説明

部外者監視システム

【課題】建造物の内部へ入った部外者の行動や滞在時間を管理・監視し、警告を行うと共に、撮像を行う部外者監視システムを提供する。
【解決手段】部外者監視システムは、管理サーバ、カメラ、カード通信装置、監視者端末とを有しており、管理サーバは、入館登録受付手段と、退館登録受付手段と、出入情報記憶手段と、カード通信装置で読み取った識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報とその時刻の情報とをカード通信装置から受信する位置情報受付手段と、位置情報記憶手段と、記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、部外者が不審な行動を取っていないかを、記憶装置に記憶した部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定する判定手段と、異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、を有する部外者監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の内部へ入った部外者の行動や滞在時間を管理・監視し、所定の条件を満たした場合に警告を行うと共に、撮像を行う部外者監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や団体などの組織体の機密情報に対する危機意識の高まりによって、建造物内部への部外者の入場制限、行動制限などをとる企業等が多くなってきている。そして従来より警備や監視などのために、建造物内部の移動体(人間や物、車両など)の移動を把握して撮像したり、その移動軌跡を表示したりする発明が下記特許文献1乃至特許文献6に開示されている。
【0003】
これらの従来技術では、例えば、高齢者などの移動体に識別手段を取り付け、高齢者の所在する位置を撮像するカメラで撮像し、看護者が時間を指定することでその高齢者の移動した画像を見ることが出来たり、行動を把握することが出来る。
【0004】
また移動体に無線タグなどを取り付けておき、カメラで撮像した画像の中から、当該移動体の画像を特定したり、管理者に通知をするシステム、或いは店舗内の客の移動軌跡を分析するシステムなどが存在する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−44956号公報
【特許文献2】特開2004−80347号公報
【特許文献3】特開2005−141482号公報
【特許文献4】特開2005−196690号公報
【特許文献5】特開2002−269639号公報
【特許文献6】特開2003−263641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、建造物内部のセキュリティを確保するためには、不審な行動を取る部外者の現在の状況を監視し、その行動を逐一記録に取っておく必要がある。しかし上述の特許文献1に開示されている各発明では、単に撮像対象となる高齢者の位置を把握し、その移動した画像を後に見ることが出来るにすぎない。そして、現在、どの場所にいてどのようなことをしているかを撮影することは出来ない。また単一の目的に対して考えられたシステムなので、異なる目的を持った多数の人が出入りするオフィスビルのような建造物には適用することが出来ない。また時刻を指定して画像を閲覧しなければならないので、ある程度行動の予測可能な高齢者ならば適用できても、目的に応じて行動が予測不可能な建造物内部の部外者の不審な行動を把握することは出来ない。また従来技術では常に撮像しているので、単なる来客などは常に監視されていることを意識せざるを得ず、心理的なプレッシャーがかかってしまう。
【0007】
また上述の特許文献に於いて、移動体の画像を、撮像した画像の中から特定したり、通知するシステムの場合、現在の状況を把握することは出来ないし、単に移動中の画像を撮像しているに過ぎないので、上述の場合と同様に、普通の部外者(単なる来客者など)と不審な部外者との区別は出来ず、そのまま撮像を行っているに過ぎない。
【0008】
また上述の特許文献に於いて、移動軌跡を分析できるシステムでは、部外者の移動後の軌跡しか分からず、現在どのような行動を取っているか、つまり不審な行動をしているのか、単に会議室などの目的地に向かっているかを把握することまでは出来ない。
【0009】
特に部外者として注意すべきなのは、不法に建造物内部に侵入する者よりも、許可されて建造物内部に侵入した後に、書類やデータの窃盗などの不法行為を行う者である。例えば清掃の際に、書類やデータを窃盗したり、荷物を配達する際に、本来なら許可されない部屋に侵入し、書類やデータを窃盗したりする事例である。
【0010】
このような不審な行為を行う部外者に対しては、単にカメラで撮像をしたりするだけでは対処することが出来ない。またカメラで撮像をしていたとしても、建造物内部に入った殆どの部外者(清掃人、配達人等)は、不審な行為を行わず、通常定められた業務を行っているに過ぎないことから、部外者の全てを常に撮像しておくことも現実的ではないし、その部外者毎の行動パターンは全く異なるため、単一の目的に応じたシステムを適用することは困難である。また常に撮像を行っている場合には、その記録を保管しておくことも情報量が増えるだけである。更に仮に撮像した期間内に不法行為が行われていたとしても、その画像を探し出すだけで非常に大変である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明者は、建造物内部に許可されて入場した者の移動をICタグなどにより監視し、その者が予め定められた条件、例えば許可されていないフロアーや部屋に侵入した、所定時間以上一カ所にとどまっている、同じ場所を何度も往復している等の条件を満たした場合に、不審な行為を行っている部外者として近隣のカメラで撮像を行い、警備に対して通知する、部外者監視システムを発明した。
【0012】
請求項1の発明は、建造物内部の部外者を監視する部外者監視システムであって、前記部外者監視システムは、管理サーバとカメラとカード通信装置と監視者端末とを有しており、前記カード通信装置は、前記部外者に対して渡された識別証との間で無線通信を行い、前記識別証の識別情報を受信し、前記カメラは、前記管理サーバからの撮像指示に基づいて撮像を行い、その画像を前記管理サーバに送信し、前記監視者端末は、前記部外者が建造物に入館する際に、少なくとも前記部外者の識別証の識別情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、前記部外者が前記建造物から退館する際に、前記部外者の退館の情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、少なくとも前記識別証の識別情報を前記監視者端末から受信する入館登録受付手段と、前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信する退館登録受付手段と、前記入館登録受付手段、前記退館登録受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる出入情報記憶手段と、前記カード通信装置で読み取った識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報を、前記カード通信装置から受信する位置情報受付手段と、前記位置情報受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、前記管理サーバの記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した予め定められた判定条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段で異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、を有する、部外者監視システムである。
