説明

配送容器、及び配送容器の施解錠制御システム

【課題】配送荷物への不正アクセスを防止可能で、且つ開閉可能な場所に制限の少ない配送容器、及びその配送容器を利用した配達システムを提供する。
【解決手段】配送容器の開閉を防止するための電気錠31と、電気錠31を施錠または解錠するための施解錠情報を受信するための無線通信部41及び近距離通信部47と、無線通信部41または近距離通信部47で受信した施解錠情報に応じて電気錠31を施錠または解錠する制御部42とを有し、無線通信部41は通信網を介した網通信手段であり、近距離通信部47は通信網を介さずに直接通信を行う直接通信手段であるように、配送容器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の配達に用いる配送容器及びその配送容器を利用した配達システムに関するものであり、より詳しくは、配送荷物への不正アクセスを防止可能な配送容器及びその配送容器を利用した配達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発送者から荷物を受け取り、受領者のもとへ荷物を配送するサービスが提供されている。配送対象となる荷物の中には、第三者に見られてはならない機密書類など、極めて秘匿性が高いものもある。そこで、配送対象の荷物を鍵付きの保管庫に収納し、配送者以外の者が荷物にアクセスできないようにし、荷物の秘匿性を確保した厳格な配達管理を行うサービスが提供されている。
【0003】
しかし、上述した運用では、運転手が鍵を所持して施解錠を行うため、鍵の紛失や盗難などによって不正に荷物へアクセスされる可能性を排除することはできなかった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、配送者の荷室施錠システムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムでは、配送車の荷室内に、利用者によって施解錠される仕切部を配送順に配設し、発送者が施錠時に設定した暗証番号を荷物とは別途(電話またはFAXなど)に受領者へ送るようにしている。発送者と受領者以外に暗証番号が知られることを防ぐことにより、荷物への不正なアクセスができないようにしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、発送者が受領者に対して電話またはFAXを使って暗証番号を通知する必要があるため、通知している内容を第三者に傍受され、暗証番号が漏洩する恐れがある。また、発送者が施錠時に暗証番号を設定する必要があり、配送者が暗証番号を知り得てしまう。
【0006】
このように、従来のシステムでは、利用者に暗証番号の管理を任せているため、利用者が暗証番号を安易に設定したり杜撰な管理を行うと、第三者に暗証番号が漏洩してしまう恐れがある。よって、荷物へ不正にアクセスされる可能性を完全には排除できるまでには至っていない。
【0007】
上述してきたように、配送荷物への不正アクセスを防止するためには、その荷物を収容する配送容器を第3者が自由に開閉できないようにすることが重要である。一方、配送容器自体への荷物の収納や取出しは、屋内オフィス、地下倉庫、或いは金庫室内など、様々な場所で行われる。したがって、配送容器の開閉自体は、場所に左右されずに行えることが求められる。
【0008】
【特許文献1】特開平10−184138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の問題点に鑑み、本発明は、荷物への不正アクセスを排除可能な配送容器、及び配送容器の施解錠制御システムを提供することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の目的は、施解錠を直接行うための操作手段を配送容器に設けることなく、且つ様々な場所において施解錠を可能とし、セキュリティ性と利便性を両立することができる配送容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る配送容器は、配送容器の開閉を防止するための電気錠と、電気錠を施錠または解錠するための施解錠情報を受信するための第1の通信手段及び第2の通信手段と、第1の通信手段または第2の通信手段で受信した施解錠情報に応じて電気錠を施錠または解錠する電気錠制御手段とを有し、第1の通信手段は、通信網を介した無線通信を行う網通信手段であり、第2の通信手段は、通信網を介さずに直接通信を行う直接通信手段であることすることを特徴とする。
【0012】
ここで、直接通信を行うとは、インターネットまたは電話網など、他の端末、サーバ、若しくは基地局のような中継手段を介さず、ピアツーピアで通信を行うことをいう。
【0013】
また、第1の通信手段における通信の可否を監視し、電気錠制御手段に対し、第1の通信手段で正常に通信できるときは第1の通信手段により受信した施解錠情報に応じて電気錠の施錠または解錠を行わせ、第1の通信手段で正常に通信できないときは第2の通信手段で受信した施解錠情報に応じて電気錠の施錠または解錠を行わせる通信監視手段をさらに有することが好ましい。
このように、第1の通信手段が通信網を介して施解錠情報を受信できない状態のときのみ、第2の通信手段を利用した施解錠制御を行う。したがって、必要時以外に直接通信による施解錠制御を行わせなくすることができる。
【0014】
なお、通信監視手段は、第1の通信手段で正常に通信ができないときは第2の通信手段を駆動し、第1の通信手段で正常に通信ができるときは第2の通信手段の駆動を停止することが好ましい。
【0015】
近距離通信手段を使用しない場合には、その近距離通信手段を停止することで、待機電力の消費を抑えることができるためである。
【0016】
また、本発明に係る配送容器の施解錠制御システムは、電気錠を備えた配送容器または通信端末に通信網を介して電気錠を施錠または解錠するための施解錠情報を送信する通信手段を有するセンタ装置と、センタ装置から通信網を介して施解錠情報を受信する網通信手段及び配送容器に施解錠情報を通信網を介さずに直接送信する直接通信手段とを有する通信端末と、配送容器の開閉を防止する電気錠、通信網を介した無線通信によりセンタ装置から施解錠情報を受信する網通信手段、通信端末から施解錠情報を通信端末を介さずに直接受信する直接通信手段、及び網通信手段または直接通信手段で受信した施解錠情報に応じて電気錠を施錠または解錠する電気錠制御手段とを有する配送容器と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0017】
このように、配送容器が施解錠情報を受け取る手段を、センタ装置から受け取る手段と、別途用意された通信端末を介して受け取る手段の2通り有することにより、セキュリティ性を維持しつつ、利便性を高められる。
