説明

配線基板及びその製造方法、半導体回路素子付き配線基板

【課題】接続信頼性が高い配線基板を提供すること。
【解決手段】本発明の配線基板12は、フレキシブル基板51及び接着層71を備える。フレキシブル基板51は基板主面52及び表面導体54を有する。接着層71は、基板主面52上に接着する第1主面75、及び半導体回路素子21が搭載される素子搭載部56が設定された第2主面74を有し、ビア孔76内に導体柱72が設けられる。なお、表面導体54及び導体柱72は直接接合されるため、表面導体54と導体柱72とが確実に導通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板と接着層からなる配線基板及びその製造方法、配線基板と半導体回路素子とを備えた半導体回路素子付き配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、デジタル家電などの電気製品分野や、自動車分野などにおいては、製品の小型化、高機能化、高付加価値化が益々進んでいる。それに伴い、この種の製品における重要な電気的部品であるマザーボードの小型化や高密度化が望まれており、マザーボード上に実装される各種部品の小型化も同様に望まれている。各種部品の小型化を実現するものとしては、例えば、複数のLSIを単一のパッケージに封止してシステム化した、いわゆるシステム・イン・パッケージ(SIP)を挙げることができる。なお、このようなパッケージにおいて、ICチップ等の半導体回路素子は、例えば複数枚の樹脂フィルムを積層した構造の配線基板などに実装される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−221525号公報(図1,図2など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1記載の配線基板を構成する樹脂フィルムは、以下のようにして製造される。まず、樹脂フィルム用基材の片面に導体パターンを形成する。次に、樹脂フィルム用基材に対して、炭酸ガスレーザーなどを用いて孔あけ加工を行い、ビア孔を所定位置に形成する。なお、上記レーザーは、樹脂フィルム用基材において導体パターン形成面とは反対側の面から照射される。また、形成されたビア孔は、一端が導体パターンによって塞がれた状態となる。その後、ビア孔内に導電性金属ペーストの充填等を施すことにより、導体柱が形成され、所望の樹脂フィルムが完成し、配線基板が製造される。
【0004】
ところが、上記特許文献1記載の製造方法を採用した場合、レーザーの出力を、樹脂フィルムを貫通する程度であって、かつ導体パターンを貫通したり傷付けたりしない程度に調節する必要がある。しかし、このようにレーザーの出力を調節することは非常に困難である。よって、例えばレーザーの出力が小さ過ぎるために、除去し切れない樹脂がビア孔内に残ってしまう可能性が高い。このように樹脂残りが存在する場合、完成した配線基板にICチップを実装したとしても、ICチップ−導体パターン間の導通を図ることが困難になり、接続信頼性が低下する。その結果、完成した配線基板が不良品となる確率が高くなり、歩留まりの低下につながってしまう。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、接続信頼性が高い配線基板及び半導体回路素子付き配線基板を提供することにある。また、第2の目的は、不良品となる確率が低くて歩留まりが高く、製造が容易な配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、上記課題を解決するための手段(手段1)としては、基板主面及び前記基板主面上に設けられた表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層とを備え、前記表面導体と前記導体柱とが直接接合されていることを特徴とする配線基板がある。
【0007】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、基板主面及び前記基板主面上に設けられた表面導体を有し、非熱可塑性樹脂を主体とするフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられ、熱可塑性樹脂を主体とする接着層と
を備え、前記表面導体と前記導体柱とが直接接合されていることを特徴とする配線基板がある。
【0008】
従って、上記手段1,2の配線基板によれば、接着層のビア孔が貫通しているため、導体柱の端面がビア孔から完全に露出する。よって、フレキシブル基板と接着層との接合時に、露出した導体柱の端面に対してフレキシブル基板の表面導体を直接接合できる。よって、表面導体と導体柱とが確実に導通するため、高い接続信頼性を得ることができる。
【0009】
特に、上記手段2の配線基板によれば、熱可塑性樹脂を主体とする接着層を用いて配線基板が構成されているため、接着性を生じない非熱可塑性樹脂を主体とするフレキシブル基板に、熱可塑性樹脂を主体とする接着層を確実に接合できる。しかも、フレキシブル基板は非熱可塑性樹脂を主体とするため、配線基板を形成する際などに熱が加わったとしても塑性変形しにくい。よって、寸法安定性の高い配線基板を得ることができる。また、フレキシブル基板の塑性変形に伴う表面導体の平面方向への位置ずれを防止できるため、接続信頼性を維持することができる。よって、フレキシブル基板に接着層を接合した際に両者を確実に導通できるため、配線基板が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
【0010】
なお、フレキシブル基板を形成する材料は、コスト性、加工性、絶縁性、可撓性、機械的強度などを考慮して、非熱可塑性樹脂などの中から適宜選択することができる。このような樹脂を用いた基板であれば、微細な配線層を比較的簡単にかつ正確に形成することができ、端子数の非常に多い半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部を容易に形成することができる。即ち、このような基板は半導体回路素子実装用の基板として適している。
【0011】
また、フレキシブル基板を形成する樹脂材料は耐熱性を有することが好ましい。具体的に言うと、樹脂材料は、ガラス転移温度(Tg)が220℃以上であることが好ましい。また、樹脂材料は、耐熱性が例えば260℃,10分のレベル以上であることが好ましく、特には耐熱性300℃,30分のレベル以上であることがより好ましい。さらに、樹脂材料は、はんだ耐熱性が250℃,20秒のレベル以上であることが好ましく、特には、はんだ耐熱性260℃,120秒のレベル以上であることが好ましく、さらには、はんだ耐熱性300℃,180秒のレベル以上であることがより好ましい。このようにすれば、例えば熱圧着によって配線基板を形成する場合であっても、フレキシブル基板の変形を防止できるからである。
【0012】
フレキシブル基板の絶縁部分を形成する非熱可塑性樹脂の好適例としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。
【0013】
前記接着層は、配線基板の形成時にフレキシブル基板と接着層との熱圧着を可能とするために、熱可塑性樹脂からなる有機材料を主体として形成されることが好ましい。また、好適な接着層としては、例えば前記フレキシブル基板と別体で作製されたシート状の接着層を挙げることができる。接着層の絶縁部分を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが好適である。このような材料を使用すれば、高温での接続信頼性などに優れた配線基板を実現しやすくなるからである。さらに、前記接着層における接着部分、即ち、導体柱を除いた部分は、前記フレキシブル基板のカバーレイとしても機能することが好ましい。ここでカバーレイとは、通常、表面導体の一部を除いてフレキシブル基板の表面を絶縁被覆する絶縁被覆層(保護膜)のことをいう。このようにすれば、接着層とは別々に、フレキシブル基板の保護膜を形成しなくても済む。その結果、配線基板を厚み方向(Z方向)に小型化することができる。また、配線基板を構成する部品点数や工数が少なくなり、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。さらに、配線基板の構造を簡単にすることができる。