【0013】
本発明によって、部外者の建造物内部に於ける行動を監視し、何らかの異常を検知した場合に、警告を行うことが出来る。
【0014】
請求項2の発明は、建造物内部の部外者を監視する部外者監視システムであって、前記部外者監視システムは、管理サーバとカメラとカード通信装置と監視者端末とを有しており、前記カード通信装置は、前記部外者に対して渡された識別証との間で無線通信を行い、前記識別証の識別情報を受信し、前記カメラは、前記管理サーバからの撮像指示に基づいて撮像を行い、その画像を前記管理サーバに送信し、前記監視者端末は、前記部外者が建造物に入館する際に、少なくとも前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、前記部外者が前記建造物から退館する際に、前記部外者の退館の情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、少なくとも前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報を前記監視者端末から受信する入館登録受付手段と、前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信する退館登録受付手段と、前記入館登録受付手段、前記退館登録受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる出入情報記憶手段と、前記カード通信装置で読み取った識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報とその時刻の情報とを、前記カード通信装置から受信する位置情報受付手段と、前記位置情報受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、前記管理サーバの記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した前記部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段で異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、を有する部外者監視システムである。
【0015】
本発明によって、建造物内部の部外者の来訪目的に応じた監視を行うことが可能となり、従来よりもより的確な監視が行える。
【0016】
請求項3の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記判定手段は、前記部外者の来訪目的が打ち合わせの場合、前記行き先以外の場所の同一又は隣接するカード通信装置の識別情報を連続して所定時間分以上記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、部外者監視システムである。
【0017】
請求項4の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記判定手段は、前記部外者の来訪目的が打ち合わせの場合、前記行き先となるフロアへの経路以外のカード通信装置の識別情報を記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、部外者監視システムである。
【0018】
部外者の来訪目的が打ち合わせの場合には、判定条件をこれらのようにすると良い。
【0019】
請求項5の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記判定手段は、前記部外者の来訪目的が宅配の場合、前記行き先の場所の同一又は隣接するカード通信装置の識別情報を連続して所定時間分以上記録している場合、或いは入館登録の時刻から所定時間以上、退館の登録がない場合、には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、部外者監視システムである。
【0020】
請求項6の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記判定手段は、前記部外者の来訪目的が宅配の場合、前記行き先となるフロアへの経路以外のカード通信装置の識別情報を記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、部外者監視システムである。
【0021】
部外者の来訪目的が宅配の場合には、判定条件をこれらのようにすると良い。
【0022】
請求項7の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の清掃場所を行き先として監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記判定手段は、前記部外者の来訪目的が清掃の場合、前記清掃場所の同一又は隣接するカード通信装置の識別情報を連続して所定時間以上記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、部外者監視システムである。
【0023】
請求項8の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の清掃場所を行き先として監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記判定手段は、前記部外者の来訪目的が清掃の場合、前記部外者の清掃場所への経路以外のカード通信装置の識別情報を記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、部外者監視システムである。
【0024】
部外者の来訪目的が清掃の場合には、判定条件をこれらのようにすると良い。
【0025】
請求項9の発明において、前記判定手段は、前記部外者の所持する識別証の識別情報を、予め定められた時間以上、前記位置情報受付手段で前記カード通信装置から受信できなかった場合には、異常と判定する、部外者監視システムである。
【0026】
部外者が受付などで退館登録をしないで建造物から退館してしまう可能性がある。そのような場合も本発明で異常として判定することが出来る。
【0027】
請求項10の発明において、前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の属性情報を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、前記警告手段は、前記部外者の属性情報、異常を検知した位置とを前記管理サーバの記憶装置から取得して、警告に含める、部外者監視システムである。
【0028】
本発明のように構成することで、警告の際に対象となった部外者とその場所とをすぐに特定することが出来る。
【0029】
請求項11の発明において、前記管理サーバは、更に、前記カード通信装置の識別情報に基づいて、そのカード通信装置に対応付けられたカメラを選択するカメラ検索手段と、前記カメラ検索手段で検索したカメラに対して撮像指示を送信する撮像指示手段と、前記撮像したカメラから画像を受信する画像受信手段と、を有しており、前記警告手段は、前記警告において、更に前記カメラで撮像した画像を含める部外者監視システムである。
