説明

配線部材の製造方法

【課題】同時スイッチングによる電源層とグランド層との間の共振を抑えることによって、電源電位を安定化でき、不要なノイズの放射を抑制できるプリント配線基板用の配線部材を効率よく製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】銅箔11と絶縁性樹脂層12と金属材料または導電性セラミックスを含む厚さ5〜200nmのノイズ抑制層13とを有する配線部材10の製造方法であって、(b)連続シート状の銅箔11上に樹脂組成物を塗布して、絶縁性樹脂層12を形成する工程、(c)絶縁性樹脂層12上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させてノイズ抑制層13を形成し、連続シート状の配線部材10を得る工程、(e)連続シート状の配線部材10を裁断する工程を有する配線部材10の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板を構成するための配線部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユビキタス社会が訪れ、情報処理機器、通信機器等、特にパソコン、携帯電話、ゲーム機器等においては、MPUの高速化、多機能化、複合化、およびメモリ等の記録装置の高速化が進行している。
しかし、これらの機器から放射されるノイズ、または機器内の導体を伝導するノイズがもたらす、自身または他の電子機器、部品の誤作動、人体に対する影響が問題となっている。これらノイズとしては、MPU、電子部品等が実装されたプリント配線板内の導体のインピーダンス不整合によるノイズ、導体間のクロストークによるノイズ、MPU等の半導体素子の同時スイッチングによる電源層とグランド層との層間の共振よって誘起されるノイズ等がある。
【0003】
これらノイズが抑えられたプリント配線基板としては、下記プリント配線基板が知られている。
(1)銅箔からなる電源層およびグランド層の両面に、銅箔よりも抵抗率が大きい金属からなる金属膜を形成したプリント配線基板(特許文献1)。
(2)銅箔からなる電源層およびグランド層の両面に、導電性物質を含む、プリント配線基板面に対して垂直方向の異方導電性を有する膜を形成したプリント配線基板(特許文献2)。
【0004】
(1)のプリント配線基板においては、銅箔表面に流れる高周波うず電流を減衰させることができ、半導体素子が同時スイッチングを起こしても、電源電位等を安定化でき、不要なノイズの放射を抑制できるとされている。なお、導体表面(表皮)を流れる高周波電流(表皮電流)を、表皮の深さと同程度の数μmの金属膜で減衰させるためには、対象となる高周波電流の周波数にもよるが、かなりの高抵抗率を有する材料が必要となる。しかし、このような材料は入手できず、(1)のプリント配線基板では、充分なノイズ抑制効果が得られない。
【0005】
(2)のプリント配線基板においても、同様に高周波うず電流を減衰させることができるとされている。しかし、表皮の深さと同等以上の銅箔の表面粗さを有するように異方導電性の膜を形成することは、工程が複雑である。また、(2)のプリント配線基板では、充分なノイズ抑制効果が得られない。
【特許文献1】特開平11−97810号公報
【特許文献2】特開2006−66810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明の目的は、同時スイッチングによる電源層とグランド層との間の共振を抑えることによって、電源電位を安定化でき、不要なノイズの放射を抑制できるプリント配線基板用の配線部材を効率よく製造できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配線部材の製造方法は、銅箔と、金属材料または導電性セラミックスを含む、厚さ5〜200nmのノイズ抑制層と、前記銅箔と前記ノイズ抑制層との間に設けられた絶縁性樹脂層とを有する配線部材の製造方法であって、下記(b)工程、(c)工程および(e)工程を有することを特徴とする。
(b)連続シート状の銅箔上に樹脂組成物を塗布して、絶縁性樹脂層を形成する工程。
(c)絶縁性樹脂層上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させてノイズ抑制層を形成し、連続シート状の配線部材を得る工程。
(e)連続シート状の配線部材を裁断する工程。
【0008】
本発明の配線部材の製造方法は、銅箔と、金属材料または導電性セラミックスを含む、厚さ5〜200nmのノイズ抑制層と、前記銅箔と前記ノイズ抑制層との間に設けられた絶縁性樹脂層と、前記銅箔と前記絶縁性樹脂層との間に設けられた接着促進層とを有する配線部材の製造方法であって、下記(a)工程、(b)工程、(c)工程および(e)工程を有することを特徴とする。
(a)連続シート状の銅箔上に接着促進剤を塗布して、接着促進層を形成する工程。
(b)接着促進層上に樹脂組成物を塗布して、絶縁性樹脂層を形成する工程。