【0014】
なお、接着層においては、第2主面に、半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定されている。このような素子搭載部は、接着層上に1つのみ設定されていてもよいが、複数設定されていてもよい。
【0015】
なお、前記フレキシブル基板の表面導体、及び、前記接着層の導体柱は、例えば導電性金属により形成される。前記導電性金属としては特に限定されないが、例えば銅、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、チタン、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブなどから選択される1種または2種以上の金属を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属としては、例えば、スズ及び鉛の合金であるはんだ等を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属として、鉛フリーのはんだ(例えば、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Bi系はんだ、Sn−Ag−Bi−Cu系はんだ、Sn−Zn系はんだ、Sn−Zn−Bi系はんだ等)を用いても勿論よい。
【0016】
また、前記接着層の前記第2主面にモジュール搭載部が設定され、前記モジュール搭載部上に機能モジュールが搭載され、前記フレキシブル基板の表面導体と、前記機能モジュールの接続端子とが、前記接着層内の導体柱を介して互いに電気的に接続されていることが好ましい。このようにすれば、機能モジュールが搭載されない場合に比べて、多機能化を図ることができる。ゆえに、1つのシステム化された配線基板(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)を実現しやすくなり、付加価値も高くなる。
【0017】
なお、機能モジュールは、複数種類の電子部品を含んで構成された回路を有するモジュール配線基板であってもよく、MEMS等の機能部材を含むことも可能である。このようにすれば、配線層を有しない単なる基板である場合に比べて、内部に回路を構成すること等が可能となり、付加価値を高めることができる。機能モジュールの具体例としては、無線通信機能を有するRFモジュールや、電源電圧を制御する機能などを有する電源モジュールなどを挙げることができる。機能モジュールを構成する電子部品の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップキャパシタ、チップコイル、MEMS素子などがある。これらの電子部品は基本的に能動部品であっても受動部品であってもよく、モジュールが実現すべき機能の内容に応じて適宜選択される。
【0018】
また、上記課題を解決するための他の手段(手段3)としては、基板主面及び前記基板主面上に設けられた第1表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層と、第2表面導体を有し、前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子とを備え、前記導体柱に対して前記第1表面導体及び前記第2表面導体が直接接合されていることを特徴とする半導体回路素子付き配線基板がある。
【0019】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段4)としては、基板主面及び前記基板主面上に設けられた第1表面導体を有し、非熱可塑性樹脂を主体とするフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられ、熱可塑性樹脂を主体とする接着層と、第2表面導体を有し、前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子とを備え、前記導体柱に対して前記第1表面導体及び前記第2表面導体が直接接合されていることを特徴とする半導体回路素子付き配線基板がある。
【0020】
従って、上記手段3,4の半導体回路素子付き配線基板によれば、接着層のビア孔が貫通しているため、導体柱の端面がビア孔から完全に露出する。よって、接着層を介してフレキシブル基板と半導体回路素子とを接合する際に、露出した導体柱の端面に対してフレキシブル基板の第1表面導体及び半導体回路素子の第2表面導体を直接接合できる。よって、第1表面導体と第2表面導体とが導体柱を介して確実に導通するため、高い接続信頼性を得ることができる。さらに、半導体回路素子は、第2主面に設定された素子搭載部上に搭載されているため、配線基板の外側に露出している。このため、半導体回路素子から生じた熱が配線基板の外部に放散されやすくなる。
【0021】
特に、上記手段4の配線基板によれば、熱可塑性樹脂を主体とする接着層を用いて配線基板が構成されているため、接着性を生じない非熱可塑性樹脂を主体とするフレキシブル基板に、熱可塑性樹脂を主体とする接着層を介して半導体回路素子を確実に接合できる。しかも、フレキシブル基板は非熱可塑性樹脂を主体とするため、配線基板を形成する際などに熱が加わったとしても塑性変形しにくい。よって、寸法安定性の高い配線基板を得ることができる。また、フレキシブル基板の塑性変形に伴う第1表面導体の平面方向への位置ずれを防止できるため、接続信頼性を維持することができる。よって、フレキシブル基板に接着層を介して半導体回路素子を接合した際に両者を確実に導通できるため、配線基板が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
【0022】
前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子としては、半導体集積回路素子の他、半導体製造プロセスで製造されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子等が挙げられる。半導体集積回路素子の例としては、シリコンからなる半導体集積回路チップ(ICチップ)などを挙げることができる。また、MEMS素子とは、半導体IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術により製造される微細回路素子をいい、通常シリコンを主体とするものである。さらに、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術により製造されるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ及び制御回路を集積化した微細システムの総称である。なお、前記半導体回路素子の大きさ及び形状は特に限定されない。
【0023】
なお、前記接着層内の導体柱は、接着層の表裏を導通させるものであることがよい。その理由は、接着層内に導体柱があると、それを介してフレキシブル基板の第1表面導体及び半導体回路素子の第2表面導体をより確実に接続しやすくなるからである。例えば、前記接着層は、複数層に形成された複数の導体パターンと、同接着層を貫通するビア孔内に設けられ、前記複数の導体パターン間を電気的に接続する複数の導体柱とを有することが好ましい。
【0024】
手段1,2に記載の配線基板を比較的簡単にかつ確実に製造するための好ましい方法(手段5)としては、前記フレキシブル基板を作製するフレキシブル基板作製工程と、接着層用基材を貫通するビア孔を形成し、前記ビア孔内に導体柱を設けることにより、前記接着層を作製する接着層作製工程と、前記フレキシブル基板の前記基板主面上に、前記接着層の第1主面を接着するとともに、その際に前記フレキシブル基板の表面導体と前記接着層内の導体柱とを互いに電気的に接続する接合工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0025】
従って、上記手段5によれば、フレキシブル基板と接着層とを接合する前に、フレキシブル基板作製工程にてフレキシブル基板を作製し、接着層作製工程にて接着層を作製するため、両者の電気検査を個別に行うことができる。よって、接合前に不良品を発見してそれを事前に除去できるため、電気検査に合格したフレキシブル基板及び接着層のみを接合して配線基板を形成することができる。従って、配線基板が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