【0030】
本発明のように構成することで、警告の際に、部外者の行動を画像で見ることが出来るので、監視者はより適切な対応を取ることが出来る。
【0031】
請求項12の発明において、前記警告手段は、更に、前記警告において前記カメラで現在撮像している画像を見られるアクセス先へのリンクを含める、部外者監視システムである。
【0032】
このようにリンクを含めることで、部外者の現在の行動をリアルタイムで確認することが出来る。
【0033】
請求項13の発明は、建造物内部の部外者を監視する部外者監視システムに用いる管理サーバであって、前記管理サーバは、カメラとカード通信装置と監視者端末とデータの送受信が可能であり、前記管理サーバは、前記監視者端末に入力された前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報を少なくとも前記監視者端末から受信する入館登録受付手段と、前記監視者端末に入力された前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信する退館登録受付手段と、前記入館登録受付手段、前記退館登録受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる出入情報記憶手段と、前記カード通信装置が読み取った、前記部外者に対して渡された識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報とその時刻の情報とを、前記カード通信装置から受信する位置情報受付手段と、前記位置情報受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、前記管理サーバの記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した前記部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段で異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、を有する管理サーバである。
【0034】
本発明のように構成することで、部外者監視システムで用いる管理サーバを構成することが出来る。
【0035】
請求項14の発明は、管理サーバを用いて建造物内部の部外者を監視する部外者の監視方法であって、前記管理サーバは、監視者が利用する監視者端末に入力された前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報を少なくとも前記監視者端末から受信して記憶装置に記憶するステップと、建造物内部に設置されたカード通信装置が読み取った、前記部外者に対して渡された識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報とその時刻の情報とを、前記カード通信装置から受信して前記記憶装置に記憶するステップと、前記記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した前記部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定するステップと、前記判定において異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知するステップと、前記部外者が退館する際に、前記監視者端末に入力された前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信して記憶装置に記憶するステップと、を有する部外者の監視方法である。
【0036】
上述の部外者監視システムや管理サーバは、本発明のような処理プロセスで行うと良い。
【発明の効果】
【0037】
本発明によって、部外者の来訪目的に応じた的確な監視を自動的に行うことが出来る。またカメラで常に撮像していない構成とすることも出来、その場合には、必要最低限の撮像量で部外者を監視し、その記録を取っておくことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の部外者監視システムの全体の概念図を図1に、システム構成の一例を図2のシステム構成図に示す。本発明の部外者監視システムは、管理サーバ1、カメラ3、カード通信装置4、監視者端末2とを有している。
【0039】
管理サーバ1は、部外者監視システム全体の制御を行うサーバである。管理サーバ1は、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置と、演算装置の処理結果や記憶装置に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置とを少なくとも有しており、管理サーバ1の各機能は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュール)が演算装置に読み込まれることで本発明の処理が行われる。各手段は、記憶装置に記憶した情報をその処理において利用する場合には、該当する情報を当該記憶装置から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置における処理に用いる。また当該管理サーバ1には、更に、キーボードやマウスなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置を有していても良い。
【0040】
監視者端末2は、建造物の警備員、管理人、受付担当者(本明細書では、これらを総称して監視者と呼ぶ)が利用するコンピュータ端末であって、監視者が部外者の入館登録、退館登録を入力したり、不審な行動を取る部外者がいることの警告が通知されるコンピュータ端末である。
【0041】
カメラ3は、建造物内部の各所に取り付けられており、監視対象とする箇所に、その領域が視野に入るように取り付けることが好ましい。また死角がないようにするとセキュリティを向上させられる。またこのカメラ3は、管理サーバ1からの指示に基づいて撮像を行ったり、撮像した画像データを管理サーバ1に送信する。尚、カメラ3は常に撮像をしていても良いし、上述のように管理サーバ1からの指示があった場合にだけ撮像をしても良い。またカメラ3で撮像する画像は、静止画像でも動画像のいずれであっても良いし、更に撮像時の音声情報が付随していても良い。
【0042】
カード通信装置4は、部外者に入館の際に渡される入館証やバッジなどの、部外者であることを示す識別証に取り付けられた無線ICタグなどと無線通信可能であって、その情報を読み取る装置である。カード通信装置4は、廊下、扉、階段、エレベーターなど必要箇所に適宜設置されており、カード通信装置4の通信可能領域(受信圏内)に、無線ICタグなどが取り付けられた識別証を有する部外者が侵入した際に、無線ICタグなどから所定の情報(例えば識別証の識別情報)を受信する。
【0043】
管理サーバ1は、入館登録受付手段5と出入情報記憶手段6と位置情報受付手段7と位置情報記憶手段8と判定手段9と撮像指示手段10とカメラ検索手段11と画像受信手段12と警告手段13と退館登録受付手段14とを有する。
【0044】
入館登録受付手段5は、部外者が建造物への入館の際に、監視者が監視者端末2から入力した、当該部外者の氏名、会社名等の属性情報、入館時刻、訪問先、入館者に渡す識別証の識別情報(無線ICタグの識別情報であっても良い)等の情報を、ネットワークを介して受信する手段である。
【0045】
出入情報記憶手段6は、入館登録受付手段5、退館登録受付手段14で受信した情報を、管理サーバ1の記憶装置に記憶させる手段である。
【0046】
