説明

配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置

【課題】配送物自動供給装置や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めるとともに、配送物の搬送姿勢を適正化して集積不良を防止する。
【解決手段】一通ずつに分離された薄物メールMを水平状態で搬送する搬送経路にて、薄物メールMの姿勢を変換する配送物姿勢変換装置1であって、水平状態の薄物メールMを搬入する入口搬送部10と、搬入された薄物メールMを、水平状態を維持しながら所定の角度だけ回転させる配送物回転部20と、回転された薄物メールMの位置を整える整位部30と、整位された薄物メールMを、入口搬送部10による搬入方向に対し、搬送方向を変換して搬出する出口搬送部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非定形の薄物メール、小物荷物などの郵便物、配送物を配達先に応じて自動的に仕分けする配送物自動区分機の一部として使用される配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、非定形の薄物メールと小物荷物の両方を自動仕分けする配送物自動区分機(マルチソータ)が知られている。
例えば、図12に示す従来の配送物自動区分機は、フラットなどと呼ばれる薄物メールを処理対象とする配送物自動供給装置100と、パケットなどと呼ばれる小物荷物を処理対象とする配送物手動供給装置200と、複数の連続した台車や搬送ユニットが連結された区分搬送装置300と、配送物を集積ユニットなどに仕分ける区分集積装置400とから構成されている。
【0003】
配送物自動供給装置100は、処理対象の薄物メールを垂直に立てて投入し、その束から薄物メールを一通ずつに分離するフィード部110と、一通ずつに分離された薄物メールを水平状態に寝かせて搬送するツイスト部130とを有する。
ツイスト部130で水平状態になった薄物メールは、平コンベヤ上に投げ出され、区分搬送装置300の中のターゲットとなる台車と同期を取って台車へ移載される。
台車上に移載された薄物メールは、目的の集積ユニット付近に到達すると、台車が傾斜したり、台車上のベルトコンベヤが駆動することにより、区分集積装置400の集積ユニットへ投げ出される。
通常、集積ユニットは、シュートなどを介して、薄物メールをトレイに集積するようになっている。
【0004】
また、この種の配送物自動区分機では、必要に応じて、配送物の姿勢を変換する配送物姿勢変換装置が用いられる。
例えば、特許文献1、2に記載される配送物姿勢変換装置は、薄物メールの姿勢を、水平状態を維持しながらほぼ90°回転させる。
従来、このように薄物メールの回転搬送機構としては、円錐状のコーンローラ間で薄物メールを回転搬送するコーンローラ回転搬送機構や、異なる速度で駆動される複数の搬送ベルトにより薄物メールを回転搬送するベルト回転搬送機構が利用されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−244847号公報
【特許文献2】特開平09−314066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の配送物自動区分機の区分搬送装置は、処理速度を上げるために、台車の短辺が搬送方向と平行になるような配置とし、一定時間内に集積ユニットを通過する台車の数を可及的に多くしている。
したがって、配送物自動供給装置側では、薄物メールを側方から台車に移載する際、薄物メールの短辺を台車の搬送方向と平行にする必要がある。
【0007】
しかしながら、配送物自動供給装置のフィード部は、通常、一通ずつに分離した薄物メールを、その長辺が搬送方向と平行になるように下流へ搬送するので、薄物メールを上記の姿勢で台車に移載するには、配送物自動供給装置全体を、区分搬送装置の搬送方向に対して垂直に配置する必要がある(図12参照)。
そのため、配送物自動供給装置の周辺には、余分なスペースを確保する必要が生じ、配送物自動区分機全体のレイアウト上、大きな制約となっていた。
【0008】
また、配送物自動供給装置では、ツイスト部で薄物メールを水平状態で搬送して台車に移載する場合に、水平状態で搬送してきた薄物メールを、そのまま平ベルトコンベヤ上へ放り出すため、平ベルトコンベヤ上で薄物メールの位置にばらつきや回転などが起こりやすく、台車へ移載されても傾斜状態のままで区分集積装置へ搬送される。