【0026】
また、接合工程の前に接着層作製工程が実施される。このため、接着層作製工程において、接着層用基材にビア孔をあらかじめ形成できるため、ビア孔が確実に貫通する。よって、フレキシブル基板と接着層とを接合した際にビア孔内の導体柱と表面導体とが確実に導通するため、高い接続信頼性を得ることができる。さらに、フレキシブル基板及び接着層が個別に作成されるため、ビア孔の形成が容易になる。よって、配線基板を容易に製造できる。
【0027】
以下、手段5に記載の配線基板の製造方法について説明する。
【0028】
まず、フレキシブル基板作製工程を実施して、フレキシブル基板を作製する。フレキシブル基板の作製は、基本的には従来周知の手法に従って行われる。具体的に言うと、例えば、片面または両面に銅箔を有する銅張積層板を基材とし、その両面を貫通するビア孔を形成する。さらに、各ビア孔内に導電性金属ペーストの充填または銅めっき等の手法によりビア導体を形成した後、表面の銅箔をエッチングして表面導体をパターニングする。
【0029】
また、接着層作製工程を実施して、接着層を作製する。なお、接着層作製工程を、フレキシブル基板作製工程よりも先に実施してもよいし、後に実施してもよい。接着層の作製は、以下のように実施する。例えば、接着層となる接着層用基材における所定位置に、接着層用基材を貫通するビア孔を形成する(ビア孔形成工程)。さらに、各ビア孔内に、導電性金属からなるペーストを充填して導体柱を形成する(導体柱形成工程)。そして、ペーストを加熱して溶剤等を蒸発させ、固形化させることにより、接着層が完成する。なお、導電性金属からなるペーストの充填に代えて、例えばめっき等により導体柱を形成してもよい。また、導体金属柱をビア孔内に埋め込んでもよい。
【0030】
次に、接合工程を実施する。接合工程では、フレキシブル基板及び接着層を積層配置し、この状態で例えば加熱を行いながら積層方向に押圧力を加える。その結果、フレキシブル基板に接着層が接着されるとともに、その際に、フレキシブル基板の表面導体及び接着層の導体柱が互いに電気的に接続される。
【0031】
なお、前記接合工程では、非熱可塑性樹脂を主体として構成された前記フレキシブル基板と、熱可塑性樹脂を主体として構成された前記接着層とを熱圧着することが好ましい。このようにすれば、接着性を生じない非熱可塑性樹脂を主体とするフレキシブル基板に、熱可塑性樹脂を主体とする接着層が確実に接合される。しかも、フレキシブル基板は非熱可塑性樹脂を主体とするため、配線基板を形成する際などに熱が加わったとしても塑性変形しにくい。よって、寸法安定性の高い配線基板を得ることができる。また、フレキシブル基板の塑性変形に伴う表面導体の平面方向への位置ずれを防止できるため、接続信頼性を維持することができる。よって、フレキシブル基板に接着層を接合した際に両者を確実に導通できるため、配線基板が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
【0032】
なお、熱圧着する際の加熱温度は、フレキシブル基板の材料の種類、使用する接着層の種類、接着層の硬化度などに応じて適宜設定される。また、加熱温度は、接合工程後に用いられるはんだの融点よりも高く設定されることがよい。さらに、フレキシブル基板及び接着層のはんだ耐熱性も、上記はんだの融点よりも高い温度に設定されることがよい。このようにすれば、接合工程後にはんだを用いる際に、フレキシブル基板や接着層の変形を防止できる。
【0033】
その結果、フレキシブル基板及び接着層からなる配線基板が形成されると同時に、接着層に半導体回路素子を搭載可能な素子搭載部が形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に基づき詳細に説明する。図1は、配線基板12及びICチップ21(半導体回路素子)などからなる本実施形態のICチップ付き配線基板11(半導体回路素子付き配線基板)を示す概略断面図である。図2は、配線基板12の拡大断面図である。図3は、フレキシブル配線基板51(フレキシブル基板)及び接着シート71(接着層)及びガラスセラミック配線基板31などからなる構造体の構成を示す分解断面図である。図4は、フレキシブル配線基板51、接着シート61,71及び基板本体95からなる構造体の構成を示す分解断面図である。図5は、接着性有機材料シート60(接着層用基材)を示す概略断面図である。図6,図7は、接着シート61,71を作製するときの状態を示す概略断面図である。図8は、フレキシブル配線基板51、接着シート61,71及びガラスセラミック配線基板31を接合するときの様子を示す概略断面図である。図9は、フレキシブル配線基板51、接着シート61,71及び基板本体95を接合するときの様子を示す概略断面図である。
【0035】
図1〜図3に示されるように、本実施形態のICチップ付き配線基板11は、配線基板12を有している。配線基板12は、フレキシブル配線基板51と、同フレキシブル配線基板51と別体で作製された接着シート61,71とを交互に積層した構造を有している。
【0036】
フレキシブル配線基板51は、耐熱性の非熱可塑性樹脂(本実施形態では非熱可塑性のポリイミド)からなる絶縁基材を主体として形成されている。なお、フレキシブル配線基板51のガラス転移温度(Tg)は、270℃であって、配線基板12を形成する際の加熱温度よりも高くなっている。また、耐熱性(長期耐熱性)は300℃,30分であって、はんだ耐熱性は300℃,180秒である。
【0037】
また、フレキシブル配線基板51は、基板上面52(基板主面)及び基板下面53を有している。基板上面52には、基板平面方向に延びる上面側配線層54(表面導体、第1表面導体)が形成され、基板下面53には、同じく基板平面方向に延びる下面側配線層55が形成されている。また、フレキシブル配線基板51には、基板上面52及び基板下面53を貫通する複数のビア導体57が設けられている。各ビア導体57の上端面は上面側配線層54に電気的に接続され、各ビア導体57の下端面は下面側配線層55に電気的に接続されている。これにより、上面側配線層54及び下面側配線層55はビア導体57と導通するようになっている。
【0038】
図1〜図3に示されるように、接着シート61,71は、耐熱性の熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を主体として形成されている。本実施形態において、かかる絶縁基材は、熱可塑性ポリイミド(三井化学株式会社製 AURUM)によって形成されている。また、接着シート61,71は、上面側配線層54や下面側配線層55よりも肉厚に形成されており、厚さ10〜30μm程度に設定されている。なお、接着シート61,71のガラス転移温度(Tg)は250℃であり、フレキシブル配線基板51のガラス転移温度よりも低くなっている。
【0039】
接着シート71を構成する接着シート本体73は、上面74(第2主面)を有するとともに、基板上面52上に接着する下面75(第1主面)を有している。また、接着シート71には、上面74及び下面75を連通する複数のビア孔76(図5参照)が格子状に形成されている。そして、ビア孔76内には、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストの充填により形成された導体柱72が設けられている。導体柱72の下端面は、フレキシブル配線基板51の上面側配線層54に直接接合されている。また、接着シート61は、接着シート71と同様の構成をなしている。即ち、接着シート61を構成する接着シート本体63は、基板下面53上に接着する上面64を有するとともに、下面65を有している。また、接着シート61には、上面64及び下面65を連通する複数のビア孔66(図5参照)が格子状に形成されている。そして、ビア孔66内には、導体柱72と同じ材料からなる導体柱62が設けられている。導体柱72の上端面は、フレキシブル配線基板51の下面側配線層55に直接接合されている。なお、本実施形態の接着シート61,71は、シート平面方向に延びる表面導体を有していない。
【0040】
