説明

部材の接合位置のずれ量の測定方法、スパークプラグの製造方法

【課題】測定対象物に接合されている部材の接合目標位置からのずれ量の測定精度および測定速度の向上
【解決手段】主体金具50が雌ねじ治具300に螺合された状態で、点火最適位置O1からの接地電極30の接合のずれ量を測定する。接地電極30の中心軸Aと基準直線LSとの間の距離εを算出する。距離εは、中心軸Aから基準直線LSに対して降ろした垂線の長さである。距離εと接地電極30の中心軸Aと主体金具50の中心軸Oの間の予め規定されている距離βとを用いて、第1の直線L1と基準直線LSとの間の角度αを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雌ねじ治具を利用して、測定対象物に接合されている部材の、接合目標位置からのずれ量を測定する測定方法であり、特に、スパークプラグの電極位置のずれ量を測定する測定方法、および、この測定方法を用いたスパークプラグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパークプラグの主体金具には、中心電極と接地電極が、火花ギャップと呼ばれる空間を隔てて対向するように設けられている。最近では、更なる燃費向上のために、接地電極が、スパークプラグが規定トルクで内燃機関に装着された状態で点火に最適な位置となるように、主体金具に接合されるものもある。なお、「点火に最適な位置」とは、火花ギャップ間でスパークすることにより生成された火炎核の成長が、燃焼室内の混合気の気流によって妨げられない位置を意味する。以降、本明細書では、点火最適位置と呼ぶ。
【0003】
一般的に、接地電極の接合位置の確認には、内燃機関のシリンダヘッドにおいてスパークプラグをねじ込む雌ねじ部分と同じ形状の雌ねじ治具を用いて確認される。このような雌ねじ治具には、主体金具が雌ねじ部分にねじ込まれた状態における接地電極の合格角度範囲が記載されている。合格角度範囲とは、接地電極が点火最適位置からずれている場合に、許容されるずれ量(角度)の範囲である。接地電極のずれを確認する確認者は、スパークプラグをシリンダヘッドにねじ込む時のトルクと同一トルクで、主体金具を雌ねじ治具にねじ込み、接地電極の位置が合格角度範囲内であるか否かを視認し、製品(主体金具)の品質を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−141156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、確認者の視認によりずれ量を確認する場合、確認者の主観により判断が異なり、その結果、品質にばらつきが生じるという問題があった。
【0006】
上述の課題は、スパークプラグに用いられる主体金具に限られるものではなく、所定の位置に部材が接合される種々の製品に共通の課題である。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、測定対象物に接合されている部材の接合目標位置からのずれ量の測定精度の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
端面を有すると共に前記端面上において自身の中心軸以外の部位に部材が接合されている測定対象物を、前記測定対象物における前記部材の接合目標位置の基準となる基準部が設けられた雌ねじ治具に螺合して、前記基準部に基づき設定された前記接合目標位置からの前記部材のずれ量を測定する測定方法であって、前記測定対象物を前記雌ねじ治具に螺合し、前記測定対象物が前記雌ねじ治具に螺合された状態で、前記測定対象物の中心軸と直交する平面である計測面上において、前記部材の中心軸と、前記測定対象物の中心軸と前記基準部とを結ぶ直線である基準直線と、の間の最短距離を測定し、前記測定した最短距離に基づいて、前記接合目標位置からの前記部材のずれ量を測定する、測定方法。
【0010】
適用例1の測定方法によれば、測定対象物が雌ねじ治具に螺合された状態で、部材の中心軸と、測定対象物の中心軸と基準部とを結ぶ基準直線と、の間の最短距離に基づいて、接合目標位置からの部材のずれ量が測定される。従って、接合目標位置からの部材のずれ量を数値化して確認できる。よって、部材の接合位置のずれの評価精度を向上でき、測定対象物の品質のばらつきを抑制できる。
【0011】
[適用例2]
適用例1の測定方法であって、前記測定対象物は、スパークプラグ用の主体金具であり、前記部材は、前記主体金具に接合されている接地電極である。適用例2の測定方法によれば、スパークプラグ用の主体金具に接合されている接地電極の、目標位置からのずれ量を精度良く測定できる。従って、主体金具の品質のばらつきを抑制できる。
【0012】
[適用例3]
適用例1または適用例2の測定方法であって、前記ずれ量は、前記測定対象物の中心軸と前記部材の中心軸とを通る第1の直線と前記基準直線との間の角度によって表され、前記ずれ量の測定において、前記部材の中心軸と前記測定対象物の中心軸との間の長さと、前記測定した最短距離とに基づいて、前記角度を算出する。適用例3の測定方法によれば、測定対象物の中心軸と部材の中心軸とを通る第1の直線と基準直線との間の角度がずれ量として算出される。従って、部材の接合位置のずれを、測定対象物の中心軸を中心とする周方向角度として算出できるので、ずれ量の評価精度をさらに向上でき、測定対象物の品質のばらつきを抑制できる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3いずれかの測定方法であって、前記計測面は、前記部材と前記測定対象物との接合部位近傍の面である。適用例4の測定方法によれば、部材と測定対象物との接合部位近傍においてずれ量の測定が行われる。従って、部材の傾きに起因して部材の中心軸と基準直線との間の最短距離を誤測定することが抑制される。よって、部材の中心軸と基準直線との間の最短距離の測定精度を向上できる。