(c)絶縁性樹脂層上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させてノイズ抑制層を形成し、連続シート状の配線部材を得る工程。
(e)連続シート状の配線部材を裁断する工程。
【0009】
本発明の配線部材の製造方法は、さらに、下記(d)工程または(f)工程を有していてもよく、(d)工程を有することが好ましい。
(d)(c)工程と(e)工程との間に、ノイズ抑制層を所望のパターンに加工する工程。
(f)(e)工程の後に、ノイズ抑制層を所望のパターンに加工する工程。
【0010】
(d)工程または(f)工程においては、レーザーアブレーション法によってノイズ抑制層を所望のパターンに加工することが好ましい。
(c)工程においては、窒素、炭素、ケイ素、ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むガスの存在下で、絶縁性樹脂層上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させることが好ましい。
(b)工程は、複数回繰り返してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の配線部材の製造方法によれば、プリント配線基板において同時スイッチングによる電源層とグランド層との間の共振を抑えることによって、電源電位を安定化でき、不要なノイズの放射を抑制できる配線部材を効率よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<配線部材>
図1は、本発明の製造方法によって製造される配線部材の一例を示す断面図である。配線部材10は、銅箔11と、銅箔11上に設けられた絶縁性樹脂層12と、絶縁性樹脂層12の表面に形成されたノイズ抑制層13とを有するものである。
【0013】
(銅箔)
銅箔11としては、電解銅箔、圧延銅箔等が挙げられる。
通常、銅箔の表面は、絶縁性樹脂層12との接着性をよくするために、表面に微細な銅粒を付着させる等により粗面化処理されている。一方、本発明においては、ノイズ抑制層13側の銅箔11の表面は、表面粗さRz が2μm以下である平滑面とされていてもよい。平滑面の表面粗さRz が2μm以下であれば、絶縁性樹脂層12を薄く形成しても、絶縁性樹脂層12に銅箔11の表面の凹凸によるピンホール等の欠陥が発生しにくくなり、銅箔11とノイズ抑制層13との短絡が抑えられ、充分なノイズ抑制効果が得られる。表面粗さRz は、JIS B 0601−1994に規定される十点平均粗さRz である。
【0014】
銅箔11としては、電解銅箔が特に好ましい。電解銅箔は、電解反応を利用して銅を陰極の回転ドラム表面に析出させ、回転ドラムから引き剥がして得られるものであり、ドラムと接触していた面は、ドラムの表面状態が転写された平滑面となる。一方、銅が電解析出した面の形状は、析出する銅の結晶成長速度が結晶面ごとに異なるため粗面となり、他の絶縁性樹脂層(図示略)との貼り合わせに都合のよい面となっている。
銅箔11の厚さは、3〜50μmが好ましい。
銅箔11は、絶縁性樹脂層12が形成されていない面に、他の銅箔、樹脂フィルム等からなる保護層あるいは補強層を有していてもよい。
【0015】
(絶縁性樹脂層)
絶縁性樹脂層12は、樹脂組成物からなる層である。
樹脂組成物は、樹脂を主成分とする組成物である。該樹脂としては、プリント配線基板の製造の際の加熱に耐え、かつプリント配線基板に要求される耐熱性、耐湿性を有するものが好ましく、また、誘電率、誘電正接等、プリント配線基板の設計に必要とされる特性値が既知であるのものが好ましい。該樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリ四フッ化エチレン、ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0016】
樹脂組成物としては、通常、エポキシ樹脂が用いられ、必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、可とう性付与剤等を含有してもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂の量は、樹脂組成物100質量%のうち、20〜80質量%が好ましい。
【0017】
硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類;ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールA等のフェノール類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック類;無水フタル酸等の酸無水物等が挙げられる。
硬化促進剤としては、3級アミン、イミダゾール系硬化促進剤、尿素系硬化促進剤等が挙げられる。
【0018】