図1〜図3に示されるように、接着シート71は、フレキシブル配線基板51の基板上面52側を覆っている。また、接着シート61は、フレキシブル配線基板51の基板下面53側を覆っている。よって、接着シート61,71は、上面側配線層54や下面側配線層55を埃や水分から保護している。このため、接着シート61,71における接着部分、即ち、導体柱62,72を除いた部分は、フレキシブル配線基板51のカバーレイとしても機能している。
【0041】
また、接着シート61において、各導体柱62の下端面は、ガラスセラミック配線基板31の上側端子電極36に電気的に接続されている。ガラスセラミック配線基板31は、上面32と、同上面32の反対側に位置する下面33とを有している。ガラスセラミック配線基板31は、複数のセラミック層30と複数の配線層(図示略)とを交互に積層した構造を有している。セラミック層30は、ガラス及びアルミナを主成分とするグリーンシートを焼成することによって形成され、配線層は、銀(または銅)を主成分として形成されている。
【0042】
図1,図3に示されるように、ガラスセラミック配線基板31には、下面33にて開口する略矩形状の凹部130が形成されている。この凹部130内の奥側には、板状をなすキャパシタ131が配置されている。このキャパシタ131は、接着剤133により凹部130内に固定されている。キャパシタ131のビア導体134は、ガラスセラミック配線基板31における電源用のビア導体135と電気的に接続されている。このキャパシタ131は、ノイズを除去してICチップ21に供給すべき電源を安定化させる機能を有している。また、凹部130の開口部付近には、板状をなすメモリIC132が接着剤133により固定されている。メモリIC132の図示しない接続端子は、ガラスセラミック配線基板31におけるビア導体と電気的に接続されている。このようにすれば、メモリIC132と、配線基板12の上面に搭載されたICチップ21とを繋ぐ配線長が短縮されるため、高速でデータの伝送を行うのに好適となる。
【0043】
また、ガラスセラミック配線基板31には、上面32及び下面33を貫通する複数のビア孔34が格子状に形成されている。そして、かかるビア孔34内には、銀(または銅)を主材料とするビア導体35が設けられている。各ビア導体35の上端面には、銀(または銅)からなる上側端子電極36が設けられている。これにより、上側端子電極36はビア導体35と導通するようになっている。一方、各ビア導体35の下端面には、マザーボード81の複数の端子82との電気的な接続を図るための複数のはんだバンプ49が格子状に配設されている。はんだバンプ49は、90Pb/10Snという組成の錫鉛はんだからなっている。
【0044】
そして、各はんだバンプ49により、図1に示されるICチップ付き配線基板11はマザーボード81上に実装される。なお、ICチップ付き配線基板11は、配線基板12及びモジュール配線基板91(機能モジュール)からなるBGA(ボールグリッドアレイ)である。ICチップ付き配線基板11の形態は、BGAのみに限定されず、例えばLGA(ランドグリッドアレイ)やPGA(ピングリッドアレイ)等であってもよい。
【0045】
図1に示されるように、接着シート71の上面74における所定領域(具体的には、ガラスセラミック配線基板31の真上の領域)には、上面側配線層54の一部である複数のフリップチップ接続パッドが配置された素子搭載部56が設定されている。このような素子搭載部56には、MPUとしての機能を有するICチップ21がフリップチップ実装されている。ICチップ21は、下側部分が接着シート71内に埋設された状態で実装されている(図2参照)。本実施形態のICチップ21は、縦12.0mm×横10.0mm×厚さ0.7mmの矩形平板状であって、シリコンからなる。かかるICチップ21の下面側表層には、図示しない回路素子が形成されている。また、ICチップ21の下面(素子主面)には、複数の面接続端子22(第2表面導体)が格子状に設けられている。ICチップ21の下面は、接着シート71の上面74に直接接着されている。この際、各面接続端子22は、接着シート71の導体柱72を介してフレキシブル配線基板51の上面側配線層54(即ちフリップチップ接続パッド)に電気的に接続されている。なお、フレキシブル配線基板51においては、素子搭載部56を中心としてその周囲にファンアウトする複数の微細な上面側配線層54がパターン形成されている。また、素子搭載部56には、メモリなどの電子部品がさらに実装されていてもよい。
【0046】
図1,図4に示されるように、フレキシブル配線基板51は、ガラスセラミック配線基板31の平面方向に張り出した部分(張出部58)を有している。この張出部58の上面側における所定領域には、上面側配線層54の一部が配置されたモジュール搭載部90が設定されている。このようなモジュール搭載部90には、前記モジュール配線基板91が搭載されている。本実施形態において、モジュール配線基板91は、電源電圧を制御する機能を有する電源モジュールとして成立している。この電源モジュールは、複数種類の電子部品92を含んで構成された回路からなっている。詳述すると、モジュール配線基板91は、上面93及び下面94を有する基板本体95を有している。本実施形態においてこの基板本体95は、エポキシ樹脂からなる樹脂製基板である。基板本体95には、モジュール配線基板91の厚さ方向に延びる複数のビア孔(貫通孔)が格子状に形成されており、それらビア孔内に銅めっきからなる導体柱96が設けられている。上面93において各々の導体柱96の上端面がある位置には、上面側パッド97が配置されている。各上面側パッド97は、電子部品92側に設けられたバンプ状の面接続端子98に対して接続されている。なお、電子部品92は、チップトランジスタやチップ抵抗などの部品である。一方、下面94において各々の導体柱96の下端面がある位置には、下面側パッド99(接続端子)が配置されている。
【0047】
図1に示されるように、モジュール配線基板91は、前記接着シート71を介してフレキシブル配線基板51の基板上面52側に接合されている。詳述すると、下面側パッド99は、接着シート71において張出部58に位置する各導体柱72を介して、フレキシブル配線基板51の上面側配線層54に電気的に接続されている。なお、モジュール配線基板91は、前記接着シート61を介してフレキシブル配線基板51の基板下面53側に接合されていてもよい。
【0048】
その結果、上面側パッド97〜導体柱96〜下面側パッド99〜導体柱72という経路(またはこれと逆の経路)を経て電流が流れるようになっている。従って、このような構造のICチップ付き配線基板11では、基板本体95の導体柱96を介して、フレキシブル配線基板51側と電子部品92側とが電気的に接続される。ゆえに、モジュール配線基板91を介して、フレキシブル配線基板51−電子部品92間で信号の入出力が行われるようになっている。
【0049】
従って、このような構造のICチップ付き配線基板11では、フレキシブル配線基板51のビア導体57は、下面側配線層55、接着シート61の導体柱62及び上側端子電極36を介して、ガラスセラミック配線基板31のビア導体35に電気的に接続されている。そして、素子搭載部56にICチップ21を実装した場合には、ICチップ21の面接続端子22が、上面側配線層54(フリップチップ接続パッド)を介して、フレキシブル配線基板51のビア導体57に電気的に接続される。ゆえに、ガラスセラミック配線基板31−ICチップ21間で信号の入出力が行われるとともに、ICチップ21をMPUとして動作させるための電源が供給されるようになっている。
【0050】
次に、上記のICチップ付き配線基板11を製造する手順について説明する。
【0051】
まず、フレキシブル配線基板作製工程(フレキシブル基板作製工程)を実施して、フレキシブル配線基板51を個別に作製する。フレキシブル配線基板51の作製は、基本的には従来周知の手法によって行われる。即ち、銅張積層板に対してメカニカルドリル、YAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでビア孔内にビア導体57を形成する。さらに、銅張積層板の両面のエッチングを行って上面側配線層54及び下面側配線層55を形成する。その結果、フレキシブル配線基板51を得る。
【0052】