【0014】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4いずれかの測定方法であって、前記ずれ量の測定において、前記部材の中心軸と前記基準直線との間の最短距離の測定は、非接触型の透過式の変位センサを用いて行われる。適用例5の測定方法によれば、非接触型の透過式の変位センサを用いて部材の中心軸と基準直線の間の距離の測定が行われる。従って、簡易な構成で、部材の中心軸と基準直線との間の最短距離の測定を行うことができる。また、一般的にセンサによる測定は短時間で行うことができるため、ずれ量の測定時間を短縮できる。また、適用例5の測定方法によれば、非接触式の変位センサが利用されるので、測定時に部材を損傷することを回避できるという利点もある。
【0015】
[適用例6]
適用例1ないし適用例4いずれかの測定方法であって、前記ずれ量の測定において、前記部材の中心軸と前記基準直線との間の最短距離の測定は、接触型の変位センサを用いて行われる。適用例6の測定方法によれば、接触式の変位センサを用いて部材の中心軸と基準直線との間の最短距離の測定が行われる。従って、精度良く距離の測定を行うことができる。
【0016】
[適用例7]
スパークプラグの製造方法であって、筒状の主体金具の端面に接地電極を接合し、前記接地電極が接合されている主体金具を、前記主体金具における前記接地電極の接合目標位置の基準となる基準部が設けられた雌ねじ治具に螺合し、前記主体金具が前記雌ねじ治具に螺合された状態で、前記主体金具の中心軸と直交する平面である計測面上において、前記主体金具に接合されている接地電極の中心軸と、前記主体金具の中心軸と前記基準部とを結ぶ直線である基準直線と、の間の最短距離を測定し、前記測定した最短距離に基づいて、前記接合目標位置からの前記接地電極のずれ量を測定し、前記測定されたずれ量が予め規定された許容範囲内であるか否かを判断し、前記ずれ量が前記許容範囲内であると判断された主体金具に、中心電極および端子金具が組み付けられた絶縁体を組み付け、前記接地電極の先端を前記中心電極に対向させるように加工する、スパークプラグの製造方法。
【0017】
適用例7の製造方法によれば、主体金具が雌ねじ治具に螺合された状態で、接地電極の中心軸と、主体金具の中心軸と基準部とを結ぶ基準直線との間の最短距離に基づいて、接合目標位置からの接地電極のずれ量が測定され、ずれ量が許容範囲内であると判断された主体金具を絶縁体に取り付けてスパークプラグが製造される。従って、スパークプラグの品質のばらつきを抑制できる。
【0018】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態としてのスパークプラグ100の部分断面図。
【図2】第1実施例におけるスパークプラグ100の製造方法を説明するフローチャート。
【図3】第1実施例におけるずれ量の測定方法を説明するフローチャート。
【図4】第1実施例における雌ねじ治具300を例示する説明図。
【図5】第1実施例における雌ねじ治具300への主体金具50の螺合状態を示す説明図。
【図6】第1実施例における主体金具50が雌ねじ治具300に螺合された状態における計測面334の平面図。
【図7】第1実施例における接地電極30の点火最適位置(周方向原点O1)からのずれ量について説明する説明図。
【図8】第1実施例における透過式変位センサ400を例示する模式図。
【図9】第1実施例における雌ねじ治具300の位置決めについて説明する模式図。
【図10】第1実施例における透過式変位センサ400による測定の状態を説明する説明図。
【図11】第1実施例における受光部420の撮像素子上に結像される映像を表す像データ600を例示する説明図。
【図12】第2実施例における接触式変位センサを用いた距離εの測定方法について説明する模式図。
【図13】第3実施例における雌ねじ治具300bの面332bに形成されている合格角度範囲Sを例示する平面図。
【図14】変形例における透過式変位センサによる測定の状態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.第1実施形態:
A1.スパークプラグの構成:
以下、本発明の実施の態様を実施形態に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態としてのスパークプラグ100の部分断面図である。なお、図1において、スパークプラグ100の軸線方向ODを図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ100の先端側、上側を後端側として説明する。
【0021】
図1に示すように、スパークプラグ100は、絶縁体としての絶縁碍子10と、この絶縁碍子10を保持する主体金具50と、絶縁碍子10内に軸線方向ODに保持された中心電極20と、接地電極30と、絶縁碍子10の後端部に設けられた端子金具40とを備える。
【0022】