位置情報受付手段7は、カード通信装置4からネットワークを介して、カード通信装置4で読み取った識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報とその時刻の情報とを受信する手段である。
【0047】
位置情報記憶手段8は、位置情報受付手段7で受信した情報を、管理サーバ1の記憶装置に記憶させる手段である。
【0048】
判定手段9は、管理サーバ1の記憶装置に記憶した識別証の識別情報と、カード通信装置4の識別情報と、時刻の情報とに基づいて、当該部外者が不審な行動を取っていないかを判定する手段である。部外者が不審な行動を取っているか否かは、識別証の識別情報と、カード通信装置4の識別情報とに基づいて、所定の条件を満たしているか否かにより判定する。
【0049】
撮像指示手段10は、判定手段9での判定の結果、部外者が不審な行動を取っていると判定した場合には、カード通信装置4の識別情報に基づいて、当該カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を検索する要求をカメラ検索手段11に渡し、その検索結果のカメラ3に対して、撮像指示を行う手段である。
【0050】
カメラ検索手段11は、撮像指示手段10からカメラ3の検索要求を受け取ると、カード通信装置4の識別情報に基づいて、そのカード通信装置4と対応付けられたカメラ3を選択し、検索結果として撮像指示手段10に結果を返す手段である。カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3は、予め対応付けて管理サーバ1の記憶装置に記憶されている。この概念図を図4に示す。
【0051】
画像受信手段12は、カメラ3で撮像された画像をネットワークを介して受信する手段である。また画像受信手段12で受信した画像は、位置情報記憶手段8が、当該カード通信装置4の識別情報と対応付けて(即ち、部外者の位置情報と対応付けて)、管理サーバ1の記憶装置に記憶させる。
【0052】
警告手段13は、判定手段9での判定の結果、部外者が不審な行動を取っていると判定した場合には、予め定められた者の利用する端末に対して、所定の警告を通知する手段である。例えば、監視者の利用する監視者端末2、監視者が所持する携帯端末(携帯電話、PHS、PDA等)などに警告を電子メールなどで通知する。この警告には、位置情報記憶手段8が管理サーバ1の記憶装置に記憶させた、カメラ3で撮像した画像、部外者が誰であるかを示す情報(氏名や識別証の識別情報)、不審な行動を取っていると判定された位置を示す情報が含まれていると良い。また、カメラ3が動画像を撮像可能な場合、当該警告に撮像したカメラ3の現在の動画像を見られるアクセス先(URL)へのリンクが設けられていると良い。
【0053】
退館登録受付手段14は、部外者が建造物から退館する際に識別証の返却を受けて、監視者が監視者端末2から入力した退館の情報を、ネットワークを介して受信する手段である。監視者は、監視者端末2に部外者の識別証の識別情報を入力すると共に、「退館」を示す情報を入力することによって、それらの情報を退館登録受付手段14で受信し、出入情報記憶手段6が、当該部外者が退館したことを管理サーバ1の記憶装置に記憶させる。
【0054】
次に本発明の部外者監視システムの処理プロセスの一例を図3のフローチャート、図1の概念図、図2のシステム構成図を用いて説明する。
【実施例1】
【0055】
まず部外者Aが、当該建造物に入居している企業の担当者Xと打ち合わせのために来訪した場合を説明する。この場合、当該企業の担当者Xは、予め所定の方法で部外者Aが来訪することを監視者端末2から閲覧可能にしておくと好ましい。
【0056】
部外者Aが建造物内部に入ると、通常はまず受付に行き、自らの氏名、社名、来訪目的、行き先を伝える。この際に受付担当者(監視者)は部外者Aから聴取した内容を、監視者端末2に入力する。例えば部外者Aの氏名、社名、来訪目的、行き先を監視者端末2に入力し、更に部外者Aに渡す識別証の識別情報を入力する。このようにすることで入館登録を行う(S100)。この際に監視者端末2は入館登録をした時刻を併せて記録する。
【0057】
入館登録の際に入力された情報の一部又は全部の情報を監視者端末2は、ネットワークを介して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1の入館登録受付手段5は、受付担当者(監視者)が監視者端末2から入力した、部外者Aの氏名、社名、入館時刻、来訪目的、行き先、識別証の識別情報を受信し、出入情報記憶手段6が、管理サーバ1の記憶装置に当該情報を記録する(S110)。
【0058】
部外者Aはこのようにして入館登録を済ませると、識別証を身につけ、行き先に向かって建造物内部を移動する。部外者Aが移動を行うことによって、廊下、扉、階段、エレベーターなど必要箇所に適宜設置されているカード通信装置4の通信可能領域に部外者Aが入ると、識別証に取り付けられた無線ICタグ等により、識別証の識別情報をカード通信装置4が受信する。
【0059】
カード通信装置4は、識別証の識別情報を受信すると、受信した時刻の情報とカード通信装置4の識別情報と共に、それらを管理サーバ1に送信する(S130)。管理サーバ1の位置情報受付手段7は、ネットワークを介して、カード通信装置4からカード通信装置4で読み取った識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報と時刻の情報とを受信し、位置情報記憶手段8が、それらを管理サーバ1の記憶装置に記憶させる(S140)。
【0060】
これによって、部外者Aが当該時刻においてどこにいるかを判別することが出来る。即ち、識別証の識別情報において部外者Aであることがわかり、カード通信装置4の識別情報によって部外者Aが当該時刻にその通信可能領域に存在することを判別することができる。
【0061】
このように部外者Aが移動することによって、移動途中にあるカード通信装置4が、部外者Aがつけている識別証の識別情報を読み取り、逐次、部外者Aの移動を把握することが出来る。
【0062】
逐次、部外者Aの識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報と時刻の情報を受信している間、所定のタイミングで、判定手段9が管理サーバ1の記憶装置に記憶したこれらの情報に基づいて、部外者Aの当該場所の滞在時間、滞在場所を判定する(S150)。この判定の際には、管理サーバ1の記憶装置に記憶した当該部外者の来訪目的に基づいて、その来訪目的に対応した判定を行う。
【0063】
即ち、管理サーバ1の記憶装置に記録する部外者Aの来訪目的は打ち合わせの為なので、行き先となる場所以外の場所に所定時間(例えば5分)滞在することは通常ではない。そこで、同一又は隣接するカード通信装置4の識別情報を連続して記録している時間を算出することでその滞在時間を算出し、行き先となる場所以外の場所で所定時間以上滞在している場合には、判定手段9は、部外者Aは不審な行動を取っていると判定して異常を検知する。
【0064】
また部外者Aの来訪目的は打ち合わせの為なので、行き先となる場所のフロア(階数)以外の廊下や部屋などには入ることは通常ではない。そこで、行き先となる場所以外の場所のフロアにいるかどうかを判定し、行き先となる場所以外の場所にいる場合には、判定手段9は、部外者Aは不審な行動を取っていると判定して異常を検知する。つまり、行き先となるフロアへの経路以外のカード通信装置4の識別情報を管理サーバ1の記憶装置に記録している場合には、部外者が不審な行動を取っているとして異常として判定する。尚、来訪目的が打ち合わせの場合には、社員と一緒に行動することもある。従って予め登録された社員と所定範囲内にいる場合には、行き先以外の場所にいても異常と判定しなくても良い。この場合、部外者と同様に、社員も名札等に取り付けた無線ICタグなどでその位置が把握されているので、部外者と社員との位置を比較すればよい。