また、接着シート作製工程(接着層作製工程)において接着シート61,71を作製する。具体的には、接着シート61となる接着性有機材料シート60(図5参照)に対してメカニカルドリル、YAGレーザー、COレーザー、パンチング装置等を用いて孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通するビア孔66(図6参照)を所定位置にあらかじめ形成しておく(ビア孔形成工程)。また、接着シート71となる接着性有機材料シート60に対しても同様に孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通するビア孔76を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、ビア孔66(またはビア孔76)は、上側開口部の直径が約117μmとなり、下側開口部の直径が約113μmとなる。
【0053】
次に、従来周知の印刷法により、導電ペーストをビア孔66(またはビア孔76)に充填し導体柱62(または導体柱72)を形成する。具体的には、接着性有機材料シート60を支持台(図示略)に載置する。次に、ビア孔66(またはビア孔76)に対応した位置に開口部を有する印刷マスクを用い、印圧を2kgf/cm、印刷スピードを50mm/secに設定して、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストを印刷し、ペースト充填層を形成する。そして、印刷装置から取り外した後、導電ペーストを加熱して溶剤等を蒸発させ、固形化させる。次いで、100℃程度の温度で約30分間加熱して仮硬化を行う。これにより、導電ペーストからなる導体柱62(または導体柱72)が少しだけ硬化し、接着シート61(接着シート71)が完成する。その結果、ビア孔76内に導体柱72が形成され(導体柱形成工程)、ビア孔66内に導体柱62が形成される。このとき、導体柱62(導体柱72)の先端部分が、接着性有機材料シート60の上面から突出する(図7参照)。このような構造にすれば、フレキシブル配線基板51にガラスセラミック配線基板31を接合する際に、導体柱62の先端部分とガラスセラミック配線基板31の上側端子電極36とが圧接する。また、フレキシブル配線基板51にICチップ21を接合する際に、導体柱72の先端部分とICチップ21の面接続端子22とが圧接し、フレキシブル配線基板51に基板本体95を接合する際に、導体柱72の先端部分と基板本体95の下面側パッド99とが圧接する。よって、例えば先端部分がフラットである場合に比べて他部材の導体部分との接合強度が高くなり、接続信頼性の向上が図りやすくなる。
【0054】
また、ガラスセラミック配線基板31の作製も、基本的には従来周知の手法によって行われる。例えば、周知のセラミックグリーンシート形成技術によって、ガラス及びアルミナを主成分とするグリーンシートを複数枚作製する。そして、各グリーンシートの所定位置に、表裏両面を貫通するビア孔をパンチング等により形成する。また、各グリーンシートの所定位置に、後に凹部130となる貫通孔をパンチングなどにより形成する。即ち、貫通孔の形成は、焼結後のセラミック層30に対して行われるのではなく、焼結前の柔らかいグリーンシートに対して行われるため、凹部130の形成が容易になる。さらに、各グリーンシートのビア孔内に銀ペースト(または銅ペースト)を充填して、後にビア導体35となるペースト充填層を形成しておく。そして、これらのグリーンシートを積層、圧着した後、還元雰囲気中にて所定温度で焼成(同時焼成)を行って、アルミナと銀ペースト(または銅ペースト)とを焼結させる。その結果、ビア導体35及び凹部130を有する複数のセラミック層30の積層体が作製される。次に、凹部130内の奥側にキャパシタ131を実装した後、凹部130の開口部付近にメモリIC132を実装する。さらに、凹部130とキャパシタ131との隙間に接着剤133を充填してキャパシタ131を固定し、凹部130とメモリIC132との隙間に接着剤133を充填してメモリIC132を固定する。なお、メモリIC132を、ICチップ付き配線基板11の完成後に取り付けてもよい。その結果、図3に示すガラスセラミック配線基板31が完成する。
【0055】
さらに、モジュール配線基板91(基板本体95)の作製も、基本的には従来周知の手法によって行われる。即ち、銅張積層板に対してメカニカルドリルを用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、銅張積層板に対してYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー孔あけ加工を行うことで、ビア孔を形成してもよい。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行い、ビア孔内に導体柱96を形成する。さらに、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って上面側パッド97及び下面側パッド99を例えばサブトラクティブ法によって形成する。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離することにより、基板本体95を得る。なお、上面側パッド97及び下面側パッド99を、セミアディティブ法によって形成してもよい。具体的には、無電解銅めっきの後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その結果、基板本体95を得る。
【0056】
次に、電気検査工程を実施し、完成したフレキシブル配線基板51及び接着シート61,71に対する電気検査を個別に行う。それとともに、完成したガラスセラミック配線基板31及びモジュール配線基板91に対する電気検査も行う。なお、本実施形態における電気検査とは、例えば、インサーキットテスタを用いて行う一般的なインサーキットテストを指す。さらに、完成したフレキシブル配線基板51、接着シート61,71、ガラスセラミック配線基板31及びモジュール配線基板91に対し、この時点で併せて外観検査を個別に行ってもよい。このとき、不良品を発見した場合には、その不良品を事前に除去する。そして、電気検査や外観検査に合格したフレキシブル配線基板51、接着シート61,71、ガラスセラミック配線基板31及びモジュール配線基板91のみを用いて位置決め工程(第1位置決め工程、第2位置決め工程)以降の工程を行う。従って、ICチップ付き配線基板11が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
【0057】
そして、第1位置決め工程では、まず、平板状の下治具101上に、接着シート71、フレキシブル配線基板51、接着シート61、ガラスセラミック配線基板31を順番に重ねる。これにより、互いに対向した接着シート61,71間に、フレキシブル配線基板51が位置するようになる。そして、下治具101の上にスペーサ102を載置する。なお、スペーサ102の板厚は、ガラスセラミック配線基板31の高さと略等しくなっている。また、スペーサ102には、下治具101に突設された複数の位置決めピン105が挿通される。このため、スペーサ102及びガラスセラミック配線基板31の平面方向への位置ずれが防止される。その後、ガラスセラミック配線基板31及びスペーサ102上に平板状の上治具104を載置する(図8参照)。なお、上記の下治具101は、同下治具101の上面側に、クッション材103を貼り付けた構造となっている。従って、接着シート71から突出する導体柱72は、弾性体であるクッション材103に接触するようになっている。このとき、クッション材103は弾性変形して接着シート71側の凹凸形状に追従する。これにより、接着シート71に対して均等に押圧力を付加することができる。なお、上記のような治具を用いて位置決めを行う代わりに、基板などの位置を検出する画像認識装置を有する、いわゆるダイマウンタ装置を用いて位置決めを行うことも可能である。
【0058】