絶縁碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸中心に軸線方向ODへ延びる軸孔12が形成された筒形状を有する。軸線方向ODの略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、それより後端側(図1における上側)には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には、後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され、さらにその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど縮径され、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド200に取り付けられた際には、その燃焼室に曝される。脚長部13と先端側胴部17との間には段部15が形成されている。
【0023】
主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド200にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、絶縁碍子10を、その後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位を取り囲むようにして内部に保持している。主体金具50は低炭素鋼材より形成され、図示しないスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、内燃機関の上部に設けられたエンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合するネジ山が形成された取付ネジ部52とを備えている。
【0024】
主体金具50の工具係合部51と取付ネジ部52との間には、鍔状のシール部54が形成されている。取付ネジ部52とシール部54との間のネジ首59には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付けた際に、シール部54の座面55と取付ネジ孔201の開口周縁部205との間で押し潰されて変形する。このガスケット5の変形により、スパークプラグ100とエンジンヘッド200間が封止され、取付ネジ孔201を介したエンジン内の気密漏れが防止される。
【0025】
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられている。また、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の座屈部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が介在されており、さらに両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53を内側に折り曲げるようにして加締めることにより、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。これにより、主体金具50の内周で取付ネジ部52の位置に形成された段部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の段部15が支持されて、主体金具50と絶縁碍子10とが一体にされる。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は、板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。座屈部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い外向きに撓み変形するように構成されており、タルク9の軸線方向ODの圧縮長を長くして主体金具50内の気密性を高めている。なお、段部56よりも先端側における主体金具50と絶縁碍子10との間には、所定寸法のクリアランスが設けられている。
【0026】
主体金具50の先端部の先端面57において、接地電極30が、スパークプラグ100の軸線方向ODを中心とした周方向において、エンジン性能を最大限に発揮できる接地電極の位置(以下、明細書では点火最適位置と呼ぶ)に接合されていることが好ましいが、接地電極30は、必ずしも点火最適位置に一致しなければならないわけではなく、一般的に所定の合格角度範囲内に含まれていれば品質としては良い(合格)とされている。以下に、スパークプラグ100の製造方法について説明する。点火最適位置は、火花ギャップ間でスパークすることにより生成された火炎核の成長が、燃焼室内の混合気の気流によって妨げられない位置、すなわち、火花の生成効率が最も良い位置を表す。なお、主体金具50は特許請求の範囲の「測定対象物」にあたり、接地電極30は、特許請求の範囲の「部材」にあたり、点火最適位置は、特許請求の範囲における「接合目標位置」に当たる。
【0027】
A2.スパークプラグの製造方法:
図2は、第1実施例におけるスパークプラグ100の製造方法を説明するフローチャートである。主体金具50に接地電極30を接合し(ステップS10)、雌ねじ治具を用いて、主体金具50に接合されている接地電極30の、点火最適位置からのずれ量を測定する(ステップS12)。ずれ量の測定については、後に詳述する。
【0028】
測定されたずれ量が予め規定された許容範囲内であるか否かを判断し(ステップS14)、ずれ量が許容範囲内であると判断された主体金具50に、中心電極20を備える絶縁体を組み付け、接地電極30を中心電極20に対向するように曲げ加工を施す(ステップS16)。このようにして、スパークプラグ100が製造される。ずれ量が許容範囲外であると判断された主体金具50は廃棄される(ステップS18)。