【0065】
この判定の結果、異常がないようであれば(S160)、次の判定のタイミングが来るまで待機し、その間、部外者Aの移動により、カード通信装置4が部外者Aの識別証の識別情報を読み取ることとなる。
【0066】
一方、判定の結果、異常を検知した場合(S160)、撮像指示手段10は、カード通信装置4の識別情報をカメラ検索手段11に渡し、当該カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を検索する要求をカメラ検索手段11に行う。カメラ検索手段11は、撮像指示手段10からのカメラ3の検索要求とカード通信装置4の識別情報とを受け取ると、カード通信装置4の識別情報に基づいて、カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を管理サーバ1の記憶装置から検索し、検索結果として撮像指示手段10に返す。図4の場合、例えばカード識別情報が「10」の場合、「カメラ3A」を検索結果として返し、カード識別情報が「12」の場合は、「カメラ3C、カメラ3D」を検索結果として返すこととなる。
【0067】
カメラ検索手段11の検索結果を受け取った撮像指示手段10は、当該カメラ3に対して、撮像指示を送信し、それを受信したカメラ3は、撮像を行う(S170)。例えば検索結果が「カメラ3A」の場合には、カメラ3Aに対して撮像指示を行い、検索結果が「カメラ3C、カメラ3D」の場合には、カメラ3Cとカメラ3Dに対して撮像指示を行う。
【0068】
この撮像指示を受けたカメラ3は、撮像した画像をネットワークを介して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1の画像受信手段12はカメラ3が撮像した画像を受信し、位置情報記憶手段8が、当該カード通信装置4の識別情報と対応付けて、管理サーバ1の記憶装置に当該画像を記録する。
【0069】
そして警告手段13が、管理サーバ1の記憶装置に記憶している、カメラ3で撮像した画像、部外者が誰であるかを示す情報(氏名、識別証の識別情報)、不審な行動を取っていると判定された位置を含めて、所定の者の利用する端末に対して警告を通知する(S180)。例えば受付の端末、建造物の管理者の端末、警備の端末、警備員が所持する携帯端末などに警告を通知すると良い。
【0070】
部外者Aが退館するまで上述の処理を行う。そして退館する際には、部外者Aが打ち合わせを終了して再度受付に戻り、部外者Aに渡された識別証を返却する。これを受けて、受付担当者は、部外者Aの識別証の識別情報を監視者端末2に入力し、退館の情報を登録する(S190)。
【0071】
そして入力された情報は監視者端末2から管理サーバ1に送信され、管理サーバ1の退館登録受付手段14で、識別証の識別情報と退館の情報とを受信する。出入情報記憶手段6は、識別証の識別情報に基づいて、当該識別証の部外者Aが退館したことの情報を、管理サーバ1の記憶装置に記憶させる。これで部外者Aが当該建造物から退館したことが登録される。
【実施例2】
【0072】
次に部外者Bが宅配業者であり、当該建造物に入居している企業に荷物を宅配するために来訪した場合を説明する。
【0073】
部外者Bが建造物内部に入ると、通常はまず受付に行き、自らの氏名、来訪目的、行き先を伝える。この際に受付担当者(監視者)は部外者Bから聴取した内容を、監視者端末2に入力する。例えば部外者Bの氏名、来訪目的(宅配)、行き先(届け先の部署や会社)を監視者端末2に入力し、更に部外者Bに渡す識別証の識別情報を入力する。このようにすることで入館登録を行う(S100)。この際に監視者端末2は入館登録をした時刻を併せて記録する。
【0074】
入館登録の際に入力された情報の一部又は全部の情報を監視者端末2は、ネットワークを介して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1の入館登録受付手段5は、受付担当者(監視者)が監視者端末2から入力した、部外者Bの氏名、入館時刻、来訪目的、行き先、識別証の識別情報を受信し、出入情報記憶手段6が、管理サーバ1の記憶装置に当該情報を記録する(S110)。
【0075】
部外者Bはこのようにして入館登録を済ませると、行き先に向かって建造物内部を移動する。部外者Bが移動を行うことによって、廊下、扉、階段、エレベーターなど必要箇所に適宜設置されているカード通信装置4の通信可能領域に部外者Bが入ると、識別証に取り付けられた無線ICタグ等により、識別証の識別情報をカード通信装置4が受信する。
【0076】
カード通信装置4は、識別証の識別情報を受信するとその時刻の情報とカード通信装置4の識別情報と共に、それらを管理サーバ1に送信する(S130)。管理サーバ1の位置情報受付手段7は、ネットワークを介して、カード通信装置4からカード通信装置4で読み取った識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報と時刻の情報とを受信し、位置情報記憶手段8が、それらを管理サーバ1の記憶装置に記憶させる(S140)。
【0077】
逐次、部外者Bの識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報と時刻の情報を受信している間、所定のタイミングで、判定手段9が管理サーバ1の記憶装置に記憶したこれらの情報に基づいて、部外者Bの当該場所の滞在時間、滞在場所を判定する(S150)。この判定の際には、管理サーバ1の記憶装置に記憶した当該部外者の来訪目的に基づいて、その来訪目的に対応した判定を行う。
【0078】
即ち、管理サーバ1の記憶装置に記録する部外者Bの来訪目的は宅配なので、行き先となる場所以外の場所に所定時間(例えば5分)滞在することは通常ではないし、建造物内部での滞在時間も長時間(例えば30分)とはならない。そこで、同一又は隣接するカード通信装置4の識別情報を連続して記録している時間を算出することでその滞在時間を算出し、行き先となる場所以外の場所、或いは建造物内部で所定時間以上滞在している場合(入館時刻から所定時間経過しても退館の登録がない場合)には、判定手段9は、部外者Bは不審な行動を取っていると判定して異常を検知する。
【0079】
また部外者Bの来訪目的は宅配なので、行き先となる場所のフロア(階数)以外の廊下や部屋などには入ることは通常ではない。そこで、行き先となる場所以外の場所のフロアにいるかどうかを判定し、行き先となる場所以外の場所にいる場合には、判定手段9は、部外者Bは不審な行動を取っていると判定して異常を検知する。つまり、行き先となるフロアへの経路以外のカード通信装置4の識別情報を管理サーバ1の記憶装置に記録している場合には、部外者が不審な行動を取っているとして異常として判定する。
【0080】
この判定の結果、異常がないようであれば(S160)、次の判定のタイミングが来るまで待機し、その間、部外者Bの移動により、カード通信装置4が部外者Bの識別証の識別情報を読み取ることとなる。
【0081】
一方、判定の結果、異常を検知した場合(S160)、撮像指示手段10は、カード通信装置4の識別情報をカメラ検索手段11に渡し、当該カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を検索する要求をカメラ検索手段11に行う。カメラ検索手段11は、撮像指示手段10からのカメラ3の検索要求とカード通信装置4の識別情報とを受け取ると、カード通信装置4の識別情報に基づいて、カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を管理サーバ1の記憶装置から検索し、検索結果として撮像指示手段10に返す。