そして次に、下記の要領で第1接合工程(接合工程)を実施する。本実施形態において具体的には、20Torr(≒2666Pa)以下の真空下で260℃以上の温度となるように加熱を行いながら積層方向(接合方向)に押圧力(4MPa)を加える(真空熱プレス)。これに伴い、フレキシブル配線基板51及び接着シート61,71が積層方向に沿って押圧されるとともに、熱により接着シート61,71の可塑性が大きくなる。そして、フレキシブル配線基板51の基板上面52上に接着シート71の下面75が接着(熱圧着)され、フレキシブル配線基板51の基板下面53上に接着シート61の下面65が接着(熱圧着)される。この際、フレキシブル配線基板51の下面側配線層55が接着シート61の導体柱62に圧接するとともに、フレキシブル配線基板51の上面側配線層54が接着シート71の導体柱72に圧接する。よって、導体柱62,72、ビア導体57、上面側配線層54及び下面側配線層55が互いに電気的に接続され、配線基板12が形成される。即ち、フレキシブル配線基板51及び接着シート61,71の接合は真空雰囲気下での接合となるため、エアの巻き込みによるボイドの発生を効果的に抑制できる。
【0059】
次に、下記の要領で第2位置決め工程及び第2接合工程を実施する。なお、第2位置決め工程及び第2接合工程は、第1位置決め工程及び第1接合工程の前に行ってもよい。また、第1位置決め工程及び第1接合工程と同時に行うようにすれば、工数が少なくなり、確実に低コスト化を達成することができる。
【0060】
第2位置決め工程では、まず、平板状の下治具151上に、接着シート61、フレキシブル配線基板51、接着シート71を順番に重ねる。このとき、接着シート71が上側となるように載置する。この場合、フレキシブル配線基板51の外周部分には、下治具151に突設された複数の位置決めピン155が挿通される。これにより、フレキシブル配線基板51の平面方向への位置ずれが防止される。次に、フレキシブル配線基板51上に基板本体95を載置する。このとき、互いに対向したフレキシブル配線基板51の上面側配線層54と、基板本体95の下面側パッド99との間に、接着シート71が位置するようになる。そして、下治具151の上にスペーサ152を載置する。なお、スペーサ152の板厚は、基板本体95の高さと略等しくなっている。また、スペーサ152には複数の位置決めピン155が挿通されている。このため、基板本体95の平面方向への位置ずれが防止される。その後、基板本体95及びスペーサ152上に平板状の上治具154を載置する(図9参照)。
【0061】
そして次に、第2接合工程を実施する。本実施形態において具体的には、20Torr(≒2666Pa)以下の真空下で260℃以上の温度となるように加熱を行いながら積層方向に押圧力(4MPa)を加える(真空熱プレス)。これに伴い、基板本体95がフレキシブル配線基板51側に押圧されるとともに、熱により接着シート61,71の可塑性が大きくなる。そして、このような状態の接着シート71を介して、フレキシブル配線基板51の基板上面52側に対して基板本体95が接合(熱圧着)される。この際、接着シート71の導体柱72と基板本体95の下面側パッド99とが圧接するとともに、導体柱72とフレキシブル配線基板51の上面側配線層54とが圧接する。よって、基板本体95の導体柱96とフレキシブル配線基板51の上面側配線層54とが、接着シート71の導体柱72を介して互いに電気的に接続される。即ち、フレキシブル配線基板51に対する基板本体95の接合は真空雰囲気下での接合となるため、エアの巻き込みによるボイドの発生を効果的に抑制できる。
【0062】
なお、上記の上治具154は、同上治具154の下面側に、クッション材153を貼り付けた構造となっている。従って、基板本体95の上面93に突出する上面側パッド97は、弾性体であるクッション材153に接触するようになっている。このとき、クッション材153は弾性変形して基板本体95側の凹凸形状に追従する。これにより、基板本体95に対して均等に押圧力を付加することができる。
【0063】
次に、ガラスセラミック配線基板31の下面33側に対するはんだペースト印刷を行い、はんだバンプ49を形成する。このようにすれば、第1接合工程を実施する際にはんだバンプ49が邪魔にならなくて済む。また、前記第1接合工程後にはんだバンプ形成を行うと、前記第1接合工程前にはんだバンプ形成を行う場合とは異なり、はんだバンプ49が260℃以上の高温に遭遇しにくくなる。従って、必ずしも高融点はんだを選択しなくてもよくなり、はんだ材料の選択の自由度が大きくなる。
【0064】
もっとも、ガラスセラミック配線基板31を作製する時点で、はんだバンプ49を同時に形成し、その後で第1接合工程を実施するようにしてもよい。このようにすれば、電気検査工程にてガラスセラミック配線基板31を検査する際に、はんだバンプ49も含めて検査できるため、はんだバンプ49に不良が生じた状態でICチップ付き配線基板11が製造されることを防止できる。
【0065】
また、基板本体95の上面93側に複数の電子部品92を載置する。このとき、電子部品92側の面接続端子98と、基板本体95側の上面側パッド97とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各面接続端子98をリフローすることにより、面接続端子98と上面側パッド97とを接合する。
【0066】
その後、フレキシブル配線基板51の素子搭載部56にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、フレキシブル配線基板51側の上面側配線層54とを位置合わせするようにする。そして、加熱を行いながら積層方向(接合方向)に押圧力を加える。これに伴い、ICチップ21及び接着シート71が積層方向に沿って押圧されるとともに、熱により接着シート71の可塑性が大きくなる。そして、接着シート71の上面74上にICチップ21の下面が接着(熱圧着)される。この際、ICチップ21の下側部分が接着シート71内に埋設されるとともに、面接続端子22と上面側配線層54とが接着シート71の導体柱72を介して電気的に接続される。するとこの段階で、複数の機能が集積してシステム化されたICチップ付き配線基板11(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)が完成する。
【0067】
さらに、ガラスセラミック配線基板31のはんだバンプ49と、マザーボード81側の端子82とを位置合わせして、マザーボード81上にICチップ付き配線基板11を載置する。そして、加熱して各はんだバンプ49をリフローすることにより、はんだバンプ49と端子82とを接合する。これにより、ICチップ付き配線基板11がマザーボード81上に搭載される。
【0068】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施形態のICチップ付き配線基板11では、接着シート71のビア孔76が貫通しているため、導体柱72の端面がビア孔76から完全に露出する。よって、接着シート61を介してフレキシブル配線基板51とICチップ21とを接合する際に、露出した導体柱72の端面に対してフレキシブル配線基板51の上面側配線層54及びICチップ21の面接続端子22を直接接合できる。よって、上面側配線層54と面接続端子22とが導体柱72を介して確実に導通するため、高い接続信頼性を得ることができる。
【0070】
さらに、ICチップ21は、素子搭載部56上に搭載されているため、配線基板12の外側に露出している。このため、ICチップ21から生じた熱が配線基板12の外部に放散されやすくなる。よって、熱の影響による配線基板12の塑性変形が防止されるため、寸法安定性の高い配線基板12を得ることができる。また、熱の影響によるICチップ21の誤作動を防止できる。
【0071】
また、熱可塑性樹脂を主体とする接着シート71を用いて配線基板12が構成されているため、接着性を生じない非熱可塑性樹脂を主体とするフレキシブル配線基板51に、熱可塑性樹脂を主体とする接着シート71を介してICチップ21を確実に接合できる。しかも、フレキシブル配線基板51は非熱可塑性樹脂を主体とするため、配線基板12を形成する際などに熱が加わったとしても塑性変形しにくい。よって、寸法安定性の高い配線基板12を得ることができる。また、フレキシブル配線基板51の塑性変形に伴う上面側配線層54の平面方向への位置ずれを防止できるため、接続信頼性を維持することができる。よって、フレキシブル配線基板51に接着シート71を介してICチップ21を接合した際に両者を確実に導通できるため、配線基板12が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
【0072】