なお、配送容器は、上述したような通信監視手段を有することがさらに好ましい。
【0018】
また、センタ装置は、さらに施解錠情報の送信を要求する解錠要求情報が正当であるか否かを判定する照合手段を備え、通信手段にて受信した要求情報が正当である場合に、要求情報によって特定される配送容器または通信端末に対して解錠情報を送信することが好ましい。なお要求情報は、受領者を特定する識別情報を少なくとも含む。
【0019】
このように、センタ装置にて、解錠要求が当該配送に対して正当な権限を持つ者によりなされているか否かを確認する手段を設けることで、不正な解錠要求を排除することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、荷物への不正アクセスを排除可能な配送容器、及びその配送容器を利用した配達システムを提供することが可能となる。
【0021】
また、施解錠を直接行うための操作手段を配送容器に設けることなく、且つ様々な場所において施解錠を可能とし、セキュリティ性と利便性を両立することができる配送容器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る配送容器、及びその配送容器を利用した配達システムについて詳細に説明する。
図1に、本発明に係る配達システムの一例の全体構成図を示す。
本実施形態に係る配達システム100は、電気錠を備えた配送容器を用いて荷物の配達を行い、その配送容器の電気錠の施解錠をセンタ装置にて遠隔制御することで、発送元で受け取った荷物を送付先へ配達するまでの間、発送者と受領者以外の第三者の手によって配送容器が開放され不正に荷物へアクセスされることを防止するシステムである。
【0023】
さらに、配送容器とセンタ装置とが通信できない場合には、一旦、通信端末にてセンタ装置と通信し、配送容器の近傍に用意された通信端末を介して、センタ装置からデータを受信することにより、地下、金庫室内などのように、無線通信の難しい場所でも、配送容器の施解錠を行えるようにしたシステムである。
【0024】
本実施形態に係る配達システム100は、管理センタに設置されたセンタ装置1と、顧客が所有し、又は配達システムの運営業者の指定する発送端末2、受領端末5、及び通信端末6と、配送する荷物を収容し、電気錠を制御するケース端末4を備える配送容器3とが、無線基地局8、携帯電話網、衛星通信網またはインターネット網などの通信網7を介して接続されている。また、配送容器3は、GPS衛星9より、自己の位置を特定可能に構成されている。
【0025】
センタ装置1は、顧客に関する情報、配送に関する情報を管理するサーバーであるとともに、発送端末2又は受領端末5からの依頼に応じて配送容器3の電気錠31を遠隔から施解錠制御する。
【0026】
またセンタ装置1は、配送容器3から受信した情報を記録するとともに、必要に応じて配送業者に通知する。配送業者への通知の際は、通信網または別途用意する記録媒体を利用する。
【0027】
発送端末2及び受領端末5は、パーソナルコンピュータまたは携帯電話であり、センタ装置1に対して施解錠を依頼するための通信端末として使用される。なお、発送端末2及び受領端末5は、配達する荷物について配送する側で使用するか、受領する側で使用するかによって変動するものであり、同一の端末を発送端末2及び受領端末5として使用することもできる。
【0028】
配送容器3は、ケース端末4を介して遠隔から制御可能な電気錠を備えた収容体であり、発送者から受け取った荷物を収容する。また配送容器3は、人が持ち運び可能なものでも、配達用車両に固定的に取り付けられるものでもよく、配送業者から派遣された配送者によって、発送者のもとから受領者のもとへ運ばれる。
【0029】
また配送容器3は、GPS衛星9から受信したGPS信号または無線基地局8から受信した基地局情報に基づいて緯度経度からなる位置情報を算出して記憶する。算出・記憶した位置情報は、所定のタイミングでセンタ装置1に送信される。
さらに、配送容器3は、電気錠の施錠/解錠の状態、開口部の開閉状態を検出・記憶する。検出・記憶した監視情報は、所定のタイミングでセンタ装置1に送信される。
【0030】
通信端末6は、パーソナルコンピュータまたは携帯電話であり、通信網を介して通信可能な通信手段と、インターネット、携帯電話網などの広域通信網を介さずに直接通信可能な近距離通信手段を備え、通信手段を用いてセンタ装置1と、近距離通信手段を用いて配送容器3と通信可能に構成される。
【0031】
次に、本実施形態の配達システム100で使用する配送容器3について詳細に説明する。
図2は配送容器3の概略斜視図を示し、図3は配送容器3に内蔵されるケース端末4の機能ブロック図を示す。
配送容器3は、ケース本体32、ケース本体の開口部(蓋)を閉鎖維持するための電気錠31、外部との通信と電気錠の制御を行うケース端末4とを含んで構成される。
【0032】
ケース端末4は、センタ装置1などとのデータの送受信を行う無線通信部41と、ケース端末4全体の制御を行う制御部42と、制御部42で使用するプログラムなどを記憶する記憶部43と、ケース端末4に電力を供給する電源部44と、異常発生時に警報音を出力する報知部45と、配送容器3の開閉状態を検知するセンサ部46と、配送容器3の近傍に存在する通信端末6と通信を行う近距離通信部47などで構成される。
【0033】
無線通信部41は、ネットワークを介して通信を行う網通信手段であり、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部411、センタ装置1と無線通信を行う送受信部412及びアンテナ413を含んで構成される。なお、センタ装置1との通信には、無線LANを利用したインターネット網、携帯電話用通信網、衛星通信網などを利用することができる。また、配送容器3がジュラルミンケースのように、配送容器3の外部からの電波を遮断する機能を有する場合には、アンテナ413は、配送容器3の外部に露出するように配置される。
【0034】
近距離通信部47は、顧客が通信端末6と配送容器3とを同時に視認して扱えるような範囲で通信端末6と直接通信を行う直接通信手段であり、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)、及び赤外線通信など通信端末6の近距離通信手段と同一の近距離無線規格に準じた無線通信を行う手段で構成される。なお、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、SCSI−2、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394などの規格に準じた有線接続により機器間の通信を行う手段を用いてもよい。
【0035】