可とう性付与剤としては、ポリエーテルサルホン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、弾性樹脂等が挙げられる。
芳香族ポリアミド樹脂としては、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものが挙げられる。芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、3,3’−オキシジアニリン等が挙げられる。ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等のジカルボン酸が挙げられる。
弾性樹脂としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。絶縁性樹脂層12の耐熱性を確保するために、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムを併用してもよい。ニトリルゴムとしては、CTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム)が好ましい。
【0019】
絶縁性樹脂層12の厚さは、0.1〜10μmが好ましい。絶縁性樹脂層12の厚さが0.1μm以上であれば、銅箔11とノイズ抑制層13との絶縁が充分に維持され、銅箔11とノイズ抑制層13との短絡が抑えられ、充分なノイズ抑制効果が得られる。また、銅箔11をエッチングによってパターン加工する際に、エッチングによってノイズ抑制層13が侵されることがない。一方、絶縁性樹脂層12の厚さが10μm以下であれば、配線部材を具備するプリント配線基板を薄肉化できる。また、ノイズ抑制層13と銅箔11とが接近することにより、ノイズ抑制層13と銅箔11との電磁結合が強くなり、充分なノイズ抑制効果が得られる。また、ノイズ抑制層13にパターン加工を銅箔11側から施す際に、絶縁性樹脂層12を除去しやすく、加工時間が短くなる。
絶縁性樹脂層12は、ノイズ抑制層13を後述の不均質な薄膜とするために、比較的表面粗さが大きく、かつ弾性率が低いことが好ましい。
【0020】
(ノイズ抑制層)
ノイズ抑制層13は、金属材料または導電性セラミックスを含む、厚さ5〜200nmの薄膜である。
ノイズ抑制層13の厚さが5nm以上であれば、充分なノイズ抑制効果が得られる。一方、ノイズ抑制層13の厚さが200nmを超えると、後述のマイクロクラスターが成長し、金属材料等からなる均質な薄膜が形成され、表面抵抗が小さくなって、金属反射が強まり、ノイズ抑制効果も小さくなる。
ノイズ抑制層13の厚さは、ノイズ抑制層の膜厚方向断面の高分解能透過型電子顕微鏡像をもとにして、5箇所のノイズ抑制層の厚さを電子顕微鏡像上で測定し、平均することにより求める。
【0021】
図2は、ノイズ抑制層の表面を観察したフィールドエミッション走査電子顕微鏡像であり、図3は、その模式図である。ノイズ抑制層13は、複数のマイクロクラスター14の集合体として観察される。マイクロクラスター14の間には物理的な欠陥があって均質な薄膜になっていない。
不均質な薄膜であることは、ノイズ抑制層13の表面抵抗の実測値から換算した体積抵抗率R1 (Ω・cm)と金属材料(または導電性セラミックス)の体積抵抗率R0 (Ω・cm)(文献値)との関係から確認できる。すなわち、体積抵抗率R1 と体積抵抗率R0 とが、0.5≦logR1 −logR0 ≦3を満足する場合に、優れたノイズ抑制効果が発揮される。
【0022】
ノイズ抑制層13の表面抵抗は、100 〜104 Ωが好ましい。ノイズ抑制層13の表面抵抗は、以下のように測定する。
石英ガラス上に金等を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、該電極上に被測定物を置き、被測定物上に、大きさ10mm×20mmを50gの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で電極間の抵抗を測定する。この値を持って表面抵抗とする。
【0023】
金属材料としては、強磁性金属、常磁性金属が挙げられる。強磁性金属としては、鉄、カルボニル鉄;Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Cr−Si、Fe−Cr−Al、Fe−Al−Si、Fe−Pt等の鉄合金;コバルト、ニッケル;これらの合金等が挙げられる。常磁性金属としては、金、銀、銅、錫、鉛、タングステン、ケイ素、アルミニウム、チタン、クロム、モリブデン、それらの合金、アモルファス合金、強磁性金属との合金等が挙げられる。これらのうち、酸化に対して抵抗力のある点から、ニッケル、鉄クロム合金、タングステン、貴金属が好ましい。なお、貴金属は高価であるため、実用的にはニッケル、ニッケルクロム合金、鉄クロム合金、タングステンが好ましく、ニッケルまたはニッケル合金が特に好ましい。
【0024】