区分集積装置には、通常、シュートなどが配置されており、ある程度傾斜した薄物メールは回転しやすくなり、トレイへ集積する際に集積方向が乱れ、集積不良が発生しやすいという問題があった。
【0009】
そこで、配送物自動供給装置に配送物姿勢変換装置を設けることによって、配送物自動供給装置や配送物自動区分機全体のレイアウトを変更したり、薄物メールの姿勢を適正化することが考えられる。
しかしながら、従来の配送物姿勢変換装置は、配送物の搬送方向を変えることなく、配送物の姿勢を変換するに過ぎないため、配送物の搬送方向をも変換が必要な場合に、配送物の搬送方向を変換する装置が別途必要になるという問題があった。
また、従来の配送物姿勢変換装置は、コーンローラ回転搬送機構やベルト回転搬送機構を採用しているため、多様なサイズ、厚みの薄物メールを処理する場合に、その回転角度や位置にばらつきが生じやすく、特に、高速高頻度で処理を行う場合には、薄物メールの振動、飛び跳ねなども発生して、回転角度や位置のばらつきが非常に大きくなるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、配送物の姿勢を変換するものでありながら、配送物の搬送方向を変換する機能や、配送物の位置を整える機能を併せ持つことにより、配送物自動供給装置や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるだけでなく、配送物の搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明の配送物姿勢変換装置は、一通ずつに分離された配送物を水平状態で搬送する搬送経路にて、配送物の姿勢を変換する配送物姿勢変換装置であって、水平状態の配送物を搬入する入口搬送手段と、搬入された配送物を、水平状態を維持しながら所定の角度だけ回転させる配送物回転手段と、回転された配送物の位置を整える整位手段と、整位された配送物を、前記入口搬送手段による搬入方向に対し、搬送方向を変換して搬出する出口搬送手段と、を備える構成としてある。
【0012】
このようにすると、配送物の姿勢を変換するものでありながら、配送物の搬送方向を変換する機能や、配送物の位置を整える機能を併せ持つことにより、配送物自動供給装置や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるだけでなく、配送物の搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる。
【0013】
また、本発明の配送物姿勢変換装置は、前記配送物回転手段が、前記入口搬送手段と前記出口搬送手段の間に配置され、それぞれ異なる速度で回転駆動される複数の底面ローラと、各底面ローラと対向する位置に配置され、対向する前記底面ローラとほぼ同じ周速で回転駆動することにより、前記底面ローラとの間に挟み込んだ配送物を水平方向に回転させる複数のホイールと、各ホイールを独立的に上下動自在に支持する支持部材と、前記ホイールの跳ね上がりを抑制する緩衝部材と、を備える構成としてある。
【0014】
このような構成とすることにより、複数のホイールが独立的に上下しつつ、底面ローラとの間で配送物を挟み込むので、厚みが部分的に異なる薄物メールに対しても、安定した姿勢変換処理を行うことができる。また、ホイールの跳ね上がりを抑制する緩衝部材が備えられているので、ホイールが跳ね上がりに起因して配送物と非接触状態になることを抑制し、配送物の姿勢変換精度を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の配送物姿勢変換装置は、前記整位手段が、前記出口搬送手段の搬送面に突出し、前記配送物回転手段により回転された配送物を位置決めする整位姿勢と、前記出口搬送手段の搬送面から退避し、前記出口搬送手段により搬出される配送物に干渉しない退避姿勢と、に姿勢変更が可能なストッパ部材を備える構成としてある。
このようにすると、配送物の姿勢及び搬送方向を同時変換するものでありながら、姿勢変換される配送物の位置決めを、搬送方向の変換を阻害することなく、コンパクトなエリアで実現し、配送物姿勢変換装置の小型化が図れる。
【0016】
また、本発明の配送物姿勢変換装置は、前記整位手段が、前記配送物回転手段により回転された配送物を上方から押え付ける可動式又は固定式の押え部材をさらに備える構成としてある。