制御部42は、マイクロプロセッサ、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの半導体メモリ、及びROMに組み込まれたソフトウェアなどで構成され、ケース端末4全体の制御を司る。制御部42は、無線通信部41及び近距離通信部47における通信を制御する通信制御部421、無線通信部41の送受信部における電波の受信レベル(受信強度)を監視して近距離通信部47の駆動/停止を制御する通信監視部422、GPS受信部411にて受信した情報に基づき位置情報を取得する位置検出部423、無線通信部41を介してセンタ装置1から受信した施解錠指示に基づいて電気錠31を施解錠制御する錠制御部424、ケース端末4と電気的に接続される電気錠31の状態を監視する錠監視部425、及びセンサ部46にて配送容器の開閉を監視する開閉監視部426を含んで構成される。
【0036】
制御部42は、電気錠31を施錠制御した後に監視モードに入る。
監視モード中は、10分毎、1時間毎といった所定時間おきに無線通信部41のGPS受信部411によって位置情報を取得し、監視記録433として記録する。また、電気錠31が解錠されたり、センサ部46が配送容器3の開放を検知した場合には、これを監視記録433として記録するとともに、報知部45にて警報し、さらにセンタ装置1に対して、監視記録433を送信するとともに、電気錠31の解錠又は配送容器3の開放を通知する。
【0037】
記憶部43は、ROMまたはRAMなどの半導体メモリなどで構成され、制御部42の動作プログラムなど各種情報を記憶する。また、記憶部43は、配送容器を特定する識別情報であるケース端末ID431と、電気錠31の施解錠制御に必要な暗証番号(暗証コード)432と、電気錠31の施解錠状態、配送容器3の開閉状態、配送中に取得した位置情報の履歴を含む監視記録433とが記憶される。ケース端末ID431は、ケース端末(配送容器)を特定するための識別番号であり、センタ装置1とのショートメッセージサービスによる通信に用いられる電話番号と対応して用意される。
【0038】
電源部44は、ケース端末の動作電源を供給するバッテリである。
報知部45は、異常発生時に警報音を出力するスピーカを含んで構成される。
センサ部46は、配送容器3の開閉状態を検出するリミットスイッチで構成された開閉検知センサである。開閉検知センサについては、従来から種々の方法が提案されており、マグネット式センサなどを用いてもよい。
【0039】
以下に、ケース端末4の施解錠処理実行時の動作について、フローチャートを用いて説明する。
ケース端末4では、センタ装置1と通信網を介して無線通信可能か否かを常時判定し、センタ装置1と無線通信可能な状態では、無線通信部41を通じてセンタ装置1より施解錠指示を受けて配送容器3の電気錠31の施解錠制御を行い、一方センタ装置1と無線通信が不可能な状態では、近距離通信部47に切り替えて、通信端末6から施解錠指示を受信して、配送容器3の施解錠制御を行う。また、センタ装置1と通信可能な状態では、近距離通信部47を駆動停止し、直接通信による施解錠制御を禁止する。
【0040】
図4に、ケース端末4の施解錠処理の概略を表すフローチャートを示す。
ケース端末4では、通信監視部422は、無線通信部41で無線基地局8から受信する電波信号の強度を監視し、受信電波強度レベルが、センタ装置1と通信するために十分か否か判定する(ステップS101)。例えば、ケース端末4の無線通信部41が受信した電波信号強度が、10秒、30秒といった一定期間の間、正常に通信できないレベルまで低下したか否かで判定を行う。受信電波強度レベルの低下により、無線通信部41を通じてセンタ装置1と通信することができないと判定した場合、通信監視部422は、近距離通信部47を起動する(ステップS102)。また、通信監視部422は、近距離通信部47を起動した後も、無線通信部41で受信するセンタ装置1からの電波信号強度の監視を続け、近距離通信から通常の無線通信に戻すことが可能か否か判定する(ステップS103)。無線通信部41が受信した電波信号強度が、10秒、30秒といった一定期間の間、正常に通信できるレベルにまで強くなると、近距離通信部47の駆動を停止する(S104)。
【0041】
また、ケース端末4の制御部42は、近距離通信部47が作動していない状態では、無線通信部41を通じてセンタ装置1からの施解錠指示を待ちうけ、施解錠指示信号(施解錠情報)を受信したか否かを判定する(ステップS105)。そして、施解錠指示信号を受信したと判定した場合、施解錠処理を実行する(ステップS106)。
【0042】
施錠処理の場合、ケース端末4の制御部42では、受信した施錠指示信号に含まれる暗証番号(暗証コード)432を記憶するとともに、電気錠31を施錠する。そして、施錠完了信号をセンタ装置1に送信する。なお、施錠制御する際には、センサ部46が閉状態を検知しているかを確認し、開状態である場合には報知部45にてその旨を報知する。
【0043】
一方、解錠処理の場合には、受信した解錠指示信号に含まれる暗証番号(暗証コード)が、記憶部43に記憶されている暗証番号432と一致しているかを錠制御部424で確認する。照合の結果、解錠指示信号に含まれる暗証番号と記憶部43に記憶されている暗証番号432が一致する場合には、錠制御部424から解錠信号を電気錠31に送って電気錠31を解錠する。そして、解錠完了信号をセンタ装置1に送信する。
【0044】
また、ケース端末4の制御部42は、近距離通信部47が作動している状態では、近距離通信部47を通じて通信端末6からの施解錠指示を待ちうけ、施解錠指示信号を受信したか否かを判定する(ステップS107)。そして、施解錠指示信号を受信したと判定した場合、施解錠処理を実行する(ステップS108)。ステップS108においても、ステップS106と同様の処理が実行される。ただし、ステップS108では、施錠完了信号又は解錠完了信号の通知は、無線通信部41ではなく、近距離通信部47から通信端末6を経てセンタ装置1に送られる。施解錠処理が終了すると、近距離通信部47を停止する(ステップS109)。
このように、無線通信部41にて通信網7を介してセンタ装置1から施解錠指示信号を受信可能なときは、近距離通信部47を利用しての施解錠を行えないため、セキュリティ性を高めることができる。また、不必要時は近距離通信部47を駆動停止することで、待機電力を抑えることができる。
【0045】
なお、近距離通信部47の駆動/停止を切り替え制御する代わりに、近距離通信部47を通信に用いない場合には、近距離通信部47にて受信した信号を通信制御部421においてキャンセルし、その受信信号を用いないように制御してもよい。
【0046】
図5は、本実施形態における通信端末6の機能ブロック図である。
