ28がネジ32を検知した回数が異なる。したがって、簡易な構造でコストの低減を図りつつネジ32の長さを検知することができる。
【0044】
また、供給テーブル22とテーブル台24とを備え、テーブル台24には光センサ28の発光手段34が発する光が貫通できる溝38が設けられ、溝38は上流側検査位置44と下流側検査位置46の少なくとも2箇所にてネジ32が移動する経路と交わるので、確実に上流側検査位置44と下流側検査位置46の少なくとも2箇所における光センサ28の検知結果を得ることができ、この検知結果をもとにネジ32の長さを検知することができる。
【0045】
また、部品受取部48と部品長さ検知部50と部品供給部52と部品破棄部54とがネジ32が移動する経路上に設けられているので、ネジ32の受取と、ネジ32の長さの検知と、検知結果に基づくドライバユニットへのネジ32の供給または部品破棄部54でのネジ32の破棄と、を一連の経路上で行うことができ、簡易な構造でコストの低減を図ることができる。
【0046】
〔実施例2〕
次に、実施例2の部品長さ検知機構12を有する部品供給装置2について説明する。以下の説明では、実施例1と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。まず、実施例2の構成について説明する。図6は実施例2の構成を示す図であり、図7は発光手段34と受光手段36との間で照射される光の照射方向を説明する図である。図6と図7に示すように、実施例2ではネジ32を直線状の経路上に移動させている点で、前記の実施例1と異なる。
【0047】
図6に示すように、実施例2ではスライド機構60が設けられている。スライド機構60としては、例えば、リニアモータまたは3ポジションシリンダなどが考えられる。また、ドライバユニットへ供給する部品供給部64に対し部品受取部62を挟んで反対側に、部品破棄部66を配置している。
【0048】
そして、スライド機構60によりネジ32が移動する方向に対し平行に光センサ28の発光手段34から照射される光が照射されるように、光センサ28の発光手段34と受光手段36とを配置する。また、前記の図4と同様に、発光手段34と受光手段36との間で照射される光の照射方向がネジ32の移動方向に対して角度θで交わるように、光センサ28の発光手段34と受光手段36とを配置している。そして、ネジ32が正規の長さである場合に、図7に示すように、部品受取部62にてネジ32が光センサ28の発光手段34から発せられる光を遮断しないようにする一方で、部品供給部64にてネジ32が光センサ28の発光手段34から発せられる光を遮断するように設定している。なお、発光手段34と受光手段36の位置は、図6と図7に示す位置関係と反対であってもよい。
【0049】
次に、実施例2におけるネジ32の長さの検知方法について説明する。
まず、部品受取部62にて、スライド機構60の保持手段68は直進フィーダ20からネジ32を受け取る。
次に、保持手段68に保持されたネジ32を部品受取部62の位置から部品供給部64の位置へ移動させる。このとき、部品受取部62と部品供給部64との2箇所にて光センサ28がネジ32を検知した回数をもとに、前記の図5に示したネジ32の長さ検知方法のフローチャートに従い、ネジ32の長さについて「正常」であるか「NG」であるかを検知する。
そして、ネジ32の長さについて「正常」と検知された場合には、保持手段68を部品供給部64の位置で停止させて保持手段68からドライバユニットにネジ32を供給する。一方、ネジ32の長さについて「NG」と検知された場合には、保持手段68を部品供給部64の位置で停止させずに、部品破棄部66の位置まで移動させてネジ32を破棄穴69から破棄する。
【0050】
このような実施例2によれば、前記の実施例の効果に加えて、ネジ32の移動手段として比較的安価なスライド機構60を使用するので、コストをさらに低減することができる。
【0051】
〔締結設備への適用例〕
次に、実施例1,2の部品供給装置1,2を適用した設備の例について説明する。
図8は、基板70とワーク72の締結を行う締結設備74への適用例を示す図である。図8では一例として、部品長さ検知機構10を有する部品供給装置1の締結設備74への適用例を示す。
【0052】