このようにすると、ストッパ部材に接触した際に生じ易い、柔らかい配送物の変形や、厚い配送物の反動を抑制し、姿勢変換精度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の配送物姿勢変換装置は、前記出口搬送手段が、穴開きの搬送ベルトと、前記搬送ベルトの内周側で負圧を発生させる負圧発生源と、を備える構成としてある。
このようにすると、姿勢変換された配送物を出口搬送手段の搬送ベルトで吸着保持できるので、軽くて薄い配送物や折れ曲がった配送物でも、浮き上がりや位置ズレを防止することができる。
【0018】
また、本発明の配送物自動供給装置は、配送物自動区分機の区分搬送装置に対して配送物を自動的に供給する配送物自動供給装置であって、立位姿勢で投入された複数の配送物から一通ずつ配送物を分離して下流に搬送するフィード部と、配送物を水平状態に寝かせるツイスト部と、一通ずつに分離された配送物の姿勢を変換し、かつ、配送物の搬送方向を変換する姿勢変換部と、姿勢及び搬送方向が変換された配送物を前記区分搬送装置に移載する移載部と、を備え、姿勢変換部が本発明に係る配送物姿勢変換装置からなる構成としてある。
【0019】
このような構成とすることにより、配送物の姿勢を変換する機能と、配送物の搬送方向を変換する機能と、配送物の位置を整える機能とを併せ持つ姿勢変換部を備えることにより、配送物自動供給装置や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるだけでなく、配送物の搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる。
【0020】
さらに、本発明の配送物自動供給装置は、前記区分搬送装置に沿って平行に配置される構成としてある。
このようにすると、配送物自動供給装置の周辺に余分なスペースを確保する必要がなくなるとともに、配送物自動区分機全体をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、配送物の姿勢を変換するものでありながら、配送物の搬送方向を変換する機能や、配送物の位置を整える機能を併せ持つことにより、配送物自動供給装置や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるだけでなく、配送物の搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置が備えられた配送物自動区分機の全体構成を示す平面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の配送物自動区分機は、フラットなどと呼ばれる薄物メール(配送物)Mを処理対象とする1ラインの配送物自動供給装置100と、パケットなどと呼ばれる小物荷物を処理対象とする3ラインの配送物手動供給装置200と、複数の連続した台車や搬送ユニットが連結された区分搬送装置300と、配送物を集積ユニットなどに仕分ける区分集積装置400とから構成されている。
【0023】
図2は、本実施形態に係る配送物自動供給装置の平面図である。
これらの図に示すように、配送物自動供給装置100は、処理対象の薄物メールMを垂直に立てて投入し、その束から薄物メールMを一通ずつに分離して下流に搬送するフィード部110と、一通ずつに分離された薄物メールMから宛先情報などを読み取る読み取り部120と、読み取りが終わった薄物メールMを水平状態に寝かせて搬送するツイスト部130と、水平状態を保ちながら薄物メールMの姿勢を変換する姿勢変換部140と、姿勢及び搬送方向が変換された薄物メールMを区分搬送装置300に移載する移載部150とを備える。
【0024】
配送物自動供給装置100の姿勢変換部140は、本発明に係る配送物姿勢変換装置1を用いて構成される。そして、この配送物姿勢変換装置1が、後述するように、薄物メールMの姿勢を変換(例えば90°)する機能と、薄物メールMの搬送方向を変換(例えば30°)する機能と、薄物メールMの位置を整える機能とを併せ持つことにより、配送物自動供給装置100や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるだけでなく、薄物メールMの搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる。
特に、配送物自動供給装置100を区分搬送装置300に沿って平行に配置した場合は、配送物自動供給装置100の周辺に余分なスペースを確保する必要がなくなるとともに、配送物自動区分機全体をコンパクトに構成することが可能になる。
【0025】