通信端末6は、センタ装置1との通信を行うための通信部61と、配送容器3のケース端末4と通信を行うための近距離通信部62と、制御部の動作プログラムなど各種情報を記憶する記憶部63と、通信端末6の各種制御を行う制御部64と、通信端末6に電力供給を行う電源部65と、センタ装置1及びケース端末4との通信に関する情報及び操作指示のための情報を表示する表示部66と、近距離通信部によるデータ通信を指示するための操作部67と、通信完了を報知するための報知部68などで構成される。また通信端末6には、上記のブルートゥース通信機能または赤外線通信機能を備えた、顧客が所有する携帯電話、またはインターネット若しくは専用線でセンタ装置1と接続可能なパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0047】
通信部61は、携帯電話網またはインターネットを通じてセンタ装置1と通信を行うものであり、携帯電話用の通信回路及びアンテナ、若しくはTCP/IPに則った通信を行うデバイス及びそのデバイスドライバなどで構成される。
【0048】
近距離通信部62は、配送容器3のケース端末4と直接通信を行うインターフェース部であり、ケース端末4の近距離通信部47と互いに通信可能なように同一の規格に準じた装置で構成する。
【0049】
記憶部63は、ROMまたはRAMなどの半導体メモリからなり、制御部64の動作プログラムなど各種情報を記憶する。また、記憶部63は、通信端末6を特定する識別情報である通信端末ID631と、通信部61にてセンタ装置1から受信した、配送容器3の電気錠31を施解錠制御に必要な暗証番号(暗証コード)632とが記憶される。通信端末ID631は、通信端末6を特定するための識別番号であり、センタ装置1との通信にアドレスとして用いられる。
【0050】
制御部64は、マイクロプロセッサ、ROMまたはRAMなどの半導体メモリ、及び動作プログラムなどで構成され、通信端末6全体の制御を司る。
電源部65は、通信端末6の動作電源を供給するバッテリである。
表示部66は、液晶ディスプレイなどで構成される。
操作部67は、通信部61及び近距離通信部62によるデータ通信を指示するための入力手段であり、プッシュボタンまたはキーボード、マウスなどで構成される。また、表示部66と一体となったタッチパネルまたはタッチペンとして構成される。
報知部68は、スピーカを含んで構成され、通信部61または近距離通信部62での通信完了時に報知音を鳴動する。
【0051】
次に、本実施形態に係る配達システム100のセンタ装置1について詳細に説明する。
図6は、センタ装置1の機能ブロック図である。
センタ装置1は、センタ装置1全体の制御を司る制御部11と、制御部11の動作プログラム及び各種情報を記憶する記憶部12と、センタ装置1全体に電源を供給する電源部13と、記憶12に記憶されている情報を管理者などに表示するための表示部14と、表示部14の表示内容の切り替え及び各種操作の入力を行うための操作部15と、通信網を介して発送端末2、受領端末5、通信端末6及び配送容器3のケース端末4と通信を行うための通信部16などで構成される。
【0052】
制御部11は、マイクロプロセッサ、ROMまたはRAMなどの半導体メモリ、及び動作プログラムなどで構成され、センタ装置1全体の制御を司る。制御部1は、通信部16における通信を制御する通信制御部111と、通信部16を介して発送端末2、受領端末5、通信端末6、又は配送容器3のケース端末4から受信した各種情報と記憶部12に記憶された情報とを照合する照合部112と、発送者から施錠依頼を受け付けたときに配送容器3の電気錠31の暗証番号をランダム生成する暗証番号生成部113と、配送情報に一意に対応する管理コードを生成し、その管理コードを付加した解錠依頼用のURL(Uniform Resource Locator:インターネットアドレス)を作成し、解錠依頼URLに埋め込まれた管理コード(管理情報)から配送情報を特定する管理情報処理部114と、暗証番号を含む施錠指示信号または解錠指示信号を送信し、配送容器3のケース端末4に対して施解錠を指示する施解錠指示部115を含んで構成される。
【0053】
以下に、管理情報処理部114について詳述する。
管理情報処理部114では、配送情報に一意に対応する管理コードを生成する。一例として、任意の期間において配送依頼を受けた順番を示す番号と、その任意の期間を表す数値の組み合わせとすることができる。例えば、任意の期間を毎月に設定し、配送依頼を受けた順番を示す番号を6桁で表示する。ある荷物について2005年5月に配送依頼を受け、且つ2005年5月においてその荷物の配送依頼を受けた順番が3000番であったとした場合、管理コードを”200505003000”という12桁の数字とすることができる。生成された管理コードは、後述する配送情報DB123において保存する。
【0054】
また、管理情報処理部114では、以下の処理を行う。まず、施錠依頼の際に受信した配送情報から管理コードを生成する。生成した管理コードをテキストデータに変換する。解錠依頼用(後述する配達管理用サイト)のURLにテキスト化した管理コードを付加し、配達通知用URLを作成する(例えば、URLはhttp://○○.com/access?********と表記され、このうち********が管理コードに対応する)。そして、受領者が配達通知用URLにアクセスした際には、埋め込まれた管理コードを抽出し、バイナリ化する。バイナリ化した管理コードを配送情報DB123で検索し、配送情報を特定する。
【0055】
なお、管理コードとして、配送情報に基づいて生成した暗号を管理コードを用いてもよい。
この場合、暗号コードは、配送DB123に登録された配送情報(暗証番号を含む)の全部を暗号化してもよいが、配送情報の一部を暗号化するようにしてもよい。一部の情報とは、配送DB123を参照してどの配送かを特定できる情報である。たとえば、配送情報の一部である伝票番号のみを暗号化した暗号コードを生成し、解錠依頼時には、復号した伝票番号から配送DB123を参照して受領者の顧客ID及び他の情報を得ればよい。また、たとえば、受領者の顧客IDとケース端末IDとの組み合わせを用いた場合でも、同様に配送情報を特定可能である。
【0056】
上述したような管理情報処理部114を設けることにより、配送情報を直接的に荷物の受領者に通知する代わりに、配送情報との対応関係がセンタ装置1でしか分からない管理コードを荷物の受領者に通知することにより、配送情報を隠蔽することができるため、よりセキュリティを向上させることができる。
【0057】
記憶部12は、ROMまたはRAMなどの半導体メモリなどで構成され、制御部11の動作プログラムなど各種情報を記憶する。また、記憶部12は、顧客に関する情報を記憶する顧客情報DB121、配送容器3のケース端末4に関する情報を記憶するケース端末情報DB122、個々の配送に関する情報を記憶する配送情報DB123、配送容器3の電気錠31の施解錠状態、配送容器3の開閉状態、配送中に取得した位置情報の履歴を含む情報を記憶する監視記録DB123などのデータベースを有する。