導電性セラミックスとしては、金属と、ホウ素、炭素、窒素、ケイ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素とからなる合金、金属間化合物、固溶体等が挙げられる。具体的には、窒化ニッケル、窒化チタン、窒化タンタル、窒化クロム、炭化チタン、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化タングステン、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ケイ化クロム、ケイ化ジルコニウム等が挙げられる。
【0025】
導電性セラミックスは、金属よりも体積抵抗率が高いため、導電性セラミックスを含むノイズ抑制層は、特定の共鳴周波数を有さない、ノイズ抑制効果を発揮する周波数が広帯域化する、保存安定性が高い等の利点を有する。導電性セラミックスは、後述の物理的蒸着法における反応性ガスとして窒素、炭素、ケイ素、ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むガスを用いることによって容易に得られる。
【0026】
(接着促進層)
銅箔11と絶縁性樹脂層12との密着性を向上させるために、銅箔11と絶縁性樹脂層12との間に接着促進層15が設けられていることが好ましい。
接着促進層15は、銅箔11上に接着促進剤を塗布することにより形成される層である。接着促進剤としては、シラン系カップリング剤、またはチタネート系カップリング剤が挙げられる。
【0027】
シラン系カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0028】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
【0029】
接着促進剤としては、通常、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが用いられ、銅箔11と絶縁性樹脂層12との剥離強度を1.0kgf/cm以上に高める場合には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0030】
<配線部材の製造方法>
配線部材10は、図4の工程図に示すように、下記(a)〜(f)工程を経て製造される。
(a)必要に応じて、連続シート状の銅箔11上に接着促進剤を塗布して、接着促進層15を形成する工程。
(b)銅箔11または接着促進層15上に樹脂組成物を塗布して、絶縁性樹脂層12を形成する工程。
(c)絶縁性樹脂層12上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させてノイズ抑制層13を形成し、連続シート状の配線部材10を得る工程。
(d)必要に応じて、(c)工程と(e)工程との間に、必要に応じて、ノイズ抑制層13を所望のパターンに加工する工程。
(e)連続シート状の配線部材10を裁断する工程。
(f)必要に応じて、(e)工程の後に、ノイズ抑制層13を所望のパターンに加工する工程。
【0031】
(a)工程:
銅箔11としては、連続シート状のものを用いる。連続シート状の銅箔11を用いることで、以降の工程でのハンドリングが容易となり、生産効率が高まるほか、打痕傷等の不具合を減らすことができる。特に、(c)工程では、バッチ式の真空操作が必要となるため、効率よく真空チャンバーに収納できる巻物状の形状が好ましい。
塗布方法としては、ロールコート法、スプレーコート法、浸漬法等が挙げられる。
【0032】
(b)工程:
絶縁性樹脂層12は、樹脂組成物を溶剤に溶解または分散させたワニスを銅箔11または接着促進層15上に塗布し、乾燥させることにより形成される。また、ピンホール対策のため、該ワニスの塗布および乾燥を2回以上に分けて行い、2層以上の絶縁性樹脂層を形成してもよい。ワニスは、各層が同じ種類のワニスであってもよく、各層ごとに違う種類であってもよい。
【0033】
塗布装置としては、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーター、ドクターナイフコーター等の公知の塗布装置を用いることができる。
必要に応じて、樹脂組成物の塗布後に、樹脂組成物を充分にレベリングさせ、ピンホールの発生を極力抑えてから、加熱またはエネルギー線の照射により、樹脂組成物を硬化させてもよい。硬化された樹脂組成物の状態は、B−ステージ(半硬化状態)であってもよく、C−ステージ(硬化状態)であってもよい。
【0034】
(c)工程:
絶縁性樹脂層12上に金属材料または導電性セラミックスを非常に薄く物理的に蒸着させることにより、マイクロクラスターからなる不均質な薄膜が形成される。
物理的蒸着法は、真空にした容器の中でターゲット(金属材料または導電性セラミックス)を何らかの方法で気化させ、気化した金属材料等を近傍に置いた基材(絶縁性樹脂層12)上に堆積させる方法である。ターゲットの気化方法の違いで、蒸発系とスパッタリング系とに分けられる。蒸発系としては、EB蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。スパッタリング系としては、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法、イオン注入法等が挙げられる。