【0082】
カメラ検索手段11の検索結果を受け取った撮像指示手段10は、当該カメラ3に対して、撮像指示を送信し、それを受信したカメラ3は、撮像を行う(S170)。
【0083】
この撮像指示を受けたカメラ3は、撮像した画像をネットワークを介して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1の画像受信手段12はカメラ3が撮像した画像を受信し、位置情報記憶手段8が、当該カード通信装置4の識別情報と対応付けて、管理サーバ1の記憶装置に当該画像を記録する。
【0084】
そして警告手段13が、管理サーバ1の記憶装置に記憶している、カメラ3で撮像した画像、部外者が誰であるかを示す情報(氏名、識別証の識別情報)、不審な行動を取っていると判定された位置を含めて、所定の者の利用する端末に対して警告を通知する(S180)。例えば受付の端末、建造物の管理者の端末、警備の端末、警備員が所持する携帯端末などに警告を通知すると良い。
【0085】
部外者Bが退館するまで上述の処理を行う。そして退館する際には、部外者Bが宅配を終えて再度受付に戻り、部外者Bに渡された識別証を返却する。これを受けて、受付担当者は、部外者Bの識別証の識別情報を監視者端末2に入力し、退館の情報を登録する(S190)。
【0086】
そして入力された情報は監視者端末2から管理サーバ1に送信され、管理サーバ1の退館登録受付手段14で、識別証の識別情報と退館の情報とを受信する。出入情報記憶手段6は、識別証の識別情報に基づいて、当該識別証の部外者Bが退館したことの情報を、管理サーバ1の記憶装置に記憶させる。これで部外者Bが当該建造物から退館したことが登録される。
【実施例3】
【0087】
次に部外者Cが清掃業者であり、当該建造物に入居している企業の清掃を行う場合を説明する。
【0088】
部外者Cが清掃を行う場合、実施例1、実施例2のように受付に行くことはない。そこで所定の方法(例えば警備員に連絡するなどして)、自らの氏名、清掃目的(来訪目的に該当)、清掃する範囲(行き先に該当)により、監視者端末2から入館登録を行う(S100)。また部外者Cには、清掃会社の責任者や警備員などから識別証が渡され、識別証の識別情報も併せて入館登録で入力される。
【0089】
入館登録の際に入力された情報の一部又は全部の情報を監視者端末2は、ネットワークを介して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1の入館登録受付手段5は、監視者端末2から入力された部外者Cの氏名、入館時刻、清掃目的、清掃する範囲、識別証の識別情報を受信し、出入情報記憶手段6が、管理サーバ1の記憶装置に当該情報を記録する(S110)。
【0090】
部外者Cはこのようにして入館登録を済ませると、所定の順序に従って清掃を開始する。部外者Cが清掃を行うことによって、廊下、扉、階段、エレベーターなど必要箇所に適宜設置されているカード通信装置4の通信可能領域に部外者Cが入ると、識別証に取り付けられた無線ICタグ等により、識別証の識別情報をカード通信装置4が受信する。
【0091】
カード通信装置4は、識別証の識別情報を受信するとその時刻の情報とカード通信装置4の識別情報と共に、それらを管理サーバ1に送信する(S130)。管理サーバ1の位置情報受付手段7は、ネットワークを介して、カード通信装置4からカード通信装置4で読み取った識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報と時刻の情報とを受信し、位置情報記憶手段8が、それらを管理サーバ1の記憶装置に記憶させる(S140)。
【0092】
逐次、部外者Cの識別証の識別情報とカード通信装置4の識別情報と時刻の情報を受信している間、所定のタイミングで、判定手段9が管理サーバ1の記憶装置に記憶したこれらの情報に基づいて、部外者Cの当該場所の滞在時間、滞在場所を判定する(S150)。この判定の際には、管理サーバ1の記憶装置に記憶した当該部外者の来訪目的に基づいて、その来訪目的に対応した判定を行う。
【0093】
即ち、管理サーバ1の記憶装置に記録する部外者Cの来訪目的は清掃なので、清掃場所であっても同一の場所に所定時間(例えば5分)滞在することは通常ではない。寧ろそこで何らかの不正をはたらいている可能性がある。そこで、同一又は隣接するカード通信装置4の識別情報を連続して記録している時間を算出することでその滞在時間を算出し、清掃場所であって同一又は隣接する場所に所定時間以上、滞在している場合には、判定手段9は、部外者Cは不審な行動を取っていると判定して異常を検知する。
【0094】
また部外者Cの来訪目的は清掃なので、部外者Cの担当する清掃場所以外の場所に入ることは通常ではない。そこで、清掃場所以外の場所にいるかどうかを判定し、清掃場所以外の場所にいる場合には、判定手段9は、部外者Cは不審な行動を取っていると判定して異常を検知する。つまり部外者の清掃場所以外のカード通信装置4の識別情報を記録している場合には異常として検知する。
【0095】
この判定の結果、異常がないようであれば(S160)、次の判定のタイミングが来るまで待機し、その間、部外者Cの移動により、カード通信装置4が部外者Cの識別証の識別情報を読み取ることとなる。
【0096】
一方、判定の結果、異常を検知した場合(S160)、撮像指示手段10は、カード通信装置4の識別情報をカメラ検索手段11に渡し、当該カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を検索する要求をカメラ検索手段11に行う。カメラ検索手段11は、撮像指示手段10からのカメラ3の検索要求とカード通信装置4の識別情報とを受け取ると、カード通信装置4の識別情報に基づいて、カード通信装置4の近傍を撮像可能なカメラ3を管理サーバ1の記憶装置から検索し、検索結果として撮像指示手段10に返す。
【0097】
カメラ検索手段11の検索結果を受け取った撮像指示手段10は、当該カメラ3に対して、撮像指示を送信し、それを受信したカメラ3は、撮像を行う(S170)。
【0098】
この撮像指示を受けたカメラ3は、撮像した画像をネットワークを介して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1の画像受信手段12はカメラ3が撮像した画像を受信し、位置情報記憶手段8が、当該カード通信装置4の識別情報と対応付けて、管理サーバ1の記憶装置に当該画像を記録する。
【0099】
そして警告手段13が、管理サーバ1の記憶装置に記憶している、カメラ3で撮像した画像、部外者が誰であるかを示す情報(氏名、識別証の識別情報)、不審な行動を取っていると判定された位置を含めて、所定の者の利用する端末に対して警告を通知する(S180)。例えば受付の端末、建造物の管理者の端末、警備の端末、警備員が所持する携帯端末などに警告を通知すると良い。
【0100】
部外者Cが退館するまで上述の処理を行う。そして退館する際には、部外者Cが清掃を終えて再度所定の場所に戻り、部外者Cに渡された識別証を返却する。これを受けて、清掃会社の責任者や警備員は、部外者Cの識別証の識別情報を監視者端末2に入力し、退館の情報を登録する(S190)。
【0101】
そして入力された情報は監視者端末2から管理サーバ1に送信され、管理サーバ1の退館登録受付手段14で、識別証の識別情報と退館の情報とを受信する。出入情報記憶手段6は、識別証の識別情報に基づいて、当該識別証の部外者Cが退館したことの情報を、管理サーバ1の記憶装置に記憶させる。これで部外者Cが当該建造物から退館したことが登録される。