図3は、本実施形態に係る配送物姿勢変換装置の側面図であり、図4は、同じく本実施形態に係る配送物姿勢変換装置の平面図、図5は、同じく本実施形態に係る配送物姿勢変換装置のA−A断面図、また、図6は、同じく本実施形態に係る配送物姿勢変換装置の要部拡大側面図である。
これらの図に示すように、配送物姿勢変換装置1は、水平状態の配送物を搬入する入口搬送部(入口搬送手段)10と、搬入された薄物メールMを、水平状態を維持しながら所定の角度だけ回転させる配送物回転部(配送物回転手段)20と、回転された薄物メールMの位置を整える整位部(整位手段)30と、整位された薄物メールMを、入口搬送部10による搬入方向に対し、搬送方向を変換して搬出する出口搬送部(出口搬送手段)40とを備える。
なお、入口搬送部10としては、モータ11で駆動される通常の平ベルトコンベア12が用いられる。
【0026】
配送物回転部20は、入口搬送部10と出口搬送部40の間に配置され、それぞれ異なる速度で回転駆動される3つの底面ローラ21A、21B、21Cと、各底面ローラ21A、21B、21Cと対向する位置に配置され、対向する底面ローラ21A、21B、21Cとほぼ同じ周速で回転駆動することにより、底面ローラ21A、21B、21Cとの間に挟み込んだ薄物メールMを水平方向に回転させる3つのホイール22A、22B、22Cと、各ホイール22A、22B、22Cを独立的に上下動自在に支持する支持部材23A、23B、23Cと、ホイール22A、22B、22Cの跳ね上がりを抑制する緩衝部材24とを備える。
【0027】
具体的に説明すると、底面ローラ21A、21B、21Cは、モータ11で回転駆動される。モータ11と各底面ローラ21A、21B、21Cの間には、3列のベルト伝動機構25A、25B、25Cが並列に構成されており、各ベルト伝動機構25A、25B、25Cの上流側プーリ径を異ならせることにより、各底面ローラ21A、21B、21Cをそれぞれ異なる速度で回転駆動させる。具体的には、薄物メールMの回転中心側に配置される底面ローラ21Aが最も遅く、回転中心から離れるほど順次速くなるように、各底面ローラ21A、21B、21Cの回転速度が設定される。
なお、本実施形態では、底面ローラ21B、21C間にメール検知センサSを配置し、薄物メールMの先端検知や後端検知を行う。
【0028】
支持部材23A、23B、23Cは、モータ26で回転駆動される回転駆動軸27を中心として上下回動自在なアーム状の部材からなり、回転駆動軸27から斜め下方に延びるアーム一端部で各ホイール22A、22B、22Cを回転自在に支持している。
また、支持部材23A、23B、23Cのアーム他端部は、斜め上方に延出し、所定の間隔を介して緩衝部材24に対向している。つまり、支持部材23A、23B、23Cが上方に大きく回動すると、アーム他端部が軟質弾性体からなる緩衝部材24に当接するので、ホイール22A、22B、22Cの跳ね上がりが抑制されることになる。
【0029】
回転駆動軸27と各ホイール22A、22B、22Cの間には、3列のベルト伝動機構28A、28B、28Cが並列に構成されており、各ベルト伝動機構28A、28B、28Cの上流側プーリ径を異ならせることにより、各ホイール22A、22B、22Cをそれぞれ異なる速度で回転駆動させる。
具体的には、薄物メールMの回転中心側に配置されるホイール22Aが最も遅く、回転中心から離れるほど順次速くなるように、各ホイール22A、22B、22Cの回転速度が設定される。
【0030】
このように構成された配送物回転部20によれば、複数のホイール22A、22B、22Cが独立的に上下しつつ、底面ローラ21A、21B、21Cとの間で薄物メールMを挟み込むので、厚みが部分的に異なる薄物メールMに対しても、安定した姿勢変換処理を行うことができる。また、ホイール22A、22B、22Cの跳ね上がりを抑制する緩衝部材24が備えられているので、ホイール22A、22B、22Cが跳ね上がりに起因して薄物メールMと非接触状態になることを抑制し、薄物メールMの姿勢変換精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、ホイール22A、22B、22Cを3連としたが、それ以上としてもよい。
【0031】
整位部30は、出口搬送部40の搬送面に突出し、配送物回転部20により回転された薄物メールMを位置決めする整位姿勢と、出口搬送部40の搬送面から退避し、出口搬送部40により搬出される薄物メールMに干渉しない退避姿勢と、に姿勢変更が可能なストッパ部材31を備える。
【0032】