【0058】
以下に、各データベースについて説明する。
最初に、顧客情報DB121について、図7を用いて説明する。図7(a)に、顧客情報DB121の一例を示す。この例において、顧客情報DB121には、顧客毎に一意に付される顧客ID71、各顧客がセンタ装置1にアクセスする際のパスワード72、及び氏名、住所などの個人情報73及び用する端末を特定することが可能な端末特定情報74が、それぞれ関連付けて保存される。
【0059】
なお、発送者および受領者は、センタ装置1に予め登録された顧客であり、顧客ごとに顧客IDが付与される。そして、顧客IDに対応して、センタ装置1にアクセスする際のパスワードと、個人情報である氏名・住所・連絡先・メールアドレスの他、端末特定情報(例えば、受領端末5又は通信端末6として使用するコンピュータに内蔵されるネットワークカードの物理アドレス(MACアドレス)、携帯電話の電話番号)などが登録される。個人情報73に含まれるメールアドレスは、センタ装置1から発送端末2、受領端末5又は通信端末6への通知に用いられる。また、携帯電話の電話番号は、受領者に通知を行う際、特定の受領端末5又は通信端末6にのみ通知するために使用し、物理アドレスは、登録された顧客から施解錠依頼がなされたか否かを検証するために使用される。なお、上述したメールアドレスは、端末毎に異なるアドレスが設定されていてもよい。同様に、端末特定情報が複数設定されていてもよい。
【0060】
次に、ケース端末情報DB122について説明する。
ケース端末情報DB122は、ケース端末4を特定するためのケース端末IDとケース端末4との通信に用いられる通信アドレスが登録されている。センタ装置1とケース端末4との通信は、ショートメッセージサービス(SMS)を利用することができ、この場合の通信アドレスは移動体通信用の電話番号となる。またケース端末IDは、ケース端末4が取り付けられた配送容器3のIDと対応付けられて登録される。ケース端末4が交換された場合など、組み合わせが変更されたときに更新する。
【0061】
次に、配送情報DB123について説明する。図7(b)に、配送情報DB123の一例を示す。
配送情報DB123には、個々の配送に関する情報として、伝票コード81、発送者の顧客ID82、受領者の顧客ID83、ケース端末ID84、配送容器3の電気錠31を施解錠するための暗証番号85、及び各配送情報に一意に対応する管理コード86が関連付けられて登録される。この配送情報DB123を参照することで、各データ(例えば伝票コード)又はその組み合わせ(例えば発送者の顧客IDと受領者の顧客ID)から配送情報を特定することができる。
【0062】
最後に、監視記録DB124について説明する。
監視記録DB124には、個々の配送における監視記録として、伝票番号に対応させて、ケース端末IDと、ケース端末4から受信した監視記録(施解錠ログ、開閉ログ、位置情報ログ)とを記憶する。ケース端末4から新たな情報を受信したとき、随時更新する。
【0063】
電源部13は、センタ装置1の動作電源を供給する商用電源およびバッテリである。
表示部14は、記憶部の情報などを視覚的に表示する液晶ディスプレイなどで構成される。
操作部15は、表示部14の表示内容を切り替えたり、各種操作を入力するキーボード、マウスなどの他、表示部14と一体となったタッチパネル若しくはタッチペンとして構成される。
【0064】
通信部16は、通信網を介してケース端末4、発送端末2、及び受領端末5若しくは配送業者が所有するコンピュータと通信するためのLANカード及びネットワークドライバ、又は携帯電話用通信網若しくは衛星通信網で通信を行うための通信回路及び駆動用などのソフトウェアで構成される。
【0065】
本実施形態の配達システム100の動作を、図8、図9を参照して説明する。
図8は、施錠時の流れを示すタイミングチャートである。なお、図8において実線は、配送容器3のケース端末4とセンタ装置1とが、通信端末6を用いて通信するか否かに拘らない動作手順を表し、破線は、通信端末6を用いて通信する動作手順を表す。
【0066】
まず、発送者は、受領者に配送しようとする荷物を、配送業者から派遣された配送者の持参した配送容器3に収納し、配送容器3の蓋を閉じると、発送者は、発送端末2からインターネットブラウザなどを使用することにより、センタ装置1が管理する配送管理用サイトにアクセスし、電気錠の施錠依頼を行う(ステップS01)。このとき、配送者から受け取った伝票番号、自己(発送者)の顧客ID、パスワード、受領者の顧客ID、ケース端末4に記載されたケース端末IDを入力する。
【0067】
次に、センタ装置1は、発送者の発送端末2から施錠依頼の情報が入力されると、顧客情報DB121を参照し、照合部112にて、発送者の顧客IDが登録されているか、パスワードが一致するか、受領者の顧客IDが登録されているか照合する。また、ケース端末情報DB122を参照し、照合部112にて、配達に用いる配送容器3のケース端末IDが登録されているか照合する(ステップS02)。
【0068】
照合した結果、入力された施錠依頼情報と記憶部12に保存されたデータとが一致しない場合、センタ装置1は発送端末2において照合エラーを表示させる。一方、施錠依頼情報と、記憶部12に保存されているデータに一致するものが存在する場合、センタ装置1は、暗証番号生成部113にて配送容器3の電気錠31に設定される暗証番号を生成する(ステップS03)。そして、施錠依頼の際に入力された伝票コード、発送者の顧客ID、受領者の顧客ID、ケース端末IDと、生成した暗証番号とをそれぞれ関連付けし、配送情報として記憶部の配送情報DB123に登録する。
【0069】
暗証番号が生成されると、センタ装置1は、施解錠指示部115にて、配送情報に含まれるケース端末IDで特定される配送容器3のケース端末4の通信アドレスに対し、生成した暗証番号を含む施錠指示信号を送信し、施錠指示を行う(ステップS04)。
【0070】
ここで、配送容器3のケース端末4において、無線基地局8からの電波の受信レベルが低下し、通信網7を介したセンタ装置1との無線通信が行えない場合は、ケース端末4の無線通信部41を通じてセンタ装置1から施錠制御信号を受信することができない。
【0071】
この場合、上述したように、ケース端末4は、近距離通信部47により、通信端末6を通じて施錠制御信号を受信するために、通信制御部421が近距離通信部47を起動する。また、ケース端末4は、施錠が行えないことを報知するための警告を報知部46で行う。一方、センタ装置1は、施錠指示をケース端末4に送信後、所定期間(例えば、30秒間、1分間)内に後述する施錠完了信号を受信できない場合、施錠が正常に行われないと判断して発送端末2に対してその旨の通知を行う。この通知の一例としては、発送端末2がアクセスしているウェブサイト上に、施錠未了の警告メッセージを表示する(ステップS21)。