(2)本実施形態では、接着シート61,71における接着部分、即ち、導体柱62,72を除いた部分が、フレキシブル配線基板51のカバーレイとしても機能している。このため、接着シート61,71とは別々に、フレキシブル配線基板51の保護膜を形成しなくても済む。その結果、配線基板12を厚み方向(Z方向)に小型化することができる。また、配線基板12を構成する部品点数や工数が少なくなり、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。さらに、配線基板12の構造を簡単にすることができる。
【0073】
(3)本実施形態のICチップ付き配線基板11は、配線基板12を有するとともにモジュール配線基板91を有するため、多機能化を図りやすくなる。ゆえに、1つのシステム化されたICチップ付き配線基板11(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)を実現しやすくなり、付加価値も高くなる。
【0074】
(4)本実施形態のフレキシブル配線基板51は、基板上面52及び基板下面53の両方に導体パターン(上面側配線層54、下面側配線層55)が形成されている。このため、導体パターンが何ら形成されていない接着シート61,71を用いたとしても、多くの回路を内部に構成すること等が可能となり、付加価値を高めることができる。
【0075】
(5)本実施形態では、配線基板12を構成するフレキシブル配線基板51及び接着シート61,71が、耐熱性の樹脂からなる絶縁基材を主体として形成されている。よって、ICチップ21から生じた熱の影響による配線基板12の塑性変形が防止されるため、寸法安定性の高い配線基板12を得ることができる。
【0076】
(6)本実施形態の接着シート61,71は、熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリイミド)からなる絶縁基材を主体として形成されている。よって、例えば、フレキシブル配線基板51及び接着シート61,71が互いに位置ずれした状態で接合されたとしても、接着シート61,71を再度加熱すれば、フレキシブル配線基板51から接着シート61,71を剥離できる。このため、フレキシブル配線基板51及び接着シート61,71を容易に接合し直すことが可能となる。同様に、フレキシブル配線基板51に基板本体95が位置ずれした状態で接合されたとしても、接着シート71を再度加熱すれば、基板本体95を接着シート71から剥離できる。このため、フレキシブル配線基板51に基板本体95を容易に接合し直すことが可能となる。さらに、ICチップ21が接着シート71に対して位置ずれした状態で接合されたとしても、接着シート71を再度加熱すれば、接着シート71からICチップ21を剥離できる。このため、ICチップ21を容易に接合し直すことが可能となる。この場合、比較的高価なICチップ21が無駄にならずに済む。
【0077】
(7)本実施形態では、素子搭載部56がガラスセラミック配線基板31の真上の領域に設定されている。このため、ICチップ21が低剛性のフレキシブル配線基板51によって支持されるだけでなく高剛性のガラスセラミック配線基板31によっても支持されるため、ICチップ21が素子搭載部56に対して安定的に接続される。よって、ICチップ21の接続信頼性を維持しやすくなる。
【0078】
(8)本実施形態のICチップ21は、下側部分が接着シート71内に埋設された状態で実装されている。このため、ICチップ21の下面が接着シート71に面接触した状態で支持されることに加え、側面の下側部分も接着シート71に面接触した状態で支持される。よって、ICチップ21の平面方向への位置ずれを防止できるため、ICチップ21を素子搭載部56に対してより安定的に接続することができる。
【0079】
また、ICチップ21の下側部分は接着シート71内に埋設されているが、他の部分は配線基板12の外側に露出している。このため、ICチップ21の放熱性を維持することができる。
【0080】
(9)本実施形態の製造方法では、第1接合工程が実施される前に接着シート作製工程が実施される。このため、接着シート作製工程において、接着性有機材料シート60にビア孔76をあらかじめ形成できるため、ビア孔76が確実に貫通する。よって、フレキシブル配線基板51とICチップ21とを接合した際に、上面側配線層54と面接続端子22とがビア孔76内の導体柱72を介して確実に導通するため、高い接続信頼性を得ることができる。また、フレキシブル配線基板51及び接着シート61,71が個別に作製されるため、ビア孔66,76の形成が容易になる。よって、配線基板12を容易に製造できる。
【0081】
(10)本実施形態の製造方法では、フレキシブル配線基板51の素子搭載部56にICチップ21を実装する前の時点で第1接合工程を実施しているため、上治具104の荷重がICチップ21に加わることがない。ゆえに、ICチップ21のクラックの発生を確実に防止することができる。また、本実施形態では、基板本体95の上面側パッド97に電子部品92を実装する前の時点で第2接合工程を実施しているため、上治具154の荷重が電子部品92に加わることがない。ゆえに、電子部品92のクラックの発生を確実に防止することができる。
【0082】
(11)本実施形態の製造方法では、ICチップ21の下面が、接着シート71の上面74に熱圧着により直接接着される。このため、ICチップ21の接着時に、接着シート71の上面74に接着剤を塗布しなくても済む。また、仮に接着剤を塗布する場合には、導体柱72を避けて塗布する必要があるが、本実施形態ではその必要もない。さらに、ICチップ21と接着シート71との間に隙間が生じないため、アンダーフィルを充填しなくても済む。よって、ICチップ付き配線基板11を構成する部品点数や工数が少なくなり、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。さらに、ICチップ付き配線基板11の構造を簡単にすることができる。
【0083】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0084】
・図10に示されるように、接着シート71は、上面74側及び下面75側を導通させる複数の導体柱72と、複数の導体層111とからなる導体部を有する積層接着シート(積層接着層)であってもよい。このようにすれば、フレキシブル配線基板51に配線が存在しない場合であっても、配線基板12内に回路を構成することができる。また、導体層111が接着シート71の内部に配置されているため、導体層111の劣化(腐食など)を防止できる。さらに、導体層111が存在しない上記実施形態の接着シート71に比べて、内部に複雑な回路を構成することが可能となるため、配線基板12の付加価値を高めることができる。
【0085】
・図11に示されるように、接着シート61を省略するとともに、接着シート71を延長し、その延長部分を下側に折り返してフレキシブル配線基板51の基板下面53に貼付してもよい。このようにすれば、1枚の接着シート71を、ICチップ21及びモジュール配線基板91の接合に加え、ガラスセラミック配線基板31の接合に用いることができる。よって、ICチップ付き配線基板11を構成する部品点数が少なくなり、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。
【0086】
また、図12に示されるように、接着シート71の延長部分を下側に折り返してフレキシブル配線基板51の基板下面53に貼付した後、接着シート71の延長部分の先端部をさらに下側に折り返して、フレキシブル配線基板51の下側にある別のフレキシブル配線基板59の基板下面53に貼付してもよい。このようにすれば、配線基板12が2枚のフレキシブル配線基板51,59を有することから、より多くの回路を配線基板12内に構成すること等が可能となり、付加価値を高めることができる。
【0087】
・上記実施形態では、フレキシブル配線基板51とガラスセラミック配線基板31とが接着シート61を介して接合されていた。また、フレキシブル配線基板51とICチップ21とが接着シート71を介して接合され、フレキシブル配線基板51とモジュール配線基板91(基板本体95)とが接着シート71を介して接合されていた。しかし、接着シート61,71の代わりに異方導電性接着剤を用いることにより、これらの接合を行ってもよい。
【0088】
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0089】