【0029】
A3.接地電極の接合位置のずれ量の測定方法について:
主体金具50に接合されている接地電極30の、点火最適位置からのずれ量を測定する方法について説明する。第1実施例では、雌ねじ治具を用いて、主体金具50の接地電極30のずれ量を測定する。図3は、第1実施例におけるずれ量の測定方法を説明するフローチャートである。この測定方法は、図2のステップS12における処理に当たる。
【0030】
主体金具50を内燃機関に装着する際のトルクと略同一のトルクで、主体金具50を雌ねじ治具300に螺合する(ステップS20)。雌ねじ治具300への主体金具50の螺合について、図4ないし図6を参照して説明する。
【0031】
図4は、第1実施例における雌ねじ治具300を例示する説明図である。図4(a)は、雌ねじ治具300の斜視図、図4(b)は雌ねじ治具300の側面図である。図4(a)および図4(b)に示すように、雌ねじ治具300は、貫通孔320を有する本体部310と、貫通孔320が開口する両端部において本体部310から半径方向外側に膨出形成されたフランジ部330a,330bとから構成される。フランジ部330aには、雌ねじ治具300に螺合された状態の主体金具50における接地電極30の点火最適位置O1を設定するための基準となる基準部としての溝350が形成されている。フランジ部330aは、軸線方向ODにほぼ直交する面332を備える。また、フランジ部330aとフランジ部330bは、面332にほぼ直交する側面360、370をそれぞれ備える。側面360、370は、互いにほぼ直交している。なお、側面360、370は、直交していなくてもよい。側面360、370は、後述する位置決めに用いられる。貫通孔320の内面には、JIS B8031−1995で規定されるスパークプラグ用のネジで構成された基準雌ねじ331が形成されている。すなわち、雌ねじ治具300に主体金具50が螺合された状態は、内燃機関に主体金具50を螺合した状態と同じとなる。よって、主体金具50を備えるスパークプラグ100を内燃機関に実際に螺合することなく、スパークプラグ100が内燃機関に螺合された状態を確認できる。
【0032】
図5は、第1実施例における雌ねじ治具300への主体金具50の螺合状態を示す説明図である。図5(a)は、主体金具50の雌ねじ治具300への螺合前の状態を表しており、図5(b)は、主体金具50の雌ねじ治具300への螺合後の状態を表している。図5(a)に示すように、主体金具50は、フランジ部330b側からフランジ部330a側に向けて、貫通孔320にねじ込まれ雌ねじ治具300に螺合される。この結果、図5(b)に示すように、接地電極30は、フランジ部330a側に突き出る。接地電極30のずれ量は、主体金具50の軸線方向OD(後述する中心軸O)と直交する平面上、すなわち、面332に平行な平面上において測定される。接地電極30のずれ量を測定する位置は、測定精度の向上のため、雌ねじ治具の表面上ではなく、接地電極30と主体金具50との溶接ダレ部を避けた高さ位置、かつ、接地電極30と主体金具50との接合部位近傍が好ましい。よって、第1実施例では、主体金具50の軸線方向ODと直交する平面(面332に平行な平面)、かつ、接地電極30と主体金具50との接合部位近傍に位置する仮想的な面を計測面334と呼ぶ。以上説明したように、雌ねじ治具300に主体金具50が螺合される。
【0033】
図6は、第1実施例における主体金具50が雌ねじ治具300に螺合された状態における計測面334の平面図である。図7における面30aは、接地電極30の断面を表している。ただし、図7において、計測面334において接地電極30の面を表す30aは、物理的に加工された断面ではなく、計測面334にて切断された仮想断面である。面30aを、実施例では、以降、仮想断面30aと呼ぶ。接地電極30は、図5に示すように、4つの辺31,32,33,34を有する四角柱状に形成されており、その仮想断面30aの各頂点31a、32a、33a、34aは、各辺上の点である。溝350は、主体金具50の中心軸Oを通る直線に一致するように雌ねじ治具300のフランジ部330aの面332に形成されている。このため、溝350を通る直線と接地電極30の仮想断面30aの中心Cとが一致する位置が、接地電極30の点火最適位置となる。ここで、図6、図7において、溝350を通ると共に中心軸Oを通る直線を基準直線LSとし、また、この基準直線LSと主体金具50における先端面と内周面とで形成される稜線との交点のうち、溝350に近い側の交点を周方向原点O1とする。また、周方向原点O1を、中心軸Oを中心とする周方向の原点とする。第1実施例では、周方向原点O1は、点火最適位置である。以降、明細書では、周方向原点O1を点火最適位置O1とも呼ぶ。図7では、接地電極30の中心軸Aが周方向原点O1からずれており、すなわち、接地電極30が点火最適位置O1からずれて接合されていることを示している。中心軸Aは、接地電極30の中心軸を表す。
【0034】
図3に戻り説明を続ける。主体金具50が雌ねじ治具300に螺合された状態で、接地電極30の点火最適位置(周方向原点O1)からのずれ量を測定する(ステップS22)。
【0035】
図7は、第1実施例における接地電極30の点火最適位置(周方向原点O1)からのずれ量について説明する説明図である。図7は、図6におけるX部分の拡大図である。第1実施例では、主体金具50の中心軸Oと接地電極30の中心軸Aとを通る第1の直線L1と基準直線LSとの間の角度αを、点火最適位置O1からの接地電極30の接合のずれ量として算出する。角度αは、中心軸Oを中心とする周方向角度であるので、以降、角度αを周方向角度αと呼ぶ。具体的には、接地電極30の中心軸Aと、基準直線LSとの間の距離(最短距離)εを算出し(ステップS30)、距離εと接地電極30の中心軸Aと主体金具50の中心軸Oの間の距離βと、を用いて、以下の式1を適用して、第1の直線L1と基準直線LSとの間の周方向角度αを算出する(ステップS32)。