【実施例4】
【0102】
上述の実施例1〜実施例3に加えて、判定手段9は、研究室、金庫室、資料室、役員室などの予め定められた禁止場所に、部外者が所定距離(例えば10m)にあるカード通信装置4と通信した場合(つまり部外者が所定距離以内に禁止場所に近づいた場合)にも、不審な行動を取っている、と判定して異常を検知しても良い。
【実施例5】
【0103】
上述の実施例1〜実施例4に加えて、判定手段9は、予め定められた時間以上、部外者が所持する識別証の識別情報を、位置情報受付手段7でカード通信装置4から受信できなかった場合、その部外者が無断退館したものとして異常と判定し、警告手段13から所定の者の利用する端末に対して警告を通知するように構成しても良い。判定手段9で無断退館として判定した部外者については、管理サーバ1の記憶装置に、当該部外者が入館登録時に管理サーバ1の記憶装置に記憶した氏名、会社名等の属性情報を、所謂ブラックリストとしてデータベースなどに記憶しておくと良い。そして新たに当該部外者が再来し、監視者端末2から部外者の入館登録の情報を受け付けた際に、氏名等の属性情報に基づいて当該ブラックリストのデータベースを検索し、同名、同所属先である場合には、監視者端末2に警告の情報を通知するように構成することも出来る。
【実施例6】
【0104】
また上述の実施例1〜実施例5に加えて入館登録の場合に、顔写真が事前に管理サーバ1の記憶装置に記憶している場合には、それらも入館登録に含めると良い。
【実施例7】
【0105】
更に上述の実施例1〜実施例6に加えて警告を行う際には、部外者の移動経路(部外者が通過した管理サーバ1の位置の時系列表示)を管理サーバ1の記憶装置から取得して、それを含めても良い。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によって、部外者の来訪目的に応じた的確な監視を自動的に行うことが出来る。またカメラ3で常に撮像していない構成とすることも出来、その場合には、必要最低限の撮像量で部外者を監視し、その記録を取っておくことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の全体の概念図である。
【図2】本発明の全体のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図3】本発明の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図4】カード識別情報とそれに対応付けられたカメラの情報とを概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1:管理サーバ
2:監視者端末
3:カメラ
4:カード通信装置
5:入館登録受付手段
6:出入情報記憶手段
7:位置情報受付手段
8:位置情報記憶手段
9:判定手段
10:撮像指示手段
11:カメラ検索手段
12:画像受信手段
13:警告手段
14:退館登録受付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物内部の部外者を監視する部外者監視システムであって、前記部外者監視システムは、管理サーバとカメラとカード通信装置と監視者端末とを有しており、
前記カード通信装置は、前記部外者に対して渡された識別証との間で無線通信を行い、前記識別証の識別情報を受信し、
前記カメラは、前記管理サーバからの撮像指示に基づいて撮像を行い、その画像を前記管理サーバに送信し、
前記監視者端末は、前記部外者が建造物に入館する際に、少なくとも前記部外者の識別証の識別情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、前記部外者が前記建造物から退館する際に、前記部外者の退館の情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
少なくとも前記識別証の識別情報を前記監視者端末から受信する入館登録受付手段と、
前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信する退館登録受付手段と、
前記入館登録受付手段、前記退館登録受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる出入情報記憶手段と、
前記カード通信装置で読み取った識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報を、前記カード通信装置から受信する位置情報受付手段と、
前記位置情報受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、
前記管理サーバの記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した予め定められた判定条件に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段で異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、を有する、
ことを特徴とする部外者監視システム。
【請求項2】
建造物内部の部外者を監視する部外者監視システムであって、前記部外者監視システムは、管理サーバとカメラとカード通信装置と監視者端末とを有しており、
前記カード通信装置は、前記部外者に対して渡された識別証との間で無線通信を行い、前記識別証の識別情報を受信し、
前記カメラは、前記管理サーバからの撮像指示に基づいて撮像を行い、その画像を前記管理サーバに送信し、
前記監視者端末は、前記部外者が建造物に入館する際に、少なくとも前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、前記部外者が前記建造物から退館する際に、前記部外者の退館の情報の入力を受け付け、それを前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
少なくとも前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報を前記監視者端末から受信する入館登録受付手段と、
前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信する退館登録受付手段と、
前記入館登録受付手段、前記退館登録受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる出入情報記憶手段と、
前記カード通信装置で読み取った識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報とその時刻の情報とを、前記カード通信装置から受信する位置情報受付手段と、
前記位置情報受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、
前記管理サーバの記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した前記部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段で異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、を有する、
ことを特徴とする部外者監視システム。
【請求項3】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記判定手段は、