本実施形態のストッパ部材31は、配送物回転部20により90°回転された薄物メールMの短辺全域に接触するように、出口搬送部40の搬送面上方に配置されており、回動支軸32を支点とする上下回動により上記の姿勢変更を行う。
具体的に説明すると、出口搬送部40の搬送面上方には、所定の間隔を介して支持板33が設けられており、この支持板33の下面側で回動支軸32を回動自在に支持している。また、支持板33の上面側には、モータ34が設けられており、このモータ34の動力をベルト伝動機構35を介して回動支軸32に伝動することにより、ストッパ部材31を整位姿勢と退避姿勢との間で回動させるようになっている。
【0033】
このように整位部30を構成すると、薄物メールMの姿勢及び搬送方向を同時変換するものでありながら、姿勢変換される薄物メールMの位置決めを、搬送方向の変換を阻害することなく、コンパクトなエリアで実現し、配送物姿勢変換装置1の小型化が図れる。
【0034】
また、本実施形態の整位部30は、配送物回転部20により回転された薄物メールMを上方から押え付ける可動式の押え部材36をさらに備える。
本実施形態の押え部材36は、出口搬送部40の搬送面に突出し、配送物回転部20により回転された薄物メールMを上方から押え付ける押え姿勢と、出口搬送部40の搬送面から退避し、出口搬送部40により搬出される薄物メールMに干渉しない退避姿勢と、に姿勢変更が可能となっている。
具体的に説明すると、押え部材36は、回動支軸37を支点とする上下回動により上記の姿勢変更を行うようになっており、回動支軸37に直結されたモータ38の駆動に応じて、押え姿勢と退避姿勢との間を回動するようになっている。
【0035】
このように整位部30を構成すると、ストッパ部材31に接触した際に生じ易い、柔らかい配送物の変形や、厚い配送物の反動を押え部材36で抑制し、姿勢変換精度を向上させることができる。
なお、押え部材は、固定式であってもよい。固定式の押え部材は、薄物メールMの回転や出口搬送を阻害しないように、弾性又は可撓性を有する軟質部材であることが好ましい。
【0036】
出口搬送部40は、モータ41で駆動される2列の平ベルトコンベア42A、42Bを用いて構成されている。平ベルトコンベア42A、42Bは、穴開きの搬送ベルト43A、43Bと、搬送ベルト43A、43Bの内周側で負圧を発生させるファンユニット(負圧発生源)44A、44Bとを備えており、姿勢変換された薄物メールMを搬送ベルト43A、43Bで吸着保持できるようになっている。これにより、薄物メールMを整位する際や、薄物メールMを搬出する際、軽くて薄い薄物メールMや折れ曲がった薄物メールMでも、浮き上がりや位置ズレを防止することができる。
【0037】
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係る配送物自動供給装置100の動作について、図1〜図11を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る配送物姿勢変換装置の各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
図8は、本実施形態に係る配送物姿勢変換装置で薄物メールの回転が開始される様子を示す説明図である。
図9は、本実施形態に係る配送物姿勢変換装置で薄物メールの回転が完了した様子を示す説明図である。
図10は、本実施形態に係る配送物姿勢変換装置で薄物メールが回転される一連の様子を示す説明図である。
また、図11は、本実施形態に係る配送物自動供給装置の移載部を示す平面図である。
【0038】
作業者は、フィード部110に対して、非定形の薄物メールMを長辺が底面に接触するように立てた状態で投入する。フィード部110は、一通分離機能を有し、投入した薄物メールMを一通ずつに分離し、下流へ搬送する。
読み取り部120は、薄物メールMに印字されたバーコードなどの宛先情報を読み取り、ツイスト部130は、薄物メールMを水平になるように、搬送しながらツイストさせる。
【0039】
姿勢変換部140(配送物姿勢変換装置1)に到着した薄物メールMは、長辺が進行方向と平行となる姿勢で入口搬送部10により搬入され、3連のホイール22A、22B、22Cと、各ホイール22A、22B、22Cに対応する底面ローラ21A、21B、21Cとの間に噛みこまれる。各ホイール22A、22B、22Cは、接触した薄物メールMの厚みに応じて上下し、挟みこみながら回転を維持する。ホイール22A、22B、22C及び底面ローラ21A、21B、21Cは、薄物メールMの回転中心側に配置されるものが最も遅く、回転中心から離れるほど順次速くなるように、回転速度が設定される。これにより、薄物メールMは、水平状態を維持しながら回転され、その姿勢が変換される。