【0036】
α=sin-1(ε/β) (式1)
【0037】
距離εは、中心軸Aから基準直線LSに対して降ろした垂線の長さである。距離εの測定方法については後述する。また、距離βは、主体金具50の中心軸Oと接地電極30の中心軸Aとの間の予め規定されている長さであり、接地電極30が接合された位置が点火最適位置からずれても、距離βは不変である。なお、距離εは、接地電極30と主体金具50の接合部位近傍で測定されることが好ましい。具体的には、主体金具50と接地電極30との溶接によって形成される溶接ダレの直上から5mm以内の位置に計測面334を設定して距離εを測定することが好ましい。
【0038】
以下に、距離εの測定方法について詳細に説明する。この処理は図3のステップS30における処理にあたる。第1実施例では、距離εは、透過式変位センサ400を用いて測定される。まず、図8〜図10を参照して、透過式変位センサ400について説明する。図8は、第1実施例における透過式変位センサ400を例示する模式図である。図9は、第1実施例における雌ねじ治具300の位置決めについて説明する模式図である。図8は、透過式変位センサ400の上面を示している。図8に示すように、透過式変位センサ400は、投光部410と受光部420と、土台部430と、位置決め部440を備える。投光部410は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の光源を有している。また、受光部420は、撮像素子(例えば、CCD:Charge Coupled Device Image Sensor)等の撮像素子を有している。位置決め部440は、土台部430上に設置されている。また、透過式変位センサ400には、透過式変位センサ400により測定された距離εと、距離βとを用いて周方向角度αを算出する演算装置500が接続されている。演算装置500は、透過式変位センサ400と一体的に構成されていてもよい。
【0039】
位置決め部440は、図9に示すように、板442、444から構成される衝立状の部材である。位置決め部440は、土台部430上の予め決められた所定の位置への雌ねじ治具300の配置を容易にするために設けられている。具体的には、板442、444は、雌ねじ治具300の側面360、370が、図9に示すように、それぞれ、板442、444に当接されることにより、雌ねじ治具300の軸線(主体金具50の中心軸O)が予め規定された位置に位置決めされるように構成されている。
【0040】
図10は、第1実施例における透過式変位センサ400による測定の状態を説明する説明図である。図10は、主体金具50が螺合された雌ねじ治具300に対して、投光部410から受光部420に向けて光450が照射されている状態について、上面から示す上面図600と、側面から示す側面図610とを対応させて示している。ここで、雌ねじ治具300は、基準直線LSが投光部410から受光部420に向かう光450の照射方向と一致するように、位置決め部440により土台部430上に配置される。図10に示すように、投光部410の光源から射出された光は、コリメータレンズ等を含む光学素子により構成されるテレセントリック光学系を通り略均一な平行光となって測定対象物(主体金具50)に照射される。このとき、接地電極30によって生じる影460の映像が受光部420の撮像素子上に結像され、透過式変位センサ400は、結像された映像を表す像データを生成する。
【0041】
図11は、第1実施例における、受光部420の撮像素子上に結像される映像を表す像データ600を例示する説明図である。図11において、一点鎖線lsは、雌ねじ治具300の軸線(主体金具50の中心軸O)を表している。雌ねじ治具300は、図8および図9において説明したように、予め規定された位置に配置されるので、一点鎖線lsは雌ねじ治具300の軸線の位置に応じて予め規定されている。点火最適像416は、接地電極30が点火最適位置O1に接合されている場合に結像される接地電極30の影の映像を表している。図11に示すように、接地電極30が点火最適位置O1に接合されている場合、接地電極30の中心軸Aと雌ねじ治具300の軸線とは、ほぼ一致する。第1実施例では、透過式変位センサ400は、点火最適像416のエッジ416a、416bを基準位置として利用する。以降、エッジ416a、416bを基準位置416a、416bと呼ぶ。
【0042】
像412は接地電極30の影の映像を表しており、像414は雌ねじ治具300の影の映像を表している。図11において、接地電極30を表す像412のエッジ412a,412bは、それぞれ、接地電極30の辺32,34(図5)を表している。また、軸線412cは、接地電極30の中心軸Aに対応する。軸線412cは、説明のために記載したものであり、像データ600には現れない。透過式変位センサ400は、エッジ412aを検出し、エッジ412aが基準位置416aから変位したと判断して、基準位置416aからエッジ412aまでの変位量E1を検出(測定)する。同様に、透過式変位センサ400は、エッジ412bを検出し、エッジ412bが基準位置416bから変位したと判断して、基準位置416bからエッジ412bまでの変位量E2を検出(測定)する。そして、このようにして測定された変位量E1、E2を式2に適用して、距離εを測定する。