前記部外者の来訪目的が打ち合わせの場合、前記行き先以外の場所の同一又は隣接するカード通信装置の識別情報を連続して所定時間分以上記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の部外者監視システム。
【請求項4】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記判定手段は、
前記部外者の来訪目的が打ち合わせの場合、前記行き先となるフロアへの経路以外のカード通信装置の識別情報を記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の部外者監視システム。
【請求項5】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記判定手段は、
前記部外者の来訪目的が宅配の場合、前記行き先の場所の同一又は隣接するカード通信装置の識別情報を連続して所定時間分以上記録している場合、或いは入館登録の時刻から所定時間以上、退館の登録がない場合、には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の部外者監視システム。
【請求項6】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の行き先を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記判定手段は、
前記部外者の来訪目的が宅配の場合、前記行き先となるフロアへの経路以外のカード通信装置の識別情報を記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の部外者監視システム。
【請求項7】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の清掃場所を行き先として監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記判定手段は、
前記部外者の来訪目的が清掃の場合、前記清掃場所の同一又は隣接するカード通信装置の識別情報を連続して所定時間以上記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の部外者監視システム。
【請求項8】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の清掃場所を行き先として監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記判定手段は、
前記部外者の来訪目的が清掃の場合、前記部外者の清掃場所への経路以外のカード通信装置の識別情報を記録している場合には、前記部外者が不審な行動を取っているとして異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項7に記載の部外者監視システム。
【請求項9】
前記判定手段は、
前記部外者の所持する識別証の識別情報を、予め定められた時間以上、前記位置情報受付手段で前記カード通信装置から受信できなかった場合には、異常と判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の部外者監視システム。
【請求項10】
前記入館登録受付手段は、更に、前記部外者の属性情報を監視者端末から受信し、前記出入情報記憶手段で記憶装置に記憶させ、
前記警告手段は、
前記部外者の属性情報、異常を検知した位置とを前記管理サーバの記憶装置から取得して、警告に含める、
ことを特徴とする請求項2に記載の部外者監視システム。
【請求項11】
前記管理サーバは、更に、
前記カード通信装置の識別情報に基づいて、そのカード通信装置に対応付けられたカメラを選択するカメラ検索手段と、
前記カメラ検索手段で検索したカメラに対して撮像指示を送信する撮像指示手段と、
前記撮像したカメラから画像を受信する画像受信手段と、を有しており、
前記警告手段は、
前記警告において、更に前記カメラで撮像した画像を含める、
ことを特徴とする請求項2又は請求項10に記載の部外者監視システム。
【請求項12】
前記警告手段は、更に、
前記警告において前記カメラで現在撮像している画像を見られるアクセス先へのリンクを含める、
ことを特徴とする請求項11に記載の部外者監視システム。
【請求項13】
建造物内部の部外者を監視する部外者監視システムに用いる管理サーバであって、前記管理サーバは、カメラとカード通信装置と監視者端末とデータの送受信が可能であり、
前記管理サーバは、
前記監視者端末に入力された前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報を少なくとも前記監視者端末から受信する入館登録受付手段と、
前記監視者端末に入力された前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信する退館登録受付手段と、
前記入館登録受付手段、前記退館登録受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる出入情報記憶手段と、
前記カード通信装置が読み取った、前記部外者に対して渡された識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報とその時刻の情報とを、前記カード通信装置から受信する位置情報受付手段と、
前記位置情報受付手段で受信した情報を前記管理サーバの記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、
前記管理サーバの記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した前記部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段で異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知する警告手段と、
を有することを特徴とする管理サーバ。
【請求項14】
管理サーバを用いて建造物内部の部外者を監視する部外者の監視方法であって、
前記管理サーバは、
監視者が利用する監視者端末に入力された前記部外者の来訪目的、前記識別証の識別情報を少なくとも前記監視者端末から受信して記憶装置に記憶するステップと、
建造物内部に設置されたカード通信装置が読み取った、前記部外者に対して渡された識別証の識別情報と前記カード通信装置の識別情報とその時刻の情報とを、前記カード通信装置から受信して前記記憶装置に記憶するステップと、
前記記憶装置に記憶した識別証の識別情報とカード通信装置の識別情報と時刻の情報とに基づいて、前記部外者が不審な行動を取っていないかを、前記記憶装置に記憶した前記部外者の来訪目的に応じた判定条件に基づいて判定するステップと、
前記判定において異常を検知した場合に、予め定められた者の利用する端末に対して警告を通知するステップと、
前記部外者が退館する際に、前記監視者端末に入力された前記部外者の退館の情報を前記監視者端末から受信して記憶装置に記憶するステップと、
を有することを特徴とする部外者の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−141184(P2007−141184A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337808(P2005−337808)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】