【0040】
姿勢変換部140におけるその後の動作については、図7のタイミングチャートを参照して具体的に説明する。
まず、底面ローラ21A、21B、21Cの付近に組み込んだメール検知センサSが薄物メールMの先端を検知してメール検知信号がONになると(図8参照)、ストッパ動作信号を所定時間「+ON」とし、ストッパ部材31を整位姿勢に動作させ、出口搬送部40の搬送面上にストッパ部材31の壁を作る。
検知した薄物メールMは、ホイール22A、22B、22Cと底面ローラ21A、21B、21Cで挟み込んで回転されて、ストッパ部材31の壁に端面が突き当たるようになり、回転角度とメール端面位置が整位される。
【0041】
メール検知センサSが回転した薄物メールMの後端を検知してメール検知信号がOFFになると、薄物メールMの姿勢変換が完了したと判断してメール押え動作信号を所定時間「−ON」とし、押え部材36を押え姿勢に動作させる(図9参照)。このとき、押え部材36で薄物メールMを全体的に押え付けることにより、跳ね返りによる整位の乱れなどを抑制する。
また、メール検知信号がOFFになった後、所定のタイムデレイを経てストッパ動作信号を「−ON」にしてストッパ部材31を退避位置に動作させる。この結果、長辺が進行方向と平行になるように搬送されてきた薄物メールMは、90°回転した姿勢で搬送待機状態となる(図10参照)。
なお、メール検知信号がOFFになった後、メール押え動作信号を所定時間「+ON」とし、押え部材36を退避姿勢に動作させるが、このとき、ファンユニット44A、44Bの駆動を開始し、姿勢変換が完了した薄物メールMを搬送ベルト43A、43Bで吸着保持することが好ましい。
【0042】
この状態で、区分搬送装置300からのインサーションリクエスト信号を受信すると、出口搬送部40を駆動し、姿勢変換が完了した薄物メールMを所定方向に搬出する。ここで、出口搬送部40は、入口搬送部10の搬送方向に対し、30°程度搬送方向を変換して搬出するように配置され、上方から見ると、ストッパ部材31が薄物メールMの搬出経路に位置しているが、搬出時にはストッパ部材31が出口搬送部40の搬送面上から退避しているので、薄物メールMを支障なく搬出することができる。
【0043】
出口搬送部40は、移載部150に接続しており、移載部150で移載対象の台車の動作と同期して搬送制御されることにより、図11に示すように、短辺が搬送方向と平行になるように配置された台車上に対し、短辺が台車の搬送方向と平行となった薄物メールMがスムーズに移載される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置によれば、水平状態の薄物メールMを搬入する入口搬送部10と、搬入された薄物メールMを、水平状態を維持しながら所定の角度だけ回転させる配送物回転部20と、回転された薄物メールMの位置を整える整位部30と、整位された薄物メールMを、入口搬送部10による搬入方向に対し、搬送方向を変換して搬出する出口搬送部40とを備える構成としたので、薄物メールMの姿勢を変換するものでありながら、薄物メールMの搬送方向を変換する機能や、薄物メールMの位置を整える機能を併せ持つことにより、配送物自動供給装置100や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるとともに、薄物メールMの搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる。
【0045】
また、配送物回転部20は、入口搬送部10と出口搬送部40の間に配置され、それぞれ異なる速度で回転駆動される複数の底面ローラ21A、21B、21Cと、各底面ローラ21A、21B、21Cと対向する位置に配置され、対向する底面ローラ21A、21B、21Cとほぼ同じ周速で回転駆動することにより、底面ローラ21A、21B、21Cとの間に挟み込んだ薄物メールMを水平方向に回転させる複数のホイール22A、22B、22Cと、各ホイール22A、22B、22Cを独立的に上下動自在に支持する支持部材23A、23B、23Cと、ホイール22A、22B、22Cの跳ね上がりを抑制する緩衝部材24とを備える構成としたので、複数のホイール22A、22B、22Cが独立的に上下しつつ、底面ローラ21A、21B、21Cとの間で薄物メールMを挟み込むことができ、厚みが部分的に異なる薄物メールMに対しても、安定した姿勢変換処理を行うことができる。