【0043】
ε=(E1+E2)/2 (式2)
【0044】
以上説明した第1実施例の点火最適位置からの接地電極30の接合のずれ量の測定方法によれば、測定対象物である主体金具50が雌ねじ治具300に螺合された状態で、接地電極30の中心軸Aから、主体金具50の中心軸Oと基準部としての溝350とを通る基準直線LSとの間の距離εに基づいて、点火最適位置O1からの接地電極30のずれ量が測定される。従って、点火最適位置からの接地電極30のずれ量を数値化して確認できる。よって、接地電極30の接合の位置ずれの評価精度を向上でき、主体金具50の品質のばらつきを抑制できる。
【0045】
また、第1実施例の測定方法によれば、主体金具50の中心軸Oと接地電極30の中心軸Aとを通る第1の直線L1と基準直線LSとの間の周方向角度αがずれ量として算出される。従って、点火最適位置からの接地電極30の接合のずれ量の評価精度をさらに向上できる。
【0046】
接地電極30が傾いて接合されている場合、距離εを測定する位置によって距離εが大きく変化し、主体金具50と接地電極30との接合部位から離れるにつれて距離εの誤差も大きくなる。従って、第1実施例の測定方法によれば、接地電極30と主体金具50との接合部位近傍(溶接ダレから5mm以内)において距離εが測定されるので、接地電極30の傾きに起因して距離εを誤測定することが抑制される。よって、距離εの測定精度を向上できる。
【0047】
また、第1実施例の測定方法によれば、非接触式の透過式変位センサ400により検出される各変位量E1、E2に基づき距離εが測定される。従って、簡易な構成で、接地電極30の中心軸Aと基準直線LSの間の距離εの測定を行うことができる。また、一般的にセンサによる測定は短時間で行うことができるため、ずれ量の測定時間を短縮できる。また、非接触式の透過式変位センサ400を利用することにより、ずれ量の測定によって接地電極30を損傷させるという虞を回避できるという利点もある。
【0048】
また、第1実施例のスパークプラグ100の製造方法によれば、点火最適位置O1からの接地電極30の接合位置のずれ量が許容範囲内であると判断された主体金具50に絶縁碍子10を組み付けてスパークプラグ100が製造される。従って、品質のばらつきの少ないスパークプラグ100を製造できる。
【0049】
B.第2実施例:
第2実施例では、接触型の変位センサを用いて距離εを測定する。第2実施例において、スパークプラグ100の製造方法および、点火最適位置からの接地電極30の接合のずれ量を表す周方向角度αの算出方法については、第1実施例と同様であり、距離εの測定方法のみ異なる。
【0050】
B1.距離εの測定方法:
図12は、第2実施例における接触式変位センサを用いた距離εの測定方法について説明する模式図である。図12の左側に記載されている平面図700は、雌ねじ治具300aに主体金具50が螺合された状態において、接地電極30が点火最適位置に接合されている場合の変位センサの位置を表しており、図12の右側に記載されている平面図710は、雌ねじ治具300aに主体金具50が螺合された状態において、接地電極30が点火最適位置からずれて接合されている場合の変位センサの位置を表している。図12に示すように、第2実施例では、第1の接触式変位センサ750と第2の接触式変位760の2台の接触式変位センサを利用し、距離εを測定する。ここで、第1、第2の接触式変位センサ750、760は、基準直線LSと直交する方向に配置されている。第2実施例の雌ねじ治具300aにおいて、溝350は、接触式変位センサへの設置の目安として利用される。
【0051】
具体的には以下の通りである。平面図700に示すように、接地電極30が点火最適位置に接合されている場合、第1の接触式変位センサ750は、接地電極30の辺31および辺34を有する側面36に接触しており、第2の接触式変位760は、接地電極30の辺32および辺33を有する側面37に接触している。平面図700における第1の接触式変位センサ750、第2の接触式変位760の位置をそれぞれ基準位置751,761とする。
【0052】
平面図710に示すように、接地電極30は主体金具50の中心軸Oを中心とする周方向にずれて接合されているので、第1の接触式変位センサ750は、辺34に接し、第2の接触式変位760は辺32に接する。第1の接触式変位センサ750は基準位置751からの変位量E1を測定し、第2の接触式変位760は基準位置761からの変位量E2を測定する。このようにして測定された変位量E1、E2を上記式2に適用して距離εを算出する。
【0053】
周方向角度αは、第1実施例と同様に、式2を適用して算出された距離εと不変の距離βを式1に適用して算出される。
【0054】
以上説明した第2実施例の測定方法によれば、第1の接触式変位センサ750、第2の接触式変位760を用いて接地電極30の中心軸Aと基準直線LSの間の距離εの測定が行われる。従って、精度良く距離εの測定を行うことができる。
【0055】
C.第3実施例:
第3実施例では、観察者が視認により、接地電極30のずれ量が予め規定された合格角度範囲内に含まれるか否かを判断した上で、接地電極30のずれ量が合格角度範囲に含まれている主体金具50のみについてずれ量の測定を行う。第3実施例では、雌ねじ治具300bの面332b上に記載されている合格角度範囲に基づいて、接地電極30のずれを確認する。
【0056】