【0072】
そこで、発送者は、発送端末2を用いて再び施錠依頼を行う(ステップS22)。このとき、通信端末6を使用する旨の情報を入力する。一例として、発送端末2がアクセスしているウェブサイト上に、通信端末6を使用するか否かのチェックボックスを設けておき、発送者がそのチェックボックスにチェックを入れることで、通信端末6を使用する旨の情報をセンタ装置1に通知する。ここで、通信端末6の使用の選択を上述の警告メッセージを受けた場合にのみ行えるようにすることで、不必要に通信端末6による施解錠制御を使わせなくすることが好ましい。なお、センタ装置1は、施錠が正常に行われないと判断してから、所定期間を経過した場合に、自動的に通信端末6を施錠指示に使用するようにしてもよい。
【0073】
センタ装置1は、通信端末6を使用する旨の情報と施錠依頼を受信すると、上述の通常処理に加えて、顧客情報DB121を参照して発送者の顧客IDに対応する通信端末6のメールアドレスを取得し、通信端末6に対して施錠指示信号を送信し、施錠指示を行う(ステップ23)。この場合、施錠指示信号は、一例としてメールに添付されたバイナリコードファイルとして送信される。なお、通信端末6で施錠指示信号を受信する際、その通信端末6は必ずしも配送容器3の傍にある必要は無く、信号の受信状態を向上させるために、例えば通信端末6だけを屋外に移動させてセンタ装置1から施錠指示信号を受信してもよい。また、この施錠指示信号に使用期限情報を付し、通信端末6へ送信後、所定時間経過すると無効化させるようにしてもよい。
【0074】
発送者は、通信端末6が施錠指示信号を受信した後、近距離通信部62を起動操作し、近距離通信にて施錠指示信号を配送容器3のケース端末4へ送信し、施錠指示を行う(ステップ24)。
【0075】
配送する荷物が収納された配送容器3のケース端末4は、無線通信部41又は通信端末6を介して近距離通信部47より施錠指示を受けると、施錠指示信号に含まれた暗証番号を記憶部43に記憶するとともに、錠制御部424にて電気錠31を施錠制御する(ステップS05)。
【0076】
電気錠31が施錠制御されると、ケース端末4は、監視モードに設定し、錠監視部425、開閉監視部426による監視と、位置検出部423による定期的な位置情報の取得を開始する。
【0077】
また、ケース端末4は、無線通信部41の送受信部412を通じて施錠完了信号をセンタ装置1へ送信し、施錠が正常に行われたことをセンタ装置1に通知する(ステップS06)。なお、ケース端末4が、通信端末6を介して施錠指示を受け取っていた場合には、施錠完了信号は配送容器3のケース端末4の近距離通信部47から通信端末6を介してセンタ装置1へ送信される。
【0078】
センタ装置1は、施錠完了信号を受信すると、管理情報処理部114にて、配送情報DB123に登録した配送情報に一意に対応する管理コードを生成する(ステップS07)。そして、その管理コードを対応する配送情報に関連付けて配送情報DB123に登録する。
【0079】
また、配送管理用サイトのURL(Uniform Resource Locator)にテキスト化した管理コードを付加して、配達通知用URLを作成する(ステップS08)。作成された配達通知用URLは、記憶部12に保存される。
【0080】
次いで、配送荷物の受領者に対して配送案内を行う(ステップS09)。配送案内とは、配送情報の受領者の顧客IDで特定される通知先に対し、当該配送に係る伝票番号と配達通知用URLとを送付することである。送付に際しては、顧客情報DB121を参照し、受領者の顧客IDに対応する個人情報から抽出したメールアドレスを用いる。また、受領端末5を特定して配送案内を行うことができる場合には、通知先をその特定の受領端末5にのみ限定して配送案内を行うことが好ましい。一例として、受領端末5が携帯電話の場合、電子メールを利用する代わりにショートメッセージサービスを利用して配送案内を行うことで、特定の受領端末5でのみ配送案内を受け取れるようにすることができる。また、別の一例として、受領端末5がセンタ装置1と専用線で接続されている場合には、その専用線を通じて配送案内を行うことにより、特定の受領端末5でのみ配送案内を受け取れるようにすることができる。
【0081】
なお後述するが、配送案内された受領者が配達通知用URLにアクセスするだけで、いずれの配送に関するものであるかを特定することができる。
【0082】
最後に、記憶部12に保存されている配送情報DB123を参照して発送者の通知先(メールアドレス)を取得し、その通知先へセンタ装置1における配送の受付処理が完了した旨を送信する(ステップS10)。
【0083】
発送者は、上記の流れで施錠された配送容器3を配送者に渡し、配送者は、配送容器3に収納された荷物を受領者へ配達する。
【0084】
次に、解錠時の流れについて説明する。
図9は、解錠時の流れを示すタイミングチャートである。なお、図9においても、図8と同様に、実線は、配送容器3のケース端末4とセンタ装置1とが、通信端末6を用いて通信するか否かに拘らない動作手順を表し、破線は、通信端末6を用いて通信する動作手順を表す。
【0085】
受領者は、配送者から配送容器3と伝票番号を受け取ると、受領端末5を使用して、センタ装置1から送信された配送案内を確認し、受け取った伝票番号と対の配達通知用URL(配送管理用サイト)にアクセスし、センタ装置1に対して配送容器3の電気錠31の解錠依頼を通知する(ステップS11)。このとき、解錠依頼情報として、自己(受領者)の顧客ID、パスワードを入力する。
【0086】
なお、配達通知用URLは、配送情報で特定された顧客の通知先にのみ送付されるため、例え荷物を不正受領しようとする第3者が、仮に正当な荷物受領者の顧客ID及びパスワードを知っていたとしても、それだけでは配達通知用URLにアクセスすることができず、正当な受領者と偽って配送容器3の電気錠31を解錠することはできない。
【0087】
センタ装置1は、受領端末5から解錠依頼の情報が入力されると、管理情報処理部114にて、アクセスされた配達通知用URLに埋め込まれた管理コードに基づいて、配送情報DB123内でその管理コードと一致するものを検出して配送情報を特定する(ステップS12)。
【0088】