また、ホイール22A、22B、22Cの跳ね上がりを抑制する緩衝部材24が備えられているので、ホイール22A、22B、22Cが跳ね上がりに起因して薄物メールMと非接触状態になることを抑制し、薄物メールMの姿勢変換精度を向上させることができる。
【0046】
また、整位部30は、出口搬送部40の搬送面に突出し、配送物回転部20により回転された薄物メールMを位置決めする整位姿勢と、出口搬送部40の搬送面から退避し、出口搬送部40により搬出される薄物メールMに干渉しない退避姿勢とに姿勢変更が可能なストッパ部材31を備える構成としたので、薄物メールMの姿勢及び搬送方向を同時変換するものでありながら、姿勢変換される薄物メールMの位置決めを、搬送方向の変換を阻害することなく、コンパクトなエリアで実現し、配送物姿勢変換装置1の小型化が図れる。
【0047】
また、整位部30は、配送物回転部20により回転された薄物メールMを上方から押え付ける可動式の押え部材36をさらに備える構成としたので、ストッパ部材31に接触した際に生じ易い、柔らかい薄物メールMの変形や、厚い薄物メールMの反動を抑制し、姿勢変換精度を向上させることができる。
【0048】
また、出口搬送部40は、穴開きの搬送ベルト43A、43Bと、搬送ベルト43A、43Bの内周側で負圧を発生させるファンユニット44A、44Bとを備える構成としたので、姿勢変換された薄物メールMを出口搬送部40の搬送ベルト43A、43Bで吸着保持することができる。
これにより、軽くて薄い薄物メールMや折れ曲がった薄物メールMでも、浮き上がりや位置ズレを防止することができる。
【0049】
また、配送物自動供給装置100としては、立位姿勢で投入された複数の薄物メールMから一通ずつ薄物メールMを分離して下流に搬送するフィード部110と、薄物メールMを水平状態に寝かせるツイスト部130と、上記の配送物姿勢変換装置1を用いて構成され、一通ずつに分離された薄物メールMの姿勢を変換し、かつ、薄物メールMの搬送方向を変換する姿勢変換部140と、姿勢及び搬送方向が変換された薄物メールMを区分搬送装置300に移載する移載部150とを備える構成としたので、薄物メールMの姿勢を変換する機能と、薄物メールMの搬送方向を変換する機能と、薄物メールMの位置を整える機能とを併せ持つ姿勢変換部140を備えることにより、配送物自動供給装置100や配送物自動区分機におけるレイアウトの自由度を高めることができるとともに、薄物メールMの搬送姿勢を適正化して集積不良を防止できる。
【0050】
また、配送物自動供給装置100は、区分搬送装置300に沿って平行に配置される構成としたので、配送物自動供給装置100の周辺に余分なスペースを確保する必要がなくなるとともに、配送物自動区分機全体をコンパクトに構成することができる。
【0051】
以上、本発明に係る配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明の配送物姿勢変換装置で処理される配送物として、上記実施形態では非定形の薄物メールを例にとって説明したが、本発明で搬送処理可能な郵送物、配送物は上記非定形の薄物メールに限定されるものではなく、定形・非定形の各種郵便物、小荷物、雑誌、封書等、仕分け・搬送処理が必要な種々の配送物、郵送物を対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、非定形の薄物メール、小物荷物などの配送物、郵便物を配達先に応じて自動的に仕分けする配送物自動区分機の一部として使用される配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置及び配送物自動供給装置が備えられた配送物自動区分機の全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る配送物自動供給装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置のA−A断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置の要部拡大側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置の各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置で薄物メールの回転が開始される様子を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置で薄物メールの回転が完了した様子を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る配送物姿勢変換装置で薄物メールが回転される一連の様子を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る配送物自動供給装置の移載部を示す平面図である。