図13は、第3実施例における雌ねじ治具300bの面332bに形成されている合格角度範囲Sを例示する平面図である。図13は、雌ねじ治具300bに、主体金具50が螺合された状態を示している。合格角度範囲Sは、溝333a、溝333bにより表される、周方向原点から所定の角度範囲である。図13において、合格角度C、−Cは、接地電極30の中心軸Aの周方向原点からの周方向角度の限界角度、すなわち、接地電極30が、主体金具50の品質として許容される限界の位置に接合されている場合の中心軸Aの周方向原点からの周方向角度を表している。第3実施例の雌ねじ治具300bにおいて、溝350は、接触式変位センサへの設置の目安として利用される。
【0057】
第3実施例において、合格角度範囲Sを表す溝333a、溝333bは、接地電極30の幅分を含む位置に形成されている。具体的には、溝333aは、合格角度Cの位置に接地電極30の中心Aが位置する場合における、周方向正側の接地電極30の切断面のエッジe1の延長線上に形成されている。同様に、溝333bは、合格角度−Cの位置に接地電極30の中心Aが位置する場合における、周方向負側の接地電極30の切断面のエッジe2の延長線上に形成されている。言い換えれば、溝333aは、合格角度Cを表す直線Q1からD/2(D:接地電極30の切断面における周方向の幅)だけ周方向正側に形成されており、溝333bは、合格角度−Cを表す直線Q2からD/2だけ周方向負側に形成されている。この結果、合格角度範囲Sは、合格角度Cから合格角度−Cの範囲に、接地電極30の切断面における周方向の幅Dが加算された範囲として表される。
【0058】
第3実施例では、第1実施例と同様に、主体金具50が雌ねじ治具300に螺合された状態で、観察者が接地電極30のずれを視認により確認し、接地電極30の切断面のエッジe1が溝333aよりも周方向負側に位置しているか、および、接地電極30の切断面のエッジe2が溝333bよりも周方向正側に位置しているかを確認する。この確認は、観察者が面332bを直線視認してもよいし、投影機を用いて面332bを投影し、得られた投影図を視認することによって行っても良い。エッジe1が溝333aよりも周方向負側に位置し、かつ、エッジe2が溝333bよりも周方向正側に位置している場合には、接地電極30のずれ量は合格角度範囲S内であり、主体金具50の品質は合格と判断される。エッジe1が溝333aよりも周方向正側に位置し、もしくは、エッジe2が溝333bよりも周方向負側に位置している場合には、接地電極30のずれ量は合格角度範囲Sを超えており、主体金具50の品質は不合格と判断される。観察者は、合格と判断した主体金具50についてのみ、透過式変位センサ400を用いた距離εの測定および演算装置500を用いて周方向角度α(ずれ量)の算出を行う。
【0059】
以上説明した第3実施例の測定方法によれば、演算装置500によるずれ量の測定前に、観察者により、接地電極30の接合位置が、合格角度範囲S内であるか否かが判断され、合格角度範囲S内と判断された主体金具50についてのみ、距離εの測定、ずれ量の算出が行われる。従って、観察者による視認によって不合格と判断された主体金具50については、ずれ量の測定が行われることなく廃棄されるため、主体金具50の製造速度を向上できる。
【0060】
D.変形例:
(1)第1実施例では、一対の投光部410および受光部420を備える透過式変位センサ400を利用してずれ量(周方向角度α)を算出しているが、ずれ量である周方向角度αが90度以上である場合、距離εが、周方向角度αが90度未満である場合と同じ値となる。よって、本変形例では、ずれ量を更に精度良く算出するために、更に、透過式変位センサ800を設ける(図14)。透過式変位センサ400は、第1実施例と同様に、距離εを測定する。
【0061】
図14は、変形例における透過式変位センサ400(410,420)および800による測定の状態を説明する説明図である。透過式変位センサ800は、一対の投光部810、受光部820を備え、投光部810と受光部820との間に存在する物体を検出する。すなわち、透過式変位センサ800は、透過式変位センサ400のように変位量を検出するために利用される装置ではなく、単に、物体の存在を検出するために利用される装置である。投光部810、受光部820は、基準直線LSに直交する方向(図14におけるY軸方向)に沿って光が射出されるように、かつ、Y軸より投光部410側(接地電極30が周方向角度α=90度〜270度の間に位置する場合に、接地電極30の存在を検出可能な位置)に設けられている。変形例の雌ねじ治具において、溝350は、接触式変位センサへの設置の目安として利用される。
【0062】
透過式変位センサ800によって接地電極30の存在が検出された場合、接地電極30は、周方向角度α=90度〜270度の間に位置していることがわかる。よって、この場合には、以下の式3を適用して、正確な周方向角度α'を算出する。なお、式3において、ABS(x)関数は、xの値の絶対値を算出する関数であり、周方向角度αは、式1を適用して算出される周方向角度である。
【0063】
α'=(α/ABS(α))*180°−α (式3)
【0064】
本変形例によれば、ずれ量である周方向角度αが90度以上である場合にも、周方向角度αを精度良く検出できる。
【0065】
(2)第1実施例では、接地電極30の辺の変位量E(基準位置であるエッジ416aからエッジ412aまでの距離)を距離εとして算出しているが、例えば、像データ600において、接地電極30の中心軸Aに対応する位置を特定し、一点鎖線lsから中心軸Aに対応する位置までの長さすなわち距離εを算出してもよい。例えば、図11において、図面左右方向をx軸、図面上下方向をy軸とするxy座標系で像データ600を解析し、接地電極30の中心軸Aに対応する位置のx座標を取得し、一点鎖線lsのx座標との差分から距離εを算出してもよい。中心軸Aを特定するためには、上述した座標系による特定だけでなく、公知の種々の方法を用いても良い。