そして、配送情報が特定されると、顧客情報DB121を参照し、照合部112にて、受領者の顧客IDが登録されているか、パスワードが一致するか照合する。また、特定された配送情報を参照して、その顧客が受領者に指定されているか否かを照合する(ステップS13)。さらに、安全性をより向上させるために、受領端末5が、顧客IDに登録されている端末か否か、端末特定情報の照合を行って確認するようにしてもよい。受領端末5が登録されている端末か否かを確認することにより、例え第3者が受領者のメールアドレス・メールのパスワード、顧客ID及びパスワードを不正入手し、第3者の所有するパーソナルコンピュータなどの端末からメールサーバにアクセスして配送案内を受け取って解錠依頼を行っても、センタ装置1内で不正アクセスであることを判断して解錠依頼を拒否することができる。なお、端末特定情報の確認は、以下のように行うことができる。まず、配達通知用URLで指定されたウェブサイトにおいて、物理アドレスを取得するアプレットを実行するボタンを設けておく。配送荷物を受け取った受領者が、配送案内に従って配達通知用URLで指定されたウェブサイトにアクセスした際、当該ボタンを押す(すなわち、ブラウザの画面上に表示された当該ボタン上で、マウスのクリックなどを行う)ことを要求する。そして、受領者が当該ボタンを押すと、物理アドレスが取得され、センタ装置1に送信される。センタ装置1では、受信した端末の物理アドレスと、顧客情報DB121に登録されている受領者の端末の物理アドレスとを比較し、一致するか否かを確認する。
【0089】
照合した結果、解錠依頼情報とセンタ装置1に記憶されている情報が一致しない場合は、受領端末5に照合エラーを表示させる。
逆に、解錠依頼情報とセンタ装置1に記憶されている情報が一致する場合、センタ装置1は、施解錠指示部115にて、特定した配送情報に含まれるケース端末IDで特定されるケース端末4に対し、配送情報に含まれた暗証番号を含む解錠指示信号を送信し、解錠指示を行う(ステップS14)。
【0090】
ここで、配送容器3のケース端末4において、無線基地局8からの電波の受信レベルが低下し、通信網7を介したセンタ装置1との無線通信が行えない場合は、ケース端末4の無線通信部41を通じてセンタ装置1から解錠指示信号を受信することができない。
【0091】
この場合、上述したように、ケース端末4は、近距離通信部47により、通信端末6を通じて解錠制御信号を受信するために、通信制御部421が近距離通信部47を起動する。また、ケース端末4は、解錠が行えないことを報知するための警告を報知部46で行う。一方、センタ装置1は、解錠指示をケース端末4に送信後、所定期間(例えば、30秒間、1分間)内に後述する解錠完了信号を受信できない場合、解錠が正常に行われないと判断して受領端末5に対してその旨の通知を行う。この通知の一例としては、受領端末5がアクセスしているウェブサイト上に、解錠未了の警告メッセージを表示する(ステップ31)。
【0092】
そこで、受領者は、受領端末5を用いて再び解錠依頼を行う(ステップ32)。このとき、施錠依頼のときと同様、通信端末6を使用する旨の情報を入力する。
センタ装置1は、通信端末6を使用する旨の情報と解錠依頼を受信すると、上述の通常処理に加えて、顧客情報DB121を参照して受領者の顧客IDに対応する通信端末6のメールアドレスを取得し、通信端末6に対して解錠指示信号を送信し、解錠指示を行う(ステップ33)。
受領者は、通信端末6が解錠制御信号を受信した後、近距離通信部62を起動操作し、近距離通信にて解錠制御信号を配送容器3のケース端末4へ送信し、解錠指示を行う(ステップ34)。
【0093】
配送容器3のケース端末4は、無線通信部41又は通信端末6を介して近距離通信部47から解錠指示を受けると、解錠制御信号に含まれた暗証番号が記憶部43に記憶された暗証番号432と一致するかを判定し、一致する場合に配送容器3の電気錠31を解錠制御する。また、記憶部43に記憶している暗証番号432を削除する(ステップ15)。このとき、ケース端末4は監視モードを解除し、錠監視部425、開閉監視部426による監視と、位置検出部423による定期的な位置情報の取得を終了する。
【0094】
また、配送容器3の電気錠31が解錠完了後、解錠完了信号をセンタ装置1へ送信し、解錠が正常に行われたことをセンタ装置1に通知する(ステップS16)。なお、ケース端末4が、通信端末6を介して解錠指示を受け取っていた場合には、解錠完了信号は配送容器3のケース端末4の近距離通信部47から通信端末6を介してセンタ装置1へ送信される。
【0095】
センタ装置1は、配送容器3のケース端末4または通信端末6から解錠完了信号を受信すると、記憶部12に保存されている配送情報DB123を参照して発送者の通知先(メールアドレス)を取得し、その通知先へ配送完了を通知する(ステップS17)。
【0096】
またセンタ装置1は、記憶部12に保存されている配送情報DB123、監視記録DB124のデータを、配送が完了したときに配送業者へ通知する。また、配送中に配送容器の不正開放または不正解錠を検出した際にも、配送業者へ通知する。その他、配送業者から要求されたときなど、必要に応じて通知を行う。
【0097】
なお、施錠依頼、解錠依頼は、通信端末6から行えるように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、通信端末6と発送端末2及び受領端末5を別の端末として説明したが、通信端末6の機能を発送端末2又は受領端末5に持たせて、通信端末6を発送端末2又は受領端末5と同一の端末としてもよい。
【0098】
本実施形態の配達システムでは、配送容器のケース端末が通信網を介した無線通信機能と別個に近距離通信機能とを備えているため、センタ装置との間で無線通信ができない状況下であっても、近距離通信にて通信端末を経由してセンタ装置から信号を受信できる。よって、センタ装置との間で無線通信ができない状況下であっても施錠・解錠が確実に行える。
【0099】
そのため、センタ装置1との無線通信ができない場合に備えて、鍵穴または施解錠用の暗証コードの入力部など、配送容器3を直接操作して施解錠する機能を電気錠31に設ける必要がない。従って、正当な権限を持たない第三者による不正解錠に対するセキュリティ性を向上することができる。
【0100】
また、配送容器3のケース端末4は、通信網を介した無線通信ができない状況においてのみ近距離通信による施解錠を可能とし、必要時以外は通信端末6による制御を不可能とすることでセキュリティ性を高めるとともに、近距離通信に係る待機消費電力を抑制することができる。
【0101】
なお、解錠依頼の権限の与え方としては、配達通知用URLを用いる代わりに、管理情報処理部114にて生成した管理コードを受領者に送信し、解錠依頼の際に管理コードを返信させるように構成してもよい。この場合においても、管理コードはセンタ装置1の顧客情報DB121に登録された連絡先に送信されるが、管理コードを受け取る端末を特定するために、ショートメッセージサービスを利用するか、端末の物理アドレスも返信させることが好ましい。
暗証番号を生成する際に有効期限を設定することも有効である。
【0102】
また、配送容器3のケース端末4とセンタ装置1との通信において、施錠、解錠情報を暗号化して通信するように構成してもよい。このように構成することで、配送容器3とセンタ装置1との通信内容を解析されて、センタ装置1以外から配送容器3に対して不正な解錠指示を与えることによって解錠されるおそれを減らすことができる。