【0035】
EB蒸着法は、蒸発粒子のエネルギーが1eVと小さいので、基材のダメージが少ない。また、ノイズ抑制層13がポーラスになりやすくノイズ抑制層13の強度が不足する傾向があるが、ノイズ抑制層13の体積抵抗は高くなる。
イオンプレーティング法によれば、アルゴンガスおよび蒸発粒子のイオンは加速されて基材に衝突するため、EB蒸着法よりエネルギーが大きく、粒子エネルギーは1KeVほどになり、付着力の強いノイズ抑制層13を得ることはできる。しかし、ドロップレットと呼んでいるミクロサイズの粒子の付着を避けることができず、放電が停止してしまうおそれがある。
【0036】
マグネトロンスパッタリング法は、ターゲットの利用効率が低いものの、磁界の影響で強いプラズマが発生するため成長速度が速く、粒子エネルギーは数十eVと高いことが特徴となる。高周波スパッタリングでは、導電性の低いターゲットを使用できる。
マグネトロンスパッタリング法のうち、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法は、対向するターゲット間でプラズマを発生させ、磁界によりプラズマを封じ込め、対向するターゲット間の外に基材を置き、プラズマダメージを受けることなく基材上に金属材料等を堆積させる方法である。そのため、基材上の金属材料等を再スパッタリングすることがない、成長速度がさらに速い、スパッタリングされた金属原子が衝突緩和することがない、といった特徴をし、ターゲット組成物と同じ組成を有する緻密なマイクロクラスターを形成できる。
物理的蒸着法においては、反応性ガスとして窒素、炭素、ケイ素、ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むガスを用いてもよい。
【0037】
(d)工程、(f)工程:
ノイズ抑制層13は、例えば図5に示すように、所望のパターンに加工されていてもよく、スルーホール等のアンチビアが形成されていてもよい。図5において、白い部分が加工されたノイズ抑制層13であり、黒い部分が表面に露出した絶縁性樹脂層12である。
ノイズ抑制層13の加工は、加工効率の点から、(c)工程と(e)工程との間に(すなわち、(d)工程にて)行うことが好ましい。なお、プリント配線基板の設計に応じて、ノイズ抑制層のパターンの異なる複数種類の配線部材を用意する場合、すなわち配線部材が少量多品種となり、多数の加工機にてノイズ抑制層を加工する場合は、(e)工程の後に(すなわち、(f)工程にて)行ってもよい。
【0038】
ノイズ抑制層13は、通常の湿式法(湿式エッチング法)、乾式法(プラズマエッチング法、レーザーアブレーション法)等により所望のパターンに加工でき、洗浄、乾燥等の工程を必要とせず、また汚染の心配もない点から、乾式法が好ましい。
レーザーアブレーション法において用いるレーザーの波長は、レーザーの種類(炭酸ガス、YAG、エキシマ等)、ノイズ抑制層13の特性等に合わせ、適宜選択する。また、レーザーアブレーションまでのエネルギーを供給することなく、焦点をずらすあるいはエネルギーを弱めることは、絶縁性樹脂層12のダメージを避ける上で重要であり、対象エリアを瞬間的に加熱し、絶縁性樹脂層12を融解させることにより、ノイズ抑制層13のマイクロクラスターを活性化させ、凝集させることによって、隣接するマイクロクラスター間を完全に絶縁化できる。レーザーアブレーションに用いる装置としては、レーザー食刻装置、あるいはハロゲンランプ等を用いた集光加熱型の装置等を用いることができる。
【0039】
(e)工程:
裁断装置としては、公知の裁断装置を用いればよい。
【0040】
<プリント配線基板>
本発明の製造方法によって製造された配線部材は、プリント配線基板に用いる。配線部材における銅箔は、プリント配線基板においては、信号配線層、電源層またはグランド層である。ノイズ抑制効果を充分に発揮させるためには、配線部材における銅箔は、電源層またはグランド層であることが好ましく、電源層であることがより好ましい。また、ノイズ抑制効果を充分に発揮させるためには、電源層とグランド層との間にノイズ抑制層が配置されていることが好ましい。
【0041】
図6は、プリント配線基板の一例を示す概略断面図である。プリント配線基板20は、上から順に、パターン加工された信号配線層21、プリント配線基板20のほぼ全面にわたるグランド層22、電源層23、パターン加工された信号配線層21が、絶縁層24を介して積層されたものである。なお、図示されていないが、上下の信号配線層21は、スルーホール等により一部が接続している。
【0042】
電源層23は、配線部材10の銅箔11であり、電源層23のグランド層22側には、絶縁性樹脂層12を介して、グランド層22とほぼ同じ大きさのノイズ抑制層13が設けられている。また、電源層23は2分割されていて、分割された電源層23同士は絶縁されている。