【0066】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【符号の説明】
【0067】
5…ガスケット
6…リング部材
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
12…軸孔
13…脚長部
15…段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…鍔部
20…中心電極
30…接地電極
30a…仮想断面
31、32,33,34…辺
36、37…側面
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…シール部
55…座面
56…段部
58…座屈部
59…ネジ首
100…スパークプラグ
200…エンジンヘッド
201…取付ネジ孔
205…開口周縁部
300、300a、300b…雌ねじ治具
310…本体部
320…貫通孔
330a…フランジ部
330b…フランジ部
334…計測面
332b…面
333a…溝
333b…溝
350…溝
360…側面
400…透過式変位センサ
410…投光部
412…像
412a…エッジ
412c…軸線
414…像
416…点火最適像
416a…基準位置
420…受光部
430…土台部
440…位置決め部
442…板
450…光
460…影
500…演算装置
600…像データ
750…第1の接触式変位センサ
751…基準位置
760…第2の接触式変位
761…基準位置
800…透過式変位センサ
810…投光部
820…受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面を有すると共に前記端面上において自身の中心軸以外の部位に部材が接合されている測定対象物を、前記測定対象物における前記部材の接合目標位置の基準となる基準部が設けられた雌ねじ治具に螺合して、前記基準部に基づき設定された前記接合目標位置からの前記部材のずれ量を測定する測定方法であって、
前記測定対象物を前記雌ねじ治具に螺合し、
前記測定対象物が前記雌ねじ治具に螺合された状態で、前記測定対象物の中心軸と直交する平面である計測面上において、前記部材の中心軸と、前記測定対象物の中心軸と前記基準部とを結ぶ直線である基準直線と、の間の最短距離を測定し、
前記測定した最短距離に基づいて、前記接合目標位置からの前記部材のずれ量を測定する、
測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の測定方法であって、
前記測定対象物は、スパークプラグ用の主体金具であり、
前記部材は、前記主体金具に接合されている接地電極である、
測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の測定方法であって、
前記ずれ量は、前記測定対象物の中心軸と前記部材の中心軸とを通る第1の直線と前記基準直線との間の角度によって表され、
前記ずれ量の測定において、前記部材の中心軸と前記測定対象物の中心軸との間の長さと、前記測定した最短距離とに基づいて、前記角度を算出する、
測定方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の測定方法であって、
前記計測面は、前記部材と前記測定対象物との接合部位近傍の面である、
測定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の測定方法であって、
前記ずれ量の測定において、前記部材の中心軸と前記基準直線との間の最短距離の測定は、非接触型の透過式の変位センサを用いて行われる、
測定方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の測定方法であって、
前記ずれ量の測定において、前記部材の中心軸と前記基準直線との間の最短距離の測定は、接触型の変位センサを用いて行われる、
測定方法。
【請求項7】
スパークプラグの製造方法であって、
筒状の主体金具の端面に接地電極を接合し、
前記接地電極が接合されている主体金具を、前記主体金具における前記接地電極の接合目標位置の基準となる基準部が設けられた雌ねじ治具に螺合し、
前記主体金具が前記雌ねじ治具に螺合された状態で、前記主体金具の中心軸と直交する平面である計測面上において、前記主体金具に接合されている接地電極の中心軸と、前記主体金具の中心軸と前記基準部とを結ぶ直線である基準直線と、の間の最短距離を測定し、
前記測定した最短距離に基づいて、前記接合目標位置からの前記接地電極のずれ量を測定し、
前記測定されたずれ量が予め規定された許容範囲内であるか否かを判断し、
前記ずれ量が前記許容範囲内であると判断された主体金具に、中心電極および端子金具が組み付けられた絶縁体を組み付け、
前記接地電極の先端を前記中心電極に対向させるように加工する、
スパークプラグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−218828(P2010−218828A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63113(P2009−63113)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】