図8に示すように、搬送手段76によって搬送される基板70を基板セット用ロボット78が受け取り、基板セット用ロボット78は搬送手段80によって搬送されるワーク72に基板70をセットする。その一方で、前記のドライバユニットの一例であるネジ締結用ロボット82は、部品長さ検知機構10を有する部品供給装置1から供給される正規の長さのネジ32をエア吸着させて受け取り、このネジ32により基板70とワーク72の締結を行う。
【0053】
これにより、確実に正規の長さのネジ32にて基板70とワーク72の締結を行うことができる。そのため、ネジ32がワーク72を貫通してネジ32の先端が締結設備74の底部を突いてしまうおそれはなく、また、ネジ32により十分な締結力を得つつ基板70とワーク72の締結を行うことができる。したがって、基板70が固定されたワーク72の品質が安定する。
【0054】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0055】
1 部品供給装置
2 部品供給装置
10 部品長さ検知機構
12 部品長さ検知機構
20 直進フィーダ
22 供給テーブル
24 テーブル台
26 アクチュエータ
28 光センサ
32 ネジ
34 発光手段
36 受光手段
38 溝
44 上流側検査位置
46 下流側検査位置
48 部品受取部
50 部品長さ検知部
52 部品供給部
54 部品破棄部
56 破棄穴
60 スライド機構
62 部品受取部
64 部品供給部
66 部品破棄部
68 保持手段
69 破棄穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1組の発光手段と受光手段とからなる光センサと、
部品を移動させるための移動手段と、を有し、
前記発光手段が発する光の照射方向と前記部品の移動方向とが鋭角に交わり、
前記部品が移動する経路における第1検査位置と前記第1検査位置よりも前記発光手段から遠い位置にある第2検査位置の少なくとも2箇所にて前記光センサが前記部品を検知した回数をもとに前記部品の長さを検知すること、
を特徴とする部品長さ検知機構。
【請求項2】
請求項1の部品長さ検知機構において、
前記部品が正規の長さであるときに前記第1検査位置にて前記部品が前記光を遮断し前記第2検査位置にて前記部品が前記光を遮断しないように、前記光の照射方向が設定されていること、
を特徴とする部品長さ検知機構。
【請求項3】
請求項1または2の部品長さ検知機構において、
前記移動手段として、前記部品を保持する保持手段と前記保持手段が搭載される保持台とを備え、
前記保持台には前記発光手段が発する光が貫通できる溝が設けられ、前記溝は前記第1検査位置と前記第2検査位置の少なくとも2箇所にて前記部品が移動する経路と交わること、
を特徴とする部品長さ検知機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの部品長さ検知機構において、
前記移動手段は、前記部品を円周状の経路上に移動させること、
を特徴とする部品長さ検知機構。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1つの部品長さ検知機構において、
前記移動手段は、前記部品を直線状の経路上に移動させること、
を特徴とする部品長さ検知機構。
【請求項6】
部品を受け取る部品受取部と、
前記部品の長さを検知する部品長さ検知部と、
前記部品長さ検知部の検知結果をもとに前記部品を外部機器へ供給する部品供給部と、
前記部品供給部にて前記外部機器へ供給しなかった前記部品を破棄する部品破棄部と、を有し、
前記部品長さ検知部では、1組の発光手段と受光手段とからなる光センサの前記発光手段が発する光の照射方向と前記部品の移動方向とが鋭角に交わるようにして、前記部品が移動する経路における第1検査位置と前記第1検査位置よりも前記発光手段から遠い位置にある第2検査位置の少なくとも2箇所にて前記光センサが前記部品を検知した回数をもとに前記部品の長さを検知し、
前記部品受取部と前記部品長さ検知部と前記部品供給部と前記部品破棄部とが前記部品が移動する経路上に設けられていること、
を特徴とする部品供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−47468(P2012−47468A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187086(P2010−187086)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】