【0043】
プリント配線基板20は、例えば以下のようにして製造される。
配線部材10と他の銅箔との間に、エポキシ樹脂等をガラス繊維等に含浸させてなるプリプレグを挟んで硬化させ、配線部材10の銅箔11を電源層23、他方の銅箔をグランド層22とする。
ついで、フォトリソグラフィー法等により、配線部材10の銅箔11に、所望の形状(2分割パターン)となるようにエッチングを施す。この際、絶縁性樹脂層12がエッチング液に対し耐性を有し、また絶縁性樹脂層12にはピンホール等がないことから、ノイズ抑制層13はエッチングにてダメージを受けずに存在する。電源層23とグランド層22をコアに、その両外面に銅箔をプリプレグで張り合わせ信号配線層21とする。
【0044】
以上説明した本発明の配線部材の製造方法は、銅箔と、金属材料または導電性セラミックスを含む、厚さ5〜200nmのノイズ抑制層と、前記銅箔と前記ノイズ抑制層との間に設けられた絶縁性樹脂層とを有する配線部材の製造方法であって、前記(b)工程、(c)工程および(e)工程を有するため、同時スイッチングによる電源層とグランド層との間の共振を抑えることによって、電源電位を安定化でき、不要なノイズの放射を抑制できるプリント配線基板用の配線部材を効率よく製造できる。
【実施例】
【0045】
(ノイズ抑制層の厚さ)
(株)日立製作所製、透過型電子顕微鏡H9000NARを用いてノイズ抑制層の断面を観察し、5箇所のノイズ抑制層の厚さを測定し、平均した。
【0046】
(ノイズ抑制効果)
グランド層と電源層とからなる2層基板を作製し、電源層の両末端に、電源層とグランド層に繋がるSMAコネクタを搭載し、該コネクタに接続されたネットワークアナライザー(アンリツ社製、37247D)を用いてSパラメーター法によるS21(透過減衰量、単位:dB)を測定し、S21パラメータの共振状態を確認した。ノイズ抑制効果がある場合は、共振周波数における減衰量が大きくなり、減衰量と周波数を示すグラフは滑らかになる。
【0047】
〔実施例1〕
一方の表面(平滑面)の表面粗さRz が0.4μmであり、他方の粗面化された表面の表面粗さRz が5.3μmである、厚さ35μm、幅500mm、長さ500mの連続シート状電解銅箔の平滑面上に、1質量%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン溶液をスプレーコーターを用いて30m/分のライン速度で塗布し、引き続き100℃の乾燥炉内を通して巻き取り、銅箔上に接着促進層が形成された積層体(A)を得た。
【0048】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828)30質量部、臭素化ビスフェノールA型樹脂(東都化成社製、YDB−500)30質量部およびクレゾールノボラック樹脂(東都化成社製、YDCN−704)35質量部を、メチルエチルケトンに溶解し、ついでイミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製、キュアゾール2E4MZ)0.2質量部を加え、8質量%の樹脂組成物のワニスを調製した。
積層体(A)を5m/分のライン速度で繰り出し、接着促進層上に乾燥後の厚さが3μmとなるようにグラビアコーターを用いて該樹脂組成物のワニスを塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を1分間風乾した後、170℃の加熱炉に5分間通して硬化させ、再度巻き取り、接着促進層上に絶縁性樹脂層が形成された積層体(B)を得た。
【0049】
ついで、チャンバー内に巻き出し装置および巻き取り装置が付属したEB蒸着装置の巻き出し装置に、巻物状の積層体(B)を取り付け、1.2m/分のライン速度で積層体(B)を繰り出しながら、規定の真空度にて絶縁性樹脂層全面にニッケル金属をEB蒸着してノイズ抑制層を形成した。絶縁性樹脂層上にノイズ抑制層が形成された積層体(C)を巻き取り、EB蒸着装置から取り出した。積層体(C)を巻物状態で乾燥炉内にて150℃で45分間加熱して絶縁性樹脂層をさらに硬化させ、厚さ15nmのノイズ抑制層を有する、総厚28μmの連続シート状の配線部材を得た。ノイズ抑制層の表面を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2に示すような不均質な薄膜が確認された。
【0050】
ついで、連続シート状の配線部材を裁断して、450mm×500mmの枚葉シート状の配線部材を得た。レーザー食刻装置により、ノイズ抑制層を図5に示すパターンに加工し、プリント配線基板内の電源層となる配線部材を得た。
該配線部材と厚さ35μmの銅箔とを厚さ0.2mmのプリプレグを介して一体化し、2層基板を作製した。該2層基板から74mm×160mmのサンプルを切り出し、電源層のサイズが68mm×160mmとなるようにエッチングした。該サンプルについて、Sパラメーター法によるS21を測定した。結果を図7に示す。