【0103】
この場合、ケース端末4とセンタ装置1との間では、一例として公開鍵暗号方式による暗号化通信を用いることができる。ケース端末4の記憶部43には、ケース端末毎に特定される秘密鍵が記憶される。一方、センタ装置1は、各ケース端末が有する秘密鍵に対応する公開鍵を記憶部12のケース端末情報DB122において、各ケース端末と関連付けて登録しておく。センタ装置1からケース端末4に施錠指示及び解錠指示などの通信を行う場合、センタ装置1のケース端末情報DB122に登録された公開鍵を用いて通信する情報の暗号化を行い、暗号化された情報をケース端末4に送信する。ケース端末4では、受信した情報を、秘密鍵を用いて復号した後、施錠または解錠を行う。
【0104】
なお、上述してきた実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る配達システムの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における配送容器の概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における配送容器のケース端末の機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態における配送容器のケース端末の動作フローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における通信端末の機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態における配達システムのセンタ装置の機能ブロック図である。
【図7】(a)は、本発明に係る配達システムのセンタ装置で管理される顧客情報データベースの一例図であり、(b)は本発明に係る配達システムのセンタ装置で管理される配送情報データベースの一例図である。
【図8】本発明の一実施形態における配達システムの配送容器施錠時のタイミングチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における配達システムの配送容器解錠時のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0106】
100 配達システム
1 センタ装置
2 発送端末
5 受領端末
11 制御部
111 通信制御部
112 照合部
113 暗証番号生成部
114 管理情報処理部
115 施解錠指示部
12 記憶部
121 顧客情報DB
122 ケース端末情報DB
123 配送情報DB
124 監視記録DB
3 配送容器
31 電気錠
4 ケース端末
41 無線通信部
411 GPS受信部
412 送受信部
413 アンテナ
42 制御部
421 通信制御部
422 通信監視部
423 位置検出部
424 錠制御部
425 錠監視部
426 開閉監視部
43 記憶部
431 ケース端末ID
432 暗証番号
433 監視記録
47 近距離通信部
6 通信端末
61 通信部
62 近距離通信部
63 記憶部
64 制御部
7 通信網
8 無線基地局
9 GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送容器の開閉を防止するための電気錠と、
前記電気錠を施錠または解錠するための施解錠情報を受信するための第1の通信手段及び第2の通信手段と、
前記第1の通信手段または第2の通信手段で受信した前記施解錠情報に応じて前記電気錠を施錠または解錠する電気錠制御手段と、を有し、
前記第1の通信手段は、通信網を介した無線通信を行う網通信手段であり、
前記第2の通信手段は、通信網を介さずに直接通信を行う直接通信手段であることを特徴とする配送容器。
【請求項2】
前記第1の通信手段における通信の可否を監視し、前記電気錠制御手段に対し、前記第1の通信手段で正常に通信できるときは前記第1の通信手段により受信した前記施解錠情報に応じて前記電気錠の施錠または解錠を行わせ、前記第1の通信手段で正常に通信できないときは前記第2の通信手段で受信した前記施解錠情報に応じて前記電気錠の施錠または解錠を行わせる通信監視手段をさらに備える、請求項1に記載の配送容器。
【請求項3】
前記通信監視手段は、
前記第1の通信手段で正常に通信ができないときは前記第2の通信手段を駆動し、前記第1の通信手段で正常に通信ができるときは前記第2の通信手段の駆動を停止する、請求項2に記載の配送容器。
【請求項4】
電気錠を備えた配送容器または通信端末に通信網を介して該電気錠を施錠または解錠するための施解錠情報を送信する通信手段を有するセンタ装置と、
前記センタ装置から前記通信網を介して前記施解錠情報を受信する網通信手段と、前記配送容器に前記施解錠情報を通信網を介さずに直接送信する直接通信手段とを有する通信端末と、
配送容器の開閉を防止する電気錠と、通信網を介した無線通信により前記センタ装置から前記施解錠情報を受信する網通信手段と、前記通信端末から前記施解錠情報を通信網を介さずに直接受信する直接通信手段と、該網通信手段または該直接通信手段で受信した前記施解錠情報に応じて前記電気錠を施錠または解錠する電気錠制御手段とを有する配送容器と、
を含んで構成されることを特徴とする配送容器の施解錠制御システム。
【請求項5】
前記配送容器は、
前記網通信手段における通信の可否を監視し、前記電気錠制御手段に対し、前記網通信手段で正常に通信できるときは前記網通信手段により受信した前記施解錠情報に応じて前記電気錠の施錠または解錠を行わせ、前記網通信手段で正常に通信できないときは前記直接通信手段で受信した前記施解錠情報に応じて前記電気錠の施錠または解錠を行わせる通信監視手段をさらに備える、請求項4に記載の配送容器の施解錠制御システム。
【請求項6】
前記配送容器の前記通信監視手段は、
前記網通信手段で正常に通信ができないときは前記直接通信手段を駆動し、前記網通信手段で正常に通信ができるときは前記直接通信手段の駆動を停止する、請求項5に記載の配送容器の施解錠制御システム。
【請求項7】
前記センタ装置は、
さらに前記施解錠情報の送信を要求する要求情報が正当であるか否かを判定する照合手段を備え、
前記通信手段にて受信した前記要求情報が正当である場合に、前記要求情報によって特定される配送容器または通信端末に対して前記施解錠情報を送信する、請求項4〜6の何れか一項に記載の配送容器の施解錠制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−336255(P2006−336255A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160533(P2005−160533)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】