(1)基板主面及び前記基板主面上に設けられた表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられ、前記フレキシブル基板と別体で作製されたシート状の接着層とを備え、前記表面導体と前記導体柱とが直接接合されていることを特徴とする配線基板。
【0090】
(2)基板主面及び前記基板主面上に設けられた表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層とを備え、前記導体柱の端面は前記ビア孔から完全に露出し、その露出した端面全域に対して前記表面導体が直接接合されていることを特徴とする配線基板。
【0091】
(3)基板主面及び前記基板主面上に設けられた表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面側及び前記第2主面側を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層とを備え、前記表面導体と前記導体柱とが直接接合されており、前記接着層は、複数の前記導体柱と複数の導体層とからなる導体部を有する積層接着層であることを特徴とする配線基板。
【0092】
(4)基板主面及び前記基板主面上に設けられた第1表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層と、第2表面導体を有し、前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子とを備え、前記導体柱に対して前記第1表面導体及び前記第2表面導体が直接接合されるとともに、前記半導体回路素子の第2表面導体形成面が前記接着層内に埋設された状態で、前記半導体回路素子が前記素子搭載部上に搭載されていることを特徴とする半導体回路素子付き配線基板。
【0093】
(5)基板主面及び前記基板主面上に設けられた第1表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられ、前記フレキシブル基板と別体で作製されたシート状の接着層と、第2表面導体を有し、前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子とを備え、前記導体柱に対して前記第1表面導体及び前記第2表面導体が直接接合されていることを特徴とする半導体回路素子付き配線基板。
【0094】
(6)基板主面及び前記基板主面上に設けられた第1表面導体を有するフレキシブル基板と、前記基板主面上に接着する第1主面、及び素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層と、素子主面上に第2表面導体を有し、前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子とを備え、前記導体柱に対して前記第1表面導体及び前記第2表面導体が直接接合され、前記素子主面が前記第2主面に対して直接接着していることを特徴とする半導体回路素子付き配線基板。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施形態において、配線基板及びICチップなどからなるICチップ付き配線基板を示す概略断面図。
【図2】配線基板を示す拡大断面図。
【図3】フレキシブル配線基板及び接着シート及びガラスセラミック配線基板などからなる構造体の構成を示す分解断面図である。
【図4】フレキシブル配線基板、接着シート及び基板本体からなる構造体の構成を示す分解断面図である。
【図5】接着シートの作製過程において、接着性有機材料シートを示す概略断面図。
【図6】接着シートの作製過程において、接着性有機材料シートにビア孔を形成する工程を示す概略断面図。
【図7】接着シートの作製過程において、ビア孔内に導体柱を形成する工程を示す概略断面図。
【図8】ICチップ付き配線基板の製造過程において、フレキシブル配線基板、接着シート及びガラスセラミック配線基板を接合するときの様子を示す概略断面図。
【図9】ICチップ付き配線基板の製造過程において、フレキシブル配線基板、接着シート及び基板本体を互いに接合するときの様子を示す概略断面図。
【図10】他の実施形態における配線基板を示す拡大断面図。
【図11】他の実施形態におけるICチップ付き配線基板を示す概略断面図。
【図12】他の実施形態におけるICチップ付き配線基板を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0096】
11…半導体回路素子付き配線基板としてのICチップ付き配線基板
12…配線基板
21…半導体回路素子としてのICチップ
22…第2表面導体としての面接続端子
51…フレキシブル基板としてのフレキシブル配線基板
52…基板主面としての基板上面
54…表面導体及び第1表面導体としての上面側配線層
56…素子搭載部
60…接着層用基材としての接着性有機材料シート
71…接着層としての接着シート
72…導体柱
74…第2主面としての上面
75…第1主面としての下面
76…ビア孔
90…モジュール搭載部
91…機能モジュールとしてのモジュール配線基板
99…機能モジュールの接続端子としての下面側パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板主面及び前記基板主面上に設けられた表面導体を有するフレキシブル基板と、
前記基板主面上に接着する第1主面、及び半導体回路素子が搭載可能な素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層と
を備え、前記表面導体と前記導体柱とが直接接合されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記接着層における接着部分は、前記フレキシブル基板のカバーレイとして機能することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記接着層は、熱可塑性樹脂を主体とすることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記接着層の前記第2主面にモジュール搭載部が設定され、前記モジュール搭載部上に機能モジュールが搭載され、前記フレキシブル基板の表面導体と、前記機能モジュールの接続端子とが、前記接着層内の導体柱を介して互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
基板主面及び前記基板主面上に設けられた第1表面導体を有するフレキシブル基板と、
前記基板主面上に接着する第1主面、及び素子搭載部が設定された第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するビア孔内に導体柱が設けられた接着層と、
第2表面導体を有し、前記素子搭載部上に搭載された半導体回路素子と
を備え、前記導体柱に対して前記第1表面導体及び前記第2表面導体が直接接合されていることを特徴とする半導体回路素子付き配線基板。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法であって、
前記フレキシブル基板を作製するフレキシブル基板作製工程と、
接着層用基材を貫通するビア孔を形成し、前記ビア孔内に導体柱を設けることにより、前記接着層を作製する接着層作製工程と、
前記フレキシブル基板の前記基板主面上に、前記接着層の第1主面を接着するとともに、その際に前記フレキシブル基板の表面導体と前記接着層内の導体柱とを互いに電気的に接続する接合工程と
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記接合工程では、非熱可塑性樹脂を主体として構成された前記フレキシブル基板と、熱可塑性樹脂を主体として構成された前記接着層とを熱圧着することを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−310542(P2006−310542A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131302(P2005−131302)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】