【0051】
〔実施例2〕
一方の表面(平滑面)の表面粗さRz が0.8μmであり、他方の粗面化された表面の表面粗さRz が5.3μmである、厚さ18μm、幅400mm、長さ350mの連続シート状の電解銅箔の平滑面上に、1質量%の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン溶液をロールコーターを用いて20m/分のライン速度で塗布し、引き続き90℃の乾燥炉内を通して巻き取り、銅箔上に接着促進層が形成された積層体(A)を得た。
【0052】
ポリエーテルサルホン樹脂(住友化学社製、PES5003P)95質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、)5質量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製、キュアゾール2MZ)0.1質量部を、N,N−ジメチルホルムアミド/シクロヘキサン混合溶剤(50/50質量比)に溶解させ、0.5質量%の樹脂組成物のワニス(1)を調製した。
積層体(A)を10m/分のライン速度で繰り出し、接着促進層の上に乾燥後の厚さが2μmとなるようにグラビアコーターを用いて樹脂組成物のワニス(1)を塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を1分間風乾した後、160℃で3分間加熱して硬化させ、接着促進層上に絶縁性樹脂層(1)が形成された積層体(B−1)を得た。
【0053】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、834)26質量部、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、1256)20質量部、クレゾールノボラック樹脂(東都化成社製、YDCN−704)35質量部を、メチルエチルケトンに溶解し、ついでイミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製、キュアゾール2E4MZ)0.2質量部加え、4質量%の樹脂組成物のワニス(2)を調製した。
積層体(B−1)を10m/分のライン速度で繰り出し、絶縁性樹脂層(1)の上に乾燥後の厚さが2μmとなるようにグラビアコーターを用いて樹脂組成物のワニス(2)を塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を1分間風乾した後、170℃で3分間加熱して硬化させ、絶縁性樹脂層(1)上に絶縁性樹脂層(2)が形成された積層体(B−2)を得た。
【0054】
ついで、のチャンバー内に巻き出し装置および巻き取り装置が付属したマグネトロンスパッタリング装置の巻き出し装置に、巻物状の積層体(B−2)を取り付け、1.0m/分のライン速度で繰り出しながら、規定の真空度にて絶縁性樹脂層(2)の全面にタンタル金属を、窒素ガスを流入しながら反応性スパッタリング法にて蒸着して、ノイズ抑制層を形成した。絶縁性樹脂層上にノイズ抑制層が形成された積層体(C)を巻き取り、マグネトロンスパッタリング装置から取り出した。積層体(C)を巻物状態で乾燥炉内にて150℃で45分間加熱して絶縁性樹脂層をさらに硬化させ、厚さ20nmの不均質なノイズ抑制層を有する、総厚22μmの連続シート状の配線部材を得た。
【0055】
ついで、巻き出し装置および巻き取り装置が付属した搬送ラインの途中に、スキャニングタイプのレーザーマーキング装置が載置されたXYロボットを配置した。巻き出し装置に巻物状の配線部材を取り付け、間欠的に搬送ラインを動かして配線部材を間欠的に繰り出しながら、レーザーマーキング装置によって400mm×400mmの領域毎にノイズ抑制層を所望のパターンに加工した。その後、配線部材を裁断して、400mm×400mmの枚葉シート状の多層回路基板内の電源層となる配線部材を得た。
該配線部材を用いて、実施例1と同様にして2層基板を作製した。該2層基板から74mm×160mmのサンプルを切り出し、電源層のサイズが56mm×160mmとなるようにエッチングした。該サンプルについて、Sパラメーター法によるS21を測定した。結果を図8に示す。
【0056】
〔実施例3〕
一方の表面の表面粗さRz が3.8μmであり、他方の粗面化された表面の表面粗さRz が5.3μmである、厚さ35μm、幅300mm、長さ500mの連続シート状電解銅箔の粗面化された面上に、接着促進層を設けることなく、厚さ25μmの絶縁性樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして連続シート状の配線部材を得た。
実施例1と同様に裁断し、300mm×300mmの枚葉シート状の配線部材を得た。ビーム直径0.5mmのハロゲンランプ集光加熱装置を用い、加熱ヘッドを走査し、ノイズ抑制層の所望エリアを瞬時に加熱してマイクロクラスターを凝集させ、絶縁性パターンを形成した。絶縁性樹脂層にダメージのない、多層回路基板内の電源層となる配線部材を得た。