【図12】従来例に係る配送物自動区分機の全体構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 配送物姿勢変換装置
10 入口搬送部
20 配送物回転部
21 底面ローラ
22 ホイール
23 支持部材
24 緩衝部材
30 整位部
31 ストッパ部材
36 押え部材
40 出口搬送部
43 搬送ベルト
44 ファンユニット
100 配送物自動供給装置
110 フィード部
120 読み取り部
130 ツイスト部
140 姿勢変換部
150 移載部
200 配送物手動供給装置
300 区分搬送装置
400 区分集積装置
M 薄物メール
S メール検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一通ずつに分離された配送物を水平状態で搬送する搬送経路にて、配送物の姿勢を変換する配送物姿勢変換装置であって、
水平状態の配送物を搬入する入口搬送手段と、
搬入された配送物を、水平状態を維持しながら所定の角度だけ回転させる配送物回転手段と、
回転された配送物の位置を整える整位手段と、
整位された配送物を、前記入口搬送手段による搬入方向に対し、搬送方向を変換して搬出する出口搬送手段と、を備える
ことを特徴とする配送物姿勢変換装置。
【請求項2】
前記配送物回転手段が、
前記入口搬送手段と前記出口搬送手段の間に配置され、それぞれ異なる速度で回転駆動される複数の底面ローラと、
各底面ローラと対向する位置に配置され、対向する前記底面ローラとほぼ同じ周速で回転駆動することにより、前記底面ローラとの間に挟み込んだ配送物を水平方向に回転させる複数のホイールと、
各ホイールを独立的に上下動自在に支持する支持部材と、
前記ホイールの跳ね上がりを抑制する緩衝部材と、を備える
請求項1記載の配送物姿勢変換装置。
【請求項3】
前記整位手段が、
前記出口搬送手段の搬送面に突出し、前記配送物回転手段により回転された配送物を位置決めする整位姿勢と、
前記出口搬送手段の搬送面から退避し、前記出口搬送手段により搬出される配送物に干渉しない退避姿勢と、に姿勢変更が可能なストッパ部材を備える
請求項1又は2記載の配送物姿勢変換装置。
【請求項4】
前記整位手段が、
前記配送物回転手段により回転された配送物を上方から押え付ける可動式又は固定式の押え部材をさらに備える
請求項3記載の配送物姿勢変換装置。
【請求項5】
前記出口搬送手段が、
穴開きの搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内周側で負圧を発生させる負圧発生源と、を備える
請求項1乃至5のいずれか一項記載の配送物姿勢変換装置。
【請求項6】
配送物自動区分機の区分搬送装置に対して配送物を自動的に供給する配送物自動供給装置であって、
立位姿勢で投入された複数の配送物から一通ずつ配送物を分離して下流に搬送するフィード部と、
配送物を水平状態に寝かせるツイスト部と、
一通ずつに分離された配送物の姿勢を変換し、かつ、配送物の搬送方向を変換する姿勢変換部と、
姿勢及び搬送方向が変換された配送物を前記区分搬送装置に移載する移載部と、を備える、
前記姿勢変換部が、請求項1乃至5のいずれか一項記載の配送物姿勢変換装置からなることを特徴とする配送物自動供給装置。
【請求項7】
前記区分搬送装置に沿って平行に配置される請求項6記載の配送物自動供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−222338(P2008−222338A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60069(P2007−60069)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232173)NECコントロールシステム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】