該配線部材を用いて、実施例1と同様にして2層基板を作製した。該2層基板から74mm×160mmのサンプルを切り出し、電源層のサイズが38mm×160mmとなるようにエッチングした。該サンプルについて、Sパラメーター法によるS21を測定した。結果を図9に示す。
【0057】
〔比較例1〜3〕
ノイズ抑制層を形成しない以外は、実施例1〜3と同様にして配線部材を得た。前記配線部材を用いて、実施例1〜3と同様にして2層基板およびサンプルを作製し、サンプルについてSパラメーター法によるS21を測定した。結果を図7〜9に示す。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の製造方法によって製造された配線部材は、IC、LSI等の半導体素子や電子部品に、電源供給や信号伝送を行うプリント配線基板を構成する部材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】配線部材の一例を示す断面図である。
【図2】ノイズ抑制層の表面を観察したフィールドエミッション走査電子顕微鏡像である。
【図3】図2の模式図である。
【図4】本発明の配線部材の製造方法の一例を示す工程図である。
【図5】パターン加工されたノイズ抑制層の一例を示す図である。
【図6】プリント配線基板の一例を示す断面図である。
【図7】実施例1および比較例1のプリント配線板のS21(透過減衰量)を示すグラフである。
【図8】実施例2および比較例2のプリント配線板のS21(透過減衰量)を示すグラフである。
【図9】実施例3および比較例3のプリント配線板のS21(透過減衰量)を示すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
10 配線部材
11 銅箔
12 絶縁性樹脂層
13 ノイズ抑制層
15 接着促進層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔と、金属材料または導電性セラミックスを含む、厚さ5〜200nmのノイズ抑制層と、前記銅箔と前記ノイズ抑制層との間に設けられた絶縁性樹脂層とを有する配線部材の製造方法であって、
下記(b)工程、(c)工程および(e)工程を有する、配線部材の製造方法。
(b)連続シート状の銅箔上に樹脂組成物を塗布して、絶縁性樹脂層を形成する工程。
(c)絶縁性樹脂層上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させてノイズ抑制層を形成し、連続シート状の配線部材を得る工程。
(e)連続シート状の配線部材を裁断する工程。
【請求項2】
銅箔と、金属材料または導電性セラミックスを含む、厚さ5〜200nmのノイズ抑制層と、前記銅箔と前記ノイズ抑制層との間に設けられた絶縁性樹脂層と、前記銅箔と前記絶縁性樹脂層との間に設けられた接着促進層とを有する配線部材の製造方法であって、
下記(a)工程、(b)工程、(c)工程および(e)工程を有する、配線部材の製造方法。
(a)連続シート状の銅箔上に接着促進剤を塗布して、接着促進層を形成する工程。
(b)接着促進層上に樹脂組成物を塗布して、絶縁性樹脂層を形成する工程。
(c)絶縁性樹脂層上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させてノイズ抑制層を形成し、連続シート状の配線部材を得る工程。
(e)連続シート状の配線部材を裁断する工程。
【請求項3】
さらに、下記(d)工程を有する、請求項1または2に記載の配線部材の製造方法。
(d)(c)工程と(e)工程との間に、ノイズ抑制層を所望のパターンに加工する工程。
【請求項4】
さらに、下記(f)工程を有する、請求項1または2に記載の配線部材の製造方法。
(f)(e)工程の後に、ノイズ抑制層を所望のパターンに加工する工程。
【請求項5】
レーザーアブレーション法によってノイズ抑制層を所望のパターンに加工する、請求項3または4に記載の配線部材の製造方法。
【請求項6】
(c)工程において、窒素、炭素、ケイ素、ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むガスの存在下で、絶縁性樹脂層上に金属材料または導電性セラミックスを物理的に蒸着させる、請求項1〜5のいずれかに記載の配線部材の製造方法。
【請求項7】
(b)工程を複数回繰り返す、請求項1〜6のいずれかに記載の配線部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−41947(P2008−41947A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214621(P2006−214621)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】